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1964-04-02 第46回国会 衆議院 運輸委員会航空に関する小委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月二日(木曜日)    午前十時十八分開議  出席委員    小委員長 西村 直己君       佐々木義武君    關谷 勝利君       中馬 辰猪君    塚原 俊郎君       長谷川 峻君    久保 三郎君       泊谷 裕夫君    肥田 次郎君       矢尾喜三郎君  出席政府委員         運輸事務官         (航空局長)  栃内 一彦君  小委員外出席者         運 輸 委 員 細田 吉藏君         運 輸 委 員 山口丈太郎君  参  考  人         (全日本空輸株         式会社社長) 福本 柳一君         (日本航空株式         会社社長)   松尾 静磨君         専  門  員 小西 真一君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  航空に関する件      ――――◇―――――
  2. 西村直己

    西村委員長 これより運輸委員航空に関する小委員会を開会いたします。  航空に関する件について調査を進めます。  本日は二名の参考人方々の御出席をお願いいたしておりまして、航空に関する諸問題につきまして、貴重な御意見を承ることにいたしました。  参考人方々には御多忙のところ、本小委員会に御出席くださいまして、まことにありがとうございました。どうか忌憚のない御意見をお述べいただければ幸いと存じます。  それでは、日本航空株式会社社長松尾静磨君にまずお願いをいたします。
  3. 松尾静磨

    松尾参考人 松尾でございます。ただいま委員長より御指名にあずかりましたので、民間航空の問題につきまして、私がかねがね考えていることを申し上げまして、御参考に供したいと存じます。  御存じのとおり、航空事業は、貴重な人命を預かり、あるいは貴重な郵便物、あるいは貨物、こういうものを安全に目的地に輸送する、こういう使命を持っておりまして、しかも一非常に公共性もあるとわれわれは常に考えておるのでありますが、最近国内でもひんぴんと事故が起こる、こういう問題につきまして、私は同業者といたしまして非常に残念に思っております。この点につきまして若干私の考えておることを御参考までに申し上げたいと存じます。  事故が起こることについては、せっかく戦後民間航空がおくればせながら軌道に乗りつつある時期に、しかもオリンピックを前にして国内にひんぴんとして起こっていることは、日本民間航空界として非常に残念なことだというふうに私は考えております。この航空事故をなくすためにどうすればいいかという問題でございますが、私は忌憚なく申し上げますのでおしかりを受けるかもわかりませんが、お許しをいただきたいと存じます。  私は、航空事業そのもものに関して、官民ともだ非常に考えが甘いのじゃないかという気がするわけでございます。バス会社を営業するように利権的に考えるような風潮が戦後若干経営者そのものにもあったのじゃないかという気が非常にするわけであります。そういうこともありまして、戦後航空事業の申請がありまして、役所もまたこれを規制する何らの重要な法規ももないというようなこともございまして、運輸省でも相当な数を許可された、そういうところに、官民とも航空事業に対する認識不足と申しますか、考えが甘いと申しますか、そういうことも一非常に原因しているのじゃないかというぐあいに私は考えるわけであります。この事故をなくすということは民間航空事業発達意味することでありまして、まず私は航空事故をなくすことが非常に重要なことであると考えます。それには運輸省自体でやってもらうべき問題と、会社自体がやることと二通りあると私は思います。  運輸省でやってもらうことは保安施設整備するとか、特に飛行場の問題等について、これはいずれにしても予算その他を伴う問題でございますが、こういう問題を慎重に考えなければいかぬ、あるいは乗員訓練についても本格的に政府考えてもらう。それからもう一つは、この間運輸大臣からこれ以上航空運送事業を許可しないという発言国会であったようでございますが、これを許可する場合の会社陣容といいますか、安全関係に関する陣容ほんとうに整っているのか、ただ書類だけじゃなくて、実際に整っているかどうかということをもう少し厳密に調査をされまして許可すべき問題じゃなかろうか、こういうぐあいに私なりに実は考えております。  それから会社自体でなすべきこと、これは会社経営者ほんとう公共性のある、しかも重要な人命を預かってやっておるという考えに徹底しておるかどうか、ここにも、私自体も含めまして、同業者諸君ほんとう自己反省をして、その言う方針に徹して会社経営していくことについて若干欠けておる点がありはせぬかというような気がするわけであります。それはなぜかと申しますと、経営者は、安全に関する運航整備というものに関しては、部下の運航部長まかせとか、担当の常務にまかせるとかいう行き方をやっておる会社も小さい会社には多々あるわけでありますが、それではなかなかいけないのではないか。欧米のように、民間航空ほんとう基礎ができて、何十年の経験を持ち、組織も充実して、社員の経験も豊富で、歴史を持っておる会社であれば、これは社長なりその他幹部は、そういう点をまかせきりでもいいと思いますけれども、何せ日本民間航空は戦後初めて始めた事業でございまして、歴史も非常に浅く、一番経験を積んでおるといいましても日航全日空くらいでありまして、非常に経験が浅い。それだけの陣容なり、そういったものが整っていない。そういう時期にありましては、ほんとう経営者自体も、そういう点を再重点的に考えていくということに進むべきだ、会社自体がそういうように反省して進むべきだ、こういうぐあいに考えるわけであります。そういう意味におきまして、ローカル六社といっておりますが、こういうものは非常に規模が小さ過ぎまして、規模が小さければ経営もなかなか成り立っていかない。したがいまして、技術屋その他の訓練あるいはそういう技術屋の優秀な人もなかなか入手は困難だし、あるいは組織立ったいわゆる規定類自体もなかなかできないといういろいろな事例がありますので、国内航空問題については再整備をする必要がある。それを一回ではなく、将来また二回、三回と、こういう段階を通じまして基礎をつくっていって、国内民間航空発達を促進すべきだ、こういうぐあいに私は考えます。しかもこういう過渡期におきましては、われわれ業者お互いに助け合って、お互いがそういう事故を起さぬように、しかもお互い会社経営が成り立っていくようにお互いに協力していくべきだ、こういうぐあいに考えておるわけであります。  それから国際航空について若干御参考のために意見を申し述べたいと存じます。  現在日本航空は、いろいろ御支援を仰ぎまして、国際航空は、太平洋を一週間に十四往復、東南アジアを一週間に十五往復北極回り欧州線を一週間に二往復、南回りの欧州線を一週間に二往復、こういう路線を現在やっておるわけであります。この国際路線も三十八年度から計画どおり順調にいっておると私は思っております。ところが、これは十年前からでありますが、自由競争でございまして、私たちは十年間この諸外国の先輩各航空会社と非常に熾烈な競争をやっておるわけであります。世界航空路運賃は将来非常に下がる傾向にあるわけでありまして、これはどうしてもそうなる傾向になっております。したがいまして、この運賃が下がりますと、どうしてもわれわれは経費コストダウンをやっていかなければならぬということを強く考えておるわけでございまして、一昨年あたりから、料金が下がれば、経費コストダウンをせざる限り、どうしても一利ざやが出ない、そういう考えで、日本航空はこのコストダウンを昨年から懸命に実施し、本年もまた来年も実施するつもりでやっております。  そこで、国際航空の三十八年度の総売り上げは、予想どおり大体四百億近くいったものと思っております。それから三十九年度は四百七十億の総収入、こういう予定でわれわれは現在大体順調に進んでおりまして、現在の日本航空資本金は百四十九億、そのうち政府出資が八十三億、民間出資が六十六億でありまして、しかも借り入れ金が百四十九億に対しまして現在四百億持っております。三十九年度には、オリンピックの年でもありますし、路線の本数をふやす関係もありまして、約百億の借金をやはりしなければいかぬ、こういうぐあいになっております。したがいまして、金利が一カ年に二十数億、乗員訓練費がやはり年間二十億くらいかかっております。創立以来乗員訓練費にどのくらい日航は金をつぎ込んだか、今年、三十八年度の三月三十一日までに六十四億三千万円を乗員訓練費会社は使っております。そういたしますと、八十三億という政府出資は非常に大きいように思いますけれども、政府出資の八十三億の約八〇%は、創立以来乗員訓練費に使っているということも一言えると思います。それから創立以来いままで機材を買いました金は、そうなりますと大体借金で買っている、そうしてそれを毎年払っていっておる、こういうことが言えるかと存じます。  私たちが非常な競争の激しい国際線に勝っていくために、何が一番ファクターとして支障になっているかといいますと、何といいましても乗員訓練費でございます。これは日本が戦争に負けまして、非常なブランクがあった。その間日本航空ができたとき、乗員の供給のソースが全然ない。自衛隊その他はあとからできた、こういう関係もございまして、乗員訓練費には、いま説明しましたように、非常に多額な経費をかけているということが言えると思います。欧州の有名な各航空会社乗員補給源――乗員訓練費にどのくらい金を使っておるかということを御参考のために申し上げますが、欧州の各航空会社乗員雇用源は大体空軍でございまして、空軍から大体八〇%、それから国が養成してそこから雇用しているものが一一%、会社自体自分の金で養成しておるのはわずか五%、こういうぐあいになっておりまして、かりに訓練費営業費用に対する割合を御参考までに申し上げますと、ルフト・ハンザは日航よりおそくできましたが、訓練費に使っておる金が営業費のわずか二%、BOACが一・四%、スイスエアが二・五%、SASに至りましては一・六%、KLMがわずかに一%、日本航空は四・八%。営業費用の四・八%をこの乗員訓練費に使っておりまして、欧州のこういう航空会社の約二・七倍の乗員訓練費を使っておる、こういうことで非常に国際競争力をわれわれは弱められておる。そういうことを一昨年来この運輸委員会その他でも窮状を申し上げまして、やっと三十九年度の予算政府の三億五千万の乗員訓練補助費が出た。これは非常にわれわれ感謝しております。  それからもう一つ日本は非常にパイロットの層が薄い、厚くない、それからその経験の豊富さにおいても欧米各国に非常に劣っておるということが言えると私は思うのであります。そういう点が日本民間航空事故の頻発の原因にもなっておる、こういうことが私は言えると思っております。かりにパイロットの層の厚さあるいは経験の豊富さを欧米各国と比較してみますと、このDC8あるいはボーイング707という大型の長距離ジェットキャプテン経験時間をここに御参考に申し上げますと、最低でいきますと日本航空、わが社は七千二百時間の者がキャプテンになっております。ところが欧州のそれは一万時間、そこに何千時間かの差が経験においてある。それからコーパイロットは、日本民間航空も全部非常に不足しておりますが、わが社では最低大体一千時間足らずコーパイロットになります。ところが欧州では、コーパイロットに至りましては、最低五千時間の経験を持っております。欧州各国は、パイロットの層の厚さ、それから経験の豊富さにおいて日本民間航空とは非常にそういう点においては差がある。そういうところに私は、事故防止その他についても、経験が薄いのであるがゆえになお一そう私たち乗員訓練、あるいは経営者といたしましても、そういう差があればあるほど、もう少し基礎ができるまではやはり事故ということについてはほんとうに真剣に頭を使うべきだ、私はかねがねそういうぐあいに思っておるのであります。  それからもう一つ、私たち国際競争を分析してみまして問題になっておるのは、金利でございます。金利が、御存じのとおり、日本は非常に高い。外国から借りましてもわれわれは高くしか借りられない。先ほども一申しましたとおり、四百億から五百億の借金日本航空はしておるわけでございますが、この面につきましても非常に負担になっておるということが言えると思います。大体毎年二十数億の金利を払っておる。現在わが社は三十九年度、四十年度、この二カ年で大体七十億利益を上げたいという予定をしております。七十億で配当ができるかどうかわかりませんが、三十九年度と四十年度でかりに七十億上げたとしますと、順調にいけばあるいは五分くらいの配当ができるかもわからぬと思うのですが、その配当に当たる金というものはごくわずかなものです。民間資本がわりあいに少ないということで、税金その他合わせまして十二億程度あれば五分の配当はできるわけですが、しかし実際配当をするには二カ年で七十億の利益を上げていかなければならない。二カ年間になぜそうなるかと申しますと、その内容を申しますと、三十九年度に乗員訓練費が二十億かかる、四十年度も二十億かかる。そうすると、七十億のうちの四十億というものは乗員訓練費にかかる、またその中に金利が二十数億ずつかかる。こういう特別の、日本航空会社自体ではどうにもならない費用のために、わずか十二億あれば配当できて民間からも増資ができるはずなんですが、そういう問題のために七十億も一八十億も利益を上げないと配当できない。配当しなければ民間増資はできない、こういうジレンマに私たちはおちいっているわけでありまして、したがいまして、この金利の面を解決するためには、どうしても政府出資を、十億とか十五億とかあるいは十七億とかいうことを言わないで、少なくともここで毎年百億ずっとかあるいは五十億ずつでもいいのですが、三カ年なりあるいは四カ年なり日航国際線基礎ができるまで出資をして、そういう金利面負担をかけない、そして競争力をうんと強めてドルをかせがせる、こういう方針をぜひ立ててもらいたいということを私はこの三、四年来力説しているわけであります。三十八年度は大体七千万ドルから八千万、ドル外貨節約になるわけでありまして、私たちはこの二、三年の間には一億ドルあるいは二億ドルというようなところまで外貨の面で日本の国なりあるいは日本の社会にぜひ貢献をしていきたい、こういうぐあいに考えているわけであります。  アメリカ国際航空をやっている会社は、パンアメリカンは非常に大きいのですが、その他二、三ございますが、これは外貨航空事業で大体五億ドルかせいでおります。しかしアメリカ国会ではこの五億ドルでは少ないということを発言をされまして、アメリカ飛行機に乗ることは国産品を使うのと同じだ、アメリカ人はもっとアメリカフラッグキャリアに乗るべきだ、五億ドルでは少ないと、アメリカでさえも国会でそういう発言が非常にあっております。そういう意味外貨をかせぐということは航空事業の非常に大きな一つ使命でございまして、ルフトハンザでさえも三億ドル程度を目標にしているわけであります。  したがいましてもう一つお願いしたいことは、日本人はできるだけ日航に乗ってもらうということもこれは非常に必要なわけであります。これはわれわれ日航自体が商魂たくましく大いにセールスをやるとかあるいはそういうPRをやるとかいうことも、われわれの力の足らぬ点もございますけれども、やはり官庁なりあるいは国会なりでそういうことになりますと、民間の各社もだんだんそれに従ってくる、こういうぐあいになるのじゃないか。これは二、三年前から政府なりあるいは国会で非常にそういうムードをつくっていただきまして、順次ふえてはきております。しかしかりに私が例をちょっととってみますと、北回り欧州線日本航空KLMSASエールフランス、この四社が全く同じ条件で一週間に二往復ずつやっているわけであります。昭和三十七年には日本人北回り利用されたお客が一カ年間に一万四千二百二十一人ありまして、そのうち日航機を御利用になった方は五千四百九人でありまして、三八%に当たります。二六・七%はエールフランス、二九・八%はSAS、残り七・五%はKLM、こういうぐあいに利用されておるのであります。それから羽田で出入国される日本人の旅客の数でございますが、これは日本航空が運航していない線は除いてあります。その総数は昭和三十七年には十二万三百九十七人、そのうち日本航空を御利用になった方は五万一千七百四人、四二・九%でございます。そういう状況でございますが、これは三十七年でございまして、三十八年度は政府なりあるいは諸先生方のそういうごあっせんもありまして、だんだんふえてはきております。北回り欧州線で同じ一週間に二往復ずつやっているこの四社を比較してみますと、日本人日航機には三八%、ところがフランス人エールフランスに何%乗っているかと申しますと、七二・三%乗っておる。それからスカンジナビアン・エアライン、SASでございますが、これに北欧三国人は八二一一%乗っている。オランダ人はやはり自分のところの飛行機KLMに六四・九%乗っている。日航を除きまして、他の三国はやはり自分のところの飛行機を非常なパーセンテージに利用している、こういうことが言えると思いますので、わが社も一非常に努力はいたしますけれども、諸先生方におかれましても、できるだけ日本航空利用してもらうということが外貨節約にもなると私は思うのであります。日本人の積み取り率を向上するということも、国際競争をやるための一つの大きなファクターではないか、こういうぐあいに常々考えておるのであります。  もう一つたちは、国際航空は、国と国との航空協定に基づいて日本が持っております航空権益を国のかわりに代行しているというような考えを持っているのでございますが、この航空協定が戦後相当不平等に結ばれておりまして、これから結ばれる航空協定に対しましても一、私は外務省あるいは運輸省方々に非常に考えてもらいたいことが一つあるわけであります。非常に不平等に結ばれて、私たちは現在非常な悪条件で競争をやっておる。それは、世界航空路上における東京というポイントの重要さ、これを日本官民ともに非常に軽く見ているのではないかということなんです。この七、八年いたしますと、スーパーソニックの時代になる。そういたしますと、世界航空路上における重要ポイント東京、ニューヨークあるいは欧州のロンドン、大体この三カ所くらいになる、私は日本はそういうぐあいにすべきだと思うのでありまして、日本と全然関係のないような、日航が乗り入れないような相手国に、東京というポイントを何らかのほかの取引のために離着陸権を許可するというようなことは非常にこれは軽々しい。東京という重要なポイント権益を非常に軽く見過ぎているんじゃないか、こういうぐあいに思うわけでありまして、この国際協定を今後、あるいは過去のことでも改定する場合は、国際航空路上における東京というポイントを、現在もそうですか、将来ますますこのウエートが加わって重くなる、これは日本の重要な権益ですから、これを日本政府はぜひもっと有効に利用すべきだ、こういうぐあいに思っております。その点もぜひひとつ御推進をお願い申し上げたいと存じます。  それから、非常に長くなって失礼でございますが、スーパーソニック問題を一百私は御参考のために申し上げておきたいと存じます。  いまスーパーソニック、超音速機をつくるということになっているのは、欧州アメリカと二カ国でありまして、欧州ではイギリス政府フランス政府が共同でこの超音速旅客機を開発する。両国政府で一千億円以上の試作費をたしか出しているんじゃないかと思います。こういう試作費を出しまして、コンコードというスーパーソニックを開発する。それからアメリカでもやはり開発していくという決心をしておりまして、アメリカではマッハ二・六五、これはノースアメリカンという製造会社がいま計画しております。それからボーイングマッハ二・七を計画しております。それからロッキードではマッハ三を計画しております。アメリカ政府でこのいずれかを近くきめるわけであります。音速と申しますと大体一千キロ、だからマッハ一というのは一時間一千キロメートルでございますので、こういうマッハ二・六五からマッハ三の旅客機ができますれば、大体時速千八百マイルから二千マイル出る、こういうことになって、高度二万メートル。そうしますと東京-ハワイ間が三千八百五十マイルでございますので、大体東京-ハワイ間が二時間半。それからハワイからサンフランシスコが二千四百五十マイルございますので、まあ一時間半、大体東京からサンフランシスコまで四時間足らずで行ける。これの完成期が大体昭和四十七年から四十八年、いまから約七、八年ということになろうかと存じます。いまアメリカでこの超音速機を七十五機注文を受けておりまして、わが社も五機、一機当たり十万ドル、五機で五十万ドル手付金を打っておるわけであります。この価格は大体一台九十億円であります。欧州コンコードはちょっと速度が落ちまして、マッハ二・二というのを計画しておりまして、これは現在四十一機注文を受けておるわけでございます。こういうことになると思います。  そこで七、八年いたしますと現実にこの超音速機というものは必ず出現してくる。しかも東京は、先ほども申しましたとおりに世界航空路上の三大重大ポイント一つになる可能性が多分にある。日本としては、観光事業あるいはその他のためにぜひそう持っていくべきだと私は思うのでありまして、そのためにはどうしても、現在でも一羽田は非常に狭隘でありまして、新しい世界有数な国際空港をできるだけ早く、がたがたしないで政府できめていただいて、もう今日からやはり手をかけないと、なかなか間に合わないのではないか、こういう心配も非常にしておるわけでございます。実際新空港は非常に計画がおくれております。さればといって、それでは羽田が新空港ができるまでそのままいけるかどうか、これも私は非常に心配しております。羽田自体現実の問題として、運輸省当局もいろいろ考えていただいておりますが、現在の羽田空港も少なくともこれから六、七年間は、新空港ができるまで使わなければなりませんので、この羽田が新空港ができるまでほんとう事故がなくて使えるかどうかという点につきましては、私は非常に実は心配をしておるわけであります。その新空港と合わせて羽田自体の問題も、とにかくこの六、七年使わなければならぬのでありまして、できるだけ安全に離着陸ができるようにお考えを願いたい、こういうぐあいに思うわけであります。  以上、非常に長たらしく取りとめのないことを申し上げましたが、常々私が考えておることを御参考に申し上げて、あるいは非常に失礼なことを申し上げたかもわかりませんが、それはぜひひとつお許しをいただきたい、こういうぐあいに思います。  どうもありがとうございました。(拍手)
  4. 西村直己

    西村委員長 次に、全日本空輸株式会社社長福本柳一君にお願いいたします。
  5. 福本柳一

    福本参考人 私は副社長福本でございます。本日は社長が参りまして申し上げるべきでありますが、あいにく不在でありますために私がかわって申し上げる失礼をお許し願いたいと思います。  私は根っからの航空人ではありませんが、日本の戦後に驚ける航空再開後の第一日から、全日空の前身であります日本ヘリコプター会社のお手伝いをして今日までまいったわけでありまして、いわばここ十年間、門前の小僧をつとめたその体験から国内航空の実情をありのままに申し上げて御参考になればはなはだ幸いだ、かように存じておる次第でございます。  国内航空は、ただいま御説明のありました国際航空とは違いまして、日本国内航空というきわめて狭隘なる中に多くの会社がひしめき合って経営しておる関係上、なかなか複雑な、一見外部からは想像のつかないような経営上の困難さなり、あるいはトラブルも生じてくるわけでありまして、小委員長のお話のように、率直に申し上げなければ参考にはなりにくいのでありますが、とかく率直にこのまま申し上げますと、あるいはいろいろの方面に多少の差しさわりが生ずるやもしれぬということを非常に心配するものでありますが、この点はそういう意味におきまして、また申し上げる私自身は、この十年間、晩に自宅の電話のベルが鳴りますと、はっと胸を痛めつつ苦難の道を歩いてきた体験談であるという点に御同情を願いまして、御了承をあらかじめお願い申し上げたい、かように存じます。  わかり切ったことでありますが、航空会社使命が、安全で便利な運航を提供するものであるということは、これはもう私が申し上げるまでもないことでございます。ところが今回こういうお催しのありました原因ともなりましたように、最近ことに国内航空におきましては、いわゆる世間では航空ブームとさえ言われるようなきわめて盛況を呈しておる業界であるにもかかわりませず、むしろ事故が頻発をして、その基本の問題である安全性まで非常に心配になってくるような奇現象を呈するようになっておるのが現在の国内航空界の現状である、私はかように感じておるものでございます。しかも、その国際航空については、ただいま松尾さんから、その競争力外国航空会社に比してきわめて弱いという点を非常に訴えられたように拝聴いたしたのでありますが、国内におきましては、民間航空会社、つまり民間資本によるたくさんの航空会社というものは、いま日本航空国際線において他の航空会社よりきわめて劣勢なる競争力を持って運営をしておられる以上に不利益なる経営状態を続けていかなければならぬというのがこれまた現状でございます。と申しますのは、飛行場の設備にいたしましても、あるいは会社の資本その他の力におきましても、また所有する人的要員におきましても、採算の点から見ると、きわめて不利益な、採算性のきわめて悪い条件のもとに――ことに日航と比べますと、そういうきわめて条件の悪い、あぶなかしい職場において経営を続けておるというのが現状なのでございます。したがいまして、もちろん航空事故の直接の原因としましては、すでに十分言及されておるところで、幾多の具体的事実があげられておるのでありますが、これを一口に申し上げてみますと、それは、まだ日本国内航空界の経済的な底というものはきわめて浅いものであるにもかかわりませず、多数の航空会社が乱立をいたしまして、その経営基盤が固まるどころかまだ緒につかない間において、一方航空界の実情は、航空機の非常に急ピッチの発達もありますし、またちょうどただいまはパイロットその他の航空要員の人的な方面におきましても、戦前と戦後の人が入れかわるというきわめて重大なる一大転機に遭遇をしておるということが、あわせて国内航空の存立をきわめて困難にしておる大きな原因だと私は考えておるわけでございます。  大ざっぱにこれらを考えてみますと、その内容をなすものは、空港施設がもう少し改善されればよい、あるいは事故パイロットの技術未熟によるものが大半を占めておるのであるから、この技術の向上をはからねばならぬというようなことから、結局は経営の不如意ということが大きな事故の原因になっておるのではなかろうかというのも、大体一般に言われておるところと同じような考えを持っておるものでございます。  こういう状態におきましては、年々累積してまいりますところの赤字を見るにつけ、不安、焦燥の観念というものにかられまして、まじめに落ちついて路線の開拓に専念するということができず、余儀なく有利な路線を獲得するのに狂奔をして、無理な経営を続ける。先ほど松尾さんからお話がありましたが、こういう甘い、またはある意味からいえば利権的な経営のうちにひそむ考えというものが大きく作用しておるのではなかろうかということも心配の種になってくるわけでございます。  したがいまして、その対策をどうすればいいかということにつきましては、これは運輸省はじめ、小委員会その他の方々がすでに調査団を派遣される運びになって、各項目について御検討が行なわれておるわけでありますが、見方によれば、これはまず航空会社自体の反省または努力による事態の克服ということを前提とすることはもちろんのことでございますが、公益性のきわめて強い免許事業でありますので、どうしても政府の施策にまたなければどうにもならぬ部面というものがきわめて多いのでございます。この点は国内のことでありますし、もうすでに御承知の点も多々あると思うのでありますが、毎日はらはらして経営をいたすものといたしまして、二、三具体的な事実も申し上げて、御参考になればと存ずる次第であります。  たとえば、条件の悪いもとに仕事をしなければならぬと申し上げましたが、この第一にくるものは、滑走路の問題でございます。これは聞くところによると、各府県に一飛行場を設けるというほどの盛況は呈しておりますが、その内容は航空施設としてはきわめて不十分なるものがまだ多いのでございまして、大体ローカル線の延長は御承知のように千二百メートルが一応の規格になっておるようでございます。もちろんこれは技術上必要なる延長であることは間違いないと思うのでありますが、しかし人間が運航をいたします実用的な滑走路長といたしましては、きわめて足りない、不十分なる滑走路である、かように実際上の仕事をしてみて私は感じておるわけであります。たとえば戦後起きた事故、またわれわれの会社といたしましても体験をして、申しわけない事態も起こしたこともありますが、よくオーバーランをやります。滑走路からはみ出すようなことがしばしばあるのでありますが、これは滑走路が短いだけでなしに、滑走路へ入るときの進入角度というものが、滑走路がもう少し長くなければ、またその周囲の障害物がもう少し整理されていなければ、低い角度をもって遠方から近寄るわけにまいりません。ただいまは大体三十分の一で入ることになっておるのでありますが、少なくとも五十分の一ぐらいな角度をもって入れば、接地点が中のほうにならずに十分に使えるということがあるのでありますが、ちょっと誤まりますと、また障害物があれば、とかく人間の心理状態といたしまして、それを余分によけて入るということは、これは免れないことでございます。大分空港における先般の事故も、私はしろうとでまだよくわかりませんが、材木の積んであるのに当たったり、いろいろのことを見れば、多少こういうことも心理作用として影響しておったのじゃなかろうかと想像しておるようなわけでございます。そのほか航空保安施設の問題でありますが、これは離着陸の誘導装置あるいはレーダーというようなものでございますが、これがあるとないとでは、またこれが使えると使えぬということでは、運航上の安全性はもちろんのことでありますが、ちょっと天気が悪ければもう欠航しなければならない。また行ってみてちょっと雲が多ければ、ほかの飛行場に行かなければならぬ、かようなことは、単に安全性にきわめて重大なる不安を感ずるのみでなく、お客には迷惑をかけ、会社は迷惑をかけた上に非常に損失をかぶらなければならぬ、こういうような事態が起きますので、空港のいいところで商売をするのとしないのとの開きというものはきわめて大きくなり、ローカル航空会社というものは、かようなところを本場の仕事場として使わなければならぬという条件下に置かれておるようなわけでございます。  それからもう一つ、直接空港関係のある方はよく御存じでありますが、世間にあまり知られていないで、しばしば小言を食いながらどうすることもできぬ問題が一つあるのは、飛行場自体空港自体の運営時間の問題、これはローカル空航はたいてい十二時間勤務になっておりますが、これは少なくとも十六時間にしていただきたいというのが、ローカル航空会社あげての念願でございます。しかしこれも予算を伴うものであり、人員の不足というような点でなかなか実現がむずかしいのでございますが、しからば従来どうしておったかということになりますと、地元の空港の従業員のお方の御協力、われわれもお願いをするのでありますが、そうして時間をオーバーしても、飛行機がおくれたりいろいろする時分には、これを運営していただくということが起こっておったのでありますが、近来この労働組合運動というものが非常に盛んになってきまして、ある航空会社でそういう行為をやっておるということが、お互いの間ではなかなか許されぬことになって、いわゆる共闘とかという方式によって時間厳守ということに相なりますと、せっかくシーズンに入り、日も長くなって、まだ太陽はさんさんと照っておるにもかかわらずもう店じまいをして、飛行機は遊ばせなければならぬ、こういうことに相なりますので、これは飛行機の稼動率が非常に下がって不採算性を増すのみならず、ダイヤの編成も十分できないし、地元のお方のお客さんはまだ日があるのにもう店じまいをするとは何ごとかと言って小言をちょうだいするというようなケースがきわめて多いのであります。これは何とかして早く、幹線における空港の運営と同じように二十四時間の運営にしていただければ、日本航空さんがやっておられるように、暁の運航も夜中の運航も十分にできて双方利得が増す、こういうことが残されておる。  なお少し話はこまかくなりますが、その上に十六時間の運営の仕方にも、まだ改善を希望する点がずいぶんある。たとえば全日空の便で宮崎を晩の六時にたって羽田に直航いたしますと、八時二十分には着くことになっておりますが、六時に宮崎を出発した全日空飛行機羽田に旭くまでは、宮崎空港の運営にあたっておられる従業員のお方は責任が解除にならぬから待っておらなければならぬ。これは二時間余りもこういうことにさくということはきわめて重大な問題であり、技術の問題として、私はしろうとでありますが、わが社のそういう担当者に聞きますと、それは途中に飛行場が幾つもあるのだから、そこへバトンタッチしてやっていけば、だんだんもとのところは済むじゃないか、早く帰れるじゃないか、こういうような砧もしておったわけでありますが、こういうこともあるということを一言申し上げておきたいと思うのであります。  そのほかには、まだ米軍の飛行機というものが国内の至るところにあります。一等関係の深いところには厚木にもありますし、そのほか方々にあります。そうしてそこはスピードの速いジェット機の練習がしょっちゅう行なわれておる関係上、これを避けて迂回航路を運航しなければならぬ。これは国情としてやむを得ないのでありましょうが、これも先ほど松尾さんからも政府に要請されたように、何とか主要の路線についてはこういうことも緩和していただくならば、輸入ガソリンの節約にもなり、会社経営には非常なプラスになるということで、これは数億円の問題がすぐここにころがっておるようなわけでございます。  なお、危険性防止の問題につきましては、これは先ほどもありましたから私は触れませんが、羽田はすでに東京における自動車と同じような様相を呈するような傾向になりつつありますので、すみやかに国際空港の実現を期しまして、そうしてその安全をはかってもらいたいと思うのであります。われわれも及ばずながら、さきに藤岡航空を合併して以来というものは、あそこで遊覧の小さい飛行機がちょろちょろいたしまして妨げをするのは大きな損失であるというので、合併後におきましてはこれを中止いたしまして、幾ぶんでも緩和のほうに貢献をしたいという気持ちをあらわしておるようなわけでございます。  そのほか、パイロットの不足による経営の圧迫ということは、先ほどお話がありましたから、私は省略をいたします。ただ繰り返して申しますが、パイロットは、われわれの会社におきましても、戦前のベテランがただいままで主力になってきたのでありますが、十年たった今日は、年齢のかげん上、終戦後において養成された人々が新たに第一線の機長として交代をするという大きな転機に来ておりますので、これは専門家の間におきましても、その技術の向上、充実ということは真剣に考えて善処しなければならぬ問題だ。これはみずから反省をしつつやっておるようなわけであります。  それからその他、これも予算関係があるので、私からあまり申し上げるのはどうかと思いますが、運輸省のチェック制度の問題であります。これも空港の運営と同じように、訓練ができまして機長になる、あるいは路線の認可を得るためにチェックをしていただく申請をするのでありますが、何分その申請の数が多くて手数がないものでありますから、これは幾日も幾日も待たなければやってもらえぬというのが現状でございまして、これは累計いたしますと、一ぺん調べてみたことがあるのでありますが、合わせてみれば一年の間手をこまねいていて機長になる者が待つというような場合もずいぶんあるのでありますが、これも予算関係のある人的問題でありますので、深くは申し上げないことにいたしたいと思います。  それから、経営の内容につきましてこれは直接関係のあることでありますので一言御参考に申し上げたいと思いますのは、結果から申しますと、六社も七社もある各国内航空会社が届け出をされておる。その届け出数字というものと、日航さんも合わせ、われわれも合わせての数字から見ますと、相当の利益を計上して、お互いが共存し得る航空基盤があるかどうかという問題が大きな根底的な問題をなすと思うのでございます。いろいろな数字から検討いたしてみますと、そういう余地はほとんどない。また、ここ数年それは見当たらない。ちょうどコップの水を大ぜいで分け合って渇をいやすようなもので、どんなにじょうずに分配をいたしても、渇をいやすだけの一人前の分量は存在しないというのが、まだ浅い現在の日本国内航空の実情だ、私はそう考えておるのであります。試みにその点で申し上げてみますと、三十四年以来今日までの状況が数字によってきわめて明らかになっておるわけでございますが、それは一口に言えば、需要は非常に順調に伸びておりますが、採算性はそれと反比例をして、低下の一途をたどっておる。これが私がただいま申し上げる理由でございます。ちょうど需要は四年間に四二倍伸びたのでありますが、ところが、その収益のほうは、ローカル航空会社の赤字はむしろ逆に五倍くらいにふえてきたというような現状でございます。なぜそういうふうになったかと申しますと、先ほども申しましたように、将来の収益を目当てに航空機その他の投資をいたさなければできないし、日本の現状におきましては、国産機のYSHもまだ実用に供しておりません。したがいまして、部品の一つ一つに至るまで、ことごとく外国からの輸入に待たなければならぬので、もちろんコスト高は当然のことでございますが、収益に比較して投資がきわめてオーバーになり、いわゆる投資効率というものが非常に低いというのが現在の航空界の実情でございます。したがいまして、先ほども話がありましたが、たくさんの航空会社が非常な意欲を持ってわれもわれもと乱立するに至ったというのは、外見上の需要面だけの成長に幻惑されて、官民ともに膨張政策を余儀なくされた。こういうところに相当大きな原因がひそんでおるように私は考えるのでございます。したがいまして、これらの状況下における措置、対策をどうしていくかということが問題になるわけでありますが、これは希望はありますけれども、僭越にわたりますので、解決はその筋のお方にお願いするといたしまして、参考資料を提供いたしたいと存ずる次第でございます。  御承知のように航空機は償却ということがきわめて経費の大きな部分を占めておるわけであります。償却の点について申し上げても、現在は新しい飛行機だとたいてい七年間の償却年限がございますが、そうしてこれを償却することが次の経営を維持する根本ではございますけれども、現在ローカル航空会社ほんとうに完全なる償却をやっておるものがあるかといえば、私は皆無であると申し上げて過言でないと思います。と申しますのは、航空機のいまの急ピッチの発達から考えてみますと、むしろ七年は長きに失するのでありまして、すみやかに償却を完了しなければ、古くなればなるほどコストは高くなって、お客のアッピールは下がってくる、こういう現象がありますので、償却におきましても定率償却ということは最も適当なる償却方法として行なわれなければならぬと思うのでありますか、定率の償却をやっておる航空会社は、日本航空はじめ全部ありません。われわれも定率で許可は得ておりますが、まだそこに達しない状況となっておるのであります。だから、全日空利益を出しておるとは申しましても、これはまだほんとう意味利益と一言い得るかどうかも、そこに疑問があるわけでございます。  それからもう一つ飛行機の経済寿命というものは、先はどスーパーソニック飛行機の話がありましたが、あんなりっぱな飛行機でなくても、各飛行機ともテンポが早いので、物理的には十分使えるのでありますが、実際上は経済的な寿命を縮めつつあるというような傾向が現在の実情でございます。  それから、これも重複いたしますが、会社が自立をして将来経営を続けていくためには、どうしても資本の自主的増加をはからなきやならぬ。これはどうしても増資をしなければできません。ところが、増資をするのには増資をするに必要な最小限度の利益配当というものを行わなきゃならぬのでありますが、これを得るためには、現在航空界を大ざっぱに申し上げますと、日本航空も含めて国内航空の全部の総資本は約百四十億ぐらいに見積もっておるわけでございます。そういう見当をつけておりますが、かりにそれに八分の配当をしようといたしますならば、税引き前は二十三億円の、利益をあげなければならぬ。しかも次々に変わっていく飛行機を適当に増強していくためには、一般の会社と同じように、またそれ以上に必要がありますので、大体三割程度の増資をしなければならぬとしますと、総資本は百八十二億。そうすると税引き前の利益は三十億円をあげなければならぬわけであります。これは現在の届け出のある利益の総計を合わせてみましても九牛の一毛にすぎないのでありまして、当分これが適当な利益にまで上昇するとは何としても考えられないようなのが現在の国内航空の状況でございます。そうして、いま申し上げたのもある程度の確実な数字ではないので、多少は相違をするところもあるかもしれませんが、それほど現在の航空界における貸借対照表の描け出というものは、ほんとうの実情を反映しておるかどうか疑問があるほどまだ整っていないのが現状でございます。日本航空さんは別でありますし、われわれもその点は同様実情を反映しておりますが、一般にはまだそこまで至らぬのが実情であると思うのでございます。  以上申し述べてきましたので、大体国内航空の歩んでおる現状がどうであるかということはおよそ御推察を願ったと思うのでありますが、しからば、そんな底の浅い分量の、ボリュームの少ない、片方においては七社も八社もある航空会社を育成をして、ほんとうに飯を食わしていくことができるのかどうかという問題が最後に残ると考えます。この点については、多少愚見に属することがありますので失礼かもしれませんが、考えの一端を申し述べさせていただきます。  それなら絶対に考える余地は、利益を見出す余地はないのかと申しますと、多少日本航空さんに関係があるので申しにくいのでありますが、私は、日本航空さんの存在ということをどう見るかということがここに起こってこなければならぬと思います。というのは、日本航空さんの国内航空というものは、国内航空の観点から申しますならば、きわめて飛び抜けた強大なる競争力を持って臨んでおられるということが第一の前提でございまし七、しかもあげられた収益というものは、赤字を出しておる航空会社の他のローカル線の穴埋めにカバーされるのではありません。これは十分知りませんが、聞くところによれば、国内線でもうけて国際線の赤字を埋めるんだ、こういうお話に聞いておりますが、現在もその政策がとられておるかどうかは別問題といたしまして、現実の問題といたしまして、きわめて有利な、国内といたしましては好条件のもとに運営をいたし、また強い競争力のもとにこれを運営して、あげた収益というものは国内のローカル赤字に還元することなく、国内航空事情からはきれいさっぱり持ち去られるというのが現状でございます。私は、それほど国内のローカル赤字が多いならば、それはそれに還元をしてやる方法、措置というものが政策として考えられないものであろうかどうかということを思うものでございます。というのは、ローカル線の航空会社は、赤字を続けていきますと、土俵からはみ出して破産のうき目にすぐ遭遇するのでありますから、ここに焦燥感を抱き、背伸びをして経営をし、危険をおかしてやるということも、悪いことではありますが、また同情すべき点もあるのであります。ところが、法律によって存立を保証され、利益が薄い場合であっても、大半の株主は後配株として配当の必要はございません。さらに大きな赤字を続けてしまっても、破産ということはなくて済む状態に置かれております。したがいまして、私は、ここに国内航空においては、少なくとも日本航空さんと競争的立場におるものは、経済上の公正なる競争を行なわれるという観念は存立し得ないものだと考えております。俗なことばで言えば、相撲の土俵の制約を受けない相撲取りさんと土俵の上で相撲をとるようなもので、勝ちっこは絶対にあり得ない、かような感じがいたすのでございます。こういうわけでありますので、この点をどういうふうに活用したらいいかということがいわゆるローカル線、ことに最近問題になっております合併三社の日本国内航空の誕生にあたりまして、将来これを育成するのにいかなる栄養分をどこで調達してくるかということが問題になり、万一他人に、他の航空会社に迷惑をあまり及ぼさないで滋養分をつけてやろうと思うならば、そういう点に支障のないところに資源を求めるということが賢いやり方じゃなかろうか、かように私は思うのであります。日本航空さんというものの存在は国家的にきわめて重要なものであって、先ほども話がありましたが、国際的には弱いこの競争力は、二千億も鉄道幹線に入れる余裕があるならば、なぜ外貨の獲得のこの国際線路線建設にその半分でもつぎ込むことができないのかどうかということに対しては、私は国民の一員といたしましても多大な疑問を抱いているような次第でございます。  それからもう一つ、これは全日空関係のあることで恐縮でございますが、いま生まれてくる日本国内航空の誕生の育成は、これはやらねばならぬことは運輸大臣ははっきり申されているのでありますが、そういたしますと、これはまことにけっこうなことでございますが、他にまだ東亜航空とか中日本航空とか長崎航空とかいうようなローカル会社が苦難の道を歩んで経営をいたしております。藤田航空は、先ほど申し上げましたように全日空が合併をいたしましたので、ただいまはございません。そうすると、こういう航空会社はいままでどうしておったかと申しますと、全日空と自主的に業務を提携いたしまして、相互にコストダウンなり、また運送の内容を向上させるために協力してまいった。そうして全日空といたしましては、ローカル路線でありまして、譲れば双方便利なようなところもありますので、逐次お互いに共存の意味におきまして路線を譲りながら、いわゆる自主調整を遂げてきておるわけでありますが、万一政府の恩典を浴するためには何社かの合併ということが必要であるならば、これらの会社全日空と業務提携をしておる不利を振り捨てて、政府にそういう同じような補助を得たいということを申し出ることに相なるということはきわめて明らかで、私なんかも、おまえさんのところとなまじっか提携しているために非常に不利益に落ちそうだということをしばしば訴えられるような現状でございます。  それからもう一つ、これも日航さんに関係があるので申しにくいのでありますが、この航空経営を困難にする大きな問題は、先ほど申し上げたように機材の償却ということもありますが、さらにもう一つ大きな問題は人件費の重圧ということであります。急速にこれが盛んになってきましたのは――ことに他のことを言わずに全日空の実情を申し上げますと、春闘があり、年末が参るたびごとに、パイロットからは、同じところを同じように飛んでおるのであるから、乗務手当も日航さんと同じにしてくれということをしょっちゅう言われるのであります。これはわが社のみの問題でなくて、他の航空会社もまたわれわれより給与の内容が低いものでありますから、まず全日空並みにしてくれということを言われるそうでございまして、逐次今日共闘の風潮が盛んになればなるほどこれはレベル化されるという趨勢は免れることができないので、いまやこういう対策が経営の相当大きな部分を占めるようになっておるわけであります。私は、ここに実情は違うのでありますが、一般の産業界におきましては、民間の給与が高くて官公のほうが低いのが通例のように記憶しておるのでありますが、航空界におきましては、いわゆる国策会社である日航さんの給与が一等よくて、民間航空会社のほうが下にある。これはそれが当然な結果かもしれませんが、平易に考えてみますと、逆になっておるような気もいたします。したがいまして、レベル化を要求されることももっともではなかろうかと苦慮をいたしておるようなわけであります。  そこで最後に、国内において何らかの栄養分をさがし求めるといたしますならば、以上申し上げたような点もありますが、全日空といたしましては、日航さんがIATAとして経営をしておられる国際線以外に、ごく近い外国にはノンIATAの形式においてかせぎ場所を見つけるようにいたしますならば、これはまた国内航空育成のために相なると思うのであります。現段階におきましてはCATその他二、三の外国の小さい航空会社はきわめて古い飛行機を持って大阪あたりに侵入をして、日本航空界に雄飛をいたしております。私はこういうふうなのを見るにしのびないような企業意欲をかり立てられるのでありますが、こういう点についてもわれわれは国際線をやりたいというような希望でなくて、国内航空にはいま申し上げるようなきびしい経済事情があるのでありますから、外国並みに近隣の友好を助長し、外貨をかせぎ、双方の交通を緩和するために必要あり、また余地があるならば、出ていくべきであり、出かせぎをすべきではないか、かように考えておりますし、現にそういう実例は、保護もずいぶん受けておるわけでございます。あながち無理な注文とのみは考えていないような次第でございます。  いろいろ長く申し述べましたが、先ほどもあらかじめ申し上げましたように、あまりに苦難の道を十年間歩んで、株主さんにも御迷惑ばかりかけてきたものでありますから、多少申しにくいことを申し上げた点もあると思うので、この点はあしからず御了承をお願いしたいと思います。  それから、もう一つ言い落としましたが、国内においてはまだ開発をして十分なる収益を上げるに至っていないような路線に重複的にこれを認めるということは、いわゆる正直者がばかをみるというぐあいで、だれもまじめに路線を開拓する者は将来なくなります。しかも同じ十分に収益が上がらぬところに二つの会社競争いたしますと、どうしても競争の中心は機材でありますから、劣性な機材を持っておるものは、必ず同じ機材を要求して、ここに無理な過当競争、機材競争というものを誘発することは明らかであり、ひいて事故を起こす原因とも相なると思うので、最後にこれをつけ加えさせていただきまして、私の申し上げることを終わります。(拍手)
  6. 西村直己

    西村委員長 これにて参考人の御意見の開陳は終わりました。     ―――――――――――――
  7. 西村直己

    西村委員長 続いて質疑に入ります。質疑の通告がございますので、少し時間がおくれましたが、順次これを許します。長谷川峻君。
  8. 長谷川峻

    ○長谷川(峻)小委員 最近航空事故が起こって以来、運輸委員会の中に小委員会が設けられ、きょうの催しは、航空事故が起こってからの町参考人としての御意見を伺って、日本航空政策の根本問題にまで触れてきたと思うのです。そういう問題については、あとあとで委員会で質疑が起こり、あるいはまた当局に対していろいろ具申する点があろうかと思いますが、この際に参考人に直接事故問題等々について二、三簡単にお尋ねをいたします。  それはオランダのような国が、国会が始まれば女王が施政演説をされる。そのときに一番先に取り上げられるものはやはり航空政策である。そうしたところが、先ほど松尾参考人の話のように、KLMは八二%も自国人が乗っておる、こういうことにあらわれてきておるのです。だから終戦後日本の空から飛行機が一台もなくなったときに、航空関係者はもちろんのこと、一般の方々も非常に遺憾に思っておった。そこで口航法が生まれたときに、それまでアメリカの下に働いておったパイロット諸君が、向こうの純与がいいにかかわらず、安い給与でも自分の空でひとつ雄飛しようとした。あなた方経営者とあわせてそういう技術屋の諸君の熱意というものが今日の日本全体の航空政策というものを拡大させた。まずこのことを私は銘記しなければならぬと思います。しかし経営内容については、たとえばただいま全日空福本さんがおっしゃったように、毎日はらはらするような経営をされておるということになりますと、私たちは、いまやあらためて日本航空政策を十二分に考える段階に来たと思う。それについては、どちらかというと、日本航空全日空、すなわち国際線の問題と国内線の問題でいみじくもいま福本さんから、並んでおられる日航社長さんのそばで申し上げにくいことといってだんだんの話が出ましたが、そういう根本的な問題などについても出てくると思うのです。ただいま全日空からの「国内定期航空事業のあり方に関する陳情並びに所見」を拝見しますと、問題は、結局民間航空の場合には、日航との関係というものがここに初めて具体的に出てきておるのだ、これについてかつて日航といえども全日空出資したこともあるし、あるいはまた機材あるいは技術の相談等にあずかっておったやに私は理解しております。そういうことからいたしますと、これはいろいろな技術問題等々もありますけれども、その前に日航さんのほうから、いま全日空が申された民間航空会社のあり方について、国策会社として高きベースのレベルがあるとか、あるいはまた国内線でもうけたものを国際線のほうに回しておるから、そのほうを自分のほうによこしたらいいじゃないかというような話なども出ておりますから、まずこういう問題について日航さんの従来の経過と、それから日航としての立場というものを、幸いにこういういい機会でありますから、全部が聞かれるチャンスというのはなかなかないので、その辺からお話しいただきたいと思います。
  9. 松尾静磨

    松尾参考人 ただいま福本さんからるる話がありましたし、長谷川先生からいま御質問もありましたので、率直にお答え申し上げたいと存じます。  私は航空事業が国によって、経営が非常にやりやすい国、それから経営が非常にやりにくい国というのが先天的にあると思っております。たとえばアメリカあるいは南米、こういう地域が非常に広範囲でありまして、地上の交通機関と航空機とでは非常に時間的の差があるというところは、国内線というものが非常に有利にできる、しかし日本は、お考え願っても、ただ北から南に長いだけでありまして、国内民間航空経営する上には先天的に非常にハンディキャップがあると私は思っております。そういう意味におきまして、日本国内民間航空というものはあまりにも数が多過ぎる。私はいつか全日空さんの前身である日ペリと極東航空とございまして、政府方針で両方ではなかなか立っていけないからというので合併のあっせん役をやったわけであります。われわれはどっちかといいますと少し経験があったという関係もありまして、これは六、七年前と思いますが、その当時全日空さんが事故を起こされまして、これではいかぬじゃないかという議論が政府に起こりまして、たしか岸内閣のときと思いますが、内閣に航空事故何とか懇談会ですか、そういうものができまして、われわれもその委員のメンバーに入りまして、そのときの結論で、日本航空は経済的あるいは技術面その他の面について全日空に協力すべきであるという結論が出ました。私はそのときこれは日本航空会社にそういうことだけを言うのじゃなくて、政府でも、諸外国がやっておるように、非常に過渡期でございますから、たとえば郵便で補助していくとか、そういうこともやるべきじゃなかろうかという意見を申し述べましたけれども、そういうことはあまりやられなかった。ただあの結論を実行したのは、私は日本航空だけだと考えております。これは福本さんもよく御存じと思いますが、特に美上路さんと死んだ中野君はよく知っておられると思うのですが、あのとき私たち全日空さんが経営状況が非常に悪いというので、ヘロンその他三機ばかりチャーターで出しておりますが、その当時はチャーター料も延び延びになって、なかなか手形ももらえないというような実情もあったわけであります。そういう点でも私たちは援助をいたしまして、そして出資もするということで、たしか現物出資で一億五千万、その他現金で一億、おそらく二億五千万くらい全日空さんに出資をいたしまして、同業者でございますから、いろいろお互いに助け合っていくということで今日に来ております。その後順次増資をされまして、全日空さんにはこの前まではたしか百二十万株、日航は最大の株主になっておるわけであります。そういう関係で、その当時全日空さんはローカル線だけやっておられまして、幹線には入っておられなかったので、やはり幹線をおやりにならないとなかなか採算がとれないだろうということで、東京-札幌、東京-大阪に二往復ずつ幹線に入られることを、いろいろ社内には反対がありましたけれども、われわれは承認いたしました。その後便数がふえまして、最近では東京―大阪、東京―札幌を将来は五―五でいくというような態度で私たち全日空さんと協調していっております。こういうぐあいに御理解願いたいと私は思っております。  それから全日空さんから、国内幹線は全日空で全部やったほうがいいというお話もあったようであります。これはわれわれもあるいは全日空さんも、ジェット機時代になって、アメリカ自体でも非常に航空会社が多過ぎるのではないかという政策が打ち立てられまして、アメリカみたいな大きな国でもわれわれの十倍もある会社がやはり合併合理化するという方針で来ておるわけであります。たとえばユナイテッド航空会社とキャピタル航空会社が合併、ハン・アメリカンとTWAが合併を推進したけれども、なかなか進まないという事情があります。そういうふうに航空会社というものは、ある程度世帯が大きくないと合理化ができないということが非常にあるわけであります。たとえばアメリカ国内にいたしましても、イースタン・エア・ラインズとアメリカン・エア・ラインズと合併するという機運が一昨年あたり非常にあったわけであります。なぜそれが合併するかと申しますと、イースタン・エア・ラインズはアメリカ大陸の北のほうをニューヨークから太平洋岸に来ているわけであります。そうすると、これは冬はほとんど合理的にいかない。お客が減る、飛行機が余ってくる、人間も余るということなんですね。オン・シーズン、オフ・シーズンの影響をこの会社は非常に受けます。しかしアメリカン・エア・ラインズは南側を東から西に定期を持っているので、この両者が合併すれば、一年間を通じてオフ・シーズン、それからオン・シーズンがないではないか。お互いに北側がオフ・シーズンになれば飛行機を南側に持っていく、南がオフ・シーズンになれば北に持っていくということで、飛行機の台数も減って非常に合理的にいく。そういうことで会社経営が成り立っていくという行き方を世界各国でやっております。それから御承知のとおり、欧州ではエア・ユニオンというものができかかっておりまして、国が違っても、お互い会社一つみたいにして、そしてお互いの持っている国際的の権益を各社で合わせた飛行機で合理的に運営をしていってもうけていこうという政策も国際的に講じられておるという状況であるわけであります。そこで、これははなはだ失礼な言い方ですが、四、五年前に私がうっかり言った意見ですが、日本民間航空はどうすれば最も一合理的にいくかということを常々考えておりまして、私は日本航空全日空と合併したほうが一番合理的だ、最もよろしいという意見をちょっと言いましたところが、非常に攻撃を受けたという事実があります。しかし、なかなかそういう合併というものはできませんので、そうすれば全日空さんとわが社とどういうぐあいに提携していけばいいかという問題になるわけであります。そこで国内幹線では、現在の日本航空としてはある一定した利益をあげていけばよろしいということは、国内幹線でいろいろパイロットなりあるいは乗務員なりあるいは地上の職員なりあるいは技術屋なり、すべてが十分な訓練を受けて国際線に行くということが非常に望ましくて、しかもこういうことが国際線を運営するための競争力を強めるというぐあいに私は確信しておるわけでございます。ハン・アメリカンは国内線を持たないわけでございます。ハン・アメリカンはなぜこの数年来ノースウエストと合併の政策を立てたり、あるいはTWAと合併するということをやったかといいますと、パン・アメリカンの一番痛いところは、国内線を持たないということであります。これが一番痛い。国内線である程度のそういう人的訓練なり、あるいはその他の合理化するための施策として、国内線があるということは、国際線に進出するための一つの足場だと思う。たとえば他の企業にいたしましても、国内でしっかりした基盤を持たなければ、他の国に絶対勝てないと思います。それとほんとうに同じでございまして、日本国内線を分離させるという議論は十年来あるわけですが、私は一貫してそれに反対してきたわけです。国際線の基本もまだきまらないのに、国内線も国際線も飛ぶというようなことでは、これは日本航空としては反対であります。かりにこれがドイツあるいはイタリア、あるいはフランスみたいに、ほんとう航空政策というものが国会で打ち立てられて、日本政府はこれでいくのだということができて初めてそういうことを私は論議すべきだ、こういうぐあいに考えております。  そこで、国内線の全日空さんからもいろいろ問題がありましたけれども、私は全日空さんとはできるだけ協調する、私たちは協調の手をほんとうに差し伸べておるわけです。そういう意味におきまして、いま国内線でもうけた金を国際線にやっているというお話もありましたが、それは現在は国内でも国際でも利益をあげております。国内幹線で何もがめつくもうけていくという考えは、わが社の方針として持っておりませんで、できるだけ全日空さんと協力をし、同業者がやはり立っていく、あるいは今度生まれた国内航空会社もやはり立っていくということで、一応私は国内はここ三、四年それでいって、そうした後また国内航空事業の再編成といいますか、そういうものを、あるいは業者間がお互い考え、あるいは諸先生方の御指導で考えていくということが私は非常に望ましい、こう思うわけでございます。そうしないとこれを一挙に再編成するといいましても、おのおの会社の存立の歴史がございまして、私は非常に困難だと思います。  それからもう一つ国際線の問題ですが、国内線で非常に利益があがらないから、国際線に出ていったらどうだろうかというような福本さんのお話もございましたが、これももっともな話だとは思いますけれども、それをやりますと、今度は国内線以上に国際線がやはり乱脈になるというぐあいに考えているわけです。たとえば国際問題では非常にたくさんの問題を、現在運輸省あるいは外務省、われわれにはらんでおるわけです。政府の外交政策が国際線ではぴんぴんと響いて、営業にも非常な支障を来たす、こういう実情でございます。たとえば、私はもう数年来、東京―モスクワ、ダイレクト相互乗り入れということを主張してきたのですが、これがわれわれ同業者の間でも東京―ハバロフスクまででいいじゃないか、あるいは諸先生方の中にも東京―ハバロフスクでいいじゃないか、あるいはその他第三者が日ソ合弁で新潟とハバロフスクでいいじゃないか、こういう議論が一部に起こっておる。そうしますと、せっかくモスクワ-東京、ダイレクトで行こうという気になっておっても、おまえの国では東京-ハバロフスクまででいいという議論が多分にあるじゃないか、こういうことになる。あるいは中共の問題でもそうだと思う。こういうことが非常に大事であります。私は、航空協定権益というものは、国家百年の権益だとほんとうに思っておる。こういうものは、国全体がやはり一貫した考えで交渉をしていかないと、絶対に有利な権益はとり得ないと私は思っております。そういう点でも、国際線というものは、やはりルフトハンザでももう一本でやっておるのです。やはりドイツあたりを見習うべきだ。われわれよりおそく出発しまして、今日はわれわれよりも数等上の航空界の地位を獲得しておる。こういう実情なんでありまして、そういう面も考えまして、やはり国内にできた会社事故を起こさぬようにお互いに協力して助け合っていく、そうして過渡期でございますので、一挙にはいきませんので、三、四年先にりっぱな航空政策を立てていただいて、もう一ぺん航空再編成というものを慎重に考えていただく、こういうことを私は非常に痛切にお望みする次第であります。
  10. 長谷川峻

    ○長谷川(峻)委員 いまのお話で大体了解をいたしましたが、次に、ちょっと技術のほうに入ってみたいと思います。  松尾さんのお話の中に、航空事業というものは公共事業であるけれども、セーフティ・ファーストが一番であろうと思う。これがちょっとでも危険を感ずるところに非常に問題がある。ところが、操縦するのはパイロットですから、そうしますと、先ほどあなたのお話の中に、日本で乗っておる諸君は一万時間にも一ならない者が乗っておる。外国は大体一万時間以上だということですが、私はやはり層の厚いことが非常に大事だと思う。それから福本さんのお話の中にも古きパイロットとちょうどいま断層ができつつある、非常にたいへんなことだというお話があった。そうしますと、宮崎に運輸省航空大学などもありますが、私は自分考えとしては、いまのような訓練でいいんだろうか。下宿からぶらぶら通っていって訓練を受けて、また、下宿に帰ってごろごろ寝るというふうなかっこうでは、やはりまずいのじゃないか。ドイツの例を引かれましたが、ドイツの場合でも、ヨーロッパでは空軍の者が一番多い。そうすれば、日本の場合でも空軍の中における一番時間の少ない者と、そういう大学を出た者の訓練度は、大学を出た者のほうがいいのじゃない、こういうように私は感じておるのです。それが一つと、もう一つは、ですからそこで私は寮生活をして、学生は寮生活の中においてさらにまた大学へ行って勉強させるというようなシビアーなものを少しやらないと、人間の命をあずかるのですから、そういう方法も一つあり得るのじゃなかろうかと思いますが、専門家としてのあなたの御見解を伺いたいと思います。
  11. 松尾静磨

    松尾参考人 パイロットの問題は、先ほどから私いろいろ申し上げましたとおり、これはわが国においては非常な断層があるわけです。非常に経験者が少ない。戦前経験があった者は、先ほど福本さんからお話がありましたが、もうぼつぼつ引退しなければならぬというような時期にだんだん到達しておる。しかし、飛行機はどんどんスピード・アップしてなかなかむずかしくなっておる、こういう実情です。諸外国は、先ほども申しましたとおり、ほんとうの補給資源というものは八〇%が空軍に置いておるわけです。そういう意味からいたしまして、航空大学のあり方がほんとうにいいかどうかという問題は、私は常に二、三年申し述べておりますとおりに、やはり寄宿舎制度あるいは寮制度というものは、少なくとも防衛大学あるいは商船大学よりも、もっと航空大学はシビアーであってしかるべきだ、もっと金をつぎ込むべきだと思う。先生がおっしゃるとおりに、ほんとうに寮生活をする寄宿舎をつくって、防衛大学程度のやはり心身の訓練をやってやらないと、これは非常によくないと思います。そのためには、私はるる航空大学のあり方について建言したわけであります。  それからもう一つ、いわゆる自衛隊でございますが、自衛隊が使っている金というものは膨大なものでありまして、訓練の施設、あるいは整備員も一含めてですが、膨大な施設を持ってやっております。われわれ民間航空会社がもう三十年さか立ちしても一とてもできないようなりっぱな施設を持っておられることが一つと、それから教官が非常に豊富にある。航空大学は教官が豊富でない。給料が第一安い。優秀な航空の教官は、おそらく航空大学には行かないと思うのです。ほんとうならば、ああいう航空大学とか、ほかの大学でもそうですか、毎年の卒業者のうちから最優秀な者がそこの助教に残って、将来その学校の先輩として教官になるのが私は普通だと思う。そうすることによって、その学校の校風と申しますか、いわゆるアトモスフィアのりっぱなものができていくのだと思うのですが、航空大学を出て、優秀な者で残る者は一人もいない、そういう状況ではほんとうパイロットの教育はできない、私はこう思うわけです。それでは航空大学の教官の給与を上げられるかと申しますと、これは役所ですからなかなか上げられない。こういう非常なジレンマに航空大学はあるわけであります。航空大学では少なくとも寄宿舎ぐらいは予算をつけていただいて、それから教官の給料も、民間と同じとは言いませんけれども、優秀な教官が集まるような予算のつけ方なり考え方を徹底してもらう、あるいは、これはできるかどうかわかりませんが、自衛隊からでもリタイアしたような人をある程度の給料で迎えてやる、こういうことを考えないといけないと私は思うのです。それから航空大学自体のそういう優秀な教官ができても、それじゃこの教官は将来どうなるか。いうまでも一生教官か、こういうことにもなるわけであります。だからそういう点が私は非常にむずかしいと思います。しかし、いま皆さんの御協力で、自衛隊に私たちは毎年二十名ばかり訓練を委託しておりますが、自衛隊の教官は、これは何も教官で終わるわけじゃありませんで、空将とかほかへ行かれる。そういう非常な希望があるわけです。したがって優秀な教官がおられる。こういうことなんですね。そこでその辺、同じ政府の金を使っているのですから、もっと合理的に使うような措置を講じてもらうということが一番大切ではないか、私はこういうぐあいに考えるわけです。  それからもう一つ申し上げたいのは、事故防止パイロットだけではないと私は思う。これにはやはり先ほども申しました政府の施設もございますけれども、そのほかに会社自体のいわゆる技術陣容ほんとう経験豊富な技術陣容、こういうものが絶対に必要だと私は思うのです。私の日航は、整備会社を合併いたしまして、技術屋だけで三千名ぐらいおる。そうして施設も何十億もかけてやっている。こういう施設をもって相当の訓練を経ていますけれども、これでもなかなかで、毎日安全ということに対しては社長以下われわれは非常に熱心に意を用いてやっておるわけでありますが、何せ戦後日が浅いですから、会社自体が十二、三年、われわれのところは平均年齢二十七、八でありますから、まだ非常に若いのであります。これから十年もたちますと、それは非常に優秀な者が出てまいり、組織もがっちりできることと思いますので、安心してもいいでしょうが、実際は日航自体もあれだけ金をかけてもそういう事態でありますので、これは全日空さんだって、そういう技術面については層が薄いと私は思うのです。その他の航空会社については、そういう面についてはほんとうに紙っぺらより薄いと、あまりほかの航空会社のことを言って悪いのですが、実際は私はそうだと思います。運輸委員会方々、少なくとも航空委員会の方方には、羽田の各工場で、われわれがどういうことをやっているかということを一度あるいは一日ぐらいかけてほんとうに見ていただきたい。そうしてぜひ認識していただきたい。実はそれでもほんとうは足りないくらいに思っているわけであります。そういう点では戦後の日本民間航空というものが、非常に金もかかることであるし、世間でこの事業そのものを、バス会社を動かすように、これは政治をやられる皆さんも、あるいは役所も、あるいは財界も非常に考えが甘いのではないか。そうして事故を起こして、みんながうろたえてしまう。こういうことが私は現状じゃないかと、こういうぐあいに思うわけであります。  どうも失礼なことを申し上げましたけれども一、お許しを願いたいと思います。
  12. 長谷川峻

    ○長谷川(峻)小委員 そこでこれはちょっと夢物語のようですけれども、さっきあなたからも羽田空港は非常にあぶない、危険を心配しておるという話があったのですが、私もしろうとだが、そういうことを感じておるのです。あの飛行場は、ときに滑走路が短いと感じてみたり、まん中がくぼんでおったというようなことが新聞に出てみたりしておるのですが、やはり羽田が東洋においては中心になっておるのですし、しかもせんだってアメリカではマッハ三の試作に成功したということもあり、木村秀政さんが書いておるものを見てもたいへんなことらしい。そのときにはいずれ新しい空港ができるかもしれませんけれども、現在といえども私は非常にあぶないと思っておる。すなわち三百三十三メートルの東京タワーとの関連などは、このジェット機時代たいへんなことだろうと私心配しておるのです。もしあそこにぶつかるようなことでもあればたいへんだと思っているのです。そうしたことに対して、現在の羽田についての概論的な危険性と申しますか、あそこで仕事をされておる立場から、全日空もあそこで仕事をしておるのですが、お互いが注意すべき点を、あらためておっしゃっていただきたいと思います。
  13. 松尾静磨

    松尾参考人 羽田の問題は、非常に危険というのは、地上の設備と空域と両方問題があると思うのですが、地上の滑走路その他については、これはこの間新しい滑走路ができまして、まあいける、こう思っておりますが、空域では、現在の羽田でも空域は半分しか使われておりません。西側は、伊豆半島の南北にいわゆる軍の航空路がありまして、いかなる瞬間をつかまえても、何十機かの飛行機が空中にある、こういう状況でありますので、向こうは全然使えない。だから非常に天気のいい日に限って、非常に視界のきくときに限って、大島を回らないで名古屋なり大阪に行くという最短コースがとれるわけです。これだけでもおそらく全日空日航とを合わせますれば、非常に便数がふえて飛行機が大きくなっておりますから、一カ年間に燃料費だけでおそらく十億くらいになると思うのです。そういう羽田の状況なんでありまして、私は航空局長もそういう点を非常に御理解願って、伊豆半島の上に要するに空中のトンネルをつくってくれということを二、三年前からしきりに言っておりまして、最近たしか一つできたはずです。要するに幅がどのくらいで、高さはここから何メートルぐらいの間は民間航空が通れるというような一つ考え方、空中のトンネルをつくっていただく。こういうことも米軍のほうと強力に交渉を願って、たしかそういうこともできかかっております。これは航空局長にもお願いし、非常に熱心にやってもらっております。そういう羽田の空域の状況であるわけです。いわば半分は東京タワーとか町に制限されまして、おそらく六割ぐらいしか使われていないという実情であります。それに今度は東側にこれにまた阻害するような新空港ができたんじゃ、まるで羽田は使えない。細長くなっちゃって非常にぐあいが悪い。だから、業者としましても空域というものを非常に考えてやっていただきたい。近いところは非常に空域が錯綜しましてむずかしい。特に東京の周辺は自衛隊の基地があり、米軍の基地があり、空域はあるようで、なかなかないのです。東京湾というものは非常に広いように思いますけれども、東京湾というものはジェットでは一分か二分でございますから、決して広いのじゃないのです。だから、そういう点をぜひお考えを願って――羽田は撤去して何かにするという意見もいろいろ出ておるようですけれども、しかし羽田国内航空に使うべきだ。あれだけの施設、これは何百億の、会社まで合わせますとおそらくそれ以上と思いますが、金を使って基地になっております。そしてしかも東京都からの交通の便というものがあれくらい便利な所は、おそらくはかにはない。これからもできないと私は思いますので、羽田はどうしても将来やはり国内航空ほんとうの基地としてお使い願いたい、こういうぐあいに思っておるわけであります。
  14. 西村直己

    西村委員長 久保三郎君。
  15. 久保三郎

    ○久保小委員 せっかくの機会でありますが、時間もだいぶたっておりますので、簡単に二、三お尋ねします。  福本さんにお伺いしたいのですが、国内線における日航の問題については、御両所からそれぞれ御所見の発表がありましたから、これは別にお聞きする必要はないかと思いますけれども、ただ最近、国内航空として三社が合併したわけなんですが、この合併の形態は、いわゆるローカルといいますか、そういうもののあり方からいって大体適切だろうかという考えをしているのです。というのは、現状を見ますと、北は北海道から南は九州といいますか、そういうところで三社がやっておるのは、言うならば全部ばらばらで、隔離された形の航空網を持っているわけですね。全日空輸とはもちろん関係がある場所がたくさんある。そうしますと背骨を入れないで肋骨だけをつなぎ合わせたかっこうになる。こういう関係で今後の合併集約というか、そういうものが国内航空路線の戦線整理といいますか、いわゆる企業乱立というか、過当競争というか、そういうものを考えた場合には、どうもちぐはぐのように考えるのですが、それはどうお考えでしょうか。
  16. 福本柳一

    福本参考人 これは私ではちょっと申し上げにくいので、僣越でありますが、適当なのはこれを勧告された政府当局、並びにそれのあっせんをつとめられ、現にそれをつとめておられる御本人の松尾さんがここにおられるので、また私自身も先生と同じようなことを聞きたいとかねてから思っているわけでございますので、できることならこの点はひとつそちらのほうからお願いしたいと思うのでございますが、いかがでございましょうか。
  17. 久保三郎

    ○久保小委員 航空局長には当然お尋ねするのですが、松尾さん、ごあっせんいただいておるそうでありますから、御支障なければひとつ御見解のほどを……。
  18. 松尾静磨

    松尾参考人 北日本ができましたのは、日航ができて藤山さんが会長のころだと思うのです。そのときはまだ日本航空株式会社法ができない前でありまして、そのとき、北日本航空会社が、北海道の開発にはあれだけの面積も広いし、航空会社は将来必要であろうということでできまして、そのとき日本航空は三千万円出資をする、そうして子会社として育てていこう、こういうたしか重役会の決議だったと思うのです。ところがたまたまその時期に日本航空株式会社法ができまして、日航の性格が変わったわけでございます。そうしますと、出資その他は政府の認可を得なければならぬということで、その出資はまかりならぬ、こういうことで出資をしなくてあの会社はできたわけです。ところが、先ほど申しましたとおりに、オン・シーズン、オフ・シーズンがありまして、北海道だけでは冬はああいう気候でございますので成り立っていかないという面があるわけです。これはアメリカでもそうなんですが、その後、先ほども触れましたが、日ペリと極東航空との合併のあっせんについて、私はその当時専務をしておりましたが、柳田さんが社長のころで、運輸大臣からあっせんをしてくれということで引き受けられたとき、私はそのアシスタントをやったわけです。その当時、荒木茂久二さんが航空局長でした。私はこのとき、どうせ極東航空と日ペリと合併するならば、これは将来必ず問題になるから、北日本も一緒に、一挙にぼくはあっせんをやってもいいと思うが、やったらどうだ、こういう話も実はしたわけなんです。ところがそれはなかなかやっかいだから、まずそれは第二段階でいいということで、日ペリと極東と合併しまして全日空ができたわけであります。その後私は、その当時、航空局、長はだれであったか、林君かだれかやっておりましたが、北日本全日空に合併するようにあっせん依頼を受けたわけであります。そこで、それは福本さんもその当時の事情をよくおわかりなんですが、非常にあっせんをやったわけです。ところがその当時全日空さんも非常に経営上やはり苦しい点もございましたので、なかなか合併ができなかった。その当時の北日本全日空さんと合併をしてもよろしいというような条件に相当なったわけなんですが、ついにやれなかった。そこで、私はメンツもつぶしまして手を引いたわけなんです。その後また、だんだん北日本飛行機を買って、だんだん勢力が伸びてきたから、全日空さんのほうで、もう一ぺんあっせんをしてくれという話が実はあったわけなんです。それは私は、実は一ぺんやってだめだったから、ぼくはまたやりたくないから、ほかの人に頼んだらどうかということで引き受けなかったわけなんです。そしてその後、あそこが非常に積極的といいますか、めちゃといいますか、飛行機を買い、借金をして非常に拡充計画に出た。そこでますます経営が困難になってきた。富士航空にしても日東航空にしてもなかなかこういうことではお互いに立っていかぬということで、運輸大臣が、やはりローカル六社がそれぞれ乱立してはお互いに全部つぶれていく、そしてまた航空事故を起こす可能性も多分にあるということで、運輸省でそういう政策をおとりになって、まず三社合併のあっせんをやるという方針がきまりました。私にあっせん役ということで、このローカル三社を第一次として合併をしていって、そして立て直しをやって、日本国内の乱立している航空会社をだんだん少なくしていくという方針運輸省が立てられたことは、私はごもっともな方針だ、こういうぐあいに考えまして、あっせんをやったわけであります。そこで四月の十五日に、大体三十六億くらいの資本金で発足するということになっております。ただ、国内の旅客には相当の自然増があります。毎年相当の数で自然増があるわけなんです。これは幹線もそうですか、ローカルにも自然増があるわけでありまして、そういうローカル会社も、幹線だけをねらわないで、やはりローカル線は非常に交通が不便でありますので、そういう点の開発も、自然増もあることだし、企業としては、大いに努力をすべきだ。そのためにはやはり北から南に連絡をつける路線をやはり運輸省としては政策上許可していったらどうだろうか、こういうぐあいに私は考えております。
  19. 久保三郎

    ○久保小委員 いまの松尾さんのお話によると、最後のお話で全日空の問題も出てくると思うのでありますが、北から南の貫通したのをやはり許可すべきだというお話は、全日空先ほど福本さんのお話も、またそこへ問題が出てくるのではなかろうかと思う。これはいずれにしても運輸省関係して今後検討されるでしょうが、企業乱立ということは、松尾社長福本社長も一様に合致した点でありまして、日航全日空との関係は別でありますが、いずれにしても企業乱立というものが、資本の装備にしても経営の内容にしましても非常にまずい。まずいから事故が起こるということでありますので、そういう点からいえば当然、これは算術計算になるかもしれませんか、企業を整理統合をしていくということだと思います。その整理統合していく場合には、やはり将来の展望に立って一つ一つ進めていかなければいかぬと思いますが、われわれは寡聞にしてまだ航空当局からも運輸省からも三社合併の方針は聞いておりませんし、いままで機会がなかったので、ここでお尋ねしたわけです。  そこで時間もありませんのではしょりまして、国際線の問題でありますが、先ほど松尾社長からお話があった国際線競争の問題は、確かに苛烈になってくる。そしてまた日航にいたしますれば、全世界をぐるっと回すというまでにはまだ参っておらぬと思うんですね。これからが一番難関のある路線の開拓ということになると思うのです。そこで先ほどおことばにありましたように、いうならばこれは日本権益をわれわれが代表してやっているんだということ、私もそう思っております。そうだとするならば、この資本のいわゆる政府出資という問題が一つ出てまいりましたが、いうならばやはりそういう国際線は命令航路というような性格だと私は思うんですね。そうだとするならば、命令航路に対しては国がやはりある期間何らかの手当てをしなければならぬと思うのですが、そういう御主張はいままでなさっておるのでしょうか、いかがでしょう。
  20. 松尾静磨

    松尾参考人 新しい路線をおっしゃいましたとおりに、開拓するためには、私は少なくとも三年かかると思います。世界じゅうどこを探しても、初めから黒字になるようなところは、われわれはおそく出発しておりますから、これは絶対にあり得ない。たとえば北回り欧州線もやっと三年目になりましてどうやら軌道に乗りかけてきた、こういう事情でありまして、南回りの欧州線は昨年始めましたので、まだなかなか軌道には乗らぬ。たとえば昨年の十月――十月が毎年航空事業上一番オン・シーズンのトップでありますが、このときには南回りの欧州線もごくわずか利益が上がった、全線十月は利益が上がったということは言えますが、年間を通じますと、新しい路線の開拓には少なくとも三年はかかるということが言えると思います。おっしゃるとおりでございまして、そこで、これはまたこれから世界一周路線ということを計画しておりますけれども、これはアメリカとの航空条約の改定のニューヨーク・ビヨンドの交渉もまだできておりません。これからでございますが、新しい路線をやる場合、いま久保先生がおっしゃいましたとおりに、路線補助とか何らかのことを考えていただきたい。私はあとで返してもいいと思うのです。この三年なら三年軌道に乗るまで、あるいは利子のつかぬ金を貸してもらってもいいと思うのです。そういうことをぜひ考えていただきたいということを、これはもう常に申し上げておるのです。かりにそうなれば、路線の進出というものは、われわれは非常にやりやすくなるということが言えると思う。ドイツがなぜあれだけの、とにかくわれわれより三年もおそく出発して、ああいう路線の拡充をやり得たかと申しますと、昭和三十六年にはルフト・ハンザは百億の欠損を出しております。それから三十七年にはやはり五、六十億の赤字を出しております。しかし、これは政府が一ぺんに出た赤字を消してしまっております。それからエ-ル・フランスにしましても、三十七年にはやはり五、六十億の赤字を出したと思うのですが、こういうものも全部消しております。それからエールフランスあたりは、そのほかにフランス空軍がやはりジェット機の修理、オーバーホール、これは相当もうかるような高い金で出しておると思うのですが、年間二百台くらい出しておる。こういうところでも非常にかせいでおる。そして乗員訓練にしても、わが社みたいには使っていない。金利も一わが社みたいに高くはない。そういうところとわれわれは競争をしているわけなんです。だから、非常な悪条件で競争をしているわけであります。したがいまして、欧州各国とわが社とのいわゆる収支採算点については、たとえば、飛行機はスピードも性能も同じと見てちっとも差しつかえないと思うけれでも、収支の採算点は、日航は、欧州その他に比べまして、まだ高いんです。これは一、二、三%高いんじゃないかと思います。なぜ高いか、その一二、三%高い要素は何かということを考えてみますと、これは乗員訓練費もその中に入っております。金利も入っております。それから、政府からのそういう実際の金で助成じゃなくて、いろいろなオーバーホールその他で非常に有利に利益を上げさしている。そういう点もからみまして、どうしても採算点がわれわれは外国会社より高い。それで、採算点が高いと、いままで二便やっているのを三便はやれないのです。ところが、外国は採算点が低いから、いままで二便やっておったのが三便もやれる。たとえば収支の採算点が、外国は五〇%、われわれは六〇%だといいますと、外国は、五五%だともう一便ふやせるわけです。そして、とにかく損をせずに行く。われわれは、六〇%以上でないともう一便はふやせない。こういう非常な窮屈な競争をやっていかなければならぬ。しかも、おそく出発をした。こういうことがございますので、新しく開拓を始める場合には、ぜひそういうぐあいに考え願えれば非常にけっこうだと思います。
  21. 久保三郎

    ○久保小委員 われわれは、目的が明確な立場から、助成というか、そういうものはやるべきだという考え方を最近持ちつつあるものですから、一言お尋ねしたわけです。  それで、福本社長さんがお話になった、日航もノンIATAでやれるものであったらやったらいいじゃないか、こういうお話があったと思いますが、そういうことについて簡単にひとり……。
  22. 松尾静磨

    松尾参考人 ノンIATAとおっしゃいましたが、CATはIATAメンバーでありまして、トランパーでやっているところも若干ございます。しかし、これは料金その他が違いまして、非常に混乱を来たすことは事実なんです。そして、それがはたして採算ベースに乗るかどうか、そういう点も私は検討する必要があると思っております。
  23. 西村直己

    西村委員長 参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は貴重な御意見を、お忙しいおり、お述べいただきまして、ありがとうございました。本件調査の上に非常に参考になりましたことを、小委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十四分散会