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1964-02-04 第46回国会 衆議院 運輸委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月四日(火曜日)    午前十時二十三分開議  出席委員    委員長 川野 芳滿君    理事 有田 喜一君 理事 關谷 勝利君    理事 西村 直己君 理事 山田 彌一君    理事 久保 三郎君 理事 田中織之進君    理事 肥田 次郎君       木村 俊夫君    佐々木義武君       進藤 一馬君    壽原 正一君       高橋清一郎君    高橋 禎一君       中馬 辰猪君    南條 徳男君       西村 英一君    長谷川 峻君       細田 吉藏君    増田甲子七君       松田 鐵藏君    勝澤 芳雄君       泊谷 裕夫君    野間千代三君       矢尾喜三郎君    山口丈太郎君       内海  清君    佐々木良作君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 綾部健太郎君  出席政府委員         運輸政務次官  田邉 國男君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      廣瀬 眞一君  委員外出席者         日本国有鉄道常         務理事     山田 明吉君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 二月四日  委員佐々木良作辞任につき、その補欠として  伊藤卯四郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員伊藤卯四郎辞任につき、その補欠として  佐々木良作君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本鉄道建設公団法案内閣提出第五号)      ————◇—————
  2. 川野芳滿

    川野委員長 これより会議を開きます。  日本鉄道建設公団法案を議題として審議を行ないます。  それではまず資料説明をいたさせます。綾部運輸大臣
  3. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 この前の委員会におきまして、私ども説明不足のため、皆さん方に多大の御迷惑をかけたことを遺憾に存じます。  この際、鉄道監督局長より泊谷委員の質問に対する全体の計画につきまして説明いたさせます。
  4. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 お手元に配付いたしました資料について御説明をいたします。  その前に恐縮でございますが、ちょっとミスプリントがございますので、訂正をさせていただきます。一ページの5番の「白糖線」となっておりますが、これは「白糠線」の誤りでございます。  それではまず資料の一ページから四ページまでをごらんを願います。ただいま予定鉄道線路のうちで、鉄道建設審議会におきまして着工線及び調査線という建議をされた新線一覧表でございますが、本州・北海道及び本州四国連絡鉄道、いわゆる海峡連絡鉄道は三線ございまして、調査線になっておりますが、建設費それから工期ともになお未確定でございますので、この表では一応除外してございます。この海峡連絡鉄道につきましては、調査が完了次第できるだけ早い時期に着工したいと考えております。  ごらんのように着工線調査線とに大別いたしまして、線名区間延長工事費等を記載してございます。もちろん工事費等は概算でございますが、この表の四ページの総括表に示しますように、現在の着工線は四十三線でございます。調査線は十五線ございまして、その延長は約二千九百九十五キロ、すでに部分開業いたしました区間は百九十五キロございまして、これを除きますと、残り二千八百キロメートルを今後施工する必要があるわけでございます。  工事費の面で申しますと、総工事費が約三千三百十九億円、三十八年度末の決算見込み額を含めましてすでに使った資金が三百十六億円で、三十九年度以降所要額は大体三千億円ということになります。  なお、総係費工事費の一二%といたしまして計算いたしました。もちろんこれらの新線以外の追加は当然考えるべきでございますが、先ほど申し上げましたように、現在の着工調査線に限定して、試算をいたしますとこのようになるのでございます。  次に、最後の五ページをごらんいただきますと、この表は前段で説明いたしました鉄道新線建設を、三十九年度を初年度といたしまして四十八年度までの十ヵ年において施工する場合の毎年の事業計画と、それに対します資金の構成をきわめて概括的に試算したものでございます。作成の方針といたしまして、三十九年度は予算決定額により前半の五ヵ年の規模をおおむね一千億程度、それから後半の五ヵ年の規模をおおむね二千億円というふうにして整理をしたものでございます。  資金計画といたしましては、国鉄出資額は毎年七十五億円、十ヵ年で合計七百五十億円といたしまして、あとはあげて政府資金という形をとりました。政府資金には出資融資がございますが、この資料では両者を一本として所要額を計上してございます。しかしこの点は今後十分に研究をいたしたいというふうに考えております。  以上がこの資料を作成いたしました考え方、それから私どもといたしましては、一応この十ヵ年計画というものをもとにいたしまして、今後計画的に進めてまいりたいというふうに考えております。簡単でございますが、御提出いたしました資料説明をさせていただきました。     —————————————
  5. 川野芳滿

    川野委員長 それでは質疑に入りたいと存じます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。泊谷裕夫君。
  6. 泊谷裕夫

    泊谷委員 ただいまの鉄道新線建設事業計画、特に資金計画についてお示しをいただいたわけですが、事業計画そのものについてお尋ねしたいと思いますが、これは後ほどに譲りまして、特に資金計画の問題について、これは運輸省試案であります。したがって、運輸大臣大蔵省との関係がどうなっておるか、まずそれを最初にお聞かせをいただきたいと思います。
  7. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 ただいまもちょっと申し上げましたように、これは運輸省部内試案でございまして、財政当局とはまだ協議をしておりません。私どもとしましては、これをもとにいたしまして、今後政府部内の考え方を統一してまいって、大体この計画に従って長期的な計画を立ててまいりたいというふうに考えております。
  8. 泊谷裕夫

    泊谷委員 重ねて恐縮ですが、昨年の六月二十四日の運輸委員会会議録を見ますと、予算折衝運輸大臣大蔵大臣とこの問題について話をされたように述べられておりますが、その具体的内容をお示しいただきたいと思います。
  9. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 大蔵大臣と具体的に折衝いたしましたのは、三十九年度には双方合わして二百億円を要求いたしたのでございますが、ごらんのように、七十五億円のほかに、政府出資、それから融資を入れまして約二十五億円、すなわち合計百億円を認められたような次第でございまして、これが発足いたしますれば、順次その必要性に応じて、大蔵当局としては、年々政府出資を増加するなりなんなり、資金所要建設工事に差しつかえないようにめんどうを見るというか、解決していきたいという大蔵大臣言明を信頼いたしまして、三十九年度の予算をきめたような次第でございます。ちょうど道路公団等も発足当時はわずかの出資額でありましたが、今日は大きな道路建設をやっておるような次第でございまして、この鉄道建設公団が発足することにひとつ皆様方の御協力を得たいと考えております。
  10. 泊谷裕夫

    泊谷委員 そうしますと、事業計画これ自体についてこれから議論があると思うのですけれども、いまの大臣お答えは、大蔵大臣がこの大筋に沿って了解されておるというふうに理解してよろしいですか。
  11. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 この具体的の計画というよりも、三十九年度の要求額に対しまして二百億円を百億円にされたという経緯を申し上げたのでございまして、全体の計画につきましては、大蔵大臣折衝という段階には至らないが、大蔵大臣鉄道建設速急実現要望いたしておりまして、これに大体この鉄道建設公団が、国民要望する、またわが党の施策としておる地方格差の是正、あるいは鉄道要望する地方民要望にこたえるようにするという言明を得て、具体的にどの線、どれということにつきましては話しませんが、大体として鉄道建設公団によって新線建設を推進して、そうして如上申し上げましたような国家目的に沿うようにいたしたい、かように申されており、私もそれを信頼いたしております。
  12. 泊谷裕夫

    泊谷委員 せっかく事務当局資金計画試算を出されましたので、それを中心にいま大臣お尋ねをしたのですけれども、初めて出てきた議員として、予算審議のあり方について、たいへん大きな疑問を持っておるので、この際大臣にその方針をお伺いしたいと思うのです。いまのお話でも、三十九年二百億の要求中心に話をされた。その以後の問題については、大蔵大臣の気持ちを了としてそれに期待をする、要約してこういうようなお話でありますが、私ども国会審議といいますと、これは国権の最高機関であって、国のただ一つ立法機関であるということは、すでに申し上げるまでもなく、憲法規定されておるところだと思います。したがって、国の財政を処理すること、これが大きな国会の仕事だと思うのです。従来客観的に起きております事実は、大蔵省の省議がまとまり閣議決定をいたします、国会に提案する、そうしますと、あとは具体的に、おのおの自民、社会という両政党でその原案をめぐって攻防戦を展開するというだけであります。具体的な国民要望中心に国の財政を処理するという審議の実態かないように思われるのです。言いかえますと、国会議員に対する重要な予算審議権というものがほとんど剥奪されておるような印象を私は持つのです。具体的な問題をながめてみましても、政府原案を提起して以後、両党で補正し修正する、こういう事実はあまり見当たりません。こうなってまいりますと、最近の傾向は、特に外部団体や民間の皆さんの話を中心に、与党がそれに関与して大蔵省で話を進める、それで予算がすべてのようになっておりますことは、本来国会審議形態として私は誤りではないかと思うのでありますが、この問題について大臣の御所見を承りたいと思います。
  13. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 ごもっともでございますが、本予算編成権内閣にとるか大蔵省に置くか、いろいろ議論がございますが、現在の状態におきましては、私ただいま申し上げたように、大蔵大臣との話を推進してまいります以外に方法がないと思います。今国会におきまして議論をされました中心は、来年度の予算、すなわち四十年度の予算を編成するときによくその趣旨を申しまして、御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。
  14. 泊谷裕夫

    泊谷委員 大臣が具体的に趣旨に沿うようにということは、憲法八十六条にあります。内閣提案権を持っておることは承知するのですが、具体的におのおの定められた委員会で新線建設について慎重な討議をする。建設はこうして進める、そのために資金措置はこういうことが必要だ、かりに法案としては緊急措置法なり措置法を設定して、それの従たる法案として公団法という法案審議する、こういう体系が具体的にとられるというふうに理解してよろしゅうございますか。
  15. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 そのとおりでございます。
  16. 泊谷裕夫

    泊谷委員 いま大臣お答えになりましたか。ちょっと聞きのがしましたので、もう一度……。
  17. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 大体いまの趣旨は、さっきあなたのおっしゃったような方法で進めたいと思います。
  18. 泊谷裕夫

    泊谷委員 いまの大臣お話で、国会予算修正ということが基本的な条件として残されておるということになりますと、今後私どももその線に沿うて議論を起こし、意見を述べたいと思いますので、その部分は後ほどに譲りたいと思います。  いまの段階では、従来国民から切実な要望として叫ばれ続けてまいりました新線建設について意のごとくならないという根本的な原因は、その必要資金国鉄の現状からして確保できないものであるから、政府が新線建設公共事業として主としてその費用を負担することである。そのことが、この問題の本質的な解決になるのであって、公団そのもので数多い国民要望にこたえる筋だとは思われないのですけれども、一応その議論は先ほどの大臣答弁によりまして、今後私ども考えも明らかにしてまいりたいと思いますが、この機会に具体的な法案内容について二、三お尋ねをしたいと思います。  一年以上御審議をいただいた法案でありますだけに、具体的なものが出されると思っておりましたが、いまお尋ねのように、大蔵省のほうからは歯切れよい返事をまだちょうだいしていないような状態でありまして、特にまず第一の問題としては、建設費負担方法についていま運輸省から大まか出ました。将来どれだけのものを建設するかということ、それに政府出資はどういうふうな関係になるか、国鉄負担はどうかということはこの資料でおおよその輪郭はわかります。  そこで、このほかに借入金をどの程度必要とするか、あるいは赤字借り入れについての利子はどういうことになるのか、こういう点についてお聞かせをいただきたいと思います。
  19. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 ただいまお配りいたしました資料にもございますように、政府資金といたしましては、出資額借入金とを一本にしてございますので、これをどれだけ出資に置き、どれだけ融資に置くかということは、今後検討してまいりたいというふうに考えております。一応これは一本で考えております。実情に応じて内訳を考えておるという段階でございます。
  20. 泊谷裕夫

    泊谷委員 恐縮ですが、鉄道建設審議会のほうから出されました答申書によりますと、国鉄公団との負担率は、大体国鉄二割程度で、政府負担すべきもの八割程度基準として第一、第二、第三、第四、第五と案が提出されておりますけれども、いまの局長説明によりますと、けさほどちょうだいいたしました資料借入金並びに出資と両方含めておるものとすれば、あまりにもこの率について開きがなさ過ぎるように感ずるわけであります。特に政府資金の中でおよその率を、借り入れ出資をどの程度にお考えになっておるか、もし答弁いただければ大臣から御答弁いただきたいと思います。
  21. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 借入金政府出資の割合をどうするかということでございますが、これは今後建設すべき新線営業係数と申しますか、わりあい近い将来に収益を上げ得るか、あるいはかなり長期にわたって収益を期待できないかというようなことにもかかってくるわけでございまして、赤字の場合には、なるべく私ども利子のかからない政府出資というものを期待しなければならないというふうに考えておりますが、今後の私どもの希望としましては、政府出資のほうに重点を置いて考えてまいるということになるかと存じます。  それから国鉄出資が毎年七十五億、合計七百五十億ということでございますが、これはぴったりその数字にはなりませんが、三千億のうちの二割強というようなかっこうになるかというふうに考えております。
  22. 泊谷裕夫

    泊谷委員 せっかく資料をちょうだいいたしましたが、今後の新線経営関係についてお尋ねをしたいと思うのです。いま建設費お尋ねをいたしましたが、新線経営について、特にその赤字問題を中心として今後その処理方針をどうお考えであるか、これをお聞かせいただきたいと思います。
  23. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 でき上がりました新線は、国鉄譲渡する場合もございますし、あるいは貸し付ける場合もございますが、それにつきましては法律案の第二十三条に掲げてございますが、「公団は、政令で定めるところにより、日本国有鉄道に対し、有償で、第十九条第一項第一号の規定により建設した鉄道施設を貸し付け、又は譲渡するものとする。ただし、運輸大臣後進地域その他特定地域開発等のため無償とする特別の必要があると認めて指定した鉄道施設は、無償で貸し付けることができる。」というふうになっておりまして、国鉄在来線と一体的に経営するというような関係から運用したほうが諸般の事情から適当であると思われるものは譲渡の対象に考えておりますが、譲渡有償でございます。それから貸し付けは、その法律条文では有償が原則というふうになっておりますが、これは公団及び国鉄経営上の問題を考慮して、その額あるいは支払い方法考えるということになっておりますが、実際問題といたしましては、この第二項にございますただし書き以下の規定が活用される場合が実際の面では多くなってくるというふうに考えております。したがいまして、ここに書いてございますように、後進地域その他特定地域開発等のため無償とする特別の必要があると認めて運輸大臣が指定いたしました場合には無償で貸し付けるというこの条文が活用される場合が、実際問題では多くなってくるというように私ども考えております。
  24. 泊谷裕夫

    泊谷委員 有償無償のところまでまだ尋ねてないのです。けさちょうだいいたしました資料では、新線営業についての資料をまだちょうだいしてないのですから、古い運輸省の出した資料によって計算をしてみますと、今回着工線は、昨年の委員会議論をみますと、四十三線で二千七十七・六キロ、工事費が幾らということで提示されておりますけれども、この新線開通に伴いまして営業収入見込みというものがあると思うのです。従前資料でまいりますと、六月二十四日の運輸委員会資料を見ますと、着工線は四十七線で二千二百二十五キロ、工事費が九千百四十三億二千九百万円、これに対する営業収入九十億三千万円、こうなっております。経営費償却費を含めて百二十六億三千万円、こうなってまいりますと、着工線損益計算は三十五億九千万円の赤字ということになるわけです。さらに調査線十五線のほうも、今回の資料では九百十七となっておりますけれども営業関係はありませんから、従前資料を採用しますと、八百六十五キロの工事費が一千十二億七千万円、営業収入は四十億六千万円と見込んでおって、経営費が四十七億円、償却費が二十一億円、計六十八億円となっているのです。これは運輸省の提示された資料によって計算をしたものでありますが、そうしますと、その差二十七億九千万円が赤字ということになって、前者の赤字が四〇%、後者は六〇%という数字になるわけです。合計工事費が二千九百五十六億円で、営業収入が百三十一億円、経営費が百三十四億六千万円、償却費が六十億円、合計百九十四億九千五百万円ということで、赤字六十三億九千万円というのが算出されるわけです。これはもちろん今後の経済変動、物価高の問題や労務関係の賃金の上昇などは計算されない数字であります。いまお尋ねしたいのは、営業に伴う営業費についてどういう具体的な方策をお考えであるかということをお尋ねしておるわけです。この点御説明いただけるならば、お願いしたいと思うのです。
  25. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 ただいま先生のおっしゃいました数字は、この前の国会で私どもが提出した資料によってお尋ねがあったものと考えますが、まさにそのとおりでございまして、大ざっぱに申しまして、その後に二線ばかり違っておりますが、この数字については大勢としては違いがないという前提で申し上げますが、着工線につきましては確かにおっしゃいましたような数字になりまして、営業係数は、全部を平均いたしますと一四〇、それから調査線につきましては一六九という営業係数になります。着工調査を平均いたしますと、一四九という営業係数になりますが、これは国鉄建設するという前提でこの数字を出しておりますので、今後国鉄から受け継いで公団建設するということになりますと、利子負担の面あるいは減価償却の面、これは公団のほうに参りますので、いまの一四九という営業係数は若干よくなりまして、大体一二〇程度になるのではないかというふうに考えております。しかし、いずれにしても、当分の間経営上の赤字はかなり生じまして、これをどうするかというお尋ねかと存じますが、私ども考えといたしましては、公団ができますことによって利子あるいは減価償却費負担公団に移りますので、それを差し引きました経営上の赤字係数で申しますと一二〇程度になりますが、これは国鉄の公共的なたてまえから、国鉄負担をしてもらうという考えでございます。
  26. 泊谷裕夫

    泊谷委員 いまのお答えでさらにお尋ねしたいのは、国鉄が新線経営の場合、営業係数が一四〇何がし、公団経営の場合一二〇、およそそういうことだというお話でありますが、どうしてそういう計算になるのか、その点をひとつお聞かせいただきたい。  それからもう一つ、いま今後の新線経営については国鉄公共性から国鉄負担してもらいたいという意味は、今回の新線建設国民の切実な要求としてこれだけ政治的な問題として議論されてまいりましただけに、この問題についても運輸大臣としては、当然その善後措置をとらるべきが至当と思われるのですが、その用意があるかどうか、この後段のほうについて大臣のほうから御答弁をいただきたい。
  27. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 ただいまちょっと申し上げましたように、国鉄建設する場合と公団建設いたします場合との営業係数が変わってまいるのは、主として利子負担の問題、減価償却費の問題ということから、いまのような数字が出てまいるわけでございます。それから先ほども申し上げましたが、できあがった新線国鉄経営することによりまして、若干の負担は出てまいるわけでございますが、これは国鉄の使命から申しまして、国鉄全体の経営が、収支がバランスがとれるという考え方から、国鉄の公共的な性格から申しまして、若干の新線経営による負担というものは国鉄負担をしてもらうという考え方でございます。
  28. 泊谷裕夫

    泊谷委員 四条関係中心お尋ねしたわけですが、ここにきてこういうお尋ねをするのは恐縮でございますけれども営業係数のとり方の問題で局長から御答弁がありましたが、どうもしっくりしない。  そこで別な角度からお尋ねしたいのですが、私も数多く使ってまいりました赤字とか黒字ということばですね。その基準をこの際明らかにしてもらいたい。どういう基礎で赤字黒字というものを算出するのか、その点をお聞かせいただきたいと思います。  それから先ほどお尋ねしました後段関係国鉄公共性で、それを負担してもらおうという説でありますが、建設公団をつくって新線の促進をはかると、営業面でどんどん国鉄の企業がそれこそ赤字を背負い込んでくる、それについて国鉄負担をしてもらうということについては、おおよそ建設公団を設置する意味が失われると思うのであります。くどいようでありますけれども、先ほど私がお尋ねいたしましたように、大臣のほうから、これについてしかるべき措置をおとりになるという回答がいただけないものかどうか、もう一度お尋ねをしたいと思います。
  29. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 国鉄赤字黒字という考え方は、これは国鉄経営全体としてという考え方と、もう一つは便宜上各線区別赤字黒字という考え方と、二つあると存じます。いま先生お尋ねになりましたのは、よく申します、この線は赤字線であるとかあるいは黒字線という点からのお尋ねかと存じますが、これは経営上は非常に大事な考え方だと思います。大ざっぱに申しまして、国鉄の現在経営しております二四、五%の線区だけが黒字で、あと赤字ということになりますが、これは現在の国鉄原価計算規定によっているものでございまして、これとは別に、国鉄は全部の営業といたしまして赤字黒字かということは、私はより重要だというふうに考えております。結局、東海道線その他の有力なる黒字線区によってかせぎました金をもとにいたしまして、八〇%くらいの赤字線区経営しているというのが国鉄経営の姿でございます。もちろん黒字線からますます黒字を多くし、赤字線区経営をなるべく合理化してまいるということは経営上必要でございますが、政府といたしましては、国鉄全体の経営バランスがとれているということが私は望ましいと考えております。いまおっしゃいましたような、黒字線区収益をさらに高め、赤字線区経営をさらに改善していくということはもちろん必要でございます。個々の線区につきまして、これは赤字であるという掘り下げは大事だと思いますが、そうかといいまして、その線区をないがしろにするというわけには国鉄の性格から申して参らないというふうに考えております。  それから後段お尋ねでございますが、将来大部分赤字であろう、当分の間赤字であろうと予想される新線建設して、この経営上の負担国鉄に負わせることにつきまして、政府はどういうふうに考えているかというお尋ねでございますが、これは先ほどの前段に戻りまして、経営の全体から見て政府考えてまいりたいというふうに考えております。
  30. 泊谷裕夫

    泊谷委員 確かに赤字黒字というお尋ねは、ばくとして意味がおわかりにならないと思いますけれども、職場で、数多い従業員が、現地の局長も含めて、背中をまるくしてがんばり続けておる、この線区営業係数は一四〇だ、それを一二〇に縮めよう、一一〇に縮めようということで、夜昼なしにがんばり続けているわけです。今回公団が設置されまして、譲渡その他の問題でその性格を異にするということになりますと、私はやはりこの赤字黒字基準というものを鮮明にしておかなければ、今後新線がどんどん国の要請で開発され、促進される。そのために、一面国有鉄道のほうは公共性と独算性を両面抱いて走らなければならぬ企業として、数多い問題が他動的な力によって、——企業面としてではなくて、他動的な力によって自分たちの自主性を侵される。こういうことになってまいりますと、職場で働いている連中に、企業意欲といいますか、自分たちが働いてその企業の健全性を持たせるというのには、やはりこれで赤字だ、黒字だという基準を明らかにし、しかもこの建設公団法が設定されるという時期にきちんと基準を設定しておかなければならぬものだと思うのです。いま鉄監局長からお話がありましたけれども、その当該企業であります国鉄側のほうからも、これについてお考えがあればあわせて私は答弁をいただきたいものだと思います。もう一度赤字黒字というものについて、何を基準にしてきめるか。先ほどのように全体で赤字黒字を見るという筋もあることは承知しております。だが、建設線だけでその単線区におけるものを基準にしてやるのが私は筋でないかと思うのですが、その点もう一度御答弁をいただきたいと思います。
  31. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 先ほども申しましたように、国鉄全体の経営はどうかという点と、いま先生が御指摘になりましたように、現在国鉄にあります原価計算規程によりまして各線区別経営成績を追求してまいる、これもまたもちろん大切であると思います。特に国鉄経営を今後ますます改善していくために、現場の職員に各線区別赤字黒字の観念を強く植えつけてまいっておることは事実であります。そういった現場にも経営努力を反映させるために、今後も国鉄線区別赤字黒字原価計算規程に基づきました数字を示しまして、経営意欲を高めてまいりたいと存じますが、これは国鉄の職員の経営意欲という点から非常に大切なことだと思います。私どもは、役所として、運輸省といたしまして、国鉄赤字黒字かという場合には、予算等をつくります場合に、国鉄全体の経営がどうなっているかという点から考えている場合が多いのでございます。  なお、線区別赤字黒字の問題につきましては、国鉄山田理事が参っておりますから、御説明をいたさせます。
  32. 山田明吉

    山田説明員 国鉄の立場から申しますと、泊谷先生がおっしゃいましたように、経営という点を従来非常に考えまして、幸いにして三十七年度の決算をごらんいただきましても、三十七年度までは国鉄全体といたしましては、営業係数で申しましても、また決算面上で申しましても、いわゆる黒字の決算をいたしております。しかしながら、さっきも御指摘がございましたように、全国で二百二十六線ございますうちの二四%がいわゆる黒字でございまして、七六%がいわゆる赤字でございます。しかしながら、幸いにして、国鉄全体を見ますと、いわゆる黒字の決算をいたしております。しかし、それで私ども甘んじておりませんで、御指摘のように二百二十六線の各線区ごとに、黒字のものはさらに黒字を上げるように、赤字のものはできるだけその赤字を消すようにという努力を日夜続けておるわけでございます。しかしながら、立地的に、また歴史的に見まして、全線が黒字になるということはなかなか期待し得ないところでございまして、私ども本社といたしましては、国鉄全体の経営考えますときに、これもいつも御議論になりますように、公共性と企業性をいかに調和させて、できるだけ赤字を少なくしていくかということを本社としても考え、また各地方の線区経営を担当いたしております管理局長、あるいはさらにその下におりますいろいろの線区経営長に指導いたしておるわけでございます。  大体、赤字黒字の観念につきましては以上のような考えに立っておる次第でございます。
  33. 泊谷裕夫

    泊谷委員 もう一問でこの部分はおしまいにいたしたいと思います。  ただ、職場から出てきて新しく議員になった者として特に感ずるのは、この気持ちで大臣にもお骨折りをいただきたいと思うのです。私は北海道に在住するものですけれども、北海道の八十年の鉄道の歴史は、単線区計算するとほとんど赤字です。しかし、それによって北海道では、当初わずか三十万ぐらいの私どもの先輩が切り開いたところが、いまは五百万、六百万になろうとしておる。国の施政から考えてみると、これは損得なしに、この線路を敷いて数多い雪を——バスではもうだめなのです、民間ということになればバスがとまっても許されますけれども、国有鉄道という看枚を上げておる限り、わずか七人のお客様を運ぶのにもラッセルの二本や三本は通さなければならぬのであります。しかも、前回訴えましたように、国鉄なら国鉄の首脳部の皆さんが、英知を傾けて機関車用の石炭を大量に仕入れる値段が、片や富士製鉄や東洋高圧というところは重点産業に指定されて、トン当たり五百円なら五百円の国の助成があります。たくさん石炭を仕入れたら、本来なら自由経済であるならば二百円のものが百五十円になるのが子供の常識なのです。高い石炭を逆にたいて、理不尽にも運賃は国会できめるのです。そうして、その独算制を合わそうとするのにはどうすれば独算制が合うのか。やはり国で、諸外国のように、交通機関に対してはしかるべき措置をとってもらうというところに、職員の目は必然的に向きます。いまお話しのように、単線区で、山田常務の言われたように幾らかでも営業成績を上げていこうと努力しておる者にこたえるものは、その線区内における、やはりこうすることによって赤字だ、黒字だという計算一つのものさしになると思うのです。ところが、それは全体でということになれば、一面東京、大阪を中心とする大都市は、中央線などは矢つぎばやに住宅が建てられて、そのあとを追って線路を敷いていく、乗降人口は三二〇という指数を示しておる、こういう神わざ的な仕事をして、それで地方の線区営業係数も見ていかなければならぬということになりますと、企業論としての国鉄はどこにその活路を求めるかということが、四十七万職員の苦悩なのです。  今回、国民のしかも経済基盤を確定せしめて、地域格差をなくするという筋で、新線を開発するために、責任の分野を明確にして公団を設置するというならば、そのよって起こってきた営業の問題について、私は、政府は明らかにしかるべき措置をとるということが言われて当然だと思うのです。なぜそれを歯切れよく大臣から答弁をいただけないかということについて、私は理不尽に感ずるんです。私の申し上げているのが誤りであるのかどうか、私は大臣からこの問題について答弁をいただきたいのであります。きょうだめであれば、赤字黒字基準について、この際やはり明らかにしていただきたい、責任態勢を明確にする、この方策を次会でもよろしいですから、鉄監局長のほうで検討いただきたいと思います。
  34. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 基本的な考え方は、先ほど申し上げておりますように、線区別赤字黒字は、原価計算規程に基づいて出てくるわけでございますが、この公団をつくります趣旨が、そもそも国鉄だけにまかしておきましては、意のままにならない。さらに地域格差の是正であるとか、あるいは地方開発ということになりますと、国家的あるいは社会的な使命がかなり強いウエートで出てまいりますので、従来と違いまして、国鉄出資のほかに政府でもかなり資金のめんどうを見て、いわば公共事業的な考え方をかなり入れまして、政府がこれをきちんと見てまいろうという考え方でございます。そういった意味国鉄だけが建設しております場合よりも、国鉄負担は減ってまいるというふうに考えております。  なお、でき上がりました鉄道施設国鉄に貸し付け、国鉄が今度は経営上の負担をある程度するということは、先ほど申し上げておりますように、国鉄経営内容営業係数を高めていくということはもちろん必要でございますが、国鉄の使命から申しまして、若干の経営上の負担というものは、何と申しますか、がまんをして引き受けてもらいたいというのが私ども考え方でございます。
  35. 泊谷裕夫

    泊谷委員 それでは四条関係は終わりまして、十九条の、この前も一応議論がありましたが、きょういただきました資料によりますと、青函とか本州と四国を結ぶ海峡鉄道については別ワクのようでありますから、これは抜きます。しかし、一面公団といえば聞こえは至って民間のように聞こえますが、いまあります実態は、どうしてもお互いに仕事を進める場合に、勢力範囲といいますか、そういうことで数多くトラブルが出ることが散見されるわけであります。したがって、十九条二項のただし書き二号の問題ですね。ずいぶん議論がありましたけれども、いま東海道新幹線で大阪までの輸送要請に血道を上げて国鉄は改良工事を進めております。やっとのことでという表現を使うほど今回予算はつきませんでしたけれども、まあ一応努力をしてこれが開通されると思います。この先はやはり山陽線に結ぶというのが、日本の交通網の基幹としては私は必要になってくるのではないかと思うんですが、その場合、これを国鉄事業でやるのか。具体例でお尋ねをしたいと思うのです、ことばのやり取りは抜きにして。こういう問題については、従前のように国鉄の事業として継続させる方針なのかどうか、そういうことをひとつお知らせをいただきたいと思います。
  36. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 この問題は、実は現在着工しておりまして、この秋から開業しようという東海道新幹線についてもいろいろ議論があったわけでございます。これは現在線の改良であるか、あるいは若干経過しておるところが違いますので、新線建設であるかというような議論が、鉄道建設審議会でもかなり重ねられまして、結論は、東海道新幹線の場合には途中の駅が十ございますが、これは全部大体在来線を経過するということで、若干の経過地の相違はございますが、考え方は現在の東海道線の改良、線路増設という考え方で、新線建設ではないという考え方で現在の東海道線着工して、近く完成しようとしているわけでございます。  山陽新幹線につきましては、これはまだ実は私どもあまり議論をしておりません。検討もしておりませんが、運輸省でいろいろ計算いたしますと、近い将来に山陽本線も行き詰まる。したがって何らかのかっこうで線路容量をふやす。そのために線路の増設をやらなければいかぬという時期が近々まいるというふうに考えておりますが、その場合にこれを東海道線と同じような形で国鉄にやらせるか、あるいは新線としてこれをやらせるかということは、まだ実は深く議論をしておりませんので、今後十分検討いたしたいというふうに考えております。
  37. 泊谷裕夫

    泊谷委員 まだ方針が出ておらぬという話でありますが、私、この点重要だと思うのです。なぜかというと、五日ほど前ですか、またまたあの国鉄が数多い人々の足を奪ったということで新聞にずいぶん大きくたたかれました。改良工事一つやるにしても、国鉄はほとんどその工事に全神経を使うといっても過言でないと思います。運転部門に携わる者も、閉鎖工事をやる場合に、全部線路の防護手配をして、下請に落とすにしても、一人に一人くらい監督者がつくくらいにして、大事な人さまの命に危害を加えないように神経を使うものなのであります。先日やはりバケットが高架線に触れたということで電車がとまった、特に、密度の高い線区の改良工事などというものは、別の責任を持った部隊がやるというしかけにはならぬと思う。長い歴史を持って、その防護手配ができた中でなければ、新しい今度平たん線を敷く——私は全国的なことはまだ勉強しておりませんから別にして、たとえば私の近くで岩内線なら岩内線を新設していくなどということについては、平たんな路線でもありますし、技術的な困難もないから、それは公団のほうでもこなし切れるかと思いますけれども、山陽とか東海道とかいう筋も、そういう人々が来て工事ができると考えること自体が国鉄の工事の困難さというものを、政府皆さんが、あるいは運輸省皆さんがまだ十分承知していただけないのではないかという気持を持つのです。ですからこの問題については、きょうめんどうであれば、まだ法案審議が二、三日あるでありましょうから、その中で明らかにしていただきたいと思います。意見だけ述べて——もしいま答弁いただければ答弁をいただきたいと思いますが、もし答弁がいただけなければ、次の問題に移りたいと思います。
  38. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 かりに将来山陽の新幹線を建設する場合に、国鉄でやったほうがいいか、あるいは公団でやったほうがいいかという点につきましては、先ほど私が申し上げましたように、まだ議論をしておりません。と申しますのは、山陽線の線路容量が行き詰まるということは事実でございますが、その場合、線路増設を現在線にかなり並行してやるか、あるいはかなり違った経過地をとるかということによって変わってまいると思いますので、その辺の具体的な問題についてはまだ掘り下げておりませんので、もうしばらく時間をかけないと、どちらにやらせるということはきまらないと存じます。  なお、ごく最近、品川構内におきまして、新幹線の工事で、クレーンのバケットが信号高圧線をひっかけまして、大きな停電事故を起こし、このために約百五十万人のお客さんに迷惑をかけたということはきわめて遺憾でございますが、これは国鉄部内におきましても、在来の工事と違って、新幹線は別のかっこうでやっておりますが、これは十分連絡をとってやっておりまして、こういったことのありようはずはないわけでありますけれども、あのような事故を起こしましたことはまことに遺憾に存じております。今度、いま御審議を願っております建設公団の技術陣営は、ほとんど全部が国鉄から出向するというかっこうになりますので、その辺は、組織は変わりましても、従来と同じように十分な連絡をし、技術的な水準は非常に高いわけでございますし、国鉄との連絡は十分できるというふうに考えております。
  39. 泊谷裕夫

    泊谷委員 ただいまのはそれで私は打ち切りたいと思いますけれども、くどいようですが、要望しておきたいのは、いま池田総理もよく訴えておりますが、やはり人づくりという環境は、ぼくは大事だと思うのです。同じ人が同じ仕事をしても、国有鉄道ということで、公共性が強いのだから、そろばん勘定ばかりじゃなくて、まず人の大事な命を守ろうということにすべての神経を集中していくのと、公団ということになると、民間になったという形で、気が楽になって、工事そのものを先行させる、こういうことによって、それが数多い人が密集している地帯でなければ世の中の騒ぎも大きくならな  いかもしれませんが、都心部などでは、やはり環境によって、職員が同じとうとい技術を持っておっても、違いを見せてくると思うのです。この点私は、いままで二十六年やっかいになった経験の中から強く感ずるものですから、こう申し上げることは、いま池田総理が訴える人づくり政策、またその環境を整備しようということとも相反しないと思うのです。そういう趣旨で、今後それを基調にしてお考えをいただきたいものだと思います。これをひとつ要望して申し上げておきたいと思います。  次は、これもいまさらとお考えになるかもしれませんが、今度はあらためてこの法案成立を前にして、どうしても確認をしておきたいのです。それは二十三条の有償無償議論ですが、きょうは大蔵大臣が見えておりませんが、運輸大臣が前回委員会答弁されておりますのは、これは法律ではもう有償が原則だが、端的に言ってみますと、非常に少ない例外であっても、法文に書かれる場合があるのだから、今回の場合は、そういう位置からながめてみると、原則は無償である、こういうふうに御答弁をなさっておるわけですけれども、これはもう一度確認さしてもらってよろしいでしょうか、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  40. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 確かに前の国会で、各種の委員会におきまして、この有償無償議論がいろいろなされておりますが、六月の二十四日の衆議院の運輸委員会で、大蔵大臣はこの問題に触れまして、このたび公団ができれば、国鉄は年々七十五億の出資をすればよく、政府出資が多くなっていく、しかも国鉄に貸し付ける場合は原則として有償であるが、政策目的から建設された相当期間赤字が出るというようなものは無償になるのであるから、国鉄負担は大幅に軽減されるという趣旨答弁をされておりますが、同じような趣旨答弁はあちこちに出ておりまして、先ほど私が申しましたように、このただし書きが活用される場合が実際上では非常に多くなってくるのではないか。これは、運輸大臣大蔵大臣、いずれも同じような答弁をあちこちの委員会で数回繰り返しておりますが、実際上の問題としては、端的に申せば、相当期間赤字が予想されるというようなものにつきましては無償というふうに私ども考えておるわけでございます。
  41. 泊谷裕夫

    泊谷委員 それでは昨年の六月十二日の委員会答弁された大臣お答えを変える意思がないようでありますから、どこまで続くかは別として、とにかく当分無償が原則であるということを確認いたしまして、次のお尋ねに入りたいと思います。  二十八条関係で、繰り越し欠損金が出た場合、最終的な処理方針はどういうふうにお考えになっておられますか、これについて御説明をいただきたいと思います。
  42. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 第二項でございます。「公団は、毎事業年度、損益計算において損失を生じたときは、前項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。」ということになっておりますが、先ほど申し上げましたように、公団の経理はかなり苦しいものになってまいると思います。有償無償論にも関係してまいります。したがいまして、このあと始末というものは結局政府でだんだんめんどうを見てまいるというかっこうになると存じます。
  43. 泊谷裕夫

    泊谷委員 政府でめんどうを見るというお話でありますから、これは一番すっきりしておると思うのですが、公団事業によって利益金が出た場合、これはいまはまだ想定されませんが、今度の法案によりますと自己資金として出資する条項がない。ほかの公団では自己資金出資を認めておるのもあるようですが、その関係はどういうものなのか、ひとつお知らせをいただきたいと思います。
  44. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 いまの先生お尋ねは、かりに公団に利益が出た場合にどうするか。かりに利益が出た場合には、これは出資というかっこうにはなりませんが、次の年度におきまして公団資金として工事計画に充てるというかっこうになると思います。
  45. 泊谷裕夫

    泊谷委員 今後予想されることですが、私としては重要なことだと思いますので、心配のあまりひとつ尋ねておきたいと思います。  公団運営の資金確保のための運輸省の案をきょうちょうだいしました。三十九年以降の分についてはまだ確約を得られていない。もちろん措置法がない関係で、閣議決定で責任を持つというしかけにもなっていない。ただ公団が先行しておるのですが、新線建設そのものは国鉄政府出資なり借り入れ金で作業を進める。政府でお金を出すことがいろいろな事情があってうまくないとなれば、必然的にその線区は、次の作業を進めるために、次の新しい線路を開発するために、すぐ国鉄に買い取らせるという措置が数多く出てくるのではないかと思うのですが、これはそういうことはないと考えたいのですが、そう考えてよろしゅうございますか。
  46. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 実際問題として国鉄譲渡を期待している例は、私は今後あまりないと思います。と申しますのは、先ほど申し上げましたように、国鉄在来線と一体として経営する。たとえば新線建設ででき上がりました線を運営の面では実際に線増と同じようなかっこうで使うというようなものが出てまいれば、国鉄経営上借り受けでなくて、自分のものとしてやっていくというほうが便利であるというものが予想されますので、そういった場合を想定して譲渡という規定を設けておりますので、公団の経理の面から、なるべく国鉄にたくさん買い取らせるというようなことは、私どもは毛頭考えておりません。
  47. 泊谷裕夫

    泊谷委員 いまの点は、もちろん公団、国有鉄道運輸省、この関係において協議をして、ケース・バイ・ケースできめていかれることになるのだろうと思いますが、気持ちの問題としては、譲渡を受ける受けないというその主体的な条件は、いまの答弁では国有鉄道側に強くあるように思われますので、次のお尋ねに入りたいと思うのです。  三十七条関係ですが、国鉄から無償で貸し付けることのできる建物その他施設の範囲ですね。これは具体的にお尋ねしますからお答えいただきたいと思うのですが、事務所、詰め所、見張り、倉庫、宿舎などは含まれておるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  48. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 先生御承知のように、地方の国鉄建設線の業務は地方の工事局でやっております。それからその下部機構があるわけでございますが、そこで現在改良工事と、それから建設線の関係と両方やっておりますので、実際公団ができました場合にも、同じ事務所を国鉄の系統の改良工事の職員とあるいはその公団建設関係の職員と両方で使うというようなかっこうが出てくる場合が多いと思います。そういった場合に、元来一緒に使っておったものでございますから、そういう事務所等を使う場合には、公団無償で使わせるということを規定したものでございます。
  49. 泊谷裕夫

    泊谷委員 いまの詰め所という話は、一応現状から理解ができるのですけれども、きょうの答弁ではやはりはっきりしないと思いますから、次会、これまた無償で貸し付ける施設の範囲を正確に整理をしておいていただきたいと思います。  次に、経過措置についてどうするのか、お考えを二、三尋ねておきたいと思います。現在建設線に従事しておる数多い職員がおりますね。かりに今度公団ができます。自分が退職しても、自分の工事に誇りを持つのが技術屋です。この前も申し上げましたとおり、六十になっても七十になっても、おばあさんと一緒に番茶をすすりながら、あの橋はぼくらがかけた、あの鉄橋はぼくらがかけたと言うのが技術屋のすべてです。いま仕事をしていますね。公団切りかえがありました。そのとき国鉄に残りたいということと本能的な職業意識と二通りあるわけですね。この人々の意思表示といいますか、これは具体的にはどういうことをしますと国鉄に残るとか公団に行くとかいうことがきめられるものですか。実際はからだは離されないと思います。仕事に精魂を傾けておる職員が本来国鉄に残りたいと考えながら、いまやっておる仕事に愛着を持って、本人の意思とは別に職業意識が働くのがこの種の業種の仲間のすべてであります。これについてどういう保護策をお立てになっているのか、お聞かせ願いたいと思います。
  50. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 お答え申し上げますが、その前に、先ほどお尋ねの三十七条関係について若干補足をさせていただきますと、権利義務の公団に対する承継、これは国鉄と十分協議中でございまして、御意見を聞いて国鉄の意見を十分に反映してきめていきたいというふうに考えておりますが、私が先ほど例示いたしましたような問題でございます。  それから職員の引き継ぎの問題でございますが、これは、現在建設関係に従事している職員、主として技術者が中心でございますが、こういった人たちは、仕事の関係上、公団のほうに行ってもらうことを希望しておりますが、これはあくまでやはり一人一人の重大な問題でございますので、現在国鉄におきまして一人々々の意思を十分聞いて、尊重してきめてまいりたいというふうに考えております。  なお、先生がいまおっしゃいましたように、技術者というものは仕事に打ち込んでおりますので、ある仕事ができるかできないかということに非常に関心を持っております。また国鉄職員としての誇りも持っておると思います。しかし、非常に俗なことばで申しますれば、この公団というものは、従来国鉄のやっておりました仕事を効率的にやるために、便宜といいますか、方法として公団でやるということで、職員の気持ちは非常に微妙なものがあると存じます。やはりあくまで国鉄延長というような気持ちでやってもらいたい。私どもその辺、国鉄公団との関係のいろいろな点での緊密化、円滑にまいるということには十分意を用いてまいりたいというふうに考えております。
  51. 泊谷裕夫

    泊谷委員 鉄監局長、ここは大事に扱ってほしいと思うのです。私どもの聞いた範囲ですから運輸省の調べとは違うと思いますが、公団に希望を持つ職員というのは、私どもの知っている範囲ではおおよそ五十を過ぎた先輩が多いそうです。もちろん公団のほうでは今度また五年ぐらい——通常公社関係では五十五歳が定年ですけれども、さらにその技術を生かして、私は五十六になろうが七十になろうが、技術のある人はどんどん仕事をすることが国家的な見地からも好ましいことだと思うのですが、そういうものの、一番ほしいのはやはり三十五、六の働き盛りといいますか、とにかくからだの敏捷なのがほしいと思うのですね。ところがこの若い人々であっても、技術屋というもののはだ合いは、先ほど申し上げたのはおおよそ私は間違いないと思うのです、いま建設線の工事を実際問題としてやっていますね。本来やはりその人々の考えは、こういう新線建設とか国民経済のために、文化向上のためになんというものは、ただ単なる企業でなくて、国の保護策の中で、百年の大計を立てた誇りある仕事をすべきだという意欲に燃えているのです。やはり本来的には公団よりは国鉄の現状の措置のほうで、その技術を生かして数多い国民に奉仕しようという意欲に燃えているわけですね。ですから、ただいま言われたようなことでは困るわけです。実際に国鉄に戻りたいという気持ちを持ちながら、一面その仕事をはずされない、自分たちも子供というものも一心同体になって仕事をやられておるのです。これは自動車の運転手でも同じでしょう。自分の子供のようにエンジンをみがいておる。ひまがあれば車をみがくのと同じ作用です。ですから、この措置についてはいまのような抽象的な言い方ではなしに、工事終了後なら終了後に意思表示をする、それをあいまいにしておいてあの困難な新線開発の仕事をこの仲間にやらせることは、またけが人を出すことです。この点、特に強く要望して、取りきめをきっちりとしてほしいと思います。でき得るならば、工事中に意思表示を求めるということは私は避けていただきたいと思うのです。特に道路公団、ほかの公団も一年間の留保期間を設けて移行の措置をいたしましたけれども、時間がたつに従って、日にちを切ってノーかイエスか返事をせい、こういうしかけでありまして、トラブルが起きているということを聞かされております。それだけに特に配慮を願いたいものだと思うのです。  そこで次のことですが、現在着工中の建設線ですね。この財産は当然国有鉄道の財産に帰属すると思いますが、このことについて、もし異論があればお答えをいただきたいと思います。
  52. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 まず前段の御希望について、私ども十分にそのように配慮をしてまいるつもりでございます。わかりやすく申しまして、比較的国鉄においては定年を過ぎたあるいは定年に近いというような人は、公団に行ってそのまましばらく技術を生かしてもらうということも考えておりますし、それから比較的若年の人は、これは国鉄との人事交流も十分できるように、たとえば附則第八条等で配慮をしております。  なお、先ほど御指摘がございましたような、本人の意思というものは十分尊重して人事に当たってまいりたい。この点につきましては、実際その衝に当たっております山田理事からあと答弁をしていただきたいと思います。  なお財産でございますが、現在国鉄鉄道新線として手をつけておりますものは、公団ができると同時に公団に移すということを考えております。
  53. 山田明吉

    山田説明員 私から、蛇足と思いますが、つけ加えさしていただきますと、先ほどの三十七条の国鉄の建物その他の施設はただで貸してもいいということでございまして、これは公団ができましたら、公団とよく相談をいたしたいと思っておるわけでございますけれども、ただいまの考えといたしましては、公団は別個の主体ではございますけれども、いわば国鉄の分身でございますので、しかもその公団建設した線は、有償なり無償で将来全部国鉄経営がまかされてくるものでございます。したがいまして、できるだけこちらとしても経営上有利になるようなやり方で新しい公団がやっていただく必要がある、そういう考え方で、どういうものを無償で貸してあげる、どういうものは新しい公団でおつくりなさい、そういうふうに考えておるわけでございます。  それから職員の処遇につきましては、いま鉄監局長答弁されましたように、これも私どもは、主体は別でございますけれども国鉄と一心同体の考えで、原則として出入り自由という考えで参りたいと考えております。この点につきましては、運輸省は監督の立場でございますけれども、私ども出ていく職員は全部われわれの同僚でございますので、その点は、かりに新しい公団に転出いたしましても、国鉄職員と同じ気持ちで今後つき合えるように、具体的ないろいろな条件は検討中でございます。
  54. 泊谷裕夫

    泊谷委員 山田常務からいまお話がありました職員の異動ですね、これは、いままで見ますとやはり最高学府といいますか、大学を出た人々の出入りは見ることができるのですけれども、工業学校といいますか、特に現地で工事をする人の交流というものはあまり見られないのです。ですから今回意欲的にそれをお考えとすれば、これについて特殊の附則なりあるいは何かの保護策を、一項私は具体的に入れてもらうのが好ましいのじゃないかと思います。国鉄なり公団なり、あるいは綾部さんがずっと今後そのまま大臣なり運輸省においでになるということもないと思いますし、せめていまのその気持ちを残していただくことがあとあとのためにいいと思いますので、一つ御検討願いたいと思うのです。  それから、先ほどお尋ねいたしました着工中の建設線の財産の問題ですね。一口に言ってしまうと、公団に引き継ぐというお話のように受け取ったのですが、これはどんなものでしょう。国鉄投資から公団に渡すということは不当のような感じがするのです。根岸線ももうわずかで完成しますね。こういうことで、鉄監局長の言われる趣旨になりますと、国鉄出資は七十五億じゃないと思うのです。財産見積もりをしますと、今回、ずいぶん大臣は熱弁を振るって百億の数字に固執をされて話をされますが、この財産は、私ども計算でございますから正確ではありませんが、私ども計算だけで三百億になる。それじゃあまりにもひどい。企業性と公共性で苦悩しておる国鉄に、キャッシュでは七十五億取って、物で三百億取ってということになりますと、これはまた本家の交通緩和、改良工事の騒ぎどころではなくなる。また、いま改良なり今回の事故の問題なり、こういうことで苦悩しております国鉄が、さらに手痛い打撃を受けることになるので、大臣、もう一度考え直した御答弁をいただきたいと思うのです。
  55. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 これは附則第七条に書いてございますとおりで、鉄道新線建設に関する事業に関して日本国有鉄道が有する権利義務を承継するということになっております。いまおっしゃいましたように、建設仮勘定の財産はかなりございまして、大体二百億余り、あるいは先生のおっしゃった三百億近いものがあると思いますが、これはいま申し上げましたように政令できめますが、公団に承継させたい。それから国鉄の財産はそれだけ減るんじゃないかとおっしゃいますが、もちろんそういうことになりますが、国鉄の再評価によります資産というものは全体で一兆四千億くらいございますので、そのうちから二、三百億ぐらい減るということになりますが、新線建設公団にきちんと責任を持ってやらせるためには、建設仮勘定の資産というものは公団に引き継いだほうがきちんとまいるというふうに考えております。
  56. 泊谷裕夫

    泊谷委員 時間の関係もありますが、鉄監局長建設線の再開後の国鉄の投資した財産ですね、また施設工事区の問題などあるわけです。これについては、いま申し上げたのと同じように、とにかく数多い国民の切実な要望にこたえて鉄道網を張りめぐらせよう、それを国鉄では不可能だから公団にやらせよう、こういう趣旨で提案をされておるわけでありますが、実際は政府出資が、ことしの場合、この先についてまだ大蔵省の確約がもらえていない。幸い運輸大臣から、今後私どものほうから意欲的に出して、本来の国会議員としての予算審議権は確保される、こういうお話でありますから、与野党なしにこれは真剣に考え議論を起こしてもらおうと思っておりますけれども法律の立法措置から考えましても、お話の中で触れられておりますが、道路を見ましても港湾を見ましても、緊急整備措置法が出されて、それは閣議で責任を持って具体的な作業を進めるものとして、公団を位置づけて、公団法というものは出てきておるわけですね。この前も話したように、道路のほうは建設省の要求大蔵省考えよりも五千億も上回って五ヵ年計画も出る、法案も出る、鉄道の部分だけがいまのお話のように自分たちの財産を持ち出して、出したお金は七十五億と規制されて、政府のほうはその見合う金も出ないで、そうして国民の要請にこたえるということは、何のことはない、看板を塗りかえただけで、国民には新しい線路がたくさんできるような幻想を与えて、その始末は、これは結果的に、こう申し上げては危険かもしれませんけれども、何のことはない、やはり国鉄が苦悩するという事態に立ち至るような気がするわけですね。そこで具体的にこの間お話のありました、東海道幹線工事終了後、意欲的な姿勢を示そうと大蔵大臣答弁をされておるようでありますが、そうしますとこの東海道新幹線工事を終わったあと、その全従業員も含めて全部移行をさせて、そうして政府が全部責任を持ってやるというかまえに来ておるのか、その時期を見て資金のほうもずいぶんとぶち込んで国民の要請にこたえようとしておるのかどうか、この点をもう一度くどいようでありますが、大臣から御答弁をいただきたいと思うのです。
  57. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 全部を移行するかどうかは、先ほどお尋ねのように、本人の意思を尊重いたしまして、そうして要は鉄道新線が早く建設されるような方途をいろいろ考えました結果、この御審議を願っている方法が一番いいと考え、同時に大蔵大臣もそういう趣旨で本公団に、政府部内にいろいろ論議がありましたが、これにしたような経緯もございますからして、私は今後必要なる資金はなるべく政府がめんどうを見るという方向に行くものと期待をいたしております。新幹線従業員全部がということは、本人がそれはいやだと言えば、残っておっても一向かまわぬというたてまえでいっておるのございまして、要は、いかにすれば、日本の経済の発達その他を考えてみますと、鉄道の発達とちょうど軌を一にするように、明治時代から、日本の経済、文化というものは非常に発達しておるのでございますから、その新線建設要望というものは国民の間に、不知不識の間に日本経済の非常な根幹になり、動脈になるという考え方に合わしまして、私は、この御審議を願っておる法律をぜひ通して、国民要望にこたえたいということでございます。この建設公団が閣議で問題になったとき、大蔵大臣が強くこういう趣旨を閣議で述べられまして、本法案提案に至ったような次第でございますから、初めは少し政府出資が少ないようですが、順次必要の額は政府出資でなりいろんな資金面で、財政当局がこの鉄道建設公団に力を寄せてくれるということを信じておる次第でございます。
  58. 泊谷裕夫

    泊谷委員 これでおしまいにします。大臣、ずばりお尋ねしますが、いまのお話を聞きまして、端的に整理をしてみますと、企業性を追求されること、所得倍増計画とか、いまの政府考えは、これは国有鉄道といってもらち外と言えないわけです。一面、公共性を追求する新線建設と相矛盾するものがあることは御承知ですね。当面する国鉄の仕事は何かというと、全国民のことを考慮しなきゃならぬのですけれども、やはり数多い人々が直接苦悩しておる都市の周辺の混雑緩和、これは線増ということになりましょう。それから電化促進でありましょう。さらには近代化の問題も出てくると思うのです。特に、いま当面何とかしなきゃならぬものに保安対策があります。そして皆さんにたいへん迷惑をかけておる過密ダイヤを何とか緩和して、乗降人員も三二〇%というようなことのないようにしなきゃならぬのが、いま何を差しおいても国鉄のやる仕事でありましょう。そうしますと、いままで二日間にわたって私はお尋ねをしてきましたけれども、ほんとうに地域格差を解消するために、その地方の経済基盤を強化するため、新線を敷いてやるということも、国民要望としてこたえなければなりません。当面それについては、やはり政府が意欲的に資金調達をする、これがポイントになってこなければならぬと思うのですね。そこで、先ほどからその話を進めてまいりましたけれども、私の感じでは、このままでは鉄道公団というものは隠れみののような感じがしてしかたがないのです。鉄道から七十五億円の出資を求め、既存の財産を出させるが、新しくできる線路の営業についての自信がいまだ持てないのですね。持てなくてもやらなければならぬ、とすれば、それには政府の意欲的な方策がなければならぬはずですが、それがどこにもはっきりした約束がなされていない。同じ交通に携わるものとして、再三話しておりますが、道路にしても港湾にしても、整備緊急措置法ができておる。それが中心になって作業を進める公団というものがすでにできているわけです。道路公団でもそうです。今度の場合、新線開発の場合、公団だけです、出されておるのは。公団をやることによって数多い国民の要請にこたえるごとき印象を与えて議論をしておることは、私は千載に悔いを残すと思う。そこで前回お尋ねいたしましたが、緊急整備的な法律も、時期が来れば考慮するというような話がありましたが、大臣のお考えではいつごろになるものでしょうか。これで私の質問は終わりたいと思うので、歯切れよく、きちっと答弁いただきたいと思う。
  59. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 これはこの前も申し上げましたように、国有鉄道の根本問題につきまして今後幾多の問題があるので、予算が決定する閣議で私が強く発言いたしたように、日本国有鉄道の根本問題について大きな調査機関をこしらえるように要望しております。それに付随いたしまして、緊急措置法その他についてもおのずから論議があるはずでございます。私はそれによってきまるものと考えておりまして、ここで何月何日までに、あるいはいつ出すとかというようなことは言明はできないと思います。
  60. 川野芳滿

    川野委員長 午前の会議はこの程度にとどめ、十三時より再開することとし、この際休憩いたします。    午前十一時五十六分休憩      ————◇—————    午後一時二十三分開議
  61. 川野芳滿

    川野委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  質疑を続行いたします。野間千代三君。
  62. 野間千代三

    ○野間委員 野間ですが、泊谷委員同様に一年生でございますので、いろいろ重複をしましたり、あるいは失礼をする点があるかもしれませんが、ひとつよろしくお願いします。  それで二、三ございますが、初めに午前中の一覧表について一つ二つお伺いいたします。  一つは、大臣の御答弁では、大蔵大臣がめんどうを見るということについて期待をして提案をしていると言われましたが、公団をつくったあとで、きわめて重要な計画でございますから、委員会として審議をする際に、やはり相当程度角度の高いものでなければならないような気がするのです。そういう意味で、やはり閣議決定とまで私どもとしては希望したいのでございますが、少なくとも大蔵省方針として決定をされたもののあったほうが、これから実際に公団法の問題について審議をする際にいいのではないかと思うのです。そういう点について、午前中のお答えでは、私どもとして少し不十分のように考えますが、大臣にもう一回御答弁いただきたいと思います。
  63. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 午前中申し上げましたように、大蔵大臣折衝いたしましたる結果、大蔵大臣は、この鉄道建設公団については非常な熱意を持っておりまして、そうして資金面においては、新線建設をするのに事欠かさないように自分はやるつもりで、必ずそれをやると申しておりますから、私はそれを信頼いたしまして本提案をいたした次第でございます。
  64. 野間千代三

    ○野間委員 午前中の答弁の中で、三十九年度の分について協議をされて、二百億の要求が百億になったということでしたが、この四十八年までの財政の問題について、いま大臣が言われたようなことだったのですか。
  65. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 四十八年度までについてはまだ話し合いませんが、とりあえず三十九年度につきましては、私どもは二百億ほしかったのですが、大蔵大臣考えでは、とてもそんなに予算をつけても使い得ないであろうという意味のことを言いまして、結局百億になったような次第でございます。大蔵大臣がしばしば言うているのですが、必ず新線建設には資金面において工事を促進するに事欠かないように、すなわち、いままで建設線、調査線になっている鉄道建設については、何としても十年間でやり上げるのだという強い意思の表示がありましたので、私はそれを信頼いたしまして、三十九年度は合計百億でがまんいたしたような次第でございまして、四十年度以降この年次計画に合うような資金手当てができるものと確信いたしております。
  66. 野間千代三

    ○野間委員 再三で申しわけないのですが、三十九年度というのは、たとえばかりに公団法が成立をしますと、直ちに公団が発足をして工事を進めるというふうになり、公団法から見ればきわめて重要な年だろうと思います。したがって、この出発したときの資金面あるいは人員、そういう面のいわば体制そのものが将来の公団建設のテンポなり、あるいは公団の運営なり、そういうものにきわめて重要な関連があると私は思うのです。すべて会社をつくる場合とか、あるいはあらゆるものがそういうふうに考えられるわけです。そういう意味から参りますと、いま言いましたように、すでに国鉄の企業の中で非常な困難をおかしながら今日まで進めてきておるそれを公団に移すというのが、いわば三十九年度になると思うのです。その場合に、今日までの国鉄がやってきたことを公団で引き受ける。その公団が三十九年度に出発をする、こうなると思うのです、かりに成立した場合、そうなりますと、われわれとしては、三十九年度は資金面でも人員の面でも重要な年なのですが、いま一番隘路になっておりますのはやはり政府投資の資金だろうと思うのです。資金さえあれば、たとえば現在の国鉄の陣容でもやっていけるのではないかと思うのです。そういうふうに、きわめて重要な問題である資金を、三十九年度当初、この公団の問題についてきわめて熱心でいらっしゃる運輸大臣は二百億切望されたものと思いますが、そういう問題について大蔵大臣は積極的に不自由のないようにするとは言っておりますけれども、とりあえず、この三十九年度でも要求の半分しか載らない。しかも四十年度以降についてはこの計画がまだ協議されていない。こうなりますと、出発の重要な年について多少危惧があると私ども考えているのです。そういう点については大臣としてどういうふうに考えていらっしゃるのか。
  67. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 たびたび申し上げますように、私は、三十九年度では、不満足ではあるが、これにより発足をし、同時に、順次この年次計画に従うような資金の手当を、大蔵大臣、すなわち大蔵省において考えてくれるだろうと確信いたしております。それゆえに本提案をいたしました次第でございます。
  68. 野間千代三

    ○野間委員 運輸大臣が確信されていらっしゃるのですから、別にそのことについてとやかく申し上げる気持ちはございません。ただ、実際には、四十八年といいますと、十年というきわめて長い年月になります。この間に、いわば担当の方々がかわるとか、いろいろな面があるのじゃないかと思うのです。それではいま運輸大臣がそういうふうに確信を持たれている問題、あるいは大蔵大臣との間に四十八年までの資金計画について確立をするそういう見通しなり、あるいはそういう協議が行なわれる機会なり、そういうものがあればまた考えがあると思うのですが、ひとつ、大蔵大臣との協議決定をして、この計画がはっきりする、資金の裏づけが十分であるということが具体的に形の上ではっきりする、そういう時期の見通しがあるのかどうか、それがまた閣議なら閣議、あるいは国の総合的な政策として確立をされる時期がどういう時期になるのかという二点について伺いたい。
  69. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 午前中も申しましたように、日本国有鉄道予算、それから国有鉄道のあり方等につきまして、この三十九年度の予算の議定に当たりまして、大蔵大臣折衝をいたしました場合におきまして、その根本問題について運輸省大蔵省を含めた調査会をこしらえて、そうして、一応のめどをつけるべくやるということがきまっておりますからして、それがきまりましたならば、すなわち、日本国有鉄道についての業務の執行上の基本がきまりますから、それと相前後して、相まちまして、なるべくすみやかに野間さんの御要望になりますような点に持っていきたいと私は考えております。
  70. 野間千代三

    ○野間委員 きわめて膨大な金額を要して、しかも今日までの国有鉄道から公団というものをつくるという、いわば国の交通政策の基本になるものであると思います。それがこの委員会を通じて成立するかしないかというきわめて重要な時期なので、たいへんしつこいようで申しわけないのですが、それほど重要な問題であれば、やはり提案をされる際に、私がいま申し上げましたように、いついつの時期に大蔵省のほうとの折衝が終わり、いついつの時期に国の政策としてきまる、その程度の具体的な手順といいますか、決定といいますか、そういうものが必要ではないかと思うのです。いまの大臣の御答弁ですと、そう申し上げてはたいへん失礼なわけですが、大臣としてはそう考えていらっしゃるそれは、やはり大蔵省あるいは閣議全体としてのことにまではまだなっていないように思うので、多少危惧があるのですけれども、そういう点については心配ないですね。
  71. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 たびたび申し上げますように、そういう国有鉄道に関する基本問題が解決いたしましたときにおきまして、本建設公団資金の手当等々につきまして的確な何が得られると思いますから、いましばらくお待ちを願いたいと思います。
  72. 野間千代三

    ○野間委員 そうしますと、いま大臣がいましばらくとおっしゃったのは、いま私が言ったようなことはやがて具体的に行なわれるというふうに解釈してよろしいですね。
  73. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 それは、さっき申しましたように、日本国有鉄道に対する基本問題がきまりました上で、それと関連してきめる、かように申し上げた次第でございます。
  74. 野間千代三

    ○野間委員 もちろん、公団が成立をしても、大臣が言われるように、日本国有鉄道の体制なりあるいは政府方針なりに多少変化なりが出てくると思う。これはもちろんそう思います。大臣がいま言われたことをもう一回ふえんをすれば、公団が成立と同時に、あるいはそれまでに国鉄の今日までの性格、公団発足後の性格、そういうものについてはっきりさしておく必要があると思うのです。私は、そういう意味公団のほうの問題もやはりはっきりさしておかなければならぬし、国鉄のほうの問題もはっきりしておかなければならぬと実は思っているのです。ですから、ほんとうは公団法の提案が行なわれる際にそういうものを総合的にひっくるめて提案が行なわれて初めて審議をするのにめどがはっきりすると思うのです。そうすると、政府のほうで両方はっきりするのはまだ相当時間がかかるということになるのですね。
  75. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 いま野間さんの言うように、すべてがはっきりして発足することが望ましいことではございますが、財政その他の都合によりまして、ただいま申しましたように、日本国有鉄道に対する根本問題を予算編成期までに何とか解決いたしたい。それに並行してと申しますか、それがきまりますれば、この建設公団に対する資金の手当等につきましては何らかの結論が得られて、そしてこの公団がスムーズに工事を進めていきまして、国民要望にこたえることができる、かように確信いたしております。
  76. 野間千代三

    ○野間委員 最初に申し上げましたように、この点は大臣も、あるいは御当局の方も異議がないと思うのです。公団が発足するということは、国の交通政策の一つが変わっていくのですから、それだけにまたこの表にあるように、全国的に新線建設を進めるということになるわけです。したがって委員会ばかりでなく、おそらく国民全体としても、いわば注視している問題だと思うのです。したがってこの問題は、われわれが審議をする際に、あるいは大臣のほうで提案される際にも、国民が注視し関心を持っている立場で御提案になってしかるべきだ。その場合に、やはりただ単に新線の問題が、ここの表に並べてあるばかりでなくて、経済に非常に影響がある。あるいは国土、土地そのものに相当大きな影響がある。したがって、国民としては政府のほうでどういう具体的な計画で、具体的な資金の裏づけがあって、そして公団が発足をする、あるいは国鉄がやるということを明確にすべきだという問題があって、審議会でも論議をされた問題じゃないかと思うのです。そこに、政府からすれば、公団をつくろうというふうになってきた原因があると思うのです。それだけに国民にやはり明確に具体的な方針を明示をして、それが国民としていいかどうかということを論議すべきだと思うのです。そういう意味では、いま別に大臣の言っていらっしゃることをあげ足をとったり何かではないのですけれども、きわめて重要なのでもう一回お尋ねするのですが、国の財政その他の事情でまだ明確にされていない。それはおっつけいろいろな手順を踏みながらきめていくというふうにぼくは御答弁を伺ったのですけれども、そうではなくて、いま言ったように、国民大臣として明らかにする、ぼくのほうではやはりそれを明らかにする責任があると思うのですけれども、そういう意味では、とりあえず三十九年でなくて、少なくとも四十八年なら四十八年の方針として、国鉄の性格なり、あるいは公団内容なり、建設資金なり、そういう重要な問題の骨格だけははっきりする必要があるのじゃないか。そういう立場からすると、財政の事情で明らかにならないという点は、実は財政の点が明らかにならなければ、財政の点こそ新線建設の基本、公団の基本、国鉄の基本なんですから、財政の事情でもって四十八年までの問題についてはっきりできない、あるいは計画もはっきりできないという点については、提案をする立場からすると、基本の問題を多少ぼやかしたというか、そういう印象を国民としては受けるのじゃないかと思うのです。ですから、最初から少なくとも国民にこたえるものとして、財政はこうする、そこだけははっきりする必要があるのじゃないかとぼくは思う。そういう考えについて御答弁を願います。
  77. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 あなたのおっしゃるようにやることが望ましいことでありまして、私もそれを希望いたしております。がしかし、本時点におきましては、ただいま申しましたように、とにかく発足、そうして大蔵大臣言明を信頼し、同時に根本問題が日ならずして解決すべきものと思いますから、そのときに私はさらに明確にいたしたい、かように考えて、私はやはり一日も早く新線建設に着手できるように、しかも国鉄だって従来やっておるのですが、それをスピーディーにやるために、私はこの法案を提出したような次第でございまして、理想を申せば、あなたのおっしゃることは一番正しいのですが、なかなか物事は理想どおりいきませんので、まあこの程度で発足して、そうして新線建設要望しておる多数の国民に幾らかでも安心といいますか、——あなたはそんなことじゃ安心は与えられぬとおっしゃるかもしれませんが、私は早く新線建設に着手すべきが運輸行政を扱う者としての当然責務であると考えて提案したような次第であります。
  78. 野間千代三

    ○野間委員 時間も少ないのでたいへん申しわけないのですが、運輸大臣のおっしゃっている気持ちはわかるのです。別にそれを否定する気持ちはございません。確かに新線建設に早く取りかかりたいという気持ちもそうでしょうし、それも必要としている。ただここに並べている線そのものは別としても、公団がいっている早く経済基盤を強化したり、地域格差をなくすることは重要な問題ですからそう思いますが、ただ交通政策としての新線建設していくということはきわめて困難な仕事ですし、たいへんな問題なので、早く着手することは当然必要でありますけれども早く着手するのならば、これはいま国鉄がやっているのですからそれを督促をすればできると思うのです。すでに法案を提案されてから一年を経過しているのが実情だと思うのですが、しかもその当時から、そう言っちゃ何ですけれども運輸大臣が扱っていらっしゃったと思うのですが、一年間を経過して、そうして熱心に国会でも論議して、今年は何とかしてというふうに伺っておりますけれども、そういう時期であれば、少なくともぼくは、いま言われたように、四十八年までの問題について私が言っておるのは確かに理想です。理想ですが、しかしそれでも、少なくとも三十九年に出発をするときの考えとして、運輸大臣が二百億と言い、それを大蔵大臣が百億に削っておる。これは確かにいろいろ経済上の事情があるでしょうけれども、四十八年までにやろうとしておる問題ですから、四十八年までの具体的な計画がはっきりできないならば、せめて三十九年度の計画くらいは、大臣要求されるくらいの少なくとも理想的な形で出発したらどうかと思うのですが、そういう点についてはほかに何か事情があるのですか。
  79. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 確かに政府部内で予算折衝いたしますときは、先ほど来申し上げておりますように二百億要求いたしまして、私どもも強く折衝したのでございますが、財政全般の関係から、事実上初年度ということでこのようなかっこうになったわけでございます。財政当局の言い方は、公団の設立がおくれたんだからということでございまして、ほかの公団の例を見ますと、住宅公団にいたしましても道路公団にいたしましても、最初は比較的小さな金額で発足しておりますが、私どもは今後公団もとにいたしまして、午前中御説明しましたようなかっこうの長期計画をぜひ政府部内において進めてまいりたい、いましばらく時間をおかし願いたいと存じます。
  80. 久保三郎

    ○久保委員 関連。——大臣からたびたびお答えがありますが、野間君が言うとおりに、この法案は一年かかっておるわけであります。われわれも新線建設は別に否定はいたしておりません。建設審議会の答申は、野間君なり泊谷君からすでに御指摘があったように、建設資金の問題がたいへんなんです。いわゆる建設資金の主たる財源は政府公共事業として投資をしろ、こういうことが重点なんです。そういう重点がぼやけていて、副次的ないわゆる組織機構というか、そういうものにこの法案は力点が置かれているというところに実は世間でも迷うわけです。手段は二の次でありまして、資金が重点なんですね。もちろん運輸省として年次割りの資金計画というか、そういうものが御披露になりましたが、これは希望でありますから、決してこれをとやかく申し上げません。しかし全体として三千億なら三千億というのが投資として出て、この資金計画でも十年間三千億という構想であるようでありますが、政府部内で責任を持って、この法案を提案をしたとするならば、全体十ヵ年計画三千億というものだけは閣議の決定事項であるというくらいに、実はふろしきを締めてまいらぬというと、公団はできたが全体がはっきりわからぬ、年次計画もわからぬといいますと、残念ながらいままでの建設方式と何ら変わりはない、こういうふうにさえ思う。幸い去年は予算化というか、法案が成立しなかったから、ことしまだ残っている五億、これをつけ足して百億になったという、それだけの進歩でありまして、だから公団でやるから五億出資できて、国鉄でやっておるから五億が出資ができない、そういうものじゃないのです。もちろん国鉄の現在の仕事の重要な点は、既設線区における改良計画であります。だからこの改良計画を十分にやってもらって、また国が下におろすために公団という別組織でやるんだとお考えのようでありますが、先ほど申しますように、問題は金であります。いわゆる国鉄がやろうとする五ヵ年計画のそういう問題につきましても、御説明によりますれば、基本問題の調査会をつくって、自民党と政府でおやりになるそうであります。できたらけっこうな話でありまして、一刻も早くいい案をつくっていただきれいと思います。歓迎します。しかし、その問題とこの問題と、両方ともまだどの程度のふろしきかわからぬでおるわけですね。こういうやり方では、どうも何か公団だけつくれば、おまえの地元の建設線はすぐできるのだというような、俗世間で言うように選挙運動には利用できるかしらないが、これが一年たち、二年たつというと、票が減るということにも相なります。その辺のことは、私は無理なことは申しません。三千億、十ヵ年間おやりなるというくらいの、政府部内で一年間コンクリートできるならば、なるほどこれをのみましょう。いかがでしょう。そのくらいやるべきですよ。
  81. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 先ほど大臣から御答弁いたしておるとおりでございますが、確かに最初から資金計画をきちんと立ててやることはより望ましいことでございます。先ほどから申し上げておりますような政府部内、その他の諸種の事情から、現在の方法で御提案を申し上げたわけでございます。午前中お示ししました長期計画あるいは資金計画というものにつきましては、私ども実現するように最大の努力をいたしたいと考えております。
  82. 久保三郎

    ○久保委員 努力するという熱意は買います。運輸大臣の努力も買います。政治家としてのお約束でございますから買います。大蔵大臣との約束もあるということ、それも認めましょう。しかし残念ながら政権は移動します。十年間あなたが今後運輸大臣をおやりになるとは思いませんね。総理大臣にはなる可能性がありますが……。そういうことは冗談としましても、少なくともそういうことじゃなくて、政府としてやはり長期計画全体としては考えておいて、大体こういう構想でまずコンクリートはできないか。公団方式でやるんだということで提案したというならば、これも百歩後退して是認します。しかしいままでのお話ではそれもなされておらぬ。国鉄の五ヵ年計画よりもっとひどい。当てのない話。公団さえつくれば何とかするだろうから、これで銭をもらうんだということでは、どうも公団づくりが先であって、銭をもらえなくなったらどうします。資金の裏づけがなかったらどうしますか。われわれ国会議員は死ぬまでやっておるつもりです。役人なら途中でやめますが、私らはやめない。だからここでこの法案ができたならば、国会の論議であなたがこう言ったが違うじゃないかと言われたらどうします。私はそういう約束をしたという、今日の事情で約束があるんだということくらいは言明できないですか。陰でもって、これはこういうふうになっているんだ、閣議の了解事項くらいにはおそらくなっているんだろうと思ったら、なっておらぬでしょう。三千億十年という……。私はこれは残念だと思うのです。そういう点を私は言いたい。  関連質問ですから多くは申し上げません。ただ公団さえできれば、資金の裏づけは大蔵大臣と約束があるから、自然について回るということはないのであります。それから資金計画にしましても、コンスタントに国鉄から七十五億の出資、これはわれわれも考えるところであります。しかしこのままの状態では、国鉄経営から七十五億コンスタントに十ヵ年間出ないでしょう。これは御案内のとおり。国鉄諮問委員会の答申では、四十二年から四十五年の間にはいまの計算では破産でしょう。破産いたしますれば七十五億の新線計画は出せっこない。だから大臣がおっしゃったように、与党と政府でもって調査会をつくる、その調査会でそういう問題を解決しなければ、この運輸省から出しました七十五億をコンスタントに十ヵ年間出すということも、絵にかいたもちであるということですね。別に追及はしません。そういうことも考えるというと、これは十分納得のいくようにぜひ御説明いただきたい、こういうふうに私は要望しておきます。
  83. 野間千代三

    ○野間委員 いま久保先輩が言われたようなことなんで、それが私の最終的な気持ちなんです。とにかく具体的な事実として、いまのところ閣議で決定されていないということなんですから、いまそれを言えといっても無理な話で、まだ会期もございますし、質問はこれで終わりますが、公団をつくる、つくらないということよりも、それも重要ですけれども、その前に国土を開発するという意味で、新線建設することを政府のほうで進めようというお考えならば、いま言いました資金計画くらいは、あるいは国鉄がいま言われた七十五億円毎年出せる態勢にあるかどうかという、国鉄の態勢づくりといいますか、まだ時間がございますから、この公団法の論議をしている期間のうちに、ぜひわれわれが納得できるような、具体的にこれこれであるから心配は要らないという程度の手続なり、そういうものはしておいてもらいたいと思います。それはお約束していただけますか。この問題はこれで終わります。
  84. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 たびたび申し上げますように、国有鉄道に関する基本問題の決定を待ちまして、私はさらに確かめて御期待に沿うようにいたしたいと思っておりますが、国鉄の基本問題の調査会がまだできませんので、いまここでそういうことを何月何日までにやるというようなことはちょっと申しかねますが、ご了承願いたい。要はいかにして新線を早くやって、そして国民要望にこたえるか、同時に鉄道建設審議会の答申にこたえるかということに力点を置きまして、本案を提出いたしたような次第でございます。久保委員並びに野間委員のおっしゃることは全く私は同感でございますが、如上申しげましたような理由によりまして、しばらくおくれることをひとつ御了承くださいまして本案のすみやかに本委員会を通過して成立できるように念願してやみません。
  85. 野間千代三

    ○野間委員 大臣、話はちょっと逆なんです。私は、久保先輩の言われたようなことが提案されておれば、すみやかに通ると思うのです。そうでないからひっかかってくるのです。そういうふうにお考えをいただきたいと思います。そういうことではたいへん不満足なんですけれども、次に移ります。  それでいまここに出されておりますので、あと一点だけ計画について私として聞いておきたいのですが、まだしろうとですからよくわかりません。大正十一年に敷設法ができて審議会ができ上がっておる。それからずっと建設審議会でこの一号から二百三十一とかいわれている新線計画が論議をされて、その中の一つとして着工線あるいは調査線というものがここにあがっておるというふうに考えてよろしいですね。
  86. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 大体いま先生のおっしゃたとおりの手続を踏んで調査線なり着工線をきめてまいった次第であります。
  87. 野間千代三

    ○野間委員 大正十一年に敷設法ができまして、それから審議会が鋭意進めてきたというお答えなので、そういう審議会の手順を踏まれてこの表にあるものが計画をされ、着工をされ、調査をされるというふうにわかりました。  そこで一つは、ここにあります十番目の根岸線などは近く開通の予定と言われておりますが、私は横浜ですからほかの線はよくわかりませんが、根岸線などは我田引水でなくて、建設審議会がやっておられる経済基盤の強化という意味ではきわめて有効な線だと思います。大船のほうの産業と横浜の都市をつなぐきわめて重要な線だと思いまして、これなどは地域格差の是正とか、経済基盤の強化、いま要望されておる問題にきわめて深く適合しておる、早く開通してもらいたいと思いますけれども、たとえば経済基盤の強化という意味、あるいは地域格差の是正という意味でここに並べてあるたくさんの線は、審議会でもちろん審議したのでしょうけれども、そういったふうに具体的にそれがなるのかどうかという点については、私はだいぶ地図を見たりなんかもしまして、敷設をすればもちろん交通の便がよくなるのですから、住宅がふえたり、工場が建設をされたり、結果的にはそうなるということはわかりますけれども、そうでなくて、やはり国鉄、あるいは公団が敷く以上、総合的に産業都市の計画であるとか、そういうものが背景としてあって、それに敷設をする。そうなればいつごろにはこの線が赤字から黒字に脱却できるかということが計画としてないと、そう言ってはなんですが、むだに長年月、できたけれども線路がさびておるというふうにならないとも限らないと思うのです。そういう問題で、この地図で見た上ではここに並べてある線については、相当疑問があるというふうに思うのです。その辺については、そう言っては失礼ですけれども、十分に確信があるか、あるとすれば具体的にこの線はということで御説明願えますか。
  88. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 従来建設審議会におかれまして、調査線あるいは調査線のうちから着工線を選定する場合に一応基準として考えておりますことは、交通系絡上重要な交通網を形成する、それから第二が経済成長の基盤となる重要資源及び産業開発のために必要なもの、地方開発のために必要なもの、こういった三項目に選定の基準を置きまして、建設審議会におきまして十分御検討を願って、調査線の決定なりあるいは着工線の選定というものをやってまいったわけであります。ここに掲げてございますのは、いずれもそういった観点から十分に御審議を願って着工線調査線というものをきめてまいったわけであります。もちろん個々の点につきましても事務的に大体どのくらいたてばどの程度経営の収支になるかということは、一応はじいて選定したものでございます。なお建設審議会の中には国会議員の方はじめ、たとえば建設省であるとかあるいは経済企画庁、こういった必要な行政機関の次官等も入っておりまして、たとえば道路との比較、そういった総合的な観点からも十分検討して、従来御研究を願っているのが例でございます。
  89. 野間千代三

    ○野間委員 いま言われることは当然そうあるべきだと思いますが、そうしますと、たとえばたいへん煩瑣なことですけれども調査線が十五、着工線が四十三ですね。この四十三と十五線の経済上の見通し、投資をしていって回収をする、そうして経済上の収支の見通しなり、赤字から黒字に脱却するなり、これが発展をしていくなりということは一線一線について具体的におたくのほうで計画をされているというふうに考えてよろしいのですね。
  90. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 午前中、着工線調査線につきまして一括いたしまして、大体収支の見通しはどうなるかということを申し上げましたから、もちろんその前提といたしまして各線につきまして一応の収支計算というものは、見通しではございますが、きちんと経済調査もとにしてつくっております。
  91. 野間千代三

    ○野間委員 実はこの前泊谷委員が、ここに提出をされたような資金を背景にした計画表が必要である、十年間の計画が必要であるということで、出てきたのですけれども、われわれとしては、たとえば赤字が出てくる場合には、それは国鉄のほうに移るわけですね。線ができますと、国鉄のほうに移るわけですね。そうしますと国鉄のほうとしては、その赤字をしょっていくわけですね。それが赤字線であるというふうに考えられた場合には、無償国鉄のほうにいく。黒字であるというふうに考えられたものは、これは有償として国鉄のほうに移ることになるわけですね。それから国鉄のほうで建物を貸す場合には、これは無償で貸すということになっているわけですね。そうしますと、国鉄のほうでは当面マイナス以下のものをしょっていくということになると思うのです。黒字になるというふうに考えられたものは国鉄有償で持っていくわけでしょう。それから赤字だと考えられたものは、これは赤字のまま、ただではくれますけれども赤字のまま国鉄のほうへいく。国鉄のほうで建物や何かを公団が必要だと考えた場合に貸すという場合に、これは無償で貸すことができる、こうなっていますね。そうなりますと、国鉄の企業としてはマイナス以下のものをしょっていくということになるわけですね。そうなりますから、私どもとしては、全体としてはもちろんどの程度でもって赤字黒字になるかということも必要ですけれども、それぞれの線について、いま鉄監局長が言われた具体的な計画なり経済の見通しなり、そういうものが必要と思うのですよ。そういうものは出していただけますか。
  92. 山田明吉

    山田説明員 私がお答えするのは筋違いかとも思いますが、国鉄側で考えておる点を御説明いたしたいと思います。  従来の方式で国鉄が毎年七十五億なりそれ相当のいわゆる国鉄の財源を投資いたしまして建設をいたすことと比較して、国鉄としては考えておるわけであります。従来の方式で考えてまいりますと、全体的に申しまして七十五億の金は国鉄が出すものでございます。その七十五億の財源は、国鉄としては大部分が借り入れ金でございますので、当然利子国鉄としての負担になってまいります。それから建設いたしましたものは、稼働いたしますと減価償却をいたさなければなりません。これは大体平均いたしまして三十年強、三十三年くらいで一回転いたしますので、大体三十分の一くらいの償却費が毎年やはり国鉄の経費になってくるわけでございます。その上に、運営に伴って生じますいわゆる赤字、これは現在着工いたしておりますものが開業いたしましても、特殊な、たとえば根岸線、これもやってみなければわかりませんが、非常に特殊なものを除きましては、大部分が赤字になるだろうと思います。したがって、そういう毎年の経費の赤字国鉄負担になるわけであります。それを今度の政府提案のような公団方式になります場合と比較いたしますと、この考え方では、建設費に対する利子公団で持つ、それから減価償却公団で持つ。したがいまして、その二つは免れるわけでございまして、結局毎年の運営上の赤字国鉄がかぶる、これは依然として残ることになるわけでございます。そういう意味で、いま着工いたしております線が、従来のようないわゆる経済情勢下では赤字になるだろうと考えられましても、国鉄としても数歩あるいは一歩前進ではないかということでこの公団に対する考え方をまとめているわけでございます。ただ、従来建設に対する利子の問題につきましては、大蔵省との予算上のやりとりで、われわれの主張どおりの額ではございませんが、若干利子の額に対する補助をいただいておりますので、厳格にいいますと数字は少し違ってくるかとは思いますが、公団のできました将来と、それから従来どおりの方式でやった場合とを比較いたしまして、ただいま申し上げましたような考えを一応国鉄側としては持っておるわけでございます。
  93. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 いま国鉄からお答えがあったところと大体同じでございますが、実はこの前の国会に各線別につきまして提出した資料がございますから、各線別に申し上げますのもいかがかと存じますので、一応まとめて申し上げますと、着工線につきましては、全体で申しますと、収入が約九十億三千九百万円ということでございます。それからこれに対します経営費、これが八十七億五千七百万円、経営費のほかに減価償却費を加えますと百二十六億三千百万円、差し引き三十五億九千二百万円の赤字ということになります。これは営業係数で見ますと一四〇ということになりますが、いま山田理事が申し上げましたように、減価償却費を引きますと、九十億三千九百万円に対しまして八十七億五千七百万円ということでございまして、営業係数は大体一二〇程度になるのではないかというふうに考えておりますので、国鉄が直接自分で建設線を建設いたしましてこれを経営するというたてまえと、建設公団がいたしまして、あと経営国鉄にまかせるという場合に比較いたしますと、経営費はかなり改善されるわけでございます。  なお、経営上の負担は、これは午前中に申し上げましたように、国鉄在来線と一体として経営をするわけでございまして、それは国鉄の全体的な、公共的な立場ということから国鉄負担をしてもらうというたてまえでございます。  なお、公団に対します庁舎等の無償貸し付け、これは午前中にお答えしたとおりでありまして、公団国鉄の間で——これは額にしてはきわめてわずかなものだとは存じますが、スムーズにするために十分に話し合いをさせた上で、無償で貸し付けることができるという道を開いておるわけでございます。
  94. 野間千代三

    ○野間委員 いま国鉄側と鉄監局長のほうでお答えになったものの中でいろいろだくさんの問題があるのですけれども、そのうちで償却費の部分だけ公団方式でやったほうが国鉄負担が少なくなるということですね。その他の赤字が累積をしてくるのを負担するとか、それから建設のほうの借り入れ金の利子まで公団のほうで全部補給していくということになるわけですね。そうすると、もう一つ山田さんの答弁の中で残っている、いままで政府利子補給がありましたね、その利子補給の分は七十五億の借り入れ金の中からまかなっていくという結果になる、そうですね。その分は、七十五億ばかりではなくして、たくさんの借り入れ金があって、それに対する政府利子補給がいままであったと思うのですけれども、そういうものの利子補給は今後も続いていくのですか、どうですか。
  95. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 新線建設に対します補助の特別措置法によりまして、これは四十年までの時限法でございまして、国鉄建設をいたしました分につきましては一定の利子補給がございますが、公団建設する分については適用はないと考えております。なお、この点につきましては今後まだ余裕がございますので、その法律を十分に検討いたしたいというふうに考えております。
  96. 野間千代三

    ○野間委員 十分に検討いたしたいというのは、何か問題があるのですか。いままで利子補給を国鉄にしておったですね。しておったのを四十年で打ち切る、これはもちろん建設の問題があるでしょうけれども国鉄のほうで長年の負債がある。そういうものに利子補給をしておるわけでしょう。それを公団ができ上がって、新線の分だけ、そういうふうになるのですか。
  97. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 この利子補給は、国鉄が従来自分で建設いたしました分についてだけの利子補給でございます。ほかのいろいろ改良その他に対する利子補給ではございません。それから先ほども申し上げましたように、この公団が成立いたしまして、今後公団建設していくものに対しましては、この利子補給は適用になりません。
  98. 泊谷裕夫

    泊谷委員 関連して恐縮ですが、これは午前中お尋ねしなかったのは、鉄監局長が昨年の六月十二日にこういう答弁をされているのです。会議録そのまま読んでみると、「国鉄に対する利子相当額の補助の法律は時限立法で五年になっておりますが、これは私どもとしては慎重に前向きでなるべく考えたいというふうに存じております。」これには変わりはないと理解して私ははずしたのですが、これの理解には間違いありませんね。なお、この機会に前後して明らかにしておかなければならないと思ったのですが、同じ日にやはり運輸大臣は、新線建設で「最低三百億、多ければ、最後の年になれば五百億くらい出資させるように私は努力いたしまして」、こう述べているのですが、きょういただいた資料はそうなってないのです。三百億を出ているのは少ないのだけれども、これは先ほどもお尋ねしたように、海峡連絡鉄道、これは問題が別ですからね。だからこういう数字が出てきたというふうに理解しておったのですが両者とも間違いないと思うのですが、いかがなんですか。
  99. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 両者とも間違いございません。私が、この利子補給そのものは国鉄建設する分について行なわれるわけでございますから、この法律このままでは公団建設する分、さらにもっとはっきり申し上げますれば、国鉄から公団になされる出資についてはこの利子補給は当然には適用になりません。この点につきましては、国鉄全体の経営等も考えまして政府部内で十分に検討いたしたいと、この前、国会で申し上げたとおりでございます。
  100. 久保三郎

    ○久保委員 関連。——検討したいということでありますが、一年前の話をいましているのですが、国鉄経営の問題も先ほど大臣から答弁があったとおりなんです。七十五億コンスタントに出せるかどうかについても問題があるけれども、一応七十五億という鉄監局長の手元から出た資料もとにしても、経営を圧迫することは事実なんですね。だからもちろん、これは公団建設したものは、譲渡なり貸与の問題をめぐって、七十五億なり何なりの建設資金利子との問題は関連しては出てまいります。しかしそれとこれはまた実際は別だと私は思うのですね。だから建設資金七十五億は目前であろうが公団出資しようが同じだと私は思う。そうだとすれば、やはりここで一年間に少なくとも、ものの考え方として、これくらいは片づけていただきたいと私は思います。法律は時限立法でございますから、具体的にこれをどうするかは別として、考え方としては政府部内の考えはこうですというふうにしてほしいと思うのですが、これはどうですか。実際はいままでも満配にはもらっておらないようでありますから、たいしたことじゃないと思うけれども、やはり理屈を言い出せば幾らでも問題になると思うのですが、これはいかがでしょう。
  101. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 この問題につきましては、いま申し上げましたように、今後政府部内において十分前向きの方向で検討してまいりたい。なお先ほど大臣が申し上げておりますように、国鉄経営全般の問題とも関連して考えてまいりたいという考えでございます。
  102. 久保三郎

    ○久保委員 これは鉄監局長じゃなくて運輸大臣お尋ねしておきますが、いまの鉄監局長の前向きで十分政府部内で検討していきたいということは、従来の例にならってこれを引き続いて持っていかせるようにしたい、こういうふうに了解してよろしいと思うのだが、いかがでしよう。
  103. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 さように考えております。
  104. 野間千代三

    ○野間委員 いま久保委員が言われたことで、この問題は終わることにいたします。  それで、先ほど鉄監局長が言われたように、公団の取り扱いによって赤字の部分の取り扱いが多少国鉄が現在やっているよりも有利になる。したがって国鉄のほうは公団でやらしたほうが有利になるはずだというふうなお答えでしたが、営業係数がいまのような状態でいくと一四〇ぐらいになる。公団でやって国鉄に売った場合には一二〇ぐらいで済むのじゃないかということです。しかしこれは部分的には償却費の分を公団のほうで負担をしていくので、その分だけは国鉄のほうがいままでやっておったよりも営業係数がよくなるという答えですね。それは赤字がどのくらい出るかということの計算が違ってくると、相当大きな違いになると思う、償却費のほうで負担をする部分の額と、それから赤字が出てくる部分と、相当ぼくは違うと思うのです。いま考えている着工線が開通をしたあとに予想される赤字というのが、いま鉄監局長がいわれているものよりも全体的にはふえる危険性のほうが多いのじゃないかというふうに思うのです。そういう場合にはこの一四〇という営業係数で終わるのかどうかという点については相当疑問があると思うので、そうなってくると、償却費負担することによって生じてくる国鉄負担が多少軽くなるという問題よりももっと大きいと思うのですね。そういう意味で私は国鉄負担が、それはもちろんいま国鉄がやっている方法でやっていけば償却費の分だけもっとふえるわけですけれども、しかしそれは新線建設して国鉄経営をしていく場合に出てくる赤字国鉄だけがしょっていくという点にやはり問題があるとぼくは思うのです。ですから、新線建設をしてそれがために赤字が予想される、しかもその赤字の予想は、いま鉄監局長が予想される部分でとまるかどうかという点については、この線を見てみると必ずしも楽観ができないのじゃないか、そう思うので、そういう点についてただ単に取り払いとして償却費のめんどうを見るという程度でなくて、その結果ば必ず国鉄経営全体あるいは運賃の体系全体に影響が出てこざるを得ないと思うので、そういう意味で、赤字のほうは公共的な国鉄の問題だから国鉄でやっていったらいいという程度のことではぼくは問題があるのじゃないかというふうに思うのですが、その点については政府では検討されていないのですか。
  105. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 先ほど申し上げました数字はもちろん見込みでございますから、あるいは狂うかもしれませんけれども、私どもとしては、この資料国鉄から提出をさせまして、その数字を使ったわけでございます。国鉄のほうも、先ほど申し上げましたような数字については、現在の段階においては一応の確信を持った数字でございますので、まあ見込みだから違うことがあるといえばそれまででございますが、現在の段階で私どもは大体このような数字になるというふうに考えております。
  106. 野間千代三

    ○野間委員 国鉄のほうで計算をされてということで、国鉄のほうでも、あとで自分がしょうのですから、相当きちんと計算をされているのだろうと思います。そうなりますと、もう一点問題になるのは、これは運輸大臣にお伺いしたいのですが、大正十一年から敷設法ができて、それからずっと審議をしてきている。そうしていま言われたようなことでこの線が着工され、あるいは調査をされているわけですね。そうなってまいりますと、泊谷さんもちょっと触れていましたが、池田内閣で所得倍増計画を経済審議会に諮問されて、三十五年に答申を出された。その答申の中の、たしか交通の体系の小委員会かなんかの報告で、地方線については打ち切る、中止すべきだというようなことが提案をされていました。そうすると所得倍増計画ではそういう方向で新線建設というようなことは一応中止をして、そうして所得倍増計画に基づく産業計画、そういうもので新しく国鉄の任務を輸送力増強に置く、あるいは安全輸送に置くという方向で国鉄を効果的に所得倍増計画の裏づけにしたほうがいいという考え方で、交通問題の小委員会では国鉄の部分について論議をされて決定をされているように承っています。そうなってきて、そういう考えで新線建設の問題が論議をされていて、着工線調査線がきまっておるのならば、いま言われたような論議の余地があると思うんです。そうでなくして、大正十一年からずっとそのときの経済事情で積み重ねてこられたこの計画ですね。そういうこととの間には多少の問題があるんじゃないかというふうに思うんですが、そういう点の調整なりはどういうふうに考えておられますか。
  107. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 確かにいま野間先生がおっしゃるように、所得倍増計画に関します経済審議会の答申では、国鉄のローカル線等の建設を原則として中止すべきであるという答申が述べられておりますが、一カ所得倍増計画では、国民経済の体質を改善しまして、均衡ある発展を実現するために、後進地域の開発を促進して、所得の地域格差を是正すべきであるという指摘がなされ、この目的を達成するために昭和三十七年の十月、全国総合開発計画が策定された。この全国総合開発計画というものも所得倍増計画の一環でございまして、この総合開発計画によりまして先ほど申し上げましたローカル線等の建設は原則として廃止すべきである、中止すべきであるという経済審議会の答申は、一部ここで修正されたというふうに私どもは解釈しております。それで主要幹線の複線化、電化あるいは東海道新幹線の建設のほかに特に既成大集積地帯あるいは大規模地方開発都市を中心とする地域内の鉄道施設の整備拡充あるいは工業開発地区を育成するための臨海鉄道、こういったものを含めました貨物輸送施設の増備あるいは整備、それに青函あるいは本州−四国間の海峡連絡鉄道、こういった輸送力の増強あるいは施設の近代化というものが必要であるというふうに考えているわけでございます。
  108. 野間千代三

    ○野間委員 一つ、途中ですけれども国鉄の当局の方にちょっと確認しておきたいのですが、第一次五ヵ年計画考えられたときがありましたが、第一次五ヵ年計画というのは、当時新聞でも相当問題になりましたトンネルの破損であるとか、橋梁の破損であるとか、あるいは線路であるとか、車両であるとか、そういうものが相当老朽化した、したがってその老朽化したものを改良をして、国鉄の強化をする、それが第一次五ヵ年計画の主たる任務であるというように発表されておりますが、これは問題ないてすね。——それから第二次五ヵ年計画にかわるときの、そのときの考え方は、第一次五ヵ年計画の改良の部分は、ある程度改良になったけれども、完全でなかった。したがってそれはもっと促進することが必要だ。もう一つは、輸送力の増強をする、つまり幹線の複々線化とか、あるいは複線の複々線化とか、あるいは単線の複線化とか、つまり幹線を強化する。それと通勤が非常に混雑するので、その通勤対策、そういうものを強化する、そういうように、第一次五ヵ年計画プラス輸送力の増強ということが第二次五ヵ年計画の任務であるというように発表されましたが、それはそういうようにいま実は考えたのですが、それでいいのですか。
  109. 山田明吉

    山田説明員 御説のように、第一次五ヵ年計画は昭和三十二年度から始めまして、これは戦争中あるいは終戦後、荒廃した施設の取りかえを主眼といたしまして、それの進行中に経済の発展が非常に目ざましいものがございまして、輸送力拡充を考えなければいけないということで昭和三十六年度から第二次五ヵ年計画が発足いたしまして今日に至っておるわけでございます。それで、そのおもな考え方は、御説のように輸送力の増強ということをまず第一の眼目にいたしたのであります。
  110. 野間千代三

    ○野間委員 それは私もそう思っていますので、そうすべきであったと思います。それでいいと思います。  それでもとに返りまして、いま鉄監局長が言われた所得倍増計画ですね。所得倍増計画の立案のときには、経済審議会の答申としては、ローカル線は建設をしない、中止をするというふうに言われました。それが途中で変わって、新線建設もするというふうに変わられたというふうにお答えになりましたが、それはいま局長が言われたようないろいろな関係があって変わられたのですけれども、そうなってまいりますと、一つの疑問としては、私が初めから言っております。大正十一年からその経済事情、その経済事情のたびに新線をしなければならぬというように積み上げてきたわけですね。この二百三十一線というのは、最初に確認しましたように、これが久保委員が言われるように政治的な線であったり何かすると——私は一年生ですからあまり触れませんし、よくわかりませんが、そういう要素も否定できないと思うのです。これは皆さんのほうから否定されると思いますが、そういういろいろな要素があってでき上がってきておった二百三十一線ですね。あるいは四十三線、そういうものがあったから、三十五年の答申では、そういうものはやめて、輸送力を増強すべきだというふうになったのではないかというふうに思うのです。これは池田内閣が出発するときに、国民所得を十ヵ年間に倍増するということで始まったのですから、そういう基本に立って、交通問題のところでは、ローカル線は中止をするというふうに言われたと思うのです。そういうことでなったものが修正された場合には、修正をする時限の三十七年なら三十七年に修正をする、だとすれば、修正をさるべき時限の政策として新線はどこに建設をすべきかということが論議をされなければならぬと思う。そこはどうなんです。
  111. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 確かに鉄道敷設法の別表に掲げてございます新線の数は二百三十一ございます。それからそのほかに附則の二項の線が七十一線ございます。全体で三百二線でございますが、そのうち鉄道建設審議会が御審議になりまして取り上げました線は、先ほど申し上げましたように着工線あるいは調査線というものを取り上げていますが、これは建設審議会で御審議になりますとき、そのつど、やはり各線につきまして、先ほど申し上げましたような各種のたとえば交通体系、系絡あるいは各線につきましての一応の長期的な見通しというものをもとにいたしまして十分御審議になって取り上げておるわけでございます。この予定線に掲げてあるもの全部をどうするというわけのものではございません。その時点時点におきましてきわめて重要であるというものを調査線なり着工線にある程度長期的な見通しのもとにお取り上げになっているというふうに考えております。
  112. 野間千代三

    ○野間委員 局長、ことばの上ではそれはそうなると思うのです。たとえば三十七年なら三十七年に所得倍増計画が進捗をして、非常な生産率を示して、交通がそれに伴わなければならぬという時限になってきて、そこであらためて局長の言うように新線建設の問題がクローズアップされてきて、局長が言われるように、たとえば青函の海底トンネルだとか、四国との交通であるとか、そういうものがきわめて重要であるというふうになってきたことは、ぼくはそれはそう思う。ですから、そういうふうに三十七年のときに考えられた新線建設考え方というのは、たとえば青函だとか四国であるとか、そういうふうに何とか生産力の増強にマッチをした新線建設でなければならぬと思う。ところが、そういう問題については、確かに二百三十一線の中からどれがそれに影響するかという点については多少ひっかかるところがあるかもしれませんけれども、もっとぼくはあれほど経済の伸長が目ざましかった時代から見た場合に、これがはたしてそういうふうにマッチをするものかどうかという点については相当疑問があると思う。やはり青函であるとかあるいは四国であるとかあるいは根岸線であるとか、そういうふうに直接的に生産力の増強即倍増計画に基づいて新線として建設をしなければならぬ問題は、実はこの表以外にもっと大きな問題があるはずだというふうにぼくは思うのですけれども、その辺については、局長の言うようにことばの上ではこの中からそれを拾ったのだというふうにあげられますけれども、あげたには違いないが、もっと基本的に倍増計画にマッチをした線があるはずであろうと思う。いま局長があげられたようなそういう問題はあがっていないのですね。そういうふうな疑問についてはどういうふうにお考えですか。
  113. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 別表の予定線の二百三十一線、それから附則の第二項にあります。十一線、合わせて三百二線というものは、地図の上でごらんになりますとかなり全国網羅的に線が引かれているわけであります。このうちから鉄道建設審議会は先ほど申し上げましたような観点からごく重点的に調査線着工線というものをきめているわけでございますが、かりにこのネットワークだけでは不十分であるというものが新しい観点からあれば、やはり鉄道建設審議会の議を経まして法律改正というかっこうで別表に追加になるわけでございます。最近でもそういう例はないわけではございません。こういった観点からごく最近の情勢も加味しまして、別表を含めまして、やはり鉄道建設審議会審議されておるわけでございます。
  114. 野間千代三

    ○野間委員 先ほどから局長がそういうように言われておりますから、もちろんそういうふうに論議をされておったのだろうと思いますが、私が言いたいのは、一回所得倍増計画国鉄審議会が論議をしてきめてきたあの予定線なり着工線なり、そういうものがやっぱり爼上に上がってあの交通小委員会の結論が出たはずと思うのです。それが一年か二年をたたずして、もう一回そのままそれでいいのだというふうに上がってくるはずがない。だから、それは局長が言うように、その中で多少論議があったにしても、それはどうも公団をつくるためだけが重点になってこれが上げられて、もっとほんとうの所得倍増計画に基づいた新線建設という問題が、いわば等閑視されておるというか、残されておる。そういう問題がどうもあるようにこれを見ると私は見受けられる。小委員会の報告を見て、そうして二年をたたずしてこういうふうになってきておるとすると、そういうものが残されておるような危惧がどうしてもなしとしない。それだったら、せっかく公団法をつくって始めていることについては、いまの経済状態で残されているものが非常にもったいないじゃないか。もっといまの経済状態にマッチしたものできちっと始めるなら始める、公団をつくるならつくるというふうにすべきじゃないかとぼくは思うのです。そういう点についてはどういうふうに考えておるか。
  115. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 所得倍増計画との関係は、先ほど申し上げましたように、確かに一つの見方としてはローカル線の新線はやめるべきだという御意見はございましたが、それは先ほど申し上げましたように、所得倍増計画をさらに他の一面の考え方から地域格差の是正、あるいは後進地域の開発という点から総合的に改定をされたというふうに理解をしております。それから、従来、先ほど申し上げましたように、建設審議会で新しく調査線あるいは着工線をきめる場合には、やはり各線の経済性あるいは地域開発、経済効果を十分考えながら、国鉄全体としてのネットワークがどのようになるかということを考えながら、十分慎重に御審議を願っておるわけでございまして、決して所得倍増計画と相反するようなかっこうではないというふうに考えております。
  116. 野間千代三

    ○野間委員 ここの掲げられております予定線なり着工線なり、そういうものが、新線建設して、それが日本の国土を開発して産業基盤を強くしたり、あるいは地域格差をなくしたりということは、これは鉄道が持っている経済に対する影響力というものから考えると、そういう立場で考えた場合には、これは否定する必要はないと思う。私も否定しない。もちろんどこにも鉄道網が敷かれるということは重要なことです。それは私は否定しない。ですから、これを国鉄でやるなり公団でやるなりして、たくさん鉄道網が敷かれるということは、ぼくは、先ほど久保先生が言われるように、歓迎をします。しますが、公団というものをつくって国鉄の企業から切り離して新しく出発をするのだ、しかもそれは池田内閣のいう所得倍増計画に基づいてやるのだというふうに鉄監局長が言われますから、そういう考えであるならば、こういうものよりも、われわれしろうとが考えても、所得倍増計画がいま急いでいる交通のネック、隘路ですね、あるいは人口の集中であるとか、産業都市の集中であるとか、そういうものをもっと広範に伸ばして、所得倍増計画をもっと促進をするという立場で新しく検討すべきだというふうに思うのです。そういう意味で、大正十一年から積み重ねてきたこういうものではなくて、もっと本質的に違うものが進められて、そのあとに長期的にこういうものが進められていくという手順であるべきじゃないかとぼくは思うのですが、そういう点についてはどうなんですか。
  117. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 今後建設すべき新しい路線は、もちろん国鉄の在来の線と建設後は一貫的に運営されるわけでございますから、その辺の関連は十分とりながらやる必要があると思います。したがいまして国鉄の新線建設線、あるいは着工線にいたしましても、調査線にいたしましても、今後、この法案の中に各所に出ておりますように、国鉄との調整、関連というものは十分にとりながらやっていくつもりでございます。ことばをかえますれば、でき上がった線を国鉄経営するわけでございますから、その辺は事前に十分調整をとりながら、国鉄全体のバランスのとれたかっこうにしていきたい。  なお、先ほどお話がございましたような大都市付近のいろいろな輸送力増強の問題は、これは在来から国鉄は非常に重点を傾けてやっておるわけでございますが、今後建設線は一応別なかっこうになりますが、国鉄といたしましては、在来線の大都市付近の通勤輸送の増強、あるいは幹線の複線化、あるいは電化、改良、こういった在来線の増強というものは、従来以上に力を入れていくというかっこうになると思います。  それからくどいようでございますが、在来線と新しくできます線との総合調整につきましては、十分に相互間の話ができるように調整をして、全体と、してバランスのとれたかっこうでやっていけるようにいたしたいと考えております。
  118. 野間千代三

    ○野間委員 たいへん失礼ですけれども答弁としてはちょっと隔靴掻痒の感があるのですが、三十七年ごろに、局長さんの言われるように、新線建設すべきだというふうに考えられた。これは小委員会の報告を修正をしてそういうことになった。これはそういうことですね。  先ほど国鉄当局の方に確認をした第二次五ヵ年計画は、急速に経済が伸長してまいった、したがってそれにマッチした国鉄の輸送力を増強しなければ、経済の伸長に基づいた国鉄の責任が果たせない、そういうことから第二次五ヵ年計画が出発しているわけですね。これは当然だろうと思う。所得倍増計画が進んで、生産量が増大して、それに人口の問題やいろいろな問題があるので、それにマッチをするように、第二次五ヵ年計画でもって、経済の伸長に基づいた交通施策をとって国鉄の任務を果たす、これは当然だろうと思う。そういうふうに国鉄も進んできている。それから経済のほうもそういうふうに進んできている。そういう状況の中で、従来の政策を変えて公団をつくるとすれば、これは所得倍増計画が進んだことによる経済の伸長にマッチさせて交通輸送部門を強化をする方向で公団が持たれなければならぬじゃないか。それを、経済基盤の強化であるとか、あるいは地域格差の是正であるとかいうふうにぼくは表現していると思うのです。であるとすれば、新線建設する場合にも、第二次五ヵ年計画の輸送力増強というところに重点を置いた新線建設が行なわれるというふうにあるべきだと思うのですよ。それがいま局長さんの答えは、そう言ってはなんですけれども、こういう古いものの中から少しそれをとってきて、これからそれにマッチをするようにということでは、これは主客転倒じゃないかとぼくは思うのです。ですから公団をつくって始めるというくらいに、しかも運輸大臣が訴えられておるように、非常に困難な財政事情にもかかわらず、やろうという気がまえであるならば、やはり所得倍増計画と、それに基づいて進んできた国鉄の第二次五ヵ年計画というものと、方向を一にした新線建設の方向がとらるべきだ。たとえばいま計画されている何名かの国鉄職員が公団のほうに移る、あるいは公団の役員がつくられる、公団の組織が構成される、その構成をされる職員が新しい新線建設をするという場合には、やはり一つの方向なりあるいはその国の経済状態にマッチをしてそれに協力をしていくのだという精神的な支柱がなければ、ああいう困難な仕事はしにくいとぼくは思うのです。これが労働者なり職員なりの気持ちだと思うのです。ですから、私は国鉄職員や公団がつくられて新しく公団に入ることを予定されておる人たちが、池田内閣の方向なり政策なり、とにかく一つの方向に向かって新線建設というしかも全国にまたがるような大きな仕事をする場合には、一つのモラルといいますか、それほどに考えられる一本の筋があって初めてああいう困難な仕事に突入できるのではないか。おそらく新線建設は、あなたの言われるように、お金はそう十分ではない。人手も十分ではないと思います。それがそういう困難な条件の中で困難な仕事をするのですから、そういうことに携わらなければならない労働者あるいは職員や役員が、自分の気持ちとして一生懸命やれるというふうな方針なり対策なり政策なり、そういうものをきちんと立ててやらなければ、これはどんなに大臣なりあるいは国鉄のえらい人が慫慂したりなんかしたって、なかなかそれに一生懸命突入していこうという、つまり使命感がなければ、職員が一生懸命やらなければならぬという気持ちになることはむずかしいと思うのです。ですからそういっては失礼だが、こういうものではなくて、小委員会が一回指定したものであるならば、新しく三十七、八年の経済状態とにらみ合わせて新しく公団を始めようというのならば、しかも金が少ないというのならば、少なくとも一生懸命やろうという気持ちになれるような時の経済にマッチした新しい新線建設の具体的な方針を出して、それでこれに協力してくれというふうに言うべきだとぼくは思うのです。その辺については、これでは不足だ、十分ではないとぼくは思う。なぜもっと新しい観点に立って、三十七年、三十八年の経済状態の観点に立って、新しい具体的な新線計画を立てて、そうしてそれも公団でなければならないのだというふうな、そういう政策をどうして出せないのか。どうもただ政治線であるとかあるいは公団をつくればいいんだとかいう気持ちにどうしてもなる。いま私が言ったようなことがはっきりしておるならば、私は賛成していいというのです。そういう政策の裏づけがなくて、資金の裏づけもないままに、そこへ職員を使う、労働者を使う、これではあまり労働者を機械的に使い過ぎやしないか。ただ公団をつくればいいということになりはしない。それは政府国民に示す交通政策としては間違いであるといわざるを得ない。そういう点について再考してもらう余地はないのか、運輸大臣に質問します。
  119. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 先ほども申し上げましたように、鉄道敷設法というものは、過去しばしば改正をされております。その時代時代に適合するように改正されております。それでたとえば三十六年においても建設審議会の答申を経て、国会の御審議を経て、必要な路線を追加し、また三十七年においても同じようなことをやっております。要するに所得倍増計画との関連では、地域格差の是正あるいは地方開発あるいは輸送力増強という観点から建設審議会において適宜お取り上げを願い、御審議を願い、それをもとにいたしまして、国会の御審議を経まして、敷設法自体も改正をしてまいっておるわけであります。そういった意味合いにおきまして敷設法も逐次時代に合ったような方向に改正をしてきておるわけでございます。その一つの例といたしまして、先ほど申し上げましたように、非常に大きな仕事の青函の関係であるとかあるいは本州——四国の海峡連絡鉄道というふうなものも取り上げられているわけでありまして、新しい考え方に即応して逐次敷設法というもの、別表というものも訂正を加えられておるわけでございます。何と申しますか、時代に即応して、敷設法も逐次改正を加えられているというふうに考えておりますので、いま野間先生のおっしゃったような意味合いも十分建設審議会においてお取り上げを願い、また国会の御審議も経てきておるのがいままでの実情だと考えております。
  120. 田中織之進

    ○田中(織)委員 関連して。——どうせ私はあとで質問を予定いたしておるのでありますが、ただまいの野間委員の質問に対する答弁としては、鉄監局長答弁はきわめて不十分でありますし、私ら不満なんです。  午前中に御説明になりました着工線調査線資金計画についての運輸当局の素案でありますか、その関係を見ましても、具体的に資金の面の大まかな計画は出されていますけれども、それがどの程度新線建設をそれぞれの年度でやるかということについては、金額の点から見て、一キロ一億一千万程度の積算の基礎にはキロ数というものは出てまいりますけれども、それでは私、公団を新設するということの最初に当たる計画として、きわめて、ずさんだと思うのです。野間委員、また、午前中、過日来から続けている泊谷君の質問にいたしましても、その点をついておるのだと私は思う。率直に申し上げて、初年度の三十九年度の予算がきまって、これの資金の面はきまっていますけれども、かりにこの法律が通過して公団が発足した場合の次年度の事業計画というものは、まだきまっていないと思う。そこに問題があるので、少なくともそういう事業計画というものがきまらないで、公団をとにかく発足させようというところに非常な無理があるという点で、私どもはにわかにこれに賛成するわけにはいかないのであります。したがって、私どもが言う緊急措置法というようなものに従って、今後十年間の新線建設計画という、そういう事業計画というものを、現在の時点における諸般の情勢を見きわめた上で具体的に策定させることが必要なんじゃないかということを実は申し上げておるわけなんです。それが実際にはないと思うのです。したがって、それをいつつくられるのか。公団を発足させて計画あとから立てるということになるのですけれども公団にはそういうことを策定するための機構というようなものも予定されているのか。これは勢い建設審議会との関係も出てくるわけですけれども、そんな形では、これは国鉄であれば多少惰性的な点がありますけれども、従来敷設法の別表に掲げられているものが何十年計画かで、のろい速度ながら進められているけれども公団にそれを移したということになれば、公団ができてからその事業計画というものを策定していくということになると、特に政府、与党が新線建設を促進するという観点で別個な組織にしようという目的とまるっきり違った結果が出てくると私は思うんです。したがって、少なくともこの法案委員会審議を終わるまでの過程においては、それを出していただかなければならぬと思うのですが、そういう点の準備を進めておられるのかどうか。私ども関係は、そういうものを策定するための基本法というものを当面つくることが新線建設促進のための一番大事なものじゃないかという点で、別途議員提案で法案を出しておるわけなんですが、その点、少なくともこれの委員会審議を終了するまでの過程には、それの全容は示してもらわなければならないことになると私は思うのですが、いかがですか。野間委員は、倍増計画なり新しい情勢に基づいての、いわゆる鉄道の新線建設計画というものの基本的な考え方はどうかという点に先ほどからの質問を集中していると私思うのですが、これは一番大事な点なんで、その点についてはまあ所管の局長さんもけっこうでありますけれども運輸大臣として、そういうものがなければ、これは公団を発足さしても、具体的に仕事がはかどるかどうかという点に、あなたは多年の経験から見て、これは新線建設のような大事業になればなおさらのことだと思うのですが、大臣の所見を伺いたいと思います。
  121. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 ただいまの御質問に対しまして事務的にお答えいたしますと、まずこの法案の第二十条によりまして基本計画を定めることになっております。これは鉄道敷設法に定められました予定鉄道線路のうちで、公団建設すべきもの、及びその建設に関する基本的事項について基本計画を定めるということになっております。この基本計画は、運輸大臣鉄道建設審議会にはかった上で決定をいたしまして公団に指示するという内容のものでございます。なお二十一条におきまして、この基本計画に基づきまして、公団は各鉄道新線ごとに建設すべき新線の具体的な工事計画を定めるということになっております。なお、この基本計画に基づきます工事の実施計画につきましては、公団はあらかじめ国鉄に協議するということになっておりまして、公団ができるということになりますと、運輸大臣といたしましては、建設審議会におはかりした上で基本計画を示すということになっておるわけでございます。
  122. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 いま監督局長が御説明申しましたように、私どもといたしましては、とりあえずこの公団を発足させていただきまして、そしてこの事業法に命ずるところの計画に着手いたしたい。もちろん先ほど来野間委員の言われたような点は実際同感でございますが、とりあえずこれをやっていただいて、そしてその計画は、この法律の示すところに従ってさらに建設審議会とよく審議して進めていきたい、かように考えております。
  123. 田中織之進

    ○田中(織)委員 鉄監局長から事務的な御答弁がございましたが、そうすると、その基本計画というものを策定して、建設審議会の議を経てコンクリートになるまでの間は公団は一体何をやるのですか。それからそれは在来の関係で別表に出ておる、また資金計画に載せられた着工線、そういうようなものについての、従来国鉄が進めてきていた新線建設工事を、公団がその基本計画が立つまでの間は引き継ぐにとどまるものなのかどうか、その点をお答え願いたい。  それからやはり基本計画はもちろんこの公団法規定しておりまするけれども建設審議会の議を経て基本計画というものを策定して、それを公団に指示するということになっているとすれば、少なくとも建設審議会の小委員会の答申案の中には、いわゆる着工線調査線、予定線の全部について、大まかだけれどもやはり十年間の資金計画を、それをやろうという計画があるわけなんですが、基本計画というものはそれを新たな観点から根本的に練り直す心組みでやるのか。その点から見れば従来政治路線であるとかいうような関係の敷設法の別表についても思い切った改正というか、そういうようなものまで進めていくところまでその基本計画の中では策定にあたっては考えるのかどうか、その基本的な、根本的な、基礎的な考え方はいかがですか。
  124. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 基本計画の記載する内容につきましては政令できめることになっておりますが、大体その内容といたしましては着工線調査線の別、それから線路の名称、それから起終点、おもな経過個所、線路の規格というようなものを考えておりますが、そのほかいま先生のおっしゃいましたように敷設法を全面的に考え直したらどうかというお話でございますが、この辺は鉄道建設審議会の御意見等を十分拝聴して慎重に考えなければいけないというふうに考えております。先ほど申し上げておりますように、従来の建設審議会におかれましてはやはりそのつど、その時点において修正すべきものは修正の御建議を願って、国会の御審議を経て逐次直しておるというのが実情でございます。
  125. 田中織之進

    ○田中(織)委員 関連質問ですからもう一点で終わりますが、基本計画に盛り込むものは政令に定めることになっているということになれば、やはり従来のこの種の相当長期にわたる大事業の場合には、やはりその政令の内容委員会審議の過程に私は明らかにすべきだと思うのです。政令なんというものの骨子は少なくとも示していただかなければならぬ。それの準備をやはり進めていただきたい。  それから私もいま設建審議委員に昨年の二月から引き続いてやっておりまするが、建設審議会の従来のあり方についても私は委員の立場において意見を持っています。その意味で敷設法の特に別表その他はそのつどやはり審議会にかけて、国会の議を経ておると思いますけれども、そこにきわめて経済性の薄いいわゆる政治路線というようなものが多分に入り込んできているところに、これが遅々として進まない根本的な原因があるので、私はやはりこの際産業の動脈としての交通政策の基盤であるところの鉄道網の完成をもくろむということになりますれば、従来のそういうマンネリズム的なものも打破した形でやはり根本的に手を加えた計画というものが策定されなければならないと思うのです。そういう意味で前段に御質問申し上げた基本計画に関する別途政令で定めるという政令の内容については、これまた委員会審議の時間もありますから、十分やはり検討をされて、それは委員会審議の間に要綱だけでもお示しをいただきたいということをこの際要求しておきたいと思います。
  126. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 先ほど私が御説明いたしましたこの法律で予定しております基本計画、もちろんこれも鉄道建設審議会におはかりいたしますが、けさほど私どもがお示しいたしました長期的な資金計画、これはもっと根本的なものだと存じますので、これにつきましても政府部内において具体化すべき最大の努力をいたしますが、こういった問題につきましてももちろんこれ以上に鉄道新線建設処理をいたします上において根本的な問題でございますので、私どもといたしましてもなるべく早く鉄道建設審議会におはかりをして、十分の御審議をいただくというつもりでおります。
  127. 久保三郎

    ○久保委員 関連して。——野間さんの質問に関連して一つだけお伺いしておきますが、野間君が申し上げたのは公団をつくることもけっこうだろう、しかしながら一方この鉄道の新線建設にあたる職員といいますか、そういう人に対していわゆる精神的な支柱がいままでの論議では一つも見つからぬ。これではかわいそうじゃないかということなんです。それは野間君が指摘されたように、いわゆる高度経済成長政策の中で、ローカル線は今後も一切建設は中止すべきだというきつい点が指摘された。これについては鉄監局長からばく然とした説明というか弁明がございましたが、これは大体世間でもローカル線については多少批判の眼がある。しかしこれは政治線であるかどうかという問題は別として、日本全体のいわゆる総合的な交通体系の中で、けさほど示された新線建設というのはいかなる地位をためるか、いかなる比重をためるものであるか、これはちっとも解明されていない。いままでの論議でそうだとするならば、単なるいま田中委員から御指摘のように惰性にかられて着工線あるいは建設線に指定されたものが総額三千億になる。だからこれをとにかく早くやろうではないかということだけなんで、これでは残念ながら公団設立の正しい意味も、あるいは建設にあたる者のプライドもちっともない、こういうように私は思うのです。だから政府自体は総合的な交通体系を実はつくっておられない、つくりつつあるようには聞いておるが、それではその中で新線建設の位置づけはどういうふうになされているか、そういう点の解明も何もなくては、これは残念なからどうも行き当たりばったりのあれではないかと思うが、どうでしょうか。  それからもう一つはやはり所得倍増計画がアフターケアの段階に入って手直しする。先ほどお話があったように、国鉄の第二次五ヵ年計画も手直しする。これは国鉄ばかりではありませんよ。陸運全体として考えなければならない。最近の道路建設の技術あるいは自動車交通の発達、こういうものと彼此勘案して、総合的な交通体系というものがあるはずなんです。その中で、これは新線建設が必要だという理屈が出てこなければ、やはり世上伝えられるように、政治路線と一口に言われ、あるいは赤字路線だから国鉄経営が圧迫されておるという単純な割り切り方で押えつけられるのですね。これでは公団をつくっても、実際言って前進はありません。そこらの理解を国民にどう求めるのか、それをひとつお答え願いたい。
  128. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 現在の着工線あるいは調査線というものは、これはすべて鉄道建設審議会の慎重な御審議を経まして、それに基づいてやったわけでございます。結局国鉄の全体の輸送計画あるいは総合開発計画、所得倍増計画地域格差の是正、こういった内容のきわめて重要な路線というものを現在建設審議会の御審議を経まして推進しておるわけでございまして、私どもとしましては、いずれも重要な役割を持っておるものであるというふうに考えております。それで、けさほどお示ししました素案というものは、現在の段階では、こういった建設審議会の御審議を十分に経ましたものでございますので、そういったものをとりあえず完成することが望ましいというふうに考えておるわけでございます。新線建設というものは国家的に非常に重要な使命を持っておるものであるというふうに私どもは理解しております。
  129. 久保三郎

    ○久保委員 私の質問にお答えがいただけないのが残念でありまして、国家的な使命重大であるとか、鉄道建設審議会の議を経てとか、そういう権威も私は認めます。認めますが、あなた方政府がおっしゃているように、当面この経済政策の中で総合的な交通体系を樹立しなければならないというのが至上命令でしょう。だとすれば、この至上命令の中で新線建設というものの比重も考えていき、評価も考えていくということでなければならない。先ほどの所得倍増計画の中にちゃんとはっきり書いてある。ローカル線はやめるべきだということ、これは岸内閣時代に答申になったものですよ。そうでしょう。これをぬぐい去る最も有力な理論的根拠なり政策があるべきだ、あなたがおっしゃるとおりなら。それをお示しいただけないと、やはり建設に従事するものは困るのです。また国の銭を使って、赤字路線ばかりつくって、政治路線ではないかと言われる。自分はまじめになってやっても、世間にそう見られることでは、公団をつくろうが、何をつくろうが、ちっとも生きがいは感ぜられないのではないか、それではかわいそうではないかというのが野間委員のおっしゃることですよ。池田内閣は心の再建を唱えました。心の再建はそういうところからやってください。いずれにしても、いまの鉄監局長答弁は、ちょっと私の質問には触れないようてありますから、御答弁はあすしていただきましょう。そして野間委員の質問は次会にしていただくことにして、この辺で散会を要求いたします。
  130. 川野芳滿

    川野委員長 それでは次会は明五日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十四分散会