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1964-04-22 第46回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月二十二日(水曜日)    午前十時五十五分開議  出席委員    委員長 前田 正男君    理事 佐々木義武君 理事 中曽根康弘君    理事 西村 英一君 理事 福井  勇君    理事 岡  良一君 理事 原   茂君       小沢 辰男君    坂田 英一君       寺島隆太郎君    保科善四郎君       渡辺美智雄君    久保 三郎君       田中 武夫君    三木 喜夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣 佐藤 榮作君  出席政府委員         科学技術政務次         官       鹿島 俊雄君         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   江上 龍彦君         総理府事務官         (科学技術庁原         子力局長)   島村 武久君  委員外出席者         原子力委員会委         員       兼重寛九郎君         参  考  人         (原子燃料公社         副理事長)   原  玉重君         参  考  人         (原子燃料公社         理事)     佐藤 源郎君         参  考  人         (原子燃料公社         理事)     今井 美材君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  科学技術振興対策に関する件(原子燃料に関す  る問題等)      ————◇—————
  2. 前田正男

    前田委員長 これより会議を開きます。科学技術振興対策について調査を進めます。  まず最初に 参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  原子燃料に関する問題調査のため、本日、原子燃料公社刑理事長原玉重君、原子燃料公社理事佐藤源郎君、原子燃料公社理事今井美材君を参考人として意見を聴取いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 前田正男

    前田委員長 御異議なしと認め、さように決定いたしました。      ————◇—————
  4. 前田正男

    前田委員長 この際、参考人各位一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席くださいまして、ありがとうございます。どうか忌憚のない御意見をお述べくださるようお願い申し上げます。  それでは、まず最初参考人より簡単に意見を聴取することといたします。原参考人
  5. 原玉重

    原参考人 ただいま御紹介いただきました原子燃料公社理事長玉重でございます。きょうは理事長日仏原子力会議訪仏原子力使節団の顧問としてフランスへ参っておりますので、私がかわって、初めに公社現況を簡単に申し上げまして、あと探鉱部冶金部責任理事さんが参っておりますから、それぞれ詳しくまた御説明することにいたします。  原子燃料公社は、御承知のとおり昭和三十一年八月十日に創立されましたが、当時政府出資資本金一千万円、八年目の昭和三十九年の予算を加えますると、百一億七千七百万円に相なります。ただいま役員は八名で、職員は大体六百名、そのほかに常勤や臨時が百五十名ぐらいと、人形峠鉱山倉吉東郷鉱山では、大体坑道掘進やボーリングを請負に出しておるものですから、そのほうが職員が百人くらい働いております。大体八日人内外の人が働いておる次第であります。  事業といたしましては公社法に書いてあるとおりでありますが、本社においては総務部探鉱部開発部冶金部、再処理準備室調査室理事室と分けて仕事をしております。事業所といたしましては、五カ所ございますが、人形峠出張所では採鉱探鉱をおもにやっております。倉吉出張所盛岡駐在員事務所奥丹後駐在員事務所探鉱を主としてやっております。東海製錬所は、名前は製錬所でありますが、最近は製錬もやってはおりますが、主力は再処理プルトニウム検査というようなほうの仕事をやっておる次第であります。  それらの事業についての大体を御報告をいたします。  第一の探鉱につきましては、八年間に大体費用を二十億使っております。その結果は三百万トンの、大体品位が万分の六ないし七という鉱石発見をいたしました。これをウランにすれば二千トン、現在のアメリカの相場でいえば二百億ということになりますが、これには製錬費や何か相当必要であります。そのほかに北は岩手県から鹿児島県までの間、大体各府県にわたって探鉱を進めてまいりましたが、人形峠鉱山東郷鉱山は、まずまず鉱山としてりっぱなものだという点までまいっております。しかし、探鉱部は単に探鉱だけではなく、いろいろこの間において探鉱方法研究試験あるいは探鉱に要する機械の発明だとかあるいは科学探鉱に必要な職員の養成というようなことにいろいろ尽くしてまいった次第であります。  なお、日本全体の探鉱の結果の状況については佐藤理事から御説明を申します。佐藤理事は、地質調査所鉱床部長を前にやっておりまして、日本ウランがあるかないかというような時代から非常に熱心にウランに対しての勉強をされ、公社へ初めからまいっておられて、日本全国、いな南方や世界各国も回られて、このウラン探鉱についてはまことに熱心な第一人者であります。どうか十分御質問をし、お開きを願いたいと思います。  その次は採鉱であります。公社開発部でやっております。採鉱そのものにはまだ移っておりませんが、採鉱のいろいろの試験をやっております。残柱式採鉱法、跡ばらし式採鉱法、長壁二段採鉱法など、宇部興産——石炭の山に似ておりますから、このほうからいろいろの人に来てもらって研究をし、大体日本の堆積岩の採鉱については確信を得ております。最近は水力採鉱、このほうにもっぱら力を尽くして、人形峠の鉱内で水力を利用しての採鉱法研究しておる次第であります。  このほかに、あそこの鉱石は水で洗うと非常に品位が上がるので洗鉱試験をやりまして、これも大体その目的を達せられております。  特に、鉱山保安問題につきましては、ウラン鉱山放射能鉱山として指定されまして非常にむずかしいケースもありますので、将来民間ウラン鉱山経営の際の保安に関する、ことに放射能関係に関する処置についての研究を十分やるという意味で、鉱内、鉱外、すべての面にわたってつとめて研究を進めております。  また、開発部では、公社所有鉱区関係して責任を持っておりまするが、公社は現在採掘権鉱区二つ試掘権鉱区を七十六、出願鉱区を二百九十二、合計三百七十の鉱業権を持っております。そのほかに、民間会社と契約をして探鉱採鉱のできるようになっておる採掘権鉱区が二十五、試掘権鉱区が百三十八、出願鉱区が八、合計百七十一になっております。この合計五百四十一の鉱区について、探鉱を進めたり、将来の採鉱などについて研究をしておる次第であります。  次は冶金部であります。これはいろいろな仕事がございまして、製錬、濃紺、検査加工、分析、保安、再処理プルトニウム関係というようなぐあいにたくさんの仕事がありまするが、こまかいことは今井理事から御説明を願います。  製錬だけについて一言申し上げたいと思います。製錬については、粗製錬と精製錬の二つに分けて初めから研究をいたしましたが、大体においでその目的を達しました。と同時に、世界ではまだやっていない料製錬、精製錬を区別しない一貫製錬法を研究いたしまして、この点については特許権をとり、ただいま人形峠鉱山でその試験製錬灰を建設しておる次第であります。本年七、八月には完成いたしまして、九月ころからは世界にない一貫製錬の試験ができるようになっております。  そういうぐあいで、製錬の研究試験のほうは、もちろん試験研究ですから、片がついたとか終わったとかいうようなものではなくて、いろいろの面についてたくさんの研究すべき点はありますが、一応そういうぐあいに山へ持っていっても試験ということになっておる次第でありますが、東海製錬所では、精製錬についてアメリカから技術導入をしてまいりました工場もございますので、ここで引き続いて精製錬に関する研究をしながら、あるいはスクラップの回収についての研究をしながらウラン地金を生産しております。  そういう意味合いで、公社でいままでウラン地金を生産した数は大体五十トンであります。そのうち七トンは国産第一号炉へ入っております。あと十七トンは取りかえ料としてただいま加工工場へ渡しております。そのほかはいろいろ大学や民間会社原研などで試験用に使用しているわけであります。  あと冶金部に関するすべての点につきましては今井理事から御説明いたしますが、今井理事は、戦争中樺太で人造石油研究工法をやっておられたので、本人は理学博士でありますが、単なる学者あるいは技術者というのではなくて、こういう新しい問題を工業化する、開発するまことに適任者であり、八年間非常に熱心に原子燃料について研究、また公社の業務に当たられましたので、いまではおそらくは日本第一人者原子燃料権威者と考えます。十分いろいろの説明をお聞き取り願いたいと思います。  最後に、公社の三十九年度事業につきましては、資料として配付いたしましたからそれをごらん願いたいのですが、このうちに予算関係がないのですから、簡単に数字だけを申し上げたいと思います。  三十九年度の予算は二十五億五千六百五十二万一千円であります。それを大別いたしますと、探鉱費が二億五千八百万円、水力採鉱が七百万円、山元試験製錬が一億七千四百万円、精製錬費が七千百万円、検査のほうの費用が二千二百万円、濃縮関係が八百万円、プルトニウム関係が五億二千八百万円、再処理関係が一億四千七百万円、基礎試験関係が七千万円、一般管理費が六億三千四百万円、その他二億三千三百万円というふうになっております。  以上で公社の大体の現況を申し上げましたが、めったにお目にかかれませんから、この際一言だけお願いしたい点があります。  最近、原子力研究所の件について国会でいろいろ御論議がございまして、速記録を拝見いたしましたが、原子力研究所職員待遇給与については公務員その他よりも何か特別に扱うべしというような空気がただよっておるように思います。公社が一番困っておるのは、お隣さんの原研と私のほうとが給料の格差があるというので、常に組合と問題を生じております。しかし、これはだんだんと政府当局の御理解を得て格差を少なくしてまいっておりますので、私のほうの組合はすこぶる理解を持って、たいした問題にもなりませんけれども、どうも先日来の速記録を読んでまいりますと、原子力研究所だけが原子力関係だから行別扱いにせいというふうになると、私のほうは非常に困りますので、原子力研究所に対して給与特別扱いにするというようなことを御論議の際は、公社というものが隣におるのだ、再処理やその他原研と同じようなことをやっているのだということを頭に置かれまして、ひとつお考えを願いたいと考えます。その一点だけお願いいたしまして、大体の報告を終わりたいと思います。
  6. 前田正男

    前田委員長 以上で参考人からの意見聴取は終わりました。     —————————————
  7. 前田正男

    前田委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。岡良一君。
  8. 岡良一

    岡委員 せっかくお見えになった探鉱担任佐藤さんなり、冶金関係今井さんの御意見を聞いた上で、また私どもわからないところをお教えをいただければと思っておりましたが、時間の関係上、一括佐藤さん、今井さんに御所見を伺いたいと思います。  特にきょう燃料公社の皆さんをわずらわしましたのは、この間から、御存じのように、この委員会には原子力政策に関する小委員会が設けられておりますが、燃料関係についてはいささか小委員会といたしましては取り上げ方が不十分ではなかったかという気持ちもいたしましたので、本委員会燃料公社の方にお出ましを願って、燃料の問題を、この問題は特に今後の原子力政策一つの核心を形づくるような重要な問題でもありますので、お聞きをしたい、こう思って、御多用中をわずらわしたわけでございます。  そこでまず、いまお聞きをいたしますと、今日までの探鉱の結果として約三百万トン程度のものが原鉱として発見をされておる、製錬をすれば二千トン程度天然ウラン確保が可能である、こういうようなお話でございました。その後、人形峠小国等にはかなり開発の手も伸びておるようでございますが、なお東濃その他有望な地域が十分まだ探鉱の手が伸びておらないようにも聞いております。そういう点も含めて、天然ウランに換算して大体どの程度ウラン確保できる見通しでございましょう。あるいはまた公社として試さくしなければならないというようなお気持ちでございましょうか。その点、佐藤さんからお聞きをいたします。
  9. 佐藤源郎

    佐藤参考人 ただいまの御質問にお答えいたします。  ただいまの御質問の内容は、現在までに原子燃料公社が行ないました探鉱成果と申しますか、現況と、それに基づきましての将来の発展像というような意味と解釈いたします。順序といたしまして、先ほど副理事長から御説明いたしました探鉱費概略二十億を投入いたしました中の大部分、十六、七億を投入しております人形峠地域ウラン探鉱現況中心といたしまして、そのほか全国的な問題にまで話を広げたいと考えます。  人形峠につきましては、発見いたしましたのが昭和三十年十一月十二日のことでございますから、今日で八年半ほどたっております。この間、原子燃料公社が担当いたしましてから約七年余りになるのでございます。これは、私ども地質学を専攻いたしました者が最初夢にも考えていなかったような姿において発見されたのでございます。発見されました当時はまだ原子燃料公社ができませんで、通産省の地質調査所の手で調査しておったのでありますが、そのころから私その問題を担当しておるのでございます。地質調査所以来の原子燃料公社探鉱を含めまして、いままでにたいへん新しい、科学技術的に非常な興味の深い、また資源としても重要ないろいろな資料が集まりました。私ども振り返ってみまして、むしろ驚きを感じておるのが正直な心境でございます。  概況を申し上げますと、まず発見されましたのが海抜七百三十メートルの中国山脈のまっただ中でございます。この山奥の一つのポイントから発見されましたウラン鉱床が、この八年間に北のほう、日本海のほうに向かいまして約二十キロメートル弱、だんだん低いほうに発見されてまいりました。さらに、人形峠から東のほう岡山県側につきましては、約二十キロメートルばかりウラン鉱床発見されております。したがいまして、端的に申し上げますと、北に二十キロ、東に二十キロ、この二辺で囲みました直角三角形、大体二百平方キロメートルの面積でございます。この二百平方キロメートルの面積にわたりまして、ウラン鉱床が断続して発見されております。この二百平方キロメートルの広さ、これはちょっとしたまとまった面積でございまして、たとえて申しますならば、石炭のコール・フィールド炭田では、北海道留萌炭田、あるいは九州の天草の無煙炭の炭田、これが大体面五十平方キロメートルから二百平方キロメートルの広さを持っております。したがいまして、ウラン鉱床地帯といたしましてはちょっとした中小の炭田並みの広さにまで発展してまいったわけでございます。したがいまして、これを人形峠ウラニウムフィールド炭田並みに訳しますとウラン田でありますが、ウラン田がごろが悪ければウラニウム地域ウラニウム地帯とでも申したらいいのでありましょうか。  この面積約二百平方キロメートルにわたります人形峠ウラニウムフィールドの中におきまして、現在までに大体把握いたしました埋蔵鉱量が、粗鉱量といたしまして概略三百万トン。その三百万トンの中に含まれております金属ウランの量が、これまた大ざっぱに二千トン、こういうことになっております。  それから先のことは、今後適当な予算をいただいて、私ども大いに探鉱に努力した上での結果を見ないと、数字的なことは一切申し上げられないのが当然でございますが、ただ、私といたしまして一言申し上げたいのは、この三百万トン、金属ウラン二千トンのほかに、プラス・アルファ・ベータ、たくさんあるのでございます。これを数字で申しますのはたいへんはったりになりますから遠慮いたしますが、大体現在目の前に見えております埋蔵量の増加と申しますのは、ほとんど五割増しのことは確実でございます。五割増しからさらに十割増し、つまり現在の二倍の数量、これもあえて不可能ではない、比較的容易なことであると私どもは考えております。さらにそれが三倍にまでなるかどうか、これはまだはなはだ疑問でございますが、これとて不可能とは申せない。もちろん非常に探鉱の大きな努力が必要でございますけれども。ということをあえて申しますゆえんのものは、人形峠ウラニウムフィールド内におきましての探査探鉱方法、その探査探鉱の重点を置くべき場所、いずれも相当はっきり把握しております。したがいまして、あえて申しますならば、とんとん拍子で埋蔵鉱量はふえていく、そういう自信を持っております。したがいまして、現在日本が大かた把握しておる金属ウランの量が、数字としては二千トンでありますけれども、それが二倍、三倍までなることは決して不可能ではない、あえて申しますならば有望であるということが言えると信じております。  これは人形峠ウラニウムフィールドでございますが、このほかに日本国内相当各所発見されております。委員長、ここでちょっと図面をお示ししてよろしゅうございましょうか。   〔佐藤参考人地図を示す〕  これはたいへん簡単な略図でございますけれども日本全国地質図略図の上にいままで発見されましたものを記入したものでございます。専門的なことは一切省略いたしまして、それをさらに非常に概念的に圧縮いたしました図面が前回お配りしてあるものであります。  これについて申し上げますと、この日本全国の小さな図面の上に黒く塗り込みましたのが、一口に申しますれば探鉱についての有望地、つまり探鉱価値のあるところ、探鉱予算をここに投入しても適当であるところ、そういう判断をいたしたところでございます。これを専門的なことばで山塊と呼んでおります。北は北海道から南は鹿児島の両端に至るまで、各地に地点をプロットしてございますが、このプロットしてある地点は全部山塊という地質学的な特徴のある地域に集中しております。人形峠ウラニウムフィールドがその代表でございますが、人形峠ウラニウムフィールドと大体地質環境共通に持っておりますところが、大ざっぱに申し上げますればこれだけまだある、これだけ日本全国に分布しておるということでございます。もちろんこれ以外のところもないとは言えませんが、まずさしあたりこれだけのものが対象になるべきである。この面積はどのくらいになるかということでございますが、非常に大ざっぱなことでございますけれども日本全国北海道から九州に至るまでの面積が大体三十七万平方キロでございますから、その約半分の二十万平方キロ内外のところが探鉱の値打ちのあるところ、こういうことになってまいりますと、日本ウランについて非常に忙しい、あえて申しますならば、まだまだ今後たくさん埋蔵鉱量が把握される可能性を持っておるところであり、その可能性は、ポシビリテイーを通り越しましてもうプロバビリティーのところまでいっておる、そういうふうに考えております。  人形峠以外のおもなところを申し上げますと、山形児小国中心といたしましたところ、それから愛知県と岐卓県の県境に近い東濃地区、それから京都府の北西の奥丹後地域、そういったところが人形峠以外の地域としては現存クローズアップされておるところであります。  ここから先の問題につきましては、まだ探鉱のほんの初期に当たっておりますので何とも印せないのでございますが、しかし、私どもは私どもなりに相当なビジョンを持っておるのでございます。このピジョンと申しますのは、単なる、空虚なる空想ではなしに、専門的な根拠に基づいた一つビジョンでございます。これはあえて申しますならば、第二、第三の人形峠ウラニウムフィールドあとに続いているということでございます。それがこの図面の中のどれであるかはなかなかちょっと困難でありますけれども、たとえて申しますならば、奥丹後とか東濃とかいうところが比較的ビジョンのはっきりしているところでありまして、あるいはもしかしたら第二、第三の人形峠になり得る可能性を持っておる、そういうふうに考えております。そうしますと、人形峠が現在二千トン、そのほかの人形峠に大体匹敵できると思われるところがかりに二カ所あるといたしますと、二千トン掛ける何倍かというものが大体具体的な数字として頭の中に浮かんでくるわけでございます。したがいまして、もし国策として国内ウラン資源探鉱を強力にやるというふうなことになりますれば、それにおこたえし得る科学技術的な根拠を私どもは持っておるつもりでございます。  特に、この中で北海道につきましては、北海道は地質学的にも非常に未知数の多いところでございますので、西南端のほんの一局部的なものにごく最近に露頭が見つかりました程度で、ほとんどアンノーンでございますが、まだまだこれは今後の問題は多分に残っております。なお、東北地方は、金、銀、銅、鉛、亜鉛の金属鉱床につきましては、御承知のとおり非常に豊富な地域でございますが、ことウランに関しましては、これだけたくさんプロットしてございますが、まだ人形峠並みに太り得るだろうというところははっきりしておりません。  これはちょっと専門的になりますけれども、ちょうど本州のまっただ中に北から南へ一つの大きな割れ目、断層がありまして、これをフォッサマグナと呼んでおります。フォッサマグナを境といたしまして、東日本西日本とは非常に地質学的な構造が違う。構造が違うということは、その土地が経験したいろいろの何億年昔からの歴史が違っておる。したがいまして、ウラン鉱床が生成いたしまして今日まで、われわれの目の前にあらわれてくる状況も、東日本西日本とではかなりな差があるかもしれない、そんな感じもいたしております。  しかし、とにもかくにも、山塊と名づけましたところは——これはもともとフランスのマシフ・サントラル、中央山塊と訳しておりますが、この中央山塊で、フランスが戦後国内としては初めての大きなウラン資源発見いたしました。その代表地域がこの中央山塊にありまして、この中央山塊地質環境が、日本のこの図面にあります山塊とずいぶん共通性がある。そういうことから、フランス探鉱方法に根本的には学んだところがあるのでございますけれども、しかし、人形峠発見によりまして、フランスで経験しなかった日本独特の人形峠という、むしろいままで全然考えられなかったような新しいタイプの鉱床発見されまして、これを私どもは八年から十年にわたりまして一生懸命勉強してまいりましたところが、ただいまお話し申し上げましたような専門的な面での成果をあげたと私どもは考えております。これがすぐ資源確保資源の把握にどのくらいまでものをいいましたか、さらにこれからものをいうかにつきましては、ただいま申し上げましたようなことでございますが、しかし何と申しましても、これはりっぱなうしろだてをもって私ども専門の者が、あえて申しますならば、腕を十分にふるわしていただきましたならば、それだけ必ず成果をあげてお目にかけるということを私は申し上げたいのでございます。  以上で終わります。
  10. 岡良一

    岡委員 原子力発電計画の前期十カ年間における百万キロワット、この発電に所要の核燃料物質ウランでございますが、天然ウランに換算をいたしまして大体どの程度必要でございますか。
  11. 兼重寛九郎

    兼重説明員 私もいま的確につかんではおりませんけれども天然ウランを使います燃料、ただいまはっきりしておりますのは原電の第一号炉、東海発電所、これが十年間に七百五十トンになるかならぬかというような程度でございます。そのほかの部分がいまのところ微濃縮ウランを使うということのほうが多そうでございまして、それを天然ウランに換算するとどのくらいになるか、私はちょっとつかんでおりませんけれども国内の天無ウランをそれに充てるということはいまのところちょっと考えにくいと思っております。
  12. 岡良一

    岡委員 聞くところによると、近々のうちにはアメリカでも濃縮ウランの所有は民有も許されるという方向に動いておるということも聞いておるわけであります。そういうことになれば、かりに日本天然ウラン濃縮の加工を委託することもでき得るということも、そのことの是非は別として、考えられる。そういうことも考えますと、やはりこの初めの前期十カ年計画における天然ウランの所要量というもののある程度の推定はあってもいいんじゃないか。そういうところから原子力委員会の企画性というものが出てくるわけなので、そういう点を私ははっきりつかみたいと実は思っております。  ただ、いま佐藤さんのお話を承っておりますと、人形峠だけでも大体三千トンの、これは可能性というよりも、天然ウラン確保が実現し得るであろう。そのほかいろいろな御説明を承りますと、有望なウラニウム・フィールドというものが発見されておるし、したがって、努力をすればさらにより多くのものが確保し得るというような御説明であったわけなんです。  そこで問題は、一体日本原子力政策がそもそもの出発点において、この燃料問題においてどういう前提に立っておったかということを私どもは反省しなければならぬのじゃないかと思う。御存じのように、原子力発電は経済的に非常にいわば有利であるというその説明資料の中では、エネルギー源として石油を輸入するよりも、ウランを輸入するほうが安上がりにつくんだ。その場合、国内ウランに依存しよう、あるいは国内においてウラン確保しようという積極的な意図が、あの資料では全然見てとれない。むしろ、外国からおおむね輸入してというような前提であの資料が編まれておるような印象を私は受けたわけです。ところが、いま承ると、このウラン確保ということについては日本は非常に有望な条件を持っているということです。  そうすると、原子力政策の中での重要なこの燃料政策というものについて、やはり国内におけるウラン確保という新しい条件が出てきたのだ。可能性が出てきたのだから、この立場から日本の原子力改築というものについては、大きな転換が必要ではないかと私は思うのです。それはおそらく探鉱においても、精錬においても、使用済み燃料の処刑においても、一貫した燃料政策体系というものについては、やはりウランがないんだという考え方ではなくて、ウランがあるのだという、またその可能性が非常に強くなってきつつあるという立場から考えると、日本原子力政策は、特に燃料政策において非常に大きな転換が必要じゃないか。ただ燃料公社の方々の努力のまにまに幸い出てきたんだというような考え方では、私は今後の燃料政策が進められないような段階にきておるというような感じがするわけです。  こういう点について、具体的なことは今後の問題ではございましょうが、原子力委員長としていかがお考えでございましょう。
  13. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 先ほど私も、佐藤理下のお話を開いておりまして、いろいろ考えさせられておるような次第でございます。  問題は、原子力発電、これをだんだん経済性、またその安全性も確保される、こういう現況において、また、将来のエネルギー源全体の関係等をにらみ合わせて、今後いかにあるべきかというのを考える、そういう場合に、この国産燃料と真剣に取り組む段階にきておるだろう、かように思いますが、いずれ原子力委員会等におきましてもさらに検討を続けてまいりたい、かように考えます。
  14. 岡良一

    岡委員 ぜひひとつ、この前期十カ年計画でも、私ども専門家ではございませんから、詳しい数字はわかりませんけれども、それにしましても、あと四基低濃縮ウランのものがつくられるといたしましても、おそらく二千トンの天然ウラン確保できるという現実から見れば、一応数字の上では燃料は完全に私は確保できるだろうと思うのです。何も私は国残品愛用というような気持ち日本国内ウラン資源をということを申し上げるわけではないのでありまして、この原子力政策の国際的な協力という立場から、やはり国内にあるものはまずできるだけこれを開発するということが国際協力の大前提だという考え方で実は申し上げるので、この点誤解のないようにお願いします。ひとつ燃料政策については格段の御関心と、必要とあらば政策を思い切って転換をしていただくように、ぜひお願いをいたしたいと思うのです。  それから、原子力委員会といたしましても、こういう機会にある程度数字をお示しいただいて、前期十年、後期十年とまたがる一つ数字は、やはりわれわれの参考のデータとしてお示しをいただくくらいの御用意が願いたい。産業合理化部会の原子力発電資料を見ると、一応の数字が出ておるわけですが、こういう点もぜひともお願いをいたしたいと思います。  それから、いま一番重要な問題は、何と申しましても、使用済み燃料処理ということが今後の大きな、ある場合においては政治問題にもなろうかという要素を持っておるわけです。使用済み燃料処理について、原子燃料公社としてはいまどういう進め方をしておられますか、具体的にひとつ承りたい。
  15. 今井美材

    今井参考人 原子力発電がだんだん本格化してまいりましたときに、使用済み燃料処理を必要とすることは当然のことでざいますので、私どもといたしましては、ずいぶん長らく調査研究もいたしてまいりました。第一号発電原子炉が動き出そうという時期がほぼ明確になってまいりましたにつれて、昨年度からこれに対するもう少し具体的な取り組み方をしなければならないということから、とりあえず調査という費目をちょうだいいたしまして、それで初期の設計に着手いたしております。  これをいたしますプロセスにつきまして多少申し述べさせていただくならば、いま再処理ということを現実に技術的に成功裏にいたしておりますのは、ロシアを除けば、イギリスとフランスアメリカでございます。ところで、私どもが可処理をいたしますにつきまして、イギリス、フランスアメリカとやや違わなければならないことがございます。それは、日本の原子力は、英米仏を問わず、いいものをとって最も計画的にこれから発展せしめようというわけでございますので、現実の問題といたしましても、すでに第一号の発電炉がイギリス型であるならば、第三号炉アメリカ型であるといわれておる。このことは、燃料といたしましては、天然ウラン燃料と低濃縮燃料と二色にまたがるわけでございまして、アメリカの再処理は低濃縮の再処理をやっておる、イギリスの再処理天然ウラン燃料の再処理をやっておる。それぞれ違っておるわけです。そこで、われわれがいまから再処理をいたしますにつきまして、どちらの技術にならって開発をすべきかということになりますと、どちらだけでも悪いのであるという特殊の問題が生じてまいります。そのような意味合いで、どちらをとるべきかということについてはいろいろ検討もいたし、また現実問題といたしましては、英米仏から技術導入の見積もりを取りまして、それをよく検討した上できめたわけでございます。  結果におきまして、私どもがいま採用いたそうとしております設計は、本体のプロセスはイギリス流でございます。そして、燃料が違いますので、アメリカからの炉の燃料も使わなければなりませんから、いわゆるヘッドエンドと申しております頭の部分につきましてはアメリカ型の部分もこれにつけ加えることを考えております。  また、これは燃料の種類に関係ありませんが、日本では安全問題等特に慎重を期する必要がありますので、最後に処理をいたして出てきた廃棄物の処理につきましては、特別に進歩したプロセスも考慮いたしたいという考えから、フランスから部分的な技術導入もつけ加えて考慮いたしております。  これがプロセスでございますが、ただいまどの辺まで進行いたしたかと申しますと、本体のイギリスの設計は、予備設計の部分ではございますけれども、ただいま過半を終えたところでございます。今後順調に進行すると考えておりますので、ことしの秋には予備設計を終了すると思います。もしも予備設計を終了いたしまするならば、今年度は詳細設計に着手するお金をちょうだいしておりますので、その契約を年度内にはまとめるように努力いたしたいと思っております。ことばをかえれば、詳細設計に着手をいたしたいということでございます。  さて、こういきますけれども、その後の進行につきましては、かなりやっかいな設計でもあるし、設計に対して相当長時間必要でございまするし、また、この設計が後日建設に移ることを仮定いたしましても、建設にはかなりの時間がかかるということであります。それゆえ、私どもの内部でのただいまのもくろみによりますると、これは昭和四十四年には一応完成するけれども、しかし、その年はまだほんとうの処理をする前の試運転でありまして、使用済み燃料をほんとうに処理できるのは昭和四十五年であると考えております。  これが一応のただいまのスケールでございます。
  16. 岡良一

    岡委員 再来年あたりから東海のコールダーホール改良型発電所の使用済み燃料は出てくるわけですが、まあ六十トン弱出てくるかと思います。そうすると、この取り扱いについては原子力委員会はどう考えておられるのか。
  17. 兼重寛九郎

    兼重説明員 そういう部分を含めまして、昭和四十七年ごろまでに出てきます使用済み燃料約五百トンと見積もっております。それで、ただいま今井理事から御説明のありましたように、原子燃料公社でいま計画、設計をしておられますのは、年間の処理量約二百トンでございます。これはそのころ大体一〇〇%の稼働率で働けるだけの使用済み燃料が出てくるという予想でございます。東海発電所から最初に出てきましたものは、したがってただいまのところでは、この再処理施設が稼働いたしますまでためて持っておくということが必要になろうかと考えております。そのためておく方法などについても検討を進めてもらっておる次第であります。
  18. 岡良一

    岡委員 それならそれで、使用済み燃料が前期後期含めてどの程度に出てくるのか、それに対してどういう具体的な方法処理するのかという明確な原子力委員会としての計画をいただかないと、やはり私ども非常に不安なんです。  それから、天然ウランあるいはまた低濃縮ウラン処理は、おそらくいま今井さんのお話によっても、まあ若干のくふうを加えれば同じ施設で処理ができるとしても、ではCP5の九〇%はどうするのだという問題、私はこの間原子力委員会に少し手きびしいことを申し上げて申しわけございませんが、もう少しひより見主義的な態度をかなぐり捨てていただきたいと思うのです。問題が起こってからさて具体化しようという態度は、ある意味において非常に責任を回避する態度だといえる。やはり積極的に将来の展望の上に立った将来計画というものを持って、そうしてこれを燃料公社なり原研なり、原子力政策全般にわたる部門を動かしていくという体制をぜひともとってもらわなければならぬ。燃料政策一つにしましても、いまお聞きをすれば、これはためておくのだということでございますが、なかなかこれも容易ならぬことだし、それからまた、ためておけるとしても、それじゃ四十五年度から稼働し得る施設としては一体具体的にどういう計画があるのか、計画の若干はお伺いいたしておりますけれども。それからまた、再処理施設の技術的な面では、低濃縮と天然ウランではまたくふうが要る。そこへまた九〇%の濃紺ウランでは、これはどうにもしようがないという状態になってくる。  問題は、燃料における一貫性というものが原子力政策を推進するやはりてこになっているように思うのです。アメリカなら濃縮ウラン一点ばりで、イギリスなら天然ウランでいく。カナダもウランが豊富だから天然ウラン一本でやって、それがやはり今日の平和利用においても大きな役割りを果たしているわけです。そういう点からみると、日本においても、先ほど御説明のようにウラン燃料というものは天然ウランについては相当の確保ができるという自信が委員会としても持てたら、き然とした新しい原子力政策というものがあり得るのではないかとも思えるので、これは私の主観ではございますが、ぜひひとつ慎重にお願いをいたしたいと思う。  それから、委員長にこの際御所見を承りたいのです。きのう、おとといの新聞を見ますと、アメリカもソビエトもお互いに呼応したように、あるいはプルトニウムの生産をアメリカは二〇%少なくする、濃縮ウランは四〇%生産を削減する、ソビエトは目下建設中のプルトニウム用の原子炉二基の建設を中止する。今年の一月にもやはりこういう態度がありました。いわば部分的核停条約が三国間の合意によって成立をし、世界の各国が多くこれを支持する態度に出てくると同時に、具体的にこれまでの軍事的な目的のための原子力の施設というものも平和目的に切りかえよう、あるいは軍事目的のものは抑えようという方向に出てきておる。  そこで私は、非常にこれはけっこうなことではあるが、これはまたある意味においてもったいないことだと思う。もったいないことだと思うのは、もしそういうことであれば、軍事目的のために使用されておったプルトニウムを含めての再処理施設とか、あるいはまたその原料のための濃縮施設というものが平和目的のために使えないかということです。御存じのように、国際原子力機関の理事国も日本はしておるわけです。国際原子力機関の憲章では、はっきりと後進国における平和利用の推進をしなければならぬということが義務づけられておる。ところが一方では、濃縮ウランの施設は削減する、プルトニウムは要らないから閉鎖する。日本では、これからやおら暗中模索の中から、どうやら再処理施設をつくろう。全くこれは日本の後進性というものです。一方では捨てようという、こちらでは今度これから始めようというように、非常に原子力の開発分野における不均衡というものが出ておるが、こういう部分的核停を通じて、軍事利用に専念しておった国々の優秀な施設が、やはり国際原子力機関の手によって平和利用に転換できないかということです。私はまことにもったいない話だと思うんだが、こういう点は理事国としての日本は非常に関心を持っていいことだと私は思うわけです。具体的にできるかできないかわかりませんが、こういう点もっと克明に追求する必要がある。可能なものであるならば、堂々理事会において、あるいは会議において、日本はそういうことの可能性を訴えて実現をする、こういう方向へ持っていくべきだと私は思うわけです。こういう点について、原子力委員長としてのお考えを伺いたい。
  19. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 先ほど来の御意見は、これは三つとも関連があるように思います。ただいまの米ソの最近の処置、これもその技術的な問題があるだろう。また先ほど来言われる国産ウラン、そういうものの処理、こういうことにつきましても、これまた経済性の問題がある。  で、私ども原子力基本法によってはっきり平和利用、これに徹するということになっております。問題の使用済み燃料の再処理、これが先ほど来論議中心になっておると思いますが、そういう意味において燃料公社が再処理と真剣に取り組んでおる。これはそのままとってやっていいことじゃないかと思う。ことに私ども原子力委員会そのものも燃料の再処理と真剣に取り組む。どうもこれが技術的に、また経済的に、その両面から見て最善の方法というのはまだ見つからない。そういうところに、迷いといえば迷いかしらないが、企画性がないとか、計画性がないとか、こういわれるものがあるんじゃないかと思います。  先ほど来、米ソにおいて軍事用に使っていたものを、これを停止するというか、とめるというか、それ自身がもしも平和的に利用することが可能であれば、これは進んでやるだろう。しかし、そこらにまだ問題が残っておる。こういう意味で、軍事的の用途を廃止すれば、当然これこれはやめるのだ、こういうことになるのじゃないかと思います。最近は日米間におきましても、ウランについてのいろいろ制限があったのを、これも制限を撤廃するようであります。したがって、平和利用への方途である限りにおいて、この技術の公開もできるでしょうし、そういう意味の技術の交流もできるだろうし、またそうなければならない、かように思います。  ただいま御指摘になりましたように、日本理事国として活躍しておる国際原子力会議等においても、そういう点について発言する機会があるだろう。ただいまの状況において、私自身がその技術を知らない、またその経済性を知らない、こういう立場からたいへん困った問題だと考えておりますが、再処理、そういう方向へ進んでいくだろう。また、資源そのものも経済性が十分あるように、いわゆる品度の低いもの、これも経済性の面からやはりくふうしていかなければならない、こういうことで、なかなかむずかしい旧跡があるように思います。現在の技術者の方々もそういう意味で真剣に取り組んでおる、その姿だけは御了承をいただきたいと思います。まだこれがというオーソリティーがなかなか出てきてないというのが税状だろうと思います。
  20. 岡良一

    岡委員 私はこの最後の一言でやめたいと思いますが、これからもいろいろ起こってくる問題があるわけですね。たとえばプルトニウム・クレジットの評価をどうするか、何を基準にするかというようなこと、これはやはり計画ができて初めてその基準が出てくるので、こういう点は十分やはり原子力委員会としてもっと計画を示していただいて、その上でわれわれは判断するのだから、計画性をもっとはっきり示していただきたい。  ただ、プルトニウムをつくらないことになった、濃紺ウランをつくらないことになったからその施設をすぐ持ってこいと言ったって、そうなかなか簡単にいくものじゃないのだが、問題は、やはり原子力の平和利用への大きな前進のステップが切られてきたというこの機会を逸しないで、基本法にもある国際協力という体制へ日本がイニシアチブをとって進んでいく方途がないものか。これも日本原子力政策の大きな分野を占めるものであろうと思いますので、ぜひひとつ御善処を願いたい。  これで終わります。
  21. 前田正男

    前田委員長 以上で参考人に対する質疑は終わりました。  参考人各位一言ごあいさつを申し上げます。  本日は長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、たいへん参考になりました。委員会代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。     —————————————
  22. 前田正男

    前田委員長 次に、原子力行政に関する問題について質疑の通告がありますので、これを許します。三木喜夫君。
  23. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 いままで本委員会並びに小委員会におきまして、原子力政策に関して、また日本原子力研究所のあり方につきまして、たびたび種々論議がなされ、検討も加えられたのであります。その結果、原子力政策に関する小委員長報告が本委員会にもたらされたわけでございます。そこで、自由民主党、日本社会党共同でひとつ決議案を出してはどうかということでございましたが、そこまで至っておりません。しかしながら、ほぼ統一された見解を大臣ないしは所管の研究所に出して、そして大臣の善処方並びに御答弁をいただきたい、こういうように思いますので、統一見解をひとつ読み上げたいと思います。  日本原子力研究所は創立以来八年、その間三百二十億円の国費が投ぜられ、わが国における原子力研究の中核として国民ひとしく多大の期待を寄せているのであるが、その現状は使命の重大性に照らしまことに遺憾である。  政府並びに原子力委員会は、その職責にかんがみ、同研究所の刷新改善に関し、左記各項のすみやかなる実現を期すべきである。     記 一、開発研究に重点を指向するとともに、これと不可分な所要の基礎研究を充実し、各研究分野における有機的結合をはかること。 二、施設、設備等をつとめて開放し、研究所の主体性のもとに、学界及び産業界との協力関係を強化し、あわせて人材の養成をはかること。 三、研究者並びに技術者に対する所要の体制を確立するとともに、労使間の正常なる諸取りきめの設定等、労務管理を整備し、所内の諸規律の確立をはかること。 四、研究所の特殊法人たる発足当初の趣旨にかんがみ、研究者及び技術者の処遇の刷新改善をはかり、施設の拡充にあたってはこれに見合う要員の確保を期すること。 五、近代における科学研究の実情にかんがみ、予算の計上及び施行にあたっては、会計法規の運用等に関して、特に弾力的な考慮を払うこと。  以上です。
  24. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいま読み上げられたものにつきまして、私あえて意見を申し上げるわけではございませんが、過日来当委員会の小委員会において、熱心に連日連夜御協議、御審議をいただいたその御熱意に対してたいへん敬意を表し、また同時に参考になる貴重な御意見として私ども銘記しておるのでございます。  ただ、私は、予算編成の責任のある立場におきまして、原子力研究所その他について、人員の配置その他が必ずしも不適当だとは思いません。しかしながら、なおくふうを要する点があるのじゃないか、そういうことにつきましては、これは私どもそれに耳を傾けることにおいてやぶさかではないつもりであります。またそういうところにおいて初めて改善があり、向上がある、かように考えますので、十分銘記をいたしたいと思います。  また、私自身の直接の担当の事項についての御注文につきましては十分考えてまいりますが、同時にまた、現場の原子力研究所その他の機関においてくふうすべき事柄もあるようでありますから、そういう点についての伝達は十分遺憾なきを期してまいりたい、かように考えます。
  25. 前田正男

    前田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時七分散会