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1964-02-26 第46回国会 衆議院 運輸委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月二十六日(水曜日)    午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 川野 芳滿君    理事 有田 喜一君 理事 關谷 勝利君    理事 塚原 俊郎君 理事 久保 三郎君    理事 矢尾喜三郎君       木村 俊夫君    佐々木義武君       進藤 一馬君    壽原 正一君       高橋清一郎君    高橋 禎一君       中馬 辰猪君    西村 英一君       細田 吉藏君    増田甲子七君       勝澤 芳雄君    田中織之進君       泊谷 裕夫君    山口丈太郎君       内海  清君  出席政府委員         運輸政務次官  田邉 國男君         運輸事務官         (自動車局長) 木村 睦男君  委員外出席者         運 輸 技 官         (自動車局整備         部長)     宮田 康久君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 二月二十六日  委員勝澤芳雄辞任につき、その補欠として原  茂君が議長指名委員選任された。 同日  委員原茂辞任につき、その補欠として勝澤芳  雄君が議長指名委員選任された。 二月二十六日  理事田中織之進君同日理事辞任につき、その補  欠として矢尾喜三郎君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任 ○小委員会設置に関する件  道路運送車両法の一部を改正する法律案(内閣  提出第六五号)      ————◇—————
  2. 川野芳滿

    川野委員長 これより会議を開きます。  この際、理事補欠選任についておはかりいたします。  理事の田中織之進君が理事辞任を申し出ておりますので、これを許可するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 川野芳滿

    川野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、辞任に伴う補欠選任については、委員長において指名するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 川野芳滿

    川野委員長 御異議なしと認め、委員長矢尾喜三郎君を理事指名いたします。      ————◇—————
  5. 川野芳滿

    川野委員長 この際、小委員会設置に関する件についておはかりいたします。  すなわち、国鉄の事故防止対策に関する小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 川野芳滿

    川野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお小委員員数並びに小委員及び小委員長選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 川野芳滿

    川野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、小委員及び小委員長から辞任の申し出がありました場合には、委員長においてこれを決することとし、また委員の異動、小委員及び小委員長辞任等によって欠員が生じた際、小委員及び小委員長補欠選任についても、委員長においてこれを指名することに御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 川野芳滿

    川野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————
  9. 川野芳滿

    川野委員長 道路運送車両法の一部を改正する法律案を議題として質疑を行ないます。  質疑の通告がありますのでこれを許します。久保三郎君。
  10. 久保三郎

    久保委員 二、三お尋ねしますが、まず一つは、今回の法改正では検査手数料がそれぞれ多少上がるわけでありますが、この上げる基準というか、それはどういうことからきめられておるのか伺いたい。
  11. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 車両検査登録につきましては、年々二割内外の車の増加に伴いまして、仕事がそれだけほとんど物理的にふえてきておる状況でございます。それにもかかわらず、予算人員の面が追っつかないために非常に仕事が張って弱っており、同時に検査関係施設充実も意のごとくなっておりません。特に検査関係機械整備につきましては、次々と新しい機械も出てまいっております。それから機械化という方向にも努力してまいっておりますが、予算が伴いませんので、これが十分にできていない。そういうことから考えまして、今回車の増加に対応する仕事量増加と、検査関係施設整備機械器具類整備等のために思い切って近代的な装備をいたしたい、こういう観点から、車両検査施設整備につきまして、長期見通しを持って充実をはかろうということを考えるに至ったわけであります。  その方法といたしまして、従来の検査手数料を一応対象にいたしまして、これらの整備をはかってまいりましたけれども、一般会計でありますので、必ずしもそれがはっきりと明確にはなっておらない。今回この車両検査手数料にこれは関連する業務でございますので、両方合わせまして特別会計ということにいたしまして、まず入ってくる手数料はそっくりそのまま車両検査整備に充てると同時に、いま申し上げましたような施設充実機械化という方面にこの手数料を充てるために、現在の手数料では十分な整備ができませんので、この際、手数料値上げを考慮したわけであります。法案のときに御説明申し上げましたように、現在この手数料は車の種類によって三種類に分かれておりますが、いずれも五十円ないし百円の値上げということで、大体今日の収入から見ますと約三割から四割の増収になりまして、これが整備充実に使い得るということで手数料値上げ考えたわけであります。
  12. 久保三郎

    久保委員 私がお尋ねしておるのは、こういう手数料というか料金というかよくわかりませんが、そういうものの値段というか、額ですね。これはどういう基準できめるのがいいのかということと、それから今度の値上げですね。こういうものはどういう基礎から割り出してきておるのか、それをお尋ねしておるわけです。
  13. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 この手数料のきめ方でございますが、先ほど申し上げましたように、一応車検施設整備機械化等をできるだけ早くやりたいということで、まずこれらのある程度長期計画を立てまして、それには大体この程度収入を確保することが必要であるということを一応念頭に置きまして、しかも手数料上げ方につきましてもおのずから限度もあるわけでございます。その両方をあわせ勘案いたしまして、いま申し上げましたように、手数料値上げによって、大体従来よりも三、四割の増収を得られればわれわれの予期しておる整備ができるのではないかということから、この手数料をこうきめたわけであります。
  14. 久保三郎

    久保委員 大体かような手数料というのは受益者負担ということが一つあると思うのですが、もう一つは、国の責任から出るものもありましょうから、そうなると、単純に全部が受益者負担ということでもないように思うのだが、この検査手数料はどういうふうに考えられておるのですか。これは国の行政責任というか、そういうもので一般財源からまかなう筋合いのものもあるのかないのか、全然受益者負担というか、そういうことでやる性格のものか、そういう性格はどうなんですか。
  15. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 検査性格から申しますと、原則といたしましては受益者負担するというのが一応の原則でございますけれども、車の整備によりまして、事故防止、その他国民全般が利益する点もございますので、全部が受益者負担的な思想ではないわけであります。しかしこの国が益する点ということから考えますと、やはり受益者負担的な色彩のほうが相当強いわけでございますので、現在の手数料実額から考えまして、一応受益者負担ということを重点にした手数料値上げということで考えております。そのときには完全に受益者負担という思想ではないわけであります。
  16. 久保三郎

    久保委員 そこで受益者負担というのが比重がかなり重いということでありますならば、そしてその意味からも特別会計でまかなうということでありますなら、十分に受益者に利益、利便というか、そういうものを与えるのが主眼でなければならぬと思う。今度の特別会計に移行しようという意図はそういうことだと思うのであります。はたしてそういう展望がこの特別会計の中で出てくるかどうか、これは過般資料もいただきましたが、この数字からすれば一応そういうことになりますけれども、特に、従来当委員会でもたびたび問題になっておる要員施設の問題でありますが、要員は、この間の説明からまいりますと、必ずしも特別会計で自由に増員ができるようにはなっておらない。言うならば、いまの自動車検査対象となる車両数からいけば、運輸省当局でも二百五十名とかあるいは三百名とか、そういう要員をふやさなければとうてい十分な検査はできないというようなことも言われていたと思うのであります。だとするならば、この特別会計に移行するに際しては、そういう要員の問題なり施設の問題を十分計画の中に織り込んで初めてこの手数料というものが出、あるいは特別会計という一つ予算制度、そういうものができると思うのです。そういうことを詰めた話で特別会計へ来たのか、それともいままでの予算制度の中では、一般会計の中では残念ながらどうも要員も思うように取れない、特別会計になれば取れるという見通しでやってきたのか、これはどうなんですか。
  17. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 まず施設の点から申し上げますと、従来ともこの施設整備には予算獲得に努力してまいったわけでございますが、なかなか思うように参っておりません。そこで今回の手数料値上げと同時に、特別会計制度ということの二本立てで、今回の整備その他の確実を期することができる、こう考えておるわけでございます。と申しますのは、今回手数料値上げを御承認いただくと同時に、特別会計をお認めいただければ、手数料収入がそっくりこの車検整備関係に使えますので、一応今後の手数料による特別会計収入見通しがはっきり立つわけであります。この収入見通しの明確に立った上に立ちまして、施設整備長期計画を立てていきます。現在手元で一応考えておりますのは、この前資料としてお配りいたしました中にも書いておりますが、たとえば、車両検査の場合に、各検査場コースをつくって、ブレーキを検査するとか、あるいは前照灯検査するとかいうような仕組みになっておりますが、このコースの数も計画的に、現在九十八コースがありますのを今後五年のうちには大体倍に持っていきたいというふうな計画を持っておりますし、それから国の直轄車検場が東京、大阪のようなところを除きましては、大体県の県庁の所在地にただ一つだけで、あと出張車検場と申しまして、民間の施設を借用したりして係官が出張して検査しておる、非常にお粗末な検査設備でございます。こういうものも逐次直轄車検場に今後持っていけるというふうなことも、計画を立ててやれるわけであります。そういうことで、施設のほうは受益者負担のこの思想が文字どおり実現するように計画を立てておるわけであります。  次に、人員の問題でございますが、人員につきましては、一般会計特別会計定員獲得については形式的には同じでございます。ただ、その人員人件費、この関係はやはり特別会計財源の中から人件費をまかなうわけでございますので、この点がやはり一般会計特別会計人員の面においても違ってくるというところに、われわれ今後人員増加についてのある程度希望を持っておるわけでございますし、それから特別会計制度政府としてきめます場合の政府部内の折衝の過程におきましても、われわれはその希望に対してある程度自信を持っておるようなわけであります。さしあたっては、三十九年度特別会計の初年度におきましては、この関係要員増加は八十名という数少ない員数でございますが、これも今年までの車検登録関係定員最高六十名程度までと比べますと、総体的にはかなりふえておりますが、これが今後再来年以降になりますとある程度たちはさらにふやし得るという確信を持っておるわけであります。また、反面、人員の面につきましては、指定整備工場増加等によりまして、職員仕事量は反面においてはできるだけ他に転換し得る方策も講じますが、それと人員増加特別会計による今後の希望というものをあわせまして、職員仕事につきましてはかなり改善されてくる、こういうふうに考えておるわけであります。
  18. 久保三郎

    久保委員 いままでの御説明だと、特別会計になれば期待は持っているが、特別会計の中で人員の増などはそうスムーズにできないように思うのでありまして、この点が私たちは非常に疑問に思うわけであります。それは施設にしても同様だと思うのです。  それで、もう一つこれに関連してお伺いしたいのは、いままで一般会計でありましたが、検査登録手数料収入と実際に検査登録で使った支出、こういうものはどんなふうになっておりますか。数字はよろしいが、実際に一般財源からいわゆる差し引きして、持ち出し分が相当あるのかないのか、これはどうなんですか。
  19. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 その年々によって若干の違いはございますが、また一般管理費的なものをどういうふうに見るか、そういう点においても違いますが、総体的に申し上げますと、今日まで、一般会計の上におきましては車両検査登録両方業務を含めまして、これらの手数料とこの二つ業務業務費との関係は、大体見合っております。年によってはそれより少ないときもございますが、大体並行しておる、こういうふうに考えます。
  20. 久保三郎

    久保委員 今後も特別会計歳入歳出が中途において合わぬ場合が出てくるのですが、その場合には借り入れ金なり何なりという方法ですが、今年の限度額は、予算書を見ておりませんけれども、どういう程度になっておりますか。
  21. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 三十九年度は五千万円の借り入れを認められております。
  22. 久保三郎

    久保委員 特別会計にしてやりやすいというか、便利になるだろうという点は、いまの局長の御答弁ぐらいですか。特別会計にするメリットというか、そういうものはどうもいままでの話では、要員の問題でも施設の問題でも、はっきりこうだという結論は出ないようですね。
  23. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 要員の問題につきましては、申し上げましたように、形式的には一般会計と大差はございませんが、負担する人件費特別会計の中から負担するわけでございますので、そういう点からは一般会計よりもより一そう確実に希望が持てる、こういうようにわれわれは考えております。  それから、施設につきましては、いままでは結果的にはこの手数料収入とこの関係予算と大体見合ってはおりますが、いっこのバランスがくずれるかもわからないという不安な状況でございましたのが、特別会計になりますと、この手数料収入はびた一文もこの業務以外には使わなくてよろしい、この中で全部使えるということは非常に大きなメリットでございます。しかも、そういう関係ですと、こちらで確実な毎年の収入の予想さえ立てますならば、それに従った施設充実計画というものも正確に立ち得ます。そしてこの立ち得た計画というものを確実に実現することができるというところに大きなメリットがあると考えます。
  24. 久保三郎

    久保委員 確実だということばは確実だが、中身がどうもはっきりしない。それからもう一つは、特別会計にしなくても、いま局長がおっしゃるようなことはある程度実現ができるはずなんだが、なぜ特別会計にするのか。一つは、経理状況を特別にはっきりさせるというか、分離して一目瞭然にわかるようということが、特別会計にとれるわけなんだが、特別会計というのは、しろうとで予算をやっていないのでよくわかりませんが、どういうわけなんですか、特別会計というのは、大体基礎はどういうふうに考えられているのですか。
  25. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 特別会計にはいろいろ種類がございますが、この車検登録特別会計はその車検登録収入をもって支出に充てるという意味特別会計でございます。具体的には、その手数料収入印紙で納めるわけでございますが、一般会計ですと普通の一般収入印紙で納めますので、何のための収入であるかということは全然わかりませんで、一括して国の一般収入になる。今度特別会計を新設いたしますと同時に、法律改正案の中にも御説明申し上げましたように、特別の収入印紙を発行することになっております。したがって、特別に今度きめました収入印紙を用いて車両検査登録手数料を納めることになっております。そうしますと、その収入印紙による収入はこの特別会計収入ということで明確に区別されることになっております。そういう意味特別会計でございます。
  26. 久保三郎

    久保委員 いずれにしても、特別会計になった意味もどうもいままでの御説明でははっきりしないのでありますが、いままでの経理というか会計制度の中でも、おっしゃる収入印紙一般のを使っているからわからぬと言うが、それはわかる方法は幾らもあるのでありますから、これはどうも理由にならぬと思うので、どうもそういう点が一つ疑問というか問題が残ると思うのです。いずれにしても、この特別会計にしていくということ、それからもう一つは料率、手数料の問題、そういうものがあげて現在の検査登録の作業により一そう効果があがるという確かな保証がなければ、どうも何だか便宜主義におちいっているのじゃなかろうかと私は思うのです。そういう点はやはりもう少し政府部内でもかちっときめてこないと、どうも一般を納得させるのにも不十分じゃないかと私は思う。いずれこれはあとからまたお話が出ると思うのですが、ただ簡便にもう大体自分の自前でやれるようなかっこうになるので、運輸省としては、このほうが大蔵省との関係も幾らか薄目になる、だからまあまあこのほうがよさそうだ、大蔵省大蔵省で、三十九年度の予算編成で、みんなに何とかいいよとかいうことで、その中でおさめるのに少しでも切っていったほうがいいというので、いいあんばいに車検があるということでやったとするなら、これは非常に不見識な話だと思う。私は別に反対、賛成をいまは申し上げませんか、少なくともこの制度——実際言うと特別会計になるのですから大きな制度改正です。ということになりますれば、多少検査登録に前向きの形ができたという保証がなければどうもうまくないと思うのです。値上げもあるのですが、値上げも、一年に一ぺん、二年に一ぺんでありますから、受益者にとってたいした大きな負担ではないけれども、やはり負担増ということには変わりはないのでありますから、そういうことを十分解明される必要があると私は思うのです。  それからもう一つお尋ねしたいのは、いま優良認定工場でやるものは書類によって検査登録というか、検査をするということになっておるわけですが、これもやはり料金は同じでしょうな。
  27. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 実はこの制度を実施いたしまして約一年たつか、たたないという段階でございますので、確かにこの指定整備事業者点検をしたものにつきましては、車の提示を求めなくて検査有効期間の延伸ができるわけでございますから、手数はそれだけ簡略になる。したがいまして、この指定整備事業者点検をしたものに対する検査手数料というものは差をつけてしかるべきかと考えておりますが、まだ発足いたしまして一年程度でございますので、全般的な普及をいたしておりません。したがいまして、差をつけるという方向考えておりますが、いまのところは従来のままでスタートいたしまして、これが全国的に広がってまいって、実情もはっきりしたときには、手数料につきまして差を設ける考えでおります。
  28. 久保三郎

    久保委員 検査をして検査書類に判を押すのですから、書類に判を押すだけと、検査を実際にやるものも含めた料金が同じだというのは、こまかく言えばどうも納得しないので、実際はその辺も一緒に考えられてしかるべきだと私は思うのですが、今後考えていくというのだが、こういう際でありますから、あまりその先を申し上げませんが、少なくともやはり負担の公平というか、そういうものも考えていくべきだと私は思うのです。  それからこれに関連して最後ですが、お尋ねしたいのであります。整備工場全体を見た場合に、これから何といっても整備事業というのは新しい業態として確立されなければならぬと思うのです。言うならば、いままでは御案内のとおりこの業種には中小企業というか零細企業もかなり多いと思うのです。そこでこれらに対する育成指導という面が、ともすれば運輸省認定をしただけ。人間の手も足りないせいかもしれませんが、それだけで終わっていやしないかという感が深いのです。しかも、これは機械設備にいたしましても多額の費用を要るものが多いわけです。そういうことからいって、中小企業対策というか、車両修理工場育成保護について、いままで以上の力点を置いてやるべきだと思うのです。これは通産省関係もあるだろうし、といって運輸省関係もあるということで、言うならば、どうも二つの官署にわたるものはいつも谷間に置かれて、対策がどっちからも手が伸びないという実態が多いのであります。でありますから、この検査並びに修理工場の問題については、中小企業対策の中でも特殊な扱いをさせてしかるべきだと思う。これはそういう対策をいままでやっておるかどうか、あるいはこれの協同組合というか、そういうものもあると思うのであります。たとえば検査機械共同施設とか、そういうものについてかなり積極的にやってやらぬと、言うならば、大企業だけのサービス・ステーションが実は栄えていって、零細な企業がどんどん整理されるということも事実だと思う。そういうところからいって、ひとついまの御方針というか、大綱はどうなっておるか、簡単に御説明願いたい。
  29. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 自動車整備事業は、お説のように大半が中小企業でございます。そこで、この自動車整備事業を監督いたしております運輸省といたしましても、中小企業対策といたしまして、今日までもいろいろ方法を講じております。まずこの自動車整備事業企業診断ということで、一昨年来制度を設けまして企業診断をいたしまして、まずその実態を明確にいたし、そしてどこに欠陥があるか、どういうところをどうすればいいかというふうなことも一応検討をいたしたわけであります。と同時に、中小企業業種別臨時措置法がございますが、これによってこの業種指定をすることにしておりますが、この指定業種といたしまして、この法律による近代化合理化などを促進するという措置もとっております。それから中小企業近代化促進法指定業種、これにはまだ指定されておりませんが、これにも指定を受けまして、この法律による助成措置も受けるようにいたしたい、こういう考えで現在通産省とも折衝しておるわけでございます。それから中小企業近代化資金助成法指定業種といたしまして、都道府県からの設備資金の融資を受けられるように措置をいたしております。それから租税特別措置法によります機械特別償却の適用を受けられるように現在措置をいたしております。なお、御指摘のように、事業共同組合等の結成につきましては極力行政指導をいたしまして、資材の共同購入等経営合理化に役立つ相互扶助的な組織の強化も機会あるごとに指導をいたしてまいっておる実情でございます。今後とも中小企業としての整備事業のこういった育成指導には特にわれわれとしては力を入れていきたい、かように考えております。
  30. 川野芳滿

  31. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 今度の料金改正と関連をしまして、二、三私も質問をいたしたいと思います。  まず、昨年も私は質問をしたのですけれども、陸運事務所職員の身分ですね。これは運輸省職員でありながら地方長官監督下にある。そこでこれは職務の遂行上からも監督権限をやはり運輸省の所管に移してもらいたい、こういう声が非常に多いわけですし、実際問題として同じことではないかというようなものですけれども、職務を行なうにあたって非常に何かそぐわないものがそこに存在する。昨年私は質問をいたしまして、順次そういうものを解消するように努力をするというお答えをいただいておるわけであります。ところが今度この特別会計が設定されますると、さらにそういう職員の監督権というものか——現在まだ運輸省直轄下に置かれていない向きがあるのではないか。そうすると、この特別会計にひっかけて身分が変更されはしないかというようなおそれも会計の面から出てくるのではないかというように思われるわけですけれども、陸運事務所職員の身分、処遇についてどういうふうになっておりますか、お知らせ願いたいと思います。
  32. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 この特別会計の適用を受けますのは陸運事務所のやっております仕事、それから陸運局のやっております仕事、含めましてこの特別会計の中に入っておるわけでございます。したがいまして、この特別会計ができたということで陸運事務所だけが切り離されて逆に運輸省とは別の機構にくっつきやすくなりはせぬかという御心配でございますが、むしろ陸運局と一体化の方向に近寄る一つのきずなと考えられるわけでございまして、切り離されるのとは別に強く引きつけられるというふうにわれわれはこの制度の実施の効果を考えております。しかし、それはいま申し上げましたような程度考え方でございまして、陸運事務所の所属の問題は、一応特別会計とは別に、われわれも長年従来の運輸省を中心といたしました縦の完全な系列の機構におさめたいということで努力してまいっておりましたが、これは現在御承知のように臨時行政調査会というものが設けられまして、その中で他の問題と一緒にこの問題も検討されておりますので、この調査会の答申によりまして政府の態度もおのずから明確になるはずでございます。われわれといたしましては、この調査会に対しまして現在陸運事務所のあり方の適当でないことを強く説明、主張いたしております。この答申を待ちまして善処いたしたい、かように考えております。
  33. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 これは昨年もそういうふうに、行政調査会の結論を待ってやりたいということで、同じ答弁で一歩も前進していないと思うのです。ただ調査会の答申のみにこれをゆだねているということは、私は運輸行政上いかがかと思うのですが、もう少し積極性を持って、そういう不安を解消してやるようにできないものですか、どうですか。いかがでしょう。
  34. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 ごもっともでございますが、臨時行政調査会をつくりましたときに、こういった問題をこの調査会に検討をお願いしたわけでございます。したがいまして、その検討の結果、答申を待ちまして、こういう問題を政府責任を持ってどう改めるかということを決定するということになっておりますので、その結論を待たざるを得ないのでございます。
  35. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 なるほど行政調査会の結論を待たざるを得ないとおっしゃれば、それ以上私も申し上げることはないと思いますけれども、しかし明らかにこれは、運輸行政上から見れば、ただ監督を地方長官にゆだねているということだけでは済まされないものなんですよ。ですから、また特にこういう特別会計が設けられるということになって、そして何か検査業務に従事するあるいは登録業務に従事する者にまでそれが波及していって、それが別個のものになってしまうということになると、ますます運輸行政は混乱すると思います。ですからもっと行政調査会では、政府機構全般にわたってのことでありましょうけれども、そういう弊害のあるものについては早急に切り離して答申を得るというような方向にでも努力をしてもらうことが私は当然だと思うのですけれども、そういうことはできないものですか。
  36. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 この問題につきましては、われわれ直接の責任者といたしましても山口先生と同じような考えはあるのでございますが、この行政制度調査会も今年一ぱいで一応閉じまして、結論は新年度初めに持ち越されるかもしれませんが、もう間近に結論が出ることになっておりますので、これを待った上で処理をいたさざるを得ない、かようにあきらめておるわけでございます。この制度調査会にかかります前には、いろいろ政府部内におきましても努力をし、あるときにはきちんとした形になり得るような時期もございましたが、ついに今日まで最終的な処理ができないままにこの臨時行政制度調査会に一括して諮問をいたして調査をいたすという関係になっておるわけでございます。
  37. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私はこの特別会計を創設するにあたって、この前にも特に質問をいたしましたように、大蔵省は引き締めて会計をやる国の会計の元締めですから、それは当然ですけれども、しかしそのことが、得たりかしこしと全部それにおんぶしてしまって、実際を言えばそういう末端の自分もこれは定まっていないといっても過言ではないのですよ。そこをねらって切り離した別のものにされるということになれば、ますます運輸行政というものは混乱します。どうも運輸行政というものが一貫していなくて、いろいろの弊害が出ていることは、行政に携わっていらっしゃるあなた方が一番よく知っておられると思うのですよ。ですから、そういうことの厳にないようにやっていただかないと、ますます混乱の度合いを深めると思います。これは大蔵省も出席をしてもらって確約をとっておきたい、こう考えておったんですけれども、連絡ができませんし、出席がありませんので、これは特に議事録にとどめてはっきりとしておきたい、こう思うのです。運輸省だけの言明をもってしては、政府全体のものは知らないかもしれませんが、しかしここで答弁をされることが、この運輸行政のみならず、全般行政の上に強く反映するものと思いますので、私は意見を述べて答弁は求めません。一日も早くこの身分の監督権の運輸省への委譲は当然なさるべきなのですから、ひとつ各段の努力を願いたい、こう思います。  それから、これに関連をして二、三質問をいたしたいのですが、今度特別会計を設けて検査料を引き上げられた。その引き上げられたこと自体について、それが検査充実に寄与するものでありますなら、これは別にそれをとやかく言う考えは持っていないのであります。しかし聞くところによりますと、人員その他のいろいろな関係もあるのでありましょうけれども、この自動車の整備基準改正が昨年行なわれた。省令が改正されたように聞いております。これは従来とどういうように違った改正になったのか、その荒筋だけをひとつ御説明願いたい。
  38. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 整備士の技能検定の関係でございますから、整備部長から詳細にわたって御説明いたさせます。
  39. 宮田康久

    ○宮田説明員 今回整備士の技能検定の規則を改正いたしまして、軽自動車の関係が非常に数がふえましたので、それの整備士の制度を追加いたしましたのと、それから整備技能者が非常に不足しておりますので、その辺を勘案いたしまして、経験年数を三年を二年に改正をいたしました。
  40. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 人員の不足に伴って、それに対応する措置をとられたようでありますが、同時に車両の整備基準の改定を行なわれておるようであります。従来よりも整備点検基準を非常に簡略にされたように聞くのですけれども、これはどうなんですか。
  41. 宮田康久

    ○宮田説明員 いまの御質問でございますが、昨年車両法の改正をお願いいたしまして、それに伴いまして定期点検制度をつくったわけでございます。定期点検制度を在来長い間やってまいりましたけれども、それは勧告というような制度でやってまいりましたが、この際車の実体に合わせまして極力簡単に、しかも、しっかりやっていただくということに重点を置きまして全面的に整備基準を改定をいたしました。
  42. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 意図はわかりましたが、その意図とは実際に逆行した心配が生まれておるのではないかと思われるわけです。といいますのは、従来は、非常に整備点検については、綿密になっていたのが大幅に緩和されていると業界は受け取っておるようであります。そこで問題になりますのは、そういう大幅な緩和をいたしますると、ますます車両の老朽化したもの、あるいは始業前の点検時間の短縮などによりまして、事故の内因を包蔵するということになるわけであります。ところが、一方業者のほうにおきましては、これを機会にしまして整備工の人員を大幅に削減することができる、こういうわけでますます車両点検がおろそかになる、従来よりも粗雑になるおそれがある。そうすると、そういう車両を持って現場で運転をしていて、もし事故でも起これば、たとえば神姫バスの転落事故がありましたが、あれはブレーキの故障だったといいますが、まあ機械ですから、どこでどれだけ故障が起こるかしれません。どれだけ点検をきびしくいたしましても、それの保証がないわけです。けれども、少なくともこの基準をそういうぐあいにゆるめられて、そうして整備要員を少なくする、あるいは乗車前の点検も非常に時間を短縮する、こうなれば業界にとってはいいわけでしょうけれども、実際にそのものを預って人命財産を運搬している現場員としては非常な恐怖になる。こういう恐怖観念を持って日常業務に携わっておることは非常にまた危険なことであります。どういうことでそういうぐあいに基準を緩和して要員の節減をはかられたのか、あるいはそういうような不安な状態に置いて、点検不十分な車両をこの交通繁雑なときに運行させることの危険について、よほど適切な指示を行なわなければ、私は非常に不安だと思うのですけれども、これはどういうふうにしておられますか。
  43. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 昨年、一部改正いたしました整備基準につきましては、決して整備を簡略にしたりあるいは整備を軽視した改正の意図は持っておらないわけであります。特に自動車運送業者に対しましては、従来と全然変わりはございません。ただ自家用車につきまして、最近の事故の傾向等にかんがみまして、整備基準について、最近の事故その他にあまり影響のない点等につきましては若干改正をいたしましたが、同時に、定期に車の持ち主が自分で車をよく点検するというふうなことを義務づけるといったこともいたしまして、決して整備をおろそかにする方向改正ではないわけでございます。
  44. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 けれども、私は危険に思いますのは、「自動車運送事業等運輸規則の一部を改正する省令及び道路運送車両の保安基準の一部を改正する省令の施行について」という三十六年四月十日、自総第二四六号の中にあります三の「車掌の乗務に関するもの」という項を見ますと、こういうことが書いてあります。「車掌を乗務させないでも運転上の危険がなく、かつ、旅客の利便を著しく阻害するおそれがないと認める場合に、行なうものとするが、おおむね、次に掲げる基準によって決定されたい。」ということで基準が書いてありますけれども、著しく阻害しないというなら、ちっとぐらいなら阻害してもいいというふうにわれわれとれるわけです。こういう文書を出してもらっては危険だと思うのです。そうすると今度は、さきに申したように、私これをまだ十分に見ていないのでわかりませんが、多少不宗全であっても、この基準を緩和することによってままあまあ大丈夫なら出ていいじゃないか、こういうふうにも受け取れるわけです。そういう点も危険千万、全くもって困るのです。そうすると業者のほうではほんとうに手が足りないのですよ。だから運転手にしても、士にしても、なるたけ削減したいと一生懸命になっているときです。それに輪をかけてこの改正をやるということになると、これは非常な不安ですよ。これはどういう意味でこういうふうな通達をされるのか、この真意をちょっとお聞かせ願いたい。
  45. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 ただいま御指摘になりました問題は、車の整備の問題ではございませんでバス等におきまして、乗務員の不足から、車掌を省略いたしましたいわゆるワンマンカーを認めてほしいという要請がございまして、われわれといたしましても、経営の合理化等の観点から、それが交通保安上支障がない路線に限ってワンマンカーを認めようということでおろした通達でございます。したがいまして、道路の状況で、具体的な路線についていまお読みになりましたような点で危険のないところでは、車掌の乗務を省略したしまして、ワンマンカーでよろしいという意味の通牒でございまして、車の整備とは一応関係のないものでございます。
  46. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私はこれをずっと読ませてもらって、従来とどの点が違っておったかをよく検討いたしたいと思うのですけれども、次に、少なくとも車両点検を緩和するような措置に出ることは、事故防止という点と非常に矛盾するのではないか。むしろもっと整備要員充実して、車両整備に遺憾のないようにすることのほうが時代に沿ったことであると思うのですよ。この政令によって、あなた方はどれだけ要員が減少されるという考えですか。
  47. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 この整備基準改正につきまして、特にそれで要員を減らしたいという意図から整備基準関係改正をいたすわけではございませんので、整備合理化と申しますか、交通事故の現状に照らして整備を重点化するという意味から整備基準を改めたわけであります。結果的には、あるいはそのために検査関係仕事が若干楽になる面もあるかと思いますが、そう別に要員仕事の点とは深い関係はないわけであります。  それから自動車に対する整備基準につきましては、この車両法で、整備についていろいろ規定してありますが、さらに自動車運送事業等運輸規則という省令でもって義務づけております以上にきびしい車両整備についての規定を設けて、車両整備の徹底をはからしておるわけでございまして、決してこれを緩和するという方向でないことは先ほど申し上げたとおりであります。
  48. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 それからさらにお尋ねをいたしますが、先ほど久保委員質問で、いわゆる整備指定工場に指定された工場で整備をした場合には書類検査ということになっておるようでありますが、その指定工場に入ればそれでもう工場が整備しさえすれば、車両の実地点検というものは全然省略しておられるということですね。
  49. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 指定整備工場車両検査関係は、一定の基準により指定を受けました優秀な整備工場であって、その指定工場でもって保安基準に合っておるかどうかということを、車を持っていってそこで点検してもらうわけであります。その工場できめられました責任検査員がおりまして、それが点検をいたしまして、間違いなくこの車は保安基準に適合しておるという認定をいたしますと、適合証というものを発行するわけであります。それを持ちまして車検場に参りますが、その場合には車を持っていかなくてもいいわけです。国の検査官にその適合証を示すわけです。そうすると、その検査官が、その適合証にあらかじめきめられた事項について記載されており、しかもそれが指定工場であり、またその指定工場の責任検査員が確実に検査して記載したものであるということを確認いたしますと、車両検査に合格をさすという措置をとることになっております。
  50. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 いまの答弁でございますと、一分のすきもないわけですけれども、しかしその整備状況等をそのまま、いわば業者ですから、その業者にまかせてよろしいかというと、どうも私は不安に思うわけです。だからといって、一々車を持っていってやるということじゃたいへんなことになる。したがって、書類検査で簡略にするということは望ましいことであって私反対するものじゃないわけですけれども、しかし定期的に週何回とか検定官がやはりその整備指定工場に行きまして、その状況をよく検査をする、査察するといいますか、そういう制度を設けないと、書類の上ではどうでも書けるものですから、これは特にバス会社なども全部指定工場を持って自家車両の整備点検をやっておるわけで、この整備基準を緩和することになり、そして書類検査になると、自家整備指定工場を持っておってやるのでは、どうも万全を期することができないように思うのです。幸いにしてこういう特別会計も設けられたのですから、そういった点について何からの改良を加える必要があるのではないかと私は思うのですが、いかがですか。
  51. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 いまお話の点につきましては、この指定整備工場制度法律でお認めいただく国会の論議のときにもいろいろ御指摘があったわけでございまして、われわれもその点はこの制度をつくりますときに十分注意をいたしまして、制度をつくったわけであります。特に指定整備工場責任検査員は国家公務員に準ずる扱いを受けることになっておりまして、たとえば涜職罪等の適用もあるというふうな制度にいたしております。それから定期的な報告も常に徴することにいたしておりますし、工場の施設につきましても、現在必要な機械器具を十分備えておるというようないろいろこまかい資格条件を法律あるいは政令、省令でつくりまして、それに照らして厳選主義で工場を指定いたします。もちろんどういう規制を加えましても、民間の工場のことですから、不正その他のことがないとも限りませんので、この点はわれわれも常に注意を怠らないように努力をいたしております。
  52. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私は不正が行なわれているということを前提にそういうことを言っているのじゃないのですよ。けれども、やはりそういう意味でやるのじゃなくても、経費というような点から極力節約をしてやろうというのは人情ですね。そうなると、やはりいま申された答弁の中にありましたようなことも、監督官庁として定期的にでもその施設検査するとか、そういうことが私は必要だと思うのですが、そういうことは行なわれていないのですか。
  53. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 もちろん申し上げるまでもなく、監査につきましては特に厳重に定期監査を実施いたしております。
  54. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 非常に窮屈な答弁を求めたわけでありますけれども、こういうような画期的な制度が創設されるにあたっては、その出発がたいへん大事であります。もしここで出発をひとつ誤りますと、これはたいへんよいことをやろうとして結果的には非常に思わしからざる結果を生むということになるわけであります。したがって、いろいろの質問を先ほどからも申し上げたのでありますが、これは決して事を窮屈にしろとかなんとかいうことではないわけで、どうしても今日のように毎日自動車事故による死亡等が報ぜられておるときでありますから、これを機会に車両の点検要員の確保等については従来に増して充実する方向に持っていってもらいたい。それでないと、運輸担当者としても非常に不安である。かてて加えまして、今日ではまた燃料に対しても税金が加算されるようになる、車両もだんだんと老朽車の更新をしなければならないようになる、一そう事業者にとっては負担が重くなってきます。一方においては、公平に見れば、今日料金は必ずしも他の物価に比べてバランスのとれたものとは言い得ない。そこで働く者としては、そのいかんにかかわらず、生活を確保するための賃金の要求は当然であります。こうなると、これは健全な事業を維持することはできなくなります。ますますそれは施設等にしわ寄せがいくということになる。こういう悪循環をやっていたのでは、道路運送事業としてとうてい保安の確保、要員充実検査機構の拡充ということはおぼつかない、こういうように考えるわけであります。これをどういうように今後処理されるかは、直接この問題とは関係ないかもしれませんが、ゆゆしい重大問題です。これは大臣から答弁を願わないと事務当局だけではどうにもならないことだと思いますが、ひとつ政務次官、これはいかがですか。運輸行政全般の問題でありますが、運輸省考えられておるところをお聞かせ願いたいと思います。
  55. 田邉國男

    ○田邉政府委員 山口先生の御指摘の点につきましては、われわれ大いに教えられるところがございます。この問題につきましては、ひとつ運輸省としましても前向きの姿勢で対処したい、かように考えております。
  56. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私はさらにもう一点お尋ねいたしますけれども、御承知のように、自動車等の車両制限令ですか、あれが施行されて、そして狭い道を通る自動車の基準も設けられておるわけですが、あれが実際実施されたら、山間なんかの道路にしても、知事その他の道路管理者の指定によってのがれるようにはなっておりますけれども、これはおそらく御承知だと思いますが、しかし実際問題は実行不可能です。それでこの整備の緩和ということになると、ますます転落事故やその他車の故障等によって事故が増大するおそれがある。ですから、これは運輸省関係だけではいかぬので、建設省もこれについてはもっと道路整備に力を入れてもらわなければ、運輸行政はまともにできません。しかし、そういうような路線を持っているところと平たん路線を持っているころですね、これはまた一そう車の代替関係あるいは整備関係についても、特別に考慮を払った整備方法をやらなければならぬのじゃないかと思いますが、そういう御意思がありますかどうか、伺いたいと思います。
  57. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 車の整備につきましては、車はいい道路もあるいは悪い道路もいろいろ道路状況の変化するところを通るわけでございますので、日本の現在の道路事情を一応前提にいたしまして、その日本のいまの道路上を運行する車として、車の整備はどの程度が最低限度保障されなければいけないかということを前提にいたしまして、この法案の整備基準を設けておるわけでございます。したがいまして、この基準のとおりに車が整備されておりますれば、あとは操縦する者が操縦上の不注意なりなんなりさえなければ、少なくとも車両の欠陥によって道路が悪いために事故が起きるということはないという観点からの整備基準をつくっておるわけでございます。  なお車両制限令によります道路の問題につきましては、御指摘のようにすでにこの政令は施行されておりますが、バス事業だけ、つまり路線を指定して走りますバス事業だけはこの七月一ぱいまで猶予がありまして、八月からこの適用を受けるわけです。この適用をもろに受けますと、いままで走っていた個所でバスをとめなければいかぬという場合も出てまいるおそれがまだ全国に多少残っておる。これにつきましては、警察、建設、運輸三省の出先機関が目下いろいろ実情を調べると同時に、対策を講じておりまして、七月末までには何らかの結論を出しまして支障のないようにいたしたい、かようにいま努力しております。
  58. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 努力はたいへんけっこうでありますけれども、実際問題としてこれを厳重にやられますと、私の知っておるところでも相当量市内あるいは市外においても運行不可能な地域が出ます。それならば業者がそれに対応するような車両構造にすればいいじゃないか、これは言うことは簡単でありますけれども、これは理想でありまして、実際問題としてはさきに申し上げたような業界の事情においてはこれはできません。できないとすればどれをどうするかということになるわけでありますが、その場合にはやはり通り一ぺんの措置ではなくて、適切な行政措置をしてもらわなければ非常な混乱を起こすおそれがある。ですからどうかひとつそういう点については適切な措置を誤らないように、各省と連絡をとってやっていただきたい。それでなければ大混雑になります。今日のような大型バスでも、たとえ道路が狭いといたしましても、超満員の盛況なんですから、その上さらに道路で規制をされるということになれば、これはもうどうにもこうにもできません。ですからひとつそういうことのないようにしてもらいたい。  それからもう一つは、定員についてちょっと聞きますが、もちろん野放しのものはないので、電車、汽車、バスと言わず、タクシーと言わず、定員はきめられておるわけです。ところがタクシーとかなんとかいうならば、これは定員は守れますけれども、実際問題として、バス、電車というような大衆輸送機関は定員は守られません。また乗務員に厳重に定員をオーバーしたら拒否するという権限もないわけです。そしてまたそんなものを守ったんじゃ、とてもじゃないが時間に走るわけにもまいりません。こういう実情にそぐわないものであるにもかかわらず、事故などが起きますと、まず第一に、警察で調べられますのは、定員超過、こういうことで乗務員なりなんなりが処罰される、これは非常に矛盾しておるのです。取り締まるもの自体が定員オーバーと知りつつ乗っていて、たまたま事故が起きたら、おまえは定員超過して乗せたから処分してやろうというのでは、どうも矛盾しております。これはいま自動車の定員はどういうことになっておりますか。鉄道のほうは、もう定員はきちっときめられておるのですけれども、それは問わない、そうしてそのうちに鉄道営業法を改正する、こういうことですけれども、自動車のほうはどういう取り扱いになりますか。
  59. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 旅客を輸送いたしますバスにつきましては、快的にこれを輸送するという趣旨から、定員という問題もそういったサービスという点をも考慮した定員にしておるわけであります。したがいまして、厳密に、定員を一名オーバーしても、もう定員過剰のために事故が起きるという意味定員ではございませんが、バス事業のこの使命から、いま申し上げましたような観点に基づき、定員を一応、私のほうできめております。警察当局も一応その定員基礎にいたしまして取り締まりには当たっておりますけれども、定員そのものがいま申し上げたようなサービス上の考慮も含めた定員でございますので、警察の取り締まりにあたりましても、その点は多少の弾力性を持って考慮しております。特に、道路の状況ともにらみ合いの上で考慮をして取り締まっておるのが現状でございます。  それから、今度は、バスなんかの乗務員といたしましても、具体的にその道路の状況その他によりまして、ラッシュ時にサービスも考慮したこの定員を厳密に守るということも実情に合わない点がございますので、そういう場合にはやはり運行の安全ということを運転者、乗務員の責任において考慮しながら、その都度あまりオーバーするような場合には、次の車にしていただくというような措置を講じて安全運転をしておるというのが実情であります。
  60. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 平面的に御答弁を伺えばそういうことになるわけです。ところが、もう皆さん見ておられますように、通勤どきになりますと、一刻を争うものですから、断わったってどうしたってくっついて離れぬという状態です。そこで、強く断わればもう暴力さたにもなりかねぬ。これはその日の生活とつながっておるから、当然だと思うのです。そこで、そういうふうにして乗った者を担当者だけに責任を負わして過酷な処分をするというようなことは、それだから制限せいというわけにもまいりますまいし、何かもう少し合理的な考え方で行政がやれないものかどうか、そういう研究をされているところがありますか。
  61. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 この問題は、いまの、特に都会地等の社会生活にもつながる問題でありまして、自動車だけでもございません。鉄道等もそうでございますが、やはりこれはその実情によって、めいめい乗る人も注意してもらわなければいかぬということになるし、乗務員も適時適切な措置を講じながら安全運行をやるということで、お互いに協力し合って、そういう場合にはやっていただくというようなPRも必要だと思うわけであります。一つ一つ厳密にどうこうするというのが理想ではございましょうけれども、なかなかむずかしい点もあると思いますので、その辺はよろしく御推察をお願いいたします。
  62. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 これは言うほうが無理で、やるほうはむずかしいことはわかっているんです。これはもう深く追及しませんが、しかし行政措置として運行台数をふやしてやるなり、特別の指示をして行政指導をすることは、私はできると思うんです。というのは、会社、事業者のほうはなるべく車両運行を少なくして能率をあげたいのは当然なことです。それだけに自主的に運送業者にまかせておくということは非常にそういう危険が伴うわけですから、その点はやはり臨時特発車をふやすなり何なりその路線に適合した行政指導をやるということが、私は事故防止策として当然じゃないかと思われるわけです。ですから、そういう点についてひとつ御研究を願って、適切な御指導を願いたい、こういうふうに思いますので、ひとつお願いしたいと思いますが、いかがですか。
  63. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 ただいま御指摘の点はわれわれも十分承知いたしておりまして具体的に常に効率の高い輸送をしておるような路線につきましては、増車その他の方法を講ずるように行政指導をいたしてまいっております。今後ともこの点は十分注意をしながら指導をいたしたい、かように考えます。
  64. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私の言う意味行政指導というのは、そういう点についても査察制度などを設けて、そうして適切に勧告するなり何なりやるということが必要だと思うのですけれども、そういう査察なんかはやっておられますか。
  65. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 各会社を定期的に監査をいたしておりますが、その監査のときに路線ごとの乗車の効率等を見まして、そしていま御指摘のような路線につきましては、監査結果に基いて勧告をいたしております。なおいまお話しの査察といいますか、民間の人に委嘱いたしまして、その人の通勤なり通学なりの路線についての状況を御報告願うというふうなこともいろいろ試みて、予算要求をしたこともございますが、いまだそれは全国的には徹底してはおりません。しかし、地区によりましては、予算を用いずして、地元の協力を得てやっておるというふうなところもあるやに聞いておりますが、全般的には監査によりましてそういう実情が判明次第勧告をいたして、指導いたしてまいっております。
  66. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 これで質問を終わりますが、ただいま申し上げた点は重要でありますから、ただ監査をされる方法についても、時間別、路線別に監査をしてもらって、できればその査察制度のようなものでもつくってもらって、そしてこういう面の適切な行政指導をしてもらいたいと思います。  希望として申し上げますが、この特別会計が創設されて、新しい機構といいますか、この財政の運用が出発をするわけでありますから、どうかひとつ私が質問の中で言いましたように、この職員の身分といいますか、所属しておるこの職員の身分の変更をきたすようなことのないように、第二には特別会計に何もかもおんぶしてそして負担を増大するということのないように、やはり一般行政については従来と変わりのない措置によってこの予算が確保されるように、揮発油税やその他の二の舞いを食うようなことはますます運輸行政を後退させることになる、それは運輸行政としてゆゆしい問題でありますから、そういうことのないようにしていただきたい。  それから行政調査会の答申を待つまでもなく、この監督所属の問題につきましては、やはり一貫した運輸行政が行ない得るような身分保障の処置をしてもらいたい。管理の処置をしてもらいたい。そして職員の不安のない行動がとれるようにしてもらいたい。  それから、これを契機にしまして、この陸運事務所、陸運局の定員というものは、本年は多少ふえておりますけれども、これは実際自動車の増加率と比べましたら問題になりません。ですからもう少し末端職員定員をふやして、そして遺憾のないような措置をしてもらいたい。これは私はずっと言っておるのですけれども、自動車の増加に追っつく人員を万全に確保せよということもそれはあまりにも理想であり、無理でありましょうけれども、少なくとも事務担当者の事務量がもう少し緩和されるようにひとつ措置を特に願いたい。拡充してもらいたい。これを要望して私の質問を終わります。
  67. 川野芳滿

    川野委員長 次会は来たる二十八日、金曜日、午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十七分散会