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1964-01-31 第46回国会 衆議院 運輸委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年一月三十一日(金曜日)    午前十時二十一分開議  出席委員    委員長 川野 芳滿君    理事 有田 喜一君 理事 關谷 勝利君    理事 西村 直己君 理事 山田 彌一君    理事 久保 三郎君 理事 田中織之進君    理事 肥田 次郎君       木村 俊夫君    佐々木義武君       進藤 一馬君    壽原 正一君       高橋清一郎君    高橋 禎一君       南條 徳男君    西村 英一君       長谷川 峻君    細田 吉藏君       増田甲子七君    勝澤 芳雄君       泊谷 裕夫君    野間千代三君       矢尾喜三郎君    山口丈太郎君       内海  清君    佐々木良作君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 綾部健太郎君  出席政府委員         運輸政務次官  田邉 國男君         運輸事務官         (海運局長事務         代理)     澤  雄次君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      廣瀬 眞一君  委員外出席者         日本国有鉄道理         事       山田 明吉君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本鉄道建設公団法案内閣提出第五号)  日本国有鉄道経営に関する件(鶴見事故に関  する特別監査報告に関する問題)  海運に関する件(海運企業整備等に関する問  題)      ————◇—————
  2. 川野芳滿

    川野委員長 これより会議を開きます。  日本国有鉄道経営に関する件について調査を進めます。  この際、鶴見事故に関する特別監査報告について、政府当局より発言を求められておりますので、これを許します。綾部運輸大臣
  3. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 かねて国民多数に御迷惑をかけ、また本委員会でも大へん御心配をいただきました鶴見事故に対する特別監査報告が、昨日提出されました。お手元に差し上げてあると存じますが、この報告によりますと、事故発生の直接原因は、諸種の悪条件が競合して起こったものと推定されます。国鉄においては、さらに引き続き原因究明を行なう必要があるとしております。現在の段階においてはこの程度でやむを得ないものと考えるが、国鉄技術を総動員して、今後さらに徹底的に原因究明を進め、遠からず結論を得ることを期待しております。  この報告において、原因のほかに事故防止のために全般的な方策が明らかにされているが、運輸省としては、これを慎重に検討し、その結果を国鉄行政に十分反映していきたいと考えております。国鉄においても、本報告の内容を十分に検討し、今後さらに真剣に原因究明に努力するよう期待してやみません。  監査報告に対する運輸省としての見解を申し上げまして、御了承を得たいと思います。
  4. 川野芳滿

  5. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 お手元鶴見事故監査委員会報告書がございますが、これを要約したものがお配りしてございます。概要につきまして簡単に御報告申し上げます。  昨年の十一月十一日付で鶴見−横浜間における列車衝突事故に関しまして、運輸大臣から事故原因究明につきまして特別監査を行ない、その結果を報告するように命令をいたしました。  自来、監査委員会は、昨年の十一月十四日以降二十八回にわたりまして、詳細に論議を重ねまして、お手元にございますような報告を提出してまいりました。  この間、監査委員会は、事態重要性とそれからなお技術的な問題が非常に多い、それからなるべく客観的な結論を得るというようなことから、監査委員以外に特別の技術顧問というものを委嘱いたしました。前の東大教授、現在早稲田の第一理工学部、第二理工学部教授沼田教授、それから原子力委員会委員東大名誉教授兼重教授、それから東京大学の生産技術研究所長東大教授藤高教授、この三名の技術顧問を依頼いたしまして、ともども検討を重ねてまいったわけでございますが、その報告概要を申し上げます。  薄い二、三枚の概要がございますが、これについて御説明いたしますが、第一に、鶴見事故原因につきましては、本委員会としては、国鉄技術調査委員会が先般中間的に推定を下しました結論、すなわち列車走行状態線路条件隣接車両の動揺及び脱線車特異の悪条件が競合して起こったものであるとの推定は、現段階においては、時間的の制約もあり、一応やむを得ないものと認めますが、この推定は、車両を脱線に導く素因の解明と各素因関係度合いがいまだ十分に追及されておらず、事故原因を最終的に解明したものであるとは言いがたいので、国鉄がこの究明をさらに持続して行なうことを強く要望するとともに、その調査にあたって留意すべき技術的諸事項を且体的に指摘をしたというのが第一点でございます。  第二点は、本委員会は今回の鶴見事故の背後的問題として、国鉄が過去において発生した類似の事故究明に徹底を欠いていたこと、線路車両総合的管理に不十分なところがあったこと、さらに、輸送需要の増加に対して、線路増設を主軸とした輸送力の増強がおくれ、列車ダイヤが稠密化して安全確保上大きな問題を内蔵していることの三点を指摘しております。これらの問題に対しましては、国鉄が今後線路車両の動的かつ総合的管理確立隣接線防護設備開発、踏切の整備の促進、線路増設推進等、諸般の保安対策をすみやかに実施するよう要望したというのが第二点でございます。  第三点といたしまして、国鉄の今後のあり方として、本委員会は、列車ダイヤ稠密状態を緩和するために、国家的な立場からの強力な交通政策確立国鉄各部門の能力が最高度に発揮されるがごとき国鉄業務の態勢の確立並び国鉄職員のモラルの向上が緊要であると考えておるというのが第三点でございます。  結論といたしまして、国鉄はこの際そのよってきたる原因について深く反省するとともに、今後はより総合的な見地から事故防止の要諦を的確に把握し、これに対する諸施策を果敢に遂行するように切望するという結びでございまして、ただいま大臣が申し上げましたように、これを受けまして、運輸省としては適切な方策を立ててまいりたいというように考えております。
  6. 川野芳滿

    川野委員長 本問題に関する質疑は後日に譲ります。      ————◇—————
  7. 川野芳滿

    川野委員長 次に、海運に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。内海清君。
  8. 内海清

    内海(清)委員 私は一般質問といたしまして、若干大臣にお尋ねしたいと思います。  御承知のように、第四十三通常国会におきまして、いわゆる海運法律が通過いたしたわけでございます。この海運法律は、申し上げるまでもございませんが、五年間の海運会社における利子のたな上げをして、これによって海運界を立て直される、かつ利子補給強化いたしまして国際競争力を強めよう、こういうものなのであります。ところが、この二法律について、当時私も討論等で申し上げましたように、なお内容的にはいろいろ問題があることは御承知のとおりであります。ところが、その後におきまして、特に開放経済体制への移行の時期が早められるというふうなことで、五年後にこの二法律によって海運企業基盤強化海運業の立ち直りというものができるかどうか。五年後の目標を掲げておりまするこの二法律、その効果が相対的な意味においてかなり薄れてきたのじゃないか。そこにいろいろ問題が今日出てきておるのじゃないかと思うのであります。  そこでこれらにつきまして若干お尋ねしたいと思うのでありますが、御承知のようにOECD加盟にあたりまして、特に運輸当局がこれに対して強い要請をいたしたのは、いわゆる海運留保の問題であります。すなわち、わが国OECD加盟するにあたりまして、その交渉の過程において、一年以上の長期用船契約について留保期間五年を置く、そのことを強く要請いたしたはずであります。ところが、これが結局いれられないで、結局わが国におきましては石油タンカーが二年、鉄鉱石あるいは石炭専用船各一年、こういうことに限定されたわけであります。そこで運輸当局が五年の留保を要請したそのおもな理由、これは結局海運企業基盤確立、いわゆる二法案が五年後にこの確立目標としたこれに関連したものと思うのであります。五年の留保を要請した理由についてひとつ大臣の御所見を伺っておきたい。
  9. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 いまの御趣旨のように、海運法律による海運再建整備は五年間に何とか解決いたしたいと考えておるのでございまして、OECD加盟することによってその整備計画支障を生ずるようなことがあってはいかぬというあなたの御趣旨趣旨に従いまして、私どもとしては、やはり長期用船契約等について、OECD加盟によりまして日本に課せられる義務をやはり五年間がいいという考えで主張いたしたのでございますが、四囲の情勢上、御趣旨のようにタンカーについては二年、鉱石専用船については一年ということに相なりましたので、これに対処すべく、二年間にタンカー、一年間に鉱石船はなるべく外国用船用船を申し出る余地なからしむるように早急に財政金融措置によってこれを防いでいこうという趣旨で、本三十九年度の予算においても御承知のように二百四十七億円という多額の財政投融資を計上しております。またそれ以上の金も必要によれば開発銀行から融資し得るような状態に置いてあるので、そういう再建五ヵ年計画支障のないようにいたしたいと考えております。
  10. 内海清

    内海(清)委員 私がお尋ねしたのは、運輸当局が五年の留保期間を要請したその理由をお尋ねしたので、いま大臣の御答弁はそれに対する対策等も含んでおったようでありますが、私はその理由一つとしては、さっき申しましたような、二法律が五年以内に海運企業自立体制確立する、こういう目標と、今回の石油タンカー二年と鉄鉱石石炭専用船一年ということがきまった場合に、そこにそごができる、こういうことが一つあったと思う。そのほかにもまだ理由があると思うのですが、まず、なぜ五年の留保期間を強く要請したかというその理由について、もう少し詳細にお聞きしだい。
  11. 澤雄次

    澤政府委員 お答え申し上げます。海運用船につきまして五年の留保期間運輸省として主張いたしましたのは、これだけの助成をしていただきましたが、なお外国船会社と比べまして、タンカー鉱石船等におきまして、その競争力において、あるいはそのコストにおきまして若干差があるということで、五年の留保をお願いしたわけでございます。これはいろいろな助成をやっていただいたのでございますが、外国船会社は、いわゆる自己資金と申しますか、銀行から借りない、自分の利益から出す金、あるいは社内留保金等、いわゆる金利のかからない金を大量に投下しますので、運航コストが非常に安い。それに対抗いたしますために五年間の留保は必要であると考えた次第でございます。
  12. 内海清

    内海(清)委員 私はそれも一つの大きな理由と思うし、いま一つは、私の考えるところでは、御承知のように、工業の原料というものは、わが国は大部分輸入しておる、海上輸送である。ところが、そのためのわが国商船隊がなお不十分な点も含まれておるのではないかと思うが、その点はいかがです。なお、貿易外収支の問題、この問題も、私はそういうことも五年の留保を要請された一つの大きな理由ではないかというふうなことも考えるのでありますが、これらの点はいかがですか。
  13. 澤雄次

    澤政府委員 内海先生のおっしゃったとおりでございまして、貿易外収支海運が毎年出しております赤字は、IMFの計算方法によりまして大体三億ドルから四億ドルの赤字を毎年計上いたしております。それで少しでもこの赤字を少なくするためには、日本商船隊を大量にこのようなタンカー鉄鉱石石炭輸送に投入する必要があるということが、その理由一つでございます。先生のおっしゃるとおりでございます。
  14. 内海清

    内海(清)委員 私は大体そういうふうな三つに集約されると思うのですが、そういうふうな理由でこの五年間という留保期間を強力に要請した。ところが、これがいれられなかったのですが、大体OECDがこれをいれなかった理由というものはどういうところにあったか。これをひとつ詳しくお話し願いたい。
  15. 澤雄次

    澤政府委員 OECDの中には、御承知のように自由化条項というものがございまして、海運につきましては、いわゆる海運の自由を制限するような一切の政府の行政的な干渉を行なってはならないという条項がございます。それに違反するということで、先方はOECD理事会で強力に反対したわけでございます。ただ、それを二年、一年ということで、政治的な妥協としてそこに結着したのでございます。
  16. 内海清

    内海(清)委員 海運自由の原則ということを、こういう場合に主張されるのは当然であると思う。理由はそれだけですか。なお、この海運の自由の原則にいたしましても、たとえばOECD加盟しておりまして、アメリカのごときはいろいろそこに問題があるわけでありますが、そういうふうなことに対する関連といいますか、見解はいかがでしょうか。
  17. 澤雄次

    澤政府委員 これから先になりますと外務省政府委員がお答えしたほうが適当かもしれませんが、 アメリカは、御指摘のように、この海運自由化条項全部を留保してOECD加盟いたしております。しかし日本あとからこのOECD加盟したということこで、この自由化条項のうちの一部の留保が認められなかったわけでございます。
  18. 内海清

    内海(清)委員 これはいろいろ理由がありましょうが、しかしわが国あとから加盟するからその留保が認められなかった、ところがわが国状態からいえば、この海運法律をせっかくつくって、これから海運企業基盤強化確立をやろうというときに、それがようやく緒につきかけた時分に、すでにそれに対して、その目標を失わしめるようなこのOECD加盟ということ、これについては特に海運行政をあずかっておられまする運輸省としては、これは非常な決意であったと思うのですけれども、これがいれられなかったということで、唯々として受けたわけではございませんでしょうけれども、五年という留保期間が二年ないし一年に押えられたということについては、これはどうも私ども——これはもちろん運輸省関係のみで申し上げることはどうかと思うが、わが国外交がいかに弱いかというふうな感じを私は受ける。どうしてもそれで受けざるを得なかったという、ここにはっきりした、もう少し納得のいくような理由があるならば、お話しいただきたい。
  19. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 内海さんのお話、しごくごもっともでございますが、根本問題として内海さんのお説を進めてまいりますと、結局OECD加盟することが日本国家のためにいいか悪いかという議論になると思います。留保条項を譲歩してもOECD加盟することが、日本国家全体の経済のために、また国際外交のためにいいということを政府は判断いたしまして、運輸省といたしましては、忍びがたきを忍んで国策に協力いたしたという次第でございます。  それでは、しからば何ゆえにOECD加盟することが必要であるかということは、いろいろなこまごました理由がたくさんございますが、根本的に申しますと、OECD加盟の諸国はトップレベル会談をやりまして、世界情勢に関する各種の情報を持ち寄りまして、あらかじめ大きな政策問題について意思の疎通をはかる場をOECD加盟することによって持ち得るのであります。たとえば、アメリカが今度ドル防衛のために平衡税をやるというようなことについても、やはりOECDトップレベル会談におきまして、アメリカ側はつとに主張しておったやに聞くのでございます。そういう情報を得て、そういうことが早くわかれば、それに対処するわれわれの考え方もきめられる。OECD加盟しなければ、そういうような重要な問題についても、国際的につんぼさじきに置かれるということは、今後の日本外交の上において非常にマイナスである。海運の問題について、それをこじらせてOECD加盟ができぬというようなことに相なるならば、日本の今後の国際的発展、さらにひいては開放経済に対処する上において非常なマイナスがあるから、ここは忍んで、とにかくOECD加盟することが国家のために必要なりという政府方針に従って、私も遺憾ながらこの猶予期間の問題について、政府方針に従ったような次第でございまして、一番大事なことはOECD加盟することによって、その委員会の、世界経済財政に関する一般論議の場所に、日本も加わるというこの利益は非常に大きなものであると評価いたした結果であろうと考えます。したがって、その会議は、伝うるところによりますと、通訳も入れない、トップレベルの人だけで始終会議をやっておるやに聞いておるのでございまして、それに入ることが一番必要であるという観点からだろうと考えて、私どもはそれに同意したような次第でございます。
  20. 内海清

    内海(清)委員 私はOECD加盟するのが悪いというのではない。もちろん外交の問題でございまして相手があることですから、日本の思う時期に加盟できないというようなこともあるでしよう。しかし私どもが仄聞しておるところによりますと、この問題については、運輸当局も非常な反対をしたということであり、さらに各省におきましても、かなり問題があったということでありますけれども、大体外務省の意向で押し切られたというようなことも仄聞いたしておるのであります。この二年、一年ということで運輸当局の納得いたしました理由というものは、結局いま大臣の話されたような全体的な立場から見て引っ込まざるを得なかったということかと思いますが、その辺についてもう少し、二年、一年で引き下がらざるを得なかったということに対する具体的なと申しますか、はっきり納得するような理由がありましたら、ひとつお話し願いたいと思います。
  21. 澤雄次

    澤政府委員 このとき五年を最後までがんばっておりましたら、当時のOECD理事会では日本加盟がどうしても認められないで、その時期をはずしますと、また非常におくれるかもしれない、こういう日本政府全体の判断でございまして、外務省もいろいろ強力に交渉してくれまして、二年、一年で向こうも妥協するということになりました次第でございますが、運輸省といたしましても、五年の要求が二年、一年に下げられましたために、総合的にもう一度海運の特に新造船助成強化について考えてもらいたいということを念を押しまして承諾をいたしました次第でございます。
  22. 内海清

    内海(清)委員 先ほど来の質問で、OECDが五年の留保を受け入れなかった理由として、大体海運の自由ということが向こう理由であるということでありますが、その他私どもいろいろ調べてみれば、OECDがこれを受け入れなかった理由として考えられる面もありますけれども、ほかには運輸当局としては、理由として見ておられるようなものはございませんか。
  23. 澤雄次

    澤政府委員 OECD理事会で強力に申しておりましたのは、自由化条項に違反するからこの留保は認められない、そういうことでございました。
  24. 内海清

    内海(清)委員 そうすると、それ以外は理由がないということですね。いま海運に関する留保については、アメリカが一番大きいもので、海運自由の原則さえ留保しておくというような形だと思いますが、その他の国では留保されているような国がありますか。
  25. 澤雄次

    澤政府委員 移民船などにつきまして、自国移民自国移民船で運ぶという留保をしておる国があります。それからこれは特に留保ではございませんで、国内法で、たとえば石油なら石油のうち何十%は自国船に確保するというような法律のある国もございます。しかしこれは実際上そういう法律を実施せずに、大体八〇%というような輸送を行なっておる模様でございます。
  26. 内海清

    内海(清)委員 それでは次に進みまして、私そのところが十分理解しにくい面もありますが、一応いずれにしてもこれはOECD加盟するということが決定いたしておるわけであります。したがってせっかく海運法律ができまして、これが緒につこうといたしておりますときにこういう事態が出てきた。しかも海運法律を制定いたしますときには、大体五年の留保期間があるものとしての考え方だと思うのであります。それをその後においてこういう事態が起きたのでありますから、海運法律のみではなかなか海運事業基盤強化ということが困難じゃないか。そうすれば当然政府としてはそれを補うものを考えられなければならぬということであります。その点についてひとつ具体的にお話し願いたいと思います。
  27. 澤雄次

    澤政府委員 御説明申し上げます。このOECD加盟いたしまして、用船期間が二年、一年に制限されましたので、運輸省では直ちに海運造船合理化審議会を開きまして、小林中さんに副会長になっていただきまして、いろいろ対策を練りまして、その対策の結果各省と打ち合わせをいたしまして、今後の新造船につきまして、このタンカー鉱石船石炭につきましては従来の財政融資比率を七割から八割に上げるということを決定いたしました。それから返済期開発銀行の金は三年の据え置きがございますが、四年目、五年目に市中の返済返済がダブりまして、このところが一番海運業者が苦しいときでございますので、そのときにつきましては開発銀行返済額を、約定どおりでなくで、約半額程度返済でいいということにいたした次第でございます。  それから計画造船につきましても、先ほど大臣が御説明申し上げましたように、財政資金の許す限り、足らなくなれば幾らでも——幾らでもと申しますとあれでございますが、足らなくなれば財政資金の追加を認めようということを大蔵省と約束をいたしました。  また、従来財政資金はその年度年度できめておりましたが、いわゆる来年度船台につきましても、それが確実なものであれば、本年度じゅう開発銀行から融資予約をするという予約制度確立した次第でございます。  また、経済団体連合会のほうが中心になりまして、何とかして日本船を使おうという運動を強力に推進していただきまして、経団連の海運部会で、日本船を使うための条件につきまして船会社のほうと種々懇談された次第でございます。  これらの措置を通じまして、苦しくはございますが、日本海運界は何とかして大量に新造船をつくっていくことができるようになると確信いたしております。
  28. 内海清

    内海(清)委員 海運造船合理化審議会に御諮問になって、いろいろそういう案ができておるようでありますが、これが強力に実施されれば、今日までの二法律ではOECD加盟によって足らざるところができる、それを補うことができるのではないかということであると思うのございます。このことは今後きわめて強力に実施していかなければならぬ問題だと思うのです。いろいろいまあげられました問題がありますが、いまあげられましたもののほかで私の特に考えるのは、三年ないし四年という長期建造計画の船主にこれを認めるということ、これは非常に重要なことだと思う。いままであげられました問題はもちろんであります。そのほかに特にこういうことが必要であると私は考えますが、それらの点につきましていかがでございますか。
  29. 澤雄次

    澤政府委員 内海先生のおっしゃるとおりでございまして、長期にわたりまして船台を確保し、そして同じような型を数はいまとめて設計、発注いたしますと、非常に船価も安くなってまいるわけでございます。われわれとしてもその線に沿いまして財政当局といろいろ折衝いたしておりますが、このOECD加盟に際しまして大蔵省了解のつきましたことは、先ほど御説明申し上げましたように、来年度船台につきまして今会計年度じゅう融資予約をするということまで了解がついた次第でございます。これも長期建造計画への第一歩であると思っております。
  30. 内海清

    内海(清)委員 長期建造計画はまだ最終的な結論にいっておらぬようですが、このことは私は特にOECD加盟ということを考えましたときに、きわめて重要だと思う。とかく輸出船と国内船とが問題になりますが、これの大きな原因は、一つはここにある。もし国内船においてこれを認めるならば、今日までいろいろ国内船と輸出船の問題で論議された点が十分解決ができる、かように思うのでございまして、これらの点につきましては、ひとつ今後運輸当局としては十分実現するように御努力願いたい、かように思うのでございます。これはいずれ近いうちに解決のめどがありますか、どうですか。
  31. 澤雄次

    澤政府委員 これは財政法及び関係法規の改正とも関連いたしますし、近く解決のめどがあるかと言われましても、ちょっとお答え申し上げかねますが、われわれとしては懸命にこの達成に努力いたしたいと思っております。
  32. 内海清

    内海(清)委員 なかなか十分解決のメドがつかぬということでありますけれども、この点は強力に進めて早急に解決していただきたい。このことはきわめて重要なことだと思うのであります。その他、このOECD加盟によって、海運の方面で足らざるものは、あるいは法的に何か措置せねばならぬというふうな問題をお考えになっておるかどうか、その点をひとつお伺いしておきます。
  33. 澤雄次

    澤政府委員 ただいまのところ、法的に改正することは考えておりません。この財政措置によりまして、できる限り大量に船を建造いたしまして、タンカー鉄鉱石石炭輸送のために投入いたしたいと考えております。
  34. 内海清

    内海(清)委員 このことはくどいようでありますけれどもわが国の船隊の整備計画の拡充という点から考えまして、これはきわめて大事なことなのです。船隊の整備確立ということから考えますと、きわめて重要なことであります。これはわが国海運の積み取り比率を向上させる、さらに、三国間輸送を拡大して、貿易外収支の改善をはかる、この終局の目的に到達いたしますには欠くべからざることだと私は考えておるのであります。邦船の積み取り比率は御承知のように依然として低いのであります。三十七年度の支払い超過率はIMF方式で三億六千万ドル、こういうふうになっておるはずであります。所得倍増計画では、四十五年度には外航船腹が千三百二十五万トンというふうなことをいわれておるのであります。これは積み取り比率を輸出が六三・六%、輸入が一般貨物が六〇%台、油類が六五%、こういうことが基準におかれて考えられておるのでありますが、それによって国際収支をよくしていこうというのでありますが、これを戦前のように、やはり黒字に持ち込むという場合には、どうしても、よほど政府におきましてこういう面についての船隊の整備という問題が確立されてこなければどうにもならぬと思うのです。ところが、これはいまのところ、OECD加盟によって計画倒れになるおそれがあるのではないかという杞憂をいたすのであります。そういう点につきまして、ひとつ今後格段の御努力が願いたいと強く要望いたしておきます。なおこの問題につきましては、いろいろな問題が考えられます。OECD加盟につきましては、いずれまた時を得まして御質問を申し上げたいと思います。  それから、これはすでにこの間久保委員からお話しございましたので、私はこの問題につきましては、運輸当局として十分お考えいただきたいという、むしろ要望でありますが、いわゆる輸出所得の控除の問題であります。これはいま二十九年三月末で一応廃止されることに相なっております。この問題は、この間もお話しございましたように、船舶あるいは鉄鋼、車両あるいは重電機、それから機械類というふうなもので、非常に大きいものであります。もちろん、こういう輸出のものにつきましては、これが廃止されるということは十分業者間においても承知しております。したがって、これに対処して受注価格に対する十分なる配慮は行なってきたようではありますけれども、これが廃止されるからといって、一度になかなか商売というものはそうまいりません。そこで非常な問題が生まれてまいっておると思うのでありますが、これにつきましても、特に船舶、それから鉄道車両につきましては、建造は運輸であり、輸出はすべて通産でありますけれども、運輸におきましても、特に大臣におきまして閣議等で強力な発言を願って、いわゆる経過措置としての何かの方法をこの際強力に講じてもらわなければならぬのではないか、かように考えておるのであります。その点につきましての大臣の御所見をお伺いいたします。
  35. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 去日の本委員会における久保委員の発言に従いまして、それを強力に申すつもりでございます。いま事務当局、ことに通産省において大蔵省と折衝いたしておるやに聞いておりまして、私のほうとしてもそのことについて折衝いたしております。強力に久保委員並びにあなたの御趣旨に従いましてやるつもりでございます。
  36. 川野芳滿

    川野委員長 久保三郎君。
  37. 久保三郎

    ○久保委員 時間も制限されていますから、簡単に一点だけ運輸大臣にお尋ねしたいのですが、海運の集約合併というか、これはまさに海運界にとれば世紀の事業である。という意味は、大体海運経営者は、今日まで長年やっておられて、その功績はまあまあ多とするものもあるかもしれないが、結果としては、残念ながら自力において日本海運の体質改善なり構造改善というのはできない。そこで、昨年の本国会において海運再建の二法律が出た。これに基づいて、好むと好まざるとにかかわらず、今日海運界は六つのグループに集約されようといたしております。そこで、この是非については、あらためてまた論議をしなければならぬと思うのでありますが、この過程においてわれわれは心配のことが一つあるのです。というのは、私の持論を先に申し上げますと、先ほど申し上げたように、いままでの経営者は、この際経営の形態も違うし、過去におけるところの経営に対する責任、こういうことからいっても総退陣をするほうがよろしいかとも考えられる。もちろん全部とはいわなくても、それくらいの気がまえがなければ、残念ながら六つのグループに集約されても、海運界自体の自主的判断に基づくところの日本海運界の興隆はあり得ないだろう、こういうふうにさえ私は考えています。しかしながら、そのわれわれが言うことに基づいて退陣する場合でも、いわゆる過去におけるところの会社の重役という観念から退職されるのでは、何らの責任をとったというふうには考えておらない。具体的に申しますならば、私が調査した一つの会社の問題であります。あえて名前は公表いたしません、合併途上でありますから。昨年本国会において二つの法案が通って、いわゆる集約合併が既定の事実になってしまった直後において、たしか五月ある会社の社長と副社長は辞職いたしました。これは責任をとってやめたのかどうかわかりませんが、この会社の二人の首脳はやめた。やめて九月の決算期において決算の書類を見ますると、役員退職金、慰労金として、この二人の重役は合わせて約五千二百万ほど退職金をもらっておるのです。調べますと、大体社長は当初内規によりまして四千六百万円、副社長はこれに準じて三千万ほど、合わせて七千万ほど、約八千万近くも退職金をもらうことになったそうでありますが、運輸省においてこれがチェックされまして、それで運輸省の内面指導というのでありますか、海運局の内面指導によって、社長は三千万円、副社長が二千二百万円でがまんしろということになったそうであります。なるほど内規によりまして、長年つとめた社長、副社長でありますから、退職金をその計算によってもらうことは一つの権利かもわかりません。ところが、この会社がどういう形態にあるかというと、ある会社に吸収合併され、しかも三割二分のいわゆる原資、そういう原資によって吸収合併される。この会社はもちろんそういう会社でありますから、経営実態は毎期赤字決算であります。多額の負債もしょっている。しかも過去において、いわゆる国税、国の税金からこの会社は利子補給として約四億八千万余りの金を受け取っておる。三国間輸送でこれは四千八百万、約五千万、合わせて約五億三千万の政府出資金を受け取っておるのであります。なるほどこれも一つの方法であります。しかも計画造船によるところの建造隻数は十二隻であります。十九万トン、約二十万トン近くの船をつくっておる。そういう会社が今回この二法によりまして集約合併されるのでありますが、この際考えてもらいたいのは、正当な報酬として慰労金を取ることも、これも一つの筋でありましょう。しかし経営に対する責任と国民に対する責任を考えたならば、経営者は少なくとも総ざんげ、一銭ももらわぬで退陣するのが当然ではなかろうかと思うのです。ところが、規定があるからというので満配に退職金だけはもらう、運輸省がわずかに抵抗して額は減らしたというが、世間から見ればこれは多額の金であります。これではたして集約合併を国民が納得するかどうか。われわれ自身は、かかる無能な、しかも退職金取りの社長や副社長のために国会でこの法案を通したとは思えない。運輸大臣はこれに対してどう考えておりますか。
  38. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 私もその話を聞いて非常に遺憾に存じます。海運再建整備委員会におきましても、過去の経営について、現在の当事者はあまりにも無責任ではないかというような趣旨のことも申しまして、そうして反省を求めておるのでございますが、お話のような実態が起こりましたことは、私は非常に遺憾に思っておりますが、これは株主がきめるのでございまして、われわれがいかに指導する——ゼロに査定するといいますか、それはなかなか困難でございまして、事務当局といたしましても、各種のたとえばやはり国家の多額な援助を受ける石炭業に対する重役の退職金その他を考えまして、内規による四千万円近い退職金は多過ぎる、副社長も同様ということで、各種の先例等に照らしまして、そういうような処置をして、私は株主総会で必ずやそういうことは承認されないだろうと思ったら、承認されたようなことになりまして、まことに遺憾でございますが、現実の問題では以上申し上げたとおりで、あなたの御指摘のとおりでございまして、ほんとうに財界人の良心を私は疑っておるような次第でございます。
  39. 久保三郎

    ○久保委員 あなたはいまのお話だとやむを得ない、是認しょうということでありますが、われわれは絶対に是認できない。なるほど株主総会において承認されたから法的にはそうかもしれないが、運輸省は何のために監督しておるのですか。集約合併条件に入れなさい。集約合併条件にこういうものをやっちゃいかぬという一条項を入れなさい。それが当然ですよ。それがなくして、やむを得ないというだけでは、それじゃいままでやってきたことは何になるのですか。あれから続々、いわゆる合併会社ができて、重役の退陣もあったでしょう。軒並みにこれがやられた場合に、あなたをはじめ国会が努力したかいがどこに残りますか。これは断じていけない。集約合併の条件に入れていただきたい。そうでなければ、われわれは問題をもっと発展させます。いかがですか。
  40. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 よく考えて善処いたします。
  41. 久保三郎

    ○久保委員 いずれにいたしましても、経営者の社会的道義というか、責任というものがおありでしょう。こういう社会的なささやかな道義さえ守れない者が今日までの海運界を支配していることについて、私はあらためてあなたにも警告しなければならぬ。そういう者のめんどうは一切見る必要はないとわれわれは思う。海運局も局長はおられぬが、こういうことは事前におわかりだと思う。なぜ問題として運輸大臣にこれはお話ししないか。あまりにも形式的に問題を処理し過ぎる。だから、いままでの財務基準のチェックにいたしましても、何をチェックしていたかわからぬと私は思うのです。どうでしょう、だいぶことばが過ぎたかもわからぬけれども……。
  42. 澤雄次

    澤政府委員 この退職金につきましては、先ほど久保先生のお話の四千何百万円というのは、最初は社長が会社の内規で五千八百万円、副社長が三千五百万円を持ってまいったわけでございます。これに対しまして当時海運局では、他の公共事業、たとえば公団などを調べましたら、公団の理事が大体一年間に百二十万円でございます。それから国家から助成を受けております石炭業などを調べまして、特に三井、これは名前はあれですが、非常に悪い鉱山の場合について調べたのでございますが、大体常務クラスで一年につき月給八ヶ月分という退職内規になっております。これは八ヵ月分と申しますと、一年間の退職金が百四十万円ぐらいでございます。それで、これらを勘案いたしまして、久保先生の言われましたこの会社の場合は、これは役員として二十二年この会社におった方でございます。そういたしますと、一年につきまして大体百万円程度の退職金が妥当であろうということで、五千八百万円のその会社内規のものを三千万円、また副社長は二千二百万円にチィックいたしました次第でございます。
  43. 久保三郎

    ○久保委員 それが社会常織ですか。海運界が今日の姿になって、自力じゃできないことをあなたらがやり、あるいは金融機関が中心になって合併された。自主性はどこにもない。経営者としてはもう無能なんです。無能な者が何年やろうともこれはやはり無能なんですね。しかも政府の資金、国家資金は多額に使っている。そういう会社の重役、経営者が正当な退職金を受け取る権利があると思いますか。いかがですか。
  44. 澤雄次

    澤政府委員 久保先生の御説ごもっともでございますが、全然退職金をやらないというのもどうかと思われる次第でございます。それで、われわれもいろいろそういう他の例を調べまして、そうして三千万円程度、それから二千二百万円なら、他の例から見ましても妥当なところであろうと思いまして、承認いたしました次第でございます。
  45. 久保三郎

    ○久保委員 全然退職金をやらないのもどうかと思うと言うが、これは何もなかったときの話であります。たとえばあなたも役人でありますが、自分の判断や自分の力が足りなくても間違いを起こした場合には、あなたは運輸大臣から懲戒免職されるでしょう。失礼な話ですが、懲戒免職で退職金をもらえますか。まさに、海運界経営者は言うなれば懲戒免職ですよ。言うなれば国民の金で退職金を持っていく、これでいいですか。運輸大臣、どうですか。
  46. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 全く御趣旨ごもっともで、私は非常に遺憾に考えております。私はただいま申しましたように、今後諸種の事情を勘案しまして善処いたしたいと考えております。
  47. 久保三郎

    ○久保委員 善処したいというお話でありますが、私はまだ一件しか聞いておりませんから、一つの会社きりで、あとの会社も続々出るだろうと思うので、緊急にあなたの考えをお聞きしたわけです。私は、退職金をもらってやめるような海運経営者は今日絶対にない、こういうふうに思うので、そのとおり善処されたいと思うのです。  時間もありませんから、いずれまたあらためてお聞きしますが、以上にします。      ————◇—————
  48. 川野芳滿

    川野委員長 日本鉄道建設公団法案を議題として、審議を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します泊谷裕夫君。
  49. 泊谷裕夫

    泊谷委員 私は、皆さん十分御承知のとおり、新しい議員で、十分まだ勉強をしておりませんので、きょうのお尋ねも幼稚で、また重複するところが数多く出るのではないかと思いますが、よろしく御指導いただきたいと思います。  それで、まず御説明をいただきたいと思いますものは、日本の文化向上、あるいは地域差解消のために、鉄道網の整備を急ぐための討議をこれから始めるわけでありますが、そのためには、どうしても国全体の交通政策全般について、特に陸海空の輸送分野における交通政策について、運輸当局の具体的な方策をお知らせいただきたいと思うのであります。  まず最初に、ただいまの件について、運輸大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  50. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 陸海空の交通のあり方につきましては、その輸送量に対する比重を考えて、おのおの具体策を立てていくべきであると考えております。
  51. 泊谷裕夫

    泊谷委員 根本的な方策についてお尋ねを申し上げたつもりでありますが、一歩譲りまして、当面する問題として、道路政策と鉄道網の関連について大臣はどういうふうにお考えになっておるか、御答弁をいただきたいと思います。
  52. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 日本のような地理の、いわゆるまん中に山脈が一本ありまして、そうしてその中心にあるところにおきましては、どうしてもやはり鉄道によらなければ物資並びに旅客の運輸に対処できないと考えておりまして、並行線につきましては、自動車道路の必要もありましょうが、全体を考えまして、また現在の日本の物資の交流状態を見まして、どうしても鉄道に対する比重が重くて、鉄道による輸送に重点を置かざるを得ないと考えております。また道路は、建設費にも相当今日におきましてはかかるが、その後の保守、修理等の費用を考えますと、日本の現在の状態におきましては、今後十年間もしくはもう少し長い間は鉄道による運輸が一番いいと考えております。
  53. 泊谷裕夫

    泊谷委員 一番先にお尋ねしたのは、昨年の運輸委員会の議事録を拝見しますと、大臣並びに政府委員から出される断片的な構想についての方策はお持ちのようでありますけれども、体系づけたものが具体的に示されておりません。一例を取り上げてみますと、いまの道路と鉄道の問題でありまけれども大臣は、昨年六月二十四日の運輸委員会で、いまお話のありましたように、豪雪対策その他を勘案し、鉄道建設審議会の建議があった後に検討を加えた結果、日本の地理的状況その他を勘案して、今後の物資輸送は鉄道に比重がかかる、こういうふうに説明をされておりますし、大蔵大臣は、日本の地形、地勢上、また気候の制約がある特殊事情を考えると、何年かたったならば道路より鉄道のほうが安くつく、高速道路はキロ当たり十一億、鉄道単価一億二千万ないし二億、国家的なより広い立場で鉄道の功罪を考えると、やはり鉄道によらざるを得ない、こういうふうに述べておるのです。ところが、いま政府が大きな柱にしております所得倍増計画の中にあります交通体系小委員会報告書を見ますと、「ローカル線については特殊な線区を除いて今後の建設はすべて中止し、現在の線路も国民経済的に非合理的なものは撤去して自動車に委ねるべきである。また一般に新規投資については、充分に採算性を検討し累を将来に残さないように注意すべきである。」と主張しております。一体国の交通政策のあり方、特に先ほど指摘いたしました陸海空の輸送分野について、もうそろそろまとまった具体的な方策が示されてしかるべきだと思うのでありますが、再度大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  54. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 お説のとおりでございますが、私らは、現在におきまして荷物はどうしても鉄道によるのがいいと考えております。旅客、それから一定のきまった場所からきまった場所へやるのには、船輸送もいいと思います。人間は、だんだん航空による輸送がよくなるような気がいたしまして、私も航空事業についても力を入れておりますが、しかし所得倍増計画その他による物資の輸送につきましては、何と申しましても鉄道による比重が一番現在のところは多いし、またここ何年間の間は鉄道によらざるを得ぬと考えて、鉄道の新規開発をいたさんとするものであります。
  55. 泊谷裕夫

    泊谷委員 初めてのせいか、どうも大臣の御答弁がしっくりしないのですけれども、いまの政府、そうして与党が大きく掲げました所得倍増の筋は、新線開発をやめなさいということです。採算が合わないからやめなさいと主張しておるのです。大臣並びに大蔵大臣が運輸委員会を通して説明することについては、地域差解消のためにこれを強く推し進める、この根本的な問題について、もう少し歯切れよく御説明いただけないものかと思いますので、恐縮ですが、もう一度お願いしたいと思います。
  56. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 政府の基本的方針について、大臣からただいま御答弁いたしましたが、私、若干補足をいたしますと、政府交通政策に対する基本的な考え方でございますが、今後日本経済の健全な発展、国民生活の向上をはかるために、やはり長期的な視野に立ちまして、将来の日本経済に即応した合理的な交通網を整備するということが、終局において必要だと考えておりますが、このために日本経済の成長に伴って増大する将来の輸送需要というものを一応頭に置きながら、ただいま先生質問のございましたような、海、陸、空の輸送の配分、効率的な交通投資の配分、あるいは合理的な運賃体系、こういう基本的な交通政策を樹立してまいりたいというふうに考えております。このためには所得倍増計画の一応十ヵ年先の見通しというものがございますので、こういったものを頭に置きながら、いま申し上げましたような交通投資の配分、あるいは合理的な運賃体系というものを考えてまいりたいというふうに考えております。所得倍増計画によりますと、数字は省略いたしますが、国内の貨物輸送あるいは国内の旅客輸送、いずれにおきましても、ただいま御指摘がございましたような、たとえば国内輸送のトラックというようなものは、比率は、非常にシェアはふえてまいりますが、先ほど大臣が申し上げましたように、絶対量から申しますと、やはり国鉄の貨物輸送というものが根幹になるということは疑いのない点でございます。また旅客輸送につきましても、倍率から申しますと、たとえば航空機であるとか、あるいは乗用車あるいはバスというものはかなり伸びまして、シェアもだいぶ違ってまいりますが、やはり絶対量からいいますと、国鉄の国内の旅客輸送における比重というものは大きいのであります。そういった観点から海、陸、空の総合的な交通政策を頭に置きながら、国鉄輸送力というものをつけてまいりたいというふうに考えております。  なお、鉄道の新線建設と所得倍増計画関係でございますが、ローカル線等の建設を原則として中止するというようなことが、所得倍増計画経済審議会の答申に述べられておりますが、一カ所得倍増計画では、国民経済の体質を改善いたしまして、均衡のある発展を実現するためには、後進地域の開発を促進し、所得の地域格差を是正すべきことが指摘されております。これを受けまして、三十七年の十月全国総合開発計画が策定されまして、主要幹線の複線化、電化、東海道新幹線の完成とともに特に既成大集積地帯、及び大規模な地方開発、都市を中心とする地方内の鉄道施設の整備拡充、工業開発地区を育成するための臨海鉄道を含む貨物輸送施設の増強整備及び青函、本州四国間の海峡連絡鉄道の敷設、輸送力の増強と施設の近代化等輸送効率の増進をはかることが必要であるというふうに述べられております。私どもはそういった観点から、所得倍増計画と地方開発を企図いたします新線建設を推進してまいるということは決して矛盾をしておらないというふうに考えておる次第でございます。
  57. 泊谷裕夫

    泊谷委員 所得倍増計画の総合的交通体系の中で、いま説明のありましたようなことではなしに、国鉄そのものについて答申がなされています。これをそのまま読み上げてみますと、「国鉄の新規投資のうちに、経営収支上採算のとれないローカル線建設」と固有名詞を使って指摘しておるのですが、「ローカル線建設がある。これは国民経済上他交通機関と比較して鉄道を有利とするものを選定する考慮が払われているにも拘らず、実際には国鉄経営を圧迫する原因一つになっていると考えられる。したがって特殊な線区を除いて今後の建設はすべて中止すべきである。」こういうふうに主張しています。いまの御答弁とこの関係はいかがな関連を持つか。なおもしその後この考え方を修正されて、地域開発に鉄道網を整備するというのであれば、国鉄に対して往年議論になっておりました公共性と企業性の問題について、政府は公共性をこの際強く打ち出しても所得倍増計画を進めるための地域格差を解消する手段として鉄道網を整備する、こういうふうに受け取っていいかどうか。あらためて伺っておきたいと思います。
  58. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 いま先生が御指摘になりましたように、所得倍増計画でも、その節では、お読みになりましたように、そういうふうに書いてございますが、先ほど私が申しましたように、所得倍増計画はその後地域格差の是正あるいは後進地域の開発という点から若干この機会に再検討されるということで含みがございまして、それで三十七年の十月に全国総合開発計画が策定されたというわけでございまして、その間に一貫の脈絡があるわけでございます。それで全国総合開発計画の中では、私が先ほど申し上げましたように、地方開発のために必要な鉄道施設というものは今後増強してまいるということになるわけでございまして、決して矛盾はしておらない、一応脈絡は保っておるというふうに考えております。それで、しかし国鉄が従来から既設線の増強あるいは内容は電化あるいはディーゼル化、輸送力の増強ということに非常に追われておりまして、地域開発のための新線建設ということが積極的に推進し得ない状態にあるということでございますので、今回御提案を申し上げておりますような鉄道建設公団というようなものを設立いたしまして、一応責任体制を明確にして、国鉄は在来線の改良、整備増強ということに主とした眼目を置き、新しく設立されようといたします公団は、私がいま申し上げました後段のほうに重点を置きまして、主として地方の開発、地域格差の是正というほうに重点を置いてまいろうという考え方でございます。
  59. 泊谷裕夫

    泊谷委員 公団については後ほどお尋ねしたいと思います。前段でお尋ねしたのは、いま説明を聞きまして、関連を持ちながら所得倍増計画を修正したものでない、そういう説でも私はいいと思います。それにこだわることなくして、むしろ採算ベースの合わないところを国の経済を発展させるために必要だというその行為について、従来の企業性と公共性の問題について、この機会に政府は公共性も強く推し進めて——いまの場合国鉄を含めてです。そう理解してよいのかどうかということをお尋ねしているのです。もう一度御答弁をいただきたいと思います。
  60. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 的確な御答弁ができるかどうかわかりませんが、国鉄は従来公共性と企業性という一応両面で仕事をやっております。しかし目的はあくまで公共性を発揮するために企業能率を高めていくということが日本国有鉄道法にも書いてございまして、目的はあくまでやはり公共的な事業を遂行しまして、公共性を発揮する、そのためには企業的な経営をやっていこうということでございます。一見矛盾するように考えられますが、法律から申しますと、これはきわめてすっきりしたかっこうになっておるわけでございます。従来国鉄にはいろいろな公共的な負担はかけております。やはり名前の示すごとく公共企業体でございますが、ある程度の公共負担というものはやむを得ないと思いますが、国鉄経営も最近非常に苦しくなってきておりますので、私どもとしては、できれば公共的な負担は逐次減らしてまいりたい、あるいはこれ以上な負担はかけたくないということは考えておりますが、経営の許す範囲で、ある程度の公共的な負担というものは、従来もそうでございましたが、今後もある程度はやむを得ないというふうに考えております。
  61. 泊谷裕夫

    泊谷委員 運輸大臣にお尋ねをしたいのです。私は出てきたばかりで、現地の事情であまりこまいので恐縮でありますが、国鉄でほとんど主要な部分の機関車にたく石炭、これは国内の生産量でも相当なものであります。この仕入れ——大きな店で一人の者が七割程度のものを買うと、二百円のものが百五十円になるのが常識です。だが、いまその石炭はむしろ大きな工場地帯では国の保護策でトン当たり五百円の助成を受ける。多く仕入れた石炭が高くて、しかもその売り値は国会できめる。その採算が合わないところは、やはり公共性として国の施策で行なうのでありますから、助成をしていただかなければ、一生懸命四十七万近い人々が夜通し神経をすり減らして人さまの命を運ぶ、これに精魂を傾けて全国民の交通を一つの企業体、国有鉄道というところで持たなければならぬものであるのだろうか、私は常に疑問に思っておるのであります。国の交通政策、しかもきょう鶴見の問題でも取り上げられましたが、数多くの人々の命を奪った悲惨な事故でありますけれども、やはりこれでも大きく指摘されておりますが、国家的な立場からと指摘されております。後ほども議論のあるところと思いますが、この交通政策に対する、ことに国有鉄道に対する大臣考え方が、いま鉄監局長から説明のありましたように、公共性を保ちながら企業性を生かすというような話でなくして、どうしてこれらの夜通し働いている人々に意欲を持たしていくか、これがここに指摘される国鉄職員のモラルだと思うのですが、これに対する意欲的な答弁をお願いしたいと思うのです。
  62. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 国鉄が、四十八万の従業員が必死になりまして国の輸送の責任を負っておることに対しましては、私どもとしては多大の敬意を表するものでありますが、そういう国鉄になるべく経営の負担をかけないようにして、すなわち公共性をある程度国でまかなうようにするという趣旨で、採算に合わぬような鉄道をもこの鉄道建設公団でやっていきまして、国鉄の企業性を幾らかでも強めるようにやっていきたいという趣旨で、この鉄道建設公団法案を考えた次第でございます。
  63. 泊谷裕夫

    泊谷委員 私の満足できる御答弁をいただけませんでしたが、次に移ってみたいと思います。  いまの大臣の話されたようなことで鉄道を位置づけて考えてみますと、言いかえますと、鉄道も公共的な見地から建設をするということでありますとすれば、三十九年度の予算を見ますと、新道路五ヵ年計画と新港湾整備五ヵ年計画が認められましたが、特に新道路計画大蔵省原案を五千億も上回ったのです。四兆一千億となりました。三十九年度分だけ見ましても、国費分二千七百六十五億円です。前年度対比で二二%も伸びておるのです。このことは好ましいことです。港湾整備の予算は三百三十七億円と、これまた二一%の伸びを示しております。国鉄関係だけ大蔵省第一次内示案どおり、実績的には何らの前進を示さない決定になったわけであります。これについて運輸大臣はどう処理されるつもりであるか、御意見を承りたいと思います。
  64. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 それは私も国鉄の要求する予算を十分に実現できるように努力いたしました。その結果、査定のうち五百億円を——一千百億円ほど削られたのですが、そのうち五百億円ばかりは、純然たる予算の増加ではありませんが、その建設、保守、保全をやるに必要な最小限度とも忍び得る限度におきまして、債務負担行為と補正予算でまかなっていって、今年はこれでやってもらいたい。根本問題につきまましは、国鉄のあり方につきまして、すべての点から考えまして、たとえば運賃体系をどうするか、たとえば収入増加の方途についてどういうふうにするかというようなことを今後検討してまいりまして、そして来年度におきましては、でき得る限りの、国鉄がその使命を達成するに必要な最小限度と申しますか、財政の許す最大限度の予算を確立するようにして、この使命を果たすようにいたしたいと考えております。
  65. 泊谷裕夫

    泊谷委員 大臣、くどいようで恐縮ですが、来年度と言われる具体的な内容はどんなものでしょうか。
  66. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 それは国鉄当局から来年度予算に要求してくることと考えております。私、直接国鉄経営に当たっておるのではありませんので、具体的にどういう費目でふやして、どういう費目でどうするということは、来年度予算の要求の際における国鉄当局のその使命を果たすための、一方でいえば最大、一方でいえば最小の要求額が必ず出てくると思います。それに期待いたしたいと思います。
  67. 泊谷裕夫

    泊谷委員 幼稚なお尋ねで恐縮ですが、先ほどお尋ねをしてまいりました道路、鉄道、港湾、これは陸海空全部ですね。空港の場合も今度御配慮があったようです。すべて地域差解消のために総動員してやるという。一面、道路整備のほうは主管官庁の要求を上回る査定が出て、陸送を担当する国鉄関係が第一次内示で切られたということになりますと、大臣がおっしゃられていることと実態とがあまりにもかけ離れているような印象を持つのですが、私の考えは間違いでしょうか。大臣の重ねての答弁をいただきたいと思います。
  68. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 いや間違ってはおりません。道路も非常におくれておるから、それに追いつくようにおそらくは予算をとったんだろうと思います。そして同時に、財源の確保といたしまして、目的税を起こしまして、その財政の基礎を道路においてはつくったからであると思います。
  69. 泊谷裕夫

    泊谷委員 大臣、大蔵大臣は去年六月二十四日の運輸委員会で、高速度道路をつくるのに十一億だ、鉄道のほうは一億二千万ないし二億だ、これによらざるを得ないと答弁している。もちろん道路はお金はちょうだいしないですから、全部国でやらなければならぬ。国有鉄道はたまたま料金を徴収しているといいながら、全体の利用——いま何をさておいても問題は東京都を中心にする都市の交通緩和でありましょう。そのための幹線工事が進められておるのでありましょう。これから新しい地域に鉄道を敷いて人を運ぶ、バスを通して人を運ぶという問題でなくて、直接的なものについていま手を染めなければならぬ。このことが一面にあるわけです。国民のためにということになれば、当然これに対して意欲的な姿勢が政府になければならぬと思うのですが、どうしてそれが出ないのか。その事情を私は知りたいと思います。ことばで言われることと実態とがあまりにも違うものですから、その点を何とかこの際知りたいと考えているわけです。重ねて答弁をいただきたいと思います。
  70. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 先ほど来申しますように、国鉄の新幹線をいたしたのも、あなたの御趣旨に沿うようなために新幹線に莫大な投資をいたしております。順次財政の許す範囲内において、あなたのおっしゃるような方向に持っていきたいと考えております。
  71. 泊谷裕夫

    泊谷委員 これは結局こういうことを申し上げて恐縮でありますが、新聞にたくさん出ております。一般的にいわれております政治性というものなんでしょうかね。道路の予算額は急に要求より上回って、運輸関係が第一次内示案でおさまったというのはそういうように理解してよろしゅうございますか。
  72. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 いまの御質問の御趣旨がちょっと了解しにくかったのですが、もう一度ひとつお願いします。
  73. 泊谷裕夫

    泊谷委員 じゃ、それはよろしいです。  次に移りたいと思いますが、問題の公団のことであります。  鉄道建設審議会は英知を傾けて、しかも長い時間かけて御相談いただきました。結果は一昨年の五月に、これはもうすでに十分私どもの先輩からお聞き及びのことと思うのですが、「産業基盤としての鉄道網の整備はややもすれば遅れ勝ちとなっている」——先ほど道路がおくれていると言うのですが、これは法律できめられた建議でもそう主張しておるのです。この文字は大臣もお読みになったと思うのですが、そうしますと、先ほどの答弁はどうもぴったりいたしません。しかし前に進むことにいたしまして、「就中鉄道新線の建設については、その傾向は甚しく、数年来の建設費の規模とその進捗状況を考察すれば、今後の国家経済の発展上真に寒心に耐えない」と資金確保を訴えております。さらに「鉄道新線の建設は一般国民に与える有形無形上の便益の増大と国家経済に与える効果の多大なるとに鑑み、国家的な政策上の見地から論ずべきであり、日本国有鉄道の企業的立場からのみこれを論ずべきでないことは明らかである。従って、この矛盾解決の方法としては、鉄道新線の建設を道路、港湾整備等と同様に政府の公共投資とする以外にないものと思料せられる。よって、今後の新線建設については、政府が公共事業として、その主たる財源を負担する」ことが適当と述べております。間違いないですね。新線建設十ヵ年計画の規模については、現在着工線となっておるもの一千八百億円、現在調査線となっておるもの七百五十億円、その他低開発、臨海工業地帯整備、新産業都市建設などに必要な新線二千四百五十億円、合計五千億円となっておりますが、これに当たる政府の具体的な処置をお聞かせいただきたいと思うのです。
  74. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 いまあなたがおっしゃいましたような趣旨にしたがいまして、日本鉄道建設公団を創設いたしまして、それに順次国家的投資をよけいするようにいたしまして、その目的を達成いたしたいと考えております。あなたのおっしゃることそれ自体がこの鉄道建設公団の必要なるゆえんであると考えております。
  75. 泊谷裕夫

    泊谷委員 大臣、新議員にわかるように御説明いただきたいのです。名前だけ、看板だけの話を私はしているのではなくて、具体的にお金のほうなんです。お金のほうについて、これは国鉄だけに背負わせてはいけない、国家的な見地では、一面では道路、港湾については五ヵ年計画を、しかも措置法を出して、具体的な青写真というものを指示しているのです。大臣の説明は先ほどから公団々々というお話がありますが、どうしてその公団に進めるようにしてもらえるのか、その点についてお尋ねをしておるのであります。新議員にわかるように克明に御説明いただきたいと思います。
  76. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 今年度、三十八年度におきましては政府出資が五億円になっておるのを、三十九年度にはこれを十億円にふやします。以降その独立の建設公団によりまして種々の金を集める方法を考えまして、そしてあなたの言う新線建設にいきたいと思っております。
  77. 泊谷裕夫

    泊谷委員 重ねて恐縮ですが、具体的にどうこのお金を調達するということを私どもにわかるようにお話しくださるわけにまいりませんか。
  78. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 来年度の財源その他を見通しまして、順次やっていくという以外にお答えのしょうがありません。全部を国鉄の新幹線に使えというのも無理だし、財政の許す範囲という以外には方法がないと思います。しかし趣旨はあなたのおっしゃるように、順次政府出資を多くしまして、そして最終的にはいま言ったような公益性といいますか、公共性を尊重する意味において国鉄の建設の予算をふやしていきたい、かように考えます。
  79. 泊谷裕夫

    泊谷委員 どうもこの国会というものは何べん尋ねてもその領域から出ないのでありましょうか。結果的には河野さんのやったほうはばさっと大蔵省よりも多く出て、綾部さんのほうは結果的に第一次で終わってしまう。そういうことで済むものなんでしょうか。政府が地域差を解消するということで、本家の国鉄が忙しいからそれにやらせようというならば、何年間でこれだけの仕事をして、これだけの資金計画を持って、そして精通した技術屋をこうそろえてこうやるという話し合いがなされないものでありましょうか。もう一度くどいようでありますが、大臣のお考えをただしたいと思います。
  80. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 たびたび申しますように、本年度、すなわち三十八年度におきまして、国鉄輸送増強の最も大きな力を入れておりますところのいわゆる東海道新幹線が完成いたします。これに要する資金は、すでに本年度の補正予算を加えまして約四千億です。それが楽になりますから、そこで私どもは三十九年度以降におきまして、鉄道建設公団のほうに振り向ける。国家財政投資が十分とまでにはいきませんが、私は相当額のなにがこれに回されまして、鉄道建設が順次いくものと考えております。
  81. 泊谷裕夫

    泊谷委員 五千億の予算が必要で、それも今後の経済変動でどうなるかわからないわけですね。いまの時点で一応一年目、二年目、三年目というものの具体的なものが提示されてしかるべきだと私は思うのですけれども、かりにことしは移行措置だけでこうだという説明をされるとするならば、来年度はこういう程度のものをやるということだけでも知らしてもらうわけにまいらないのですか。
  82. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 来年度はさっき申しましたように、本年度より政府出資五億円をふやして、そして財政投融資を五億ふやして、結局本年度よりもたくさんの金をこの新線建設に投ずるようにやっておるのであります。いま直ちに五ヵ年計画をこしらえて、そのめどもないのに机上プランを出すということもいかがかと思います。
  83. 久保三郎

    ○久保委員 ちょっと関連して。——先ほどの大臣の御答弁でありますが、東海道新幹線が来年というか三十九年度で完成するからたいへん軽くなる。だから新線建設のほうも公団のほうの出資も財投も十分とれるのだというお答えでありました。そのとおりですね。——これはたいへん違う話だと思うのですが、そういう余裕が出ますか。たとえば三十九年度国鉄予算全体を見ますと、先ほど泊谷君からお話があったように、一千億近いものが削られた経緯についてはお話がありました。それじゃ、あと残っているのは三十九年、四十年が第二次五ヵ年計画であります。本来なら、三十九年は四年目でありますから、計画の八〇%が標準でありますね。ところが、来年度の改良計画自体を見ましても、三十九年度の予算で参りますと、これは六〇%足らずです。そうでしょう。そうなりますと、あと四〇%は昭和四十年にできるかというと、私はいままでのやり方では残念ながらそれだけの資金手当ては不可能であろう、こう思うのです。既設線区のいわゆる改良——先ほどあなたがお答えになりました鶴見事故監査報告においての中身の重点は何と書いてありますか。もはや国鉄にまかせておけない、国鉄だけではできないのだ、国家的な政策でやれ、こういうことを指摘しているのではないですか。そうだとすれば、どれだけ池田内閣に財産がおありか知りませんが、新幹線がことしの予算は六百四十三億です。そうですね。これが来年は全然なくなるかというと、全然はなくなりけせん。百何十億は実際まだ残ります。そうでしょう。しかし六百何十億が軽くなるから、その分だけ新線建設に入るようなお話をしていると、誤解を招くことになると思う。あなたが実際そのとおりお約束できるかどうか、できるなら別です。それはできないと思います。だから泊谷君が聞いているのは、あなたの御答弁では、いろいろな方法によって金を集める工夫を考えるというのです。そうでしょう。その御答弁に対して泊谷君の質問は、どういうふうにしてお集めになるか、そのときになってから考える、これら考えましょうでは、公団をつくれば金が集まるという説明にはならぬのですね。公団をつくって金を集める工夫をしましようでは納得しない。われわれは、新線建設については、先ほどの対案の提案説明にも申し上げているように、新線建設の否定はいたしません。むしろ、もっと計画的に、われわれの対案は、十ヵ年計画できちんときめて、どの線区は何年後にはできる、何年にはどれができる、資金計画政府の責任でつくる、こういうわけです。ところが提案されたのは、まるっきりその大事な点は二つとも抜けているのです。これは余談でありますからやめますが、少なくとも、私がいまお答えいただきたいのは、新幹線が完成すれば、はたして新線建設にうんと金が集まるということはほんとうですか、いかがです。
  84. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 私は集まり得るものと確信いたしております。
  85. 久保三郎

    ○久保委員 確信すると言うが、いま私の考えから申し上げているわけです。私の考えというより、三十九年度国鉄全体の予算さえああいう始末で、第二次五ヵ年計画は残念ながら六割いくかいかぬかだ。あと残りは四十年一年間で四〇%仕上げなければならぬというのが、きようの監査報告一つの眼目でもありましよう。そう書いてありますよ。あなたはお受けになったでしょう。ところがこれの予算措置はできない。いまのままでいくなら不可能ですよ。だから、新幹線ができたら新線建設に何百億もやるということは、おそらくとうてい不可能でありましよう。それが証拠に、去年に比べて新幹線の予算はぐっと減っております。減っているのだから、当然あなたが先ほど御説明したように、三十八年度のいわゆる出資は五億だ、三十九年度は倍にして十億だ。十億というのは倍に違いありませんが、それではたいへん違うじゃありませんか。しかもあなたが御要求になったのは二百億でしよう。新幹線の荷が軽くなったのだから、二百億は当然取れるはずです。去年は追加で新幹線と合わせて八百何十億でしよう。だから、そのうち二百億を取っても新幹線は六百億ですか、それが取れないという現実において、今日公団をつくって取れるという理由はどこにもない、かように考えますが、いかがですか。
  86. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 私は、本年度の新線建設の費用と来年度の費用とを合わすならば大体百五十億——百六十億以上になると思います。それで、三十九年度は新線建設は十分にやっていけると確信をいたしております。その次の四十年度をどうするかということにつきましては、国家財政と見合いまして、なるべくたくさん取れるように努力するという以外に、今日お答えのしようがないと思います。
  87. 久保三郎

    ○久保委員 いまの今年度と来年度と合わせて百六十億というのは、その計算はどういうことですか。
  88. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 これは本年度と来年度を合わせまして大体百億内外になります。いまの百六十億というのはちょっと誤りであります、もうすでに使っておりますので。来年度は百億以上で、三十九年度は新線に集中していける、だんだん新線が進むにしたがいまして、国家財政に見合ってよけいにふやしていく、こう考えるよりしようがないと思います。
  89. 久保三郎

    ○久保委員 どうも、大臣は数字のマジックを使うようになりまして、池田さんと同じになりました。  それでは、三十八年度国鉄予算は七十五億ですね、それでいま宙ぶらりんになっている予算が五億です、財投が五億ですね。そのうち、手つかずのものは三十八年度はたった五億ですよ、そうでしょう。さらに手つかずのものは、三十九年度幸いにして公団ができればということでありますが、これは国鉄出資七十五億、それから御説明になった十億で八十五億、今度の五億を入れて九十億です。まあ大体そういうふうでしょう。だから百五十億とか百六十億というのはちょっと違いますよ。それは繰り延ばしただけにすぎないのでしょう。
  90. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 数字の問題でありますから、事務当局から説明いたさせます。
  91. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 先ほど泊谷先生がお話しになりました三十七年五月三十一日の鉄道建設審議会の建議、これは確かにそのとおりであります。ここでは、一応今後十ヵ年間に約五千億程度の規模の必要ありということを建議しているのでございますが、私どもといたしましては、一応その建議をめどに置きまして、それでこの内容はさらに検討をいたす必要があると存じますが、さしあたり、従来の建設線の規模を一段と進めるためには、この建議にございますように、道路、港湾等と同じように、政府が公共事業的な考え方を加えまして、従来国鉄のみにやらせておりました建設線というものを、政府財政的な援助をいたしまして、先ほど大臣が申しましたように、三十八年度の予算では国鉄出資が七十五億でございまして、これに政府——産投でございますが、産投から出資が五億、それから政府融資が五億、合わせまして八十五億という規模に本年度三十八年度の予算はなっておりますが、三十九年度の予算案では、国鉄の出資は相変わらず同じ七十五億でございますが、政府の出資を倍額にふやしまして十億、政府融資が十億、九十五億という規模で三十九年度は考えております。それ以外は、大臣がいま申しましたように、本年度三十八年度政府出資五億というものを加えますれば、一応百億というかっこうになります。  以上、数字を御説明いたしました。
  92. 久保三郎

    ○久保委員 繰り延べをいたしましてそういう勘定になる、百六十億にはなりませんが、そういう数字になる、これはそのとおりであります。しかし、公団になったら金が集まるという、前からのお話のとおりには実はなっていない。七十五億がいわゆる国鉄出資の主たるものでしょう。政府の責任どこにありゃです。理屈は、公団に出せるものなら、国鉄に出せるのです。だからその辺のことも考えなければいかぬ。公団になったら二百億出たというなら、まことそれは理屈は別にして、なるほど効果はあった、こうなりましょう。しかしいままでの御説明では、どうも実際はっきりしませんよ。まあ関連質問ですから、この辺にしておきます。
  93. 泊谷裕夫

    泊谷委員 先ほどからもお尋ねして、ことばではたいへん今後よくなるという話を聞くのですが、私はどうもそういうふうに感じないのです。それじゃ来年度はどうする、こうする——お金のことも承知しておりましたけれども、五千億に対する繰り延べを入れて今度百億というところが、政府にすれば逃げ場なのでしょう。だけれども、ほんとうにその気魄というものが私としては感じられないのです。なぜかというと、ほかの問題をいま伏せておいて先に進めてみますと、この法案の中にあります基本計画は二十条で規制されております。これは運輸大臣が新しい線を敷くときにはその施設の建設を建設審議会へはかることだけ規制しております。第三十九条では、大蔵大臣との協議がありますけれども、これは公団の財務に関する事項などについて処分する場合、これが中心になっております。建設審議会の答申の、今後の新線建設については政府が公共事業としてその主たる財源を負担する、その基本的問題はどうしてもその解決策が逃げられたような気がしてしかたがないのです。大臣のいままで話されたことが誤りないとするならばすでに国会で成立を見ております道路、港湾のように、緊急整備措置法の中にあります長期計画、五ヵ年計画、これについては関係大臣が寄って閣議で決定をし、閣議で責任を持つことになっているわけです。ところが今回の公団の場合は、本来それが親の法規で、公団はその子の法規として提起されなければならぬと思うですが、ただ、いま公団法の中で見ますと、運輸大臣と大蔵大臣と財産の処分について折衝する。予算折衝と何ら変わらない印象を持つのです。もし運輸大臣がいままで説明されたことに自信がおありだとするならば、道路とか港湾と同じように閣議できめるということにできるものかどうか、その点をお聞かせいただきたいと思います。
  94. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 その問題につきましては、全体の歳入その他の見積もりを勘案いたしまして、そうして鉄道建設公団にはどうしても十ヵ年間に五千億必要であるから、初年度はこれだけ認めるようにということをあらためて閣議ではかって、そうしてやるよりしょうがないと思っております。
  95. 泊谷裕夫

    泊谷委員 大臣がそうおっしゃられるのならば、道路とか港湾と同じような整備緊急措置法というようなものが提案されてしかるべきだと思うのですが、いかがですか。
  96. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 それはいろいろな事情を勘案して、そういう必要があればもちろん出します。いまはその時点に達してないと私は思っております。
  97. 泊谷裕夫

    泊谷委員 建設なり運輸なり、予算査定で大臣が出ていって話をした。結果的には道路のほうがものすごく伸びて、鉄道関係は第一次で押えられたのです。この結果はどしても動かせない。関係大臣だけで折衝するということでなしに、国の施策として、所得倍増の一環として地域差を縮めるために鉄道網を急速に伸ばすというのであれば、当然その法案は用意されて提案されるものだと思われますが、どういう事情があってそれは出されないのでしょう。
  98. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 それは諸般の事情上今回は出さない。次に出すのかもわかりません。それはまだ国家財政全体を考えなきゃいかぬので、いま鉄道だけをやれといったって無理です。
  99. 泊谷裕夫

    泊谷委員 そういうお話になりますから、先ほどからことばでは今後意欲的にということばを数多く使われながらも、率直に私の気持ちを言わしてもらえば、公団というものは単なる隠れみのにすぎない。用意すべきもの、法律に基づいて建設委員会が長い間審議をしまして出したもの、それを受けて立つ姿勢というものが、政治的に考えれば、むしろ道路よりもあるいは港湾よりも先にこれを始末しなければならぬ位置にぼくはあったと思うのです。道路のほうが伸びることは好ましいことです。港湾も伸びることは好ましことです。だが、せめてその三つのものが体系づけて出されて、国の交通政策なら交通政策というものが明らかにされると思うのでありますが、いまのままで推し進めるならば、国の財政の都合で部分的に手当てをしていくという方策の領域を出ないと思うのです。であれば、幾ら大臣が演説を打たれても、先行きに対する具体的な青写真が提示されない限り、しかも政府で責任を持ってもらう青写真がない限り、ことばだけでは私は困ると思うのです、くどいようですが、もう一度大臣の答弁をいただきたいと思います。
  100. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 何べん繰り返しても同じことでございまして、私はその必要が生じた場合にそれをやるつもりでおるのであります。
  101. 泊谷裕夫

    泊谷委員 国会というものは、ものがわからぬようになっているのかもしれませんから、次に移ってみます。  鉄道建設審議会の建議では、新線建設事業の施行方式を、政府直轄工事、国鉄工事、公団工事の三案を出されましたですね。行政管理庁の考えによれば、公団、公社、公庫などを順次簡素化あるいは廃止する方向にあると聞かされておるのですけれども、しかも国鉄か公団かが現在の新線建設の問題ではないと私は思うのです。国鉄技術陣をもってすれば、今日予想されております新線の建設は決して不可能でないと思います。むしろ国鉄技術陣の手にまたなければ、これだけ多い障害のあります新線開発は困難でないかとさえ私は思っておるのです。しかもせっかく長い経験を持っております国鉄の工事要員を二つに分けまして、第二次、第三次の国鉄五ヵ年計画の過程で、この技術者の不足も伝えられておるのです。そういう弾力的な運用もできなくなり、さらには公団の役職員、特に管理者のポストのみが増加する結果となります。大きなむだが出ます。公団を何ゆえに設置しなければならぬのか、この点大臣の答弁をいただきたいと思います。
  102. 廣瀬眞一

    廣瀬政府委員 これは先ほどもちょっと触れましたが、公団設立の理由といたしましては、現在国鉄は既設線の改良を主眼とする長期計画に全力をあげております。こういったような状況のもとでは、新線建設の責任まで負わせることはやや過重ではないか、今後推進さるべき新線建設につきましては、責任体制の明確化ということから、別な方式でやらせたいというふうに考えております。  なお、技術陣営の問題でございますが、現在地方の建設局等で新線建設に当たっておりますものを大体そのまま公団に移す考えでございますので、別に仕事をやっている人の実態は変わらない。地方の建設局等で改良の仕事をやっている人と建設のほうの仕事をやっておる人はおのずから分かれておると思いますので、その点は別に技術陣営を二分するというかっこうにはならないかと存じます。
  103. 泊谷裕夫

    泊谷委員 大臣、ここが私はわからないのですよ。どうしてわからないかというと、先ほども申し上げましたように、数多い企業でおのおの悩みがあると思いますけれども、先ほど国鉄側からながめてみまして話を申し上げたように、国でできる石炭の相当量を買って、しかも一般の産業育成をされております鉄鋼よりも、結果的には高く買っているのですよ。売り値の切符の値段は国会できめて、私どもは、それは公共料金だから上げないでもらう。しかしそれは国家の政策としてそういう事業を要請しておるわけでありますから、当然国の助成策がなければならぬと思っておるんです。そこで一生懸命大事な人さまの命を預かり、しかも人口は都市に集中しています。ものすごい密度の高いところで、精力を傾けて仕事をしながら、あやまりを犯すとこれはもう釈明の余地のないものです。利潤が乏しい。しかもその輸送要請にこたえるとすれば、それに重点がかかってくるのは当然だと思います。しかもその企業に長い歴史を持っている国鉄は、技術的には人後に落ちない。自分たちのかけた橋について、五十になろうが七十になろうが、連れと一緒に番茶をすすりながら楽しみにしてこの仕事を続けてきている。問題は、これを分割させるとかなんとかじゃなく、そこの障害になっているものについて、国として大きなメスを入れて改善させるのが本来の仕事ではないかと思うんです。いま説明のあったようなことで、責任を明確化する。もとより確かにいま改良工事あるいは保安確保に集中的に追われております。だが、それをそのようにしなければならないような状態にしておいて、それでいままでの工事費はまるで使ってない、能力がない、こういうやり方は、ぼくは本質を誤っているのじゃないかと思うんです。大臣のお考えはいかがなものでしょう。
  104. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 それは、国鉄の現状におきましては、どうしても新線をうまくスムーズにやっていくことは、あまりにも負担がかかり過ぎるからして、その負担を軽減し、同時に建設を促進する意図でこの建設公団をやっておるのであります。
  105. 泊谷裕夫

    泊谷委員 それじゃ全然方向を変えて、それほど自信がおありなら、具体的に——ぼくは北海道から出ていますから全国的なものはまだわかりません。だが、政治的にずいぶん問題になっております青函隧道は、大臣のように言われるならば、いつできるのですか、具体的にその辺を話してください。
  106. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 目下設計の基礎になるところの地質調査をやっております。地質調査ができ上がりますと、それから設計に入ります。設計にどのくらいな年月がかかるか、私ちょっと申しかねますが、設計ができ次第に、青函トンネルは、やはり本土と北海道の間の隘路になっておりますから、これを速急にやるのは建設公団の一つの使命であると考えております。
  107. 泊谷裕夫

    泊谷委員 手続はぼくも鉄道出身で、大臣から聞かなくてもわかっておるんです。大臣の答えは、鉄道から別にして責任を持たしたら、鉄道に渡しておけば三十年かかるものをこれによって二十年でできるとか、十五年とか、そういう答弁が大臣の答えだと私思っていたんですが、間違いですか。
  108. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 それは設計ができないうちに、架空に何ぼでできるということは、ここでお答えすることはできません。
  109. 泊谷裕夫

    泊谷委員 結局、先ほどから聞いておるんですが、私の理解では、全くの隠れみのなんですね。鉄道に対する工事は満足に使ってないし、本来の仕事をやらせる、それによって負担をかけている。負担をかけているのが誤りないとすれば、その負担に対して思い切りテコ入れをしていくのが、長い経験を持っているものに対してテコ入れをして改善をするというのが、一番手つとり早いと思うんです。どう考えても公団に切りかえるという趣旨大臣の答弁では出てくるように思われないんです。だからその点についてもう少し、私ども新しく選ばれて出てきた者にもわかるように、国会には国会のルールがあるかもしれませんけれども、新しく出てきた者にこうこうなんだから、泊谷わからないか、こういうように話していただませんか。もう一度お願いしたいと思います。
  110. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 御承知のように国鉄はいろいろな方面で政府資金を要求しますが、公団になりますと、建設だけにそれを集中するから、私は公団にやるほうが資金を集めやすいという考えで、公団にやるべきだと考えております。
  111. 泊谷裕夫

    泊谷委員 だから大臣、そこまでおっしゃられるならば、国鉄の場合はどうにもならぬから、これを公団にして、この年はこうだ、その翌年はこうだというものを説明いただけないですか。
  112. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 それは先ほどたびたび申しますように、とりあえず三十九年度はこの予算規模で進んでいきまして、四十年以後におきまして、あなたがしきりに主張される国の基本策としてこれを閣議で決定いたしまして、それに対する資金の収集方について検討をいたしたいと、かように申しておるのであります。
  113. 泊谷裕夫

    泊谷委員 大臣、これは昨年の二月二十日に、一回、大臣手元で国会へ出されたのですから、約一年たっておるが、まだ具体的なものは、政治的にやはり発言できない部分もあるのじゃないかということは私もおぼろげながら承知しておるつもりです。というものの、政府法案を提案するというのには、大臣手元で数多くの人が苦労して苦労して検討して出してくると思うのです。出されて一年になるのに、やはりそういうお話しがいただけないものですか。もう少し、建設線は何ぼで、これはどういうようにして何年間でやる、そのために、当面は公団の事務あるいは組織をつくるために整理するから、金は少しでいい、しかし、二年、三年と急激に伸びるからこれはこういうことで金の調達をするという構想があってしかるべきだと思いますが、それはどうしてもお伺いできないものなんでしょうか。
  114. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 たびたび申しますように、三十九年度はこれで発足いたしまして、四十年以降に対する建設資金の計画その他は順次御審議を願うつもりでございます。
  115. 田中織之進

    ○田中(織)委員 ちょっと関連して。——いま同僚泊谷君から質問申し上げておる点は、この公団法の成否に関連する基本的な問題だと思うのです。私も実は建設審議会の委員なんですけれども、昨年の二月に委員に任命されてから、実はまだ一度も委員会を開かない。これは、諮問する事項がその後できてないのかもしれませんけれども、特に、審議会から答申をいたしましたものに基づいて、公団法が先々国会から提案をされておるのに、建設審議会というものの存在をきわめて無視したような運営になっておる。建設審議会委員として、私どもの党にも三名おりますので、審議会としての機能をどういうように果たすかということについては、会長とも相談をいたしたいと実は考えておるわけです。しかし、いずれにいたしましても、公団を発足させるということになりますれば、少なくとも審議会の答申に基づく十ヵ年計画の実行計画というものが立たなければ、これはとりあえず三十九年度の予算は三十八年度の繰り越しを入れて約百億の資金計画で出発させるんだということだけでは、われわれ野党ばかりでなくて、与党の諸君だってこの法案を成立させるべきかどうかということについて、私は深刻に考えなければならぬ問題があるんじゃないかと思うのです。その点から見まするならば、泊谷君から執拗に答弁を求めておりまするように、審議会の答申の十ヵ年計画の実行についての具体的な案を持たないで公団を発足させるというところに非常な無理があると思うのです。その意味でこの問題が解明されない限り、委員会の審議は進まないと思うのです。その意味できょうは幸いに国鉄の当局も見えておりますけれども国鉄自体が持っておる計画が公団に移されるわけなんですから、そういう意味で、この委員会の審議の関係から見て、十ヵ年の大体の青写真でもやはり出していただかないことには、委員会のこれ以上の質問は続けられないと思うのですが、委員長、その点、むしろ審議を促進するという見地から、泊谷君との間の全くのれんに腕押しのような問答を前進させる意味でも、むしろこの際きょうの委員会はこの程度にして、当局のほうで次回の委員会の冒頭までにそのことについての具体的な構想の素案のようなものでも示していただかなければ、私もあと質問を予定しているのですけれども質問ができないと思うのです。そういうふうにひとつ運輸省のほうで国鉄と相談をされて案を示していただく、素案でもけっこうだと思うのですけれども、示していただくというようなふうに取り計らい願えないものでしょうか。議事進行にも関連して意向をお伺いするわけです。
  116. 川野芳滿

    川野委員長 それでは次会は来たる二月四日火曜日、午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十二分散会