○磯崎
説明員 私から御答弁申し上げます。
新幹線の高架下の貸し付けのことでございますが、その御答弁に入ります前にちょっと概況だけ申し上げさせていただきます。
新幹線の線路の延長五百十五キロメートルのうちいわゆる高架橋の部分は約百四キロメートルございます。そのうちに駅もございますし、また通路等もございますので、それを除きますと、いわゆる高架下として利用できる部分は全体で約八十キロメートルというふうに現在推定いたしております。現在までの高架下の処理の
状況でございますが、いままでの用地の買収あるいは建物を移転する等の際に相手方の地主あるいは建物の所有者等といろいろな折衝の経過におきまして、高架橋ができた場合にはそこを貸すという約束をしたものがございます。この約束の場合には正式に書面でもって約束したものもございますれば、あるいは第三者立ち会いの上で約束を明確にしたもの等もございます。これが約全体で十キロメートルに及ぶものというふうに推定をされます。件数といたしまして百八十七件でございます。すなわちこれは主として高架橋のできる部分に用地を持っておった人、あるいは高架橋ができることによりまして商売ができなくなったというようなことで、高架橋ができるまでは減収補償をしたり、あるいは差額の補償をしたり、休業補償をしたり、そういう補償をしながら高架橋のできるのを待っておったというものが大部分で、それがいま申しましたとおり百八十七件、そのほかに具体的事例といたしまして二件だけ特別な事例がございます。これは行政管理庁の過般の勧告にも入っておりましたが、名古屋と羽島でございます。これは私のほうの原案では、いわゆる土盛りの高架橋、土盛りの堰堤のつもりで計画いたしておりましたところが、地元の名古屋市、羽島市の有志の方々、これはもちろん市当局も入っておりますが、土盛りの堰堤では将来の市の発展に非常に大きな支障になるということで、工事費を負担してもいいからぜひコンクリートの高架橋にしてほしい、こういう御要望があったわけでございます。それが名古屋におきまして約一・三キロ、羽島におきまして百六十メートル、その部分だけは地元の方々から工事費を負担していただきまして、そして高架橋にし、できた後にはその方々にお貸しするという約束で、そのかわり土盛りを高架橋に改めたというところが二件ございます。これはすでに名古屋におきましても羽島におきましても会社ができまして、それに約束どおり貸し付けをいたしております。そのほかに百八十七件のうちですでに十件だけ、長さにおきまして約五百四十メートルを相手方にお貸ししたものがございます。これは相手方地主あるいは建物の所有者とのやはり約束におきまして、高架橋が完成したらすぐお貸しするという約束のもとにできましたものを貸したわけでございまして、先ほど申しましたとおり、主としてこれはその期間中、商店の休業補償あるいは減収補償等を
現実に私のほうでやっておったものでございまして、これにつきましては高架橋ができるに従いましてその部分だけお約束どおりお貸しした、これが百八十七件中十件でございます。そのほかにいままでの御
説明と違いますのは、全然新規の、すなわち新しく高架橋の下をぜひ貸してほしいという御
要請のものが全体で二百五十二件ございます。この二百五十二件の中には、先ほど申しましたとおり書面あるいは第三者立ち会いのもとに正式にお約束したことでなくて、ある程度の口約束というものも入っておったようでございます。たまたま地主あるいは家屋の所有者と折衝する際に、それは高架橋ができたら極力お貸しするようにいたしますというような口頭の約束をしたものもあるようでありますし、二百五十二件のお申し出の方々の最近における
お話を伺いますと、皆さんすべて約束したんだというようなことをおっしゃる方もおられます。これは一応先ほどのように書面なり明確な第三者の立ち会いがございませんので、いままだ全然処理いたしておりません。これが現在までにおける新幹線の高架橋の概要でございますが、このいま御
説明申し上げました中には、いわゆる駅の部分の純粋の構内営業に属するものは含めておりません。これはまた別な問題になるわけであります。こういう順序で大体いままでやっております。
しからば今後の方針でございますが、先ほど申しました百八十七件のすでにいわゆる法律上私のほうでお約束して貸すべき義務のあるものにつきましては、これは約束どおり履行をしなければならないと
考えております。その他の新規の貸し付け出願のその二百五十二件につきましては、業種も多種多様でございます。また要求される面積も多種多様でございますし、中には公共団体もあれば、個人もある、会社もある。いろいろ種別がございます。これをどういうふうにいたしまして私のほうでお貸しするかということは、非常なむずかしい問題ではありますし、処理を一たん誤りますと、いろいろ後々に問題を残す問題でございます。たまたま先ほど先生の御
指摘のとおり、去る四月の三十日に行政管理庁から第七次の私のほうの国鉄の行政監察の結果の御勧告がございました。その中にいまの新幹線の高架下の貸し付け問題についての問題に触れておられるわけでございます。その中にはいままで
——実はたいへん申しわけないことでございますが、新幹線でなくて、現在線の高架下の問題につきましては、すでに
昭和二十八年以来いろいろあまり感心しない問題が起こりまして、ことに
昭和三十二年におきましては衆議院の決算委員会の御決議等もございまして、その後
昭和三十三年に私のほうでは民間の有識者の方々によって高架下管理刷新委員会というものをつくりまして、現在それは民衆駅等運営委員会に合併になっておりますが、いずれにいたしましても高架下管理刷新委員会というものをつくりまして、従来の国鉄の管理のしかたの欠点、欠陥等を徹底的に検討、
指摘されまして、今後こういうふうにやるべきだというような御
指示もいただいております。今後の問題といたしましては、その高架下管理刷新委員会の答申あるいはただいまの行政管理庁の勧告並びに
昭和三十二年の衆議院の決算委員会における御決議の趣旨を体しまして、具体的にいろいろやり方を
考えてまいりたいというふうに
考えておる次第でございます。