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1963-12-14 第45回国会 衆議院 法務委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年十二月十四日(土曜日)    午前十時三十八分開議  出席委員    委員長代理 理事 三田村武夫君    理事 鍛冶 良作君 理事 唐澤 俊樹君    理事 小金 義照君 理事 小島 徹三君    理事 赤松  勇君 理事 石野 久男君    理事 坂本 泰良君       上村千一郎君    大竹 太郎君       坂村 吉正君    四宮 久吉君       千葉 三郎君    中垣 國男君       馬場 元治君    松田竹千代君       井伊 誠一君    卜部 政巳君       大出  俊君    大村 邦夫君       竹谷源太郎君    山下 榮二君       志賀 義雄君  出席国務大臣         法 務 大 臣 賀屋 興宣君  出席政府委員         検     事         (大臣官房司法         法制調査部長) 津田  實君  委員外出席者         検     事         (大臣官房人事         課長)     神谷 尚男君         判     事         (最高裁判所事         務総局人事局         長)      守田  直君         判     事         (最高裁判所事         務総局人事局給         与課長)    宮崎 啓一君         専  門  員 櫻井 芳一君     ————————————— 十二月十四日  委員萬田尚登君、中川一郎君及び竹谷源太郎  君辞任につき、その補欠として上村千一郎君、  松田竹千代君及び山下榮二君が議長指名で委  員に選任された。 同日  委員上村千一郎君、松田竹千代君及び山下榮二  君辞任につき、その補欠として一萬田尚登君、  中川一郎君及び竹谷源太郎君が議長指名で委  員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する  法律案内閣提出第三号)  検察官俸給等に関する法律の一部を改正する  法律案内閣提出第四号)      ————◇—————
  2. 三田村武夫

    三田委員長代理 これより会議を開きます。  濱野委員長は本日都合により出席がおくれますので、その指名により私が委員長の職務を行ないます。  裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官俸給等に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許します。坂本泰良君。
  3. 坂本泰良

    坂本委員 まず裁判官関係からお聞きしますけれども、裁判官に対しては判事特号というのがあったわけですね。今度また特号を設けられるが、その関係はどうなっておりますか。その点をお聞きしたい。
  4. 津田實

    津田政府委員 ただいまのお尋ねの点でございますが、お手元にお配り申し上げております参考資料の四二ページの裁判官検察官定額給与表改正案)、これによってごらんいただきますると、判事検事につきましては、一般職の例にならいまして、一般職一等級特号が設けられたことに対しまして、判事検事につきましても特号報酬俸給月額十六万円というものを設けるわけでございます。判事につきましては、さらにその上に一般行政職にない号俸を設けるという従来の方針に従いまして、判事につきましては報酬月額十七万円といういわゆる特号を設けるということになるわけであります。このいわゆる特号と申しますのは、裁判官報酬等に関する法律の第十五条の規定による報酬月額を十七万円と定めた、こういうことになっておるわけでございます。
  5. 坂本泰良

    坂本委員 そこでお尋ねいたしますが、いま御説明判事特号の十五条の関係者が従来何名ありましたか。それから今回の検事特号によってこれに該当する者が何名か、まずそれだけお伺いいたします。
  6. 津田實

    津田政府委員 判事特号につきましては現在員は四十三人でございます。検事につきましてはもちろん現在特号がございませんからそれに当たる者はないわけでございます。そこで将来の特号についてはいかがいたすかという問題につきましては、これは検察官につきましては法務大臣大蔵大臣とがきめる準則になるわけでございまして、これは準則が、この法律案が成立いたしましたら大蔵省と取りきめをするということになっておりますが、大体五十名程度というふうに御了解願ってよろしいと思ます。裁判官のほうは約その三倍程度になると思いますが、これは大蔵省裁判所と取りきめます次第でございますので、いずれもこの法律案成立後の問題となるわけでございます。
  7. 坂本泰良

    坂本委員 最高裁判所にお伺いしたいのですが、判事特号が今度設けられるわけですが、検察官のほうはいまわかりましたが、裁判官のほうで従来判事一、二、三、四号と、こうあるわけですが、この中から特号に該当する者は何名ぐらいの予定ですか。また全部なるか、それからはずれた者との従来の報酬俸給と、今度特号になった場合の報酬俸給の区別、したがって特号にならない人はかえってこの改正によって安くなりはしないかという心配がありますが、その点を御説明願いたい。
  8. 守田直

    守田最高裁判所長官代理者 御承知のように現行裁判官報酬法によりまして裁判官には一般行政官、それから検察官にない特号というのがあったわけでございます。その特号に該当する者が十七万円のこの特号になるわけであります。それからその下におります一号、二号クラスで大体次官クラスと同一の程度の実収入の面に該当しておりました者が十六万円のところへ入っていくわけでございます。そういたしますと、新しい俸給表で一号、二号というところは、ずっと一号のところはブランクになりますし、それから二号のところは大部分ブランクになるわけでございますが、これらにつきましては、他の一般職職員局長あるいは部長クラス、あるいは各省の外局の長官クラス給与是正があるものだというふうにわれわれは思考いたしておりますし、それらの是正は人事院において行ないますので、それらの状況を見計らって補充を行なっていくという考えでおるわけでございます。したがいまして、御懸念されましたように、裁判官報酬が今度新たに改正されまして、十七万円、十六万円ができ、それに該当しないものは総体的に低くなるかという御懸念の点はないものと考えております。
  9. 坂本泰良

    坂本委員 私もあまりこれは詳しくないのですが、そこで疑問になるのは、四六ページの行政職の表のところですが、いわゆる特号に該当する九号が二十一万千二百四円ですね。それから四二ページの判事一号、これが三つに分かれて、二十万二千七百四円、十九万五千二百八十二円、十八万四百三十八円ですか、こういうふうになっておりますね。そうすると、こっちの判事のほうが安くはないかというふうに見られるわけですが、その点いかがですか。
  10. 津田實

    津田政府委員 現在におきましては、お尋ねの点はどうなっておるかと申しますと、四〇ページの現行裁判官検察官定額給与表によりますと、判事検事一号は十八万四千三百六十一円、これは一八%の特別調整額のつくもの、それからその次一二%のものは十七万七千五百八十七円、全然つかないものは十六万四千三十九円、こういうふうになっておるわけでございます。一方行政職のほうの現在につきましては、四四ページにございますが、一等級の九号は十九万二千百七円、八号が十八万六千五百七十一円ということになっております。そういたしますと、現在におきましても判事の一号、検事の一号の最高のもの十八万四千三百六十一円のものよりは、行政職一等級の八号、九号のほうが、一カ月の平均額は多くなっておるわけであります。これはどこに原因がございますかと申しますと、一等級の九号ないし八号のこれらの行政職につきましては、いわゆる管理職手当特別調整額が二五%になっておるという、そこの特別調整額の七%の開きから生ずる差でございます。したがいまして、今回ただいま御指摘がございました改正案によりましても、やはりそういうふうな差があるわけでございますが、その点は全く従来と変わらないわけでございます。
  11. 坂本泰良

    坂本委員 裁判所にお聞きしたいのですが、従来これで裁判所のほうは満足しておったのですか。かえって安いのですがね。
  12. 守田直

    守田最高裁判所長官代理者 御承知のように、裁判官報酬のうち、判事になりたてのところは一般行政官吏に比べまして、わりあいによかったわけでございますが、上級の部分になりますと、管理職手当が初めは全然なくて、それを何回か努力いたしまして、一八%、一二%という線で順次増してきたわけでございます。それでもどうしてもやはり差が出てまいりますので、予算におきましては、いつも同率の二五%の管理職手当もぜひつけてほしいと言ってまいったわけでございますが、いかんせん、いろんな問題もございまして、結局裁判官管理職手当を二五%つけるとかつけないとかいうようなことは、裁判官の現在の報酬の問題を合理的に改定するという方向で考えていくべき性格のものとして臨時司法制度調査会というものができまして、そこで検討するということになりましたために、いまだにこの二五%の管理職手当の解決ができていない状況でございます。そうでありますけれども、しかしその点につきまして、決して裁判所としては低くなっているのを満足するわけではないのでありまして、来年度もまたその率の改定予算要求をいたしておるわけでございます。
  13. 坂本泰良

    坂本委員 そこで裁判所にお聞きしたいのは、現在一八%と一二%に分かれておるのですが、その人数と、それからいま局長が言われましたように、二五%あるいは一八%、一二%と要求しておられるのですが、それに該当する人員はどれくらいあるか、その点をお聞きしたいのです。
  14. 守田直

    守田最高裁判所長官代理者 現在管理職手当として入っておりますものは一八%が八十七人、それから一二%が四百二十二、合計五百九人になっております。二五%として予算要求をいたしておりますのは、この八十七人分につきまして、いまの一八%のものを二五%に要求しておるわけでございます。
  15. 坂本泰良

    坂本委員 局長、下のは一八%、一二%……。
  16. 守田直

    守田最高裁判所長官代理者 現在四百二十二名のうち、その一部を一八%で、一部を一二%に要求しておりますが、四百二十二名の中の一八%を要求している部分の数をいまここに持っておりませんが、こまかい計算の上でそういう要求をいたしておるわけでございます。
  17. 坂本泰良

    坂本委員 私の聞くところによると、五百数人のうちの一八%が百七十五人、一二%が二百九十人、こういうふうに聞いておりますが、その点はいかがですか。
  18. 守田直

    守田最高裁判所長官代理者 予算要求の点はちょっとただいまここに資料を持っておりませんので、概数しか申し上げられませんが、御承知のように現在この改正案が通りますと、いままで一八%ついておった人たちのほとんどが十六万円、十七万円になるわけでございます。そこでそういう人たちの分のほかに、その人たちは一応みんな管理職手当が支給されなくなりますので、それで結局残りの部分につきまして、それが認められますと、いままでの要求予算の数が変わってくるわけでございまして、その関係で正確なことが現在申し上げられない状況になっておるわけでございます。ですから、その点は至急に調べまして、また機会を得て御報告申し上げたいと思います。
  19. 坂本泰良

    坂本委員 検察官のほうはどうなっておりますか。
  20. 津田實

    津田政府委員 検察官につきましては一八%の特別調整額をつけられておる者が七十三人、一二%の特別調整額をつけられておる者が二百一人、合計二百七十四人でございます。なお、今回十六万円に格づけされる者が出てまいるわけですが、これは御承知のとおり管理職手当はつけないことになっておりますので、その分にあたる数はこれから一応は引かれるわけでございますが、あと増額要求しておるということであります。
  21. 坂本泰良

    坂本委員 そこでお聞きしたいのですが、裁判官で今度の改正判事特号に入る人は大体何名の予定か、検察官のほうは何名の予定か、その点をお聞きしたい。
  22. 津田實

    津田政府委員 これは先ほども申し上げましたように、この法律が成立いたしました後の準則あるいは最高裁判所大蔵大臣との協議の結果決定される問題でございますが、ただいまのところ考えられておる概数は、検事につきましては十六万円、つまり特号が約五十人くらい、それから裁判官につきましてはその三倍ないし三倍を若干上回る数、それから裁判官につきまして十五条特号、すなわち十七万円にあたる方は現在裁判官特号を受けておる人そのままでございますから、その人は現在四十三人でございますから、それがそのまま移るわけでございます。
  23. 坂本泰良

    坂本委員 そこで裁判所にお聞きしたいのですが、裁判官の数が相当多いと思うのですが、検事裁判官の何というのですか、比率、その点についてわかっておったら説明していただきたい。質問の趣旨は、裁判官検察官より人数がうんと多いでしょう。そうして裁判官のほうには四十三人の今度の改正にも関係のない人がおるから、それ以外の裁判官は三倍というような、いま法務省側の御答弁でしたから、そのパーセンテージはどうかということです。
  24. 守田直

    守田最高裁判所長官代理者 パーセンテージのあれは持っておりませんが、現在いわゆる十年の判事補を終えまして判事に任命されている者は千二百人ほどおるわけでございます。そのうち所長あるいは高等裁判所の長老の裁判長、こういった人が従来から、現行法でも特号になっておるわけでございます。この人たちが現在四十三人ほどおるわけでございます。これが一番上の特特号、すなわち十七万円に当然なっていくわけでございます。それ以外の所長、それから高裁の裁判長あるいは地裁の第一線におるばりばりの裁判長、こういったクラスは大体十六万円になっていくわけでございまして、それがただいま津田部長が言われました数になるわけでございます。全部合わせますと、特号以上が二百人程度ぐらいになるものというふうに考えております。それ以下順次あるわけでございますが、御承知のように現行の一号、二号というところの人たちが十六万円のほうへ上がりますので、現在一号、二号というようなところの分が将来はどういうように変わっていくか、人数はちょっと正確に申し上げられないわけでございます。それが、この改正法案が通過いたしますと、その点が今度は明確になっているというふうに考えております。それ以上のパーセンテージの点は、ただいま持ち合わせがございませんので御容赦を願いたいと思います。
  25. 坂本泰良

    坂本委員 検事のほうは五十人くらいとおっしゃたが、全部で何人でございますか。
  26. 津田實

    津田政府委員 現在検事で七号以上の者は六百六十二人おりますが、今回は十六万円の対象となる者は、大体検事につきまして現在一号、二号におる者と三号におる者の一部、そういう範囲ということでございますが、これは経験年数に徴しまして、現在各省事務次官に劣らない程度経験年数を持っておるというところが基準になりまして約五十人おる、その中から選び出して十六万円の特号に格づけをする、大体そういうことになろうと思います。
  27. 坂本泰良

    坂本委員 そこで法務大臣にお聞きしたいのですが、昭和二十三年ころまでは裁判官報酬というものは、これは一号、二号に該当するのですが、事務次官以上の報酬であったのですね。それが二十六年ごろ、いわゆる一万六十二円ベースになったとき一般行政官並みというような問題が起きまして、それで裁判官報酬給与に対する改正がくずれてしまいまして、そして現在のようになっておりまして、私もよく計算したわけでないですけれども、今回の改正案によれば、検察官もそうだろうと思うのですが、裁判官のほうはいわゆる特号、十六万円に入らない人はかえって安くなるんじゃないか、こういうことを言われておるわけですが、そういうような点について、もちろんこの問題は昭和二十六年の際は裁判官検察官任用制だから一般行政官並みだ、こういうことで裁判官報酬改正が行なわれた、こう思っておるのですが、そういうような状態がずっといままで続いておりますし、今度の改正についてもそういう差別ができるようなふうに思えるわけですが、そういう点について大臣はどういうお考えを持っておられるか。また、今後やはり司法権の独立というようなことを考えますと、裁判官報酬については、二十三年ころまでのような関係をつくって、そうしてりっぱな裁判官によって裁判をやる。こういうようなことも考えられるわけですが、そういうような点について御所見を承りたい。
  28. 賀屋興宣

    賀屋国務大臣 戦後裁判官検察官給与が、戦前に比しましてはよほど一般に改善されたと思います。しかしその後、いまお話がございましたように、いろいろ変化がございまして、その変化につきましては、各方面またそれぞれ御意見がある次第でございます。それで一般給与その他全体といたしましては司法制度調査会におきましてただいま検討をされております。その検討の結果は、今後政府におきましても重要な資料として給与の問題の決定にあたってこれが非常に役立つわけと思うのでございます。  ただいまのところどうかと申しますと、今回公務員給与改正の勧告がございまして、それで一般行政官そのほかみな引き上げるわけでございますが、その権衡につきましては、現在の権衡を乱して一部の者が不利益をこうむることの絶対にないように、裁判官検察官につきましては検討してまいり、また政府内部のやりとりにおきましては十分に主張をいたしたわけでございます。それで俸給のある段階についてかえって増加の仕方が減るのではないか、行政官よりも不均衡になるのではないかという御指摘がございましたが、これは前に政府委員が申し上げましたとおり、そういうことは全然ない次第でございます。  それからなお全体としまして、いまお話が出ております十六万円、十七万円の特号の問題でございますが、この十六万円の特号は、一般行政官につきましては各省内でただ一人の事務次官最高レベル、特別のものだ、それをただ一人そうするのだという主張でございまして、現在裁判官検察官でお答えを申し上げましたように、あるいは二百人余り、四十人幾らという人数につきましては、打ち明けて申しますと、一般行政官のほうでは裁判官検察官のほうが非常に有利に過ぎるじゃないか、その省系統全体の行政官ただ一人十六万円の特号というのに、検察官はそれが何十人とあり、裁判官のほうはそれ以上の十七万円という特別な、従来もそのハンディキャップがあったのですが、相当認めておるという考えもあるくらいでございまして、いままでの給与比較につきましていろいろ御意見があることはごもっともな点もございましょうが、今回の引き上げにつきましては、率直に申しますと、裁判官検察官のほうがどうも割りがよかった。ほかの行政官ではこのくらいではないかというようなことでございまして、その特十七万円、十六万円、特号の下の点は、裁判官検察官一般行政官との比較で不利な点がありはしないか、まことにそういう点に留意しますことは必要でございます。検討いたしまして、そういうことはないということでいま提案いたした次第でございます。基本的には、なお司法制度調査会等の研究を待ちますが、今回の引き上げにつきましては、決して従来の権衡を破って裁判官検察官不利益になることはない、かように考えておる次第でございます。
  29. 坂本泰良

    坂本委員 そこでいま大臣の御説明で、現在不利益でないというのは、やはりこの改正によっていろいろな管理職その他の点が相応して上がるわけなんですが、やはりその上がったところで不利益のない、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  30. 賀屋興宣

    賀屋国務大臣 さようでございます。従来のこの上がる前の権衡不利益に直されたということはないので、まあ簡単に言えば、従来のハンディキャップは依然として上のところは上にいっているということでございます。
  31. 坂本泰良

    坂本委員 まあ、この裁判官検察官給与の問題は、臨時司法制度調査会で、あれは来年の八月ごろまでに答申を出してやるということになっておりまして、やはり裁判官報酬も上げなければ法曹一元も達せられないし、また、俸給だけじゃないのですが、りっぱな裁判も行ない得ないし、検察官も独立して権力その他に左右されずに公平な検察事務を遂行する、そうするためにはやはり俸給の問題も相当影響しているというようなことが考えられるわけであります。そういう点について、もちろん臨時司法制度調査会は、法務大臣が主だろうと思いますが、やはり私のいま申し上げたような考え方に立って大臣はこの調査会にも臨んで努力せられるかどうか、その点の御所見を承っておきたい。
  32. 賀屋興宣

    賀屋国務大臣 臨時司法制度調査会は、ただいま進行状況と申しますか程度と申しますか、いろいろ基礎的の事情を非常に調査しておられるわけでございます。この調査に基づいていかなる意見を持たれるかという過程は今後にあるようでございます。調査会としましては独自の立場で意見を立てられると思いますが、関係最高裁、またわれわれのほうにおきましても、いまの給与の点は非常に重大な点でございますから、お話しのように、いわゆる本俸的のもの以外に各種の給与を総合しまして、どういうふうになるかというふうな観点、裁判官検察官特殊性、こういうものを十分に織り入れた検討の結果、答申ができるものと期待して、また、そういうふうにわれわれのほうでもできるだけ協力したいと考えておる次第でございます。
  33. 坂本泰良

    坂本委員 終ります。
  34. 三田村武夫

  35. 志賀義雄

    志賀(義)委員 まず伺いますが、今度の公務員給与改定、本日衆議院本会議に提出されるものの中で、特別職給与改定では、内閣総理大臣発足当時の十五万円から今度は四十万円、法務大臣賀屋さん、あなたは三十万円になられるわけですね。それから最高裁長官が四十万円、それから検事総長が三十万円、これは池田内閣発足当時の二倍以上になります。こういうふうな方々だけが特別大きくされている理由はどういうことでございましょうか。賀屋さんもそのお一人でございますが、どなたかここにお並びの適当な方からまずその理由を御説明願いたいと思います。
  36. 津田實

    津田政府委員 内閣総理大臣、これと従来同額にきめられております最高裁長官、あるいは国務大臣、それと同額にきめております最高裁判事ないし検事総長、この関係につきましては、ただいま御指摘のような増額がこの原案になっておるわけであります。その根拠と申しますか、につきましては、これは主として所管である大蔵省のほうにおいて検討いたしたわけでございますが、結局は現在の対比すべき他の民間あるいは準民間のこれに類する機関等給与比較におきましてかような額が適当であるという意味において定められたものというふうに考えております。
  37. 志賀義雄

    志賀(義)委員 そうしますと、他の官職の場合ですね、あるいはこれ以外の法務省関係あるいは裁判所関係でもよろしゅうございますが、それはいまのような一般社会の人に比べては上げられなかったのでしょうか。つまり、この四人だけは特別に社会一般給与比較してこれくらい出さなければつり合いがとれない、こういうあなたの御答弁だったですね、大蔵省を代弁されて言われるところでは。そうすると、他の職員の方は一般社会と比べてこれほどの率を上げなくてもよろしい、こういうふうに言われるのですか。もしそうならば、それをそうしてよろしいという積極的な理由があったら御説明願いたいのでございます。
  38. 津田實

    津田政府委員 ただいまただ官職について御指摘があったので四官職について申し上げたわけでございますが、なお、その申し上げる中で、さらに外国の総理大臣あるいは国務大臣等比較も考慮した上これらの職種についてはきめられておるということもあわせて申し上げておる次第であります。  なお、他の一般官職につきましては、もちろん民間給与その他の準民間給与比較いたしましてそれぞれこの増額率をきめたわけでございます。したがいまして、その一般原則、すなわち民間その他の給与比較して、この増額率をきめたという一般原則は、総理大臣から下の全官職に通ずるものと了解いたしております。
  39. 志賀義雄

    志賀(義)委員 そうしますと何でしょうか、池田内閣発足当時に、総理大臣はたとえば十五万円でございました。今度は四十万円になっております。こういう率で一般職員の場合もやはり計算されているのでございましょうか。一般職員の率はどうでございますか。
  40. 津田實

    津田政府委員 ただいま申し上げましたのは不十分であったかと思いますが、要しまするに、官職以外の他の職種の同一または類似のものとの比較あるいは外国との比較等を考えて、それぞれの率を出しておる、こういう意味でございますから、その原則は、みな他の同一の職種というものに比較してどうかという原則は全部同じ。ただ具体的に、他の職種について同様なものがたくさん率において上がっておれば、こちらの官職においてもその率に見合う程度に上げる、こういう考え方であります。
  41. 志賀義雄

    志賀(義)委員 そうしますと、ごく常識的な日本語に訳しますと、官職の非常に上の特別職の人については倍率を多くしたが、その他の人はそれほどになっていない。それをあなたは原則とおっしゃるのですが、その原則に従って同じようにやったのだ。そうすると、結論としてはそこでますます開きが大きくなってくる。池田内閣発足当時の、いま申し上げました特別職の場合と一般職員の場合、ことに下級人の場合にはますます開きが大きくなってくる、こういうことに事実はなっておりますね。その点はお認めになりますか。
  42. 津田實

    津田政府委員 他の特別職につきましても、この最高俸に当たるものは内閣総理大臣でございますが、それ以下の特別職もたくさんあるわけでございます。そういう特別職につきましては、やはり民間の同じような職種についての賃金の上がり方を考えて倍率をきめておるということでございますから、特別職だけを取り上げて特に上げたということにはなっていないわけであります。すべて同種の職種について考えるわけで、同種あるいはそれに準ずる職種についての賃金の比較考えていくわけでございますから、民間について、その職種に当たるものの給与が従来に比してたくさん増しておれば、官職の中にその職種に当たるものについてはやはり従来に比してたくさんにする。こういうことにすぎないわけでございます。
  43. 志賀義雄

    志賀(義)委員 いや、私のお尋ねしているのはそういうことではございません。それはもうたびたび伺いましたから、よくわかっております。一般職、ことに低い人に比べて、特別職でも上のほうの人の上がる率が大きい、大きくしたということをお認めになるかどうかということです。それだけ伺えばよろしい。ほかは要りません。
  44. 津田實

    津田政府委員 それはお手元に差し上げております倍率の比率によってごらんいただければ当然でございまして、内閣総理大臣については五十数%になっており、その他については必ずしもその率になっていない。あるいは内閣総理大臣以外の大臣あるいは特別職の職種あるいは一般職職員について五十何%あるいは四〇%、三〇%というものもありますし、数%のものもありますが、すべてそれは他の同種の職種との対比から出ている問題であるということでございます。
  45. 志賀義雄

    志賀(義)委員 相変わらず私の質問の点にはお答えにならない。そうすると、今度給与を上げるのは物価が高くなったからそれに応じて上がるということがあるでしょう。そうしますと、内閣総理大臣は物価が高くなったのが一番こたえるから上げる、一般職の下級の人は物価が高くなったのがそれほどこたえないから上げない、こういうことになりますか、その点を端的に御説明、願いたいと思います。
  46. 賀屋興宣

    賀屋国務大臣 いま志賀さんのお尋ねのような趣旨にはならぬと思います。特別職が相当上がった率が多いことはお説のとおりであります。これはまあ端的に申しますと、私、受け売りでございますが、従来のバランスが、池田内閣出発のときの給与のバランスは、一時特別職のようなものをいままでの給与引き上げのときにうんと押えてきておった、だから池田内閣の始まるときの出発点が非常につり合いを得ておるという考えでもなかったようでございます。端的に言えば、前にもっと上げておるべきものが上がっていないで非常にアンバランスがあった。それを是正する意味が入っておるように承っております。それから特別職の高いほうになりますと、社会一般比較とかまた外国の例だとかをしんしゃくしましてああいうようにきめるのが妥当であるという考え方であります。物価の騰貴の影響ばかりでないそういう考察が入っていると思います。
  47. 志賀義雄

    志賀(義)委員 大臣がいろいろ助け舟を出されましたが、納得できません。外国の例になりますと、私のほうも申し上げたいことは、日本は下級になるほど低賃金だ、こういうことをいわれておりますが、これはどうもお答えがむずかしいようであります。お答えができないものと認めて、私は次の質問に移ることにいたします。  問題は、この法務委員会で特に扱われるのは判検事報酬の一部改正案でありますが、私はかねて判検事報酬、ことに判事の場合ですが、実際に法務委員会で——これは三田村さんも一緒に行かれたから御存じでしょう。監獄で申せば雑居房みたいな、家族の中で死刑の判決なんかを書いておられる官舎がよくありましたね。それからまた実際給与が少ないので困っておられる。ひいては判事判事補になる人が少ない。ましてや検事になり手がなおさら少ないとかという話があります。この二月にも、私は第四十三通常国会でこの法務委員会でお尋ねしたのでございますが、そういう点で最近は新しい年度、四月以来様子は改善されておりましょうか。あるいは今度の判検事報酬改正して、それによって喜んで判検事になる人がふえるとお見込みでしょうか。その点について伺いたいと思います。
  48. 守田直

    守田最高裁判所長官代理者 まずお尋ねは、この法案の改正によって判事補の志望者が修習生からふえる見込みがあるかというお尋ねと思います。これは来年の四月になりますと、はじめて司法修習生の講習を終わりまして、判事判事補あるいは検事、あるいは弁護士の方向へと進んでいくわけでございます。したがいまして、現在の状況では、もう初めから判事補を希望しておるという者の数は、私の聞いた範囲では三百四十九名中七十名くらいのように承っております。それからいま判事補になろうか検事になろうか、あるいは判事補になろうか弁護士になろうかといって迷っているのが相当数おるわけです。もう少したたないとはっきりした数はわかりませんが、私どもの見込みでは百名前後は志望するものというふうに考えておりまして、その数から申しますと、例年よりは少しはよくはなかろうかというふうな見通しを持っておるわけであります。しかし、いよいよとなってみませんと、たとえばもう少し具体的に申しますと、修習生が修習を終わって弁護士事務所に入ることがはっきりきまるのがずっと先になりますので、実際問題としては、やはり予想はその程度でありますけれども、今年度もそう従前と変わらないのではないか、最終的には八十名前後になるのではないかというふうにも考えられますので、ちょっと予測が立ちかねるわけでございます。そしてそれがこの法律改正によってどういう影響があるかということは、ちょっとその辺の関係ただいま申し上げるわけにはまいりません。
  49. 志賀義雄

    志賀(義)委員 私のこの前伺ったのは二月二十六日でございます。そのときにあなた方のほうにいまの問題を伺ったが、それはことしの四月になりまして、あなた方の予想した以上になったか以下になったか。それから見て今度この改正をすれば、この次にはあなた方はふえるようなお見込みでございますか。ことしの実績はどうであったのですか。そして今度この改正をするについては、これくらい上げればよりよくなるだろうというような現実の評価の上になさったのですか、どうですか。
  50. 守田直

    守田最高裁判所長官代理者 正確なことは申し上げられませんし、この法案の改正によりましてそれがどれだけ影響していくか、これは弁護士さんの収入の問題とも関連してまいりますが、大きい意味では大きな経済事情との関係がございますので、これだけの改正によってはたして判事補の大増員が期待し得る、それほどの強い因果関係を持ち得るというようなことは、ちょっと私のほうとしては現在の段階では申し上げられませんが、ことしの四月八十五名ほど判事補を採用いたしました。来年も少なくともそれは大体確保できるのではなかろうかという見通しを現在持っております。
  51. 志賀義雄

    志賀(義)委員 法務大臣は間もなくお出かけになるそうですから、簡単に質問しておきたいのですが、それは法務省の一般職員のほうからもこういうものが出ております。これだけの袋ですね、これは全国の法務関係職員の給料袋です。全部私のところにきておる。これで見ますと、大体二、三千円から五千円ぐらい共済組合のほうから借りた金を毎月返しているのです。そこから、これは一般の他の官庁にも共通することですが、いまの一律五千円上げてくれ、こういう要求が出ているのであります。いろいろ実例がありますが、その実例はあとで申し上げることにして、あなたは大蔵省の大先輩だからよくお聞きしたいと思うのですが、これはあなたのほうの全国司法部職員労働組合から国家公務員共済組合連合会の理事長の今井さんあての公開質問状でございますが、その中に昭和三十七年度の国家公務員共済組合連合会の決算書によると、収入は二百四十六億円、支出は四十二億円でありますから、結局約二百三億円の黒字となっております。しかも四年前に出発した百億円の長期積み立て金が本年度末には八百六十億円になろうとしておる。配当利子収入だけで四十二億円ですから、支出分はこれでもまかなえるのです。それを今度は共済掛け金を上げようというので、これは国家公務員全体の問題になっておる。これはここの国会の職員をも含めてでありますが、これはどうでしょうか。特にあなたの管理下の職員の方々からこういう公開質問状が今井さんへ出ております。やはりあなたも法務省の職員からこういうのが出ておるのに対して、そして職員はこういうようにいつも共済掛け金から借りてしのいで、それに対して赤字だからもう少し掛け金を上げなければならないということ、いま予算作業で急いでおられるようでありますが、こういう点については、責任者としての法務大臣としてどういうようにお考えでございましょうか。その一点だけを伺っておきたい。
  52. 賀屋興宣

    賀屋国務大臣 実はいまの問題は、ほんとうのところ詳しく承知いたしておりません。ただ共済組合などの収支は、現実の収入、支出だけではわからぬと思います。将来のおそらく年金制度があるのじゃないか。その積み立て金というものは資産として保留しなければ、将来の財源に見合わないわけでございます。だから現実のその年の収入、支出だけで赤字であるかないかという判定はできにくいのじゃないか、だから、おそらくいまの御質問のおことばから私が察しますと、それを考えまして、将来の年金を支弁していくための原資としては、掛け金を増さなければいけないという数字が事務的に出ておるのじゃないかと存じます。一々の組合が具体的にどうなっておるか、いま申し上げられませんが、おそらくそこに検討の問題があるじゃないかと、おことばでは察した次第でございます。
  53. 志賀義雄

    志賀(義)委員 どうも法務大臣は、生命保険ができた初めのことと将来の収支のことと、いまの共済組合のことを混同しておられるようでございますが、これはどんどん加入者がふえていく場合の生命保険と、すでに定員がきまっておる場合の国家公務員の場合と同じようなお考えで御答弁なすっては少し見当が違うのじゃなかろうかと思います。  そこでまだあと質問がありますけれども、石野委員法務大臣に何か聞きたいと言っておられるからこの間に関連質問のほうをちょっと入れていただきたいと思います。
  54. 三田村武夫

    三田委員長代理 ちょっとおはかりしますが、予算委員会のほうで討論が始まるそうです。法務大臣出席を求めておりますから、あとまた帰ってきてからやります。向こうが終わりましたらすぐこっちへ来られますから、御了承を願います。
  55. 志賀義雄

    志賀(義)委員 この前、この二月二十六日の通常国会の法務委員会で、この問題に関連して平賀局長の言われたことと守田さんの言われたこととだいぶ違っております。たとえば平賀局長の言われたことは、「法務局の職員が必ずしもりっぱとは言えないのみならず、非常に古い老朽、狭隘な庁舎で忙しい思いをして働いておりまして、超過勤務手当なんかも必ずしも他と比べてよろしくない、そういう不利な条件のもとで働いておりますこの待遇を改善するというより、むしろ待遇を是正する必要がある」こういうふうに言っておられる。ところがこれに対してあなたは「裁判所職員も、裁判官以外の職員俸給一般職職員給与に関する法律が準用されておりまして、それより下回っておるというようなことは全然ないわけでございます。」、どちらがほんとうでしょうか。
  56. 守田直

    守田最高裁判所長官代理者 ただいまおっしゃったことは、そのとおり少しも間違っていないと思います。と申し上げますのは、平賀局長は法務省の民事局長でございまして、法務省の関係の登記その他の事務に従事している法務省関係職員についてお述べになったことでありまして、私が述べましたのは、裁判所職員について述べたわけでございます。したがいまして、少しも食い違っているというような性格のものではないわけでございます。
  57. 志賀義雄

    志賀(義)委員 そうすると、第一、裁判所と法務省の職員の中に差別があるということはお認めになるわけですね。
  58. 守田直

    守田最高裁判所長官代理者 差別があるかどうか、私にはわかりません。私は裁判所職員だけについて申し上げたわけでございます。
  59. 志賀義雄

    志賀(義)委員 それがあなた方独特の言いのがれというものでして、ちゃんと違うと言っておるじゃありませんか。  では、あなたがそういうように言われるなら、ちょうどよろしい、私はそのときに判検事の問題と同時に、一般職員の問題についても質問いたしました。そのときに——なおもう一つだけ伺っておきますが、三田委員とも一緒に行きましたときに、裁判所長と検事正との間で、ぜひとも判事の家を見てくれ、検事の家を見てくれと、途中で半分拉致されるようなかっこうで私ら調査したことがありますが、住宅問題はそれ以後ずっと解決されておりますか。毎年百戸ずつぐらい建てられておるということですが、現実に進行しておりますか。
  60. 守田直

    守田最高裁判所長官代理者 今年十月一日現在で申し上げますと、裁判官は現在員が二千三百九十一名おるわけでございます。そのうち自宅その他住居の安定しているものが六百八十八名、それから、宿舎がもうすでにできたのが、千三百七十戸分できているわけでございます。そして今後必要数が三百三十三あるわけでございますが、このうち八十戸分は四月までにでき上がりますので、差し引き必要数として残っているのは二百五十三あるわけでございます。これをできるだけ早急に解決するために、昭和三十九年度予算要求をいたしておるわけでございます。  既設宿舎の内容の点になりますと、あるいはただいま志賀委員の仰せられたように、裁判官の宿舎として満足すべきものではないということは、指摘され得る部面があると思いますが、これはまずこちらのほうから全部を解決しながら、それとあわせて改造していく以外に方法がないかと思いますが、その具体的な内容は、これは経理関係でないとよくわかりません。人事担当者としてはこの程度説明しかできませんので、御了承願います。
  61. 志賀義雄

    志賀(義)委員 裁判所だけでなく法務省関係全体ですが、どの範囲の人には宿舎を提供し、あるいは住居手当というものを出し——宿舎手当というものですか、どの職員以下はそういうものを出していないのですか。区別はありますかどうですか、その点をお答え願いたい。
  62. 津田實

    津田政府委員 方針といたしましては、職種その他によって全然区別はいたしておりませんが、ただ実際問題として必要戸数を充足していないことは事実でございます。したがいまして、その地に長くいる人は先に入るという実態はできているわけです。あとから転入した人は入居がおそくなるというような関係はありますが、それもまた、たまたま交代で転任するというような場合は、新たに転入した者でも直ちに入居できるというような状態もあるわけです。法務省管下におきましては、検事のほうにつきましては現在充足率は八七%程度、戸数にいたしまして不足しておるものが九十一戸くらいでございます。なお、この戸数の問題と、さらにまた住居の改善の問題でありますが、これは法務省におきましては検事を含めて職員全般について通ずることでありますけれども、まず北海道その他の寒冷地の住居の改造を主といたしまして、それに力を入れておりますが、北海道地区は逐次改善の実が上がっているように思っております。
  63. 志賀義雄

    志賀(義)委員 いまのお話を聞きますと、この前伺ったときに比べて判検事の宿舎の問題は若干ずつは改良されているように思います。しかし、裁判所並びに法務省で一般職員の宿舎はどうでしょうか。この給料袋を見てみましても、別に住居手当とか宿舎手当というものはないのですが、出ているでしょうか、全然出ていないのでしょうか。
  64. 守田直

    守田最高裁判所長官代理者 宿舎手当という手当は、現在一般職職員給与に関する法律では定められていないわけであります。それを準用いたしております裁判所職員にも、同じく宿舎手当は支給されておりません。現在の裁判官以外の一般職員の宿舎状況を数字的に申し上げますと、裁判官以外の一般職員は二万二百三十七人ほどでございますが、裁判官以外の職員一般にその土地から通っている人が非常に多い。裁判官のように全国を転任するというものが非常に少ないわけでございます。自宅から通っておりますので、そういうために住居の安定している者が一万四千六百七十八名ほどあるわけでございます。すでにでき上がった宿舎に入っているのは千四百二十一名あります。必要数があと四千百三十八戸ほどになっておりますが、本年度中に解決されるものは百四十八戸ばかりありますので、結局今後予算的に解決しなければならぬのが三千九百九十という数字になろうかと思います。もちろんこの数は早急に解決して、一般職員が十分に安心して執務ができるようにしてあげたいということはわれわれも考えておるわけでございますが、これとて一度に三千九百九十を解決することはできませんので、順次これを解決していきたいというふうに考えております。
  65. 志賀義雄

    志賀(義)委員 最近私ども陳情を受けましたが、行二の人が非常に差別待遇ということを言っております。これは国家公務員全体についてそのようでありますが、やはり裁判所並びに法務省においてもそういうことを訴えておられるようでありますが、どういう点でこの差別待遇ということが特に言われるのか。そういう点で、あなた方は陳情なり不満なりを受けられて、この点は改善しなければならないという点でお気づきの点がございましょうか。どういうものを特に業種というか職種として行二に当てはめているか、その点御答弁願いたい。
  66. 守田直

    守田最高裁判所長官代理者 御承知のように、裁判所職員は、ただいま申し上げましたように裁判所職員臨時措置法というのがございまして、それによりまして一般職職員給与に関する法律を準用いたしておるわけでございます。そういう関係から、一般職職員給与に関する法律で行政一表、行政二表というので分かれて、それぞれ適用する人を異にしておるわけでございまして、その行政二表の適用をされる職員は、政府職員と全く同じでございます。裁判所に限って範囲を広げたり範囲を狭めたりしている部分はございません。その適用される部面、職種を申し上げますと、大体技能職として甲、乙がございますが、それには電話交換手、タイピストの見習い、運転手、電工、汽かん士、営繕手、調理士、それから労務職といたしましては、甲、乙がございますが、守衛庁務員、エレベーターの運転士、給仕、こういったものが行政二表を適用されておるわけでございます。合計いたしますと千八百五十三人ほど二万人の中におるわけでございます。この人たちは、私は直接こういう人たちと折衝するというのはおかしいのですが、役員を通じていろいろ話を聞くわけなんですが、ぜひこの行政二表というものを撤廃してほしい、何か一表と二表との間に差別をつけられているような気がする、だからどうかひとつこれは撤廃してほしいということを切実に訴えてまいっております。が、御承知のように私のところでは一般職職員給与に関する法律を準用いたしております関係上、人事院が勧告をいたしまして政府がこれを撤廃しない限り、私どものところではどうにもならない、できるだけその意向は伝えるということでやっておるわけでございます。これらの人たちは、初任給は決して悪くはない。しかしある程度進みますと、十年ないし十数年たちますと、行政一表適用者よりは少しずつ上がり方がおそくなっている。これが実に困るというのが切実な撤廃の願いの基礎のようでございます。そういった点につきましては人事院も十分考慮いたしておるものと思いますので、将来は改善される問題ではなかろうかというふうに私どもとしては推察いたしておるわけでございます。
  67. 志賀義雄

    志賀(義)委員 検察庁のほうにはこういう事例があるそうですがどうでしょうか。婦人が妊娠したりするとすぐやめさせられるという事例があるそうでございますが、そういうことはございましょうか。
  68. 神谷尚男

    ○神谷説明員 法務省の人事課長でございますが、検察庁におきましてそのような方針をとっておるということはないはずでございます。ただ、女子職員が出産いたしました場合、育児に専念したいということでやめるとか、あるいは職務に十分に従事しにくいということでみずからつとめにくくなって退職を申し出るというものはございます。しかし、これは検察庁に限ったことではなくて、あらゆる官庁において、あるいは民間においてもそういうことがあると思います。しかし、検察庁におきまして辞職を強要するといったようなことは絶対にないはずでございますし、私どもといたしましても、そのようなことはないようにということで指導してまいっておるのでございます。
  69. 志賀義雄

    志賀(義)委員 事実そういう訴えがあったのでございます。いまのお話も微妙なあやがありまして、本人のほうでつとめにくくなるというふうに言われますが、まさかつとめにくくなるような意地の悪い指導をされているのじゃないでしょうね。どうもそのにおいが感じられるんだ、いまおっしゃることでは。だからそういう訴えが出てくるのです。いやしくも検察庁というのは、裁判においては公益を代表して法を守ることをたてまえにされておる官庁でしょう。そういうところで意地を悪く、お産をした、子供ができたからと出ていけがしにされては困りますから、そういうことのないように指導していただきたいということと、それから、また今後そういう事例がありましたら、きょうおっしゃったことは議事録にも残りますから、そういうことで私のほうからあるいは従業員のほうから詰め寄られることのないように、適切な指導をしていただきたいと思います。  まだいろいろありますけれども、石野委員の質問があるようでありますから。とにかく全国司法部職員労働組合のほうから給料袋を私によこしましたのは、「私たちは、このような生活の実態を広く国民に知ってもらい、要求解決の戦いを進めようと、ためらいや、恥ずかしさを乗り越えて、一人一人の給与明細書を国民の前に明らかにしてきました。」 こういう趣旨で出されておるのです。ただいまのお話で、どうも最初のお話から私の申し上げるところにはっきりお答えにならない面があったように思いますが、そういう点のないようにひとつやっていただきたい。これで一応私の質問は打ち切りますけれども、ことに婦人の従業員の方の訴えは切実なものがあります。子供の養育もできない、恥ずかしい、こういうのが非常に多いのでありますが、そういう点は特に判検事報酬に関する法律改正案ということに関連しまして、そういう点までもあなた方が十分考慮されませんと、私どもとしては納得いきがたい点がますます出てくる、こういうことだけ申し上げておきましてあとに譲ります。
  70. 三田村武夫

    三田委員長代理 石野久男君。
  71. 石野久男

    ○石野委員 この際関連して質問させていただきますが、報酬あるいは給与改正に伴って出てくる特別職と一般職との間の違いが非常にわれわれ心配になりまして、またいま志賀委員からも話があったように、女子の方々のやはり給与の問題等について、そういう問題が改正の時点で十分に改正されないと、やはり改正の意味がないと思います。この際、私は大臣にお聞きしたいのですが、給与改正を行なった結果として、法務行政の上でそのしわ寄せが他の部門にいろいろ出てまいりまして、そのことが法務行政上一般の国民大衆に不便を与えたり、不利益を与えたりするようなことがあることを非常に私たちは憂えるわけであります。そういう時点でこの際、法務省の法務局が出張所の統合などを行なうことがしばしばなされております。この時点での一般の国民大衆の不便ははかり知れないものがございますので、この機会に大臣にひとつお尋ねしたいのですが、出張所の統合については、いまどういうような構想でこれを推進しておるのか、どの程度に進められておるのか、この際ひとつお聞かせ願いたい。
  72. 賀屋興宣

    賀屋国務大臣 給与の改善につきましては、特別職の給与の改善につきましても、裁判官検察官が、他の官吏に比しまして、改定権衡不利益になるようなことは、厳重に注意いたしまして、ないようにいたして、結果としては、いろいろああいう問題は、当事者がこれなら十分だ、満足したということになることはなかなか困難でございますが、少なくとも権衡論からしまして、裁判官検察官の特別職の上のほうの給与不利益改定されたという点はないものと考えております。  それから一般に行政の措置は、国民のために非常な不利益、不便をかもすようなことを避けるべきではないか。できるだけ便宜を与えていくということは、十分その点に重きを置いて考えております。それで、法務局出張所等の統合等につきましては、単に行政管理面からの便宜ばかりでなく、むしろ利用者と申しますか、一般の国民側の利益ということを十分に考えていかなければならぬ。人員等を能率的に使うと申しますか、事務をとらせますためには、統合の必要の面も相当理由はあると思いますが、その結果、その地方の登記所に用がある一般民衆のゆゆしき不便を来たすようなことは厳に避けるように、したがいまして、その統合等につきまして、必要な場合には、十分に地元の人の了解、理解を求めてやるという方針で参っておる次第でございます。
  73. 石野久男

    ○石野委員 給与改正が行政面にか寄せをされてくるようなことがあると、これは非常によろしくないと私は思っておりますので、そういうことのないように、いま大臣からの御答弁のあったような方向で法務行政というものは指導されていかれることを望みたいと思います。  そこで、ただいま問題になります法務局の出張所の統合の問題につきましては、大臣からの御答弁は、なるべく地元民の不便にならないように、話し合いの中で解決しようという御趣旨のようでございますけれども、実際には、地元の方々との相談も何もないままに出張所の移転統合が行なわれたり、あるいはまたそのことのために著しく一般の方々が迷惑をこうむっているという事実が各所にひんぴんとして起こっているわけでございます。こういう問題について、実際に地元の方々の不便が明確であり、行政上からいきましても、地元民が著しく不便を感じているようなときには、すでに統合されましたようなものでも、前の位置にまた復帰させるというようなことのお考えがございますか。あるいはまた、これから統合しようとするものについて、そういうことがわかった場合に、これをやめるというような考え法務大臣にございますか。そのことをひとつお聞かせ願いたいのであります。
  74. 賀屋興宣

    賀屋国務大臣 率直に申し上げまして、統合の議がございまして、それが地元と円満に話し合いが済んでおるというときのみ、私としては決裁をいたしておりまして、そういう次第でございまして、無理にやるということはないものと私は存じております。あるいは過去に統合されましたものが再分割の必要があるかという問題になりますと、これは過去に別々であったのだから要請があればすぐ再分割するということは、いろいろ予算その他で困難もございますから、すぐそのとおりとは申し上げられませんが、よくよく必要な事情があれば検討はいたしたいと考える次第でございます。
  75. 石野久男

    ○石野委員 大臣は、そういう不便を来たすようなことはなかったろうと思うし、話し合いも十分ついておるのだと思っているとおっしゃられるのですが、事実上、たとえば私は茨城でございますが、茨城で水戸地方法務局の石塚出張所の事務を水戸地方法務局に移管したのですが、それをもとの状態に復活してくれという要望書が私のところに来ておるのです。これは法務省に出ておると思います。これは非常に的確に便不便の実情を出しておりますので、御参考までにちょっと申しますと、たとえば石塚の出張所があります場合のこの常北町というところの方々は、事務を処理するのに往復全然時間をかけないでやれた。ところが、水戸へ行ったために最低一日かかる。それから、桂村では、町内におるときは五十円でできたものが、今度は一日かかって、しかもそれが倍額の経費がかかってくる。それぞれずっとたくさんあるわけです、たとえば常北町の場合は、経費がゼロだというのが百五十円かかるようになってくるし、日にちも倍かかる、こういう形になる。それから、御前山の場合は、石塚出張所のときには百十円で済んだものが、二百四十円も往復の旅費がかかって、しかも二日間でなければ処理できない。こういう状態がしばしば出ているわけであります。  それから、これはただ個人の場合でなく、たとえば別なところで、出島の出張所がございますが、それを土浦の支局へ統合するというような場合になりますと、村全体としてこういう要望があるのです。村においても、農地事務処理のために、交換分合や区画整理、あるいは道路の拡張、新設や河川改修のための農地の転用、移転、企業誘致関係など、毎日三−六名の職員を派遣して登記事務を進めているわけですがこれをやるようになりますと、それが朝から晩まで一日かかって、しかも人員にしては四倍ぐらいかかるようになってくるだろう、こういう事情が訴えられておるわけでございます。こういうように、この石塚の出張所のごときは、すでに移転は行なわれたのでございますが、ぜひひとつ復活してほしい、こういう要望を熾烈に行なっておるわけでございます。  それからまた、他の面におきましては、すでに石下の出張所を水戸地方法務局へ統合するわけでございますがこういうような場合になりますと、これは昔火事があって出張所が焼けた、それを地元で全部出して復活させてやったのだ。そういうところを今度は全部水戸なら水戸に取り上げてしまう。自分たちはみな法務省に協力して復活してあげたのに、いまは相談もなしに水戸の法務局に持っていくということになると、不便どころか、そのいう従前においての行為なんかも全く無視された形で、政府当局に対する地元民の協力が全然無視されていることはもってのほかだという意向が書かれてあるわけでございます。  こういうようなことを考えますと、給与増額とか報酬増額ということを一方で考えて、法務行政をスムーズに行なうための方向がとられる反面、一般の人々に対しては非常に不便を来たすということになりますと、それは全く趣旨と相反するものになってくるのではないだろうか。だから、給与改正については、生活のしにくくなっている実情に見合って、できるだけいろいろな方策を講じてくれることに対して、われわれはやはりそれをよしとしますけれども、それが一般の国民大衆に著しく不便を来たすようなしわ寄せが出てくるようなことでは、これは何の役にも立たないと思うのでございます。そういうような意味で、すでに地元民から非常にきつい要望の出ているものについては、法務当局としてもう一度再考していただきたい。ことに農村の改善事業がどんどん行なわれてきますると、農地統合だとかなんとかで、やはりいろいろな法務行政上の仕事がたくさん出てまいります。そういうことについて、印鑑証明一つとるだけで一日も二日もかかるようなことでは、とてもこれは行政上の合理化でも何でもございませんので、こういう点について法務大臣はもう一ぺんひとつ当局の出先官憲を指導なさって、大臣が判を押した方面についても、悪かった、よくなかったというものについては改めていただくことが、ほんとうに大臣の国民大衆に対する奉仕の精神に合致するものじゃないかと思う。この出張所の統合の問題について、行き過ぎやあるいはその後の事情からどうもまずいと思うようなことについては、これは改めていただくことがよろしいのじゃないかと思いますけれども、大臣はその点いかがお考えですか。
  76. 賀屋興宣

    賀屋国務大臣 お話を伺いまして、ごもっともな点が非常に多いと思います。統合しまするほうは、いま登記所に一人しか役人がいないような場合、なるべく二人にしたい、これは仕事の上からもっともだと思います。そうすると、その登記所の仕事の分量が非常に少ない、二人分はとてもない、場合によっては一人分でも非常にひまがあるという場合もあろうと思います。そういう際には、統合したいという考えが起こるのは役所側は当然だと思うのでございます。しかし、いまお話がございましたように、民衆の側からいきましたら、統合の場合にはバス料金等が非常にかかる。そういう面から考えなければならぬのでございまして、役所の管理面ばかりから考えるということは私はいけないと思います。これはほかの面でも私はずいぶん経験しておりますが、役所のほうは簡素化して経費を節約したい。国民のほうは、簡素化どころか非常に時間がかかる、非常に金を使う。これはプラスマイナスしてみたら、そのほうが国家経済全体から見たらむしろマイナスになったという面があろうかと思うのでございます。そういう点につきまして十分注意いたすようにしておりまして、現在はお示しのように、地元で話し合いができておるかどうかということを必ず確かめて統合の決定をいたしておるような次第でございます。なお、すでに済んだものにつきましては、先ほど申し上げましたように、これはまたなかなか予算の配付面その他で新たに生み出さなければならぬので、いろいろございますけれども、十分に検討いたしませんとできないのでございます。率直に申し上げまして、どういう事例であるか、ちょっとメモにでも書いていただいて、ちょうだいしまして検討いたしたいと思います。
  77. 石野久男

    ○石野委員 大体大臣の御意向がわかりました。これはただ私どもの地域だけじゃないと思うのです。これは一般的な問題ですから全国的にあると思います。私はいま茨城の一例を出しただけでございますけれども、全国的な面で、特に農村の方々が非常にお困りのところが多いと思いますので、そういう点をひとつ御配慮いただきたい。こういう給与改正の問題に関連して、そういうことが、大臣の言われたように国民大衆に逆にしわ寄せになり、経費がかさむ、時間がかかるということが絶対にないようにしていただくようお願いして私の質問を終わります。
  78. 三田村武夫

    三田委員長代理 他に質疑はございませんか。——別に質疑もないようでありますから、これにて両案に対する質疑は終了いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 三田村武夫

    三田委員長代理 御異議なしと認めます。よって、両案に対する質疑はこれにて終了いたしました。     —————————————
  80. 三田村武夫

    三田委員長代理 これより討論に入る順序でございますが、別に討論の申し出もございませんので、直ちに採決いたします。  裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の両案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  81. 三田村武夫

    三田委員長代理 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  おはかりいたします。ただいま可決せられました両案に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 三田村武夫

    三田委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次会は来たる十七日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時十六分散会