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1964-04-01 第46回国会 衆議院 運輸委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月一日(水曜日)    午前十時二十一分開議  出席委員    委員長 川野 芳滿君    理事 有田 喜一君 理事 關谷 勝利君    理事 塚原 俊郎君 理事 西村 直己君    理事 山田 彌一君 理事 久保 三郎君    理事 肥田 次郎君 理事 矢尾喜三郎君       佐々木義武君    進藤 一馬君       壽原 正一君    高橋清一郎君       高橋 禎一君    長谷川 峻君       細田 吉藏君    増田甲子七君       泊谷 裕夫君    山口丈太郎君       内海  清君    佐々木良作君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 綾部健太郎君  出席政府委員         運輸政務次官  田邉 國男君         運輸事務官         (海運局長)  若狹 得治君         運輸事務官         (航空局長)  栃内 一彦君  委員外出席者         厚 生 技 官         (公衆衛生局検         疫課長)    春日  斉君         運輸事務官         (海運局参事         官)      高林 康一君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  小型船海運業法及び小型船海運組合法の一部を  改正する法律案内閣提出第一一六号)  航空に関する件(日中及び日韓航空路線等に関  する問題)      ————◇—————
  2. 川野芳滿

    川野委員長 これより会議を開きます。  航空に関する件について調査を行ないます。  質疑の通告がありますのでこれを許します。矢尾喜三郎君。
  3. 矢尾喜三郎

    矢尾委員 御承知のとおり、本日から日本の国がIMFの八条国に移行され、国際的にも重大な段階になってまいりました。国際界の交通についても今後重大な段階になってくると思うのでございますが、この際私は、航空、特に国際航空の問題につきまして、二、三、運輸大臣にお伺いいたしたいと思うのでございます。明日航空小委員会が開かれますので、その際にこまかいことにつきましてはお伺いいたしますといたしまして、本日は大まかな問題を二、三お伺いいたしたいと思うのでございます。  第一にお伺いいたしたいと思いますことは、日本国際航空に対するところ基本方針が確立されてないように思うのでございます。もちろん国交の正常化してある国と、いまだ国交を正常化しておらない国とにおきましては、おのずからその取り扱い等につきましても差異はあると思いますけれども、まず第一番に私の質問に先立つ前にお伺いしておきたいことは、所管大臣である運輸大臣としては、国際航空に対するとごろの基本方針をどこに置いておられるか、どういう方針を打ち立てられておるかということについて、まずお伺いしたいと思うのでございます。
  4. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 国際航空に対する根本的の考え方といたしましては、御承知のように日航法によりまして、国際航空につきましては日航が主として当たる。しこうしてこの日航中心とした国際空路を拡張することに鋭意私どもはやってまいりたいと考えております。  いま問題になっておるのは長い間の懸案であるいわゆるビヨンド・ニューヨークの問題が一つ。これが現在におきましては、日本航空政策の一番の基本をなすものであると考えまして、これが解決に、去月開かれました日米経済委員会におきましても強く主張し、目下武内大使を通じましてアメリカと折衝しておるというのが現段階であります。そのほか当面する問題としては、中共の日本乗り入れをどうする、あるいはパキスタンの問題等々につきまして、私はいま鋭意検討いたしまして、日本航空事業を、外貨獲得の一翼としても、ぜひひとつ日本航空網世界に充実するように努力いたしたいと考えております。
  5. 矢尾喜三郎

    矢尾委員 いま運輸大臣の御答弁の、日航中心として国際拡大強化につとめていくという問題につきましてはよくわかるのでございます。国交が正常化されておるところの国につきましては、日航中心として推し進められるということはよくわかりますが、しかし国交の正常化しておらない国に対するところにはどういうような方針をとっておられるかということについてお伺いしたいと思います。
  6. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 国交の回復しておらない国との航空の問題につきましては、日本の置かれてある国際情勢の許す範囲内におきまして私どもはやはり拡張していってまいりたいと思います。
  7. 矢尾喜三郎

    矢尾委員 国交の回復してない国につきましては、許される限りにおいて拡大していきたいという方針のようでありますが、ひとつこの際お伺いしたいと思いますのは、昨年の十一月、パキスタンカラチから北京上海を経て東京乗り入れ日本要請してきたのでございますが、これに対しまして日本政府はどういう態度をとられたのでございますか、まず承りたいと思います。
  8. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 その問題につきましては、交渉の経過と詳細なことにつきまして航空局長よりお答えいたします。
  9. 栃内一彦

    栃内政府委員 ただいま御指摘のございましたパキスタンとの交渉でございますが、これはたしか昨年の十一月だったと思いますが、先方から代表団が参りまして約二週間にわたって東京交渉いたしました。先方といたしましては、カラチから中国大陸地点を経由して日本に来たい、こういう要望がございましたのは事実であります。これに対しましてわがほうとしましては、現在パキスタン日本との関係におきまして、日本航空南回りヨーロッパ線におきましてパキスタンを経由して欧州まで行っております。それからパキスタン航空会社は、現在のところ香港を経由して日本まで来るという権利は与えております。しかしこれは現実に行使しておりません。したがって日本パキスタンとの間におきましては、両者対等立場におきまして相互に権利を認め合う。したがって、わがほうとしては、パキスタン日本に来ることはきわめて歓迎するものである。日本パキスタンで非常な待遇を受けているということから申しまして、香港経由東京に来ることは当然の権利であるから、その道を選ばれてはいかがかというような話をいたしました。先方といたしましては、それはもちろん権利は持っておるけれども、その後の情勢、いわばパキスタン側情勢の変化によって、香港経由でなく中国大陸を経由して日本に来たい、こういう要望が出された。これに対しまして当時のいろいろな国際的な情勢という点を勘案いたしまして、これは主として外交上の問題でございますが、当時におきましては中国大陸地点、この地点は具体的には北京であるか、上海であるかという点はまだはっきりはさまっておらないようでございますけれども、いずれにしてもそういう地点を経由して日本に来るという点につきましては、協定を改定するというわけにいかない事情にあるということを説明いたしましたところ先方といたしましては、いまできないならば、ぜひなるべく近い将来にそういうことを認めてもらいたいというようなことで、一応昨年の十一月の会談というものは意見は一致せずしてそのままいわば休会という形になったわけでございます。しかし幸いにパキスタン当局もわがほうの置かれた事情というものはよく了解いたしまして、ただパキスタンとしてはできるだけ早く自分のほうの要求日本がのむようにという希望を残して代表団は本国に帰った、こういうような経緯になっております。
  10. 矢尾喜三郎

    矢尾委員 この際お伺いしますが、国際航空協定は、たとえばこういう一方の路線日本から向こうへ行くときには香港を経由していく、向こうから来るときには一方的に向こう要求というものがいれられるということは、話し合いによってできるのですね。それは向こうもそこを通ってくるから日本飛行機もそこを通らなければならぬというわけではないでしょうね。
  11. 栃内一彦

    栃内政府委員 二国間の国際協定におきましては、通常の場合には、ほぼ同じ路線お互いに認め合うというのが普通の状態でございます。ただ、場合によりまして、それにかわるべき地点お互いに認め合うということももちろんございます。それから非常に離れた別個のルートを認めるということは、絶対ないわけではございませんが、普通はあまり行なわれていない。しかし、これは両国間におきまして合意を見れば、理論的には可能でございます。あるいは世界もろもろ航空協定を見れば、そういうケースが絶対ないということは言えないと思います。
  12. 矢尾喜三郎

    矢尾委員 そうすると、大体日本向こうとの間において承認せられなかったということは、いろいろの事情を勘案してというその中に、中国の上を通ってくるという、いわゆる国交正常化がされておらない中国の上を通ってくるということも一つの大きな原因となっておるのですか。
  13. 栃内一彦

    栃内政府委員 その点ももちろんいろいろな条件の中には入っておったと思いますけれども、それのみではない。そのほかの関係する諸国というような点の外交関係も顧慮されておるということでございまして、いわばその段階になりますと、これは日本外交政策の問題にむしろなってまいりますので、航空当局というよりも、いわば外交政策上の配慮ということにウエートがむしろかかってくる、こういうことになると思います。
  14. 矢尾喜三郎

    矢尾委員 その問題はそれといたしまして、次にお伺いしたいのは、御承知のとおり十月にはオリンピック日本において行なわれます。そうすると御承知のとおりオリンピック政治思想等はこれにまぜてばならない、いわゆる勘案してはならない、これを超越した立場からオリンピックというものが行なわれるのであるということの上に立って、最近におきましても、政府は北朝鮮の代表団入国を認める、あるいは東独の代表団あるいは応援団まで入国を認められておるという情勢でございます。そうするともろもろの国から日本の国に対して臨時入国要請選手団その他の輸送に対する要請があると思いますが、これに対してどういうような方策をお考えになっておりましょうか。もう時日は二百余日しかありませんので、根本方針は立っておると思いますが、それに対してのお考えをひとつ聞かせていただきたい。
  15. 栃内一彦

    栃内政府委員 御指摘のようにオリンピックの機会に参加各国選手あるいはその国のスポーツ関係の役員というものが多数日本に来られる、またその場合に通常定期航空便に乗ってこられる方も多数ございましょうが、場合によってはいわば臨時便ということで日本に来られるということも想像できます。したがいましてこの問題につきましては、すでに外務省のほうにこの取り扱いぶりにつきまして協議をいたしております。ただ最終的にどういう国のどういう便がどうというところまでまだ具体化しておりませんので、いまはっきりと申し上げられませんが、外務省としても、私どもの接触しておる範囲におきましては、オリンピックという特別の事態に対処して相当弾力的にお考えになるのではないか、かように想像はしておりますが、まだ外務省から正式な御回答はない、かような段階であります。
  16. 矢尾喜三郎

    矢尾委員 その問題は、外務省方針がきまれば運輸省としてはそれに対して異議なく応じられるというような体制をとっておられるのですか。
  17. 栃内一彦

    栃内政府委員 外交上の観点につきましては、外務省の御意向を承って、それによって私のほうは対処してまいるわけでございますが、技術的な問題につきましては私のほうでも十分検討して安全上の点で過誤のないようにつとめなければならない、かように考えております。
  18. 矢尾喜三郎

    矢尾委員 それでは次にお伺いいたしたいと思いますのは、日中の問題が最近におきましても強く浮き上がってまいりまして、昨年の秋、中国において日本展覧会が開かれました。私も代表団顧問団の一人として参加いたしました。そのときに、日本から向こうに渡航された人は、それの関係者のみでも数百人を数えるような状態でございます。年間を通じて、中国、特に北京上海方面に行き来される人は、最近におきましては何千というような大きな数字にだんだんとなってきていると考えます。それからまた貿易関係におきましても年々増加しておりますので、ますます拡大されていくということは、私が申し上げるまでもないと思うのでございます。そういう場合に、いま私たちは、日本が本日から八条国に移行されて国際社会の仲間入りをしたというときにおいて、日本一つの大きな悩みとしても国際収支の問題がございます。国際収支の問題においても、北京まで日本から飛行機で飛べば大体三時間ぐらいで行けるものを、香港まで行って香港で一晩泊まって、あくる日汽車に乗ってまた向こうへ行くという、大体三日ぐらいかかります。その間におけるところ外貨の消費というものはばく大なものであると私らは考えられるのでございます。そういうことを考えましたときにおいて、日中間におけるところ航空機によるところの直接の航路が必要だと思うのでございます。特に中国におきましても、玉また日本の国会におきましても、日中貿易促進議員連盟というのがございまして、自民党の人五、六十人を含めて二百数十人が参加しておられます。これらの人々の一致した意見も、何とかこういう不便な、また日本の国策の上から考えても得策でないような方法よりも、直接の乗り入れということについてすべてが要望し、中国側においても要望されておるのでございます。これにつきまして、さっき申しましたように、国交が正常化されておらないので、政府間の協定というものは現在の段階においてはむずかしいと思いますが、民間ペースによるところ交流というものは、さきに官房長官談話におきましても、民間ペースによる交流ということは許されるべきであるということを言うておられるのでございますが、そういう点について運輸大臣はどういうお考えを持っておりますか、聞かしていただきたい。
  19. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 私といたしましても、矢尾委員の申されたような趣旨において一日もすみやかに、国交は回復しておりませんが、航空機による交流は望ましいことと考えておりますが、日本外交方針の上でそれが実現しないのははなはだ遺憾に考えております。外務省外交方針に基づいて、ただいまそれが実現しないというのが実情でございます。一日も早くそういうことが解消いたしまして、日本航空機も行けるようになるし、また向こう航空機も来られるようになることを、私ども航空行政をあずかる者としては諸種条件上、外貨獲得の面から申しましても望ましいことであるが、現状においてはなかなか困難であるということを御了承願いたいと思います。
  20. 矢尾喜三郎

    矢尾委員 そういう点につきまして、私は政府部内におけるところ意見が統一されておらないのではないかと思われるのであります。御承知のとおり先月の二十一日ですか、黒金官房長官は私見ということを前提として、航空機乗り入れ協定日中間で結ぶのに異存はないということを記者会見において述べておられます。それについて、たとえば国交の正常化しておらない韓国に対して民間協定を結んで現在もやっておる、こういう例もあるんだから、こういうような方法でやればそれはむずかしいことではない、こういうことを発言しておられるのでありまして、それに対して、これは私ちょっと新聞を見たのですが、新聞の報道によりますと綾部運輸大臣は、日中航空路線の開設は技術的にも無理であるという、これと反対の立場のようなことを言うておられるのでございます。その技術的にも無理だという技術的ということは、航空機が入ってくるということについての技術的な問題であるか、政治的の技術的な問題であるか、その点は運輸大臣としてどういう意味においてそういう発言をされたのか、お聞きしたいと思います。
  21. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 両方とも現在においては困難に考えております。主として政治的でございますが、技術的に見ましても航空技術の上から、すなわち安全という点からも現時点においては困難である、それを一々解決するように努力いたしているのが現状でございます。
  22. 矢尾喜三郎

    矢尾委員 政治的にということを申されましたが、いま申し上げましたように国交の正常化しておらない中国との間において条約を結ぶということは、これは政治的に困難であるということはよく知っておりますが、しかし、いわゆる民間ベースにおけるところ積み上げ方式でやっていくということであるならば、私は別に政治的な配慮というようなこともないと考えるのです。こういう点において、技術的な面においては、中国飛行機が無理であるとか日本飛行機が優秀であるとかいうような意味ではないと思うのであります。私も四十日ほど向こう飛行機に毎日乗って歩いたこともありますし、飛行機そのものに対する技術その他において、中国においてはいまだ一回の墜落をしたこともないということを向こうでは誇っておるような状態でありますので、そういう技術面におけるところ心配というものはないと思います。しかしまた一方が共産圏の国であるから、その飛行機日本乗り入れてくるということについて、政府において心配がある、こういうようにお考えになっておるのじゃないかと思いますけれども飛行機に乗るということで行き来することによって、あるいはスパイ的な行為をやるとか、あるいはまた軍事基地に対してどういうような支障があるとかいうようなことは、そういうようなことを利用してやろうと思えば、それは現在定期航路に乗っても同じことが言えるのでありまして、民間の積み上げ的な方式においてそういうことが実現されるということについて、私は担当大臣運輸大臣として、もう少し積極的に考えていただきたいと思うのでございますが、どうでございますか。
  23. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 しばしば申しますように、そういうことが一日も早からんことを私どもは念願いたしまして、いろいろな点から調査をいたさせ、また国内の日本外交方針等につきましても、いま諸種の問題について検討をいたしておるというのが現状であると思うのであります。
  24. 矢尾喜三郎

    矢尾委員 その検討ということは、黒金官房長官あるいは総理が予算委員会等においてその片りんを述べておられましたが、近き将来において、そういう方式ができることならば、運輸省としてもそういう線に沿うていきたいというお考えのもとにおられるのかどうかということを、もう一ぺんお聞かせいただきたい。
  25. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 たびたび申しますように、日本状態がそういうようになることを念願して、その一日も早からんことを希望いたしておりますが、現状においては困難であるということを申し上げておるのであります。
  26. 矢尾喜三郎

    矢尾委員 この問題につきましても、政府内においてもいろいろ意見のあるところでございましょうし、また与党内におきましてもいろいろの立場もあると思いますが、今後ともに私はそういうような方向に進んでもらいたい。これは思想であるとか政治であるとか、そういうようなことを度外視いたしまして——私も戦前新聞記者として中国に長らく滞在したこともございました。また戦後におきましても四回ほど中国にまいりまして、いろいろの事情調査いたしますと、日本の将来ということを考えましたときにおいて、日本経済というものが今後中国を度外視して完全に発展していくかということを考えますと、どうしてもこの際に中国に対する貿易日中貿易というものを力強く推し進めていかなければならない段階であると考えております。御承知のとおり、あの大東亜戦争といわれる戦争が起こったということも、中国という東洋における大きな市場、この市場に対するところ日本アメリカ、英国のいわゆる衝突が、あの戦争となってあらわれたということを私たちは深く考えてみますると、一番近くであるところ日本が、この中国市場というものを度外視しては、とうてい発展する見込みはないと考えておるのでございます。そうしてまた、昨年の十一月に行なわれました、もうすでに新聞その他で御承知のとおり、中国における日本展覧会におきましても、あの大きな期待をもって迎えられ、そうして大成功裏に終わって、また本月から東京大阪並び——福岡はまだ決定していないそうですか、ここにおいても今度は中国展覧会も行なわれるということでございますので、そういうようなときに、香港を経由して来なければならぬというような、こういう便利の悪いようなことは、日本としても中国としても、これは思想とか政治というようなものを度外視しても私は大きな損害である、こう考えておるのでございます。またフランス中国を承認いたしまして、近く必ずフランスからも中国北京あるいは上海を経由して日本乗り入れというものを申請してくるだろう、こう考えるのでありますが、ほかのパキスタンやそういう小さな国と違いまして、フランス要請に対しましては、日本は拒否するというようなことはとうていできないと私は考えておるのでございます。そういうような点も考えてもらいまして、日本飛行機向こうへ行けなくても、フランス航空路ができれば、日本の客が乗っていくということもできますし、一方的な利用ということもできます。そういうような点も考えて必要であると考えますが、そういうような点につきましても今後十分配慮してもらって、一日も早くそういうような体制がつくられることを要望する次第であります。  最後にもう一つお願いいたしたいと思いますことは、いま申しましたように、昨年の十一月に日本展覧会北京上海において行なわれ、ことし来月、再来月にかけまして中国の見本市が日本において開催されます。それに対しまして国際貿易促進委員会南漢宸主席日本に来ることになっておるのでございますが、これに対しまして日本に対して直通便を出してもらいたいという要求があるように聞いておるのでございます。これに対しましてどういうような配慮をとられるのであるかどうかということをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  27. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 たびたび申しますように、私も結論的に申しまして、そういう中国を無視して日本外交はやれないと考えておりますが、先ほど来しばしば申しましたように、現時点におきましてはわが国の外交方針というものがそこまでいっておらないということは、まことにアジアの一員としての日本にとりましては不幸なことであるというように私ども考えております。
  28. 矢尾喜三郎

    矢尾委員 そうするといまの結論から申しますと、南漢宸委員長がこちらに来られるということに対しましても、特別の便を出すことはむずかしいというような考えのように私は受け取るのでございますが、昨年におきまして、日本向こうにおいて膨大な規模のもとにおいて開きました展覧会におきましても、石橋湛山氏が総裁となって向こうに参られました。私たち顧問団として出席したのでございますが、老齢の、まだ病気も完全に回復しておらない石橋湛山氏に対しまして、中国がとりました態度というのはまことに丁重をきわめ、半丁のところを歩くにしても手押し車をつけて、そして十分の取り扱いをしておる。そういう日本のやった展覧会のお返しという意味において、向こうがこちらでやるという場合において、中国から来る多数の要人を飛行機で送るということでなくして、やはり老齢であるところ南漢辰氏などに対しまして、特便というようなものを出されても、私は世界各国としても文句を言う国はない、こう考えておるのでございます。いままでにおいて国交正常化されておらないところ韓国に対しまして、先ほども大野伴睦氏が参られましたときも、これはこちらから特便を出しておるというような状態でありますし、その他いろいろなケースも数えてまいりますならば幾多あると考えますので、いろいろな点について日中友好立場に立ちましても、また政府根本方針であるところ積み上げ方式の一端といたしましても、そういうことが必要ではないか、こう考えます。そういうような点につきましても、十分御協力下さいますことを要望いたしまして、時間が参りましたので、この程度で質問を終わります。
  29. 川野芳滿

  30. 肥田次郎

    肥田委員 私も日韓航空路の開設の問題について質問を続けていきたいと思います。  まず第一に航空局長にお伺いしますが、この前おっしゃった四月十五日ごろに日韓航空路の開設予定だというお話でしたが、これはその後変更はありませんか、そのとおり確定ということになるのですか、どういうふうに理解したらよろしいですか。
  31. 栃内一彦

    栃内政府委員 現在のところ四月十五日を予定しておりますが、まだ最終的に確定ということではございません。
  32. 肥田次郎

    肥田委員 最終的にということですか、どういうことなんですか。ざっくばらんにお伺いしておるのですが、非常にあやふやなという意味でまだということですか。大体その予定は確率の強いものだというように考えてよいのですか、どうでしょうか。
  33. 栃内一彦

    栃内政府委員 現在のところ大体可能であろうというふうに考えておりますが、まだ最終的に私のほうは結論を出しておりません。
  34. 肥田次郎

    肥田委員 しまいのほうがよく聞こえなかったのですが、最終的にはまだはっきりしないというその意味はどういうことなんですか。いわゆる日韓の政府協定という意味のものがまだはっきりしないからということになるのか、それとも民間協定ということなんですか、この関係はどうなりますか。もう少しはっきり聞かしてもらいたいのです。
  35. 栃内一彦

    栃内政府委員 私が大体だいじょうぶだろうと申しましたのは、そういうスケジュールですべての準備を進めておりますが、準備というものはなかなかそのとおりいかないということがあるという意味で申し上げておるのでありまして、両方の話し合いとかそういうことよりも、むしろ準備自体が完全に間に合うかどうかという点につきまして、私のほうとしてはまだ最終的な確証を得ておらない、こういう意味であります。
  36. 肥田次郎

    肥田委員 確認の意味でお伺いするのですが、これは政府協定ですか、どういう協定になるのですか、この航路協定は。
  37. 栃内一彦

    栃内政府委員 これは前にも申し上げたかとも思いますが、両航空会社間の商議に基づきまして、おのおのの航空会社が相手国の航空当局の許可を得て行なう、こういうことでございまして、政府間においては協定的なものはございません。要するに、日本としましては、大韓航空の申請を許可するという形、韓国におきましては、おそらく日本航空の運営開始というものを韓国航空当局が許可するという形、こういうことでもって行なうということでございまして、両国政府間には協定というようなものは全然ございません。
  38. 肥田次郎

    肥田委員 そうすると、韓国の大韓航空と、それから日航との間に相互間に協定をする、こういうことなんですか。それが具体化されれば航空路は開設されて就航できる、こういうことになるのですか。
  39. 栃内一彦

    栃内政府委員 両航空会社の商議といいますか、約束というものはできておるわけでございまして、その約束の中におきまして、おのおのの航空会社は、相手国航空会社の所属しておる国の政府、すなわち日本航空韓国航空当局の許可を得る、先方日本航空当局の許可を得るということによってやろうということでございます。したがって、それは会社間でございますから、別に相手国政府を拘束するというような効果はないわけでございます。
  40. 肥田次郎

    肥田委員 そうすると、私はことばの使い分けということでとやかく言うわけじゃないのですが、よくわかりませんから、なおはっきりお聞きしたいのは、韓国韓国のいまの朴政権に対して、日本との航空路について申請をして、韓国政府の許可をもらう、日本日航日本政府の許可をもらう、そういうことによって航空路の設定ができる、こういうふうに考えていいわけですね。
  41. 栃内一彦

    栃内政府委員 いま私の申しましたのは、国際間の取り扱いがどうなるかということを申し上げたのでございますが、そのほかに、日本としては日本航空の事業計画の変更申請を認可するという措置を日本航空に対してはとらなければなりません。これは日本航空が新たに路線を開設するということについての政府の認可が必要でございます。それから、私は韓国航空法をつまびらかに承知しておりませんが、おそらく大韓航空日本乗り入れるということにつきまして、先方政府の認可を得る、こういうことになっているようでございます。
  42. 肥田次郎

    肥田委員 どうもそこのところがよくわからぬのですが、いわゆることばどおりに理解をすると、結局双方の政府が許可すればそれでオーケーという形になるのでしょう。そういうことになるのでしょう。
  43. 栃内一彦

    栃内政府委員 いまおっしゃいました意味は、こういうように理解しますが、日本航空韓国に行く場合には、日本航空自体が日本航空当局の認可が要るということと、相手国である韓国航空当局の許可を要する、それから先方の場合はその逆である、こういうことでございます。
  44. 肥田次郎

    肥田委員 しかしそれだけじゃいけないのでしょう。何かその取りきめをする、たとえば日航日本政府の、大韓航空韓国政府の、こういうことになって、そうして日本韓国との政府間におけるところ協定というものはどうなるのですか。それは要らないのですか。いまの航空局長の話ですと、それは二義的なものになるのですね。これは結婚みたいなもので、仲人があとになって、双方がうんと言えばそれでいいんだ、こういうふうにいまの局長のことばでは理解できるのですが。
  45. 栃内一彦

    栃内政府委員 先ほどから申し上げておりますとおり、日本航空当局韓国航空当局間においては何らの協定というものは存在いたしておりません。通常の場合でございますれば、まず両国政府間に協定ができまして、それに基づいてやるというのが普通の行き方でございますが、今回は両国政府間には何ら協定というものはない。したがって、日本としましては韓国政府を相手にするということではなく、韓国航空会社から申請が出てきたものを認可する、こういう形をとっておるわけでございます。
  46. 肥田次郎

    肥田委員 そこで私はお伺いしたいのですが、これは大臣と局長とそれぞれからひとつお答えをいただきたいと思うのです。いまの局長のお話を聞いておると、結局相互信頼で、日本韓国航空会社韓国日本航空会社と取引をするということが、それぞれの国でうんと言えばそれで開設できるという段取りになるわけです。ですから、その際にそういう信用の取りつけというものは一体どこを根拠にしてやるのですか。たとえば日航が万一の場合の相手は、日本政府に許可をもらったんだから日本政府が責任を持ってくれるだろうと考える。ところ韓国も同じことを考えておる。韓国日本との政府間にはそれについては何らの協定の取りかわしも必要じゃない、こういうケース一つあるわけですね。そういうことになってきますと、これは一体、そういうことなら実はお二人からお答えをいただきたいと私が言うのは、この前の予算分科会の質疑応答の記録を見てみますと、たまたま小林進君が中国日本との航空路開設について質問をしております。そのときにあなたの言っておられるのは、これは国際間の協定だから、航空局としてはこれはもう全然問題のないことなんだ、こういうふうな意味の答弁をしておられるのです。いまお答えを聞いておると、外国との航空協定というものは政府間の協定なんだ、こういうふうに片方ではおっしゃっておられるのに、韓国日本との航空路については、これは両国がうんと言ったらそれでできることなんだ、こういうふうにおっしゃっておるのですが、これは韓国は特別扱いということでそういうふうにおっしゃっておるのですか。
  47. 栃内一彦

    栃内政府委員 先ほど申しましたように、二国間におきましては、通常の場合航空協定を締結いたしまして、しかる後両国航空会社が相互に乗り入れる、あるいは場合によっては片方がおくれるということもございます。それが原則でございます。日本韓国との間におきましても、原則的にはそれが一番好ましいということはもちろん言えるわけでございますが、しかし行政許可を相互にやるということによっても、実際上は同じような効果は発生し得る。もちろん航空協定を結んだのと全く同じではございませんが、相互に飛行機乗り入れするということが可能であるということでございまして、決してこれが原則的だというわけではございませんが、こういう方法をとり得る、こういうことでございます。
  48. 肥田次郎

    肥田委員 これは局長、もう少しわかりやすく——というよりも、私ははっきりしてもらわなければいかぬと思うのですが、予算分科会の答弁を見てみると、そういうことばの使い分けはできるかもしれないけれども外務省のほうでも、それからあなたのほうでも、政府協定がなければできないんだ。こうおっしゃっておる。韓国日本の場合には——政府協定がなければだめなんだ、政府協定がないのに、そういうことは全然問題として考えられません、こうあなたはおっしゃったのです。ところが、韓国関係については、もう政府間の問題は抜きにして、両航空会社がうんと言えばそれでできるのだ、こういう処置をとっておられるわけです。そんな権限はあるのですか、あなたのほうに。あとに何か手続が一つ抜けているのではないのですか。
  49. 栃内一彦

    栃内政府委員 ただいまおっしゃいましたような点で、両航空会社がうんと言えばできるということではございませんので、うんと言ったあと、お互いにおのおのの政府の許可が必要であるということで、航空会社だけではできないわけでございます。その点は政府が全く関与しないという意味ではなくて、政府は、許可をする、しないという点の権限は持っておるわけでございます。ただ、両国政府間に協定がなくても、相互に許可し合うということによりまして、定期航空路線の開設は可能である。しかし、これは原則的ないき方ではないというふうに私は御説明しているわけでございます。
  50. 肥田次郎

    肥田委員 そうすると、私がこの前、もし日韓の国交その他いろいろな問題がここでどうにもならない、何ら進展をしない、こういうことになってくると、この関係はどうなるのかお聞きしましたら、これには関係ないことなんだ、こういうふうにおっしゃったわけです。そうすると、いま言うように、一体両国のいわゆる航空路開設というものは、その国の政府の許可をもらってやるということになる。そうすると、政府政府との間に何か橋渡し協定をすべきものがなかったら、一体どこが責任を持つかということが出てくるのですが、そういうことはなしに、とにかくお前ら目をつぶってやるからかってに取引をしろ、こういうふうに日本政府も朴政権も取り扱いをすることになるはずなんですがね。それをあなたのほうではちゃんと準備をしておいて、そして両方の政府がいわゆるちゃんとしたものを取りかわすようになるという、こういう一つのやり方もある、こういうふうにおっしゃっておるけれども、事実は、やり方もあるのではなしに、それが先行して、それがすべてであって、あとはもう形式的に両方が、そういうものがあろうとなかろうと黙認をしておればそれでやれる、こういうことになるような気がするのですが、それはどうなんですか。
  51. 栃内一彦

    栃内政府委員 何回も申し上げますように、通常の形におきましては、政府協定、いわば一種の条約というようなものでやるのが普通でございます。ただ、韓国の場合には、そういうことでなくて、例外的な措置をとったということでございます。今後この例外的な措置を通常の、いわゆる協定形式にかえるかどうかという問題は、今後の問題でございます。もちろん、両国間の協定ができればなおさら通常の原則に帰ってけっこうだと思います。  それから、ただいま政府同士が黙認すればいいというふうにおっしゃいましたが、日本としましては、韓国航空会社の許可申請を許可しておるわけでございまして、決して黙認しておるという関係ではございません。
  52. 肥田次郎

    肥田委員 この例外措置をとったという大きな論拠はどういうことなんでしょうか。
  53. 栃内一彦

    栃内政府委員 現在日本韓国との間には外交関係がございませんので、政府間でもっていわゆる航空協定を締結するということは不可能でございます。一方、日本韓国との間におきましては、旅客も毎年ふえております。  しかも、その旅客をノース・ウエストと台湾のCATという二外国航空会社が運んでいるということでずっと続いております。しかも、お客がふえている。この場合に、日本韓国の両航空会社がこの間の運送を開始するということは非常にけっこうなことではないかというような観点。しかし、一方、国交が回復しておりませんので、航空協定は結べない。しかし、例外的措置としまして、両国政府が相手国航空会社の許可申請を許可するという形において、両国の航空会社が日韓間でもって相互に飛行機を飛ばし合うということができ、また、そのことによって第三国に壟断されておりました日韓間の旅客あるいは貨物を積み取り得るという点が非常によいことではないか、こういうことでこういう例外措置をとるということになったわけでございます。
  54. 肥田次郎

    肥田委員 この例外措置——特別措置ということになるのですか、この航空路開設について例外措置をとったとして、その他の関係はこの例外措置で完全に問題が起こらないようになるというふうにお考えですか。いまおっしゃったように、政府政府との間の正式なとりきめというものはできない。こういう現在において、飛行機のみ韓国日本との航空路を開設した、これは特例措置だ、こういうふうにおっしゃるのですが、その他の問題はこれに矛盾が起こらないようになっていくというふうにお考えですか。
  55. 栃内一彦

    栃内政府委員 その他の問題という意味が私よくわからないのでございますが、私としましては、航空協定なしでも、これはもちろん理想からいえば航空協定ができるということが理想でございますが、なしでも現に日韓間の旅客、貨物輸送は第三国のみに壟断させない。しかも、年々貨客がふえてくる。これを両国航空会社ができるだけ積み取るというのは非常によいことではないか、かように考えておりますが、その他の問題とおっしゃいますと、どうも具体的によくわかりませんので、あるいは私自身の専門外の問題で何かあるのか、その辺私わかりません。
  56. 肥田次郎

    肥田委員 その他の問題というのはあとでお聞きしたいと思うのですが、どうもいま局長のおことばを聞いていると、例外措置をとったというのは、現実に即して韓国日本との間に人の交流がだんだん多くなってくる。そうすると、その移動する旅客をよそに取られたくないから日本でやるのだ、こういう御見解のようですが、これはともかくといたしまして、そうすると、これを延長していくと何ですか、たとえば中国日本との間に人の交流が盛んになってきた場合には、航空局としては、政府がどうこうということにかかわらず、やはり航空路の開設は相互間においてあり得るということになりますが、これは間違いありませんね、いまのあなたの特例という筆法でいくと。
  57. 栃内一彦

    栃内政府委員 ただいまの日中間の問題でございますが、これに関しましては……。
  58. 肥田次郎

    肥田委員 日中間に限らず、どこの国でもそういうことはあり得るということになりますか。
  59. 栃内一彦

    栃内政府委員 それでは、どこの国でもということで申し上げますが、両国航空会社が相互に飛ばし合うといういわゆる航空だけの面におきましては、理論的には可能でございましょう。ただそれは、いわば原則に対する例外でございますので、そういうものをどこともやる、一国との間ならよい、二国はよい、三国まではよいという点はいろいろ議論がございましょう。例外でございますから、なるべく少ないほうがよいという点は言えると思いますが、理論的には可能でございましょう。ただその場合に問題になりますのは、航空プロパーの問題はもちろん非常に重要な要素でございますが、そのほか主として外交上の観点というようなものがこれにからみ合ってまいりまして、外交上の観点から好ましいか好ましくないかというような判断は、私は別個に出得るというふうに考えます。
  60. 肥田次郎

    肥田委員 航空局長、何も先回りして外交上の問題を言われなくても、私は外交上の問題を聞いているわけじゃないのです。あなたのほうも、外交上の問題は外務省がやることだ、こういうふうにおっしゃっていますから、私はそういう問題を聞こうとは思わないのです。ただ、韓国との航空路の開設についてとった措置については例外だ、実質上はこのほうがいいと思うからこういう措置をとったのだ、こういうふうにおっしゃっていますから、それはそれとして受け取れます。けれども外交上の問題だとかなんとかいうことになりますと、事が大きくなりますから、私はそういう意味で聞いたのではなくて、たとえば中国でもその他のどこの国でも、そういう状態になれば、当然、外交上の問題とは別に航空路の開設について相互間において話し合いが進められる余地があるのだ、例外というものは、一度できれば必ずその次にもそういうことが起こり得るのです。それでなかったら、私はこの特例というものの条件は、先ほどのお話だけではないと思う。韓国中心にしてこういう特例があるのなら、いまの三十八度線で分かれておるところの北鮮についても同じ扱いが生れてこなければならぬ道理なんです。これはみずから日本政府あるいはアメリカ、こういうところ中心になって北鮮を、変なことばで言うと、まま子扱いにしているから、これとの航空路が別な形でいろいろとられておる。いわゆる朝鮮半島という姿で見る限りは、もう一視同仁に見なければならぬ。日本が朝鮮を併合して、戦争で終わりましたから、四十年近く日本の総督がおってこれを治めてきた、こういう関係から見ると、いわゆる朝鮮人と称する人々の見る目というのはみんな同じなんです。この前も大平さんが言っておったように、韓国との国交が正常化されれば、かつて日本に国籍を持っておった者、あるいは日本で生まれた者、こういう者についての取り扱いはおのずから別に考えていきたい、こういうふうに大平さんは言うておった。ですから、韓国といわゆる北鮮とを一体だれが区別をして考えることができるのか。日本の場合には、みんな一つのものとして考えなければならぬ責任を感じるんです。そういうことだと思いますので、私はいまあなたのほうで例外として措置したと言われたので、例外なら、そういう例外は今後も当然起こってくる、こういうふうに私は考えたから、お伺いしたわけです。  それから、これによっていろいろな問題がそれにぴったりついてくるかということは、これは局長、いろいろな問題がたくさんありますよ。あなたのほうは飛行機さえなにしておればいいのだというふうに考えておられるようですけれども、そうはいかないと思うのです。これはしかしよろしいです。  それからもう一つお伺いしたいのは、技術的な面で、東京−ソウル、ソウル−大阪、この間の料金と、それから、このどちらの場合でも、韓国日本の貨幣はそれぞれそのまま通用するようになるのですか、何か決済措置を設けてやることになるのですか。
  61. 栃内一彦

    栃内政府委員 運賃につきましては、IATA運賃を適用しておりますので、普通にいままでやっておりました運賃と同じでございます。  それから、決済につきましては、申しわけございませんが、私自身がよく承知しておりませんので、調査いたします。
  62. 肥田次郎

    肥田委員 料金はわれわれわかりませんので、参考のために幾らかということを聞かしていただきたいと思いますが、決済関係のほうはどなたにお伺いしたらいいんですか。
  63. 栃内一彦

    栃内政府委員 運賃は、ソウル上大阪につきましては、ファーストで、邦貨にして二万五千五百五十円、それからエコノミーで一万八千六百五十円、こういうことになっております。  なお、決済関係につきましては、私から御答弁すべき筋と思いますが、いま確信を持って御答弁し得ない点がございますので、調査してお答えいたしたいと思います。
  64. 肥田次郎

    肥田委員 それから、先ほど矢尾委員からも質問がありましたが、韓国との航空路の扱い方でなしに、オリンピック中心にしてそれぞれの国が、たとえばそれぞれの国の中には日本政府が好ましく思っておらぬ国も含まれていて、そういう国が自国の飛行機日本に乗り込んでくる、こういう場合には、これはどういう扱いにせられますか。
  65. 栃内一彦

    栃内政府委員 先ほど御答弁申し上げましたが、この点につきましては、外務省のほうに相談をいたしております。そこで外務省からまだ最終的な回答を得ておりませんが、外務省としましても、オリンピックという特別の行事であるということで、かなり弾力的に考えなくちゃなるまいというような非公式な見解を持っておるようでございますが、どこまでどういうふうにするかという点については、まだ回答を得ておりません。
  66. 肥田次郎

    肥田委員 この点は私は矢尾さんと全く同感でして、もちろんわが日本社会党という立場でも考え方は同じなんですが、日本飛行機がそれぞれの国とその期間特別な航空路契約というようなものを結んで、いわゆる入国についての便宜をはかる。北京なら北京へ、あるいはどこへでも日本からみずから飛行機を送り込んで、オリンピックに参加あるいは参観する人を日本に連れてくる、こういうふうな積極的なお考えというものはまだ航空局としてはないんですか。それともオリンピックの委員会などではそういうものについて何か航空局に対して要請はございませんか。
  67. 栃内一彦

    栃内政府委員 オリンピック委員会からはそういうことは別に承っておりません。むしろ外国から日本に来られる方は非常に歓迎するわけでございますし、私どもとしましても、臨時便等につきましては、できるだけ便宜をはかろうということは考えております。  ただ、航空局がオリンピックのお客さんを外国に行って誘致するということは、航空局の立場としてはやや行き過ぎではないか。いわば外国の航空機がこういうふうに日本に入ってきたいという場合に、できるだけの便宜を供与するということは、航空局の立場としても考えております。
  68. 肥田次郎

    肥田委員 行き過ぎというような意味にはわれわれは考えておらぬのです。航空局がお客さんを引っぱりに行きなさいという意味じゃないんですが、そういう際には航空局が率先して、そういうかまえで積極的な指導をする。こういうことは当然観光あるいはオリンピック委員会というところから、航空局としてこれに対してどういう協力をしてくれるだろうか、こういう相談が必ずあると思うのです。そういうことも腹がまえの中に入れておいてもらわなければならぬだろうということで、横道にそれましたが、私はいまお伺いしたわけです。
  69. 栃内一彦

    栃内政府委員 先ほど答弁しましたのをさらに具体的に申しますと、現在私のほうから、日本にございます外国航空会社の支店あるいはもう少し広い範囲に、できるだけ何月何日何時ごろどういう便を仕立てたいがという希望を早めにとりまして、そしてたとえばそれらの時間の調整をある程度しなければならぬというような問題もございますので、そういう要請は各国別に出して、そしてその要望を取りまとめた上で、これでできるだけ皆さんが御不自由のないように、最も迅速にお客さんが処理できるように、こういうことをやろうということで、そういう準備はすでにやっております。
  70. 肥田次郎

    肥田委員 もう一つの問題、防疫の関係、これはちょっとあとにしまして、その前に海運局長にちょっとお伺いしたいのですが、飛行機のほうは実はいまこういう事情であるということをわれわれも知りましたが、海路の航路関係というものは実はあまりよく知っておりませんので、どういうことになっておるのか、韓国日本との航路、これを簡単にお聞かせ願いたいと思います。それから、そういう面についてはすべて何ら脅威を感ずるようなことなしに安全航行ができておるのかどうか、こういうことも含めてひとつお伺いしたいと思います。
  71. 若狹得治

    ○若狭政府委員 海路につきましては、終戦以来、韓国、北鮮、中共との間に絶えず船舶の出入があるわけでございます。これは別に協定はございませんで、各船会社の危険において現在運航いたしておるということでございます。実際には参っておりますけれども、現在まで問題になったというような事実はございません。ただ、乗り組み員が何かの嫌疑を受けまして取り調べを受けたということは、北鮮につきまして一度あったというように記憶しております。
  72. 肥田次郎

    肥田委員 現在、定期航路というものはありませんね。
  73. 若狹得治

    ○若狭政府委員 現在、日本の海運会社と、韓国の海運公社というのがございますが、共同いたしまして、月二回くらいだったかと記憶いたしておりますけれども定期航路を開設しております。
  74. 肥田次郎

    肥田委員 済みませんが、その定期航路というのをもうちょっと詳しく知らせてもらえませんか。
  75. 若狹得治

    ○若狭政府委員 阪神から門司へ寄りまして、釜山までの航路を、韓国の海運公社とそれから日本の関西汽船、九州商船、この三者のジョイントサービスによりまして定期航路を開設しておるわけでございます。旅客運送も行なっております。
  76. 肥田次郎

    肥田委員 これはもうこれ以上拡大をされるという意思はありませんか。たとえば、航空関係でこうして積極的に相互で航空協定をやろうというところまできておるのですが、戦前、例の関釜連絡船から非常に歴史もあるし、とにかく日本の連絡船といえば関釜連絡船だぐらいに思っておったのですが、もし急速に日韓問題というものが片づいたということになると一これはたとえばですよ、ということになると、この間の航路というものは、もういやおうなしにひんぱんなものになると思うのですが、これはいまのところは何も考えておられませんか。
  77. 若狹得治

    ○若狭政府委員 現在いろいろな計画があるようでございますけれども、実際問題として旅客、貨物の需要というものは急速に伸びておるという状況じゃございませんので、現在程度でしばらく推移を見守るという状況ではないかと考えております。われわれのほうで、別にこれに補助いたしておるというような関係でもございません。業界のほうの自主的な企業活動に待っておるというような状況でございます。
  78. 肥田次郎

    肥田委員 最近の輸送人員というのですか、それはどのくらいになっておるでしょうか。
  79. 若狹得治

    ○若狭政府委員 ちょっといま手元に資料がございませんので、至急取り寄せまして御報告申し上げます。
  80. 肥田次郎

    肥田委員 大ざっぱに言ってどのくらいかということもわかりませんか。
  81. 若狹得治

    ○若狭政府委員 いますぐ調べまして御報告申し上げます。
  82. 肥田次郎

    肥田委員 それでは、先般私が質問の関連で残しておいたところ日韓航空路が開設した際の防疫の措置についてお伺いしたいと思うのですが、防疫課長、お見えになっておりますか。——先般私がお伺いした点を簡略に聞いてもらいたいと思うのですが、日韓航空路が開設されると、現在の状態では、われわれの耳にするところでは、韓国の衛生状態というものは一つ間違えばいわゆる伝染病が流行するような危険性が多分にある。去年もいろいろな伝染病でわが国も警戒をしたようなことがありました。そういうこともあるので、航空機というものが短い期間の中に往復をするということになると、どういう関係でいわゆる伝染病を運んでくるようなことになるかもわからない。したがって、これらに対する対策としてはどういうことかということでお伺いしたところが、これは厚生省の防疫でないとわからない、こういうことであったわけです。したがって、私がお伺いしたいのは、韓国における防疫対策と、それから飛行機内における防疫、それからもちろんいわゆる人の防疫、そういうものを含めて、これは一般の今日行なわれているようないわゆる予防注射その他の関係以外のことを考えなければいかぬのじゃないか、こういうことを前提にしてお伺いするわけですから、もし開設された暁にはどういうことになるのか、この点をまずひとつ聞かしてもらいたいと思います。
  83. 春日斉

    ○春日説明員 国際検疫と申しますと、御承知のとおりWHO、世界保健機構でございますが、そこの国際衛生規則に基づきまして検疫を世界一律の方式で行なっておるわけでございます。その一律と申しますのは、国際衛生規則というものは許し得る最高限を規定いたしておりまして、それ以下の措置でなければ許されない、こういう規則でございます。したがいまして、韓国日本との航空路が開設されまして、そこに適用されますところの検疫方法といいますものは、やはり国際衛生規則に定められたことに限定されるわけでございます。現在わが国も韓国もこの国際衛生規則を批准いたしておりまして、その範囲内で行なうわけでございます。しかしながら、もちろんいろいろな応用問題と申しますか、適用方針につきましては、とるべき手段は多々あるわけでございます。しかしながら、航空機の検疫と申しますのは非常に宿命的な問題がございます。と申しますのは、船ならば十日、一週間かかって来るところをわずか数時間、たとえて申しますと、香港から参りますのも三時間、インドあたりから参りますのも七、八時間で参る。したがって韓国から参るわずか一時間半、二時間という時間と比べましても、本質的にそう変わりはないということでございまして、現在コレラあるいは痘瘡などの常在地であるインドあたりから参ります飛行機の検疫と、韓国から参ります検疫との間に実際問題として特別扱いをするという考え方は現在のところ持っておりません。  それから、私どもは国際衛生規則で定められたいわゆる検疫伝染病の汚染地——流行地でございますが、汚染地の指定が、これはWHOの指定によってありました場合、それについては特にきびしいと申しますか、検疫方針をとっておるわけでございます。韓国の場合は、昨年のコレラ発生以降は、現在のところ何らの検疫伝染病の発生はございませんので、たとえて申しますると、アメリカから参ります飛行機と同じような方針で行なっておるということでございます。  それから韓国の衛生状況について批判する立場にはございませんが、私、最近の東南アジア諸国あるいは韓国情勢あたりを私なりに見ますと、韓国の衛生状況は、一部は悪いところもございますが、少なくとも防疫対策については、かなりアジア地域としては高度な国の一つであろうかと、私は韓国に参りまして感じた次第でございます。
  84. 肥田次郎

    肥田委員 まあ最近、いろいろと内乱やその他を続けておる東南アジアと韓国とは比べものにならぬと思うのです。これはかつて日本が統治しておった国ですから、基礎的なものがありますからね。ただ、これは最近ここ数年間の事情を見ても、伝染病が流行し得る可能性というものは、日本から見るとはるかに多い。アジアという全体の地域から見たら少ないかもしれぬけれども、そういうことをわれわれは気にしておるわけです。まあいろいろと伺ってみますと、特殊なことはする必要はないだろうということでございますが、人の問題はそれといたしまして、貨物なんかの場合にはどういうお扱い方になるのですか。これもいわゆる国際基準に定めるところ取り扱い、こういうことになりますか。
  85. 春日斉

    ○春日説明員 荷物につきまして、いわゆる動物でございますとか、それから植物類、こういったものは、動物検疫あるいは植物検疫、いわゆる農林省の管轄に属する検疫でございます。一般の手荷物類その他につきましては、これはケース・バイ・ケースで行なってまいりまするし、それから伝染病の病源体を運ぶ荷物と申しますると、たとえば痘瘡が流行いたしましたとすれば、きれ類、ぼろ類、こういったものが問題になるわけでございますが、そういった場合には特にそういったものの扱いは厳重にいたす、こういうことになろうかと思います。  なお、ちなみに、昨年、一昨年あたりから台湾あるいはフィリピンその他にコレラの流行が起きました際、バナナの輸入禁止あるいは冷凍エビの輸入禁止といった問題をかけた例がございます。これは実は検疫法に基づいて輸入禁止をとったわけではございませんで、食品衛生法に基づいてとったわけでございます。したがいまして、そういった伝染病の病毒侵入と申しますか、移入のおそれがあるようなものの検疫と申しますものは、単に検疫法ばかりではございません。ある場合には食品衛生法といったものによっても措置できるわけでございます。
  86. 肥田次郎

    肥田委員 長らくいわゆる正常な状態になかったわけですから、われわれも非常にその点、実際に韓国というものの衛生状態が、はたで見た目と、それから戦争が終わってすでに二十年近い今日の間に、韓国の場合に、従来よりよくなっておるということはどうも考えにくい。ですからそういう点でお伺いしたわけです。  それから航空局長にお伺いします。これは余分なことですが、昨年の春でしたか一昨年の暮れでしたか、韓国にもコレラが出ました。こういうようにコレラとかあるいはこういう悪性の伝染病というような場合には、これは当然航空路をいわゆる一時中止をするというようなことも、そのときの事情によったら当然起きてくることですね。時間的に非常に早いところですし、韓国のソウルと大阪、東京といえば、これはあっと言って間に合わないことがある。こういうことも当然起こるだろうと思うのです。これはまあいま私ら海のものとも山のものともまだわからないのじゃないかと思うのですけれども、そういうことを別にしても、とにかく伝染病という問題については非常な注意を要するという意味から、これは念のためにお伺いしておきたいのですが、そういうときには航空路の閉鎖ということもあり得る、こういうことになるでしょうね。
  87. 栃内一彦

    栃内政府委員 伝染病の問題につきまして、韓国にそういう不幸な事態が起こりました場合には、厚生省の御当局とよく相談して善処いたしたい、かように考えております。
  88. 肥田次郎

    肥田委員 それでは私のきょうの持ち時間もだいぶ過ぎたようでございまするので、一応これで質問を打ち切りまして、また次の機会に質問を継続さしてもらいたいと思います。
  89. 久保三郎

    ○久保委員 ちょっと関連。——ひとつ大臣にお伺いしておくのですが、いままで御答弁があったかどうかわかりませんが、日韓会談は昨日、金議長ですか、これが大平・金メモを学生代表に韓国で発表したということであります。そうなりますと、御承知のように、日韓会談というか、この交渉は一応ルールからはずれたとわれわれは考えているわけです。もちろん担当の大臣でございませんから、外交の本質についてお伺いするわけじゃありません。しかしすでに閣議等でも論議されたと思いますが、こういう形の中で、いままで御説明があったような日韓航空が、正常に安定していわゆる開設される見通しがあるのかどうか、この日韓会談と関連して日韓航空の問題は今日の時点でどう考えておるか。先ほどの航空局長の御答弁では、まあ何とか順調というふうなお話が出ておるようであります。はたしてそういうふうに解釈して取り進んでよろしい情勢に今日あるかどうか、いかがでしょうか。
  90. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 日韓のいわゆる大平・金のメモにつきまして、閣議で何か話があったかというお話でございますが、私らも今日までの閣議では、さようなことについて外務大臣の報告も所見も伺っておりません。それからたびたび申しますように、この日韓航空民間相互乗り入れという問題は、日韓会談とは全然関係なく、たびたび申しますように、ソウル−東京間、韓国の空路はノースウエストとCATと二便しかないので、これに外貨を支払わねばならぬということは外貨政策の上からいってもはなはだ遺憾なことであるから、相互に乗り入れをやって幾らかでも外貨の節約に資して、同時に便利になるようにいたしたいという考え方から始めたことでございまして、ただいまのところは日韓会談がどうなろうと、相互乗り入れのあれは私は順調にいくという考え方を持っております。
  91. 久保三郎

    ○久保委員 日韓会談の推移にかかわらずということでありますが、両国の国際関係は、なるほど日韓会談の推移はもう大体われわれの見方ではこれで一応腰を落ちつけてというか、中断でありますね。その中断だけならば、一応いま大臣がおっしゃったように日韓会談とは関係なくという理由で、これは順調に進んでいく一つの要素はあると思います。それは日韓会談に関係のないという前提で日韓の航空は始まるのですから、これはそれで理屈としては成り立つのです。しかし、御案内のとおり、昨日、与野党一致して、満場一致でしょう、韓国の国会では、李ラインの厳重警戒を決議しているのです。こうなりますと、逆に日韓の関係は、いわゆる停止ではなくて、相互にうしろを向いた形になったと認めていいと私は思うのです。そうなった際に、はたしていままでどおりの方針で日韓航空をやっていくことが適切かどうか。これは担当大臣として十分判断すべき時期だと私は思うのですが、どうでしょう。
  92. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 私は日韓交渉が決裂したとは思いません。目下双方交渉を続けていくというのが双方の意向でございますから、そういう考え方のもとに立ちまして、日韓相互の航空乗り入れをどうするかというようなことは、考えなくても、既定方針どおり遺憾なくやっていけると確信いたしております。
  93. 久保三郎

    ○久保委員 日韓会談が決裂したというふうに私は別に断定はしませんが、日韓会談はいずれにしてもまあここでひとつちょんということでありましょう。それはちょんでなくともいいですよ。ところが、李ラインの警戒体制をさらに厳重にするという決議は、これは日韓会談とは別でありましても、少なくとも両国関係には好もしい姿ではないのではないか。日韓会談の進行が停止して、前向きでいるままで停止したにしても、この李ライン厳重警戒という決定は、これは両国関係にとっては好もしい姿では全くない。わが国民の感情からいってもこれは問題だと思うのです。そういう際に、日韓航空だけは順調に取り運ぶというのはいかがかと思っているのです。その点をお聞きしているのです。
  94. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 私はあなたと遺憾ながら考え方が違いまして、航空相互乗り入れということは両国民の念願でございます。日韓会談その他に関係なく、必要にして双方の利益になると考えてやっておるので、いまにわかに日韓会談の影響によってこの航空の相互乗り入れをどうすべきかということについてただいま考え方はいたしておりません。順調にいくものと信じてやっていくつもりでございます。
  95. 久保三郎

    ○久保委員 私は話の方向を変えて、それでは日韓会談に関係なくということでも、李ラインの厳重警戒体制をしくということは、両国関係が少なくとも友好的に進もうという日韓会談とはまるっきり反対ですよ。しかも李ラインについて日本政府は認めているのですか。正当なものとしていままで認めているのですか。いかがでしょう。
  96. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 私は認めてないと思います。正当な関係と認めておりません。が、しかし、そういうことが今度の交渉のなにでございますから……。
  97. 久保三郎

    ○久保委員 正当と認めておらないところに、さらに厳重警戒という体制をしくということが、どうも友好関係にはマイナスであります。ところが、必要なものであるという日韓の航空ですが、必要だからどこへでも出すというようには先ほど来の長々の御答弁ではとれない。いわゆるわが国の政治的判断、外交的判断からということでありますが、そういう認めてないというところにさらに厳重にやる。しかも運輸大臣所管の、その他の日本漁船の防衛というか、保護というか、これは海上保安庁の仕事でございます。こういう問題についてもそれぞれ適切な措置をおとりになったと私は思うのですが、まずその点はどうでしょう。
  98. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 随時とっております。適切な処置をとるよう平生からも指令してありますし、今回のようなことが起こればさらにその体制を強固にするだろうと考えております。また強固にすべきだと考えております。
  99. 久保三郎

    ○久保委員 いまお話しのとおり、そういう情勢になれば、常日ごろとっているが、さらに必要があれば強硬にとらなければいかぬ、こういう考えをしておられる。そうなりますると、どうも日本政府考えとして——李ライン問題も日韓航空も一連の日本政府の問題であります。別々に切り離したものじゃありません。だから、これは慎重に扱うというのが当然ではなかろうかと思うのでありますが、既定方針どおりどうしてもやりますか。その場合に、何か事故が起きたり何かした場合にあなたは責任をおとりになりますか。いかがです。
  100. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 私は順調にいくものと確信いたしまして、変える意思はありません。続けていきます。その場合に事故が起こりました場合には、もちろん事故の原因によりましては私は責任をとらなければなりません。
  101. 久保三郎

    ○久保委員 事務当局に聞きますが、外務省に対して、日韓間における情勢の変化——大きな変化ですよ、これは。いままで友好的に日韓会談をやってきて、李ラインについてもその方針に従っておそらくやっていたと思うのです。ところがこれが急変して、外交文書はメモは発表される、李ラインはさらに厳重に警戒されるというのは大きな外交上の変化であります。いわゆる日韓の航空についても、これは外交の問題があります。そういうのをひっくるめて最近の外交情勢について外務省に問い合わせなり相談はされましたか。
  102. 栃内一彦

    栃内政府委員 日韓間の問題、航空の問題につきましては、これは昨年の四月ごろから始まった問題でございまして、日韓間のいわゆる交渉というものとは切り離されて別個に進められた問題でございます。したがって、日韓間の交渉というもの、もちろんこれがうまくいくことはけっこうなことでございますけれども、私は本質的に別個のものであるというように考えております。また外務省との間におきまして、さきに新聞に出ておりますような記事は私は新聞を通して読んでおりますけれども、特に外務省から何らの意思表示もございません。
  103. 久保三郎

    ○久保委員 外務省から意思表示はないですよ、大体。外交文書まで発表されちゃって、何のかんばせあって運輸省に連絡できましょう、はっきり言って。むしろ、航空あるいは李ライン警戒、漁船保護、そういうものを任命されている運輸省は、進んで韓国内の政治情勢あるいは対日感情、そういうものをつぶさにこの時期は点検されるのが好もしいことだと私は思うのです。運輸大臣は順調にお進みになると言うからそれ以上お聞きしても何ですが、私は別にこれを全面的に否定はいたしませんけれども、少なくともこれは用心深くやるべきだと思うのです。それだけ申し上げて、終わります。      ————◇—————
  104. 川野芳滿

    川野委員長 次に、小型船海運業法及び小型船海運組合法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
  105. 久保三郎

    ○久保委員 先般要求した資料に基づいて、時間もありませんから簡明にしてわかりよくひとつ御説明いただきたいと思うのです。それを先に聞いて、それから質問しましょう。
  106. 高林康一

    ○高林説明員 資料は三つ提出しております。  そのうち、まず第一の内航海運輸送量の推移という資料について御説明申し上げます。  三十七年度の内航海運の総輸送量は、一億九千五百万トンでございます。三十八年度、これは内航の指定統計によりまして十二月まで出ておるものでございますけれども、それに見込みを含めますと、三十八年度は二億九百六十八万トンでございます。そのうちに、はしけによりますところの輸送がございます。それを引きまして、三十八年度の鋼船及び木船の輸送量を見ますと、鋼船につきましては一億一千六百万トン、木船につきましては六千七百万トン、大体六三%と三四%というふうに鋼船、木船の輸送比率がございます。これが第一の資料でございます。  第二には、内航船腹量の推移でございます。いずれもこの船腹量は年央船腹をとっております。三十八年度におきますところの総船腹量といたしましては、全体で二百六十七万総トンでございます。そのうち鋼船が百五十三万トン、木船が百十三万トン、大体鋼船が五八%、木船が四二%という数字になっております。以上は大体実績推移の数字でございます。  第三には、内航適正船腹量の試算という資料でございます。これについては、輸送量につきましては、四十三年度までの輸送量の見通しを立てております。この輸送量につきましては、省内におきましていろいろ検討いたしまして、四十五年度までの輸送需要の見通しを立てております。これは貨物輸送につきましては、鉱工業生産指数によりまして大体これを検討いたしまして、その場合におきますところの内航輸送量は約三億四千万トンでございます。これが四十五年度の見通しでございます。これは大体におきまして生産指数に基づいてやりましたが、その場合に年率の成長率は、輸送の伸び率は約七%でございます。大体同一の年率で伸びるものといたしまして、三十八年度から四十三年度までを推定したわけでございます。したがって、基礎といたしましては鉱工業生産指数の伸びというようなものを考えておるわけでございます。その結果、四十三年度におきますところの貨物船の輸送量総計は、一億八千七百万トンでございます。それから油送船の輸送見通しといたしましては、約七千三百万トンというのが大体の今後の見通しでございます。  次に、輸送量の下の欄に適正船腹量という欄がございます。この適正船腹量につきましての大体においての考え方は、従来の運航実績報告がございますが、それを考えまして原単位というものを策定しております。その輸送原単位によりまして適正船腹量を一応考えた次第でございます。三十八年度の適正船腹量につきましては、鋼船の貨物船が百八万トン、油送船につきましては二十九万トン、木船の貨物船につきましては八十万九千トン、木船の油送船につきましては四万トン、したがいまして計といたしまして、貨物船の三十八年度におきますところの船腹量は百八十九万トン、タンカーについては三十三万トン、合わせまして二百二十二万トンが一応私ども考えておりますところの適正船腹量の考え方でございます。以後大体そのような考え方で原単位を基礎にいたしまして今後の輸送需要と、それからそれに対応するところの船腹量というものを三十九年度から四十三年度に至るまで試算したものでございます。  なお最後の欄に、現有船腹量という欄がございます。これは先ほどの二番目の船腹量の三十八年度船腹量と同様なものでございます。したがいまして、現在におきましては、鋼船、木船合わせまして二百六十七万トンが現有船腹量になるわけでございます。それに対しまして三十八年度といたしましては、ほぼ二百二十二万トン程度の船腹量が適正ではなかろうかというふうに試算したものでございます。ただこの試算につきましては、鉱工業生産指数というものを基礎にいたしまして、今後の輸送需要というものを策定した。したがいまして現在中期計画その他の作業を行なっております。その点で今後若干の修正はあるものと考えております。さらにまたこの適正船腹量の原単位につきましては、今後専用船化ということがかなり大きくなると考えられますので、原単位が相当上がることも、ある時点においていわば技術革新癖数とも称すべきものを相当考えなければならないという点はございますが、一応従来の実績を基礎にいたしまして、原単位を策定したというのが以上の資料の概要でございます。
  107. 久保三郎

    ○久保委員 そこで、この原単位は幾らになりますか。
  108. 高林康一

    ○高林説明員 原単位は、鋼船の貨物船につきましては七四・五が年間原単位でございます。それから油送船につきましては一二二・二でございます。それから木船について申し上げます。木船の貨物船については七八・九、それからタンカーにつきましては八四・三ということでございます。
  109. 久保三郎

    ○久保委員 そこで、時間もありませんので資料を要求したいのであります。最近における団体協約で新しく承認した、最近認可をしたもの、こういうもののサンプルを出していただきたい。
  110. 高林康一

    ○高林説明員 組合法に基づきますところの団体協約でございますか。
  111. 久保三郎

    ○久保委員 そうです。それから最近におけるこれは重要な貨物でいいのでありますが、大体いま標準運賃並びに料金の指定、これをやっていると思うのであります。たとえば石炭の場合はどういうことになるかわかりませんが、国鉄の石炭運賃の問題もありますから、これとを合わせたところのもの、それから油、それから砂利、セメント、そういうものが多いでしょうね。そういうものの最近というか、新しいも古いもありませんが、標準運賃並びに料金、こういうものを出してもらいたい。  それから海運組合のいわゆる調整事業としてどういうものをどういう組合がやっているか、これを出してほしいと思います。その実績それから実勢運賃というか、実際の運賃ですね、そういうものを出してほしいと思います。  それからもう一つは、鋼船、木船含めてでありますが、いまの法律に基づく五百トン未満と五百トン以上のトン数別の船腹量ですね、総トンも入れてです。これを出していただきたい、以上であります。  だいぶまばらになりましたが、せっかく大臣がおられるのに質問しても権威がなくなると困るから、この辺にしておきましょう。
  112. 川野芳滿

    川野委員長 次会は来たる三日金曜日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時十一分散会