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国務大臣(田中
角榮君)
一般給与に関しましても私の
考え方はありますが、制度の上で
人事院という特別の機関がありまして、専門的に検討しており、しかも内閣に対しては
相当の拘束力を持つ
勧告を行なっておるのであります。でありますから、その
勧告の内容は、大蔵省としてはこれを全面的に採用する。しかし、その中で
実施期日の問題だけは五月一日からを十月一日に変更いたしましたが、内容に対しては過去、ずっと守ってきておるわけであります。でありますから、
一般給与の現行のものに対して私が意見を言うということよりも、これは
人事院総裁が述べることが適当であると、こういう考えでありますので、私の意見はこの
段階においては差し控えたいと、こう思っております。
それから
特別職の
給与の問題私、この
一般公務員の
給与改定につきまして
勧告を受けまして、それで
特別職の
給与の
改定というものの基本になったのはこれは
事務次官というものから火がついたわけであります。私もこれに対しては、この案は大蔵省で責任を持った案でありますから、
人事院でもいろいろな方々の御意見はお聞きをしましたが、この問題に対して責任があります。確かにありますから、この問題申し上げますが、先ほど来言ったように、私もこれは事実どうあっても六%、七%、九%、一〇%しか大多数の
公務員が上がっておらないときに五〇%、一〇〇%というような引き上げ方は
一体いいのかと、これは政治の問題として非常に慎重を要するということで、非常に苦慮したのであります。で、初め新聞にも報道しましたとおり、これやるなら矢面から批判をあびながらまず是正をやって、しかる後に合理的な
特別職の
あり方、
特別職と
一般公務員の
あり方というものは検討しますということのほうが姿勢がいいということで、やるならば総理
大臣を五十万円にしようということを私も考えたのです。しかし、中途はんぱで、どうも国民に気にしながら、不合理のままを認めていいのか、また、そこまでは一挙にいきませんから、
事情やむを得ない、この程度でやりましょうというようなことはますすま混乱をしてくるということでありますから、慎重に考えながらも、まあ過去の歴史も十分勘案をしながら御了解が願える程度のものをつくろうということで、
相当私もこの案に対しては検討したのでありますが、まあここまでいったわけであります。
それで、どうして五〇%も上げなければならないような
状態が起きたのかというと、先ほど言ったとおりなんです。これはちょうど国会と行
政府との問題でありますから、私もあまり申し上げたくないのですが、予算を編成するときに、また、
公務員の
人事院勧告がありますときに、
特別職に対してもこうあるべきだ、また、国
会議員もこうあるべきだという
勧告がいただければ、
財政当局としては非常にいいのでありますが、どうも
人事院の権能上、そういうものは-国会の歳費は国会でおやりになるのがあたりまえですし、また、
特別職に対しては内閣がおやりになるのです。こういうことで基準を示されないわけであります。でありますから、急激に引き上げなければならなかったような過去におきましては、先ほど申し上げましたが、
一般公務員が一〇%上がりましたときには、結局国
会議員も、また、国
会議員をもととしている政務次官も、それとつり合っているところの官房長官も、
国務大臣も、そのまますなおに三、四回上がっておれは、今回五〇%引き上げということにはならなかったのであります。そのときには二万円上げれはいいのを、五千円頭打ちということを何回もやったのであります。二万円と五千円の差の一万五千円が三回残っておって四万五千円の開きが出ておる、こういうような問題が事実ありまして、私もこの
特別職の
給与改定表を出すのは非常に勇気を必要としたわけであります。先ほど申し上げたとおり、朗らかに答弁しているというのじゃなくて、ほんとうにもうこれは国会へ出したらたいへんだというくらいな
考え方で逡巡をしながら、しかしこれは、いつかだれかがやらなければいけませんし、しかもそこで議論を十分して、また、新しく合理的なものが将来生まれるような道は開くべきです、こういう
事務当局としては比較的積極的な、私が鞭撻されたというような
考え方でこの-原案ができたようなわけでありますので、私もいろいろな問題に対して、現在これが最高の案であって、これを
基礎として、将来
一般公務員の
勧告と合わせた率で上げていくのだというような
考え方ではありませんので、先ほど山本さんに申し上げたとおり、この
特別職の問題に対しては、より合理的な案ができるように、慎重に努力をいたしますと、こう申し上げているわけであります。