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1964-04-15 第46回国会 衆議院 運輸委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月十五日(水曜日)    午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 川野 芳滿君    理事 關谷 勝利君 理事 塚原 俊郎君    理事 西村 直己君 理事 山田 彌一君    理事 久保 三郎君 理事 肥田 次郎君    理事 矢尾喜三郎君       亀岡 高夫君    木村 俊夫君       佐々木義武君    進藤 一馬君       壽原 正一君    高橋清一郎君       高橋 禎一君    中馬 辰猪君       南條 徳男君    長谷川 峻君       細田 吉藏君    井岡 大治君       勝澤 芳雄君    泊谷 裕夫君       野間千代三君    山口丈太郎君       佐々木良作君    山下 榮二君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 綾部健太郎君  出席政府委員         内閣法制局参事         官         (第一部長)  吉國 一郎君         運輸政務次官  田邉 國男君         運輸事務官         (観光局長)  梶本 保邦君  委員外出席者         日本国有鉄道         総裁      石田 礼助君         日本国有鉄道         常務理事    山田 明吉君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 四月十五日  委員内海清辞任につき、その補欠として山下  榮二君が議長指名委員に選任された。 同日  委員山下榮二辞任につき、その補欠として内  海清君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  旅行あっ旋業法の一部を改正する法律案内閣  提出第一二〇号)(参議院送付)  国際観光ホテル整備法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一二六号)(参議院送付)  日本国有鉄道の経営に関する件      ————◇—————
  2. 川野芳滿

    川野委員長 これより会議を開きます。  旅行あっ旋業法の一部を改正する法律案及び国際観光ホテル整備法の一部を改正する法律案の両案を一括議題として審査を行ないます。  質疑の通告がありますのでこれを許します。勝澤芳雄君。
  3. 梶本保邦

    梶本政府委員 ちょっとその前に……。  日本観光協会法の一部を改正する法律案を御審議いただきましたときに、勝澤先生から、外国における日本系旅行あっせん業者航空会社及び海運業者営業所一覧表と、それから日本にある外国系旅行あっせん業者航空会社及び海運会社営業所一覧表提出するようにというお話がございましたので、本日お手先にお届けいたしております。  まず第一ページ外国における日本系旅行あっせん業者及びその営業所でございますけれども、ここに書いてございますように十一社ございまして、現地法人としまして十四、それから支店ないし駐在員のありますところが十三、合計二十七カ所になっております。  それから二ページにまいりまして、外国における日本航空会社及びその営業所でございますけれども、日本航空は、御承知のとおり東京に本社がございますが、海外における支店及び営業所所在地が四十九カ所ございます。それから外国における日本海運会社、もっともこれは旅客船に関するものだけでございますけれども、それの営業所が、大阪商船会社でございますけれども二十一カ所、それから今度は逆に、日本における外国系旅行あっせん業者とその営業所でございますけれども、三社ございまして、支店及び営業所所在地が十二カ所ございます。  それからその次のページでございますが、日本における外国系航空会社及びその営業所でございますけれども、十八の航空会社がございまして、日本には八十一カ所支店あるいは営業所が置かれておるわけでございます。  それから最後のページでございますが、日本における外国系海運会社、もちろんこれも旅客船に関するものだけでございますけれども、それの営業所の数がここに書いてございますように全部で百七十五カ所、三十一の会社になっておるわけでございます。  以上、資料要求がございましたので、ただいま御報告させていただいた次第でございます。
  4. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 時間がございませんので、なるべくはしょって御質問いたします。  まず最初に、あっせん業者に対する監督機関といいますか、これはどこが扱っておるのですか。
  5. 梶本保邦

    梶本政府委員 旅行あっせん業者には御承知のとおり一般旅行あっせん業者とそれから邦人旅行あっせん業者の二種類がございますけれども、一般旅行あっせん業者に対しましては運輸省観光局業務課がこれを主管いたしております。  それから邦人旅行あっせん業者の中で、海運局登録いたしておりますものは海運局長監督を受けております。それから陸運局登録いたしておりますものにつきましては陸運局長監督いたしております。それ以外の都道府県登録いたしておりますものにつきましては都道府県知事監督をいたしております。
  6. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 外国における日本旅行あっせん業者監督といいますか、これはどういうような形で行なわれておりますか。
  7. 梶本保邦

    梶本政府委員 外国日本あっせん業者が進出しております場合には、大体原則として現地法人格を取っておるものが多うございます。そういたしますと、現地法人格を取っておりますたてまえ上、当該国監督を受けるというふうなことになろうかと思います。もちろん人的あるいは資本的には日本から人が派遣されたり、あるいは日本の資金が出ておるわけでございますから、本社からの指揮系統はあるわけでございますけれども、現地法人という性格上からすれば、当該国監督を受ける、このようなことだと考えております。
  8. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 その場合においては、現地法人の資格を受けるので、観光局監督は受けない、こういうことになるのですか、逆に言いますと。
  9. 梶本保邦

    梶本政府委員 その外国支店あるいは営業所を出しておる本社日本にあります場合には、全般的な問題として本社がいわゆる業務の一環としての指揮系統を行なうことになろうかと思いますので、そういう面におきましては、本社所在地である日本国内における旅行あっせん業監督機関としての運輸省が全般的に監督をする、このようなたてまえになろうかと思います。
  10. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 外国にあるこういう現地法人あっせん業者の中で問題が出てきた場合においては、それはどこでどういう扱い方をすることになりますか。
  11. 梶本保邦

    梶本政府委員 外国にあります場合には、やはり当該国のいろいろの法規制のもとに服することになろうかと思います。好むわけではございませんが、現地でかりに何かトラブルがあったような場合には現地法律規制を受ける、こういうことになろうかと思います。
  12. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 その場合には運輸省監督権はない、こういうことですか。
  13. 梶本保邦

    梶本政府委員 残念ながら運輸省観光局としましては、外国にまで指揮監督権は及んでおりませんので、そのよう場合には、運輸省観光局としましては一応、何と申しますか、監督権はない、こう申し上げるのがたてまえだと考えております。
  14. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 今度のこの法改正によりまして一般旅行あっせん業とそれから邦人旅行あっせん業、こういうふうになったわけでありますが、従来は一般旅行あっせん業の場合には外人日本人二つ扱っておった、そして邦人旅行あっせん業日本人だけだった。今度は一般旅行あっせん業外人だけで、邦人旅客あっせん業日本人だけだ、こう二つに分けたようですが、二つにした理由はどういうわけですか。
  15. 梶本保邦

    梶本政府委員 ただいまの先生お話は、まことに失礼ですが、ちょっと誤解をしていらっしゃるんじゃないかと思うのでございますが、現行法によりますと、日本人日本国内旅行して回れるのはもちろんでございますが、日本人海外旅行に出かける場合も邦人旅行あっせん業が取り扱い得る、こういうことになっておったわけでございます。今度は日本人海外へ出かける場合も外国人日本へ来る場合も、これは一般旅行あっせん業でなければ行ない得ない、邦人旅行あっせん業日本人日本国内旅行して回る場合だけに限定する、このような法律改正でございまして、なぜそのような法律改正をしたかと申しますと、日本のIMF八条国移行に伴いまして、いわゆる海外渡航がたてまえとしては自由になったわけでございます。そうしますと、勢い外国旅行あっせん業者折衝をしたりいろいろ取引をしたりすることが多くなってくると考えております。そうした場合に、日本国際信用を失墜するようなことがあってはなりませんし、また日本人外国へ出かける以上に、外国人日本に誘致していただきたい、このような気持ちもわれわれとしては持っておるようなわけでございますので、一般旅行あっせん業者でなければ扱い得ない、このような法律改正をいたした次第でございまして、端的に申しますと、海外旅行自由化に伴い、運輸省としてとった一連の措置である、このように御了承いただきたいのでございます。
  16. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 厳密に言いますと、今度の法改正で、一般旅行あっせん業者は、日本人本邦内の旅行あっせんはできない、こうなるのですか。
  17. 梶本保邦

    梶本政府委員 もちろんそれはできます。両方できるわけでございます。
  18. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうすると、「この法律で「一般旅行あっ旋業」とは、邦人旅行あっ旋業以外の旅行あっ旋業をいう。」こういうように言われておるのですが、邦人旅行あっせん業以外——邦人旅行あっせん業とは何かというと、日本人本邦内の旅行だ、こうなっておりますが、そうしますと、これは二本立てになったように私見れるのですが、違いますか、私の解釈は。
  19. 梶本保邦

    梶本政府委員 これは日本人本邦内の旅行のみを対象とする旅行あっせん業邦人旅行あっせん業というふうに書いてございますけれども、一般旅行あっせん業は何でもできる、こういうたてまえでございます。
  20. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうするとこの法律の読み方はどういうふうに読むのですか。「この法律で「一般旅行あっ旋業」とは、邦人旅行あっ旋業以外の旅行あっ旋業」とあるが、その「以外」ということは、これを除くという意味ではないのですか。
  21. 梶本保邦

    梶本政府委員 これは法律的な表現としましては、本邦内の旅行のみを対象とする邦人旅行あっせん業以外のものは、何でも一般旅行あっせん業者ができる、このように法律的な表現としてはなっておると考えております。
  22. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 これはどうも私にはそういうふうに読めないのですが、この法律改正によりますと、「邦人旅行あっ旋業以外の」とこうなっておるのですが、どうも二本立てになっておるように思うのですが、その点もうちょっと御説明願いたいと思うのです。
  23. 梶本保邦

    梶本政府委員 いわば大は小を兼ねるということばがございますけれども、小さいもの以外といえば何でもできるものであるということでございますので、一般旅行あっせん業外国人日本人旅行も一切がっさい何でもできる、こういうたてまえでございまして、それを法律的に書きますとこのような表現になってくるのでございます。
  24. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 この問題は法制局に来ていただいてから、ちょっと私はいまの観光局長説明ではよくわかりにくいのですから、法律説明をいたしていただきたいと思います。  それから次に、この旅行あっせん業というのは登録制度になっているわけでありますが、登録制度でなくて、特に一般旅行あっせん業については、やはり認可制度ということについても考えたらどうだという意見一つあるわけでありますが、いまの登録制度、それから認可制度、この認可制度についての御検討をされましたか、それについてのまた御意見を聞かしていただきたいと思います。
  25. 梶本保邦

    梶本政府委員 昨年観光基本法の御審議をいただきましたときに、やはり旅行あっせん業が非常に問題になりまして、旅行あっせん業者に対する規制を強化すべきである。むしろ登録制よりも許可制あるいは免許制にしたらどうかというふうな御意見をちょうだいいたしたことを記憶いたしております。運輸省としましては、旅行あっせん業についての免許制あるいは許可制というものをその後検討をいたした次第でございますけれども、免許制というのがなぜ設けられるかと申しますと、まず公益的な面から必要であるというふうなことが第一、それから第二は免許制によっていわば需給調整役割りを果たす、この二つのことが免許制をとる理由だと考えております。  第一の公益的な問題につきましては論を待たないところでございまして、旅行あっせん業も当然それに該当すると考えております。しかしながら第二の需給調整の問題は免許制にすることによってはたして可能であろうかどうかという問題につきましては残念ながら結論に到達し得なかったわけでございまして、それによって需給調整を果たし得ない、このような結論に事務的には到達いたしたわけでございます。と申しますのは、旅行に出かけます場合に、旅行あっせん業者というものを必ず通さなければならない、それにたよらなければならないという仕組みではないわけでございまして、直接に自分が宿屋へ申し込んでもよろしゅうございますし、汽車の切符を買ってもいいわけでございますから、いわゆる直接折衝というものが可能でございます。それから一人の旅行あっせん業者一対一関係におきまして一人の旅行あっせんをする場合もございますれば、あるいは何百人、何千人という団体を一人の旅行あっせん業者が扱う場合もあるということで、いわゆる相関関係というものが一対一なのか、一対十なのか、一対百なのか、あるいはもっとそれ以上なのかということについてのいわゆる需要供給の測定ということが必ずしも理論的に可能ではない、このような結論になったわけでございます。  それからもう一つは、たとえばタクシーだとかバスの免許と異なりまして、いわゆる固定施設というものに縛られるものではないわけでございまして、要するに先ほど申し上げましたように、何人でもあっせんし得るというたてまえでございますので、その点がその他の免許制をとっております業種とは比較できないのではなかろうか、このような気持ちになったわけでございます。しかしながら、国会におきましてそのような御意見をちょうだいいたしましたことを運輸省としましては十分に承知いたしておりますので、結局現在のような登録制をとりつつ免許制あるいは許可制に近いような形態をとるのにはどのようにしたらいいかというふうな観点から今度の法改正を行なった次第でございまして、その一つのあらわれが営業保証金引き上げの問題であり、もう一つ不正行為の禁止という条文になってあらわれてきたのだ、このように御了承いただきたいのでございます。
  26. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 営業保証金の問題でありますが、営業保証金というのはどういう性格を持っておるのかという点について御質問いたします。
  27. 梶本保邦

    梶本政府委員 営業保証金については、結局その他の保証金と同じ性格でございまして、別に旅行あっせん業保証金が取り立てて違った性格のものというわけではございません。要するにまず第一は、資力信用一般的に担保する性格を持っております。したがいまして、旅行あっせん業者取引をする相手方、つまり旅客旅館交通機関というものが一般債権者に優先して、この保証金の中から弁済を受け得る、こういう性格を持っております。しかしながら、すべて旅行あっせん業者あっせんしたことによって生じた事故と申しますか、損害が生じました場合に、すべてこの保証金からてん補するという性格のものではないわけでございまして、そのようなものがいわゆる保証金性格だ、かように考えております。
  28. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 この営業保証金を取りくずした例というのはあるんですか。具体的にはどういうような手続になっておるんですか。
  29. 梶本保邦

    梶本政府委員 私の記憶では数件このような事例がございます。
  30. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 営業保証金が低過ぎるという意見があるんですが、これについての御意見はいかがですか。
  31. 梶本保邦

    梶本政府委員 いわゆる悪徳旅行あっせん業者というものを対象に考えますと、営業保証金は多ければ多いほど、お客、旅館交通機関立場に立って考えますとけっこうなことだと思います。しかし善意旅行あっせん業者立場に立って考えますと、営業保証金はそんなに多くないほうがけっこうなことは、これまた当然のことでございまして、結局このような営業保証金性格を考えますと、やはり適当な線というものがおのずから見出されるのではないかというふうに考えておる次第でございまして、われわれといたしましては、営業保証金を供託いたしておりますような、しかも登録制をとっております他の業種についていろいろ検討いたしてみたわけでありますけれども、他の営業保証金の額とのバランス等を考えますと、今回の改正にいたしましても最高五割、大体四割という引き上げでございますので、この辺が妥当な数字ではないかというふうに考えておる次第でございます。
  32. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 営業保証金が低過ぎる、実情に沿わないという意見が先般参考人からも言われてまいりました。いろいろ過去の実例などを聞いてみますと、営業保証金の取りくずしについては本人の承諾が要るし、なかなか取りくずしについてもむずかしい。しかし悪質な営業者といいますか、こういうものを取り締まる立場からいって、あるいはまた資力信用十分な業者によってこの仕事が行なわれる、こういう立場からいうならば、営業保証金はやはりいま原案で考えられておるよりも十万円程度に最低を引き上げるべきだという意見があるのであります。十万円について不当だとするならば、その不当だという根拠というものは、具体的にどういう点で不当に当たるのですか。
  33. 梶本保邦

    梶本政府委員 営業保証金引き上げるべきである、引き上げたいという気持ちは、運輸省事務当局といたしましても持っておった次第でございます。この営業保証金がきめられましたのは、この法律が制定されました昭和二十七年でございますが、それから今日まで全然動いておりませんので、当時のいわゆる物価指数と今日の物価指数とを検討いたしまして、大体はじいてみましたものがこの辺の額になったわけでございます。  それからその他の例をいろいろ検討いたしてみました。たとえば宅地建物取引業法、これがやはり登録になっております。これが主たる事務所が十万円、従たる事務所が五万円、限度額が三十万円ということになっております。それから割賦販売法、これは主たる事務所が十万円、従たる事務所が五万円、限度額が百万円、それから証券取引法による証券業者登録でありますけれども、これが主たる事務所が十万円、従たる事務所が五万円ということでございます。そのようなことで他の登録になっております業種との比較をいたしてみましたところが、大体この辺が一応のバランスのとれた金額ではなかろうか、このように考えた次第であります。
  34. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 邦人旅行あっせん昭和二十七年のときには五万円だった。ですから昭和二十七年当時の五万円というものを考えに入れて、その当時のあっせん業者実情を考えてみると、最近のあっせん業者の激増といいますか、そうしてまた悪質な業者が出てくる根拠から考えてみますと、簡単にあっせん業者になれるというところに問題があると思うのです。机一つあって一人おればもうあっせん業ができるというようなところに問題があるわけでありますから、結局二十七年の実情からいって五万円であったのを七万円にした、ですからいまこの七万円を十万円にしたらどうだという点についても、私は別に不当性がないと思うのです。そんなに七万円でなければならない、十万円でなければならないというものは私はないと思うのですが、その点いかがですか。
  35. 梶本保邦

    梶本政府委員 これは営業保証金というものを悪徳業者に対する対策から考えますと、お説のとおり十万円のみならず、もっと多額のほうがいいということにもなろうかと思いますけれども、一応の物価指数とか他の法律とのバランスというふうな問題がございますので、今回の改正ではこれでも最高五割、四割というふうな程度にとどめざるを得なかった次第でございまして、悪徳業者もさることながら、善意旅行あっせん業者——むしろ大部分の方が善意方々ばかりでございますので、そのような方々に対してはそんなに営業保証金を積んでいただく必要がないというふうな気持ちもございますので、大体物価指数の上昇の率に対応して今回の改正案をきめたような次第でございます。
  36. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 物価指数から考えるならば、現行昭和二十七年当時の五万円を七万円にしようが、十万円にしようが、そんなに理論的に根拠のあるものではないと私は思うのですが、いかがですか。
  37. 梶本保邦

    梶本政府委員 具体的に物価指数を申し上げますと、一・四八という数字になっております。つまり四割八分ということになっておりますので、大体最高五割という線がこの数字から出てまいった次第でございますが、今回の改正はこの辺が一応妥当な数字ではないだろうかというふうに考えた次第でございます。
  38. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 この法律ができたときの二十七年のあっせん業者と三十年なりあるいは三十四年なり、三十七年なりのあっせん業者の全国的な趨勢はどうなっておりますか。
  39. 梶本保邦

    梶本政府委員 当時は一般旅行あっせん業者が十六、それから邦人旅行あっせん業者が九百三十、合わせまして九百四十六、それが今日では二千を突破しておるという数字になっておりますから、倍以上になっております。
  40. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 その邦人旅行あっせん業がふえてきた原因は何ですか。そしてまたあっせん業が最近激増してきた要素はどこにあるのですか。
  41. 梶本保邦

    梶本政府委員 旅行あっせん業者の数がふえてきた原因は、結局日本国内における一種の旅行ブームと申しますか、旅行に出かけようという階層が非常に多くなってきたということが一番大きな原因だと考えております。
  42. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 最近簡単に農協でもあるいは商工会でも、こういうところが旅行あっせん業者になって仕事をやっておるようですが、こういうのはどういう現象ですか。
  43. 梶本保邦

    梶本政府委員 これは農民の旅行というものがいわゆる農閑期等において従前にも増して非常にふえてまいりました。それを一般旅行あっせん業者にお願いするよりも、農協自体旅行あっせん業登録をとって、自分のところでお世話をしたほうがいいというふうなことで始められたのじゃないかというふうに考えております。この傾向はあえて農協のみならず、交通機関はもちろんでございますけれども、船会社等相当旅行あっせん業界に乗り出しておられるのが最近の傾向のように見受けております。
  44. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 私は、資力信用が十分あって、交通運輸関係にある業者あっせん業を営むことについては、必然的にそうなってくると思うのです。しかし何も関係のない人たちあっせん業者として登録をとってやっておるという、そこにやはり問題があると思うのです。ですから、そういう点から考えるならば、そういうものをどういうふうにしていくかという方針が何も示されずに、従来のままの方法というものが踏襲されておると思うのです。そこに営業保証金の問題でも、物価指数のとり方ですから、幾らでもとれるわけであります。先ほど例を言われましたが、割賦販売の場合は十万円、宅地登録の場合も十万円という点からいくならば、ここで旅行あっせん業者営業保証金を、業界自体が、今日の状態からいって、もう少し上げてくれという意見が一部にある。あるいは全体的な意見かどうかは別にしてあるというのは、やはり検討すべきものだと思うのです。そしてまたいままでの説明からいって、七万円でなければならぬという理論的な、法律的な根拠もあるわけではないのです。ですから十万円というものはそう不当なものではないというふうに理解せざるを得ないわけであります。しかしまた一方には、それは高過ぎる——高過ぎるのか低過ぎるのかというものの考え方も実はそんなに理論的なものがないわけであります。そこであまり十万円がいかぬ、いかぬというと、一体七万円がいいのかという議論が出てくるわけであります。ですからものの考え方というものを現状のあっせん業実情からフランクに考えなければいかぬというふうに思って、この点は申し上げておるわけであります。  それからその次に、あっせん業者あっせん料金というものは、運輸省令できめておるようでありますが、これはどういうふうになっておるのでしょうか。
  45. 梶本保邦

    梶本政府委員 旅行あっせん料金は、運輸大臣への届け出制になっております。これは旅行あっせんにはいわゆる主催、請負、手配、この三種類があるわけでございますけれども、主催の場合についてはどう、請負の場合についてはどう、手配の場合についてはどうというのが、あらかじめ届け出がなされておるという状況になっております。
  46. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 その届け出の実情はどういうふうになっておりますか。
  47. 梶本保邦

    梶本政府委員 具体的に申し上げますと、たとえば主催旅行の場合について、これは日本で一番大きな旅行あっせん業者からの届け出の具体例を申し上げますならば、五百人以上の外国人のお客さんを旅行あっせんした場合には、最高料率が二〇%、つまり二割というふうになっております。それから今度は交通機関、たとえば国鉄なら国鉄からのいわゆる割り戻しと申しますか、手数料と申しますか、俗に言えばリベートなんですけれども、これはあまりいいことばではないかもしれませんが、割り戻し手数料といったものがあるわけでございまして、国鉄からいただきますものは二%から六%の範囲内、このようになっておりまして、要するに最高額というものの届け出がなされているというふうな仕組みになっております。これが一千人以上の場合はどうなるとかいうふうに、数によりましていろいろ段階があるわけでございます。そのように扱う数によって料率がおのおの異なっておる、このような仕組みになっております。
  48. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 届け出をさせる効果についてはどう理解されておるのですか。
  49. 梶本保邦

    梶本政府委員 これは法律の十二条に料金というところがございますけれども、運輸大臣がその届け出されましたところの料金に対しまして、能率的な経営のもとにおける適正な原価に適正な利潤を加えたものをこえるものだというふうに認めたとき、あるいは特定の者に対して不当な差別的取り扱いをしておるというふうに認めたとき、このような二つの場合に限りましては、変更を命ずることができる、このように法律に書いてあるわけでございまして、結局お客さんに対していちげんの客からはうんとぼって、そして平素からのお得意さんに対してはそのようなことをしないというふうなことがあってはならないわけでございます。いやしくも公共的性格を持ったあっせん業としましては、そういったことがあってはなりませんので、いわばそのようなことがかりにあったような場合に対しましては、運輸省としましては変更を命ずることができる、このような仕組みになっておるわけでございます。
  50. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 最近ハイヤー、タクシー業界の中でも運転手の需給の関係で、やはり行政的な指導において、経営についてのいろいろな指示を行なっているようでありますが、特にあっせん業者の中において働いている労働者の労働条件というものについては、いろいろまちまちな状態があるようであります。中には労働基準法に違反をしているような疑いのあるような仕事のさせ方をしているということも聞いておりますが、この実情については把握されておりますか。
  51. 梶本保邦

    梶本政府委員 一般旅行あっせん業のほうにつきましては、これは現在でちょうど五十社ございます。これも従前はいわゆる法人格を持ったものではなかったのでございますけれども、昨年の秋に社団法人として認可をいたしまして、現在では社団法人国際旅行業者協会ということで発足をいたしております。それから邦人旅行あっせん業のほうは、数も二千六十四と非常に多いわけでございまして、われわれとしましては、二千六十四を全部一つ法人格を持った協会なり団体にまとめたいわけでございますけれども、現在のところは全国旅行業団体連合会、全旅団連と俗に略して呼んでおりますけれども、この連合会が一つの中核体になっております。しかし、この連合会はまだ法人格を持っておりません。それと加入しております業者がまだ八百程度でございますので、運輸省としましては、ただいま先生の御指摘のように、むしろ問題は邦人旅行あっせん業界にあるんだと考えております。したがいまして、その組織化を通じて正しい旅行あっせん業のあり方というものを浸透さしていく方向に進んでいきたい、かように考えております。
  52. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 先ほどの説明で、運輸省令であっせんの料金というものがある程度届け出によって規制されている、こういうことであるならば、そう業界自体の過当な競争というものは起きないと思うのです。過当な競争が起きない中において、労働条件についてでこぼこがあるということについて私は感心をしないと思うのです。ましてや労働基準法違反になるような労働条件で仕事をさせているというのは、これはたいへんいけないと思うのでありまして、この点については、やはり観光局としては十分関心を持ってそれについての指導を行なわなければならぬと思うんですが、その点いかがですか。
  53. 梶本保邦

    梶本政府委員 ただいまのお説の点については、私は全く同感と申しますか、当然監督官庁としてはそうあらねばならないと考えております。
  54. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 同感であるようでありますから、特にこの旅行あっせん業者が零細なものほど労働条件が悪い。しかも、それがそのままにされているということは、今日の旅行あっせん実情からいって、好ましくないことだと存じますから、これはやはりせめて労働条件については基準法を守り、そして企業が成り立つような料金で行なわれているわけでありますから、私は積極的な指導を特に要請いたしておきます。  そこで、次に不正行為の禁止の十三条の関係でありますけれども、十三条の第一号というのは、まあ現行の条文をここに一つあげただけであります。第二号の新設をされた理由をまず御説明を願いたいと思います。
  55. 梶本保邦

    梶本政府委員 第二号は、「旅行あっ旋に関し取引をした者に対し、」——取引をした相手方は、旅館交通機関、こういったものをさすわけでございますが、その取引によって生じました債務の履行を不当に遅延する行為、これが案外われわれの目の届かないところで行なわれておることもあるわけでございます。実は、最近、日本観光旅館連盟のほうで不作為抽出法によりましてこの調査をいたしたわけでございます。この数字につきましては、観光小委員会におきまして日観連の専務理事参考人としてお呼びいただきましたときに、その調査と調査の方法と、それからその結果の数字について、参考人の上月さんからお話がございましたので、御了承をいただいておると思いますので、私省略させていただきますけれども、要するに、全然まだ払わないもの、あるいは払っていただきたいという催促を再三して、ようやく一年をこえて払いが行なわれたというふうなものがあるわけでございまして、三カ月から六カ月くらいの期間を置いて債務を履行するというふうなことは非常に多いというような例も出ておるわけでございます。結局、三カ月なり六カ月たって払ってくれるほうはまだいいわけでございまして、全然払わないでしまうというふうなことがありますと、旅館側なり交通機関側にとりましてはほんとうに困ったことでございます。あるいはまたそういった場合に、旅館側として旅行あっせん業者に対して強く申しますと、そんなことを言うのなら、今度からは一切お客を連れてきてやらないぞ、こういって旅館がおどかされる。そこは商売の悲しさ、ついには泣き寝入りというような事例もあるやに聞いておりますので、お互いにそういうことがあってはならないというので、この規定を設けた次第でございます。
  56. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 この十三条の不正行為があった場合の処分といいますか、これはどういう処分になりますか。
  57. 梶本保邦

    梶本政府委員 これは事業の停止と登録の取り消しでございまして、いずれの場合でもいわゆる省令の定めるところによりまして聴聞の手続を経なければならないわけでございまして、いきなり運輸省のほうで登録の取り消しというふうな措置に出るわけではございませんので、十分聴聞等の手続を経まして納得づくの上で措置をとるということになっております。
  58. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 その登録の取り消しは、この十三条の違反があったときには十九条が適用される、こういうことですか。
  59. 梶本保邦

    梶本政府委員 十九条の第一号に、「この法律又はこれに基づく処分に違反したとき。」というのがございますが、これがそれに当たるわけでございます。
  60. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 それから三号を新設しなければならなかった実情は、どんなことがあったのですか。
  61. 梶本保邦

    梶本政府委員 第三号に「その取引に関する重要な事項について、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為」、こういうふうになっております。それで、故意に事実を告げなかったというのはどういうことかと申しますと、たとえばこの旅館にお泊りになりますと、スキー場が歩いて二、三分のところにございますから、実に便利でございます。こういうようなことを言った、ところが、実際に行ってみますと、歩いて行けるどころじゃない、バスに乗って三十分も一時間も行かなければスキー場に到達し得ないというふうなことがあったような場合、こういうようなことがこれに当たるわけでございます。「又は不実のことを告げる行為」というのは、桜を見に行かれて、ついでにウ飼いをごらんになればちょうどよろしゅうございますというような宣伝をやる。ところが、ウ飼いは春の桜見のときには絶対にやっていないわけでございまして、五月十五日にならなければ始まらないわけでございます。そういうふうな場合に、お客さんは花見とウ飼いが一緒にできるのかと思って行った、ところがウ飼いのほうはそうはいかなかったというふうな苦情が実は外人観光客からわれわれのほうへ舞い込んだような実例があるわけでございまして、ここに「故意に」というふうに書いておりますのは、全く読んで字のごとく故意にというわけでございます。それから「重要な事柄」と申しますのは、お客があらかじめそのようなことを知っておったならばその旅行を取りやめるか、あるいはその旅行計画を変更したであろうような旅行そのものの重要な要素になっておる事柄、このようなことを「重要な事項について、」ということばで表現がされておる、かように考えておる次第でございます。要するに「重要な事項について、故意に」ということでこの不正行為の禁止ということをわれわれとしてはしぼったつもりでございまして、どんなことでも直ちにこれに当てはまるというふうに非常に網を広くかけようというふうな気持ちでこの条文を設けたわけでは毛頭ございません。
  62. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 三号に当たるような具体的事実行為はどういうことがあったのですか。その例をひとつあげていただきたい。
  63. 梶本保邦

    梶本政府委員 ただいま申し上げましたようなウ飼いの例だとか、それからスキーの例というふうなのが具体的にあったわけでございます。
  64. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 具体的にいま二つ出されたわけですが、こういうことがあったという具体的な事実行為を、できるならば手紙なりはがきなりそういうものを出していただいて、こういうことがあったんだ、それでこれはやっぱりこういう条文をつけなきやならぬ、こういうわれわれが了解できるといいますか、了解しなくてもけっこうですけれども、そういう事実行為があったという書類をひとつ出していただきたいと思うのですが、おありになりますか。
  65. 梶本保邦

    梶本政府委員 いま手元にその書類はございません。しかし昨年制定いただきました観光基本法の精神というものは、いろいろ特徴はあろうかと思いますけれども、一つにはやはり国民大衆の旅行の安全利便の増進、いわゆる消費者行政の観点に立っての国民大衆の保護ということが考えられたのが観光基本法一つの大きな柱になっておると私どもは了解をいたしております。一体旅行に出かけます場合に、だれが旅行をする国民大衆の安全と利便のためにそういうことをするのかということでございまして、そのような意味で私はこれが必要だと考えております。
  66. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 答弁が違う。そんなことを聞いちゃいない。私は必要性を聞いているのではないのです。具体的な事実行為があったでしょう。その事実行為についてどういうことがあったということのはがきなり手紙なり、そういうものをお出し願いたい、こう言っているのです。
  67. 梶本保邦

    梶本政府委員 手紙のようなものはただいま手元に持っておりません。これは口頭できたような場合あるいは何かの会合のときに文句を言われたというふうなことがあるわけでございます。
  68. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 最近宅地なりあるいは保険なりというものについてこういう立法をしたというのは、事実行為に基づいて行なっているわけです。駅から何分というのが実際に行ってみたらそうじゃない、けしからぬじゃないか、こういう事実行為が各所に起きて、それを取り締まらなきゃいかぬということでこういう法律というものは生まれてきているわけであります。それを同一にものを見て、こっちにあるからこれと同じようなものをここでも法律にする。それでは私はいけないと思うのです。土地建物の場合においては事実行為があるわけです。これはわれわれも感じております。あるいは保険の場合にもそうです。虫めがねで見なければわからぬような定款を押しつけ、それでやっている。だからこれは取り締まりをしなきゃいかぬ。あなたの言われたのは一つの例です。外人がウ飼いに行けると思ってきたらウ飼いはやっていなかった。ですから、では具体的に、外人はどこから来たのでしょう、それはアメリカを出るときに、向こうでもって旅行あっせん業者からそう言われてまいりました、それについては取り締まりができますか。取り締まりの権限がございませんとあなたは先ほどから答弁しておるわけです。外地におけるあっせん業については現地法人ですから、運輸省観光局としてはそれは取り締まる権限がない、こう言っておるわけです。ですから、内地におけるこういう現実の事実があって、これはどうも問題だ、こういう事実行為の上にこの改正がなされるならば、私はそれは検討する価値があると思うのですが、いまあなたの御説明では、とにかく事実行為として出されたのは「不実のこと」という一つの例でウ飼いの外人の話をされただけなんですが、それならば私はこの三号を入れるにはあまりにも根拠が薄弱だと思うのです。ですから、事実例というものは、一体あなたのほうはどの程度具体的に握っておられるのか。こういう点についてもう少し明確に御答弁願いたいと思うのです。
  69. 梶本保邦

    梶本政府委員 いま例を二つ申し上げたのでございますけれども、そのほかに最近こういう例がございます。外人のための東海道バス旅行というのが御承知のとおり最近は盛んになっておりますが、各社が値下げ競争を非常に激しくやっておりまして、ある業者についてこういう事例があったのでございます。他社よりも安く売り出した、これはいいというので、それに乗ってみたところが、案に相違して、それは食事代が含まれていなかった。これは普通、旅行の慣習からいたしますならば、食事も宿泊料もついての全体をひっくるめての旅行を売るというのが旅行の売り方でございます。そのような場合に、昼食代だけは別になっておる、これはひどいじゃないかというふうなクレームが外人から運輸省のほうへ来ております。そのようなことが最近、先ほど申し上げましたほかに私どもの手元へ入っております苦情の一つでございます。
  70. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 それでは、いまのような場合はこの三号のどこに当てはまるのですか。それをこの三号でどう取り締まりをされようとしておるのですか。
  71. 梶本保邦

    梶本政府委員 このような事例が起こりました場合は、まずほんとうのことをお客さんに知らしていただきたいということを運輸省としては警告をいたします。こういうことがあってけしからぬじゃないかと、いきなり登録の取り消しや事業の停止をする、そのようなむちゃと申しますか、非常識な措置に出るようなことは毛頭考えておりません。どんな場合でもそうでございましょうけれども、普通にいろいろ好ましくない事例が起こりました場合には、まず警告を発しまして、その上で再三再四、言うことをちっとも聞かない、依然としてそのような旅行の売り方をやっているというような場合に、初めてこの条文の発動ということがなされるのだと考えております。したがいまして、そういうことがあったから直ちにこれで一刀両断、この十三条を発動するんだというような非常識な行政のあり方は私ども考えたことは毛頭ございません。
  72. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうしますと、私はますますこの条文というものの必要性について問題があろうと思うのです。いま言われた一つの例、あるいは先ほども言われました例からいって、直ちにこの十三条の三号を適用しようとは考えていない、これは当然なことです。一々そういうことで三号を適用されるものではないわけですから。だとすれば、この三号を入れなければ、どうしても今日これは解消できぬという根拠も私は薄弱だと思うのです。従来の例によって十分行なえるわけです。行なえるにもかかわらず、ここにこれを入れなければならぬという法的な根拠についてはどうしても薄弱にならざるを得ないじゃありませんか。これを入れなければ取り締まりができないということなら別です。取り締まりができなくて困るというなら、具体的に事実例を出していただきたいと思う。ですから、この三号というものがほかの立法例の中から出てきたものだとすれば、その立法例の一つ一つについて具体的に検討していただきたい。そして、どうしても旅行あっせん業についてはここに入れなければならぬという具体的な根拠があるならば、それを明示をしていただきたいと私は思いますが、いかがですか。
  73. 梶本保邦

    梶本政府委員 法律の条文に書いてございますのは、先ほど観光基本法の精神から申し上げましたような必要性があるというふうな気持ちがこの十三条の三号あるいは二号になってまいったわけでございますけれども、そのような例があった場合は困るわけでございます。またそのようなことがあってはなりませんので、そのようなことを、一つのあってはならない場合の例としてここに十三条に書いておるというふうに御了承いただきたい次第でございまして、これに似たような例があれば直ちにこれによって発動するのだというのではなしに、このような条文を書いておいて、そしてこれに当たるようなよくよくの場合があった場合にはそれによってやるのだ、このように私どもは解釈をいたしておる次第でございます。
  74. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 従来、とにかくこれに当てはめるには当てはめにくいけれども、とにかく例はあったけれども、従来の例からいうならば、この三号を直ちに適用するということは考えていない、こう言われているわけです。そしてまたこのような、これと類似するような行為については行政的に警告なり何なりで注意をすることができるというふうに明確になっているのですから、私はしいてここに三号というようなものを入れなければならぬという根拠というものは、実は見当たらないわけです。ですから、三号を入れなければならぬという具体的な事実例があって、これなら取り締まりをしなければいけないという、宅地の問題、最近の土地の問題こういう事実があるならば、私もこれはなるほどなと思います。しかし事実行為がない上において、そして過去にもそういうことがなかった。過去の法律の中でこういう取り締まりができなかったというなら別ですけれども、過去においても何ら差しつかえがなかったのに、ここにこういうものを入れなければならぬという根拠というものについて、私は不明確だと思う。なぜならば、私は基本的に、このあっせん業というものを考えた場合において、旅行あっ旋業法というものが取り締まりの法律であるのか、指導、育成のための法律であるのかという問題も出てまいりますし、今日あっせん業者の占める位置は、今日観光産業とまでいわれておるわけです。輸出業者についてはいろいろと税金なり何なりの免除がある。しかしあっせん業者についてはそういうものは何ら考えられていない、こういうたてまえからものを考えてみれば、取り締まりをしてぎゅうぎゅう締めるだけであって、では法律ができたからといって取り締まりができるかというと、取り締まりができるというものではないとあなたも理解しているわけだ。そういう点から考えれば、私はこの三号という点については不明確だと思う。もう少し具体的な事実行為でこういうことがあった、こういうふうにした、こういうふうにしてみたけれども言うことを聞かない、これについては取り締まりをしなければ困るというところでこの法律をつくらなければいかぬ、私はこういうふうにすべきだと思う。過去にもなかった、何もない。将来あるかもしれない、いや、あったとしてもこの条文を直ちには適用するものではない、こう言っておるのでありますから、これを無理に入れなければならぬというあれについては、私はどうしても理解ができないわけであります。もう少し理解のできる御説明ができますか。
  75. 梶本保邦

    梶本政府委員 先ほど来申し上げておりますような例があったわけでございます。あった場合に、われわれとしては一刀両断、直ちに法律にこう書いてあるからというので、したかというと、それまでにはやはり業界の指導育成という立場がございますので、まず警告をしてそういうことのないようにする、これが行政の普通のあり方だと考えております。ここに入れましたのは、このような不正の行為をあっせん業者がやってはならないということを法律の中ではっきりさした、こういう意味があると私は考えております。
  76. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 ですから、それは従来の法制で、ちゃんとこういうことがあってはならないということになっているわけでありますから、しいて不正という行為はこういう行為だということをこれに書かなくたって、現実に従来の法制の中で明確になっているじゃありませんか。従来の法制の中で支障があった、そしてこれはこう直さなければ困るということなら別だと思うのですが、従来の法制の中で問題があったのですか。
  77. 梶本保邦

    梶本政府委員 従来の法制では「その他旅行あっ旋に関し不正な行為をしてはならない。」という簡単な表現しかございませんでした。十三条にあるわけでございますけれども、それが一体どういうことなのか、もう少し今回の法律改正を機会に、不正行為というものはどういう内容のことなんだということをここに法律的にはっきりさせた、こういう点に意味があるわけでございます。
  78. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 ですから、従来この条文がこういうふうになっておったために、いま三号を新設しなければならぬような困った事態があったかどうか、具体的に。
  79. 梶本保邦

    梶本政府委員 このようにはっきりさせておきますと、十九条で登録の取り消しや業務の停止の処分というふうなことをいたします場合に、それがはっきりといたしてまいるわけでございまして、このような規定を設けることによってやはり何と申しますか、従来よりもはっきりした形態をとってまいる、かように考えております。
  80. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 従来何も例がないのを、ここで法制化しなければならぬという根拠があるのですか、どうなんですか。
  81. 梶本保邦

    梶本政府委員 従来の例は、先ほど来申し上げておりますような例があったわけでございます。
  82. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 従来あった例といって、あなた、私に言いました東海道バスでお互いがダンピング競争をやって、食事が入っていると思ったら昼飯が入っていなかったという、別にこれは三号に当てはまるものじゃないでしょう。通念として食事が入っておると思っておったら、片方は昼食が入っていますよと言っていなかったのですから、これはあなたは行政指導で警告を発してこういうことがないようにしなければならぬ、こう言われておるわけです。もう一つの例は、これはウ飼いの例を言っておりました。ウ飼いがあると思って来たらウ飼いがなかった、これは外人です。これはどこで言ったのか問題です。ニューヨークで言ったのかあるいは東京で言ったのか、 ニューヨークで言ったのなら、観光局はこれについての別に取り締まりの権限がないとあなたは言っておるのですから、これは問題にならない。この法律にしようがしなかろうが、何も効果がないわけであります。もう一つの話はスキーの話です。ですから私はそういう抽象的なことでなくて、何月何日にどういう人がそれはどういう業者あっせんによって行ったら、雪があると思って行ったら雪がなかった、あるいはスキーがすぐ五分でできると書いてあったけれども、それが五分でなくて三十分もかかった、こういう事実行為によってこれを法制化しなければならぬと、こうしなさいと言っておるんです。建設省の今日までの法制の取り扱いはどうなってまいりましたか、あれほど不当な不正な行為が各所にあらわれて、これではしょうがないからといって法律改正をやったんじゃありませんか。それは事実行為が各所にあらわれて、それを取り締まらなければならぬということで出てきておるのです。しかし今日あっせん業の中には、そういう事実行為が何もないじゃありませんか。あなたがいままで説明した中では、別にこれを新設しなければならぬという根拠は何もないじゃありませんか。ない中で法制化をする、そこに私は運輸省の行政のあり方とほかの省の行政のあり方と一貫性がないと言うんですよ。ほかの省ではそういう事実行為が起きてきて、そしてそれは取り締まるんだということになっておる。ですから、運輸省は取り締まるだけ取り締まって、そしてそれについての育成強化は何もやっていないというのですよ。観光基本法ができたりあるいはホテル整備法ができたりして、取り締まりはやかましく言っておる、しかしそれに対する恩典は何を与えておるのですか。立ち入り検査一つの問題を取り上げてみてもそうですよ。なぜ立ち入り検査をやるのですか。旅館業法で立ち入りができるじゃありませんか。それを観光局が立ち入りをしなければならぬという根拠が何かあるのですか。私はそれを言っておるのですよ。ですから運輸省の行政というものは、みな監督、取り締まりだけで、片方のそれについて育成強化をしようということが、通産省に比べてみても、あるいは農林省や建設省に比べてもないのです。ですからこの条文一つを見ても、建設省の取り扱っている法律の中では事実行為が積み重なって、これではしかたがないじゃないか、これは取り締まらなければひどいじゃないかという国民的な世論が起きてきて、そうして法律改正というものが行なわれてきておる。しかしこの運輸省の出されておりますあっ旋業法は、何もそれについての保護政策も育成政策も行なわれていない中で、これだけがぽこんと出てきている。事実具体例を示してみなさい、具体例を示してみたら、いま言われましたウ飼いの話とスキーの話と東海道バスの話です。その三つの問題を突き詰めていけばいくほど、これをここで法制化しなければ取り締まりができないというほどのものでもないじゃありませんか。そういう取り締まりがいままでの中で何も問題がなかったのに、わざわざここで法律規制をしなければならぬ、その法律をつくらなければならないというものの考え方がわからないのです。この法律がなければ困るのですか。いかがですか。
  83. 梶本保邦

    梶本政府委員 先ほど東海道バスの例で申し上げましたけれども、いわゆる主催旅行と申しますのは、全部そういった食事が入っておるというのが通念になっております。それが主催旅行なんでございます。一切がっさいひっくるめて幾ら、それでみんなお客はそのつもりになって行っておる。こういうことが通例になっておるわけでございます。したがいまして、いきなりこの条文の発動にいかないで、できるだけの手続を経てやっていきたいという気持ちを私は申し上げておるわけでございまして、そのような例があったことも事実でございますし、またそういったことをはっきりさせておいたほうが、あっせん業者はこういうことをしてはならないんだなということがこれによってはっきりするわけでございます。ただ単に不正な行為をしてはならないという書き方であるよりも、こういったはっきりさせておいたほうが、むしろいいんではないかというふうに考えたわけでございます。
  84. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 事実行為がいままで何もなくて、取り締まる法律がちゃんとあったわけです。ですから、事実行為が明確になっていて、これでは困るということなら別問題ですよ。ですから、ひとつ委員長を通じて要求いたしておきますが、この三号の事実行為について、過去の例を、何月何日どういうことでどうなって、どうなって、どうなったという、もう少しわれわれの納得のいく資料を出していただきたいと思うのです。そうでないと、いまの東海道バスの話をしてみますと、東海道バスの話がこの三号に当てはまるというふうにあなたも考えていないし、私も考えていない。それは業者の倫理ですよ。モラルですよ。それでものが解決し、それで取り締まりができるわけでありますから、それをしもここでこうやらねばならぬということについての根拠は薄いと思うのです。そういう点について、委員長、あなた聞いていて具体的におわかりになろうと思うのですが、建設省の所管の宅地の問題でもこれは事実行為ですし、あるいは保険の募集の問題の定款の問題でもそうです。事実行為が積み重なって、これはひどいじゃないか、こういう積み重ねですよ。そうして、それについて法律ができたわけです。ですから、旅行あっせん業者の中でこういう事実行為が積み重なっておって、これでは取り締まりが困るという話は、私は寡聞にして聞いたことはない。ですから、そういう点はせめて運輸委員会ですから——建設委員会やあるいは商工委員会や、国全体で行なっている行政の中でこういうひずみのあることは許されません。そういう事実行為についての資料を取り寄せていただきたいと思いますが、委員長いかがですか。
  85. 梶本保邦

    梶本政府委員 従来の条文で不正な行為をしてはならない、した場合の登録の取り消し、あるいは業務の停止というふうな場合の不正行為というのは非常に限定されておりまして、いわゆる刑事処分を受けたというふうなことがはっきりした場合には、従来は不正な行為をしてはならないという条文で登録の取り消しとか業務の停止ということをいたしておったわけでございますけれども、刑事処分にはいきませんけれども、その一歩手前すれすれのようなことがあるわけでございます。そのような例として、ただいま申し上げたわけでございます。先ほどの東海道バスの食事云々の問題でございますけれども、主催旅行というのは、洋の東西を問わず、全部食事、宿泊を入れたものが主催旅行ということになっております。したがいまして、昼飯だけを抜いて、それで料金を全般的に安くして、よそよりも安い安いということで売っておるとするならば、だまされるお客が悪い、ぼんやりしているというよりも、そのような旅行あっせんのあり方のほうに問題があるんじゃないかと思います。そのような意味におきまして、「故意に事実を告げず、」つまり昼飯が入っておるとかいないとかいうことを告げなかったということで、この条文に当てはまると私は考えております。しかしながら、この条文に当てはまるからといって直ちにこれを発動するというふうな何と申しますか、官僚的なことは毛頭する意思はございませんので、その前には一応警告をするなり忠告をするなりいたしまして、再三の警告にもかかわらず聞かなかった場合に発動したい、これが普通行政をやっていく場合の、公務員としての一般的な気持ちだろうと考えております。そのようなことを私は申し上げておるわけでございまして、やはり不正行為の禁止ということは、あっせん業者にとっては、こういうことはしてはならないということだけははっきりさせておいたほうが、今後おいおい旅行が盛んになってまいります趨勢でございますので、必要なことだ、かように私は考えております。
  86. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 きまったことをきまったように法律に書くということの愚というものを考えていただきたいと思う。私が先ほど国会へ来るときにも、院内は十六キロという速度制限標が出ているわけです。十六キロという速度制限を無視して、総理の車から各新聞社の車が四十キロから五十キロで突っ走っているので、警官にあれを取り締まれと言ったわけです。ですから、これは法律の適用というものをよほど考えなければいかぬと言っているのです。ですから、あなたがこれまで言ってきた中には、この三号というものを入れなければならぬという理由が何も見当たらないのです。それをあなたはここをどうしても、どうしても、どうしてもと言っているのですけれども、ほかの立法例の例とよく見比べていただきたいと思うのです。見比べた中で、運輸省観光局としてのものの考え方が、頭の中で考えている考え方ではなくして、事実行為の中でものは考えていかなければならぬと言うのです。いま言った東海道のバスの問題でも、この三号がなければそれが不正な行為ではないのでしょうか。不正な行為です。あるなしの問題ではないのです。ですからそこを私は言っているのです。具体的な事実行為をひとつ出していただきたいと思うのです。委員長、どうでしょうか、はっきりしませんが……。
  87. 梶本保邦

    梶本政府委員 従来、この不正な行為とは何ぞやということについてのわれわれの解釈を通達で出したものがございます。それによりますと、非常に限られた限定的な意味に解釈されるわけでございますけれども、それだけじゃ必ずしも十分じゃございませんので、今回このような改正をいたしたいという気持ちになったわけでございまして、旅行あっせん業者の側からいいますと、あるいはただいま御指摘のような気持ちもあろうかと思うのでございますけれども、やはり旅行に出かける人の立場にも立ってものごとを考えますと、これだけの規定は絶対に必要なんじゃないか、かように私ども考えておる次第でございます。
  88. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 私の言っているのは、三号に当てはまることが過去にあったか、あったというならば事実行為としてはっきりしてくださいと言うのですよ。何月何日にどこの業者でどういうふうに扱ってどういうふうになっておった、だから、これを取り締まるためには従来の例ではできません、こう法律改正いたしたいと思います。こういう事実行為をはっきりしなさいと言っているのです。それを私が先ほどから言っている。あるいは宅地、建物の取り扱いの問題にいたしましても、保険募集の問題にいたしましても、こういう事実行為の中からこういう法律というものが生まれてきているわけです。ですから、その事実行為をしっかり出して、なるほどこれは取り締まりをしなければいけないということであるならば、三号を入れるのもやむを得ないと私は思う。その事実行為というものを明確にされずに、頭の中だけでこうすべえ、ああすべえ、こうならなければならぬと言っている。だから、そういう法律は、事実がわからないのですから危険だと私は言うのです。たとえばここにいう重要事項とは何か、「故意に事実を告げず、」一体故意とは何か、あるいは不実とは何か、いろいろ問題が起きてくるわけです。だから、過去にこういう事実行為がありました、この事実行為によって、こういうものを取り締まるときにはこういう条文を設けなければ困りますということが起きてきたならば、事実行為というものが明確になるのです。これでは明確にならないから言っているのです。その事実行為についての例をひとつ出していただきたい。どうですか委員長
  89. 川野芳滿

    川野委員長 ちょっと速記をやめてください。    〔速記中止〕
  90. 川野芳滿

    川野委員長 速記を始めて。
  91. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 委員長はそういうふうに考える。私は、見解の相違だというものの考え方ではいけないと思う。この条文は事実行為が積み重なったから、法律改正をしなければ取り締まりができないということで、この法改正が行なわれているのです。だったら事実行為はどういうことが過去にあったということを明確にすべきだ。それをあなたは明確になっていると言う。何も明確になっていないじゃありませんか。ではまずその事実行為の明確になったやつをもう一度突き詰めていきましょう。もう一回スキーの例を説明してください。何月何日にどういう業者がどう扱ってどういうふうに行った、そうして行ったところは駅から五分というやつが駅から三十分も四十分もかかった。まずこれについて具体的に説明していただきたいと思う。
  92. 梶本保邦

    梶本政府委員 ただいま御指摘のように何月何日ということまで私どものほうでいま手元に資料はございません。しかしそういうふうにほんの二、三分行けばスキーができますというようなことで、行ってみたら、あにはからんや、そうじゃなかったというふうな苦情がくるわけなんでございます。それもたとえば桜見に行ったら、前日に雨が降って桜の花が散っていた、桜が見られなかったじゃないか、自分は桜見に行ったのにけしからんという場合はこれに当たらないと思います。天然、自然現象によってそのような事態が起きた場合のことを私は言っておるわけじゃございませんで、ただ物理的に厳として存在しておる事実というものはだれが見てもはっきりしておる。それをそうじゃないかのごとく宣伝をしてお客を誘致した場合、そのようなことを申し上げておるわけでございまして、ただ何月何日何時と言われますと、私いまここで、資料は持っていないのでございますけれども、それは御了承いただきたいと思います。
  93. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 スキーの例が一つ出ました。ですから、それがパンフレットとして出されて、それに基づいて旅行したのか、あるいは従業員から、いやこの旅館はこうですということばで言われたのか、ここにも故意かあるいは不実か重要な事項かという問題が出てくる。ことばで告げたのか、あるいはそれがパンフレットに出たのか、それは私が先ほどから言っている宅地の問題でも証券の問題でも立証というのははっきりしているわけです。これは立証がはっきりしないじゃありませんか。いまのあなたのスキーの例は、それはことばなのですか、あるいはパンフレットなのですか。
  94. 梶本保邦

    梶本政府委員 これはもちろんことばでございます。しかも登録の取り消しや業務の停止にかかる聴聞のような場合に、たとえば「公開による聴聞をしなければならない。」というように、聴聞に公開主義が貫かれております。それから「当該処分に係る者又はその代理人は、聴聞の場所において意見を述べ、及び証拠を提出することができる。」というふうに、手続と申しますか、意見の開陳の機会というものも与えるようにいたしておる次第でございます。
  95. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 いまのスキーの問題は、ことばでは、言った、言わないということで、そこで個々のあっせん業に働いている業者ではない一人一人の職員、こういう人たちに責任が転嫁されるというのです。言った、言わない、いや最終的に聴聞ではっきりすればいいじゃないかといっても、はっきりするまでのその人はどうなんです。ですから私はこれは問題があるというのですよ。そこで、この「重要な事項」というのは一体具体的にどういうことをお考えになっているのでしょう。「重要な事項」というのはこういうことだというきめがあるのですか。
  96. 梶本保邦

    梶本政府委員 先ほど来申し上げておりますように、お客があらかじめその事実を知っておったならばその旅行には参加しなかったであろうような場合、あるいはまた旅行の計画を変更したであろうような場合、つまりその事柄がその旅行の重要な要素になっておるような場合、このように解釈いたしております。たとえば桜見とウ飼いという場合、ウ飼いができなくて、桜見だけならば旅行に参加しなかったであろうというふうな場合がこの「重要な事項」に当たるわけでございます。このように御了承いただきたいのでございます。
  97. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 「重要な事項」というのがわからないのですよ。いまの昼食が入っている、入っていないということで、入っていないというのを告げなかったという行為は重要な事項ですか。
  98. 梶本保邦

    梶本政府委員 私は、主催旅行におきましては重要な事柄だと考えております。たとえば四泊五日の東海道旅行のような場合に、四日間あるいは五日間を通じて昼めしが入っておるか入ってないかということは、やはり一つの重要な事項だと考えております。
  99. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 それで重要な事項が一つ具体的にわかりました。あとほかに重要な事項というのは具体的にはどういうことなんですか。
  100. 梶本保邦

    梶本政府委員 ただいま申し上げましたような事柄とそれに類するような事柄が結局重要な事柄というふうにしか申し上げられないのでございますけれども、旅行の形態が多種多様でございますし、とにかく旅行に行かれる方もだんだんふえてくるわけでございますので、一律にこういうタイプの旅行というわけにはここで申しかねる次第でございますが、要するにその旅行の重要な要素である事柄というふうに御了承いただきたいのでございます。
  101. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 重要な事柄であるかないかというのは運輸省観光局で判定するのですか、それともあっせん業者が判定するのですか。
  102. 梶本保邦

    梶本政府委員 これはまずお客のほうからいろいろ苦情があるかと思いますが、それを運輸省のほうで、それはあまりひどいじゃないかとか、そのくらいのことは重要事項に入らないというふうな事柄の判定はできると考えております。
  103. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 「重要な事柄」が私にはわからないのです。  次に「故意に事実を告げず、」それから「又不実のこと」、故意に事実を告げなかった、それはどういうことですか。
  104. 梶本保邦

    梶本政府委員 「故意に事実を告げず」と申しますのは、自分のほうではそれを知っておりながら、相手が知らないということを奇貨として、いいことにして、ほんとうのことを言わないというのが「故意」の解釈だと考えております。
  105. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 それが故意であったかどうかであったかという判定はどうされるのですか。
  106. 梶本保邦

    梶本政府委員 それが故意であったかどうかということは、これはもう当然おのずからわかってくることだと考えております。旅行あっせん業者旅行あっせんするのが商売でございまして、それでめしを食っているわけなんですから、それがわかるのがあたりまえだと私は思っております。
  107. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 告げたか告げなかったかという判定はどうされるのですか。具体的にそれが告げたのか告げなかったのかということは、どういうふうな判定のしかたをお考えになっているのですか。
  108. 梶本保邦

    梶本政府委員 要するに、旅行契約が成立する時点において、この問題はやはり考えていくべきだろうと思います。旅行契約が成立いたしまして、そこで予納金を納めるとか、あるいはクーポン券を買うとか、そういう時点を中心に考えていっていいのではないかというふうに考えております。
  109. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 桜が咲いているかと言ったら、咲いていると言った、いや片一方は言わなかった。言った、言わなかったの判定のしようがないと私は思うのです。ですから、判定のしようがないことが具体的に提出されて、それを扱う観光局としてはどういうふうな扱いにするのか。
  110. 梶本保邦

    梶本政府委員 どのような扱いにするのかという御質問を受けましても、旅行の形態がいろいろ異なっておりますので、結局そのつど、その旅行の形態を中心に事柄を判断していく以外に方法がないのではないだろうかと考えております。
  111. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 具体的な内容についてもまさによくわからないわけです。重要な事項についても、故意かどうか、あるいは告げたか告げなかったか……。ですから、ここにますます。この書かれている条文が具体的に動いた場合においては、やはりこの条文そのものについて私は相当問題があると思う。  そこで今度は具体的に例を出して聞いてみますが、東急観光とか日本旅行会とかいろいろ全国に観光業者があります。その観光業者のところへ私が切符を買いにいく。北海道へ行きたい、北海道はいま気候はどうだ、あるいはお天気はどうだ、旅館はどこがいいだろう、そしてそれについて天気から気候からあるいは景色からあるいは旅館の部屋の状態まで聞いた場合に、こういうところまで一人一人の旅行あっせん業者に使われている従業員は知っていないと私は思うのです。土地建物の場合においては、土地建物をあっせんする業者というのは現地自分たちが買って、そしてそこにみなつくって、現地をお客に見さして、それでいろいろやるわけです。それでもなおかつ不当な広告を出してやるから、これは取り締まらなければいかぬということになるわけです。ですからほかの立法例の問題とこの問題とは、本質的にそこに扱いが違うわけです。ですから私はそこを言っているのです。その一人一人の従業員がしゃべる中で重要な事項が、あるいは故意に事実を告げなかったとか、不実のことを告げたとかいうことによっていざこざが起こる、このことが私は問題だと思うのです。そういう点で、あなたは具体的にそういうあっせん業者実情を一番よくおわかりになっているわけでありますから、おわかりの中から、この条文がかりに動き出したらどういうふうになるとお考えになっておりますか、あるいはどういうふうな行政指導をしていくのですか。
  112. 梶本保邦

    梶本政府委員 ただいま旅館の部屋についての例でお話がございましたので、たとえばこれも一つの例になるかもしれませんけれども、熱海なら熱海あるいはそのほか名勝の地で海の見える部屋というふうなことで行ったら、部屋がなかった。海が見えないで山側の部屋であった。これは旅行あっせん業者が悪いじゃないか、契約をしたときにはそういうふうな契約になっておったじゃないか、あのときの従業員はけしからぬじゃないか、こういう問題には発展してこないと思います。と申しますのは、その海側の部屋とか山側の部屋とかいうのはあっせん業者の責任ではなくして、旅館側の問題になってくることもあるわけでございますから、直ちに一切がっさい旅行について起こった事柄が、すべてその全責任を旅行あっせん業者にかぶせようというふうなことでの不正行為の禁止というふうな意味の条文では毛頭ございませんので、その点につきましては繰り返し申し上げるようでございますけれども、これだけの不正行為はしてはならないぞということをはっきりここでさせておくということでございまして、決して一切がっさいのものを、全責任をあげて旅行あっせん業者にかぶせようというふうな趣旨では毛頭ないわけでございます。
  113. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 正当のお客というものは保護しなくてはならぬと思います。しかし予約をしたが取り消した、だれが負担をしているか、今日の実情では旅館業者ではありませんか。ですからそういう実情の中から、法律というものは、実情に合わした法律規制をしていかなくてはならぬと思います。法律が先ばしることも、あとからいくこともいけないと思う。実情に合った法律というものをつくらなければだめだ。その意味で言うならば、この三号というものは今日の実情からいってそわない。いままでの説明から聞いても、これはどこまでいっても納得できないことなんです。事実行為がなかったことなんですから、事実行為というものについて納得するだけの説明がなされていないわけでありますから、事実行為についてぜひひとつ納得できる資料を次の機会までに出していただきたいと思うのです。よろしゅうございますか。
  114. 梶本保邦

    梶本政府委員 結局先ほど申し上げておりますような範囲を出ないわけでございますけれども、その範囲のことでございますれば、お手元にお届けいたしたいと思います。
  115. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうしますと、事実行為というものは先ほど御説明があったスキーの話と、ウ飼いの話と、東海道バスの三つ、この話だけだったと、こう理解してよろしゅうございますか。
  116. 梶本保邦

    梶本政府委員 代表的に御了承いただきいい事例として、私、申し上げた次第でございます。
  117. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 代表的でないこまかい問題もあるのだったら、ひとつ書面として出していただきたいと思います。
  118. 梶本保邦

    梶本政府委員 承知いたしました。
  119. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 それから法制局がお見えになりましたので、法制局のほうにお尋ねいたしますが、この旅行あつ旋業法の第二条の三項、四項が改正されたわけであります。この三項の読み方でございますが、この三項はどういうふうにお読みになりますか、解釈を御説明願いたいと思います。
  120. 吉國一郎

    吉國政府委員 第二条の第三項におきましては、「この法律で「一般旅行あつ旋業」とは、邦人旅行あつ旋業以外の旅行あつ旋業をいう。」と規定してございまして、旅行あっせん業は、その第三項の前の第二項におきまして、「「旅行あつ旋業」とは、旅行あつ旋を行う事業をいう。」 とございます。その旅行あっせんを行なう事業、旅行あっせん業の中から、第四項の邦人旅行あっせん業を除きましたものが、一般旅行あっせん業に相なります。邦人旅行あっせん業は次の第四項に規定してございまして、日本人本邦内の旅行のみを対象といたします旅行あっせん業邦人旅行あっせん業ということに相なっております。
  121. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 一般旅行あっせん業の中には邦人旅行あっせん業は入らないわけですね。
  122. 吉國一郎

    吉國政府委員 数学の方程式で書きますならば、旅行あっせん業マイナス邦人旅行あっせん業イコール一般旅行あっせん業ということでございますので、一般旅行あっせん業の中には邦人旅行あっせん業は入っておりません。
  123. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうすると、一般旅行あっせん業日本人本邦内の旅行のみを対象とする邦人旅行あっせん業という仕事はできない、こういうことになるのですか。
  124. 吉國一郎

    吉國政府委員 第二条の第四項をお読みいただけばわかりますが、邦人旅行あっせん業と申しますのは、日本人本邦内の旅行のみを対象とする旅行あっせん業でございまして、日本人本邦内において旅行いたしますことにつきまして、それのみを対象としてあっせんをいたします者は、邦人旅行あっせん業者として登録を受けるわけでございます。それ以外の一般旅行あっせん業と申しますのは、日本人本邦内の旅行のみを対象とするということではなしに、それ以外の外国人日本人旅行についてあっせんをいたします者は、この一般旅行あっせん業に入るわけでございます。
  125. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうすると、これはこの3と4を上に書き直したことと、中身は本質的には同じだということですか。
  126. 吉國一郎

    吉國政府委員 ただいまの御質疑の趣旨がちょっとよく理解できませんでした。
  127. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 この一般旅行あっせん業の中には、日本人本邦内の旅行あっせん事業も入るのか入らぬのか。おわかりになりますね。三項の一般旅行あっせん業は、四項の日本人本邦内の旅行、これも扱えるのか扱えないのか。
  128. 吉國一郎

    吉國政府委員 日本人本邦内の旅行について旅行あっせんをいたしますことは、この一般旅行あっせん業者もできるわけでございます。
  129. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 あと国際観光ホテル整備法についての質問があるわけでありますけれども、まだほかに質問者があるるようでありますから、旅行あっせん業についての質疑は一応保留して次の質問者に譲ります。
  130. 川野芳滿

    川野委員長 肥田次郎君。
  131. 肥田次郎

    ○肥田委員 先ほど勝澤委員のほうから質問のありました件で、私はもう少し確認をしたい面があるのですが、それは営業保証金です。この営業保証金制度の目的というものは、この理由にあるように担保額を引き上げ担保力を強化するということと、それからもう一つこの保証金に充当する、こういう目的があるのですか、これをもう一度念を押しておきたいと思います。
  132. 梶本保邦

    梶本政府委員 お説のとおり、まず第一には、一般的に担保力を保証するということと、それから保証金性格は、旅客旅館交通機関一般の債権者に優先してその中から弁済を受けることができる性質のものである、こういうことでございます。
  133. 肥田次郎

    ○肥田委員 そこで先般の参議院におけるところの参考人意見を読んでみると、この営業保証金が損害補償として充当された例はない、こういうことを言っておりましたが、これはうそですか、どちらですか。
  134. 梶本保邦

    梶本政府委員 それはございます。やはりこの中で充当された例はあるわけでございますけれども、保証金ですべてをまかなったという例はないわけでございます。損害のほうはもっと大きゅうございますから、結局それは刑事問題になるわけでございますが、そのうちの一部分が営業保証金でまかなわれたということでございまして、おそらく参考人のおっしゃいましたのは、営業保証金だけで損害のすべてをまかなった例はない、こういう意味ではなかろうかと考えております。
  135. 肥田次郎

    ○肥田委員 あれは件数で触れていましたね。いまはっきり何件か覚えていませんが、何件の中の何件ぐらいが、というような表現をしてありました。ですからあなたの言われるようなものとは少し性質が違うような印象を受けたのです。  そこで、それはそれとしてお聞きしたいのは、この担保保証金の供託の書式といいますか、これはどういうふうな書式になっていますか。
  136. 梶本保邦

    梶本政府委員 保証金につきましては、実は法務省の所管になりまして、すべての保証金がそうでございますように、法務省の手続に従いまして供託される。それから還付のときの手続も法務省のほうにおいてやる、このようなことになるわけでございまして、残念ながら観光局のほうでその事務を扱っていないわけでございます。
  137. 肥田次郎

    ○肥田委員 そうすると、私はよく知りませんからお聞きしたいのですが、供託金をくずす方法は、それは法務省のほうに一任してあるということだけで、あとはあなたのほうでは手続きの他は一切御存じないのですか。
  138. 梶本保邦

    梶本政府委員 この手続につきましては、法律それからそれに基づく規則というふうなもので、法務省のほうで所管をいたしておられるわけでございます。
  139. 肥田次郎

    ○肥田委員 私が繰り返してお聞きしているのは、参議院におけるところの業者参考人の供述の中で、そういう意味のことが言われておるのではないかと思って聞いておるわけなんです。要するに営業担保金というものが、そういうふうに保証金として充当できるのかどうかという点に、何かもっとはっきりしたものがなければ問題があるのではないかと思うのです。それからもう一つは、いわゆる供託者個々の意思をもってくずすということになるのでしょう。ですからそれを全体のものに充当するような方法を考えておられませんか。たとえば業者が何千軒か供託をしておる。その供託金全部が保証金に充当できるようになっておるのでしょうか、その点はどうなんでしょうか。
  140. 梶本保邦

    梶本政府委員 これは個々になっております。先生のおっしゃるようにそれが一つの基金のようなかっこうになって、保険のようにお互いに共同の責任を分担するというような仕組みではございませんで、あくまでも個々の関係になっております。
  141. 肥田次郎

    ○肥田委員 それではそれをそういう形のものに改めようという考えはありませんか。問題点は、いまここで三万円が五万円になるというような、そういう性質の議論をしてみても、これはなかなか先ほどから答弁があったようにいろいろと意見もあるだろうと思います。けれども個々の供託というものが一つ保証金の基金になるような形の性質のものにしておけば、これは先ほどから私が言っておるように、その一部分の補償しかしてもらえないというような場合に、それをその方向に充当できるのではないか、こういうふうに思うからいまお聞きしておるわけです。
  142. 梶本保邦

    梶本政府委員 先生お話まことにごもっともなことだと思います。ただその方法としましては、そのような対策は、保証金によって解決すべき問題ではなくして、やはり旅行保険あるいは旅行損害保険、こういった保険制度の拡充によってまかなっていくべき問題ではないかというふうに考えております。現に観光基本法制定のときにもそのような方向でお話が出たように記憶いたしております。
  143. 肥田次郎

    ○肥田委員 それではその点は先ほど勝澤委員の御質問とも関係がありますから、またあらためて伺うことにしまして、もう一つ、先ほどの十三条の二号、三号に該当するだろうと思うので、この点もう少し聞いておきたいのです。いわゆる言うところの悪徳あっせん業者というものが今日どれくらいあると思っておられますか。それが一つ。それから一体どういう種類のものが悪徳業者だというふうに認定しておられるのか、これはひとつ簡単に答えてください。
  144. 梶本保邦

    梶本政府委員 悪徳業者の数は少ないと思っております。大半の方はやはり健全な国民の観光旅行に御協力いただいております善意業者方々だ、かように考えております。  いま手元にございます保証金の還付の例でございますけれども、三十四年度から今日まで大体一年に数件ずつあるようでございます。
  145. 肥田次郎

    ○肥田委員 これも先ほどの勝澤委員の質問というか意見というか、御発言の中にあったように、ただ看板を出して、そうして電話一本あるかないかわからないような関係、そういう状態の中で、いわゆる観光あっせん業をやっておるものがずいぶんいますね。こういう関係を悪徳とは言えないけれども、内容の非常に脆弱なものだと思うのです。ですからこれは観光に協力するりっぱなグループだというふうにお考えになるということは、少し早計じゃないかと思うのです。こういう面の指導というものが必要だろうと思うのです。そういう点が起因となって、こういう問題が起こってくると思うのです。たとえば契約の中で三皿、一汁、一食、あるいは二食、あるいは夕食、朝食、あるいは弁当、こういうふうにそれぞれが契約して、あっせん業者旅館に話を取りつけますね。そういう際に中身が違っておるような場合、たとえば三皿は三皿の料理ではあるけれども、時に問題になるのは、中学生の旅行なんかを見てみると、額に問題があるとかないとかとは別にしておいて、朝の食事を見ておると、海藻類に揚げを入れた、ヒジキに油揚げをまぜてたいたようなものがちょっぴり入っておる。それから塩コンブがちょっぴり入っておる。それからみそ汁、つけもの、これで三皿、一汁ということになっておる。こういうような形が行なわれた場合に、この不正行為の中のどれに該当するのですか。あっせん業者に該当するものなのか、旅館のほうが責任を負うべきものなのか。値切られたからこういう結果になったというのか、それともあっせん業者のほうは、いや旅館のほうで質を落としたのだということになるのか、そういう問題については、あなたのほうではどういうふうに判定をして指導されますか。
  146. 梶本保邦

    梶本政府委員 ただいま御指摘のような事例が直ちに不正な行為に当たるかどうかということにつきましては、ケース・バイ・ケースでいろいろあろうかと思います。不正にわたらないけれども、好ましくないというような段階の問題もあろうかと思うわけでありますが、そのときの契約の内容と非常に異なっておるかどうかというふうなことが、具体的な事例に当たりましても問題になってくるのじゃないかと考えております。
  147. 肥田次郎

    ○肥田委員 観光局長あなたの答弁はあまりじょうず過ぎて、われわれ聞いているほうで、どうもそれじゃという方向に結論がいかないのですがね。局長の立場での答弁はあるでしょうけれども、そういうふうなはっきりした事例の場合に、いずれにその責任を帰すべきものかという判断を、あなたはどうされますか。双方がなすり合いをしておるのです。料金を削られたからこういうことになったんだと旅館のほうは言う。あっせん業者のほうは、いやそうじゃない、旅館のほうが悪いものを食わしたのだ、そういうことになる。そうすると迷惑をこうむるのは、いわゆる善良な旅行者だけということになる。そういう際には、旅行者がそれを受けなければならぬのか、どうなんです。
  148. 梶本保邦

    梶本政府委員 契約の具体的な内容によりまして、値段だとか、そのほか同価格で、どの程度の内容のものがその他の旅館で出されておるかというふうないろいろな要素によって判断すべき問題ではなかろうかというふうに考えるわけでございます。
  149. 肥田次郎

    ○肥田委員 こういう例は至るところにあるのです。たとえば料理の中のサワラのさしみがサバのさしみに変わったということじゃないのです。ただ単につらを合わしているだけというようなやり方でやっておるのが悪徳あっせん業という中に含まれるのか、そうでなしに、その料理の中身の悪いのは旅館業者だということになるのか、これはどうですか。そういう際の指導というものを観光局長としてはどういうふうにやられますかと聞いておるのです。
  150. 梶本保邦

    梶本政府委員 話があまりにもこまかくなってまいりまして、さしみが五切れだと思ったら三切れしがなかったというふうなことになりましても、実際にはこういう問題はそれぞれ片一方だけがどうというわけにもいかない場合があろうかと思いますので、お説のような場合には、具体的な例を待ちまして、私ども判断をさせていただきたいと思います。いまここでどうとおっしゃっても、ちょっと私どもも判断をいたしかねるわけであります。
  151. 肥田次郎

    ○肥田委員 局長の答弁を聞いておると、あっせん業者あるいは旅館業者、こういうものの立場でものを言っておられるのですが、旅行者の立場というものは、あなたのいまの表現の中にはないのですがね。そういう場合にはそのいずれかのということだけで、旅行者のそれによって受けるところの迷惑、損害、こういうものについて観光局は何らの保護というのですか、指導ということは考えられぬのですか。
  152. 梶本保邦

    梶本政府委員 先ほど来勝澤先生からの御質問のときにも私申し上げておるのでありますけれども、国民大衆の健全な旅行の保護育成と申しますか、安全の確保、利便の増進という観点からやっておるのでございますということを再三申し上げたのでございますが、それが一つの観光行政の基調になっておるわけでございまして、それと同時に業界の健全な発達をはかっていく、こういうことが一つの根底の立場だと私どもは考えてやっておる次第でございます。
  153. 肥田次郎

    ○肥田委員 私は決して平行の形で議論しようと思っているのではないのですけれども観光局長の話を聞いておると、あなたのいま言われたことは、私の質問したことがことばの中には出てこないのですよ。一つの事例をあげて、こういう際にはそのいずれが悪いのだと思うか、どのように指導するのかという私の質問に対して、どちらの責任でもないようなことを言われるから、そうすると結局善良なる旅行者というものは迷惑をこうむるじゃないか、こういうことになるでしょう。ところがそういう際についてのあなたのことばはちっともそれに触れないで、何かあなたのことばを聞いておると、あっせん業者旅館業者、この方面にのみあなたのお考えは向いてしまって、私が言っていることにはちっとも話が向いてこない。
  154. 梶本保邦

    梶本政府委員 私は決して先生の話に平行的な話をしているつもりは毛頭ないのでございます。旅行あっせん業者旅館とがあってこういう問題が起こった。そこに善良な旅行者が困っておるじゃないかと言われる。それは確かに困っておる。それはどっちかの責任だと思います。どっちかの責任なんですけれども、どっちの責任だということを、さしみが五切れが三切れになったからどうのと言われても、いまここで具体的にははっきり判断をして御答弁申し上げるわけにもまいりませんということを申し上げておるわけでございまして、それはそのケース・バイ・ケースで具体的事例に突き当たってみないとわからない、はたして旅行あっせん業者が悪いのか旅館側が全面的に責任を負うべきものなのか、その具体的契約の内容について一々見てみなければわからない問題であるというふうに私考えておる次第でございます。
  155. 肥田次郎

    ○肥田委員 観光局長、あなたの答弁は全く能吏の答弁ですよ。通り一ぺんの答弁だ。それは少し不親切だと思う。旅館業者が悪いのかあっせん業者が悪いのか、いずれかが悪いのに違いないのでしょう。旅行者は旅行あっせん業者を通じて、これだけの金でこれだけのものを食わしてくれるという条件のもとに、それに一切のことをまかして、そうしてクーポンか何かで旅行に行くわけです。ところがさて行ったところでそういう問題が起こってくれば、あっせん業者が悪いのか旅館業者が悪いのか、その責任はいずれかにあるということは間違いない。それをそのいずれとも言いかねるからという答弁で逃げようというのは、いかにもあなたの答弁はいわゆる能吏の答弁です。その際にはどういう指導をするというぐらいの表現はできるでしょう。
  156. 梶本保邦

    梶本政府委員 契約の内容が、具体的に料理の内容まで触れておるというふうに仮定いたしましたとするならば、私は、ただいまの御指摘の場合のような例で申しますと、旅館側のほうに責任が起こってくるんじゃないかというふうにも考えられるわけでございます。その場合には、旅館に対しましてそういった指導をしていく、それが運輸省としての立場であり、態度であろうと考えております。
  157. 肥田次郎

    ○肥田委員 建物の施設がどんなのか、そういうことまで観光局は立ち入って検査しよう、調査をしようということで考えておられるんでしょう。ですから、そういうことを片一方で考えておる以上は、どういうものを食べさして、そしてどういう契約でやってるかということぐらい、これも当然同じような考え方で観光局としては取り扱わなければならぬ性質の問題だと思うのです。建物の施設だけを、こういう規格だ、ああいう規格だということで、やっておるか、やっておらないか、観光局は、そういうことだけを調査をする。そして他はほっておいていいかということになると、そうはいかぬと思うのです。ですから、これは——まだ質問者があとに続くようですから、私はきょうはほんの十分ぐらいにして、またいずれあらためてということですから、きょうはこれで質問を終わりますけれども、私の言っておるのは、そういう意味のことを言っておるんです。ですから、指導体制というものははっきりしてもらわなければ困る。とにかくいずれかが責任を負わなければならないような性質の問題が、至るところに事例があるんですから、その点は、将来の指導についてよく考えてもらいたいと思います。
  158. 川野芳滿

    川野委員長 泊谷裕夫君。
  159. 泊谷裕夫

    泊谷委員 きのう観光局長にお尋ねしましたが、二、三点だけ端的にお尋ねしたいと思うのです。  国際観光ホテル整備法の問題で、きのう観光局長は、第十六条で規制をいたしました立ち入り検査の必要性はない。登録旅館四百五十五のうち、故意であろうと、あるいは善意であっても、誤りかもしれないけれども、件数として十件程度の指導を要するものが出たので、この条項を提出する、具体的な運用としては、本来この法は育成法であるので、私どもが心配するようなどぎつい運用は考えておらない、あくまでも指導育成を目的として行なうというお話でありました。ただ、どうしてもその「立入検査」ということばが時代錯誤のような感じがして、何とかならないかというお尋ねに答えて、局長は、立法上こういう用語しか見当たらないというお話できのうは終わっておりました。私の持つ能力ですから、すべてとは申し上げませんけれども、昨晩一応調べた範囲で、次のような事柄が明らかになったわけであります。したがって、これらの関係について、観光局長の見解をあらためてお尋ねをしておきたいと思うのです。  実は、おのおの質の違うものでありますけれども、法律用語として出てくるものを羅列してみますと、次のようなものがありました。  一つは、物品管理法の第三十九条でありますけれども、「各省庁の長は、政令で定めるところにより、定期的に、及び物品管理官、物品出納官又は物品供用官が交替する場合その他必要がある場合は随時、その所管に属する物品の管理について検査しなければならない。」次に目に入りましたのは、質問検査という事項でございます。法人税法の第四十五条「収税官吏の質問検査権」であります。「国税庁の収税官吏又は法人の納税地の所轄税務署若しくは所轄国税局の収税官吏は、法人税に関する調査について必要があるときは、法人に質問し又はその帳簿書類その他の件を検査することができる。」さらに会計検査院法の第二十五条には、「実地の検査」ということで、「会計検査院は、常時又は臨時に職員を派遣して、実地の検査をすることができる。」さらに入場税法——これは酒税法も物品税法も同じでありますけれども、入場税法の第二十四条には、「当該職員は、入場税に関する調査について必要があるときは、納税義務者又は納税義務があると認められる者に質問し、又はその業務に関する帳簿類その他の物件を検査することができる。」これは「当該職員の権限」と銘打ってあります。「立ち入り」ということばがないかと思って調べました。これも私の調べた範囲でありますから、すべてではありませんが、これは風俗営業等取締法第六条、ここにありました。ありましたが、それは次のように書いてあります。「警察官は、この法律又はこの法律に基く都道府県の条例の実施について必要があるときは、風俗営業所に立ち入ることができる。深夜においては、飲食店営業の営業所についても、同様とする。」ここで初めて「立ち入り」ということばが出てくるのでありますけれども、きのう局長のお話によりますと、気持ちはそこにないけれども、法律用語としてこれしか用いるものがないというお話でありました。この質疑応答をきのうきょうとやっておりますので、私はこれそのもの本来は考え直していただきたいと思うのでありますが、その考えを改めてもらいたいということについてまず局長の答弁をいただいて、次に私の意見を申し上げたいと思うのです。
  160. 梶本保邦

    梶本政府委員 お手元に、立ち入り検査について私どものほうで調べましたものをお届けしたわけでございますが、まず、有斐閣出版の六法全書におさめられてある法律について、立ち入り検査という条文がどのようになっておるかというのを調べたわけでございます。編別では警察防衛法、土地法、経済法というふうに書いてございます。そのうち事業に関する法律の件数が、警察防衛法では十、そして十とも検査権の規定がございます。それから土地法では、四つのうち四つともある。経済法では、五十のうち四十七ございますが、三つだけございません。その三つは、次のページに書いてございますように、百貨店法と石油業法と機械工業振興臨時措置法でございます。検査権の規定のある事業関係法律六十一件が、ここに書いてありますような法律でございます。もちろん、そのほかに憲法、国会法編とあるわけでございますけれども、これは事業法規でございませんので、関連がないと見て私どものほうで省略いたしたわけでございます。この中には立ち入って検査というふうになっておりまして、いわば一つ法律の例文のようになっております。特に、ただ単に書類を調査するとかいうのでなくて、建物を対象にいたします場合には、建物の中に入らなければ調査ができないわけでございますけれども、そこに立ち入りという問題が出てまいるわけでございまして、先ほども旅館業法を御指摘になりましたけれども、旅館業法にあります「立ち入り」の趣旨と整備法にいうところの「立ち入り」の趣旨とは違うわけでございます。また、旅行あっ旋業法の中にも、お手元に届けてあります資料にございますように、「報告徴収及び立入検査」の規定——これは議員立法でおつくりいただいた法律でございますけれども、その中にも「立入検査」という条文が入っておるわけでございます。  結局、昨日来申し上げておりますように、一つ法律の例文としてなっておるわけでございます。ただ、特に旅館、ホテルのような場合には、お客さん相手の商売をしておられる建物でございますので、むやみやたらに入っていってはならないことは論を待たないところでございます。それでございますから、条文にございますように、「特に」というふうなことばが書いてあるわけでございます。十六条の一項と二項を比較していただきますと、一項のほうには「特に」ということばがございませんが、二項のほうには、「特に必要がある」というふうに、「特に」ということばを特別に入れたわけでございまして、これを入れました気持ちと申しますか、心がまえは、ただいま先生もご指摘になりましたように、むやみやたらにそういうふうなことをやってはならないというふうな気持ちから、ここにこの「特に」が入っておる、このように私どもも解釈をいたしておる次第でございます。
  161. 泊谷裕夫

    泊谷委員 局長のお話によりますと、対比論的なお話ですね。私も確かに申し上げたのは対比論的でありますけれども、国際観光ホテル整備法というものと、一般警察防衛法あたりで考える質的なものとはおよそ違うと思うのであります。  なお今回十六条には確かに中身は「報告及び検査」、一項及び二項でこれを主張しているわけですね。こういう定め方も私は疑義なしとはいたしませんけれども、きょうここで議論をしても、きょう、昨日からの質疑応答でそれを削除するとか修正するということは困難な模様でありますので、きのうお話のありましたことをこの際もう一度きっちりしておきたいと思うのです。第十六条の法の運用については、本来本法は育成法であるという基本理念はきっちりと御答弁いただいておると思うのであります。したがって、あくまでもこの条項の適用、運用については、指導育成を目的としてその運用には慎重に当たる、こういうふうに私は理解したのでありますが、それでよろしいかどうか、あわせて私は局長も大差がないと思うのでありますが、十六条三項「立ち入り検査をする職員」の範疇を明らかにしてほしいと思います。
  162. 梶本保邦

    梶本政府委員 二点御資問がございましたが、第一点のほうにつきましては、全くその気持ちでやっております。これは昨日来申し上げておりますとおりでございます。  第二の御質疑の点については、本省の整備課、つまり建築の専門家がおります整備課が中心になりまして、施設を主として検査をする、このように私ども了解をいたしております。
  163. 泊谷裕夫

    泊谷委員 ある程度問題点を中心にしてのお答えでありますが、いまの段階でそれしか答弁できないとすれば、適当な機会に、取り締まりに携わる者という点はやはり法律上明らかにしておくことが、政令なり省令で明らかにしておくことが好ましいと思いますが、その御配慮をいただきたいことを要望しておきます。  次に、きのうから議論のありましたもので、実際旅館業者が当面して、今度の改正で一番困るものは何かというと、数多くありますけれども、きのうも指摘いたしましたけれども、局長のお話によりますと、四百五十五件中エレベーターを必要とするもの十五件というお話でございましたが、私の調べたところによると、この数はそういう小さな数ではありません。現実にこの法が制定されまして、それに忠実たらんとすれば、五坪程度の土地をまず取得しなければならないが、東京周辺ではその土地が実態としてなかなか取得できない。そうしますと、いままである客室をつぶして増改築を試みなければならない、金融面ではそれに見合うだけの融資を求めなければならない、こういう事情があります。したがってきのう山田委員の質問に局長は答えておりましたが、重要な部分だと思いますので、これについても私は昨日からきょうに関しての局長の法の運用についての考え方を明らかにしてほしい。私は次のように理解をしたものですが、それでよろしいかどうか。法運用として附則第四項中の「増築又は改築」は、通常原型をとどめない程度の大増改築をいうのであって、なお階層が延びず、横に広がるものはこれに入らないというふうに聞いていたのですけれども、これでよろしいかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  164. 梶本保邦

    梶本政府委員 ただいまの御質疑でございますけれども、われわれとしましては、昨日来申し上げておりますとおりで、改増築というものについての解釈は、昭和二十八年の建設省住宅局から出されておりますところの、いわゆる公的な改築についての解釈、あれをとっておる次第でございまして、きのうるる申し上げたとおりでございます。法の運用にあたりましては決してむちゃなことのないように、非常識な運用は絶対にいたさないつもりでおります。
  165. 泊谷裕夫

    泊谷委員 くどいようですが、実際旅館をやっておる人から見ればたいへんなことだと思うのです。私自身は何で観光というのはホテルばかり育成するのだろうという気持ちはありますよ。きのうも話をしましたように、エレベーター一基一千万円、五坪から七坪の土地を必要として改造をそのつどやるとすれば、実際はできない相談なんです。そこで専門家であります山田委員のほうからも詳細にお尋ねになったときの局長のお話は、小改造とかそういうふうなものは含まれないという答弁をなさったのです。そこで私は通常大きな増改築であって、しかも上に延びないで横に延びるものは、きのう言われた範疇に入っていないというふうに聞いたのですが、それでよろしいかということを聞いておるのです。実際問題としてこれは相当大きな問題であると思いますので、私のいま申し上げたところで局長の御了解をいただきたいと思うのです。
  166. 梶本保邦

    梶本政府委員 横に延びるとか縦に延びるということじゃございませんで、施設と建物に分けて昨日申し上げたつもりでございます。建物が集まって一つ旅館という施設になっているようなところがございます。その施設の中には経営者がワニを養殖しておるものや、動物園やら植物園やらやっているという旅館の形態というものが最近間々温泉地等には見かけるわけでございます。その場合にあちらの建物を増築したから、こちらの建物はいままでエレベーターがないけれども、けしからぬじゃないかというふうなことは申しません。こういう意味でございます。
  167. 泊谷裕夫

    泊谷委員 そこがさっき勝澤先生、肥田先生が言われておるように、率直にいうと局長の答弁は持って回って困るのです。離れに分けようが本屋に分けようが、問題はその必要部分について、実際困る旅館の問題は、私どもに窮状を訴えて、法の運用として、本来ならばいままで運輸省の指導してきた登録旅館ですから、途中で変更があったときには、国の責任で補償するのが筋だと私は言いたい。だけれどもいまそれを言っても話しにならぬだろう。実際土地の取得ができない状態です。東京付近ではできません。渋谷で聞いたところでは坪三百万、そしてエレベーター一基が一千万かかって、ほかに延ばす場所がないとすれば、客室をつぶしてエレベーターを上げなさいといったって実際できない相談なんです。だから既存の旅館については、だれが見てもこれは大改造だ、そこまでいくならば本来あるべき姿に合わせなさい、それまでは横に延ばす問題、あるいはだれが見ても大改造だという問題については、それを見てもらわなければならぬけれども、その中間的な問題についてはこれを許容するという幅を持たせなければ、困難を生ずるだろう、こういうふうに申し上げているのですから、ずばりとお答えをいただきたいと思うのです。
  168. 梶本保邦

    梶本政府委員 全く御趣旨のようなことでもあるのでございまして、もしかりに大改築という法律用語があれば入れたいのですけれども、改築ということばしかございませんので、それしか入れていない次第でございます。
  169. 泊谷裕夫

    泊谷委員 わかりました。
  170. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 関連して。——ホテル整備等については実は一つも質問していないのですから、一問だけ質問させていただきたい。立ち入り検査の必要性であります。必要性についても説明があったと思いますし、特権を持たせることについても説明があったと思います。それで立ち入り検査をさせる職員の身分証明書を持たせる範囲は具体的にどこまでお考えになっておりますか。
  171. 梶本保邦

    梶本政府委員 本省観光局の職員を中心に考えております。
  172. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 地方にはない、こう理解してよろしゅうございますね。
  173. 川野芳滿

    川野委員長 久保三郎君。
  174. 久保三郎

    ○久保委員 観光局長の答弁は、非常に懇切丁寧というお話でございますけれども、時間の関係もありますので、私もできるだけ簡単にお伺いしますから、簡単にイエスかノーか、そういうふうに答えてください。  次に、あっ旋業法の問題でありますが、いままで問題になった十三条の三号に関連して二、三お伺いいたします。  一つ不正行為があったというようなことで取り消しをされる場合には、説明があったように聴聞会で処理されますね。そこで聴聞会で処理される場合でも、聴聞会もたとえばあっせん業者そのもの、被害者そのものの意見を聞いて判断されるのですね。そうですね。そうだというと、あっせん業態によっては、あっせん業者がカウンターそのものもやるという現場もあるし、マンモス化した企業では、たくさんな雇用人を使って、カウンター、第一線をやっている。そうなった場合に、はたしてそれだけでいいかどうかという問題がある。ついては、現場の当事者なりあるいは当事者を弁護というか、それを正当に評価できる者をこの聴聞会の中へ、正式には入れられないにしても、やはりそれらの説明を聞く機会を設けてもらいたいと思うのです。これはどうですか。
  175. 梶本保邦

    梶本政府委員 三つお尋ねがございました最初の二つについてはお説のとおりでございます。それから最後の一つの点につきましては、これは代理人も入ることになっておりますから、お話のような方向でお考えいただいてけっこうでございます。
  176. 久保三郎

    ○久保委員 次に、一般と邦人と、こうあるわけです。そこで、一般海外旅行を行なうものもこれは入るわけですね。そこで、現行やっているところの登録、いわゆる一般というか外国旅行をやれる業者、それはそのまま移行するのですか。
  177. 梶本保邦

    梶本政府委員 三カ月の経過規定がございまして、移行してまいるわけでございます。
  178. 久保三郎

    ○久保委員 その経過規定の間にふるいにかけるということですね。
  179. 梶本保邦

    梶本政府委員 一般旅行あっせん業登録と同じような手続でいたします。
  180. 久保三郎

    ○久保委員 そこで、たとえば現在あるところの外国旅行あっせんする業者の中でIATAの協定というか、そういうものに入っておらぬでやっているものがあるが、これはどういうふうにしますか。わかりにくければ、IATA加盟じゃない、協会に入っておらぬで、言うなればその業者はダンピングする可能性がある、そういうものまで入れるのかどうか。そういうものは当然取り除かれるのが公正な競争だと思うがどうか。
  181. 梶本保邦

    梶本政府委員 IATAに入らないで旅行あっせん業をやっている、それが業界の秩序を乱すというふうなことがありました場合には、運輸省としましては対策を考えていきたいと思います。
  182. 久保三郎

    ○久保委員 あるかないか、わからぬですか。
  183. 梶本保邦

    梶本政府委員 ただいまのところそういう例は実は聞いていないのでございますけれども、もしございました場合には、お説のとおり秩序を乱すことになりますので、われわれとしては厳重に考えてまいります。
  184. 久保三郎

    ○久保委員 そこでこれは実態を聞いておらぬわけであって、事実は多少はあるわけですね。しかしこれは正式にいってもわからぬ場合が多い。だから、原則として協会に加入された業者が当たるべきだと私は思う。そういう点慎重に考慮すべきだと思う。  最後に、十三条の三号の適用についてはいままでも問題があったところでありますから、これは慎重に扱う、いままでの質問の中にあったように、これが逆用されて、悪質な旅客のペテンにかかる、そういうものにかかっては、やはり反面あっせん業の健全な発展は期し得られないので、十分考えていくべきだと思うが、その考えはございますか。
  185. 梶本保邦

    梶本政府委員 お説のとおり、この法の運用については十分慎重な態度で臨んでまいります。
  186. 川野芳滿

    川野委員長 両案に対して他に質疑はございませんか——他にないようでありますので、両案に対する質疑はこれにて終局いたしました。     —————————————
  187. 川野芳滿

    川野委員長 これより両案を一括して討論に入るのでございますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  旅行あっ旋業法の一部を改正する法律案及び国際観光ホテル整備法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  188. 川野芳滿

    川野委員長 起立総員。よって、両案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  189. 川野芳滿

    川野委員長 この際、久保三郎君より、旅行あっ旋業法の一部を改正する法律案に対しまして、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。趣旨説明を求めます。久保三郎君。
  190. 久保三郎

    ○久保委員 旅行あっ旋業法の一部を改正する法律案に対し、三党共同提案の附帯決議案を提案いたします。  本文を読みます。    旅行あっ旋業の一部を改正する法律案に対する附帯決議   第十三条第三号の規定は、善良な旅客を保護するためのものであるから、悪質旅客に逆用され混乱を招くことのないよう、その運用を慎重に行なうこと。  以上です。
  191. 川野芳滿

    川野委員長 ただいまの久保君の動議のごとく、旅行あっ旋業法の一部を改正する法律案に附帯決議を付するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  192. 川野芳滿

    川野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  続いて、山田彌一君より国際観光ホテル整備法の一部を改正する法律案に対しまして、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。趣旨説明を求めます。山田彌一君。
  193. 山田彌一

    山田(彌)委員 私は、ただいま議決いたしました国際観光ホテル整備法の一部を改正する法律案に対しまして、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表いたしまして、次のような附帯決議を付したいと存じます。  案文を朗読いたします。    国際観光ホテル整備法の一部を改正する法律案に対する附帯決議   政府は、国際観光振興上、登録ホテル及び登録旅館が重要なる役割を果たしており、また貿易自由化に対応するため、体質改善を必要とする実情にかんがみ、これに対し、地方税法の不均一課税適用について所要の改正を行ない、併せて融資額の増大と融資条件の改善等につき特段の措置を講ずるべきである。 以上であります。
  194. 川野芳滿

    川野委員長 山田君の動議のごとく、国際観光ホテル整備法の一部を改正する法律案に附帯決議を付するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  195. 川野芳滿

    川野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  この際、政府当局より発言を求められておりますので、これを許します。田邉政務次官。
  196. 田邉國男

    ○田邉政府委員 ただいま御決議いただきました旅行あっ旋業法の一部を改正する法律案国際観光ホテル整備法の一部を改正する法律案についての附帯決議につきましては、この御趣旨に沿いまして、慎重に運用してまいりたいことをこの際申し上げまして、御了承いただきたいと思います。     —————————————
  197. 川野芳滿

    川野委員長 ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  198. 川野芳滿

    川野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  199. 川野芳滿

    川野委員長 次に、日本国有鉄道の経営に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
  200. 久保三郎

    ○久保委員 運輸大臣に、公労協を中心に、特に国鉄の十七日にかかっている問題でありますが、今日ただいまの賃金引き上げの紛争の問題について、短い時間でありますが、端的にお尋ねしておきたいと思います。  今日この問題の解決が非常に重要な段階に来ていると思いますが、いろいろ前段の前置きは別にしまして、やはり輸送に大きな混乱を来たすというがごときは、だれも好んでおるものは一人もないと思う。ところが、いままで政府は、単にストライキというか、そういう争議行為に対して、不当であり、違法であり、処罰するということだけで実は来ていたようであります。これも一面の理屈でありまして、これを是認するかどうかは別にして、しかし、問題の解決は、それだけの警告と処断をほのめかすというだけではできないと私は思う。最近というか、きのうあたりから、政府も、徐々にではありますが、前向きでものを見て解決をしようという考えがあるようであります。これはわれわれとして歓迎します。しかし、どういう関係か知りませんが、国鉄総裁もおられますが、総裁はついこの間公労委に参りまして、総裁として国鉄職員の賃金についてやはりお述べになったそうでございます。これはたいへん正しいやり方だと思います。ただ、残念ながら、問題は、事態を解決するというのには、やはり公労委の調停段階で早急に結論を出させるというのがお互い考える一番近道ではなかろうかと私は思っているのです。でありますから、この点で、きのう組合の責任者を呼ばれて運輸大臣が主宰してそれぞれ会談をなされたようでありますが、その公労委の調停段階で今日ただいま政府は何とかケリをつけたいという考えでおるのでしょうか。いかがでしょう。
  201. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 今回の争議につきましては、私どもといたしましては、その国民生活に及ぼす影響、治安に及ぼす影響等を重視いたしまして、何とかこの争議をやめてもらいたいという趣旨におきまして、あらゆる努力をいたしてまいっておるのでございます。いま御質問のありました調停委員結論を早く出していただきまして、何とか国労の諸君と話のつくことを期待いたし、それに向かってあらゆる努力をいたしておるというのが現状でございまして、その解決の一日もすみやかならんことを、しこうして、労使双方が適当なる、何人も納得するような点でこのストライキというものが回避せられるよう念願してやまないものであります。これが今日における運輸省並びに国鉄の態度と考えて、私どももそれを考えまして、国鉄当局者にそういう方向で努力するように鋭意努力中という次第でございます。
  202. 久保三郎

    ○久保委員 大臣のお話はわれわれが考えておることと同じようであります。公労委の調停段階で早急にめどをつけて混乱を未然に防止したいということであります。それじゃ、公労委での調停段階で、いまの国鉄総裁のいわゆる自主的判断と力によってそういう解決のめどが今日ただいままでの段階では出るとは私は思えない。というのは、一つには賃金アップの問題でありますから、これは、言うならば、公社の独自性だけでまかない得られるかというと、これには大きな制約があるということは御案内のとおりであります。国鉄総裁をして国鉄総裁の方針どおりに公労委において具体的な額を明示しなければ、公労委の調停は進まぬのではなかろうかと思うのです。その前段のいわゆる前提条件を国鉄総裁に与えることが政府の任務ではなかろうかと思うのですが、そのほうはどうなんですか。
  203. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 私どもといたしましては、国鉄の従業員の給与につきましては、常平生から何とかいたしたいとは考えております。ところが、一方において争議権がないのに、違法に、ストライキをやるぞとおどかしておいて、そうしてそのほかに何ぼ金を出せと言う、額を明示せいと言うことは、私ども、すなわち政府といたしましては、何としても承服しがたいのです。そこで公労委に国鉄当局の財政の衷情を訴えて、従業員の給与の改善等についてあらゆる事情を訴えまして、その善処方を要望して、われわれといたしましても仲裁裁定を出していただくならば、それを十分に尊重いたしまして、その趣旨に沿うように努力いたしたい、かように考えて、いま直ちに何ぼ出せということに対する回答は、諸種の案件から考えまして、しかも違法ストをやって、そして国労が中心に裁定を求めながら、裁定の結論が出ない以前にそういうことをやられて、私どもはそれじゃ幾ら出しますということはなかなか言い得ない、かように考えております。
  204. 久保三郎

    ○久保委員 あなたは池田内閣の閣僚でございまして、そういうことは私も言いたくないのでありますが、問題の本質は何かというと、はっきり申し上げて、賃金の問題でございます。思想やイデオロギーの問題ではございません。もしも、政府の方針というか、政府のイデオロギー、あるいは、たとえば最近中断になりましたが、日韓会談に反対だということでストライキをやるならば、まっこうから不届き千万だということであなたのほうは立ち向かってしかるべきだと思う。それはいいですよ。しかしながら、これは賃金問題です。しかも、あなたは間接的かもしれませんが、あなたの使用人の問題ですね。そうでしょう。国鉄総裁が直接のいわゆる雇用主でありますが、あなたはその監督をする立場にあるならば——財政権というか、自主権というか、そういうものを奪っておるじゃありませんか。言うならば、あなたは国鉄総裁をして国鉄従業員を雇わせて作業させておる。そういう立場から言えば、いまのようなおことばだけで力み返っただけでは、政治家としてはどうかと思う。それは池田内閣の公式の御方針かもしれませんが、私はいただけないと思うのですね。しかもストライキをかまえてというか、やってと言うが、不法であるとかいうことは、やってから出ることであります。そうでないですか。しかも調停にかかって二カ月ですよ。二カ月の期限ということは御存じでしょうね。十六日です。十六日で調停の期限は一応切れるのです。そのあとはどうするかということは、調停委員会の結論なり、あるいは職権仲裁なり、いろいろな方法があるでしょう。しかし二カ月間待った暁において、本来ならば十六日までに、そういう紛争をかまえさせないために、不安動揺を与えさせないためには、早急に調停委員会が結論を出し得るような情勢をつくるということが政府の責任ではないだろうかと私は考えておるのです。そうだとすれば、別にあなたにさからうつもりはございませんが、少なくともそういう前段のようなものの考え方で押し通そうというのでは、話はどうもおとなげないじゃないか。むしろ、この紛争を解決するというなら、先ほど来申し上げたような方針をずっと推し進めていくのが立場でないでしょうか。しかも、時間も幾日もありません。実際、これはおどかしでも、脅迫でもありません。その違法性か妥当性かは論争がありますが、そういう論争をこの時点でやるべきじゃない。むしろ問題はどう円満に解決するかということでしょう。労働組合のほうにそういうことがないのかどうかという問題。すでに総評等の岩井事務局長が黒金官房長官とも会見しておる。あるいは談話を発表しておる。その後段では、一番最後の談話の端ではちゃんと言っている。そういう誠意というものが認められぬ限りは、やむを得ずということなんだから、誠意を認められないうちは具体的に国鉄総裁が調停委員会で、いわゆる公式か非公式かはわかりませんけれども、いずれにしても一つの線を出さぬ限りは、調停委員会には線は出ないのです。総裁が上げてやってほしい、これは上げるべきだと言う。ただそれだけ言ったって、それじゃ幾ら上げれば限度なのか。労働組合から具体的な数字が出ているのに、使用者側から具体的数字が出ないということでは、調停委員会は調停を出し得ないのじゃないですか。出し得ないままにしてストライキは違法だ、混乱だということでは、私はそれは政治家としての立場ではないだろうと思う。われわれは最後まで努力をして解決するというのが今日の与えられた義務じゃないでしょうか。そう思ってお話を申し上げておる。だから私がここであなたに申し上げたいのは、繰り返し申し上げますが、少なくとも国鉄総裁をして調停委員会において結論にいけるような格好をつけてもらわなきゃならぬ、それをやるべきじゃないかということですよ。いかがですか。
  205. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 さような方針のもとに国鉄総裁は調停委員会にあらゆる事情を説明いたしまして、国鉄の従業員の給与につきまして見解を述べておられるのであります。ところが、それじゃ幾ら増せということにつきましては、私はいまの時期に言うべきじゃない、かように考えておって、国鉄総裁もおそらくは同様だろうと思います。
  206. 久保三郎

    ○久保委員 私はあなたにここで額を言えとは言っておりませんぞ。調停委員会にかかっているものを国会の委員会でこれだけならいいだろうというような話をすべき筋合いじゃありません。ただ私が言いたいのは、国鉄総裁からその具体的な数字を出し得ないままにしておいて、調停委員会に期待を持たせる、仲裁に期待を持たせるというのは、それは少し筋が違うのではないか。しかも十七日を目の前にした今日です。それじゃ誠意が足りないんじゃないかということなんですよ。だから国鉄総裁をしてもう少し行動半径を広げるような方策を今日考えておられるかと言うんです。
  207. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 たびたび申しますように、仲裁の査定を待つまで、私どもとしてはこれ以上の見解を申し述べる時期じゃないと考えております。
  208. 久保三郎

    ○久保委員 あなたは仲裁、仲裁とおっしゃるが、まだ仲裁に入っていません。調停の段階ですよ。
  209. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 いまのは取り消します。仲裁ではありません。調停です。
  210. 久保三郎

    ○久保委員 きのうの組合を呼んでの会談でも、大蔵大臣は調停にも責任を持つと言明されたそうですか、そのとおりですか。
  211. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 そのとおりです。その調停の裁定につきましては、政府としては責任を持って善処するということであります。
  212. 久保三郎

    ○久保委員 そうだとするならば、調停に責任を持ちこれを善処するというならば、そういうコースに行くように当面国鉄総裁に裁量権というか、そういうものを与えない限りは、ことばだけはりっぱだが、中身がちっとも伴わぬじゃないか、こういうふうに私は考えるのですが、どうですか。
  213. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 それは、あなたはそうおっしゃるかもしれませんが、私どもとしては、今日の時点におきましてはそういうすべてのことを総裁が第一線でやっておられるので、総裁の交渉を信頼して、その結果を待っているのが現状でございます。
  214. 久保三郎

    ○久保委員 そうしますと大臣、総裁の行動についてはあなたはもう信頼して責任を持ちます。こういうことになりますか。
  215. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 そうでございます。
  216. 久保三郎

    ○久保委員 総裁にお伺いしますが、いまの大臣の言明のとおりなんでありまして、あなたも当面の責任者として心痛をされていることだと思うのですが、しかし事態は、私が前段申し上げたごとくにはできない。ところがいま運輸大臣から、調停の段階で一切のあなたの行動に信頼し責任を持つと最後におっしゃるんで、そうだとすれば、もう半歩でも一歩でも前に出て解決することが一番大事だと思うのですが、いかがですか。
  217. 石田礼助

    ○石田説明員 私の権限においてできることなら、したいと思うのですが、御承知のとおり、久保さんのお考えは、幾ら出せ、こういうことにあると思うのですが、国鉄のいまの財政状態からいって、もう全然余地はないと思う。結局出すためには、これは予算措置をしてもらうというようなことになりますので、過去におけることをよく聞いてみますと、これは非常にデリケートなもので、私から進んで幾ら出しますということを言い得る立場にない。その点は、私はもう——もしも私が民間の社長であるなら、これは進んで出すんだ。けれども、幸か不幸か国鉄の総裁なるがゆえにそういう立場にない。この点はひとつ私の立場を考えて、御了察願いたいと思う。
  218. 久保三郎

    ○久保委員 大臣、いま総裁の言うとおりでありまして、それで私はいまだめを押したのであります。ところが総裁のおっしゃることは、私の責任でやれるものならやる、しかし制約されて過去においても苦い経験をしているということ、そのとおりなのです。たとえば、あなたが責任を持つといってやった。総裁が大体このくらい必要だと思うという経営者としての意思表明をしても、あとからいって、それはかってに国鉄総裁が言ったのであって、政府は責任を持たぬというような過去の例も実際あったのです。だから総裁がいまの時点では、特に本年度は六百億の増収をはからなければならぬ、あるいは改良費も一千億削られたというような時点で、財源のありようがないはずなのです。ありようがないから、これは特に余裕財源がないから、総裁がそうおっしゃるのだと思う。その幅も与えてあると、私は先ほど運輸大臣の答弁では了解したのですが、いかがでしょう。とにかく総裁からああはっきり言われたのでは、あなたのほうでとるべき方策は——もうやぼな答弁は要らぬと思うのですよ。質問も要らぬと思うのです。この段階で政府自身が腹をきめるかどうか、こういうことだと思うのですが、いかがですか。
  219. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 私はたびたび申しますように、もう腹はきめて、そして調停の結果を待ち、その結果が待てないというので国鉄労組が仲裁に持ち込むならば、私どもはそれに同調して、この仲裁の裁定が、現時点におきましては問題解決の唯一の方法と考えておりますから、私はそれを推進するように誠意をもって努力しておる、こういうのが現状でございます。
  220. 久保三郎

    ○久保委員 くどいようですが、大臣、こういう席であまり具体的な話をすることは差し控えたいと思うのですが、私は先ほどの大臣の答弁を信頼しているのです。国鉄総裁がおやりになるのについては私が責任を持ちます。信頼していますというその意味は、国鉄総裁が苦衷を訴えておるが、その苦衷を吸収することだと思っておるのですが、そういうふうに了解してよろしいでしょうね。あなたがやることは責任を持ちますよ、それは石田総裁におっしゃることでしょう。
  221. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 たびたび申すように、ここで幾ら出すとか、幾ら出せるということはちょっと申しかねます。それで、われわれと総裁と一緒になりまして、何とかしてストを回避したいという一語に尽きておると思います。
  222. 久保三郎

    ○久保委員 大臣のお話は、総合すれば、私がさっき申し上げたとおり、国鉄総裁のおやりになることについては、これは事態を収拾するために——ためにというよりは、正当に評価してけっこうなんです。信頼して責任を持ちます。こういうふうに了解するわけです。ことばの言い回しは微妙な段階ですから、大臣もなかなかはっきりは申し述べられないと思いますが、私はそうとっておるのです。先ほどの答弁はそうですね。  そこで、今度は国鉄総裁に一言お尋ねするわけですが、総裁もいまだかってないような大規模の混乱を予想される十七日を目の前にして、万が一不幸にして入ったとすれば、これはたいへんなことだと思うのですね。あとの問題もある。そこで極力、最後まで政府との折衝もございましょう。ございましょうが、これに精魂を打ち込んでやっていただかなければなりませんが、少なくとも最後にはやはり総裁の腹ということになると私は思うのです。先ほどの運輸大臣の答弁に、あなたが十分にぴったりこたえられるかどうかは別ですが、少なくとも最後は総裁の腹がまえというか、決心のしどころが来やしないかという気持ちもするのです。こういうことを言うのはちょっと早いですが、そこらの決意も考えておくべきじゃないかと私は思いますが、いかがですか。
  223. 石田礼助

    ○石田説明員 久保さんの質問は、結局私をしてコミットしろということだと思うのですが、これはどうも民間の社長と違って、国鉄総裁としてはコミットできないようにできておるのです。そこに私の悩みがあるのです。これはひとつ調停委員のほうでまとまりまして、何かきまったら、そこである程度積極的の姿勢をとることもできましょうが、これがきまらないうちは、私としてやるということは、むしろ国鉄総裁として権限以上のことをやったということでおしかりを受けこそすれ、おほめは受けない、私としては慎重にいかなければならないというふうに考えております。
  224. 久保三郎

    ○久保委員 別に総裁に条件をつけるわけではありません。危急存亡というか、そういうときには、役人としての総裁ではなくて、やはり経営者としての総裁の気持ちも、不幸の場合は考えていく段階に来はしないか。幸いうまくいけば別です。そういう決意の必要な段階も来はしないか、こういうことを考えておりますということを申し添えておきたいと思います。それ以上あなたにどうこう申し上げてもなんですが、とにかくこの問題は微妙な段階であります。  大臣にしつこいようでありますが、調停段階で片をつけたいということであらゆる努力をしているということは、総裁にもそういう努力をさせるということですね。いかがですか。
  225. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 そのとおりに考えております。
  226. 久保三郎

    ○久保委員 そうすると総裁を信頼しておやりになることについては、全幅的に責任を持つ、こういうことでございますね。
  227. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 そのとおりです。
  228. 久保三郎

    ○久保委員 どうも問答が少し何ですが、いずれにしても時間的なことを言うならば、険悪の度を増すということであります。  ただここで一言つけ加えておきたいのでありますが、国鉄の労働組合はストの決行指令というか、そういうものも良心的に考えて、ぎりぎり決着のきのうかおとといまで延ばしてきた。そういうところをくまないでやるというと、最近の情勢というものは神経が非常に高ぶっております。そういうことも考慮の中に入れて善処されんことを、私は大臣並びに総裁に要望しておきます。以上でこの問題を終わります。  もう一つ総裁にここでお尋ねしておきたいのは、この十七日を前にして、各所でいろいろなトラブルが出てまいったようです。これは問題を早く解決することによって解決しますが、ただ最近私の耳に入った情報には、こういうのがあります。大阪では管理者側から一人一人の職員をつかまえて、人身保護願いを出せ、出さぬやつは処分するということで、人身保護願いを出させて、それを口実にして警察が出てきてこの運転士を保護という名のもとに拉致するというふうなことをやっておるそうであります。これは管理者としてもまことにおそまつしごくだと思うのです。総裁の意思はだいぶ末端まで通じて、この総裁のもとなら命をかけてやろうという気持ちもだんだん出てまいりました。たいへんけっこうだと思うのです。こういう間違った形式的な持って回ったような労務管理をやっている限りは、残念ながら混乱は増すばかりだと思うのです。これを即刻取り消していったらいいかと私は思うのです。人身保護願いを出せ、出さぬやつは処分の対象にするぞ、人身保護願いを出せば、警察が、おまえは保護願いを出したのだからと引っぱっていく、こういう回りくどいことを労働争議に介入させることは感心しない。ストの問題がいいか悪いかは別問題として、感心しない。これは厳重に警告をして、オーソドックスな形で物事は解決するという方針でやっていただきたいと思いますが、これはどうでしょう。
  229. 石田礼助

    ○石田説明員 久保さんの言われるような問題が事実だとすれば、これは大いに考えなければならぬと思います。法律に違反するということであるなら、さっそく当事者にひとつ私から言って、これは改めさせるということにしたいと思います。同時に私がこいねがうことは、どうかひとつ職員のほうでも行儀をよくして、法律に違反しないようにしてもらいたい、お互いに慎しまなければならぬ問題だ、こういうことであります。
  230. 川野芳滿

  231. 野間千代三

    ○野間委員 いま総裁から行儀をよくしてという話があったのです。国鉄の組合がいま緊迫をしているような状態で、何とかして賃金を上げてもらいたい、あるいは安全を確保するような予算を出してもらいたいという要求をしているのがいまの状態だと思う。したがって基本的に労働組合運動としてやっていることであることは間違いないので、これは総裁も大臣も認めると思う。認めるからこそ、いま言われるように総裁も一生懸命努力をしよう、大臣も努力をしようというようにしておられるのです。そこで組合のほうが、もちろんスト権の問題については憲法論としては問題があるにしても、公共企業体等労働関係法でスト権がとにかく禁止されているということはわれわれも承知をしておりますけれども、ストライキに入る前に、組合運動として同志、仲間が賃金を上げるために、われわれは一つの団体行動をしなければならないという相談をし合い、その相談をし合いながら集会を開いたり、あるいは集まったりする、あるいは乗務員に集まっていただくということは、適法としてあると思うのです。これは総裁の言われるような行儀の悪いことではないと思うのですよ。その行儀の悪いことでないことに対して、鉄道公安官が拳銃武器、小武器を持って対処してくるということが、実は昭和二十九年の年末闘争といわれるころから非常に多くなってまいりました。法律はたしか昭和二十四、五年ころにできたと思う。昭和二十四、五年ごろも、明らかにいまのような状態でいろいろな組合運動がございました。昭和二十五年から昭和二十九年の年末闘争あたりまでは、労働組合運動が行なわれていても、そういう公安官の介入、警察官の介入はなかった。特に公安官の介入は、法律を制定するときの経緯からしてなかったのは当然なわけであります。二十九年以来それが非常に多くなって、最近までの統計資料では、国鉄職員の中でたしか二百九十何名かの善良な労働者が、労働組合運動にもかかわらず、刑事事件で起訴されて、あるいは有罪の判決を受けている、処分をされている、そういう事例があります。総裁、今日行なわれているいわゆる春闘といわれている問題と、それから公安官が出動していることと、総裁の言われる行儀が悪いということはどういうことなのか。いわゆる公安官がやる職務というのは、乗客なり一般大衆の輸送上において、特に国鉄の輸送をするに必要なる場所なり、あるいは停車場なり列車内で行なわれる問題を取り締まることが公安官の職務権限であり、職務内容でございます。それに対していま組合がやっておることが犯罪行為ということになるのか、総裁の言われる行儀の悪いというのはどういうことなのか、その辺について少しお聞かせ願いたい。
  232. 石田礼助

    ○石田説明員 私が行儀の悪いと言うことの意味は、これはどっちかと言えば、お手やわらかに申し上げたことで、法に触れるということです。法に触れた場合においては、国鉄としては、やっぱり輸送というものをやらなければならぬ、やる義務がある、責任がある、これを、あるいはこれまでにあったように、信号所を不法占領してみたり、あるいは線路にすわり込みをやってみたり、それによって国鉄の輸送を不法にじゃまするというようなことは、これは明らかに法に触れたことなのです。こういう場合には、国鉄は自分の責任を果たす意味においてこれを排除せねばならぬ。これを排除するにはどうするか。こういうことになれば、あるいは警察官に出動してもらって、そういう人たちをもとへ戻す。幸いに公安官というものがあるので、これを利用してそういうことを排除するということなので、行儀が悪いということは、要するに法に触れるということなので、そのほかの意味はないのであります。
  233. 野間千代三

    ○野間委員 同じ仲間の労働者が集まって、そうして賃金の問題について協議をするとか、あるいは運動をするとか、そういう必要上から、たとえば信号所の組合員も組合員ですから、その組合員に集まっていただいてそういう話をするということは、私は総裁の言う法に触れる行儀の悪い行為じゃないと思う。それからもう一つは、公安官が持っている職務は——組合が、組合員とそういう話し合いをするということで、信号所の組合員あるいは駅の組合員、あるいは乗務員、そういう組合員と話し合いをするために行なう行為は、法に触れるという範疇に入らないのじゃないかというように思うのです。そういう問題に対して、しかもいま総裁は幸いにして公安官があると言いましたけれども、法律を制定をするときには、組合運動に介入させないというふうに注釈がついてきまったことは、これは二十五年でしたかの法律をつくるときの経緯です。ですから、組合運動を行なっているものに対して、組合運動に介入すべきでない公安官を使うということは、これは幸い手元に公安官がいるからということでは承知できないというように思うのです。その辺はどうお考えになりますか。
  234. 石田礼助

    ○石田説明員 私が申し上げる意図は、組合員が組合運動の相談をする、協議をする、あるいは信号所に行きまして、信号所の人間とこういうことについての相談をするということは、これは一向差しつかえないことだ。別にこれは私の言ういわゆるお行儀の悪いことではない。ただ問題は、信号所へ行って、信号所の人間がする作業のじゃまをして、作業をできないようにするということがつまり問題なのです。その場合には公安官をわずらわしてそういうことのないようにさせる、こういうことなので、法の範囲において組合運動について相談するとかなんとかということについて、公安職員がもしも万一介入をするなら、これは公安職員の非常な間違いである。これは公安職員を戒飭して、決してそういうことのないようにするというのが私の責任である、義務であるというように私は考えております。
  235. 野間千代三

    ○野間委員 総裁の言っておる趣旨はわかりました。わかりましたが、今日まで二十九年から公安官の問題で起きているほとんどの問題が、いま私の言ったように、組合員同士で、あるいは信号所等の組合員同士で話し合いをしようということに組合員が入っていくことに対して、信号所に入っていくことを公安官が阻止をする、あるいは入って話し合いをしている者に対して、公安官がその組合員を拉致をするとか、そういう事例から、むしろ公安官のそういう出動によって、総裁のいうやや行儀の悪いようなことが起きてきたりして、それが刑事事件として起訴をされるというケースが非常に大きいのです。ですから、そういう趣旨で了解されておれば、いま総裁が言ったように公安官に介入させないということであれば、これはわれわれとしても、あるいは組合としても、総裁が言われるようなことはなくなってくるように思う。基本的には賃金の問題を解決すればそういうことがなくなるのですから、久保委員の言われたようなことで賃金の紛争がなくなるように、総裁の、あるいは運輸大臣の決意を求めたいのですけれども、それが前提ですが、それがきまる前に多少の許されている組合における団体行動に対して公安官が出動したり、そういう方向については総裁としても十分に慎重に対処してもらいたいというふうに思います。  それから、運輸大臣、法律に公安官が職務を行なう場合には運輸大臣が監督をする、鉄道公安職員の捜査に関する職務は運輸大臣がこれを監督する、こういうふうに規定をされておりますから、そういう意味で公安官を出動させることについては、運輸大臣に大きな責任があるというふうに思います。先ほど久保委員との間に応酬がありましたように、賃金問題という純然たる経済問題、つまり労働組合運動としていま行なわれていることで、間々今日までの傾向を見ると、たとえば十七日にいわばストライキならストライキの行動が行なわれる前に、たとえば十六日なり十五日なりに、組合のほうで情報の交換なり、あるいは組合員との話し合いなり、そういうものを行なっている時期に公安官が大量に出動されるということが相当あるのです。これは運輸大臣の権限、監督の問題としては相当問題があることじゃないか、避けるべきことじゃないかというふうに思うのですが、その辺についてお答え願いたい。
  236. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 鉄道の公安職員の職務の限界というものは、厳として公安職員の法律に明記してあります。すなわち、日本国有鉄道の施設内におきまして運輸の安全を保ち、また旅客貨物の輸送を安全にするためのことを妨害する者については、公安職員がそれをやるというのが法律のたてまえでありまして、それに反しない限りは、寄って相談しようが何しようが、それは私どもは一つもどうこう言う趣旨でないと思っておりますが、そういうことに名をかりまして、たとえば、車掌が正常なる職務を執行するに必要な場所につこうとするものを、他の人間がいってつかせないようにするということは、すなわち輸送の安全を確保するにじゃまをするのですから、それを排除するということは公安職員の正当なる業務であると私は考えております。それ以外に、相談をし、あるいは謀議をする、そういうようなことについては、私どもは公安職員の介入はいままでもなかったと思うし、これからもせしめないように努力いたします。
  237. 野間千代三

    ○野間委員 いま運輸大臣が答えられた前半のほうは問題がないのですが、たとえば、車掌さんが正当な通常の勤務につかれようとする、その際にたまたま、たとえば十七日の問題で協議をし合うというふうになってきて、組合員が組合運動としてその車掌なら車掌さんと話し合いをする。話し合いをしているそのことについて、運輸大臣は公安官が出動することは正当だと言われましたけれども、そもそも公安官そのものの勤務が、この法律にありますように、乗客なりあるいは一般大衆が正当な運行業務を阻害するときに発動されるもので、いま私が例を申し上げた車掌と組合員との関係の問題とは本質的に違うというふうに思うんですけれども、その辺はどういうふうにお考えですか。
  238. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 私が申し上げたのは、たとえば車掌なり機関士が正当な業務を行なうために職場につかんとするものを、他の組合員が実力でとめたりするのをとめるということは、私は公安職員としては正当なことだと思う。というのは、公安職員の任務というものは、貨物、旅客の安全輸送を確保するために、そのじゃまになるものを排除するというのが任務なんですから、その任務の遂行をじゃまする者は即その任務を怠ることになるから、そういうことをやっていいというわけにはまいらぬと思います。そういう場合には、それは断固としてその人間が、機関士なら機関士、あるいは車掌なら車掌がその正当な職務につくことを実力でとめるというふうなことにつきましては、それを排除して正当な地位につかしむるということが公安職員の与えられた職務であり、同時に責任であると思います。
  239. 野間千代三

    ○野間委員 そうしますと、組合員が同じ組合員である車掌なりそういう人と賃金問題なり組合の問題について話し合いをする、そういうことについても、やはりそれは犯罪なんだ、これは法律に書いてある犯罪なんだというふうに認定されるわけですか。
  240. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 私が申すのは、そういうことを自主的な意思によって、その車掌さんなら車掌さんがそういう話し合いをするということは、自分の意思でやることはいいですが、もう時間がきたから、その人が職務につかねばならぬからと言うのを、これをまあ待て、話があるからということでとめることは違法だと言うのです。そこでそのとめる者をのけて、その人が正常な職務の場所へつかしむるような努力をするということは、公安職員としての正当な責務であると私は考えております。
  241. 野間千代三

    ○野間委員 法律の問題はたくさんあるにしても、公労法の十七条で国鉄労働者、国鉄職員がストライキをしてはいけない、罷業、怠業してはならぬというふうに書いてある、そうして十八条はそうした者は処分をするというふうになっている。その処分の方法は、これは行政上の解雇ということだけに限定をされております。これは御承知のとおり。だから、この法律をそのままにすれば、国鉄職員がストライキをやったという場合に公労法が発効されてくる。これは法律を一応認めるとすれば、法律を認めてまいってこうなることはあり得ると思う。それがストライキでなくて、ストライキになる前に話し合いをしている、これはやはり労働組合運動として話し合いをされている。それを犯罪として、犯罪を取り締まる公安官がそれを取り締まって捜査をしている。逮捕をしている。それは公労法というたてまえ、それから公安官の職務との間に相当大きな問題点があるんじゃないかというふうに思うのですが、その辺はどういうふうにお考えですか。
  242. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 私は、たびたび先ほど申したように、公安職員の職務は、輸送の安全、貨物の安全、旅客の安全を期する職務につかんとする者を実力でとめてその場所へ行かせないようにすること、それを排除することは公労法のストライキとか何とかいう以外に、公安職員としての当然の責務であると考えております。ゆえにストライキをやるとか、そのことをやるとかやらぬとかいうんじゃなくて、旅客が適正に運搬される、貨物が適正に運搬される、そのことをやることを妨害する者は、公安官としては運輸の安全と正確を期する任務がありますから、その任務を阻害するようなことを実力でとめる。それを実力をもって排除して、公安職員が自分の与えられた職責を全うするように道を開くということは、私は当然であると思います。ただ評議しただけで、休んでいる時間に評議するだけなら、これはかまいません。公安職員がそういうことまで立ち入りするということは公安職員としては違法の行為だと思います。でない限り、もう時間が来た、さあ行こうというときに来て、押えてどうこうするということは公安職員の職務を侵すものであり、同時に、旅客、貨物の運送の安全をやるという公安職員の職務が怠慢になると思うのです。私はそれは当然であると思っております。
  243. 野間千代三

    ○野間委員 いわゆる法律ですから、ここで論争しても結果的にはなかなか結論はつかぬと思うので省略しますけれども、ただ、国鉄の労働組合が、今度は、小武器を携行している公安職員あるいはそれと協力をしようということになっている警察官、そういうものとのそういう環境に置かれている。つまり、先ほど総裁がちょっと言われたように、常に武器を携行して、それを使ってもいいと七条と八条で規定されている公安職員、そういうものの環境の中に国鉄労働組合が置かれている。これは事実なんですね。そういうふうなところに国鉄労働組合が置かれていて、正当に労働組合の団体行動をすることが常にそういう監視下に置かれている。そういう取り締まりの間に置かれている。そういう中で組合運動をしなければならない。そういう環境にあるわけです。これでは憲法が保障しているところの、労働組合の対等の力の中で組合の要求をするとか運動をするとかいうふうにはならないのじゃないか。片方では使用者という非常に大きな権限がある。片方ではただ団結の力だけで、対等の立場で交渉すべきものが、その一方の職員のほうだけが小武器を携行して、しかもそれを使用することができるという権限を持っている者との中で監視をされながら執行しなければならぬという環境に置かれている。それを運輸大臣なり総裁が常に発動する権限を持っている。そういう環境である。世界のどこの法律を見ても、そういう環境の中で組合運動が行なわれていることはないと思うのです。これは日本の国鉄労働者が世界における唯一の存在例じゃないかというふうに思います。これは私は大きな問題があると思う。対等の立場に置かれるべき者が、小武器を携行して、それを使用できるというものを持っている中で組合運動をしなければならぬ、これはまさに対等じゃないのじゃないかというふうに思う。この法律がつくられたときに、議事録にもちゃんと残っておりますように、労働組合運動に使うものではないというふうに提案され、しかも国鉄から提案された文章の中には、労働組合運動に使用してはならないというふうにちゃんと明文があったそうですか、それは論議の過程で必要がないことじゃないか、当然そうすべきものではないかということで、むしろそれを削ったと言われております。いまになってみると、当然削るべきどころか削られなかったほうがよかったというふうに思うのですけれども、そういう中で二百九十何名もの国鉄職員が刑事処分にされているという実態ですね。これは労働組合運動という憲法の保障された問題から見ると、非常に大きな問題があるのではないかというふうに思うのです。いま春闘が行なわれている。もちろん労働組合側も総裁の言われるような行儀の悪いことはしないと思います。しないと思いますが、しかし、行儀が悪いかどうかということは、その事件、その場所、あるいはそのときの発動権を持っている総裁なりあるいは現場長なり、所属長なり、そういうものによって判断されて、すぐ手元にあるのですから、直ちに発動される、出動される、そういうことに今日までなってきているわけですね。これは私は労働組合運動が許されている現在の中では、非常に問題が大きいんじゃないかというふうに思う。そういう意味でこの法律をあるいは公安官を出動する場合にはいままでよりももっと慎重に冷静にお考えになって、労働組合運動として行なっていることについては公安官を出動させないということを基本にして運用をすべきじゃないかというふうに思います。いまちょうどこれは問題になる時期ですから、それだけを強く要求しておきます。  以上で終わります。
  244. 川野芳滿

    川野委員長 泊谷裕夫君。
  245. 泊谷裕夫

    泊谷委員 運輸大臣にお尋ねをしたいのですけれども、私さっきからずいぶん重苦しい気持ちにおおわれているわけです。私の経験がそうさしたのだと思うのですが、二十六年間も国鉄でやっかいになって、十七日のできごとを想定してみますと、私は駅の助役もやりましたし、組合の幹部もやりましたが、紛争が起きますと、およそ職場で手の節々の太くなった駅長、助役、——中に介在して一番苦労するのがこの人々なのです。私ども国会で審議をする場合に、なぜ善良なこの人々が労使間の問題で苦悩しなければならぬか、また争議が終わったあとも、決定的な感情の対立は三百六十五日の運行の安全を確保するのに大きな支障を来たしております。私ども政治に携わる者がこの問題をながめる場合に、野間君の質問が具体的な問題であったからやむを得ないと思いますけれども、大臣も車掌がどうのこうのという問題については意欲的に話をされます。だが、この機会に特にぼくは大臣に訴えたいと思うのでありますけれども、理屈を言い合えば数多くあると思います。法を守れと言われますけれども、私も兵隊の経験はわずかございますが、港に御用船が入ると、中に入らぬようにロープを張って、これから中に入ってきたら、残飯を拾いにくる中国の人々を射殺するという掲示を出しました。ところがめしを食えない中国人はそのさくを越えてめしに手を出すのです。機関士が鉄橋で女の子を発見して、急制動をやればとまるかもしれない。しかし急制動をやることによって客車が転落するということになれば、これはむごいことでありますけれども、速度に合わした制限をして結果的には子供をひき殺すのです。しかしこの機関士は法廷では処断されないのです。私どもは、大多数の生命を守るということで行なう行為について、裁判所で判定をされるなら別として、政府という機関におる人々からそういうことをとやかく言われる筋合いはないという理論も出るのです。  問題はそんなことよりも、先ほどから十分考えておったのですけれども、綾部運輸大国の立場ということになりますと、なぜ明治時代のように気骨のある政治家が出ないのだろう。私どもの生まれる前ですからよくわかりませんけれども、書物によると、小村壽太郎さんが講和の帰りに焼き打ち事件があったそうです。駅頭で彼が一番先に言ったことは、もうおれの子供は殺されたかもしれない、しかしそれだけの国民の迫力があったからこの講和はまとまったと言ったといわれております。私ども国鉄の職員はいまの総裁を歴代総裁の中で一番信用しております。また慕っております。大きくしかられもします。しかし強い愛情で私ども四十万の従業員とともに歩いておるということについて最も大きな親近感を感じております。国鉄ばかりでありません。専売にしても、いまの時代によく公社の総裁を引き受けてくれる人があるものだというふうに考えるのです。しかる面だけを強く政府は要請して、四十万以上の人々、しかも国の予算と匹敵して遜色のないお金を動かしておる企業の総裁が、従業員をしかる面の権限だけを与えられて、その人に時には青田を売ってもこうしてやるという気魄のある、積極的な意欲のある答弁をなさしめない制度、これについて改善をしなければならぬと思うのです。たまたま大臣は九州の人、昔から葉隠武士といわれておりますし、国鉄総裁は静岡の生まれで、これまた清水の次郎長の生まれたところです。いまこそ綾部運輸大臣は、日ごろおとなしい人でありますが、おとなしい人こそ思い詰めたら大きな足あとの残ることをやっていただけるのではないかと私は期待しておるのです。石田総裁を背中に背負って池田さんに——いつまでもはさみとのりで数字ばかりいじっているのではなくて、もっと問題の本質であります政治、政治家としての大きな、国民の三分の二を占める労働者との間にひざ突き合わせてものごとを解決するということについて、国鉄の総裁に向かって話をされるよりも、むしろ池田総理に、そしてまた七月に改選があると聞かされておりますけれども、この時期までに大きな足あとを残すという気魄をこの際示していただきたいと思うのでありますが、酷な注文でございますが、大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  246. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 私は誠心誠意、国鉄のためによかれかし、さらに日本のためによかれかしという考え方については人後に落ちないつもりでございます。そのつもりで、この十七日のストライキの問題については、国鉄総裁とともに心身を砕いていま当たっておるのが現状でございます。私はそういう考えでやっておりますので、もしそれが至らぬところがあれば、これは私の不徳の至すところであります。私は誠心誠意やっておるつもりでございますから、御了承願いたいと思います。  なお、法律があっても食えないならばしょうがないじゃないかという、ややともすると法律を無視する議論がこのストライキについて世上行なわれておることを私ははなはだ遺憾としております。と申しますのは、食えなければどろぼうしても人を殺してもいいかという極端な議論を言う人がありまして、私のところにも手紙をよこす人があります。法治国であり民主国である以上は、法律によってやる以外には方法がないのです。そしてそういう法律が不都合だというならば、議会なりあるいは何か合法的な手段で法律改正にいまの情熱を傾けていただきたい。まことに法律が悪いというならば、世論の支持を得て法律改正されることができると思います。しかし現存する法律がある以上、法律は何といったって食えないからやるんだ、こういうようなことは私はいかがかと考えております。私のところにいろんな手紙が来る中に、そういうことをするからいかぬのだというて私に忠告してくれる町の無名の士もあります。私は、そういうことを言うのではなくて、ほんとうに民主主義で法治国である以上、法律に従って行動するということをぜひひとつこの際確立したい、かように考えておる次第でございます。
  247. 泊谷裕夫

    泊谷委員 いまの前段の大臣の御答弁で、私はありがとうございますと終わりたかったのです。気に食わないのは大臣の後段なんです。後段は国鉄の首脳部の皆さんが仲間とよく話をすることです。いままで十何回かの仲裁裁定あるいは調停にしても、一回も額面どおり実施したことはないし、騒がなければものごとがきまらないこの世の中を改善する一番近い距離にいるのは大臣なんです。綾部さんなんです。形式論がどうだ、法理論がどうだということは国鉄の首脳部にまかしておいてください。政治家で、しかも時の政府の重要なポイントにおります綾部さんにやっていただきたいことは、精魂を傾けて池田さんと相談し、この事態の解決に粉骨砕身努力するという一言だけを聞きたいというのです。
  248. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 私はたびたび申し上げましたように、粉骨砕身、現にやっております。これだけやっておるのですから、さよう御了承願います。
  249. 川野芳滿

    川野委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十九分散会