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1964-02-19 第46回国会 衆議院 運輸委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月十九日(水曜日)    午後一時二十三分開議  出席委員    委員長 川野 芳滿君    理事 有田 喜一君 理事 關谷 勝利君    理事 塚原 俊郎君 理事 西村 直己君    理事 山田 彌一君 理事 久保 三郎君    理事 田中織之進君 理事 肥田 次郎君       木村 俊夫君    佐々木義武君       壽原 正一君    高橋清一郎君       高橋 禎一君    南條 徳男君       長谷川 峻君    細田 吉藏君       勝澤 芳雄君    泊谷 裕夫君       野間千代三君    山口丈太郎君       内海  清君    佐々木良作君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 綾部健太郎君  出席政府委員         運輸事務官         (航空局長)  栃内 一彦君  委員外出席者         運 輸 技 官         (航空局技術部         長)      大沢 信一君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本観光協会法の一部を改正する法律案内閣  提出第八四号)  航空に関する件(日東航空機事故等に関する問  題)      ————◇—————
  2. 川野芳滿

    川野委員長 これより会議を開きます。  日本観光協会法の一部を改正する法律案議題として、提案理由説明を聴取することといたします。綾部運輸大臣
  3. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 ただいま議題となりました日本観光協会法の一部を改正する法律案提案理由について御説明申し上げます。  日本観光協会法は、外国人観光旅客来訪促進し、外国人観光旅客に対する接遇等を改善することにより、国際観光振興をはかり、あわせて観光事業一般の健全な発達に寄与することを目的として昭和三十四年に制定されたものでありまして、同法に基づいて設立されました特殊法人日本観光協会は、昭和三十七年度に政府出資をも得まして、その活動を通じ、わが国国際観光発展に大きな役割を果たしてまいりました。  しかし、最近における諸外国観光振興策強化に対処しつつ、わが国国際観光発展させるためには、外国人観光旅客の誘致を一そう強力に推進する必要があります。このため、日本観光協会国際観光振興会とし、その組織及び業務範囲を改め、観光宣伝観光案内その他外国人観光旅客来訪促進に必要な業務を専門的かつ効率的に実施する法人とするため所要の改正を行なおうとするものであります。  次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。  第一に、日本観光協会の名称を国際観光振興会とし、法律の題名を国際観光振興会法とすることといたしております。  第二に、国際観光振興会観光宣伝観光案内その他外国人観光旅客来訪促進に必要な業務に専念させるため、その目的及び業務範囲を改めることといたしております。  第三に、国の業務を代行する政府出資法人としての性格を明確にするため、会員制を廃止し、これに伴い運営審議会を改組するとともに、理事運輸大臣任命制とすることといたしております。  以上がこの法律案を提案する理由であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願いいたします。
  4. 川野芳滿

    川野委員長 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  5. 川野芳滿

    川野委員長 次に、航空に関する件について調査を進めます。  日東航空機事故に関して説明を聴取することにいたします。栃内政府委員
  6. 栃内一彦

    栃内政府委員 昨日の朝、日東航空事故がございまして、二人の方が死亡されました。まことに哀悼の念にたえません。航空局といたしましても、この種の事故がないことを期しておったわけでございますが、不幸な事故が発生しましてまことに遺憾に存じております。  なお、資料をお配りしてございますが、これに書いてございますように、昨日の朝八時二十一分、日東航空のグラマンの型の飛行機が、大阪から徳島に出発いたしまして間もなく、滑走路の末端から千メートルの地点に不時着をいたしましたが、不幸大破、炎上いたしました。現在私のほうで全力をあげて事故原因の究明をいたしております。何ぶんにも昨日のことでございますので、まだ事故原因については、はっきりしたことは結論が出ておりません。ただ今回の事故パイロットが生存しておるという点、また飛行機大破、炎上しておりますが、ともかく残骸は残っておるというような点で、調査は比較的容易であるとは思いますが、かなりパイロットも重傷でございますので、証言等を正確に得るというまでにはまだかなりの日数を要するのではないかと考えております。一方機体エンジン等につきましては、厳密な調査を進行中でございます。
  7. 川野芳滿

    川野委員長 質疑の通告がありますのでこれを許します。佐々木良作君。
  8. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 ただいま航空局長から御説明のありました日東航空墜落事故につきまして、若干質問をいたしたいと思います。  まず事故者に対しまして、心から痛惜、哀悼の念を禁じ得ないのでありますが、この質問に入るにつきまして、格別ひとつ大臣の御所見を承りたいと思います。  いかなる事故についてでもありますけれども格別航空機事故につきましては、世論は非常にきびしいものがあるわけであります。これは当然のことだと思います。この十八日の日東航空墜落事故に対しましても同様でありまして、某新聞その他によりますと、この事故について、もしこの事故責任パイロット整備担当者だけに負わしておくとするならばとんでもないことであって、むしろ最大のこの原因は、運輸省の航空行政のお粗末さと航空事業会社経営者の無自覚にある。この点をうんと反省しなければならぬ、こういう意味の注釈、解説を加えて、論評しておるわけであります。   〔委員長退席西村(直)委員長代理着席〕 こうなってきますと、これはまさに政治責任に帰せられるべきであると存じますが、運輸大臣の率直な御意見を承りたいと思います。
  9. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 私どもといたしましては、航空事故が、何と申しますか、国民に非常な衝動を与える度合いから申しまして、あらゆる事故に絶するものがありますので、航空行政については、一段の関心と注意を今日までやってまいったのであります。御承知のように、航空事業は多大の資金を要します。基盤が脆弱であったならば、そのもたらすところの惨害が起こりやすいということが考えられますので、私は就任以来、まず航空会社というものを強力に強化するように指導してまいりまして、現在、日本設立を許されております航空会社が、いろいろな面におきましてなるべく共同に、事務、それから機種の統一、機種整備、そういうことを強力にやってまいりますために、航空会社合併、その他提携協調を慫慂してまいりまして、日航全日空はすでに協調体制に入っております。また既存六社のうち、東亜航空もすでに全日空合併しておりますが、東亜航空中日航空等は、全日空業務提携を密にするようにしております。また北日本富士航空、今回問題を起こしました日東航空等も、経営基盤が脆弱であってはならぬという趣旨から、三社を合併するよう勧奨いたしまして、三社の間におきましては、合併契約も調印いたしまして、近々一社として発足するやに聞いておりますが、こういうような施策を通じまして、何といたしましても経営基盤強化事故未然に防ぐ非常な方策であると考えまして、そのような方針をとってまいりました。同時に、パイロットの養成であるとか、あるいは航空路整備であるとかということにつきましても、如上の危険を防止することと経営の順調な発展に寄与せしめるよう、今日までやってまいったのでございます。私は今後ともこの方針を貫きまして、民間航空の健全な育成に努力いたしてまいりたいと思います。  今回の事故につきましてとかくの批判を受けましたことは、行政担当者として遺憾にたえません。同時にまた大いに反省すべき点があると考えておるような次第でございます。
  10. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 普通の話ならばそうでしょうけれども、私はしろうとで全然わからぬのですけれども、次々に起こってくるこの航空事故に対しましては、実際に会社設立の仕方であるとかその他、要するに航空行政面について、あるいはいまの航空法上の問題について、法制上直さなければならぬ欠陥でもあるとお考えになるか。あるいは行政指導面監督面等で足りないところがあったとお考えになるか。つまり新聞批判ポイントは、いま言いましたように、パイロットだとか、その整備担当者だとか、そこだけに責任を帰してはならぬ。問題はもっともとにあるということを盛んに申して、警鐘乱打いたしておるのでありますが、やはりそういう問題があり、そこらに原因があるということは、いま御承認になりますか。
  11. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 私はそこに原因があるとは考えません。御承知のように事故というものは予期せざるところに起こりまして、大体事故の起こる会社経営基盤が脆弱であるということが大きな原因であると考えまして、私は如上申し上げましたような施策をとりまして、まず基盤強化をやる。同時にすべての指導法律の命ずるところによりまして、厳格に審査等をやっていっておるのでございます。それから法律上改正すべき点は、私は現在の法律で十分であると考えております。
  12. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 運輸大臣、そういうふうに言われますけれども新聞その他の批判を見ますと、たとえば航空会社設立免許につきまして、いまの法律では何だかぐあいの悪いような書き方がしてある。要件が大体そろえば、ほとんど全部許可しなければならぬような状態になっておった。だからたくさん許可したんだというような感じになっておるのですけれども、そういう法律運用上の欠陥はお感じにならないですか。
  13. 栃内一彦

    栃内政府委員 使用事業につきましては、そういう問題が議論されておったこともございます。ただ、今回の定期航空運送事業につきましては、法律的に全然整備されておりまして、自動的に許可するというような点は全くございません。したがって、法律整備の面からこれをどうするというような点はないと思います。むしろ法律なりあるいはいろいろな規則なりというものを厳重に守っていくことによって事故は防止し得る、かように考えております。
  14. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 それならば、私もこの法律を読んで、百条、百一条、この辺に書いてあるところを見ると、設立要件はなかなか厳重だ。その中の百一条の一項四号あたりには、「申請者当該事業適確に遂行するに足る能力を有するものであること。」と書いてあるんだから、能力を有しないものを許可するはずはないのですからね。私は、いま読んでみると、法上の不備はないと考える。しかしながら、間々伝えられるところ、また事情に詳しい人から聞いてみると、実際はそうでなくて、届けを出すと許可しなければならぬことになっておる。だから雨後タケノコみたいに、わけのわからぬ会社がずいぶんできてしまった。できてしまったのは、いま運輸大臣がおっしゃるような形で、これでは経営基盤が弱いからというので、行政指導というのかあるいはそれに似たような政治力を発揮して、いま何とか統合強化しようという努力が行なわれておる状態である、こう聞くんですが、事実はそうですか。
  15. 栃内一彦

    栃内政府委員 ただいま大臣がお答えになりました北日本富士航空、それからいま問題になっております日東航空、このいずれの会社も、会社自体としては相当古い経歴を持っております。すなわち日本民間航空が再開されました当初、あるいはその後しばらくしてから設立された会社でございまして、決して最近になって雨後タケノコのごとく出てきた会社ではございません。これは相当な歴史を持っておる。もちろん日東航空につきましては、昨年も淡路島で不幸な事故がございました。その点はまことに遺憾でございます。しかし、大臣がおっしゃいましたように、この三つの会社合併することによってさらに基盤強化していくということでございまして、最近において雨後のタケノユのごとく免許をして、そしてそれをまた統合する、こういうことでは決してないわけでございます。
  16. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 雨後タケノコということばが悪ければ、それは訂正してもいいですが、しかし、要するに民間航空を行なうのには非常に弱体な経営基盤会社であったのではないですか。もしそれが弱体な経営基盤会社でないとするならば、合併推奨する必要はないじゃないですか。りっぱな歴史があるとか、何とかいうことよりも、それを運営をするに必要な条件を備えておって、間違いない会社であったのかどうかということなんです。
  17. 栃内一彦

    栃内政府委員 いま先生のおっしゃいました第百一条の四号の「当該事業適確に」云々ということ、またその前の三号に「事業計画経営上及び航空保安上適切なものであること。」という点がございますが、機械にしましても、あるいは整備能力にしましても、当初におきましていずれも厳重な検査をいたしまして免許をしておるわけでございます。またその後におきましても、機体検査等法律規則に照らしまして厳重にやっておるわけでございます。したがって、合併しなければ事故が起こるというようなことではございませんので、おのおの厳重な監督のもとに営業を続けることは、それはそれで決して危険ということではございません。しかし、さらに基盤強化するということは、ほかの面でも非常に過当競争というような点、あるいはいろいろな点を指摘された点もございますが、必ずしも合併しなければ事故が起こるからというようなわけではございませんので、合併することによって基盤強化されることは非常に望ましいということでございます。合併しなければ事故が起こるほど弱体であった、こういうようには決して私は考えておりません。
  18. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 しかし常識的に考えて、私はしろうとだからよくわからぬけれども、ローカル線も、しゃんとした線は日航なりあるいは全日航なりにほとんど押えられておって、ほんとうに部分的なぶつ切り路線だけを持つという、資本から見てもたいしたものでない資本でやっている会社がそんなに健全な会社だと見られますか。そしてそれがまた経営基盤状態から見ても新しい優秀な機械を、飛行機を買って運航させられ得るようなものだと見られますか。同時に会社経理採算というのは、設立以降現在までそんなに調子よくなっていますか。
  19. 栃内一彦

    栃内政府委員 おのおの会社につきまして、経営は必ずしもよろしいという、それほどの段階ではございませんが、おのおの会社機材というものは、厳重な検査をしております。もちろん新式の機材を買うだけの資力があったかどうかという点につきましては別でございます。ただ、ここで申し上げたいのは、飛行機が型が古いから危険であるというようなことは、私は一がいには申し上げかねる。たとえば非常に古い型といわれておりますDC3という飛行機がございますが、これは整備を十分にし、非常にいい飛行機として現在でも飛んでおりますし、現在航空局でもDC3をフライド・チェック用飛行機として使っております。というようなわけで、決して新しい機材でなければ保安上危険であるというようなことはないわけでございます。
  20. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 飛行機の中身の問題はよくわかりませんが、またあとで触れたいと思いますが、問題は、常識的なことをいま伺っているのです。航空事業というものは非常に微妙なものであるが、いま大臣が言われたように、問題は、とにかく経営基盤強化しようというので合併促進が行なわれているということと、これまで許可されておった実情というものとに矛盾を感ずるわけだ。同時に、それならば合併促進みたいなことを何で行政指導でやられているのか、法上の何かがあってやられているのか、あるいは航空行政面の何か方針でもあってやられているのか、それはほうっておいたらそうなり得るのか、それはどういうことですか。
  21. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 私が申し上げましたように、航空機というものは非常に日進月歩でありまして、その設立当時におきましては、日本航空にしても、日東航空にいたしましても、東亜航空にいたしましても、富士航空にいたしましても、みな相当の資力があって、そうしてその当時の状態においてはいい設備ができたのでございますが、その後航空機の非常な進歩と利用者激増等によりまして、さらに一そう基盤を強固にしなければならぬ、すなわち資本その他を充実していかなければ時勢の進運に伴わないという感じがいたしましたので、私どもは、そういう会社に対しましては、今後一そう厳重な検査をして、今後の路線の認可その他についても考えざるを得ないから、大体日航全日空とそのほかの会社提携し得るような状態になることを航空行政の上から必要と感じまして、合併を推奨し、同時に指導してまいったのです。そこで、航空会社のあり方としては、今後まだ非常に厳重な監督をいたしまして、万遺憾なきを期するよう努力いたすつもりでございます。それにしましても、まず第一に資本の充実とそれから経営陣強化等々をやるためには基盤を大きくしなければいかぬという趣旨に基づきましてやっているのでございます。小さな航空会社につきましては今後は許さない方針でございまして、今後その線に沿ってなるべく経営基盤を大きくするように指導してまいっているわけでございます。
  22. 西村直己

    西村(直)委員長代理 この際関連質問がございますから、関連を許します。長谷川峻君。
  23. 長谷川峻

    長谷川(峻)委員 大臣就任以来航空政策に対して非常に御熱心であることは私も認める。全日空の問題、日航の問題については非常に御熱心でございます。私は考えますが、先ほど佐々木君が言ったように、飛行機事故というものは、かりに事故でなくなる人の数が少ないにしろ、非常に社会的な影響力があるのです。ところが、古い時代は、飛行機が一機落ちますと内閣の中にさえも事故調査審議会なり委員会が生まれて、専門家が全部集まって、どうしてそういう事故が起こったかというわけで、あるいは操縦、気象、あるいは整備、こういうものを研究した時代があったのです。それが日本飛行機というものが進歩発展した一つ原因だと思うのです。ところが、今日群小の小会社というものは、外国のようにたった二、三人で輸送をやっているところがあるのです。それは小さいからといって必ずしも不完全であり、不安だということじゃないと思うのですが、ただ私が非常に不安に思うことは、日本会社は、日航あるいは全日空を除いては、資本なりいろいろな設備なり、飛行機に乗る機士がおりさえすればこれを許可するということじゃなくして、その上に、経営陣の中に機械に対しての専門家がいるかということです。ただ資本があって、経営陣重役の数がそろえば、あるいは操縦する者がおればそれで認可されるという意味もあるだろうけれども、実際のところ、経営陣の中にそうした機械ほんとうにわかる人がいるかどうか。であるから安い飛行機、便利な飛行機、数たくさんの機種を買っておるわけです。日東航空でも、新聞記事を見ると、たくさんの機種を買っておるのです。それらが、ある場合には経営に対して一つのマイナスになるでしょうし、そういう経営陣の中に、いまの日進月歩飛行機のいろいろ技術的な問題について、ほんとうにおわかりになっている方が入っておるかどうか。私はこれをひとつ御研究願いたいと思います。いままで言われた北日本航空でもいいですけれども、金をつくるだけが経営陣じゃないのです。経営陣の中にそういうものがあるかどうか。これが大きな事故を起こしているゆえんじゃないか。私が非常に残念に思いましたのは、八丈島で飛行機事故が起こった。その当時は国会が不正常のために、事故を起こしておっても、この委員会を開くわけにいかぬ。とにかくあれだけ善良な市民が事故で死んでも、何ら討議もされなければ審議もされない、改善される余地も残されずにいったということを見ましても、私は、この際、経営陣の中に機械のわかる人が入っておるのかどうか、こういうことを御検討願いたいと思いますが、どうでしょうか。
  24. 栃内一彦

    栃内政府委員 いまおっしゃいました御意見、非常に傾聴に値するものと思います。現在各航空会社につきまして、網羅的に私記憶しておりますが、経営者の中で、たとえば全日空におきまして、はっきりと技術のわかる方が入っておられます。今度の日東航空重役の中にも、技術出身の方が入っております。そのほか、名前までは私存じない方もございますが、各会社とも入っておると思います。ただこれらの方々が、さらに充実する経営の中で、技術的な立場の担当の方の発言のウエートが増すように持っていくということが事故未然に防ぐ一つのいい方法ではないか、かように考えております。
  25. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 大臣は二時に予算のほうへ行かれるというので、まだ質問したいわけですけれども、一、二にだけとどめて、なるべくはしょりたいと思います。  端的に言って、日本のいろいろな行政の中には、歴史を持っておるものがあるけれども、この航空行政というものは、正直言ってあまり歴史を持っておらぬ。そこで終戦後の発達したこの航空機の問題についても、航空行政に対する混乱があるのではなかろうかという気がするわけです。これは普通の自由企業だから、条件さえ整えばやらせなければならぬということで出発をしたところが、なかなかそろばんがとれないということ、同時に事故が起これば非常に大きな社会問題が出てくるということから、いま航空行政に対して再吟味が行なわれるならば、これから航空行政基本を整えるという状態になるのではなかろうかと私は考えるわけです。したがって、いまの事故そのものについて、私は大臣なり航空局長をしかろうとも思わぬわけで、問題はその辺をつべこべ逃げ隠れせずに、航空行政基本を正す建設的な方向に目を向けていただきたい。いまたいして立法上の不備はないということであるならば、残る問題は、行政監督面及び行政指導面だけだ。いままでの経営基盤の弱体の面を行政指導の面でやられるとするならば、それを充実されることも必要でしょう。しかし先ほど長谷川君からお話がありましたように、しろうとの私ども感じでも、十数社の会社が雑多にごたごたとあるという感じ、そのこと自身経営基盤強化のための会社の統合を阻害しておるのではなかろうか。言うなれば、いいかげんなやつを、機械はわからぬから、たいがいみな運転できる、飛ぶというから、そいつをなるべく安いのを買ってきて、並べて飛ばしさえすれば何とかなるだろうというような、非常に自由主義的な自由な感覚で出発したのが、いまつまづいておるポイントになっておるのではあるまいか。僕はそれはそれでもいいと思いますけれども、ここで一日も早くその基盤強化するために、責任を回避されずに、機種の改定問題にも乗り出してもらいたいと思うのです。ディスパッチャーの問題にしましても、本来法律に書いてあるとおりの運航管理を行なう資格者がやっておるなら事故は起きないわけだ。おそらく困っておる経営者みたいなのがあって、飛べ、飛べるはずだということで飛んでしまって、事故の起きる例が多いのではなかろうか。その意味におきまして、私は大部の法律ですからよくわからぬけれども、この航空法自身もよく検討する必要があろうかと思いますが、さしあたってその必要よりもむしろ行政監督面指導面が必要であるとするならば、卒直にその面に入られんことを特に希望いたしたいと思います。  時間がありませんから、全然別ですけれども運輸大臣にお伺いして、この問題を終わりにしたいと思いますが、議院運営委員会のある席上で、東京ビラまき飛行機でどんどんやるのはどうにもならぬじゃないか、そいつをひとつなるべく禁止させる方向でいこうじゃないかということで非公式な話し合いができて、そうして各党なり運輸大臣行政担当面なりあるいは東京の都知事なりに交渉して、その問題を持っていこうというふうに非公式な話し合いがなされておったわけです。きょうの新聞を見ますと、そういう方針飛行機ビラまきを事実上禁止するような措置をとられるような趣がちらっと出ておったように思うのですけれども、そういう方針であるのか、あるいはまた、やり方はむずかしいだろうと思いますが、どういう方針でやられるのか、御所見を承りたいと思います。
  26. 栃内一彦

    栃内政府委員 ビラまきの問題につきましては、かねてから心配しておったわけでございます。先般非常にけが人が出まして申しわけないと思っております。さっそく、いままでも考えておりましたが、真剣な態度でこの問題を処理いたしたいということで、警視庁あるいは東京都のほうとも御連絡をとりまして意見を承っております。およその方向といたしましては、これはまだ大臣の御決裁を得ておりませんけれども航空局長限りの考え方といたしましては、東京都におきましては、区内はすべて、また区外につきましても、非常に往来の激しい道路付近あるいは人家の密集地帯というところにつきましては、今後一切飛行機からのビラまきをさせないということが、むしろいまとなってはおそきに失するのではないかという深い反省のもとにこの際やりたい、かように考えております。また東京都以外につきましても、東京都の例によって、私のほうから全国に指示いたしまして、関係の警察あるいは公共団体と連絡をとって、同様な趣旨の措置を速急にとるようにいたしたいと考えております。この点は非常に重要な問題でございますので、なるべく早く、場合によっては今週中にでも具体的な措置をとりたい、かように考えている次第であります。
  27. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 非公式な話ではありましたけれども、他の委員会、つまり議院運営委員会においても出た話でありますから、早急にその精神に沿って努力されたいと思います。ただそのときの話で問うてみたところが、航空法の八十九条か何かというので届け出さえすれば、許可せぬでもビラをまいていいことになっておるので、届け出さえすればいいというので、なかなか取り締まりがむずかしいのだという話があったわけですが、必要ならば、法律改正をすればいいわけで、手段は問いませんけれども、問題は非常にだんだんとややこしくなってまいりますから、早急な措置をお願いをいたしたいと思います。
  28. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 佐々木さんが先ほど申されましたことは、私どもといたしましては、ほんとうに新たな行政でございまして、それがなかなかテンポが早いものですから、あなたの御趣旨に従いまして、根本的に管理のあり方、検査のやり方、経営のあり方等については深甚な注意を払いまして、遺憾なきを期したいと思っております。私どもといたしましては、在来の行政のあり方と変えまして、航空行政についてはほんとうに一たん事故が起これば、もう取り返しがつかぬことなんですから、私どもとしては社会的な面、その他について重大なことでありますから、御趣旨に沿うような航空行政のあり方について根本的にさらに一そう研さんして強力にやってまいりたいと思います。  それからビラまきの点でございますが、それは届け出だけじゃないと思うんです。他の法律で禁止してあります。というのは、ただのビラでなくて、いろいろな景品つきのような意味のビラも絶対に飛ばさないようにしてありますが、普通のビラでも、人家の密集地であるとか、何メートル以内でそういうものをやったらいかぬというのは、いまの法律にも禁止がありますし、それじゃまだいかぬので、さらに強化いたそうというところで、いま検討しておるやに聞いております。
  29. 西村直己

    西村(直)委員長代理 この際関連がありますからこれを許します。肥田次郎君。
  30. 肥田次郎

    ○肥田委員 時間が迫っておるようですから、私は先ほどからの質疑の関係からなお意見的なことになりますが、ひとつ大臣にただしておきたいと思います。それは日東航空の今日までの経営はこれは御承知でしょうね。どんなになっていますか。
  31. 西村直己

    西村(直)委員長代理 質問者にお聞きしますが、予算分科で大臣を呼びに来ていますが、よろしいでしょうか。
  32. 肥田次郎

    ○肥田委員 けっこうです。
  33. 久保三郎

    ○久保委員 ちょっと大臣に……。
  34. 西村直己

    西村(直)委員長代理 それでは、ちょっと答弁を待っている間に、久保三郎君。
  35. 久保三郎

    ○久保委員 大臣はこういうこまかいことはお知りにならぬかと思うのでありますが、航空機事故は飛行場が中心で、離着陸のときに多いのですね。航空中には、この間のような問題もありましたが、まあまあ数にすれば少ないですね。ところがその原因については、いろいろ各方面からお話がありましたから、これに触れませんけれども、これは防災の面からいって、羽田空港を一つの例にとりますと、消防車が九台ございます。科学消防車その他を入れて九台配置しておる。そこでこれの所要人員というか編成は、大体三十一名なくちゃならぬことになっているそうです。これは常時配備しておかなければ、いまの日東航空のような問題ができたときに、直ちに出動ができないわけですね。出動をしても運転手一人では残念ながら何もできない。ところが、ある日の配置を見ますと九名の配置です。実際普通は十一名でやるそうであります。九台に三十一名が必要なのに十一名の配置なんですね。なるほど羽田空港一つとれば、機械装備については、防災の面では新しい機械も入って、いいのであります。ところが、動かす人間が残念ながら十一名なんです。こういう点は十分反省しないとどうかと思うのですが、いかがですか。
  36. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 よく調査して、お説のようであれば、機械だけをやったって人間がおらなければ動かぬのですから、全くそのとおりと思います。
  37. 西村直己

    西村(直)委員長代理 それでは大臣は分科会のほうに回ってもらって……。
  38. 栃内一彦

    栃内政府委員 先ほどお尋ねの日東航空でございますが、日東航空は二十七年の七月に航空機使用事業免許がございまして、その後二十九年の八月に不定期航空運送事業免許、三十八年の六月に定期航空運送事業免許資本金は現在十二億円でございます。それから経営の状況でございますが、三十七年度の収支の差額、赤字一億一千二百万円、こういうふうになっております。
  39. 肥田次郎

    ○肥田委員 これは私は特に深く聞きたかったわけじゃないのですが、航空局長のほうでその実情を把握されておるだろうということで聞いたわけなんです。ところが、私が聞いておる範囲では、これは間違いがあれば訂正しますが、日東航空が赤字で、それで結局日東航空の名前は変わらないわだけれども、現在では、最初の産経新聞の前田久吉さん、いまも社長の名前はそのままになっておりますけれども、実質は近鉄の資本に引き継がれておるのだ、こういうふうにいわれておるわけなんです。結局赤字になって、そうしてそういう経過になったというふうに私は聞いておる。飛行機についてということよりも、そこらにある群小のローカル航空会社というものは、同じような条件にあるのじゃないかということは、これは航空局長のほうでよく知っておられると思うのですが、特にこの飛行機についてはわが党の幹部が、名前は言いませんが、数日前にこの飛行機に乗っておるのです。ところが乗客が乗り込んで、そうしていざエンジンをかけたところが、右側のエンジンがかからない。かからないものだから、乗客を乗せたままでエンジンを開いてがたがた直した、こういうことで、きょうもあの飛行機が落ちたのかということなんです。これはたいへんな問題だと思うのです。ですから、あなたのほうで十分監督をしておられるつもりでも、現地においてはそういう状態がある。ですから、飛行機の古い新しいという問題を、若干なりとも機械というものに知識を持っておるわれわれがどうこう言おうとは思いませんが、しかし現実に十数年前につくった飛行機は、幾らエンジンの中身を取りかえてみても、これはある程度がたがきているだろうし、そういうふうに、お客を乗せて、そうして始動してみたところが、エンジンがうまくかからないから、またお客を乗せたままがたがた調べておる。乗っておるお客は不安でたまらないと思うのです。だから結局そういう状態が過去においてあったにもかかわらず、それが、そのまま見のがされておって、そして事故を起こした、こういうことに経過的にはなるのですね。ですから、先ほども佐々木さん言っておられたように、われわれは今日事情がどうこうということを説明や言いわけを聞こうというのではなしに、そういうような状態で放置されておるような姿が現在事故を起こすもとになっておるのじゃないか。ですから、地域におけるところの厳重なる監督というものが行なわれなければ、飛行機事故というものは絶えないだろう、こういうことになろうと私は思うのです。その点今後の地域の監督官に対する指導というものをひとつここで聞いておきたいと思います。
  40. 栃内一彦

    栃内政府委員 ただいまのお話、そういう事実があったということは、私どもいま初めて伺うわけでございます。いやしくもお客に不安感を与えるというようなことは、非常に遺憾なことでございます。また不安感を与えなくても、実質が悪いということはさらにいかぬことでございますので、いまおっしゃいましたお話を十分私のほうの内部の専門家に検討させまして、現地に対する必要な指示なりあるいは会社に対して注意をするというような措置をさっそくとりたい、かように考えます。
  41. 肥田次郎

    ○肥田委員 現在各地にあります遊覧飛行だとかなんとかいうごく極限されたローカル飛行機、こういうものについて一斉にこの際点検をやられる意思がありますか。
  42. 栃内一彦

    栃内政府委員 この点検は、実は飛行機の点検の時間に来た、来ないにかかわらず、安全性向上のために検査をやっております。これは現在の職員をフルに活動せしめまして、全国的にやっておるわけでございますが、この際全部の航空会社について一斉にやるということは物理的にも不可能だと思います。したがって、現在までやっております安全性向上検査というものをさらに厳密にやるという方法で安全をさらに高めていきたい、かように考えております。一番徹低的な方法としましては、この際一斉に全部やるということが一番適切かとも存じますが、現在の陣容では、実際問題としてそれは不可能でございます。
  43. 肥田次郎

    ○肥田委員 大体局長の言われておることと私もあまり違ったことを考えておるわけではないのです。しかし鉄道なんかで事故が起こればすぐ特別監査をやります。これは陣容もあるだろうということになるでしょうが、しかし私が言っておるのは、非常に危険な状態でそのまま惰性的にきているような状態がそれぞれの地域にあるのではないか。だから一斉検査という表現が悪ければ、厳密なる検査の確認という処置は講ぜらるべきだろうと思うのです。ですからいまあなたのほうで一斉検査ができないということは、率直に言って、正直に言われておることだろう。そういう陣容ではとてもできそうもないと思うけれども、しかし各地に、私らが知っておる範囲でも、ちょいちょいいろいろの遊覧飛行をやっておる会社なんかもある。これはみんなお客を乗せて商売をしておる。大臣が言われたとおり、落ちればみんな助からない。そういう状態ですから、飛行機の性能整備というものが機械的に、それを扱っている人が自動車を走らせている程度で、このくらいならまあまあ飛べるだろうというような安易な気持ちでやっておると事故を繰り返すことになるだろう。ですから、そういういわゆる惰性からじゃなくて、また別の感覚の上に立って、この飛行機ほんとうに使ってもいいのかどうか、そういう意思のもとに点検を強化される、こういうことはおやりになるでしょうね。
  44. 栃内一彦

    栃内政府委員 私どもとしましては、今度の事故原因をまず追及する、これが私どもに課せられたいま一番重要なことだと思います。この事故原因を追及いたしまして、それから一つの結論が出ますれば、今後の予防措置ということもより的確に行なわれる。もちろん事故というものは今度発見されるであろう原因だけで起こるものではございませんから、一般的にさらにその他の部分についても注意を喚起することはもとより必要でございますが、今回の事故が何であったかということが早くわかる、このわかったことによって、これを一つの実際上の例として他の面についても注意を喚起するということがおそらく一番効果があるのではないか、かように考えます。したがって、現在としましては、一日も早く事故原因を突きとめる、そしてそれを一つの根拠にしまして、さらに全般的な問題についてさらに注意を喚起する、かように取りまとめたいと存じます。
  45. 肥田次郎

    ○肥田委員 局長、あなたの答弁を聞いておると、私ちょっと疑問を持つのです。というのは、当面起こった事故に対する究明、これを第一にするのだというふうにしか聞こえないのですが、それだけでいいのですか。先ほどから佐々木さんや長谷川さんが言っておることも同じだと思いますが、それは当然やらなければならぬことなんです。それからもう一つ別に、現在の管理状態でいいかどうかということを点検される必要があるのではないかということを私は言っておるのです。だからあなたの言っておるのを聞いておると、それはやらなければならぬということだけれども、しかし現実にいま起きた事故の究明をやって、それから最も適切、有効な手段を打ちたい、こういうふうに聞こえるのですが、その前にまた次の事故が起きますよ。
  46. 栃内一彦

    栃内政府委員 私の申し上げ方があるいは誤解を生んだかと思いますが、決していまの先生の御意見に反対な方向考えておるわけではございません。そちらのことも非常に緊急を要すると思います。ただ、それはもちろん重要なことでございますけれども、具体的な今度の事故原因がはっきりするということによって、一般的な気をつけ方というものに非常に有効な効果があるのではないか、こういう点を少し強調し過ぎたので、あるいは意見が食い違っておるようにお聞き取れたのかと存じますが、真意は決してそういうことではございません。
  47. 肥田次郎

    ○肥田委員 そうすると、すぐどこでもやっておるように、この事故の究明ということは、いまあなたも言われたように、当のパイロット、操縦士は入院しておるでしょう、そう急に直接当人から事情を聞くことはまだすぐできないだろう、こういうふうにおっしゃっておるから、そうすると、その他のことは大体もうわかっておるのです。大体みな専門家ですから、想像できると思うのです。それと、操縦士との間に、そういう状態であったかどうかということが確認できるかどうかということ、機械的な面の検査、こういうことにあとはなってくると思うのです。私の言っておるのは、そうじゃなしに、いまあなたのほうで直接各航空会社に対して、それぞれの地域におけるところの監督官に対して、これだけのことをやりなさいという指示をお出しになる御意思はございませんかということを、遠回しでしたが、聞いておったのです。
  48. 栃内一彦

    栃内政府委員 この点は、今度とりあえずそういう指示を出す、あるいは警告を発するということはこの際有効と存じますので、さっそくそれを行ないたいと存じます。と同時に、事故原因がはっきりいたしましたら、さらにその具体的な実例によって再度注意を喚起したい、かように考えます。
  49. 西村直己

    西村(直)委員長代理 次回は来たる二十一日金曜日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時十八分散会