○肥田
委員 もう一つ疑問に思うところを聞いておきたいと思うのですが、いま、これも私のほうにまいりました
資料で見てみますると、こういうことが考えられるわけです。要するに
車両検修の時期を
延長するという、この考え方は、一面に
車両の性能がよくなってきたという、この事実も決して否定するわけじゃないのでありますが、現在各地方
鉄道でとっておる
車両検修の方法を見てまいりますると、特殊な会社は別にして、大体一年
検査くらいまでは自分のところでやる、その他のものは、いわゆる外注で整備さしていく、こういう方法をとっています。で、外注というても、実は形式だけなのであって、従来持っていた施設の中の一部分を外注と称する傍系類似の、いわゆる
車両の整備会社にこの事業を委嘱をして、そこで
車両の
検査をやらす、いわゆる解体をやらす、こういう形式をとっているわけです。ですから、その企業のあり方についても、われわれとしてはこれに対してまた意見もあるのですけれ
ども、しかしそれは別にいたしまして、そういう形式をとっているということは、
車両検修というものに対する責任制というものが実は非常に違うと私は思うのです。たとえば、こういうことを言っています。直接その会社の社員で、そして
車両の検修
作業に携わっている、この人人はいつ幾日どこを調べたという
報告書をちゃんと出して、それに基づいて有責、無責の追及を受ける。こういうことになっておるのです。ですから、おまえはどの部分を
検査したかというやつが、ちゃんと次の
検査をする人の名前が出てくるまでに
事故のあった場合には、それはその人の責任の有責
事故になってくる。こういう仕組みになっているわけです。ですから、この期間が
延長されるということは、結局長い間その責任を、いわゆる
作業者がかぶらなければならぬ。こういうことになるわけです。長い間責任をかぶらなければならぬということについてどうこうということではなしに、長い間には機械的な
事故が発生する。ですから、たとえば一カ月
検査は二カ月となり、半年
検査が一年になる、そういうことが起こってくると、
車両の検修そのものに自信が持てないじゃないか、こういう意見が一つあるわけです。これは重要な直接の
作業者の意見だと思います。ですから、今日の
事情の中でその人間の責任に帰するかどうかという、この責任問題はさておいて、実際に
作業を担当しておる人々が責任を持ってやろうとする場合には、とても現在だけでも手が回りかねるんだ、こう言っておるのです。ですから、形式的になる場合もある。その間に
事故がなかったら、やれやれという気持ちでおるのだというのが実情のようでありまして、ですから十分検修はやれていないというのが現状ではないかという気がするのであります。私はこれもどんどんやりなさいということを言っているわけじゃありませんけれ
ども、
事故が起きると、
特別監査ということで
運輸省は出かけられます。それからその間でも随時の
監査、あるいは定時の
監査、こういうふうに出ていかれます。けれ
ども、これとても
当局の人手不足の折からなかなか十分な
監査ができるはずはない。会社側のほうにしても、精密に
監査されるといろいろな欠点が出てくるから、できるだけ模範的なところだけ
監査をしてもらって、そして帳じりを合わそうという、こういう傾向になるのも、今日の
事情ではやっぱりあり得ることだと私は思っているのです。ですから、そういういろいろな問題があるやさきに
車両の検修の時期を
延長する、こういうふうな
条件はとうてい今日なかろうと思うわけです。いまの局長は十分検討するというふうにおっしゃいましたので、早晩いわゆる
運転規則の中に定められた
車両の検修回帰キロという問題につきましてはいろいろな精密な検討がなされるだろうと思うわけですが、それだけに十分慎重なことをわれわれの立場としては要望しておきたいと思うのであります。そういう意味で私は一つ具体的な例を提供しておきたいと思うのです。
いま、ある
車両現有数の大体三百七、八十の会社があります。この三百七、八十持っておる会社の昨年度の
報告によると、一車の検修については大体八日かかるというのであります。この八日かかるもとで一体その
作業員がどれだけおるかというと、百三十三名ぐらいしかいない。結局一年間にできるいわゆる重要部
検査というのは二百六十両ぐらいしかできない。そうすると、三百数十両の
車両のいわゆる重要部分の
検査をやろうとすると、どうしても一年半かかる。こういう数字が出てくるわけです。とても現在の手持ちの要員ではできないということから、ちょうどそれを逆算をしていくと、会社が出してきた
合理化案の一年半の間にどうにかできることになる。結局要員が足らない、機械設備が足らない、こういう
条件を期間を
延長することによって帳じりを合わそう、こういうことになるわけです。ですから、
車両の性能が今日上昇して、これならもう一年半
検査しなくてもだいじょうぶだ、こういうのではなくして、
現行の
規定に基づいた検修をやっていこうとすれば、どうしても三分の一は余るから、そのためには半年間期間の
延長をやらないとできない、そういうことから経協あたりが働きかける可能性は十分あるだろうと思うのであります。われわれとしても、私鉄経協がいたずらに
合理化を考え、あるいは
車両検修をおろそかにすれば
事故が起きるのですから、決してそういうことを考えておるとは思いませんけれ
ども、しかし、そういう良心的な面でこれを善意に解釈するとしても、もしそういう意図のもとに
車両検修の回帰キロを
延長したいという考え方が私鉄
経営者にあり、政府のほうでそういう点をもし度外視されて検討されると、結果は重大な問題が残るんじゃないか、こういうふうに思うわけです。ですから、いまそういう計画はないようでありまして、私がちょっと聞いたところでは、この四月一日から
実施されるかもわからない、こういう話を聞きまして、そんな話があれば、これはわれわれも耳にすることだけれ
ども、耳にしないところを見ると、まず当分その点は
心配ないだろう。しかし
心配ないからということと、会社のほうが事実上そういうふうに検修をサボって、そうして
当局のほうに対する
報告書があいまいにされておるということなら、これはけしからぬことだという話をしたことがあります。どうかそういう実情を十分検討されて、こういう問題には手をつけていただきたいと思います。
最後にお伺いしておきますが、局長、こういう重要な問題がいきなり実現するということはありませんでしょうね。