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木村禧八郎君 私は、
民商を反
税団体あるいは健全なる
納税団体と認めない、そういう
立場から、他のいわゆる善良なる
納税者との
均衡上徹底的に
調査をさせるように
指導をすると、そういうことはあなた言われましたが、それが非常に問題だと思うので。それが行き過ぎて、かりに健全なる
納税団体でないと認めた
民商に対して不当に圧力を加えることがあってはならぬと思うのです。かりにそう認めても、たとえばいまあなたが非常に気負い立ったような言い方をしましたので、なお奇異に感ずるのです。そのために何か徹底的にやっつけるというような言い方ですよ、表現が。そういうように
税務署員を
指導をしているような行き方は、そうなると、たとえば六十三条で家族の貯金なんかは、これは私は調べられないと思うのです。六十三条で調べる対象が
規定をされております。そういう預貯金まで調べている。これは行き過ぎですよ。
それから、
納税者に会う態度ですがね、非常に反
税団体あるいは健全なる
納税団体と認めない、そういう
民商の
会員に対する
税務署員の応待のしかたが、非常に私は横暴であるように感じたのです。特に私はそういう点から、政党の
立場は違いますけれども、これは私はあまり行き過ぎではないか。それをあなたのほうで健全なる
納税団体と認めないで、そしてさっき言われたように、他の善良なる
納税者との
均衡もあるので、徹底的にやらなきゃならぬという
立場でやられておられるということは聞きましたが、それにしても、あまり行き過ぎじゃないか。そういう具体例がたくさんあるわけですよ。非常に
納税者に対して無礼な態度がたくさんある。
さっき言ったように、家族の預貯金まで調べる。あるいはいろいろ具体例を私は
資料としてもらったのですが、たとえば渡辺新二という
署員、これは藤沢の場合ですが、九月の十一日に渡辺新二という
税務署員があるお店へ来まして、店主が
調査を許可するともなんとも言わないのに、いきなり帳面を取って、「さあ
調査をやろう」。「まだ
調査していいとも悪いとも言っていないではないか。他人の家に来てそんなかってなことが許されるか」と、こう抗議したら、あやまったとか。また、この渡辺という人ですが、九月の十一日にあるお店へ行ったら、店主が不在であった。留守のお嫁さんに「
調査に来ました」と言った。お嫁さんが「主人がいなくてわからない」と言ったら、「店番をしていてそんなことがわからないのですか。それくらいわかるでしょう。あなたはもう成人じゃありませんか。だらしがないですね」と言ったとか。あるいは内山さんという
事務官が来て、これは九月十一日、金子鉄工所というのですが、突然来て、主人が「忙しいから、
都合のいい日に来てください」と言うと、「仕事中でもかまいません。やりましょう。
質問に答えてください」。主人が「精密な仕事をしているので、仕事中答えるなんてできない」そうして主人がおこったら、帰ったとか。こういう事例が非常にたくさんある。それから、
税務署員が来て、主人がかしこまって応答しているのに、ポケットへ手を入れてごう然としている。「無礼じゃないか」と言ったらそうしたらそれをやめてあやまった。そういう事例がたくさん
資料として私のところへ来ております。
それは長官がいまお話しのような非常な高姿勢で、
民商の
会員に対しては、これは
民商は健全なる
納税団体でないという断定をして、そういうように
指導しているでしょう。その
指導が末端にいきますと、いまお話ししたような非常な行き過ぎが出てくる。これは基本的な人権にも関係のあることですし、
民商は、これは結社の自由は認められているのですから、
民商であるからといって、そんなに目のかたきにしてやっていくということは、全体の
税務署員に対する
一般納税者の感じというのはいい感じは持てない。そうでなくてさえ、皆さん
一般の人は
税務官吏に対して、これは第一線で働いている
税務官吏の人には非常にお気の毒ですけれども、あまり好かれていない仕事をおやりになっているわけですからね。そういう
指導のしかたというのは、私は問題じゃないかと思うのです。もっとデリケートにいろいろな事態を考えながら、長官としては今のような、さっきお話ししたような断固としてやっつけてやるというような態度で
指導されては、これは私は弊害があると思いますよ。ですから、この点は今後十分に、親のかたきじゃないのですから、同じ
日本国民なんですから、それに対してはもっとよく、六十三条の
法律で
調査権が認められているからといって、使えば何でもできるのだ、弾圧できるという考え方、それがあっても、国民が主人公なんですから、
税務官吏は奉仕者なんですからね。憲法にちゃんと定めてあるでしょう、官吏は全体の奉仕者なんです。国民が主人公なんですよ。その主人公に対して、あなたがさっき言ったようなことを
指導してまいれば、
税務官吏はまるで自分が主人公のようになって、六十三条をかさに着てやるようなことになると非常に弊害が多い。それはいろいろな行き過ぎもあったかもしれません。いろいろないきさつがあったかもしれませんが、少し極端過ぎますよ。それが私は
一般の
納税者に与える影響、それから
税務官吏に対する
一般国民の感じですが、そういう非常な
不信感を生む。まるで鬼みたいな存在になってしまう、こわくてね。
それから、もう一つ、行き過ぎの一つの例と思われますのは、藤沢と
川崎の
税務署の玄関に、今回の
調査に関連した用件で来署する湘南
商工会事務局員の出入をお断わりしますということが、
税務署の玄関に張られている。これも少し行き過ぎじゃないですかね。何か親のかたきでも討つようなやり方で、対抗的になってきている。この事態は決して好ましい事態ではない。そうしてまた、経費も非常にかかる。
税務署からのいろいろな宣伝ビラを新聞紙に折り込んで十万枚も配って、いろいろ
民商に対して、われわれに言わせれば、戦闘をやっているという感じを抱かせる。それで、われわれの聞いた範囲では、
川崎、中原、藤沢ですね、そういうところでは、そういう
民商の
人たちと——この
民商の
人たちはみんな零細な
商人なんですよ。そういう
人たちとの間でこういう対立がしょっちゅう起こっているということは、これは好ましいことじゃないですよ。われわれもこういう事態を見聞して、ほうっておくわけにはいかないし、また
法律上、
税法上あなたのほうで
連絡しなければならぬ点はあるでしょうが、それにしても少し行き過ぎだとわれわれは思うのです。あまりに敵対意識というか、対抗意識ですか、それで奉仕者であるべき
税務官吏がまるで主人公である。国民と逆の
立場に立って、通告もしないで突然
調査をやる、あるいは反面
調査をやる。反面
調査というのは
商人にとって致命的ですよ。これはよほどよくお考えになっておやりになりませんとね。それは銀行に行ったり、問屋に行ったりしてごらんなさい。これは致命的ですよ。そういう
生活権のこともよく考えておやりにならなければいけないのじゃないかと思うのです。
そういう点について、それはまだいろいろな事例がございますが、時間がございませんから一々あげません。また、さっきお話ししましたように、
約束をしたのに、した事実がないということを言われますから、今後われわれもやはり現地に行って
調査をしてみたいと思っております。その
調査に基づいてまた
質問をしたいと思うのですが、結論として、さっきお話ししましたように、公務員は奉仕者なんです、全体の奉仕者でなければならぬのですから。その
立場を忘れて、六十三条を乱用してあまり強圧的にやる、非常に無礼にわたる事例が非常にたくさんあるのですよ。この点を厳に慎まなければならぬと思いますが、その点について一言お答えを願いたいと思います。