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1964-05-19 第46回国会 衆議院 運輸委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年五月十九日(火曜日)    午前十時四十八分開議  出席委員    委員長代理 理事 山田 彌一君    理事 有田 喜一君 理事 關谷 勝利君    理事 塚原 俊郎君 理事 西村 直己君    理事 久保 三郎君 理事 肥田 次郎君    理事 矢尾喜三郎君       佐々木義武君    進藤 一馬君       壽原 正一君    高橋清一郎君       中馬 辰猪君    西村 英一君       井岡 大治君    勝澤 芳雄君       山口丈太郎君    佐々木良作君  出席政府委員         内閣法制次長  高辻 正巳君         水産庁長官   庄野五一郎君         運輸政務次官  田邉 國男君         運輸事務官         (船員局長)  亀山 信郎君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      廣瀬 眞一君         海上保安庁長官 今井 榮文君         高等海難審判庁         長官      藤枝  盈君  委員外出席者         運 輸 技 官         (船舶局首席船         舶検査官)   近藤武之助君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  深草 克巳君         日本国有鉄道副         総裁      磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     石原 米彦君         日本国有鉄道常         務理事     川上 寿一君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  東海道新幹線鉄道における列車運行の安全を妨  げる行為処罰に関する特例法案内閣提出第  一五三号)  海上保安に関する件(漁船の海難等に関する問  題)  小委員長からの報告聴取      ————◇—————
  2. 山田彌一

    山田(彌)委員長代理 これより会議を開きます。  本日、川野委員長が所用のため欠席されますので、委員長の指定により、私がかわって委員長の職務を行ないます。  この際、日本国有鉄道事故防止対策に関する小委員長より発言を求められておりますので、これを許します。進藤一馬君。
  3. 進藤一馬

    進藤委員 日本国有鉄道事故防止対策に関する小委員会審議経過につきまして報告いたします。  当小委員会は去る二月二十六日設置されまして以来、熱心な小委員各位によりましてほとんど毎週開会いたし、今日まで八回審議を重ね、その間運輸省国鉄当局より問題点について説明を求める一方、参考人を招致して意見を聴取する等、事故防止問題について審査を行なってまいったのであります。詳細につきましては議事録を参照していただきたいと思いますが、問題となりましたものは、およそ次の諸点であります。  一、人命尊重の精神を更に徹底させること。  一、国鉄経営企業的センスの必要なことは勿論であるが、そのため安全性が第二義的とならないよう十分配慮すること。  一、過密ダイヤ等に見られる如く、過去の投資不足事故の原因となる場合が多いので今後投資大幅拡大とくに保安対策を重点とした長期計画を樹立しそれに必要な資金を確保すること。  一、踏切事故の絶滅を期するため、立体交叉化の推進、踏切設備改善踏切整理統合等を積極的に行なうこと。又これらのため、中央地方を通じ関係行政機関による協議体制を確立すること。  一、大都市交通混雑緩和のため時差通勤をさらに強力に行なうよう措置すること。  一、事故発生時における救援体制とくに関係機関連絡等について万全を期すること。  一、踏切警手の権限を強化明確化することについて検討すること。  一、事故防止に関する技術研究体制をさらに強化すること。  一、新技術を実用化する場合においては、その安全性について十分な試験期間をもうけること。  一、信号回路とくに線路のいわゆる横の情報伝達網整備について研究すること。  一、安全に関する職員量的質的充実をはかるとともにその養成について遺憾なきを期すること。  一、職員給与改善休養宿泊施設整備につとめること。  一、運転事故に関する特別審判制度の可否について検討すること。  一、車輪の取替、レールの保守に万全を期すること。なお軌道試験車の増備につとめること。  一、自動列車停止装置その他の保安装置の取りつけを速かに完了すること。  一、曲線部線路間隔の増大、隣接線防護施設整備安全側線改良等施設改善を行なうこと。  おおむね以上のとおりであります。  政府並びに国鉄当局はこれらの諸点につきすみやかに検討を行ない、有効適切な対策を樹立されるよう要望いたしまして、簡単でありますが御報告にかえます。      ————◇—————
  4. 山田彌一

    山田(彌)委員長代理 次に、東海道新幹線鉄道における列車運行の安全を妨げる行為処罰に関する特例法案を議題として、前会に引き続き質疑を行ないます。  質疑の通告がありますのでこれを許します。佐々木良作君。
  5. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 承りますと、大体本日あたり質問が終わるそうでありますので、二、三念のために伺いたいと思います。  まず提案者にお伺いいたしますが、この法案運輸省側で必要を認められたのか、国鉄側で必要を認められたのか、どっちが中心になって提案をされたのか、まず伺いたいと思います。
  6. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 本委員会でずっと御審議を願っておりまして、その経過で大体おわかりと存じますが、国鉄におきましては、新幹線建設運営につきまして、技術考えられるあらゆる事故防止対策を立てておるわけでございます。その上なお万全を期するために、やはり現在御審議を願っております特例法というものが必要であるというふうに国鉄考えましたし、私どももいろいろ国鉄十分協議をいたしまして、必要であるというふうに考えまして、いわば政府国鉄意見が一致いたしまして現在御審議を願っておるような法案を提出しておるわけでございます。
  7. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 この種の刑罰に関する法律というのは、国民の直接の権利を侵害する法律ですからたいへん重要な法律です。その意味で、私の伺ったのは、国鉄新幹線運行するにあたって格別重要なる処罰を行なわなければ安全が保ちがたい、こういう立場から特別に提案を必要とされたのか、あるいはその他の法文とのバランスの上で必要とされたのか、こういう意味質問したのですが、いまのお話ですと、国鉄側から、ともかく列車の安全を保つために必要であるからということらしいのですが、この法律がなければ特別に心配だというお考えがあるのですか。
  8. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 新幹線におきましては在来鉄道と異なりまして保安装置も高度なものを使っておりますし、なお線路立ち入り等は、先般ごらんいただきましたように土盛り区間あるいはトンネルの入り口等におきましては厳重な防護さくを立てまして容易に立ち入れないようにしてございますが、なお列車高速性にかんがみまして万全を期するため特別な法的措置が必要であるというように考えます。なお営業法あるいは刑法特例でございますので、政府部内におきましては、法務省法制局等とも十分他法令とのバランス等考えていただきまして、お手元にございますような成案を得まして御審議を願っておるわけでございます。
  9. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 法制局に伺いますが、他の法令刑法例外規定としての考え方をうんと考えられて提案されたと思いますけれども刑法等考え方の基準は何に求めればいいのですか。
  10. 高辻正巳

    高辻政府委員 御指摘のように、この法律案におきましては、刑法特例法もあるわけでございますが、その中心的な刑法規定と申しますのは、一番端的に出てまいりますのは往来危険罪という規定がございますが、それは当事者が列車の安全な運行を妨げるおそれのある状態、つまり転覆あるいは衝突等事故発生可能性がある状態が発生することを認識してした行為に対して成立することになっております。したがってこういう認識がないと実は往来危険罪というようなものは成立しないわけであります。だからそれで足りるといえば足りるというお考えもあるいはあり得るかもしれませんが、やはりさっきからお話がございましたようなこういう今度の新幹線につきましては、そういう具体的な危険性認識してしたときに初めて罰則がかかるというのでは十分に危険を防止することができない、具体的な認識がなくても抽象的な危険の認識があればこれを罰するというふうに持っていって初めてこの安全というものの担保ができるのであるという考慮からいたしまして、刑法特例考えておるわけであります。
  11. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 普通列車妨害罪とはどの程度違いますか。
  12. 高辻正巳

    高辻政府委員 この法案東海道新幹線につきまして規定しておりますので、ただいま申しましたように、往来危険罪等特例と申しますか、そういうものは東海道新幹線に関して実は規定されておりますので、東海道新幹線以外の分については申すまでもなくいまの規定は引っかかりません。したがって、同じような態様で問題が生ずるとすれば、刑法往来危険罪というようなものが成立するとすれば成立する、そちらのほうで担保をする。そうしますと、同じような列車で区別が立つのはおかしいではないかという論があるいは出るかもしれません。多少先走って申し上げて恐縮でございますが、それについては、ただいまの新幹線における鉄道保安といいますか、安全といいますか、そういうものをやはり特別に考えるにふさわしいものがあるだろう、その内容先ほど廣瀬政府委員からお話がありましたが、そういうような考え方でございます。
  13. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 普通列車に対する妨害特例法律はないわけですね。
  14. 高辻正巳

    高辻政府委員 ちょうどこの新幹線についてありますような規定そのものがないことは申すまでもありませんが、たとえば信号機損壊とか、そういう個別の事柄につきましては鉄道営業法等規定がございます。
  15. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 その鉄道営業法等規定と違ってこれに規定しなければならぬというのは、速度が早い、その意味の危険が多いという意味ですか。
  16. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 鉄道営業法との関連でございますが、私ども考え方は、在来鉄道運行の形態も非常に多様でございます。それから在来鉄道におきましても東海道線等におきましては最高百十キロ程度スピードは出すことはございますが、新幹線におきましては最高時速二百キロ、平均時速百七十キロ、要するに在来鉄道とは質的に違ったという考え方をいたしております。俗なことばで申しますれば、鉄道航空機の間くらいということでございますので、万一事故が起きました場合には非常に大きな損害が予想されるということで、在来鉄道列車妨害等はもちろん非常に危険でございますが、質的に違ったような新幹線におきましては、鉄道営業法等で十分でございません点は、とりあえずこの特例法におきまして安全を確保してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  17. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 政務次官、そうすると、飛行機の妨害については、この種の特別な法律を持っておるのですか。
  18. 田邉國男

    田邉政府委員 航空法という法律がございます。その中では飛行場設備または航空保安施設を損傷したような場合、またその他の方法でその施設等をこわす場合いわゆる航空の危険とみなす、こういう問題については二年以上の懲役という法律がございます。こまかいことにつきましては鉄監局長から説明させます。
  19. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 政務次官、いま一生懸命やっておる高速道路ができたら、これについては何かあるのですか。
  20. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 ただいま政務次官がお答えいたしましたが、航空法には「飛行場設備若しくは航空保安施設損壊し、又はその他の方法航空の危険を生じさせた者は、二年以上の有期懲役」、それから「滑走路誘導路着陸帯等を損傷し、または機能をそこなうおそれのある行為をした者、五万円以下の罰金、」それから「航空機に向かって物件を投げ、または着陸帯誘導路等金属等、その他の物件を投じた者五万円以下の罰金」、「みだりに着陸帯誘導路、エプロンまたは格納庫に立ち入った者は五万円以下の罰金」というような罰則規定がございます。なお道路につきましては、刑法規定がございますほか、道路法につきましても罰則がございまして、「道路交通の危険を生じさせた者は三年以下の懲役又は五万円以下の罰金」、「みだりに道路損壊し、または付属物移転損壊により道路効用を害した者三年以下の懲役又は五万円以下の罰金」、それから、「みだりに道路を損傷し、または汚損した者、みだりに道路に土石、竹木等物件を堆積し、その他道路の構造または交通に支障を及ぼすおそれのある行為をした者  一年以下の懲役または三万円以下の罰金、」「みだりに自動車専用道路に立ち入ったことに対し道路管理者中止命令を出した場合に、これに従わなかった者三万円以下の罰金」というふうに、道路法罰則規定がございます。そのほか高速自動車国道法につきましては、「高速自動車国道交通の危険を生じさせた者五年以下の懲役又は五万円以下の罰金、」高速自動車国道損壊し、又は付属物移転損壊により高速自動車国道効用を害した者、五年以下の懲役又は五万円以下の罰金」「みだりに高速自動車国道に立ち入ったことに対し道路管理者中止命令を出した場合に、これに従わなかった者三万円以下の罰金」というふうに、道路法と大体同じような事項につきまして高速自動車国道法では特例がございまして、若干重くなっております。それからなお道路交通法には、「みだりに信号機を操作し、又は信号機等損壊して、道路交通に危険を生じさせた者五年以下の懲役又は十万円以下の罰金、」「石、ガラスびん等物件を投げ、または発射した者三万円以下の罰金」、「交通妨害となるような方法物件を置いた者三カ月以下の懲役または三万円以下の罰金」というふうに、刑法規定のほかに航空法道路法高速自動車国道法道路交通法等におきまして、それぞれ特例的な罰則規定が設けられておるのがほかの立法例でございます。
  21. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 そうすると、法の形から見ると、刑法のほかにいま航空法鉄道営業法道路交通法があって、その道路の中の特別な高速道路のやつには高速道路何とかという法律がある、高速自動車道特別法と似たようなのが鉄道関係では今度のこれになるというかっこうになりますか。
  22. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 ただいま読み上げましたような立法例参考として政府部内で十分検討いたしまして、現在御審議を願っておるような法律案を得たわけでございます。
  23. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 ですから、私はかっこうを頭に入れたいのです。そうすると、刑法例外法の、それのもう一つ例外法みたいな特殊法みたいな感じだな。鉄道営業法がまずあって、それのもう一つ早いやつだからという意味でしょう。道路交通法があって、その上に高速自動車何とか法というのがあるでしょう。そういう感じに理解すればいいですか。
  24. 高辻正巳

    高辻政府委員 大体おっしゃったとおりに御理解いただいてけっこうだと思います。たとえば刑法なり鉄道営業法特例でございますが、鉄道営業法とこの特例との関係を見ますと、きわめて精細に、私ども立場から言うといろいろ言い方もありましょうが、ちょうどあたかも道路法に対して高速自動車国道法というものに、罰則について同じような規定がある、その刑罰内容がそれぞれの特殊性に応じてきまっておりますが、そういうような考え方と御承知願ってもけっこうであります。
  25. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 そうすると、刑罰処罰内容は大体その影響量刑主義といいますか、そういう感じで見ればいいようにいまの五つ、六つの法律はなっておりますか。つまり、普通の自動車道よりも高速道路のほうが危険が多い、それから普通の列車よりも今度の高速列車のほうが危険が多い、その意味処罰が重くなっている、こういう感じで大体見ればいいようになっておるわけですか。
  26. 高辻正巳

    高辻政府委員 大体仰せのとおりでございます。私ども罰則規定整備する際には、主務省はむろんのこと、法務省及び私どもと非常に慎重に、刑罰量刑程度等は、ほかの法律とのたてまえも考慮しつつきめることにいたしておりますが、いまおっしゃいましたように、あるいは航空法あるいは高速自動車国道法、そういうようなものと同じような調子をそろえまして規定をいたしております。
  27. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 もう一つ念のために伺いますが、これはたった四条の短い法律ですが、四条だけは体刑がないですね。二条、三条体刑があるけれども、これは何か特別の理由があるのですか。たとえば普通の感じで、線路の上に物を置いておいたら三条でしょう。それから汽車に目がけて石を投げたら四条のほうでしょう。その三条のほうの鉄道の上に石を置いたほうは体刑があって、石を投げた四条のほうに体刑がないというのはバランスがおかしくはないですか、これはどういうことですか。
  28. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 いまお尋ねのございました量刑の根拠と申しますか、参考ということでございますが、他の交通機関に対する物件の投てきの罰則航空機は五万円以下の罰金乗り合いバスは三万円以下の罰金、それから車両に対しましては、これは道路交通法でございますが、三万円以下の罰金というふうになっておりまして、いずれも体刑はついておりませんので、他の罰則等参考にいたしまして四条はきめたものでございます。
  29. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 そうだろうが、これはちょっとおかしく感じませんか。三条のほうの一号、二号の状態を見ると、線路の上に石を置いているものは三条、それから列車に向かって石を投げたものは四条のほうでしょう。三条のほうは体刑があるけれども四条のほうは体刑がない。何か特別のことがあるのですか、立法例か何かで。
  30. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 これはやはり三条行為四条行為と比べまして、三条のほうが一般的に申しまして危険性が多い。四条のほうは、石などの物件を投げまして列車ガラス等をこわしますと、先般申し上げましたように、現在の列車と異なりまして、風圧等関係でこれは非常に危険ではございますが、直ちに列車が転覆するというような状態にはならない。ただし、四条で石を投げましてそれがたまたま線路に乗ったというようなことになりますと、これは三条に参るわけでございまして、やはり三条四条とは行為内容によりまして危険の度合いが違うということで量刑をきめておるわけでございます。
  31. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 そうすると、これも先ほどの言うなれば量刑主義影響の大きさを大体考えて、それの影響の大きいものを重くするという考え方に乗っかれば、そうすると、石を投げたものよりも置いたもののほうが影響が大きいだろう、列車がひっくり返るだろう、こういう関係三条四条ができている、こういうふうに理解してよろしいわけですか。
  32. 高辻正巳

    高辻政府委員 大体仰せのとおりでございます。三条四条量刑の範囲が違いますのは、四条のほうは危険性三条に比べれば低いだろう。しかしながら先ほどお話がありましたように、物件を投げてそれによって列車損壊された、あるいは石を投げて線路上に石が置かれたことになったということになれば、これはむろん結果としても損壊の事実がございますし、あるいは石が置かれた結果の危険が増大されますので、そうなれば当然のこととして、この三条との間で最も重い刑を科するという結果になるわけです。したがって危険の度合いがふえれば危険の度合いのふえた規定による刑が科せられるというのが、刑法上の一般論からくるわけでございます。
  33. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 希望を申し上げておきたいと思うのですが、私がこう感じたのは、スピードがこういうふうに非常に変わってくる場合には、その危険の影響力というものは非常に変化があるはずだ。ところが大体これを見ると、一番昔できた鉄道の場合と同じように、まず一かたまりは鉄道施設、その次は線路、その次は今度は走っている列車、こういう規定が二条、三条四条となっておってだな、それはどこも伝統的にはそうかもしれないけれども危険性というほうから見ると、もうそろそろそういう一番もとの歴史的な過程を抜いて考え段階に来ておるのじゃないかという感じが私はするわけで、これは私何も自信があるわけでも何でもないですけれども、こういう交通に関する処罰規定については、もう長い百年も前からの歴史的な過程をはずして考えなければならぬのじゃなかろうか、こう思いましたので質問を申し上げたわけです。  それから同時に、これは法制局あたりでずいぶんと検討されておることとは思いますけれども、これら交通法交通取り締まり規定がだんだんと基本的な刑法の本来の本筋に入ってくる場合が多くなってきて、しかもその場合には交通取り締まり規定というものは、いまの運転手交通違反みたいなああいう形でいくのと、刑法の基本的な考え方でいくのとでは、法益考え方も非常に違ってくるわけですね。その例外規定とか、あるいは特殊規定とか、交通取り締まり規定体刑規定というものはぐんぐんふえてくる、今後もふえてこざるを得ないと思うのです。格別にこういう東海道新幹線であるとか、現在できつつある高速道であるとか、それからおそらく航空法の改正も必要になってくるだろうと思うのですが、それらの基本的な交通法規のしかも体刑中心とする取り締まり規定については、この辺で刑法との関係考えながら、いまの交通取り締まりという段階だけではなしに、全然別のところから一ぺん考え直す時期に来ておるのじゃなかろうか、こういう気がするわけです。したがいまして、希望を申し上げておきたいのは、だんだんと本来の刑法というものはこのごろはあまり役に立たぬようになってきて、みな特別法ばかりが中心になってくるような状態の中で、やはり基本的な問題は刑法考え方に出発をした体刑法でなければならぬと思うのです。そういう意味で、今後交通法規格別体刑を必要とする体刑に関する法規については格別検討運輸省なりあるいは法制局なりでやってもらいたいという気がいたします。それをひとつお願いをいたします。  それから同時に、運輸省の側で今度これを施行して取り締まりをする場合に、一方御承知のように、刑法上の問題の場合には非常に慎重です。非常に慎重な法の施行が行なわれる、たとえば、これは窃盗にしろその他の犯罪行為を決定する場合にしろ、刑法関係法律についてはその扱い方というのは非常に慎重です。それがこういう処罰規定になるにしたがって、交通法を守るということが、それこそこれもスピードアップされるものだから、わりに法の妥当のしかたが、刑法とウエートの置き方が違う感じで扱われがちになりそうな気がするわけです。したがいまして、法自身の立て方についてもそろそろ基本的な考え方を整理してみてもらいたいということと、その法の妥当のしかたに刑法上の犯罪とこういう交通法上の犯罪とがバランスがとれるように、しかもその刑罰の決定に至るまでの過程においても、バランスをとるようにひとつお考えをいただきたい。これは交通法規であり、交通法規関係のものは一番最初私が質問いたしましたように、東海道新幹線ができる。新幹線を特別の列車が走る。その場合には必ずその新幹線を安全運転しようという立場から法律がまず生まれようとする。生まれようとするのだけれども、これがほんとうに安全運転するということだけであるならば、むしろ逆に、政治的に考えれば、そういう体刑をつけるような法律でもって、要するに刑罰法規みたいなもので取り締まらなければあぶないのか、そんなあぶないものは走らせるなということにもなりかねまじき考え方があり得ると思うのです。したがいまして、そういう立場とは全然別に、刑法的な立場がうんと頭を出して、そして刑法で守られる法益が十分守られるように、刑法とのバランスが、その法律の形においても施行の形においてもとられるように、ひとつ十分に注意をはらっていただきたい。希望を申し上げまして質問を終わります。
  34. 山田彌一

    山田(彌)委員長代理 ほかに質疑はございませんか。——ほかにないようでございますので、本案に対する質疑はこれにて終局いたしました。      ————◇—————
  35. 山田彌一

    山田(彌)委員長代理 この際、先ほど日本国有鉄道事故防止対策に関する小委員長進藤一馬君よりの御報告がございましたが、小委員会としての結論を本委員会としてこれを了承するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 山田彌一

    山田(彌)委員長代理 異議なしと認め、さよう決しました。  この際、政府当局並びに国鉄当局より発言を許します。田邊政務次官
  37. 田邉國男

    田邉政府委員 ただいま日本国有鉄道事故防止対策に関する小委員会経過報告を伺いまして、当委員会におかれまして非常に御熱心に審議をなさいまして、各問題点につきまして拝聴いたしまして、その問題点につきましてまことに当を得た御報告であると私ども考えております。運輸省といたしましては、この小委員会におきまして御決議をいただきました諸問題につきまして、これから慎重に審議をいたしまして、この皆さまの御決議に沿うように善処をしてまいりたい、かように考えるわけであります。
  38. 山田彌一

    山田(彌)委員長代理 石原常務理事
  39. 石原米彦

    ○石原説明員 国鉄といたしまして一言ごあいさつ申し上げたいと存じます。  事故防止対策委員会で非常に御熱心に御討議いただきまして、ただいまきわめて重要な御決議をいただきましたわけでございます。これを直接担当いたします国鉄といたしましては、他のあらゆる施策に優先いたしまして、今後安全の対策に最重点を置きまして施策いたしてまいります覚悟でございます。幸いに来年度からの国鉄の基本問題につきまして、内閣とされましていろいろ御審議をいただいて、われわれもいろいろ原案をお出ししております段階でございますので、十分御趣旨に沿いまして、必ず国鉄の輸送の安全を期する覚悟でございます。      ————◇—————
  40. 山田彌一

    山田(彌)委員長代理 次に、海上保安に関する件について調査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
  41. 久保三郎

    ○久保委員 海上保安についてお尋ねするわけでありますが、本日は漁船の海難事故等を中心にしてお伺いしたいと思うのであります。  特に最近話題にもなっておりますマグロ漁船の問題であります。すでに御承知かと思いますが、報道機関によってそれぞれ報ぜられていますように、最近特異な例として九十九トンのマグロ船の海難が引き続いており、今年に入りましても一月に三件あるいは四月に三件、合わせて最近までに約十件ほどの海難があるように伝えられております。その中には多少問題になるような記事もありますが、私はやはりこの真相を確かめるのがまず第一の問題だと思うのであります。そういう意味で、新聞によりますれば、海上保安庁はそれぞれこれの捜査にも当たっているというお話でありますが、この件について保安長官はどういう対策をいまとっておられるか。
  42. 今井榮文

    ○今井政府委員 御指摘の海難事故につきましては、海上保安庁といたしましては、すでに新聞紙上で報道せられる以前、本年当初より本件につきましての調査を実施いたしております。
  43. 久保三郎

    ○久保委員 調査はいかなる方法でやっておりますか。保安庁が持っている権限に基づいて捜査するという調査の方法をとっておるのですか。
  44. 今井榮文

    ○今井政府委員 海上保安庁の海難事故の調査につきましては、海難報告書そのものは、御承知のように、海運局のほうに提出されることになっておりまして、私どものほうの海難原因の調査は、将来の救難対策参考に資するために関係者の協力を得て海難の当時の状況あるいはまたその船舶の積みつけその他の状況についてこれを聴取する、こういうふうな形を通常とるわけであります。しかしながら、もしその海難自体に何らかの犯罪の容疑があるというようなことになりますれば、具体的にそういうようなことが起こってまいりますれば、あるいは刑事上の捜査をやるというようなことになるわけでございます。
  45. 久保三郎

    ○久保委員 そこでお尋ねしますが、昨年来引き続いてこの九十九トンについては沈没というか、そういう船体放棄というものが多いのでございますが、これについていまのお話だと、単に海難の調査、その報告書をつくるための調査というように聞いております。過去において、これは九十九トンばかりじゃありませんが、三十九トンの問題もございます。そういうものの海難があった場合に——審判庁長官はおいでになっておりますか。まだ来ませんか。——審判庁に対する通報という義務が保安庁にあると思います。これはどういうふうになっておりますか。
  46. 今井榮文

    ○今井政府委員 海難審判庁のほうに対しては、海難のつど通報をいたしております。
  47. 久保三郎

    ○久保委員 それでは審判庁の長官が来るまでお尋ねしますが、審判庁に対して通報した事件で、審判庁の審判に付されたものが漁船関係でございますか。
  48. 今井榮文

    ○今井政府委員 審判庁のほうに聞きませんと、いま手元にお答えする資料を持っておりません。
  49. 久保三郎

    ○久保委員 それでは審判庁は、もし審判したとすれば、勧告の方法があるわけですね。そういう勧告はいろいろな関係方面になさるわけですが、まずもって保安庁にもそういう勧告があると思うのです。いままで受け取られましたか。
  50. 今井榮文

    ○今井政府委員 そういった勧告を私どもが受けたケースはございません。
  51. 久保三郎

    ○久保委員 それでは水産庁にお尋ねしますが、いままで、特にこのマグロ漁船について海難の事故が多いわけであります。今年度、先般発表された海上保安庁の「海上保安の現況」によりましても、特にマグロ漁船の海難が多い。三十九トンのごときは全損の部類が非常に多いということでありますが、この九十九トンの措置についていかに今日考えられておりますか。
  52. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 御指摘のように漁船の海難事故、特に昨年来カツオ、マグロについては、いわゆる三十九トン型、それからただいま問題になっております分については、いわゆる九十九トン型というのが海難事故が多うございます。特に三十九トン型につきましては、これは許可漁業ではございませんので、自由漁業ということで、従来自由に操業されておった形でございますが、これにつきまして、いわゆる漁船建造の減トン工事という技術等が進んできまして、三十九トンというても非常に外観の大きい船ができてくる。そうしてそういう船が、最近マグロ資源がだんだん減少して、漁獲率、釣獲率も落ちてくるということで、沿岸から沖合い遠く遠洋まで出る船が中には出てくる。こういうことで、三十九トン型マグロについては、この行き帰りの日本沿岸五十海里の範囲で非常に積み荷過剰といったようなことが原因で事故が起きております。  これについて、この対策をどうするかということで、昨年来中央漁業調整審議会等でも研究会を設けて、これに対する措置を考えてまいったわけでございます。これを自由漁業にしていくよりは許可漁業として、この許可に際して操業区域等も制限できるならば制限したほうがいい、こういうことで三十九トン型マグロというものを中心にしまして、本年から大臣許可漁業にするということを公示して、これを日本近海ということに限定するような許可条件で許可しよう、こういうふうに考えて、船型に合わない非常に無理な操業のなされることを規制したい、こういうように考えております。  なお、最近九十九トン型の遭難が多いということで調べてみますと、なるほど昨年の二月以来高知のマグロ船だけでも十隻程度が遭難いたしております。この原因については、本船とそれから救助に向かいました救助船から出されました海難報告というものが海運局から参っておりまして、その海運局を通じて出てまいりました海難報告によりますと、浸水といったようなことが非常に多いわけでございます。これに対処する対策というものを今後考えなくてはならぬと思います。  なお、九十九トン型については、御承知と思いますが、従来九十九トンから上に大型化するという道が閉ざされておったわけでございますが、漁業法の改正で今後九十九トン型も大型化する道が開けたわけでございます。そういうことで大型化する場合には、最近漁船建造につきましても、標準設計の能力のいい安全性を高めた基準を設定しまして、それによって審査して許可していく。それに合わないものは指導によってその基準に合致するようにして安全性を高める、こういった措置を講じておりますとともに、その海難救助の海難報告の統計を見ますと、やはり運航の誤まりといったようなのが非常に多うございますので、そういう点については乗り組み員の講習といったような点を従来から国が補助してやっておるわけでございます。
  53. 久保三郎

    ○久保委員 それでは九十九トンについてでありますが、これはいまのお話のように、これを大きく改造するというか、大きいものに代替建造を許可するようになってきたということでありますが、この九十九トンをいわゆる大型化するための条件は何でありますか。
  54. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 九十九トンから大型化する場合には、従来の操業実績が同一船主で操業実績三年以上継続して操業している、そして木船につきましては建造後四年以上経過しているもの、鋼船につきましては建造後八年以上経過しているものということで、七十トンから百トンのものは百八十トンまで大型化できる、こういうふうに考えております。
  55. 久保三郎

    ○久保委員 この大型化の代替建造を許可するということは、九十九トンでは能率が悪いからさらにこれを大型化して行動半径を長くする、こういう趣旨でございますか。
  56. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 船の大きさと申しますものは、漁業能力に影響する問題でございますので、また一面経営等の問題がございまして、そうしてその船主がどういう海域で操業するかというようなことと、資金調達力、そういう面から決定されるものと思います。九十九トンを大型化するということは、必ずしも遠方に行くということばかりではないと思いますが、安全性を高めるという面からいっても、やはりものによっては大型化したほうが安全性が高まるといったような点もあろうかと思います。
  57. 久保三郎

    ○久保委員 そうしますと、私の質問とは大型化する趣旨は違うという意味ですね。たとえば能率の点、漁獲物の積載なり、漁業を操業する場合の船の経済性ということから大型化する。九十九トンは言うならば非経済だ、経済性が悪いというような趣旨から大型化する、かたがた安全性の問題もある、こうおっしゃいましたが、この二面から九十九トンはやめて、九十九トンのものは百八十トンか、その辺まで上げるというのが日本の漁業としても好ましい姿である、そういう意味でこの代替建造を認めるということになったというわけですか。
  58. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 多少違うのでございますが、漁船の大型化は、従来九十九トン以上のものについては、それぞれ大型化の道が開けておりまして、経営の実態に応じ、またどこで操業するか、そういう操業の実態に応じて従来大型化してきたわけでございますが、御指摘の九十九トンは、従来の漁業法は九十九トンどまりで、法律で上の壁がきまっておりまして、大型化できなかったわけでございます。それを百トン以上の船型が大型化できる道が開かれているのと同じように、九十九トンについてもその壁を破って大型化の道を開いたということであるのでありますが、操業の場所によって九十九トンでもいいものがあろうかと存じます。外国基地操業等の場合には、九十九トンでやっておるものもありますが、内地基地で非常に遠方までいくというようなものは、船腹の関係で大型化するというような問題が経済性その他からも出てくるかと存じます。必ずしも九十九トンが非経済的だから大型化したというのではなくて、従来九十九トン以外のものについて開かれていた道が、九十九トンだけは閉ざされていたという点を改正したわけでございます。
  59. 久保三郎

    ○久保委員 別に大型化することについてまっこうから異論を唱えるわけではございませんが、この場合、大型化するということは、たとえばマグロ漁業それから海洋におけるこれらの資源の状態あるいはもう一つは乗り組み員、漁船船員の労働条件の問題、生活環境の問題、こういうことをあわせ考えて大型化をはからなければならぬと思うのでありますが、そういう点はあまり考慮しないで、と言っては語弊があるが、考慮するにしても非常に下目にして、そしていま御説明のとおりの大型化を推進する。単に九十九トン、百トン以下のものはその頭を出せないのでは困るだろうというので、その道を開いたという、いわゆる漁業経営の問題からこれは来ているのですか。
  60. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 漁業経営の面もあろうかと存じますが、先生が御指摘のように、人命、船舶の安全という点も考えて漁船の建造許可をやる、こういう場合には、漁船の性能基準というものを最近の技術の進歩に応じまして四月一日から改正しておりますが、それによりまして安全性を高めるということも十分考えて大型化していく。そして安全性の問題のみならず、労働環境の問題も加味していく、こういうふうに考えております。
  61. 久保三郎

    ○久保委員 この漁業資源というか、マグロの資源と、いまのあなたの大型化するという方針は合っておるのですか。そういう方向で大型化するということになったのでしょうか。マグロにも限度がございますね。広い大洋でも無尽蔵じゃないのでしょう。漁場は大体いま遠くなりつつあるというお話であります。ところが遠くなりつつある漁場も、御案内のとおり狭隘化してきて、しかも先ほどお話のあったように、釣獲率が低下する。釣獲率が低下するから、いろいろな方法、これからお尋ねする方法が出てきて、そこに働く労働者の問題が、いうならば命をかけた仕事になってくる。命をかけたというよりは、いわゆる人間の命やそういうものは無視されがちの状態が今日漁業界の大きな問題だと思うのであります。そういう点を考えれば、いま申し上げたように、漁場というか、漁業資源といまの許可の方針とは合致するかどうか、こういうことです。
  62. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 御指摘のように、許可という制度は、漁業資源と漁獲努力の関係考えて許可しなくちゃならぬ、こういうふうに存じます。それでカツオ、マグロにつきましては、昨年新規許可をいたしまして以来、いたしておりません。この大型化の問題も、九十九トンにつきましては、従来問題が非常に多くて、国会でも非常に問題になったわけで、この壁を何とか百トン以上の船と同じように大型化の道を開いたほうが公平じゃないか、こういうことで長い間の問題であったわけであります。九十九トンにつきましても、そういう船の安全あるいは経営の面から見て大型化の道を開くということで、先ほど申しました継続操業実績三年、これが無補充でやれるわけでございますが、これは四十年の一月三十一日までで、その後は補充トン数を要する、こういうことにいたしております。それて、全体のマグロの漁船が大型化する場合は、原則として補充トン数を要するわけでございまして、船は大型化するが、総体の漁船トン数の中で船が大きくなっていく、こういうような方向に指導しておるわけでございます。それはやはり漁船の性能も上がるし、先生の御指摘のような漁船の安全性も高まるし、また労働環境もそれによってよくなる。そして資源に対する影響で、総トン数が変わらない船は大型化していく、こういうような指導をいたしておりますが、問題はやはり新規に許可する場合に資源との見合いをよくやらなければならぬということで、昨年転換等を含めて二万トンを新規許可をしたけれども、その以後は当分新規を押えていく、こういう方針で進めております。
  63. 久保三郎

    ○久保委員 審判庁長官がお見えになったからお尋ねするのでありますが、長官もすでに新聞等で御案内かと思うのでありますが、最近話題になっている漁船の遭難の中で九十九トン・マグロ船が、奇しくもここ一年足らずの間に、同じ地域のマグロ船が十隻もいわゆる船体放棄というかっこうがあるわけです。それぞれ、推量も含めていろいろ雑誌等にも書いておりますが、やはり国民の疑惑を解く性格のものだと私は思うのです。そういう意味海上保安庁長官先ほどお尋ねしたらば、保安長官はまだ捜査の段階で通報はしておらぬ、海難の事故調査ということである、こういうお話でありますが、いままでに審判庁がそれぞれ保安庁なら保安庁から受理された海難の通報に従って、審議官がそのお調べをなさった案件は幾つかございますか。
  64. 藤枝盈

    ○藤枝政府委員 いま御質問のありました海上保安庁のほうからの通報によって私のほうの理事官が動くという問題も、これは海上保安庁のほうからこういう事件があったという通報もございます。それから新聞、ラジオその他の報道関係において認知した場合もあります、あるいは当事者から船体放棄という報告がありまして、それによって私たちは海難のあった事実を認知するわけであります。そういうことから私のほうの理事官が発動しまして調査を始めるわけでございます。私のほうは、御承知のとおり、原因探究が目的でございまして、最近非常にやかましくなりました九十九トン型の漁船の海難というものにつきましては、もちろん私たちはかねがね重大な関心を持っております。それで何かここにまとまった結論があるのじゃないかというような気持ちもありまして、鋭意目下調査中でございます。今度の太平洋上における遭難でございますが、この事件につきましては事件がかなりたび重なってたくさん出ておりますので、これも非常に重大な関心を持ちながら、いち早く調査の段階に入っております。それで現段階ではどういう内容まで調査されたかということにつきましては、ちょっといま御説明申し上げる段階にもいっておりません。現在まだ現地で各当事者に当たって調べておる段階でございます。
  65. 久保三郎

    ○久保委員 いま私がお尋ねするのは、九十九トンばかりでなくて、最近漁船の海難が相当多いのでありますね。たとえば三十九トンのマグロ船についても多いのですね。そういうものを審理されあるいは調査されて、その原因を探究するということがおつとめでしょうから、いままでにそういう漁船の海難について原因を調査されて、あなたの権限に基づいて関係個所に対するところの勧告等をなされたためしはございますか。
  66. 藤枝盈

    ○藤枝政府委員 現在までにはそういう勧告を出したというようなものはございません。
  67. 久保三郎

    ○久保委員 人数も限られた小人数のようでありますから、あえて怠慢だとは決して申し上げませんが、ただ、いままで漁船の遭難、海難にはいろいろこの国会でも問題になった場合があります。これが初めてじゃございません。そこで一つには、何といっても、たとえば船長の手による発航検査、港を出る場合の検査が適切になされたかどうかということについても問題が多いのですね。これは実際は御案内だと思う。いわゆる積み過ぎ、トップヘビーの状態で海洋を突っ走る、あるいは途中の、いわゆる航行制限区域を無視して航行するために海難にあったというのをわれわれは新聞等でも承知しておる。これに対して、当然審判庁はこの原因を探究された結果はおわかりだと思うのです。その結果がわかったならば、関係個所に対して少なくとも勧告をなさっておるはずだと思うのでありますが、いまのお話だと、漁船の海難については、審議はしたかもしれませんが、結論を得ても一件も関係個所に勧告するものはなかった、こういうことでございますか。
  68. 藤枝盈

    ○藤枝政府委員 お答え申し上げます。私どもでやっておりますることは、審判をしまして、原因を探究しまして、結論を裁決書というもので、裁決によって出しております。そういう形で、裁決として結論を出しておるものですから、裁決をごらんになれば、大体どういう原因であったかということがはっきりわかるのでございます。特に当事者関係の原因で起きたという場合、たとえば船主関係だとか、あるいは造船関係だとか、その他の関係で重大な事件が発生したということになりますと、そこで初めて勧告という問題が起きるのですが、いままではそういうところまでいきませんで、当事者に対する注意喚起という程度で、裁決書というもので詳しく、原因はこうだ、こうあるべきではないかということは申し述べております。その程度であります。
  69. 久保三郎

    ○久保委員 それでは審判庁に資料を要求しますが、いままで海難、特に漁船の場合の海難の、いまあなたがお述べになった裁決書、要点を書いたものを資料としてお出しをいただきたい、かように考えますが、よろしゅうございますか。
  70. 藤枝盈

    ○藤枝政府委員 と申しますと、漁船関係だけでございますか。
  71. 久保三郎

    ○久保委員 そうです。漁船関係でけっこうです。
  72. 藤枝盈

    ○藤枝政府委員 そうすると、たとえば三十九トンあるいは九十九トン以内の小型漁船ですね、そういうものの海難原因がどういうふうにあったかという裁決書の結論でございますね。——それでは、年限は大体三十八年一カ年でけっこうでございますか。
  73. 久保三郎

    ○久保委員 一年間でけっこうです。  それでお尋ねしますが、保安長官並びに水産庁長官及び船舶局長おいでですか——検査官でけっこうです。いま審判庁長官から裁決書をお読みになれば全部勧告と同じだと、こういうお話なんですが、裁決書をお読みになって思い当たる節がございますか、それぞれお答えをいただきたい。
  74. 今井榮文

    ○今井政府委員 先生のおっしゃる漁船の海難に関する裁決書を特に読んで、それについてどうこうというようなことは現在ございません。なお、そういう点については、さっそく帰りましてそういったものについて十分調査してみたいと思います。
  75. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 海難審判の裁決書につきましては、まだ私も十分これを読んでおりませんですから、何とも申し上げかねます。ただわれわれといたしましては、海上保安庁から海難統計が毎々出ておりますが、その中で漁船につきまして非常に最近事故が多い。特に漁船につきましてもカツオ、マグロ等について統計が出ております。そういう統計を見まして、そしてカツオ、マグロについても、三十九トン型がかなりのウェートを占めておるということで、昨年から三十九トン型をどうするかということで十分検討もし、これが安全操業という点について研究もし、いろいろしていくようにする、こういうような措置を講じてきたわけでございますが、今後海難審判の裁決書等を十分参考にいたしまして処理していきたい、こういうように考えます。
  76. 近藤武之助

    ○近藤説明員 最近海難事故が非常に多いわけでございますが、大体海難統計その他から検討いたしますと、海難事故の原因はいろいろ考えられるわけでございます。先ほどからいろいろお話がございますように、大体全損の場合、乗り上げですね、それから衝突、それからエンジン——船体について考えた場合に機関の故障、大体この三つが考えられるわけでございまして、これが直接の原因、間接の原因、いろいろ競合するわけでございますが、船舶局関係といたしまして船体並びに機関、これを物的面におきまして重点的に検討しておるわけでございまして、船体が弱いから、座礁ですぐ船が参ったということもないとは言えないと思いますが、大体毎年並びに二年おきの検査で古いものは改修し、耐航性を持たせて運航しておるので、その点もある程度カバーしておるのではないかと思われます。  それから審判庁の裁決その他につきましては、特別に関心があると申しますか、特別に必要なものだけ見ておりますので、全般的には目を通しておりませんので、今後その方面も検討いたしたいと思っております。
  77. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 私も裁決書を一つ一つ全部読んだわけではございませんが、審判庁のほうの統計、裁決の結果、海難原因の探求の結果の統計等によりますと、運航上の過誤あるいは機関取り扱いの過誤、私ども関係でいいますれば、船舶職員がその職務を遂行するにあたって間違いがあったという例が七〇%ぐらいということを聞いております。で、これにつきましては、なお審判庁の理事官あるいは審判官に伺いましたところでは、非常に過誤を何人もしやすいような状況における過誤であるのか、それともこのような過誤をおかすのは非常に注意力が不足しておったという場合であるのかというような点について、審判官にお教えをいただきまして、大体通常の注意をもってすれば起こり得ない間違いであるということでございますので、こういう場合に事故を起こすというものにつきましては、海難防止会等が事故の実例、裁決にあらわされた事故原因というふうなものから教訓を引き出しまして、海難防止会において指導をいたしております。そういう方向で今後も進んでいきたい、こう思っております。
  78. 久保三郎

    ○久保委員 大体答弁は長いようだが、残念ながら審判庁の裁決はお読みになっていない方が半分、読んでいるようなお話をされたのが半分ということでありまして、審判庁長官はこの実態をどのように考えますか。
  79. 藤枝盈

    ○藤枝政府委員 私のほうは、そういうものは裁決書というものしか発表の権限がございませんので、たとえば裁決書をもとにしてPRといいますか、海難防止というほうに手を出すというところまでいっておりませんので、これはその道のほうでやっていただくことにしまして、私たちはそういう材料を提供するという程度にしかいまの現段階はなっておらぬので、この辺われわれといたしましてももう少し何とかしなければいかぬじゃないかという気分はあるのでございます。  それと先ほど三十八年と申し上げましたが、事件は三十八年に起きても、その後調査の段階から裁決までがかなり日にちがたっておりますので、三十八年全部というわけには参りかねるかもわかりませんので、現在締め切った、裁決が出たところまでの統計でごかんべん願いたいと思います。
  80. 久保三郎

    ○久保委員 私はこういうふうに感じました。海難審判庁という権威あるところで出した裁決も、これがあまり関心を持たれないほど、審判庁というのはどこにあるかわからぬ、こういうふうにもとれるわけです。それからもう一つは、役所の中、運輸省あるいは水産庁の中で審判庁という権威を認めないのか、それともあてにならぬのか知らぬが、そういうものに関心を持っていない、こういうふうに思うのでありますが、少なくとも真剣にこの海難を防止しようというのには、保安庁の年一回の報告もさりながら、やはり具体的に出た問題について徹底的な究明を怠っていやしないか、こういうふうに考えます。徹底的な究明がおろそかになっている。そこで関係者にこの点だけはひとつ要望しておきますから、次回に回答してもらいたいのだが、いま話題になっているマグロの漁船——九十九トンが一番焦点になっているようだが、少なくとも国民大衆は多大の疑惑を持っている。と同時に、一朝事間違えば、これは全損のうき目に合う。全損とは、貴重な人命が海洋の中に沈んでいく。幸い、いままでの特異なケースといって、室戸岬におけるところの九十九トン十隻は、人命は救助されたということがありますが、これが一つ間違えば、御承知のように全損のうき目になる。これに対して無関心であってはならぬと同時に、新聞やその他で報道されるような疑惑というものも解かなければならぬ。その責任は、あげてそれぞれの権限をお持ちのそれぞれの関係筋だと思う。この点はしっかり申し上げておきます。  次に、時間もありませんので先へ参ります。特にマグロの問題でありますが、マグロばかりじゃございませんが、漁船全体で、先ほど水産庁長官からお話があったように、釣獲率が減ってきたというので、行動半径は非常に長くなった。長い距離に長期にわたって出漁する。それで何とか釣獲率の低下を、そういう稼働の密度を上げてこれを救済しようということに一つは無理があると思うのです。その端的なあらわれは、先ほど申し上げたように、発航検査が適切に行なわれているかどうか適当な乾舷を保っていかなければならぬ、あるいはトップヘビーの状態ではいかぬというのが、これは船員法改正のときにもここで私からそれぞれ論議をしましたが、少なくとも今日ただいまでは、これまた改まっておらぬような実情ではないか。これに対して水産庁はどういうふうに考えているか。船長に発航検査の権限があるわけなんだが、実際の漁船の支配権というのは漁労長なりあるいは船主そのものが持っている。さらにもう一つは、船長も船員の一人でありますが、今日ただいまも、漁船船員の賃金の形態は何かというと、水揚げに対する歩合制であります。そうなりますれば、経営者と同じような意識に立って、漁獲を上げることが先決であるというために、自分の命をすれすれまで、やはりトップヘビーの状態で、過積みの状態で大洋に船を出す、こういう問題があるわけです。この問題については、船員法改正のときにも、労働条件その他の改善要綱が運輸省並びに水産庁のほうに出たと思う。これは的確に行なわれているかどうか、いかがでしょうか。
  81. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 御指摘のように、漁船の遭難事故につきましては、いわゆる積み荷過重という原因によりまするものも相当あるわけでございます。特にカツオ、マグロ等内地基地で操業します分については、近海からさらに遠洋に出ていく、こういう段階において港を出るときには、油その他の資材を過重に積んでトップヘビーになる。また帰るときには、腹一ぱい漁獲物をかかえて満船の状況で帰ってくる。こういうことでそういう積み荷過重による事故は、日本近海に出るとき、帰るときということに集中して多いように、統計上うかがわれるわけでございます。これについては、もちろん人命の尊重、安全操業ということが第一でございまして、ものの考え方を、やはり人命を尊重しなくてはならぬという考え方に基本的に、われわれ、関係業者全部そういう意識になっていくことが大事でございまして、こういう点については、県にもこういう趣旨を厳重に通達して、発航検査を厳重にやるということと、それからカツオ、マグロならカツオ、マグロの組合がございますから、組合を通じて、船主のこういった人命尊重と安全操業の確保についての意識を高めるということを指導するということで、検査の面及びそういう経営の面からくる無理な操業をさせないようにという両面から、そういうことの育成につとめているわけでございます。
  82. 久保三郎

    ○久保委員 お話ではだいぶつとめておるようでありますが、実際に立ち入り検査も一つ関係がございましょうし、そういったことからいって立ち入り検査もできないというのが実態ではないでしょうか。さらにもう一つは、たとえば救命用具の問題でありますが、話によれば、いまでも人間の頭数だけ積まぬで、三分の一ぐらい積んで持っていくのがあるそうです。これは水産庁として御存じですか。
  83. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 救命具が頭数だけないといったような、常識的には考えられないことがあるということを聞きまして、それは非常にたいへんなことだということで、その救命器具の整備ということは督励してやっております。特に最近におきまして膨張式の分が非常に発達しておりますので、膨張式のものを設備するように指導して、それにつきましては農林漁業金融公庫から融資の道を開く、こういうふうにいたしましてそういう整備をはかっております。
  84. 久保三郎

    ○久保委員 そこで、たとえば救命用具一つとっても、発航検査というか、そういう臨検はどこが責任を持ってやるのですか。
  85. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 船員法によりまして、発航前検査は船長の義務として第八条に規定してございます。その船長が発航前検査を行なったかどうかということの監査は、船員労務官が行なうことになっております。
  86. 久保三郎

    ○久保委員 船員労務官が行なうというが、船員労務官の配置の状況は、漁船の実態から比べて十分ありますか。
  87. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 決して十分とは言えない状況でございまして、現在全国で八十名の労務官がおりますが、最近特に漁船の労働条件、労働環境及び安全という面で非常に問題が多いので、特に漁船に重点を置いて実行をいたしまして、なるべく船員法の厳格な適用に努力をいたしております。
  88. 久保三郎

    ○久保委員 船長が発航検査をやることはわかっておるんだが、船長だけにまかしておくということであって、船員局そのものの労務官が臨検することも当然あり得るのですね。
  89. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 労務官が臨検することはございます。
  90. 久保三郎

    ○久保委員 その臨検はひんぱんにやっておりますか。人数が少なければできませんな。
  91. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 昨年度の実績では、船員法の適用のある漁船の約四九%——一年間に半分という実績がございます。
  92. 久保三郎

    ○久保委員 労務官は地方海員局に所属しますな。
  93. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 そのとおりでございます。
  94. 久保三郎

    ○久保委員 そうしますと、海員局は、労務官そのものの職務を忠実に厳正に行なうのには、役所の性格上、少し無理がありはしないかと思う。それはどう考えますか。
  95. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 船員労務官は、陸上でいいますれば労働基準監督官と非常によく似た仕事をいたすわけでございますが、現在のところ労務官が海員局におるために仕事がしにくいというふうなことは、私どもはないと思っております。
  96. 久保三郎

    ○久保委員 立場上そういう答弁をすることは当然だと思うのでありますが、それでは臨検して発航検査をして、これはまずいということで出港をとめたのはたくさんありますか。
  97. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 船舶の出港を停止するということはいままでやったことはございません。
  98. 久保三郎

    ○久保委員 そうすると大体事故はなかったということですね。
  99. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 船員法の各条に照らしまして、違反のありましたときはそれぞれ注意あるいは指導をして是正をさせる、あるいは事案によっては検察庁の指揮を受けて犯罪捜査をやるというのが労務官のつとめでございます。船舶の出港を停止するというふうなことは、労務官としてはいたさないのでございます。
  100. 久保三郎

    ○久保委員 できないわけですね。
  101. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 船員労務官は出港停止というふうな処分はできません。
  102. 久保三郎

    ○久保委員 そうすると強制力はないわけで、出ていった場合にはいわゆる船員法違反でこれを検察庁に訴えるという手配だけですか。
  103. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 違反事件を全部送検するというわけではございません。きわめて悪質なものを送検をいたしております。
  104. 久保三郎

    ○久保委員 これはあとでまだ論議しますが、船員労務官そのものについても、やはり権限その他組織の点についても考えなければいかぬと思います。私がさっき言ったのは、水産庁長官にお尋ねしているのは、いままで三分の一ぐらいしか救命具を積んでいかぬというのがあるというのです。それからもう一つは船舶局と水産庁にお尋ねするのですが、先ほど水産庁長官からお話があった膨張式いかだを積ませるように融資その他をやるでしょう、これはけっこうです。そのとおりでいいと思います。しかし先般たまたま三浦と浦賀で新しい船を見てまいりましたが、膨張いかだが片舷だけ積んであって、その積んである片舷が下向きになって沈没した場合にはどうして救われるかという心配がしろうとにはあるのです。これは片舷に積んであって、そのほうの側にひっくり返っても心配ありませんか、膨張いかだは出ますか、いかがですか。
  105. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 私、技術者でありませんので明確には申し上げかねますが、片舷に積んであって、そのほうを下にして転覆した場合には非常に困難であろうという見込みでございます。そういう事例がございますればやはり県あるいは協同組合等を通じまして、そういう設置について奨励の措置を講じておる以上は、せっかく積んだものが役に立たないことがないように、さらに注意、指導したいというふうに考えます。
  106. 久保三郎

    ○久保委員 これは船舶局の事項かもわかりませんが、こういうのを新しい船で見てきております。こういうのは建造許可をするときに、こういう設計のものをみな許可しておるわけですね、この建造の許可は水産庁でおやりでしたか。
  107. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 水産庁でございます。
  108. 久保三郎

    ○久保委員 それではいま私が指摘したようなものは、あなたの答弁によりますればどうもあぶない、これでは効用をなさないということでありますが、効用をなさないものをなぜ許可されるのか。
  109. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 建造の許可は漁船法によりまして私のほうがやっております。その前に建造許可申請がありますが、それについて、先ほど申しました漁船の性能基準を審査して指導を行ない、それによってぐあいが悪いところは是正させて建造許可をするという方向に指導しております。  なお船舶の安全性の問題につきましては船舶局等の御所管でございますが、われわれといたしましても、漁船の性能の安全ということのためにはできるだけの指導はやりたいと思っておりますので、先ほど膨張式いかだ等の設置の場所等については、融資の道が講ぜられてあとでそういったものを設置したのか、漁船建造のときからそういう設計があったのか、そこら辺が問題だろうと思いますが、よく調査してみます。
  110. 久保三郎

    ○久保委員 私もしろうとですが、長官、あなたもそういう船の構造についてはしろうとだろうと思うのです。私が見てきて聞いた範囲では、大体ああいうものを置くと、魚をつるほうにじゃまになりますから、両方に置くより片方に置くほうが、片方は使えるからいいということもあります。これはまたあとであなたが来たときにお尋ねしますが、少なくともそういうもの一つをとっても問題がある。  それから危険の場合、脱出の設備のない船もあるが、こういうのはあなたのほうで全部検査をされるのか。船舶局はどの程度の検査をするのですか。漁船の構造についての検査はあなたのほうですか、それとも水産庁ですか、どちらですか。
  111. 近藤武之助

    ○近藤説明員 いまお話のように、船である以上、漁船であるか一般貨物船であるかにかかわらず、安全法に基づきまして、船の新造当時並びにその後の中間検査を定期的にやっております。
  112. 久保三郎

    ○久保委員 それではいままで指摘されたようなことは全部検査を通っておるんですね。それは先ほど水産庁長官が言った性能基準その他で一応きまるわけでしょう。それに基づいてあなたのほうは検査するんですか。それとも船舶安全法に基づいてあなたのほうが別途の観点から中間検査なり何なりしますか。しろうとでよくわからないが、どっちですか。
  113. 近藤武之助

    ○近藤説明員 船舶安全法に基づきまして木船並びに鋼船につきましてはそれぞれ構造規程、省令がございますので、その構造規程に基づきまして検査をやっておるわけでございます。
  114. 久保三郎

    ○久保委員 どうも私の質問が徹底していないようだからあとに回します。  そこで水産庁長官にお尋ねするのですが、いわゆる丸十のしるしをつけたボーナストン数による改造がありますね。趣旨としては、いわゆる指導要綱に従って居住区改善のためにボーナストン数は出るんですね。この場合はたしてボーナストン数が所期の目的どおりやられておりますか。こういう検査はおたくのほうでやっていますか。ボーナストン数は確実に居住区の設備改善しておりますか。
  115. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 乗り組み員の生活の場であります居住区の改善については、一昨年からこれの改善方について努力いたしております。その方法といたしまして、やはり居住区を改善するためには船を大型化していく必要があるわけでございますので、新造の場合には無補充で居住区の改善のために必要な大型化を認めるという措置を講じまして、居住区が改善される道を促進しておるわけであります。それによって新しい船の建造ならば新船の許可申請が出ますので、その際によく審査いたしまして居住区改善の基準に合致しておるというときには建造許可を出すことに相なりますし、改造の場合には改造願いとして改造申請が出ますので、それに居住区の改善が基準どおり設計されているかどうか。そういう審査をいたして、悪ければ是正させる、こういう道を講じてやっております。その後の今度の設計どおりされているかどうか、そういうことについては海運局のほうにお願いして検査してもらう、こういうことにいたしております。
  116. 久保三郎

    ○久保委員 あなたがおっしゃるのは水産庁の許可の手続でございまして、あとはわからぬ。海運局で言うところの船舶の検査官ですか、そういうものがやるのですが、お宅のほうであとは検査するということですか。
  117. 近藤武之助

    ○近藤説明員 改造その他がありました場合には、そのつど改造個所を検査をしております。
  118. 久保三郎

    ○久保委員 大体いままでの漁船は、たとえば三十九トンにしても、九十九トンにしても、いまのようなボーナストン数の問題もありますが、そういう改造した場合、お宅の検査官が行って、安全だということが証明されるわけですね。安全だという証明が出たあとで、ポカリ、ポカリ沈むわけですが、こういうことについてあまりふしぎに思っておりませんか。いかがですか。  もう一つは、たとえば、このボーナストン数等で改造する場合に無理がきやしないかとしろうと考え考えるのですが、そういうものはどうなんですか。居住区の問題は適正にやっているかどうかわからぬけれども、それではその構造上からくるところの耐航性はどうなのか。これは十分に技術的な立場から検査をなさるでありましょうが、しろうと考えでは非常に無理だろうと思うのです。そういう無理なことは全然ございませんか。
  119. 近藤武之助

    ○近藤説明員 個々の船につきまして、いろいろ構造その他が変わっておりますので、十分その点考慮いたしまして、その船に適合した、しかも安全だと思われる方法で、現地でそれぞれ指導しておると思っております。
  120. 久保三郎

    ○久保委員 そう思っていらっしゃれば気が楽でありますからしかたがありませんが、この問題はあとでまたやりましょう。  次にお尋ねしたいのは、これは水産庁なんですが、どうも総トン数で漁業許可というものは基準をとっておやりですね。そうでしょう。総トン数でやるということ自体は一つの理屈はありましょう。理屈はありましょうが、先ほど来たびたび申し上げておるように、どうして魚を一ぱい積めるか、あるいはどれだけうんと魚がとれるかというところだけに力点があって、そこに働く者の問題、あるいは安全性について、これはあまり考えておらなくなってきてしまう。たとえばこの三十九トンでも無許可で何でもできるという話ですが、今度は許可にするという話でありますが、こういうことになってきた原因は、いわゆる特殊規定によるところの従業規則、これによって一種、二種、三種の漁法の区別がありますね。これは最近見直して、考え直すべきじゃないかとわれわれは思っている。カツオ、マグロが第何種とか、あるいは第二種もできるとか、第一種もできるとか、これはもちろんできた当時はそれだけの意味があるのでありますが、最近のように中部太平洋なり大西洋まで出ていって漁労をするということになりますと、しかも船の性能も違ってまいります。昔ならば、この従業規則によっていわゆる制限をしていく方法は、一つの効果があったと思うのです。しかし最近は漁法も漁場も、船舶の性能も、働く人間も変えざるを得なくなってきた。そういうときにいままでどおり、この従業制限によって規定をすることが正しいかどうか。言うならば、一般汽船外航船というか、そういう船と同じように、船の性能によって操業区域をきめる。さっき、三十九トンの問題でおっしゃいましたが、やはりそれは否定できないと思うのです。こういう考えをいま検討されているのかどうか、いかがですか。
  121. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 御指摘のように、現在の漁船法におきましては、総トン数制度、いわゆる船舶積量測度法によるところの総トン数でやっております。それが漁業法におきましても、やはり許可する場合の総トン数の基準になっておるわけでございますし、またいろいろな規定になっておるわけでございます。これが端的に漁船の漁獲努力を必ずしも正確に反映しているとはいえないわけでございまして、何かこれにかわる的確な基準があるということにつきましては、ただいま検討をいたしております。これは漁船法の問題として、検討いたしておりますが、まだ十分現行の総トン数制度にかわる何を基準にするかということはめどはついておりませんが、検討はいたしております。なお最近におきまするこういう三十九トン、あるいは北洋におけるはえなわ、事故の多い船等がございまして、そういうものについては特にやはり漁船の安全ということが必要でございますので、人命、船舶の安全という面から先ほど申しましたように、漁船の性能基準というものを最近の趨勢に応じて改正して、建造許可申請をいたします場合には、その漁船の性能基準をもとにして、それによって指導して、船舶の安全性、環境の整備をはかっていく、こういうような指導をいたしております。  なお従業制限制度につきましては、これは漁船についても特殊なものでございます。先生の御指摘のとおりでございまして、必ずしも機帆船等と同一に考えるわけにはいかないと思いますが、御指摘のように、やはり漁業事情が技術の面あるいは資源の面で漁場の位置等も変わってまいりますし、技術も進んでくる、こういうようなことで一種二種あるいは三種というものの中におきまするどれを一種にするか、二種に格上げしていくかということについてはさらに検討して、この制度の中において船舶の安全を期するようにという検討は今後ともいたしたいと思います。
  122. 久保三郎

    ○久保委員 それはまたあとでお尋ねいたしましょう。時間があまりないようですから次に参ります。  そこでこれは船員局並びに水産庁にお伺いするのでありますが、大体海難の大きな問題は、先ほど申し上げたように、お話があったししますが、過労から出るものが漁船の場合相当多いと思う。そこでわれわれが聞いておる範囲では、マグロのごときは労働時間大体一日十八時間以上だそうです。こういう十八時間以上もやって、しかも御承知のように中部太平洋あたりまで行くんでありましょうが、これは大体五ヵ月か六ヵ月かかる。もっと大きい船になりますれば一年から一年半くらいかかる。こういうものがはたして近代労働の範疇に入るかというと、ちっとも入りません。そこでこれらについてどういうふうに考えておられるか、十八時間以上も働かせるということ自体について、水産庁はどういう考えを持っておりますか。
  123. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 この問題は漁船労協等からも従来いろいろ指摘されておりまして、漁業としての特殊性もございまして、陸上で考える陸上の労働環境等も非常に変わっておるわけでございます。また魚群を発見した場合に、それを追求して漁獲をあげていくというように、集中して働いていけば過労働になっているという面も多々ありましょうし、また漁獲率が落ちているという関係で、洋上の操業が非常に長くなる、こういう傾向でございまして、こういう面についての労働環境の改善という点は、先ほど申し上げましたように、いわゆる無補充で大型化を認めて労働環境を改善していくという面の指導をいたしております。また従来休養時間等については船員局等からも指導がなされておりますが、できるだけそれに合うように、しかし経営の実態に即応して、必ずしもそのとおりにいかない面もありましょうが、個々の実態に即応して改善するというようにということで指導しております。まだ実効はなかなか上がらないと思いますけれども、そういう面で、漁業が非常に労働者を要する、人手を要するという面において、やはり機械の省力化といいますか、新しい機械を導入して、人力の軽減をはかっていく。そういう研究あるいはそういう施設の導入ということについても指導なり、あるいは融資の道を講ずるというようなことで考えております。
  124. 久保三郎

    ○久保委員 船員局の答弁はいいでしょう。あなたのお話だと、努力していると言うが、実際努力のかいがどの程度見えているかわからぬですよ。それで、たしか一年半前にそういうものの改善の要綱というか、指導されるということでありましたが、そういうものの実施の状況はどうなのか、後刻資料を提出願いたい、こういうふうに思います。  次に、船員法の第七十三条で、漁船の船員の労働時間、休日あるいは定員、こういうものについては主務大臣が必要があると認めるときは船員労働委員会にかけてきめる、こうなっておりますが、いまだに船員労働だけは、労働条件あるいは定員、こういうものがきまらぬのであります。政府自体として、水産庁並びに運輸省はこういうものをきめないでもいい、こういうふうにいまでも思っていらっしゃるのかどうか、これはどうですか。
  125. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 漁船につきましては、御承知のとおり船員法の労働時間の適用がございませんので、先ほど水産庁長官から御答弁に相なりましたように、私どもといたしましては、有給休暇、有給休暇以外の休日につきまして労働条件の指導を行なっております。さらに労働時間制を船員について全然必要ないと考えるかということでございますが、私はだんだん必要になってくる、こういうふうに考えております。現在船員労働委員会におきまして船員法の労働時間の規定の適用のない部分につきまして検討いたしております。その労働委員会の御決定によりまして、あるいは具体的な法律を書くなり、あるいは現在の七十三条を援用して、主務大臣の決定によってやるというふうな措置をとりたいと考えております。内容的には、やはり大型船におけるような一日八時間、週五十六時間というような労働時間をきめることは困難ではないか、あるいは逆に休息時間の決定とか、あるいは一定期間内における平均労働時間というふうなことで考えていくのが、むしろ漁業の実態に合うのではないかというふうに考えております。
  126. 久保三郎

    ○久保委員 それは七十三条が空白になっているわけでありますが、これについて、いまのお話だと検討はしているようでありますが、いつの日きめようという考え検討しているのか、それともまあまあこれも何とか考えなければいかぬだろうというお考えをお述べになったのか、どちらです。水産庁にも関係があるのだが、これをきめる段階で、漁業労働者自体も、御案内のとうり逼迫を告げております。しかも船舶職員法違反のようなことが端的なあらわれです。そういうことを考えれば、この空白になっている七十三条に基づくところの、特に漁船船員のいわゆる労働条件等は早急にきめなければいかぬと思うのですが、これは早急にきめるということでありますか。いかがです。
  127. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 水産庁とも連絡をいたしまして、なるべく早い機会にその方向に持っていきたいと考えます。
  128. 久保三郎

    ○久保委員 水産庁長官どうですか、この問題について。
  129. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 マグロ漁業のみならず、遠洋の漁船の労働問題というものは、環境の問題のみならず、労働力を確保するという面からも、今後非常に重大な問題だと存じます。そういう意味で労働の条件も改善していくということは、まさに今後の漁業におきます重要な課題だと存じます。いま船員局長からお答えがありましたように、漁業の実態ということをよく把握してもらって、実態に即した必要な改善措置は、船員局のほうと連絡をとってやっていきたい、こういうふうに考えております。
  130. 久保三郎

    ○久保委員 そう両方で思っているだけではちっとも進まぬ。話もしなければならぬと思うのですが、そういう気分があるのかどうか、仕切り直しばかりやっているのかどうなのか、これはどちらが発議する問題だと考えていますか。
  131. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 労働時間制等を漁船労働に適用していくということは、船員法を所管しており、漁業労働の保護に当たっております私どもが発議すべきだと思っております。従来の労働条件の改善、これは行政指導でございますが、私どものほうから水産庁に連絡をいたしまして、漁業の実態に即応しつつ毎年毎年逐次労働条件を上げていくという方向で進んでおります。
  132. 久保三郎

    ○久保委員 船員法改正でありますから、たしか三十六年か七年だと思いますが、そのときに、いまの指導要綱というものが審議の中途で出ました。水産庁とそれから運輸省の共同の通牒であります。それを出したときのいわゆる議事録を持ってまいりませんが、さしあたり行政指導によって、かかる要綱でやっていきたいというのが国会に対する政府側の約束であります。もうすでに両三年たっておる。しかも事情は急速に変化しておる。労働事情の逼迫も一つ、海難も多い、こういうときにあたって、いまだに何らのきざしがないことは非常に遺憾千万だと思います。これは船員局長が、発議するのはわがほうであるというから、少なくとも本年度中にかかるという決意であるかどうか、お伺いいたしたい。
  133. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、現在労働時間につきましては、船員労働委員会において検討中でございますので、私どももそこにあらゆる必要な材料を提供いたしまして、なるべく早く委員会としての御結論をいただくようにしたいと思っております。
  134. 久保三郎

    ○久保委員 船員労働委員会にそれはいつかかりましたか。時間もないからら、それを資料として、船員労働委員会議事録の抜粋を出してほしい。出ますね。
  135. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 ただいま御指摘になりました船員法の一部改正法律案に対する当院の附帯決議に「漁船、小型鋼船及び機帆船の労働時間及び休日について適当な基準を設定するよう努力するとともに、これらの船舶の乗組員、特に国際漁業、長期漁業に従事する者の労働条件の改善についての指導を強化すること。」というのが第四項にございますので、これに従いましてやっておりまして、現在労働委員会で旅客船、機帆船という順序で審議が進んでおりまして、漁船の労働時間については、労働委員会としては行なっておりませんが、行政指導としては私どもは休日についてすでに一昨年来やっております。今後労働時間についても実態に即応したやり方で行政指導はいたしたいと思います。
  136. 久保三郎

    ○久保委員 漁船については何もやっていないということですよ。大体機帆船、旅客船を先に取り上げたのは、ことばは悪いのですが、これは運輸省のほうだけで大体話はきまる。水産庁の関係する漁船のほうはなかなかたいへんだからあと回しだということであとになった。ところが、機帆船にも問題がありましょう、旅客船にもあるかもしれませんが、いま一番問題なのは漁船ですよ。全損はだれが受けるのです。漁船ですぞ。そうなったら一番ウエートをかけて先にやらなければならぬのは、漁船の船員の労働条件なんですね。ところが、漁船の労働条件については、指導要綱を、船員法審議の途中で、こういうものを出すからかんべんしてくれとは言わなかったが、当分これでやっていきたい、こういうことで、七十三条のところでは突っかかりましたが、これはそのままいった。私は国会の附帯決議を、あなたから言われなくてもつくったほうですからわかっております。政府は附帯決議が出てもあまり乗り気にならぬ。特に魚をたくさんとろうという側の水産庁、働く者の立場から多少でも労働時間で締めようという立場運輸省、これはいつも意見が合わないのです。しかも、もう少し考えなければならぬのは、そういう業者代表なんかじゃなくて、漁業全体の立場から考えていくという時代になったということも、水産庁長官にも一言申し上げておきたい。だから、これは約束してください。なるほど労働委員会にかけるというのは、旅客船、機帆船もやってほしい、これは必要だと思う。だけれども、最も大事な漁船船員の問題をかけないという法はどこにあるか、即刻かけてほしい。この会期中にいかがですか。会期は四十日延長になりました。できましょう。労働委員会にかける、かけたって審議するのでしょうから、すぐはできるはずはない。いかがでしょうか。約束できますか。
  137. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 労働委員会で現在船員労働時間の適用のない船舶全体についてやるつもりで進んでおりまして、最初に旅客船、機帆船というものを進めておりますので、労働委員会にもお願いをいたしまして、漁船もなるべく早く手をつけるようにお願いをいたします。
  138. 久保三郎

    ○久保委員 これ以上言ってもしようがないからなんですが、とにかくわれわれは附帯決議は忘れちゃいないですから……。  それで、九十九トンとか三十九トンとか、いろいろ問題があと二点か三点ありますから、簡単に尋ねますから、これは水産庁その他で答えてください。  それからもう一つは、船員法審議のときに、水産庁及び船員局から出した指導要綱、その中には歩合給の問題が入っている。少なくとも六割は固定給に置きかえろ、こういう指導だが、もはや六割の固定給じゃなくて、水揚げ高による歩合給は全廃すべき段階ではないかと思う。これに対して水産庁長官の御所見はどうですか。
  139. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 賃金体系の改善ということで、われわれは実態の把握をやるということが先決だと思いまして、三十八年度は事例的に賃金体系の調査をいたしております。それで、御指摘のように、歩合制の問題、あるいは大仲制度といったようなものが、漁業の実態として相当長い経歴を持って実施されておりますが、最近の傾向はやはり固定給プラス歩合制、あるいは最低保障プラス歩合制、そういった制度が相当多くなっておりまして、全部歩合制というのはだんだん減りつつございます。われわれといたしましても、そういうふうに指導もいたしておりますが、やはり漁業の実態として歩合制というものの利点もありますので、固定給制度と歩合制というものをかみ合わせて実態に即するように、こういうふうな指導をいたしたいと考えております。
  140. 久保三郎

    ○久保委員 あなたの結論は、歩合制にも魅力があるというような話ですが、そういうことでは今日ただいま漁船労働力を確保するということは不可能になってきているというふうに私は言いたいのです。それから海難の問題も、先ほど言ったように、歩合制があるからこそ発航検査も的確にできない。船長も船員も、魚はうんととらなければ自分の月給は上がらぬということでありますから、その勤労意欲をかき立てる方法は別途考えるべきだと私は思っている。これはいずれあとに残しますが、少なくとも歩合給について、たとえばいまも調査されたそうでありますから、大仲制度についても調査をされたでありましょうから、その資料を提出願いたい。
  141. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 いま取りまとめ中でございますので、まとめましたら提出いたします。
  142. 久保三郎

    ○久保委員 会期中にはだいじょうぶでしょうな。   〔「出すつもりがないから、そういうことを言うんだ」と呼ぶ者あり〕
  143. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 故意にそういうことはいたしておりません。いま印刷に出そうという段階まで進めております。まだ相当かかると思います。そういう点、印刷に出す段階までに集計やなんかをやっておりますので、ただそのまま印刷するというのじゃなくて、やはり取りまとめて出さなければいかぬと思いますので、そういう点の作業をいたしております。できるだけ急いで出します。
  144. 久保三郎

    ○久保委員 長官の良心的な答弁に信頼しますよ。  次にお伺いしたいのは、これは母船式じゃなくて、いわゆる集団操業をやっている。これとからんで洋上補給あるいは洋上転載というか、そういうものもあるのですが、これは水産庁としてはいかなる方針ですか。じりじりしている人もありますから、簡単に御答弁願いたい。
  145. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 なかなか簡単に申し上げにくい点でありまして、やはり漁業の実態からそういった経営方式なり操業方式が出てくるわけでございまして、一がいにこれが悪いともいいとも言えない。実情に即した操業形態につきまして、悪いところがあれば改善していく、こういう態度で臨みたいと思っております。要は乗り組み員の労働過重になるという点が一番問題になろうかと思いますが、そういう点の欠点を是正しながら、こういう問題についてはやはり実態に即した操業形態として伸ばし得る面は伸ばしたらどうか、こういうふうに考えております。
  146. 久保三郎

    ○久保委員 伸ばす方法として集団操業は操業の形態としてはいいものだ、こう思っていらっしゃるようでありますが、忘れちゃいけないのは、そこに働く労働者の問題であります。あなたも御承知のように、これは大体五百トンから七百トンの船が中心になりまして、あとこまい三十九トンその他を引き連れてそれでやっているのですね。中心になるところの親子操業の親のほうは、母船式じゃありませんから、実際言って諸設備はありません。それで大体これは半年くらい洋上に操業を続ける、こういうことですね。しかも油の補給等は、洋上補給ということで油だけは持ってくる。しかし米は持っていくだろうけれども、必要な生鮮食料品とかあるいは清水についても必ずしもこれは十分じゃない。三十九トンにしてもあるいは九十九トンにしても、大体新しい船は造水機をつけておりますけれども、こういう長期の期間十分にまかない得られるところの清水などはありません。大体水は往復で手一ぱいです。そういう設備というか補給をしながら労働を続けさす。しかも先ほど話をしたように、十八時間以上も毎日労働している。それじゃ居住区はどうかというと、私は三十九トンの居住区を見てまいりました。あなたもごらんになったと思うのでありますが、脱出の通路などはありませんし、寝るところは基準にも何にも合っていない。そこで七、八人、いわゆるざこ寝ですね。薄暗いところにいる。休養がとれるはずがないですね。そこで半年以上もそういう洋上にくぎづけにしておく。これではたして人命尊重の世の中でありましょうか。それを考えないで、なるほどこういう親子操業はいいだろう、なるほど魚をとって売るという立場からはいいかもしれない。しかし人命尊重という立場からすれば、清水もなし、生鮮食料もなし、居住区もなし、ましてや親子の親のほうの船は母船式じゃありませんから、ふろもありません。半年以上もふろにも入れない。そういう操業をさせておいて、はたしていいのかどうかということを私は言いたいのです。だから私は、あなたはこれもいい方向に伸ばすというが、伸ばす方向を次回に御答弁いただきましょう。どういう方向で、どういうことで、私の意見も入れて伸ばし得られるのか、この点御回答をいただきたい、かように思います。  続いて申しますが、母船式の問題もあります。これはいまのような方式でやはり一年か一年半くらいかかりますね。なるほど母船式の母船にはいろいろな施設もありましょうが、少なくともそういう独航船に対してまでも設備を十分に持っているという船は数少ないようであります。ここにも問題がある。こういうことで、はたしていいのかどうか。集団操業並びに母船式の漁業についてもう少しそこに働く者の立場を十分に考えてこれはやらせるべきだ。大体、洋上転載とか洋上補給などは全部水産庁は認めていらっしゃるわけですね。
  147. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 許可船同士の漁獲物の転載ということは承認されております。  それで先ほどから申されましたように、集団操業の問題も新しい形態でございます。三十九トンなりあるいは五十トンとか、そういう小型が単独に操業するほうが安全か、あるいはそういった集団的に操業したほうが安全かという問題もありましょうが、要は、先生のおっしゃるように、やはり労働過重の問題が一番問題になろうかと思います。先ほどから申しますように、これについてはまだ新しい操業形態としてやられてきている問題でございますので、十分検討して是正するところは是正し、またそういう面で伸ばし得るならば伸ばしていきたい、こういうふうに考えて、十分検討さしていただきたいと申し上げた次第でございます。
  148. 久保三郎

    ○久保委員 長官、洋上転載とか洋上補給は、あなたのほうできめている省令に違反してないのですか。私がいま言うようなのは全然違反してない、それは合法的でありますか。
  149. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 漁獲物の洋上転載は、許可船同士ならば省令で認められております。ただ油の補給等は省令外でございまして、別に違反ではございません。
  150. 久保三郎

    ○久保委員 そういうことはそれじゃやっても差しつかえないということになりますか。それではまたこれはあらためて考えましょう。  それからもう一つは、海外基地漁業の問題がございます。たとえばラス中心の問題とかあるいは中部太平洋の問題もありますが、ラスの問題一つとりましても、これらは大体長期にわたって、船員は三年ぐらい行っているわけですね、そうでしょうな。
  151. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 ラスパルマスの海外基地におきましては、長いのはそういう二年ないし三年になるというふうに聞いております。大体平均一年何がしかと聞いておりますが、長いのはやはりそういうのもあろうかと聞いております。
  152. 久保三郎

    ○久保委員 そういう場合に、おたくのほうの係官はそういうところに行って調査されますか。
  153. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 現在まだ駐在官はおりません。ことし実情を調査に派遣いたしまして、実情は調査して帰ってきておりますが、やはりそういうところについての漁船員の厚生なりあるいは福祉その他給与、そういう点について十分今後対策を講じなければならぬ、こういうふうにわれわれは報告によって考えております。
  154. 久保三郎

    ○久保委員 報告はあったわけですね。
  155. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 係官が三月末に一応ラスパルマスに調査に参っております。
  156. 久保三郎

    ○久保委員 それじゃそれも近い機会に、どういうお考えか御表明いただきたい。  船員局にお伺いしたいのだが、多数の日本漁船船員が外地へ長期にわたって行っているわけです。これに対する監督というか指導というか、そういうものに対して全然いままでは手放しだと思うのですが、これは何かやっておられますか。
  157. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 仰せのとおりたいへん手薄でございますが、現在は内地発航前にそういう労働条件を守るような監査をいたしております。なお担当の専門の者をことしはぜひ現地に派遣いたしたいというふうに考えております。来年度以降は随時あるいは定期的に現地の実情を調査、指導できるように、予算の要求もいたしたいと考えております。
  158. 久保三郎

    ○久保委員 水産庁並びに船員局にひとつ申し上げておきますが、いま船員局長は、来年度は何とか予算をとって云々と、こういうお話でありますけれども、水産庁自体も、これはやはり外交官の資格が必要なら外交官の資格を持って、長期に滞在してそれぞれ指導監督をすべき立場のものだと思います。そう思いませんか、長官、どうです。
  159. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 ラスパルマスは何ぶん最近急速に日本漁船が基地にするようになりまして、大体七、八千人程度船員が行っておる、こういうふうな最近の情勢でございます。これについては私たちもやはりこの世話をする人が必要であろうと思いまして、外務省にも領事館の設置を昨年から欧亜局のほうにもお願いして、設置の要請をいたしておりますが、来年は何とか領事館等の設置というふうな方向に持っていきたい、こういうふうに考えて、外務省にもお願いしておるわけでございます。
  160. 久保三郎

    ○久保委員 それからもう一つは、先ほど船員局長が、発航前に向こうへ行ってからの労働条件その他も全部チェックしているというお話でありますが、そのチェックする場合に、船員法七十三条の問題もあるわけです。あるいは歩合い制給の問題もある。こういうものを含めて、やはり外国へ行く基地漁業というものの基準はあらためて設定しなければ、外国においてもこれは指弾を受ける憂いがあるとわれわれは考えております。水産庁長官として、いかがでしょう。
  161. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 なかなかそこまでわれわれの検討も、急速に基地漁業というものが発展いたしておりますので、ことし初めて調査官を一人出して調査しておる、こういう段階でございます。仰せの点よくわきまえて、十分調査の上検討してまいりたい、こういう方向で考えております。
  162. 久保三郎

    ○久保委員 これはむしろ船員局の問題でもあるのだが、船員局としていま申し上げたような点を考えておられるか、いかがです。
  163. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 十分考えてやりたいと思っております。
  164. 久保三郎

    ○久保委員 それでは要望しておきますが、次の機会に、どういうふうにやりたいか、それをお述べいただきたい、こういうふうに思います。  そこで質問を終わりますが、審判庁長官にわざわざ珍しく出ていただいたのでありますが、先ほど来申し上げたように、審判長から出た裁決ですか、裁定ですか、そういうものは権威があるのだけれども、どうも関係個所において十分検討されてそれぞれの対策を立てておらぬということが一つございます。そういう問題をやはり真剣になって——本来ならばあなたのほうの権限としてこれは勧告すべきものというのは勧告すべき筋合いだと思うのです。ただ裁決書さえ出せば、これは読むのが当然だ、読んで気がついたことをやれ、こういうことでいいのかどうかというふうにわれわれは考える。勧告の権限はあなたにあるのですから、長官としていかがですか、今後勧告されますか。
  165. 藤枝盈

    ○藤枝政府委員 お答えいたします。  元来裁決書というものは、海難審判というものが明治二十九年発足以来ずっと引き続いて海難に関する結論は全部裁決書で結論を出しておりまして、現在の海難審判法におきまして初めて勧告という制度が取り入れられたのでありまして、この海難審判法発足以来、海難審判庁となってから現在まで、やはり事件につきまして勧告の要ありと見た場合には当然勧告しております。したがいまして、いま御注意のとおり、もしこの漁船関係において何かそういう勧告の必要ありと認むる事項があれば、当然私のほうでは勧告の手配をしております。それは漁船に関して絶対に勧告しないという筋合いのものではございませんので、事件によりましていろいろ審議の結果どうしてもこれは勧告の必要ありと見た場合には、当然勧告する場合もあると存じます。ただ現在までやった範囲内では勧告はなかったと申し上げる程度でございます。  それと、裁決書というものが非常に権威がないじゃないかと仰せられましたが、これは私たちで出す結論としては、これだけしかございませんが、現在この裁決書というものを年間まとめまして、裁決録というものに一冊にまとめまして、これは一般に出しております。裁決録というものを見ますと、年間発生した海難事件は全部その裁決録の中に包含されております。ところが、それは非常に無味乾燥でございまして、ことに漁船の船員の皆さん方に読んでいただくにも非常にむずかしいといいますか、会得しがたいものですので、私どもでは裁決例集というものをつくりまして、判例集でありますが、そういうものをつくりまして、なるべく皆さんに周知、読んでいただくような手を講じております。
  166. 久保三郎

    ○久保委員 審判庁長官、お言葉でありますが、いままで数多くの漁船がみな全損をしているわけです。あるいは船体放棄もしているわけです。これはやはりいま社会問題になっているのです。これは漁船ばかりじゃありません。最近の小型船、そういうものも数多くあるんですね。だからこれはやはり取りまとめて、今年度の裁決の結果はかくかくが多かった、だからこれについてどういう監督をしているのか、こうやるべきじゃないかという勧告は、当然一件一件について勧告をされる場合もありましようし、総体的な勧告の方法もあるんじゃないかと思います。なかなか容易じゃないというお話かもしれませんが、まあそれに類したものは海上保安庁から出ている海難白書というか、そういうものがありますが、それ以外に、あなたのほうは勧告の権限があるのでありますから、水産庁のやり方が悪ければ悪い、船員局が悪ければ悪い、船舶局が悪ければ悪い、こういうものをどういうように改善をしろということが勧告じゃないかと思うので、こういう点はひとつ御再考をわずらわしたいと思います。  そこで、水産庁長官に二点伺います。  これは簡単にお答えいただきたいのですが、沿岸漁業等振興法がございますね。これによって沿岸漁業等振興審議会というものがつくられ、その中に、いまのような話から見ても当然漁業従事者の代表を参加させるべきだと思うが、これはいかがか。  さらにもう一つは、あなたのほうの企画課に労務班というのがありますね。ところが労務班の体制というのはどうもなかなか微妙な立場かもしれませんが、実際いってあまり強くないんですね。体制をもう少し強化する必要があると思うのだが、それはもちろん水産庁の中にあると、あなたの先ほど来の御答弁からいっても、労務班というか、そういうものはあまりよけいなことは言うなというようなことで、いうならば魚をとることが主だからという考えが、いまの長官は違うかもしれませんが、古い人にはあるんですね。だから大体この企画課の労務班なんというのは片すみにいて、あとは船員局でやるから、船員局が文句を言ったときに、おれの見解はこうだということで押し返す役ぐらいしかしてないんじゃないか。これは体制強化をはかるべきだと思うが、お考えはどうですか。
  167. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 沿岸漁業等振興審議会の委員は、ただいま人選中でございます。御要望の点は十分頭に置きまして、選考いたしたいと思っております。  それから労務班の関係でございますが、今後の漁業あるいは水産業の発展をはかるという意味におきましては、このことだけが第一というわけでじゃございません。やはり内部の経営なり労働問題というものが非常に今後問題になってくると思って、先ほどからお答えして、労働問題の改善なりあるいは労働力の確保という点で改善すべき点が多々あろうかと存じまして、労務班は昨年から強化しておくということになったわけでございまして、労働の賃金あるいはそういうものの手配、調査等も昨年から始めておるわけでございます。決してこれをないがしろにするということじゃなしに、今後人員の余裕のある限り、こういう点の強化にはつとめてまいりたい、こういうように考えております。
  168. 關谷勝利

    ○關谷委員 時間がありませんので、簡単に資料の要求をしておきたいと思います。  漁船が新しく建造せられました場合に、これは船舶局のほうで検査をするそうでございますが、その上、新造船に対しては、水産庁のほうへ依頼検査というのがあって、これは船主からの依頼でありましょうが、依頼検査というのがあるということでありますけれども、その依頼検査というのはどのようなことを検査をするのか、その点を簡単に資料をもってお答えを願いたい。きょうは皆さんにお答えをしていただこうと思いません。みんな資料で要求いたしますから。  それから漁船も二年で中間検査をやり、四年で定期検査をやりますが、この新聞を読んでみますと、私は木船のことなら日本で一番よくわかるはずでありますが、どうもおかしなことばかり書いてある。私にもわからぬようなことばかり書いてあります。そこで私がお尋ねしておきたいのは、この沈没の十隻というのが、これは三十九年五月二日の朝日ですか、毎日ですか、この新聞に十隻の名前が出ておりますが、この九十九トン型の漁船を百八十トンにすることができるというのができたのが三十八年の一月三十一日からなのだそうであります。それから後、二月十三日からずっとこう、まことによく配列のできたように出ておりますが、この十隻の沈没した漁船はどこでつくったのか、その造船所名、それから船齢、浸水場所はどこか。みなエンジン・ルームから入ったような記事になっておりますが、浸水はどこからしたか。それから最近の定期検査、中間検査の際の模様はどうであったか。  それから、これで見ますと、いろいろ書いてありますが、耐用年数は四、五年ということになっております。木船で四、五年と言いますと、一番調子のいいときなんです。耐用年数四、五年で船食い虫による被害が多いというのですが、その中間検査、定期検査の際に、船食い虫がわからぬような検査をしておるのかどうか。船食い虫の検査というものは、検査官ではわからぬのかどうか。そういうふうな検査官ばかりおるのかどうか。この船食い虫が検査の際にわからないのかどうかということをはっきりお示しをいただきたいと思います。四年や五年で木船が役に立たぬことになるなら、最初からそんな船はつくりません。鋼船をつくったはずであります。どうもここらのことを見ておりますと、私にわからぬようなことばかりが新聞に出ておる。  もう一つは、これは水産庁と運輸省とで協議して、来年の予算要求等の際に考えてもらいたいこととして、その間の考え方ということで、運輸省、農林省の間でまとめてもらいたいことでありますので、それが早急にまとまればまとまり次第、こちらに資料を出していただきたいのは、特定船舶整備公団を利用してこれらの独航船あるいは運搬船というものは、なかなか船主あたりもやりにくいと思います。そこで、そういうようなことがやれるように、石炭は専用船までつくって保護しておるのですから、農林省もこの漁業の関係でそれくらいのものは保護してやってよろしい。私は公平に考えてそうだと思う。そういうようなことになった場合に、それらの船を、特定船舶整備公団で共有方式でつくらすというような方法考えてみたらどうか。それは農林省がどういうふうに考えるのかどうか。そして運輸省は賛成するのかしないのか。それで来年両方が一緒になって予算を要求するというふうなことになるかならないか、どうかということもまとめて、まとまった意見でも、まとまらないのならまとまらないなりの双方の意見、これを資料として出していただきたい。その場合に、船体というものを、老齢船舶、老朽船をスクラップにしてそうしてつくらすのだ、こういうことにして、形がないものにはつくらさないということになったら、こんな沈没はたくさんないのじゃないかというような私は気がするので、事実と相違するかもわかりませんが、そういうような気がいたします。そういうような老朽船をスクラップした場合に、特定船舶整備公団で共有方式で、これも、石炭専用船あたりもつくらしておるのだから、つくらすようにしたらどうだと私は思いますので、両方が相談をして、まとまった意見でもまとまらない意見でもどちらでもかまいませんから、両方の言い分をひとつ書いて提出していただきたいと思います。  それから保安庁に対しましては、漁業の取り締まりについてはどういうふうにしておるのか。三十八年二月十三日から三十九年四月二十六日に幸寿丸が沈没するまで、これほどたくさん次から次へ沈没をしておるが、沈没しておる方面へ船でも派遣して実情を調査をしてみたことがあるのかどうか。そうしてこういうふうなときには、どういうような調査をしておられるのかという、これだけの資料をお願いしたいと思います。だいぶん言うたようでありますが、資料の数としてはたいした数ではないと思いますので、ひとつ資料を御提出願いたいと思います。
  169. 山田彌一

    山田(彌)委員長代理 次会は来たる二十二日金曜日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時十二分散会