○柴谷要君 私は日本社会党を代表して、ただいま上程されております
砂糖消費税法の一部を
改正する
法律案に反対するものであります。
本
法律案が上程されましたが、何よりも最近の諸物価の相次ぐ値上がり、中でも砂糖の
消費者価格の
高騰が異常なものがあり、この八月ごろには白糖袋詰めキロ当たり百七十円
程度のものが現在は百九十円以上に値上がりし、大衆生活、特に低
所得者層の家計を圧迫し、重大な影響を与えております。現状はもはや無視し得ないものがあります。
政府としては、これらの現状より見て、当然に砂糖
消費者価格を大幅に値下げし、
消費者の
負担を軽減するための
措置をはかる任務があるのであります。これはまさに国民の悲願とさえなっておるのであります。
砂糖
消費者価格の
高騰の原因は、一つには最近の原糖の国際
価格の騰貴にあることは否定できませんが、何よりわが国の砂糖に対する課税が国際的に見ましても高率に過ぎる点にありますことは明らかであります。砂糖に対する現行税
負担は、御承知のとおり、関税がキロ当たり四十三円六十八銭、
消費者税が二十一円、計六十四円六十八銭となっております。まさに世界一の高税率でありまして、諸外国では、たとえばイギリスにおきましては、逆に補助金を出して小売り
価格の調整をいたしておるのであります。しかるに、
政府は国民の痛切な値下げの要望に対して、わずかに砂糖第二種消費税五円引き下げを軸とする減税によって表面を糊塗し
ようとしているにすぎないのであります。砂糖が日常生活から見まして必需品となっており、幼児のミルクから子供のおやつに至るまで広範に使用されておるものであり、しかも、支出の
所得逆進度のきわめて高い品目であり、低
所得者層ほど実質的な
負担率は重くなっていく性格のものであります。砂糖費消税が設置されましたのは、戦費調達のための必要から、ぜいたく品税的な性格において課税が高率となっていた
実情から
考えましても、もはや砂糖に対する高率課税はその論拠を持たないと言わなければなりません。
ここで、私はこの際、二つのことを特に申し上げたいのであります。
第一には、大衆生活必需品物資には税金をかけないという原則に立って砂糖消費税は撤廃すべきであります。そして消費税分を確実に小売り
価格の引き下げに反映させることにより、当面の砂糖小売り
価格の上昇に苦しむ大衆生活の安定に資すべきであります。
第二に、国民の悲願である物価
高騰を抑制するためには、何よりも
政府が率先して上昇ムードの根幹である高度成長政策を
転換するとともに、公共料金の値上げ阻止、独占的大企業製品の
価格規制と合わせて、大衆生活必需物資の間接税を引き下げることにより、物価抑制、値下げへの
方向を強力に推進することが必要であります。しかるに、
政府は、物価抑制には何ら有効な策を講じ
ようとせず、かえってみずから公共料金の値上げ等によって物価上昇ムードの先駆的役割りすら果たしているのであります。明
年度の減税方針にも間接税の減税は全く無視され、かえってガソリン税等の引き上げが行なわれ
ようとしております。この
ような
政府の物価、減税政策に強く反省を求めなければならないと思うのであります。
この
ような立場から、本
法律案に反対するとともに、
政府はこの際思い切って、砂糖消費税撤廃による減収を、三十八
年度は四十五億円
程度でありますので、他
財源によって補てんすべきであることを強く要請して、討論を終わるものであります。