○
赤松委員 私は、
池田総理の
考え方というもの、つまり、おのれをむなしゅうして国家民族のためにという一昨日の演説が、
ドゴール大統領のような、あのように
フランスの国家民族のために、おのれをむなしゅうして積極的な
フランスの発展のためにという
姿勢のないことをはなはだ遺憾と存じます。先ほどの
答弁といまの非常に消極的な
答弁を聞きまして、前者に賛成し、後者に対しましては
国民とともに失望を禁じ得ないのであります。
もう
一つこの際聞いておきたいのですが、この対ソ貿易の中で非常に重要なのは、シベリア開発の問題であると思うのであります。私は昨年
ソ連に参りまして、
社会党の代表団の団長として
ソ連側のネステロフ商工
会議所の
議長と会いました。そしてその際ネステロフ
議長が私に申しましたのは、シベリア開発についていま西独からも、
イギリスからも、イタリアからもその要請がある、しかし、われわれとしては、ミコヤン氏が
日本に参りまして、そして
日本の工業の水準を見て、
日本の技術、資本、労働力をもってシベリアの開発をやってもらいたいという結論に実は達したのだ、そしてイルクーツクからナホトカまでの石油輸送のパイプラインが完成すれば、石油の対日輸出は年間四万トンは可能である、鉄鉱石については、 モスクワに近いクルスク地方で最近大鉱脈が発見されて、埋蔵量は推定三百億トンだ、したがって、
ソ連としてはこの大鉱脈だけで現存鉄鉱石は十分だ、だからシベリアを開発して
日本が必要なものはどんどん
日本に持っていったらいいじゃないかということを言っておりました。すでにシベリアをごらんになった財界の諸君たちも、そのシベリアの広大なことにはみんながびっくりしておりました。これは
総理もそのシベリアを視察された財界の代表とお会いになったと思うのでありますけれ
ども、その広大なこと満州の比ではありません。しかも、あの無限の荒野に地下資源が眠っている。大森林が——私はモスクワから飛行機に乗りましたが、百四十人乗りの
世界一速いジェット機だといわれるものでハバロフスクまで八時間、行け
ども行け
ども荒野です。
日本の国内で、いや失対事業打ち切りだ、炭鉱離職者だなんということを言っておりますけれ
ども、シベリア開発に積極的に取り組んで、そうしてあそこに労働力を持っていくとすれば、数百万人の労働力を持っていったって二階から目薬なんですよ。あなたはなぜそういうスケールの大きな
日本の将来というものを
考えて——もっと積極的な、対ソ貿易というだけでなしに、
ソ連との間にすみやかに平和条約を締結する。そして北方漁業の問題も
基本的にこれを
解決していく。あるいはシベリアを含む開発について長期間にわたる、数十年、数百年にわたる長期の展望を持って取り組んでいく。私は、いま言ったように、だんだん後退していく
アメリカとの間にちょっぴり貿易を結んで、それがだんだんだんだん後退していくというような
状態でなしに、この際、いま申し上げましたシベリア開発を含む積極的な大陸経済、朝鮮を含む大陸経済との結合、こういうものをひとつ真剣にお
考えになったらどうですか。私は、
南北朝鮮が統一をされる、そうすれば釜山と下関との間に海底トンネルのできることは夢じゃないと思うのです。シベリアから沿海州にかけて循環道路のできることは、私は夢じゃないと思います。
日本海はいわば
アジアの庭園になるわけです。泉水になる。そういう大きな構想の中で、現に
ソ連が、たとえばパイプラインの問題にしても
日本に注文する。そうすると
日本は、
アメリカに気がねをしながらそのパイプラインは八幡がこれを引き受ける。そうすると、
アメリカのほうにちらりちらりと目を見やりながら右顧左べんする。現に私、ここに切り抜きを持っておりますけれ
ども、毎日新聞の記事に、
アメリカは、八幡製鉄がパイプを
ソ連に輸出してもよい、これを許す、こういう記事が載っておる。私はこれは一体どこのだれに
アメリカがこの輸出を許すのかと思って見たら、なに
日本の輸出を許してよい、こう書いてある。いかに対
米依存度が強いかということを私はこの一事をもって知りましたが、この際思いを新たにされて、そうして目をもっと——シベリア開発は地球の改造です。これは一地域の開発じゃありません。地球の改造です。しかも
ソ連は積極的にこれを
日本と一緒にやろう、こう言っている。したがって私は、この問題に限ってでも
政府が使節団を送って、そうして
向こうと
基本的な
話し合いをやる、そういうことができないのかどうか。ネステロフ氏が、
日本の
政府はそろばんを知りませんねということを何度も何度も言いました。
それからついでに言っておきますが、ここに河野さんはおられぬけれ
ども、あのコンブと抑留者の問題についても、
日本社会党はちゃんとした提案を持って、そうしてイシコフ漁業大臣に私は二日間会いました。私
ども代表団五名は二日間会った。その際に
ソ連政府が明らかにしたのは——もちろん河野さんや高碕さんの非常な御
努力に対しましては私
ども感謝いたします。しかし、
日本政府が
ソ連と
交渉する場合に、コマーシャルベースの問題だけが論議されて、北海道漁民の生活実態なんというものは、これが全然明らかにされていない。私
どもは、シベリアに抑留されておった北海道の漁民の一軒々々の世帯、その家族
構成、そういったものを全部調べて、その詳しいデータを
向こうへ示して、そうして即時釈放を
要求したんです。コンブの問題にいたしましても、もとより平和条約ができておりませんから、サンフランシスコ平和条約によって
日本は放棄をしました、そのためにあのような悲劇が生まれたわけでありますが、まあそのことはしばらくといたしましても、この問題についても私
どもは四種類の、四つの提案をしたわけです。その
一つがこの春実現したわけであります。
首相は、
社会党というのは非常に現実性がないというようなことをおっしゃいますけれ
ども、
自民党政府のなし得ないことを
社会党自身がやってきた。現に、大
日本水産会の中地常務
理事に聞いてごらんなさい。電話でもって私のところに、あのコンブ採取に関する協定の、その
会議に先立って
ソ連側は、
日本社会党をはじめ
日本の民主団体の非常な
努力によって今日こういう
会議を持つことができたんだ、これを忘れないでくれということを智頭明らかにしたと言っておりました。このように私
どもも私
どもの
立場で、
池田内閣でできない分野においては非常に積極的に
努力をしておりまが、そのことはともかくとして、このシベリア開発を含む大陸経済との結合、それによる
日本経済の自立と発展、この大きな構想をこの際
総理の口から明らかにしていただきたい。