運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1964-03-31 第46回国会 衆議院 運輸委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月三十一日(火曜日)    午前十時二十一分開議  出席委員    委員長 川野 芳滿君    理事 有田 喜一君 理事 關谷 勝利君    理事 西村 直己君 理事 山田 彌一君    理事 久保 三郎君 理事 肥田 次郎君    理事 矢尾喜三郎君       佐々木義武君    進藤 一馬君       壽原 正一君    高橋清一郎君       高橋 禎一君    中馬 辰猪君       西村 英一君    増田甲子七君       井岡 大治君    勝澤 芳雄君       河野  正君    島上善五郎君       泊谷 裕夫君    野間千代三君       山口丈太郎君    佐々木良作君  出席政府委員         運輸政務次官  田邉 國男君         運輸事務官         (大臣官房長) 佐藤 光夫君         運輸事務官         (海運局長)  若狹 得治君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      廣瀬 眞一君  委員外出席者         運輸事務官         (海運局参事         官)      高林 康一君         日本国有鉄道副         総裁      磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     宮地健次郎君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 三月三十一日  委員井岡大治辞任につき、その補欠として河  野正君が議長指名委員に選任された。 同日  委員河野正辞任につき、その補欠として井岡  大治君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月二十八日  播磨灘における特定水域撤廃に関する請願(田  中武夫君紹介)(第一六七四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小型船海運業法及び小型船海運組合法の一部を  改正する法律案内閣提出第一一六号)  海上衝突予防法の一部を改正する法律案内閣  提出第一三一号)(予)  道路交通に関する条約実施に伴う道路運送車  両法の特例等に関する法律案内閣提出第一四  一号)(予)  日本国有鉄道経営に関する件(志免鉱業所及  び鶴見事故特別監査報告に基づく運転事故防  止に関する問題)  陸運に関する件(車両検修及び名古屋鉄道の事  故に関する問題)      ————◇—————
  2. 川野芳滿

    川野委員長 これより会議を開きます。  予備審査のため本委員会に付託になっております海上衝突予防法の一部を改正する法律案、同じく道路交通に関する条約実施に伴う道路運送車両法特例等に関する法律案議題として、提案理由説明を聴取することといたします。田邉政務次官。     —————————————  海上衝突予防法の一部を改正する法律案  道路交通に関する条約実施に伴う道路運送車両法特例等に関する法律案   〔本号末尾に掲載〕
  3. 田邉國男

    田邉政府委員 ただいま議題となりました海上衝突予防法の一部を改正する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。  現行海上衝突予防法は、一九四八年の海上における人命の安全のための国際会議において採択された国際海上衝突予防規則に準拠して昭和二十八年に制定されたものでありますが、この制度は、海上交通の有する国際性から、各国がまちまちに船舶航法規制等を行なうことによって生じる混乱を防止する必要性にかんがみ、一八八九年の国際海事会議において国際海上衝突予防規則が成立して以来、各国ともその内容をそのまま国内的に施行しているものであります。  この法律案は、一九六〇年の海上における人命の安全のための国際会議において承認された国際海上衝突予防規則改正に対応させようとするものでありますが、その内容は、船舶大型化レーダー実用化等による交通事情の変化に応じての航法規定の整備、漁船の識別灯火簡明化等でありまして、もちろんわが国についても船舶海難防止に寄与するところが大であります。  この国際規則改正は、その受諾について世界各国実質的一致が得られたときに発効し、その期日は一年の猶予を置いてIMCOから通告があることとされておりますが、その内容につきましては、前回の国際会議において全員一致の賛同を得ていること、及び、すでにわが国も批准を済ませているこの規則と密接な関係にある海上人命安全条約が、あと百万総トン以上の船腹保有国一カ国の加入によって発効する事情にあるところから、遠からず効力を発生することは疑いないと思われます。  したがいまして、わが国におきましても改正規則を受諾するたてまえのもとに、同規則に準拠して現行海上衝突予防法の一部を改正することが必要となったわけであります。  次に、改正のおもな内容を申し上げます。  第一は、引き船一定の長さをこえて他の船舶を引いている場合について、これらの船舶の間を他船が横切ることを防ぐため、引き船及び引かれ船のすべてに一定標識を掲げるべきことといたしたことであります。  第二は、海底電線の布設、測量等の特殊な作業に従事している船舶は、所定の灯火及び標識を掲げることによって運転の自由を得ないことを示すこととされておりますが、その特殊作業船として新たに燃料油等海上補給作業及び航空機の発着作業に従事している船舶を加え、また、機雷掃海作業に従事している船舶については、危険事情が異なるので、特別の灯火及び標識を掲げるべきことといたしたことであります。  第三は、漁労に従事している船舶は、漁労種別船種別、漁具の大小及び航行中と停泊中の別によって、多様に分類された識別灯火を掲げるべきこととされていましたが、これを運航上妨害度の少ない水中引き漁労とそれ以外の妨害度の大きい網なわ漁労の二種類のみに分類し、かつ、これらの識別灯火もきわめて簡明なものに改めることといたしたことであります。  第四は、レーダー使用普及化に応じ、霧の中その他の視界制限時にレーダーによって他船の存在を知った場合の航法を新たに規定し、また、従前の航法規定は、直接他船を視認している場合についてのみ適用されるべきことを明らかにいたしました。  第五は、船舶大型化及びヨット、遊覧船等の増加に応じ、狭い水道において行動している小型の帆船及び動力船は、航行できる水域が限定されている大型船舶の安全な通航の阻害を禁止することとしたことであります。  以上が、この法律案を提案する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。  次に、ただいま議題となりました道路交通に関する条約実施に伴う道路運送車両法特例等に関する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。  最近わが国においても、政治、経済、文化及び観光上の国際交流がとみに伸展してきており、また本年十月には第十八回国際オリンピック大会が東京において開催される予定で、その際多数の外国人旅行者わが国を訪問するものと予想されます。  このような状況に対応して、わが国自動車による国際交通円滑化をはかる必要があり、道路交通に関する条約を今国会に提出しております。  この条約加入することにより、わが国からこの条約締約国に旅行する者も、締約国からわが国を訪問する旅行者も、相互に条約上の利益を受け、自分が持ち込んだ自動車を簡易な手続で運行し、また国際運転免許証を使用することができることになります。これは国際協力に役立つとともに、国際観光振興を通じて国際収支改善国際親善の増進に寄与するところが大きいと考えられます。  この条約への加入に伴い、道路運送車両法等運輸省所管法律につきまして条約との調整をはかるため、この法律案提出した次第であります。  道路交通に関する条約は、自動車による国際交通の発達と安全とを目的として、一九四九年ジュネーブにおいて採択され、現在アメリカ、イギリス、フランス、ソ連を含めて七十カ国が加入しております。この条約要点は、第一に条約に定める道路交通方法に適合するように国内法令を整備すること、第二に他の締約国において登録されている自動車について一年間は国際交通を認めること、第三は他の締約国が発給した国際運転免許証自動車運転することを認めることの三点であります。  この条約実施するための国内措置といたしましては、道路交通方法国際運転免許証につきましては、道路交通法の一部改正予定されており、国際交通を認める自動車につきましては、この法律を制定して、道路運送車両法特例その他必要な事項を定めることとした次第であります。  次に、この法律案の要旨について申し上げます。  第一に、道路交通に関する条約利益を受ける外国自動車は、締約国において登録されており、旅行者が一時的な訪問に際し輸入し、かつ、使用するものであって輸入の日から一年を経過しないものといたしました。  第二に、この自動車については、締約国において登録されていることを明らかにするために、この条約規定する登録証書備えつけを義務づけることといたしました。  第三に、この自動車は、条約規定により外国登録番号等表示し、その装置についても一定の基準に適合していること等を義務づけられておりますので、道路運送車両法による登録検査規定等を適用しないことといたしました。なお、登録証書備えつけ外国登録番号等表示につきましては、国内法とのバランス等を考慮してその義務違反に対して罰則を設けることといたしました。  第四に、この自動車についても強制保険には加入させることといたしますが、道路運送車両法検査規定適用除外に伴い検査標章制度がなくなりますので、これに代わる保険標章表示を義務づける必要があり、この点に関し、自動車損害賠償保障法の一部を改正することといたしました。  最後に、わが国自動車及び原動機付自転車締約国において使用しようとする者は、条約利益を受けられるように、条約規定する登録証書の交付を受けることができることといたしました。  以上が、この法律案を提案する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  4. 川野芳滿

    川野委員長 両案に対する質疑は、後日に行なうことといたします。      ————◇—————
  5. 川野芳滿

    川野委員長 次に、日本国有鉄道経営に関する件について調査を進めます。  この際、政府当局より発言を求めておりますので、これを許します。廣瀬政府委員
  6. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 鶴見事故特別監査に基づきまして、国鉄から運転事故防止対策につきまして大臣報告がございましたので、その概要を御報告いたします。資料は、いまちょっとおくれて参りますので、要点だけ……。  三河島の事故から一年半、国鉄では輸送の安全、とりわけ職員過失による運転事故踏切事故防止に全力を傾倒してまいりました。ようやくその成果があらわれ始めた際に鶴見事故を引き起こしたことはまことに遺憾であるというふうに冒頭に言っております。事故原因につきましては、直ちに鶴見列車事故技術調査委員会を組織いたしまして、数次にわたる列車走行試験など、各方面から究明を行なってまいり、その結果、三十九年の一月に一応の中間の結論を得ましたが、特別監査報告書に指摘されておりますように、なお解明すべき多くの問題が残されております。したがいまして、今後特別監査報告書の趣旨を体しまして、技術調査委員会を中心に、さらに事故原因を徹底的に究明してまいる所存である。先般運輸大臣から鶴見事故に関しまして、特別監査報告書内容を十分検討して運転事故防止具体的対策を樹立するよう指示を受けましたので、現在までの措置状況と今後の事故防止進め方を別紙のように取りまとめて報告いたしますというのが前文でございます。  内容のおもなものについて御説明いたしますと、事故防止対策の今後の進め方といたしまして、三河事故以後重点的に実施をした対策は次の各項である。それで各項目をずっとあげておりまして、管理体制の強化であるとか、職員教育訓練職員作業適正の管理運転取扱心得改正運転保安設備改善等いろいろあげております。それから踏切の改良、統廃合、自動車通行禁止、新しい技術開発、こういったようなことに重点を置いております。これらの対策につきましては現在まで相当成果をあげているものもございますが、さらに今後推進をし、開発をしていきたいということでございまして、あといろいろこまかく各項目について説明がございます。これは後ほど資料をお配りいたしますので、詳細は資料についてごらんをいただきたいと思います。  次に、名古屋鉄道列車衝突事故につきまして、簡単に概要を御報告いたします。  内容はすでに新聞等で御存じのとおりでございまして、三月二十九日、名古屋鉄道株式会社名古屋本線名古屋構内におきまして、職員の不注意による事故の発生を見ております。運輸省といたしましては、早急にこの事故原因を究明し、かかる運転事故再発防止のために特別保安監査実施することといたしまして、昨日、運輸省鉄道監督局民営鉄道部運転車両課長主任監査員に任命いたしまして、現地に派遣をしております。  監査の結果によりませんと詳しいことはわかりませんが、二十九日の九時五十九分ごろ、名古屋駅の構内におきまして、下りの急行が停車をしてまさに発車せんとするところに後続の特急が追突いたしまして、重傷十一名、軽傷百七十四名、合わせまして百八十五名、入院が二十七名でございますが、大きな事故を引き起こしまして、まことに遺憾に思っております。  原因特別監査の結果を待ちまして詳しく御報告いたしますが、現在まで知り得ましたところでは、信号設備に異常はなかった、車両ブレーキ関係も異常はなかったということでございますので、おそらく乗務員過失ではなかろうかということでございます。慎重に特別監査をいたしまして、あらためてまた御報告いたしたいと存じます。     —————————————
  7. 川野芳滿

    川野委員長 質疑通告がありますので、これを許します。河野正君。
  8. 河野正

    河野(正)委員 時間の制約等もございますので簡潔にお尋ねいたしますので、当局側は誠実な、しかも簡潔なお答えをいただきたいと思うのです。  本日お尋ね申し上げたいと思います点は、国鉄経営にかかわります志免鉱業所、これはさきに民間払い下げをめぐりまして世間の脚光を浴びたのでございますが、その国鉄志免も、斜陽産業といわれました石炭産業合理化にならって、すでに三月末でございますから本日でございますけれども閉山をするというきわめてきびしい当局側通告を受けておるのでございます。しかしながらこの問題は、千数百名の従業員もさることでございますけれども国鉄志免鉱業所でささえられてまいりました地元の宇美、志免、須恵、こういう関係町村六万住民にとりましても、経済的あるいはまた社会的に受けまする影響というものは非常に甚大なものがあるわけでございます。ことばをかえて申し上げますれば、私は六万地域住民にとりましては死活問題だというふうに申し上げましても過言ではなかろうかと考えております。したがって、この志免鉱業所を閉鎖するという問題はきわめて重大な問題だというふうに考えております。しかも、先ほど申し上げますように、三月末におきましては一応閉山をするというふうな通告も受けております最終段階でございますので、ここにあらためて当局の御方針というものをひとつ明らかにしていただきたい、かように存じます。
  9. 磯崎叡

    磯崎説明員 志免鉱業所の問題につきましては数年前からいろいろ皆さまにたいへん御心配をかけてまいっております。ただいま先生のおっしゃいましたとおり、私どもといたしましては、本日、三月末日をもって閉山予定でまいっておりまして、実は昨夜来徹宵労働組合と協議いたしました結果、けさになりまして大体話をまとめまして、来たる六月末に円満に閉山するということで、その間に職員配置転換等を進めまして、六月末に閉山し、七月からは整理体制に入るということで話を妥結いたした次第でございまして、いままでたいへん御心配をおかけいたしましたことを深くおわび申し上げます。  さて、それに続いてまいります地元カ町村の約六万の住民とのいろいろな関係でございますが、御承知のとおり、昨年の秋ごろまでは関係地元もいろいろ去就に迷っておりましたが、昨年の秋ごろから、とにかく産炭地振興ということで地元町村も非常に前向きの姿勢になってこられまして、私どもに対しましても数回にわたっていろいろなこまかい御要望がございました。この点につきましては後刻先生の御質問お答えいたしまして、具体的に申し上げたいと思っておりますが、そういうふうに変わってまいりましたので、私どもといたしましても、昨年の暮れに本省の中に志免地区対策振興委員会という委員会をつくりまして、川上常務理事委員長に立てまして、これは労働問題と離れて純粋に、先生のいまおっしゃるように、いままで長年お世話になった地元に対してどういうふうに前向きの姿勢で対処するかということで、関係部課長委員といたしまして、鋭意具体的な問題につきまして今日まで検討いたしてまいりました。まだ閉山に至っておりませんので、事柄は具体的に進展いたしておりませんが、話の内容は着々と進めておるつもりでございます。  全体の問題についてはそういう次第でございます。
  10. 河野正

    河野(正)委員 いまいろいろ副総裁のほうからお答えをいただいたわけでございますが、なるほど昨夜来徹宵をして一応閉山時期を三カ月御延長になるということも私どもまことにけっこうだと思います。しからば、三カ月延長になったので、あとうまくいくかいかぬかということは、今後の問題にかかわると思いますけれども、そういう点等を含んでさらに質問を続けてまいりたいと思います。  国鉄志免鉱業所は明治二十一年、時の海軍炭鉱として採掘が始められてまいりましたことは御案内のとおりでございます。その後昭和二十四年六月に国鉄に移譲された点もこれまた御承知のとおりでございます。その間実に七十年余にわたりまして日本の国策に対しまして非常に大きな貢献をいたしてまいったのであります。したがって、この志免の歴史を無視して鉱業所の命運は考えられないと私は確信をいたします。今日千数百名の従業員、家族を含めますと一万近いと思いますけれども、さらに六万に及びます地域住民、こういう方々がいままで志免鉱業所で経済的にも社会的にもささえられてまいった、それが一挙に閉山されるということでございますから、非常に大きな不安を持つということは当然と思います。そこで要は、七十年間これは地元お世話になったわけでございますから、したがって、そういう地元貢献に今後どう具体的にこたえていくか、この点が私はきわめて重大だと思うのです。もちろんこの点は地域住民にも言えますし、また従業員にとりましても、父祖三代にわたって志免鉱業所で働いてきたというようなケースもございます。したがって、今後の具体的な問題については、従業員あるいはまた地域住民に対しまして納得のいく方策でこの問題の解決に当たっていかなければならぬというように私どもは考えます。そのことが国鉄当局に課せられました重大な使命でもあろうというように私ども痛感をいたすものであります。  そこで、なるほど対策振興委員会を設定したり、あるいは組合側とは話し合いのために三カ月延長してみたりということでございますが、今後その間に精力的に、積極的に、地域住民を納得せしめ、また従業員を納得せしめる方策がありやいなや、この点につきましても、ここで明らかにしていただきたい、かように考えます。
  11. 磯崎叡

    磯崎説明員 まず御質問の中の初めの地域住民との関係でございますが、私どもといたしましても、国鉄に移管以来約十五年の長い間、非常に志免に世話になり、また地元町村にも直接間接にいろいろお世話になっております。今回こういうことになりまして、一応廃山ということになりますが、幸いと申しますか、非常にたくさんの土地その他を持っております。これらの処分等につきましてもなるべくいま先生のおっしゃいましたとおり、前向きに積極的に、いままでの御恩返しと申しますか、そういう気持ちも含めまして処理してまいりたいというように考えております。具体的の問題につきましては後刻申し上げますが、根本的な考え方といたしましては、できるだけ地元振興に役立つように、私どもの全精力を使って、今後地元といろいろ御折衝してまいりたいというふうに思っております。ただ御承知のとおり、財産の処分等につきましては、会計検査院等の非常にむずかしいいろいろな制約もございますので、それらにつきましては、いまあらかじめいろいろ検査院等の了解も得つつございますが、これらにつきましても逆に御協力願うこともあるかと存じます。国鉄だけでできない場合にはまたいろいろお知恵も拝借に参らなければならないというふうに考えております。  それから関係職員等の問題でありますが、幸い時期等については先ほども申し上げましたような段階になりますので、本日から配置転換条件あるいは老齢退職者条件等につきましても、大体なるべく短時日のうちに条件をきめまして、御承知のとおり立て坑につきましては三月十二日にすでに終掘いたしております。それから五坑については本日終掘いたすことになっております。したがいまして、残るのはもう八坑だけでありますので、残りの職員も数が少なくなって、ほかの職員はすでに仕事がなくてぶらぶらしておりますので、こういった連中もなるべく早く配置転換いたしまして、一方鉄道受け入れ側といたしましても、実は年度当初でございますし、また新幹線の関係もございますので、新規採用をいまちょっと押えておりまして、できるでけ志免職員を受け入れたいという形もとっておりますので、やはりそういった条件を早くきめまして、六月末までには配置転換の実務も全部終了いたしてまいりたいというふうに考えております。
  12. 河野正

    河野(正)委員 そこで第一点としてお尋ねしておきたいと思います点は、自今三カ月の間に従業員の問題は具体的に処理していきたい、こういう御方針のようでございますが、実際問題を見てまいりますと、国鉄の中におきましても合理化というきびしい情勢がございます。それから、さらにまた、現地におきまする従業員の中では非常に満年齢者が多いということ、それからまた鉱山という特殊の環境で働いておりまするために、特別の技術を持たない、こういう悪条件が重なっております。そこで、もともと国鉄の企業の中でも合理化という方向で非常にきびしい情勢にある、その中で、いま申し上げまするように、技術がないという点が一つある。いま一つは、中高年齢ということ、この点は、私どもも、社会労働委員会においても、非常に頭を痛めておる情勢でございます。そういう悪条件が重なっておりますけれども、それらの従業員配転等については完全に消化し得るという見通しでございますのか、またそういう方針であるのか、この点もひとつ明らかにして従業員お答えを願いたい、かように思います。
  13. 磯崎叡

    磯崎説明員 現在約千三百名職員がおります。もちろんその中には事務職員あるいは病院等の人間がおりますので、これらを除きますと、約千百ないし千二百名でございます。このうち先生のおっしゃった高年齢者、五十五歳以上の者もおりますが、鉄道の側におきましても五十五歳以上の者は定年退職という形になっておりますので、これら特別の者はやはり退職を勧奨するようなことにもなるかと思いますけれども、後ほど申し上げます産炭地振興現地産業に吸収するように努力したいと思います。それからそうでない若い層、五十前の連中は、全員なるべく本人たちの望む場所、たとえば東京に行きたい、あるいは阪神に行きたいという人も相当おります。またぜひ地元に残りたいという者もおりますので、できるだけ本人たちの希望する場所、そして本人たちの希望する職種に配置転換いたしたいと思っております。これらは多少の過不足はございますが、全員配置転換いたせる自信がございます。それからちょうどその中間の、あと一、二年で五十五歳になるという連中も実はおります。これらにつきましては、今後の退職条件その他の話し合いの際に善処してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。それは、特別の者以外につきましては全国の望む地域に、また望む職種になるべく配置転換をしたいというふうに考えております。幸いにいままで千五百人以上の配置転換をいたしまして、たとえば東京へもずいぶん来ております。非常にまじめによく働いてくれております。したがいまして、受け入れ側も、志免の連中の受け入れにつきましては非常に積極的に受け入れる気持ちになっておりますので、できるだけの努力をいたしまして、計画どおりの配置転換を完了いたしたいというふうに考えております。
  14. 河野正

    河野(正)委員 いまの一般従業員についてはそういう御方針でございますが、しかしながら、それと関連をして、かなりの臨時職員がいままで比較的劣悪な条件のもとで働いておったと思うのです。しかし、これもまた志免鉱業所に非常に貢献をしてきた、企業に貢献をしてきたということは否定することはできないと思うのです。こういう臨時職員についてはどういう御方針でございますか、この点も、最終段階でございますので、お伺いしておきたいと思います。
  15. 磯崎叡

    磯崎説明員 臨時職員は約三百名おります。実は臨時職員のほうは、すでに半月ほど前にもう閉山に賛成いたしまして、すでにいつでも配置転換できる体制になっております。ただ臨時職員を先にいたしますと、本職員との関係が非常にむずかしいものでございますから、いままでそのまま待たしてあるわけでございますが、おかげさまで本日の段階になりまして、今後はまず普通の職員を優先的に考え、その次に臨時職員も、若い連中はできるだけ国鉄職員と同じような形で配置転換をしたいと考えております。ただ老齢者につきましては、先ほど申しました多少の例外がございます。若い人につきましてはできるだけ同じような考え方で配置転換をいたしたいと考えております。
  16. 河野正

    河野(正)委員 そこで、いま地元が一番真剣にかつ重大に考えておりまする点は、やはり産炭地の振興であろうと考えております。何しろいままで七十年間志免鉱業所で経済的にも社会的にもささえられてまいっております。その志免鉱業所がいよいよ閉山されるということになりますと、地方財政にも非常に大きな影響をもたらします。それから、なおまた地域経済にも非常に大きな影響をもたらしてまいります。そこで、やはりいま地元が一番真剣に、重大に考えておりますのは、あの志免鉱業所の跡にどういう工場、企業というものを誘致するか、この点が私は非常に大きな問題点だろうと考えております。  今日まで、石炭産業合理化の中でいろいろ産炭地振興というものが叫ばれてまいりました。しかし、現実の問題としては、産炭地振興産炭地振興と言われておりますけれども、具体的にはなかなか思うようにいっておらないというのが今日までの実情でございます。そこで私ども心配いたしますのは、それならばはたして国鉄における産炭地振興というものがうまくいくかどうか、なるほどいまの段階では何とか善処いたしますということで、一応前向きでございますからやや安心感を持っておると思いますけれども、しかしそれがうまくいくかいかぬかということは、現地住民にとりましても関係町村におきましても、これは死活問題でありますから、私は単なるお題目やあるいは絵にかいたモチでは困ると思うのです。そこで、一般の場合にも非常に困難な産炭地振興でございますので、やはり国鉄でもその点は十分御理解いた勢いておると思いますけれども、どのような方向で産炭地振興をお考え願っておるのか、この点もひとつ明らかにしていただきますならば、地元住民にとりましてもきわめて幸いなことであろうと思います。
  17. 磯崎叡

    磯崎説明員 具体的なお話でございますので、具体的に、いままでやってまいりましたことを御答弁申しあげます。  いろいろ地元関係カ町村から出てまいっておりますお話の中に、これを大体九つの項目に集約せられております。一々の内容は省略いたしますが、項目だけちょっと申し上げますと、まず第一は工場誘致でございます。その次が租鉱権の問題でございます。三番目が鉱害処理の問題でございます。四番目がボタ山の処理。五番目が上水道の問題でございます。これは、国鉄宿舎に入っております上水道は地元のほうに相当お分けしております。この上水道を継続してほしいということ。それから六番目が道路用地の問題でございます。七番目がし尿処理でございます。八番目が一般的な財産処分。九番目が鉄道延長の問題でございます。地元の四カ町村とされては、いろいろな御要求をこの九つの点に集約せられまして、あとのこまかい点は地元鉱業所長と相談するということで、大きな地元だけで処理できない問題として、この九項目につきまして、実は私自身数回地元の方にお目にかかりまして、途中の段階ではございますが、去る二月に正式な書面でもって私どものほうから実は御回答を差し上げております。  そのうちですでに具体化いたしましたものといたしましては、五番目の上水道の問題、これは私どもが福岡市の水道局と話をいたしまして、大体いままでと大差ないような福岡市の水道を分けてもらうことに話がつきかけております。これは若干の金も要りますけれども、現在どおりやってもらうことにいま話をつけつつあるわけでございます。七番目のし尿処理の問題でございますが、これもある程度私のほうで御協力できるというように、金額も大体見当をつけておりますが、考えております。それから六番目、八番目の道路の問題と財産処分の問題につきましては、これは具体的に図面を引かなければわかりませんので、なるべく御協力したいと思っておりますし、ただ道路用地に供する場合と一般の財産処分の場合とでは検査院の見方が違っておりまして、道路用地ですとあるいは無償で差し上げることができるかもしれないが、一般の財産処分になりますと、ある程度やはり有償処分ということになるかと思いますが、これらにつきましては、評価委員会等をつくりまして、できるだけ適正な価額でお譲りいたしたいというふうに考えております。  残ります問題といたしましては、一番から四番目の問題でございますが、このうちの鉱害の問題とボタ山処理につきましては、いずれも法律によりまして法律どおりの措置ができるというふうに考えております。二番目の租鉱権につきましても、先生承知のとおり、いままで志免鉱業に租鉱させておりましたが、これはすでに解除の通知を出しましたので、間もなく五月二十日ごろにはその通知が有効に働くことになっております。  残りましたのは最後の工場誘致でございます。これにつきましては、実は三井、三菱その他大手の山のその後の産炭地振興、工場誘致をいろいろ検討いたしましたが、いずれもあまりそう言ってはなんでございますが、参考になるものがございませんで、非常に苦心していままでまいっておりますが、幸いに、いま、工場誘致というほどの大げさなことではございませんが、大体五つばかり話がまいっております。会社の名前をあげるのはなんでございますからいたしませんが、工場の内容といたしましては、一つは、主としてコンクリート工業が大体多いようでございます。コンクリート工業がこの五つのうち三つでございまして、あるいはヒューム管をつくったり、私のほうのまくら木をつくったり、あるいはトラフと申しまして、信号、通信の線を入れるトラフをつくりますそういうコンクリートの工業、あるいはあぜ道の造成用のトラフ、こういったコンクリート産業はわりあいに原始的な産業でございまして、先ほど先生の御心配の、腕に覚えのない人でも従事できるような作業でございます。このコンクリート工業が現在三社ございます。このうちで、たとえばまくら木等につきましては私のほうでできるだけ買い上げたいというふうに考えておりまして、私のほうの所要能力等も計算いたしました上で、この程度のものは買いたい、買えるという約束もできればして誘致したいというふうに考えております。それから、あとの二つは、一つは農業用のポリエチレンの一これは国鉄用ではございませんが、あの辺で使います農業用に使いたい化学製品でございます。これは相当有力な工場を現在こちらに持っている人があちらに進出したいという話がございます。もう一点は、博多のベッドタウンとして将来あそこを造成したいという意味の分譲住宅事業をしたいというので、これも私のほうに相当多量に物資を納入している会社でございまして、相当資力、信用のある会社でございますが、こういった五社が現在すでに大体何千坪、何万坪ほしいという具体的な案を持って話しにまいっております。これらにつきましては、六月末ということがきまりましたので、それを目途といたしました上で、具体的にそれじゃどの場所、どの場所ということで話を進めてまいりたいと思います。ただ、問題はやはり先ほど申し上げました土地の価額の問題でございます。私どもといたしましてはできるだけこういった関係業者が収支償うような価額で譲りたいというふうに思っておりますが、一方、いろいろ制約がございまして、値段その他についてはまだ多少問題が残ると思いますが、私どもといたしましてはできるだけ収支償うような値段でもって譲りたいという気持ちを持っております。そういう意味で、特別に産炭地振興という角度からこの問題を従来の会計検査院の考え方と違った考え方で処理さしてくれないかということもいま内々話をいたしております。そういう意味で、この工場誘致の問題は、私どもしろうとでございまして直営することでございませんので、いずれもまだ非常に不確定なことでございます。大体いままで話の進んでおりますのはこの五つの産業、大体一産業七、八十人くらいの人間は使えるのじゃないかというふうに考えております。  以上であります。
  18. 河野正

    河野(正)委員 産炭地振興の際に考えなければならぬ問題は、企業が誘致されますと地域経済が潤っていくということが、一つ、いま一つは、やはり企業の誘致のために雇用が増大をすること、大体この二点だと思うのです。ところが、今日までの産炭地振興状況を見てまいりますと、雇用というものは案外伸びてない。なるほど振興事業団で融資を受けて企業は誘致したけれども、実際、炭鉱離職者というものは雇わない。子弟を雇うのですね。ところが、いま学卒の子弟というものは何もそういうところに雇ってもらわぬでも、就職率が高いわけです。ところが、実際に私どもが産炭地調査をいたしますると、離職者はほとんど雇っておらない。離職者の子弟を雇っておる。こういうことでごまかしておると申しますか、糊塗しておるという実情が非常に多いようでございます。ですから、私は、この産炭地振興、あるいはまた企業誘致の場合には、ぜひそういう点、今日までの実情という点につきましても十分ひとつ頭に入れて今後いろいろと折衝をやっていただく、こういうことをひとつ強く要望いたしておきます。  それからいままでにすでに解決したという問題の中に、若干、一、二私が気づきました問題がございます。たとえば、用水の問題を取り上げましても、いままで社宅用の用水は御笠川から採取をしておったわけです。ところが、水の非常に豊富な時期には問題ないのでございますけれども、非常に干ばつがくる、渇水状態が非常に出てまいりますると、揚水をしたために、地元の地域におきまする井戸水が枯渇をしてきて非常に難渋をしたという過去苦い経験がございます。それで、そういう苦情を鉱業所に持ち込んだのですけれども、ところが最近は雨が多くてそういう実態がなかなか出てこない。いままで鉱業所お世話になったということは事実なんでございます。ところが、この際、鉱業所が閉鎖される。そうして今後異常干ばつが訪れる、渇水状態が来るということになりますと、もう地域住民は、その苦情を訴えるところがないわけではないのですけれども、おそらく責任の所在がなかなか明確になり得ないと思うのです。ですから、この際こういう問題はぜひひとつ地元の問題のために解決してほしい、こういう要望等もございます。現地では調査する、調査するとおっしゃる、ところが、いまは干ばつではございませんし、最近は、昨年も長雨というようなことで非常に水は多いわけです。調査いたしましても、なかなかそういう結果が出てこない。出てこないまま、それこそ、鉱業所が閉鎖されるという段階に来た。これらについては、いろいろ問題はございましょうけれども、やはり七十年間お世話になったのですから、そういう前提を尊重して円満に解決するという方針をぜひとってほしいと思う。これは一例でございますけれども、そういう事例というものが若干あろうかと思います。具体的に私がいまお願いしておる点は、その点をお願いしておるわけですけれども、これも調査する、調査するであります。ところが、いま、最近は雨が多いものですから、なかなか渇水状態が出てこない。ですけれども、もう閉山という段階がきましたから、私どもは過去のそういう事例を十分ひとつ御検討なさって、こういう問題は、やはり立つ鳥あとを濁さずということばもございますから、ひとつ円満に解決するような方策をぜひとっていただきたい。これは気づきました具体的な一例でございますけれども、ほかにもあるとすれば、そういう事例については、過去長い間鉱業所の発展に対して、運営に対して貢献をしたわけですから、そういう点を尊重する中で十分解決する方策をとっていただく、こういう点をぜひお約束をいただきたい、かように思います。
  19. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいまお話しの水の問題は非常に真剣な、深刻な問題でございまして、とりあえずいま先生のおっしゃったいわゆる飲み水の問題でございます。一つの期限が間もなくまいることになっておりますが、これはすでに福岡市のほうに話をいたしまして継続することにいたしました。片一方は、まだ三年ほど期間は残っておりまして、いずれ福岡市の市当局——実は県の知事にもお願いいたしまして、今後の問題についてはよろしくお願いしたい、また、国鉄側として、この際、何と申しますか、ある程度の将来の保障を金で話をつけるようなことがあれば、できるだけ御協力したいということも実は申しております。そのほか、私どもで設備いたしました水道等につきましても、実は全部市のほうに差し上げることになっております。それらの水のほかに鉱害関係の水の問題がまだ実はございまして、その水の問題等を含めまして十分具体的に今後現地事情を伺った上でできるだけの処理をしてまいりたいと思っております。
  20. 河野正

    河野(正)委員 補足しておきますけれども、いま申し上げましたのは、実際御笠川から揚水をして、そして飲料水に供しておる住民の問題ですが、御笠川に立て井戸を掘っておるわけですね。その立て井戸から渇水町に給水しますと、その地域の井戸というものは枯渇するわけです。その点を御指摘を申し上げたのが先ほどの具体的な例でございます。そういうふうにひとつ御理解をいただきたいと思います。  それからいま一つは農民の公害の問題でございます。いま私ども承知する中におきましては、大体被害農民は一千名といわれております。田畑、家屋、道路、河川、かんがい施設、公共建物の被害というものは、不安定地区も含めまして十数億——十三億というようなこともいわれておりますけれども、いずれにいたしましても非常に甚大な公害が存するわけであります。ところが、いままでは、地元住民は、国が経営する炭鉱である、かつては海軍でございましたけれども、いまは国鉄ということであります。そこでやはり国営の炭鉱であるということで、公害問題については、いずれ責任をとっていただけるであろうということで、住民のほうがむしろ割合に寛大であった。そのためにある意味におきましてはこの公害の復旧というものがおくれた面もございます。一般の民間産業でございますと、その被害については非常にやかましく言う。この場合は相手が国であるということで、被害住民のほうが非常に寛大であった。そのために、逆にいうと公害復旧というものが非常におくれてきた。こういう経緯もございます。いずれにしてもこれは復旧事業団が引き継ぐことだろうと考えますけれども、その点も十分考えに入れて年次計画等を作成し、そして早急にやる。おくれた面がございますから、その点につきましてもぜひ御配慮を願いたい、かように考えます。
  21. 磯崎叡

    磯崎説明員 公害の問題につきましては、私は専門家でございませんので、あるいはお答えが的をはずれるかもしれませんが、やはり私のほうでも十億を上回るものであるという推定をいたしております。それから現地のほうからもやはり最後まで公害復旧の関係の事務所を置いてくれというお話もございますので、閉山いたしました後も残務整理事務所という名前で当分の間関係職員を配置いたしまして、地元の公害復旧についてのいろいろな御要望も承ってまいりたいというふうに考えております。もちろん鉱業法百九条でございますか、このとおりのことをいたしますが、そのほかそれに付帯してのいろいろの御要望もあるかと存じます。過般関係の公害対策委員長の方方、各町の方にお目にかかりまして、いろいろ具体的な御要望も承っております。なるべく早く事務に乗せまして、三カ月閉山が延びたことにかかわらず、この問題はなるべく早く事務に乗せて処理してまいりたいというふうに考えております。
  22. 河野正

    河野(正)委員 町村関係あるいは従業員関係というものは、主として団体交渉等で比較的希望、要望というものが反映する機会が非常に多いと思うのです。公害関係はなるほど被害者組合という形でやってまいりますけれども、実際に被害を受けた住民、農民のほうでは個々の利害関係があるわけでございます。でございますから、なかなか町村交渉あるいは組合等の交渉というふうにスムーズにいかない面もあろうと思うのです。ですからこの点は、特に農民関係では公害復旧の今後について非常に重大な関心を持っておりますし、また私どもに対しましては非常にきびしい要望等をやっております。でございますから、数も非常に多いし、被害額も非常に甚大でございますし、なおまたテンポが非常におくれておったというふうな悪条件が重なっておりますので、この点は十分尊重して、その解決のために最大の努力を傾注してほしい、かように考えます。
  23. 磯崎叡

    磯崎説明員 この点につきましては、過般志免鉱業所長と、それから現地の鉱害対策組合長並びに委員長との間で一応覚え書きを結びまして、そして事務を進めるようにいたしておりますから、将来、ただいま先生の御注意のような方向に従って十分努力してまいりたいと考えております。
  24. 河野正

    河野(正)委員 それから、二、三の点につきましては、たとえば租鉱権の問題等については解消されたということでありますし、ボタ山処理についても大体方針がきめられたようでございますので、これはあえて申し上げませんけれども、ひとつボタ山の処理等につきましては災害防止というような血もございますので、ぜひ最善の努力を行なってほしいことを強く要望いたしておきます。  それからもう一つは、道路の問題につきまして若干お答えになりました。いずれ志免鉱業所にささえられた四カ町でございますけれども、今後この地域の条件というものが非常に大きく変化していくと思うのです。特に今後この四カ町の経済というもの、あるいはまた社会的地位というものをどうして守っていくか。そのためにはこの都市計画あるいはまた産業道路というふうな問題等も出てくると思います。そこで、当面して一番問題になるのは、やはり鉱業所内に通っております道路、これが閉山してただちに遮断されることはないと思いますけれども、いずれにいたしましても、これが地域住民の福祉に非常に大きな影響力を持つわけです。そこで用地の払い下げ等につきましては会計検査院その他制約があって、現地の要求等がございますけれども、なかなかむずかしい面があろうと思います。しかし、道路の問題につきましては、先ほど副総裁がちょっとお触れになったようでございますけれども、これはぜひ無償払い下げということをやっていただきませんと、都市計画の面におきましても非常に障害がございます。それからまた、地域の住民の便利、福祉という面におきましても非常に問題があると思います。この点は特に、先ほどお触れになったようでございますけれども、格段の御配慮と、またその方針をぜひ守って、無償で払い下げてやっていただきたいと考えます。もう時間がまいったそうでございますので、その点につきまして一応お答えをいただいて、結論に入りたいと思います。
  25. 磯崎叡

    磯崎説明員 道路問題につきましては、すでに私も現地の御要望の図面を拝見いたしております。これらにつきましては、いま先生のおっしゃった福岡に通じている産業道路あるいは各町の連絡道路等、相当具体的な筋が引かれておりますので、できるだけこの御要望に沿った私のほうの再建計画あるいは土地の譲渡計画を立てたいと思っております。できれば、純粋公共用に供する道路でございますので、無償で提供できることを私自身も願っております。できるだけそういう方面で努力いたしたいと思います。
  26. 河野正

    河野(正)委員 最後に、結論として強く要望いたしておきたいと思います点は、志免鉱業所が今日まで七十年の歴史を経てまいりました。その間におきます従業員あるいはまた家族、さらには志免鉱業所でささえられてまいりました四カ町の地域住民当局に対します役割あるいは貢献というものは非常に甚大なものがあったわけでございますので、そこで従業員関係につきましては自今三カ月の間で鋭意、それぞれ納得のいくような方策を見出すために御努力願うということでございますから、ひとつ最大の努力をして、三カ月後にいろいろ紛糾が起こらないように御配慮願いたい。それから地域住民町村に対しましては、今後この志免鉱業所閉山というものが甚大な影響を与えるわけでございますから、その点につきましては、公害におきます農民も含んで、ひとつ地域住民の意思というものを最大限に尊重していただいて、そして立つ鳥あとを濁さずということばがございますが、ひとつ万全を期していただきたい、かように考えます。それらに対します総括的な、明確な、誠意ある御答弁を承っておきたいと思います。
  27. 磯崎叡

    磯崎説明員 私どもも、海軍を通じまして約七十年、長い間お世話になりました地元でございますので、先ほど申し上げましたとおり長年の御恩返しをする気持ちでもって、この問題に対処してまいりたいというふうに考えております。     —————————————
  28. 川野芳滿

    川野委員長 次に、陸運に関する件について調査を行ないます。  質疑通告がありますので、これを許します。肥田次郎君。
  29. 肥田次郎

    ○肥田委員 私は、最近国鉄事故ばかりではなしに、先ほども当局から報告のありましたように、つい先日の名古屋鉄道事故というものがございましたので、いわゆるこの地方鉄道に対する当局の監督、指導について承りたいことがあります。  それは、われわれがよく問題にいたしまするのは、いつも事故が起こってから後の問題でありまして、いわゆる事故を絶滅する対策としては、本末を転倒しておるように思います。  前口上が少し長くなりますが、先般も京都の東福電鉄の事故がありました。私はこの企業の現在の姿についてどうこう言うつもりではないのでありますが、しかしこの鞍馬線の事故を見て感じたことは、あの企業形態というものが、いかにも古いということです。当局の指導、監督の面で、私鉄について監査をやりながら、そしてその監査をやる中で、あのような古い形の企業形態が、そのまま施設が残されておる。これをそのままほっておいていいのかどうか、こういう見解を私は一つ持っております。先般も私はその会社に参りましたときに、よけいなことだと思いましたけれども、このような施設では、これからのシーズンにどっと押しかけてくるお客さんを運ぶというのには不安定だ、だから思い切って施設の改善をやったらどうか、それは同時に会社の経営についても、いわゆる生気を吹き込んで、経営そのものに会社も労働者もお互いに全力を尽くすことになるだろう、こういう話をしたのであります。そういう状態の中で、私が最近ちょっと耳にしたところで、どうもわれわれが今日考えておる時点における会社の考え方と当局の考え方に少し食い違いがあるのじゃないか、こういう気がするのであります。一つの例をとってみますると、実は先般、地方鉄道の、いわゆる私鉄総連に加盟する組合の中で、昨年の暮れに労働協約の戦いをやったところがあります。この労働協約の戦いをやったときに、この労働協約改定の会社側の考え方というものが、現在の車両検修について、その期間を著しく延長して、そしてそれによるところの要員、配置などについて、労働協約の中で持ち出してきた、こういうことがあったのであります。これは現在地方鉄道運転規則の中にありますところのそれぞれの条文に示す基準をはるかに越えて、そしてその整備基準を地方鉄道が勝手に変更しよう、こういうことにもなるわけですが、これはどう考えてみても、地方鉄道が勝手にそういうことをやるはずはなかろうというふうにも考えられるので、何かその点について、当局のほうと話があったのかないのか、この点を承りたいと思うのであります。  当時、名前は申し上げられませんが、私のほうに参っておりますところの資料によりますと、いま地方鉄道運転規則の中にありますのは、大別して、いわゆる毎日検査というのが四十二条、それから一カ月検査というのが、それぞれの車両の種類は、違いますけれども、三十七条と三十九条、それから二カ月検査が四十一条、一年検査が三十六条、三十八条、四十条、基本的な検査を明示しておるのが三年あるいは四年という三十三条、こういうことになっておるのであります。これを地方鉄道のほうで勝手に期間を延長して、現在一年検査をやっておるものを一年半に延ばして、そこで三年たつと今度はこれを外注で整備させよう、こういう計画を出してきておるのであります。ここで問題になるのは、御承知のように最近の車両というものは非常に性能がよくなってまいりました。性能がよくなってきたということと、それから構造が複雑になってくるということとは正比例するのでありまして、この複雑になってきた構造の車両を期間延長をして検修をやってもいいという理屈がわれわれにはどうしてもわからない。その酷使の状況から見ても、名鉄の事故も結局はあれは過密ダイヤだ、こういうふうに会社側も言っておるようでありますが、これでもまた他の面では運転手のいわゆる技能不十分、こういう面もあるようであります。そういういろいろな問題が重なっておるときに、たまたま車両事故ではなかったからというふうに名鉄の事故では報告がありましたけれども、とにかく今日のあの複雑な車両を、車検の期間を延長してもいいという理屈はどうしてもわれわれのほうにはわからない。そういう点について、たまたまこれが労働組合と会社との間で労働協約の中でこういう事実が出てまいりましたので、この点についてまずお聞かせ願いたいと思います。
  30. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 私鉄一般の事故並びにそれに対する監督のあり方につきましては、先生から御指摘をいただきましたが、先ほど例をおあげになりましたけれども、東福電鉄の問題等につきまして特別監査をいたしましたその結果、はっきり申し上げまして、会社の管理体制その他に欠陥があったことは事実でございます。適切な指示をして、今後基本的な欠陥をなるべく除去してまいりたいというふうに考えております。  なお、大私鉄は一応別といたしまして、地方の中小私鉄になりますと、経営内容もきわめて劣悪なものがございます。したがいまして、保守その他について、ともすれば遺憾の生じやすいことは事実でございますが、私どもといたしまして、地方鉄道軌道は、いかに中小私鉄でございましても、非常に公共性の強いものでございますので、交通機関としての最低と申しますか、必要な限度のものはぜひ守らせてまいりたい、そういう基本的な考え方を持っております。  なお、ただいま具体的に、車両検修の特に期間の延長の問題について御質問がございましたが、御指摘のございましたように、地方鉄道運転規則によりまして、あるいは一カ月検査、二カ月検査、一年検査あるいは基本検査というものをきめておりますが、これにつきましては、実は先生がいま御指摘になりましたように、最近車両の性能もきわめてよくなっている。また逐次古い車も少なくなりまして、最近はだんだん新しくなりまして、車両整備等も非常に向上してまいりましたので、経営者の中には、従来の古い基準というものはこの際改めてはどうかという意見があることは事実でございます。私どもも私鉄経協等といろいろ相談いたしまして、こういった点を検討は加えつつございますが、まだ具体的にどのようにするという結論は出しておりません。いずれにいたしましても、経営の点も考えまして、またもちろん安全という点が一番でありますので、そういった点をかみ合わせまして、どのようにしてまいるかということは、今後十分慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。
  31. 肥田次郎

    ○肥田委員 もう一つ疑問に思うところを聞いておきたいと思うのですが、いま、これも私のほうにまいりました資料で見てみますると、こういうことが考えられるわけです。要するに車両検修の時期を延長するという、この考え方は、一面に車両の性能がよくなってきたという、この事実も決して否定するわけじゃないのでありますが、現在各地方鉄道でとっておる車両検修の方法を見てまいりますると、特殊な会社は別にして、大体一年検査くらいまでは自分のところでやる、その他のものは、いわゆる外注で整備さしていく、こういう方法をとっています。で、外注というても、実は形式だけなのであって、従来持っていた施設の中の一部分を外注と称する傍系類似の、いわゆる車両の整備会社にこの事業を委嘱をして、そこで車両検査をやらす、いわゆる解体をやらす、こういう形式をとっているわけです。ですから、その企業のあり方についても、われわれとしてはこれに対してまた意見もあるのですけれども、しかしそれは別にいたしまして、そういう形式をとっているということは、車両検修というものに対する責任制というものが実は非常に違うと私は思うのです。たとえば、こういうことを言っています。直接その会社の社員で、そして車両の検修作業に携わっている、この人人はいつ幾日どこを調べたという報告書をちゃんと出して、それに基づいて有責、無責の追及を受ける。こういうことになっておるのです。ですから、おまえはどの部分を検査したかというやつが、ちゃんと次の検査をする人の名前が出てくるまでに事故のあった場合には、それはその人の責任の有責事故になってくる。こういう仕組みになっているわけです。ですから、この期間が延長されるということは、結局長い間その責任を、いわゆる作業者がかぶらなければならぬ。こういうことになるわけです。長い間責任をかぶらなければならぬということについてどうこうということではなしに、長い間には機械的な事故が発生する。ですから、たとえば一カ月検査は二カ月となり、半年検査が一年になる、そういうことが起こってくると、車両の検修そのものに自信が持てないじゃないか、こういう意見が一つあるわけです。これは重要な直接の作業者の意見だと思います。ですから、今日の事情の中でその人間の責任に帰するかどうかという、この責任問題はさておいて、実際に作業を担当しておる人々が責任を持ってやろうとする場合には、とても現在だけでも手が回りかねるんだ、こう言っておるのです。ですから、形式的になる場合もある。その間に事故がなかったら、やれやれという気持ちでおるのだというのが実情のようでありまして、ですから十分検修はやれていないというのが現状ではないかという気がするのであります。私はこれもどんどんやりなさいということを言っているわけじゃありませんけれども事故が起きると、特別監査ということで運輸省は出かけられます。それからその間でも随時の監査、あるいは定時の監査、こういうふうに出ていかれます。けれども、これとても当局の人手不足の折からなかなか十分な監査ができるはずはない。会社側のほうにしても、精密に監査されるといろいろな欠点が出てくるから、できるだけ模範的なところだけ監査をしてもらって、そして帳じりを合わそうという、こういう傾向になるのも、今日の事情ではやっぱりあり得ることだと私は思っているのです。ですから、そういういろいろな問題があるやさきに車両の検修の時期を延長する、こういうふうな条件はとうてい今日なかろうと思うわけです。いまの局長は十分検討するというふうにおっしゃいましたので、早晩いわゆる運転規則の中に定められた車両の検修回帰キロという問題につきましてはいろいろな精密な検討がなされるだろうと思うわけですが、それだけに十分慎重なことをわれわれの立場としては要望しておきたいと思うのであります。そういう意味で私は一つ具体的な例を提供しておきたいと思うのです。  いま、ある車両現有数の大体三百七、八十の会社があります。この三百七、八十持っておる会社の昨年度の報告によると、一車の検修については大体八日かかるというのであります。この八日かかるもとで一体その作業員がどれだけおるかというと、百三十三名ぐらいしかいない。結局一年間にできるいわゆる重要部検査というのは二百六十両ぐらいしかできない。そうすると、三百数十両の車両のいわゆる重要部分の検査をやろうとすると、どうしても一年半かかる。こういう数字が出てくるわけです。とても現在の手持ちの要員ではできないということから、ちょうどそれを逆算をしていくと、会社が出してきた合理化案の一年半の間にどうにかできることになる。結局要員が足らない、機械設備が足らない、こういう条件を期間を延長することによって帳じりを合わそう、こういうことになるわけです。ですから、車両の性能が今日上昇して、これならもう一年半検査しなくてもだいじょうぶだ、こういうのではなくして、現行規定に基づいた検修をやっていこうとすれば、どうしても三分の一は余るから、そのためには半年間期間の延長をやらないとできない、そういうことから経協あたりが働きかける可能性は十分あるだろうと思うのであります。われわれとしても、私鉄経協がいたずらに合理化を考え、あるいは車両検修をおろそかにすれば事故が起きるのですから、決してそういうことを考えておるとは思いませんけれども、しかし、そういう良心的な面でこれを善意に解釈するとしても、もしそういう意図のもとに車両検修の回帰キロを延長したいという考え方が私鉄経営者にあり、政府のほうでそういう点をもし度外視されて検討されると、結果は重大な問題が残るんじゃないか、こういうふうに思うわけです。ですから、いまそういう計画はないようでありまして、私がちょっと聞いたところでは、この四月一日から実施されるかもわからない、こういう話を聞きまして、そんな話があれば、これはわれわれも耳にすることだけれども、耳にしないところを見ると、まず当分その点は心配ないだろう。しかし心配ないからということと、会社のほうが事実上そういうふうに検修をサボって、そうして当局のほうに対する報告書があいまいにされておるということなら、これはけしからぬことだという話をしたことがあります。どうかそういう実情を十分検討されて、こういう問題には手をつけていただきたいと思います。  最後にお伺いしておきますが、局長、こういう重要な問題がいきなり実現するということはありませんでしょうね。
  32. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 ただいま御質問のありました点は一々ごもっともでございまして、私ども、一番安全の基本であります車両の検修問題については慎重にいたしたいと思っております。ただ先ほどもちょっと申し上げましたように、先生もおっしゃいましたが、最近の車両は逐次新しくなりつつある。車両工業その他も前よりかなり性能の高いものになっております。したがいまして、各種の車両につきまして十分慎重に試験等をいたしまして、実はこの十年くらいの間に車両の故障に基づく事故は半減しております。そういった点から、決して経営者本位で安易に考えるわけではございません。安全という点を第一に考えまして、科学的に、合理的に期間が延長できるという結論が得られれば、これは若干の延長は考えるということになると思いますが、この辺の確信が十分につきますまでは、慎重に行ないたいというふうに考えております。
  33. 肥田次郎

    ○肥田委員 もう一つお伺いしておきたいのですが、車両の性能がよくなつたということは、確かに理由は幾つもあると思うんですね。性能がよくなったということは、いわゆる外見上のていさいだとか、それから車そのものの、たとえば電車の場合に、運転の操作というものが非常にやりやすくなった、あらゆる部門がすべて自動的にやれる、こういうような面もあろうと思うのですが、この性能がよくなったということと車両事故というものとは、私はなかなか同一視することはできないと思うのです。たとえば、電気の回路というものはよほど精密にやっておっても、これはなかなかむずかしいものでして、いわゆる電気が何かの接触不十分というようなことがあっても、これは操作の中でわからない場合もあるわけです。それが事故原因になることもあります。それからもっと大切なことは、複雑になれば複雑になるほど、どこかの部面で補っているという場合がある。そういう場合にはなかなか電気回路の故障というものは発見しにくい。ですから一般の車両工場、あるいは検車場、こういうところでは、なかなかそういう精密な検査というものはできない場合があるだろうと思うのです。ですから、むしろそういう高度の、性能の高い車両がつくられた場合には、その車両の検修はその工場に入れて、そうして工場で精密な機械検査、メーター検査の上で、その成果というものを確認する、こういうことにならなければいけないと思うわけです。ですから、いままでのようにいわゆる勘でというようなことはとうてい許されないのが今日の機械の性能ですから、そういうことを考えてくると、私は、期間を短縮するという条件は、事故がないからということだけでは、そういう理論的根拠というものがなかなか出てこないと思います。それから、車で一番大切なところは、機械的な面でセンターピンだといわれている。あの二点でささえられておるだけですが、これが大体一年に一回はどうしても取りかえないと摩耗が激しい、われわれはこういう報告を受けています。そうすると、このセンターピンが一年半たったときに折れる事故がどのようにふえるか減るか、こういうことも問題になってくると思います。センターピンが折れれば電車は文句なしに飛んでしまうのです。ですから、事故が起きて特別監査をやったり、営業停止を命じたり、こういうことをしても、これはおそいんです。そういう問題がいろいろたくさんあると思います。もちろん当局にはそういう専門家がたくさんおられるのですから、局長も言われたように、いわゆる会社の経営本位ではなしに、こういうものはすべて安全運転というたてまえの上から制定されるということは局長の言われたとおりでありますから、その点については重ねてひとつ十分な検討をしていただくようにお願いしておきたいと思います。
  34. 久保三郎

    ○久保委員 関連質問。——先ほど御報告がありました昨日の名鉄ですか、追突事故で、新聞で拝見すると、当該の運転士は、訓練期間というか、養成期間を終わってから十日だという話を聞いたのですが、そういう事実がありますか。
  35. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 現在まで調査いたしましたところによりますと、追突をいたしました運転士は島田という運転士でございますが、経験十日となっております。すなわち、三月十七日に運転免許を取っております。運転免許をとりましたから一本立ちできるわけでございます。教習所においてこの間不可欠の訓練は十分受けているはずでございまして、免許を取りますれば一本立ちはできるわけでございますが、この辺も、経験十日の者が、しかも特急の乗務員をやっておるということも問題かと存じまして、この辺も今回の事故については十分調べるように指示しております。なお、この運転士はきわめて重い重傷でございまして入院中でございますので、いまのところ十分な供述等は得られていない模様でございます。
  36. 久保三郎

    ○久保委員 なるほど運転免許証というか、それは取られたと思うのでありますが、いまお話しのように、鉄道経営の中では、免許を取ったというか、資格がついても、ある期間実地の見習いは当然やらなければいかぬのですね。言うならば、そのあとで優等列車はかなり経験を積んだ運転士を乗せるというのが常識と言われるほどになっている。そういう指導については、運輸省としては、基準というか、そういうものもいままで別段にないだろうと思うのです。そういう指導については手抜かりがあったのではないかと私は思うのですが、どうですか。
  37. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 常識的に考えますと、かりに資格を得ましても、ある程度十分なれるまでは指導運転士等をつけておるのが大体の例だと思いますし、私ども大体そういう指導をやっておりますが、今回の場合はこの辺がどうなっているかというふうなことを調べたいと思っております。
  38. 久保三郎

    ○久保委員 全般について、運転要員の養成の方法、あるいは期間、それから実務につく場合の基準、こういうものもこの際一ぺん見直してみたらどうか、こう思うのです。当該の鉄道従業者だけではなくて、やはり全体的に見てそこに無理がいっているところも多少あると私は思うのです。この運転士が悪いとか、いいとかいうことではなくて、全体の安全輸送を考えたら、やはりそういう面からも一ぺん見直すということが必要だと思うのです。これはひとつ至急にやってみたらどうかと思うのですが、どうでしょう。
  39. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 私どもも従来からそのような指導をやっているつもりでございますが、この事故を契機といたしまして、こういった点も十分慎重に検討してみたいというふうに考えております。
  40. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 ちょっとそれに関連してお聞きしたいのですけれども、名鉄は運転士の養成期間、教習期間はどうなっているのですか。
  41. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 各会社の養成期間によって多少異なりますが大体最低六カ月ぐらいはやっているというふうに考えております。
  42. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 それは実務研修が最低六カ月ですか、それとも学修も含めた期間が六カ月ですか、どっちですか。
  43. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 両方を含めまして大体六カ月ぐらいだと思います。と申しますのは、学科が最低四百時間、実務が最低四百時間となっておりますので、両方合わせますと大体最低六カ月ぐらいの教育をしていることになります。いまお尋ねの点は、要するに実務も含めて六カ月ということであります。
  44. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 その六カ月の研修期間を終わって一本立ちをして列車に乗る場合に、特急とか急行とか、そういう特殊列車の担当と普通列車の担当、そういう担当列車種別に応じてのいわゆる経験との関連において、行政指導としてはどういう指導をされておりますか。
  45. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 実務の四百時間のうちで、その間におきましていわゆる見習い運転士としてかなり乗務をしておるのが実情でございます。したがいまして、法的に一本立ちになった者をどのように指導するかということは、具体的には役所としてはやっておりませんが、各会社におきましては、この辺は十分実情に即しまして指導をつけるなりあるいは列車を選んでいくというのが実情かと思いますが、なおこの点につきましては、今後役所としても十分指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  46. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 時間がないようですからあまり深くは入れませんが、教習期間を終わって実務につく、その場合に今日では各社ともに合理化合理化という合理化ムードによって極度に人員を節約をしておる。これは経営上はわかるのですけれども、しかし私がいつも言っていますように、こういう人命の尊重という点から考えますと、特に交通機関はその従業員だけではなくて、第三者に与える人命、財産の損害は非常に大きい。ですから今日では国鉄、私鉄を問わず、その施設の容量よりもさらに大きな輸送を要求されておる。それでラッシュは二分ないし三分というふうな間隔で運転をしておる現状なんです。ですから特殊列車などを運転する者については、よほど運転経験の豊富な者をそれに振り向けるように就業上のいわゆる合理化をはからなくては、安全輸送はできないと思うのです。新聞報道によりますと、いま同僚委員から指摘されましたように、非常に経験の浅い運転士が運転しておる。本務になってわずか十日や半月しか経ていない。こういうふうな運転士をそういう特殊な列車に乗務させるということは、むしろ会社の責任ではないか。もっと経験を十分に積ませた後にこういう特殊列車には乗せるべきではないかと思うのです。こういうふうな行政指導が、やはり経営者だけにまかせておくということでは、運輸省の行政指導にはならないと思うのです。もう少し指導性を発揮して、私がいま申し上げたような指導方法をとるべきではないかと思うのでけれども、そういった点については、運輸省は野放しですかどうですか。今後これを契機として、いま少し親切な行政指導をやってやるべきだと思われるのですが、監査をされるというなら、そういった面について監査をもちろんされると思うのですが、その監査方針はいかがですか。
  47. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 ただいまお尋ねになりましたことは、まことにごもっともでございまして、私どももちろん合理化ということは必要だとは存じますが、その前に国鉄、私鉄を問わず、安全という点が第一義でございますので、いやしくも安全を脅かすような合理化ということは、これは絶対に避けるべきことであるというふうに考えております。なおただいまの当該運転士に対しまするいろいろな指導、訓練という点はごもっともでございますので、今度の特別監査項目のうちにも一項目を加えまして、詳しく調べてまいりたい。私どもはそういう指導を従来ともやってまいったつもりでございますが、今後とも明確に御趣旨のような指導をやってまいりたいというふうに考えております。      ————◇—————
  48. 川野芳滿

    川野委員長 次に、小型船海運業法及び小型船海運組合法の一部を改正する法律案議題とし、審査を行ないます。  質疑通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
  49. 久保三郎

    ○久保委員 この法案の前提になる船腹の問題についてお伺いするのでありますが、先般運輸省が発表しました長期計画に基づく輸送量の算定、それによりますれば、内航海運の輸送量は、三十七年度実績で一億九千五百万トン、こういうふうに実は出しているわけです。しかも昭和四十五年度の見通しというか、これは三億四千二百万トン、こういうふうに実は出ておるわけであります。そこで、これはわが方としてまだ説明は受けておりませんでしたが、内航船腹の増強というか、これについても先般運輸省は一つの資料として出したそうであります。この輸送の見通しあるいは現在の数量、それからいまお話を申し上げた内航船腹の増強の見通しというか、そういうものとの関連についてひとつ御説明を承りたい、こう思うのです。というのは、これは新聞で拝見したのでありますが、昭和四十三年度の内航輸送量をトータルで、油を入れまして一億五千万トン程度として、大体現有船腹量が百五十五万五千総トンということで、これに対しては大体百十九万トンの不足であろう、こういうふうに試算されたそうでありますが、この関連を聞きたいのです。
  50. 高林康一

    ○高林説明員 先に全体の国内貨物輸送の需要の見通しの問題でございます。この点につきましては、現在試算しておりますものは、先生の御指摘のございましたように、四十五年度におきましての内航輸送、これは現在の見通しにおきましては、トン数におきましては三億四千二百万トンというようなトン数を考えております。それからトンキロにおきましては、これは千四百万トンキロばかりの程度の数字を一応想定しておる次第でございます。この場合におきまして、先生が御指摘になりましたその前の試算におきましては、輸送量といたしましては四十三年度の貨物船あるいは輸送船の輸送量といたしまして考えておりましたものよりも相当高く考えられるようになったわけでございます。この点につきましては、具体的には、いろいろ計算過程におきまして、輸送需要の見通しその他の関係で当初の見通しよりもかなり多い輸送需要が見込まれるのではないかというようなことで、数字を改定してまいった次第でございます。  大体そのような経緯になっておるのございます。
  51. 久保三郎

    ○久保委員 先ほど申し上げたように、四十三年度までに百十九万総トンを内航船腹として増強しなければならぬということだと思うのですが、それは違いますか。
  52. 高林康一

    ○高林説明員 この点につきましては、四十三年度の百十九万トンと申します数字は、貨物船につきましては四十三年度は大体二百万トン、油送船につきましては、これは鋼船ばかりでございますが、大体八十万トンというようなことで、大体二百八十万トン程度の鋼船ということを考えておるわけであります。ただこれが基礎になりましたところの輸送量というものが、先ほど申しましたように、非常に低目に見積もっておりましたので、若干数字を改定する必要があるのではないかというふうに考えております。
  53. 久保三郎

    ○久保委員 若干低目にということでありますが、それにしても輸送量を一億五千三百万トンという基礎でいまお話の二百七、八十万トンの保有量にしなければならならぬという算定だと思うのですが、この長期の国内貨物輸送需要の見通しからいけば、三十七年度の実績は一億九千五百万トンですね。そうだとすれば、三十七年度の実績より下回った計算の基礎においてやっておられるところにもどうもちょっとおかしいのじゃないかという気持ちもしておるのですが、どうですか。
  54. 高林康一

    ○高林説明員 この基礎になりましたところの、いま先生の申されましたものは、まず鋼船だけの数字であるということが一つの食い違いになっております。これは鋼船、木船を含めて全体を考えてたのが、先般運輸省でいろいろ試算いたしましたところの数字でございます。この点がまず一つ違う点でございます。  それからもう一つは、現在の三十七年度実績のとり方でございますけれども、三十七年度実績といたしましては、従来業務統計でとっておりましたのが、本年度から指定統計になりましたので、そこでいろいろ修正をやっておるわけでございます。その修正の過程中でございまして、若干それがふえてきつつあるという状況でございます。
  55. 久保三郎

    ○久保委員 正確な資料をいただいておらないからわからないのでありますが、あとで、四十三年度における保有船腹量をどういうふうに見ているのか、それを資料として提出願いたい。それからいまのお話だと、これは鋼船だけだというが、木船についてはどういう見通しであるのか、あるいは木船の代替建造の計画はどういうふうになっているのかという資料を出していただきたいと思うのです。  そこで概括的に聞きますが、船腹過剰ということを提案の説明の中でも言っておられるし、世間でも船腹過剰だというのだが、その船腹が過剰であるかどうかはどういうふうに把握しておられるか、その数字はどうですか。
  56. 高林康一

    ○高林説明員 現在の船腹過剰の状態、これは見通しといたしましていろいろの見通しがあり得ると思いますけれども、私どもの考えておりますのでは、三十八年七月現在、年央現在の鋼船だけをとってみますと、貨物船については百十三万トンございます。それからタンカーにつきましては四十万トンございます。これが現在の船腹量でございます。それで三十八年度いかなる程度のものが適正船腹量であるかということを試算いたしておりますけれども、大体のところの考え方といたしましては、三十八年度にとってみますと、貨物船は百八万トン程度が適正なものではなかろうか、タンカーにつきましては大体二十九万トンないし三十万トンというようなところが適正ではなかろうか、したがいまして、貨物船につきましては約五万トン、タンカーにつきましては約十万トンないし十一万トンというようなものが過剰になっておるのではなかろうかというように考えておる次第でございます。
  57. 久保三郎

    ○久保委員 それは木船は入らないのでありますか、全部入れてですか。
  58. 高林康一

    ○高林説明員 これは鋼船の考え方でございます。
  59. 久保三郎

    ○久保委員 内航の全体の輸送の比重からいえば鋼船のほうが多いかもしれませんが、いまちょっと資料が見当たりませんが、船の数からすれば木船が非常に多いということであります。これは先般の質疑にも代替建造なり何なりをしていきたいということでありますから、この計画の数量はあとでいただくことにしましても、いまのお話では鋼船で十六万トン、これが全体だとこう仮定いたしましても、将来の見通しというか、この見通しからいって百二十万トン近くも四十三年までの五年間につくらなければいかぬという計算ですね。そうなりますと、いまさらどうも内航の適正船腹量をきめて、ワクをはめて、いわゆるこの過剰傾向を収束していきたいというようなことは必要ないのではなかろうか、法案までつくってやる必要はないのではないかという気持ちを、これだけでは単純に抱くわけです。この辺の考え方はどういうふうになっておりますか。
  60. 若狹得治

    ○若狭政府委員 確かに御指摘のとおり、一部におきましては過剰傾向があるわけでございますけれども、全体としては今後の内航輸送の伸びを考えました場合に、いま規制することがおかしいではないかという御議論があるかと思いますけれども、この実態を見ますと、たとえば鋼船の三〇%程度のものは在来船あるいは戦標船等の不経済老朽船でございます。それから木船の約六六%は法定耐用年数を超過した船舶でございます。したがいまして、現状の輸送力という面から考えますと、とにかくこれを消化いたしており、かつその上に多少の余剰があるという状況でございますけれども、問題はやはり今後の輸送需要に対応し得るような経済性の高い船舶を建造していくのにはどうしたらいいかということでございます。したがいまして、現状におきまして過剰傾向のために非常に経営内容も悪化いたしておりまして、とうてい船舶の近代化というような需要についていくことができないという状況でございます。また運賃市況も年に低下しておるというような状況でありますので、それを打開いたしまして、内航海運の経営を安定させて、しかも近代化の要請あるいは輸送需要の増高に対応するためには、一度やはり建造規制ということにも踏み切り、また輸送の自主的な統制ということによって運賃の安定をはかるというような制度を確立いたしまして、新しい輸送需要に対応していくということを考えるのが適当ではないかと考えておるわけでございます。
  61. 久保三郎

    ○久保委員 どうもしろうとでよくわからないのでありますが、いまお話しの前半は、先般の中小型のときでありましたが、お話を聞いたとおりであります。これは代替建造でやっていけばいいのでありまして、その面の調整なり船質改善をやっていけば事足りるのではないか、絶対量をふやさないというなら、それでいいだろうと思います。ところが片方で四十三年度なら四十三年度の見通しで絶対量をふやそうと言っておる。いわゆる代替建造ならとんとんでいけば船腹量はふえないですね、ところが、いまの見通しでは百二十万トン近くこれは増強しなければならぬ、こう言っていらっしゃる。あなたの前半の説明は、これは代替建造ですよ。老朽船とか木船を鋼船にかえるということなんですね。だから私が聞きたいのは、角度を変えて聞けば、内航船腹全体を運輸省は掌握しておられるかどうか、二十トン未満は対象外にいたしまして、二十トン以上のもの全体の内航船の船腹というのを掌握しておられるのかどうか、こう思うのですが、どうですか。
  62. 高林康一

    ○高林説明員 御指摘のように、従来内航の輸送状況あるいは船腹状況その他については必ずしも統計が正確でない点がございます。ただ、本年度から、この点につきましては指定統計等を設定いたしまして、そして正確なデータが大体非常に正確な方法で集まりつつあるわけであります。ただ、残念ながら、この点につきましては、まだ年度間の集計ができ上がっていないという状況でございます。それと、過去の統計とのつながりという点にはなお問題はありますけれども、年度一ぱいたちますれば、全貌ははっきりつかめるというふうには考えておるわけでございます。現在の段階におきましては、指定統計によりまして相当正確なものをつかんでおるつもりでございます。
  63. 久保三郎

    ○久保委員 それでは後刻それを出して下さい。  そこで、その現象面にあらわれたものは船腹過剰という現象だと思うのです。外面的に見ればですね。ところが、われわれはここで、ほんとうに船腹過剰なのか、それとも中小企業というか零細企業が多いので、結局無理な稼働をしながらやっているから、そこにいわゆる運賃のダンピングも出るだろうし、それからもう一つは過当競争のようなかっこうも出てくる、こういうふうに見る面もあると思うのです。そういう点についての分析というものはなさってあるでしょうか、いかがでしょうか。
  64. 若狹得治

    ○若狭政府委員 確かに過当競争による運賃の低迷という問題は当然あるわけでございます。ただわれわれのほうで過去の実績によって判断いたしますと、過去の輸送の状況の中で稼働率が非常に高まった年度があるわけでございます。これはわが国の経済の発展に伴いまして国内の輸送需要が非常に伸びた年でありますが、こういう年の船舶の稼働率というものから見ますと、現在の船腹量というものははるかに必要量をオーバーしておるということは当然言えるわけでございまして、そういう過去の実績からも現在の過剰状態がやはり証明されるのじゃないかというように考えておるわけでございます。それで、この船舶稼働率というものをどういうふうに算定するかという問題になりますと、いろいろ異なったところあるいは異なった貨物につきましていろいろな稼働率があるわけでございますし、輸送距離その他も年々違ってまいりますので、明確に何トンの船舶で何トンの物資を輸送するかということを、内航について的確に判断することは非常に困難でございますけれども、現在われわれのほうで推定いたしておりますのは、過去の実績その他専用船による稼行率の向上というようなものを加味いたしまして、そうして稼働率というものを推定いたしておるわけでございます。これから見まして、現在の船腹量というものは、たとえばタンカーにつきましてははるかに必要量を超過しておるということがはっきり言えるのではないかというように考えておるわけであります。
  65. 久保三郎

    ○久保委員 私が聞きたいのは、現象面として船腹過剰、運賃低迷、こういうふうに単純にとっているのでありますが、そうじゃなくて、もう一つの要因がありはしないか、企業自体が零細というか、そういうものもたくさんある。そうなりますと、稼働も無理な稼働をしている、運賃についてもそういうわけですからダンピングの傾向が出てきている、それが現象面にあらわれた場合には、運賃の低迷ということで今度は船腹過剰というふうに直結しやしないか、というのは、あなたのほうの試算からいって船腹量は拡大するのだ、こういう計算が一つ出てまいりますので、それでは話が違うじゃないかと、こう言うのです。過剰なものなら船腹をそう増強する必要はないのであって、先ほど局長が言うように、中身をかえていけばいいのですね。代替建造なり何なりしてやっていけばいい。だから、そうなると法案の大きな柱であり、ねらいであるところの適正船腹量の設定というか、そういうものによってこの過当競争なり運賃低迷を防ごうというねらいは必要ないじゃないか、こう思うのです。むしろありとするならば内航海運の秩序そのものだと思う。ところが内航海運業者全体についても把握がなかなかできない。できないとするならば、運送組合でありますか、こういうものの徹底したものでまず組織を的確に把握できるという仕組みのほうがより適切ではないか、いま直ちに船舶量を云々してもどうも雲をつかむような話だし、内容の分析についても的確にできないということならば、むしろいま申し上げたような方法をまず先行させて、そのあとで的確に見通しなり実態がわかったというときに、必要があればこのワクをはめるという方法をとるべきではないかとさえ思うのですよ。われわれはしろうとでありますから、あなたらが船腹過剰と言えばなるほど船腹過剰かなと、実際のところこう思うほかないのです。ところがひるがえってみれば、いまのような話になる、こういうことなんです。そういうところについて、もっとすかっとした答弁がないですか。
  66. 高林康一

    ○高林説明員 まず船腹過剰の問題でございますけれども、従来の傾向を見ておりますと、大体成長率を一〇〇といたしますと、船腹の増強傾向といたしましては一二〇ぐらいに伸びておったのが従来の実績でございます。ことに三十七年でございます。これは年度でございますけれども、その年においては、前年に対比いたしまして、タンカーは倍のトン数が建造されたというようなことになっておるわけでございまして、そういうような点におきましては、船腹過剰の傾向は成長率を異常に上回ってまいったということが第一点でございます。したがいまして、そのあらわれ方といたしまして、輸送需要に対応いたしまして、それはむしろ経済成長率その他によって大体出てくるわけでございますけれども、それに対応いたしますところの船腹量というものはこの成長率以上に伸びてきておったということが、今日の船腹過剰の動向になっておるわけでございます。  そこで次に、したがっていま先生の御質問の問題は、船腹過剰ではなしに、企業の零細性といいますか、そういうことに伴うところのダンピングというようなことが基本的な原因ではないかというように考えられるのでございますが、もちろんこういうような傾向があることは否定できないと思います。やはり事業が数千に及びますような事業でございます。しかもそれが大体非常に小規模であるというような実態も伴いまして、非常にダンピングが行なわれやすいというようなことが、この船腹過剰傾向にさらに拍車をかけたことは事実であろうと思います。しかしながら、やはり船腹量が適合しておれば、非常にダンピングがありましても——現在昭和三十二年に比べまして一〇〇に対して六五ぐらいの運賃率ないしはせいぜいよくて八〇というような運賃率でございます。そういうようなことは、やはり船腹過剰というのが基本的な要因になっておるのではないかというふうに考えられるわけでございます。  それから先ほどの御説明で、問題点といたしまして四十三年度におきましてはほぼ二百七十万トン程度の船腹が必要であるということを申し上げたわけでございますが、これは鋼船でございます。御存じのように現在の内航船は鋼船におきましては百五十万トン程度、それから木船につきましては大体百十万トン程度あるわけでございます。そこで全体といたしまして正確には二百六十七万トン程度だったかと思いますけれども、すでにそれだけの船腹量を持っておるわけであります。鋼船の分野というものは今後広がると思いますけれども、木船の分野というものは相対的には比重は非常に低下してまいる。したがいまして、全体といたしましては、従来のような成長率以上の伸び方をいたしますと、ますます過剰に拍車をかけるのではないか。現状はすでに過剰でございます。また将来におきましてもそういうような傾向が出てくるのではないか、こういうふうに考えた次第でございます。
  67. 久保三郎

    ○久保委員 どうもよくわからぬのであります。たいへん恐縮でありますが、資料が整っておらないので、次の機会までに、いま参事官並びに局長から御説明いただいたその基礎になる資料を出していただきたいと思います。木船、鋼船の輸送の割合は大体そう迷わない。木船のほうが大体一千万トンくらい少ないかもしれませんね。あわせてまた別な資料には、ちょっと違った数字ですが、一億二千万トンくらい輸送している、そのうちの六千万トンちょっとくらいが鋼船、一五千万トンちょっとが木船。あなたのあるいは局長のいままでの御答弁によると、木船を全然否定してかかるわけですね。何かそういうふうにとれますよ。木船の存在というものは非常に否定してかかっておる。ところが木船は現実にあるわけです。だから、木船と鋼船を含めてものごとを考えていかないと、鋼船だけで船腹量が余るの減るのということをやったって話にならぬと私は思うのですが、その辺はどうなんです。どうも御説明は、鋼船ばかりに力点があって、半分ぐらいの輸送量を持っている木船についてあまり言及されていないところが、どうも私しろうとでわからないのですが、どうなんですか。
  68. 高林康一

    ○高林説明員 木船の言及が少なかったということは申しわけございませんが、木船の比重が非常に大きいことは事実でございます。数字で申しますと、大体三十八年度におきまして、木船というものは百十万トン程度ございますけれども、しかしながら、鋼船と木船の今後の比重を考えていきました場合に、あるいはまた木船の数が非常に多いというようなことのために、非常に稼働率が悪うございます。したがって、ほんとうに必要な船というようなことで理論的に算定いたしますと、おそらく現在の半数程度で汲むのではなかろうか、こういうふうに考えます。ただ、しかしながら、木船の分野を否定するという意思は全然ございにません。むしろこれらのものがある程度小型鋼船化しつつあるというのが現状でございます。また将来そういうような傾向がますます強くなるであろう。したがって、地域的にはいろいろ木船の存在余地というものが多分に残るとは思いますけれども、総体的なトン数におきましては、やはり減ってくるというふうに考えざるを得ないであろうと考えておるものでございます。
  69. 久保三郎

    ○久保委員 総体的に木船は減るだろうというのは常識的な話でありますが、ただ経営の実態からいけば、木船と鋼船ではかなり差のある部面もあるでしょう。そういうことを考慮の中に入れないで、鋼船はいわゆる船腹増強、木船は自然に減ってくるだろうという見通しについても、ぼくらはわからぬということなんですよ。いずれにしても資料が、私のほうは拾ってきたような資料でありますから、おたくのほうのような権威ある資料に基づいてはおりませんけれども、これは一括出していただいて調べさしていただきたい、こう思うのです。われわれも、あなたの説明で、なるほど船腹過剰かなという気持ちにはなっておるのですよ。なっておるのだが、ワクをはめなければならぬだろうかな。だけれども、内航は、経営の実態からいっても、大、中、小、零細と四つあるのですよ。その経営の実態も違うし、船の大きさも違うし、それからタンカーその他石炭専用船もあるし、こうなると、これは千差万別、なかなかどうも現状を把握するのが困難だと思う。そこらのところを的確につかまえないで、船腹過剰だからひとつワクをはめようというだけで単純にやっていいのかどうかという問題もわれわれ考えざるを得ないのです。だから、ここで稼働の実態についても、どういう資料があるかわかりませんが、そういうものも、木船なり鋼船なりについて出していただきたい、こう思うのです。確かに、予算はきょう通るでありましょうが、その予算の中にも、そういう内航対策という前進のきざしは見えます。見えますが、むしろ大きいのは、この法案自体、どうやるかが実際は問題だと思っておる。ですから、ここでもう少し整えた資料を出していただきい、こう思うし、要求がなければ資料は出さぬのが大体しきりでありますが、説明を十分して国会の審議もスムーズにやるというのならば、資料は積極的に出して審議をスムーズに円滑にやらせるということでないと、なかなか進まぬ、こう思うのです。そういう意味で、きょうは資料の要求をしまして、資料が出てからさらにお伺いしたい、かように思います。
  70. 川野芳滿

    川野委員長 次会は明四月一日水曜日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十七分散会      ————◇—————