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1963-12-17 第45回国会 参議院 商工委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年十二月十七日(火曜日)    午前十時三十二分開会   —————————————    委員の異動  十二月十日   辞任      補欠選任    中村 順造君  小酒井義男君   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     前田 久吉君    理事            赤間 文三君            近藤 信一君    委員            上原 正吉君            川上 為治君            岸田 幸雄君            剱木 亨弘君            豊田 雅孝君            八木 一郎君            阿部 竹松君            小酒井義男君            椿  繁夫君            中田 吉雄君            松澤 兼人君            奥 むめお君   政府委員    公正取引委員会    委員長     渡邊喜久造君    大蔵省銀行局長 高橋 俊英君    通商産業政務次    官       竹下  登君    通商産業大臣官    房長      川出 千速君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君   説明員    通商産業大臣官    房会計課長   金井多喜男君    通商産業省鉱山    局長      加藤 悌次君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○天然ガス資源開発五箇年計画推進  に関する請願(第六九号) ○物価値下げ等に関する請願(第九一  号) ○生活向上権利擁護及び日本の独立  と平和に関する請願(第九三号) ○未開発地域経済開発促進に関する請  願(第九八号) ○産業貿易及び経済計画等に関する調  査(昭和三十九年度通商産業省関係  予算に関する件)  (中小企業金融問題に関する件)   —————————————
  2. 前田久吉

    委員長前田久吉君) ただいまから商工委員会開会いたします。  まず、委員長及び理事打合会協議事項について御報告いたします。  本日の委員会の議事は請願審査昭和三十九年度通商産業省関係予算に関する件について説明を聞き、質疑を行なう。中小企業金融問題に関する件について質疑を行なう。次に、次回委員会開会日時については、二十日午前十時三十分から開会することとなりましたから、御承知お願いいたします。   —————————————
  3. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 次に、本委員会に付託されました請願四件を一括して議題といたします。  本請願につきましては、従来の例にならいまして、本日委員長及び理事打合会におきまして、慎重に検討をいたしました結果、第六九号、第九八号はいずれも請願の願意妥当と認め、採択すべきものと意見が一致いたしました。なお、九一号、第九三号につきましては、保留することに意見が一致いたしました。  それでは採択することに意見が一致いたしました請願二件を採択することに御異議がございませんでしょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。  なお、報告書作成等につきましては慣例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 御異議がないと認め、さよう決定いたします。   —————————————
  6. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 次に、産業貿易及び経済計画等に関する調査議題として、昭和三十九年度通商産業省関係予算に関する件の調査を進めます。  まず、政府当局から説明を聴取いたします。
  7. 竹下登

    政府委員竹下登君) このたび政務次官を拝命いたしました竹下登でございます。ごらんのとおり若輩でございますから、何とぞ御鞭撻をよろしくお願いいたします。  さて、予算基本方針についてごく短時間まくらことばを申し上げます。  三十九年度開放経済下の繁栄のための地固めの年といたしております。そこで第一番目には、対外的には輸出振興経済協力推進に努めるとともに、第二番目に、国内的には国際競争力強化するための産業質的充実をはかり、第三番目に、さらに先進国並み国民生活を向上させるための流通消費対策強化する、このことを重点といたしております。これら対策のうち産業質的充実については、中小企業対策の拡充と浸透、産業国際競争力強化技術振興特許行政充実総合エネルギー対策推進地域経済振興産業基盤強化の諸点に重点をおくことといたしております。細部にわたっては会計課長をして説明させます。
  8. 金井多喜男

    説明員金井多喜男君) お手元に二つ資料がございます。一つは、「昭和三十九年度予算要求額重要事項別表」でございます。これは一般会計についての予算要求のあらましでございます。もう一つ資料は、「昭和三十九年度財政投融資要求」でございます。これは文字どおり財政投融資関係についての要求資料でございます。  最初に、一般会計重要事項表に基づきまして御説明申し上げます。  通産省予算は大きく、重点中小企業対策関係輸出振興経済協力推進関係国際競争力強化関係技術振興対策特許行政充実関係産業基盤強化関係総合エネルギー対策関係、そうして、産業公害及び鉱山保安対策関係、その他と大体重点を八項目に分けております。  その要求合計につきましては資料の四ページに記載してございますように、本年度予算四百三十億六千八百万円に対しまして二百二十一億一千四百万円を増額いたしまして、合計三十九年度予算といたしまして六百五十一億八千二百万円を要求してございます。なお、この各項の項目につきましてはそれぞれ表の項目ごと説明が加えてございますが、合計の欄について申しますと、人の欄のカッコのない数字大蔵省通産省といたしまして八月末日に出しました数字でございますが、その後三川鉱災害の問題に関連いたしましてカッコの中の数字との差額分だけが増額追加要求と相なりまして、つい最近大蔵省追加要求の提出を行なった次第でございます。  第一番に、それでは中小企業対策関係について申し上げます。  中小企業対策関係で一番大きい問題は、中小企業近代化促進関係でございまして、前年度よりも三十五億円ほど増額要求をしております。このうち中小企業設備近代化資金につきましては、大体前年度横ばい程度に考えまして、新たに四億円ほどの追加要求にとどめておりますが、中小企業高度化資金につきましては、これを大幅に増額することといたしまして、三十一億円ほど増額要求をいたし、合計五十四億円の要求をいたしております。そのおもな点につきましては従来の工場団地商業団地商工業協業化につきまして一段とこれを拡大助成いたしまするとともに、商店街造成につきまして、すなわち小売商店町ぐるみ造成につきまして八億九千九百万円の新規計画を織り込んでございます。次は、小規模事業対策費関係でございますが、これは三億三千七百万円を増額要求してございます。次に、中小企業指導センターにつきましては、本年新たに研修所を設けることにいたしまして、それを中心に三億七千七百万円の増額要求をいたしております。次に、中小企業管理者及び技術者研修費関係につきましては、いわゆる人つくり予算といたしまして、今年度より誕生をみたものでございますが、四千三百万円の増額要求しております。次に、中小企業指導事業強化でございますが、これにつきましては、従来の施策を強化いたしまするとともに、新たに開放研究室の設置、電子計算機センターその他の施設を設置することにいたしまして、二億四千八百万円を増額しております。次の中小企業信用保険公庫出資でございますが、これは予算の区分として大蔵省計上でございます。前年度三十億円の出資を獲得いたしまして、大幅に信用保険制度拡大をいたしましたが、本年はさらに三十四億円追加要求いたしまして、六十四億円の一般会計よりの出資要求しております。  以上のような状態で、中小企業関係予算につきましては、合計、本年度の八十五億八千五百万円に対しまして、四十六億六千七百万円を増額いたし、合計百三十二億五千二百万円を通産省予算として要求しております。下のカッコ数字は、その上の欄の大蔵省計上中小企業信用保険公庫出資を加えた数字でございます。なお、このほかに、通産省といたしましては、通商その他あとで申し上げます予算関係の中で、中小企業対策に含まれる分を集めてみますと、大体二十億円程度がこの項目以外から実質中小企業予算として要求の中に入っておる次第でございます。  二番目に、輸出振興経済協力推進一つ重点でございますが、この中ではまず第一に、日本貿易振興会、すなわち通称ジェトロ事業費補助が大きな項目でございまして、前年度よりも十七億九千八百万円を追加いたしまして、約四十億の要求をいたしておるわけでございます。このうち十億は、ジェトロ事業を自主的になめらかに運営するために出資として要求いたしまして、その果実によって中央の管理費等をまかなう予定でございます。次に、アジア経済研究所助成につきましては、一億円増額要求をいたしております。次に、海外経済協力関係予算でございますが、国際経済協力費といたしまして三億六千万円追加いたしまして、九億二千七百万円要求しております。その内訳は下の欄にございますように、海外技術開発等協力費関係が一億九千八百万円、海外技術者受け入れ研修費補助関係が四億八百万円、その他が三億二千百万円となっておりますが、このその他の中では、本年度特に東南アジアの低開発国からの一次産品の買い付けのために、海外に一次産品買い付け事務所を設置するというようなことが一つ項目として含まれております。次の貿易振興国内態勢整備関係は、国内にあって対外経済外交推進、あるいは輸出国民運動振興等費用でございますが、一億五千万円増額いたしまして二億四千七百万円を要求してございます。次に、個々の事業関係になりますが、日本輸出雑貨センターに対しまして、補助費を一億五千五百万円要求しております。プラント輸出振興のために、日本プラント協会に対して三億三百万円の予算要求をいたしております。工作機械輸出振興会関係につきましては、新たに海外にもう一カ所事務所を設けることを中心に、一億二千三百万円を要求しております。生糸及び絹織物輸出振興費関係につきましては、七千八百万円要求しております。それから、通産省の国立の輸出品検査所関係といたしまして、五億六千四百万円計上してございます。  以上通商関係合計は六十九億七百万円の予算要求となりまして、前年度よりも輸出振興の趣旨にかんがみまして二十六億一千八百万円の増加要求といたしております。  第三番目は、国際競争力強化関係でございます。これは自由化対策にも直接つながる予算でございますが、これは後ほど述べまする財投関係、すなわち金融上の措置ということが国際競争力強化の大きな支柱になりますので、むしろ重点は後ほど御説明いたします財政投融資関係のほうに重点が置かれておるわけでございます。一般会計関係の分といたしましては、まず第一に、鉱山関係でございますが、新鉱床探査費といたしまして三億三千百万円を要求しております。金額としましては前年度横すべりのようなかっこうでございますが、対象地域その他を考えますと、実質上は相当の増額になるわけでございます。その次に、本年成立をみました金属鉱物探鉱融資事業団交付金でございますが、これは院の附帯決議もございました自主探査を実施するために、新たに一億六千万円を要求いたすわけでございます。なお、財投のほうから出資八億円、融資二十四億円を要求いたしまして、大幅に事業拡大を考えております。その次に、日本鉱産物会社出資でございますが、これは自由化の進展に伴いまして、鉱産物、たとえば銅、鉛、亜鉛等につきまして海外相場の変動が激しかった場合に、国内の業界として非常に混乱を来たしますので、緊急関税等措置をとる前の段階において、一手買い取り機関をつくるために政府出資を五千万円計上した次第でございます。国産品普及関係につきましては、いわゆる国産愛用推進国産機械愛用生産性向上というようなことのために一億四千九百万円を計上いたし、  国際競争力強化関係につきましては、以上合計六億九千万円を要求しておる次第でございます。  次に、技術振興対策並びに特許行政充実関係でございますが、これは長い目で見て日本技術を長期的な観点から確立する必要がある次第でございまして、自由化対策につながる予算でございます。その第一番目は、重機械開発のために基金を新たに設けることにいたしまして、五億円の出資要求し、なお、財政投融資から十一億円の融資要求いたしております。それから通産省試験研究機関特別研究費を大幅に増額いたす目途のもとに十七億三千四百万円を国の試験研究機関特別研究費として要求してございます。それから、その次に新規でございますが、通産省試験研究機関でもって技術開発をやる場合に、おのずからその能力に限界があるわけでございますので、それについては官民の協力体制のもとに大きな重要技術について開発するために、新たに重要技術試験研究につきまして委託費制度を設けることといたしまして一億七千万円を計上してございます。その次は、試験所設備及び施設整備費関係でございますが、試験所団地化の問題は一方大きな基本方針として進みつつございますが、いまある試験所設備及び施設費につきましても、なおさしあたってどうしても補てんしなければならない点がございますので、前年度より三億円ほど増額要求いたしまして十億円を計上してございます。鉱工業技術研究費補助関係につきましては、さらに前年より三億六千万円を増額要求することにしております。次に、新規でございますが、九州後進地域工業開発のために機械工業等中心といたしまして工業試験所を新設する目途のもとに二億四千八百万円を計上してございます。次に、従来通産省電気試験所、東京都、日本電気協会等で行なっておりました電気計器検定事務につきまして、これを一元化して特殊法人をつくる構想があるわけでございますが、それの出資金といたしまして、一億円要求してございます。工業標準化促進費関係といたしましては、一億五百万円要求いたしました。次に、特許行政強化費関係でございますが、これは前年度よりも六億増額いたしまして、十六億一千八百万円といたしました。現状特許の実情から見ますると、出願登録等がございましてから三年近くたたないと処理ができないような現状でございますので、この際、人員の増加、審査審判能力充実事務機械化資料整備、公報の整備というようなことを中心に、大幅な要求をいたした次第であります。次は、通産省関係試験所人件費等関係でございます。次に、試験研究所団地化促進費といたしまして、一億九千八百万円予定してございますが、これは、いわゆる試験所団地化の問題につきましては、先般閣議の決定を見まして、日本住宅公団が一手に土地その他の関係を進めることになっておりますが、通産省関係につきましては、一つ研究機関である計量研究所施設につきまして、来年着手する必要がありますのと、共同研究室設置というような観点から、第一段階予算として、一億九千八百万円を要求した次第でございます。  以上、技術振興対策特許関係合計いたしまして、百十四億一千二百万円の要求をしてございます。  次に、産業基盤強化関係でございますが、工業用水道事業費につきましては、従来二十七の政府補助対象となっておる継続事業がございますが、新たにこれを拡大するとともに、新規として五地点ほど考えておりますほか、地盤沈下対策の地帯の補助率を上げます必要がございますので、これまた大幅に、前年度よりも三十九億円増額いたしまして、九十二億七千九百万円を要求してございます。次に、河口湖開発調査関係でございますが、これは河川の海に注ぐ入り口において、水の有効利用、なかんずく工業用水についての有効利用を考えるとか、今後の水対策として残された一つの有効な手ではないかと考え、これにつきましての調査推進する費用でございます。  次に、総合エネルギー対策関係でございます。まず第一番に、石炭関係でございますが、石炭関係につきましては、大体昨年度において石炭関係の重要なる予算についての手は大体打たれたわけでございまして、本年はもっぱらその既定の方針に基づきまして、これをさらに一段と推進するということで、予算を計上してございます。石炭関係は、その表にございますように、四十二億六千五百万円増額いたしまして、百六十億円を要求してございます。  第一番に、炭鉱整理促進費関係でございますが、これは一億六千九百万円を増額いたしまして、五十二億二千四百万円。保安不良炭鉱整理対策費といたしまして一億七千二百万円。炭鉱近代化等助成費といたしまして、これは主として石炭合理化事業団に対する出資金でございますが、当初要求は五十六億九千百万円でございます。ところが、先般の三川鉱事件の問題にかんがみまして、保安施設について強力なる政府助成をする必要があると考えまして、追加要求を五億円余りいたしまして、合計六十二億五千三百万円の要求といたしました。次に、石炭対策一つの大きな今後の方向は、産炭地域振興対策であろうかと存じますが、この産炭地域振興費といたしまして、大幅に二十五億一千六百万円を増額いたしまして、三十八億四千六百万円を計上してございます。このうち産炭地域公共事業推進のために、従来の公共事業に対する補助率を、さらに産炭地域について一段と上げる必要があると考えまして、そういった費用を調整して十億円、この中に組み入れてございます。次は、石炭技術振興費関係でございますが、これは一般炭をコークス化する試験研究等中心に、一億七千九百万円を増額いたしまして、二億八千百万円を計上してございます。次に、鉱害復旧事業費関係につきましては、各省にまたがるわけでございますが、通産省関係といたしまして三億一千四百万円計上いたしました。次に、本年度設立を見ました鉱害賠償基金出資金として二億円要求をしてございます。次に、原料炭炭田開発調査費といたしまして、北海道の石狩炭田九州高島炭田中心に九千百万円を要求しております。  以上、石炭を終わりまして、電力及び天然ガス関係でございますが、両方合計して一億三千万円を要求してございます。発電水力調査関係につきましては二千九百万円でございますが、可燃性天然ガス探鉱費につきましては、補助金として一億百万円計上してございます。なお、この可燃性天然ガスにつきまして、層序試錐ボーリング探鉱費用といたしまして、別途工業技術院の先ほど御説明いたしました特別研究費の中に、二億七千七百万円含められてございます。  以上、総合エネルギー対策関係といたしまして百六十一億四千四百万円、全体よりも四十三億一千七百万円増が要求してございます。  次に、産業公害及び鉱山保安対策関係でございます。これは通産省として、従来、予算要求として特に別に項目は起こしておりませんでしたが、今回深く諸般の情勢より、この産業公害及び鉱山保安に対しては一段と強力に予算を重視する必要があると考えまして、一項目起こしたわけでございます。このうち産業公害対策関係、すなわち大気汚染水質汚濁、そういった点につきましては、まだ試験的な段階でございますので、一般会計予算としては、金額としては二千四百万円という少額にとどまっております。鉱山保安対策関係につきましては、三億五千百万円、こういうことに相なっておりますが、この内訳について若干御説明いたしますると、佐賀県、長崎県の危険ボタ山処理補助費として二億四千七百万円計上いたしましたほか、冒頭に申しましたように三川鉱災害の経緯にもかんがみまして、鉱山保安監督関係につきまして、旅費、出張費、あるいは保安監督官待遇等中心に、事務経費として増額要求いたしまして、合計三億五千百万円と相なっておる次第でございます。  最後の項のその他の関係は、通産省一般事務費人件費等関係でございます。  以上、御報告といたしまして、通産省予算追加要求を含めまして六百五十一億八千二百万円と相なっておる次第でございます。  次に、財政投融資要求関係について申し上げます。一番最後の六ページの表をごらんいただきますると、一番最後の段でございますが、三十八年度財政投融資通産関係予算額は三千四百三十三億円でございましたが、明年度は新たに二千二百七十六億円を加えまして、五千七百九億円の要求を行なっております。このうち出資関係は五百四十六億円、財政融資関係が五千百三十四億円、公募債借り入れ金関係が二十九億円、合計五千七百九億円と相なっております。  まず第一番に、最初のページに戻りまして御説明いたしますると、日本開発銀行の関係でございますが、これは先ほど一般会計のときに申し上げましたように、主として産業国際競争力強化質的充実、こういう点の予算関係でございます。内訳といたしましては産業体制整備関係といたしまして百九十億円の要求を行なっております。次に、設備近代化産業の体質の改善関係といたしまして、輸出産業機械工業非鉄金属工業軽金属工業その他の重要産業のために四百億円を要求してございます。  それから日本輸出入銀行の関係でございますが、プラント輸出の推移にかんがみまして大幅に出資並びに融資要求してございます。この数字をはじき出しました基礎といたしましては、三十八年度融資規模というものが、当初の見込みとしては千三百億円の予定でございましたが、実績千五百億円に達しようかと思います。したがいまして、三十九年度におきましては千九百四十三億円、すなわち二千億円台に近い融資規模の必要があるものとして算定したわけでございます。財政出資が四百二十億円でございますのは、金利関係でございます。  次に、三ページの中小企業金融公庫商工組合中央金庫国民金融公庫関係でございますが、この中小企業関係公庫に対しましては、政府としても中小企業対策の最重点として考えているわけでございまして、中小企業金融公庫に対しましては千八百億円の融資規模商工組合中央金庫につきましては八百億円の融資規模国民金融公庫につきましては二千四百億円の運用規模を考えております。特にこのうち、中小企業金融公庫と商工中金につきましては、金利をぜひ引き下げを必要があると考えまして、年三厘程度引き下げ計画に含ましてございます。  その次は、個別の特殊機関に対する融資関係でございます。四ページに移りますと、電源開発促進するために四百七十四億円を計上してございますが、特に右の欄にございますように、石炭政策につきまして四十二年度において五千五百万トンの出炭ベース需要確保のためには、どうしても石炭火力の建設を積極的にやる必要があるわけでございまして、このうち電源開発会社といたしまして四十二年度までに百二十八万キロワット火力専焼発電所を作る必要があると考える次第でございます。そういった構想のもとに第一年度分といたしまして出資三十一億円、融資四十四億円を計上いたしました。この出資三十一億円の理由は、石炭火力の料金を、需要確保、引き取り促進観点から、キロワット二円九十銭程度に押える必要があるというふうに考えた結果の数字でございます。  次に、YS−11国産飛行機につきまして量産化が進んでおりますので、それに対する関係資金が二十八億円要求されております。石油資源開発関係が五億円。石炭合理化事業団関係につきましては、先ほど申しました一般会計の大幅な出資のほかに財政融資として百億円予定しております。それから専用船建造資金といたしまして十三億円の財政融資予定しております。それから鉱害賠償基金といたしまして一般会計から二億出資するのほか、財政融資関係から十一億円要求しております。産炭地域振興事業団の関係につきましては、一般会計二十七億五千万円に加えまして、六十七億四千五百万円の要求をいたしております。金属鉱物探鉱融資事業団につきましては三十二億円の要求をいたしております。新規といたしまして考えました重機械開発基金につきましては、一般会計のほかに十一億円の財政融資を期待しております。十四番目の海外原油探鉱融資事業団は新規でございまして、これは海外の、なかんずく東南アジアあるいはオーストラリアあたりに、日本自体としてぜひ石油資源を確保する必要があると考えられるわけでございますが、これのために現在の経済協力基金その他の政府金融機関の利用が法制上等の点におきまして非常にむづかしい点がございますので、新たに政府機関といたしまして海外原油探鉱融資事業団を設けることといたし、財政出資において三億円、融資において五億五千万円を計上してございます。次に、本年度発足を見ました機械類延べ払い金融措置につきましては、興長銀債引き受けをさらに百二十億円要求してございます。  以上総計いたしまして特殊機関関係が六百七十三億円の要求額に相なるわけでございます。輸銀その他ただいままで御説明しました全額を加えますと、冒頭に御説明いたしましたように、合計、本年度の三千四百三十三億円に対しまして、通産省関係五千七百九億円の要求に相なる次第でございます。  以上をもちまして説明を終わります。
  9. 前田久吉

    委員長前田久吉君) ただいまの説明に対して、御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  10. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私は主として中小企業の年末金融等にかんがみて、歩積み、両建ての問題と、石油の問題をやってみたいと思うんですが、その前にこの予算編成、いま大蔵省要求されている説明があったんですが、項目別にはじいてみぬとわからぬのですが、大蔵省の指示ですか、大体各項目とも五割増の要求をしてあるということですが、それはどうなんですか、大体機械的にそうなっているんじゃないかと思うんですが……。
  11. 金井多喜男

    説明員金井多喜男君) お答えいたしますると、おっしゃるように通産省全体として五割増しの範囲内に要求をする、これは各省ともそういう方針のもとに閣議決定を見た次第でございます。しかし、通産省予算の個々の項目内訳につきましては、それは別に制限はございません。
  12. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 選挙の前に、宮澤企画庁長官が、高度経済成長政策のひずみを改めるために、第二ラウンドとして中小企業を農業に画期的な手を打つべきだということを助言、進言をし、池田さんも、新聞の切り抜きも持ってきていますが、選挙中に、中小企業とともに農業の近代化に革命的な——革命的な、まあたいへんきらわれる言葉だと思うんですが、革命的な施策をするということなんですが、いま御説明いただきました中小企業庁の中小企業対策関係といいますか、昨年が八十四億でことしが百三十二億で、輸出雑貨センターとか、あるいは新探鉱費等、まあ中小企業向けを加えてみても、これはもう池田総理の発言前の夏ごろですか予算要求されたもので、全然これでは革命的な——まあ五割アップぐらいでしょう、計算してみるとそういうふうに思うのですが、竹下政務次官、いかがでしょうか、これは。選挙が済んだらそれで——金融財政月報を見ると、まあすべての発言は選挙中だけだと、こういうようなこともあるのですが、これは一体きょうの新聞にも出ているように、中小企業金融公庫の百億の債券の発行を認めるにしましても、これは市中銀行の金を吸い上げるわけですし、商工中金の利付債券の発行とこれは競合することもはっきりしていますし、これは画期的な手とはいえないんじゃないでしょうか。
  13. 竹下登

    政府委員竹下登君) いわゆる中小企業の問題について、その後総理は革命的という言葉を革新的と変えたようでございますが、お話のとおりであります。そこで、ただいま御説明申し上げました予算につきましては、これは確かに八月予算編成期に事務的に要求したものでありますが、その後まあ若干これの増額をして、増額要求をいたしております。しかしながら、さらにこれがいわゆる革新的近代化対策といたしましては、目下政府部内で検討中である、かように聞いています。
  14. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 検討中のようですが、もう二、三日の間かに大体大蔵省の内示があって、まあ復活要求もあるのでしょうが、私、専門員室から計算をしてもらいますと、三十四年の全国家予算に対して中小企業対策費は〇・一五六、三十五年が〇・一六、三十六年が〇・二三、三十七年が〇・三七、三十八年が〇・四一で、したがってこれがとても一%にもならないです。さきの三中小企業関係政府関係金融機関融資増をもってしても、とうていこれは開放経済にたえるような中小企業対策費としては、はなはだ乏しいのじゃないかと。まあどの程度新機軸があるか。こういう予算要求じゃ政策がない、復活要求の際に政策ができると思うのですが、機械的に五割増というようなことではほとんどずっと——大体まあパーセントを出してみると若干のなにはあるのですが、これでは、まあ農業も問題ですが、それでも農業は二千数百億あって、それに比べるともうはなはだ言うに足りないと思うんですが、まあ革新的で、だんだん後退してきて、それがどの程度に実を結ぶか知りませんが、私はこのようなことではとうていもういろいろなしわがこの中小企業に寄って、開放経済に備えるためにも不十分じゃないかと思うんですが、これらに加えて、どういう新機軸が復活要求の過程で——新聞の切り抜きを見ますと、やはりその後の情勢にかんがみて、いろいろな手を打たねばいかぬという福田大臣等の言葉もあるのですが、手形の割引制を創設するとか、最近出ているのでは、中小企業金融公庫が百億の債券を発行するという程度くらいなんで、この予算要求百三十二億が削られるのか、かなり少ないという程度ではとうてい不十分ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  15. 竹下登

    政府委員竹下登君) ただいまの中田先生の御発言の中にもございましたごとく、復活要求段階において政策が出るのではないか、こういう御発言でございましたが、確かに二十日に事務的第一次査定の内示があることが予測せられますので、そういう経過をたどるであろうと思います。それについてただいま検討いたしておりますところの手形割引の保険制度の問題、また公庫債の問題につきましても、商工中金の関係におきまして、かなり問題点もあろうかと思いますので、目下検討いたしておりますが、さらに抜本的施策という問題について、直ちにここでお答えする準備をいたしておりません。
  16. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 ひとつ、復活要求にがんばっていただくとともに、ぜひとも中小企業に対してもっとやはり手厚い施策をやっていただかないと、これは開放体制の名に十分たえられないと思うし、公約違反であることは——あまり池田内閣もそう長くないと思うのですが、やはりこれはもっと——それでも農業のほうはなかなか食管の赤字なんかを入れると、全体の予算の一〇%も、もっと回るかもしれませんが、もうはなはだ中小企業者はプレッシャーにも弱いし、特にこの八月ごろの予算要求では弱い。ひとつ竹下次官、新しく御就任ですから、ぜひがんばっていただきたいと思いますが、ここで中小企業金融公庫国民金融公庫についてちょっとだけ、歩積み両建ての問題もあるのですが、私は金利は低いほどいいと思うのですが、むしろ私はもっと金利を低くするよりか、そのこともさることながら、私は実際はワクをもっと増大してもらったほうがいいのじゃないか。そのほうが先決じゃないかというふうに思うのですが、特にこの百億の中小企業金融公庫債を発行すれば、商工中金の利付債券ですか、これと必ず競合するし、結局市中銀行から吸い上げていくのですから、あまり中小企業向けのワクが実質的に増大しないということになるのじゃないですか、どうですか。
  17. 竹下登

    政府委員竹下登君) 先ほども申し上げました中にも少し申し上げましたが、その問題はまだ政府としてきまったという問題でございませんために、それについてはっきりしたことを申し上げるわけにまいりませんが、私どもも同じような心配をしている一員であります。
  18. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 じゃ、私は予算もあるのですけれども、このくらいで……。
  19. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 予算要求の中で、国の財政法ですか、あれによって八月三十一日まで予算を各省は出さなければならぬということで、八月の下旬にもう通産省予算要求を出されておる。それから何度も大蔵省と折衝なさっておると思うのですが、この予算財政投融資、この一般会計ですね、それと財政投融資の中で、今まで大蔵省と話し合って決定した款項目がございますか。
  20. 竹下登

    政府委員竹下登君) 政府委員から答弁させます。
  21. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 大臣の出席ないから、これは次官にお聞きしなければならぬ。一体だれが交渉するのですか。大蔵省との折衝の衝にあたるのはだれですか。その折衝している人にひとつ聞かなければならぬ。
  22. 竹下登

    政府委員竹下登君) 今日までの段階において決定したという問題はございません。ただその間のいわゆる感触程度しか申し上げられない段階ではございますが、その折衝は主計官に対して各局でそれぞれ折衝いたしておりますが、大づかみには会計課長のほうで事情を承知いたしております。
  23. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 三年か三年半前に、通産政務次官をやられたある次官の方が、私は政務次官ではあるけれども、通産省では局長から大臣直通であって、政務次官は何にも知らぬ、こういうような御答弁が当委員会でありました。ですから、あなたが私の質問に対して政府委員あるいは説明員からということになると、通産省にそのときはそういうことは排除してほしいということを申し上げておったのですが、依然として通産省というところはそういうふうな印象を受けるわけです。ということで、この前論争したことがございますが、答弁できなければできないで仕方がありませんが、そうすると款項目全部一つもきまったやつがないわけですね。
  24. 竹下登

    政府委員竹下登君) 一つもきまったものはございません。
  25. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 さいぜん説明を受けた中で天然ガスその他の予算説明がございましたが、秋田県から、政府も十分御承知だと思うわけですが、あの開発について相当膨大な要求がなされておるわけですが、この中にも天然可然性ガスということであるわけです。しかし、現地の要望とこれとは額において相当へだたりがあるわけですが、こういうことで現地の開発ができるかどうかということをお伺いしたいのです。
  26. 加藤悌次

    説明員(加藤悌次君) お答えいたします。秋田の天然ガスの需給状況が、昨年の夏以来、八橋油田の急激な生産減少によりまして、天然ガスそのものを工業用原料として、その目的であそこに設置されました東北肥料あるいは秋田石油化学、こういった面に非常に御迷惑をかけておる状況でございまして、私責任者として非常に遺憾に存じておるわけでございます。ああいう問題が特にことしの夏以降顕著になってまいりました。とりあえずの措置といたしましては、石油資源開発会社の探鉱の計画化、もともと計画があるわけでございますが、これを、できれば年度内にさらに六本計画外に追加してボーリングをする。こういうことで九月末に決定をいたしまして、現在鋭意ボーリングを続行中でございます。また秋田県におきまして国の補助金によりましてことし二本、ボーリング二カ所で行なっておりますが、そのうち一本はまだ未完了でございますが、他にそれに加えまして多少のボーリングができるのかどうか、場合によれば国の補助の対象にするということも考えられていることで、この点についての御検討を今御依頼しておるわけでございます。そういうことで、とりあえずことしの急場をしのぐと申しますか、今申し上げたような各鉱での探鉱の追加、これを行なっておるようでございます。また消極的な対策ではございますが、何と申しましても、いわゆる一般家庭燃料だとかあるいは工業用原料として使っているものを最優先に考える必要がございますので、それ以外の単なる熱源として使っているものにつきましては、できるだけこれを他の原料に転換していただくということで、具体的に申し上げますというと、東北パルプ等でございますが、こういった面ですでに十四万キロばかりの重油等へのガスからの転換、これが実施済みでございます。こういったことで今まで何とか切り抜けてきたわけでございますが、しかしながら、実績を見てまいりますというと、やはり月ごとに生産が減少しておる。十一月の実績を見ますというと、二十一万六千立米、一日当たりでございますが、こういった生産になっておりまして、おそらく化学工場等の操業度は六〇%ぐらいに落ちているのじゃないかというふうに思われますので、さらに抜本的にこの問題を考える必要があるのじゃないかということで、今私どもで考えておりますのは、秋田はそういう状況でございますが、新潟県だとかあるいは千葉県等の状況を見てみますというと、最近秋田とは逆に相当生産の顕著な上昇もあるわけでございまして、そういった点にかんがみまして、来年度は探鉱補助金あるいは具体的に探鉱を行ないます帝国石油あるいは石油資源開発会社、これの探鉱計画の実施の面におきまして、できるだけ秋田県に重点を置いて、重点的に行なうという強い行政指導を行なって、この問題に対処いたしたいというふうに考えておるわけでございます。そういった面で問題になりますのは、資金の面でございますが、資金の面につきましてはまだ予算の折衝の過程でございますので、はっきりしたことは申し上げられないわけでございますが、石油資源といたしましては、大体二十二、三億ぐらいの金を毎年探鉱に振り向けておるわけでございますが、来年におきましても、これが確保できるような方向で財投要求をいたしておりますし、また帝国石油につきましても、全体としての資金繰りの穴をできるだけ低利の開発銀行と政府金融機関からの融資に期待するという方向で現在財投要求をいたしておる、こういう状況であるわけでございます。
  27. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 まだ最終決定をみない予算のことですから、ここで論議して詳細にわたってお伺いすることはどうかと思いますので、大ざっぱなことでけっこうなんですが、重ねてお尋ねしますが、北海道開発公庫とか、あるいは東北開発公庫、この中に入っておるかしりませんが、内容承っておりませんからお尋ねしますが、そういう点について、明年度という御答弁もなされておりますし、逆に海外開発のこの地下資源株式会社ですね、これは、こういう予算消化できるかどうかという点をあわせてお尋ねいたします。
  28. 加藤悌次

    説明員(加藤悌次君) お答えいたします。来年度財投要求の中で、石油関係といたしましては、石油資源開発会社に対します政府保証債のワクが五億ございます。これの要求とそれから帝国石油等の石油並びに天然ガス開発するための所要資金といたしまして十九億ばかりの開発銀行の要求を来年いたしております。ただ、御指摘の北海道、東北開発公庫なり、あるいは中小企業金融公庫、等からもそういった資金が今までも出ておりますし、今後とも出していただくつもりでおりますが、こういったものは今までの慣例によりまして、当初の財投要求のときには私たちのほうから特に特別のワクとしてお願いしない、こういう慣例になっておりまして、現実の具体的な場合にはケース・バイ・ケースでこれをお願いする、こういうことに相なっておるわけでございます。  それからもう一点の海外の原油の開発促進するために海外原油開発事業団というものを作る、それに対して政府から投資、融資合わせまして八億五千万円ばかりの財投要求をいたしております。その対象になる個々のケースにつきましては、現在それぞれ話し合いが進行中であるということでございまして、現在の時点においては一応八億五千万円の積算の根拠はございますが、それであるいは十分であるのかどうか、余るのかどうかという面につきましては、現在の段階におきましては、まだはっきりと御答弁をいたしかねる、こういう状況にあるわけでございます。
  29. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 開発銀行の投融資の内容なんですがね。開発銀行が発足した当時は、電気、石炭、金属、こういうのが非常にウェートを置かれたわけですが、開発銀行法の定めにあるからとおっしゃられればそれまでですが、観光事業というのにも融資しておるわけですね。当時は、今申し上げました各種の産業に対してウェートを置いたのだが、今日ではパーセンテージがだんだんだんだん観光事業のほうが多くなっておる、もちろん金額にしては違うでしょうけれども、だんだん観光事業のほうにウェートを置くようになった、こういうことを常に承っておるわけですが、この予算、どういう決定になるかわかりませんから、ここでお尋ねするのは無理かもしれませんが、この予算のままでいくと、これは省が違うからおわかりにならぬかもしれませんけれども、やはり観光事業のほうにウェートが多くなっておるというのが現況ですか。
  30. 川出千速

    政府委員(川出千速君) 観光事業のほうはこれは運輸省の所管でございまして、開発銀行が融資の対象にしておりますのは、外貨獲得という面でホテル等に出しておるのではないかと伺っております。今後、しかし開発銀行の融資全体から見ますと、これはまだ非常に小さな額でございます。何と申しましても、海運関係、電力関係石炭関係、その他の重要産業というのが開発銀行の融資の対象になっておりまして、来年度観光関係にどの程度要求が運輸省から出ておりますか、現在私は承知していないわけでございます。
  31. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 最後にお尋ねいたしますが、毎年中小企業に年末融資をなさいますね。もちろんこの予算とは全然別個のものでございますが、それに繰り入れられるということはないですね。年末融資をやった場合は全然別個でしょう、これとは。これは三十九年度ですから、十二月にやった場合、これに事後処置として繰り入れられるということはないか。
  32. 竹下登

    政府委員竹下登君) ございません。
  33. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この海外原油探鉱融資事業団の設立なんですが、この投融資も出ているのですが、これもたいへんリスクの多い仕事、九〇%はおそらくリスクと見るべきでしょう。それを融資ということでは、実際、アラビア石油みたいに百発百中でうまくいけばいいんですが、世界的な規模で見た場合のリスクは、大体九〇%程度はリスクと見るべきだと聞いているんですが、これは融資事業団で探鉱活動を十分やれるんでしょうか。この点はいかがですか。
  34. 竹下登

    政府委員竹下登君) 鉱山局長から答弁いたさせます。
  35. 加藤悌次

    説明員(加藤悌次君) ただいまの御質問の趣旨、もっともな点があろうかと存ずるわけでございますが、いろいろ御意見等によりまして、そういう点も一応検討はしてまいったわけでございますが、とりあえず、ああいった機関を作り発足させるという意味で、最小限度と申しますか、最小限の融資という考え方で、融資状況をできるだけよくするということで、今のような要求のかっこうになっておるというのが真相でございます。
  36. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 やはり、世界各国とも中近東だけに依存せずに、多角的に東南アジア、アフリカその他新しい油田を開発するという国際的な競争がなされておるので、たいへんけっこうだと思うのですが、私はやはり事の性質上、非常にリスクが多いのにたくさんの引き合いもあるようですが、これをくさびにして将来に備えられるというならいいと思うのですが、私は融資ではやはり成功払いというようなことのほうが、世界各国ともそうですし、そのほうがオーソドックスな方法ではないかと思うのですが、いかがですか。
  37. 加藤悌次

    説明員(加藤悌次君) ただいまの答弁で少し補足する必要があると思いますが、事業団で考えておりますのは、融資機能のほかに、場合によれば出資もできるようにということで、現在考えておりまして、いま御質問の相当、リスキーであって、特に融資という面では問題があるという場合は、ケース・バイ・ケースで出資の分をかなり多くするというような方向で考えてみたらどうだろうかというふうに考えておるわけでございます。
  38. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この投融資計画要求の中の天然ガスに十九億ですね、これは主として帝石じゃないかと思うのですが、どうなんですか。
  39. 加藤悌次

    説明員(加藤悌次君) ほとんど大部分が帝石でございますが、帝石以外にも肥料会社等で自家用に天然ガス開発のための探鉱等開発をいたしております。そういったところも一応開銀の融資対象ということに考えておりますので、具体的に申し上げますと、十九億の要求のうちの十三億が帝石に振り向けられる予定になっておる、こういう内訳に相なっております。
  40. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 昭和三十年ですか、石油資源開発株式会社法ができて、帝石が二十三億ですか、出資して、配当なしでやっているわけですね。これは私は、さきに秋田のことについて阿部委員が質問されたのですが、帝石として多角的なメスを入れねばならぬ問題もあると思うのですが、やはり二十三億十年近く無配当で出資していることも、探鉱活動を十分にできない一つの大きな要因だと思うのですが、いろいろ人員の問題、あるいはその他たくさんあると思うのですが、やはりSKと二本立てでいっている際に、この程度措置で探鉱活動を十分やらせ得るというふうに見ておられますか。あるいは別途対策をお考えですか。
  41. 加藤悌次

    説明員(加藤悌次君) 先生御指摘のとおり、現在におきまして、二十二億四千万円ばかりの金を石油資源に対する出資ということでフリーズされているということが、非常に資金の面から見まして、あるいは採算の面から見まして、帝石に対する相当な圧迫要因になっておるということは事実でございまして、これを今後どういうふうに考えたらいいかということは、いま検討を行なっておるということを申し上げるにとめたいと思いますが、それ以外に、いろいろ資金の面、あるいは採算向上という面から、帝石に対しまして御相談を申し上げておるわけです。かいつまんでおも立った事項を申し上げますというと、先ほど申し上げましたように、政府資金をできるだけ厚くつける、そのための開銀資金等の要求を出すということは、先ほど申し上げたとおりでございますが、それ以外に、先生御指摘の、かなり石油資源に比べまして過剰の人員をかかえているという事実が一つあるわけでございます。この過剰人員の問題をどう考えるかということでございますが、これは非常に労働者の立場から見ますというと、合理化という名目のもとに首切りをやるというふうなことでは問題が多いということでございまして、過剰に相応する分について、できるだけ新規の採用の面の合理化を考えたらどうかということで、これはすでに来年度新規採用から、そういった面の考慮をして新規採用を行なうというようなことで、会社としては真剣に検討しておるようでございます。帝石、SKともに国内の石油資源、ガス資源を今後とも開発を続けていくということで、大きな資源を持っておるわけでございますが、それ以外に、先ほど問題になりました今後民族資本の手で海外の新しい原油を開発する必要があるという面から見まして、そういった面の技術者を温存し、あるいは養成するというもう一つの非常に重要な使命を帯びておるわけでございまして、そういった面も十分考えながら、新規の人員の補充をできるだけ合理化させる、先ほど申し上げましたような方向で検討をさしていることが一つでございます。それからもう一つは、帝石といたしまして、昨年新潟からパイプ・ラインを東京まで布設いたしまして、東京ガスに対して相当量のガスの供給をいたしておりますが、これがわれわれ見ますというと、必ずしも帝石にとって有利な供給条件になっていないということでございまして、ちょうど契約の更改期に当たりますこの年来に、できるだけそういう面の改善、是正をはかる、こういう方向で実は現在東京ガスとの折衝をやっているわけであります。私たちが会社に対して申し上げているような方向で、もし改定ができるといたしますると、相当資金繰りの面で、あるいは採算の面でも改善されるのではなかろうか、まあ簡単でございますが、以上のような方策も並行してとってまいりまして、少しでも早く帝石の状況をよくしたいということで、目下努力をいたしておるわけでございます。
  42. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 あのパイプ・ラインで東京に送るのは、買い手独占ですから、買い手が一人しかないので、これはよほど政府の強力なバック・アップがないといけないと思う。その問題は、まあたいへんけっこうな発言がありましたが、きょうの新聞を見ますと、ガソリン税を一割五分、あるいは軽油引取税も上げるでしょう。それとからんで、開銀資金として石油精製業に四十億をつけられたというのは、まあ画期的な手だと思うのですが、これはどうなんですか、昨年のいつですか、ことしですか、標準価格を石油はつくっておられますね。いまの石油精製業の現状から、十五%なり値上がりすれば、なかなか吸収できぬと思うのですが、これは消費者に、小売り価格に転嫁するようなことになりはしないかと思うのですが、これはどうなんですか。
  43. 加藤悌次

    説明員(加藤悌次君) 御指摘のとおりでございまして、昨年の十一月十日をもちまして、石油業法十五条の規定に基づく標準価格の設定ということが行なわれまして、現在もまだそのまま維持されておるという状況であるわけでございますが、その後の石油精製業の採算状況を見ておりますというと、非常にお互いの過当競争、シエア競争、これが激しゅうございまして、表向きは政府できめた標準価格、これでの仕切りということで取り引きが行なわれているようでございますが、実際にはかなりリベートその他の面で、それ以下の販売が行なわれているというのが実情でございまして、そういう点がこの九月期の決算等にあらわれておりまして、営業面から見ると、実質的には総計といたしまして、石油精製業はかなりの赤字計算になっているわけでございます。そういう状況からかんがみますというと、今度新しくかりに一五%のガソリン税が引き上げられるということになりますというと、現在の石油精製業の採算状況から見ますというと、これをとてもそのまま、あるいはその一部を石油精製業で負担するということは困難、というよりも不可能であるというふうに考えられるわけでございまして、おそらく今度そういう増税が行なわれますれば、需要家の側でございますたとえばハイヤー、タクシー、こういった需要家の側で、できれば一〇〇%御負担を願う必要があるのではなかろうかというふうな感じがいたすわけでございます。
  44. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 石油関係の関税なり、揮発油、軽油引取税等、昭和二十八年から合計してみますると、約九千億取っているのです。三十八年度幾らになるか知りませんが、三千億は軽く突破するのじゃないかと思うのですが、これは幾らぐらいに見ておられますか。
  45. 加藤悌次

    説明員(加藤悌次君) はなはだ恐縮でございますが、現在ちょっと資料が手元にございませんので、あとで先生のもとにお届け申し上げたいと思います。
  46. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私はやはり、ここで四十億を初めて予算要求された点は、たいへんけっこうだと思うのですが、いま外資系と民族系と称しますか、その設備資金の調達方法を見ますと、最近五カ年間に非外資系の会社の外国石油会社からの借り入れ金は六百億にもなって、同じ期間の外資系の社会の倍にもなっている。こういうようなことでは、やはりこの原油を自由に選択して買うというようなこともできぬようになりますし、少なくとも一年間に石油関係三千億も関税なり諸税で取り上げているのですから、やはり電源開発とか石炭とかいうふうに、もう少しこれをきっかけに石油精製業というものにもやはり手厚い保護を加えていく。特に、開銀の融資ワクをして民族産業を育てていく。この中小の石油精製業等は、このままではやはり第二の丸善のようなものが出ないという保証もないと私は思うのですが、まあ最初で四十億の予算要求がせい一ぱいですか、これはどうなんです。
  47. 加藤悌次

    説明員(加藤悌次君) かつて石油安定基金構想というふうなものもあったわけでございまして、私どもはああいった構想が、やはり現在の時点におきましても、将来必要であるというふうな考え方でいるわけでございますが、とりあえず火急を要する問題の一つとして、国内の石油精製業の設備資金の一部を国家機関で考えるという緊急の必要性があるのじゃないかということで、趣旨は全く先生の御質問のとおりの趣旨で、現在要求をいたしているわけでございますが、大体その積算の考え方といたしましては、来年度新規に必要とされます増設分の半分、これが大体主として民族系であろうという考え方で、それに対する開銀の裏づけをするということで四十億という数字がはじかれているわけであります。
  48. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 いま積算の基礎を言われたのですが、私の持っている資料では、石油精製設備の拡充費として、三十九年度は八百億ぐらい要るのじゃないかと思うのですが、そんなことはないのですか。それは全部です、外資系のやつも非外資系のも合計してですが。
  49. 加藤悌次

    説明員(加藤悌次君) ただいま先生の御指摘の八百億という数字は、これは石油精製の本体の設備でございます精製設備だけではなくて、これに付帯いたします貯蔵施設、あるいは販売関係施設、それから港湾施設、こういったものを全部含めた数字でございます。私が申し上げましたいまの数字の根拠は、本来の精製設備、これに大体限局いたしましてそういう計算をしていると、こういうことでございます。
  50. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 赤城農林大臣は、どういうふうになっているか知りませんが、農業用の油関係の税金を計算して、それを吸い上げていって、そうして農業の近代化のために市町村が金を貸す際の利子補給にするような構想を発表しておられるわけですがね。これがどうなるかは私不案内ですが、衆参両院の決議でも、やはり安定供給のために、あるいは民族産業を強く育てるために膨大な石油関係の関税税金等にかんがみ、もっとやはりすべきだし、安定基金をつくれという構想もあるのですが、それはどうなんですか。
  51. 加藤悌次

    説明員(加藤悌次君) そういった面からの国会での御審議等もいただいたわけでございますが、来年度予算要求といたしましては、とりあえず各事項ごとに、別々に、緊急度に応じて要求をするということで、いまの石油精製業に対する開銀融資、あるいは先ほど議題にのぼりました海外原油開発促進のための事業団の新設だとか、そういうものを要求いたしておりますというのが、来年度の考え方でございます。
  52. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 国産原油の引き取りの問題は、予算措置ではどうなっておりますか。
  53. 加藤悌次

    説明員(加藤悌次君) 本年度予算の面の要求としては、特に御指摘の点については、現在は要求をいたしておらないわけでございます。これはほかの面で解決をはかりたいという考え方でもちまして、目下大蔵省と折衝中でございますが、現在のところまだ最終の話し合いができないという状況に相なっているわけでございます。
  54. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 まだ煮詰まっていないようですが、その構想の一端を発表できませんか。
  55. 加藤悌次

    説明員(加藤悌次君) これは昨年におきましても同じような構想が出たわけでございますが、一般会計も直接的に価格差補給金というようなものが考えられるわけでございますが、これはなかなか事務的にいっても困難があるということで昨年の暮れに問題になりました。ちょうど現在、国内石炭を使った電力会社あるいは鉄鋼会社に対しまして、当該輸入いたしました重油関税の一部を還付するということが行なわれているわけでございますが、この考え方にならいまして、国内の原油を使った精製業者が輸入した原油関税の一部を使った量に応じまして還付するということも一つの方法ではないか——それだけではございませんが、そういった主張、要求等をいまいたしている、こういうことでございます。
  56. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 これはたしか来年の四月からですか、裏日本三社はキロリッター当たり六千円ですか、もう引き取らぬ、海外原油並みだというようなことを言っておりますが、ただいま言われたような石炭の方式かあるいは銅にとっておるような方式のいずれかをしてやりませんと、合理化に限度があって、国産原油の持つ、さきに加藤局長の言われたような発展をすることができない。特に、ドイツなんかは四千円くらいですか、あるいはフランスなんかは三千円くらいですか、国産原油等について関税なり補助金等やはりやって、そういうものが踏み台になり、そのサハラ油田の開発とも結びつき、やはり精製する三社も、たしか新聞の切り抜きでは、来年の三月以降は、海外の原油並みと、早急に石炭方式か、銅にとっておるような方式か、いずれにしても手を打たぬと、成り立たぬじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  57. 加藤悌次

    説明員(加藤悌次君) 基本的には、先生いま御指摘のようないろいろ方法があると思いますが、これは方法はどういう方法であろうとけっこうだと思います。要は、国産原油を今後もある程度の増産なりあるいは生産の維持をやっていかなければいかぬわけでございますが、そういった面から、しかもそのコストが輸入物に比べて割り高であるということであるとすれば、それを使う特定の精油会社だけが特別の負担を負うということではまことに不合理なものでありますから、その特別の負担をできるだけ軽減するというふうな方法で、いま先生御指摘以外の問題についても今後努力をしてまいりたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  58. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 ちょっと予算からずれるのですが、お許しをいただいて、出光のこの問題ですね、石油業法を施行して一年有余になって、これがどう運用されるかということは、一つの大きな、この脱退問題をどう処理されるかということは、石油業法並びに加藤局長の腕の示しどころで、なかなか大きな問題を含んでおると思うのですが、業法に基づいて生産設備が許可ですか、認可されて建設したにもかかわらず、三十八年度の下期の生産調整において原油の処理量が大幅に能力を下回って採算が悪いというようなことで脱退されておると思うのですが、元来業法の考えからすれば、第四条ですか、認可した設備、許可した設備については、やはり当然操業させる、原油処理の保証があってしかるべきじゃないかと思うのですが、どうなんですか、あるいは、いろいろ石油供給計画に重大な影響があるかもしれぬというようなことで、勧告権を発動してもこの問題を処理するというようなお考えですか、どうですか。
  59. 加藤悌次

    説明員(加藤悌次君) 現在、出光興産が連盟を脱退いたしまして、いわゆるお得意さんに売れるだけは自分のほうでつくるのだということで、いわゆるオーバー生産というものが行なわれておるわけでございまして、私非常に遺憾に存ずるわけでございます。もともとこういう問題が起きました一番大きな理由と申しますか、先生御指摘の石油業法に基づく設備の許可があるわけでございます。ところが、石油業法が施行されましたときに経過措置といたしまして、当時すでに計画を持ち、あるいはすでに着手しておった、こういう新規設備については、将来の需給状況とは切り離しまして、過渡的にそういうものを全部拾い上げて許可をした。最近三十八年度の新しい許可といたしましては、昭和四十一年度中に完成するものに、昭和四十年の石油製品の需給計画と照らし合わせまして必要なものを許可したわけでございますが、この七月には四十万バーレルばかり許可をいたしております。したがいまして、過渡的に四十年に至るまでにおける期間において経過的な措置で許可を受けました石油精製設備が、その時期に至るまでの期間において需要の面と比べますというと多少設備過剰の状況にある。具体的に申し上げますと、現時点においてこの設備能力というやつが、現在の供給計画から見ますいわゆる需要量に対して、四〇%ばかりオーバーをいたしておるわけでございます。したがいまして、もし個々の精製業者において設備に十分原油を食わせるといったような考え方で生産がフルにされるということになりますというと、いま申し上げましたように、かなりの数字の供給オーバーということに相なるわけでございまして、そこにおそらく相当な販売競争が行なわれるということは必至のわけでございますので、そういうことがあってはならないということで実は石油業法ができました最初の運用のときに、各社から業法に基づきます生産計画をとってみましたところが、やはり当時の供給計画に比べまして二五%ぐらいオーバーしておる。こういう状況にございまして、これは法律の規定に基づきますというと、個々の精製業者に対して生産計画の変更についての勧告ができるということに相なっておるわけでございますが、役所といたしまして一々の企業につきましてそれぞれ勧告をするというふうなことも非常にたいへんだということでございますので、当時特に石油審議会でこの問題も御検討願った結果、現在行なわれておりますところのいわゆる生産調整——これを計画生産と私たちは申しておるわけでございますが、そういういきさつでいまのような生産調整が行なわれておるわけでございまして、問題は、この生産調整をやる場合に、個々の精製業者に対して生産のワクをきめる基準をどうするか、こういうところに問題があるわけでございます。生産のトータルを供給計画に合わしてほしい、ついてはそれをひとつ連盟という場でやっていただきたい、こういう要請を業界に対していたしまして、そのワクに合わせる場合の個々の精製業者に対する割り当ての基準をどうするかということにつきましては業界で自主的に話し合いでひとつおきめになっていただきたい。過去の実例を見ますというと、全部業界内部で話がつきませんでして、最後には役所も中に入りまして、役所の意見も相当取り入れていただいて調整の基準がきまるという経過をたどってまいったわけでございますが、今度の場合、おそらく出光さんの御不満とされるところは、新しく徳山の設備ができ、あるいはまた最近千葉が動き出すということに対して、この新しい設備に対していまの割り当て基準では十分の原油の処理ができないというところに一つの不満があったように承知いたしておるわけでございます。先ほども申し上げましたように、こういう非常に厳格な生産調整を行なう必要がありますのは、過渡的な期間である業法の運用が軌道に乗りまして、四条の規定によりますところの新規設備の許可が厳格に将来の需給の見通しから見て行なわれるということになりますれば、業法の運用の理想の形態としては設備の許可だけで十分であるというふうに私どもは考えておるわけでございますが、先ほど申し上げた過渡的な間、特に現在におきましては、標準価格というものまでも設定をされているという状況でございますので、個々の精製業者の生産計画を全部合計したものは、やはり業法で示されている供給計画にきっちり合わせるという方向で、しばらくの間やる必要があるのじゃないかということでございますので、私どもといたしましては、そういう問題があることは承知いたしておりますが、これは過渡的にやむを得ないということで、やはり全体と協調してこの業法の運用を軌道に乗せるという立場から、出光興産につきましても、ひとつ考え直していただくという方向で現在もお願いをしている途中であるということでございます。
  60. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 石油業法が成立するまでにすでに精製設備の建設に着手しておったというような経過措置もあると思うのですが、大体少しこの設備許可ですか、それが甘過ぎて、長い展望から見れば、それだけ、世界で一番伸びるのですからいいのですが、必要以上に過剰投資があって、しかも、資本調達に困って、外資に依存して、国際石油資本なり、あるいは外国の金融機関の影響力下に置かれるというようなことになってくるのじゃないかと思うのですが、いまは稼働率は幾らですか、八〇%くらいですか、海外のそれに比べると非常に低いので、そういう点から、これはもう少し、全体を上げる中で——新聞を見ますと、全体のワクをふやすベースの中でこの問題を解決しようというような点も、切り抜きもあるのですが、あまり稼働率が少な過ぎるというようなことはないのですか。
  61. 加藤悌次

    説明員(加藤悌次君) 現在、下期の原油処理ベースを引き上げる必要があるということで、まだ最終的に実施をいたしておりませんが、ある程度増加処理が必要であると言われておるわけでありますが、とりあえず当初の供給計画に基づきまして、その数量を原油処理ベースに直した場合の全体の平均の稼働率を御参考までに申し上げますと、内需用だけでございますが、トータルとしては七一%、こういう数字になっておるわけでございます。これに輸出用の原油処理というものが別にございまして、これを入れますというと、トータルといたしましては、八〇%近い稼働率になるということでございまして、総計で見ますというと、八〇%ですから、そう非常に低い稼働率じゃないということが言えるのじゃなかろうかと思いますが、先ほど申し上げました、過渡的に、大きな設備ができたところについて、そのものずばりで原油の処理ベースをふやすということをやっておらないわけでございますので、そういった会社については、この平均をかなり下回るというのが現状でございます。   〔委員長退席、理事赤間文三君着席〕
  62. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 これを九〇に高めると供給過剰になりますか。どうですか。
  63. 加藤悌次

    説明員(加藤悌次君) 御承知のように、先ほど申しました、現在、標準価格が設定されておりまして、これすらもなかなか守られにくい。事ほどさように、シェア争い、販売競争が激しいというのが現在の石油業界の実情でございますので、私どもは、標準価格がある間におきましては、少なくとも供給計画における数字と個々の精製会社が生産される製品の供給量とは、できるだけ近づけたいという希望を持っておりまして、いま御指摘の八〇%を一〇%上げる、これは相当大きなものになろうかと思いまして、感じといたしましては、非常に問題が多いであろうというふうに存ずるわけでございます。
  64. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この産業構造の委員会の油の伸びを見ますと、四十七年には二億トンで金額として二十八億、輸入の二〇%を占めるという、こういう際にいろいろな施策が関連してとられねばならぬと思うのでありますが、世界有数の伸びを持つ日本において、いまのような設備能力ですか、販売実績、年内の生産というようなことで、各社にというようなことでなしに、私は、民族系のものを擁護するというような意味で、やはり民族系の会社、中小のやつも育てて、伸び率のところにできるだけたくさんそれに割り当てるということも必要じゃないだろうか。そういう指導も必要じゃないか。何も自由化といったって、日本自由化を強く要求するアメリカを見ましても、自国の綿製品を擁護するために強い日本に規制をしている。あるいは魚族保存の美名に隠れて、太平洋に日本だけ魚のとれぬような地帯をつくり、石炭産業保護のために強力な手を打ち、いろいろしているわけなんですから、私は、原油の自由化といささかも抵触するものでない。早く日本のエネルギー産業はどうあるべきかというエネルギー政策の基調をつくって、そうして昭和四十七年には二億トンにもなるのですから、やはり民族系の会社にたくさんシェアを与えるような運営方針をやるべきじゃないか。そういう点で私は石油業法というものはカフジ原油を引き取るというような大きな役割は、ざる法だと言われたが、かなりやったと思うのです。そういう面をやはりエネルギー供給の自主性、安定の問題というようなことを考えますと、何条ですか、しまいにある検討条項を発動して、やはりそういうことをやるべきじゃないか。それには何よりもやはり石炭なり電力、原子力、油というようなものを含めたやはりエネルギーの政策の基調をつくって、そうして精製業はどういうふうに位置づけをするか、というようなことに関連して、もう石油業をもっと強化していくべきじゃないか、そういうふうに思うのですが、いかがですか。
  65. 加藤悌次

    説明員(加藤悌次君) 先生御指摘のように、今後の石油精製業の将来という構図が描かれておりますことは、御質問のあったとおりでございます。近く産業構造調査会の中に、エネルギー部会というようなものがございまして、この部会の答申だけがおくれているわけでございますが、その中でも、今後原子力が本格的になるまでの間、少なくとも石油が今後のエネルギーの面で中心的な役割りをなすということが指摘されておりまして、そういった重要な石油の低廉、安定的な供給確保という意味で、先生御指摘の民族資本の手による海外原油の開発だとか、あるいは精製業の育成ということが一つの柱になっておると存ずるわけでございます。そういった面から、御指摘の民族系の会社を今後一刻も早く体質を強化する、また、規模もできるだけ早く適正な規模に持っていくということが必要であろうかと存ずるわけでございますが、ただ基本的には、量的に見まして、今後とも国際石油資本と協調してある程度の安全保障的な意味から申しまして、安定供給を確保するために、民族資本の手による原油なり精製業を握るということではなかろうかと存ずるわけでございますので、今後とも石油業法の運営につきましても、特に民族系であるがために特別のことをするというふうなことがはっきりできるかどうかということにつきましては、多少疑問なきにしもあらず、こういう感覚でおるわけでございますが、今後石油業法の個々の運用の面につきまして、できるだけ先生御指摘のような方向に沿うような運用をやってまいりたいというのが、私どもの本心であるわけでございます。そのためには、できるだけそういった受け入れ態勢ができるということも必要であろうかと存じますので、この面につきましては、いろいろな面からの行政指導で今後とも精力的にやってまいりたい。目下のところ問題になりますのは、石油業法を一刻も早く本来の趣旨とする軌道に乗っけるということが急務であるわけでございまして、ただいまの石油業法をこの時点において改正するかどうかということにつきましては、まだそこまで考えが及ばないというのが実情であるわけでございます。
  66. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 もう一点だけ。私も外資系の国際石油資本の提携を否定するものではない。それを無視してはやれぬですが、やはりフランスの石油政策等を見ましても、やはり石油の供給の安定性のためには、自由世界という面でアメリカと協調しながら、米英の国際石油資本へもかなり強圧を加えて、そうして、サハラ砂漠や国産原油等の生産に手を打っているわけですから。また、私は最近日本の運輸省のタクシーの免許等でも、大きな会社に対してはできるだけ新規免許を押えて、中小、個人タクシーというようなものに新免の割り当てをふやしていくというようなことは、これたいへんけっこうなことで、私はそういう点も考えていただきたい、こう思うわけであります。  石油の問題はまだやりたいですが、あまり時間をとらぬように歩積み、両建ての問題を——委員長にお尋ねしますが、大蔵省はおいでになっていますか。
  67. 赤間文三

    理事(赤間文三君) 高橋銀行局長が見えております。  それでは中小企業金融問題に関する件の調査をもあわせて御審議を願うことにいたします。
  68. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この「ダイヤモンド」の十一月二十五日号には、この「ダイヤモンド」の編集局長と、ただいま御出席を願っています公正取引委員会委員長の渡辺さんとの対話があって、その中に、債務者預金の比率が——銀行から金を借りる人が預けている比率が、都市銀行の場合に五二・九%、地方銀行の場合が四七%、相互銀行が五七%、信用金庫が五三%と、たいへん高い率で金を借りても半分は預金をさせられる、手形の割引あるいは金を借りる際にです。それでも実質金利は非常に高いものになる。資料を私実際に持ってきていますから、あとで見ていただきたいのですが、日歩五銭も六銭にもつくというようなことですが、銀行局長にお伺いしたいのですが、この内容についてもっと詳しい、この中の一体どの程度は余儀ないもので、どの程度が不当なものであるかというようなことについてお話を承りたいと思います。
  69. 高橋俊英

    政府委員(高橋俊英君) 債務者預金の割合が非常に高いということは事実でございますが、その調査時点によって多少数字が異なります。しかし、その中で当然銀行としては、取引がある以上は、債務者からある程度の預金を預かるということが、当然の金融的な行為であるというふうに認められております。ただ、その度合いが、通常必要とされる分をこえておる場合に、それが不当ということになりますが、私どもの、いままでのところでは、拘束を受けるというものの実態、これを全国的に把握するということはきわめて困難であります。拘束であるかないか、つまり債務者の意に反して預けさせられたものであるかどうかということは、個々のサンプル的なものについてはサンプル調査のようなものでは把握できますけれども、いまおあげになりましたのは全国的な数字だと思いますが、それの中でどれだけが拘束であるかということは、認定きわめて困難であります。おそらく不可能に近いということになりますが、しかし、これは借り手の側からは、実際に借りておる人一人一人についてはそれはわかっておる。銀行の窓口におる人から見ても、それはおそらくわかっておるものと思います。ただ検査等によりましてその実態を把握するのは、やはりごく限られた非常に狭い範囲の取引先に限られる。銀行だけで申しまして、貸し出し先というものは、貸し出し件数から申しますと、約八百万件もございます。人数で申しましても銀行だけで百数十万という取引先がございますから、それらの全体について通常どのようなものであるかということをつかむことはきわめて困難であります。ただし、これは先ほど申し上げましたとおり、実態はわかるわけでございまして、それを私どもが検査官を派遣いたしましてやる場合には、ある意味では押し問答のようなことになる。一件一件について、こちらから見ればこれは拘束である。銀行側からいえば、いや、これは拘束ではないのだというふうなこと。これを外見によって判断しようと思いますと、たいへんな手間がかかるわけでございますが、数は少ないのでございますけれども、ことしの春ごろに特別の調査をやりまして、それの範囲ではわかっております。その数字でよろしゅうございましょうか。
  70. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 はい。
  71. 高橋俊英

    政府委員(高橋俊英君) それで申しますならば、このときの調査、まず調査をどの程度やったかといいますと、都市銀行が八行、地方銀行が九行、相互銀行が十六行、信用金庫十五、合わせまして数から申しますと四十八の金融機関でございますが、これは二回にわたって行なっております。三月の上旬と四月の下旬に二回にわたって特別の調査をやったわけでございますが、これに採用いたしました店の数としては、一つ金融機関で大体三店舗程度一つの店舗で三十名程度の債務者を選んでおります。そういう範囲の調査であることをお断わりしておきますが、割合で申しまして、預金に対しますところの融資に対する預掛け金の割合は、都市銀行五五・六、それから地方銀行四五・八、相互銀行五六・六、信用金庫五四・七、こういう数字になっております。これらのうちで、まあ融資額に対してこのぐらいがいわゆる自粛の対象とすべきものであるという数字を申しますと、融資額に対する割合として、都市銀行が一〇・一、地方銀行九・六、相互銀行二二・五、信用金庫一八・五、この程度のものはまあ不当と申しますか、穏当じゃない、当然やめていただく筋合いのものだ、こういうふうな実態になっております。何といたしましても、これの対象となりました検査の店舗及び人数につきましてはたいへん極限されたものであるということを申し上げておきます。
  72. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 いま御発表いただいたのはいつですか、三月ですか。
  73. 高橋俊英

    政府委員(高橋俊英君) 三月と四月二回にわたって行ないました特別検査の結果でございます。
  74. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 その後は御調査はありませんか。
  75. 高橋俊英

    政府委員(高橋俊英君) このような特別の検査はいたしておりません。ただ、自粛申し合わせが各金融業界においてできておりますから、検査が、通常の検査がございます。通常の定例的な検査の際に、やはりごく一部を選んでそういった実態を洗って当たっておるということはございますが、このようなまとまったものは一応検査はやっておりません。
  76. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 ほとんど五割は歩積み、両建てで積まされたり預けさせられているわけですね。大体拘束されているわけでしょう。
  77. 高橋俊英

    政府委員(高橋俊英君) ですから、いま私数字を申し上げましたのは、債務者預金としては五割前後ございます。しかし、そのうち、これは不当であるというふうな——それをまあ歩積み、両建てといっているものの中で、不当なものはこういう数字であるという別に数字を申し上げたわけでございまして、五割全部を歩積み、両建てだというふうにはとうてい認められないと思います。それは、その中で当然取引上ある程度債務者の預金の動向を把握しておくと、特に当座制の預金などは必要な資金でございますから、それをいわゆる歩積み、両建てというふうにいうのは当たらない。
  78. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私も、債務者預金を全部不当で歩積み、両建てと言っているわけではないのです。そのはなはだ多いということ、これはまあいま銀行局長の言われた不当と思われるという率が非常に甘いんじゃないかと思うのですがね。都市銀行が借りてそのうちの五割五分、五五・六%を預けて、不当だと思われるものは一〇・一%というのはちょっと……。それはまあほとんど借りた企業の対象ごとに体質が違えば、担保のような意味もあり、いろいろあるんですが、まあ概括的にいって預金の五分の一程度がどうも少し不当だというのは甘い見方じゃないかと思うのですが、これはどうですか。
  79. 高橋俊英

    政府委員(高橋俊英君) その点、ですから私先ほど申し上げました。真実はほかにあるのかもしれません。しかし、たとえば検査官が行って調べる。その際に、銀行側としてはこれは拘束ではないのです、しかし、こちらは形の上から見てこれは拘束としか思われない。そういうことで結局押し問答になるわけです。そうして検査官にもよりますけれども、この程度までは、銀行側は否定しておるけれども、不当な拘束とみなすというふうなことで調べたのがこの数字でございまして、債務者の側におそらく一々当たっていけばもっと違ったことになるでしょうけれども、それはわれわれのどうも職域の範囲外でございます。ですから、確かに形の上から見ると甘いという御判断もありましょうが、ただ私ども、しばしば銀行検査に——あれは相互銀行でも同じでございますが、借りた金よりも預金のほうが上回っているという例もかなりあるのでございます。ですから、これらの場合には、銀行が決して拘束したものでないということは明らかでございます。これは債務者の選択によって、一方で預金をしながら他方で別に借りる、何かその辺に債務者の考えが、あるでしょうけれども、借り入れ額を上回った預金というものもしばしば存在するという事実もございますので、私ども、この債務者の預金率が高いからといって、全部それが拘束につながるものだというふうには即断できないのでございます。
  80. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 これはまあ大体半分は預金しているわけですね、局長の言われるようなことを考えても、そうすると、かりに借り入れ利息を一割として預金利息を五分五厘とやっても、実質金利は四分五厘くらい、もうほとんど五〇%上がってくるのですよ。私のあとで見ていただく資料では、もっとけたはずれに高い金利を負担しているのですが、あとでも申し述べますが、この問題については、大蔵省は十年間取り組んでおられるのですが、年次的に見ていまこの程度になっているのですが、低くなっていると思われますか、その債務者預金の率が。どうなんです。
  81. 高橋俊英

    政府委員(高橋俊英君) こういったことを非常に数字や何かで洗ってみたのはそう古いことじゃありませんが、おそらく傾向的に見まして、表面金利は下がってきておりますけれども、債務者の預金の割合というものはそう大きな変化がないのじゃないかと私は思います。ただ、いまの金利の計算でございますが、やはりその五割、いまここで、私が先ほど申し忘れたのですけれども、債務者の対象を選ぶ場合に、比較的預金の割合が高いものをサンプルとして選んでおるということは事実でございます。非常に低いものを選ぶよりは高いものを選んでそれらの傾向を見ることを今後の是正の参考にもしたいと思いまして、選び方としては比較的債務者預金の割合が高いほうを選んだということになっております。ですから、その全額を強制されたものとして実質金利負担を計算しますと、いまおっしゃるようなことになるかもしれませんが、その中では、もう当然に債務者が預けておる預金もあるわけでございます。この点につきましては、私は受け売りでございますが、他の者が調べたものでございますが、アメリカの銀行における預金と貸し出しの割合などはきわめてやはり高い。債務者預金が九〇%ぐらいになっておる。ただし、これはアメリカの事情から申せば、流動性が非常に高い、企業自体の流動資金が非常にあるわけなのでありまして、そういうことからそういう預貸率が——借り入れ金に対する預金の割合が非常に高いという現象が出ると思います。日本の場合には、大企業なんかとらえてみますと、ほとんどもう借り入れ金でやっておるわけでございますから、自分の余裕金といった意味での資金はそんなにアメリカと違ってない。だから、これはみな拘束なんだというふうについ見たくなりますけれども、金融の習慣としては、ある程度の割合の預金は当然に持つものと、それは普通の行為である、何らおかしなことじゃないというふうにいわれておるわけなのであります。ただ、その割合が幾ぶん高いのじゃないかという御批判はまことにごもっともでございます。
  82. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 銀行局長のお話を聞くと、外国の例なんかをあげたりして、あまり銀行局でやかましく言わぬでもいいんじゃないかという印象を受けるのですが、そうなんですか。
  83. 高橋俊英

    政府委員(高橋俊英君) いや、債務者の預金の割合だけ見て、これが高いからということにはいかぬ。しかし、日本の場合には、債務者が自発的な意思で預けたのじゃなくて、銀行に強要されて預けたものがかなりあるという認識は私は十分持っておりまして、したがいまして、外国のように企業自身の流動性が非常に高い場合ならば、預金の割合が高いのはわかるけれども、日本のようにそうでない国において預金の割合があまり高いというのは、要するに強制されているからである、それをもっと減らすということに厳格な態度で指導しておるのであります。
  84. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 渡邊公取委員長、御就任以来この問題で取っ組んでいただいて、実質的な金利をノーマルな形にするという意味でたいへんわれわれ歓迎しているのですが、公取には、いろいろ実際借りたほうから実情なんかも連絡等もあると思うのですが、そういう実例を把握しておられますか。
  85. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 主として匿名のものが多いのですが、いろいろこの拘束性預金の問題について私のほうへクレームが来ております。ただ、それが、いわば銀行局のやっております全国的な数字はもちろんですが、それから、こういうサンプル調査自体も、現在の段階において私のほうが直接サンプル調査をするのはどうだろうか、銀行局のほうでまずやってくれといったような態度で現在までおりますので、数字的には私どもとしてまとまったものとしては持っておりません。しかし、個々の事例としてこういう事例がある、ああいう事例があるといった意味のクレームは相当私のほうに来ております。それで、私も、銀行局長の言うように、いわゆる債務者預金というものには、ボランタリーな、債務者が自分の営業の必要からしまして、片方で金を借りるけれども片方で当座にしておくというようなものがありますから、債務者預金全体が拘束預金だというふうには全然思っておりません。やはりそのいわゆる債務者預金の中の相当部分といいますか、かなりの部分の中に拘束性のものがある。これはどうも、いわゆる歩積み、両建て的なものとして何か対策を講ずべきものであるというふうに考えております。
  86. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 その公取の持っておられる、これはサンプル調査ではない、特殊なものでしょうが、それを印刷物にしていただけますか。次期国会等でもこれは取り上げて何とかせねばならぬ問題だと思っているのですが、いかがですか。
  87. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 結局、大部分が匿名でもございますし、投書めいたものでございますので、われわれのほうとして、一応のそれなりとしてお見せすることは、これは差しつかえないと思いますが、ただ、どんなかっこうにまとめたらいいのか、これはもう少し考えさせていただきたい。その投書を一々お目にかけるのもいかがかと思いますので、それをある程度サム・アップしたような要領的なものとしてむしろつくったほうがいいのかもしれぬという程度の考え方を持っています。
  88. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私はちょっと公取みたいに、ある人から、うちはこれだけ借りてこれだけ預金をさせられているという事例を持ってきているのですが、あとから返していただくことで、配らしてもらってけっこうですか、委員長
  89. 赤間文三

    理事(赤間文三君) どうぞ。
  90. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 これはどこの県か、それも明らかにすることはなかなか困難なんです。私がこの拘束預金の問題をやると言ったら、ある人がどこから聞いたか、中田議員、そんな質問はせぬほうがいいですよ。あんたの紹介で銀行に金を借りにいっても、もう貸さなくなりますよ、というような通知もあったのですが、この某会社が二億六千万借りて一億二千万、四割七分九厘預けているわけです。ところが、その二億六千万の中には、長期信用とか中小企業金融公庫、商工中金、農林漁業金融公庫等全然預金のないのが八千三百万あるわけです。それを引いてやりますと、実際この借り入れ金に対する預貯金の率は七〇%になっているわけです。これは資本金が一千万で、過大な設備をしたりいろいろしている点で問題があるのですが、企業自体としては非常にもうかる仕事なんです。もう想像以上に地方の県では高いのです。しかも、農林漁業金融公庫中小企業金融公庫の金を、代理業務をやる地銀なり信金なり相互銀行から借りても、それに対しては、代理業務をやる銀行が負担しなければならぬ分をやはり積ましておるのですが、農林漁業と中小企業金融公庫の代理業務をやる銀行の保証分は幾らなんですか、あれは。
  91. 高橋俊英

    政府委員(高橋俊英君) 保証分とおっしゃいますと……。
  92. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 たとえば、ある銀行が中小企業金融公庫の代理貸し付けをやりますね、それが借り主が払えぬ場合に幾らか払わねばならぬでしょう、七割とか七割五分とか。そういうことを言っているわけです。
  93. 高橋俊英

    政府委員(高橋俊英君) いま農林漁業金融公庫の分が幾らであるか調べておりますが、通常は二割——八割までは公庫自体の損失になり、二割ぐらいを代理貸しした金融機関が損失負担する、そうなっております。
  94. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 その代理貸しをした銀行が負担する分をこれはやらしているんですよ。たとえば中小企業金融公庫等では預貯金はゼロになっていますが、その代理業務をやる銀行は、その分は積んでくれ、万一払わぬ際には銀行が負担せんならぬから、その分は積んでくれというふうに積ましているのですが、そういうことに対する代理貸しをやる際には、そういう両建ては絶対しちゃいかぬというきつい銀行局の通牒がたしか出ているのですが、それにもかかわらず、依然として、これは六月末ですが、最近私、確認して、国会の始まる直前もほとんど変わっていない。そういうことはどうなんです。
  95. 高橋俊英

    政府委員(高橋俊英君) 代理業務を行ないながら、その借り入れ金の一部を両建てで自分の銀行に預けさせる、こういうことは絶対いかぬ、絶対禁止するという方針でやっております。ただ、遺憾ながら、その事実は当事者にはわかっておる、当事者にはわかっておるが、検査官としてそれを積極的に、これはそうなんであろうということを立証することができる場合が比較的少ないということですね。実際問題として、そこまで、神のごとき洞察力があるわけじゃありませんので、たまたま、たいていの場合、この欄を見ますと差し引きマイナスになっておるという地銀がありますが、そういう場合ですと、疑いが濃厚になって、どうしてここだけが預金のほうが多いのかと、その釈明をきつく求めるということはありますが、たいていは、一応借り入れがあり、また預金があって、預金のほうが少ない、こういうことになっておりますと、代理業務のほうからその金が、預金が出てきたものであるかどうかということをこちら側で立証せにゃならぬわけですから、非常に困難が伴います。しかし、まぎらわしいやつは、非常にこちらで強く、検査の際にそういう事実がもし耳に入れば徹底的に追及する。代理業務をやりながら、手数料もちゃんと払っておるのですから、その上に拘束預金で、自分の万一の損失のために預金をとっておるということは、これはきわめて不当な行為です。こういうことはいかなる商慣習上からも許されていない。方針としては、あくまで絶対に禁止するという態度には変わりありません。
  96. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私も、これだけもらってはこれはわからなかったんだす。ところが、ある人から依頼を受けて、中小企業金融公庫からワクを少しもらってくれ、担保も十分入れるというので、一千万のワクをもらって、ある代理貸しをするところに便宜をはかってもらったんです。ところが、いつまでたっても、一カ月たっても二カ月たってもその事務が完了しないので、聞いてみると、代理業務をやる銀行が、まず二百万先に定期をせい——一千万金を借りようというんですから、その者がよそから金を借りてきてまず定期をせなければならぬ。まああれこれして、百万だけ調達して定期を預けた。もう百万ができぬために今日まで延びているということで、それから私が銀行に連絡して、まあ代理業務をやってもらって一千万貸し付けを受けてもらえば、一ぺんに使うものではないから、一千万の中で二百万や三百万、あとから預託するということは、預貯金をするということはある。先にやらせいということはあまりひどいじゃないかといって、これはまあえらいところ見られたといって、すぐ代理業務をやってくれましたが、聞いてみると、ほとんど農林漁業に対しても中小企業でも、たいていやっているんです。そういう形で先に積ませるのもある。借りた金を一時に全部使うんじゃないんだから、そのまま預けておくということは、要るまで預けるということはわかるのですが、先に預ける、一千万借りるのに、二百万定期をやれ。その二百万ができぬために、一カ月も二カ月も代理業務が渋滞しているという例があるのです。そういう意味で、私は、もっと中小企業金融公庫なんかの支店網をふやして、直接貸し付けを多くするような、協調融資をしたりする代理業務の便もありますが、そういうふうにすることが必要じゃないかと思うのですが、どうですか。それと、さきの農林漁業と中小企業金融公庫の、万一貸し倒れになった際の銀行の負担分、はっきりわかりましたか。わかったら言って下さい。
  97. 高橋俊英

    政府委員(高橋俊英君) 先ほどの御質問の点、農林漁業金融公庫の分が二割でございます。それから中小企業金融公庫の場合には反対に八割、それだけを保証する。  それから、いまいろいろと御指摘のありました点等も、ばく然とそういう事実が耳に入ることがありますので、検査の際にもそういう点に着目して、不当な行為を取り締まるように、そういう指導を行なっておりますし、また、各金融公庫も、自分の代理関係を結んでおりますところの金融機関をある程度監査してから、やはりそれらの金融機関の意図するところかなり大きく、これらの場合には通常の金融機関の検査と違いますから、自分の代理貸しされた金がどういうふうに使われておるかという点を調べますので、こういう不当な行為がないかどうかをやっておるのでございますから、これらの政府関係金融機関報告によりますと、きわめて少ないということに相なっておるわけです。私どもは、そういう不当な例があると聞いておる、よく注意してくれと言っておりますが、やはり監査の結果は、なかなか正体がつかめない、こういう性質のものなんでございますね。こういうこと事態が非常に困難なものを含んでおるということを認めざるを得ないわけです。それから、直接貸しにつきましては、だんだんにこの割合はふやしております。相当なテンポで、スピードで、ふやしております。店の数も毎年ふやしておりますが、直接貸しの割合は、たとえば三十一年度中小企業金融公庫の直接貸しは六・三%にすぎなかった。三十四年度には一六・七%になり、三十七年度は、十一月までのところですけれども、三四・二%というふうに、直接貸しの割合が非常に高くなっております。今後もこの割合は高まっていくものと思います。
  98. 赤間文三

    理事(赤間文三君) どうですか、中田君、一時になりますから……。
  99. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 中小企業金融公庫の八割というのは少しやはり高過ぎるのではないかと思うので、今後考えていただきたい。その点を申し上げておきます。  委員長の御指摘もありましたので、最後に、いろいろ尋ねたいと思うのですが、国会図書館でいろいろ調べていただきましたが、この歩積み、両建て、粉飾預金に対しまして、昭和二十六年の七月五日から三十八年の六月五日まで、十四回で、池田大蔵大臣、向井大蔵大臣、一萬田大蔵大臣と、歴代の大蔵大臣がこの問題を取り上げ、そして、そのたびごとに銀行協会は自粛の意を表し、ほとんど実際の効果があがっていないと思うのですが、そういうことから公正取引委員会が、これはとても銀行局にまかしておっちゃどうにもならぬというようなことで、ああいう発言を、警告をなさるいろいろ準備をされておるのではないかと思うのですが、銀行局と公取委と話をつけられて、一体いつごろです——過去十二、三年間ほとんど実効があがっていない、これをどうしていかれるか、そういう具体的な話はいつごろつくのですか。公正取引委員会に何とか、特殊指定ですか、そういうことでもやって、もう銀行局にまかされぬというようなことなんですか。銀行局と公取委の両方から所見を伺って私の質問はやめたいと思います。
  100. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 御指摘のように、この問題は私着任早々から取っ組んだ問題なんですが、しかし、過去御指摘のように十何年、なかなか実効があがっていない。それで、一つの問題といたしましては、やはり銀行検査の面だけですと、借り手のほうにいろいろ話を聞くということはできないわけでありますから、したがいまして、どうしても銀行との間の話し合いという点に押えがきかなくなる点があるのではないか。まあ私のほうですと、多少違った形が考えられます。ただ、われわれも非常にむずかしいと思いますのは、借り手のほうも、たとえば名前を出して、そしてこれはこうだと言うことが、どうも将来をおそれてなかなか簡単にものを言い切れないという場面が出てくりゃせぬだろうかという点は一つ心配しておりますけれども、しかし、いずれにしましても、特殊指定というような格好でもって、いままでのやり方をもう一歩進めなければどうもならないんじゃないだろうかというのが現在の私のほうで考えております心境です。ただ大蔵省としましては、とにかく大蔵省としてできるだけ努力して、そうして今度は公取もこれだけ腰を入れているのだから、実効があがるようにとにかくやるからとおっしゃっているわけですが、私どもは、大蔵省のほうのそういう御努力を、いや、だめだろうと頭からけ飛ばすつもりもありませんし、実際それで効果があがるならと思っておりますが、しかし、見きわめをつけた上で、これでもう大体あまり……、従来の繰り返しになるのだろうというなら即刻にでも、もちろん手続が相当要りますけれども、われわれのほうの特殊指定は少なくともやるというくらいの腹づもりで、現在準備は進めております。同時に、銀行協会もこの間見えまして、だいぶ自粛の効果もあがっているということをお話しになったのですが、それじゃ、あがっているならあがっているなりに、どういうデーターがあるのだ、あがっている点をちゃんとはっきり、いろいろ口ばかりで言われたってわからないのだから、何か持ってきて見せていただけたら、というような段階になっております。これはいずれ大蔵省とも十分連絡をとりながら、効果のあがるあがらないという点の見きわめをした上で、公取としては対処してまいりたい、こう考えております。ただ従来に比べると、私のほうがそれだけ気負っているというか、多少空気は違っているのじゃないかというふうには思っておりますが、それでもう十分効果があがり得るかどうかという点は、もう少し様子を見ていきたいと、こういうように考えております。
  101. 高橋俊英

    政府委員(高橋俊英君) 大蔵省といたしましては、確かにおっしゃるとおり、十年以上の間改善されなかった事柄でございます。なかなかこれはそれだけに容易なことではない。いずれ改善するにしても、一挙にこれを全部なくしてしまうというようなことは、事実問題としてできません。これは必ず、漸進的にでありましても、確実にこういう不都合な行為が減っていくような方策をとりたいと思います。何百万件というおびただしい件数の、まあ、一つ二つ幾ら押えてみてもなかなか、こっちを押えれば向こうがまた出てしまうというようなことで、全体に改善の実が及ぶということは、非常にそれでは困難でございます。個々の摘発につきましては、ごく目立って、検査の際などにも非常に目立つもの、明らかに不当であるというようなものについては、見つかり次第これを是正させます。一方におきまして、先ほど債務者預金のお話が出ましたが、たとえば債務者預金の総額の割合を低減していく、そうすると全体としては必ずよくなるだろう、これはもちろんあまり急ピッチにやりますと、小さな金融機関などは倒れてしまいますから、その度合いを考えなければなりませんけれども、全体として必ず改善されるという方策をとりたいと思いまして、すでに一部実施しているところもございますが、全部の金融機関にそういう方針をとらせる、それを自主的にやらせる、何と申しましてもこれは肝心なことは、本人がその気になって是正してくれない限り、これはもう一々つつき、追いかけ回すということはたいへんな仕事でございます。確かに、心から金融機関が協力するという態勢をつくり上げることが必要である。私ども、金融機関とただいがみ合うだけでなく、ほんとうに話し合って、自主的に解決をするという機運を盛り上げよう。そこで、いろいろと騒ぎが大きくなったようですから、金融機関としても、とてもほうっておけないということで、最近におきましては、非常にその態度が変わってきております。つまりやる気が十分になっているというように判断されます。今後も強い注意を加えていきたいと考えております。  なお、公取の特殊指定につきましては、私ども決して所管云々という点から言うのではなくて、まあ金融界としてまことにそういうふうな扱いを受けるのは恥ではあるまいかということで、金融機関に対して、そういうことを指摘されないでも十分直していくというふうにすべきじゃないか、こう言っているだけで、公取として、まあ全然別途の見地から、これはほうっておくべきじゃないということで特殊指定をされるということは、銀行がほんとうに改悛の色がなければ、これは結局においてやむを得ないのではないかというふうに、私ども考えております。
  102. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 ちょっといまのに関連して。銀行局長と渡邊さんの御意見、ちょっと聞いておりましてもね、債務者預金というものが確実に減ってくるというその対策というものが、もう一つ明らかでないので心配になるのですが、ことに来年上期は、特に金融の引き締め政策が私は当然具体化してくると見ているのですが、そういう際に、この中小企業への歩積み、両建ての傾向が緩和されないということになると、これはもう致命的なことになると思いますのでね、いろいろ通常国会でもひとつ研究さしていただきたいと思うのですが、銀行局が各銀行——それぞれ都市銀行、地方銀行、相銀、信用金庫と、検査を定期的にやっておられますね。その検査する場合の何かこう基準を各財務局などにお示しになってやっておられるに違いないと思いますが、この監査基準というのですか、おたくのほうで出しておられるそれと、それから監査結果の一番最近のでけっこうですから、先ほど債務者預金の銀行別の種類別の御報告がございましたけれども、これだけじゃなしに、監査の基準、それから監査の結果というふうなものについて、大体傾向だけでけっこうですから、何か資料ちょうだいできますか。
  103. 高橋俊英

    政府委員(高橋俊英君) この監査といいますか、検査の場合も、これは特別検査の後におきましては、先ほど申しましたとおり、通常の検査の際に、まあ一つ一つの銀行についてやっているわけでございます。通常の検査で申しますと、検査の対象が全く違っているわけでございます。銀行にしても大きさも違いますし、それですから、ことしの春に検査したところは一斉にやりましたから、先ほどそのまとめた数字を申し上げましたが、その後の個々のやつは非常に、何といいますか、銀行によってだいぶ違うので、これをまとめてやるにしてはまだ検査の回数が少ない、非常に少ない事例になってしまいますので、それと、前回の特別検査とを直接比較するということが適当でないと判断されますので、これはまあ、いましばらく公表を見合わしていきたいというふうに考えます。時点的にも、あの自粛の申し合わせ、それから特別検査の直後の検査に該当もしますので、毎月やっているわけでございますから、その改善の実と申しますか、数字の上から申しますと、これは非常に出入りがございますが、全体として悪くはなっていない、こういうことは言えます。悪くはなっていないが、では改善されたかと申しますと、まだそこまでの実績はあまり上がっていないというふうに判断されます。  それからそういう検査の場合の不当な拘束預金をどういうふうに判断するかという点につきましては、従来は、この春に行なわれました各金融機関の自粛の申し合わせがございます。こういうものは不当であるというふうな非常にこまかなとりきめがございますが、それによっております。しかし、これは検査の実務から申しますと、銀行検査の………。
  104. 赤間文三

    理事(赤間文三君) ちょっとお願いいたしますが、簡単明瞭にひとつはっきりと要点に触れて御答弁を願います。時間がだいぶ過ぎましたから、結論に触れて御答弁を願います。
  105. 高橋俊英

    政府委員(高橋俊英君) この基準は、従来はそれでやっておりましたが、これからはもう少しわかりやすい基準に改めたいと思っておりますが、これをいまここで申し上げるのは適当でないと考えます。
  106. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 結論だけ申し上げますがね。次々と改善したいという御努力のほどはわかります。そこで、一斉に都市銀行から地銀、相銀、信用金庫というふうに、本年三月の検査をやられたときの検査基準と、その検査結果というものを資料としてちょうだいできますか、こう伺っているのです。
  107. 高橋俊英

    政府委員(高橋俊英君) ことしの春の分、先ほど口頭で申し上げましたが、資料として、ことしの春の分については差し上げてもよろしいかと思います。提出いたします。
  108. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 いいですね。一斉に銀行検査をやられた際の、大蔵省がそれぞれ出先に示された検査基準と、その監査の結果を資料として近い機会に提出をしていただく、最も近い機会に、お願いしておきます。
  109. 赤間文三

    理事(赤間文三君) 銀行局長から提出するという御答弁がありましたから、なるべく早く提出願います。
  110. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 先ほどもちょっと触れたのですが、「金融財政事情」の一九六三年の十一月十八日号には、結局歩積み両建ての問題も選挙中だけで、過去十何年の間と同じように、結局うやむやになってしまうのじゃないかということを書いてあるのです、そういうことを論説に。そういうことにならぬように。  それから最後に一点、心配しますのは、預金準備率の引き上げというものが中小企業にやはりしわがよって、歩積み両建てがその面に来やしないか、そういうことのないような配慮はなされておりますか。その点だけ……。
  111. 高橋俊英

    政府委員(高橋俊英君) 中小企業金融機関の場合には、今度の預金準備率の引き上げの対象となりました当座制預金、これの割合が非常に小そうございます。特に都市銀行のほうが非常に大きいのであります。当座制預金の準備率のみを今回引き上げましたので、今回の分に関する限り、中小企業金融機関から吸い上げられる準備預金は非常に総体的には少額でございますので、重大な影響はないものと考えております。
  112. 近藤信一

    ○近藤信一君 私は、中小企業金融の問題について若干関連して、まあ時間がございませんから、簡単に一、二点御質問しますが、これは、本来ならば通産大臣にお尋ねするわけですが、通産大臣は予算委員会のほうへ行っておられるので、政務次官から御答弁を願いたいと思います。  最近伝えられるところによりますと、中小企業の手形割引を円滑にするために、信用保険公庫資金を投入して、これを信用保証協会の手形割引に使わせようという案があるようでございますが、その詳細については私も十分存じませんが、従来、手形割引については中小企業の組合は非常に骨折っておるのであります。それに対して商工中金でも努力していることは次官も御承知のことだと思うんですが、こうした事業は、また組合の重要な事業一つだということもいえるわけなんです。それが、信用保険制度を利用することによって、組合の力をかりなくとも簡単に割り引くことができるようになりますとするならば、組合の特典が減少することになりまして、中小企業が組織化を軽く見るような危険があるんじゃないか。中小企業が手形割引をしよくなるということは、これはまことにけっこうなことでございますが、そのために組織化を怠るようなことになりますると、これは一長一短の対策とは私は言えないんじゃないか。したがって、信用保険制度による手形割引円滑化の方法において組合を助長するようなやり方を取り入れたらよいと私は思うんですが、この点はどうお考えになっておられますか。
  113. 竹下登

    政府委員竹下登君) ただいま御指摘の点でありますが、今日までの公庫業務の中におきまして、総額にして約一〇%程度、それから五十一信用保証協会のうちでたしか三十数協会がこれをやっておる。が、このたび考えております制度そのものは、内容の詳しい点においては今日まだ検討中でございますので、つまびらかに申し上げるわけにはまいりませんが、大体ただいま先生のおっしゃった方向で今日その内容の検討を急いでおるさなかでございます。で、これが組合に不利にはならないか、また、組合金融をしておる商工中金の資金は別途十分にこれを確保する、さらにまた、度指摘になりました中小企業の組織化は、別途これが予算措置において要求をいたしておりますものの、この制度そのものから中小企業の組織化がくずれるようなことにはしないということを念頭に置いて、今日鋭意検討中であります。
  114. 近藤信一

    ○近藤信一君 次官も御承知のように、中小企業の組織化については、いろいろな法律があるわけですね。協同組合法、それから団体組織法、いろいろございまして、それでもなかなか中小企業は団結がむずかしい。こういう際にこのような措置がとられると、私、いま次官が言われました、くずされるということはなくとも、組織化がますます困難になる危険というものがあるのじゃないかと思うのですが、この点はどうですか。
  115. 竹下登

    政府委員竹下登君) そういうことがないような内容で検討をしていきたいというふうに思っております。ただ、ただいまのくずされるということは、私の少しオーバーな表現でありまして、先生のおっしゃるように、それが困難にならないように、組織化の問題においては別途予算措置において十分考慮をしていきたい、かように考えております。
  116. 近藤信一

    ○近藤信一君 中小企業金融公庫資金不足を補いますために、政府公庫債券を発行したいとこういうことでございますが、そのことは、総理が先般の記者会見でもはっきりと語っておられるのであります。ところが、これも組合金融に悪影響がないとは私は言えないのじゃないかと思うのです。中小企業の債券として現在商工中金の債券がございますが、この商工債券も時には募集難になることがありますし、そこへまた同様な債券として公庫債を募集する。両方ともこれは募集に困ることにならないかどうか。もし、商工中金の資金が集まらないと、組合金融資金源に不足を生ずることになろうと思うのであります。組合活動が不活発になるような結果も招くし、先ほど申しましたように、この組織化ということがおくれるということもある。  それから、元来中小企業金融公庫政府機関でございまするから、政府からの財政投融資でこれは運営するのが当然でございますが、商工中金はやはりこれは政府関係機関で、民間の資本というものもこれは相当に入っておるわけでございまするから、政府財政投融資の際に商工中金を第二次的に扱うことが多くなることも、これは事実だと思うのであります。それだけに、資金源として商工債券を発行していく、この際公庫債を発行しないで、中小公庫に対しては思い切った財政投融資を行なうべきじゃないか。もし公庫債を発行するとしても、それが商工債券の消化に悪影響を及ぼさないような方法を十分にこれは考えて実施しなければ、私はこの計画というものもまずい結果を生むのじゃないかと思うのですが、この点はどうですか。
  117. 竹下登

    政府委員竹下登君) ただいまの御質問に対して、おおむね御意見のとおりに私どもも考えておりまして、本日会計課長から御説明申し上げました財政投融資の内容、財政投融資の提出します段階においては、いわゆる中小公庫債の発行というものを全然考えていなかったわけであります。最近、これが御承知の形でクローズアップしてまいりまして、これが商工債引き受けに悪影響を及ぼすではないかという心配を、先生の御指摘のように私どももいたしまして、いまこれをいかなる形で行なうべきかということについて、部内で検討をいたしておるさなかでございます。
  118. 近藤信一

    ○近藤信一君 中小企業の団体のほうは、総理が革新的な政策を行なうといったって、一体どんな革新的な政策があるだろうといって期待をしておったところが、今度の公庫債券の問題が出てきた。これはたいへんだ、これではやはり中小企業の金を吸い上げて市中銀行の系列のほうへまた持っていかれるのじゃないか、こういうことを心配して、このことはどうしても国会で反対してもらいたい、こういうふうな陳情があるわけなんです。そこで、私どもは、まだしっかりとこれはきまったものではないと私は思うけれども、当然これは次の国会に出てくるであろうということも私どもは予想して、このことをお尋ねしておるわけなんです。こういう点、ひとつ特に中小企業の中でも零細企業等の対策に、もっと総理が言っておられるような革新的な政策を講じてもらいたい。これを一応御要望をしておきます。
  119. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 一言だけ、政務次官、先ほど御説明をいただいた来年度予算通産省要求ですね、これを先ほど説明聞いたわけですが、財政投融資の中で、特に三公庫資金ワクの拡大ということが何ぼか出ておりますけれども、これは財政法に基づいてやられておりますから、八月末でしたか、その後選挙があって、だいぶん総理大臣が公約をされまして、初めは革命的、中小企業、農業近代化については最近革新的と、こうやや後退をしておる、表現が。けれども、抜本的なことをやろうとしておられることはそれはわかるのですが、先ほど大蔵省が一次査定をやり、復活要求が出る、その際に政策が出てくるだろうというような話であったのですが、通産当局としては、そういう総理の選挙の公約を来年度予算の上に具体化するための準備はしておられますか。これはたぶん三公庫財投関係要求どおり出さなければならぬとぼくらは思うのですが、さらにプラスアルファをして要求をする部内の検討は始まっておりますか。
  120. 竹下登

    政府委員竹下登君) 三公庫財政投融資につきましては、本年度は千三百億要求いたしておりますのが二千七百億でありまして、これは応援をいただきまして、これが確保に万全を期したいと思っております。なお、新たなる、とでも申しましょうか、中小企業対策、先ほど申し上げました第一次査定発表後に浮かび上がるであろうところの新政策とでも申しましょうか、そういう問題につきましては、部内でそれこそ粉骨砕身、鋭意検討いたしております。
  121. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 先ほど自民党の皆さんからもちょっと私的な話はございましたけれども、公約にふさわしい——融資だけがこの中小企業の予想される危機というものを救う対策ではありません。組織化の問題もありましょうし、税金の問題もありましょう。けれども、通産省として要求されておりますものにさらに大幅なプラスアルファというものを実現しないと、これは公約違反になりますからね。せっかく御就任早々の副大臣ですから、ひとつせいぜい御努力をいただきますようにお願いをしておきます。
  122. 竹下登

    政府委員竹下登君) ありがたい御激励だと承りまして努力をいたします。
  123. 赤間文三

    理事(赤間文三君) 他に御発言もなければ、本件は、この程度にとどめます。  本日は、これをもって散会しても差しつかえございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  124. 赤間文三

    理事(赤間文三君) 別に意見がないようでありますから、本日は、これをもって散会いたします。   午後一時三十分散会    ————・————