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1964-05-26 第46回国会 衆議院 運輸委員会 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年五月二十六日(火曜日)    午前十時四十分開議  出席委員    委員長 川野 芳滿君    理事 塚原 俊郎君 理事 西村 直己君    理事 山田 彌一君 理事 久保 三郎君    理事 肥田 次郎君 理事 矢尾喜三郎君       佐々木義武君    進藤 一馬君       中馬 辰猪君    西村 英一君       細田 吉藏君    勝澤 芳雄君       泊谷 裕夫君    野間千代三君       山口丈太郎君    内海  清君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 綾部健太郎君  出席政府委員         運輸事務官         (大臣官房長) 佐藤 光夫君         運輸事務官         (海運局長)  若狭 得治君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      廣瀬 眞一君  委員外出席者         運輸事務官         (船舶局監理課         長)      佐原  享君         運 輸 技 官         (船舶局造船課         長)      千葉  博君         日本国有鉄道副         総裁      磯崎  叡君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案(  内閣提出第一〇八号)(参議院送付)  日本国有鉄道経営に関する件(国鉄職員の給  与に関する問題)      ————◇—————
  2. 川野芳滿

    川野委員長 これより会議を開きます。  日本国有鉄道経営に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎
  3. 久保三郎

    久保委員 先般、公労協の仲裁裁定が出たわけであります。これに対して政府は今後それぞれ所要措置をとることと思いますが、裁定の中身についてはそれぞれの場所でまた質問が出ると思うのですけれども、私はおおむね裁定に従うという前提に立って 政府所要措置について若干お尋ねしていきたいのであります。  その所要措置の前に一つだけ、裁定について国鉄にお伺いしたいと思います。裁定理由の中の格差でありますが、この格差について裁定考慮した、いわゆる本企業体のほうが低位にあると認めるということで九・五%となったのでありますが、従来国会の中でも論議されましたように、国鉄職員労働の質について、実は政府もこれを是認しておった、あるいは国鉄総裁はじめ国会を中心にして是認されたと思うのですが、今度の仲裁裁定では、かかる国鉄職員労働の質が低位にあると認められた格差について十分考慮されたとはわれわれは思わない。考慮はされたがそれは一部である、こういう考えをしておるのです。聞くところによりますれば、大体二千六百円程度格差は認めるべきだろうという意見も出ているそうであります。しかし一挙にこの格差を縮めるわけにはまいらぬので、そういう政治的な、財政的な配慮から、今年度はその一部の格差を埋めた、こういうふうにとっているわけであります。あらためてお尋ねしたいのは、こういう格差が今日ただいまでも残ると思うのだが、それはどういうふうに見ておられますか。
  4. 磯崎叡

    磯崎説明員 今回の給与改定に際しましての国鉄職員格差問題につきましては、結果的に申しますと、ただいま先生がおっしゃいましたように、国鉄が九・五%、一般が六・五%でございますので、三・〇%の格差がついていることになるわけでございます。ただいまの御質問の中にございましたとおり、私どもは調停の段階におきまして、いろいろな計算から出しました格差は、お聞き及びのとおり、二千六百八十円という格差を一応出したわけであります。これは労働省が賃金センサスをいろいろ検討いたしまして、主としてラスパイレス方式によりまして年齢と勤続年数別による賃金格差から、予算上の超過勤務とか特別勤務手当などの平均を除きましたものの算術平均をよその公社と比較した数字でございましたが、過般の仲裁委員会仲裁裁定におかれましては、そういう立場をおとりにならずに、裁定書にございますとおり、仲裁委員会としては規模百人以上の全産業公共企業体とをじかにお比べになっております。それでこの裁定書の中にございますとおり、規模百人以上の全産業公共企業体等の一般的な賃金水準との間には特に問題とするほどの差異は認められなかったが、本企業体、すなわち国鉄の分のみの比較においては、本企業体、すなわち国鉄のほうが低位にあると認められたので、この点について考慮した、こういう裁定理由書になっております。したがいまして、私どものとったラスパイレス方式と違いまして、こういう全然別の立場で検討された結果、他の企業体に対しまして三・〇%の格差つけ裁定を出されたのであります。したがいまして、先ほど申し上げました二千六百円何がしと今度の三%とを同じ立場で比較するわけにはまいらないと思います。すなわち二千六百円マイナス千円というような数字ではございませんが、ただ先生のおっしゃったとおり、この仲裁裁定によりまして全部格差が完全に埋まったとも考えられないわけであります。ことに過般来私のほうで総裁が特に主張しておりましたよその企業体と比較いたしまして、業務の質の問題あるいは責任問題等において、よその公社に比較して高くあるべきだという点については、今回全然触れておられないわけでございますので、そういった問題は今度なお残る問題かと思いますが、同時にやはりただいま先生の御質問のとおり、当然国鉄経営内容についても考えなければいけないことだと思います。仲裁委員会もその点についてやはり考慮を加えられた上で今回の裁定を出されたと思います。したがいまして、私どもといたしましては、なお将来の問題といたしまして、職員の職務の内容責任に応じた賃金というものを国鉄経理状態とにらみ合わせた上で考えていかなければならない、こういうふうに思っておるわけでございます。
  5. 久保三郎

    久保委員 そこで運輸大臣にお尋ねするわけですが、仲裁裁定が出まして、特に大臣の所管である国鉄職員に対する問題は、大臣等関係者の御努力もあって、多少賃金格差についても認められたと思うのでありますが、ただいま磯崎総裁からお話があったとおり、いずれの方式をとるにしても、労働の質なり、その責任というか、そういう観点からするならば、今度の仲裁裁定で一応その線は埋まったというふうには考えられないと思うのですが、大臣としてどういうお考えでおられるか、その点を伺います。
  6. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 御趣旨のとおり、私どもは、三公社五現業のうち、ほかの二公社に比較しまして質量とも国鉄労働が非常に精神的に時間的に苦しい実情はよく認識しております。今度の改正で、理由のいかんにかかわらず、若干の差額をつけたということにつきましては、仲裁裁定に対して深く敬意を表しておりますが、これをもって満足をすべきではなく、私どもといたしましては、根本観念がすべての企業は人の力にあるということでありますから、どうしても質のいい労働と質のいい環境においてみなが健康を保ちながら愉快に働けるようにするために、格差その他につきましても、あるいは厚生施設につきましても、今後万全になるよう努力をいたす所存でございます。
  7. 久保三郎

    久保委員 次には仲裁裁定に対する政府並びに国鉄財源措置でありますが、これについてどういうふうに考えておられるのか、まず運輸大臣からお考えをお聞きしたいと思います。
  8. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 理想論から申せば補正予算を組んでやるのが一番いいのでございますが、補正予算を組む前提が、あるいは租税の収入見通しであるとか、その他見通しがまだ政府においてはつきません。そこで、それじゃ補正予算を組まずにもやっていけるのかということにつきまして、国鉄当局におきましても非常な努力を払いまして、まずある時期まではやっていけるという確信のもとに、仲裁裁定を完全実施するよう努力してまいりたいと思います。それではどういう捻出方法をやるかと申しますと、まず六十五億の予備費のうち五十億を流用いたしたい、かように考えております。そのほか捻出の金額は資産充当四十五億、そのうち繰り越し資金十五億、不用物売却三十億、それで四十五億、雑収で二十億、それから移流用と申しますか、ほかの費目を、特別退職給与金のなにをあと回しにして流用いたしまして、来年度予算で中へ組み込むと申しますか、踏み込んで、その間で百五十二億、合計二百六十七億を捻出いたす所存でございます。
  9. 久保三郎

    久保委員 総額で二百六十七億になりますか。その程度ですか。
  10. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 二百六十七億が所要資金でございます。
  11. 久保三郎

    久保委員 いま大臣お話だと、予備費六十五億のうち五十億、さらに資産充当四十五億、その内訳として不用資産売却が三十億、前年度繰り越し金十五億、それから増収分というか、雑収増収で二十億を見込む、あるいは特別退職金二百四十億の繰り上げというか、これに入れる、そのほかに——ちょっと足りないですね。
  12. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 大臣はひっくるめておっしゃいましたが、移流用が百五十二億でございます。したがいまして、予備費流用五十億、資産充当が四十五億、運賃収入でない雑収の二十億、移流用の百五十二億、合わせまして二百六十七億であります。この移流用の百五十二億の内訳を申し上げますと、特退のうちから流用しますのが百二十二億、それから三十億は工事単価の引き下げその他の節約でございます。
  13. 久保三郎

    久保委員 そこで副総裁にお尋ねするのでありますが、この予備費の中から五十億、残りは十五億であります。災害が出なければ問題ないと思うのでありますが、災害でも出たときには、政府部内でこれは直ちに補正をするという約束でもあるのですか。
  14. 磯崎叡

    磯崎説明員 予備費六十五億を過般の予算でお認め願ったわけでありますが、そのうちから今回五十億をこちらのほうに回したいと考えております。残り十五億でやっていけるかという御質問でございますが、大体過去の非常に大きな、たとえば伊勢湾台風とかそういった特殊の災害のない過去十年間の実績平均いたしますと、そういった特殊な災害予備費は大体十五億ないし十七億、平均して十六億前後というのがいままでの実績でございますので、ことしの秋等考えられます災害等につきましても、平年度どおりならば大体やっていけると考えておりますけれども、もし非常に大きな災害等が起こりましたら、そのときには当然補正を組んでいただくというふうに考えておるわけでございます。
  15. 久保三郎

    久保委員 次には資産充当でございますが、当初予算というか、三十九年度予算幾ら組んでございますか。
  16. 磯崎叡

    磯崎説明員 資産充当のうちのいわゆる不用施設売却収入は四十一億であります。
  17. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、先ほどの大臣の御説明は、売却で四十一億、そのうちの三十億を充当するという意味ですか。
  18. 磯崎叡

    磯崎説明員 これは四十一億に、さらに努力いたしまして、三十億を加えるという意味でございます。
  19. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、資産充当はひっくるめて幾らになるのですか。
  20. 磯崎叡

    磯崎説明員 七十一億でございます。
  21. 久保三郎

    久保委員 かなりの資産充当になりますが、この資産充当を、当初予算を組むときと今日の事情でそんなに四十五億もふくれ上がるというか、そういうのは非常に奇異に感ずるのであります。そういう目当てがあって、四十五億を計上するわけですか。
  22. 磯崎叡

    磯崎説明員 その点につきましては、過般四十一億の予算を計上いたしました昨年の七、八月ころの実態から、最近のいろいろ各管理局ごと不用資産実情を調べまして、もちろん相手方のあることでございますので、三十億に完全に売れるかどうかは多少の疑問がございますけれども、主として不用になりました業務機関あるいは宿舎などの用地、建物等を克明に拾いまして、何とか三十億前後のものは売却いたしたいというふうに考えておるわけでございます。もちろん値段の問題もあるわけでございます。極力これは努力——後ほどの節約等の問題とからみますが、裁定書にもございますとおり、労使一体となって善処しろという強い御指示でもございますので、この点につきましては、残るくまなく管理局不用財産をさがしました上で、できるだけ早く売却するという措置をとってまいりたいというふうに考えておりますが、非常に大きな努力をしなければならないと考えております。
  23. 久保三郎

    久保委員 大体目当てがある程度あるのだろうと思いますが、資産充当といっても、いまお話があったように、相手のあることでありまして、売却がスムーズにいくかどうかというので、かなり狂いがくると思うのであります。しかもまた値段問題等においても、これは売り急げば急ぐほど安くなるとかいろいろあると思います。必ずしも予算の立て方としては資産充当などを重点に置くべきではない。しかしいまお話があったように、三十億くらいプラスして七十億以上のものをやるということでありますが、当初予算につけた四十一億というものは確定でありましょうね。そうしますと、この確定以外にさらに三十億でありますから、かなり大きな資産売却しなければならぬと思うのです。こういう方法でやっていいのかどうかという問題が予算性格上からも一つあるわけですね。資産充当は、いうならば、これは不用資産でありますから、新しく有効な資産を取得するということがたてまえだと私は思うのです。そうでないと、資産を切り売りしてタコ配的なものになってしまうので、こういうものは大体こういうものに予算を充当するのが原則的ではないだろうかと思いますが、こういうことはどう考えておりますか。
  24. 磯崎叡

    磯崎説明員 主として私のほうで持っております土地でございますが、御承知のとおり、宿舎等につきましては相当平面的に使っておりますので、これをなるべく立体的に使うというような方法によってその余地を生み出とすか、あるいは業務機関等が相当小さい建物がたくさん方々に散らばっておりますのを集約するとかいう土地建物の合理的な利用を考えました上でやってまいるというのが一つと、それからできれば新幹線につきまして、やむを得ず売り手側の意向のために、多少国鉄で必要とする以上の土地を買わされたところもあるわけでございます。そういったところの売却も当然考えなければなりません。いろいろそういう新しい、去年予見できなかったような土地建物等をさがしまして、何とか三十億程度のものを生み出したい、こういうふうに考えておりますが、もちろんそれは当然ある場合には先生の御指摘のとおり新しい財産に変えるべき性格であるものも相当あると思います。まあそれはそれといたしまして、いままで何となく持っていたというものがもしありとすれば、できるだけそれをこの際思い切って売却するという措置をとりたいと考えております。
  25. 久保三郎

    久保委員 次に、前年度余剰金十五億というものを充当するようであります。決算はまだだと思うのでありますが、決算見込みで大体三十八年度どの程度余剰金が出るはずなんですか。
  26. 磯崎叡

    磯崎説明員 まだ決算につきましては、はっきりした数字は出ておりませんが、大体十五億少し上回る程度予定収入増加というものがあるというふうに、現在の段階で推定されますので、今回計上さしていただきました。
  27. 久保三郎

    久保委員 次に、増収分というか、雑収で二十億プラスするそうでありますが、当初予算では雑収は二百四億ですか、そうですね。それにさらに二十億プラスするわけですが、この二十億プラスというのは、たとえばいろいろな料金がございますね。何かものを貸した場合とか、そういうものやなんかを全部ひっくるめて、これは値上げの傾向にあるわけですか。
  28. 磯崎叡

    磯崎説明員 雑収入予算は、ただいま先生のおっしゃったとおり二百四億でございますけれども、このうちにいわゆる受託工事といたしまして通り抜け勘定が四十億ございます。これを引きますと実際は百六十四億でございます。百六十四億に対しまして二十億の、約一割強の増収でございますので、これも非常に努力しなければならないと考えておりますが、主としてこれは土地あるいは高架下などの貸し付け料あるいは広告料金等運輸雑収入と申しますか、貸し付け料広告料等雑収入をやはり増収するためにある程度値上げをしなければいけないというふうに考えておるわけでございます。
  29. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、これはいまのお話のとおり、値上げ分で約二十億見込もう、こういうことになるのですね。値上げといっても相手のある仕事だし、しかもこの値上げ実情に合わぬ場合は、なかなか収入の確保といってもむずかしいと思うんですね。いうなら不確定要素が多分にこれにもあると思うんですね。  それはまあそれとしまして、次に、先ほど大臣説明では、この年度末の特別退職金を百二十億ほど先食いするというか、このために食うということでありますが、臨時退職手当はたしか予算は二百四十億かそこらだと思うのでありますけれども、そうすると半分だけこれに充当するということでありますか。
  30. 磯崎叡

    磯崎説明員 先ほど大臣がおっしゃいました百二十二億は、ただいま先生のおっしゃいました二百四十億の本年度特別退職手当の中の金でございますので、現段階におきましては約半分の退職金をこちらに流用するということになるわけであります。
  31. 久保三郎

    久保委員 半分流用することになりますと、この退職金は来年度というか、大体三月末の資金に使われるんですね。そうなりますと、来年の特別退職というのは、大体三月にはこのままではできないということにもなりますが、政府部内国鉄の間での話はどうなっているのですか。
  32. 磯崎叡

    磯崎説明員 来年の三月末日までに現在の状況がもし変わらないといたしますれば、ただいま先生のおっしゃいましたとおり、払い得る特別退職手当は約百二十億前後しかないわけでございます。したがいまして、当然、退職手当予算の範囲内のみにおいて認められるという従来の慣例によりまして、本年度におきましては残りました退職手当額限度以上には支払いができないということになりますと、もし、そういう事態になりますれば、たいへんこまかいことで恐縮でありますが、三月三十一日付で当然退職すべき者を翌年度に延ばしまして四月一日付にいたしまして、四十年度決算にする、こういう措置をとらなければならないというように考えております。
  33. 久保三郎

    久保委員 いずれにしても特別退職金の中から半分の百二十億も流用することは、たとえばいま副総裁説明のように、三月三十一日を四月一日に日付をかえるにしても、やはり絶対量としては減っているわけでありますから、これはあとあとへと押されるかっこうになる。こういうのは経営上からいってもあんまり芳しい形ではないと思います。ついては、運輸省としては、こういうものを含めて今後政府部内補正を組むという時期があるわけですね、いま大体四月一日を予定しているわけですか、いかがですか。さしあたっての概念として、いま副総裁説明したようなことも考えられるということなのか、それともそういうことじゃなくて、前向きで問題を解決するという考えでおるのですか、どうですか。
  34. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 ただいま運輸省国鉄から申し上げました数字で、さしあたり今回の仲裁裁定実施ができるというふうに考えております。したがいまして、いまの特別退職手当の約半額の百二十二億の流用と申しますのは、決して好ましいかっこうではございませんが、さしあたりはこういうかっこうでやってまいりたいというように考えております。
  35. 久保三郎

    久保委員 次に、それ以外に工事費の、いわゆる工事の繰り延べ、そういう問題は、この考え方からは出てこぬのでありますか。
  36. 磯崎叡

    磯崎説明員 その点につきましては、非常に私どもも苦心して検討いたしましたが、やはり何と申しましても輸送量逼迫の時期でもあるし、また保安対策等どうしても絶対に切れない工事量がほとんど大部分でございますので、今回は工事の量には一切手をつけないという固い覚悟で進んでまいりたい。したがいまして、先ほど大臣のおっしゃいました工事関係の三十億と申しますのは、主として工事単価節減等の、工事量に影響させないで何とか工事費だけを、数千億の工事費でありますので、努力して少しでも減らしていきたい、こういう努力によって三十億程度のものを捻出したいというふうに考えておるわけでありまして、工事量には絶対影響させたくないというふうに強い覚悟を持っておるわけであります。
  37. 久保三郎

    久保委員 総体的に考えますと、当初予算審議の際にも話が出ておりますように、国鉄改良工事あるいは保安対策についても、なるほど既定計画からいえば、保安対策のごときは、まあまあいっておるかもしれないが、実情から見ればこれは必ずしも満足ではないのです。先般の当委員会国鉄事故に対する小委員会の小委員長の報告についても、国鉄並び運輸省は、それぞれ責任者からお話があったように、これを是認されているわけであります。そうなりますと、予算措置というか、財源措置というか知りませんが、こういうものでさしあたりやっていくということはどうもいかがと思う。一つは、なるほど運輸収入の問題については一つも触れてはおらないようでありますが、当初予算審議のときに申し上げたように、運輸収入は、相当の水増しと言っては語弊がありますが、多額の計上があって、この線に近づけるには相当の苦労が要るだろうということが一つ、もう一つは、この改良工事は、要求に対して約一千億近くへずられているわけであります。そこで窮余の一策として、いま大臣からお話があったように退職金のほうを流用する、あるいは資産充当を背伸びしてやらせる、あるいは雑収入をこれまた料金改定等考えてこれをやっていく、あらゆることでもう突っぱるところは突っぱってしまった感じだと思う。こうなると国鉄経営のうまみというか、いわゆる予算で言うなら弾力的条項というか、こういうものは非常に硬直し過ぎたかっこうだと私は思うので、非常に危険があると思うのです。しかも、御承知のように、この予算原案決定の際に申し上げる事項というのか知りませんが、四百億の債務負担行為というものは、言うならば今日何らのめどもなくて来ておるわけです。四百億なり何なりの債務負担行為が現実化して初めてこの改良工事も十全にいくだろうということで期待を持って実は予算は通過しているだろうと思う。ところが債務負担行為の四百億も今日まだめどがつかぬ、そういうさなかにさらに突っぱりを一そう強くした移流用によってやることは、私は国鉄経営に対してあまり芳しくないばかりか、危険があると思うのです。持にこの多額特別退職金の百二十億の移流用については、よしんば今年度はこれでやるにしても、来年度予算を組むときに、すでに御案内のとおり国鉄五カ年計画改定のときに来ている。そうなりますれば、大幅ないわゆる原資を必要とする。そのさなかに前年度の百二十億という特別退職金がさらにかぶさるということは、決して軽微な問題ではないと私は思うのです。政府もいろいろな都合があるかもしりませんが、われわれとしては少なくとも明らかに経営の展望がきくようないわゆる裁定実施をすべきだろう、そのためには補正を組むべきではないか、こういう考えを持っておるわけなんです。これらを含めて運輸大臣はどう考えられておりますか、いかがですか。
  38. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 先ほど申しましたように、当然予見し得なかったことが起こったのでございますから、本筋はもうあくまでも補正予算でございますが、補正予算を組むにあたりましては、財源見通しがなけらねば、なかなか補正予算財源問題について困難でございます。そこで、まだ年度に入りまして約二カ月でございますが、少なくとも四分の一期、すなわち五、六月とやってみますと、大体税収の見込みその他が立ちますから、財源見通しもつくし、おそらくは政府はそのときに見込みのつきに次第補正予算を組むつもりだろうと私は確信いたしております。何となれば、それが財政予算の理論から言うて本式の議論でございますから、これはあくまでも仲裁裁定の重要性にかんがみまして、完全実施に踏み切るためにはやはりしんぼうして踏み切ろう、こういうことになった次第でございまして、四分の一期が過ぎたときに必ずや私は財源見通しがつく、見通しのついた場合には、先ほど御指摘の債務負担行為等もございますから、何か予算措置をせなきゃならぬ、予算措置をするのには補正予算を組むという以外にないと考えて、そうなるように私は努力していきたいと思っております。
  39. 久保三郎

    久保委員 いずれこの裁定実施に伴う予算措置については予算委員会の開会を要求しておりますので、その席であらためてまたお話が出ると思うので、私はこれ以上今日は申し上げませんが、最後に、この公社の当事者能力の点を中心にして、やはり池田総理が言明されているわけなんです。この点については先般運輸大臣にもお尋ねしているわけでありますが、しかも行管等でも当事者能力を中心にして公社性格、運営についてある程度の試案といいますか、そういうものを出しているように伺っているわけであります。ついては国鉄を中心に、あるいは運輸省を中心にして、こういう公社特に国有鉄道の性格あるいは運営、こういうものについて運輸省も独自な立場から検討を加える時期だろうと思うのですが、池田総理の言明を待たずしてもこれはやるべきだと思うのですが、すでに言明のあった今日、これに対して運輸大臣はいかなる措置をいまとっておりますか。
  40. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 御承知のように鉄道問題基本懇談会というものがございまして、その場所におきまして国鉄はそういういま御指摘のような問題についてもおそらくは論議されると思いますので、その結果を待ちまして結論を出したい、かように考えております。
  41. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 いま大臣がおっしゃいましたとおりでございますが、そのほかに池田・太田会談に基づきまして、政府部内におきましては関係事務次官をもちまして検討を進めておりますので、いわゆる公社の当事者能力というものにつきましてすでに数回会合を開いて、具体的な問題について現在検討中でございます。  なお、先ほど大臣の御発言に私、若干事務的に補足いたしますと、いま補正を組むということは時期的に見て非常に困難であるということを大臣がおっしゃいました。なお、そのほかに現在の段階におきましては、先ほど申し上げました数字でやっていけるというふうに考えておりますので、四百億の問題がございますが、この問題は仲裁の跡始末としまして秋ごろに補正を組むか組まぬかいうことは現在事務的には申し上げかねる。現在では非常に努力を要するかっこうでございますが、政府はこのかっこうでやっていけるというふうに考えております。
  42. 久保三郎

    久保委員 いまの当事者能力というか、そういう問題については事務次官クラスでいろいろやっておるという話でありますが、公社もこの際専売公社あるいは電電公社それぞれございますし、国鉄もございますが、公社という概念一本でいくというのも一つ方法だと思うのでありますけれども、それぞれ企業内容も全然違うわけであります。その追及される目的も違うわけであります。だとするならば、これはやはり運輸省はその関係するところとして国鉄公社のあり方について独自のものを持って、事務次官というもののところへいくべきだろうと私は思うのです。大臣国鉄の基本問題調査会というか懇談会でという話ですが、これは今年度予算審議する際にどうにもならなくて、政府が窮余の一策として基本問題調査会をつくるから、まあまあ国鉄運輸省もがまんしろ、そこで長期展望に立ったいわゆる改良工事を中心にした国鉄の長期計画というか、それの裏づけになるところの資金計画資金の確保というかそういうものを中心にしてここで論議をして、来年からはひとつもっとすっきりしてやれるようにするから、こういうお話でありました。もちろん公社の当事者能力を中心とした公社性格も関係は深いのでありますが、こういう大きな問題をさらに付加されてやりますということになりますと、これは問題の焦点がぼけると思うのです。これは大臣に申し上げたい。焦点がぼけるし、たとえば行管なら行管から意見が出てくるというならば、これはまた違った観点からも追及さるべきだと思う。私は基本問題懇談会でそういう問題に一切触れてはいかぬなどということは決して言いません。政府部内の限りでありますから、どうぞ御自由に、おやりになるのはけっこうでありますが、われわれとしては公社性格なり使命というか、そういうものの追及は追及として別個の立場で本格的に取り組む時期だと私は思うのです。そういう意味で次官クラスの会合で数回会談をおやりになるのもけっこうだが、少なくとも運輸省自体は、あるいは国鉄は、国鉄公社のあり方について抜本的な施策を考えていく時期だと思うので、あらためてこの点は要望しておきます。  いずれにしましても問題は非常に多いのであります。ただ、そのときそのときの糊塗策といっては語弊がありますが、先ほども申し上げたように、裁定実施にしても、そういう方法でやることも一つ方法か知りませんが、こういう継ぎはぎだらけのやり方では私はうまくないと思うが、申し上げたように、予算委員会等でこの問題はさらに追及されることでありますから、この程度にしておきます。      ————◇—————
  43. 川野芳滿

    川野委員長 次は臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、政府当局より補足説明を聴取いたします。佐藤官房長。
  44. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案の提案理由につきましては、先般御説明申し上げたとおりでありますが、なお補足的に現行臨時船舶建造調整法の制定理由とその内容、並びに今回その存続期間を延長することの必要性等につきまして説明させていただきます。  現行法は、昭和二十八年に制定されたものであります。すなわち、戦争によって崩壊したわが国の商船隊の再建のために戦後多額の財政資金及び市中資金が投下されてきたのでありますが、昭和二十八年に至り当時の海運市況の悪化の状況にかんがみまして、財政資金の融資比率の増大、市中融資に対する利子補給制度の確立等の強力な助成策が講じられることとなったのでありますが、これらの助成を真に効果的たらしめるため船舶の建造及び改造を許可にかからしめて、建造される船舶が国民経済の要請に適するよう調整することによって、わが国の外航商船隊の整備をはかることを目的として本法が制定されたのであります。  その後、本法は、昭和三十一年及び昭和三十五年において二回その有効期間を延長したのでありますが、これはわが国外航商船隊の再建整備並びに国際競争に耐え得る企業基盤の確立が十分達成されない状況にありましたので、本法の調整機能を継続させる必要があったからであります。  次に、この法律の内容について簡単に申し上げますと、まず、造船事業者が外航船舶を建造し、またはその重要な改造をいたします場合には、着工前に運輸大臣の許可を受けなければならないこと、また、運輸大臣は右の許可をいたします場合には、この法律に定める基準に従ってこれをなすことを要すること等を規定しております。  ここに許可の対象となる船舶とは、総トン数五百トン以上または長さ五十メートル以上の船舶で近海区域以遠に就航し得るもの、すなわち、外航に従事し得るものであります。これを船の種類別に申しますと、旅客一船、貨客船、貨物船、油送船等の一般商船のほか、貨物の運搬を主たる業務とすることができる構造を有するもの、たとえば漁獲物運搬船等も含められております。  法律の定める許可の基準は第一に、その船舶の建造によってわが国の国際海運の健全な発展に支障を及ぼすおそれがないかどうか、第二に、その船舶を建造する造船事業者が、その船舶の、建造に必要な技術及び設備を有しているかどうかの二点であります。  以上が現行法の制定理由とその内容の概略でありますが、この法律に基づく許可の実績は、昭和二十八年八月以降昨年十二月末までにおいて、建造一千九百四十三隻、二千二百五万総トン、改造七百二十六隻、四百七十二万総トンとなっておりまして、本法により国内向けの船舶につきましては、それが真に国民経済の要請に適合するよう、また輸出船につきましては、当該船舶の建造がわが国の国際海運の健全な発達に支障を及ぼさないよう調整する機能を発揮してまいったのであります。  さてひるがえって、わが国の海運を見まするに、外航船の船腹量は昨年十二月末現在におきまして、七百二十八万総トンと目ざましい復興ぶりを示しておりますが、開放経済体制の移行にかんがみまして、一そうわが国経済の自立と発展をはかる必要があり、その一環として外航船腹の計画的増強と海運業の再建整備が緊急の課題とされております。そのため、昨年海運業の再建整備に関する臨時措置法が制定されまして、五年間に、集約等の海運業側の合理化努力と日本開発銀行の融資に対する利子の支払い猶予措置によりまして、わが国海運業の自立体制の整備をはかることになっているのであります。  しかしながら、最近わが国造船業に対する輸出船の注文は飛躍的に増大しておりますので、輸出船と国内向け新造船との間に、建造船台等について競合関係を生ずるおそれが増大してきております。さらに、わが国貿易量の増大に伴って、長期積み荷保証のもとにわが国の貿易貨物を輸送しようとする輸出船がわが国造船業に対して発注され、これら船舶と国内船との間に競合関係を生ずるおそれも増大してきております。  したがいまして、わが国海運業の自立体制の整備を主眼として外航船腹の整備を促進いたしますためには、国内船と輸出船との競合関係を調整する機能を持つ本法の有効期間を、海運業の再建整備に要する期間に見合いまして、少なくとも四年間延長する必要があるのであります。  なお、現行法は、昭和四十年三月三十一日まで効力を有するものでありますが、その有効期間延長についてのこの法案を今期通常国会に提出いたしますのは、造船の場合におきましては、着工の相当以前に契約が締結されるのが通例でありますので、昭和四十年四月以後に行なわれます船舶の建造につきまして、混乱を引き起こさせないためであります。  以上が、この法律案を提案する理由であります。     —————————————
  45. 川野芳滿

    川野委員長 これより質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
  46. 久保三郎

    久保委員 この法案に関連して二、三お伺いするわけですが、一つは海運収支と船舶増強の問題で、海運局長が所管でありますからお伺いするのでありますが、海運収支の悪化を改善するということで、船腹の増強ということでいろいろやっておられるようであります。たとえば先般新聞等で拝見しますれば、四十二年までに大体海運収支をトントンにさせるのには所要の船腹を幾らくらいにしなければならぬとか、いろいろ出ておるようでありますが、この方針は大体固まったかどうか。固まったとすればその中身はどういうものか。
  47. 若狭得治

    ○若狭政府委員 海運関係の国際収支を均衡させるという目標でいろいろ検討はいたしておるわけでございますけれども、御承知のように海運関係の国際収支の赤字は、三十八年度におきまして四億四千万ドル程度、三十九年度見込みといたしましては四億七千万ドルというような見通しを持っているわけでありますけれども、こういう大きな赤字を解消するということは、とうてい現在の貿易構造のもとでは不可能であるということで、われわれはせめてこの海運関係国際収支の赤字のうち、運賃収支だけを均衡させるということをさしあたりの目標として作業を進めてみようということで、現在検討を進めておるわけでございますけれども、運賃収支の赤字は、昭和三十八年度におきましてはIMFで二億六千万ドルいう程度でございます。したがいまして、この程度の海運収支の健全化というものを船腹の大量建造によって消化しようというのが現在のわれわれの考え方でございます。  ただ、実際問題といたしましては、今後わが国の国際収支は貿易規模の拡大に伴いまして、貿易付帯経費の増大ということが不可避の状態でございまして、海運収支の面をとらえてみましても、貿易量が増大すればするほど海運収支は赤字になるというのが実情でございます。したがいまして、運賃収支だけを均衡させるということもなかなか容易なことではないわけでございまして、今後のわが国の貿易の伸びということを考えれば、ますますこの困難性は加わってくるであろうというふうにわれわれは考えておるわけでございます。ただ、しかしながら現段階におきましては、やはりできるだけ自国船というものをたくさんつくることによって収支均衡ということに一歩でも近づいていこうというのが現在の段階でございます。  そういうことで大量建造という問題に取り組んでおるわけでございますけれども、一応本年度考え方といたしましては、一応百万トン程度を目標といたしまして、できればそれより十万トンでも十五万トンでも上回るということで建造目標を設定いたしまして、今後の作業を進めてまいりたい。そのために開発銀行の融資基準の緩和であるとか、財政資金の手当てであるとかいうような問題を解決していくということになっておるわけでございますけれども、現在までのところ大体において百万トン程度の建造ということで各省間の話し合いが済んでおるという状況でございます。
  48. 久保三郎

    久保委員 そこで、船腹増強にからんで自社船建造の問題を政府はどう考えていますか。
  49. 若狭得治

    ○若狭政府委員 いわゆる自社船という問題は、海運業者でない荷主が自社の輸送貨物を自社船によって運ぼうということを目的とするものでございますけれども、現在問題になっておりますのは石油業者が自社のタンカーをつくりたいということで問題になっておるわけでございます。今後の大量建造に際しまして問題になりますものは鉄鋼原料と石油、この二つの品目でございますけれども、鉄鋼につきましては海運業者と鉄鋼業者との共有によって船舶を建造するということをすでに試験済みでございまして、その経験の結果、海上輸送というものは海運専業者にまかせるのが最も効率的であるということを鉄鋼業界としては結論を得ておるわけでございます。石油業界につきましては、その点は世界各国の状況を見ましてもある程度の自社船というものは保有している状況でございますし、大量建造の機会にぜひとも自社船を財政資金をもってつくってまいりたいということを現在主張いたしておるわけでございます。われわれといたしましては、石油業界に対して財政資金を出す必要があるかどうかという問題をまず固める必要があるということと、海運業界に対しましては、昨年度からの海運の集約に際しまして、今後の国家助成はすべて集約した企業に集中するということで集約を行なってまいりました関係もございまして、現在のところこの集約をくずさないで自社船建造というものを認める方法があるかどうかということは、今後も検討していかなければならぬ。しかし根本的に、今後日本船というものを重要物資の輸送にどのように使っていくかということは、産業界の全面的な協力がなければ実現し得ないわけでございますので、特に自社船問題にやかましい石油業界と海運業界というものが十分話し合って、邦船を十分活用するという観点から、自社船問題をその問題の一環としていかに解決するかということを話し合ってもらいたいということをわれわれは現在お願いいたしておるわけでございます。
  50. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、自社船建造の問題については、特にタンカーについてまだ結論を得ておらないということでありますか。
  51. 若狭得治

    ○若狭政府委員 そのとおりでございます。
  52. 久保三郎

    久保委員 かような問題については、海造審で一応意見を出し、その意見によって政府なり運輸省考えることだと思いますが、そういう手続になっておるのかどうか。
  53. 若狭得治

    ○若狭政府委員 海運造船合理化審議会ではすでに海運対策を一昨年答申されました際に、今後の国家助成というものはすべて集約した企業に原則的には集中して行なうのだという結論をお出しになっておるわけでございます。そういう点から見まして、この自社船の問題は、海運造船合理化審議会でさらにもう一度議論していただく必要はないのじゃないかというようにわれわれ考えておるわけでございます。  問題は、先ほど申し上げましたように、今後の船腹拡充にあたりまして、各産業界がいかに邦船使用に協力するかという問題点を解決していく過程におきまして、自社船問題もその一環として考えていってもらいたいということで、現在経済団体連合会に対しまして、各産業界の意見を十分に調整して、この問題についての考え方をまとめていただきたいということを運輸大臣からお願いしておるというのが実情でございます。
  54. 久保三郎

    久保委員 海造審では、いまさら諮問というか、そういうものを必要としない、すでにそういう方針で答申があった。そうしますれば運輸省としてそういう方針で行くのがあたりまえだと思いますが、いまのお話ですと、経団連のほうに一応業界の話し合いをしてくれということでありますが、これは大体話し合いがつく見通しでもあってそういうことになっておるのですか、いかがですか。それからもう一つは、政府部内で意見の調整は必要としないのか、どうですか。
  55. 若狭得治

    ○若狭政府委員 政府部内と申しましても、関係各省、たとえば通産、大蔵、運輸、それぞれ立場がございますけれども、この間の調整の問題で産業界の意見が出てまいりますれば、われわれはそれに従ってその調整をしなければならないという場合があるかと存じます。実は昨年OECD問題の解決の際に、やはり自社船が問題になりまして、当時経済団体連合会におきましては、日本船を優先的に使用する、もし日本船を使用することがどうしても不可能な場合、たとえば特殊なケースであって日本の船主が建造できない、具体的に申しますと、非常に大型で経済的に危険性のある船舶で、とうてい海運企業として建造することができないというような場合において、外国船をどうしても使わなければならないというような状況が出てきた場合には、外国船を使用するよりも日本船を使うという意味におきまして、自社船を認めてはどうかというような経団連の意見が出ておるわけでございます。したがいまして、われわれといたしましては、関係業界の協力ということがどうしても邦船使用の大前提になるわけでございますので、そういう協力関係の一環としてそういう問題を解決していただきたいということを申し上げておるわけでございます。したがいまして、関係業界のほうで意見が出てまいりますれば、あらためて政府関係機関で十分協議をいたしまして、これをいかに処置するかということを検討しなければならぬというふうに考えております。
  56. 久保三郎

    久保委員 委員長、ちょっと速記をとめてください。
  57. 川野芳滿

    川野委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  58. 川野芳滿

    川野委員長 速記始めて。  それでは、次会は来たる二十九日金曜日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時四十三分散会