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田口(誠)
委員 私は、いま審議いたしました
一般職の
職員の
給与に関する
法律の一部を
改正する
法律案外二件に対して、反対の態度を表明いたしたいと思います。本
会議で申し上げまするので、ごく簡単に申し上げてみたいと思います。
まず、私は、反対
理由を申し上げる前に、
人事院の職務、
性格、なお
勧告をされた場合に、
国会、内閣がこれをいかに尊重すべきであるかという点について、最初に触れてみたいと思います。
人事院の
公務員の
給与に対する取り
組み方というものは、
国家公務員法の二十八条に示されておりますように、五%以上の格差の生じたような場合に、特に
勧告をするという内容の精神になっておりまするので、そういうような
考え方の上に立って今日まで
勧告が出されてきております。ところが、私は、
勧告の内容そのものにつきましても大きな疑念を持ち、不満を抱いておるような次第でございます。それはなぜかと申しますれば、従来からの
勧告を見ますると、今回の
勧告を含めてきわめて作為的で、政治的な含みを持った
勧告がされているということでございます。しかも、その政治的な含みによって
勧告された
勧告すらも
政府は認めないという態度につきましては、非常に不満を抱いておるような次第でございます。したがって、私
どもは
国会議員として、
国会に
勧告をされた以上、この問題に対しては真剣な取り
組み方をして、
結論を出してやらなければならないと思うのでございます。現在出されておるところの六・七%という数字が、
一つの理論づけによって出されておりまするから、まず六・七%というものが妥当であるというように
考えてみましても、五月
実施というものが十月
実施に延ばされることにおいて、実質的には四%のベースアップよりしてもらえぬのだということに相なるわけでございます。したがって、
公務員法の二十八条にいうところの五%という基準を立てておりますことは、少なくとも
人事院の
勧告したものが、一年を通じて官民の格差が五%以下では絶対にあってはならない、こういう精神が含まれておるということでございます。それを十月
実施にしておることによって、それを下回る四%になっておるということは、
国会としては認めるわけにはいきません。したがって、私
どもは、まずこの五月
実施を十月
実施に延ばしたということに対して非常に不満の意を表し、この点について大きな反対の気持ちを持っておるわけでございます。昨日の
質問にも申しましたように、万が一昭和三十八
年度の
予算でどうしても
補正予算化をすることができないような場合には、昭和三十九
年度の
予算の中に
組み込んででも
人事院の
勧告を守って五月から
実施をし、遡及精算をしてやるべきである、こういうように申し上げたのでございまするが、全くそのとおりでございます。将来民間の企業は、
物価の上昇率が横ばいになりましても、上昇になりましても、現在の低賃金の実態からいきますると、賃金引き上げはございます。そのときには五%以上の格差は必ずありまするので、
人事院の
勧告もあろうと思うのでございます。そこで私は、特に
国会の審議としてまじめに取り組んでいかなければならないと思いますことは、
物価の横ばいのときの賃上げの場合、それから非常に
物価が上昇して生活に困っておるという、この実態の中において出された
人事院の
勧告をなお値切るという、こういう
国会の態度であってはならないと思います。したがって、そういう
意味におきまして、私は、まず第一に反対の態度を表明いたしたいと思うわけでございます。
それから
人事院の出されたところのパーセンテージそのものも、きわめて作為的で、欺瞞的なものがございます。私はこれは妥当なものとは
考えておりません。と申しますのは、少なくとも
国家公務員の場合は、民間企業の五十人以上という中小企業を含めた事業場を対象に格差を比較対照されるということが、私は間違っておると思います。その証拠には、昨日も申しましたように、
公務員の賃金が非常に低いということと労働条件が悪いということから、せっかく
国家公務員の上級なり中級、初級試験に合格した者が、半数以下しか役所に入らない、民間に引き抜かれておるという、この実態を
考えてみましたときに、私がただいま申しましたところの裏づけを証明できると思うわけでございます。将来の日本の
公務員が全国民のほんとうにまじめな奉仕者として、能率を十分に発揮し得るような環境をつくってやるためには、今日出されておるようなああいう
勧告の基礎の出し方についても
研究してもらわなければなりませんし、少なくとも
勧告をされたものを完全に
実施されることが当然のことであろうと思うのでございます。
したがいまして、私は、この
政府案に対しましては、非常に不満の意を表しまして、日本社会党を代表しての反対のことばといたしたいと思う次第でございます。