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1963-12-18 第45回国会 参議院 石炭対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年十二月十八日(水曜日)   午前十一時四十九分開会   —————————————   出席者は左のとおり。    委員長     岸田 幸雄君    理事            亀井  光君            鈴木 一弘君    委員            川上 為治君            剱木 亨弘君            野田 俊作君            堀  末治君            阿具根 登君            阿部 竹松君            大河原一次君            柳岡 秋夫君            中田  寛君            田畑 金光君   政府委員    通商産業政務次    官       竹下  登君    通商産業省石炭    局長      新井 真一君    労働省労働基準    局長      村上 茂利君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君    常任委員会専門    員       増本 甲吉君   説明員    通商産業省鉱山    保安局石炭課長 川本 宗生君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○三井三池炭じん爆発事故責任追求  及び人命保全に関する請願(第一三  一号) ○当面の石炭対策樹立に関する調査  (糒炭鉱ガス爆発災害に関する件)   —————————————
  2. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) ただいまから石炭対策特別委員会を開会いたします。  まず、請願議題といたします。当委員会に付託されましたものは、請願第一三一号、三井三池炭じん爆発事故責任追求及び人命保全に関する請願一件でございます。本請願につきましては、委員長及び理事においてあらかじめ慎重に検討いたしました。その結果、本請願議院会議に付するを要するものといたしまして、内閣に送付するを要するものと意見の一致をみたのであります。  この際、おはかりをいたしまするが、本請願議院会議に付するを要するものにして、内閣に送付することを要するものと決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  なお、報告書作成等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。   —————————————
  5. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 次に、当面の石炭対策樹立に関する調査一環として、糒炭鉱ガス爆発災害の件を議題といたします。  糒炭鉱ガス爆発の件につきまして、通商産業当局説明を求めます。
  6. 竹下登

    政府委員竹下登君) このたびの改造で通産政務次官を拝命いたしました竹下登でございますが、よろしくお願いいたします。  さて、糒炭鉱ガス爆発災害についての問題でございますが、三池炭鉱事故のあとでございましただけに、また、私事にわたって失礼でございますが、私の就任早々の問題でありましただけに、深くこの問題について認識を新たにいたしておるところであります。  そこで、通産省といたしましては、従来まで、もとより人命尊重を基本といたしまして諸般の対策をやっておりましたものの、こういう事故が起こりましたことについては、全く遺憾の意を表する以外何ものもないと思っております。さらに、災害を契機といたしまして、鉱山保安行政の一そうの強化をはかる所存でございます。この詳しい御説明につきましては、石炭課長から説明いたさせます。
  7. 川本宗生

    説明員川本宗生君) 糒炭鉱ガス爆発災害について御説明申し上げます。  糒炭鉱は、福岡県田川市東区大字糒にございます。鉱業権者上尊鉱業株式会社社長上田尊之助氏であります。所長は木下琢夫保安管理者内田武蔵ガス爆発を起こしました時日は、昭和三十八年十二月十三日二十二時二十分ごろと推定されます。場所につきましては、本坑の本層左六片立て入れ四尺払いでございまして、罹災者は、死亡者十名、重傷者一名、計十一名でございます。  当炭鉱は、鉱山労働者数約八百名で、生産数量は一カ月約一万二千トンの炭鉱でございまして、災害を発生いたしました四尺払いは、十二月十一日一番方から採炭を開始したものでございまして、払い長二十六メートルの前進式払いでございます。通気方式は、排気抗口に八十馬力、一分間二千立方メートルの空気を送り込む主要扇風機を設置いたしまして、約千五百立方メートルを入気している中央式通気でございまして、災害発生払い通気としては、払い上添い坑道を張り切って二馬力局部扇風機を設置し、吸い出し通気を行なっていたものであります。  次に、災害状況及び原因でございますが、災害を発生いたしました四尺層払いは、左六片肩部に片磐に対して末広がりの状態で存在している断層との間を採炭する目的で設けられた払い長二十六メートルの前進式払いでございまして、災害当日は、十九時四十分ごろ、坑内保安係員及びハッパ係員の指揮のもとに鉱員九名が就業いたしましたが、当日の払いでの作業は、払い運搬用のチェン・コンベヤーの移設作業であり、作業員は入坑後、払い肩部に移設してあった十馬力の原動機と、トラフ、チェンの一部を移設した後、引き続いて移設作業中に爆発が発生し、払い内で作業していた七名、これは係員二名を含んでおりますが、これと払い戸とい口作業していた四名の鉱員のうち、生名が死亡し、一名が重傷を負った災害でございます。  この原因につきましては、目下鉱務監督官八名が現地で調査中でございますので、現在のところ、詳細な原因についてはわかっておりません。  以上で糒炭鉱ガス爆発についての御報告を終わります。
  8. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) ただいまの鉱山保安局川本石炭課長説明に対しまして、御質疑のある方は、順次御発言願います。
  9. 阿具根登

    ○阿具根登君 直接の原因はわかっておりませんようですから、全般的な問題を一、二質問して、時間がありますなら、直接の原因まで御質問申し上げたいと思います。  糒炭鉱乙種炭鉱だと聞いておりますが、乙種炭鉱ですか。
  10. 竹下登

    政府委員竹下登君) そのとおりでございます。
  11. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると、先般の三池乙種炭鉱乙種炭鉱というのは比較的ガスがないのだ、ガスに対する設備が簡単でよろしい、保安上の資金が非常に要らない、そういうことで、業者はほとんど乙種炭鉱申請するわけです。これを通産省で許可している。そうすると、現在までの炭鉱爆発を見てみると、先般御質問申し上げましたように、乙種炭鉱がほとんど爆発している。これは通産省責任ですよ。何でこんなものを乙種炭鉱に指定するのか。乙種炭鉱爆発というのがおかしいでしょう。通産省というのは、何を見てこんなもの乙種甲種だとやっているのか、指定乙だと。乙種なんていうのは必要なんでしょう、いままでの結果から見てみて。どう思います。
  12. 竹下登

    政府委員竹下登君) お説のことば、よく私にも理解できる問題であります。実は、いわゆる乙種をなくするという議論も部内で一応はいたしてみたわけでございますが、その点については、今日の時点におきましては、乙種をなくすという結論には到達しておりませんけれども、さらにその甲種のほうをふやしていくというものの考え方でございます。
  13. 阿具根登

    ○阿具根登君 乙種をなぜなくすることができないか、それが私にはわからないのです。何としても生産に金がかからないように、生産第一の考え方でしょうそれは。乙種爆発はさせませんというお約束ができればいいですよ。しかし、現在のようだったら乙種のほうが爆発が多いのです。乙種でたくさんの人が死ぬんです。人命尊重という立場からなら、当然乙種なんか考えられんと思う、炭鉱については。そういう考えが当然先行すべきだと私は思うのです。それがはっきり示されないということは、やはり会社の要請に対して、生産第一を通産省考えておられる。こういうことになると、もう通産省保安部は置いておけなくなる。これは理論からいっても、なぜ炭鉱だけ通産省保安関係を握っておらなければいかんのか、こういうことになってくると思うのです。通産省業者とあまり密接に結びつき過ぎておる。これは生産官庁である、だから乙種なんかを踏み切らんわけなんです。死んでいく者は鉱員ですよ、会社の幹部じゃないんです。そういう点をはっきり割り切ってもらいたいと思うのです。そればいつの場合でも、災害のたびに僕は言うのですけれども、それがどうしても踏み切れない。人命尊重が第一だというならば、これはそういうことができんようだったら通産省はお手上げしてくださいよ。労働省がもらいますよ。通産省保安の問題頼むと、そう言ってくれませんか。
  14. 竹下登

    政府委員竹下登君) 労働省鉱山保安行政を移管したらどうか、こういう御意見があると、就任早々でございますけれども、私も聞かされております。今日の段階におきましては、そういうことを考えておりません。いささか私の答弁で早々でございますので、納得のいかない点が多かろうと思いますが、その点は担当課長をして答弁いたさせます。
  15. 川本宗生

    説明員川本宗生君) 甲種乙種の問題でございますけれども、現在におきましては、ガス発生量そのものから甲種乙種ということを決定しております。それで、その山の結局自然条件を見まして甲種乙種が決定されるわけでございます。それで、今後は自然条件だけで甲種乙種を決定していいかどうかということにつきましては、今後検討してまいりたいと思っております。
  16. 阿具根登

    ○阿具根登君 検討せにゃいかぬというのが何なのかということなんです。検討せにゃいかぬということは、それで生産が落ちはしないか、コストが高くなりはしないかということがあなた方の考える根本なんです。それじゃ通産省保安部を置くわけにいかぬというわけです。そういうことば考えのほかです。コストが高くなろうと、あるいは生産が少々落ちようと、それは別です、保安という問題については。保安担当される皆さんが当然そうあるべきだという考えに立って、そうして各社話し合いの上、こうあるべきだという考えならわかるけれども保安担当していらっしゃる皆さん生産とかコストとかを考えるなら保安関係やめなさい。そうじゃなくてどうしてこれができますか。生産担当というのなら、生産の人がやりなさい。
  17. 川本宗生

    説明員川本宗生君) 保安担当いたしております私どもといたしましては、コストの面その他につきましては考えずに、もっぱら保安の万全を確保するという観点からものごとを処理しておるつもりでございます。先生がいまおっしゃいましたとおりに、私どもは今後もやっていきたいと思っております。
  18. 阿具根登

    ○阿具根登君 それでは乙種はなくするのですね、考え方は。
  19. 川本宗生

    説明員川本宗生君) 乙種につきましては、自然条件から現在きめておりますわけでございまして、管理という面につきましては入っておりません。それで、保安管理という面を考えて今後甲種乙種をきめるかどうかということは、また今後の検討にまたなければならないところでございます。それで、初めから乙種申請するということじゃございませんで、巡回監督の結果、甲種炭鉱に該当するようなガス湧出状態その他になれば甲種に指定するという状況甲種に指定していく。また、乙種炭鉱におきましても、ガスが相当量あって爆発危険性が見られるようなところにおきましては、甲種炭鉱同一条文を適用いたしまして、危険な区域だけにつきましては甲種炭鉱と同様に取り扱っておるというのが規定条項でございますので、この糒炭鉱におきましても、払い付近その他につきましては規定をいたしまして、爆発のおそれのあるような機器の使用は禁じておるわけでございます。
  20. 阿具根登

    ○阿具根登君 あなたと論争してもしようがないのですけれども爆発の危険がないとあなたが見たところで爆発しているというのは、あなたが悪いのですよ、何といっても。あなた方が悪いということでなくて、人間の目で、ここは乙種でよかろうといったところが爆発するということになれば、これは甲、乙きめる権限はあなた方にないです。ここはガスがないから乙種でよかろうと思ったところにガス爆発するところがあるということです。糒なんかでも、聞いてみれば、これは注意しておらぬでしょう。注意したところは別の個所にあった。そこは爆発しないで、注意しなかったところが爆発した。しかし、この事故を見ても、断層の間を通るというのは、断層断層の間にはガスがあるというのは常識です。そういうところだってあなたは乙種注意されておらぬ。そうなれば、乙種にきめることはやめなければいかぬ。あなた方じゃなくて、だれが聞いても、乙種だと思って、爆発の危険がないと思ったところでもガス爆発しているじゃないですか。甲種よりもよけい爆発しているじゃないですか。そうだとすると、乙種とするという議論は成り立たない。あなた方も乙種爆発しないという、そういう保証がございますか。乙種が多いでしょう。甲種が十爆発して乙種が一爆発したというならいいかもしれないが、それは逆です。あなた方が乙種をきめる権限ありますか。わかっておりますか、わからぬでしょう、わからぬから爆発するのじゃありませんか。わかって爆発したならばあなた方は人殺しです。ここは甲種ガスがあるかもしれぬけれども業者申請乙種だから乙種に指定したのだというならあなた方の責任だと思います。しかし、あなた方が見ても乙種としか見えないのですから、いまの法律から言えば。そこで爆発したのだから、あなた方が乙種ときめるわけにはいかぬでしょう。きめるなら、きめる権限を持っている皆さん爆発した場合には責任とらなければならない。だから皆さんは、これは乙種は困ります、甲種にしてもらわなければ私たちは責任持てません、こういうのがほんとうでしょう、私らから言われる前に。なんぼ自分が見ても爆発の件数がそれだけ多いのだから。ということは、坑内は常にそういう危険があるのだから、これは全部甲種に指定してもらえぬだろうかというくらいの気持がなくてどうしてできますか。あなた方、申請して、乙種のやつこんな問題が起こって、許可した者として責任とれますか。私はそういう問題がないようにするために甲種にしなさいということを言っているのです。どうしますか。あなた方は乙種にこういうふうに認定をした。業者は、先ほど言ったように、コストが下がるように、生産が上がるように、保安設備なんか二の次でよろしい、確かに乙種申請をするのですね。あなた方乙種で自信おありなら、こういう問題は起こらぬ。乙種に指定したからといって爆発しないということは言えないでしょう。私はそこを聞いているのです。あなた方が乙種でやっていこうとするなら、今後乙種爆発した場合に責任をとってもらう、責任とりますとはっきり言えますね。これは甲種に指定したからといっても、爆発しないということはない、これは人間がやることだから。しかし、そういう爆発の危険を少しでもなくなるようにするのがお互いの責任じゃなかろうか。少しでも危険をなくしていく、それが人命尊重じゃなかろうか。そういう考えが、皆さん生産を第一に考えておられる、これが先行しておられるのです。だから労働省にやれと言っている。労働省にやったからといってこういう災害がなくなるとはちっとも私たち思っておりません。労働省にやっても災害は起こる。しかし、おそらくものの考え方労働省の人を呼んで私がここでこういうことをやったならば、私の言うのに賛成されると思う。おそらく各省間のなわ張り関係で遠慮されるかもしれないが、しかし、甲種乙種の問題は、保安関係から考えるならば、これは乙種にすべきでないという結論が出ております。それは常識のある、人間性のある方々ならばそうやるべきだと思います。それが専門家が集まって、そこまでやるのはひど過ぎるじゃないか、ここまででいいじゃないかというふうにやるならいざ知らず、あなた方自身そう考えるならなおりませんよ。なおらないです。それでもこのままでいかれるということじゃ、もし乙種爆発した場合には、許可したあなた方に責任をとってもらいます。通産大臣から次官まで全部、石炭局長保安局長はもちろんのこと、みんなそうなる、どうですか、いいですね。
  21. 川本宗生

    説明員川本宗生君) 今後甲種乙種をどうするかということにつきましては、今後の保安規則の根本問題がございますので、早急に検討しまして、どういう方法が最善であるかということの発見につとめたいと思います。また、全部甲種にする、乙種をなくするというふうなことにつきましても検討したいと思っております。
  22. 阿具根登

    ○阿具根登君 考え方乙種はなくするという気持で進んでもらいたいと思います。あなた方がそう考えても、そうはなかなかなりがたい現実だから。それには、あなた方がそうじゃない考え方を持っておられるなら絶対になおりません。その場合、私は人命尊重、あなた方は坑内に下がった炭鉱夫が死んでも、人間が死んだふうに思っておらないかもしれない。四百五十人の人間を殺してごらんなさい、どういう気持になるか、十分それを考えてもらいたい。石炭局長にお尋ねいたしますが、この資料ではよくわかりませんが、算術計算でしますと、八百人で月に一万二千トン出しておるから、一人平均月産能率十五トンの算術計算になりますね。有沢団長の勧告では、ことしは何トンになっておりますか。
  23. 新井真一

    政府委員新井真一君) 有沢調査団計画によりますと、本年度の生産能率実施計画によりまして三十一トンでございます。
  24. 阿具根登

    ○阿具根登君 ここの糒炭鉱石炭の価格は幾らでございますか。
  25. 新井真一

    政府委員新井真一君) ちょっといま資料を持ち合わしておりません。
  26. 阿具根登

    ○阿具根登君 いいです。そうしますと、有沢団長答申によって合理化が進められておる。一般の炭鉱合理化が走り過ぎるほど走って人手が足りないようになっているのですね。そうすると、十五トンで採算が合いますか。有沢団長のものでは、三十一トン出さねば採算が合わないということになっているでしょう。それが半分ですよ。どうして採算が合いますか。
  27. 新井真一

    政府委員新井真一君) これは先生御承知でございましょうが、石炭鉱業は四十二年までに高能率、高賃金黒字転換をしていこうということで進めておるわけでございます。各山別に見ますと、かなり苦しい段階をいまやっているわけでございますので、資金そのほかの面でも、国でめんどうみながらやっております。いま問題になっております糒炭鉱の山手とコスト関係は明確につかんでおりませんが、それで十分黒字の山だといい得るかどうか、疑問があろうかと思います。
  28. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうしますと、前に爆発した三池は四十一・五トンですね。四十一・五トン出してやっと採算がとれるようになったという。小山でも八百名なら大きいほうですよ。そこで十五トンで採算が合うことになれば、よほど賃金が安いか何かでないと合わないです。大きな炭鉱で四十一トンですよ。いま平均三十二、三トン出ているでしょう。私はいま資料を持ってきておりませんが、そうすると、そこまでいっておるのに、十五トンくらいでいくら給料を払っておられたかと思うのです。そうしますと、勢いやはり保安等には手抜りがある。私は、この際は三池で四百五十人も死んだから、各炭鉱業者も、これは上田さんのところも注意されておったと思うし、鉱員の方も注意されておったと思う。そういう一番注意しておったやさきにこういう爆発が起こるというようになってくると、どの炭鉱も、合理化のしわ寄せで、ほとんどこういう爆発状態にあるのじゃなかろうか。私はこういう質問をしておるいまでもどこかで爆発しやせぬかと、びくびくしておるわけなんです。そうすると、これはもう注意だけではやられぬところにきておるのじゃないですか。これでやれたら有沢調査団答申なんか要りませんよ。十五トンでやっていけば首切りの必要がないのですよ。これでやっていけないから首切りということになったのでしょう。そうすると、これはビルド鉱でしょう。ビルド鉱で十五トンできる、だろうか、有沢団長は三十一トンといっておるのでしょう。
  29. 新井真一

    政府委員新井真一君) 先ほど申し上げましたように、やはり近代化の施設と、そのほか非常に苦しゅうございますけれども、四十二年までに黒字転換にいくのだということで石炭鉱業全体が動いておりますので、そのうちの一環として、現在で三十一トンでどうだろうかと、こういう判断をしていただかねばならないと思っております。現実確かに苦しいところは一生懸命やっておるわけでございますが、だからといって、保安をないがしろにするということはいかぬので、保安を含めまして、そういう非常にきびしい道を現在歩みつつあるというふうに考えております。
  30. 阿具根登

    ○阿具根登君 それは四十二年の合理化の終わる年は別なんです。しかし、四十二年までに、ことしは何トンなさなければならぬ、ことしは人間をどのくらいなさなければいかぬということが出ておるのじゃないですか。それに該当しておらぬじゃないですかといっておるのです。それに該当しておらぬじゃありませんか。十五トン、十六トン出したところがどんどんやめていっておる。きょうは資料を持ち合わしていないと思いますが、これはビルド鉱ですから、資料があると思いますので、四十二年までの計画をこの次に出してください、どういう計画を立てておられるか。
  31. 新井真一

    政府委員新井真一君) 後ほど資料を提出いたします。
  32. 阿具根登

    ○阿具根登君 それから、炭価も出してください。
  33. 新井真一

    政府委員新井真一君) はい。
  34. 阿具根登

    ○阿具根登君 きょうは大臣もおられぬし、どうせこの次に予算問題もありましょうし、基本的な問題で質問いたしますので、きょうは簡単に質問して終わるのですが、局部扇風機は二馬力ですか、これは動いておったのですか。
  35. 川本宗生

    説明員川本宗生君) 二馬力局部扇風機につきましては、そのとき動いていたかどうか、まだはっきりつかんでおりません。
  36. 阿具根登

    ○阿具根登君 この前も申し上げましたように、ガス爆発の場合は、現場の人はほとんど死ぬわけですね。そうして現場がほとんどこわれるわけですね。だから原因がなかなかつかめないのですよ。いつの場合でも、原因がこうだったということはなかなか出にくいわけなんですね。そうすると、ここをどのくらい監督官が回られたのか、また、ここでどういう注意をされたのか。局部扇風機がその前行かれたときに動いておったのかどうか、あるいは車風になっておったのではないかどうか、こういう常識質問が次々と出てくるわけですよ。しかし、いまのお答えではほとんど何もわかっておられぬようですね。そうすると、やはり基本問題からやっていかねばならぬのだ、こういう逆戻りになるわけですよ。だから、こういう災害が起これば、監督官皆さんが非常に逆におこっておられる。僕ら聞くわけなんです。僕らが質問すればおこられる。それは事故が起こらないために監督官というものがおられるのです。起こったら当然そういう質問になってくるのはあたりまえですよ。人間の生命を扱っておられる方ですからね。一部分警察権も持っておられるのですからね。ところが、いままでに、これはわれわれがミスだったということは会社からも聞いたことがない。監督官からも聞いたことがないのです。いつの場合も、原因がわからないか、あるいはこれだけやったけれども、これ以上はできなかった、あるいは会社は決して手抜かりはしておりません、こういうことで、死んだ人はそのまま原因も探求されずに死んでいく状態が非常に多い。そうすると、何かもっと監督官自体〜して要求はございませんか。監督官の方はおられますか。石炭局自体として、どうすればもっと減るのだという積極的な考えが何かなければ……。こういう問題が起こって、注意するとおこっておられる。それで、給料が安い、あるいは出張旅費がない、あるいはどうだこうだということになってくるわけなんです。これは予算のときに十分私は質問したいと思っているのですが。これは給料を上げるのもけっこうです。旅費を上げるのもけっこうです。しかし、それでどこまで防げるか、どういうことができるかということをやはり一応聞いてみなきゃいかぬ。だれも責任を感じる者はおらない。そして年々歳々何百名の人が死んでいっておる。これでいいだろうかと思うのですが、何かもっとやるべきことがあるのじゃないですか。あまりにも多過ぎるじゃありませんか、災害が。
  37. 川本宗生

    説明員川本宗生君) 災害が多いことにつきまして御指摘を受けました点、たいへん最近災害が多くなっておりまして、遺憾に考えておりまして、監督につきましても、相当に手抜かりなくやっているつもりで私ども考えておりますけれども、何しろ監督官の巡回は一瞬間にすぎないわけでございますので、この監督をふやしましたところで、全部災害がなくなるとは私ども考えておりませんです。なるべくその災害の起こる機会を少なくするという方面に観点を置きまして監督してまいりたいと思っております。
  38. 阿具根登

    ○阿具根登君 石炭課長とあえて論争してもしようがないですから、ひとつ大臣のお見えになったときに基本的な問題を私ども論争してみたいと思います。
  39. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 石炭局長さんに二つ三つお尋ねしますが、局長さん御承知のとおり、いま阿具根委員質問にもございましたが、炭鉱は次から次へと災害が起きますし、それと一緒に石炭産業を合理化しなければならぬという合理化推進にあたって、大手、中小を問わず、次から次と山が休山、廃山、閉山になっておりますし、やめて、いかれる方も次から次へと出まして、今日では、もう九州へ行っても北海道へ行っても常磐へ行っても、炭鉱で働く人を募集しておる。それと同時に、従業員の平均年齢層等も、調べてみたところが、御承知のとおり、もう四十一歳から四十二歳近くになっておる。新しい人が入らぬ。特に青年諸君が入らぬものですから、もう一年たては平均稼働者の年齢が一歳ずつふえていく現状である。五年もたては、もう若い人で石炭産業に働く人がなくなる。これが現況だと判断して、これはたいへんなことになると思う。石炭よりも油が安いから、ドルを使っても油を全部使いましょうというのであれは、これは別問題ですが、やはり国の基幹産業でもありますし、国内にある石炭を全部採掘せぬで油を使うということも、国の政策上いかぬだろうと思いますから、一体これはどういうことになるものか、公営企業でないから、行政指導を幾らしなければならぬということであっても、公営企業と違って、あなたのほうで、そうむちゃくちゃな行政指導もできない。こういう状態でいくと、石炭産業というのは、これはここ数年のうちに、とても五千五百万トン云々と言っておりましたが、もうこれは五千万トン台を割るような状態にもなるのではないかという危惧がある。ですから、こういう点についてどのようにお考えになっておられるか、お示しいただけれはけっこうだと思うのです。
  40. 新井真一

    政府委員新井真一君) 最近の合理化の進め方の中に、人が非常に減っておる、一体これで将来どうなんだ、こういう御質問でございます。まことにそのとおりでございまして、本年度、数字はもうすでにいろいろな機会で御承知だと思いますけれども、かなり調査団の当時に考えましたものから減ってきております。ただ、それじゃあ順々減っていくかどうかということでご、ざ、いますが、これは判断の問題にもなるし、予想の問題にもなろうかと思いますが、御承知のように、三十七、三十八——若干三十九年というのがこの合理化の非常にきびしい一番ヤマと申しますか、ピークと申しますか、そういう段階であるわけでございまして、もう石炭産業、これは斜陽だというふうな気持が働く人たちにあることは、これは事実としてあるのは私は非常に残念と思いますが、そういう面で、希望退職を募りますと、先生おっしゃいますように、百人募ったら百五十人出ていくという状態であるわけですが、これがどんどんいくとは私は決して思っておりません。むしろ何と申しますか、買上げ等の、いわは計画面で拘束し得る範囲におきましては、従来どおりのペースでいく、御承知のとおり、今年度五百五十三万トンがほとんど五百五十万トンにまいりますようにいっておりますが、一番やはりむずかしいのは人の問題でございまして、人の気持から、どんどんいなくなっていくところがあるわけでございます。このことにつきましては、やはり今後この計画を進める面で、何かやはりくふうしなければならぬと私は思います。しかし、基本的には、やはり石炭産業というものは、五千五百万トンで高賃金と高能率の安定にいくのだ、これは演説で、さあ残りなさいと言っても残る者がないわけでございまして、そういう形に絶対持っ.ていかなければならぬ、また持っていけると私どもは確信を持っております。最終的に、若干四十二年度に調査団の当時にお考えいただきました人数からは減りますけれども、それでなおかつ高能率、高賃金石炭産業がいけるのだ、可能だということで、私ども確信を持ってこういう基本的なエネルギー政策は進めていかなければならぬと思っているわけでございますが、何ぶん現在非常に何と申しますか、いわは病める石炭でご、ざいまして、一番混乱の多いときでございますので、私ども初年度からこういう事態になりましたのは非常に申しわけないと存じまするが、まあ一つの波でありまして、私は四十二年に必ず高能率、高賃金をやっていけるというつもりで進んでいくつもりでおります。
  41. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 新井さんの御答弁のとおりいけばけっこうですが、いまお話し申したとおり、四十歳以上の人が二、三年たては四十五平均という稼働者の年齢になるわけですから、抗内でこういう方々に能率を上げろといっても無理です。やはり抗内で働くには二十五から三十五くらいの、やはりこれはどこの産業でもそうかもしれませんが、特に石炭産業にやはり青年層、壮年層の協力が必要なんですが、いま言ったとおりない、ですから、数字でも、あなたのおっしゃるとおりにいかぬのではないかという心配がある。  それから、もう一つお尋ねしたいことは、三池の今度の災害に関連して、聞くところによると、三池は百数十億の赤字が今日ある。それから、もう一つ賃金のダウンがある。それから、たな上げもあるわけです。今度の災害で幾らかということでお尋ねしました。災害の額についてはまだまだ調べておりますからということで、栗木社長からはお話がなかったわけですが、相当な額。そうすると、三井鉱山というのは、あの姿でやっていけるかどうかということを私は心配するのです。で、局長さんは対策副本部長として現地におられた。会社の方にもお会いしたでしょうし、組合の方にもお会いしたでしょう。その間の事情をよく御承知おきだと思うのですが、はたしてやっていけるかどうか、経営者のあのままの姿でいいかどうかということですね。私など、極端な発言を許されるとすれば、三井の栗木さん以下、全部責任をとってやめてもらわなければならぬ、それから、あそこには組合が二つありますね、第一組合と第二組合と。その組合の責任者諸公にもこの際やめてもらって、全部新しい姿で力を合わせてやるような行政指導ができぬものかということを考えておるわけです。ただ、これがいま申し上げましたとおり、公営企業体でないから、あなたのほうで指導するということだけですから、向こうが受け入れてくれない場合には、強権発動というわけにいきませんから、私の言うことにもし御賛成いただけたとしても、それはなかなか不可能ですが、私はそういうように考えている。そうでなければ三川、宮浦、四ツ山とありますが、あのままの姿で、ただ福岡監督局長さんが大臣申請して、よろしかろうということで再開しても、私は万全ではないという心配があるのです。局長さんは副本部長として、石炭局長として現地へ行かれて、あの惨事についてどのように考えておられますか。もしできれは御心境を承っておきたい。
  42. 新井真一

    政府委員新井真一君) 私も、事故が発生いたしましてすぐに対策本部におもむいて二週間ばかりおりまして、つぶさにいろいろな状況を私なりによく見てまいったわけでございますが、感想いかんということでございますと、まことにこれはお気の毒な次第であるというふうに感じております。感想はそういう感想でございます。  なお、生産再開につきまして、大臣現地でいろいろ健康診断の問題、それから保安点検の問題をおっしゃっておりました。ですから、保安法第何条に基づく云々ということではなくて、むしろ行政指導的に、あんな四百五十八名の犠牲も出し、あんな御病気になっておられる方もあるのだから、こういう大事故だから、少なくとも保安点検だけはしっかりやって、その上でないと生産はいけませんよと、こういう行政指導的なことでやっておるわけでございますから、これも御承知のように、保安点検並びに学術調査団のあれも出たようでありますから、まだ聞いておりませんが、したがって、その面で保安が大丈夫だということになりますと、生産をやる態勢には保安の面からのみではあるということでございまして、実際の生産再開その他のことは、働く人たちの問題になろうかと思いますが、スムーズにいくようにと私は希望いたしておりましても、なかなか問題はむずかしいなあという感想でございます。
  43. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 私は、気の毒だとか残念でしたとか遺憾でしたという感情論で話をしておるのではない。四百五十何名かの人は確かにお気の毒であって、ことはで表現できないほど、まことに遺憾なことであるけれども、それはそれとして、とにかくあとを立て直すには、ただ気の毒だ残念でしたではだめだ。栗木さん以下全部やめてもらう。第一組合と第二組合の最高責任者、これは引退してもらう。そういうことで、新しい力であそこを再建しなければ、日本一の鉱区と日本一の施設を持った三井鉱山の三池鉱がなかなか再建できぬと思う。その行政指導の一環として、あなたそれにメスを入れる元気があるかどうか。これはあなたに言うのは無理でしょう。大臣に言わなければならぬことですが、大臣がお見えになっておりませんから、あなたにお尋ねなり、御心境を伺っておるわけですが、そういうことをやらなければなかなか解決できぬじゃないか。これは私の心配であれは、私の杞憂であれは何ともけっこうですが、しかし、私はそう考える。  もう一つは、炭鉱のボーナスは最高二万八千円ですからね。これから一万のところも五千円のところも出るでしょう。ボーナス一銭ももらえぬ中小企業もあるわけですから、二万八千円でも高額のものでしょう。しかし、他の産業と比べてみて、世界各国と比べて、アメリカのような持てる国と比べるのは無理でしょうが、せめてベルギーとかオランダと比べても、地下労働者の手当が一番悪いというところはありませんよ。石炭局長のおっしゃる高能率、高賃金はわかります。わかるんですが、そういうシステムになっておらぬ。この予算書はあとでやるそうですから、予算の款項目については申し上げませんけれども、池田総理大臣のお話を承っても、福田通産大臣のお話を承っても、漸進的な合理化と、国の力でできる限りのことはいたしましょうという御答弁をいただいても、しかし、私の見落としであれはとにかく、そういう斬新的な魅力のあるものがさつはりない。ですから、炭鉱から若い人が全部やめていくということが現状です。こういう点についてどういうふうに今後あなたが行政指導なさるのかということを承っている。
  44. 新井真一

    政府委員新井真一君) 三池会社の人事問題に関しましては、これは私何ともなりませんので、いま御答弁する筋合いじゃないと思います。  先般きまりました石炭関係八社の賃金交渉、二万八千円にはなっておりますが、お話のように、ほかの一般から見まして、非常にきびしい形であるというふうには感じております。これもやはり労使双方の話し合いであるわけで、私ども内面的にはやはりいろいろ話をいたさなければならぬかと思いますが、まだその辺は非常にデリケートな問題等もございますので、なかなか歯切れのいいお話はできませんですけれども、お話しになっておりますお気持は私もよくわかるつもりであります。
  45. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 その次にお尋ねしますのは、合理化法によってやれる場合と、合理化法以上に進んでいるところもあるわけです。石炭産業においては、まあ合理化法でやっている。しかし、それ以上に急テンポで進んでおるわけです。そうすると、あなたのほうと労働省のほうの関係した話になるのですが、あなたのほうは合理化法に基づいてどんどん人員整理をやられる、通産省の指導によって各経営者がやっておられる、それを労働省のほうが受け入れて職業あっせんをやる。訓練所とか、いろいろと労働省のほうで努力をしておる。しかし、それはいいわけですが、今度は新しく採用するわけです。採用するくらいだったら、何で国の金を使って労働省が仕事を見つけてやらなければならぬか、僕はこう言いたいわけです。あなたのほうは責任がないわけです。新しく採用する、それでも責任がないが、労働省はえらい迷惑千万な話だと私は思う。一つの会社から、三菱鉱業なら三菱鉱業から百人の退職者が出たら、百人助けてやりましょうといって労働省が助けるわけです。そこで新らしく人が足らぬからといって五十人採用する。その場合に五十人採用するのなら、五十人は責任負いませんと言えば大したものですが、労働省はお世話をする機関ですから、一生懸命やっている。あなたのほうは責任がないものですからやりっぱなし。あなたのほうでおやりになったのと労働省の受け入れ態勢とぴちっと数字が合いますか。おそらく合わぬと思います。したがって、私は、合理化法を改定する必要がある、合理化法のいまおきめになっておられるそれをもう一度再検討する必要がある、このように思うんですが、あなたのほうでは現行法どおり、もうばく進ずるわけですか。
  46. 新井真一

    政府委員新井真一君) 四十二年の長期的な基本計画の線につきましては先ほど申し上げたとおりでございます。本年、さっき先生のおっしゃいますように、確かに人の足が早く出ておるわけですが、ここで御注意いただきたいと思いますことは、これはもう御承知のとおりだと思いますが、閉山の買い上げといいますか、新しい方式による整理基金交付方式におきましては、五百五十三万トン、いまのところ五百五十万トンという形で、むしろ三万トンスロー・ダウンをしているわけです。いまおっしゃいました人の問題といいますのは、むしろおってもらいたい、ビルドとして、おって働いてもらいたいという人が希望退職——指名解雇ができませんから希望退職で、もうときにはどんどん出て行かれるわけであります。これはいろいろな事情があろうかと思いますけれども、そういう事態でございますので、ある意味においては、私どもはおってもらいたいと思うのです。あるいは、ある山からある山に配置転換でやってもらいたいと思うのですけれども、まあ北海道から九州では困るとか、いろいろ事情があろうと思いますが、そういうことで、むしろ食い違いができておるのが七千九百人でございましたか、あるわけです。したがって、計画の拘束力と申しますか、拘束性と申しますか、そういうところからはみ出した形のものでございますだけに、私どもは苦心をしておるわけで、どんどん人をはき出して労働省のほうで受けてもらうという気持は毛頭ございません。労働省もたいへんでございますし、一緒になってやっているわけでございますから、ですから、ごたごた申しませんが、結局計画自体の買い上げのほうはそのままでいっているんだけれども、むしろビルドとして残っていただかなければならぬところに希望退職でたくさん出ていらっしゃる。そういう形がいまの計画がズレておるということでございます。
  47. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 局長さんのお話はよくわかるのですが、合理化のやり方はあなたのお話のとおりになっておらんわけです。もう七万六千名を昭和四十二年までに整理するというのですから、おってくれといってもおる人はないですよ。これは石炭産業でなくても、君は来年やめなければならぬ、君はその次の年じゃということが明確になったら、あなたのところのとにかく石炭局だって、君はもう来年首ですよ、その次に君は再来年だといったら、それまで漫然としておる人は通産省だって少なかろうと思う、友だちや上司に頼んで。それは四十一になって就職するのと三十九になって就職するのとでは、採用条件も違いますし、採用され方も違いますよ。二十九歳で就職するのと三十一歳では、これは労働者にとってたった一つか二つですが、これは人情としてやはり認めてやらなければならぬと思うのですね。あなたのほうでは、ことしは何万名、来年は何万名ときまっているでしょう。そして首切る瞬間まで、おまえはまじめに坑内に入って働いてもらいたい、計画どおりにおまえはその次の年やめていけというようなことは、徴兵制度であったらとにかく、太平洋戦争の末期までならいざ知らず、いまはそういうわけにはいかぬ。いかぬのだけれども、現在はそういうふうになっている。それを大事な人がやめていかれるとおっしゃるけれども、あの法律を見たら、おそらく局長さんでも、あなたは石炭局長を大阪の経済部長から転勤してやっていただくのだが、これは半年ですよといったら、これはごめんこうむる、こういうことになろうかと思うのですね。それが炭鉱の現状ですよ。それを知らんでおってくれなどというほうがぼくは人情的に無理だと思うのですが、無理じゃないですか。
  48. 新井真一

    政府委員新井真一君) 先ほど申しましたように、いまは一番閉山と合理化、スクラップ・アンド・ビルドでございますけれども、スクラップ、スクラップと非常に進んできている事態でございますから、まあ機械設備ならあれですけれども人間の心でございますから、なかなかその辺はいろいろと考え方がそれぞれ働いている人にあろうかと思いまして、そういった事態が起こっておりまして、これは少し私どももくふうしましてその問題を解決していかなければならんと思いますし、なお、いまおっしゃいますように、どんどん減るというのでなくて、やはり入るものは入り、出るものは出ておるわけでございます。あの貝島炭鉱ですら、やはり指定の山で働いた方のお子さんがやはり学校でなにして、そのあと少しでも入れておりますし、そういう形が少しでも出てこなければいかんのじゃないかと思います。その辺も私どもももう少しくふうしてやってまいらなければならんと思います。ただ、どんどんやはり減る一方だというふうには考えておりません。だんだんいい人が入ってくるような形に石炭産業を持っていかなきゃならん、こういうふうに思っております。
  49. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 話はよくわかるということを何回も言いましたが、そういうようなことになっておらんのですね、答弁のとおりに。石炭産業でも、全部これは私企業ですから、政府におぶさるということはいかん。やはり石炭産業独自の力で戦争中に国のために尽くしたから、今度は国がみろというようなことを石炭産業の中のあわてた経営者が言っているようですが、やはり自分の力で、保安の上からも生産の上からも、自分の力で全部やらなきゃならん。しかし、いまはそういうようなことになっておらんから、政府にてこ入れしてやってくれということでやっているわけですが、予算書を見ると、石炭局長さんのおっしゃるとおりになっておらんのですね。ですから、私は局長さんにものを申し上げるよりも、大蔵大臣に一言申し上げたいわけですが、それはやがて明後日から通常国会が開かれますので、その予算がきまらんうちに商工委員会に大蔵大臣が出る予定になってございますから、商工委員会にいろいろと陳情、要請等、あるいは抗議を申し上げようと思っておるわけですが、最後にお尋ねしたいことは、三池結論が二週間という大臣の当委員会報告でございましたが、まだ山田調査団の結論は出ておらん。あなたは欠席されておりましたが、ここで二度ほど二週間というように言明されておる、結論が出るのにね。第三者の公正なる立場で診断して、二週間で結論を出す、こういう答弁を私どもがいただいておるのですが、まだ調査団の最終的結論というものが出ない、こういうような状態で、あれはいつごろ出てくるわけですか。
  50. 竹下登

    政府委員竹下登君) 二十五日にまとまると聞いております。
  51. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そうすると、二十五日に結論が出て、当然ここで報告していただくわけでしょうね。
  52. 竹下登

    政府委員竹下登君) そうなろうかと思います。
  53. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 それと関連して、その二十五日の調査団の結論に基づいて、保安監督局でその結論を診断して、そして大臣答申して、それから生産再開ということになるわけですか。
  54. 竹下登

    政府委員竹下登君) そういうことになろうかと存じております。
  55. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 他に御発言もなければ、本件に関する質疑はこの程度にいたしたいと存じます。御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) それではさように決定いたします。  本日の委員会はこれにて散会いたします。    午後零時四十八分散会      —————・—————