○久保
委員 私はこういうふうに
感じました。海難審判庁という権威あるところで出した裁決も、これがあまり関心を持たれないほど、審判庁というのはどこにあるかわからぬ、こういうふうにもとれるわけです。それからもう
一つは、役所の中、
運輸省あるいは水産庁の中で審判庁という権威を認めないのか、それともあてにならぬのか知らぬが、そういうものに関心を持っていない、こういうふうに思うのでありますが、少なくとも真剣にこの海難を防止しようというのには、
保安庁の年一回の
報告もさりながら、やはり具体的に出た問題について徹底的な究明を怠っていやしないか、こういうふうに
考えます。徹底的な究明がおろそかになっている。そこで
関係者にこの点だけはひとつ要望しておきますから、次回に回答してもらいたいのだが、いま話題になっているマグロの漁船——九十九トンが一番焦点になっているようだが、少なくとも国民大衆は多大の疑惑を持っている。と同時に、一朝事間違えば、これは全損のうき目に合う。全損とは、貴重な人命が海洋の中に沈んでいく。幸い、いままでの特異なケースといって、室戸岬におけるところの九十九トン十隻は、人命は救助されたということがありますが、これが
一つ間違えば、御承知のように全損のうき目になる。これに対して無関心であってはならぬと同時に、新聞やその他で報道されるような疑惑というものも解かなければならぬ。その責任は、あげてそれぞれの権限をお持ちのそれぞれの
関係筋だと思う。この点はしっかり申し上げておきます。
次に、時間もありませんので先へ参ります。特にマグロの問題でありますが、マグロばかりじゃございませんが、漁船全体で、
先ほど水産庁長官から
お話があったように、釣獲率が減ってきたというので、行動半径は非常に長くなった。長い距離に長期にわたって出漁する。それで
何とか釣獲率の低下を、そういう稼働の密度を上げてこれを救済しようということに
一つは無理があると思うのです。その端的なあらわれは、
先ほど申し上げたように、発航検査が適切に行なわれているかどうか適当な乾舷を保っていかなければならぬ、あるいはトップヘビーの
状態ではいかぬというのが、これは船員法改正のときにもここで私からそれぞれ論議をしましたが、少なくとも今日ただいまでは、これまた改まっておらぬような実情ではないか。これに対して水産庁はどういうふうに
考えているか。船長に発航検査の権限があるわけなんだが、実際の漁船の支配権というのは漁労長なりあるいは船主そのものが持っている。さらにもう
一つは、船長も船員の一人でありますが、今日ただいまも、漁船船員の賃金の形態は何かというと、水揚げに対する歩合制であります。そうなりますれば、経営者と同じような意識に立って、漁獲を上げることが先決であるというために、自分の命をすれすれまで、やはりトップヘビーの
状態で、過積みの
状態で大洋に船を出す、こういう問題があるわけです。この問題については、船員法改正のときにも、労働条件その他の
改善要綱が
運輸省並びに水産庁のほうに出たと思う。これは的確に行なわれているかどうか、いかがでしょうか。