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1964-06-03 第46回国会 衆議院 運輸委員会観光に関する小委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月三日(水曜日)    午前十時二十二分開議  出席小委員    小委員長 高橋清一郎君       有田 喜一君    塚原 俊郎君       井岡 大治君    勝澤 芳雄君       矢尾喜三郎君    内海  清君  出席政府委員         運輸事務官         (観光局長)  梶本 保邦君  小委員外出席者         運 輸 委 員 細田 吉藏君         運 輸 委 員 久保 三郎君         運 輸 委 員 泊谷 裕夫君         内閣審議官   有田 輝彦君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 六月三日  小委員内海清君四月十五日委員辞任につき、そ  の補欠として内海清君が委員長の指名で小委員  に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  観光に関する件      ————◇—————
  2. 高橋清一郎

    ○高橋小委員長 これより運輸委員会観光に関する小委員会を開会いたします。  観光に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。勝澤芳雄君。
  3. 勝澤芳雄

    勝澤委員 先ごろ観光基本法に基づきまして、三十八年度の年次報告と、それから三十九年度の観光政策についての報告がなされたわけでありますが、これにつきましては過般本会議で大まかな点について質問をいたしました。しかし、まだ十分な解明がなされておりませんので、きょうはその一部について少し質問をさせていただきたいと存じます。  最初に、観光基本法がつくられたわけでありますが、この基本法に基づいてこれから観光の向こうべき方向というものが相当明確になったわけでありますので、これに基づく諸施策というものが出てくるであろう、こう期待をいたしておるわけであります。まずこれに基づく国の施策というのが第二条にきめられておるわけでありますけれども、各省ごとに対する指導といいますか、運営といいますか、こういうことはどういうふうな経過になっておりますか。
  4. 有田輝彦

    有田説明員 観光行政各省庁にまたがっておりますので、直接その推進各省庁にまかされました所掌範囲内において行なうわけでございますが、各省間にまたがる事項も相当あるわけでございます。こういった事柄につきましては各省庁で協議をし、あるいは総理府に昨年十二月三日に閣議決定によって設けられました観光対策連絡会議というもの、これは総理府総務長官を議長とし、関係各省庁の事務次官をもって構成員としておりますが、これは観光に関する対策に関し、関係行政機関相互間の事務の緊密な連絡をはかるとともに、総合的かつ効率的な対策推進するために総理府に設置された会議でございまして、多省間にまたがる事項につきましては、この会議活用して連絡調整をはかっていく方針でございます。  いままで観光対策連絡会議活用いたしました例といたしましては、昨年の十二月五日に観光政策審議会長から国際観光振興上当面必要とする事項に関する意見という意見具申がございまして、これに対する態度を本年の二月二十四日打ち合わせを行なったということと、いま一つは、観光に関する年次報告につきまして、これを協議した例がございます。これは三月の中旬だったと記憶いたしておりますが、そのような運用を行なっておる現状であります。
  5. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、この推進については、各省が自主的に行なっている取りきめを総理府だけがやっている。ここに観光がおくれてきた原因というものがあるわけでありますが、そのためにこそ私は観光基本法というものを各党で共同でつくった、こう理解をするわけであります。そうしますと、この観光基本法に盛られた各条項によるいろいろの施策については、やはりどこかでこれを積極的に推進をしていくということがなければいけないのじゃないだろうか、こう思うのです。積極的に推進をするところがいまのお話を聞いておりますとないように思うのですが、その点、いかがですか。
  6. 有田輝彦

    有田説明員 観光基本法に基づきまして施策方向というものは示されておるわけでございまして、各省庁の所管範囲内において推進するたてまえになっておるものと了解をいたします。
  7. 勝澤芳雄

    勝澤委員 各省庁が所管範囲内によって推進をする。そうしますと、総理府というのはその場合に積極的な意味においてどういう立場にあるのですか。
  8. 有田輝彦

    有田説明員 たとえば観光対策連絡会議を設けたことも一つの例でございますが、多省間にまたがる事項連絡調整を行ないやすい場をつくる、また会議におきまして主体的な役割を通じましてその調整が円滑に行なわれるように働く、こういった役割になるかと思うのであります。
  9. 勝澤芳雄

    勝澤委員 従来行なってきた観光政策進め方と、観光基本法ができてからの政策進め方と、総理府取り扱いはどうなんでしょうか。
  10. 有田輝彦

    有田説明員 総理府附属機関としてございます観光政策審議会権限が、従来の観光事業審議会より強くなっておりますので、その面を通じての積極的な役割一つございます。ほかの各省間の行政施策取りまとめに関しましては、観光対策連絡会議という現実の姿を通じてやっていきますけれども、その総理府所掌自体観光政策審議会が設けられたこと以外には変わっておりませんので、運営の面ではプラスの面はございますけれども、その他基本的な面につきましては特に変更はないのではないかと考えております。
  11. 勝澤芳雄

    勝澤委員 その基本的な面に変更がないというが、基本的な面が変わってそして前向きな形で観光政策が進められる、こういう理解を私はしておるわけです。これは観光基本法が起きた当然なことだと思うのですが、それについての総理府の取り組み方というものについては、どうも私は従来と変わったものが見えないと思うのです。それは私はこの本会議でも質問したのですが、各省寄せ集めを作文化しているだけだ、どこに目新しいものがあるのかということを指摘をしておるわけでありますけれども、そう指摘をされながらも、それについての方向というものはおざなりになっているということになれば、一体その観光基本法というものは何のためにつくられたのか、基本法が生かされていないじゃないかということを実は言わざるを得ないのであります。それは基本法に基づいて施策をやっている省はどこなんだ、基本法に基づいて各省が、各省所管に基づいて積極的に推進しているというのは運輸省だけではないか、運輸省観光局だけではないか、こう実は極端な言い方をするとせざるを得ないわけであります。だからそこにやはり総理府というものがこれを所管をして、そして基本法をこれから前向きでもって観光政策を進めていくというところに意義があると思うのです。そこにまた観光事業審議会から観光政策審議会に変わられた積極的な意味もあるわけであります。その積極的な意味というものは、基本法運営をする立場にある元締めである総理府がどうも認識が不十分だと思うわけでありますが、その点基本法ができたために観光政策について総理府は積極的に力を入れるための体制を強化したとか、あるいはまたそれについてどうやってきたとか、具体的な事象がおありになりますか。
  12. 有田輝彦

    有田説明員 よけいなことを申し上げて恐縮でございますが、観光対策連絡会議を設けましたことが積極的に取り組もうとする態度あらわれでございまして、従来までは観光事業審議会等から答申が出ました場合に、その答申各省庁に届けられるだけといったような形でございましたのが、今度は総理府が音頭をとりまして、観光対策連絡会議活用いたしまして、昨年の十二月五日に出されました意見具申に対しまして、政府として早急に態度取りまとめを行なおうではないかということを呼びかけまして、一応中間的な結論を出したようなことが積極的な態度ではないか、私はこのように考えております。
  13. 勝澤芳雄

    勝澤委員 有田さん、あなたに質問しているわけですから、現状を教えていただけばいいわけであります。それが進んでいるかいないかというのは、あなたの責任ではなくて、それは政府責任であり、直接的には総理府長官考え方だと思うのです。各省を見ておりますと、いままで世間では建設大臣がどなたになったか知らなかった、こうみな思っておりましたけれども、このごろの子供さんは、いまの建設大臣河野一郎さんだ、こう知っていることは、人によって仕事が、とにかく実力があると言いますか、やる気があると言いますか、こういう人が大臣になればどんどん進むわけであります。そしてまた人が変われば、そんな大臣があったのかなというのが運輸大臣の中にもあったのではなかっただろうかと私は思うわけであります。これは極端な例ですが、ですからそういう意味からいきまして、あなたの責任ではないけれども、やはりその所管を担当しているあなたとして、せめて与えられた中において一〇〇%利用し、一二〇%、一五〇%以上力を発揮するというのが、それが省の中におる仕事をされている皆さんの任務じゃないかと思うのです。そういう立場で、観光基本法がせっかくできた、これはいい法律だ、観光というものをいま国全体で、あるいは政府全体で前向きに考えている。そういうときにこそ総理府が積極的に、それじゃ観光基本法ができたのだから、これを専門にやる人をひとつつくろうじゃないか、あるいは予算もこうしようじゃないかという方向に行くべきで、いま言いましたように、事務次官級によるところの連絡会議もできたということでありますが、しかしお話を聞いておりますと、それは事務的なことだけであって、前向きに従来と変わった方向が見えていないように思うのです。私はいままでの質問と、私がいろいろ調べてみた経緯から見ますと、観光基本法というのは役人がつくった法律ではない、国会がつくった法律だ、だからまあそんなものはいいじゃないか、こういうことが行なわれはせぬだろうかという気がするわけです。しかし二十八、九年時分の立法令を見てみますと、相当役所でつくる法律よりも国会でつくる法律が多かった。特に観光関係法律を見ますと、議員立法が多いわけであります。このことはあるいはそのときの流れもあったでしょうけれども、やはり役所よりも政治の議会のほうが積極的だった。ですからそういうふうに考えていきますと、やはり観光基本法というのをもっと生かした運営のしかたというものをぜひしていただきたいと思うのです。そういう点で申し上げておるわけでありますから、いま私が申し上げましたような点につきましては、十分ひとつ御検討していただきたいと思う。  そこであなたの総理府から見た場合、この第二条の国の施策というものが、一から八項目まであるわけであります。これらについて具体的に進んでいる状態というのがおわかりになりますか。
  14. 有田輝彦

    有田説明員 具体的な進捗状況をそのつどチェックする仕組みになっておりませんので、明確なことはわからないわけでございますけれども、ただ今年度に何をなすかと申しますことは、観光に関する年次報告書あらわれてることが、現在の進捗状況であるということは承知いたしております。
  15. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それからたとえばこの第三条に、地方公共団体は国の施策に準じて施策をやりなさいということが訓辞規定として出ているわけでありますけれども、こういうことについては総理府としては何らかの取り扱いをされるのですか。
  16. 有田輝彦

    有田説明員 各省庁から何がしかの意見を待ちまして検討いたしたいと思っております。もちろん総理府といたしましても検討はいたしておりますが、まだ成案は得ておりません。
  17. 勝澤芳雄

    勝澤委員 取り組みのしかたというものを、私は少し参事官のほうから長官のほうによく意見を出していただいておいてもらいたいと思うのです。役所仕事の分担と言いますか、こういう点についていろいろ問題があろうと思いますけれども、やはりどこかでこの観光推進していこうという取りまとめとして、あなたのところはなっているわけであります。たとえば経済企画庁があります。経済企画庁というのは、言うならば余裕金を持っていて、各省調整のために金を少しずつ出して行政調整を行なっております。しかしそれでも人によって、仕事やり方によって大いに積極的になる場合があるわけであります。ですから、総理府というところはそういうところじゃないだろうかと思うのです。各省取りまとめをしているのだったら、そうあなたのようなりっぱな人まで総理府の中に置く必要はないわけでありますから、やはり中央でそこまでコントロールしながら指導していく機関でありますから、そういう役割り総理府というものがいたしていかない限り、観光が進まないわけであります。ですから運輸省観光局がものを進めようとしても、そういういいアイデアならおれのところでやろうというほかの省が出てきて、そんな調整ばかりを総理府がやっている必要はないわけであります。そういうことでなくて、アイデアをつくって、こういうことを進めたらどうだという投げかけを与えて、そうしてそれをあなたのほうで推進し、指導していく、こういうやり方をしなければいけないと思うのです。それでなければ観光なんというものは、いつまでたったって、ほったらかしになると思うのです。そういう点をぜひひとつ長官などに話されて、お考えをぜひつくっていただきたい。去年できたばかりですから、まだ半年で御無理だと思いますけれども、ことしあたりは、やはりこの辺の手がけをしていただきたい。そうしないと、依然としてこういう寄せ集めのものだけで、観光としてその省が積極的にやってきた結論というものがないと思うのです。このいままでの年次報告を見、それから今回のこれから講じようとする政策を見てみますと、これはまさに寄せ集めだと思うのです。この中には積極的なものがないわけです。法務省一つ取り上げてみましても、あるいはまた外務省を取り上げてみましても、観光という新しい立場からものを見た見方というものはここには書かれていないわけであります。観光については夢がないわけです。ですから、その夢、その理想図あるいはその行くべき道、こういうものを考えて、それの実現に向かって方向づけをし、努力をさしていく、こういう指導というものをぜひやっていただきたいと思いますし、また、それを各省が自主的に推進をするのだといっても、やはりまとめをしているところとしての夢が、理想図がなければいけないと思うわけです。もしそういうものがないならば、私は総理府でこういう観光政策審議会なんか扱うのはやめたほうがいいと思うのです。一生懸命やるところにやらしたほうがもっと効果が上がるものになっていく、こう思うわけであります。  そこで、次に・観光政策審議会運用状態でありますが、基本法ができましてから、どういうふうに今日まで運用されてまいりましたか。
  18. 有田輝彦

    有田説明員 現在までに総会が三回、部会が六回開催されております。そして、総会が開かれましたのは、観光基本法成立直後の七月五日に第一回総会が開かれまして、このときは内閣総理大臣からの諮問、「所得倍増を目標とする長期経済計画に対応する観光施策について」という諮問が発せられた総会でございます。その次の総会は昨年の十二月五日でございまして、「国際観光振興上当面必要とする事項に関する意見について」という、内閣総理大臣ほか関係大臣への意見具申を行なった総会でございます。その次は、本年の三月十日前後と記憶いたしておりますけれども、「観光状況を考慮して講じようとする政策を明らかにした文書」ということで内閣総理大臣から観光政策審議会長あて意見を求める諮問を発しまして、それに対する答申が行なわれた総会で、総会について申し上げますとこの三回でございます。ほかの六回の部会は、いずれも諮問第一号の所得倍増諮問につきましての検討、この意見具申についての部会としての検討及び観光白書につきましての部会としての検討、こういったことを部会として行なってきたわけであります。
  19. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで、従来の観光事業審議会政策審議会に変わった。しかも、御案内のようにその審議会は、内閣総理大臣または関係大臣諮問に応じて行なうものだ、こういうことがうたわれておるわけであります。したがって、いまのお話を聞いておりますと、内閣総理大臣は別として、関係大臣諮問に応じて重要な事項について調査審議する、こういうことはなかったように思うのでありますが、それはいかがですか。
  20. 有田輝彦

    有田説明員 従来の観光事業審議会におきましては、諮問するのは内閣総理大臣だけでございまして、関係大臣にはございませんでした。
  21. 勝澤芳雄

    勝澤委員 ですから、従来はそうであったわけでありますが、今度は権限として、関係大臣諮問にも応じ、それから関係大臣にも意見を述べることができる、こうなっておるわけであります。ですから、このことは、いままでの観光政策審議会においてはそういう審議がなされていない、私はこう思うのですが、どうですか。
  22. 有田輝彦

    有田説明員 そのとおりでございます。
  23. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで、観光政策審議会は、御案内のように、この法律十九条に「この法律規定によりその権限に属させられた事項を処理するほか」、こうなっておるわけであります。そうして「審議会は、前項に規定する事項に関し、内閣総理大臣又は関係大臣意見を述べることができる、」となっているわけであります。ですから、観光政策審議会総理府で、あなたのところでもっと活用しようという気があるならば、各省ごとに、観光立場から政策一つ一つ検討することができるわけであります。諮問を待つとか待たないとかいうことは別問題として、こういう新しい方向づけ観光政策審議会にあるわけでございます。ですから、従来は受け身で仕事をしておったが、今度は前向きで、みずからの立場仕事ができるような道が開けておるわけでありますが、そういう点についてはいかがですか。
  24. 有田輝彦

    有田説明員 この第十九条の第一項の「この法律施行に関する重要事項を調査審議する。」ということの前に「内閣総理大臣又は関係大臣諮問に応じ、」という形容がついておりますので、やはり諮問に応じて重要事項を調査審議する、こういうたてまえになっておるものと了解いたしております。
  25. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、政策審議会というものをあなたのほうが積極的に活用をするのでなく、かつてのこの事業審議会と同じ立場でものの考え方をされているのですか、その点いかがですか。
  26. 有田輝彦

    有田説明員 観光政策審議会は、いま御質問にあったような点については、自主的な意見具申ということによりまして、諮問を待たずに意見を述べることができるわけでございまして、私、先ほど諮問を待たなければ何もできないと申し上げましたが、この点訂正いたしたいと思います。意見具申という形でできるわけでございます。それで昨年の十二月五日の意見具申も、その一つあらわれでございます。  それから、観光政策審議会活用態度でございますが、現在この法律施行に関しましていろいろな問題が起きております。たとえば国際観光ルートの指定の問題、こういった問題は現在の諮問第一号ではカバーできない具体的な事柄だと存じますので、必要に応じそういった事柄諮問して、的に観光政策審議会活用していく、こういう態度でございます。
  27. 勝澤芳雄

    勝澤委員 観光政策審議会活用のしかたというものを、もう少し積極的にお考えになってやっていただきたいと思うのです。いまあなたが一つ例示をいたしました国際観光ルートの話ですね、これは大体総理府所管になるんですか。どうなんですか、中心的にルートをきめるというような仕事は。
  28. 有田輝彦

    有田説明員 総理府は、観光対策連絡会議を通じまして取りまとめを行なうということでございますので、これは直接総理府所管ということにはならないかと思います。
  29. 勝澤芳雄

    勝澤委員 ルートを早くきめようとするならば、総理府が早くきめる姿勢になれば早くきまる、総理府がいつまでもまあまあと待っておれば、それは観光連絡対策会議も開かれませんから、きまらない、こういう立場で私ものを聞いておるのですが、それはどうなんでしょうか。
  30. 有田輝彦

    有田説明員 観光対策連絡会議は、総理府のみならず、観光委員の発言によりましてこれは開催することができるわけでございまして、総理府だけにその開催とか観光推進とかいうものの全責任があるとは考えておりませんが、総理府の働きかけによりまして促進される面はあるわけでございます。
  31. 勝澤芳雄

    勝澤委員 いま言いましたように、各省でも発議すればできる、しかし取りまとめ総理府だ、そこに一つの例ですけれども、観光各省でお互いがとにかく熱心な方があれば進むし、熱心な人がなければ進んでいないという現状だと思うのです。ですから問題になるようなことはなかなか進まないし、あるいはまたほっておいてもいいわという形が今日まで来たわけであります。やはり観光を進める場合にどうしても問題になるのは、どこかで観光のことを考えて一生懸命やらなければいかぬということで観光基本法ができたわけですから・それに従って総理府がここでまた長官のほうを通じてあなたも御検討しておいていただきたいことは、観光政策審議会をもっと積極的に活用をしてもらうということです。そしておくれている省の問題について、たとえば外務省に対して、観光外客に対する査証の問題についてはいろいろ議論があるけれども、観光という立場から考え検討してみたらどうだ、こういうようなことを外務省なりあるいは観光政策審議会という立場でやはり出していってもらうことだと思うのです、観光政策審議会から観光外客についての査証の問題についてこういう意見が出てきた、そのことによって外務省もまた新しいものの考え方をしていくと私は思うのです。それをやらない限り、運輸省観光局は孤立して考えるといいますか、あるいはまた観光局のほうからの注文によって考えるというだけで政策というものは進まないわけでありますから、やはり一つ一つ取り上げてみて、過去に問題になった点については、せっかくできた観光政策審議会は、委員のメンバーもみな各界の相当有力な方々ばかりでありますから、無理な結論は出ないで常識的な結論が出る、そしてそれが施策として各省の中にしみ通っていくということで、前向きな使い方というものをぜひお願いをいたしておきたいと存じます。  次に今度は観光局のほうにお尋ねいたしますが、最近の観光国際収支状況はどういうふうになっておりますか。
  32. 梶本保邦

    梶本政府委員 国際収支を三十八年度で申しますと、為替ベースで受け取りが七千三百万ドル、支払いが八千百万ドルということになっておりまして、観光の面から考えてみました場合には赤字になっております。本年度は約一億二千万ドルくらいの受け取り、支払いを予想いたしておりまして、オリンピックもあることでございますので、黒字になるのではなかろうか、このように見通しを立てております。しかしただいま申し上げましたのは、いわゆる為替ベースでございまして、運輸省としましては、前々から申し上げております外客消費額ベースというものをこれとは別にとっておるわけであります。これによりますと、最近の統計は一人一日大体四十ドルないし四十五ドルの交通機関に対する支払い、みやげ物の購入に対する支払い、ホテルの代金等支払い、こういったものの、要するに日本国内における消費ベース、このように考えておる次第でございます。ただ為替ベース外客消費額ベースというもの、この問題がややもしますと混同して考えられがちでございますけれども、運輸省としましては、外客消費額ベースというものを中心に考えておるわけでございまして、その面からいたしますと、昨年は一億九千万ドル、六百八十億円の外客消費額であった、このように推定をいたしております。
  33. 勝澤芳雄

    勝澤委員 最近の観光外客状態と、それから日本から海外に渡航する旅行者状況はどういうふうになっておりますか。
  34. 梶本保邦

    梶本政府委員 最近一年間では、入ってきた外客が三十万五千人、出ていきましたのが十八万人でございますから、大ざっぱに申しまして、日本へ来るお客さんの六割が日本人の数として外国へ出かけていっておる、一〇対六の比率である、このように御了承いただきたいと思います。
  35. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで観光基本法がつくられてから、観光局としては今日まで法律を出されて整備を急がれているようでありますが、これからこの基本法に基づく肉づけといいますか、そういうものについては、どういう点をお考えになって、どんなスケジュールをもって行なおうといたしておりますか。
  36. 梶本保邦

    梶本政府委員 観光基本法を御制定いただきまして一番喜んだのは運輸省観光局じゃないかと私は思っております。それが制定公布されましたのが昨年の六月二十日でございますから、約一年になんなんとするわけでございます。この国会で御審議をいただきまして、通過いたしました三つの法律が公布施行になりまして、その三つの法律に伴いますところの政令、省令の公布もともに運輸省としては全部終わりました。したがって、三つの法律とそれに伴う政令、省令が全部一連の法体系として現在公布施行されている、このような状況でございます三二つの課しか観光局にございませんので、一課に一つずつの法律ということで進んだわけでございますが、この次に考えておりますのは、やはり昨年の基本法を御審議いただきましたときから国会において御審議の対象となりましたもろもろの問題を中心に、今後施策を進めていきたい、かように考えております。  そのまず第一が、いわゆる旅行金庫法の問題、それから修学旅行をどうするかという問題この問題は特にこの国会におきましても、衆議院、参議院を通じまして御審議の対象になった問題でございまして、この問題を何らかのかっこうをつけなければいけない、かように考えております。それから先般社団法人日本観光協会の第一回通常総会が開かれたのでございますが、そのときの議題等を見ましても、観光事業に対する融資というものが非常に重要性を持っておるというように考えております。そのような意味で、観光事業に対する財団をつくって、その財団を中心に抵当権を設定するという方法、たとえば鉄道抵当法に対応するような観光事業財団抵当法というようなものをつくっていくべきではなかろうかというふうな考え方も持っております。それから国際観光ルート、先ほども御指摘になりましたこの問題は、残念ながら運輸省関係各省との間にはまだ根本的な意見調整はできておりませんけれども、運輸省としましては、観光基本法一つの憲法であるから、憲法に基づく子供の法律、子法として、観光ルートについての何らかの法的な規制というものが要るのではないか、それでなければちっとも前向きに進まないのではないか、このような考え方立場をとっておるわけでありますけれども、いろいろ諸般の情勢が法律の制定を待ち得ないような状況のようにもうかがえますので、近く何らかの結論を円満に出さなければならないんじゃないか、かように考えておる次第でございます。  以上、申し上げましたような問題がさしあたりの問題として、この次の国会あたりを対象に、目下検討をいたしておる問題でございます。  それから先ほど先生から第三条の地方公共団体施策というものは、国の施策に準じて行なわなければならないとなっておるが、これについてどういう施策をとったかという御質問でございました。これにつきましては運輸省としましては、まず都道府県の総元締めであるところの自治省に対して働きかけをいたしました。そして自治省と話がつきまして、去る五月三十日に運輸事務次官から自治省の事務次官に対しまして、今度の観光基本法の精神に基づいてこのような法的な整備を行ない、このように機構改正を行なった。よって、自治省としては地方公共団体に対してよろしく御高配願いたい。このような依頼の書面を出しました。その依頼の書面に基づきまして、自治省の事務次官名で都道府県知事に対しまして、同じ日付の五月三十日付で運輸省からのこのような書面が来ておるが、観光の重要性が近年とみに高まってきておるので、関係都道府県においては十分に援助するようにと、このような公文書を、都道府県知事に事務次官名で出していただいております。そのようなことで、運輸省としましては第三条の地方公共団体施策につきましても一歩前進をした、このようなつもりでおるわけでございます。要するにこの基本法が憲法でございますので、この精神にのっとってすべての施策を進めていきたい、これが運輸省観光局のとっております根本的な立場でございます。
  37. 勝澤芳雄

    勝澤委員 総理府のほうもよく聞いておいていただいて、ひとつ一緒に進めてもらいたいと思うのです。  そこで、最近産業観光についてだいぶ進んでいるようでありますけれども、これはどんなふうに取り上げられて、どの程度まで進捗されておりますか。
  38. 梶本保邦

    梶本政府委員 産業観光の問題につきましては、観光基本法の中にもそのような思想が盛り込まれておるわけでございまして、前回の当小委員会におきましても御審議いただきました問題でございます。ただいま運輸省としましては実は交通公社と連絡をとりまして、産業観光という問題を大々的に取り上げるという方向で進めております。交通公社としましてはいろいろ私どもと検討いたしました結果、いわゆる四大証券を中心にいたしまして、これらの関係のある会社というものを網羅しまして、そして一つ観光ルートというものをつくっていこうという考え方で、ただいまもうその仕事としてはスタートいたした次第でございまして、どうしてもこの問題については今後うんと馬力をかけていきたい、かように考えております。  それから、その産業観光に関連いたしまして、諸外国でございますように、たとえばダイヤモンドの工場を見るとか、香水の工場を見るとかいった場合に、直ちにそこで買い得るような施策と申しますか、制度、それから免税物品購入票をもらって、それを持ってこなければ免税で買えない。したがって、その購入票は日本現状では羽田空港で渡しているわけでございます。飛行機からおりてこられるお客さんに、こちらから無理やりに渡すように渡しておるのじゃなくして、向こうのほうから希望があった場合に渡すというふうな、運輸省から見ればいささか消極的な渡し方でございますが、これじゃ困る。もうとにかく一切がっさいおりてくるお客さんに対しては積極的に無理やりにでもその免税物品購入票を渡すようにしてもらいたい。そうしませんと、たとえば銀座のそういった店に買いに行く、購入票をもらっていない。そうするとお店の人がわざわざそのお客さんになりかわって羽田まで往復してもらってくるというふうなていたらくでございます。これじゃ一体何するのだというふうなことで、せめてこのオリンピック期間中だけでも、パスポートを見せれば、諸外国と同じように免税で物品が購入できるようなシステムにしてもらいたいということで、ただいま大蔵省と話をいたしておりますが、これは大体うまくいくのではないだろうかというふうに見通しとしては考えておる次第でございます。産業観光もさることながら、産業観光に付随するそういった制度等につきまして、運輸省としましては、この機会に積極的に進めていきたい、このように考えております。
  39. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それから次に、ガイドの状況ですが、いまの現況あるいはオリンピックに対する対策といいますか、こういう点はどういうふうになさっておりますか。
  40. 梶本保邦

    梶本政府委員 ガイドにつきましては、これもいつでございましたか、これは運輸委員会であったかと思いますけれども、お話し申し上げましたのでございますけれども、本年度は御承知のとおり臨時試験を施行いたしたわけでございます。臨時試験につきましてはもう第一回の試験が済み、第二回の試験も済みまして発表をいたしております。その中で講習会を開きまして、そうしてその講習会の最後に試験を行なって合格者をきめる、このような方向に進んでおります。受験者は臨時試験のほうは全部で四百八十九名ございまして、大体二百人は合格されるであろうというふうに見通しを立てております。それから本試験のほうは来たる十日ごろに大体第一次の発表ができるというふうにただいま事務的準備を進めております。それが済みますと、口述試験等を行ないましてきめるわけでございますけれども、大体昨年の合格率をそのままことしも合格率としてかけますならば、本試験の合格者予想は約五百八十名、こういうことになっております。  もう一つは、筆記試験に通って口述試験に不幸落ちられました方につきましては、もう一年、翌年口述試験だけをお受けいただく特権があるわけでございまして、いわば再試験をするわけでございますが、そういう方々が大体合格者として百二十名ほど見込んでおりますので、合計、本年度としましては約九百名くらいの合格者がある、このように運輸省としては考えております。しかし、これだけでは足りませんので、もうすでに本年度の予算編成のときから、これも前々から申し上げておることでございますが、バッジを胸につけていただく、そうしていわゆる民間外交としての実をあげていただくというふうな意味合いからの予算でございますが、これは予算としましては二百三十万円大蔵省が認めましてこれを計上をいたしております。これは約一万個バッジをつくることでただいま準備が進められております。  それから、その次にはいわゆるガイドというわけではございませんが、小さな手帳に片一方のページには英語、片一方のページには日本語を書きまして、全然ことばができなくてもそれを手で押えれば、ああこの人はこれを言っておるんだなということで意味が通ずるというふうなもので、予算を計上しておりますのが百二十万円ございます。これもオリンピックまでにはもちろん完成いたしまして、これを無料で羽田空港で全部のお客さんに配りたい、このような準備をいたしております。したがいまして、本試験のガイド試験のほかに臨時試験を行ない、それからバッジ等によるところの民間外交の実をあげていただく方法、それから小さな手帳等によるところのことばが話せなくても意味が通ずるような方法、こういったいわばあの手この手を考えて円満にオリンピックを迎えたい、このようなつもりでただいま準備を進めております。
  41. 勝澤芳雄

    勝澤委員 このガイドはまとまった団体として日本ガイド協会ですか、こういうものがあるようでありますが、これはどういう団体で、いまどういうふうに運営されていますか。
  42. 梶本保邦

    梶本政府委員 これは運輸省認可の社団法人でありまして、社団法人日本観光通訳協会というのが正式の名称でございます。会長は横田巌さんとおっしゃる方でございまして、この方は鉄道省の先輩の方で、戦前ロスアンゼルスの事務所長などをなすったその道のべテランでございます。加入しております会員は約八百人でございます。これがやはり一つの問題でございます。つまり試験に合格して免許状を持っておるけれども、その社団法人に加入していないという方の数のほうが多いわけでございまして、これは現在の試験そのものがほんとうにガイドをするよりも、民間の会社等に就職される場合に、いわば一つの箔をつけるような意味で、この試験が利用されているということによるものだと考えておりますけれども、要するに協会に入っている人の数のほうが少ない。その八百人ほどの人が入っておりますその協会が、年に二回くらい講習会を開いております。この講習会に対しましては、国からは補助金は出しておりませんけれども、例のモーターボート競走法による利益金を観光事業に対して補助し得るという法律改正を二年前にしていただいておりますけれども、あの法律改正の結果、ただいま申し上げましたガイド協会の講習会に対しまして、船舶振興会のほうから補助金を出すというふうなことで、国としては直接予算を組んでおりませんけれども、そのような方法で援助をいたしておる次第でございます。特にオリンピックを控えまして、ついせんだっても一週間にわたる講習をいたしたような次第でございます。
  43. 勝澤芳雄

    勝澤委員 組織されている人と、それから加入していない人では、加入していないほうが多いということですが、これも私よくわからないのですけれども、これはやはり方向としては協会を中心としてガイドの編成といいますか、こういうことが行なわれるほうがいいのですか。それはどういうふうにお考えになっておりますか。
  44. 梶本保邦

    梶本政府委員 社団法人でございますので、役所のほうから強制的に会員になれというわけにもまいらない実情でもございます。それからガイド試験に通って免許状を持っておられる方が、たとえば民間会社なり銀行なりにおつとめになっておられる。それらの方々に対してガイド協会に入りなさいというわけにも、これまた本業があるわけでうまくまいりません。結局ガイドだけを専業にされる方の社団法人、こういうふうなことに結果としてはならざるを得ないような実情でございます。ところがよく考えてみますならば、会員がふえればふえるほど、いわば自分の職域におけるライバルがふえるというかっこうになってまいるわけでございまして、この間実にいろいろむずかしい複雑な問題もございます。全員が会員になってもらうような方向で進めたらどうかというふうな気持ちで私自身もこの問題と取っ組んだこともあるのでございますけれども、結果としてはいろいろ複雑な事情があるということもわかりまして、現在では加入しておられるその八百人の方を中心に、ガイド協会として社団法人の活動をしていただくというふうなことで進めておる次第でございます。もちろん社団法人であります以上、また試験制度があります以上は、試験に合格されました方が一人でも多くこの協会に参加していただくというのが本来の姿であることには間違いない、かように考えております。
  45. 勝澤芳雄

    勝澤委員 このガイドというのは何か免許証ですか、そういうのがあるわけですね。これは何年間ときまっているのですか。書きかえとか、そういうことはどうなんですか。
  46. 梶本保邦

    梶本政府委員 基本法規は通訳案内業法という法律でございますが、これはお手元の観光小六法の百七十七ページにございます。それから百七十八ページの第八条に免許の更新というところございます。「第三条の免許は、五年目ごとに、申請により更新を受けなければ、その効力を失う。」ということになっております。いわば運転免許状の更新と同じように御了承いただければいいのじゃないかというふうに考えております。
  47. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それで、このガイドさんの働く条件といいますか、働く時間なりあるいは賃金なり、こういうものはどんなふうにきめられておるのですか。あるいはおらないのですか。
  48. 梶本保邦

    梶本政府委員 このガイドの料金につきましては、別に登録制も認可制もいまのところとっておりません。要するにガイド協会が中心になりまして、あまりダンピングが行なわれることも困りますし、また不当に高くなっても困りますので、ガイド協会のほうで大体の基準をきめている、これが実情でございます。  それからガイドの実際に行なっておる形態でありますけれども、これは相手のお客さんによりまして、その方が日本を回られる間じゅうずっとついて回るようなガイドもございますれば、一日のうちの一定時間だけというのもございますから、この勤務の形態というものはおそらく旅行の形態がまちまちであるのに相応して、まちまちの勤務形態ではないかというふうに考えております。  先生のおっしゃられんとする給与体系と申しますか、賃金体系の問題につきましては、これは認可制をとらない限りは他の料金制度と同じようなかっこうにはいかないのではないか。さりとてガイドさんの側に立っての問題というものもいろいろあるわけでございますから、それはいわゆる旅行あっせん業者のほうに対する行政指導として、運輸省のほうがあっせん業の登録の申請があったときにそのような指導を行なうというふうなことで、この問題を一歩でも二歩でも解決しようじゃないかというのがただいまの状況でございます。
  49. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それでは、最近いろいろ陳情を受けたといいますか、聞かれて私も参考になった二、三の点について質問をいたしてみたいと思います。  一つは、族館業者から、いま各役所やあるいは会社の持っている寮、これが観光業者としては営業の上からいって少し差しさわりがある、何とかこれを取り締まるといいますか、何か方法がないかという質問を受けたわけであります。いや、役人は月給が安いから福利厚生施設としてそういうものをつくっているんだ、旅費が安いからと言ったら、では旅費を上げてくれればいいじゃないか、族費を上げるのは総理府だそうですけれども、旅費を上げてくれればいいじゃないか、せめてよそへ出たときに人並みの族館に泊まるような族費にしてくれたらいいじゃないかというような話がありましたけれども、これは運輸省としてこの旅館を育成していくといいますか、そういう立場にある点からいって、こういうものについての取り扱いはどういうようにお考えになっておりますか。
  50. 梶本保邦

    梶本政府委員 御指摘のとおり、運輸省としましてはいわゆるホテル、旅館に対する助成ということを考え立場にある役所でございまます。したがいまして、特に旅館側からただいま御指摘のような問題が問題としてあることは私ども承知いたしております。それはどういう問題かと申しますと、よその省にわたるのでどうも言いにくいのでございますけれども、一番旅館業界で問題にいたしておりますのは国民宿舎でございまして、運輸省所管いたしておりますユースホステルは飲酒は絶対にまかりならぬということでございますし、セルフサービスですし、夫婦といえども別々にとまらなければならないというふうに、非常に規律が厳重でございます。ですから、公営のユースホステルについてはけっこうです。ああいうものをつくらしていただくことはよろしいといっております。しかし、国民宿舎におきましては、要するに酒を飲むことも自由である、それからそのほかに旅行に伴いがちのこともあるというふうなことで、一般の旅館と同じような営業形態じゃないか、何のための国民宿舎なんだということを旅館業界からも私ども耳にいたしておりますが、残念ながら国民宿舎につきましては運輸省所管じゃございませんので、ちょっとよその省にわたりますので私も言いにくいのでございますけれども、そういう問題がございまして、これはやはりどこかで線を引いてすっきりさせなければならない問題じゃないかというふうに根本的には考えております。
  51. 勝澤芳雄

    勝澤委員 なかなかつつきにくい話でございますが、聞きました。だれかが言わなければならぬので、どっちの立場ということでなく聞いておるのですけれども、やはり総理府観光政策審議会ですか——しかし政策ではなく小さい問題だというかもしれませんけれども、観光業者の旅館の立場から見ると、もっともな言い分だなという点もあるわけです。ですから、その点は各役所で持っている、あるいは会社や工場で持っている寮、クラブなど、熱海なんか行きますとクラブのほうが多い。なんだと言ったら、あれは脱税のためにやっているんだというような話を聞きますけれども、それは別として、何かそういうものの基準、標準といいますか、取り扱いといいますか、これはおもに大蔵省になるのでしょう。ですから、そういう点でぜひこれは一度何かの機会に御検討していただきたいと思うのです。運輸省は専門的立場ですから、ユースホステルをつくるといえば各県ともぜひつくってくれという要請があるだろうし、同じ国民宿舎のほうですと、おれのところは困る、おれのところも困ると言って、県の観光協会も実は取り扱いに困っておる。しかし、つくってもらいたいという悩みがあるわけですね。いま局長が言われたとおりです。そういう点についても、この際ひとつ見直すといいますか、検討していただきたいと思うが、いかがでしょうか。
  52. 有田輝彦

    有田説明員 実情をよく調べました上で、観光政策審議会審議を願った  ほうがいいということになりましたら、そのように取り計らいたいと思います。
  53. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それから、これももう一つ。言わなくてもいいらしいのですけれども、やっぱりいつかどこかではっきりしたほうがいいというので言うわけですが、旅館の使っている送迎用のバスです。自動車です。これは運輸省の中の自動車局との問題だと思うのですが、黙っているほうがいいらしいから黙っている、いや取り上げてきっちりしてもらわなければ困るという意見がいろいろ錯綜しているようであります。実情は、こんなものを検討するのは困難だと思いますけれども、いまのこの自動車の状態からいって、あるいはお互いのサービス競争からいって、どうしても、この旅館のマイクロバスというのですか、必要性があるようでありますし、また各所に行くと使っているところもあるし、取り締まりがやかましくてなかなか使えないというところもあるようです。この点についてもあまりけんけんがくがくの議論をすると迷惑をする人もあると思いますので、ひとつ何か前向きな形で、運輸省の中同士で検討をされて、現状よりもよくなる方向で研究していただきたいと思うが、いかがでしょうか。
  54. 梶本保邦

    梶本政府委員 一番むずかしい問題を御指摘になりましたのでございますけれども、特に旅館の送迎用のような、いわゆる自家用バス、料金を取らないでやるという自家用バスについては、これは私の記憶にあやまちがなければ、当初の道路運送法では免許を要しませんでした。それが途中で免許が必要であるというふうに道路運送法の改正が行なわれたわけでございます。その行なわれました直後に、私のことを申し上げて恐縮ですけれども、私が地方の陸運局長に赴任したわけです。それでやはりその問題が、観光地を控えております大阪の陸運局でございましたのでいろいろ問題になりました。しかし、法律は免許が必要だ、ところが、実際には免許を取らないで自家用としてほんとうに自分のところのお客さんだけを送迎しておるというふうなことで、要するに世間の実情というものと、それから法律というものとの間にギャップがあることをいやというほど十分知らされたわけでございます。一つにとった方法は、その地域で営業しておりますところの既存の業界と話を円満につけさせて、そうして、いわゆる白タクならぬ白バスでございますが、その白バスを適当な価格で買収をして自今やらないというふうな方法をとったところもございますし、その話がうまくいかなかったというところもございます。この問題につきましては、御指摘のとおり、非常に大きな問題でございます。自動車業界の最近の推移と申しますか、世間における自動車というものの考え方がだんだん変わってきつつあるように思いますので、この問題は非常に大きな問題でございますので、先生の御趣旨をさっそく私きょう自動車局長にお伝えいたしたいと存じます。
  55. 勝澤芳雄

    勝澤委員 自動車局長を呼んで一緒に話をしようかと思ったのですけれども、なかなかどちらとも言いがたく、しかも取り上げることすら少し疑問が——疑問というか問題があるような気がいたしましたけれども、やはり実情からいってほって置くわけにいかないと思うのです。先ごろ簡牛さんが委員長をされているときに、九州の観光地を回ったときに、こういう問題についていろいろ陳情を受けました。そうしてまた一つの例として、これは観光には直接関係がありませんけれども、その町にハイヤーが三台しかない、そうしてその町から病院へ連れていくには、なかなか車がないので、役場でもって病院に送るためにちょっと大きな車を使って、そうして病人があると連れていく、それが許可にならなくて困っておる、何とかしてくれということで、現地で簡牛先生と相談をしながら解決した例もあるわけでありますけれども、なかなか法律の上からいってむずかしいようであります。またこの旅館の送迎用バスも一つの盲点といいますか、一番むずかしいものになっているんじゃないだろうかと思います。しかし、むずかしいからといって、うまくやっているところと、どうもうまくやっていないところとあるようですし、ですから、これは、あまりつつくことはいいことか悪いことかよくわかりませんけれども、やはり何らかの形で解決しなければいけない。最近私も東京へお客さんが来まして泊めましたら、旅館からサービス券ということでハイヤーのただ札を呉れたわけであります。そうして駅へおりたら乗ってきてください、帳場へこの札を出せばハイヤー代を払います、こういう旅館も出てきた。なるほど激しいものだと思った。しかし、別にサービスしたわけじゃないでしょう。宿泊料の中へ入っておったかもしれません。これはマイクロバスも同じことだと思うのです。ですから、いろいろ検討されると出てくると思いますが、ぜひ御研究をして、私が質問したために悪くなったりたいへんなことにならぬように十分配意していただきたいと思います。  それではこれであとの質問はこの次に譲りますけれども、旅行金庫法あるいは修学旅行の関係につきましては、次の機会に関係の省の方に出てきていただいて質問をすることにいたしまして、一応質問を終わります。
  56. 高橋清一郎

    ○高橋小委員長 ほかに御質疑はございませんか。——それでは本日はこれにて散会し、これより懇談に入りたいと存じます。    午前十一時三十分散会