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1963-12-17 第45回国会 参議院 逓信委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年十二月十七日(火曜日)    午前十時三十七分開会   —————————————    委員の異動  十二月十六日   辞任      補欠選任    須藤 五郎君  鈴木 市藏君  十二月十七日   辞任      補欠選任    鈴木 市藏君  須藤 五郎君   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     光村 甚助君    理事            鈴木 恭一君            松平 勇雄君            野上  元君    委員            植竹 春彦君            郡  祐一君            白井  勇君            平井 太郎君            最上 英子君            谷村 貞治君            久保  等君            永岡 光治君            横川 正市君            白木義一郎君   国務大臣    郵 政 大 臣 古池 信三君   政府委員    郵政政務次官  金丸  信君    郵政大臣官房長 武田  功君    郵政省人事局長 増森  孝君   事務局側    常任委員会専門    員       倉沢 岩雄君   説明員    郵政省事務次官 西村 尚治君    郵政省郵務局長 佐方 信博君    郵政省簡易保険    局長      田中 鎮雄君    郵政省経理局長 長田 裕二君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○郵政事業及び電気通信事業運営並  びに電波に関する調査郵便物の滞  貨問題等に関する件)   —————————————
  2. 光村甚助

    委員長光村甚助君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  まず、委員の変更について御報告申し上げます。  昨十六日須藤五郎君が委員辞任され、その補欠鈴木市藏君が選任されました。   —————————————
  3. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査を議題といたします。  質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  4. 永岡光治

    永岡光治君 明日でこの特別国会も終わろうとしているわけでございますが、もちろん、引き続いて二十日からは通常国会が開かれる詔書はすでに出ております。そういう情勢でこの委員会が開かれておるわけでありますが、私どもこの委員会使命は、当面しておる今年末繁忙期を控えて、というよりも、むしろその渦中にあるわけでありますが、その際に、サービス官庁としての郵政が、郵政大臣なりその事務当局というのが、この混乱を一体どう考えておるのかということであります。  たまたま、私けさラジオを聞いておりました。組合側と、それから郵政当局を代表する御両氏の見解が述べられておりました。私はそれを聞きながら、かつて郵政の職場に身を置いたことのある私としては、ほんとうにこの事業を守っていこうという考えがあるのかないのかということを非常に私は疑問に思って、憤慨の心もあるし、実は悲しい考えも浮かんで参りました。何でこの事業をこのまま放置するのだろう。司会者がいろいろ聞いておりましたけれども、その気持国民を代表しておると思うのでありますが、どうしてこの問題を国民立場に立って解決してくれないのだろうか、お互い内輪げんか内輪げんかとして、迷惑するのは国民だ。何とかしてひとつ解決してほしい気持がありありと出ておると思うのですけれども、もうすでに本日は十七日でありますが、このまま推移して、ほんとうにあなたは、この事業国民サービス機関としてその使命を完全に果たせるものだと、こうお考えになっておるのかどうか、非常に私は心配でならないのでありますが、きょうはかみしもを脱いで、感情を抜きにして、すべて国民の、利用者というか、国民という立場に立って、ひとつものごとを考え質問もしてみたいし、御答弁もいただきたいと思うのでありますが、その辺の私の気持について、大臣はどうお考えになっておるのか、基本的な気持を私聞きたいわけでございます。
  5. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) ただいま永岡さんからの切々たる御所見を拝聴いたしまして、私も永岡さん御同様に、かつてこの郵政事業に職を奉じたこともございます。したがって、郵政事業がいかに大切な仕事であり、また、国民皆さんにとっても、ほんとうに日常欠くべからざる重要な仕事であるということは、永岡さん御同様に私もよく承知しております。この年末の繁忙期に際しまして、郵政事業が円満に運行できないような状態になってきておる、このことに対しましては、私といたしましても非常に遺憾にたえません。私の気持としては、何とかして、これは一日も早く正常な運行に引き戻しまして、国民皆さんに少しでも御迷惑をかけることを少なくしたい、こういう気持を持っておることは、おそらく御想像願えるのではないかと考えております。そういう点については、私もはなはだ国民皆さんには申しわけのないことである、かように考えております。
  6. 永岡光治

    永岡光治君 大臣も早急に解決をしたい、国民に非常にお気の毒をかけておる、こういうことでありますが、しからば、この解決をはかる上について、どうしたらいいのか、何がガンになっておるのか、国民は、私は理解に苦しんでいるのじゃないかと思うのです。私どもこの問題についての経緯は承知しておりますから、比較的承知をいたしておるつもりでありますが、おそらく国民には、特定郵便局を新築するために——予定は百八十局になっておりますが、何十局か存じませんが、その局をつくるのだ、ところが、組合側立場から言わせると、国の資金を融通して個人のものにして、それを世襲制を残すということについては、どうも行きがかりからいたしまして、十数年来の組合の発足以来の要求だから困るのだと、こういう対立をしておる。郵政当局は、それについて団交にも応じないのだ。それで、とうとう郵便はだめになりました。これでは一体国民は納得するであろうかと私は思うのです。おそらく、そんなばかげたことをなぜやるのだろうかというのが、私は大体国民考え方じゃないかと思うのです。  そこで私は、大臣に端的にどうしたら解決をするのかということで聞いてみたいわけでありますが、一番ガンになっておるのは、これは管理運営事項だから団体交渉に応じないのだということとも思う。あるいはまた、組合がこれを撤回しなければ超勤拒否はやめないのだというようなことを言っておるともいわれておりますが、真相はどちらなんでございますか。これはやはり、国民に、この委員会を通じて明確にしたほうがいいと私は思いますので、こういう意味からお尋ねしているわけです。
  7. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) この問題について詳細に御説明を申し上げますと、相当長くなると思いますから、ごく要点だけにしぼって簡単に申し上げたいと存じます。またそれでもなおかつ御了解がむずかしいということであれば、さらに進んで詳細なる御説明もせねばならぬかとも思いますが、要するに、私ども郵政省として、この事業を経営する責任を負っておる立場から考えておる。いまの問題の特定局舎改善という政策、これについて私ども組合の諸君との意見が違っておる。ここに根本問題があるんじゃないかと思うのでございます。しからば、かような局舎改善というふうな問題について、省と組合との意見が相違している、それを調整するにはどうしたらよいかという問題がそこにおのずから出てくると思うのでありまするが、かような問題は非常に私は重要な問題であると思うのでございまして、これを年末の闘争交渉目的にするということ自体が、はなはだ適切ではなかったんではないか。われわれとしては、この問題を年末に取り上げてもらおうということは考えておりませんし、また、これが一つ原因になって、かような正常運行を妨げるような事態になるということも予想をしておらなかったのでございまして、何としても、やはり組合組合としてのお立場から十分に考慮していただいて、組合の御意見のあるところはほかの場所で幾らでも御意見は御意見として十分われわれとして伺って、そうしてわれわれもまた、われわれの考え十分検討をいたしまして、そうして将来における特定局制度そのものにもこれは関連するかと思いますが、かような重大な問題は、とくとわれわれに考えさせていただきたい、まあそういうふうに私は思っておりますので、この年末の際において、この問題を、省側がすでに決定をして実施段階に入っておりまする計画を引っ込めなければ組合長期闘争をやめない、すなわち超過勤務をしない、こういうことでありまするがゆえに、自然、郵便事業も正常な運行ができなくなるわけでありますが、そういうところに私は理由があると考えております。いまどこにその原因があるかというような趣旨のお尋ねだと存じましたので、ごくかいつまんで申し上げる次第でございます。
  8. 永岡光治

    永岡光治君 そういたしますと、国民がいまの答弁を聞くと、いますぐ年末の時期ではぐあい悪いけれども、他の機会ならば話を聞いてもいい、こういうことになりますか。
  9. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) まあ私は端的に、率直に申し上げますが、こういうふうな改善計画を立てて、責任を持って遂行するというようなことは、これはやはり法律上のことばを使えば、管理運営事項、また一般的な社会通念的なことばを使えば、これは事業を経営していく立場経営権に属する問題であると私は思うのです。しかし、経営権に属する問題であるからといいましても、これは実行するにあたって、大ぜいの従業員意見を聞くということは、これはもう虚心たんかいにせねばならぬと思うのです。しかしながら、経営権に属する問題を一々組合交渉をして、組合が同意をしなければこの経営権が実行できないということは、私はこれは行き過ぎであり、さようなことではやはりいまの社会秩序ということにも関連する問題であって、これは非常に重要な問題である、こう思います。ですから、これは経営権に、やかましくいえば組合が介入していくということになりますと、なかなか、郵政省の家庭の事情というようなわけで簡単に片づけられる問題ではなかろう、こう思いまして、私はその主張をよくお話しをしておるんですけれども、どうも私の真意がまだ御了解になっていただけないようでございまして、その点非常に私も遺憾に存じておる次第でございます。私は、何もそれ以上の目的、意図があるわけじゃございません。組合の御意見は十分に聞く、それはあくまで御意見を聞き、できる限りこれを尊重してまいりたいという私の気持には変わりはありません。ありませんが、ただ、組合が同意しなければ最後まで経営者として決定できないのだということになりますと、これはちょっと私は問題が別になってきて、非常にめんどうになりはしないか、やはり同じ事業お互い従事しておるわけでありまするから、そこのところは以心伝心で、自然にわかっていくのじゃないか、まあ私はかように考えております。
  10. 永岡光治

    永岡光治君 大臣考え方はわかったわけでありますが、私も、そういうことであれば、この問題の前進はあるのではないかと思うのです。すなわち、管理運営事項だから、これは団体交渉権の、そういう組合が主張する団体交渉対象としての義務は負わない、義務は負わないけれども話し合い大臣のほうからやることはちっとも違法ではない。私もそう思うのです。労働法を開いてみても、この問題について郵政当局団体交渉対象事項にしても、違法事項でもなければ、刑罰事項でもないわけです。ただ、組合から主張されて、それに応ずる義務がないというだけの問題であって、団体交渉対象にしても、これ、違法でもありませんですね。これは大臣もおわかりだと思う。事実またやってきておるわけです。これは歴史的なずっと長い問題でありまして、終戦以来の問題ですね。民主主義社会になったという、この民主主義社会日本で、いまある特定局制度がいいのか悪いのかということに端を発しまして、今日まで未解決のままにすでに十八年来の問題になっておるわけでありますから、歴史的に見ますと大きな問題であることには間違いないと思います。それゆえにこそいま大臣も所信の表明の中にもありましたように、組合意見も十分に聞いてみたい、やぶさかでないんだと、こうおっしゃっているところを見ると、私もそういう御認識を持っていると思う。だとすると、何もかにも、この問題が交渉ないしは話し合いの場になったから、あらゆる一切の問題を組合話し合いをして、それが円満に解決しなければ実施しないんだという、そういうやはり形式的な、あまりかたくなに考えるものではないと私は思うのですね。一から十まで、これを認めたから全部そうしなければならぬということにはならぬと思う。第一、国民考えまして、かりにこの問題が団体交渉の場になったんだ、そうして問題は解決したんだ、郵政省はけしからぬやつだ、郵便を早く届けやがった、こういうことにはならぬと私は思う。団体交渉をして国民にどういう迷惑がかかるでしょうかね。あなた方が、組合なら組合話し合いをして——私はさっき冒頭から申し上げましたように、国民立場で私はお聞きすると言っておるわけです。団体交渉とかりに銘を打ってもいい、銘を打たなければ打たないで、話し合い解決をした、そのことが国民にどんな迷惑を及ぼすのでしょうか。どんな害悪になるのでしょうかね。害悪にならぬと思う。どういう害悪になるのでしょうか、話し合いをしたということが。これ、大臣の御答弁いただけなければ事務当局にでも。
  11. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 永岡さんのお気持ちも私わからぬでございません。ございませんが、かような、先ほど申し上げましたような経営権に属する問題を団体交渉の形において話し合って、そうして組合側が賛成をしなければどうしても経営者としてその仕事がやっていけない、こういうことは私はいけないと思います。  それから話し合いをしたらいいじゃないかということ、その話し合いということばは、非常に私は、広い意味を持っておって解釈によっては相当誤解を生ずるんじゃないかと思います。団体交渉も、広い意味で言えば、これは話し合いの中に入るかもしれません。また、団体交渉と名づけなくとも、話し合いというものの中には、まず考えられることは、甲と乙とが話し合いをして、そうして甲と乙との意見が一致しなければそのことがきめられないという、要するに、相手方が賛成しなければ、いつまでたってもこの問題は解決できぬと、こういうのも一つ話し合いであろうと私は思う。それからそれぞれの立場から意見を出し合って、私はこう思う、あなたはこう思う、こういって意見交換を十分にやって、しかる後にどうしても意見がきまらぬというときには、やはり経営者経営者としてその経営権の範囲において事をきめていく。まあ一方的にきめるというと非常に語弊がございますけれども、この話の相手方意見を十分に尊重しながら自分判断によってきめていく、これも広い意味話し合いと言えば話し合いになると思うのです。私は、その最後の場合、意見交換をしながら事務的に経営者がきめていくという、そういうやり方ならば、私は当然やってよろしいと、こう思っておるのでございます。  それが国民に対してどういう影響があるかということでありますが、なるほど郵便の遅配によって非常に御迷惑をかけておることは、私も重々申しわけなかったと思いまするけれども、しかし、やはり法治国家として、こういう法律制度のもとにおいてお互い社会生活を円満に営んでおる以上は、一応そこに秩序というものがなければなりませんので、経営者が当然経営権の実行としてやらなくちゃならない、また自主的にやるべきことについて、組合側がそのある程度のワクを越えてこれに介入していくということは、これは法秩序を乱るものである。これは、ひいては社会の活動を乱るものである。これが、大きな目で国民に非常な迷惑を及ぼす、こういうような弊害があるということを私はおそれておるわけでございます。
  12. 永岡光治

    永岡光治君 大臣考え方はいま聞いたわけでありますが、どうもしかし、そうなりますと、問題が少し、さらに私突き進んで聞いてみなければならぬと思うのですが、いまの後段の場合における、かりに話し合いをする気持があると、大臣こうおっしゃっているわけですが、この問題につきまして、そういう措置はとりましたでしょうか、大臣。その話し合いをして、意見がまとまらないからおれがやったんだと、意見がまとまらなければ、おれの郵政大臣としての行政権発動としてこれを行なうことがあるのだと。意見を十分尊重するけれども、どうしても意見が一致しないので、自分判断でこうやってよろしいということでやることがある、とおっしゃったんですが、そういう話し合いをなさったんですか、なさらなかったんですか。
  13. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) この三十八年度におきまして、先般決定をして通牒を出した。これがいま問題になっておるようでございますが、これにつきましては、省議においていろいろ事務当局意見を聞いて、私が最後決定したわけであります。これについては、すでに組合側としては、こういうふうなやり方反対であるという意思が表示されておったということは、私も承知しておりました。そこで、省議決定しましてから、すぐに組合側のほうにそのことを御説明を申し上げたわけでございます。申し上げたのでございますが、組合のほうとしては、どうしても反対だということでお譲りになりません。しかし、先ほど申し上げましたように、ただ組合反対だからといって、この経営権に属する問題を決定し得ないということはわわれわれとしても困るので、そこで私がこれを決定をしたようなわけでございまして、さらにこの問題について、その後団体交渉ということでお持ち込みになりましたが、それは私も困ると、こう言ってお断わりをしておる、こういう状態でございます。
  14. 永岡光治

    永岡光治君 いまのお話ですと、やはり十分話し合いをしていない答弁ですね、内容は。大臣十分話し合い、相手の意見を尊重して、聞くだけは聞き、意見がまとまらなければ、自分でこう判断すると言って、最後には決断を下して行政措置発動ということはあり得る。そういう話し合いならば私はいいんだという意味のことを大臣は言っておったわけですが、その話し合いをしていないのじゃないですか。これは私の寡聞にして、あるいは誤った聞き方かもしれませんが、少なくとも、事務当局の話を聞いてみましても、組合側の話を聞いてみましても、何か、八月の十二日には大臣とよく話し合いをするということを事務当局責任を持って約束をして、その場ででも十分ひとつ組合意見を聞いてもらおうということになっておったんだが、八月八日に出してしまった、こういうように聞いておるのですが、それはほんとうでしょうか。そうなりますと、ほんとう組合意向を十分に聞いたということにはならないのじゃないかと思うのです。この問題については、組合大臣と何回話し合いをやったのですか。私はそう数を重ねてやっていないと思うのですが、どうでしょうか。大臣は何回お話しになりましたか、大臣のほうから。
  15. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 組合のほうから私に会見の申し込みがございましたら、私はいつでもよろしい、早くお会いすることはけっこうだから、お会いしましょう、こう申し入れておったのでありますが、組合のほうは、なかなかそれに応じてこられませんで、自分のほうの都合によって、まあ結局延び延びになって、八月十二日に会見をした、こういうことでございます。それまでに事務当局から聞いて、組合側の御意見は十分私は承知しております。承知しましたが、組合としては、どうしてもこの問題は反対であるということで聞かれないということでありますから、どうもそれならやむを得ない、はなはだ遺憾でありますけれども、やむを得ないじゃないか、こういうことで処置をしたわけでございます。
  16. 永岡光治

    永岡光治君 いや、私は事務当局からどういう報告をされたか知りませんけれども、そうしてまた、この問題について、深入りして何回やったとか、形式上の問題を私は論議しようという気持ちはありませんが、しかし大臣が就任されて、八月八日といいますと、そう大臣は話し合う期間はなかったのじゃないかと思うのです。あなたが誠意をお持ちになっておればなおさらのこと、八月八日が九月八日になっても、私はこの問題は一刻を争う問題ではないと思います。郵便局を建てる通牒を一月おくらしたから日本の国がひっくり返えるような、そういう問題ではないと思うのです。郵政事業がつぶれてしまうという問題ではない。それは御理解いただけると思うのです。であるならば、通牒を出してしまって、それはどうかということ、これはだれが考えても、やっぱり困る。そういうことでは最終的にまとまらずに、大臣行政権発動というものがあり得ても、それまでは誠意を尽くして話し合うというのが筋だろうと思うのです。そのことに私は欠けておったと認定するわけです。あなたは事務当局から、組合意向反対だと聞かされたからやったと、こうおっしゃる。これは歴史的に見ましても、歴代の大臣とも、みなこの問題について慎重に考えておりました。かつては団体交渉対象にもしました。そうして、管理運営事項であるにもかかわらず、明確にしております。また、ひとり郵政のみではございません。先般野上委員から、あなたに質問になった中でも明確にされたと思うのでありますが、国鉄の動力車労働組合の、例の問題になっております機関車区の総合の問題も、これはやはり管理運営事項でございます。さらにまた、郵政自体の問題にとりましても、定員を増員するかしないかも管理運営事項でございましょう。おそらく管理運営事項ではないとは言えないと思うのです。あるいは増区するとかしないとかいう問題も管理運営事項だと思うのです。しかし、そういう問題についても、やはり組合のほうに協力してほしい、これは各現業局長も言ったはずでございます。また増員問題についても、組合にどのくらい増員したいのか聞いたはずであります。私は、そういう問題を考えますと、画一的に管理運営事項だからこれは困るんだと、そういう形式のものではなしに、特に私は、前の質問のときに申し上げましたように、たとえこれが団体交渉禁止事項であっても、それは組合から要求をして、あなた方に応ずる義務がないというだけの問題であって、進んで話し合いをして悪いという規定はどこにもないわけです。もしこの規定がじゃまをして、団体交渉対象にならないで困るということであるならば、国会の場でこの法律の改正をしなければならない。この法律の条項があるために、国民にこれほど大迷惑を及ぼしているということならば、悪法です。これは私は十分考えなければならないと思うのですが、おそらくそういうことはないと思う。だから、管理運営事項というのは、時の政権を担当しておる行政長官が、それを見分の判断に基づいてやる、それは神さまじゃないのですから。そしてまた、この事業が、予算の中に占める人件費を見てもわかるように、職員の何と申しましょうか、協力なくして事業は円満にいくはずがないのです、だれが考えても。郵政の一番大切な問題は、私は人事管理だと考えておるのですが、そういう問題だけに、これは十分に事前に話し合って、なおかつ組合意向をある程度尊重すべきものがあれば尊重するが、絶対いれらるべきでないものもそれはあり得るでしょう。その際に、最終的に、自分考えのもとに、さっき申し上げましたように、行政措置を講ずるということは、これは私はあり得ると思うのです。しかし、その手続をやらないのが、この問題の発端になったように私は判断をしておるわけです。  ともあれ、この問題は早急に解決をしなければなりませんが、私もほかの委員会があってこの座を立たなければなりませんので、あとは他の委員のほうから質問をお願いすることにいたしますが、私は最後一つ大臣のお考えを聞いておきたいと思うのですが、本朝のラジオを聞きましたら、宝樹委員長の話を聞いておりましたら、話し合いをすれば解決するわけですよと、こういうことを国民に言っておるわけですよ。話し合いをすればすぐにも解決するのですよ。私ども大いに協力して年賀郵便を早く届けたいのだと、こういう意味のことを言っておったのですが、これをあなた否定しますか。
  17. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 私、けさほどそのラジオを実は聞いておりません。したがって、宝樹さんがどういうふうなニュアンスを持って発言せられたかということはわかりませんけれども話し合いの問題ということは、先ほど私がるる御説明申し上げましたとおりで、そういうふうな意味において御了承いただきたいと思います。
  18. 永岡光治

    永岡光治君 私はあのラジオを聞き、郵政当局のほうの郵務局長さんでしたか、やっぱり応対において話をされていたようですが、私は、それは話をしてみれば解決するのじゃないかという気がしてならないのです。国民もその気だろうと思うのです。なぜ郵政省は話し合わなかったのかということに集中しておるのじゃないかと思うのです。早急に話し合いをしてこの問題を解決してもらいたい。私は冒頭申し上げましたが、これは法務省でもなければ経済企画庁でもないわけです。事業官庁です。郵便サービス機関の企業官庁です。そういう本質的な立場考えて、いまこの問題を解決しなければならぬというのが郵政大臣に課せられた最大の使命だと思います。私ども郵便利用者の一人です。国民の一人でありますから、どうぞその見地に立ちまして話し合いに応ずればすぐにでも解決するのだと、こういう組合側意向を私は信じて、早急に話し合いをして、この問題の解決に当たっていただきたい。このことを強く私は要望いたしまして、一応私の質問を終わりたいと思います。
  19. 野上元

    野上元君 前回の本委員会で若干の御質問を申し上げました。さらにまた、私は気持としては、いま永岡委員が言われたような気持ちで、管理運営事項についての考え方等について、郵政当局はあまりにもかたくなになっておるので、こういう事実もありますよということを示唆したつもりなんです。そのとき郵政大臣は、とにかくこの問題の解決には最善の努力をいたしますと、こういう御回答を得たのでありますが、その後ようやく一週間になろうとしておりますが、どういう努力をされたのかお聞きしたいと思います。というのは、今日依然として郵政当局と全逓との間の紛争が続けられておるということでございますから、前回の委員会以後における郵政大臣の御努力についてお話しを願いたいと思うわけです。
  20. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 今日の段階におきまして、組合側とわれわれとの間の意見が対立いたしまして、紛争が終息していないということにつきましては、まことに私は遺憾に存じております。前回の委員会におきましては、いろいろ野上さんからも御意見があり、私もこれを承りまして、この紛争を正しく解決するために努力をいたしましょう、こういうことをお答えしたんでありまするが、その後も、組合に対しましては、いろいろと経済問題あるいは労働条件の問題、そういう本来の年末に最も組合員としても切実なる御関係のある問題、そういうことについて十分にひとつ話し合って、団体交渉をしようじゃないかということを再三こちらから誠意をもって申し入れをして、努力を重ねておるということを申し上げておきます。
  21. 野上元

    野上元君 私は、今月の初め、あるいはまた上旬ぐらいならば、今の大臣の御答弁で了承できるのです。しかし、今日もうすでに十七日です。したがって、年賀郵便の疎通が確保できるかできないかというぎりぎりの限度が刻々と近づいてきているわけです。そういうときに、あなたがいわゆる事務当局にこの問題をまかせきって、あなたみずからが動こうとしないというのは、どういう理由によるのですか。その後、あなたは全逓の委員長等と話し合いをされたことがありますか。
  22. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 私自身が組合委員長と会わないからといって、努力をしておらないということにはなりませんので、私の部下である事務当局を督励いたしまして、この問題の解決促進のための努力をつとめております。
  23. 野上元

    野上元君 私は、それは今月の初旬における答弁だと思うのです。今日の段階においては、もはや何人といえども、この問題は郵政省対全逓での話し合いにまかしておっては、その結論が出ないであろう。したがって、一日も早く政治的に解決するということが望ましいのだ、こういうふうにどなたも言っておられるのですね。つい先日の日曜日の国会討論会でも、自由民主党からは三木武夫さんが出ておりましたし、社会党からは勝間田清一さんが出ておられました。そのときに、司会者である唐島基智三氏が、この問題の解決国会は一体何をしておるのだと、国民はもはや今日の段階は承知できない段階である、こういうふうに言っておるのであります。  それで、私は先ほど逓信委員長光村さんからもお話を伺いましたが、参議院議長が常任委員長を招待された、そのときの話題は、初めからおしまいまで、この年末首における郵政事業の問題であったと聞いております。そして、参議院の議長もまた、今日の段階はもはや事務当局の段階ではない、これは政治的に解決する以外には道がない、こういうふうに認識されておるのであります。皆さんもそういうふうにおっしゃっておる。にもかかわらず、郵政大臣がなぜあなたみずから動かないのですか。私は、後ほど過去に行なわれましたこの問題についての郵政当局と全逓との間の交渉についてお話し申し上げたいと思いますが、そういう時期がいま来ておるのじゃないかと私は思うのですよ。あなたが全責任を負って全逓の委員長会見されて、そうして、話し合いの糸口を見つけるということが、今日あなたの最大の任務じゃないですか、責任じゃないでしょうか、私はこう思うんですが、郵政大臣は、まだまだその時期が来ておらない、こういうふうに考えられるのか、その点をひとつお伺いをしたい。
  24. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 政治的というお話がございましたが、やはりわれわれは事業運営しておる立場にありますので、あくまでも運営上通すべき筋は通さねばならぬ、こういうことを私は考えておるわけでございます。その政治的という意味が、どういうふうな含蓄のある意味か存じませんけれども、適当に妥協したらいいじゃないかというふうな意味でありますと、ちょっと私は困るわけであります。したがって、事務当局を督励してやっておるから、単にこれは事務的に扱っているんだというようなわけのものではないので、やはり、あくまでも対組合の関係は、それぞれ私のほうにもさような担当者もおりまするし、これらの担当者と、また組合のほうとの話し合いもいろいろとやっておるわけでございます。そういう接触は欠かさないで今日までやっておるわけでございますして、今日いまお話しになったような意味合いにおいての政治的な扱いといいましょうか、そういうことはちょっと無理ではないかと思います。
  25. 野上元

    野上元君 それでは、郵政大臣はこの問題についてはみずから動かれるという意思はないと判断してよろしいですか。
  26. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) それは今後の情勢次第でありまして、今後動かないとも申しませんし、動くとも申しません。今後の情勢によって臨機応変の措置をとりたいと思っております。
  27. 野上元

    野上元君 あなたは、先ほどから聞いておりますと、筋だ筋だということを言っておられるんですが、筋だけでは得るところはないですね。もう少し私は弾力性のある考え方によってこの問題を進めてもらいたいというふうに考えておるわけですが、この筋というのは、前委員会であなたが申された管理運営事項であるということが筋だと思いますね。そうですね。そうしますと、その管理運営事項であるから交渉しないんだという法的根拠はどこにあるんですか。どの法律に基づいておるんですか。
  28. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 法律もさることながら、私は、やはりそのもとにある考え方というのは、先ほど永岡さんの御質問に答えて申し上げましたとおり、事業経営の立場から、経営権に属する重要な問題について、組合側の同意がなければ経営者として決定できないというふうな問題の取り扱いは私は不賛成である、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  29. 野上元

    野上元君 したがって、それは何か裏打ちされたものがあると思うんですが、その法律的根拠はどこにあるかというんです。
  30. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) いま申し上げましたように、法律というものは、やはりそのもとに一つの法理論がなければならないと思います、法理的な考え方が。そういう考え方から言いますと、私は、いま申しますように、経営権というものはあくまでも経営者が持っておるものだ、そういうところから出発しておるのでございまして、その点をひとつ十分に御了解をいただきたいと思います。
  31. 野上元

    野上元君 そうしますと、経営権というものは、あなた自身が判断されるということですか。
  32. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) もとより経営者として当然やらねばならない責任もあり義務もある問題、これが経営者のいわゆる経営権であると思います。
  33. 野上元

    野上元君 経営権といいますと非常に抽象的で概括的で、とらえどころがないのです。問題はいつも具体的に発生してくるわけですから、そのときそのときにおける起こった問題が経営権に属するものであるかどうかという判断は、郵政大臣がおやりになるのですか。
  34. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 具体的にとおっしゃいましたから申し上げますが、郵政当局として、郵便局舎をいかなる方法によって改善するかという問題は、明らかにこれは経営権の問題であります。私もさように確信をいたしまするし、社会通念からいっても、そうであろうと存じます。
  35. 野上元

    野上元君 そのことはいいと思いますがね。したがって、経営権であるから、それには交渉に応じなくてもよろしいんだという法律的根拠はどこにあるかというのです。
  36. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 経営権というのは、いま申しましたが、経営者の本来の権限でございまするから、その本来の権限に対して組合側が同意をしなければその経営権が実行できないというのであっては、これは経営権ではありません。したがって、そういう基本観念から私は申し上げておるわけであります。
  37. 野上元

    野上元君 観念論じゃなくして、法律的根拠があるでしょう。たとえば、公労法なら公労法の八条であるとか、そういうものにちゃんと書いてあるのですが、これが一つの根拠になっておるんですかと聞いているのです。
  38. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) ただいま野上さんのほうから御引用になりましたが、そういうことも確かに一つであろうと思います。
  39. 野上元

    野上元君 今日、郵政当局と全逓との間の労働問題については、公労法が適用されておるということになっておるわけです。したがって、お互いにこの法律を守っていこう、これを軸としてお互い交渉していこう、こういうことになっておるわけです。そして、この公労法の第八条の中に、管理運営事項団体交渉対象にはならないんだと、こう書いてあるわけです。したがって、これがあなた方の、今日、管理運営事項であるから、団体交渉は拒否するんだという法的根拠じゃないのですか。
  40. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 公労法のたてまえから申しますると、ただいま野上さんのおっしゃったとおりになります。なおかつ、私が申し上げるのは、その底にある大きな経営権という問題、これから発生しておるのであるということを申し上げたわけでございます。
  41. 野上元

    野上元君 この公労法が制定されたのは昭和二十三年十二月二十日になっていますね。したがって、昭和二十三年十二月二十日以降はこの公労法が生きておるわけです。それで、これに基づいて今日まで郵政省と全逓との間に交渉が行なわれておる、こういうふうに私は認識しております。そうしてまた、郵政、全逓の労働運動が公労法が適用されたのは、たしか昭和二十八年一月だったと思うんです。そういうことを頭に置きながら、過去において特定局制度の問題についてどのように交渉されてきたかということについて、ひとつ振りかえってみようじゃないですか。それも一つの方法だと私は思うんです。私は、この「特定局制度抄史」というようなものを読んでみたんですが、終戦直後全逓は組織されておる。その第一回の大会からすでに特定局制度撤廃という要求を掲げて、時の新谷寅三郎逓信院総裁心得に要求書が出されておるわけです。そうして、それに基づいて交渉が行なわれて、自来ずっと各大臣はこの問題について交渉されておるんです。しかし、私は、あまり古いことをここで言ってもしかたがないと思いますので、おおむね公労法が適用されてからの問題について振りかえってみたいと思うんですが、御承知のように、かつて特定局長会というものがあったんですが、これがマッカーサー司令部の命令によって解散を命ぜられた。そうして、この特定局の業務運行に非常に支障を来たした。したがって、何とかしてこの小局運営考えなければならぬといって、郵政当局がその運営方式を考えだしたのが特定郵便局長業務推進連絡会、俗に特推連というものをつくり上げたんです。これはどうですか、管理運営事項ではないんですか。どうですか。
  42. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) ちょっといまのお尋ねの内容ですけれども、特推連ができたということが管理運営事項だ、こういうことでございますか。
  43. 野上元

    野上元君 特推連をつくり、そうして特推連を運営していくことは管理運営事項に属するのではないかというのです。
  44. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 野上さんは長く全逓の委員長をなさっておられた方ですから、当時の事情にお詳しいだろうと思いますが、私は当時郵政省におりませんでしたので、まあ、これからいろいろ記録を読めばわかるでしょうけれども、当時関与しておった事務当局がおりますから、そのほうから御説明さしていただきます。
  45. 野上元

    野上元君 私は、そのことが非常に不満なんですよ。特定局制度の問題は、全逓発足以来の大問題であるんです。そうして歴代の大臣がこの問題について交渉してきたんです。最大の問題だといっても過言ではないんです。にもかかわらず、そういう経緯を事務当局大臣に話しておらぬのじゃないかと思う。だから、大臣が安易にあのような通達を流してしまったんではないかと思って、心配なので実はこういう問題をほじくり返して私は聞いておるのです。まあ、事務当局でもけっこうですが、お答え願える人がおれば、お答えしていただきたいと思います。
  46. 西村尚治

    説明員(西村尚治君) 特推連を設けましたいきさつは、野上先生よく御承知だと思いますが、全国に散在しております特定局の事務を能率的に運営するためにという意図から出ました準事務的なと申しますか、管理運営立場から出ました、われわれのほうで立案いたしました事柄でございまして、これはもちろん管理運営権に属する問題だと思います。
  47. 野上元

    野上元君 私の資料に基づきますと、その管理運営事項である特推連の運営について、郵政当局と全逓との間に九つにわたる確認事項を結んでおります。なぜ、そういうことをやったのですか。
  48. 西村尚治

    説明員(西村尚治君) これは団体交渉とかなんとかいうことではなく、組合側からこの問題の運営についての御意見がいろいろあったようでございます。私もその当時直接その衝に当たっておりませんので、詳細な事情をつまびらかにいたしませんけれども、希望がありました。その希望を聞きまして、省側といたしましても、この程度はまあ了承していいであろうということでその希望をいれた。それは確認事項ということになっておるかどうかは存じませんけれども、これは、先ほど大臣がおっしゃいました話し合いということの最後の範疇に属する問題であろうかと存ずる次第であります。
  49. 野上元

    野上元君 いまの特推連の確認事項が締結されたのは、二十八年九月三十日です。したがって、それはひとつ記憶に覚えておいてもらいたいと思うのです。  それから次に、官製の特定郵便局長会を復活するという意思によって郵政当局が立案をいたしました。ところが、これには全逓はまっこうから反対をいたしております。しかし、これもまた管理運営権に属する問題だと思いますが、それはどういうふうにお考えですか。
  50. 西村尚治

    説明員(西村尚治君) もちろん、管理運営権に属する問題だと思います。
  51. 野上元

    野上元君 そのときは、ちょうど私が全逓委員長をやっておったときです。そこで村上当時の大臣と、この官製特定局長会をつくることは絶対に反対であるということで交渉に入りました。そして、ついに当時の大臣は、全逓に対しまして、官製の特定局長会はつくりません、反対があるのでつくらないということを正式に通告をしてまいりました。そのかわり、特推連の業務の範囲を一部拡張してもらいたいということで、全逓はそれを了承いたしております。  こういう経緯もあるんでありまするが、これは明らかに全逓の反対によって官製の特定局長会はつくらないことになった、こういう団体交渉をやった記録が残っておるのですが、これはどういうふうにお考えですか。
  52. 西村尚治

    説明員(西村尚治君) そのときの両者の話し合いを、官側——官側と言っていいのですか、村上大臣は、おそらく団体交渉だというふうには考えていらっしゃらなかったと思います。何を話し合いましても、会見でも、組合のほうではこれは団体交渉だ、団体交渉だとおっしゃっておられるのでありますけれども、われわれのほうとしましては、それは団体交渉というふうには絶対に考えておりません。組合の御意見があるところは虚心たんかいに聞いて、いれるべきものはいれるという気持ちはあるわけでありますけれども、だから、いま先生は、その当時団体交渉をしたとおっしゃいますけれども、当時の村上大臣はおそらくそういうふうには考えていらっしゃらなかった、ただ会見をして、意見があって、聞くべきものがあったからそれをいれたというふうに考えていらっしゃるはずだというふうに考えております。
  53. 野上元

    野上元君 形式的にはそういうことが言えるかと思いますね。しかし、現実の問題として、実質的には団体交渉を行なった結果、全逓の言うことを了として、特定局長会をつくらなかったということは、これは形式論じゃなくて、実質的に団体交渉が行なわれて、こういう結論が出たんだ、こう解釈しておかしくないんじゃないんですか。それとも、あなたのほうは、あくまでも形式論にとらわれるわけですか。
  54. 西村尚治

    説明員(西村尚治君) 形式論だけではございませんで、私どもといたしましては、実質的にもこれは団体交渉ではなかったはずだと思います。実は私、そのときに直接衝に当たっておりませんので、何とも申し上げられませんが、伝統的な省の考え方としては、当然そうあるべきはずだというふうに考えている次第でございます。
  55. 野上元

    野上元君 しかし、この官製の特定局長会は、これは全逓が立案したものじゃなくして、郵政当局管理運営権に基づいて立案したのですね。ところが、全逓はこれに反対であるということで交渉を申し入れた、そして郵政大臣はそれに応じた、そして話し合いの結果、せっかく立案をしたけれどもやめましょう、こういうことになったんですが、それは団体交渉でないと言って形式論だけで済まされる問題ですか。実質的には、やはり団体交渉であると言っていいじゃないですか。
  56. 西村尚治

    説明員(西村尚治君) 団体交渉と申しますのは、いまさら先生に申し上げるまでもなく、いろいろと議論をかわしまして、両者の意見が一致しなければ話の結論が出せないということになっておるのでありますけれども会見といい、意見交換というものは、両者いろいろの立場、それぞれの立場意見交換はいたします。いたしますが、意見の一致を見なくても官側が権限に基づいて、最終的には官側が官側の判断に基づいて結論を出し得るという性質のものだと私は考えておるのでございますが、この場合も、管理運営権に属する事項について話し合いをした、あるいは会見をしたわけでありますが、そのときに、当時の村上大臣とされましては、まあ一応事務当局意見はあったけれども、聞いてみると若干これは訂正したほうがいいという判断に、独自の判断に基づいて訂正をされたのではないかというふうに考えるのでありまして、あくまで実質的には話し合いというものと団体交渉というものとは違うというふうに私ども考えております。
  57. 野上元

    野上元君 まあ、西村さんは非常に形式論にこだわっておられますがね。その官製の特定局長会の復活問題についての交渉は、郵政当局はこういうものをやりたい、こういう意思表示をされた。全逓は、それはやめてもらいたいという意思表示をされた。そしてお互い交渉した結果、結論的には、それではやめようじゃないかということに意見の一致を見たんじゃないですか、現実論から言えば。それは団体交渉の一種じゃないですか。
  58. 西村尚治

    説明員(西村尚治君) これは、意見の一致を見たというふうに解釈するかどうか、それはそのときに野上先生は衝に当たられましたから、まあそういうふうにお考えになったのかもしれませんけれども、それは、たまたま意見の一致することもあろうかと思います。しかし、省の立場としましては、あくまで省の独自の判断に基づいて組合側の言い分も考慮に入れながら省の独自の判断に基づいて決定されたことであるのでありまして、まあ、たまたま意見の一致はしたかもしれませんけれども、だからといって、これが団体交渉であったということにはならないと私は考えます。
  59. 野上元

    野上元君 まあそうすると、このことはこれ以上やっても水かけ論になるからやめておきますが、そのときに郵政当局と全逓とはこの問題について徹夜で交渉をした経緯があるのですが、その事実はお認めになりますか。
  60. 西村尚治

    説明員(西村尚治君) 実は、私その当時地方におりましたので、つまびらかにいたしませんが、確かにそういうことがあったというふうに聞いております。
  61. 野上元

    野上元君 そういう点について、郵政大臣事務当局説明をされたことがありますか。大臣はこの事実を御存じですか。
  62. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 概略承知しております。
  63. 野上元

    野上元君 それでは、別の問題でお話し合いをしてみたいと思うのですが、これも管理運営事項に属することだと思いますが、特定局を普通局に昇格するという問題が起きました。これはたしか昭和三十二年くらいだと思いますが、このときも郵政当局と全逓は交渉をいたしております。その交渉した事実をあなたのほうは認められますか。
  64. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 特定局が普通局に昇格するという問題につきまして、組合からいろいろ申し入れがあり、そのことについていろいろ話し合いをしたとは思っております。しかし、それは両者の記名調印をするというような団体交渉の形でなくて、先ほど来申し上げましたように、管理運営事項につきまして希望がありましたので、そのことについていろいろ意見を聞いたというふうに了解いたしております。
  65. 野上元

    野上元君 この交渉にあたっては、私の記録によりますと、労使それぞれから専門委員を選出して、専門会議なるものをつくり、前後十数回にわたって交渉が行なわれておる。そして、結果的には意見の一致をみて実施に移されておるという事実があるんですが、それはお認めになりますか。
  66. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) そのとき直接担当いたしておりませんので、正確なことは私存じませんけれども、先ほどから申し上げましたように、組合からいろいろお話があって、省としての意見もいろいろ申して、そうして話を進めていったというふうに考えております。しかし、あくまでそれは協約書をつくるというようなものではなかったというふうに了解いたしております。
  67. 野上元

    野上元君 それじゃ、もう一つ別の問題に移りますが、御承知のように、特定郵便局制度調査会というものが三十二年五月に発足いたしております。これは郵政大臣が任命する委員十三名によってなされておる調査会で、これが、特定局制度の問題について郵政大臣に答申をいたしました。その答申をめぐって、郵政省と全逓との間に交渉が持たれております。そのときの大臣は田中角榮郵政大臣であり、私が委員長のときでした。そして、これまた長期にわたる交渉が持たれまして、最終的には意見の一致をみて、ある一つの結論を出しております。簡単にその結論を申し上げますと、一、二、三と結論が出ておりますが、一、二は省略いたしましょう。で、三番目に、田中郵政大臣は次のように申しております。この問題は慎重を要するので、根本的な問題として、管理運営事項にこだわらず事務当局と話し合ってもらいたい、こういう意思表示が田中郵政大臣からあり、このときまた、労使双方がこれを検討する委員を選出いたしまして、特別に検討機関を設置することに同意をいたしております。そういう事実をお認めになりますか。
  68. 武田功

    政府委員(武田功君) いまお尋ねの点でございますが、私どものほうで現在記録を持っておりませんので、ちょっとただいまのところ、私どもも先ほど先生のおっしゃいましたような御趣旨のことは記憶にございません。
  69. 野上元

    野上元君 まあ私は、つい最近までに起きた問題について事を明らかにしたいと思ったんでありまするが、それさえも今日皆さん方せっかくお集まりをいただいておっても明確に御答弁ができない。これは非常に私としては遺憾に思うわけです。しかし、郵政当局交渉相手である全逓は、こういう問題を歴史的に考えております。特定局制度の問題については発足以来の大問題であって、十数年の長きにわたって努力を積み重ねてきておる、その結論に基いておそらく特定局制度の問題に取り組んでおると思うんです。したがって、郵政省の方針がそのときどきによって変わるということは、交渉相手としては非常にやりにくいことだと思うんですが、その点はあなた方のほうに若干欠けるところがあるんではないですか。
  70. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) お説のとおり、わが国の特定局制度というものは、明治の初年に始まって今日まで連綿として続いておりますけれども、非常に数も多く、また全国津々浦々まで普及しておる制度でございまして、今日まで相当功績をあげておるということはお認めになると思います。しかしながら、時代は刻々に移り変わっております。したがって、私どもとしましては、明治以来のその制度にやはり改善を加えつつ、将来にわたって特定局制度はいかにあるべきかということは、慎重にまた根本的に考えてみなければならない問題であるということを私も考えております。その点については、おそらく野上さんも御同感であろうと思うのであります。  そこで、こういう問題について、郵政省の方針と申しましょうか、考え方がぐらぐらしておるではないかというお尋ねのように拝承しましたが、ただいま御引例になりました昭和三十二、三年ごろに設置された特定郵便局制度調査会、その答申に基づきまして、特定局舎の問題は国有局舎と民有局舎と併用でいくことがしかるべしと、かような結論に今日まで一貫して従ってやってきております。すなわち、郵政省としましては、この問題に関しましてごうもぐらぐらしておらない。その方針によって今日までやってきておるということを申し上げます。
  71. 野上元

    野上元君 この内容については、後ほどまた詳しく御質問を申し上げたいと思うんです。私がいま申し上げておるのは、過去において、皆さん方が管理運営事項であると言われたような問題についてお互いに真剣に交渉が行なわれ、そして両者の意見が一致をみておるという事実をあなた方に知ってもらいたかったのでありますが、その点を皆さん方はお認めになりますか。
  72. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 今日までのいろいろな問題の処理にあたっての組合側のお立場、あるいはその御意見というものについてのお話は、ただいまいろいろと承りました。概略については私も承知をしておりましたけれども、さらに詳細な点については野上さんから今日伺ったわけであります。しかし、組合側ではこれは団体交渉によって決定したと仰せになるんでありますが、私どもとしては、組合側の御意見は十分に承る、またさような機会もつくりましょうというわけで、この御意見は御意見として十分に聞きながら、経営当局者としてはその独自の判断に基づいて決定をしていったものと、かように私は了解いたしておりまして、その場合に、組合側の御意見が一〇〇%なるほどもっともだということで、経営者がそれに基づいて決定をしたとすれば、結果的に見れば、あたかも交渉意見が一致したごとくに見られますけれども、しかし本質的にはあくまでそれは経営者決定であって、組合の御意見は十分に意見として伺ったと、こういうふうに私は考えております。
  73. 野上元

    野上元君 団体交渉というものの解釈については、形式論もありましょう、あるいはまた実質論もありましょう。私は、いま実質論をとっておるわけですが、あなたのほうは、あくまでも形式論を言われているわけです。したがって、その点はここで黒白をつけるという気持ちはありません。しかし、少なくとも過去において、この問題については両者間において慎重な交渉が行なわれてきたという事実だけは、これは何人といえども認めざるを得ないと思うのです。そしてまた、郵政大臣みずから、意見は十分に承る、そうしてそれを取捨選択するのは私の権限である、こういうことを言っておられるわけです。ところが、先ほど永岡委員質問にお答えになったのですが、今回の問題については意見を受けておらないのですね。ほとんど労働組合側意見は聴取しておらないというふうに私は考えます。それは、聞き及ぶところによりますると、一事務官が全逓に対していろいろな説明をしたり、あるいはまた回答したようでありまするが、大臣みずからがこの問題にタッチをして、全逓のいわゆる首脳部と話されたという事実はないと思いますがね。その点はどうでございますか。
  74. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) この問題について、事務当局をして組合側説明をさしたことは事実でございます。その結果を聞きますと、組合側としては、この措置にはもう絶対に反対であるということでございまするから、もう絶対反対ということであれば、どうもこれは取りつく島もないのでありまして、その御意見を御意見として伺いながら、私の判断によってきめたわけでございます。
  75. 野上元

    野上元君 私はね、ここで聞きたいのですが、池田総理は、常に政治の姿勢としては、寛容と忍耐、そして話し合いによってものごとは解決できないことはない、こういうふうに言っておられるのですが、その一閣僚であるあなたの考え方はどうですか。この池田さんの考え方に対するあなたの姿勢は。
  76. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 寛容と忍耐、話し合いをするということは非常にけっこうなことだと思って賛成でございます。
  77. 野上元

    野上元君 なぜそれをやらないのですか。
  78. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 私は、常に心持ちとしては寛容と忍耐の精神を体しております。なお、この問題に関しましては、先ほど来るる申し上げましたように、こちらは寛容と忍耐でおりますけれども組合側は、これはもう絶対に反対だと、こう言われますれば、どうもこれ以上話し合いの余地はないと存じます。
  79. 野上元

    野上元君 郵政大臣は、全逓委員長から絶対に反対だという話を聞きましたか。それは事務当局から聞かれたんじゃないですか。
  80. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 委員長と申してよろしいかどうかしりませんが、宝樹氏と会いましたときには、常に宝樹氏は、本問題については絶対反対である、こういう意思を表示しておられました。
  81. 野上元

    野上元君 それについて、あなたのほうとしては、絶対反対ならもう話にならぬといって引っ込んでおられただけなんですか。説得をされたことはないのですか。
  82. 増森孝

    政府委員(増森孝君) ちょっと率直に申し上げますと、十二月三日に全逓と大臣会見がございまして、その際に、転貸債を撤回しなければ団体交渉には入らない、いわゆる年末交渉には入らないということを申しております。しかしながら、省といたしましては、そういうことでは、年末繁忙期にも入りますし、それからかたがた、一般公務員等が十二月十四日にボーナスが出るというようなわけ合いでございますので、できるだけ早く交渉をしようということで呼びかけておって、それがなかなかまとまらないという実情でございます。
  83. 野上元

    野上元君 その問題についても、またお聞きしなければならぬと思いますが、私は、八月八日に通達を出された前後の問題について大臣にお聞きしたいと思ったのですが、郵政大臣は、就任されたのはいつでしたか。
  84. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 私七月の十八日に就任いたしました。
  85. 野上元

    野上元君 今回の通達の内容をお聞きするところによりますと、今年度を初年度とする五カ年計画というふうに聞いております。将来五カ年の長きにわたって問題が起きるこの局舎問題について、あなたが通達を出される前に一ぺんも全逓の首脳部に会っておられないということは、一体どういうことなんですか。
  86. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) いまちょっとおことばがありましたから簡単に御説明をしたい点があります。  それは、いま全国の特定局多数ある中で、最も緊急に政善を要すべき局舎、あるいは老朽し、あるいは狭隘になったというのが大体三分の一あります。詳細に申せば四千八百局といっておりますが、この四千八百局につきましては、できるだけあらゆる手を尽くして早急に改善をしたいというのが私の念願でございます。そこで、そのうちの約千局、あるいは工事の都合によってこれがまた千二、三百局になるかもしれませんが、一応のめどといたしまして千局あたりは国費でもってやろう、すなわち国有の局舎をふやしていこう、こういうことで計画をやっております。そうしますと、残るのが三千八百局で、これはいずれも従来どおり民有の局舎であります。  そこで、三千八百局ありますが、その中で、できるだけ早くやろうという趣旨のもとに、その方法の一種として、いまの簡易保険の積立金を運用して局舎改善をやろう、こう考えついたわけでありまして、これを五カ年にやりましても、なおかつ、ようやく千局あたりの改善が可能になるわけでございまして、全体の四千八百局、急に改善をせねばならぬという局舎からいえば、その何分の一かに相当する数であります。しかし、それでありましても、何とか緊急にやりたいというので今回の措置をとったようなわけでございます。なお、これについて事務当局説明も聞き、私も納得いたしまして、それでやろうということに決定を見たわけでありまするが、これについては、直ちに組合側にも御通知したのでありますけれども組合としては反対である、絶対反対であるということでありますれば、どうもそれ以上申し上げても、組合としては絶対反対だと申されておるのでありまするから、これはやむを得ないというので、進めたわけでございます。それでも、あとまだ二千数百局というものが、こちらとしては特別な手を打たないで、局舎の所有者が極力努力して改善を促進してもらうように希望しておるようなわけであります。その辺の事情は、十分に御承知願っておると思いまするけれども、この機会に申し上げまして、御理解を深めていただきたいと存じます。
  87. 野上元

    野上元君 私は、局舎がよくなるということについて、何人といえども反対する人はいないと思うのです。これは、組合といえども同じだと思うのです。しかし、目的が正しいからといって手段まで正当化することはできぬと思うのですね。それはまた別だと思うのです。ただ、そういう一致した意見に向かってどの道を歩んでいくかということについて、あなた方は、なぜ組合側と話をしなかったかというのです。ある一つの方法だけを示して、それに絶対反対だから、もうお話にならぬ、それなら話し合いをする必要はないというふうにお考えになったところに、私は問題があると思うのです。私は勘ぐって言えば、こんなことを組合と相談しておったらとんでもないことになる、したがって、もう抜き打ち的にやってしまえ、現実の事実をつくってしまえと、こういう考え方でやられたんじゃないかとさえ実は考えておるのですよ。当時、あなたが通達を出されたときに、これを承認されたときに、こんな問題になるとは思われませんでしたか。
  88. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 組合側がこの問題には反対であるということは、十分承知をしておりましたけれども、しかし、これが今日までかように延びて、そうして年末の最繁忙期に及んで組合側がかくまで頑強に反対をされるであろうというようなことは、私予想しなかったわけであります。
  89. 野上元

    野上元君 先ほど私がいろいろ説明を申し上げたし、質問もしましたが、そういう歴史的経過を知っておれば、今日組合があのように反対をしておる理由はおわかりでしょう。
  90. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 組合がいろいろと御意見を申し出られて、それに対して郵政局が判断をするという従来のあり方、これは事実としてそのとおりだったろうと思いますが、しかしこの問題は、私としましては、組合反対されるような、そういう方法としても不当な、あるいは不法なやり方では決してありませんから、組合としては十分にこの点は理解をしてもらえるだろうと、この年末に際してこんなに反対されるというようなことは、全然私としては考えなかったわけであります。
  91. 野上元

    野上元君 あなたは前後の事情を知らないから、そういうふうにお考えになったと思いますが、少なくとも、終戦後から郵政省にずっとつとめておられる事務当局においては、この問題がいかに大きな問題になるかということぐらいは、おわかりにならなかったはずはないと思います。もしも、それがわからなかったというのなら、私は残念ながら無能だという判こを押さざるを得ないのです。今日このような状態が出てくることは、だれでも予想しておったと思うのです。それを全然知らないでやってしまった、たいしたことはないだろうというその感覚こそが、私は今日問題だと思うのです。  で、この問題について、あなた方は郵政局長会議にはかったことはありますか。こういう方法でやるぞと。組合が相当問題になるだろうけれども、うまくやれというようなことを郵政局長会議かなんかで、正式に議題として取り上げた事実はありますか。
  92. 西村尚治

    説明員(西村尚治君) 郵政局長会議に正式にはかったというようなことはございません。
  93. 野上元

    野上元君 従来郵政省が、いろいろの施策を行なう場合に、重要な問題については、おおむね郵政局長を招集して、事前に打ち合わせをし、そうして万遺漏なきを期するというのが、郵政省のいままでのやり方じゃないですか。この問題はそんなことに値しないというふうにお考えになったのですか。
  94. 西村尚治

    説明員(西村尚治君) 値しないというふうに考えたわけじゃございませんが、実は私ども、この方法——この方法と申しますのは、現在、老朽、狭隘、早急に改善を要する特定局舎というものが、ただいま大臣お話しになりましたように、全国で四千八百ほどある、これを何とか早く改善をしなければならぬ、そのためにはどうしたらいいか、千局ばかりは国費で新営をする、残りのものは民有局舎の借り上げでいくという方針を立てたわけでありますけれども、民有局舎のほうの改善の実がなかなかあがらない、このまま置いておいたのでは、事業運営上にも差しつかえますし、そこに働く従業員の職場環境改善のためにもなりませんし、地元民の利用の便にも応ずることになりません。そういった点を考えまして、しかも組合のほうからは、要求として特定局の職場環境を早急に改善せよというような要望も、従来たびたび出ておるのでございます。それこれ勘案いたしまして、これをやることは従業員のためにもなるし、事業のためにもなり、地元利用者のためにもなることであるので、どこから見ても悪い点はないと、むしろ時宜に適した適切な施策であるというふうに私ども考えておるのでございます。ただ、このやり方がいいか、それともほかの金融公庫というようなところから資金を借りて、改善の実があがるように手助けをしたほうがいいか、その辺については、いろいろと検討いたしました。その結果、結局この案が一番よかろうということで、大蔵省、自治省等と寄り寄り相談をしておったわけでございますが、これが郵政省限りでできます問題でありますならば、郵政局長会議にも話し、もっと早く局長会議にも話し、また、あるいは組合にも御説明する機会があったであろうと思うのでありますけれども、何しろ他の省とも関連する事項でございます。自治省と詳細に具体的に話し合いがまとまりましたのがことしの七月の下旬でございました。それが、そのあとすぐ組合のほうにもお話をしたわけでありますけれども組合のほうでは、これは絶対に反対だということでございます。で、省議にかけましたあと、次の機会の郵政局長会議にはこれを披露いたしまして賛同を得たわけですけれども、事前にはかけるいとまがなかったわけです。と申しますのは、関係各省との話し合いが、まだ十分まとまっておりませんでしたので、かけられなかったということでございます。
  95. 野上元

    野上元君 まあ意地悪く質問すれば、それでは順序が逆じゃないかと思うのだね。関係各省に話し合いをして、オーケーをとってから話し合いをしようというのは、それはもう既成事実をつくっておいて話し合いをしよう、こういうことになると思うのです。それは、ほんとう皆さん方がこの問題を円満に解決するならば、こういう方法でひとつ各省とも話し合ってみたいということを事前に話されることのほうが、より円満にものごとを解決する方法じゃないですか。そしてつくり上げてしまってから、こういうものをやることになったから賛成してもらいたい、反対だ、それじゃこっちでかってにやります、通牒もかってに出してしまう、そのあとで問題が起きて、皆さん方に開き直って、管理運営事項であって、こんな問題に容喙してくるのはけしからぬ、こういう言い方をされるのは本末転倒しておりやしないかというふうに考えるのです。で、私ども逓信委員会におきましても、簡保の積立金の運用範囲の拡大については、従来とも協力をしてまいりました。今後も協力をしていくつもりです。しかし、そのときには、皆さん方は私どもにいろいろと事前に打ち合わせをされるのです。そしていろいろな問題について依頼をされる。しかし、今回の問題については、全然話も何もない。逓信委員会では全然そういう話を聞いたこともない。これはどういうことなんですか。あなた方のほうは頼むだけは頼んで、あとは自分らでかってにやっていく、問題が起きてもそれはしかたがないのだ、という考えでやられておるとしか思えないのですが、今後もそういう考え方でやられますか。
  96. 田中鎮雄

    説明員(田中鎮雄君) まあ、今回の措置につきまして事前にお話しいたさなかったという点につきましては、ただいま次官から説明しました、ほんとうに事務的の点からお話しできなかったということでございまして、実は先般の運用法の改正方につきましては、しばしば先生方に私もお目にかかり、いろいろお願い申し上げておったところでございます。その点につきまして、ただいまのようなお話があるのは、私としてもまことに申しわけないと存じておりまするが、何ぶんにも他省との関係もありますし、その中間でいろいろ各方面に話して回るというようなことはどうかということで差し控えておった次第でございます。  なお、今後一切先生方にわれわれの施策についてお願い申し上げないということではありませんで、これからも何かとまたお願いにあがると存じますが、今回の点につきましては、さような理由でお話し申し上げなかった次第でございます。
  97. 野上元

    野上元君 私は、何でもかんでも皆さん方の施策について事前にわれわれに話し合いをせよ、こう言っておるのじゃないのです。問題のある問題については、皆さん方からむしろ積極的に逓信委員会に話されたほうが業務の運営がスムーズにいくんじゃないかということを考えておるのです。そのことを申し上げておるのであって、いま保険局長から事務上の手続の不備があったということを言われておるのですが、私どもには、どうもその事務上の手続の不備だとは考えられないのです。というのは、これは五カ年計画でしょう。五カ年計画を一片の通達によって出してしまう、その前に全然話し合いがない、ということは、どうしてもわれわれとしては了解ができない。もしも事前にお話し合いがあるならば、われわれとしても意見を申し述べたはずなんです。あとで、通達が出されてしまってから意見を幾ら述べてみてもしかたがないのですが、こういうやり方は私はまずいやり方じゃないかと思うのです。だからこそ、今日こういう混乱が起きておる。そのことの責任はあなた方も痛感されなければならぬはずだと思うのですがね。それはどういうふうに皆さん方お考えになっておるのですか。自分らはどうも落ち度はないというふうにお考えになっておるのですか。先ほど来、緊急事態だ、調査会からも答申が出て、早くしろ、こう言っておるので、間髪を入れずにやったといっておるのですが、調査会の答申は、先ほど申し上げましたように、三十二年に出ておるのですね。今年は三十八年ですよ。その間六年もたっておるわけですよ。しかも、その調査会の答申も出ていることだから急がなければならぬということなら、もう三年も四年も前に手をつけるのがほんとうじゃないですか。今ごろになって手をつけて、緊急な事態なんだから、一切の話し合いはやらないでやったのだ、こういうふうに言っておられるのですが、どうも私たちには納得できないのです、それは。
  98. 西村尚治

    説明員(西村尚治君) 調査会の答申が出ましてから全く手をこまねいておったというわけではございません。その間に、御承知かと思いますが、与党からもこの特定局舎を整備するための法案が出ましたり、また社会党のほうからも出たりしたいきさつもあるのでございます。しかし、いずれもこれは廃案となりまして、あとは行政措置で何とか改善をはかるほかないということで、われわれいろいろ調査しました結果が、先ほど大臣の申し上げられましたように、四千八百局は何とか早くこれは改善を要する。そのためには、いろいろほかの金融公庫等から、住宅金融公庫とか、中小企業金融公庫とか、その他のほうからの借り入れというようなことも考えたのでございますけれども、これもうまく参りません。いろいろ努力し検討いたしました結果、行政措置としてこれができる、これが一番いいであろうという、関係当局との話し合いの結果、この結論になったわけでございまして、とにかく、私ども判断責任に基づいて、これが一番いいというふうに思いまして、やりましたことで、特に先生方に断わらなかったということは、あるいはそれは手落ちといえば手落ちとも思いますけれども、私どもこれはもう時宜に適したいい施策だと思って、行政上の施策だと思ってやったことでありますので、その点十分皆さまに事前に御納得を得る努力を怠ったというふうにとられては困るのでありますけれども、努力を怠ったのではなくて、私どもそこまで配意が足りなかったということでひとつあしからず御了承を願いたいと思うのでございます。
  99. 野上元

    野上元君 私は、ここで郵政当局から陳謝をしてもらいたいという気持ちじゃないので、問題は、そういうことではございません。とにかく、今日起きている紛争を何とかして解決しなければならぬので、私はこまごまと、あなた方にとっては聞きづらいかもしらぬが、そういう問題について従来のあり方というものを郵政大臣にはっきり知ってもらいたいからこそ申し上げておるのです。だから、その点はひとつ郵政大臣虚心たんかいに聞いてもらいたいと思うのです。私どもも、郵政当局の業務が円滑に運営されるということを望むことにおいては人後に落ちないつもりなんです。だから、その点はひとつそういう気持ちで聞いてもらいたいと思います。  さらに話を続けて参りますが、先ほど郵政大臣は、この特定局制度の問題は明治以来の問題だと、あなたも郵政関係に奉職されたことがあるわけですから、そのことは御承知のとおりなんです。その明治時代の一つの遺風として、今日局舎の私有制度が残っておる。局長の世襲のごときものが今日残っておるわけです。したがって、この問題については、この調査会の答申案にもはっきり出ておりまするとおり、必ずしも好ましいことではない、しかし、今日の財源の状態からみていくと、やむを得ざるものがあるんだ、いわゆる必要悪だと、こういうふうに考えられておるわけです。必要悪であっても、悪に間違いはないんです。そうして明治時代の遺風であることにも間違いがないんです。したがって、それを直していくのが進歩じゃないですか。改革じゃないですか。それをあなた方が、簡保の積み立て金を利用して、さらにその私有制度を助長するがごときは、明らかに私は進歩に対する反逆だと思うのですが、民主主義の逆行だと思うのですが、こういうことを考えられる必要はないじゃないですか。もっとほかに堂々たる行き方があっていいんじゃないでしょうか。こういうことをやられるから、いろいろなうわさが飛ぶし、つまらない腹を探らなきゃならぬようなことになってしまうのです。それでもなおかつあなた方はこれがいいんだ、最善の方法なんだ、というふうに考えておられますかね。
  100. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) お言葉ではありますけれども、確かに、特定局制度というのは明治以来の実に歴史の長い制度であります。でありますが、はたして明治の遺風であるということばで表現することが適当であるかどうかということについては、私も問題があると思います。しかしながら、先ほども申し上げましたとおり、時代はどんどん進んでおることでありまするから、その時代に即応したような姿において、この郵便局制度というものは全般的に慎重に、かつまた根本的に考え直してみるということは大いに必要であろうと私は思います。  なお、これはもう私が申し上げるまでもなく、皆さまよく御承知ですが、日本ばかりではなく、やはり諸外国においても、これに似たような制度が行なわれておるということを私も承知しております。したがって、これは日本だけの悪風だというふうにとることはいかがかと思います。したがって、今後はそういう外国の、いわゆる先進国の制度も、これらも十分しんしゃくし、参考にしまして、日本の将来における郵便局制度のあり方という問題については、とくと私も検討をしてみたいと、こう考えております。
  101. 野上元

    野上元君 私は、郵政当局一つの指針として重要視されておるこの特定郵便局制度に関する答申書を読んでみましたいその中に局舎の項というのがございます。簡単に読んでみますと、「現在においては特定局長局舎の提供義務はないが、局長の任用に局舎の提供が事実上の要件とせられる例が多いことと局舎の所有にからみ局長の地位が事実上世襲となるということで局舎の私有が一部の批判の対象となっている。この問題は局舎の完全な国有化が実現すればおのずから解決することもちろんであるが、郵政事業の財政はこれを許さない。」、したがって、次のごとき次善策もやむを得ないと、こういうふうに言っておるのであります。したがって、この局舎の私有が、局長世襲制度に大きな影響を持っておるということは、この答申書にも明らかにされておるのです。これが一番大きな特定局の問題になってくる。いわば郵政事業における二重構造がこの特定局制度にあるのです。それを、この答申書がいうように、今日国有化にすることが望ましいけれども、財源がないからやむを得ず私有は認めざるを得ないのではないか、こういっておるのであります。このことについて、私も考え方について反対をするものじゃない。したがって、局長みずからが家を建て、そうしてそれを郵政省が借り上げるということについては、一つの方法、今日やむを得ざる方法だと思います。しかし、少なくとも積み立て金を、簡保の積み立て金をそのほうに流用して、局舎の私有化を促進する明治の拡大を行なうがごとき方針は、進歩の世の中においてとられるべき方法ではないと思うのです。もしも局舎改善をあなた方が考えられるならば、局舎公団をつくることについて関係各省の同意を得、あるいはまた、与野党の同意を得る努力をすることが必要であると思うのです。そういうことはやらないで、最も安易な方法でやってしまったというところに今日問題があるので、この問題は、必ずしも私はあなた方がりっぱなことをやったというふうには、どうしても考えられない。時代に逆行しておるとしか考えられないのです。  しかも、貸す金の利率は六分五厘ですか、これは。そうして毎月月賦で払う。その返済する金は何から出るかといえば、郵政特別会計のほうの局舎借り上げ料ですか、このほうでまかなっていくという形をとるわけです。したがって、郵便局長というものは、一銭もみずからの金を出さない。むしろ、余分に局舎料をもらって、そうして局舎を建て、そうして私有にし、そうして借金を返済した暁においても、局舎料はどんどんと入ってくる。こういうことがはたして正しい方法であるかどうか。国民がこれを聞いたら、そういう金があるならよそへ回してもらいたいというふうに言うでしょう、おそらく。しかも、局舎の私有が局長の世襲につながっておるということは一般に認められておるのだ。そのことによって、局長が世襲で代々やっていくというような方法を郵政省みずからが助長するような行き方は、明らかに私はこれは行き方が誤っておると思うのです。どうしてそういう方法をとらなければならないか。そうして、そのことによってこれはどうしてもやるのだ、年賀郵便が飛んでもやるのだといって国民の前にあなた方は説明できますか。これは私はできぬと思うのです。管理運営事項の最大なものは、年末首における郵便の疎通ですよ。その一大管理運営事項は曲がっても、こっちのほうは筋を通すのだ、この小さなほうは筋を通すのだというのは、明らかに私は本末転倒だと思うのです。そういう点についても郵政大臣の感想を聞きたいと思うのです。所見を。
  102. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) ただいまのお尋ねの内容は非常に広範な内容であったと思いますが、これをかいつまんでお答えを申し上げたいと存じます。  確かに、今度のやり方によって建てた局舎に対しましては、国が借料を払うことはそのとおりでございます。第一に、この局舎というものは、所有者が局長であろうと、あるいはその他の第三者であろうと、公共機関であるということには間違いない、郵便局舎というのは。したがって、その郵便局舎が公共機関であるという前提の上に立って、この公共の機関を国が利用するわけでありますから、郵便事業のために使うのでありまするから、それをただで、無償で使うという法は、これは今日の日本状態ではあり得ないわけであります。したがって、国がこれに対して適正なる家賃、借料を支払うということは、これはもうだれしも異議のないことであろうと思います。また、その公共機関を建築するために簡易生命保険の積み立て金を運用するということは、これは公共のために運用するわけでありまして、決して不当ではない。また、これに対しては無利息で貸すというならば、これは大問題でありまするけれども、ちゃんと簡易保険積み立て金の運用審議会においてきめられた条件に基づいて貸すわけでありまするから、決してそこに不正なことも不当なこともないわけであります。したがって、その問題は大して議論するほどのことはないと思うのでありますが、ただ、いまのお話の中に、そのことと世襲制とが関連をしているであろうということでございます。私も、その点は若干関連があるとは存じます。決して関連なしとは申し上げませんが、しかし、私はかように考えております。局長というものは非常に重要な職務でありまするがゆえに、局長として適当なる人を任用するということは申し上げるまでもございません。ただ、前局長の子供であるから、あるいは婿であるからといって適当でない人を任用するということは、これは絶対に避くべきものである、しかしながら、非常に有能な人であって、その人が局長の子供であるから、だから世襲になるからやってはいけないということも、それは私は行き過ぎであろう、あらゆる方面の人材の中から局長として最も適当と思われる人を選んで任命する、というのが、この自由任用制度の特色でございます。私は、最近そういうふうな問題がございましたので、一体近年任用はどんなふうになっているだろうかということを調べたのでございます。とりあえず、三十五年、三十六年、三十七年の分を調べたのでございますが、一々数字を申し上げますと繁雑になりまするから、一番最近の三十七年度の例をここでちょっと申し上げておきます。  そうしますと、任用しました総数が六百六十二名になっております。その中で、部内の、要するに事業の経験のある人、こういうようなものが五百八十九名でございます。そうしていままで部内におって経験を持つということのなかった人が七十三名となっております。それからなお、それを分析してみまして、世襲的ということがどの範囲まで含まれるか、これはいろいろ解釈によって違うと思いますが、一応いままでやっておった局長の配偶者、そのむすこ、めいご、あるいはおいというふうに四親等以内の血族、また血族ばかりでなくてその姻戚、こういうものを入れまして非常に広く解釈して、これが世襲的という範囲だといたしますると、これが二百二十名になっております。大体六百六十二名の中の三分の一ということが、いま申しましたような広い意味における世襲的なものと申せるかもしれませんが、それが二百二十名でございます。しからば、その二百二十名の人たちは、いままで部内の事業に対する経験がないかどうかということを当たってみましたところが、そのうちの百九十八名という人は、すでにこの郵政事業というものに経験を持っておる人である。全然経験がない人は全部で二十二名である。いま申した二百二十名のうちの一割ということになりまして、全体の任用した六百六十二名に比べますと、そのうちの二十二名でありますから、まあ率からいっても少ないのではないかというふうに思いまして、いま御心配になっているようなことは、いまのこの調べによりまして、まずまずそう大きな心配はないのではなかろうかというふうに私は承知をいたしております。あくまでも、局長としては適任者を任用するという原則を貫いて今後もいきたい、かように考えておる次第でございます。  また、こういう問題で年末の忙しいときに、非常に郵便の正常な業務を阻害することはまことに遺憾なことではないかというお尋ねは、私もそのとおりに存じております。こういう問題は、その年末の騒がしい時期に議論すべき問題じゃなくて、まあゆっくりとこれは検討すべき重要性を持つ問題であろうと私は思うのでございまするから、組合側がすみやかにこの問題を撤回して、そうして早く年末の闘争を終わられることを私は心から念願をしておる次第であります。
  103. 野上元

    野上元君 いま大臣から世襲の現状について説明がありました。これは、この前の委員会のときにもたしか資料があったと思います。したがって、そういう点については私たちも知っております。それはなぜそういうことになったかといえば、やはり戦後労働組合ができてから、この局舎の私有化に反対し、世襲制度に強く反対したということから、逐次改善状態にあるということは、私も経験から知っておるのです。しかし、あなたも認められておるように、またこの答申書が認めておるように、局舎の私有が世襲につながるという一部の批評は隠せないのだということを言っておるのです。しかし、それは当面財政がないからやむを得ないと言っているのです。だから、そのことも私たちは認めておるのです。しかし、少なくとも簡保の積み立て金をそのような方向に運用することは誤りではないかというのです。私有化を促進する、明治の時代に逆行するようなことに国みずからが力を入れることは誤りではないかというのです。もっといい方法があるのではないかというふうに私ども考えておるのです。したがって、あなた方が、これは筋なんだ、この筋は絶対に曲げられないのだ、こう言って、年賀郵便が混乱してもやむを得ないという態度は、国民立場から見れば納得しませんよというです。もっと率直に話し合ったらどうですか。おそらく国民は言うでしょう。特定の局舎が一年間おくれてもよろしい、しかし郵便だけは何とかやってもらいたい、こう言うか、国民に聞いてごらんなさい。アンケートでも……。おそらくそう言うと思うのです。しかし、この特定局制度の問題は、専門家でもなかなかわからないのです。いわんや、一般の大衆はわからないのです。局舎がよくなるからいいではないか、何で全逓は反対しているか、こういう言い方なんです。しかし、いま私が説明したようなことをかりに国民大衆が知ったら、はたしてどちらに旗を上げるでしょう。私は、おそらく国がそういう時代逆行的なやり方をやるということは、国民立場からいっても許されないと思うのです。もしもそういう金があるならば、ほかに回してもらいたいと言うでしょう。私はそこを言っているのです。それをなぜ、あなた方のほうは、どうしてもこれをやるのだ、どんなことがあってもやるのだというほど、かたくなにならなければならないのかということが、私はどうしても理解できないし、国民立場から見ても、この点は私は理解できないのではないかと実は考えておるわけです。  そこで、私はさらに質問を続けて参りますが、現在のような状況のもとで年末首の繁忙期を乗り切るということはできますか。たとえば、年賀郵便は何日までに配達するのだという一つの約束があるわけじゃないと思います。しかし、少なくとも国民大衆は、どんなにおそくても松の内にはもらいたいという気持があると思うのです。これが一月の終わりごろになったり、二月の初めになったりするのでは、年賀郵便のありがた味がないと思いますが、今日の状態を続けていって、はたして元旦に配達ができますか。そういう自信がありますか。それをはっきりとこの際聞かしておいてもらいたい。
  104. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) この年末首は、御承知のとおり、通常郵便物にしましても、ふだんの三倍ぐらい、それから小包にしましても、二倍半から三倍くらい仕事が出るわけです。そこで、常在員だけではとてもやっていけませんので、常在員の超過勤務を依頼すると同時に、またアルバイトを相当多数雇っていこう、ふくれ上がる物増の四割は超勤で、六割はアルバイトでやっていこうというのが当初の計画であるわけです。そこで、そういう態勢でありますと、一番望ましいわけでございますけれども、ただいま話がなかなかつきませんで、こういう形でございますから、超過勤務にたよれぬ分につきましては、これはアルバイトを増強していく。しかし、アルバイトだけ集めましても、場所の問題、いろんなことがございますから、まず郵便事業として一番大事なことは、これは郵便法にもありますように、封書、はがき、あるいは三種、五種といったような通常郵便物を確保しなきゃならぬということは、一番独占事業からのわれわれに課された使命であるわけです。そこで、これはどうしても確保していきたい。しかし、小包等につきましても、これはできるだけやっていかなければ公衆に迷惑をかけるわけでありますから、私たちは全力をあげてやっていきたかったのでありますけれども、こういう実情のもとにおいて、ただたくさんお引き受けをして、結果的にうまくさばけないということになっては、かえって約束を違えることになりますので、私たちとしましては、この繁忙期において、まず、他に配達機関のあるところというので、最初大きな都市の市内の小包、それからそのあとで、東京、大阪等を中心としました近隣のところの小包を——これは公衆にはまことに申しわけないわけでございますけれども、年末の非常に大事な、重要通信物を確保するためには御協力いただこうというふうにいたしておるわけでございます。したがって、このままの状態が続きます場合には、われわれは、一方でできるだけアルバイトを多く使うと同時に、一番大事な重要通信を確保するために、公衆に対していろいろと御協力を願っていこうと、そういうことで乗り切っていきたいという態勢を固めておる次第でございます。
  105. 長田裕二

    説明員(長田裕二君) ちょっと話が前後いたしますが、先ほど野上先生から、こういう方法で特定局舎をつくるということについてのあれがございました。私ども経理の観点からも、その問題を少し検討してみたわけでございます。御承知のとおり、財政投融資資金を昭和三十八年度におきましても三十七億借り入れて、局舎の資金に充てることになっておりますし、今回問題になっておりますような資金を、かりにそういうふうに使った場合に、どうなるかというようなことも、こちらの立場として当たってみたわけでございますが、詳細は別の機会にあるいは御説明申し上げてあったかもしれませんが、今回の資金は、局舎の建設資金の七割を限度として貸し付ける、残りの三割は局長が、局舎の所有者が持ち出すということになっておるわけでございます。なお、土地に対する貸し付けは行なわないというようなことでございますので、同じ資金の額を予定しました場合の効率から申しますと、国が現在やっておりますような、直接財投資金を借り入れて国有化していく場合に比べまして、同一金額で局舎の建つ割合は、これはいろんな例がございますが、集配局と無集配局、土地の広さ等によって違いがございますけれども、平均して倍近くは建つんではないかということと、それから土地に対する現在の借料の利子が比較的低いことなどもございまして、結果としましても、同じ資金に対して、そういう直接国有で建てた場合の支払い金利その他の経費と、それから貸し付けました場合のその局舎、それから局舎に対する借料の支払い、いろいろ比較いたしますと、比較的安いというような結論が出た次第でございます。
  106. 野上元

    野上元君 経理局長の問題は、一応説明としてお聞きしておきたいと思います。  さらに郵務局長質問したいんですが、最近、小包郵便物の引き受けの停止を強化されておるということが新聞に出ておりますが、それはどういうことになるんですか。これは、組合との話し合いがつかないので、混乱を予想してそういうふうにやられたのか、それとも、初めからそういうつもりであったのか、その点はどうなんですか。
  107. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 先ほどから申し上げましたように、主として十日からの物増というものに対しましては、超過勤務とアルバイトと両面でやっていこうと思ったわけです。ところが、超過勤務はいまのところ協力が得られませんので、それならばアルバイトを雇ってできるだけ処理していこうと思いますけれども、非常に小包の量もたくさん出てまいりますし、アルバイトだけで処理するのには、どうしてもたまってしまうだろうと思いましたので、まず第一段階としまして、主要な大きな都市の市内相互間を制限いたしました。  それから次いで、十六日から、都内と隣接府県との間、それから東京、大阪を中心とする近県との間の小包を制限いたしまして、大体平常期の三倍、平均しまして三倍ですが、出盛り期になりますと、平常期の五、六倍にふえる小包郵便物を、そういうことによって平常の時期よりも少し多い段階にまでして御協力していただきたい、そうしてできるだけ滞貨のないようにしていかないと、引き受けたことは引き受けたけれども滞貨になったということになりますと、非常に混乱が起こりますので、そういう措置をとった次第でございます。
  108. 野上元

    野上元君 あなた方の言い分をとらえて言うわけじゃないけれども、新聞あるいはまたラジオ、テレビ等で郵政大臣がおっしゃっていることをあげ足を取るわけじゃありません。ありませんが、あなた方は、労働組合がそういうことでがんばるならば、われわれはアルバイトを雇ってりっぱに乗り切って見せます、こういうことをしばしば言っておられるわけなんですが、しかしながら、今日もうすでに小包郵便物の引き受けの停止をしなければならないということは、これはもうできないことをあなた方はできると言っているんじゃないですか。できるできると国民に。そうして、すでに今日小包郵便物でさえ、もう引き受けを停止しなければならぬ状態にある。このままの状態でいって、年賀郵便をはたして疎通できますか。
  109. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 小包郵便物でさえとおっしゃいますけれども、重要通信を確保いたしますために、できるだけアルバイトを雇っていく、そういうことによって能力をふやしていく、しかし、アルバイトを雇うだけで、この配達の道順等が非常にむずかしいところをやるという、できる人もございませんので、これはまことに利用者には申しわけないけれども、まず重要通信を確保するために小包については利用制限をお願いしよう、こういうことでございます。話は逆でございます。あとは、毎日毎日全力を尽くしまして、そうして物増をながめていきながら、年末首がうまくいきますように万全の備えをしていきたいということで、毎日毎日努力する、いまのところ見当をつけていっている次第でございます。
  110. 野上元

    野上元君 私は、事務当局が万全を期したいという希望は当然わかりますよ。それはあなた方が最後まで叫ばれることなんです。しかし、国民の側から見て、はたして確保できるかどうか。あなた方が言っておられるようにできるのかということが非常に心配なわけなんですね。ところが、もう小包の問題についても、すでにもう引き受けの停止をしなければならない。しかし、それは重要通信を確保するためだ、こう言っておられるのですが、その重要通信というのはどういうのが入っているんですか。
  111. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 一般に、たとえば年末になりますと、年賀状の話だけがいかにも重要通信のように言われまするけれども、私たちは、年末首としましては、やはり十二月初めの株式の配当というのが非常に大きなウェートを占めている。それから十日から二十日までの間には、まあ小包がある。二十日過ぎには年賀状の引き受けをしなければならない。そういう非常にはっきりしたものの裏に、年末首を控えまして、いろいろな会合でありますとか、金融上の決済の問題でありますとか、非常に大事なものがあろうと思います。そこで、いまの書留関係、小包、年賀状等にあらわれておる以外に、普通の通常郵便物が非常にたくさんでありまして、これはいわゆるもう信書として一番大事なものじゃなかろうかと思うわけです。これが混乱が起きませんように全力をあげていまのところは乗り切っていかなくちゃならないという決意を持っております。
  112. 野上元

    野上元君 重要通信の内容については、私も一応は理解はできるのです。年末首における特に年賀郵便も、これは印刷物ではありますけれども、しかし年賀ということで一応重要通信の中に入ると思います。これを、先ほど言いましたように、あなた方が十二億数千万引き受けられて、いまの状態で続いていって、元旦に大半を配達することができますか。
  113. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 極力人を集め、一方で小包の利用制限もしてお願いするということにしてきまして、日常の毎日毎日の滞貨というものをできるだけ少なくしていくということによって、正月配達へのめどをつけていかなくちゃならぬと思います。  そこで、私たちは毎日の実情をとりまして、その結果によって、ある時期になりますと、いつまでに引き受けたものは正月に大丈夫です、それ以後だと少しおくれるかもしれませんというめどをつけなくちゃならぬと思います。そこで、いまのところ、そういう段階じゃございません。毎日毎日できるだけ滞貨がないように、一方でまたできるだけアルバイトを雇っていくというような努力をしておりますので、そういう先生の御期待になっておるような状態にできるだけ持っていきたいということでおりますけれども、その段階がいつごろそういうことがはっきり見通しがつくか、それはもう少し毎日毎日の情勢を見ながらいっていいんじゃないか。今日の段階で、何日までの分は大丈夫だ、何日からはだめですということは、まだ早いんじゃないか。われわれとしては、毎日毎日を滞貨がないように全力を尽くしてやっていきたいという気持ちでおります。
  114. 野上元

    野上元君 新聞で見たのだと思いますが、たしかアルバイト二百万ぐらい雇って乗り切って見せる、こういう宣伝をされておるようですが、かりに全逓が協力をしても、アルバイトは百数十万必要じゃないでしょうか、毎年。
  115. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 先ほど申し上げましたように、大体想定される、ふえる物数に対しまして超勤四割、アルバイト六割ということで計画いたしております。
  116. 野上元

    野上元君 そうしますと、全逓が超過勤務はやらないという場合には、アルバイトをどれくらい雇う予定なんですか。
  117. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) この計算は実は非常にむずかしいのでございまして、いまの段階におきましては、アルバイト六割というときには延べ百三十万人という計算をいたしております。しかし、この計算も延べ百三十万人でございますので、個々の局ごとに十日から二十日までは何人だ、二十日から三十一日までは何人だ、こういう計算をしておりますので、延べの話はあんまり実を言いますと実益がないというように思っております。
  118. 野上元

    野上元君 要するに、私が聞きたいのは、年賀郵便は配達できるのかということなんです。
  119. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) これはせっかく皆さんに買っていただいたものでありますから、もう極力早くお着きするように、お届けするように、いまのところ全力を尽くして努力しておる。いずれ、そのうちにいろいろな情勢を見まして、何日までなら確実でございますというようなことを皆さまに発表しなければならない時期が来るだろうと思います。
  120. 野上元

    野上元君 たとえば、ある一定の時期に来たら年賀の引き受けを停止する、何日以後は、というようなことを考えておりますか。
  121. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 私たちといたしましては、いまのところ、そういうことは考えておりません。
  122. 野上元

    野上元君 大混乱になって、どうしても見通しがつかない、アルバイトのほうもなかなかうまく雇えない、また、作業能率も低いというようなことがはっきりわかってくると、大体あなたのほうも計算が立てられると思うのです。その場合、国民は元旦に着くと思っておるのですから、そうして出しておる。そうして郵政当局は、それを一つの約束事にしておるわけだ。そうすると、それを裏切られたということになるわけだすね。これはまあ非常に大きな責任問題になってしまうと思うのです。そういうときにはどういう手を打つ予定ですか、とにかく、何とかしてやるのだと、とにかくやらなきゃならぬのだという気持ちだけでやっていくのですか。
  123. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 何が何でもやり抜くぞというようなことで、一ころ全部引き受けたこともありましたけれども、実は小包の配達に押されて、年賀等にもそういう影響があったわけです。それで、いままだ超過勤務協約の拒否がある段階ですから、やはり毎日毎日の郵便物というものが非常に大事でございますので、年賀になったから大事で、いまは大事じゃないということはないわけでありますから、毎日毎日滞貨をつくらないようにというつもりで、いま小包郵便物については、まことに申しわけないけれども、利用制限をいたしまして、そうして重要通信を確保さしておりますから、とにかく滞貨が広範にできるだけ残っていかないようにという努力を続けておりますので、いまの段階におきましては、私たちは、年賀がだめでございますとか、まただめなときにはどうするかということを、まだ発表し、またここで御批判をいただく段階ではないと思います。そういうことが起こらないように、毎日毎日努力をしていきたいという気持ちでおるわけでございます。
  124. 野上元

    野上元君 とにかく、郵政当局は、管理運営事項だからもう交渉しないのだということで、全逓は全逓で、その問題が解決しない限り超過勤務をやらない、他の交渉もやらない、こういっておるのですから、いままっこうから対立しておるわけですよ。そうして、もう刻々と時間は過ぎていっておるわけですよ。国民の側から見れば、このまま突っ込んでしまうぞというふうに実は考えます。私どものように内部をよく知っておる者でも、もうそろそろ限度が来ているのじゃないか、これ以上解決がおくれた場合は、もう大混乱になるというふうな考え方があるわけですよ。したがって、もうその時期が若干おそ過ぎるのじゃないか、あるいは今日では、とさえ私は思っているのですよ。だから、こんなことを聞いているのですがね。そうであるなら、私の認識が誤っているならば、あなたのほうが、いやまだ大丈夫だというなら別ですよ。しかし、私の認識が間違っておらないとするならば、あなたのほうも抜本的な対策を、ドラスティックなやり方も必要じゃないかというふうに考えるのですね。そうでないと、国民に対してあなた方は背信行為をしたことになる、そういう結果が出るおそれがある、こういうことを実はわれわれとしては心配しておるわけです。  そこで、滞貨の状況を聞きたいのですが、新聞等によりますと、郵政当局と全逓との間の滞貨の発表というのは非常に大きな食い違いがあるのですね。全逓本部で聞いてみますると、今日の状態では、通常はもうすでに二千五百万通ぐらい滞貨している、小包においても百万を突破している、こういうふうに言っておられるのですが、あなたのほうでは、そんなに滞貨はしておらないというふうに見ておられるのですか。どのくらいおくれているのですか、いま。
  125. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) 私たちは、本日の段階におきまして、通常が百五十三万通、小包が五万個おくれておる。それから内部で処理未済の小包は、いまのところ、四万個ぐらいあるというふうに考えております。それから、全国の主要な普通局を中心といたしまして、平常の結束状況、あるいはまた平常であるならばこれぐらいで着くであろうと想定されるものに対しまして、おくれておるものの集計をいたして、こういう数字を出しておるわけでございます。一方で、組合と発表が非常に違うじゃないかということを新聞紙その他でよくいわれております。それは、組合がどういう数字をおとりになっておるか、私たちは存じませんけれども、私たちがいま考えております段階におきましては、普通の郵便物の流れと比べまして配達がおくれておるもの、あるいはまた持ち戻りになったものというものを集計いたしますと、こういう数字はなっておる次第でございます。
  126. 野上元

    野上元君 通常は大阪と東京の間は何日くらいで配達されるのですか。
  127. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) これも、出し方や出る時間によって違いますけれども、大阪等はできるだけ翌日、おそくとも翌々日の朝には配達したいと思っております。
  128. 野上元

    野上元君 そういうことを言っておりますが、今日現実には五日間かかっております。東京——大阪間五日間かかっております。そうすると、あなたが一日、まあ翌日配達、あるいは翌々日配達と言われておるのとはだいぶん違うのですね。現実は、もうすでに五日くらいかかっておりますよ。郵便物を持って来てもいいです。それほど今日おくれておるという、あなた方はもう少し現実を厳粛に考えなきゃいかぬのじゃないですか。あまり楽観をしておったのではいかぬのじゃないですか。
  129. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) いろいろと御配慮まことにありがたいわけでございますが、決して楽観いたしておりません。郵便物は、いわゆる九十点とか八十点とかいうことはないわけでございまして、全体的にうまくいっておりましても、ある個人の人に対して、四、五日おくれるということは非常に悪い影響がございますから、私たちは数でなくて、一通、二通がおくれることにつきましても、これは非常に大事な真剣な問題だと思っております。ただ、郵便物全体としまして、大阪のものは約五日かかっておるというふうにはなっていないだろうと思います。いま、都内の局におきましても、内勤のところで滞っておるのはごくまれな局だけでございまして、やはり受け付けましてから、内部で処理して、そうして逓送にかける。あるいはまた配達に渡すという段階においては、あまりおくれが出ていないように思っております。やはり、配達が小包段階に参りまして、そうして小包の配達に追われるために通常の面がおくれるという影響が多いように思っております。
  130. 野上元

    野上元君 だいぶ時間もたってしまいましたので、あと一、二問質問をしたいと思いますが、そういうふうに、いま郵務局長が言われているように、とにかくもう郵便物がおくれているのですよ。そうして、これはもう現実に郵便をもらう者がそれを知っているわけですから、今日の状態でもうすでにこういう状態なんですね。これ、年賀がどっと一時に入ってくるという状態になると、拍車をかけられると思うのですね。気分の上においても、毎日どんどんどんどんうまく排送されていけば能率も上がるわけですよ。しかし、一ぺんにどっと来てたまってしまうと、やはり従業員の士気には相当影響すると思うのですね。そういうことが重なると、だんだんだんだんひどい状態になってくるというふうに私たちは心配しているのです。幸いにして、まだ年賀がどっと出ておらないというような状態であるから、まだまだあなた方も何とかいけるのじゃないかというように考えておられるかもしれませんが、とにかく十二億何千万というやつが一度に出てくるということになると、これは重大な問題になるのですね。そのことを私は非常に実は心配しておるわけです。私の考え方としては、もう今日すでに事態の解決を見ておらないと手おくれになってしまいますよという気持ちがするのですよ。少なくとも、話し合いの糸口が発見されて交渉に入ったとしても、私は二日や三日かかると思うのですね。そうすると、どうしても二十日を越すという状態になるわけです。そうなってまいりますと、これはもう非常に重要な問題、重大な事態になってきませんかということを考えるわけです。それがさらに一日一日おくれてしまうということになると、これはもうたいへんなことになるので、あなた方のほうは、一体いつまでに解決をしたら国民に約束が果たせられるかという一つのめどがあるのですか。のんべんだらりと、とにかく相手が下がるのを待っているのですか。
  131. 増森孝

    政府委員(増森孝君) ただいま野上先生、のんべんだらりと待っているのかというお話でございますが、私どもとしては、一日も早く妥結いたしまして、年賀その他の混乱がないようにということは切に願っているところであります。
  132. 野上元

    野上元君 だから、その時期は一体いつなんだというのですよ。私どもの心配しているのは、このような状態で両方が口をつぐんで進んでいってしまうと取りかえしのつかぬことになりはせぬかということを心配しているわけです。だから、一体あなたのほうは、いままでは、まあまあもう少し様子を見ようという気持ちであったかもしれません。これはおそらく、労使の関係のかけ引きというのはあるかと思いますからね。そのことはわかるのです。しかし、そういう限度を越える時期もあるわけです。その時期は一体いつに見ているのか。
  133. 佐方信博

    説明員(佐方信博君) これは、御承知のとおり、十日という日から繁忙時期だと設定しておりますから、私たちは十日からそういう平和状態になるのが一番望ましいわけであります。そのあとは、いつまでというわけじゃなくて、一日も早いほうがいいと、こういうことであります。
  134. 野上元

    野上元君 そのために、あなた方のほうは主張を一歩も曲げない。組合も主張を曲げないという状態が続いておるわけですよ。そこで、あなたのほうとしては、組合が下がってもらいたいという希望があるわけです。しかし、組合が下がらない。そこで、あなた方は組合が動揺するような方法を考えて、ひとつ組合を動揺させてやろうということを考えておられるようなんです。  それで、私は一、二局を歩いてみたのですが、あまり感心しない方法がとられておるという事実があるのです。これを郵政本省の方針かどうか聞いておきたいのですがね。たとえば、ある局においては、ガリ版で刷った文書をもって、これに判を押せ、これに判を押して全逓を脱退するならば年末手当を上げましょう。こういう指導をしているところがあるのですが、これは、労働組合法から見ると不当労働行為になりはしませんか。
  135. 増森孝

    政府委員(増森孝君) そういうことがもしあるとすれば、不当労働行為だと存じます。しかし、私のほうとしましては、そういうことは毛頭しておりませんし、またそういう報告を受けておりません。
  136. 野上元

    野上元君 郵政省は、私はそんなことをさせるはずはないと思うのです。しかし、私はここにこの書類を持っているのですよ。これに判を押したら出しましょうといって歩いているそうです。もしもそういう事実があるということになると、これはいまあなたも認められたように、不当労働行為になると思うのです。労働組合運営に不当に介入するということになるのですから。脱退すれば金をやるのだということを言うとなると、これは非常に重要な問題だと思うのですが、そういうことは郵政省としてはやられておらないが、現場にあるとすれば、あなたのほうは直ちにそういうことを厳重にやめるように通告を出す用意がありますか。
  137. 増森孝

    政府委員(増森孝君) 私ども初めて聞いたことでありまして、もしさようなことがあるとするならば、不当労働行為かとも思いますので、適当に措置したいと存じます。
  138. 野上元

    野上元君 あまり長くなるので、最後に締めくくりたいと思いますが、いま私がずっと聞いてきたのは、先ほど来永岡さんと同意見なんです。とにかく、一日も早く解決してもらいたいということなんです。それが今日国民が望んでいる最大の希望だと思います。そして郵政当局にとっても、年末首の郵便の疎通は、管理運営事項としては最も大きい問題だと思うのです。これを放棄するわけにいかないと思うのです。ところが、先ほど来お話がありましたように、別の筋を立てるためには、こちらの混乱もやむを得ない、それは労働組合側責任だというような言い方をされたこともあるようです。そういうふうには国民はとらないと思うのです。年賀郵便の処理については、これはそれこそ郵政大臣管理運営権だ。だから、これが混乱すれば、どんなことがあっても郵政当局はその責任を免れないと思う。だから私たちは、一日も早くこの問題を解決するためには、先ほど来いろいろなお話を例をあげて申し上げておりますように、解決の方法はあるじゃないかというのです。それは何かといえば、話し合いを始めることなんです。一日も早く話し合いを始めることによって、その解決のめどをつかむという努力をどうしてされないか、私はふしぎでしょうがない。それをひとつやってもらいたいのです。こんな質問で長く時間をとっておるよりも、いま直ちにそういう行動に入ってもらいたいと思うのです。入れば解決しますよ。あなた方のように、初めから門の前に行って、門が締まっておるから入らない、呼び鈴を押してみたらいいじゃないですか、門をたたいてみたらいいじゃないですか、あけるかあけないか。それをやらないで、外からながめて、門が締まっているから帰ろう、こういうのじゃ、それは交渉になりませんよ。もしもそういう事実があるとするならば、混乱の責任郵政当局にあると言われてもしかたがないでしょう。あなたのほうが努力すべきでしょう、とにかく。
  139. 増森孝

    政府委員(増森孝君) 率直に私からお答え申し上げます。  ただいまの段階では、先ほどからるる御説明しましたように、組合のほうで、次官通達を撤回しろ、撤回しなければそのほかの交渉項目が妥結しても年末闘争は引かないのだ、こういうことになっております。しかも、先ほど申しましたように、十二月の三日の大臣会見におきまして、全逓側では、もうこの次官通達を撤回するのかどうか、撤回しない、撤回しないならば、それはよその項目に入ってもしようがない、こういう状態でございましたので、省側といたしましては、できるだけ年末を早く妥結させたいというので、いわゆる管理運営事項をはずしてもらいたい、そして年末交渉だけにしぼって、そして早く妥結をしようではないか、こういうふうに呼びかけているところでございます。
  140. 野上元

    野上元君 いま聞きますと、十二月三日の段階なんですね。それは。だから、そのときは、先ほどから申し上げましたように、お互いに様子を見ておるという場合もあり得ると思うのです、私は。郵政当局においても、なかなかあなた方自身だけでは動けない場合がある。旗振りがうるさい場合もあるのですよ。しかし、今日の段階は、そんなことを言っておられない段階じゃないかと思うのですね。だから、私は内容についてはよくわかりません。わかりませんが、とにかく年末を解決するために何とか話をしようじゃないかということを大臣が呼びかけてみたらどうですか。それもしないでおいて、いや、どうせ全逓の言うことはわかっておるのだということで、会わぬで、このままずるずるいったら、一体責任はだれがとるのですか。全然交渉もしないで、ずるずるべったりにいってしまうということになると、これは重大問題ですよ。あらゆる努力をして、国民にその態度を明らかにするのが郵政当局の態度じゃないですか。それをやりなさいよ。
  141. 増森孝

    政府委員(増森孝君) 実は、昨日も、先ほど申しましたような趣旨におきまして、全逓側に申し入れをしております。それに対しまして、昨夜七時ごろ、全逓から、またその管理運営事項一本にまとめてでなければ交渉しないという段階になっておる次第でございます。
  142. 野上元

    野上元君 だから、そんなことはどうでもいいじゃないですか。とにかく、管理運営事項でも話し合おうというのでしょう、あなたのほうは。もう門の前であなたのほうは拒否される必要はないんじゃないですか。この点は、よろしい、話し合いをしましょう、そう言って話し合いをすればいいじゃないですか。先ほど来、あなた方が盛んに述べておられるような態度を、あなた方はあなた方自身で表明されればいい。こういう努力をしないというのはおかしいでしょう。
  143. 永岡光治

    永岡光治君 関連質問ですが、私は前から言っておるように、かりに管理運営事項であっても、それが団体交渉対象にならない、あなた方は組合から要求しておることを受ける義務がないとしても、これは義務ですからね。やったからといって、どこにも違法はないですよ。団体交渉をやったからといって。問題は至上命令である。年末首を解決するというのは最大使命ですよ。最大の命題ですよ。このことを解決するのに、なぜあなた方はそんなにちゅうちょするのですか。国民は、あなた方がこれを解決したといっても、郵政当局けしからぬということを一言でも言う人は一人もいないと思う。私は、そのことはよくやってくれたと言うと思うのですよ。どうですか。そのことは国民気持ちだ。この国民気持ちをあなた方は否定するのですか。
  144. 増森孝

    政府委員(増森孝君) 先ほどから先生のお気持ち野上先生のお気持ち十分にわかっております。しかし、いま交渉に入らないと言っておりますのは全逓側なんでございます。
  145. 永岡光治

    永岡光治君 それじゃ、組合交渉に入ると言えば、あなた方はそれに応じてくるわけですか。念のために押しておきますが。
  146. 増森孝

    政府委員(増森孝君) 切り離してまいりますれば……。
  147. 久保等

    ○久保等君 郵政大臣にちょっとお尋ねしますが、いずれにしましても、私は、管理運営の問題であるからというようなことで、大臣はいろいろ筋を立てたようなお話をけさほどからの御説明で聞いたのだけれども、やはり従来からの、先ほど具体的な野上委員の例をあげての歴史的なお話もあったのだけれども、そういった点を考えてみますと、省側のほうでは、なるほど管理運営権の問題だという解釈をとっておられるかもしれませんが、組合側のほうから見れば、そういった問題についても募集上の話し合いをやって、それで意見の一致をみて、一致をみたものについて実施をしたというような、まあ過去の歴史的な事実があるのですよ。これは単に、私は、だから郵政大臣が古池さんになったからとかなんとかいう問題ではなくて、やはり一つ郵政省の一貫した方針でもあると思うのですよ。したがって、当面の問題について、あるいはこれは管理運営事項だから話し合い対象にはならないのだというふうな解釈をかりにとられるとしても、片や組合のほうでは、これは管理運営事項であっても、やはり従来からの話し合いをやって来た事項なんだから、当然ひとつ団体交渉に応じてもらいたいという——その解釈の違いは、これはこれとしてあるとしても、その内容についての話し合いだけは、少なくとも最低限の話し合いについては、私は郵政大臣として応ずる決意があってしかるべきだと思うのですが、どうなんですか。だから、いわば団体交渉権ではないのだという解釈の上に立っての話し合い、そういったもの自体をおやりになる意思は全然ないですか。
  148. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 先ほど来たびたび申し上げましたことでありますが、組合側意見を聞いてほしい、こういうふうな立場で申してこられれば、もちろん私は組合側の御意見は十分に聞くつもりでおります。しかし、団体交渉だからこれに応ぜよとか、あるいはまた、すでに決定したことを取り消す、撤回せよというふうな主張をあくまでも堅持されるにおいては、どうもこれは意見の表明という程度ではないのでありますから、それは困るということを申しているのです。
  149. 久保等

    ○久保等君 だから問題は、過去の主張点をお互いに繰り返しても、同じようなことを繰り返しておっても、事態の解決には私は全然役に立たぬと思うのですよ。今日ただいま話し合いをやるかという問題だと思うのですよ。その場合に、郵政大臣として積極的にひとつ全逓の労働組合とも話し合う、それが管理運営権の問題とかないとか、そういう形式的な論議ではなくて、とにかく実体の内容の解決について話し合おうじゃないかという話を、いま大臣が言われるように熱意を持っていたら、それはひとつ意見は聞きましょうということではなくて、郵政大臣みずから積極的にひとつ話し合いをしようじゃないかという熱意は持っていられるのですか、おられないのですか。
  150. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) かような問題を除いてならば、いつでも話し合いに応じます。
  151. 久保等

    ○久保等君 だから大臣ね。そういう問題を除いてとかなんとかではなくて、年末年始を目前に控えて、年末の非常な繁忙期を迎えているのだけれども、その中でやはり円満な郵政事業運営考えた場合に、この事態を乗り切るために、とにかく話し合ってみよう、そういう管理運営の問題とかなんとかいうことで角を突き合わして話し合いをろくにしないというような状態でじんぜん日を送って、先ほどお話があったように、十二月三日以降いわゆる団体交渉というような姿のものは全然やっておらない。さらに実質的な話し合いもやっておられないという状態なんです。だから、郵政大臣として、ざっくばらんにひとつ話し合いをしてみよう、それがどういう問題に及ぶか知らぬが、その場合には、郵政大臣郵政大臣としての見解を述べることは当然のことだと思う。しかし、その問題を除いてとかなんということを言わないで、そういう形式的な格式ばった問題を除いて話し合おうじゃないかという形で、郵政大臣が積極的に全逓に呼びかけるという努力をやられるお気持ちが一体おありになるのですか、おありじゃないのですか。
  152. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 久保さんのお気持ちも私わからぬではありません。ありませんけれども、ともかく全逓側がもう少し話のわかる態度をとってもらわぬと、ともかく、撤回せぬことには何もかにも話に及ばぬぞ、こういう一本調子で来られたんじゃ、私どものほうとしても、どうもこれは取りつく島がないということであります。
  153. 久保等

    ○久保等君 郵政大臣、さっきからお話を聞いていますと、郵政大臣が素っ裸になったような態度で、全逓の宝樹委員長なり、あるいは全逓の本部の役員諸君と話し合ったという回数そのものが、あまり私は多くないように承るのです。それで、特に局舎問題等については、事務当局を通して聞くところ、局舎問題については反対だという意向もはっきりしておったとか、あるいはまた最近のごく数日間の動きにしても、事務当局の間で、いま人事局長からお話があったように、いろいろ連絡はしておられるようだけれども、実質的な話し合いをされたことはほとんどないようです。私はしかし、先ほどもお話があったように、かつての郵政大臣は徹夜交渉してでも問題の解決をせられた事実もあるのですし、この年末に押し迫って郵政大臣事務当局をしてやらしておるというのじゃなくして、郵政大臣みずからが宝樹委員長なり全逓の幹部を呼んで話し合おう、それでもし郵政大臣が信念を持って、何か管理運営事項の問題について、あなたの所見はあなたの所見として私はその場を通じて言われてもいいと思う。  しかし、いずれにしても、何とかこの年末を乗り切るために最善の努力をしてみようというやはり努力を、第三者が聞いておっても、なるほど郵政大臣はよく努力しておられるという説得力を持つだけの努力を私はなされなければならぬと思うのですけれども、いままでのところ、残念ながらそういう事実そのものがうかがえないのです。私は非常に残念だと思うのです。一刻を争う今日の事態を迎えて、郵政大臣が何か事務当局をして当たらせるとか、それから交渉に応ずるとか応じないというふうな話をしておるけれども管理運営権の問題であるとかないとかいう、そういう形式を離れて、私はやはり問題の所在を話し合おう、それは団体交渉であるとかないとかは別として、とにかく話し合ってこの事態を乗り切るという努力をひとついまからでもすぐおやりになる必要があると思うのです。そのことについて、大臣がぜひ私はやりましょうという簡単な一言でいいですから、この委員会で御表明願えないですか。それは郵政大臣としての最大の責任じゃないですか。それこそ管理運営権の、あんたが少なくとも最高の行政の長官なんですから、その立場で、労働組合の諸君の協力なくしてこの年末年始は乗り切れませんよ。管理運営の問題であるとかないとか、そういう問題は別問題としても、とにかく実質的な問題として話し合ってみたらどうですか。とにかく、あんたが声涙下る誠意と努力をもって話し合うくらいのやはり気持ちがなければ、何か遠くのほうで、どうも全逓は反対らしい管理運営権の問題について容喙してくるなんてとんでもないというような考え方で、ろくすっぽ話し合いされないという状態におるということについては、国民立場からいえば全く心外だと思う。  先ほど来、私は朝からずっとお話を聞いておっても、何か形式的なことにだけとらわれて、かたくなになって、全然どうも入口で、それは管理運営権だからこの門から入ってもらっちゃ困るというような話ばかりしていると思うのです。それこそ、同じ事業に携わる従業員という立場においては、郵政大臣といえども従業員であることには寸分の変わりないと同時に、郵政大臣には最大の責任があると思う。その責任者にどうも私はそういう熱意と誠意が見受けられない。私は、いずれにしても、直ちにとにかく話し合おう、それは団体交渉権じゃないのだというなら、団体交渉権じゃないのだという解釈のもとでもけっこうだ、いずれにしても、とにかく話し合ってみようじゃないか、話し合う中から何とかひとつ解決の道を見出していこうじゃないかということでやはり努力すべきだと思う。最小限度その程度のことはやれないことは私はないと思う。そのことすら郵政大臣としてはやれないですか。  われわれ国会立場からいっても、この問題については、単に行政府の問題だからといって放置するわけには参りません。先ほどもちょっとテレビやラジオあたりの話も出ておったけれども国会そのものも、また逓信委員会あたり、特に怠慢のそしりを免れない。このままじんぜん日を送って年末にでもなれば、逓信史上においても私は前例のない悪例をつくることにもなると思うのです。全然部外で、いまだかって逓信省へ一ぺんもつとめたことのない、かりに、しろうとと言っては恐縮だけれども、そういう大臣だって、何代かおられたけれども、いままで徹夜交渉までやっても解決された郵政大臣だっておられるし、まして古池さんの場合には、部内におられた経験あるのですから。先ほどから聞いていると、何か水くさい。第三者が聞いておったって、一体何にそんなにこだわって会う会わぬと言っているかという気持ちがしますよ。だから、話し会いを実質的にやろうじゃないかという言明くらいは、私はこの場所でむしろ国民に向かって、この委員会を通じて国民に向って言う立場でひとつ言ってもらいたいと思う。単にわれわれの野党の議員に対する答弁ということではなくて、国民に対する気持ち郵政大臣はひとつ言明願いたいと思うのですが、これは私のほうからこんな委員会質問しなくたって、当然やるべき問題です。管理運営権でないなら管理運営権でないという解釈でも私はいいと思う。いいとは言わぬけれども、それは郵政大臣一つ考え方なら考え方でやむを得ないと思う。しかし、話し合いをしないなんというのは、それこそ今日のこういう民主主義の時代に、しかも同じ事業に携わる大臣組合幹部との間で話し合いがなされないなんということは、まことに遺憾なことだと思うのです。どうですか大臣、そのくらいのことは言明せられたからといって、けしからぬやつだと言う人はおそらく私は自民党の与党の諸君にでもないだろうと思う。どの閣僚の諸君にでもいないと思うのです。とにかく精力的な話し合いをやってみよう、それで問題の解決のため最大の努力をしてみよう、というくらいのことは、今日十二月十七日にもなって委員会で言明できないということは、私はまことに残念だと思うのです。私は、古池郵政大臣は、そのくらいの熱意と誠意は当然持っておられると信じておりますがね。とにかく、ひとつ簡単に一言御答弁願います。
  154. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) ただいま久保さんがおっしゃったように、この問題を一日も早く解決したいという熱意に燃えておることは、私はこうして見かけは非常に静かなような態度をとっておりますけれども、内心はほんとうに燃ゆる気持ちでおるのです。したがって、その組合との話し合いの道筋をつくりたいというので、いろいろと努力をしておるのですけれども、その道筋を閉ざしてしまっておられるのが残念ながら組合であるので、非常にこれは私としては残念に思っております。
  155. 久保等

    ○久保等君 だから、その道を閉ざすという言葉の表現は、おそらく管理運営権の問題について話し合うということは自分は全然やらないのだということを前提としての気持を言っておられるのだと思うけれども、だから、管理運営権とかなんとかいう問題を離れて話し合おうということ自体を私はやってもらいたいと思うのですよ。だから、そのことについてひとつ言明を願いたいのですがね。だから、いままでのことについて、ああ言った、こう言ったということをあげつらっておっても、問題の解決にはなりません。だから、これからどうしようとするか。郵政大臣としては、それならひとつ将来の解決の問題について、ここではっきり解決しますということまでは言明できないというなら、これもただいまのところやむを得ないと思う。しかし、とにかく話し合ってみましょう、積極的に誠意をもって解決のために、というくらいのことは、今日まで当然やってきてしかるべきものです。しかし、やっていないものを言っても始まらぬけれども、すぐ話し合いましょうということくらい言えるでしょう。そのことぐらい一言言ってもらえぬですか。
  156. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) これ以上私の考えを申し上げましても議論にわたって申しわけありませんから、議論にわたるようなことは申し上げませんが、ともかく、私が宝樹さんに会いましたときに言われるのには、この通達を撤回せぬ限りはもうこの問題はだめだ、こう言って席をけって帰られたのであります。ですから、この問題というものをあっさりと、それじゃこの問題はひとつ別の問題にして、ほかの問題で話し合おうじゃないかという気持ち相手方がなってくれぬことには、これは私が幾ら話し合おうとしてもだめなんです。そのことだけは申し上げておきます。
  157. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 いや全く、私も、話し合いをする、しないというような問題はもうとうに過ぎているので、おそらくそれまでに事務当局を通じ、また大臣もみずから宝樹委員長と話もしているわけですね。しかし、どうしてもこの撤回をせざる限り話し合いに応じないというようなことでは、幾らぼくは大臣に話し合え話し合えと言ったところで、道をふさいでおいて、道を開けというので………。さっき、門のところまで行ったけれども、門がたまたま締まっておったから、じゃなくて、ちゃんとかぎをかけて——それをあけて、さあ話し合いをしましょうというような形まで持ってくるのも、やはり組合としての態度だと私は思うのだ。そこで、大臣にだけに、門を締めて、あけて乗り越えてでも行けというのは少し無理じゃないか、私は、こう聞いていて感ずるのですがね。
  158. 久保等

    ○久保等君 それは大臣、そういう態度じゃ、ほんとう郵政事業に対するあなたが最高責任者だという立場管理運営についての最高責任者というプライドと責任感を持っておるのだったら、迷惑を受けるのは国民なんです。単におれのほうに五分の理があるのだ、おれのほうに十割の理があるのだ、と言っても始まらない。事態の解決のためには、二へんだろうと、三べんだろうと、やっていく責任がある、国民に対して。いま言われたお話は、おそらく十二月三日のことを言っておるのじゃないかと思う。大臣が直接会って、宝樹委員長の言ったことばを引用されておるのは十二月三日のことですが、ちょっとお伺いします。
  159. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 私が顔を会わせて話したのは三日であります。しかし、その後組合から文書をもって常にさような強い意見を表示してこられるのでありますから、これは会って話したことと同様であります。
  160. 久保等

    ○久保等君 だからそれが、大臣が、はっきりした相手の意思表示だからむだなんだと言われるけれども、そこはやはり大臣の努力と熱意の問題だと思うのです。だから、直接会おう、話し合おうじゃないかと言っておっても、来ないなら来ないでしょうがない。一人では話にならぬのですから、やはり私は第三者の国民立場で見ておって、大臣ほんとう誠意を持ってやっておるかという話は、先ほどから聞いておる話だけでは、私どもには、年末を迎えて、この重要なる時期を迎えて、ほんとう郵政大臣が誠心誠意努力をやっておるとは実は残念ながら受けとれない。しかし、大臣の本心じゃないと思います。だから、さらにそのことについては、刻々、この十二月三日と違って、一日一日たてばたつほど、これは時間的にはより重要な時間に入ってきておると思うのですが、そういう点でひとつ積極的に、大臣としては、そんならばいつでも話し合う用意があるのだということだけは言明できますか。いつでも話し合う用意がある、そのことは言えるでしょう。あなたのほうで相手にならぬから話ができないというなら、話し合う用意はいつでも持っておるのだ——団体交渉権だなんとか言われると、あるいは大臣のほうでいろいろ意見があると思うのですけれども、話し合うということにはもちろん異存がない、したがっていつでも話し合う用意がある、ということだけは言明できると思うのです。
  161. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 先ほど来私が申し上げてきておるとおりでございまして、とにかくあの問題をあくまで組合が固執しておられたのじゃ困るけれども、そうじゃなければいつでも話し合いに応じます。
  162. 野上元

    野上元君 これはいつまでやってもきりのない話です。そして私どもがこうやって執拗にあなた方に話し合いをおすすめしているのは、これは決して組合に頼まれたからではないのです。そういうふうに考えられては、あなたのほうはたいへんな失敗をしますよ。その逆であるから私は心配しているのです。このままの状態でいくと、とことんまでいってしまうような気がする。何とかしてわれわれは、郵政省にめしを食ったわれわれとしても、できるだけ一肌脱ぎたいという気持ちもあるのです。そういう気持ちでやっておるのですから、その点はあなたのほうで誤解されないようにしてもらいたいと思うのです。その点はぜひお願いしたい。  それで、いろいろ長時間にわたってあなたの御意見も聞き、私の経験も語り、そしてその中から何とか解決の道を見出したいということで努力してきたけれども、いまの段階ではまだそこまでいっておらない。しかし、事態はもう時々刻々に迫っております。また、一刻も猶予がならぬというふうに私は考えておるのです。郵政省どう考えておられるか知らないけれども、その点を私は特に強調して、この年末における状態を、紛争状態解決するために、年賀の混乱を解決するために、とにかくあなたは最高責任者として、とにかく話し合いをしようじゃないかということをまず申せられることを私どものほうとしては希望いたします。私どものほうもいろいろと努力は続けてまいりたいと考えておりますが、あなたのほうもひとつ惜しみなく努力を払ってやってもらいたいと思います。この段階に来ては、あまり小事にこだわらないで、いかに年賀をうまくやるかということについて十分にひとつ慎重な御考慮を願って、ひとつ惜しみなく努力を払ってやってもらいたい。そうすれば、私は必ず解決するというふうな確信を持っております。どうかそういう気持ちで、この切迫した時期を有効にあなた自身で働いていってやってもらいたい、そうしてぜひ解決していただきたいというふうにわれわれは希望いたしまして、私の質問はきょうは終わります。
  163. 横川正市

    ○横川正市君 先般、私の質問の中で、二つだけ、本来ならば、この委員会が開会された席上で訂正なり付言をするのが普通だと思って待っておったのでありますが、一向にそういう気配がありませんから、私から質問をしておきたいと思うのです。  一つは、きのうの新聞かけさの新聞で見ますと、全逓の組織から脱退をした者に対して、郵政省の方針としては、年末手当を、これは全特定、全郵政の協約したものに基づいて支給をする、こういう方針をきめられたというようであります。ところが、私の質問に答えては、あの段階以後における問題については、まだ仮定の問題ですから答えられません、了承していただきたいということで、あなたのほうは答弁を保留しているわけです。議会で質問があって答弁を保留したものに対して、行政の立場に立つ者が、議会の意思を全然無視して次の段階を実施をするということは、私はこれは非常におもしろくない出来事だと思います。それが一つです。  それからもう一つは、互助会——職員団体がわずかな金を積み立てて退職の用にしようとする互助会の、局舎建築年次計画のその中で、郵政省とそれから組合側と互助会の三者で確認した事項がたまたま出てきましたが、その確認事項の内容を読み上げますと、第一点は、全逓側から問題を提起いたしまして、二十五年経過した局舎については、これは国に帰属するという方針をとりたいと思うけれども、それに異存はないか、こういうふうな提案をいたしております。それに対して、老朽局舎等の受け入れで買い上げをされるということについては、これは問題もあるけれども、国に帰属することについては異存がない、これが郵政省意見であります。当時立ち会った人事部長は、第三者としてその点を確認いたしております。私は、資金の出所はいざ知らず、組合員の中には、自分の財産にも帰するような、そういうものであっても国に帰属したい、こういう意思表示を積極的に行なっているわけであります。それを受ける郵政省側は、異存がないという態度を表明しておって、この間の答弁は、そういう事実はありませんという御答弁になりましたが、少なくとも、こういう間違いは、この委員会が始まったならば、担当者から当然修正をして報告されるのが礼儀じゃないかと思うので、二つの問題について、ひとつお答えをいただきたいと思う。
  164. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) いま二つの問題について御質問がございましたが、最初の問題は、全特定、郵政労組と省との間に協約が結ばれたその後の問題についてはどうかというお話に対し、当時、その後の問題がどうなるかということは全然予測できません、したがって、その予測できない事態に対して省がどうするかということは申し上げられないということをお答えしたつもりでおります。したがって、その後新しい事態が出てくれば、それに対応して、省側としてはまた省側立場から善処してまいることは、これは当然のことであろうと思います。  それから第二の問題につきましては、互助会が建てた局舎は国に何年かのあとには帰属するのであるかどうかと、こういうお尋ねでありましたから、私は当然国に帰属するということにはなっておらぬように思います、あくまでも互助会の所有物であると思う、こういうお答えをしたのでざいます。ただいまのお話によりまして、そういう場合に何年かたって互助会が国に寄付をしたいというときはどうかというお話でございます。私は、そういう際に、国に寄付したいという御希望があれば、国が寄付を受け入れるということには異議はない、差しつかえないものと存じております。これは、互助会に限らず、特定郵便局長が何年かたった上で、この局舎を国に寄付したいと、こう申し出があれば、私はそれを受け入れて差しつかえないのじゃないかと、かように考えております。
  165. 横川正市

    ○横川正市君 特定局長が何年かたった後、心境の変化を来たして、国に帰属させたいという寄付行為と、少なくとも互助会が局舎建築計画を立てたときに、三十年の九月三日です、いまからもう八年も九年も前ですね。すでにそういう方針で局舎を建てたいと、こういう意思とでは、私は違うのじゃないかと思うのです。受け取り方としては。いままで運用部資金の金を運用して個人に貸し付けて、そのあとの資料によりますと、市におけるところの局舎の大体元利合計支払い年限というのは七年九カ月、それから町では九年二カ月、村であっても十年四カ月こういうふうな短期間で完済できるような局舎料を払って、そうして実際上の局舎の改築をしようと、こういうふうにあなたのほうでは考えておられるわけだけれども、そういう個人の貸し付けという問題がいままで方針として一回も出されたことのないという、そういう立場から私の質問が行なわれておったわけなんであって、何か、みそもくそも同じようなふうに寄付するという意思行為としての受け取り方だけで、ものごとを判断してもらうということは、私はこれはいささか問題をはき違えているのじゃないか、こう思うのです。いずれ、これは全般的な問題で論議をされることでありますが、私は前段の問題であっても、先般こういうふうに言ったが、自後こういう事態が出てきましたので、こういう処置をしましたとか、あるいは互助会の問題について先般こういう答弁をしておきましたが、事実はこうであったというように、委員会が始まったときに訂正をするなりあるいは補足するなりをして、次の議事に入るのが礼儀だと思うのです。それが報告されておりませんでしたので、私からあえて質問をしたわけです。
  166. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 本日は、これにて散会いたします。   午後一時四十三分散会