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1964-03-11 第46回国会 衆議院 運輸委員会日本国有鉄道の事故防止対策に関する小委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月十一日(水曜日)    午後一時十八分開議  出席小委員    小委員長 細田 吉藏君       進藤 一馬君    壽原 正一君       高橋清一郎君    高橋 禎一君       山田 彌一君    勝澤 芳雄君       久保 三郎君    泊谷 裕夫君       野間千代三君    内海  清君  出席政府委員         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      廣瀬 眞一君  小委員外出席者         運輸委員長   川野 芳滿君         運輸事務官         (大臣官房審議         官)      深草 克巳君         日本国有鉄道         常務理事    川上 寿一君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本国有鉄道事故防止対策に関する件      ————◇—————
  2. 細田吉藏

    細田委員長 これより運輸委員会日本国有鉄道事故防止対策に関する小委員会を開会いたします。  国鉄事故防止対策について調査を行ないます。  まず、政府並びに日本国有鉄道当局より、国鉄事故現状等について説明を聴取することといたします。深草運輸省官房審議官
  3. 深草克巳

    深草説明員 お手元に「交通事故現状、三十九年一月二十二日、運輸省交通事故防止対策委員会」というのと、「交通事故現状参考資料」という二つ資料がございますが、「交通事故現状」というほうの冊子につきまして、簡単に御説明を申し上げたいと思います。  御承知のように、鶴見事故が起こりまして、大臣から異例の各輸送機関の長に対します警告が発せられましたとともに、省内交通事故防止対策委員会というものを設置をいたしました。従来この種の事故防止対策委員会というものは、各種の交通機関重大事故があるつど臨時的に設けられたことはございますけれども、その起こりました原因の追及、対策の樹立ということだけに終わりまして、いわば総合的な、あるいは恒久的な事故防止対策委員会というものはなかったわけでございます。この際、各輸送機関事故発生が非常にふえてまいりましたので、省内に恒久的な委員会といたしまして交通事故防止対策委員会というものをつくったわけでございます。まずどういったことを審議したらいいかという前提となりますあれといたしまして、事故の過去からの趨勢をいろいろと把握することがまず第一でございますので、過去大体十年間くらいの重大事故輸送機関ごとに拾いましてまとめたのが、この「交通事故現状」と並びに参考資料でございます。  これからさらにこまかく原因その他を分析いたしまして、対策を樹立するわけでございますが、現在のところ、人的部会、それから物的部会二つ部会設置をされて、こまかい審議に入りつつあるわけでございます。そのほか、あるいは事故防止関係科学技術関係部会、そういったものもおいおい発足をいたしていく予定になっております。  本日は、「交通事故現状」という冊子の総論だけにつきまして、簡単に御説明を申し上げたいと思います。  「まえがき」は省略いたしまして、四ページの「総説」から申し上げたいと思います。  まん中辺のイのところ、「国鉄事故はここ数年漸増している。」という見出しがございます。これは件数で見ますと、あるいは死傷者の数から見ましても漸増傾向にございますが、いわゆる列車キロと称しておりますが、輸送単位当たりに見ますと、件数死傷者ともにここ数年間やや減少傾向にございます。また件数に比して死傷者の数が増加する傾向にございますが、これは一件当たり死傷者数が多い重大事故発生しておるということを示しておるわけでございます。  次に、地方鉄道事故、これは漸減をいたしております。  次に、ハの軌道事故でございますが、これは件数といたしましては年々増加をいたしておりまして、輸送単位当たり列車キロ当たりに見ましても、同様な傾向が見られるのであります。  自動車関係では、自動車数増加に比例をいたしまして事故増加をいたしております。ここ数年間は、若干その増加傾向自動車のふえぐあいと比較いたしまして減っておるという傾向を示しております。  それから六ページに参りまして、海上事故でございます。これは漸増をしておりますが、うち要救助海難、これは海上保安庁にSOSを発する海難でございます。これらは漸減傾向を見せております。  それからへの航空事故は、輸送量増加比較して増加をしておらないということでございます。これは各国とも同様な傾向で、ジェット機になりまして輸送量も非常に急激に増加いたしておりますが、そのわりには航空事故増加をいたしておらないわけでございます。  それから七ページに参りまして「交通事故原因分析」でございます。私ども大きく分けまして、原因部内原因部外原因というふうに区別をいたしました。それから部内原因につきましては、人的原因によるものと物的原因によるものとに大きく区別をいたして、以下各輸送機関ごとに簡単な分析をしておりますが、下から三行目のイの国鉄事故から申し上げますと、国鉄事故部外原因によるものが多く、また部内原因では物的原因によるものが多いということでございます。ことに部外原因で大きいものは踏切障害あるいは列車妨害、こういうものが年々増加を来たしておるわけでございます。それから、部内原因では、物的原因による事故件数人的原因によるものよりも圧倒的に多いわけでございますが、部外原因に比べまして部内原因はいずれも減少傾向を示しております。  次に地方鉄道でございますが、これも国鉄の場合と同じように部外原因による事故が非常に多くなっておるわけでございます。それから軌道事故でございますが、これまた部外原因、いわゆる車馬接触といった事故が非常に多くなっておりまして、車両故障といったような事故は著しく減少しているわけでございます。  それから、二の自動車事故でございますが、これは直接的にはほとんど人的原因によって起こっておりますが、一方交通環境が不良であるということが、それをさらに激化させておるということがいえると思います。一方、車両欠陥等物的原因による事故は、車の精度が非常によくなった、あるいは整備が非常によくなったというような原因もございまして、年々事故件数に占める割合が低下を来たしております。なお、以上の傾向はいわゆる営業用自動車についてもほぼ同様の傾向が見られるわけでございます。  次に海難事故でございます。これは大部分人的原因によって起こっておりまして、気象海象あるいは不可抗力という原因による海難割合はきわめて少ないわけでございます。  それから航空事故の大半は操縦士過失によって起こっておりますが、特に運航形態別にこれを見てみますと、着陸時における事故が最も多くなっております。  3といたしまして「今後の施策の方向」ということでいろいろと書いてございますが、その(1)といたしまして、各輸送機関を通じまして人的原因による事故は決して少なくない、しかも多数の人命損傷を伴った重大事故の多くが人的原因によって引き起こされているということがいえると思います。もちろん、人的原因による事故もそのすべてが交通従事者の側にのみ原因があるわけではございませんで、いろいろと交通環境の問題あるいは施設状態、こういった要因が複雑に重なり合って引き起こされておる場合が多いのでありますが、人的原因をこまかに見てみますと、仕事のなれによる安易感あるいは不注意技術の未熟あるいは自動車に見られるように運転者状態不良、こういうものが見られるわけでございます。  対策といたしましては、人命尊重優先思想徹底が第一でございますが、その他個々の原因につきまして、交通法規の順守あるいは安全教育徹底実地訓練あるいは技術向上労働環境整備改善運行管理労務管理面の種々の対策が考えられておりますけれども、これらを総合した抜本的対策をはかる必要がある、このために人的部会というものがつくられておるわけでございます。  それから施設の面で見ますと、全般的に施設欠陥による事故減少ということが見られますが、まだ完全とは言いがたい点がございまして、人的な面で申し上げたと同様に、それと並行して一そうの努力が必要であると考えるわけであります。  各交通機関ごとに申し上げますと、鉄道自動車を通じまして、車両故障というような施設欠陥による事故件数は目立って減っております。これは保安技術向上あるいは整備効果があらわれてきておるのじゃないかと思いますが、そういったことで事故が防げるということを立証いたしておりますので、今後ともそういった面の開発、整備徹底をさらに促したい、こういうことでございます。  それから国鉄及び地方鉄道におきましては、先ほども申しましたように踏切障害事故発生件数が非常に多い。したがって、今後の保安対策の重点を踏切保安という面に集中すれば、事故の全体の数というものは著しく減りまして、ただいまの現状は相当改善されるのではないかと期待されておるわけでございます。  それから道路交通のふくそうによる事故も非常に多いわけでございまして、こういったものにつきましては構造改善というような点も一つ対策ではなかろうかと思います。  それから、海上については、不可抗力あるいは海象気象等による海難が著しく減少をしております。これは船舶の性能向上あるいは信号、灯台、水路の保安施設充実といったようなものが着々効果をおさめておりますが、さらにより一そうの充実をはかる必要があろうと思います。  それから航空事故につきましては、運航形態特殊性から見まして、さらに保安施設整備拡充をはかっていく必要があろう、こういうことでございます。  こういった施設の面あるいは車両の面からの分析につきましては、物的原因部会というような場を通じまして、さらにこまかく掘り下げてまいりたいと思っております。  以下各輸送機関別のさらにこまかい分析がいたしてありますが、省略をさせていただきたいと思います。  以上であります。
  4. 細田吉藏

  5. 川上寿一

    川上説明員 お手元に、「日本国有鉄道」と下に書きまして、上に「運転事故の概況」と書いた資料があります。これによって概要を御説明してまいりたいと思います。  一枚あけていただきますと、第一ページに昭和十一年から三十七年度までの運転事故の全件数グラフが出ております。これを見ていただきますと、昭和二十一年に最高四万六千余件というような数字を示しました後漸減をしてまいりまして、昭和三十三年から三十五年までに大体落ちつきを見せたわけでありますが、その後またやや上りかけてまいりまして、三十七年度は二万二千百八十三件になっております。ただこれを列車百万キロ当たりに引き直してみますと、最近ややふえておりますが、大体横ばいに近いというような件数になっております。  次に二ページを見ていただきますと、全事故件数の中から、列車の転覆でございますとか、あるいは脱線でございますとか、列車関係しました事故を見ますと、これは戦争のさなかに、昭和十九年に最高を示しまして、その後急激に減っておりまして、昭和二十五年ごろから漸減という数字をたどってまいりまして、三十三年、三十四年にこのまま落ちつくかに見えましたが、三十五年にちょっとふえまして、その後また漸減傾向をたどっております。これも列車百万キロに直しますと、最近は横ばいといって差しつかえないかと思います。  また、これらの事故の中で、職員誤りによるも——−国鉄では責任事故といっておりますが、その件数を見てまいりますと、昭和十八年から二十四年にかけまして、一つの谷はございますが、非常に多くなっておりましたのが、急激に減ってまいりまして、昭和二十九年ごろからややふえたりやや減ったりというような状況で、最近三年ばかりは漸増傾向でございます。これも列車百万キロに直してみますと大体横ばいかと思うわけでございます。  以上のような図面のことを多少文章に直してみましたのが四ページ以降でございますが、簡単でございますので、読みながら御説明をしてまいります。  昭和三十七年度運転事故概要。イ 運転事故件数昭和三十七年度運転事故の総件数は二万二千百八十三件で、対前年二千百五十四件、二%の増加となったが、過去五年間の平均成績比較しますと、その次の第一表のように二一%増——昭和三十二年から三十六年度までの平均に比べまして、三十七年度の総件数は二一%増、それから列車百万キロ当たりでは、一〇〇%に対しまして一〇〇・二%でございますから、大体横ばい状態になっております。これを「戦前の安定した時期」といっておりますのは昭和十一年と比較しておりますが、百万キロ当たりで一・六倍というふうにふえております。その内容を検討いたしますと、総件数に対して戦前最高三〇%にすぎなかった国鉄部外者不注意などに起因する踏切障害あるいは列車妨害列車支障などの事故件数割合が、最近では六〇%に達しております。  次に、先ほどから運輸省で御説明のありましたように、部内及び部外原因による事故及び災害事故というような見方で見てまいりますと、昭和三十七年度発生しました運転事故は、部内原因によるものが六千八百五十三件で、総件数の三一%、部外原因によるものは一万三千二百五件で五九%、また災害によりますものは二千百二十五件で一〇%になっております。これを先ほどと同じように過去五年間の平均成績比較をいたしますと第二表のようになりまして、百万キロ当たり件数では、部内原因によるものは三十七年度は一二%減少、その他は増加をしております。部外原因増加したものは列車支障及び列車妨害でありまして、災害では雪害による線路故障運転障害などが目立っております。この表でごらんになりますように、部内原因のものは実件数では三十七年度が六%増、百万キロ当たりでは八八%になっておりますから一二%減、それから部外原因のものは実件数では二八%の増で、百万キロ当たりでは七%増、災害が三〇%もふえまして、百万キロ当たり八%ふえておりますのは、昨年の一月の中旬以降二月の中旬にかけました非常に大きな雪害がかなり大きな役割りをしております。  次に、六ページにまいりまして、その中で重大事故といっておりますものはどうなっておるかということでございますが、その前に、国鉄重大事故といっておりますのは、旅客に一人でも死亡者が出た場合と、それから十名以上の死傷、つまり死亡あるいは負傷が出ました場合、それから車両が二十両以上脱線をいたしました場合をいっております。そのほかこれに該当いたしませんでも、特に重大と認めたものを重大事故と言っておりますが、この件数はそんなに多くございません。そういう定義で重大事故件数を見てまいりますと、昨年度三十七年度は十六件ございまして、これは戦後の実績といたしましては昭和二十二年度の十七件に次ぐ非常に成績の悪い年になっております。これをやはり前と同じように過去五カ年と比較をいたしてみますと、実件数では過去五カ年の平均の二倍、それから百万キロ当たりにいたしましても六六%の増というようなことになっております。ただし、この十六件の内容を見ますと、そのうちの六件が踏切事故によるものでございます。それから六件が職員取り扱い誤り、いわゆる責任事故と言っておりますものでございます。それから災害によるものが二件、機関車乗務員トンネルの中で窒息をいたしまして失神をして事故になりましたものが一件、それから部外者自殺によりまして脱線をいたしまして重大事故になりましたものが一件でございます。乗務員トンネル内の窒息と申しますのは、昨年の二月に信越線の塚山第二トンネルの中で機関士機関助士両名とも窒息によって失神をいたしまして、下り勾配をそのまま走ってまいりまして脱線転覆した事故でございますし、部外者自殺によりますものは、これも昨年久留米の近くで心中の事故がございまして、これに乗り上げて脱線したものでございます。  昭和三十二年から三十六年までの五カ年間の重大事故発生件数は全部で四十件でございまして、そのうち踏切原因になりまして発生したものが二十五件で六三%になります。こういうことで、重大事故の大部分が、最近は踏切によって起こっておるということになるわけであります。それから三十七年度発生件数の、先ほど申し上げました十六件のうちで踏切によりますものが六件で三八%、責任事故に属しますものが六件で三八%ということになります。過去十五カ年ばかりの統計をとってみましても、踏切が全体で五〇%くらいになりまして、職員誤りによるものが二五%くらいになっております。  それで重大事故の推移をここに表にしておきましたが、第四表をごらんになりますと、三十二年から三十六年までの数字、これは踏切件数が、三、八、三、七、四というようになって、平均五件でございます。これで六三%。それから取り扱い誤りによるものが平均して一・八件で二三%、災害が〇・四件で五%、車両故障によるものが〇・二件で二%、その他部外原因によるものが七%ということになっております。  八ぺ−ジにまいりまして、責任事故について考察をしてまいりたいと思いますが、職員取り扱い誤りによる事故は、三十七年度は二百五十七件ございまして、対前年十四件の増加となっておりますけれども、列車百万キロ当たりでは〇・四八件で前年と同数でございます。これを同じように過去五年の平均比較いたしますと件数では三%減で、前年よりはふえておりますが、五カ年の平均では三%減、百万キロ当たりでは二〇%減ということで、漸次減っておる傾向がございます。これを原因別に見ますと、三河島事故後駅従事員信号取り扱い誤り動力車乗務員信号不確認の事故が大幅に減少したのが目立っております。  次に、これを列車事故という観点から見てまいりますと、列車衝突脱線などの列車事故は百二十四件で、三十六年度比較いたしまして六件の減少を示しております。五カ年平均から見ますと、実件数では三%増でございますが、百万キロ当たりでは八五%と、一五%の減少を見ております。これを原因別に見ますと、災害に起因する事故増加しておるということのほかは、職員取り扱い誤りその他は全部減少しております。  十ページにまいりまして、その中で特に踏切事故だけを取り上げてみますと、自動車類列車回数の両面の増加によりまして、逐年一〇%くらいの増加率踏切事故件数がふえてまいっておりましたが、運輸省の御指導もございまして、踏切保安対策の推進と動力車乗務員機宜処置などによります事故未然防止などによりまして、事故件数は三十七年度に初めて減少いたしまして、総件数は二千九百四十一件、前年度に比べて一六%減となったわけであります。事故減少しておりますが、機宜処置によりまして、踏切の前に止まりまして、列車支障となりました件数は依然としてふえております。これを原因別に見ますと、職員過失によるものが一五件あるほかは全部通行者不注意によるものであって、特に、そのうちの七五%が直前横断といいますか、三種踏切警報機が鳴っておりますにもかかわらず、横断をするとか、あるいは遮断機が締まっておりますのを突破して入ってくるというようなのが七五%もございます。  それから十一ページにまいりまして、今年度はまだ二月までの事故しかまとまっておりませんが、これを概略、表にいたしましたので見ていただきたいと思います。昭和三十八年度に入り、運転事故の総件数減少傾向を示しております。昭和三十九年二月末までの総件数は、前年同期に比較して千六百三十二件で八%の減少であります。列車百万キロ当たり事故件数では三十六・三四件でありまして、前年同期の一二%減になっております。  十一ページから十二ページにかけまして、その事故種別ごと件数が出ておりまして、一番左側に二月分、それから前年同月分、それに対する比較増減で、年度の初めからがその次にございますがこの中で、列車脱線が十九件の減少で、かなり大きな減少を示しておりますが、そういった目で見てまいりますと、車両脱線が三十五件の減、それからずっと下のほうにまいりまして、踏切障害というのが六十九件も減っております。  十二ページにまいりまして、線路故障の中で、災害が、本年度は夏の災害比較的少のうございましたし、雪害が非常に少なかったために、実に五百八十九件の減少になっております。それから三つばかり下の閉塞故障が百六十件の減少三つ下転轍装置故障が九十六件の減少、それから車両故障にまいりまして、交流の機関車ディーゼル機関車故障減少及び気動車の故障減少が目立っております。それから車両の下のほうでは、貨車の故障減少も目立っております。それから運転障害も全般として減っております。ただ列車支障というのが八十五件ふえておりますが、このうちの大部分が、踏切におきまして、事故にはならなかったけれども、列車がとまって長い間支障したというものでございます。それからその次の荷くずれ車の解放いたしたものもやや減っております。そういったような状況を私どもは十三ページ以降のようなZグラフというような表で見ておりますが、これは、一番上のやや水平な線はその月から過去一カ年にさかのぼりました間に起こりました事故件数を示します。それから一番下の比較的水平な線は毎月の事故件数でございます。それからその間を結ぶZの「ノ」の字になっておりますのは、その年の四月からの毎月の累計ということになっております。細い線が三十七年度で、太い線が三十八年度になっておりますので、細い線に比べて太い線のほうが常に右下がりになっておれば事故件数が少なくなっているということでございます。  十四ページをめくっていただきまして、列車事故について三十八年度を見てみたいと思いますが、昭和三十九年の二月末までの列車事故は九十一件でございまして、前年同期に比べて二十件、一八%減少しております。減少したおもな原因は、責任事故が減っておりますものと、それから災害によりますものが二十三件も減っております。また妨害によるものその他などを入れまして六件の減少を見ております。それから増加いたしましたものは、踏切事故によるものが七件増、それから車両関係で五件の増というようなもの、それから悪条件の競合というものが二件増でございます。それのZグラフが十五ページにあります。  次に十六ページをあけていただきまして、今年度責任事故について見てまいりますと、二月末までの発生件数は百八十四件でございまして、前年同期に比べまして四十八件、二一%の減少となっております。それのZグラフがその下にございます。  ここで、それでは諸外国に比べて大体どんなことになっておるかということでわれわれが利用できます資料の中からとって比較いたしましたのが十七ページから二、三ページございますが、これはUICと申しまして、国際鉄道連合で毎年統計各国からとっておりますので、それを資料にしたものでございます。これは昭和三十二年度から三十六年度までの五カ年間における世界主要国鉄道列車衝突及び脱線事故年間平均発生数は第一表、これは十八ページにございますが、これを概略文章で書きますと十七ぺ−ジのその下になりまして、これを列車百万キロ当たり発生件数で見れば、アメリカが四・二五、カナダが三・三五、オランダが一・三四、ドイツが一・二〇で、日本は〇・五八件である。また日本国有鉄道を一〇〇とした場合の指数で比較いたしますと、アメリカ七三三、カナダ五八〇、オランダ二三一、ドイツ二一〇でございます。  それから列車事故のうちで、列車衝突事故につきましては、百万キロ当たり発生件数は、アメリカ一・二三、カナダ一・〇五、オランダ〇。六一、ドイツ〇・五四、日本は〇・〇六件でございます。同じように日本を一〇〇といたしますと、アメリカが二〇五〇、カナダが一七五〇、オランダが一〇一六、ドイツが九〇〇。  脱線事故、これは列車全体としての脱線と、それから車両脱線を含めたものでございますが、百万キロ当たり発生件数は、アメリカが三・〇一、カナダが二・三一、オランダが〇・七三、ドイツが〇・六六、日本が〇・五二、イタリアが〇・四二でございます。同じく指数を日本を一〇〇といたしますと、アメリカ五七九、カナダ四四四、オランダ一四〇、ドイツ一二六、イタリアが八一ということでございます。件数そのものは日本より少ないところもございます。そればこの表でごらんになるとおりでございます。  それから運転事故全般について見ますと、これは多少数字がぴったり合わないところもございますが……。  その次が十九ページ、踏切事故でございます。これは十九ページの下のほうにございます表のとおりでございますが、前と同じように列車百万キロ当たり発生件数で見ますと、カナダが八・四六、日本六二九、アメリカ三・三七、オランダ二・六九件で、わが国はカナダに次いで世界第二位、あまり芳しからぬ状態でございます。衝突事故及び脱線事故については、世界各国比較して低い発生率であるのに対し、ひとり踏切事故については、特に高い発生率を示しているのは一考を要する。これは先ほど運輸省からの御説明がございましたように、方策としましてはこの点に重点を置いていくべきものと考えております。日本を一〇〇といたしますと、カナダが若干多くなりまして一三六、あとは五四、四三、九というように、ドイツなどは大体十分の一の率になっておるわけであります。表は第二表とそれから二十ページの表は、これは営業キロに対しまして踏切の数がどのくらいあって、つまり踏切平均間隔がどのくらいであるかということ、それから一日の平均列車回数を示した表でございまして、これでごらんになりますと、日本は五百メートル足らずに踏切が一カ所ある。それから一番間隔が長いのがカナダでございまして、二千百六十二メートルごとに踏切が一カ所ある。しかも列車回数が非常に少ないのですが、踏切事故はどういうものかカナダが非常に多いという数字になっております。  簡単でございますが、事故の実績につきまして御説明申し上げました。  引き続きまして、以上のような事故状況でございますが、国鉄といたしまして第二次五カ年計画でどのような保安対策費を計上してまいりましたかということと、その中におきまして三十九年度保安対策費がどうなっておるかということを概略説明いたしたいと思いますが、来年度の予算につきましては、衆議院ではすでにお認めをいただいておりますが、参議院のほうがまだ通過をいたしておりませんので、私どももこれに基づきました実行予算をまだ終了しておらない状況でございますので、多少ばく然としたところもございますが、資料を読みながら御説明をしていきたいと思います。  一枚めくっていただきまして、一ページから御説明を申し上げます。   輸送の増強並びに輸送方式の近代化をはかり、あわせて経営の合理化を推進するために、昭和三十六年度を初年度として第二次五カ年計画を樹立した。   昭和三十七年度に入り、急激な経済発展による輸送力増強計画の拡大、三河島事故を契機とする保安対策の強化並びに工事資金不足額の補てんを織り込み計画の補正を行なつた。   保安対策については、別表1のとおり第二次五カ年計画の当初三百十七億円を計上していたが、さらに三百四億円を追加し重点的に実施することとした。   すなわち列車自動停止装置の整備を柱とする保安設備の強化に二百四億円、踏切整備及び立体交差化に百億円を追加し、総額六百二十一億円とした。昭和三十八年度の保安設備は第二次五カ年計画の補正の線に沿って踏切事故対策六十・七億円、(鉄道経費二十四・二億円)保安対策として列車自動停止装置、信号保安装置その他に七十三・四億円、合計百三十四・一億円(二十四・二億円)を計上している。昭和三十九年度列車自動停止装置の整備及び複線区間の無防備踏切の全廃を重点として二百七億円を計画している。これにより第二次五カ年計画は昭和三十九年度末で全体の七三%が達成されることになる。   以下、これらの保安設備についてその計画を述べる。  ここで表がございますので、表をあけて別表一をごらんになっていただきますと、一番左側に保安対策の件名が書いてございまして、その次に第二次五カ年計画の原計画の数字がございます。それの合計欄をごらんになりますと三百十七億円になっております。それに対して追加を三百四億円いたしました。その補正の計画がその次にございますが、大部分はそのまま原計画と追加を足していただけばいいわけでございますが、踏切整備と立体交差につきましては、金のやりくりをいたしまして、これは進捗状況とあわせてこういうことをしたわけでございます。踏切整備のほうに少し金をよけいに持ってまいりまして立体交差のほうがおくれるというような形になっておりますが、そういう補正をいたしまして、そして三十六年度、三十七年度と経過をいたしまして、三十八年度、今年度は計百三十四・一億円で仕事を進めております。それから三十九年度は、国会に提出をいたしました予算案の中で、この項目で拾いました保安対策費は二百七・三億円でございます。こういうふうにいたしまして補正計画と差し引きをいたしますと、合計で、四十年度の残額が百六十五・四億円になる、こういうことでございますが、これは昭和四十年度をこのままでやるということではなしに、原計画と差し引きをいたしますと百六十五億円残る、こういうことでございます。  そこで各項目についての説明は二ページ以下にございますので、二ページをごらんいただきたいと思いますが、踏切対策は、踏切対策費の実績は、別表2のとおり——その次に別表がございますので、あとでごらんになっていただくといたしまして——別表二のとおり、踏切遮断機踏切警報機等の踏切保安設備に、昭和三十三年度から三十五年度まで、年間約七億円をかけてまいりましたが、三十六年度から大幅に増額して二十一億円にいたしました。三十七年度もまた二十一億円を投資したわけでございますが、三十八年度は五十四億円に増額をいたしまして実施中でございます。なお三十九年度は、さらにこれを七十五億円に増額をして計画をしております。  また、踏切の立体交差化につきましても、昭和三十三年度から三十六年度までは、年間、鉄道経費を含めましても三億円程度でございましたけれども、三十七年度は二・五億円、それに鉄道経費五・四億円を投資しておりますし、三十八年度計画は、六・六億円に対して、鉄道経費から二十一・七億円を投資して実施中でございます。三十九年度は、工事経費のほうが十五億円、鉄道経費を二十二億円と見積もって計画をいたしております。  それから列車自動停止装置、ATSと言っておりますが、これは列車停止装置がつきません車内警報だけの装置は、昭和二十九年度から始めておりましたが、三十六年までには、工事費全額で十六億円をもちまして、地上設備二千百キロ分、それから車上設備が二千八百両を整備しております。三十七年度は車内警報装置と途中から自動停止装置をつけておりますので、少しごたごたしておりますが、十三億円の投資をいたしまして、地上千四百キロ、車上六百両に設置をいたしました。三十八年度はさらにこれを増額いたしまして、三十二億円をもって地上三千八百キロ、車上二千三百両に整備をいたしております。これを前にやっておりました車内警報装置のものと両方合わせますと、こういう防備をしております区間が、全線区で、地上約三〇%、車上では半分を完了しております。これを列車の走行キロで見ますと全国の約六〇%が警報機設置区間ということになっておりますが、三十九年度はさらにこれを増額をいたしまして、五十億円をもちまして、地上約五千キロ、それから車上を五千両整備いたしまして、大体全線区の半分、二万キロのうちの約一万キロがこれでカバーできることになります。引き続き四十年度に残りの一万キロをやってしまおう、こういうつもりでおります。  その他信号保安設備につきましては、自動信号化をはじめとしまして、閉塞装置の近代化、連動装置の改良、それから各種の信号機類、安全側線の整備などを行なっております。この信号保安設備の強化並びに乗降員休憩施設の改良については、三十三年から三十五年までは年間約十億ないし十五億円の投資を行ってまいりましたが、第二次五カ年計画によりましてこれを増額いたしまして、三十六年度は三十二億円、三十七年度は二十四億円の規模で整備をやったわけでございます。それから三十八年度はこれを増額いたしまして四十一億円で現在実施をいたしておりますが、来年度はこれを六十八億円にする計画でございます。  非常に概要でございますが、以上のとおりでございます。  踏切だけにつきましては最後の表に毎年の実施をいたしました個所数と費額を踏切整備と立体交差に分けまして掲げております。  以上でございます。     —————————————
  6. 細田吉藏

    細田委員長 質疑の通告がありますのでこれを許します。野間千代三君。
  7. 野間千代三

    ○野間小委員 この表について二、三お聞きします。「運転事故の概況」のほうですが、それの十四ページに第八表がございますが、「職員の取扱い誤り」というのが三十八年二十七件、三十七年三十二件と多少減少しているのですけれども、この部内原因で、いわゆる責任事故とそうでない事故というものの判断はなかなかむずかしい点があると思うのです。たとえば三河島の事故もいわば一つの例なんですけれども、そういう場合に、その原因分析していずれかに結論をつける、その調査の方法なりその機関なり、そういうものはどういうところでやっていらっしゃるのかということが一つ。それから三十八年の中で二十七件ありますが、一番多かった月の事故内容と、その内容から、調査をした結果、職員の誤まりだったというふうに結論をつけたその経過が資料として出せるかどうか。もし出せればひとつ出していただきたいと思います。
  8. 川上寿一

    川上説明員 ただいまの御質問の第一点でございますが、これは事故が起こりますと各鉄道管理局の運転部の保安課で調査をいたしまして、非常に簡単に職員の誤まりであるということがわかるものはその場ですぐ決定をいたしますが、機器の不良であるか職員の誤まりであるか、あるいはいろいろな原因が総合しまして、どこに原因の重点を持っていったらいいかというようなことは、局の中で、運転部で主として扱っておりますが、ものによりましては局長のところまで上げて審議をすることにしておりますし、なおまた、さらにむずかしいものは支社なり本社が立ち会ってもう一回調査をいたしましてきめる、そういうことでございます。  月別の事故件数は毎月速報として出しておりますが、それを正式に分類をいたしまして、きちんときめるのはその後三カ月ぐらいかかる場合がございます。一番むずかしいのは、非常に複雑な機械がそれに関係しております場合で、どうもはっきりしないものはむしろ責任事故にしないような場合が多くなっております。  それから第二点でございますが、これは数字はございますが、ただいま手持ちがございませんので、月別の資料はまた後刻提出をさせていただきたいと思いますけれども、その場合に事故内容、調査の結果などもできるだけ詳しくつくって提出をいたしたいと思います。
  9. 野間千代三

    ○野間小委員 その点は少し検討をする必要があるように思いますので、できれば二十七件の審議内容と経過について資料をいただきたいと思います。  それから第二次五カ年計画のほうですが、現状やっているこの踏切の問題が非常に多いのでありますけれども。現状踏切事故の非常に頻発している踏切、それからたとえば現在までではあまり頻発していないけれども、事故が想定されるような、非常に交通量、危険性の多い内容を含んでいるような踏切、そういう踏切が特に東京鉄道局管内は非常に多いのでありますが、そういうものから考えてまいりますと、実施をしていく場合にそういう踏切の全体をあげて、そこから逐次計画をしていくわけです。そこで、これは全国は非常に無理かと思いますが、たとえば東鉄なら東鉄の管内での踏切の把握の状態と、その逐次計画をしていっている踏切別の内容ですね、踏切の名前をあげた計画の内容、そういうものについて資料がいただければ検討に非常に便利なんですが、そういう資料についてお答え願いたいと思います。
  10. 川上寿一

    川上説明員 ただいまの資料の御要求でございますが、できないことはないと思いますが、多少時間がかかるかと思うのです。ただ、非常に事故歴を持っております踏切、それから車両の通過と当方の列車回数などによりまして踏切の設備をいたします緊急性について数字をつくっておりますので、普通の場合はその数字の順序によってやっております。ただ昨年の十一月から一年間は特に併発事故を防止したいという考えから、この一年間に複線以上の踏切につきまして重点的に無防備の踏切をなくそうということでございますので、その辺に重点を入れてやっておりますので、単線につきましての問題は三十九年度の当初においては多少おくれるかと思いますが、法律の指定をされました踏切で来年度残るというところはございません。ですから概括的に申し上げますと、両方の交通量を勘案いたしまして、その数字によって大体の順位をきめておりますのと、過去の事故歴をそれに含めまして順位を立てている。それから、この一年間は複線以上に施設してある踏切を重点にしてやるということで、踏切警報機をつけますということに伴いまして、その近所の小さい踏切車両の通行をやめる、あるいは踏切を閉鎖するとかいうことを警察及び地方自治体にお願いいたしまして、それを実施していきたい。いまの実際の順序その他につきましては、東鉄の例を取り調べましてからまた御連絡いたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  11. 野間千代三

    ○野間小委員 これはまたあとでお願いします。  一つ気になる点があるのですが、いま言われるように一つ踏切整備をする。そうすると、そのために実は一つ踏切を直すために相当遠い距離の踏切を、たとえば整備してあったものを整備しなくなるとか、あるいは取り消すとか、そういう例があったのですけれども、そういうことは整備をしていく上においてややうしろ向きになりますから、そういう点はいまの計画でもあるのですか。
  12. 川上寿一

    川上説明員 これは実は今後も私どもとしては推進をしたいと思っておりますが、先ほど申し上げましたように、日本踏切は、これは国情にもよりますが、五百メートルに一カ所というのは非常に多数の踏切でございますし、その踏切の発展の過程が、私道のように小さかったもので、昔踏切をつけたためにそれがずっと残ってまいって、だんだん大きくなったという例もございます。したがいまして、踏切整備いたしますつど、その近くのごく小さい踏切その他につきましては、地方自治体あるいは警察庁と連絡をいたしまして、その地元との協議が整ったものから廃止あるいは通行制限というようなことをお願いしております。それで、先ほど申し上げました複線以上の踏切を今後一年間に全部防備のあるものにするという場合も、昨年の十一月の初めの調査では、それが三千六百カ所ばかりあった。そのうちの千百カ所に警報機をつけまして、あとの二千五百カ所は廃止あるいは通行制限をお願いするということでここ三カ月ばかり仕事をしてまいったのですが、なかなか国鉄が最初に調査して考えたとおりにまいりませんで、現状では千六百カ所ぐらいに踏切警報機をつけて、廃止あるいは整理統合をお願いするものが二千カ所くらいに減ってまいると思うのですけれども、こういう点はすべて地元との協議の上でやっておりますので、あるいは考え方によっては後退ということになるかもしれませんが、事故を起こす件数はそれによって減ると確信をしておりますので、そういう方向で進んでまいりたいと思っております。
  13. 野間千代三

    ○野間小委員 その問題は、実は私どもの資料にも、そのためにかえって事故が起きたという例があるので、そういう例をもってあらためてまた検討したいと思います。以上で終わります。
  14. 細田吉藏

    細田委員長 泊谷君。
  15. 泊谷裕夫

    泊谷小委員 最初に資料をお願いしたいと思います。鉄道事故については、国鉄当局も運輸省も働いている仲間です。長い歴史で精一ぱい努力して、人為的にはだいぶ減っていると思うのです。ただ、この表でも明らかなように、責任事故は減っておりますが、俗にいう白紙ダイヤを編成して——昭和三十六年ですか、十万キロの設定を契機にしてグラフが上昇をたどっておると思うのです。そこで、統計は五年先のものを採用されておるのですが、国鉄としてはいままですべての統計の起点を大体昭和十一年に置いている。いままで職場では私はそういう指導をしてきたのです。そこで、昭和十一年に国鉄が改良費に支出した金額、それから終戦当時急激にこの件数がふえておりますけれども、その時期の趨勢と公社移行後の四段階程度に分けて改良費を投入した実績を出していただきたい。特に列車キロと対比してこれは求められないものか。なお、その数字だけでは、当時の貨幣価値といまのと違いますから、換算も必要とするので、できればそれをあわせて資料がお願いできないか、まず最初にこれをお尋ねしたいと思います。
  16. 川上寿一

    川上説明員 ただいまの資料は多少時間をかければできると思います。それから改良費の換算も従来換算した例がございますので、それによって換算すればできると思います。いま四段階と申されましたが、大体四段階くらいのものでつくれると思いますので、提出いたしたいと思います。
  17. 泊谷裕夫

    泊谷小委員 次にちょっと困難な資料になると思うのですが、往年国鉄職員の層は農家出身が多くて、それなりに数多い従業員の規制も安直に行なわれた。しかし戦後の労働三法の改正などによってなかなか困難だと思うのですけれども、それでも、労働過重ということばを使わずに、負担過重になっているのは事実だと思うのです。この趨勢について、従業員の負担過重になりますものを把握できる資料がお願いできるかどうか、これについてお尋ねいたしたいと思います。
  18. 川上寿一

    川上説明員 この資料はなかなかむずかしいと思いますが、少しやってみまして、一応先生にごらんに入れた上でさらに整備するというようなことで進めていけばできないことはないのじゃないかと思いますが、いかがでございますか。
  19. 泊谷裕夫

    泊谷小委員 あと二つだけお尋ねしたいと思うのですが、いただきました資料の中で、運転事故の概況のほうですが、十一ページから十二ベージにかけて、事故種別件数が出ております。そこでどの項目も人為的に努力しておる、閉塞装置の故障、転轍装置の故障については急激な減少を見せて好ましいと思うのですけれども、この中で特に車両、貨車関係、それから気動車関係減少を見せたというものの相当大きい数字を示しておるのですが、これは製造する会社によって何か結びつきがあるかどうかということについてお尋ねをしたいと思います。もし重要な関連があるとすれば、後刻あわせて資料をお願いできないか、こう思うのです。
  20. 川上寿一

    川上説明員 ただいまの御質問の点につきましては、先般貨車につきましては井岡先生から資料の御要求がございまして、私のお答えと、その後に資料を提出いたしましたが、製造会社との関連は特にないものと私ども考えております。それから気動車につきましては、同じように、いま私の頭の中にあります点におきましては特に関連はないと思いますが、もう一度調べてみまして、気動車の点につきましてはっきりないかどうかということを後刻申し上げたいと思います。
  21. 泊谷裕夫

    泊谷小委員 ただいまの会社と事故との結びつきが、専門的にあまり重要視すべきでないということであれば、せっかく御苦労願う必要はありませんから、その資料はよろしいです。ただ、関連があると思われるときに限り提示いただきたいと思います。  最後に、急激に列車キロが伸びて、むしろ責任事故がこれだけ減少されてきておる。踏切道における他動的な力によって事故が起きて、巷間鉄道事故が大きくいわれるということは、むしろ国鉄を中心にすることよりも、交通政策全体の問題によって出てくるものが大きいのじゃないか。限界一ぱいに走っております列車、よくいわれますその横の防具がないために死傷者が多く出る、こういう関係で、注文は無理かと思うのですけれども、国有鉄道なり運輸省としては、自動車、特にトラックがふえてまいりましたので、これらについて国鉄側なり運輸省側からこういう規制をしてほしいという希望があってしかるべきだと思うのです。それについて御討議いただいた事実があるかどうか。まとまったものがあって、きょう聞かしていただけるならば聞かしていただきたいし、後刻整理して出していただけるものなら出していただきたいと思います。
  22. 廣瀬眞一

    ○廣瀬政府委員 鉄道行政に限って申し上げますと、ただいま国鉄からも説明がございましたように、国鉄、私鉄を含めまして、やはり外的な原因による事故、端的に申せば踏切事故あるいはこれに準ずるものが非常に多いわけでございます。これにつきましては、先ほど国鉄から一応御説明もございましたが、警察庁あるいは建設省、地方公共団体、こういったものと十分協議をいたしまして、今後踏切道の整備あるいは整備統合といったものに最重点を置いてまいる考えでございます。この建設省あるいは警察庁との会合におきまして、こちらの意見は十分反映をさせ、いまのところスムーズに進行しているというように考えております。
  23. 泊谷裕夫

    泊谷小委員 鉄監局長、国有鉄道なり運輸省として踏切を強化するとかという消極的な防護策と、踏切の間隔などの問題で、五百メートルに一カ所なのを結んで千メートルにするとか、あるいはトラックの通行について制限を行なってほしいとか、他動的に向かっての意欲的というか、検討されたものがあるだろうか、こういうことをお尋ねしたかったのでありますけれども、またそれは小委員会の中で聞かしてもらうことにいたしまして、そこら辺も検討していただきたいと思うのです。  私のお尋ねは以上で終わります。
  24. 細田吉藏

    細田委員長 久保君。
  25. 久保三郎

    ○久保小委員 資料要求だけしておきます。  これは鉄監にも関係あるのですが、踏切改良で、いままで協議がととのわぬできたものは何件くらいあるか、これを教えていただきたい。  それからいまの泊谷君の資料要求にもちょっと関連しますが、たしか労働科学研究所というのがございましたな、そこで調査している——これは簡単な項目だけでけっこうですが、項目を調べていただきたい。  それから労働科学研究所で職員の疲労度というか、そういう適正について調べて集計した結果があれば、これを出してもらいたい。  それから鉄道技術研究所で、特に国鉄事故を中心にして、いままで研究したテーマ並びに現在取りかかっているもの、あるいは将来想定される事項、それをひとつ出していただきたい。  それからもう一つ資料として、保安対策全体の問題でありますが、踏切整備の残りというか、大体の数はどの程度——三十八年度は終えますけれども、三十九年度を含めて、残りは大体立体交差がどのくらい必要であるか、その概算の予算というか、費用はどの程度か、一種自動化あるいは三種ですか、そういうものの種別、それから先ほどお話が出ました国鉄が整理統合を要すと認めておるものば何件くらいあるか、これは鉄監には民鉄のほうがありますから、民鉄についても同様に、一応の推算と申しますか、推定をしていただきたい、こう思います。  それから列車自動停止装置は、いまの御説明で一応三十九年度いっぱいやればあと一万キロ残るというが、一万キロやるについての費用はどの程度か、これは三十九年度を含めてもらったほうがいいです。わかればどちらでもけっこうです。  それからそれ以外の信号保安施設その他でございますが、信号機の見通しの悪いもの、あるいは閉塞装置の改善あるいは安全側線の改善、こういうものがいろいろありますけれども、こういうものをひっくるめて、大体大分けにして、冒頭申し上げたように、三十九年度以降どの程度の個所とどの程度の費用を考えられるか。これは推定でありますから、責任をかっちりお持ちになる必要はないかと存じます。言うならば、すべての保安対策として考えられるものは今後どの程度の事業量であるかということを知りたいと思うのです。  私がいま資料を要求したいのはその程度でございます。
  26. 細田吉藏

    細田委員長 政府の側、いまの資料はよろしゅうございますね。
  27. 川上寿一

    川上説明員 最後の踏切整備とそれから見通し、改良、閉塞、安全装置等を含めたものにつきましては、推定の程度でよろしければ、できると思います。
  28. 久保三郎

    ○久保小委員 推定でけっこう。それからもう一つは、列車事故には直接関係なくても、間接的に、職場の環境からして、従業員の災害と関連しての列車事故というか、そういうものが間々あると思うんですね。最近は国鉄でも列車直接の事故対策については、かなり焦点を合わして仕事をされているようでありますが、たとえば機関区一つとりましても、コールビンの下に汽車が入ってくるという場合には、このコールビンと従業員と機関士機関車との安全ですね、災害対策といわゆる事故対策というか、そういうものがあると思う。この災害対策はどういうふうにやっておるかですね。  それからもう一つは、列車事故に対してはサプライズ・テストということでやっている面があるのでありますが、サプライズ・テストの中身はどういう方式でやっておるか、昔のままなら別に要りません、そうではなくてもう少し進歩した方法で——進歩というか、わかりませんが、変わった方法でやっておるとするならば、これを知らせてほしい。いわゆる列車事故の事前要注意個所の事前点検制度というか、そういう制度があるのかないのか、災害についても同様ですね、そういうことがありましたらひとつあわせてお知らせ願いたい。
  29. 勝澤芳雄

    勝澤小委員 関連してちょっとお尋ねいたしますが、第二次五カ年計画の保安対策費を見ますと、原計画が三百十七億、それから補正計画で六百二十一億、約倍になっているわけであります。一体保安対策費というのをどの範囲まで見るかという点について、いろいろ疑問があると思うのです。先ほど国鉄労働組合から私たちに安全白書としていろいろ陳情がありました。その陳情によりますと、当面二千六百九十億が緊急必要だ、こういう資料が出されております。その資料によりますと、踏切の問題、車内警報器の問題、老朽車両改良の問題、あるいは安全側線の整備の問題、乗務員休養宿泊設備の改良の問題、こういう問題があげられております。たとえば安全側線の問題なんかにいたしましても、これは過般の三河島事故を見れば、やはり一つの安全問題としては検討しなければならぬ問題だと思うのです。そういう点でこの二千六百九十億という陳情が出されておりますが、これと第二次五カ年計画なりあるいは今後国鉄として保安対策というものを、このいま組合が要求をされているものに見合って検討されたら、どの程度の予算的なものになるのかという点が第一であります。  第二の問題は、最近私のほうの天竜川でしたか、いまかけかえをいろいろ調査をしておる、もはや寿命が来て早くかえなければいかぬというようなことが言われておりますけれども、こういう問題も事故があるとたいへん大きくなるわけです。ですから、老朽の橋梁あるいはトンネル軌道の改良、防災関係におおむね今後三年ないし五年で五千八百七十五億を必要とするであろう、こういう数字が出されておるわけであります。この数字も相当詳細にわたって出ておるようでありまして、この数字について国鉄当局としてはどういうふうにこれに対してお考えになるのか。この二つの点についてのお考えを、この次の機会まででけっこうでありますから、資料を添えてお出し願いたいと思います。
  30. 川上寿一

    川上説明員 ただいまの勝澤先生のお話でございますが、国鉄安全白書として国鉄労働組合が出されました数字につきましては、私ども当局と国労との間で持っております事故防止委員会でその数字を詳細に検討することになっており、来週早々にそれを開催することになっておりますので、そこで意見の一致をみたものを御提出することになると思いますので、多少時間がかかるかと思いますが、よろしゅうございましょうか。
  31. 勝澤芳雄

    勝澤小委員 大体見通しとしてはどのくらいまででまとまるでしょうかね。
  32. 川上寿一

    川上説明員 二、三回やればまとまると思います。ですから今月末くらいになりやしないかと思います。
  33. 勝澤芳雄

    勝澤小委員 いまの問題は、会合の経過によって御質問いたすことにいたします。また参考になる資料がありましたら、おたくのほうでも御提出願いたいと思います。
  34. 野間千代三

    ○野間小委員 先ほど落としましたので、だいぶ資料がたくさんあるのでたいへんでしょうけれども、ちょっと重要に思いますのでお願いいたします。  車両故障泊谷さんが気動車、貨車を例にされたのですが、実は電気機関車、蒸気機関車、それぞれ相当多数あります。それから電車がだいぶあります。これは一々ではたいへんですから、この数字の中で、特徴的に、何か構造上欠陥がありそうに推定されるとか、あるいは検修するときに重点に置く必要があるとか、そういうふうに事故を防止する上で、この数字から見て何か特徴点があるように見受けられるのです。そういう点の資料がもしできておれば、それを御提示願いたい。
  35. 細田吉藏

    細田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとして、本日は、これにて散会をいたします。    午後二時四十三分散会