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田中(榮)
委員 今回の
東京オリンピックに
柔道種目で参加した国が、私は、数ははっきり申し上げかねるのでありますが、たぶん二十七九国かと覚えておりますが、そのほかに、先般アフリカの代表の方がお見えになりまして、現在アフリカにおいても十四カ国の国が
柔道連盟をそれぞれつくって
柔道の振興にいそしんでおる、将来アフリカとしてもぜひともひとつ
世界柔道連盟に参加して
オリンピックに参加したい、かような強い希望を持っておるのであります。そういたしますと、もしアフリカ十四カ国がこれに加盟するといたしますれば、少なくとも四十カ国以上の国が
柔道国として参加するような、相当な
柔道熱が各国に盛んになっておるような状況でございます。それから国内の
柔道人口から申しますと、正確な数字はわかりませんが、一方において、あるいは七十万といい、あるいは八十万といわれております。かように国内の
柔道人口の数から申しましても、おそらく武道の中では
柔道人口というものが一番多いのではないかと考えておりますが、こうした点を十分ひとつお考えくださいまして、一応は主催国の
メキシコに対しましても十分に働きかけることは肝心でありますが、やはり何と申しましても国際
柔道連盟が中心になって
IOCに呼びかけるということが肝心でございますので、東
委員はおやめになったのでありますが、どうかひとつ今後ともさような
意味におきまして側面からもぜひとも復活方について御
協力をわずらわしたいと考えております。
それから次にお尋ねいたしたいのでありますが、
オリンピックの
競技の中で、ウェート・リフティングあり、
柔道あり、バレーあり、
競技がたくさんございます。それの中におきましても、
オリンピックというものはギリシアのアテネにおいて発展したその歴史の過程から見ましても、やはり陸上
競技というものがあくまで中心であり、これに水泳というような最も大衆性のある
競技というものが中心でなくてはならぬかと考えております。しかも、この陸上
競技なり水泳というものは、もう
日本のみならず、
世界各国において
国民の間に普及されております。
日本も、
国民の体位向上であるとか、また
スポーツ振興の
意味におきまして、この陸上
競技と水泳というものはずいぶんいままで訓練もされておったのでございます。かつては陸の王者、水の王者
日本が
世界に君臨した時代もあったのでありますが、いまや
日本は、一葉散って天下の秋を知るというような、まことに寂蓼な時代でございます。私は今日のこの
成績を見て決して失望はいたしておりません。これは
日本が弱くなったのではない。
世界が目ざめて強くなったのだ、かように考えております。
世界の国々の
指導者が
オリンピックを目ざして精進をし
努力をしてそうして今日の水準に達したものと考えております。むしろ相手の進歩のほうが
日本の進歩よりも一歩先んじたというふうに私は考えられるのでございます。アメリカの水泳の監督のキッパス氏が、実は自分はアメリカの十二、三歳の少年少女を目標にして来たるべき
メキシコ大会においてアメリカの水泳の黄金時代をつくろうという
計画で訓練をやったんだ、それが何と四年早くできてしまった、
東京大会にこの黄金の花が咲き誇ってしまった、これではとてもいまの十六、七歳のあの
選手は
メキシコではもう使えなくなる、あとがつかえているんだ、こういうようなことを言っておられたそうでございますが、やはり今後の水泳にしても陸上
競技にいたしましても、どの
競技でもそうでありましょうが、大学生あるいは高等学校の生徒というものを中心というよりも、むしろ、小学校の生徒、十二、三歳の生徒を中心にして、それから中学校、高等学校大学校というように、大学生が出るというのはもうオールドボーイである、少なくとも中等学校の三年生か高等学校の一、二年生くらいが出る
程度の
選手をこれから養成するという
ところに心がけていかないと将来私は
オリンピック競技というものはいつもひけをとるのではないかというように考えられるのであります。
そこで、本日の
スポーツ新聞に、水泳の高石
会長が、文部省が小学校、中学校の対外
競技を次官通達で禁止しているのは、これはひとつ解除してほしいということも言っておられたのでございますが、これも
一つの方法であるかも存じませんが、これと同時に、もっと根本的な
対策が必要ではないかと私は考えております。単に次官通達を解除しただけでは不十分でありまして、あるいは施設の面であるとか、コーチを養成するとか、あるいはもっと
選手に対する
一つの
指導の要領といいますか、心がまえといいますか、そうしたものの目標の掲げ方、そうした根本的な
一つの改善策が必要ではないかと考えております。
それからまた、最近の
競技の方法では、何々大学の水泳部であるとか何々大学の陸上
競技であるとか、
一つの小さなかたまり、学校の部のかたまりが中心になって、それがやがて固まって
一つの今日の
オリンピックの
選手群をつくっておりますが、私は、学校の部というものはそれでよろしい、早稲田大学、慶応大学、法政大学、部というものは部として大いに活躍してもらう、それと同時に、その部以上の大きな
一つのクラブ組織であるとか、そうしたものをつくって、そうしてその上にりっぱなコーチを置いて、そうして学校とか、そういうものの壁を取っ払ってしまう、そうしてりっぱなコーチのもとにあくまで
オリンピックの水準を目ざして平素訓練し、平素これをけいこしていくということが必要なことではないかと考えておりますが、こうしたことにつきまして
体育協会の
石井会長はどういうお考えでいらっしゃいますか、ひとつ御意見を承りたいと思うのであります。