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1963-12-18 第45回国会 参議院 内閣委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年十二月十八日(水曜日)    午前十一時五十分開会   ―――――――――――――  出席者は左のとおり。    委員長     三木與吉郎君    理事            石原幹市郎君            下村  定君            鶴園 哲夫君            山本伊三郎君    委員            源田  実君            小柳 牧衞君            塩見 俊二君            林田 正治君            村山 道雄君            伊藤 顕道君            千葉  信君            鬼木 勝利君            向井 長年君   国務大臣    大 蔵 大 臣 田中 角榮君    国 務 大 臣 大橋 武夫君    国 務 大 臣 福田 篤泰君   政府委員    人事院総裁   佐藤 達夫君    人事院事務総局    給与局長    滝本 忠男君    内閣総理大臣官    房公務員制度調    査室長     岡田 勝二君    防衛庁人事局長 小幡 久男君    大蔵省主計局給    与課長     平井 廸郎君    自治省財政局長 柴田  護君   事務局側    常任委員会専門    員       伊藤  清君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○一般職職員給与に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○防衛庁職員給与法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○特別職職員給与に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○北海道開発局職員定数増加に関す  る請願(第五〇号) ○公務員賃金に関する請願(第一一  号) ○公務員賃金引上げに関する請願  (第四九号) ○暫定手当支給基準改定促進等に関  する請願(第一三二号)(第一三三  号)(第一三四号)(第一三五号)  (第一三六号)(第一三七号)(第  一三八号)(第一三九号)(第一四  〇号)(第一四一号)(第一四二  号)(第一四三号)(第一四四号)  (第一四五号)(第一四六号)(第  一四七号)(第一四八号)(第一四  九号)(第一五〇号)(第一五一  号)(第一五二号)(第一五三号)  (第一五四号)(第一五五号)(第  一五六号)(第一五七号)(第一五  八号)(第一五九号)(第一六〇  号)(第一六一号)(第一六二号)  (第一六三号)(第一六四号)(第  一六五号)(第一六六号)(第一六  七号)(第一六八号)(第一六九  号)(第一七〇号)(第一七一号)  (第一七二号)(第一七三号)(第  一七四号)(第一七五号)(第一七  六号)(第一七七号)(第一七八  号)(第一七九号)(第一八〇号)  (第一八一号)(第一八二号)(第  一八三号)(第一八四号)(第一八  五号)(第一八六号)(第一八七  号)(第一八八号)(第一八九号)  (第一九〇号)(第一九一号)(第  一九二号)(第一九三号)(第一九  四号)(第一九五号)(第一九六  号)(第一九七号) ○恩給年金等受給者処遇改善に関  する請願(第二号)(第八号)(第  一〇号)(第一五号)(第一八号)  (第二一号)(第三〇号)(第三一  号)(第三六号)(第四四号)(第  四五号)(第四六号)(第七二号)  (第七四号)(第七五号)(第七六  号)(第七七号)(第七八号)(第  七九号)(第八〇号)(第八一号)  (第一九八号)(第一九九号) ○元南満州鉄道株式会社職員であった  公務員等恩給、共済問題に関する  請願(第四七号)(第七〇号)(第  八二号)(第一一一号)(第一一二  号)(第一一三号)(第一一四号)  (第一一五号)第一一六号) ○連合国占領軍等行為等による被害  者等に対する給付金増額に関する請  願(第二〇号)(第三五号)(第四  八号)(第一一〇号) ○生活を向上させ、平和を守ることの  請願(第九四号)   ―――――――――――――
  2. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) これより内閣委員会を開会いたします。  一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案、以上三案を便宜一括して議題とし、昨日に引き続き質疑を行ないます。  政府側より大橋国務大臣佐藤人事院総裁滝本給与局長平井主計局給与課長岡田公務員制度調査室長柴田自治省財政局長小幡防衛庁人事局長が出席いたしております。  質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  3. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 まず最初に、今度の公務員給与改正に伴う地方公務員関連性をお聞きしたいのですが、その前に、予算委員会でたびたび言っておるのですから、もうここで繰り返しませんが、ひとつ大橋労働大臣、率直にお聞きしたいのですが、本院でも個人的な話をいたしますと、給与の内容についてはいろいろ議論がありますが、実施時期については、もう四回目だから、政府としては人事院勧告、また、人事院総裁予算委員会で言われたが、きわめて遺憾だということを言っておりますし、国家財政の点からやむを得ないということで、非常に政府は強調されておりますが、一体、五月から実施した場合に、財政との関係、どうなっておるか、この点をひとつ私も質問したのでございますが、大蔵大臣、概念的に、地方公務員入れて一千億ぐらいはかかるだろう、こういうことを言っておりますが、われわれとしては、本年度五月から実施いたしまして一千億ということは考えておらないのでございますが、この点のひとつ実情をお話し願いたいと思います。
  4. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 御承知のとおり、人事院勧告実施に伴いまして、特別職公務員、それから地方公務員等関係の向きが広範にありますが、これらの引き上げをも考慮いたしまして、五月一日に実施いたしました場合と十月一日に実施いたしました場合との差額が約四百億弱と積算をいたしております。三百九十億ぐらいかと思っております。
  5. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは大臣でなくてけっこうですが、政府委員でけっこうですが、三百九十億、これは国家公務員特別職公務員自衛隊、こういうものを全部含めてのことでありますか。
  6. 岡田勝二

    政府委員岡田勝二君) ただいま大臣から三百九十億と申し上げましたのは、国家公務員地方公務員含めての数字でございます。
  7. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 地方公務員のやつはあとで聞くのですが、国家公務員といっても、特別職、それから自衛隊、いわゆる人事院管轄以外のところのものを一切含めたものの数字が三百九十億ですか。
  8. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) これは現業を除くすべての国家公務員を含めております、国家公務員といたしましては。
  9. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 わかりました。  それじゃ、自治省財政局長に聞きますが、地方公務員国家公務員並みのやつを五月にかりに遡及した場合、九月までの分はどの程度の積算になりますか。
  10. 柴田護

    政府委員柴田護君) 正確なものを持ち合わせておりませんが、平年度分との差額を考えますと、約三百億円見当だと思います。
  11. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは、三百億というのは、いわゆる国家公務員の場合は五現業がありますが、地方公務員の場合には、そういうものは全部含めた額ですね。
  12. 柴田護

    政府委員柴田護君) その数字公営企業分を含んでおりません。
  13. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ聞きますが、公営企業関係、いわゆる交通水道、あるいはその他のガス、電気もありますが、それらも大体の政府原案実施された場合に、五月まで遡及した場合の額は、大体予定額はどのくらいになりますか。
  14. 柴田護

    政府委員柴田護君) 従来から公営企業関係のものはその経営内部の問題でまかなうという形にいたしておりますので、正確に積算いたしておりませんが、約二十万人ございますので、大体年間百億前後、したがって、五月から実施される場合の差額といいますと、大体二、三十億になりゃせぬかと考えます。
  15. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 財政局長に言っておきたいのですが、従来、地方公務員の場合は、国家公務員の場合と違って、大体は準じておるけれども、いろいろの問題で変わっておるところもありますが、こういう法律案が出た場合には、あらかじめ、もちろん、そういう――地方交付税法改正が昨日委員会を上がったと聞いておりますが、そういう場合に積算する場合には、相当基礎数字をもってやっておられると思いますが、その点どうなんですか。
  16. 柴田護

    政府委員柴田護君) これは財政計画数字と、それから地方交付税積算基礎に用いる数字と-大体、財政計画数字基礎にして地方交付税の計数を出しておるわけでありますから、財政計画におきます数字というのは御承知のように、地方公務員国家公務員なりせばという仮定のもとに、仮定俸給計算して、それを積み上げたものでございます。したがって、それに対しまして平均的な昇給率をかけて、そして単価を出す。この計算のもとにおきまして、年間どのくらいの金額が要るかということを計算して出しておるわけでありますo
  17. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 自治省としては、私はどういう考えでやっておるか知りませんが、地方財政という立場から考えると、やはり人件費ということについて、相当自治省もいつも神経をとがらしておられるのですから、もう少し詳しいデータというものをやはり出すべきじゃなかろうかと思うのです。私も実は早くにそれを要求したかったのでございますが、その他の問題でそこまでいかなかったのですが、きょうは特に財政局長に来ていただいたのは、地方財政についていろいろ巷間論議されておりますから、そういう点でラウンド・ナンバーでなくして、ある程度積算をされて出されるのが妥当ではないかと思うのですが、その点、自治省としてどうですか。
  18. 柴田護

    政府委員柴田護君) 一般的に幾ら金が要るかということを計算いたします場合には、先ほど来申し上げましたように、財政計画単価基礎にして計算をしておるわけでございます。その財政計画基礎になっております単価積算基礎は、昭和三十二、三年だと私は記憶いたしておりますが、その後に全国一斉調査をやって、そうして経験年数学歴別地方公務員の数が出ております。それを基礎にして国家公務員におきました場合の給与水準を出していく、それが基礎になっておるわけでございます。その後それを基礎にして積み上げをいたしております。人数につきましてもそのときを基礎にして、自後、その後それを条件にして計算をして人数を出している、それを利用したものでありますので、現実とは若干差があろうと思います。まあ従来からこういう財源措置をいたします場合には、国家公務員並みのことができるようにということを原則として、財源措置をいたしてまいっておりました経緯もございます。今回もそういう方法によりまして計算いたしております。
  19. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この地方交付税法改正に伴って、いま言われたように、地方財政計画のいわゆる理論給与というものを基礎にやっておられるということは知っておるのですが、それが現実に合ってこないのですね。この間の私の本会議の質問の際、自治大臣公務員には高いところもある、また低いところも一ある、ということでいかにも一高いところを、これを直さなければ低いところも上げないという印象の答弁をされておるのですが、私はそこまで言いたくない。この財源補てんをする場合、高いほうについてはほとんどこれは私は不交付団体が多いと思う。こういう不交付団体でなくても、給与についてまで親切に見ておるということは私はないと思う。ところが、低いところは、特に町村なんかにいきますと公務員は六・七%引き上げたというとその係数を掛けて、あなたのほうの指導による人員に対して掛けて、地方交付税に盛られるわけですね。そうすると、国家公務員の場合は六・七%でかりに二千円になると、地方公務員の低いところではせいぜい千二、三百円というきわめて低いいわゆる財源しかいかない。そういうことですから、低い町村給与というものはベースアップがあるたびに較差ができてくるのですね、したがって、私はそうやっておられるか知りませんが、六・七%というパーセンテージ掛けるのではなくして、国家公務員に準じて財源措置をするというならば、金額で二千円なら二千円という国家公務員の平均が二千円になるならば、二千円という財源措置地方交付税法によって改正すべきもので、それによって初めて低い町村給与というものが財源的にある程度保障されると思うのですが、そういう考え方自治省としてどう解決せられますか。
  20. 柴田護

    政府委員柴田護君) 実はそういう考え方計算をいたしておるわけでございます。市町村につきましても、市町村職員国家公務員でありせば幾らということを基礎にして計算をすることになっております。したがって、それだけの財源がいくわけでありますが、御指摘のように、現実は必ずしもいろいろな情勢もございまして、そういっていないところも相当ございます。そういうところにつきましては山本先生承知のとおり、従来から非常に低いところにつきましては低く措置をしておるということを主張してまいっておりますし、そういう方針もあるいは徹底を欠いておるのだとおっしゃるかもしれませんけれども財源的にはこういう方法でこういう措置をしておるのだということは常に申しております。それが現実にうまくいかないということは、逐次よくはなっておりますけれども市町村に参りますといろいろな事情があってなかなかそこまでいかないという事情もあるかと思います。
  21. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、地方財政計画では、これはおのおの自治体で違いますが、いま言ったような理論給与基礎にして地方交付税をやっておるのだ、それは間違いないですね。
  22. 柴田護

    政府委員柴田護君) そのとおりでございます。
  23. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 しかしそこで、一応それは確認されました。  そこで、しかし問題になるのは、理論給与をやっておられるのですが、町村によってはそれを実行されておらないところがある。いわゆる再計算もされておらないし、町村においては数年間国家公務員ベースアップはあっても、財政状態がきわめて悪いところはやっておらないところも一あって、その場合には現実的にはあなたの言われるような理論給与でやると、現在の給与よりも上回った地方交付税がいくということになるのですが、そういう点はおわかりですか。
  24. 柴田護

    政府委員柴田護君) 少なくとも交付税積算いたしております単位費用基礎になっておる施設事務、それをやってまいりますに必要なものにつきましては、少なくともそういう計算が出ておる。したがって、交付税積算基礎になっております施設以上の施設を持ったり、つまりたとえばたくさんの土地を持ちましたり、あるいは特別の施設を持ってそこに出してやるといったような場合がございますが、そういう場合にはそこのところはぴしゃっといかないということはあり得ます。しかし、少なくとも交付税積算基礎になっております施設を維持し、かつ事務をやっていくに必要な人員につきましては、それらの人々が国家公務員でありせば幾ら給与会計に要るか、それだけの金はいくということになっております。
  25. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そこまではっきり言われるならば、特別に施設を持っておるというところの私が言っている該当地方公共団体では少ないと思うのです。問題になるのはそういう特別施設がなくしていなかのほんとうに行政水準の低いところがそうやられていないところが多い。たとえば言いますと、国家公務員の場合には初任給かりに一万九百円の場合のときでも、実際の場合は一万円を割って新制高校を出た人を採用しているところがあるのですね。そうすると、あなた言われたようなことでいきますと、その場合でも一万九百円に該当する地方交付税がいっておるということになるのですが、事実はそういうことにいっておらないのです。  で、私資料持ってきませんが、島根の市町村を回ったときにでも具体的に資料を提供されて、僕はそうでないのだ、自治省方針としてこうなっておるのだと言ったけれども、事実はこうですというデータを示されて私も赤面したことがある。したがって、財政局長はそう言われますが、そういう実態になっておらぬと思うのですが、それで間違いがなければ、もしそういうことがはっきりとわかって自治省に言われた場合に、あと地方交付税積算基礎を変えて新たに地方交付税改定と申しますか、そういうものをできるかどうか、それだけ聞いておけはこの問題については一応終わりたい。
  26. 柴田護

    政府委員柴田護君) 交付税の算定の基礎になっておりますような問題と実態との相違という問題には、御指摘のようにいろいろ問題がございます。しかしながら、この交付税計算をいたします場合の基礎考え方は、先ほど来私が申し上げましたとおりでございます。したがいまして、非常に不平等なところがあれはそれはどこに不平等があるかということを検討する必要があると思います。
  27. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それだけはっきり言われたら、今後まあそういうところがあれは実は考えていくのだということでけっこうです。  そこでもう一つ問題は、それ以外の問題として、自治省が出す地方交付税の額と現状と相違するということは、特別の施設ということを言われましたが、一体自治省は定員、定数と申しますか、市町村定数地方交付税基準財政需要額積算する場合の人口を基礎にされておるのか、あるいはその他の補正係数もあわせてやっておられるのか、この点ひとつどういう方針でやっておられるのか伺いたい。
  28. 柴田護

    政府委員柴田護君) 御承知のように、交付税計算いたします場合には、標準施設なり、あるいは標準規模というものを想定して、それぞれ測定単位ばものによって違うわけであります。したがって、その補正をいたしていきます場合に、いろいろ補正上に数学上のゆがみというものが出てくるおそれはございます。しかし、それぞれにつきましては、標準規模を想定して、それにはどれだけの人員が要る、どれだけの施設が要るかということで、こういう計算をいたしておるのであります。したがって、先ほど来から御指摘がありましたように狂いが出てくるということは、その計算基礎になっております施設なり、事務なりの規模現実に合うか合わないかということが一つ。それからもう一つは、補正係数を掛けていきます段階数字ブレがいろいろ出てまいる。その数字によるいたずらというと語弊がありますが、数字上の魔術と申しますか、そういうものによるブレ、そういうものがあるのではないかという感じは、私個人としてはいたしておりますが、そういうようなものがあれは御指摘のような問題が出てくることがあるかとも思いますが、先ほど私が御説明申し上げましたように、考え方といたしましてははっきりしておるわけでございます。
  29. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そういうことで自治省地方財政計画というようなものについて一応の目安でやっておられるのだったならば、数字上におけるブレと申しますか、いま言われたようなことはわかるのですが、あまりにも実態自治省が出す給与に対する補てん財源との食い違いが非常に大きいものですから、その基礎がどうなっているのかわれわれも非常に疑問を持っております。この点につきまして、ここでいろいろと詳細に論議する時間がございませんが、いま言わた基本的な問題だけは自治省は持っておる、したがって、それに合わないというはっきりしたデータが出てくれは、地方交付税の手直しもできるのだ、そういう態度について先ほど言われましたが、そういう場合には自治省として考える余地がある、考える余地があるのではなくて、積極的にそれは手直しするのだということに受け取ってよろしいのですね。
  30. 柴田護

    政府委員柴田護君) 私どもはそういうふうに考えております。
  31. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 次に、先ほど言われましたが、公営企業、これについては別の考え方に立っておるやに聞くような印象を受けたのですが、御存じのように、地方公営企業は非常に経営難におちいっておるようであります。特に都市交通においては、いまの現状を見ますと、きわめて悪いのですが、これについて-一応給与問題を離れて、自治省として地方公営企業の問題についてどう考えておられるか、いまの財政上の問題からくる困っておる状態についてはどう考えておられるか、率直にひとつ述べてもらいたいと思います。
  32. 柴田護

    政府委員柴田護君) 公営企業現状は御指摘のように、相当数の赤字をかかえておりまして、それが逐次累積していくような状況でございます。私ども財政的には非常に憂慮をいたしております。したがいまして、先般来、実は非常に困るところにつきましては、再建計画をつくって、そうして融資のあっせんをする。また、そういう地方といたしましても、まじめな再建計画を実行するところにつきましては、こういう形で援助していくという、こういう基本方針を立てておるわけでございますが、問題はそういうような状況だけで何ともならないようなものが出てまいっておるようなわけであります。したがいまして、私どもといたしましては、いま実は要求の段階でございますけれども、何か公営企業あり方といったようなものにつきましての基本的な審議会というようなものを設けて、そこでやはり公営企業あり方というものについて根本的なメスを入れてもらい、その答申をいただいて、そうしてそれによってはっきりした将来の方向を示し、経営も安定した方向に向けていきたい、こういう考え方でやっておるわけであります。在来からの考え方は、公営企業でありますから、給与の決定の方法一般の場合と違いますし、経営企業自体内部で生み出していく、こういう形でずっとやってまいったわけであります。そういうような状態を今後とも続けていくことがいいか悪いかといったような問題もあるやに私どもは感ずるわけであります。したがいまして、公営企業と申しましてもいろいろございますけれども、業態々々に応じてやはりあり方というものをこの辺で基本的に考え直す時期にきているのではないかと思います。
  33. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 財政局長財政関係に対する自治省責任者でありますが、自治省全般地方公営企業に対してはきわめて消極的な態度ではなかろうかと思うのです。今日の都市交通現状というもの、これはおそらく水道もそうだと思います。やがてそうなってくると思う。もう東京あたり水道一つの問題になっておりますし、大阪もその他の都市水道が問題になっておりますが、自治省はこの公営企業に対する対策についてて、いま言われたが、根本的に検討しなくちゃならぬということはわかるのですが、もういまは根本的なものが必要でありますが、現状をどう打破するかというこの問題もあわせて考えなければ、私はもうおそらく地方公共団体経営する公営企業というものはもうすでにデッドロックに乗り上げているのではないかと思う。そこで具体的に聞きますが、現在これは交通だけにしぼりますが、交通か今日財政上そこまで行き詰まったという原因について、自治大臣は非常に賃金コストが高くなったのだというような意味のことを言われたことを聞いておるのですが、私はそうではないと思うのですが、一体どこに都市交通財政上の行き詰まりがきたかという、それをどうとっておられるか、それを聞いておきたいと思います。
  34. 柴田護

    政府委員柴田護君) これは御意見が違うかもしれませんけれども管理経費が大きいという問題も大きな原因だと思います。そもそもは一体今日の都市交通、特に路面電車、それからバス事業といったものを今後どう持っていくか、ほっておけば交通が混雑いたしまして能率も非常に下がっておりますし、したがって、ほっておけば斜陽産業になってしまう。それをそういう方向にいくことを認めるのか、あるいは別に建て直しの方策があるかということは基本問題であります。運賃が長いこと据え置かれておることもこれも問題であります。そういういろいろな情勢が集まっておる。そればしかも都市ごとに違う。東京と大阪でも事情が違いますし、それから神戸と大阪と比べましても事情が違う。一がいにこうだということは言えない。しかしながら、まあ長いこと料金を据え置かれておるという問題と、それからまた、管理経費が高いということ、大きく分ければこの二つじゃないかと思う。基本的にはそれ以上に最近の都市交通事情の変化によりまして非常に能率が悪くなっておる、ここにほんとうの基本問題があるだろうという感じがいたしております。
  35. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私は最後に言われた問題を、いままで自治省はきわめて軽視しておったと思うのですよ。都会のいわゆる路面電車にいたしましても、バスにいたしましても、公営企業は公共性という立場から私企業に対してきわめて、いわゆる何といいますか、第二次的に考えられておるのです。起債の点におきましても、路線の認可の点におきましてもそれがあるのです。そういうものをまず私は積極的に自治省は解決すべきだと思う。いまの交通事情は、路面電車に至ってはほとんど走ることができない。タクシーでも前へ動くことができない。そうすると、もうこれがどういうぐあいに悪循環するかというと、そんなものに乗っておれぬということでお客が全部そのほかの交通機関に乗ってしまう。そうかといって、路面電車にいたしましても、公営バスにいたしましても、これをかりに採算がとれないからやめるのだとなると、一部の市民たちかしれませんが、非常に市民が不自由をするということになるのです。したがって、そういうところが、私は自治省としてもっと――交通閣僚懇談会もあるのですが、そういう点で、私は歴代の自治大臣がどういう発言をされているか大体聞いておるのでございますが、主張がきわめて私は弱いと思う。この点については根本的に解決しない限り、運賃を押えたから、いま言われた管理経費が非常にウエートが多くなっておる。収入が上がらぬから、絶対額からいうと、ウエートが高くなるのは当然です、これは相対的に言って・…-。そういうことによって、一生懸命にこの交通難のときに遠慮して、従業員の人たちも公営企業なるがためにきわめて遠慮した交通をあずかっておると思う。そういう立場を考えないと、ただ、管理費用が上がるから賃金をストップしたらいいんだという考え方にはならぬと思うのですが、その点についての基本的な考え方を、自治省は、どう持っておられるか。
  36. 柴田護

    政府委員柴田護君) これは、私も、このポストにかわりまして新しいのでございますので、はっきりした意見を持つまでに至っておりませんけれども、いまのお尋ねの問題につきましては、私は、率直に申しまして、両面あるのじゃないかと思います。これも都市によって違いまして、一がいに、こうだ、ああだということを言い切るのは、まだ、私は、率直に申しまして、言い切れないのでございますけれども、両面に、やはり原因がある、だろうと、おしかりを受けましたが、確かにいままでも、私どものやってまいった道は、どちらかというと、経営の財務経理というものを中心にして指導してまいったのでございますけれども公営企業というものを一体どうするのだと、どういうぐあいに持っていくのだという指針等につきましては、そう積極的に検討し、積極的な態度で臨んできたとは言えない。私は、この問題はほうっておけない。だから、従来の態度を捨ててやはり公営企業あり方というものに立脚をした指導というものを、積極的にやるべきだと、こういう考え方を私個人は持っておるわけであります。したがって、先ほど申しましたように、公営企業というものの基本的なあり方というものの御検討をわずらわし、その御検討を仰ぎながら、健全な公営企業、真の市町村のためになる公営企業経営というものを、まともに考えていきたいと、こういう考え方を持っておるわけであります。
  37. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 もう一つ、基本的な問題ですが、この前私は、運輸省の、あれはバス関係の局長ですか、に尋ねたことがあるのです。そのときには、議事録を見てもらってもわかりますが、最初私が、都市交通に対する問題についての考え方を聞いたときには、あとで訂正されましたが、これは要するに、私企業のほうがいいんだというような意味のことを答弁をされた。そこで、私は食いついていったものだから、それは私の考えであるとか言っていましたけれども自治省は、その責任省として、都市交通に対する考え方、どういう考え方を持っておられるのですか。ますますこれを助長して、市民の足を確保するのだ、都民の足を確保するのだという形で、ますます発展さしていくという考え方で、今後指導せられるのかどうか。この点ひとつ聞いておきたい。
  38. 柴田護

    政府委員柴田護君) ただ、能率ということだけから考えますれば、いろいろ問題もございましょうけれども、その辺、私どもは、若干運輸省とは所見を異にしております。都市交通という問題は、やはり都市計画というものと結びついておりまして、これは離すわけにはいかない。したがって、都市計画というものを頭に置きながら、一体的な運営をどうして確保するかということを、基本には考えていかなければならない。ただ、時々の情勢は、交通事情、社会事情等が変わってまいりまして、同じ交通機関の中でも、これは、先ほど来御指摘になりますように、路面電車等につきましては、別な形を考えていかなければならぬのかもしれませんけれども、少なくとも、都市計画というものを根本的に頭に置いて、その上で、都市交通網の一体化ということを考えていくべきである。そうしますと、やはり公営企業というものの持つ役割、また、果たすべき役割というものは非常に大きいのじゃないか。私どもといたしましては、そういう前提のもとに、早く経営の健全性を取り戻して、そして積極的に、市民のサービス機関として、その本来の使命を果たすような体制に持っていきたいと、こういうような考え方でいるわけであります。
  39. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 政府は、いつも、これは大臣でもだれでもそう言うのですが、経営の健全性とか能率とかいうような言葉を使われるのですが、これは、総合的に私は判断しなければいかぬ。これは国鉄も私はそうだと思います。特に都市交通の場合は、能率と言われますけれども一体能率というものは、どういう基準で言われるのか。私企業の場合は、利潤追求ですから、もうからなければやらぬですよ。損をしてまでやるという企業はないですからね。だから、路線の設定にいたしましても、市民の便利というもの、そういうものは第二義的にいっておる。まず、路線を引くのにも、もうかるかどうかということを考えてからでなければ、路線を設定しない。しかし、公営企業の場合はそうはいかない。まず、市民の足を確保する、交通を確保するという立場から、不採算であろうとも、やはり路線を設定しなければいけない。また、運転をしなければいけない。しかも、それ以外にもいろいろ要素はあると思う。たとえば、財源確保の問題にいたしましても、私企業の場合は、これは、何年か先にもうかるとすれば、借入金もしましょうし、投資もしましょうし、株とか、かってにやれる。ところが、公営企業になると、そうはいかないのですよ。もう三年後には必ず路線を設定しなければいけないと思っておっても、自治省が起債の認可をしない、金がなければやれないのですから、そのうちに買収しようと思った土地がだんだん上がってしまう、今度やろうと思えは前の予算ではいかない、自治省にいうとそれはいかぬという。だんだんおくれていって、しかも建設コストというものはきわめて高くなるのですね。それがいま都市公営企業の採算が非常に困ってきておる大きい第一の私は原因だと見ている。これは私は前からの持論ですよ。したがって、そういうものを政府が考えずに、現状経営だけ見て、管理費用が高いから、都市交通の能率は上がっておらないのだ、あるいは企業の健全性がないのだという判定は、私はあまりに一方的な言い方だと思うのですよ。もしそういうものをやってやって、見越し投資ができるような形で財源保証してやれば、私は都市交通にも経営についてたんのうな人がたくさんいると思うのです。そんな無知な経験のない人はかりやっておらないと思う。そういうものを政府はまず考えてやって、後に、管理経費が高くって賃金コストが高いからこうだというデータを出されるのならば私は納得するのです。そういうことをやらずにあらゆる悪条件を押しつけておいて、その上で管理費用がこうだから経営が不健全であるという言い方は、政府としてきわめて私はかってな言い方だと思うのですが、その点どうですか。
  40. 柴田護

    政府委員柴田護君) お話のような点も私にはよくわかるのでございます。またそういうこともございましょう。しかし、まあ、管理経費がじゃあ十分安いかというとそれはまたそうでもない。やっぱり高いということは事実であります。私は先ほど来申し上げましたように、そういうお話のような議論もちろんございましょうけれども、しかしまた、現実経営面における管理の効率化ということも足らないということもはっきりした事実であります。その辺も総合的に考えていきますならば、お話のような、不採算路線というものを、都市交通における経営というものを一体どう考えるかという基本的な問題にぶち当たるわけであります。御承知のように、現在公営企業につきましては、独立採算制というものを厳然と旗じるしにしている。この旗じるしというものは、その不採算路線というものは、市民の足確保ということから見て、どういうふうに結びつくのかという問題になってくるのじゃなかろうか、そうなってくるとなかなかむずかしい問題でございまして、そう一朝一夕に結論は出ない。そこで私どもはそういうもののあり方についての基本的な見解を認めながら、現状に対処していく、こういう方向をとることが一番妥当じゃないか、こういう感じを現在持っております。
  41. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あなたにこういう基本問題だけ追及しても、まあそれは財政関係からのみいっておられると思うのですね。それというのは、管理費用が高いという、そういう検討をする前に、政府はとるべき措置をまずとって、その上でまだ経営がいかないのだという場合に、それは問題になるべきだと私は言うのです。で、あなたがいま管理費用が高いということをうまく表現されておりますが、やはり都市交通労働者の給与が高いということを言いたいと思う。しかし、これはそこまでいくと労働価値の問題になりますが、私はあえて国鉄、私鉄、長距離交通の従業員が決して楽だと言っておらない。その比較において、都市のあの繁雑な中を交通機関をあやつるということは、ブレーキをいつも百メートルの間に三回も四回もかけなくちゃならぬ、そうして一々車内で切符を売らなくちゃならぬ、こういう満員のときの労働する価値と申しますか、あれは、労働力を補うところのエネルギーの量というものは、きわめて私は大きいと思う。地方の長距離スピード交通機関には、またそれ悩みがありますよ。ありますけれども、そういう点だけ考えれは、国鉄なり私鉄の労働者の賃金を算術的に比較するということについては、私はまだしろうと考えだと思っておるのです。あなたはそう思っておらないと思いますが、やはりそういう管理費用の点についてもそこまでこまかく分析して、労働価値の問題、労働力の問題、その他考えて私は判断をしてやるべきであって、単に数字の上で見て賃金比が、労銀が高い、上がっておるということだけ、トータルが多いということだけで管理費用がウエートを持っておるという見方は、私はきわめて単純だと思うのですが、そういうことも考えておられますか。
  42. 柴田護

    政府委員柴田護君) 労働の中身がいろいろ特殊性があるということは、私にもよくわかります。ただ私はしろうとではございませんが、山本委員は私よりはるかに専門家でありまして、むしろその点は私はお教えいただかなければならぬかと思いますけれども、どうもそれだけではなさそうでありまして、たとえば職員にいたしましても、なかなか新陳代謝が思うようにいかないとか、いろいろな問題がやはりまつわっておるようでございます。単純に帳じりだけを見てこうだとかああだとかいう、軽卒な判断をするつもりはございませんけれども、少なくとも総費用に対して総収入でまかなえないという原因はどこにあるかということくらいは、われわれでもはく然と見当がつくわけでございまして、しかし、収入が上がらぬということも確かにそうでございます。そしてまた、支出がなお切り詰める余地がないかといえば、なおあるのじゃないかということがいえるのじゃないか、そういう問題を考えていきますと、公営企業というものの将来を考えながら現実に対処しようとすればするほど、先ほど来申し上げましたように、基本問題にぶち当たってしまう。なかなかむずかしい問題だけれども、これは勇気を持って当たらなければいけない、こう思っておるわけであります。
  43. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あなたの言うことは、ぼくにはまだ了解できないのです。まだ皮相的に私は観察されておると思うのです。実際あなたの言われることを、まだはっきり数字を示されないが、率直に言えば、他の交通労働者から比較すると賃金が多いと、また、年齢的にいっても新陳代謝しないから、そういう意味において管理費用が上がると、こう言われるのですが、実際だんだんと都市交通に対する従業員の希望というものはなくなってきますよ。実際ああいう仕事を担当しようという人は、待遇、いわゆる給与で見るということはいいか悪いかは別として、ある程度その点を見てやらなければ、だんだん労働力が非常に窮屈になってくる傾向がありますから、しかも若い人が、バスの関係なんか若い人が多いのでございますから、そういう考え方で、労賃さえ押えたら経営がうまくいくのだという考え方でこれと取り組まれたら、私は失敗すると思う。それよりも先ほど申しましたように、どうすれば都市交通の収益が上がる、収益が上がると言うと表現が悪いのでございますが、健全な企業に返るかということは、企業の根本的な問題はやはり自治省が考えなければ、私は誤った方向に行ってしまうと思う。むしろ都市交通そのものがだんだんと私企業化していくような私は傾向が自然に出てくると思う。そうなったときにあるいは市民が、あるいは都民がどれだけ不自由するかということはそのときになって初めてわかると思う。それは私はここで予言するわけでございます。その点も考えて、今後の都市交通に対する自治省の指導というものをやはり考え直してもらわなくちゃいけない。それを前提にして今度の給与の問題に入りますが、今度の給与の問題でいま財政局長がいろいろと言われたことを私は想定いたしますと、やはり賃金を押えていこうという考え方があるのかどうか。この点ひとつ聞いておきたい。
  44. 柴田護

    政府委員柴田護君) 従来から公営企業給与の問題につきましては、その企業内部経営の合理化といいますか、そういう方面から財源を生み出して措置をしていくという態度を一貫してとってまいっております。今度の問題につきましても同じでありますが、私どもといたしましては、公営企業法の給与に関する規定からいいますならば、給与に関する規定は、一般地方公務員給与に関する規定と同じ規定がある。したがって、基本的にはその一般公務員給与の規定に関する原則と同じ原則でいくべきである。ただ非常に赤字がうんと出ておりますところにつきましては、そういう問題を十分頭に置いて給与改定という問題に当たってもらいたい、こういう気持でおるわけでございます。
  45. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 いま差しさわりない答弁をされましたが、この赤字の出ておる企業というのは、私は六都市その他を含めて全部とは言わぬが、ほとんどの都市交通経営というものは赤字になっておると思うのです。顕著なところはもう行き詰まっておると思うのです。それがために理事者のほうは公共料金というか、運賃の値上げの申請も相当しておると思う。それも赤字解消の一つ方法だと思います。これはわが党は公共料金の引き上げに反対ですが、都市交通経営自体の実態からいくと、そういうことを理事者が言われるのは無理ないと思うのです。しかし、それに携わる労働者、従事員の給与となると、これを企業が悪いから、経営が悪くなったからこれは上げないのだということに私はならぬと思う。と申しますのは、あなたは歴史は御存じだと思いますが、いまこそそう言われますが、昔は市電の運転手とかそういうものについてはあまり好まれた職業ではなかった。しかも給与というものは、一般から比べると非常に安かったんですよ。しかもそれは公務員だ、官員さんだということで、きわめて社会的にもまた給与的にも冷視されておった、そういう歴史を通ってきて、現在経済が悪くなったからおまえらまた賃金を押えるのだという言い方は、これは自治省としても過去のことを考えれは、そう言えないと思う。しかし、いまの現在の給与は、それほどいいかといえば、そうでもない。他のほうと比較すれば若干いい面があるかもしれませんよ。ある私鉄の一部分から見れは、同じ交通労働者じゃないかということがあるかもしれない。しかし、その人の生活の実態、あるいは労働力の対象として受ける賃金としてこれを考えたら、私は決してそれが高いとは思っておらない。まだもっと上げるべきだと思っております。そういうことからいって、今度の給与に関してあなたがそう言われますけれども、私は資料でもらってきておるのですが、あなたが都道府県知事、六市長にあてたこの文書は何ですか。文書で、お手紙のようでありますけれども、何か今度の給与改正については、国家公務員給与水準はこうこうだから、給与については、赤字のところについては特別の検討をして配慮されたいと、この配慮は一体どういう配慮ですか。赤字のあるところは給与を引き上げてはいけないという文書ですか、これについてお伺いしたい。
  46. 柴田護

    政府委員柴田護君) 国家公務員の水準に比しまして非常に高いところがあるとするならば、しかもそういうところが赤字であるということならば、経営を第一に考えるべきものと私どもは考えておるわけであります。したがって、何もそう考えたからといいましても、現実給与のきまり方というものは、一般公務員と違ったきまり方をしておるわけでありますから、いわば経営の衝に当たる者につきましてはそういう心がまえでおってほしいということを申し上げたにすぎないのであります。
  47. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あなたはそう言われてますがね、少なくとも都市交通、あなたが常に言われる一つの企業だと、企業だから企業の経済の中でまあ赤字のあるところは上げないようにしろと、こう言われると思うのです、趣旨はね。しからば経営が悪くなったから国家公務員上がってもそれは考え直せというような意味だと思うのです、率直に言って。これはできれは上げないようにしろ、そして赤字解消のほうに財源を回せということだろうと思うのですよ。そうでなければ別ですが、そういうことで、企業がいいときにはそれほどの給与もやらずに、悪くなってきたら、国家公務員の上げている線は最低ですよ。人事院総裁がおりますが、これは最高とはいえない。物価上昇に対する最低を割った線で上げようという今度の法律給与ですよ。それすらも、それに準じたよりも押えようということですか、あなたのこの手紙の趣旨は。これは法律上何の価値もないと思っているのですが、そういう趣旨であれは、かりにあなたは個人的な文書といえども自治省財政局長柴田護ですか、という文書を出しておられる以上は、私としては国会としては、そう軽率にこれは扱えない。しかも、法律は、いま現在、まだ成立しておらないのですよ。成立しておらない。おそらく、きょう内閣委員会でこれは成立するでしょう。そういう前に自治省財政局長はこういう文書を出して、そして、地方公共団体のいわゆる首長に対して何らかのこの給与の引き上げに対して圧力をかけることは、私は一公務員としてのあなたの立場として行き過ぎだと思うのですがどうですか。
  48. 柴田護

    政府委員柴田護君) 何べんも繰り返しますように、公営企業職員給与につきましては、普通の公務員と違うやり方で給与がきまってくるわけであります。その際に、経営指導の任に当たります責任のある私どもといたしましては、当然に国家公務員給与改定というものについての態度というものを明らかにする必要がある。現に明らかにしてくれという要請もあるわけです。私どもといたしましては、経営という立場から見た場合に、どのように考えるべきかということを、その趣旨を明確にしただけであります。それ以上の他意はございません。もちろん私どもとしての考え方を明確にしただけであります。それによって現実の団体交渉を縛るとか、縛らぬとかいうような問題ではありません。
  49. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それ、柴田さん、あなたそう言われますが、現実の問題として、当事者では簡単な問題ではないですよ。御存じのように、まあ、あなたが都市交通の労働者の賃金は非常に比較して高いと思われますが、個々の生活の実態から見ると、そう思っておらないと思う。公務員の場合でも、低給者もおれは高給者もおられる。高給の人でも、これは七万円も八万円ももらっているから要りませんと言わぬでしょう。人間の生活というものはそういうものではないんです。公務員の場合でもそれは月に一万円足らず、あるいは二万円そこそこの人に対しては当然であるけれども、私はもう五万円以上あるからこれ以上は私は上げてもらわぬでいいから、低い人にあげてくださいという労働者といいますか、そういう人はおらぬでしょう。私はいまの都市の労働者がそれほど給与が高いということになればデータを出してください。私は平均して五万円も上回っておらないと思うのです。そういうことから見ると、私はあなたがいま言われたように、都市交通公営企業を指導する立場から憂えられて、親切に文書を出したのだと、こう言われますが、私はあなたの趣旨と逆な効果が出てくると思うのです。いずれまたこれは別の場所で自治大臣にも言いますが、まず、政府が先ほど言いましたように、あらゆる都市交通に対して、私鉄とかあるいは国鉄に対するような考え方で、いろいろ政府が見るという立場を政府が積極的にやった上で、これを取り上げるならば私は納得します。いままで都市交通に対し私は二、三回ここでも発言したことがありますが、単に交通だけではございませんが、きわめて私は起債、財源面においても、非常に私は厳格な態度で臨んでこられたと思うのです。しかし、一昨年あたりから、若干いろいろ考え直されたかもしれませんが、起債面でも若干伸びてきたことは事実です。これは認めます。しかし、現在この都市の膨張、交通のふえる量から申しますと、これはもうついていく程度ではなくて、ますますおくれているような程度しか起債がないですよ。したがって、大阪でもそういう交通難を打開するために政府の資金ではいかぬ。起債でいかないからというので、民間資金を借りてそれで何とか打開しようという、そういう熱意のある人もおるのですよ。私はそれに反対ですよ。そういう公営交通が民間の資金を地方自治体自身が、それを借りてそれで経営するということは、私は政府もどうしているかと非難したいと思うのです。打つ手はたくさんあるんです。それをほっておいて、ただあなたらが賃金が高いのだからこれをどう押えたら都市交通が、経営が健全になるのだという、それ一本で私は考えておられるということについて、いいと思いますが、もちろんそれだけではないと思いますよ。ないと思いますけれども、そういう点を、まず考えていただきたいと思う。なお、これも、文書については、少しきつく言いましたけれども、あなたの言われるようなきわめて謙虚な気持で出されたというならば、よろしいです、しかしとりようによると、私も実はきのうもらったのです、初めてもらって、私も一字一句を詳しくは読んでおりませんが、文章の受ける感じから申しますと、都市交通経営が悪いから、国家公務員給与を上げてもそれをそのまま上げるということをしないでもいいのじゃないかというような趣旨がここに盛られておるのじゃないかという錯覚を起こす。錯覚であればけっこうだ。おそらくそういう趣旨でないと思うのですが、その点だけはっきりと聞いておきます。
  50. 柴田護

    政府委員柴田護君) 地方公営企業職員給与というもののあり方というものは、もう私が申し上げるまでもなく、御趣旨のとおり、その趣旨を明確にした上で赤字を出して困っているものにつきましては現実給与との比較においてその辺のところを慎重に考えるべきだ、こういうことを申しておるわけであります。
  51. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは、柴田さん、あなた、ものにこだわってはだめだと思うのですよ。それは、私、あなたが言わぬでも自治省の考えをよく知っておる、知った上で言っておるのですが、自治省が指導する場合に、私はいろいろわかっておりますが、自治省なり政府の打つことを打って、その上でなおこの交通緩和がどうしてもいかない、気の毒だけれども労働者も協力してもらいたいという、そこまできておる段階であれば、これは話は別です。そこまでの財源的な措置もしないでそういうことをやっておいて、そして労働者の給与だけを押えるのだという考え方は、私はもうどうしても納得できない。そうなった場合に、どういう混乱が起こってもこれは政府の責任になりますよ。したがって、先ほど言われましたように、今度の文書については、国家公務員とか、そういうものが文章に入っておりますけれども、そういうものがなるけれども、どうなんですか、ある程度考えてやれということですか、具体的に言うとどうなんですか、ぼくは頭が悪いのかもしらぬが、この文書でははっきりわからない。百円上げるところを五十円にせよというのか、具体的に言えば。それとも百円まではいいけれども、百円以上上げることば、それはいけない、そういう意味ですか。
  52. 柴田護

    政府委員柴田護君) 要するに、赤字企業につきましては、人件費の問題というものについて非常にそれが大きな重圧になっておるものですから、この合理化というものをやはり頭に置いて考える。したがって、何も、給与改定のやり方だっていろいろあるわけでありまして、要するに、俸給だけの問題ではございませんし、ほかにいろいろな手当もあります。そういうこともあわせて考えるということも必要でありましょう、そういうことは一がいにこれはああしろ、こうしろということは、そういう指図がましいことは言っていない。要するに、赤字企業というものにつきましては、一応現状をそのままにしておいて給与改定をすればますます苦しくなることはきまりきっております。そこは慎重にやれ、こういう意味であります。
  53. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それは、あなたが言われぬでも、自治省のいまの権限からして、各地方公共団体なりにこうせよとかああせよという監督指揮権もないのですがね、ただ問題は、こういうものを出すことによって一つの理事者の何といいますか、口実を与えることになるのですね、自治省がこう言ったのだからということで、団体交渉になった場合に……。それでいいのじゃないかと言われますが、その団体交渉の場においてのいわゆる理事者側の一つのとりでとしてこれを利用するのですね。そういうことをあなた御存じで出しておられるのですね、そうではないですか。
  54. 柴田護

    政府委員柴田護君) 企業経営というものについての健全性の回復と申しますか、健全性の堅持と申しますか、そういう立場からいたしますならば、現在赤字で苦しんでいるものにつきましては、これは一日も早く合理化する必要があることは言うまでもないことであります。私ども何も給与だけの問題がすべてだということを一切申しておるわけでございません、ほかにあることも十分承知しておるわけであります。しかしながら、いま現に非常に重圧になっておる、それがその企業の死命を制するというようなことになってまいりますと、そこにこれ以上傷を深めないという頭があることは、これは経営者としてあたりまえであります。それを、関心を喚起したということでございます。
  55. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私は、幾ら言っても、こういうもので牽制するということは、私は妥当でないと見ておる。しからば、あんた言われるようなことであれば、打つ手は幾らでもありますよ。何もこの期に限らぬですよ。公務員給与が通るんだという機会にこういうものを出さぬでもいいじゃないですか。あんたの言われるように、都市交通経営が困ってきているのは、ここ一月や二月、一年前のことじゃないんです。もう早くからのことです。そういうことを日ごろから、あなた、何か機関をつくって学者、経験者の意見を聞いて根本的にやると言っておりましたが、それは根本的にやることはよろしいと思いますが、せっかく自治省公営企業課というものがあって、自治大臣がそれを支配しているわけですから、現状はどうであるか、しからばこうやらなくちゃならぬということは、やはり地方の当局者も呼んで――呼んでといいますか、いろいろ懇談をし、その際に、できないか知りませんけれども、労働組合の関係の方も来てもらって、そうして、一体都市交通というものはどういうぐあいにすれば打開できるのか、市民の足を守りながら経営の健全性と申しますか、これを健全性に移行していくことができるのかということは、やはりやるべきだと思うんですよ。そういう手をやらぬと、ただあんたの名前でこういう文書を出されることばきわめて誤解をされる。この前も何かこういうことがあったということですが、私は知らなかったんですが、これは交通に対してじゃなく一般に対して出されたということでありますが、地方財政の苦しいのは交通だけじゃございません。苦しいところはたくさんほかにあります。そういうところまで言及すると実は時間がかかりますので、いずれ機会があったら私はゆっくりとやりたいと思うんです。予算委員会でも実はこの問題で自治大臣に詳しく、交通だけじゃございません、いろいろ問題をやりたかったんですが、これもまた時間がなくってやらなかった。いずれまた地方行政で十分ひとつお伺いしたいと思います。ただ、このきょうの問題の焦点の文書については、こういう文書はただ単に赤字団体、赤字の経営のところについては何とか考えてくれというようなことであるが、今度の給与に関しては制肘を加えるという意味の文書でない。一般的ないわゆるあんたの言う給与の合理化ですか、いま思われたんですが、そういうものは現在組合と理事者の間に相当何回か団体交渉をやってるんですから、きょうはそれの別の問題、今度の公務員給与の引き上げに関してこの文書というものは別に制約を加えるものでないという了解で私はこの文書を受取っておりますが、それでいいですね。
  56. 柴田護

    政府委員柴田護君) 給与の問題一般に関連して申しておるわけでございます。ただ、先ほど来いろいろ御指摘もございましたように、いままで相当傷が深まっておるわけですが、特にその上にさらに給与改定という問題が起こってくるわけですから、当然そこに注意を喚起すべきものだと、私どもの立場といたしましては注意を喚起しておくべきだ、かように考えて出したわけでございます。
  57. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  58. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記を起こして。
  59. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それで、あんたの言い回しは、どうもぼくはそういうこときらいなんです。私は、あんたの意図わかってるんです。わかった上で発言しているん、だから、よけい間違ってくるか知らぬですけれども、私はあんたの言われた都市交通の、これは財政上から言っての問題を取り上げても非常に困っておる。どうしようかわからないということは、早くからわかっておるんです。これは組合側の人もそう安易に考えておらないんですよ。しかし、特に公務員給与を引き上げるという、法律が通るという前提のときにこういう文書を出されると、この給与に関して何か自治省抑えようという意図があってやられたんじゃないかという疑惑があるから、それをここで解いてもらいたいというのが私の伏線なんです。したがって、先に言われたように、管理費用が上がっておる、賃金が非常にウエートが強い、というとこりについては考えなくちゃならぬという自治省考え方を早くから知っておるんですから、私はいま一般論を言おうとしていない。あんたの文書の性格というものは、今度の公務員給与の引き上げについて特にこれを否定したものでないと言われれば、委員長がいま言われたけれども、皆さん腹がへっておると思うから、はっきり言われればしまいです。私が言うのはそういう趣旨なんです。
  60. 柴田護

    政府委員柴田護君) 国家公務員一般の水準より低ければ、その点は問題ございません。したがって、最初にその趣旨を書いたのですか、赤字企業につきましては、企業が赤字であってもかりに給与水準公務員より低い、先ほど来いろいろ市町村財政について御指摘がございましたが、そういうものまでとやかく言うわけではございませんが、赤字企業について給与水準相当高いということにつきまして、そういう公営交通企業につきましては、やはり考えてもらわなければならない。また慎重に考えて対処すべきものだと、こういう趣旨を明確にしたわけでございます。
  61. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あなたが答弁すると、ますますこんがらがってくる。一体国家公務員都市交通のような労働者がおるところはどこにあるのですか。そういう職場で比較すると言われるが、どこと比較されたのですか。先ほどから都市交通の特殊性をいつもあなたは言われておる。特殊性があるために一般職と違った給与というものが歴史的に出てきたのですよ。それが国家公務員と比較して高い、平均したら高くなるのはあたりまえですよ。ああいう特殊な企業ですから、一般公務員よりも水準が国鉄職員が高いというのは当然だと政府は言っているのですよ。一般公務員給与ベースは、人事院勧告されてやっているのですよ。一体どこで比較するのですか。比較して、どこと高い低い、どこで比較するのですか。
  62. 柴田護

    政府委員柴田護君) 給与水準といたしましては、公営企業の場合におきましては、一般の場合と違いまして幅がございます。御指摘のとおりでございます。しかしながら、給与決定の基本原則というものは、地方公務員の場合でも公営企業の場合でも全く同じでございます、基本的には。もちろんその間に業務の特殊性からくるいろいろな幅がございます。
  63. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あなたは実態はあまり……、無理かな、こういうことを言うのは。私はあなたがこの文書を出されたから私は聞いているのですよ。あなたに聞く問題じゃないか知らぬが、なるほど基本的にはいま国家公務員のあれに準じて地方公務員の条例改正によって行なうけれども、あなた、それなら基本給を比較しただけでも高いと言われるのですか。あなたの言う賃金コストが高いというのは、基本給で比較しただけで高いとかどうこうと言われているのですか。それともその他の諸手当、そういうものを入れて言われているのですか。
  64. 柴田護

    政府委員柴田護君) 諸手当の問題は、交通の特殊性からくる問題は別でございましょう。したがって、そういうものを除いた面についての一般的な比較というだげのことであります。
  65. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それならその基本給だけはわかった。基本給が上回っているところのものはやったらいけない、こういうことですか。
  66. 柴田護

    政府委員柴田護君) 私の文書は、要するに、心がまえを示したものでありますが、具体的に一例をあげたにすぎないのであって、具体的に線を引いてここでああしろこうしろということをとやかく言っているわけじゃございません。しかしながら、だれが見たって一般的によりか非常に高いというようなものがあるわけでございます。ないところもございます。ないところは問題ないのでございます。しかし、うんとあるところにつきましては、今度の給与改定の場合におきましては、その辺を配慮して企業の経営状態を頭に置き、これをどうするかという配慮をするのはあたりまえだということを言ったのです。
  67. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それで私はあたりまえだということから出発しているのですよ。そんな地方都市交通の管理者は、ばかじゃないですよ。自分のところに赤字が出ているのに、賃金を上げてやろうという人はおりません、自分は責任者ですから。それをことさらに自治省からあなたの名前でこういうものを出すというところに別な意図があるのではないかということを聞いておるのですよ。いま都市交通関係者は、東京都の交通局長ですか、それは経営についてはエキスパートと思っているのですが、そういう人に対してあなたの言われているようなことを言ったらおこりますよ。わかっていることです。その上に何かこの文書を出されたということについては、今度のベースアップについては、自治省としては考えてもらわぬといかぬぞということを一つの水をさしたんじゃないですか。そうでないということであれば、それで私はいいと思うのです。それがあるというのなら、私はこれは何時間でも、昼からでも、この公務員法律はどこまでいくか知りませんけれども、やりますよ。この法律が通ったらそのとおりやられるのですから。同じ地方公務員でも上げるところと上げないところと、自治省がこう言っていると言われて、上げないということになったらたいへんですから、この法律の適用は国家公務員だけではないのですから、これに準ずるということでもあるから、これはわれわれとしては、そういうことをはっきり解決するまでやりますよ。
  68. 柴田護

    政府委員柴田護君) 何回も申し上げますように、ことさらに出したと言われますけれども、また、経営者としてはそういうことがないということも、おっしゃいますが、過去においてはそうでない例も実際あるわけでございます。したがって、この際十分に赤字による、何と申しますか、ひずみならひずみが深刻化しているというわけでございますので、この際、私どもといたしましては、注意を喚起しておく必要がある、かように考えたところでございます。
  69. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 注意を喚起した私はこの点だけははっきりしておかぬと困るから言っておる。しつこいようだが言っておるのだが、いつもこれが問題になってくるから私は言うのですが、先ほど言われました基本給が国家公務員と比較して高いところについてはこれは問題である、こういう話ですが、いままたいわゆる注意を喚起しておるのだ、こう言うのですが、注意を喚起するということは、もちろん地方の管理者なりあるいは市長に対してはこれは制約しておらない。ただこの際給与を上げるのだけれども、上がるようになるのだけれども、その点について赤字の関係も十分考えて、経営の健全性に向かうべきであるという単なる経営全般のそういう注意を与えておる、こういう解釈でいいのですね。今度の給与改定について、特にこれをどうこうしようという意図は別に含んでおらない。いわゆる管理費の非常に増高する際であるので、ときたまたま公務員給与が問題になっておるけれども、そういうことを頭に置いて考えたのじゃない、こういうことで了解していいのですね。
  70. 柴田護

    政府委員柴田護君) 一般的にはそう了解していいと思います。しかしながら、なぜそういうことをこの際言ったかということになりますと、こういう時期だから言った、こういうことでございます。
  71. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうするとあなた率直に言いなさいよ。赤字のところについては、給与は、国家公務員が上がっても上げなくていいというような考え方でおられるのかどうか。問題はそれですよ。私はもう遠回しにあなたをいじめたらいかぬから言っておるけれども、そういうことになれば大問題だから、そういう意図があるかどうかということなんですよ。それは同じ公務員ですよ。給与はいままで高いといっても給与の高い人はたくさんあるんですよ。一般職の問題でも御存じでしょう。等級別にはたくさんあるんですよ。先ほど言ったように、それを一部の者についてだけは適用されない、恩恵はこうむらないという趣旨で、この法律案を、国家公務員給与法であるけれども法律案を出したということになりますと、この法律案自体でも十月実施じゃいかぬというわれわれは基本的な反対を持っておるけれども、それすらも上がらないものがあるのだという自治省考え方があるのだということを、ここでわれわれは承認しながらこの法律案は絶対に通せないということです。
  72. 柴田護

    政府委員柴田護君) 何回も申し上げますように、一般的には管理経費というものが非常に多くなってきておる。したがって、それを頭に置いて考えてほしいということを、特にこの際明らかにする必要がある。特にこういうような、状態、こういうときでもございますので、本来の独立採算制のたてまえ、こういうものを頭に置いておかれませんと、やはりその辺のところは妙なかっこうになるということもあり得るわけであります。したがいまして、管理者としてはやはり赤字が大きくなって傷が深くなっているところに対しましては、そこは慎重に考えるべきじゃないか。つまり給与改定と申しましても、一般公務員の場合と違いましてぴちっとしたものではございません。それは私がここで申し上げるまでもなく相当幅のあるものでございます。その辺のところを御満足いただけるような答弁ができませんけれども、そういうところも総合的に考えて対処したい、こういうことでございます。
  73. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 時間がたつけれども、どうも答弁を聞いていると了解できないのですよ。私は率直に言っているのです。わからぬですか。ぼくらの質問するころとあなたの言われることとぐるぐる回りになっているのですよ。財政の悪いところ、赤字のあることはみな知っているのですよ。しかし、赤字があるから、赤字のある団体については、この法律が通っても地方公務員の場合には、その場合は上げなくてもいい。命令権はないのです。それは知っている。そういう考えの文書であるかどうか。いや、そうではないのだ、赤字の問題については、経営全般の問題であって、特に今度は公務員給与の引き上げのときであるから、その点も特に配慮をしなくちゃならぬ機会であるので、一般的な問題であるけれども、機会は一致したけれども、今回こういう文書を出した。したがって、公務員給与を引き上げたからといって何もこれをやるなとかやるというような趣旨でやったのではない、こういう趣旨であるかということを聞いているのですよ。私はやるならやるでいいのですよ。はっきり言ってもらいたい。やるならはわれわれはそれで対策を講じなければいかぬのだ。ですからそれをあいまいにして、いよいよ法律案が通って実施される場合に、自治省はこういうことで国家公務員法律は通ったけれども、そのことは赤字のある都市交通関係の人々には、自治省の意向としてはやらないほうがいいような意見であるということを言われたら困るのですからね。その点ですよ。だから、私の言うことを否定してもらってもいいのですよ。私ははっきりしておくほうがいい。人事院総裁もおられますし、与党の理事の方もおられますから、これはそういうことをはっきりしておいてもらいたい。その上でこの法律の審議全般を考えなければならぬ。
  74. 柴田護

    政府委員柴田護君) その文書そのものにつきましては、そのもの直接からは、先ほど来申し上げておりますように、具体的なことは何も言っておりません。ということは、結局給与改定を行ないます際においても、全般的な経営状態というものを頭に置いて対処しろということを言っているわけでございます。私どもといたしましては、具体的に、御指摘のように、上げるなとか、下げろとか、そういうことを言うべき筋合いのものでもなければ、また、そういうことを明らかにしなければならないとかいうようなものでないと思います。公務員給与の決定方法からいいましても、また、財源の捻出方法からいいましても、そういうことを私どもとしては言うべき筋合いのものではないと考えております。ただし、そういうものをこれからきめていくわけでございますが、きめていく場合におきましても、赤字というものを頭に置いて経営全般というものを見渡してやっていけ、こういうことは言えるわけでございます。そのことを先生おっしゃるように、直接そのものずばりでものを言っているわけではございません。ございませんが、場合によっては、これはもう企業が首が回らぬのだから何ともしようがないというような場合が出てくるかもしれません。そういうようなものにつきましては、いま出てくれはやはり大問題になるでございましょう。その場合にはやはり私どもといたしましてはどうするかということは、企業としては考えなければならぬと思います。
  75. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あなたの言うことはみな私はわかっているのですよ、それは。何べん言っても同じことをあなたがはっきり言われぬから、そんなことでごまかしているのだと思うけれども、私の言うのはそういう全般のことはみなわかっているのですよ。また、組合側の人も知っていますよ。いまの都市交通現状を知っているのですね。いま言ったあなたの文書は今度の給与改定関係があるかどうか。関係があるとすれば、そういうところについて、赤字都市交通関係のところについてはなるべく上げることを押えようというような意図を含んでいるかどうかということを言っているのであって、そういうものでないということになれば――そうかといってどうしても上げろということではないのですよ。これは給与責任者として賃金上げたらつぶれてしまうという企業関係者は上げないですよ。また、上げるようなこともできないと思う。しかし、この文書によって、そういうことを、上げてやりたいのだけれども自治省がこう言っているから、あとでまたしっぺい返しがきたらいけないので、自治省がこう言っているから、おまえらしんぼうしろという材料に使うから、そういうことはないのかということを聞いているのですよ。
  76. 柴田護

    政府委員柴田護君) 大体私がいろいろお答え申し上げることでわかっておられるというか、御了解いただけると思いますけれども、全般的には、何べんも繰り返しになりますけれども一般的な注意の喚起だ、こう御了解になってけっこうだと思います。ただし、それではなぜいまからやるのだというお話もございますから、この際だからやはりもう一ぺん注意を喚起しておく必要があるだろうということから出たものでございます。こういうことでございます。
  77. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あなたわかるんでしょう、どうもぼくは何回尋ねても…立つのがいやになったのですよ。それでぼくは企業者として全部そういうことを考えておるし、組合側もみな知っておる。だからそれによって、今度の給与改定については、そういう特殊な趣旨を考えて出したものでない、しかし、赤字解消とか、経営の健全化ということについては、企業の健全化についてはこれはもう努力しなければいけないという意味で注意を喚起したのだという私は取り方でいいと思うのですよ。それをあなた、ただし、が、というようなそういう接続詞をつけられるから問題がこんがらがってくる、それに違いないですか。
  78. 柴田護

    政府委員柴田護君) あるいは先ほど来の山本委員の御質問があちこち飛びましたので-…全般的な趣旨は、そういう大体お気持でいいと思います。
  79. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ、いいです。
  80. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  81. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記をつけて。  では午後二時に再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時十二分休憩    ――――・――――    午後二時十六分開会
  82. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) これより内閣委員会を再開いたします。  一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案、以上三案を便宜一括して議題とし、休憩前に引き続き質疑を行ないます。  政府より佐藤人事院総裁滝本給与局長平井給与課長小幡防衛庁人事局長が出席いたしております。  質疑のおありのかたは、順次御発言を願います。
  83. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 きのうに引き続きまして、一官一給与の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  その前に簡単なものをひとつお尋ねをいたしておきます。それは今度の人事院勧告の中で三短の措置をとられたというのですが、三カ月昇給期間を短縮する、そういう措置をとられたということがあるわけです。それに該当する人が三十何%あるというわけですけれども、その問題につきましてお尋ねをいたしたいわけです。昨年、勧告または法案によりまして号俸を間引きましたですね、その間引きましたために不利益な取り扱いを受けるところが出てきた。そのために昨年も第一の間引いたところ、そこへまだ入らない者とそれをこした者との間の不均衡を是正するという意味で、三カ月の昇給短縮をやられた。今度はその第二の間引きのところ、これは何と言っていいかわかりませんが、第二節と言うのか、第二関門と言うのか、第二の間引かれたところ、それからそれをこしている者について三短の措置をとられたわけです。そこで、この点についてお尋ねをいたしたいわけですが、これは少しはかり問題があるように思うのですね。それは第三の間引いたところ、第三節と言うのですか、その間引いたところを通過している者、その者は第一の間引いたところにまた入ってこない者からいいますと、三年大体損をしたということになるわけですね。その不均衡を昨年三カ月昇給短縮ということで埋めたわけですが、本年また三ケ月短縮ということで埋めたわけですが、そうしますと、半年も埋めたということになる。残りの二年半というものは残るわけですから、今後、来年も三短の処置というものをとられるのかどうか。この不均衡感というのは非常に残っているのですね。六等級、五等級、四等級というところですね。号俸の上の者ほど不利な取り扱いを俸給表では受けている。その者がこれから新しく出てくる者に対して、三年損をして、やっと今回で半年埋まる、二年半埋まらない、こういう不均衡というものを是正するには、これは来年もおそいところは三短をしなければならないという処置をしなければなるまいと思うのですが、こういう点をどういうふうに人事院は考えておられますか、お尋ねいたします。
  84. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) 昨年三短をやりました理由はいまさら申し上げるまでもないと思いますけれども、要するに、年齢にしまして二十七、八歳前後、その辺のところの昇給速度を早めようという措置であったわけでございます。したがいまして、考えようによっては、それだけの措置をやってもよろしいわけでありまして、別に三短をしなくてもいいという考え方もあり得るわけでございます。ところが、やはりそうはいっても、三短の第三節を経過いたしまする場合には、将来、今後そこに通ってくる者が従来の者に比べて三年相対的には得をするということになりますので、御指摘のように不均衡感という問題も考えまして、昨年は三短をやったという次第でございます。ところで、これは昨年で一応ケリのついた話ではございまするけれども、本年の勧告にあたりましても、これは俸給表のつくり方にもよろうと思いまするが、やはり今回の俸給表のできから申しますると、去年は一節通過するということが二年目になると二度、そういう問題が起こってくるという現象もございまするので、今年の場合といたしましては、やはりそこはもう一ぺん三短をするほうがより適当であろう、こういう観点に立ちまして縮小をやったわけであります。来年それでは同じようなことをやるのかという御質問でございまするが、これは場合によったらやるようになるかもしれません。しかしこの問題は、やはり俸給表の構造あるいは昇給間差額をどういうふうにつくっていくかという問題とも関連いたす問題でございますので、これは今後の検討問題である、場合によったらそういうことはあるかもしれない、現在はこのように考えております。
  85. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 今度の、私さきに申し上げた第三節目を通っている者、それはこれから入ってくる者からいうと三年の損失がある。今回の三短、去年の三短によって半年埋まった、あと二年半は残るわけです。しからば今度の俸給表の作成にあたりまして、そういう問題について配慮を払われているのか、幾らかの配慮が払われているのかということになりますと、私の見た限りにおいてはこの俸給号俸の間差についてはそういうような細心の注意は払われていないように思うのです。そういたしますと、これはやはり二年半のおくれというか、不均衡感というものはできるだけ是正をしなければならないと私は思うのですが、ですから、いま局長が来年もそういうことを考えることになるかもしれないというお話ですが、これはあいまいなことになりますと困りますので、そこの点をはっきりできる、たけそういう問題についての配慮を払ってもらわなければ困ると私は思うのです。あるいは局長としては、これは第三節を通っている者あるいは第二節を通っている者、そういう者は昇給が幾らかおくれたってかまわないのだというお考えが、あるいは追いつかれてもかまわないのだというお考えがあるかもしれない。しかしながら、いまの俸給表と任用制度とをからみ合わせた場合に、そういうことがなかなか人事院としては一がいには私は言い切れないと思うのですよ。その限りにおいて、これはやはりその不利益な取り扱いというものは考えなければならないと私は思います。ですから、そこのところをもう少し検討をしたいというような形にしてもらいたい。やるということで検討したいと….o
  86. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) ことしの俸給表をごらんいただきましても、われわれがある程度の配慮を加えておるということは、これは御承知願えるところだろうと思うのであります。ところで、過去の経緯はいざ知らず、でき上がりました俸給表を見まして、一つの等級の中で三短をやった結果ことし多少の是正をやったのでありまするけれども一つの等級の中で昇給速度の非常に速い部分とそれからそうでない部分が現在ございます。こういう形は、これは一つの等級としては必ずしもいいものとは思っておりません。したがいまして、そういう問題につきまして今後考えなければならぬという問題が当然ございます。ところが、それもなかなか前後の関係とかいろいろなことを考えますと、なかなか思うように俸給表の是正というものが一回限りで是正できないかもしれないというような問題が当然ございます。そこで、いまお示しの考え方というものは、われわれとしては当然これは重視してその問題を考えなければならぬ。やり方がどうなるかというようなことまでは今後のことでございまするので、いまここではっきり申し上げる――そこまで検討が進んでおるわけでもございませんので、御指摘のような点は十分考慮に入れてやらなければならぬということは当然考えております。
  87. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この間、間引かなかったところですね、二等級、三等級というところは間引かなかったのですが、これは二等級、三等級も今回は三短をされるわけですね。ですから、そういうことになりますと、これはやはり私がそういうことを申し上げるのは、四等と三等との間に大きな段差がありますが、七等と六等との間の段差あるいは五等と六等、五等と四等の段差というものは大体八千円くらいなんです。ところが、四等と三等との間は一万七、八千円の段差、非常に段差がこの四等と三等との間にはついておるわけです。その意味で私は三等、二等についてそういうような三カ月の配慮が払われるということになりますと、これは四等なり五等なり六等なりというところについてはもっと親切な配慮が払われなければならない、それでなければ均衡をおそろしく失すると思います。したがいまして、いまの局長の答弁によりまして私は了承いたしますが、よろしくそういう不均衡感というものをやはりできるだけなくしていくということでぜひひとつ御努力を願いたいと思います。総裁よろしゅうございますか。
  88. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 承りました。そのとおりに考えます。
  89. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そこで、次にきのう問題にいたしました一官一給与制度ですね。この問題についてきのう話を聞いた限りではどうもはっきりしないし、私自身も誤解をする、あるいは誤解をしそうな懸念もいたします。ですから、重ねましてこの問題について明らかにしなければならないという、ふうに思いますが、これは事務次官を一官一給与という制度にするというそのことが一等級全体に波及していくということですね。それは局長が答弁になったように、一等の者についてその職務と責任の問題について評価がえを検討しておるということでありますからして、したがいまして、その一等全体にこの事務次官の一官一給与制度というものが波及する、これは明らかであります。それから二等級にこれが波及したということも明らかだと思うんです。それから三等級にこれが波及をしたということも明らかだと思うんです。ところが、問題はその三等級でぽっつりと切れてしまい、それで終わりというきのうまでの答弁による私の判断はそういうふうに判断をしたわけです。そこで、この問題についてお尋ねをいたしたいわけですが、一つはこの評価がえをするということ。その評価がえをするということは、これは実際は一号なり二号なりアップになるということになるだろうと思うんです、私の評価は、私の考え方は。というのは、局長おっしゃるように、職務と責任によって給与を支給している、それを再評価するというのでありますから、評価し直すというのだから、評価し直すということであれは、これは号俸が上がるというふうに見なければならぬと思うのであります。その点は私は、評価がえするんだからそれで差しつかえないんじゃないかというお感じをお持ちになるかもしれません。しかし、本来一等級の指定の号俸というものは、御承知のとおり、昇給制度というものはないんであります。昇給制度はないからして、事務次官なら次務次官、あるいは外局長官なら外局長官になった者は、二年おろうと三年おろうと五年おろうと、昇給制度というものはない。その点が今回の評価がえによって実質的には一種の昇給というものになるんではないか。それは従来の人事院の一等級に対する考え方の変更ではないか。その変更の理由づけは職務と責任の評価をし直すという言葉によって逃げようとしておられると思うのです。私はそう思うのでありますが、そこで、その点について人事院の答弁をいただきたいと思うのです。
  90. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) 昨日も御質問に答えてお答え申したと思うのでありまするが、現在給与法におきまして二等級以下というものは官民比較の対象にいたしております。ところで、一等級という官職になってまいりますると、これは現在のところ、官民比較の対象にいたしておりません。そこでこの一等級の号俸金額というものは、これは二等級以下との均衡、また、そういう一等級の官職というものは、まあ公務員におきまする一般職の官職における最上級に属する官職でございますので、当然特別職との見合いを考えながらこれはきめていったという経緯がございます。従来、言うなれば、一等級辺の引き上げということが多少おくれがちであったというような経緯も、これは過去においてございます。そこで、二等級の人々が、これは二等級以下は昇給制度がございまするから、したがって、二等級になりますると、まあ勤務成績良好な、普通の勤務をいたしておりますると昇給で上がっていくわけでございます。ところが、お示しのように、一等級におきましては指定号俸ということになっておりますが、二等級の金額とあまり大差がないというのが現状でございまするので、多少一等級のほうが高いんですけれども、その差があまり大きくないということで、これは一等級の指定、たとえば病院の院長を一等級初号と指定する場合、そういう方々が二等級におるよりもかえって低くなるというような現象が起きてまいります。そこで、給与法六条の二に基づきまして一等級の号俸の指定がえということを現在やっておるのでございます。その結果、大体二等級以下の昇給と同様の運営を現実にやっております。ところが、この指定がえ制度におきましては、上位号俸になるにしたがって指定がえ期間が長くなっておりまして、で、二等級以下とは若干趣を異にしております。ところが、そういう状況になっておりましても、なおかつ一等級初号指定の人が非常に長年月在職されまする場合には五号になり六号になりというような状況になっておるのが現在の実情でございます。したがいまして、御指摘のように、たとえば外局の長官のすべての人が一等級二号に現在おるというわけではございません。また、同じく次官につきましても、一等級の五号俸にすべての次官がいるわけではございません。そういう現在の状況でございます。  そこで、今回は、やはり一等級の最高の官職ともなりますれば、職務と責任という面は当然重視さるべきでございまするので、そういうふうに在職年数によって号俸が上がっていく、一等級の中において-という制度は必ずしも好ましくないという観点から、次官という行政府内におきます最高官職につきましては、そういう昇給制度まがいの指定がえという制度はもうやめにして、そうして幾ら長く在職しようが、その金額ずばりだという方式にするのが適当であるという、こういう考え方から次官の特号俸というものを新設いたしたい、このように考えておる次第でございます。
  91. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私はいま指定がえを、指定がえじゃない、一官一給与に次官をされたということを起点にしていろいろな波及が行なわれたその問題についていま伺っているわけです。ですから、一等級につきましてそれ以外の人たち、一等級に在職しておられるそれ以外の人たちが六十何名かいますね。それ以外の人が指定がえになるということによって俸給が上がるということになるだろうと思うのです。それは今回は上がらないけれども、近いうちに上がるだろうと思う。そういたしますと、私が疑問に思いますのは、まあやはり二等、三等というところも一そういう傾向が出てきますね。二等、三等にもそういう傾向が出てきますが、四等以下にもあります。四等以下におきましては、今回は今回のベース改定で上がる。ところが、一等、二等、三等級になりますと、特に明確に全体的で言えるのは、一等級ですが、一等級の場合は、今回のベース改定によって八%くらい上がるのだが、それ以外の指定がえをすることによって一号、二号上がる。二重にベース改定をやらなければならない。二重に上げなければならない、こういう措置になるわけですね。そういう、ふうに受け取ってよろしゅうございますか。  それからもう一つ。局長がいまおっしゃったのは、二等におる者には昇給制度がある。一等におる者は昇給制度がない。したがって、二等級におる者は長年おるということになると、一等の者よりも月給が多くなるという傾向があると。これはそういう傾向は四等、だって五等だってあるのですよ。四等の者でも、四等と五等の者とをとってみた場合に、五等の者は確かに規定はされてはおりません。昇給制度はありますけれども。しかしながら、これはいろいろ公務員全体を考えた場合にはやかましい問題なんです。ですから、そういう配慮も、やはり私は一等級と二等級との関係についてそういう配慮をなさるなら、当然四等級以下についてもそういう配慮がなされないと、これは著しい片手一落ちであると私は思うわけです。ですが、これはあとでもいろいろ伺いますけれども、いま私がお伺いしているのは、一等級については、ベース改定によって上がる、それから指定号俸をかえることによって、それによってまた一号か、二号俸上がる、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  92. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) 次官が十六万ということになってまいりますると、現在次官の指定号俸は一等級五号俸でございますが、この一等級内におきます最初の指定号俸の関係から申しますると、外局の長官が二号俸、国立大学のある学長の方々が三号俸である。一等級内におきまする指定のバランス問題があるわけでございます。そこで今回は、次官以上の、現在、指定号俸を受けておられる七大学につきまして同じく特号俸に出したのでありまするけれども、大学のところについてみますると、やはり学長であるということについて変わりはない、職務と責任の重さというようなものが違いがあるというようなことで、現在でも、八号指定、六号指定というようなことになりますけれども、その下の四号指定あるいはそれ以下の指定になりましても、これはやはりそういう関係というものは卒然と断ち切って、七大学だけが高くてよろしいというわけにはまいらないわけでございます。そこで給与上やはりそういうところのバランスをはかる必要がございまするので、したがって、一等級の指定号俸――特号でない一等級の指定号俸というものは、特号俸新設に伴いまして、それとのバランスをとりまするために、最小限度の号俸の指定がえをやらなければ均衡がとれない、このように考えております。そこで、結果的には御指摘のような結果に相なろうかと思います。
  93. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 その点については、私のほうとしては答弁としては満足であります。それがいいか悪いかは別にいたしまして、答弁としては承知をいたします。  そこで一号か二号上がるということになるのですが、その指定がえというのは、これは人事院指令か人事院規則でできるのですか。
  94. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) これは人事院指令で行なうことになります。
  95. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 次にお尋ねいたしたいのは、二等級の局長――本来は局長は二等級なんだけれども、重要だとかということで一等級になっている人がおるわけですね。これは暫定定数でやっているわけですね、本人限りで、本人やめたらその定数はなくなる、本人限り属人的なものです。そういう暫定定数になっているわけですが、今回、その中で相当数のものが定員によってなるということになるというお話を、きのう答弁があったわけです。それは一課長も、課長というのは三等級なんだけれども、しかしながら、主要課長ということで、暫定で二等級にいるものが相当出ている。それらの中でも正式に定員として二等級の課長になる、こういうお話でした。そしてそれは、人事院の昇給、昇格の基準、人事院規則の九の八、これの標準職務表というものを変えないでもできるのではないかというようなお話でありましたが、私は、九の八の等級別の標準職務表、これは変えなければできない。二等級というのは、「本省の局長若しくは」と、こういう、ふうにぴしりと指定してありますから、解釈の余地なしです。ですから、暫定ならまあともかくとして、正式に定員として一等級になるなら、一等級の中に何らかのものを入れない限りにおいては、この表からは出てこない。少なくとも一等級、二等級、三等級というところは拡大解釈の余地なし。四等級以下になりますと、これは解釈できる、わりあいと柔軟な形になっておりますが、しかしながら、少なくとも三等級以上については、いま私が言うように、これはこの標準職務表というものを変えなければできないと、私は思います。きのうも私伺ったのですが、この三等級以上についてはそういう措置をするけれども、四等級以下については、それはむずかしいというお話でありますが、この表から受けるはっきりした考え方は、四等以下こそかえなくてもできる。解釈によってできる。三等以上についてはこれはかえなければできない。鮮明に規定してある。鮮明に規定したところはあいまいにして、弾力的に解釈できるところをかえないという言い方は私としては不可解だ。ですからこれはかえるのか、かえないのか、その点をお伺いします。
  96. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) ただいまお示しの別表と申しますものは、九-八の人事院規則にございます別表でございます。そこでこの別表はこの人事院規則九の八の三というものに規定してございまして、俸給表に定める職務の等級の分類の基準となるべき標準的な職務の内容は、別表に定める、こういうふうに本文で規定してあるわけでございます。したがいまして、あくまでこれは標準的な例示であるというふうにわれわれは考えております。したがいまして、昨日申し上げましたように、このままでもいけるのではなかろうかということも考えているということを申し上げたのでありますが、昨日もしかし絶対にそれでいくんだということは申し上げていないわけであります。そこで、いま私が申し上げたようなことはございますけれども、別表だけ見ますと、御指摘のような疑問は当然これは起きてくる問題であろうと思いますので、まあ昨日もこれをこの別表を変えることについて検討はしているということを申し上げたのでありますけれども、本日は重ねてはっきりとこれをむしろ検討する、改正するような方向で検討するということを申し上げたいと思います。
  97. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私は、今回のこの事務次官の一官一給与制度の新しい新設をすることが、いまの一般職公務員給与法体系について全く異質なものを持ち込んでくるということからいろいろの疑惑疑念が起こってくるわけですが、それはあとのことにいたしまして、そのことによって一等級から二等級、三等級まではっきり波及するという点はきのうの答弁にもありましたし、本日も明らかに局長の答弁されたところであります。そこで私は、なぜこういうことになるのかという点であります。きのう私はそういうめんどうなことをしないで、次官を上げたかったら上げたらいいじゃないか、あるいは二等級ですか、上げたかったら上げたらいいじゃないかという質問をいたしましたら、これについて局長の答弁がありました。私もちょっと考えてみましたら、なるほど少なくとも今の人事院がやっております一般職給与のきめ方、その点からいえば、二等級、一等級を上げる理由がない。ないといっていい。上げる理由はない。したがって、一官一給与制度というものを事務次官のところを取り上げて非常に全く異質なものは持ち込んで、それによって一等級全体にそれから二等級、三等級まで波及させることによって、九九%の公務員を除外して、そこの一%だけをそういう措置によって上げようという考え方だと私は判断をいたします。私はそういうやり方によって公務員給与の問題解決しない。きのうもおとといも私ここで主張いたしましたが、今の公務員給与のきめ方では、三等級、二等級、一等級というのは上がらない。それをそれの逃げ道をいまの事務次官を一等級、一官一給与という制度によって逃げようとしておられる。それを逃げないで、それによって全体の公務員をこういう方向で今後考えていくということをやればよろしい。私はこの点は根本的に人事院が反省をしなければならないというふうに思います。私はきのうも主張いたしましたが、官民比較によって給与の仕方すらすでに重大な破綻がきているじゃないか、三等級については、五十人以上の企業を調べるのだけれども、二等級だけについては、五百人以上の企業と比較しているのではないか、これも完全な破綻ではないか、そもそも五十人以上の企業を調査して、公務員の給料を云々することの端的な破綻というものは、二等級にりっぱにあらわれている。それは決して二等級だけにその破綻が出ているのじゃないのです。三等も四等も五等も六等も破綻が出ている。それのびぼう策をやられるなら、私は腹をきめて公務員全体にこれはやはり逐次考えていかなければならぬという方針を明らかにいたしてもらわなければどうも私はこの給与考え方について納得できない。一等級は官民比較は省いている。これはそうですよ。省かなければ処置できないでしょう。いまの給与法の仕方では。しかしながら、一等級を頂点として公務員というものはできている。一等級を官民比較からそれを省かなければならなくなっている。しかも二等級すらすでに省こうとしている。りっぱにこれは省けます。私はそう思う。そういうやり方で公務員給与を考えてもらっては困る。ただし、私はそういう考え方が逐次全体にやはり及んでいくんだ、そして公務員給与に対して善処をしたいという考え方があるなら、これはまた私の根本的な主張に合致する。そこのところは、どうですか。
  98. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 根本問題にかかわってのお話でございますが、私としては前回もここで申しましたように、職務と責任との関連ということが公務員法の給与関係を貫いての基本原則であろう、こういう認識に立ってまいっておるわけであります。いままでの俸給表あるいはこの標準職務表などをごらんになっても、これはやはりいま申しました公務員法上、給与法上の職務と責任という大原則にはこれはまさに合致しておるだろうと思います。その合致のしかたが非常に幅の広い合致のしかたをしております。ところで、先ほど、前回申しましたように、事務次官というような一つのポストをとらえてみますと、これはもう職務と責任というものがきわめてはっきりしておるということから、これを特定の号俸にすることはむしろその面からは筋ではないかということが一つ。もう一つは、しからば従来の給与のままでいいかどうか、これも一ただいまお話のいままでの給与よりはもうちょっと上げてよかろう。これは実質的な問題が出てまいります。そうすると、これまた前回申しましたように、大臣を補佐する行政部内の最高の機関である。最高の機関である事務次官が従来の給与のままではたしていいか、どうかという判定が加わりまして、このような十六万円という数が出た。これは大学の学長についても同じ原理でありまして、そういう意味でこれをつくって、したがって、いま腹をきめてとおっしゃいましたが、腹をきめたのは、現在御提案申し上げている特号俸の関係においては腹をきめました。こういうことでございます。
  99. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 一官一給与制度の問題で、私はいま総裁に御理解いただくように、局長との間の応答を通じて御理解をいただくように質問をしたわけです、局長に。しかしながら、私の質問の趣旨と食い違っているのですね。私はこの事務次官のところをいま問題にしているのじゃないのです。その事務次官の問題が一等級全体に明確に反映したのじゃないか。反映のしかたは何かといえば、それは今回ベース改定で上げるけれども、さらに評価がえによって、指定がえによってまた一号、二号上がる。また、二重の上がり方を示す。そういう形であらわれている。それが二等級にもあらわれますし、三等級の中にもあらわれてくる。そういう形で公務員賃金を処理していかれようとしているのかどうか、私はそういうお話でありますと、話が違う。ですから、それは私はこれはもう総裁答弁の余地ないですよ。答弁の余地ありませんから聞きませんが、ただ一等級の次官以外の者、それを指定がえするわけですよ。その際一号、二号と上、かります。指定がえすれば、上がらなければ評価がえにならぬですから、前よりも下げて評価するわけにいかないから、上げて評価する。そうすると、一号、二号上がると見なければならない。そのことは二等級に当然波及する。きのうもそういうことをおっしゃった。ですから、その場合に、私は、総裁は事務次官だけ言っておられるけれども事務次官の評価は非常に把握しやすいし、明確だ。しかし、今度は一等級のそのほかの指定号俸の人たちも評価がえするわけです。これもはっきりしておるとおっしゃる。二等級だってそう、三等級だって、本省の課長の中の主要課長というのは評価がえできるとおっしゃっている。それが根本的に間違いだ。どうも局長の頭から見てその局長なり、次長なりが総裁の頭から見れは事務次官の権限とかなんとか、働きぐあいとか明確に把握できるけれども、しかしながら、四等や五等や六等はどうかというと目が届いていないのです。本来その仲間同士の間でははっきりしている。あなた方見てはっきりしていると同じように、四等なり五等の間の仲間でそれははっきりしている。もともと人事行政ということはある程度科学性を持っておるならば、それは少なくともすみずみまでその点が明らかになっていなきゃならぬ。上だけ見てはっきりしている、下のほうは把握しにくい、わからない、こういうお話では、これは問題がある。ですから、私はきのう局長が答弁になりましたが、三等以下についてはなかなか評価がむずかしいというお話ですが、そもそも本来間違いだ。困難な事情にありますというのならわかります。それは、いままでの人事院のあるいは国の人事行政というものが科学的でなかった。しかし、それは努力をしてはっきりしていかなきゃならぬ。そういう努力の中から私は一等級、二等級、三等級と同じような措置を四等以下についても行なうべきだ。国家公務員法の根本精神に反しますよ。きわめて不平等な取り扱い。いかがでございましょう、そういう努力が要るということ。
  100. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) もとより御指摘のように、国家公務員の中におきまして公平な取り扱いということは当然われわれ常時考えていかなきゃならぬことであります。ところで、いま、問題を一等級の指定がえから波及しての御議論がございましたけれども、われわれ現に全体の公務員の処遇につきましては、これは勧告はもとよりまた等級別定数の政定のそれを通じましてたえずその問題を考えておるのであります。ところで、たとえば四等級以下につきましても官職の内容等が非常にはっきりしておるものにつきましては、従来とてもこれは三等級に出しておるというような例がございます。これは皆無ではございません。そういう努力はいたしておるのであります。ただ昨日も申し上げましたように、今回の措置としては、これは局長の中の重要局長というようなものの、把握し得る程度、まあ課長補佐の中で特にどのポストが高いというようなことを把握する程度に困難性の違いがございます。したがいまして、今回一応やる措置としては課長の中のごく少数につきましてポストが明確なものは標準化しようということでありまするが、今後におきましても、四等級以下につきましても御指摘のような努力をしないということではございません。これはやはり明確なものは過去においても三等級に上げておるという例がございますので、そういう方法でやる。また、下位等級になりますると非常に数が多い問題でございまするし、いまここで申し上げる必要もございませんが、われわれ、等級別定数改定におきまして圧倒的多数の改定を行なっておりますのは下位等級でございます。そういうことも下位等級に配慮をいたしておる。こういうことも両者あわせまして今後十分検討してまいりたいと、このように考えます。
  101. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 大臣が顔を出してこられましたが、ちょうどいまさなかでありまして恐縮ですけれども、しばらく……  これは今回の事務次官、これはもうここでは問題にしませんが、そのことによって一等級、二等級、三等級の措置は、これは根本的な措置です。いままでの努力とかなんとかいう問題ではない、根本的な措置。その根本的な措置というものをこれから四等、五等の間の困難性はあるけれども、四等以下の問題についてもそういう根本的な措置をとっていく、こういう答弁になりますか。
  102. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) 大筋におきましてはそういうことになります。私が申し上げておりまするように、下位等級になりますると特定のポストを評価するというのが非常にむずかしい場合が多いのでございまするから、先ほど申し上げましたように、そういうことが分明になりますものにつきましては、これは考えてまいりまするし、また、下位等級の優遇につきましては、これは下位の中における相対的上位の等級をふやして優遇する、いろいろあわせて上下のバランスをとってまいりたい、こういうことでございます。
  103. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 質疑の途中でございますが、大橋国務大臣、福田防衛庁長官、田中大蔵大臣岡田公務員制度調査室長が出席されましたので、御報告いたします。
  104. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 重ねて、この問題は非常に重要な問題でありまして、私は一官一給与というのをうっかりしておって、きのうどたんばになってこれはえらい話だなと思いまして、あわてておるわけですから、ですから時間が少し足りないといううらみがあって残念に思っておりますが、これは人事院もよく御承知のとおり、あるいは私も各省の中でいろいろ聞いてみましても、今日四等の班長とか五等の係長というところ、こういうところは、これは御承知のとおり、ここはかつての班長、係長よりも十歳くらい年齢上になっているのです。その知識と経験というものは、これは絶好の、いま本人にとっても絶好のところにきている、その人たちが五等、六等というところで、いま苦心惨たんしておるわけです。いまの公務員給与あるいは公務員の行政運営上の最も大きな難点ではないでしょうか。それは政府が悩み、人事院が悩んでおることは承知しておりますが、十年も年取ってしまっている。普通でいう係長よりも班長よりも十歳くらい上になっておる。予算は非常に膨大にふえまして、仕事も非常に多岐多端にわたってふえておる、その中でこれは四等、五等にとっては最もいい年齢、スタミナといい能力といい判断力、推理力、いまや政府は最大の行政能力をあげていると私どもは思っております、最も安い給与で。ここのところ一番多いのです。六等級、五等級、四等級というところが最も多いのです、 これは。そういうものに対して配慮が払われない。今後幾らかやっていくような話ですが、ちょっとはかり腹の据えどころがきわめて弱い。私はもしこの問題を解決しないということになればもっと本格的にやりたいのです。きのうこれは私は人事院がつくっている生計費と四等、五等、六等のところの俸給表との関係をはっきりさした、七千円以下一番低いんじゃないか。官民等級の場合においても十年も実際に下のものと比較しているんじゃないか。そのことがいかに公務員賃金を、特に結婚する年齢、子供が三人できるという年齢のところがどんなに低いかということをはっきりさしている。それが四等、五等、六等のところです。ここへまた人間がこぶになって集まっている。これは決して人事院だけで解決する問題ではないと思っておりますが、しかしながら何といいましても、やはり問題は給与です。ですから私は今回事務次官を頂点にして一等、二等、三等のところに思い切った措置をとられる、そのとり方をぜひとも四等から以下のものについてもやるべきだ、その基本的な考え方を総裁にぜひとも伺っておきたい。滝本さんでなくて総裁に伺っておきたい。
  105. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 次官等につきまして特号俸というものを設けました趣旨は先ほども申し上げましたとおりでありますが、今回の措置について申しますと、特号俸というものを設けるということと、それから次官の職務と責任に応じて従来の給与より上げておるのです。給与の面において実質的に上げているという二つの要素があると思うのであります。ところが、この特号俸としてこの給与を特定するということは、そのこと自体は何ら賃上げの要素は全然含んでおらない。ただ幅をきめ、一俸号なら一号俸にきめてしまう。二号俸なら二号俸にきめてしまう。そういう性格のものであろう。したがいまして、その職務と責任の度合いがはっきりしておるものについては、特号俸的な考え方においてこれを固定していく必要があるだろう。しかし、それとその実質の給与の額を上げるか上げないかというのは、私は完全に理論的には別問題だ。それがたまたま今度の場合は結びつきました。しかし、先ほどおっしゃいますように、ずっと四等以下五等、六等という辺にまでこういうことで特定できるのじゃないかというようなおことばもちょっと見えましたけれども、これは職務と責任のつかまえ力から言ってまだ特定はできません。したがって、この種の扱い方はまだ困難である。まだと申しますか、とうてい困難であるといったほうが率直であるかもしれませんが、それは困難。しかし、実質の給与の面の待遇をどうするか。これは二元的に考えるとこれは別の問題ですから、その点について先ほどから給与局長るる申し上げておりますとおり、この四等級、五等級につきましても、あるいは暫定の級別その他の措置によって逐次考えてきておりますし、その点は今後も考えなければいけない。そういうことじゃないかと私は思います。
  106. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 総裁は何べん言ってもよく御理解いただけないですね。私は次官のところを特定したと言っておるのではないのです。一等級の評価がえをなさるという。二等級も評価がえをするという。三等級の中でも評価がえをするものが出てくるという、それを言っておるんです。特定したということを言っておるんじゃないのです。次官が特定したということを反対しているのでもないのです。そうではなくて、それとの関連において一等級の指定がえをやられる。評価がえをやられる。二等級の中でも評価がえをされる。三等のところも評価がえをされる。そのことは従来の公務員給与体系からいうならば、給与考え方からいえば、これは根本的な措置である。そういうものを冠は指摘しているんです。局長どうですか。どうも総裁そこのところどうも、私は。
  107. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 評価がえという言葉の定義の問題は、またこれは別でありますけれども、先ほど来私どもの申しておりますのは、また次官のことを言って恐縮でありますけれども、次官ははっきり特定いたしました。なお、その趣旨で従来の一等級の中を見ますというと、相当煮詰めて考え得るものがあるでしょう。そういう意味でこの号俸の幅を多少縮める。あるいは次官が十六万円になった以上は、それにつないだ形で持っていくものもありましょう。という点での操作をして、それが二等あるいは三等まで及ぶ。こういうことです。
  108. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 どうもはっきりしないから時間をとるのですが、その点は私は給与についての根本的な考え方があると思うのですよ。ですからそのままかりに総裁おっしゃるように、四等、五等、六等というころは、なかなかむずかしいと、なかなか現実はむずかしい点もあります。しかしながら、総裁なり局長考えて、一等級、二等、三等が評価がえができるという程度に、四等級のものにとっていえば、はっきりしているんですよ。五等級にとってもはっきりしている。そのことはいまの人事行政なり、政府の人事行政というものが科学的に行なわれていない面が相当強いからむずかしい。しかし、むずかしいけれども一、その点はやはり一等、二等、三等にとられたような措置がとられていかなければならないじゃないかということを主張しましたら、局長はおおむねそういうことだという話なんです。そういうことでよろしゅうございましょうか、総裁。
  109. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 一等級、二等級等につきましてはいま申しましたようなことでありますが、この五、六、七等におきましても、われわれのほうで考えますのは、とにかく実質的にその等級におられる公務員諸君の不利益にならないようにという点を考えておるわけで、今後もその趣旨で十分考慮を続けていくわけでありますから、実質の問題としてお考えいただければその辺は御安心いただけるんじゃないか、こういうことであります。
  110. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  111. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記をつけて。
  112. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 実は、十六日から当委員会相当給与法について審議を深められたようでありますが、給与三案のうち、一般職については相当やられたと思うのですが、防衛庁関係特別職についてはあまり触れておられないと思うのです。しかし、もうきょう一日の特別国会ですから、しかも、予算委員会で、また、ここに来てあまり長くやるとどうかと思いますが、急所だけひとつお聞きしておきたいと思うのです。  それで、これは大蔵大臣、私は別に小さいことをほじくり出してどうこうというわけではありませんが、大蔵大臣予算委員会の御答弁で、今度かりに五月までこれを遡及すると、地方公務員を含めて千億程度要るんだという御答弁をされたと思うのです。大臣としてはそれくらいの答弁はまあいいと思うのですが、先ほど克明に当局に聞きますと、国家公務員の場合は三百九十億ということであります。それから地方公務員の場合は、自治省財政局長来てもらってやると三百億、それがネットの数字らしいのです。そうすると六百九十億、約七百億でございますから、しかし、財政関係からいくと、いわゆる給与を引き上げたらはね返りが必ず所得税に出てきます。そういうことを見ると、実質的に国の財政負担というのは私は五百億程度でなかろうかと思うのです。その点は、これはまあ責めるわけじゃないんですが、ひとつ認識をしていただきたいと思いますが、私の言ったことが間違いであれは教えてもらいたいと思います。
  113. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 三十八年十月一日から引き上げた場合、一般公務員で二百八十一億、特別公務員で二十八億、地方公務員で三百八十九億、合計六百九十八億でありますが、これを三十八年の五月、いわゆる十一カ月分を見ますと、一般公務員が四百四十六億、特別公務員が四十三億、地方公務員が五百九十九億、合計千八十八億という数字を申し上げておるわけであります。
  114. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 さっきこれは相当確かめたんですが、こういう数字の食い違いがある。先ほど確かに私は二人の局長に聞いたのですが、議事録を調べてみれはわかるのですが、どうも政府答弁がそういう食い違いがあると、われわれとしてはどれを信じていいかわからないのですが、たびたび再々繰り返して聞いたのですが、私の聞いたのは、いわゆる現業と申しますか、官庁を除いて三百九十億ということを聞いておるのです。この点はどうなんですか。数字をちょっとはっきりしてください。先ほど答弁した人おらぬですか。
  115. 岡田勝二

    政府委員岡田勝二君) 午前私がお答え申し上げました三百九十億と申しますのは、五月から実施した場合と十月から実施した場合の差額が三百九十億でありまして、それは国、地方を合わせたものである、こういう趣旨を申し上げたつもりでございます。
  116. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 いやそれなんです。あなたが、五月に遡及すると約千億ほどのものがまた要るんだと、こういう答弁だと思うんですがね、そうじゃないですか。
  117. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) いま差っ引き計算をやっているわけじゃありません。政府は現在国会に審議を求めておりますのは六百九十八億案で審議を求めておるわけであります。ところが、十月一日の政府案よりも、五月一日に勧告を受けておるのだから、五月一日のほうがよりよろしいというのが山本さんのお話でございます。ですから、すなおにとれば三十八年十月一日からでも六百九十八億かかりますから、五月一日から施行すれば千八十八億もかかりますので、これはもう財政上たいへんでございますと、こう答えておるわけでございます。
  118. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それは答弁の魔術と申しましょうか、あのときの印象では、われわれは五月に遡及したら幾らよけいに要るのだ、こういうたたみ込んだ質問に対する答えだから、われわれ一々調べていないから、受ける印象では実はそういう印象なんです。だから僕のほうは、あんたはそうでないと思って答弁しているかもしれないが、印象はそうなっているというので、実はいま問い返したのですから、別にこれは他意ないのです。わかります。数字はわかります。  それでひとつきょうは特別職について聞いておきたいと思う。これは大蔵省所管ですから、特別職の実は給与のきめ方の基本については、昨日給与局長、大蔵省の給与課長から若干聞きましたが、どうも私はわからない。一体特別職給与の基準をきめるのにどういうことできめておるのかということについて何とか言われましたけれども、この点もう一回ひとつ聞かしていただきたいと思います。
  119. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) 特別職給与改定の基準について昨日御説明申し上げたところをもう一度御説明申し上げます。  今回の特別職給与改定につきましては、いろいろ契機となったところがあるわけでございますが、その第一の点は、事務次官と政務次官の給与関係でございます。御承知のように、事務次官と政務次官の関係は、従来ここ過去十年以来大体事務次官と政務次官とのバランスを考えながら、おおむね政務次官が一割程度高いというかっこうで推移してまいったわけでございます。また、その職務の内容からいたしましても、事務次官が事務について、政務次官が政務について大臣を補佐する立場にあるわけでございますから、さほどの給与差があってしかるべきものでもございませんし、当然ある程度のバランスが考慮さるべきものであると考えておるわけでございます。  ところで、今回の人事院勧告によりまして、事務次官につきまして特別職給与体系のもとに十六万円という金額が設定されたのでありますが、御承知のように、政務次官につきましては、現行給与におきましては十四万円と定められておりまして、その間に逆転を生ずるわけでございます。先ほど申し上げましたように、大体政務次官が一割程度高いという従来のバランスからいきまして、政務次官を十八万円程度に引き上げる必要が当然生じてまいるわけでございます。かたがた御承知のように国会議員の給与につきましては、昭和二十七年以来政務次官と同額という形で推移してまいったわけでございますが、本年四月の議員歳費等の法律改正によりまして十四万円から十八万円に引き上げておられる。この場合におきまして政務次官の俸給というものは、政務次官が議員の出身者をもって占められておる現実からいたしまして、過去と同様大体バランスのとれたものにする必要があるであろう、そういった点を考えますと、この点からも政務次官の給与を十八万円程度に引き上げる必要があるわけでございます。  一つ改定の柱はいま申し上げたところにあるわけでございますが、一方におきまして、従来から内閣総理大臣国務大臣等の給与につきましては、政府関係機関役員給与とのバランスがくずれているとか、あるいは民間給与等から見てやや低きに失するのではないかという御意見がありまして、このような点を考えまして職務と責任を勘案しながら、かつまた、諸外国の事例とか、あるいは政府関係機関の役員給与ないしは民間の役員給与等を勘案して、この際かなり大幅の引き上げを行なったわけでございます。もとよりこれらの官職の職務と責任の具体的金額にどのように表示するかということは、なかなか基準のむずかしいところでございまして、客観的に申しますならば、きわめて大ざっぱな数字できめているということは言わざるを得ないかと思います。いま申し上げたように、内閣総理大臣並びに国務大臣給与をそういった観点でやや大ざっぱな感じはございますが、四十万円並びに三十万円ときめました。一方では、政務次官について十八万円ときめたわけでございますが、その間の官職については、両者の機関のバランスを考えながら、それぞれしかるべき金額を設定いたしました。また、十八万円未満の金額を受けておる特別職、たとえば各委員会委員等につきましては、事務次官の引き上げ率、政務次官の引き上げ率ないしは一等級の引き上げ率というようなものを勘案しながらバランスをとって設定いたした、これが基本的な改定考え方でございます。
  120. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 具体的な例を言われましたのですが、この特別職ベースアップと申しますか、給与改定の歴史を見ますると、非常に上になったり下になったりというようなものが表にあらわれておるのですね。したがって、私が基本的な考え方を聞きたいというのは、いま言われたの、今度は次官が一官一給与制になって十六万円に上げたということがいまも強調されたのですが、そうすると、先ほど鶴園君が質問されましたこの一官一給与制にした次官というこの特別的な扱いというものは、特別職給与改定にも基準としてあらわれてきたということですか。
  121. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) 確かに一つの基準としては取り上げております。
  122. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、どうもぼくらは理解できない。これは全部は時間がないから言いませんが、昭和二十七年十一月現在では、検査官、人事官というのは八万八千円、そうして内閣法制局長官の場合は、これは国務大臣も八万八千円です、同格ですね。内閣官房長官、内閣法制局長官は、それより低い八万二千円ないしは七万八千円だったのですね。それが、今日では、これは三回ほど変わっておりますけれども、逆転してしまっておるのですね。検査官、人事官については二十二万円。先ほど申しました内閣官房長官あるいは内閣法制局長官あたりは二十五万円。国務大臣は三十万円。こういうふうに位置が変わっておるのです。これは、時代々々によって官職の価値評価が変わっておるのですか。
  123. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) この問題、給与の基本に関する問題でありますから、私からお答えをいたします。  今度の人事院勧告に、一官一給与ということで、次官の給与を引き上げろという勧告があったわけであります。ここでまあ、バランス面というよりも、いままで特別職給与というものは非常にいろいろな過程を経てきておるわけであります。それは人事院勧告が例年なされましたときに、一般職公務員につきましては人事院勧告どおりの率で上げたときもありますし、まあ上げなかったときもありますが、いずれにしても人事院勧告をおおむね尊重するという線できたわけでありますが、当時の状況としまして、特別職のような給与の高い人は、まあ人事院勧告でもって一般職が上がったからこの率でもってみんな引き上げるということはやらないで、その計算でもってやりますと一万五千円上がらなければならないようなときでも五千円で頭打ちと、こういうことをやってきたわけであります。でありますから、まあ、事務次官が一官一給与で十六万円の勧告がなされ、それで多少もっと検討していくという時期がきたと思いますが、事務次官だけを一官一給与でもって十六万円に最低引き上げなさい、こういう勧告をもらった場合に、いままで、時の事情でもって五千円頭打ちでやっておったようなものも、この機会に平灰を合わせなければいかぬと、こういう考え方でいままで一万五千円ずつ二回といえば三万円上がらなければいけない特別職を五千円ずつ一万円しか上げておりませんから、その間に一万円のアンバランスができたということをこの機会に是正する必要があるということが、事実申し上げて、これが第一の理由であります。  第二の理由は、何かというと、特別職の中に、新憲法にいう議員の歳費があります。この歳費というものは、いままでは、戦後二十六、七年までは占領軍もおりましたから、そのまあいろいろな立場でバランスもとりながらやってきたわけでありますが、その後、両院のお考えでもって議員の歳費が是正をされた。そうしますと、そこで今度政務次官というものは、今度の行政組織法では副大臣ということで、昔の政務次官ではないわけであります。制度上からいうと大臣を全く代理するという法制上のたてまえになっておりますが、その政務次官が議員から選出をせられるという事実に徴してみても、政務次官が議員よりも下に下がるというような状態が間々ありましたので、そのつどびほう策といわれるわけでありますが、何とかしてその場その場をつくろってきたのがこの人事院勧告を受けるまでの特別職給与であります。今度事務次官の一官一給与という、そういう勧告がありましたことを機会に、新しい制度ができたときの考え方を基準にして、もう一ぺん再検討する必要があるという考え方で、非常にむずかしい問題でありましたが、各方面の意見を全部聞きながら、御提案申し上げておるようなものが最上案ではないが、理想案ではないけれども現状やむを得ざる案であろう、おおむね妥当と言わざるを得ないのではないだろうかというような考え方で、各省との意見もまとめながら今回の提案になったわけであります。
  124. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大蔵大臣がそう言われるならばわれわれとしては疑問が生ずるのですよ。いままでのやつはでたらめだとは言われませんが、非常に矛盾の点もあると言われますが、やはり過去にきめたときには、きめたときの事情があって私はきめたと思うのですよ。何もわからぬと、どんぶり勘定で、こいつはこれくらいでいいだろうということではなかったと思う、その当時、最初設定したときから見ましても。一つの例を見ましても、公正取引委員会委員は、二十七年には七万二千円、その際の七万二千円というものは最高検の次長検事なり、その他の高検の検事長、それから内閣官房副長官、それから侍従長というのが、昭和二十七年の大体給与だったのです。その間三回ほど変わっておりますが、今日これらの人がおのおの二十二万円ないし二十万円、あるいは十八万円といっておるのですが、公正取引委員会委員は、今度ようやく上がって十六万円、こういうことですね。私はそれには政府としてそれだけの価値評価をされておると思うのですが、私は公正取引委員会委員の使命というものはきわめていまの日本の産業経済の実情からいえば重要な使命があるのじゃないかと思うのです。そういう人がどんどんどんどん落ちてくるのだということについては何か意味があるのじゃないかという!私のひがみかも一しれませんが、数字の上からそういうのが出てくるのです。政府はこれを軽視しておるということが給与の中にあらわれてきておるのじゃないかという気もするのですね。そういうものを、私は基本的に特別職給与の決定の基準は何かと聞いたら、大蔵大臣はいろいろ言われましたけれども、理想的なものではないけれどもまずこれで一応いいのじゃないかと、そのいいのじゃないかという基礎はどういう基本的な考え方からきておるのかということを聞いておるのですが、何か次官の一官一給与に従ってということを言われますから、それはわからない。それに言及してくるとまた複雑になるのですが、私はそういう時期に応じて変わってくる職務の内容というものが軽視されておるから下がってくるのか、それとも、そうでないほかの事情があるのかということを聞きたいのが私の質問の重点なんです。遠回しに聞いたかもしれませんが、そういう経過があるのでどうかということで聞いたのでございます。その点どうですか。
  125. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) まあ山本さんにそう言われますと、先ほども申し上げましたように、これが理想的な最上案ではあると思っておりません、こういうことを申し上げた。これが戦前からずっと続いておるようなものであって比較がある、いわゆる議員の、衆参両院に対して新しい憲法と旧憲法との差というような非常に尺度がはっきりしているようなものに対しては、これは議論が少なく比較的妥当な給与がきまるわけであります。そして戦後は、昭和二十一年から占領が終わる当時の二十六、七年までの間にはらはらにこれらのものが戦後出てきたものです。はらはらに出てきた。その組織、法律によってできた人の給与をきめるときに、はっきりとした、いま山本さんが言われたような厳格な規定をして、価値判断をしてきめたわけでありますが、しかし、そのきめ手になった、比較対象になった数字というものが、二十一年からきちんと特別職給与を率に従って、一般公務員給与を上げてきたと同じような率によって上げてきたものならば、おおむね今日までそれが引き継がれるものでありますが、そうではなく、世間の目もあるし、とにかく特別職がいやしくも劣っちゃいかぬというふうな考えで、先ほども言ったように、ある時期には二万円当然上げなければならぬ歳費を五千円に議員みずからきめたときもあります。議員さんがそうであるから、内閣総理大臣国務大臣や官房長官、まあ五千円頭打ちだ、こういうことで、その途中において、その基礎になる数が相当その時日によってアンバランスになっておったことは事実であります。それで今度人事院勧告によりまして、事務次官の一官一給与という勧告がありましたので、その事務次官の十六万円として考えるときにはいままで二万円上げたときに五千円しか上がっていなかったようなものを、そういうものをひとつ新しい立場でもう一ぺんその制度がつくられたときの立場で換算をして、新しい特別職給与表を算定してみようということで相当努力をしながら、各省の意見も十分聞きながら、これらの重要性も考えながらおおむね算定をしたわけであります。でありますから、これを価値判断を全部して、これとこれとの差には何%あるのだ、これを金に換算すると一万円であるのだというふうに合理的でないことは私も先ほどから認めておるとおりであります。将来給与の問題、先ほどもお話がありましたが、初任級が上がっておって、また特別職その他についての事務次官の俸給表等が上がった場合、中だるみになっておる中堅の給与はどうなるのだという深刻な御質問がありましたが、そういうものも含めて人事院がまた将来特別職給与がどうあるべきだというような問題に対しては御研究になって勧告もくださると思っておるのでございまして、これは国会議員の歳費のあり方というような問題もこの特別職にも非常にひっかかりが多いものでありますので、あなたが言うように、全く価値判断をきめてきちんとした〇・何%というような数字計算したものではないということだけは、これはまあすなおに申し上げておくわけであります。特に人事官に対して、どうも人事官の上がりが少ない、いや公正取引委員会委員さんが少ないということは、これはもう軽視をしておりません。前国会に私はここで、特に公正取引委員長給与を引き上げるということで、公正取引委員会がいかに重要であるかということで、御賛成をいただいたわけでありますので、基本的な仕事は、公正取引委員長だけでできるも一のではないのでありまして、その公正取引委員会委員さんの任務の重大性ということは、十分理解をしておりますし、評価もいたしております。より重要に考えなければいけないだろうというふうに考えております。そう考えておるなら、もっと上ぐべきだというような、数字計算は私はいたしておりませんので、基本的な考え方だけ申し上げて、数字はなぜ公正取引委員会委員さんはこうなったのかという計算基礎に対しては、事務当局から答弁させます。
  126. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) 大臣からただいま御答弁がございましたように、さきの通常国会におきまして、とりあえず公正取引委員会委員長につきまして、その職務と責任の重要性にかんがみまして、十八万円に引き上げたわけであります。その当時におきましても、先生御質問がございましたように、公正取引委員長についての給与と、あるいは国務大臣と同額だったという時代から、非常に下がってまいって、それがまた国務大臣に次ぐだけの給与に上がってきたというのは、どういう理由かという点で、いろいろ御質問もあったわけでございます。確かにこれらの公正取引委員会委員長なり、公正取引委員会委員の職務の重要性をどの程度まで評価するかというのは、きわめてむずかしい問題でございまして、率直に申しまして、特別職の中の、いわばグレードと申しますか、序列を大体どの辺に位させるかという問題で考えていく以外にないのではないかと私ども考えておるわけであります。そこで、先ほど基準として申し上げました国務大臣が三十万になり、あるいは政務次官が十八万になりまして、その間に官房長官等は二十五万になりました際に、公正取引委員会委員長についてグレードづけをいかにするかという問題を検討いたしたわけでありますが、まあ大方の意見といたしまして、大体官房長官クラスに格づけするのが妥当であろうということで、二十五万円にきめたわけでございます。これに伴いまして、当然公正取引委員会委員についても、委員長のみならず、これを合議制の機関として同じような職務をになっておるわけでございますので、当然大幅な引き上げを考えるべきであるという御議論もあるわけであります。こういった点を考えまして、十万八千円でありました公正取引委員会委員給与を今回十六万円に引き上げることにいたしたのであります。このグレードは、大体よく比較にされておりました国家公安委員会委員等の給与と大体同じでございまして、引き上げ率から申しますと四八・一%、約五割の引き上げになるわけであります。その場合に、引き上げ率そのものも公正取引委員会委員と正確に合わせるべきかどうかという問題もあるわけでありますが、先ほども申し上げましたように、これらの特別職給与というものは、大ざっぱなランクをつけまして、その範囲内での、どの程度のグレードかという問題で考える以外はないと思われますので、一応十六万円と算定をいたしたわけであります。
  127. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 だいぶ大臣給与課長も懇切丁寧に答弁されましたが、私の質問には本質的には合っておらない。私自身も特別職給与については、なかなか設定しがたいことはわかっております。ただ私は、基本的に考えるのは、これは生計費とか、そういうものから割り出すべきでないことはわかっている。ただ、そこで、職務の重要性、また社会的な地位、そういうものが客観的にきめられてくるものだと私は一応そう考えておるのです。それは言われておらない、言われたならば、私はまた追及したいと思うのですが、言わない。そこで、私は聞いておるのは、しかし、新しく憲法が施行された当時から見ると、政府のいわゆる進める方向と、特別職給与について、だんだんと変わってきていることがわれわれは心配になるわけです。当時は新しい憲法によって、人事官も相当優遇されておった、検査官もそうです。八万八千円でしょう、それから国家公安委員も、それも重要な職務であるということで、八万八千円、いま申しました公正取引委員も七万二千円、それがだんだんだんだんとその順位を変えてしまって、下に落ちてきておるのですね、そうでしょう。そういうことが、政府が国家公安委員のその職務、あるいは社会的な地位と申しますか、そういうものが警察行政の上に変化を来たすと同時に、そういう軽視をされてきておるのではないかということを心配するのです。その当時の国家公安委員会の権限というものは、日本の全警察権の中心だったのです。それが警察法がだんだん改正されて、国家公安委員会委員長大臣が兼務するということで、だんだんいわゆる政府の警察行政が変わってきておるということが、こういうことになってきておるのじゃないかという心配を私はするのです。公正取引委員会もそうです。独占禁止法ができたときには、日本が戦後の経済を復興させるためには、公正取引、独占禁止をしなければいかないということから、公正取引委員会を重要視しておったと思うのです。いま大蔵大臣が、私は決して軽視しておらないということは、ほんとうだと思うのですが、そういうことが給与数字の上にあらわれてくることは、これ以外にわれわれは見ようがないのです。幾ら政府が重要視しておるのだと言っても、この俸給の表をとってみると、われわれとしてはそう見ざるを得ないのです。そのほかに、特別職に対する給与のきめ方の基準があるなら私は聞きたいんだが、それがないんです。あるはずがない。ただ、社会的な地位とか、そういうものの重要性から、私はこれはきめるべきものだと思っておる。また、それで国民が納得するわけです。一般公務員給与のように、官民の比較とか、あるいは生計費からくるならば、私はその内部における論議はいたしますよ。それからはこないのですよ、この特別職の場合は。国会議員も同じことです。したがって、国会議員の歳費をきめるときは、相当議論があるのは当然だと思う、一般国民からは相当批判されますけれども。しからば一体会議員は、幾らの歳費であったらいいかということをはっきりきめる根拠はないです。そういう点を考えますと、私はこの特別職給与の変遷を見まして、先ほど申しましたように、総理大臣が四十万円、これはまだ私は少ないと思っておる、職務の実態からいって。各国の元首の実態から見れは、私は四十万円は決して多いとは言えない。しかし、そういうことよりも、時代が変わるたびに、また、政府考え方が変わるたびに、特別職給与に変遷を来たす、逆転するということは、政府考え方がそういう方向に向いておるのじゃないかという心配をいたしますから、実はそういう質問をしたのです。ところが、大蔵大臣は、いや、そうではないと言われますが、数字の上では軽視しておるということなんです。よけいやっておるということは、重視しておることだと、これは日本じゃなしに、人間社会の常識だと思う。重要視しておるから金を多くやる、また、社会的にそうだからよけいやる、それがいま言ったように、検査官も、人事官も、国家公安委員会委員も、公正取引委員会委員も、だんだん年を経るに従ってだんだん変わって逆転をするという、その基本的な考え方について私は聞きたい、こういうことです。
  128. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 特別職給与のきめ方が非常にむずかしいということは、山本さんもおっしゃったとおりであります。しかし、いまちょうど時あたかもということでしょうが、こういうことになったのです。ちょうど人事院から俸給是正の勧告がありましたので、当然押せ押せで、いままでも何か考えなければいかぬといっておった中で是正できなかったものを、ここで一挙に、理想案ではありませんが、応のものをつくろうということで、各省の意見も十分聞きながら、また過去の歴史も十分考えながら、原案を御提案したわけであります。国家公安委員会委員とか、公正取引委員会委員だとかが、時代の変遷に従いまして、だんだんと政府がこれの権限を縮小していくために、給与を大幅に上げないのだというような考え方は絶対にありません。いやしくも法律によって組織がある以上、また、国家公安委員会や公正取引委員会がいかに重要であるかという考え方に立っておりますので、それだったら十六万円じゃ少ないということになるかもわかりませんが、いろいろなことを考えまして、いろいろなバランスをとった結果、まあここらでやむを得なかろうと――これも無制限に何年かかかって基準をきめる必要があると思うのですが、そういうことよりも、人事院勧告を尊重して、一般職給与の引き上げの原案をつくらなければならない過程においてやった仕事でありますので、将来問題があり、国会でまた強い御支持があれば、これらの問題に対しては十分配慮をするという考え方を申し上げまして、この原案は、最良ではないが、やむを得ないということでひとつ御審議をわずらわしたいと、こう考えます。
  129. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大蔵大臣の答弁、いまきわめて自信のある答弁だが、内心若干譲らなければならぬという答弁だと私思いました。したがって、これを追及していけば、これはなかなか私は引きませんよ、引きませんが、不合理のあるということは――私は不合理とは言っておらない、過去の変遷から見ると、そういう経過をたどっているのですよ。それがたまたま、われわれの見方がひがんでおるかどうか知りませんが、われわれの憂う方向に、給与の面だけでいうと、軽視されていくような経過があるのですね。したがって、これは私はあまり追及しませんが、大蔵大臣も大体腹に入れてもらったと思いますので、そういう点はひとつ十分、今後、誤解を受けないように御検討を願いたい。  で、時間も相当たったようでありますが、実はまだ防衛庁のやつが残っておるのですよ。これはもう、あとということはできないので、一問だけ私は聞いておきたいと思うのです。  現在、防衛庁の自衛隊給与の総額が、防衛庁の予算の何割になっておるかということをちょっと聞いておきたい。
  130. 小幡久男

    政府委員小幡久男君) 人件費の割合でございますか――四四・九%であります。
  131. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは、これから深く入っていきたい質問の前提ですが、四四%、これは何ですか、年を経てずっと人件費の割合は、どういう方向に進んでおりますか。
  132. 小幡久男

    政府委員小幡久男君) いま、手元に資料がございませんが、若干上がっておるかと思います。
  133. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 防衛庁の人事行政をあずかる人事局長は、それくらいのことは常識で知っておくべきだと思うのです、あまりいやみを言うのもなんですが……。大体防衛庁の方針としては、いわゆる機械化していくという方向で、施設関係、それから装備費、そういうものがふえくるから、人件費が減ってくるのではないかという、われわれ一応、常識上の判断をしておったのですが、人件費がやはりずっとふえていく傾向でありますか。
  134. 小幡久男

    政府委員小幡久男君) いまのところ、微弱ながらふえております。
  135. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 大蔵大臣が見えましたので、大蔵大臣にちょっと聞きたいのですけれども大臣特別職に対する考え方を聞いておりますと、わりあい朗らかですね。ものの言い方が朗らかなせいかもしれませんが、どうもああいう話を聞いておりますと、公務員給与の審議がはからしくなるですね。一般職公務員給与の審議が。どういうわけでああいう朗らかな話に――給与が過去四回にわたって十月実施になる、それを一カ月もさかのぼらないというのは、どういうところに原因があるのですか。  なお、私申し上げておきますが、今度の行政部門の中における引き上げ率ですね。頭のほうがいかにもりっぱなんですよ。ところが、行政部内の中における総理大臣の五三・八%、国務大臣は五七%の引き上げ、政務次官は二九%、次官は二五%、あとはがさつと落ちちゃうのです。これは一体どういうことなんですか。私は、これは人事院総裁にお聞きしたいのですけれども公務員給与は責任の重さ、仕事の複雑さによってしょわされている。何か総理大臣の仕事は突然二倍ぐらい複雑になったのじゃないか、突然ですね。あるいは事務次官の仕事というものは何か突然評価し直したような感じなんですね。こういうような給与のきめ方では困ると私は思うんですよ。大体勤務内容というのは同じなんですし、上げるときは同じ率で上げてもらわなければ――突然変われは別ですよ。事務次官の責任がとたんに重くなったということであれは、これはまあ二割五分引き上げてもよろしい。しかしながら、一般のものは六%や五%だと、上げるときに、こういう上げ方は、私は公務員給与の根本精神を承知ないんじゃないかと、だからわりあい朗らかな話が出るんじゃないかと-政治家はその程度のことでいいかもしれませんが、しかしながら、やはりそういう気持で一般職公務員給与の問題についても考えてもらわなければならない。四回にわたって十月一日、これはどうも私は納得できないですね。  なお、大臣承知ないと思いますから、ここで申し上げておきますが、公務員給与というのは一体どの程度の企業に働いているものと同じかということですね。公務員給与というのは、三百人から五百人程度の企業に働いている職員と同じ給与ですよ。今度は次官と局長は別になりました。これは二万人ぐらいの企業になりました。ですが、九九%の公務員というのは三百人か四百人程度の企業につとめている職員と同じです。どうも私は行政部門の中における一体性というものがないように思うんですね、今度の給与の上げ方を考えると。大蔵大臣からひとつ答弁をお願いいたします。
  136. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 一般給与に関しましても私の考え方はありますが、制度の上で人事院という特別の機関がありまして、専門的に検討しており、しかも内閣に対しては相当の拘束力を持つ勧告を行なっておるのであります。でありますから、その勧告の内容は、大蔵省としてはこれを全面的に採用する。しかし、その中で実施期日の問題だけは五月一日からを十月一日に変更いたしましたが、内容に対しては過去、ずっと守ってきておるわけであります。でありますから、一般給与の現行のものに対して私が意見を言うということよりも、これは人事院総裁が述べることが適当であると、こういう考えでありますので、私の意見はこの段階においては差し控えたいと、こう思っております。  それから特別職給与の問題私、この一般公務員給与改定につきまして勧告を受けまして、それで特別職給与改定というものの基本になったのはこれは事務次官というものから火がついたわけであります。私もこれに対しては、この案は大蔵省で責任を持った案でありますから、人事院でもいろいろな方々の御意見はお聞きをしましたが、この問題に対して責任があります。確かにありますから、この問題申し上げますが、先ほど来言ったように、私もこれは事実どうあっても六%、七%、九%、一〇%しか大多数の公務員が上がっておらないときに五〇%、一〇〇%というような引き上げ方は一体いいのかと、これは政治の問題として非常に慎重を要するということで、非常に苦慮したのであります。で、初め新聞にも報道しましたとおり、これやるなら矢面から批判をあびながらまず是正をやって、しかる後に合理的な特別職あり方特別職一般公務員あり方というものは検討しますということのほうが姿勢がいいということで、やるならば総理大臣を五十万円にしようということを私も考えたのです。しかし、中途はんぱで、どうも国民に気にしながら、不合理のままを認めていいのか、また、そこまでは一挙にいきませんから、事情やむを得ない、この程度でやりましょうというようなことはますすま混乱をしてくるということでありますから、慎重に考えながらも、まあ過去の歴史も十分勘案をしながら御了解が願える程度のものをつくろうということで、相当私もこの案に対しては検討したのでありますが、まあここまでいったわけであります。  それで、どうして五〇%も上げなければならないような状態が起きたのかというと、先ほど言ったとおりなんです。これはちょうど国会と行政府との問題でありますから、私もあまり申し上げたくないのですが、予算を編成するときに、また、公務員人事院勧告がありますときに、特別職に対してもこうあるべきだ、また、国会議員もこうあるべきだという勧告がいただければ、財政当局としては非常にいいのでありますが、どうも人事院の権能上、そういうものは-国会の歳費は国会でおやりになるのがあたりまえですし、また、特別職に対しては内閣がおやりになるのです。こういうことで基準を示されないわけであります。でありますから、急激に引き上げなければならなかったような過去におきましては、先ほど申し上げましたが、一般公務員が一〇%上がりましたときには、結局国会議員も、また、国会議員をもととしている政務次官も、それとつり合っているところの官房長官も、国務大臣も、そのまますなおに三、四回上がっておれは、今回五〇%引き上げということにはならなかったのであります。そのときには二万円上げれはいいのを、五千円頭打ちということを何回もやったのであります。二万円と五千円の差の一万五千円が三回残っておって四万五千円の開きが出ておる、こういうような問題が事実ありまして、私もこの特別職給与改定表を出すのは非常に勇気を必要としたわけであります。先ほど申し上げたとおり、朗らかに答弁しているというのじゃなくて、ほんとうにもうこれは国会へ出したらたいへんだというくらいな考え方で逡巡をしながら、しかしこれは、いつかだれかがやらなければいけませんし、しかもそこで議論を十分して、また、新しく合理的なものが将来生まれるような道は開くべきです、こういう事務当局としては比較的積極的な、私が鞭撻されたというような考え方でこの-原案ができたようなわけでありますので、私もいろいろな問題に対して、現在これが最高の案であって、これを基礎として、将来一般公務員勧告と合わせた率で上げていくのだというような考え方ではありませんので、先ほど山本さんに申し上げたとおり、この特別職の問題に対しては、より合理的な案ができるように、慎重に努力をいたしますと、こう申し上げているわけであります。
  137. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 大臣、何ですね、実施の時期を――何かそのくらいの勇気をもって特別職の俸給表出されたというのですが、一般職給与について四回も値切っているのだから、この際少しがんばろうという気がなかったのですか、だらしがないですね、少し。
  138. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 率直に申し上げますが、人事院総裁は五月一日の実施を絶対に要求をしました。また、大橋労働大臣は、給与担当大臣として、とにかく誠意を披瀝するということで、八月一日から、九月一日からでもいい、とにかく財政当局に対してぜひやってくれという非常に強い発言がありましたことは事実であります。私も何とかならないかと思って、いろいろな面で研究したのです。ところが、中には、これは言って悪いかどうかわかりませんが、もし悪ければ取り消します。しかし、その過程において、ある地方公共団体などでは、現在でももうすでに国家公務員が上がるということで、自動的に上げられているために、単独事業も全然できません、だから一体国はこれを補てんするんですかと、こういうふうにねじ込まれたこともあります。それで私は自治大臣にも、一体あんたは国家公務員に準じて地方公務員を全部おやりになるのですか、将来地方財政計画の問題もあるので、ひとつはっきりとした地方公共団体としての考え方をまとめてもらいたいと、こう言っておりましたら、とにかくいまの状態では、仕事も続けていく、単独事業もそのまま伸ばしていくということになると、一月一日のほうがいいんじゃないかという議論もあったわけであります。で、まあいろんな人の意見を聞いたということを先ほど申し上げたのですが、そういう考え方も内閣でまとめますときに、いままでも十月一日、ちょうど半年間ということでありますので、まあ財政も苦しいし、また、減税等もしなければならないというときでもありますから、やむを得ず十月一日から、前年どおりの案を踏襲しようという結論になったわけでありまして、いいかげんにきめたわけじゃありませんし、誠意をもって検討したことは申し上げておきたいと思います。
  139. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これは、この間も大橋労働大臣にいろいろ申し上げておいたのですが、大橋労働大臣にしても、あるいは大蔵大臣にしましても、努力を尽くされたということです。それにしては結論はだらしがないという一言で、私は終わりたいと思います。
  140. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  141. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記起こして。  他に御発言もなければ、三案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  142. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより三案を一括して討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  143. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま審議になっております、一般職職員特別職職員、防衛庁職員給与関係三法案に対して反対の立場から意見を申し述べます。  一昨日、昨日、本日と、この三法案につきまして熱心に審議をいたしてまいりました。この中で明らかにいたしましたように、一般職職員についての引き上げがきわめて低いということが、物価の上昇をカバーできない状況である。それだけではなくて、引き上げの内容自体にもはなはだしい矛盾と大きな問題があります。特別職給与について、一般職職員との関係から切り離した形で今回の引き上げが行なわれておりますことは、理解がきわめて困難であります。さらに引き上げの基準、不明な点が多過ぎる。また、特別職間の較差についても不均衡が著しく目立ちます。さらに人事院勧告の中で、五月一日実施を明記いたしておるにかかわらず、本年も十月一日から実施は、何といたしましても了解できないところであります。三十五年から三十八年まで四回にわたりましてこのような措置が行なわれますことは、はなはだ遺憾であります。このような立場から三法案に対しまして反対をいたすものであります。
  144. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 私は、自由民主党を代表いたしまして三法律案に賛成するものでありまするが、昨日人事院総裁に対する質疑において申し述べましたように、最近においては人事院勧告は、四月の民間給与実態調査に基づいて八月に行なわれ、その実施は五月にさかのぼるということになっておるのであります。これに対して政府は、その実施時期については十月からこれを適用するようにして、給与改定を行なっているのであります。したがって、実施時期に関しましては、人事院勧告が尊重されないような状態になっておるのでありまして、この点については私も遺憾に存じておる次第でありまするが、政府としても会計年度の途中において必要な財源措置を講じなければならないことでもあり、人事院勧告どおり実施することについては、財政上もいろいろ困難な点もあろうかと存ずるのであります。したがって、人事院においては、これらの諸事情を十分に勘案して、人事院勧告が尊重されやすいようになお検討する余地もあろうかと思われますので、今後人事院においても十分検討されることを要望いたしまして、私の討論を終わります。
  145. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 私は、公明会を代表いたしまして、ただいま議題となっておりまする一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案、並びに関係法案につきまして反対の討論をするものであります。  去る三十五年以来、毎年人事院勧告が行なわれてきたのでありまするが、昨年までいずれもその実施時期が十月一日となっております。本年も勧告の五月実施を、財源難等の理由によりまして十月実施を閣議決定し、本法案が提出されたのであります。これでは毎年公務員は、民間企業の給与に比較いたしまして、不均衡な是正による犠牲とならざるを得ないはかりか、人事院の存立の意義は薄れ、十月実施は毎年これが慣例となるおそれがあるのではないかと思われるのであります。本法案につきましては、種々問題点もありまするが、十分審議も尽くされたところでありますし、ここに私は問題を二つにしぼりまして反対の意を御表明するものであります。  まず第一点は、昭和三十六年、三十七年の物価連騰に引き続き、本年における物価上昇率は、十一月度の対前年度同月比におきまして、東京で八・四%、全都市で七・八%、今年の物価上昇見込み率は八%以上という、まさに驚異的な比率を示しているのであります。しかるに、今回における人事院勧告は平均六・七%引き上げというきわめて低いものでありまして、物価上昇に見合わない率を示しているのであります。池田首相のいう所得倍増政策にはふさわしからぬ勧告であると、かように思うものであります。かくのごとく、勧告そのもの自体につきましても、公務員は決して満足はできるものではないのであります。  第二点は、以上申し述べましたように、勧告についても疑義があるにもかかわりませず、政府勧告に示すところの五月実施を、またしても十月に実施しようとしているのであります。これでは公務員の生活はますます苦しくなる一方でありまして、ここに政府はこれらを勘案いたしまして、せめて実時施期について七月からかあるいは八月からとでもいうような誠意を示すことがあってよかったのではないか、かように私は思うものであります。ここに公明会といたしましては、勧告どおり五月実施をそのまま実行し、しかも早急にこれを解決することを強く訴えまして、以上の理由を申し述べまして、遺憾ながら本法案に対しては反対をいたすものであります。
  146. 向井長年

    ○向井長年君 私は、民主社会党を代表いたしまして、ただいま議題となっている一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案外二案に対し反対の意を表明いたします。  反対の理由は、給与改定の内容についても、民間との是正あるいは生計費指数の取り方等、全般にわたって不備の点が多く、了解できないものであり、なお、人事院勧告をあくまで尊重、完全実施をすべきであるという立場に立って、政府は毎年々々人事院勧告を尊重して実施したいと口で言いながら、完全実施しない同法案は、まことに遺憾のきわみであります。反対する大きな理由はここにあるのであります。団交権、罷業権のない公務員給与改定については、一にかかって人事院の公正なる勧告を期待し、その完全実施こそ当然過ぎるほど当然と言わなければなりません。以上の理由をもって反対の意を明らかにするものであります。
  147. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  148. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより順次採決をいたします。  まず、一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  149. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 多数と認めます。よって本案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  150. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 多数と認めます。よって本案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  151. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 多数と認めます。よって本案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出する報告書の作成等につきましては、慣例により委員長に御一任願います。
  152. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 次に、本委員会に付託されました第二号恩給年金等受給者処遇改善に関する請願外百五件の請願を便宜一括して議題といたします。  慣例により速記を中止して審議を行ないます。   〔速記中止〕
  153. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記をつけてください。  それでは、ただいま御審議を願いました百六件の請願のうち、行政組織関係一件、恩給共済関係三十二件、防衛関係四件、以上三十七件の請願はいずれも議院の会議に付するを要するものにして、内閣に送付するを要するものと決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  154. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 御異議ないと認めます。  よって、さよう決定いたしました。  なお、報告書の作成等につきましては、先例により委員長に御一任願います。  それでは、これにて散会いたします。    午後四時二十五分散会