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1964-03-27 第46回国会 衆議院 運輸委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月二十七日(金曜日)    午前十時二十五分開議  出席委員    委員長 川野 芳滿君    理事 有田 喜一君 理事 關谷 勝利君    理事 塚原 俊郎君 理事 西村 直己君    理事 山田 彌一君 理事 肥田 次郎君    理事 矢尾喜三郎君       佐々木義武君    進藤 一馬君       高橋清一郎君    高橋 禎一君       西村 英一君    長谷川 峻君       増田甲子七君    井岡 大治君       勝澤 芳雄君    島上善五郎君       泊谷 裕夫君    野間千代三君       山口丈太郎君    内海  清君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 綾部健太郎君  出席政府委員         運輸政務次官  田邉 國男君         運輸事務官         (大臣官房長) 佐藤 光夫君         運輸事務官         (海運局長)  若狹 得治君         運 輸 技 官         (船舶局長)  藤野  淳君  委員外出席者         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 三月二十五日  委員内海清辞任につき、その補欠として玉置  一徳君が議長指名委員に選任された。 同日  委員玉置一徳辞任につき、その補欠として内  海清君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月二十五日  中小型鋼船造船業合理化臨時措置法の一部を改  正する法律案内閣提出第一三二号)(参議院  送付) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  中小型鋼船造船業合理化臨時措置法の一部を改  正する法律案内閣提出第一三二号)(参議院  送付)      ————◇—————
  2. 川野芳滿

    川野委員長 これより会議を開きます。  中小型鋼船造船業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を行ないます。  質疑の通告がありますのでこれを許します。内海清君。
  3. 内海清

    内海(清)委員 中小型鋼船造船業合理化臨時措置法の一部改正でありますが、これは三十四年にできまして、御承知のように時限立法でございますけれども、この三月末で切れることになっております。ところが、この中小型鋼船造船業の問題を見ますと、現状ではまだ不十分であると思うのであります。少なくとも当分の間はこれを延長すると同時に、より適切な措置が講ぜられなければならぬと思うのであります。この法案のねらいは大体二つで、一つは中小型鋼船造船業合理化促進、これはひいては輸出の振興関係があるわけでございましょうが、そのための設備に必要な資金あっせん努力するということと、いま一つは、造船技術向上に寄与するということが中心的な問題だと思うのであります。  そこで一つお尋ねいたしたいのは、これはこの法の六条関係になりましょうが、三十四年の四月一日に発足しましてから今日まで設備融資の実績と申しますか、そういうものについてひとつお知らせいただきたいと思います。
  4. 藤野淳

    藤野政府委員 三十四年から三十八年度まで中小型鋼船造船業に対しまして、この法律に基づきまして設備資金あっせんをいたしました額は、開発銀行が約十五億円、中小企業金融公庫が約三億円、別に設備近代化資金と申しまして中小企業近代化資金助成法によるものが約七千万円でございます。この該当設備指定設備といたしまして約六十三億であります。それに対しまして以上のような融資あっせんをいたしております。
  5. 内海清

    内海(清)委員 この場合に、これはむしろお教えいただきたいと思うのですが、運輸省あっせんされる場合に、推薦額あっせん額というようなあれがあると思うのですが、これはどういう性格のものでありましょうか。
  6. 藤野淳

    藤野政府委員 開発銀行に対しますものは推薦でございまして、中小公庫等に対しますものはあっせんでございます。
  7. 内海清

    内海(清)委員 それでは次に、これは七条関係になりましょうが、主としていま申し上げましたような造船技術向上ということでございます。法律には三項あげてあるようでありますが、今日まで技術向上に対しまして具体的にどういう措置が進められてきたか、これをひとつお知らせいただきたい。
  8. 藤野淳

    藤野政府委員 技術向上に対しましては、技術講習会それから基本設計作成等が一番主になるものでございまして、これは一般会計による委託金をもちましてこれをつくりましたほかに、モーターボート競走法に基づく船舶振興会補助事業といたしまして、補助金または委託金としてこれらの事業を補足強化いたしております。
  9. 内海清

    内海(清)委員 大体基本設計あるいは技術基準作成と申しますか、そういうふうなことが行なわれてきたということでございますが、この基本設計につきましては、最近専用船あたりはいろいろ中小造船所でもだんだん仕事がふえてきておるわけです。こういうふうなものにつきましてもやはり小型船と同様な基本設計ができているわけでございますか。
  10. 藤野淳

    藤野政府委員 基本設計は約二十種類作成いたしておりますが、そのうち政府予算によるものは四種類でございます。これらは中小型鋼船造船業をもっぱら対象といたしました設計も相当多数含まれておりまして、これを修正して相当実用に供されておる次第でございます。
  11. 内海清

    内海(清)委員 今後の問題といたしましては、内航海運の問題もございまするが、これらの点につきましては、こういう中小型造船所合理化技術向上という面から格段の御努力をいただきたい、これをひとつ要望しておきたいと思います。  そこで、中小型造船所への政府合理化融資あっせんが、先ほどお話がございましたように、この法律ができましてから約十五億である。そうすると、年間三、四億程度であるかと思うのであります。はたして今日の中小型鋼船造船現状から見たときにこれでいいか、非常に苦境にあえいでおるものが多いと思うのです。私はこの程度ではなかなか合理化促進の力は、もちろん力になりますけれども、力が弱い、こういうことを痛感しておるのです。  そこでお尋ねしたいのは、現在の中小型鋼般造船所が、合理化に対して、今度の法案は三カ年の延長でありますが、どの程度資金が必要とお考えになっておるか、この点をお伺いしたい。
  12. 藤野淳

    藤野政府委員 仰せのように、年間三、四億の合理化設備資金あっせんは決して十全のものではございません。合理化目標達成のためには、今後三年間延長の間に約三十八億円の指定設備投資計画しておりますので、大体従来のようなワクをもってあっせんを行ないたい、こういうふうに考えております。なお、これで足りない分は、技術経営、その他いろいろの面で補強をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  13. 内海清

    内海(清)委員 今後三年間で大体三十八億程度合理化資金が必要である。それに対して、今後大体従来の線あたりでいっていくのではないか、不足のものはさらに何とかしようということでありますが、特にこの法案重要性も認められて延長されるわけであります。したがって、この融資あっせんを大幅にこの際引き上げるべきではないか。これは主として中小型造船所内航海運との関連から見ましても、これも十分合理化技術向上せしめることが内航海運育成にもつながる問題でありまして、大幅に融資あっせんの額を引き上げるべきだというふうに考えますが、その点に対する御所見をひとつ伺いたい。
  14. 藤野淳

    藤野政府委員 仰せのとおりでございまして、今後内航海運に対しまして新鋭の経済船を続々と建造してまいりますためには、設備合理化いたしまして、技術力向上いたしまして、新しい需要の変革に対処していかなければならぬのでございまするが、従来三、四億あるいは四、五億程度資金あっせんあるいは推薦をいたしておりましたが、これを急にワクを拡大することは諸般情勢から非常に困難でございますので、先ほど申しましたように、経営指導あるいは技術の研究の補助とかあらゆる面でこれを補っていって目的達成につとめたい、かように考えております。御意見は全く同感でございますけれども諸般情勢から大幅に拡大することは非常に困難な情勢でございます。
  15. 内海清

    内海(清)委員 必要ではあるが、大幅の引き上げはなかなか困難であるということであります。内航海運の問題もこの国会でいろいろ論議されて、これの育成方向が出てくると思うのです。したがいまして、来年度大幅の融資あっせんが困難にいたしましても、少なくとも四十年度あたりからは当然これが必要になってくると私は思うのであります。この点につきましては、運輸当局におきまして今後十分その点をお考えいただいて、できるだけ資金融資あっせんの額を引き上げるように最大努力をしていただきたい。そういたしませんと、少なくとも中小型造船所につきましては、内航海運と不離一体である、内航運の問題が進むにつれてこのことは私は緊要になってくると思うのであります。この点はひとつ強く要望しておきたいと思います。  なお、先般のOECD加盟合同審査でも私ちょっとお尋ねいたしましたか、融資あっせん——これはもちろん融資あっせんでございましたので、開銀の一般ワクあたりから出るので、大体今日では無理な点があるということも承知いたしますけれども金利の八分七厘というのは、そういう今日の中小型造船所現状から見て、何としてもこれは高いと私は思う。この点は今後におきまして十分御注意願わなければならぬ。これを下げる最大努力をしてもらわなければならぬと私は思うのであります。先般も申し上げましたけれども、やはり少なくとも六分五厘程度にはこの金利が下げられるような施策が講ぜられるべきだ、私はこう考えるのであります。この点につきましては、政務次官がおいでになりますので、政務次官の御所見をお伺いいたしたいと思います。
  16. 田邉國男

    田邉政府委員 先生の御指摘は私も同感でございます。この中小型造船につきましては、できるだけ政府におきましても努力をいたしまして、融資の面におきましても、またあっせん等においても、御期待に沿うように努力しなければらない問題だと考えております。
  17. 内海清

    内海(清)委員 できるだけ善処するというおことばだと思うのでありますが、内航海運育成強化基盤強化ということがいま非常な問題でございます。この問題はひとつ今後格段の御努力を特に要望しておきます。  次に、御承知のように最近海運集約化が行なわれておるわけでありますが、これと並行的に造船所におきましても合併集約と申しますか、ただしこれは大手造船所近代化合理化ということが進められつつあって、その合併集約等がだんだん行なわれてきておることは御承知のとおりであります。ところが先般いただいた資料を見ますと、中小型鋼船造船所の場合は経営基盤が弱いのにもかかわらず、その企業の数というものが年々非常にふえる傾向にある。言いかえれば零細な造船所が各所に見られるという状況ではないかと思います。運輸省においてこれらの乱立する中小造船灰をいかに合理化しあるいは近代化していかれるおつもりか、これらの点につきましての御所見を伺いたい。
  18. 藤野淳

    藤野政府委員 御指摘のとおり中小型鋼船造船所企業の数は相当増加しております。しかしながらわれわれといたしましては、これらの増加の原因を考えてみますと、需要の変化に伴い木船造船業鋼船と兼業になったり、あるいは全く鋼船造船業転換をしたのが相当含まれてきているということを考えますと、今後これらに対しましてどういうふうな方針造船業指導してまいるかという問題が起こるわけでございます。こういう零細な企業に対しましては、まず第一にそこでつくる船が安全であり、性能において絶対に間違いない船であるかというような技術指導が必要だと思います。それからこれらの船が経済性の高い船をつくることによって内航需要にマッチする生産をやらなければならぬということも必要になってくることだと思います。しかしながら、これらの建造能力がフルに稼働いたさなければ、全体の建造需要が充足できないという情勢でもないわけでございますので、われわれといたしましては、それらのものの優秀なものが健全な成長と申しますか、経営の拡大と申しますか、健全な企業に成長するようにあらゆる面で指導はいたしますけれども、中にはそれすら非常に困難な、きわめて幼稚な鋼船造船所も含まれているのじゃなかろうかと考えております。これらにつきましては適当に集約とか整理とか、いろいろな指導をする必要があるんじゃなかろうかと考えております。
  19. 内海清

    内海(清)委員 こういう零細な企業がどんどんふえるということは、今後の造船の問題から考えまして、技術の問題あるいは船の安全性の問題、こういうことも考えましてきわめて問題が多い。ことに本法を適用する問題から考えましても、今日の資金ではある程度限られており、これがふえるだけ問題は多くなってくると思うのです。したがって、これは強力な行政指導によりまして企業が健全に、しかも技術的にも十分信頼のできるようなものに育成していくのが一つは国の責任でもあると私は考える。これらにつきましては、今後運輸当局におかれましても十分ひとつ御勘案願いたい、かように考えるのであります。この点に対する御所見もひとつ伺いたい。
  20. 藤野淳

    藤野政府委員 御意見のとおりでございまして、零細な鋼船企業に対しましては、われわれは限られた設備資金あっせんするつもりは毛頭持っておりません。正しい技術を身につけてまいりますように、設計センターを設置してそれを指導するとか、あらゆる面で指導してまいりたいと思います。しかしながら、これによりまして過剰能力の招来ということに対しましては厳に海運の適正な指導をもって集約していかなければならぬ、かように考えております。
  21. 内海清

    内海(清)委員 もう一、二お尋ねしまして終わりますが、これは造船界全般にわたる問題であります、御承知のように、海運に対しましては、外航はすでにいろいろな助成措置が決定いたしており、内航もこの国会におきましていろいろこの問題で論議されることになっております。ところが、この海運再建の最も基礎となる造船業に対しましては、特に政府のいままで積極的な助成措置がない。たとえば先ほど申し上げましたような設備資金にいたしましても、金利が八分七厘というような状況である。  そこでお尋ねしたいと思うのでありますが、政府はこの造船界近代化合理化のため、この際大幅な資金の確保、融資を行なうべきときが来ておるのではないかというふうに考える。私は特に造船界全般にわたりましての近代化合理化を推進するために、何か資金の面におきまして公団のようなものをつくって資金あっせん等を行なうべきでないか、窓口を一つにしてこれを行なうべきじゃないかというふうなことも考えるのであります。この点につきましてどういうふうにお考えになっておるか、これはひとつ運輸大臣に御所見をお伺いいたします。
  22. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 ごもっともな御希望でございます。私どももさようにいたしたいと思うのですが、政府方針公団方式をなるべく抑制していくという方針でございますので、必要は私どもも痛感いたしておりますが、まだその時期に達しないのであります。
  23. 内海清

    内海(清)委員 大臣は、政府方針公団等のごときものは抑制するということでありますが、ところが現実にはだんだんこれはふえていっておるのですね。これは国全体から見てふえていっておる。したがって、運輸大臣のみがそういう方針に従って、必要であるけれどもそれができぬということは、少しうなずけぬと思うのであります。その点いかがでございますか。
  24. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 御承知のように、鉄道建設公団をやるのにあたりましても非常な抵抗があったのでございますが、これはどうしても必要だというので、一つずつ解決していきたいと思っておりまして、中小造船企業に対する資金あっせん公団というようなものも、必要度の世論の高まりに従いまして、実現できるように努力いたしたい、かように考えております。
  25. 内海清

    内海(清)委員 運輸大臣のおことばでございますが、昨日ですか、経済閣僚懇談会で、国際収支関係船腹増強という問題を御協議になったように新聞にも出ております。いま海運造船にとっては一番重要なときだと思います。そのときに、この問題はただ中小造船所に限りません。大手造船所も、先ほど申し上げましたような事情であります。これはこういう際にこそ早急に御考慮になること、これが実現されることが、私は時宜を得たものではないかと考えます。したがって、この点につきましては、今後の大臣最大努力を要望いたしたいと思います。  これで終わりにいたしますが、今度の法案は中小型鋼船に関するものでありますけれども、これに関連して木船造船業の問題であります。これに対する運輸省所見施策をお伺いしたいと思うのであります。この木船造船業の現勢については提案理由補足説明でも明らかでありますように、中小型造船所の中に多くの木船造船所があるわけであります。この木船造船業の問題を抜きにして中小型造船所の問題を解決するということは非常にむずかしい問題があるんじゃないか。したがって、政府のほうでは、将来は木造船というものを減らして、だんだん鋼船中心に移行するという御意向のようにも考えるのでありますが、現在ありますところのこの多数の零細な木船造船所、そういう観点から言えばこの木船造船所救済問題を抜きにしては、鋼船中心主義方向に進むことになかなか困難な問題があるのではないか、片手落ちの施策になるのではないかというふうなことを私は心配いたすわけであります。政府は一体これらの木船造船業に対しましていかなる措置をおとりになるつもりか、このことをひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  26. 藤野淳

    藤野政府委員 木船造船業鋼船造船業転換しておるということを申し上げましたが、現在並びに将来におきましても、木船鋼船と活動の分野がやはり確定されるとわれわれは考えております。比較的小型船舶につきましては、いろいろな面で木船有利性も立証されておりますので、今後ともある程度木船造船業は存置しなければなりませんし、なお体質改善をしてこれを近代化しなければならぬと考えております。それにつきましては、中小企業近代化促進法指定業種木船造船業を指定することに最近決定をいたしております。今後その線に沿ってますます近代化をしてまいりたい、かように考えます。救済ということよりもむしろ前向きで、もう少し近代産業としてこれを育成強化するという方向指導してまいりたい、かように考えております。
  27. 内海清

    内海(清)委員 救済というよりも前向きの姿勢で、これもひとつ育成強化しようということでありまするが、今日木船造船所というものは非常に零細で、数がきわめて多いのであります。ですから、これをやられるに際しては、よほどの決心が要るので、同時にまた今度の法案趣旨から申しましても、こういうふうなものにもやはり政府は手をつけなければならない。これは鋼船造船所よりより零細である、そこに私は多くの問題を残しておると思うのであります。どうかこれらにつきましては、ひとつ今後抜本的な施策をお考えいただいて、これの育成強化ということに御努力願いたい。時間があれのようでありますから、いずれまた内航海運問題等も論議されるので、その機会に譲りたいと思いますが、この法に関しましては、最初申し上げましたように、この法案二つの大きな目的があるわけであります。特にこの合理化資金あっせんということ、これは外航海運育成強化、これを控えて格別に重要な問題である、こう思いますので、この点について、今後できるだけの努力を払っていただきたい、このことを強く要望して質問を終わります。
  28. 川野芳滿

  29. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私はひとつ事務的に要望を申し上げておきたいと思います。  最近、政府から提出されます法案その他の配付書類について、簡単に正誤表が出されるのです。これは国の大切な予算書の中にまで重大な、正誤表というものよりも根本的な訂正等が出されて、これが新たな提案かどうかということで、会議では非常な混乱を生じたことは政府承知のとおりだと思います。最近こういう権威ある国会最高決議機関が審議をする提案案件書類に、簡単な正誤表があまりにもたびたび配付されるということはどういう意味でありますか。大体これは、関係当局の綱紀というものがあまりにも弛緩しているのではないか。もっと権威あらしめるためには、もっと権威のあることをしなければならぬと私は思う。一体こういう書類配付前の印刷取り扱い等について、これはどういう経過をたどっておるのか、またこれに対して——大臣ちょっと聞いてください。こういうことは大臣の耳に入っているのですか。そういうことだから、こういうことになるのです。これは笑いごとでは済まされない問題です。法の一字一句というものは、国民のためにも重大関心を持って生まれたものであって、一言半句といえども、どんな微細なことであっても、国民にとっては重大なことだと思っておる。それだけに提出される案件、その他の配付書類については内容をもっと整備すべきではないか。私はまだ国会に入って十年あまりですが、しかし、だんだん書類取り扱いというものは、極端に言えば粗漏その極に達しておるといっても過言ではないですよ。これは運輸省だけでもこういうことに対してどういう指導をなさっておるのか。運輸大臣から、その指導のいままでの方法と、これからの運輸大臣所見を明らかにしてもらいたい。
  30. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 私も山口委員と同様の感を持っておりまして、再三注意いたしておるのでございます。御警告の次第はよく尊重いたしまして、今後さらにさらに努力いたしたいと考えます。
  31. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 おざなりな答弁ではいけませんよ。前には、印刷局がやったのかどうかわからぬが、配付書類については、官報、号外その他政府の発行しているものについて、一言半句違ってもその人間は配置転換その他適当な処分を受けておるのですよ。いまはそういう処分をしていないのです。(「民主主義」と呼ぶ者あり)何ぼ民主主義といったって、みずから責任を明らかにすることによって民主主義が成立する。民主主義だからといって、でたらめなことをしてはだめですよ。それだけの責任を持った、自覚を促しておるのかどうか。今後こういうような誤りを犯した者に対しては、それ相当の処分をするのかどうか。このくらいきついことをやらなければだめだ。国会を軽視するもはなはだしい。一体どうですか。そういう意思がありますか。
  32. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 さっき申しましたように、まことに遺憾なことでございます。私は、国会軽視というようなことはもちろん考えてもいませんし、何とかいたしたいと思うのでございますが、いまだに根絶いたしませんことは、政府全体として遺憾でございます。今後機会あるごとに御趣旨に沿うように努力いたしたいと思います。
  33. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 いまの答弁で了解をしますが、これは運輸大臣一人の責任じゃありません。閣議において運輸大臣がこれを主張して、政府全体の発行しておるところのすべての書類について、その内容についてはもっと慎重な、誤りのない取り扱いをし、なお今後こういうことが繰り返される場合においては、さきに申したような強い処分をするくらいな心がまえで、政府機関の緊張を促すようにリーダーシップをとってもらいたいと希望しておきます。
  34. 川野芳滿

  35. 肥田次郎

    肥田委員 私は、今度のこの中小型鋼船造船法律期間延長という問題に関連しまして、少しお伺いしたいことがございます。それはこの法が制定されたときの目標であったところのいわゆる合理化基本計画、これがこの報告を見てみますと、先ほど内海委員から若干触れられておりましたが、やはりこの計画の推移の中に矛盾が出ておることははっきりしておると思います。そこで、この矛盾を具体的に今後どういうふうにされるのか。要するに、この計画は三十八年度で終了しようという出発の目標であったと思うのですが、その点についてお伺いをしたいことがあるわけです。  まずお伺いしたい一点は、当初においては、企業の数が三十四年の三月には二百十七であって、それが三十八年の三月には三百四十二、百二十五企業がふえておる、こういうことになっております。ここで問題になるのは、いわゆる合理化というこの中で四つの目標がありますね。これにも書いてありますように、この技術向上という問題と、それからもっと大切なことは船舶の性能の向上、それからさらに企業技術的な面においては、ただ単に企業技術ということだけじゃなしに、こういうように最初二百十七であったものが三百四十二にふえるという、こういう形が望ましかったのかどうか。最初の基本的な合理化計画の中に、企業の数をふやして技術向上さし、経済船舶をつくろうということがほんとうに考えられておったのか、結果的にこういうことが生まれてきたのか、この点について今日までの経過ははっきりしていると思いますからお答えいただきたいと思います。
  36. 藤野淳

    藤野政府委員 この法律を施行されまして以来、企業の数が相当ふえて、六〇%増加いたしております。それは木船造船業鋼船造船業転換あるいは兼業の形で新たに加わったものが相当ございます。これは結果としてこのようになりましたので、われわれといたしましては許可制はございませんので、自然にそういうふうになったのであります。
  37. 肥田次郎

    肥田委員 そうすると船舶局長、この合理化の中に企業というものについては何の指導もやらなかった、野放しで、結果的には乱立が行なわれてきたのですが、結局それらについては全くほおかむりでおった、こういうことになりますが、そのとおりですか。
  38. 藤野淳

    藤野政府委員 小型鋼船造船業に対しまして、この法律におきまして一定の技術目標、生産目標設備目標を掲げて指導いたしておるたてまえから申しまして、企業の数が当初に比べて非常にふえるということは、形式的には非常におかしいわけでございます。しかしながら、われわれといたしましては、全体の生産力を厳重に管理をいたしておるわけではございませんので、設備合理化し、技術その他を向上せしめることによりまして、近代化船舶と申しますか、経済性の高い船舶がどんどんできることを希望いたしておるわけであります。しかしながら、われわれといたしましては、全体の建造能力と申しますか、合理化近代化に伴って自然に増大いたしました生産能力は合理化基本計画に見込んでおるわけであります。零細な企業が大量にふえてまいることに対しましては、企業の許可制がございませんので、これは抑制はいたしておりません。しかしながら、全体の生産能力から申しますと、企業の数はなるほどふえておりますけれども、つくる船は非常に小型でございますし、全体の生産能力への影響は数字的にはそう大きくないわけでございまして、合理化基本計画に支障を与えることはあまりないのが現状でございます。
  39. 肥田次郎

    肥田委員 どうもいまのお答えのことがよくわかりませんが、私がお聞きしているのは、今日までの経過の中で指導的な態度というものを聞いているのですが、何かあなたのお答えを聞いていると、矛盾矛盾として感じられておらないような気がするのです。そもそもこの中の一番大目標といいますか、これはあなたのほうで報告書にも書かれているように、安全性の確保に関する技術はある程度目標を達した、こういうふうにいわれておりますが、しかし本来の目的であるところの生産費の低減、あるいは経済性の高い船舶をつくるという技術的な面、こういう面については、いまだしである。こういうふうに報告されておるのです。この関係を見ると、私は、一目してわかることは、こういう業界の指導というものは、よほどいわゆる積極的な指導がなされない限り、こうしてこの合理化法というものをつくって、政府がこれに対して援助指導を与えていっても、勢いそういう形に流れやすいものだから、結果は、何にもならないことで、アブハチとらずの結果になるじゃないか、こういうことを私は言っておるわけです。たとえばここで見てもわかるように、百二十五社の企業が増加した。小さい企業はふえたんですね。人員については千八十三名ふえた、こういうふうにあなたのほうで報告をされておるのです。企業がふえるということ、こういう造船業の、いかに小さい船をつくるんだからといっても、こういう小さい会社が百二十五も、六〇%もふえるというような姿は常態であるとは思えない。しかも、この常態であるとは思えないということは、本質的に、そういうふうに企業がふえて、その中から性能の優秀な船舶がつくられる、あるいは技術向上がそれによって生まれてくるということは、いかに競争意識によってそれをあおったとしても、なかなかそうはいかないだろうと思うのです。たまたまその辺で、内海委員からも、こういうものを何か一まとめにするようなというような意向が、ちょっと話に出ておりましたが、いまそこまでいかないとしても、こういう点を、いわゆるしかたのない結果だと思っておられるのかどうか。これは今後、この法案が三カ年延長されるということになれば、この弊害というものはさらにふえてくる。その点については重要な問題だと思うので、はっきりしたひとつ指導上の考え方というものを聞いておきたいわけです。
  40. 藤野淳

    藤野政府委員 企業はふえてまいりましたけれども、これらは全部新造の船をつくる企業ばかりではございませんで、われわれが届け出を受けました新規の企業の中身は、大部分は修繕業を業とする造船業が多いのでございます。したがいまして、生産能力にもあまり大きな影響は与えない。先ほど申し上げましたことを、もう少し明確に訂正いたしますが、三十四年の建造の水準と、三十六、七、八年の建造の水準とは相当違っておりまして、倍以上の生産をあげておりますし、したがいまして、三十五年の企業の数と三十八年三月末の企業の数とは、相当相違をしておりましても、これは生産が相当上がっておりますので、われわれとしては自然な姿だと思っております。しかしながら、この企業の数が相当ふえておることが、そのまま比例的に生産力が上がっておるということじゃないのでございまして、これは先生の御質問に対しまして、明確な、的確な答弁ではないかもしれませんが、われわれといたしましては、企業数の増大を行政的に抑制する意図は持っておりませんけれども、御指摘になりましたような、そのような小さな企業がかりに新造をやります場合に、安全性につきまして欠けるところがあってはならぬ、これは基本的な問題でございますので、この点につきましては、技術診断指導あるいは標準設計あるいは設計センターの設置も今後いたしまするが、あらゆる面で指導をしてまいりたい、かように考えております。
  41. 肥田次郎

    肥田委員 そういうふうに言われるとわかりますが、そうすると、あなたのほうで出されておる補足説明、この内容は、さらに補足説明をつけ加えてもらうわないと、われわれは実はわからないのです。この補足説明を読むと、さも、これだけ企業の数もふえた、こういうふうに受け取れるんです。そうしておいて、本来の目的であるところの問題は、こうだ、こうだ、こういうふうに書いてあるわけです。そうしたら、一つ伺いますけれども、この中で純粋に造船企業と修繕業との各社の数の上での区分ができますか。
  42. 藤野淳

    藤野政府委員 企業の数の中身でございますが、修繕をやるのと新造をやるのと区別がつくかつかないかという御質問でございます。三十八年三月末現在で三百四十二の企業がございまして、鋼船の建造と修繕とあわせ行なっておりますのが百十企業でございます。それから、もっぱら鋼船の修繕をやっておりますのが四十企業でございます。それから、鋼船の修繕と木船造船業を兼業しておりますのが約二百というわけでございます。
  43. 肥田次郎

    肥田委員 そうすると、いま言われた二百のこの数の中に、ふえたものの大部分が入っているわけですか、百二十五というこのふえたものがですね。そういうことになりますか。いわゆるこの木船鋼船の新造船業——これは新造船ばかりにはいきませんが、その間で修繕もやる、こういうことでふえたのがそういう数だ。ところがさっきおっしゃっていたのは、どういうことなんですか、あなたは、修繕業に何とかかんとか言いましたね。
  44. 藤野淳

    藤野政府委員 ふえました企業とそれからやめた企業もあるわけでございまして、その出入り関係を詳細に申し上げないとおわかりにくいと思いますが、その資料をただいま持っておりませんけれども、ふえました企業は大部分が、鋼船の修繕業と木船造船業を兼業している二百企業の中に入るものが大部分あるということを申し上げたわけであります。
  45. 肥田次郎

    肥田委員 まあよくわかりませんが、このさらに三年間期間を延長するというこの上に立って大切なことは、いかに今日の状態であったとしても、この程度造船業というものがこの間に百二十五もふえたということは、これは決して理想的な姿ではなかろうと思います。企業というものは、今日、われわれが反対しようとすまいと、とにかく大企業系列化していっておる。そういうことに対しては、われわれは、あまり好ましい結果じゃないと思っておるのですが、しからば、この合理化をやろう、そうして優秀な船舶をつくろう、技術向上もはかろう、こういうような目的を持っておるところのこの法律指導下におけるところの姿勢というものは、このいわる小船舶造船業者がこの期間の間に百二十五社もふえたということは、これは事実は、技術も、あなたのほうで言っておられるように、そうたいして向上も望めなかった。これは当然だと思うのです。ですから、そういう面について少くとも小企業の乱立というような形にならないような指導が必要だろうと思います。ですから、今後もしこれがこのままに放置されるということになると、いままでと同じ経過をたどってくることになる。そうすると、これから三年後に再び、たいして技術向上もできなかった、性能のいい船もたいしてできなかった、こういう結果に終わる報告を聞かなければならぬと思いまするから、そういう点についてはひとつ再考を願いたいと思います。  そこで、そういう立場で、これは内海さんと同じような考え方を持つのですが、それは公団をつくれということじゃなしに、たとえば、これはしろうとですからよくわかりませんが、経済性の高い船舶をつくる、それから生産費の安い船をつくる、この目的達成するためには、これは何といっても、小企業にかってにつくらせておるということでは不十分だろうと思う。ですから、そこにはおのずから小船舶なら小船舶の業者間におけるところの技術の交流、それぞれの持っておるところの特殊な技術を生かして、そしていろいろな形態がありますが、たとえば船体はここでつくらす。あるいは機関はここでつくらすというふうな、そういう専門的な面での指導というようなものが考えられますか。公団というものじゃないのですけれども、もっと合理的に木末の目的であるところの、性能のいい、生産費の安い船をつくるという上に立って、もっと積極的な指導のできる余地があるのじゃないかと思いますが、その点はいかがでしょう。
  46. 藤野淳

    藤野政府委員 内航船がこの種の業種の主たる対象でございますが、内航船に対しまして、いわゆる自動化船と申しますか、非常に近代的な経済船が建造されましたのはきわめて最近のことでございまして、現在中小の分野におきまして全く開発の初期と言うことができると思います。これに対しましては、今後内航対策の一環としまして、特定船舶整備公団で共有方式で内航船がつくられるという計画がございますので、この共有方式の建造によりまして、技術的な指導が適切に行なうことができると考えます。なお、中小造船業の団体として、中小造船工業会というのがございます。これは造船工業会のメンバーとして団体加入をいたしておりますが、常に大企業大手造船業の高い技術中小のほうに自然に流れるようなパイプがつくってありますので、今後設計センターなどを設置する計画がございまするが、業者の団体内で技術を練摩し、向上する機会も相当多いわけでございます。われわれといたしましては、この法律延長によりまして、適切な指導を行なってまいり、官民協力して中小技術向上をはかり、経済船の建造がだんだん小さい業主にまで浸透するような方向指導してまいりたい、かように考えます。
  47. 肥田次郎

    肥田委員 正直に言いまして、初年度とそれから三十八年度をとれば、竣工トン数が倍になっていますから、そういう意味で私は必ずしも、最初に言ったように、小企業が乱立したという、このことだけをどうこう言う意思はありません。けれども、生産トン数が多くなるということと、小企業が幾らでもできるということにはやはりいろいろな関連性があると思うのです。たとえばいま局長の言われたように、大企業造船業が下請的な傍系小会社をどんどんつくらすとか、そういうこともあるだろうと思いますから、それは必ずしも弊害ばかりはないだろうと思いますけれども、要は小企業の会社が傍系的な存在であってもできるということは、これは一時的な補給充足を意味するものであって、それらの問題が景気、不景気、こういうものによってまた造船業界に大きな影響を与えるのですから、そういうことを考慮に入れながら、できる限り安定した造船計画というものをとられるように要望しておきたいと思います。  それから技術向上の点については、いまお話を聞きまして大体了解できる点がありますから、さらに技術、いわゆる船舶の性能、それから造船経費の低減、これはもう合理化の基本的な目的でありますから、これらについても強く指導をされるように要望しておきたいと思います。
  48. 川野芳滿

    川野委員長 他に御質疑はございませんか。——御質疑がありませんので、本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。     —————————————
  49. 川野芳滿

    川野委員長 これより本案に対する討論に入るのでありまするが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  50. 川野芳滿

    川野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、おはかりいたします。  本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 川野芳滿

    川野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  52. 川野芳滿

    川野委員長 次会は来たる三十一日火曜日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時二十六分散会