○久保
委員 時間も制限されていますから、簡単に一点だけ
運輸大臣にお尋ねしたいのですが、
海運の集約合併というか、これはまさに
海運界にとれば世紀の事業である。という意味は、大体
海運経営者は、今日まで長年やっておられて、その功績はまあまあ多とするものもあるかもしれないが、結果としては、残念ながら自力において
日本海運の体質改善なり構造改善というのはできない。そこで、昨年の本国会において
海運再建の二
法律が出た。これに基づいて、好むと好まざるとにかかわらず、今日
海運界は六つのグループに集約されようといたしております。そこで、この是非については、あらためてまた
論議をしなければならぬと思うのでありますが、この過程においてわれわれは心配のことが
一つあるのです。というのは、私の持論を先に申し上げますと、先ほど申し上げたように、いままでの
経営者は、この際
経営の形態も違うし、過去におけるところの
経営に対する責任、こういうことからいっても総退陣をするほうがよろしいかとも考えられる。もちろん全部とはいわなくても、それくらいの気がまえがなければ、残念ながら六つのグループに集約されても、
海運界自体の自主的判断に基づくところの
日本海運界の興隆はあり得ないだろう、こういうふうにさえ私は考えています。しかしながら、そのわれわれが言うことに基づいて退陣する場合でも、いわゆる過去におけるところの会社の重役という観念から退職されるのでは、何らの責任をとったというふうには考えておらない。具体的に申しますならば、私が
調査した
一つの会社の問題であります。あえて名前は公表いたしません、合併途上でありますから。昨年本国会において二つの
法案が通って、いわゆる集約合併が既定の事実になってしまった直後において、たしか五月ある会社の社長と副社長は辞職いたしました。これは責任をとってやめたのかどうかわかりませんが、この会社の二人の首脳はやめた。やめて九月の決算期において決算の書類を見ますると、役員退職金、慰労金として、この二人の重役は合わせて約五千二百万ほど退職金をもらっておるのです。調べますと、大体社長は当初内規によりまして四千六百万円、副社長はこれに準じて三千万ほど、合わせて七千万ほど、約八千万近くも退職金をもらうことになったそうでありますが、
運輸省においてこれがチェックされまして、それで
運輸省の内面指導というのでありますか、
海運局の内面指導によって、社長は三千万円、副社長が二千二百万円でがまんしろということになったそうであります。なるほど内規によりまして、長年つとめた社長、副社長でありますから、退職金をその計算によってもらうことは
一つの権利かもわかりません。ところが、この会社がどういう形態にあるかというと、ある会社に吸収合併され、しかも三割二分のいわゆる原資、そういう原資によって吸収合併される。この会社はもちろんそういう会社でありますから、
経営実態は毎期
赤字決算であります。多額の負債もしょっている。しかも過去において、いわゆる国税、国の税金からこの会社は
利子補給として約四億八千万余りの金を受け取っておる。三国間
輸送でこれは四千八百万、約五千万、合わせて約五億三千万の
政府出資金を受け取っておるのであります。なるほどこれも
一つの方法であります。しかも
計画造船によるところの建造隻数は十二隻であります。十九万トン、約二十万トン近くの船をつくっておる。そういう会社が今回この二法によりまして集約合併されるのでありますが、この際考えてもらいたいのは、正当な報酬として慰労金を取ることも、これも
一つの筋でありましょう。しかし
経営に対する責任と国民に対する責任を考えたならば、
経営者は少なくとも総ざんげ、一銭ももらわぬで退陣するのが当然ではなかろうかと思うのです。ところが、規定があるからというので満配に退職金だけはもらう、
運輸省がわずかに抵抗して額は減らしたというが、世間から見ればこれは多額の金であります。これではたして集約合併を国民が納得するかどうか。われわれ自身は、かかる無能な、しかも退職金取りの社長や副社長のために国会でこの
法案を通したとは思えない。
運輸大臣はこれに対してどう考えておりますか。