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1963-12-14 第45回国会 衆議院 内閣委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年十二月十四日(土曜日)    午前十一時二十三分開議  出席委員    委員長 綱島 正興君    理事 伊能繁次郎君 理事 辻  寛一君    理事 内藤  隆君 理事 永山 忠則君    理事 八田 貞義君 理事 石橋 政嗣君    理事 田口 誠治君 理事 山内  広君       浦野 幸男君    坂村 吉正君       高瀬  傳君    高橋  等君       塚田  徹君    坪川 信三君       藤尾 正行君    保科善四郎君       前田 正男君    湊  徹郎君       赤路 友藏君    赤松  勇君       久保田鶴松君    阪上安太郎君       永井勝次郎君    受田 新吉君       山下 榮二君  出席国務大臣         国 務 大 臣 大橋 武夫君         国 務 大 臣 福田 篤泰君  出席政府委員         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務官         (給与局長)  瀧本 忠男君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房公務員制度         調査室長)   岡田 勝二君         防衛庁参事官         (長官官房長) 三輪 良雄君         防衛庁参事官         (人事局長)  小幡 久男君         防衛施設庁長官 小野  裕君         大蔵政務次官  纐纈 彌三君         大蔵政務次官  齋藤 邦吉君         大蔵事務官         (主計局給与課         長)      平井 廸郎君  委員外出席者         総理府事務官         (統計局長) 小田原登志郎君         防衛庁事務官         (防衛施設庁労         務部長)    藤本  幹君         専  門  員 加藤 重喜君     ————————————— 十二月十四日  委員中垣國男君、渡辺栄一君、中村高一君、西  村関一君及び山下榮二辞任につき、その補欠  として浦野幸男君、坂村吉正君、阪上安太郎君、  赤松勇君及び竹谷源太郎君が議長指名委員  に選任された。 同日  委員浦野幸男君、坂村吉正君、赤松勇君、阪上  安太郎君及び竹谷源太郎辞任につき、その補  欠として中垣國男君、渡辺栄一君、西村関一君、  中村高一君及び山下榮二君が議長指名委員  に選任された。     ————————————— 十二月十三日  恩給年金等受給者処遇改善に関する請願(  上村千一郎紹介)(第一号)  同(上村千一郎紹介)(第一〇号)  同(川野芳滿紹介)(第一一号)  同(小泉純也君紹介)(第一二号)  同(坂田道太紹介)(第一三号)  同(武市恭信紹介)(第一四号)  同(相川勝六紹介)(第四二号)  同(黒金泰美紹介)(第四三号)  同(齋藤邦吉紹介)(第四四号)  同(田口長治郎紹介)(第四五号)  同(西岡武夫紹介)(第四六号)  同(白浜仁吉紹介)(第四七号)  同(八木徹雄紹介)(第四八号)  国家公務員給与改定等に関する請願外七十九  件(久保田豊紹介)(第三号)  同外一件(勝間田清一紹介)(第二八号)  同外二件(勝澤芳雄紹介)(第二九号)  旧軍人等恩給に関する請願外一件(相川勝六  君紹介)(第一五号)  同(今松治郎紹介)(第一六号)  同(小泉純也君紹介)(第一七号)  公務員給与引き上げ等に関する請願高田富  之君紹介)(第三〇号)  同(中村重光紹介)(第五七号)  元南満州鉄道株式会社職員であった公務員等の  恩給等通算に関する請願砂原格紹介)(第  四九号)  同外十四件(田中龍夫紹介)(第五〇号)  北海道開発局職員定数増員に関する請願(山  内広君紹介)(第五八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  一般職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第一号)  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内  閣提出第二号)  特別職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第五号)      ————◇—————
  2. 綱島正興

    綱島委員長 これより会議を開きます。  一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案、右の三案を議題とし、質疑を続行いたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。山内委員
  3. 山内広

    山内委員 この特別国会は短期間でありまして、もう日にちが幾らもなくなりました。大事な補正予算が出ておりますけれども、十分な審議のできないことを非常に残念に思うわけであります。特にいま議題となりました公務員給料の問題ですが、きのうも強く指摘されましたとおりに、人事院勧告がなされまして、われわれも完全実施を願っておりましたが、実施期の問題で完全実施を見ないことを非常に残念に思うわけであります。人事院勧告は、何も政府にだけ出されたのではなくて、国会に対してもなされたのでありますから、これが完全実施を見ないということは、私ども国会議員責任であり、国会責任なんです。そういう意味で非常に残念に思うわけです。特にこの実施時期の問題は、昨年度やはり同じようなケースの出ましたときに、給与担当大臣である大橋大臣は、予想質問答弁資料そのままを読んでおられて、しかも、その中には、実施しないことは、実施時期が勧告どおり五月になされないことは遺憾である、そのとおりやるように努力しますという同じ答弁をしておるのです。少しも具体性も持たないし、今回のきのうの答弁を見ましても、特別公務員並びに地方公務員を合わせると一千億にのぼる大きな予算措置をしなければならぬことと、もう一つは、四月に年度が更新されて、五月というと予算体系をくずす、そういう二つの理由をあげて、実施できない理由を言っておるわけです。この次は、このとおり物価が上がっておりますから、より以上の高い勧告がなされるものと思いますけれども、同じように四月調査、五月実施ということになると、同じ回答で逃げ切られる、この点を私非常に残念に思うし、不安に思うわけです。大橋大臣は、この問題を来年度完全実施するように努力するという意味答弁をなされておりますが、具体的に、もう少し、こういうことをこういうふうにして、いまお話のありました答弁材料をくずすような案を考えているんだ、こういうことで、私どもに、なるほどそういう意味大橋大臣誠意をもってやるならばあるいは実行可能ではないかという、一つの安心できるめどを何か与えていただきたいと思う。どういう具体案をお持ちになっているか、まずお伺いしたい。
  4. 大橋武夫

    大橋国務大臣 具体的ということになりますると、人事院勧告それ自体が具体的なものでございまするから、文字どおりこれをそのとおり実行するということが、当然目標に相なるものと思います。
  5. 山内広

    山内委員 いま答弁のありましたとおり、何ら具体性を持っておらない。それでは私のほうから具体的にお聞きしたいと思います。  昨年この問題を取り上げたときに、私がこういう質問をしておることをおそらく記憶されておられると思うのです。確かに四月から年度更新で、五月から組みかえをやるということは、年度のほとんど全般にわたっての更正で、予算体系をくずす、そういうことに対しては私は具体的な案を申し上げたはずであります。どうせ物価が上がって公務員給料改定については勧告がなされるということは、総理府統計局でもいち早くわかっておるのですから、そういう場合には、大体のめどをつけた概算額予備費に組んで、それをかりに五百億なら五百億というものを組んで、この次に勧告が実際になされた場合、それとあわせて補正をやることは、予算額金額も減るし、そういう意味でならば考えられる具体案ではないか、こういうことを私申し上げたのであります。ところが、大橋大臣はそれに対して、「いろいろ示唆に富むお話をいただいたのでございますが、政府といたしましても、今後のこともございますので、十分お話の次第も頭に置きまして、今後いかにすれば五月実施が支障なく実現できるか、それらの措置につきましては、十分検討をいたすように考えたいと存じます。」こういう非常に明快な御答弁をいただいたわけであります。これに対してどういう御研究をなされ、その結論は現在どういうふうにお出しになっておるか、その点について詳しく御説明をいただきたいと思います。
  6. 大橋武夫

    大橋国務大臣 本年度予算は、御承知のとおり、予備費を計上するということは実現できなかったわけであります。
  7. 山内広

    山内委員 私の申し上げているのは、来年に対して——ことしできないのは、こういう形で出ていますから私も承知しておる。そういうことでなく、もう来年度予算編成はいまあなた方が作業を進められておるのです。ですから、もし研究された結論が、そういう予備費に繰り入れてもやったほうが便利だというならば、大臣は、それはいまいろいろ交渉を進められて、来年度予算にはそういう手を打たれるのか打たれないのか、またあなたは、いままで御研究になった結論がどうあって、どういう検討をされて結論を出して、来年度ではどうされるのか。私は過ぎたことを申し上げておるのではない。そのことについて……。
  8. 大橋武夫

    大橋国務大臣 従来からのこの問題についての経験から考えますると、来年度におきましても、予備費計上という措置をとることはむずかしいのではないかと思います。結局来年度におきましても、補正予算措置されるという方法によることとなるものと考えます。
  9. 山内広

    山内委員 いまの御答弁によると、十分検討を加えるという前の回答に対して御研究がなかったもの、そう判断されるわけですが、しかもいま聞けば、補正予算でおやりになる。それよりほかはないと思う。そういうことになりますと、来年度もまた同じような勧告が出た場合に、あなたは勧告どおり実施する意思が十分にある、そうおっしゃっているけれども、具体的にはどうしてやりますか。予算額は非常に大きくなってくる。地方公務員給料考えてやらなければならぬ。きのうの答弁では、はっきりそう言われておる。だから、そのことを解決するために、来年度勧告はもうすでにわかっておるのですから。予備費を組んだらどうですか。むしろ、こっちであなたのほうに研究資料を、やり方を知らせるというと語弊がありますけれども、協力申し上げて、あなたが完全実施のできるようなことを申し上げておるのであります。このことは、何も政府だけの責任でない、劈頭に申し上げたとおり、国会にも出された人事院勧告でありますから、私どももあなた方とよく話し合いを進めて、完全実施のできるような方途をまじめに考える。その結論が、私としてはこういう方法もあるのではないかということを申し上げておる。研究されないならされなかった、これからやりますとでも、もう少し誠意のある答弁をいただきたい。
  10. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ちょうど予算編成期にございますから、さような問題を十分に検討はいたしまするが、一体そういう費目が性質的に見て予備費というような扱いをすべきかどうか、この点にもいろいろ問題があるわけでございます。むしろ、そうなれば、ある程度用途が予想されておるのでありますから、やかましく議論をしだせば、むしろ予算費目としては、俸給のほうに、人件費のほうに直接見積もるということのほうが、理屈としては合うのじゃないかと思います。しかし、これは予算編成の基本的な考え方にもよるわけでございますので、今後十分話し合いはいたすべきでございますが、たとえ当初予算にさような金額の見積もりがなく、予備費の形においても計上できず、結局補正予算実施をするというたてまえに相なった場合におきましても、とにかく人事院勧告が五月実施でありますならば、五月実施目標として補正予算組むようにすべきものがたてまえ、かように考えておるわけでございます。今年度補正予算並びにこの実施方針決定するにあたりましても、いろいろ閣議でも検討を加えられたのでございますが、来年度におきましては、できるだけ実施できるようにくふうしよう、こういうような考えのもとに、一応今年のところは提案のような趣旨に決定をいたした次第でございまして、来年度も本年の例に基づいて同じような扱いをするということは、閣議の席上におきましてもそういう考え方はとらないということをはっきり話し合っております。
  11. 山内広

    山内委員 予備費繰り入れが困難であれば補正予算で補う、これは当然のことなんで、そうできればこれは一番いいことなんです。ところが、きのうの御答弁にもありましたとおり、四月に始まる年度の一カ月を過ぎて翌月から増額するというのは、予算体系をくずしたくない、そういうことは困難だということはどうして解決されますか、かりに額の問題は補正予算でお組みになって、政府がやる気になればできるのです。公務員だって、上げてくれれば、多少の時日のずれは、おくれて支給されても、それは完全実施してくれれば喜ぶと思うのです。けれども、法の体系をくずすというような問題があるから、それで研究してくれ。それからいまお話のありました、それくらいならば本俸に初めから繰り入れるように予算を初めから更新したほうがいい。それができるならこんないいことはない。だから、予備費に繰り入れられない理由がどこにあるのか。なるほど予備費の性質というものは、コレラがはやったからそれに使うとか、いろいろ使途というものは私も承知しておるのです。けれども政府が困る困ると言うから、こういうことも一つ方法でないのか。これはどうしても給料はそういうことができないというなら、初めからそういうことを主張はしない。もう一ぺんこの問題は身を入れてひとつ研究していただきたいと思う。  それから次にもう一つ、それではその問題はそれくらいにして、これは大橋大臣にお聞きするのはちょっと筋が違うと思いますけれども、今度通常国会が二十日から持たれることになりますけれども、第二次補正予算政府としてお組みになるのかならないのか。私としては組まざるを得ないと思っているのですが、その点のお見通しはどうですか。これは給与問題ばかりでなく、一般論を申し上げておるわけです。もっと具体的に、落とし穴があると思って警戒されるといけないから、お尋ねする理由を申し上げます。いま数字を書いたのをちょっと持ってきませんでしたが、昨年も補正予算を一千四、五百億、一次、二次二回にわたって組んでおる。それで、今度第二次の補正予算を来年組むことになりますと、それがちょうど、いまあなたがおっしゃる完全実施をする、政府がずった五カ月分、これを補正するチャンスが、その場合にあるという見解を私は持っているわけなんです。今回の国会は、残念ながらきょうおそらく予算は上がるでしょう。ですから、こちらの法案をどういじろうとも、予算をいじる余地がないから、私ども残念ながらある程度引き下がらざるを得なくなっているのですが、第二次補正予算を組む機会があれば、そのときは補正することができるのですから、そのことについてお見通しを聞いているわけです。
  12. 大橋武夫

    大橋国務大臣 大蔵大臣にはっきりしたことを伺わなければ正確なお答えはできませんが、ただいままでのところでは、第二次補正予算については、まだ何にも私といたしましては承知いたしておりません。
  13. 山内広

    山内委員 そういう御答弁だろうとは私も予想しておりますが、それでは、そういう第二次補正機会があったら、この五カ月のずれた分を補正するという意味で、その機会をとらえて大臣は、完全実施チャンスとして、そのときにこの補正で、たとえば期末手当を上げるとか、あるいはいろいろな方法があると思う。それはあなたのほうでそれに見合うだけの処置を講ずれば、その手段についてはおまかせしますけれども、そういう誠意を持っておやりになるならば、そこまで大臣は踏み切るお考えがあるかどうか、その点をひとつ……。
  14. 大橋武夫

    大橋国務大臣 この問題は、多数公務員方々収入に直接関係のある問題でございまして、正確なお答えをいたす必要があると存じまするので、はっきり申し上げておきまするが、かりに今年第二次補正予算機会があるといたしましても、今年の人事院勧告のベースアップ問題についての処理といたしましては、政府はただいまの提案をもって、今年度内の問題はこれで一応終わったという考え方で進んでおるわけでございます。
  15. 山内広

    山内委員 はなはだ残念な回答をいただいたと私思うのです。きのうも非常に低姿勢で、完全実施するのは責任があるからやるというお答えですけれども、そういう機会があってもそれをとらえようとしない給与担当大臣責任については、私非常に残念に思うわけです。しかも、おそらく、この第一次補正、第二次補正を見ましても、どこに財源を求めるかというと、これは租税自然増収印紙収入に求めることにきまっておるのです。ですから、政府財源がないから完全実施できないという口実にはこれはならないのだ。私これは断言します。第二次補正予算は必ず出してくる。その財源は、租税伸び印紙税収入伸び、これを当て込んでちゃんと出してきます。財源は隠されておる。あとでもう一ぺんこの隠し財源の問題を申し上げますけれども、これは要するに政府誠意の問題です。こういう自然増収というものは見積もれるということがはっきりしたら、大臣、もう一ぺんひとつあなたは自分責任——政府の閣僚であると同時に、私ども国会完全実施をする責任があるのですから、そういう意味で、もう一ぺんこれについての回答をいただきたい。
  16. 大橋武夫

    大橋国務大臣 この問題につきましては、今回の第一次補正予算決定に際しまして、今年度内の取り扱いといたしまして、終局的な態度をすでに決定をいたしまして、かような決定になったということは、まことに私も微力で申しわけないと思っておりますが、また遺憾千万であったとは思っておりますけれども、一応政府といたしましては、この問題については最終的な処理決定したという考えでございまするので、今年度内にあらためてこの問題を政府部内で蒸し返すということは、ちょっと適当でないという見通しでございます。
  17. 山内広

    山内委員 政府はいま言ったような方針をきめられておるかもしれませんけれども、私ども国会側としては、あくまでもあらゆるチャンスをとらえてこの人事院勧告、これは議長に対しても勧告なされておるのですから、これは当然果たす義務があるのです。  そこで、私は、希望として大臣に申し上げておきたいのですが、かりにこれは一歩下がって、五月完全実施でなくとも、この勧告のなされた八月、この時期ぐらいのさかのぼった補正というものは、第二次の機会があったらやるべきだと思うのです。これは政府決定は一応そういうことをなされておるかもしれませんけれどもあとから明らかにしたいと思いますけれども、最近非常に急激な物価上昇が、消費物価については特に値上がりしていることは、総理も認めておる。これは四月で民間との格差を補整して今度は出された勧告でしょう。その後急に、消費物価が上がって、俸給取りは困っておるにきまっておるのです。最近たくさん寄せられておる給与明細書も、おそらく大臣ごらんになったと思う。人事院総裁ごらんになっておると思う。担当大臣として、まあ全部はできないけれども、せめて勧告された八月からさかのぼって八、九、この二ヵ月分くらいの処理は、第二次補正の際に当然、もう税の自然増収というものは見込まれるのですから、財源をそこに求めて、必ずこれくらいのことはやるように努力しますくらいの誠意のあるところは、私は示していただきたい。そうでなかったら、何のために窓口をあなたに置いて、給与専門担当をやらしておるのですか。大蔵省に負けて、そうして自分責任を果たさないという手はないのです。その点についても、あなたの個人的なというか、担当大臣としての誠意のある考え方をひとつ出してもらいたい。
  18. 大橋武夫

    大橋国務大臣 実は、今次の決定に先立ちまして、私も、せめて八月ないし九月まで遡及して実施するという案につきましても、部内において極力折衝をいたしたわけでございます。しかしながら、何ぶん閣議の意向といたしまして、結局、提案したような決定に相なったわけであります。私も、ひとまずそれをやむを得ないと考えまして了承をいたしておりまする立場から、この問題を今年度内において重ねて蒸し返すということは困難かと存じます。
  19. 山内広

    山内委員 そういうふうに大臣が言い切ってしまうと、もうあと給与担当大臣をかわっていただくくらい考えてもらわなければ、これは自民党の皆さんだって、国会が侮辱されたようなもので、人事院勧告をわざわざ私ども受けておりながら、それが完全にできないのですから、私は、大橋さんを悪く言ったことはない、前は非常にほめたのですが、今回のやり方は私はあまりほめられない。財源だって、今度の補正は二百六十一億六千九百万円で、これは六カ月ですから、こちらは五カ月ですから、これに下回るものの予算措置をすればいいのであって、おそらく第二次補正予算というのは、まあ私はしろうとでそういう計数には明るくないけれども、前の例から見ても、おそらく数百億の補正予算が出てくるわけです。ですから、ひとつ大臣もこの点は頭に置かれて、もう少し誠意のある解決をこの際そういうチャンスにやっていただきたいと思います。これは私希望を申し上げておきます。  その問題はそれくらいにいたしまして、今度とられた予算措置の問題ですが、今度の補正予算関係で、所要額は御承知のとおり二百八十一億二千五百万になっておりますが、このうちに不用額となった十九億五千六百万円を財源に一応充てておるわけです。これはこの前のときも、私、はなはだ不愉快な補正である、この分は定員欠員のままに仕事をさしたり、予算定員でとったこの予算欠員不補充のままに出た不用額がおもなものだと思うのですが、こういう人件費で、しかもそれだけ公務員方々定員が少ないままで働いたのだから、会社ならボーナスで当然くれる性格のものですが、ただ、公務員であるためにそういうことができないから、せめてこういうものを財源に充てて、若干でも期末手当をもう少し上回るものにしたらいいし、またそういう性格のものだということを、この前申し上げたはずなんです。今回もまたこれを不用額として落としておるわけです。こういうところにきめこまかい配慮をすれば、給与担当大臣としても、全額五カ月分の完全実施はできなくても、せめて一カ月——これは半分以上の財源で、あとほんの十億か何ぼ見ればいいのですから、ないということは言えないと思うのです。かりに一カ月を繰り上げて九月実施にする場合、非常にいい財源じゃありませんか。これはどういうお考えでこういうことをやるのか、もう一ぺんこれは大蔵省のほうからもお聞きしておきたい。
  20. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 ただいま御質問のありました点は、給与財源所要額に対して約十九億の不用額を差っ引いて予算に計上しているという点についてどう考えるかという御質問であったと思いますが、現在の給与法定主義のたてまえからいたしますと、給与予算額は、それぞれ法律上の義務に基づいて各公務員に対して支払われるものに対して、一応予算定員で計上いたしておることは、御承知のとおりであります。ただ、実際の問題といたしまして、各省庁においてはある程度摩擦的な欠員というものは当然起こってまいりますのが、過去の例に見て明らかでございまして、また、たとえば教員等についても必ずしも充足されないというような面もございますので、起こらざるを得ないわけでございます。ただ、このような場合におきましては、当然財源的に見ますと、先生御指摘のように、不用額にならざるを得ないわけでございます。私ども予算をあずかるものといたしましては、そういった不用額がございまして、一方で法律上の義務的な所要額が生じました場合においては、当然それを差し引きして予算に計上するのは、予算のたてまえとしてはやむを得ないことであろうというふうに考える次第でございます。
  21. 山内広

    山内委員 これは政治的判断と政治的配慮によってなされることで、大蔵省のお役人の立場とすれば、私はそれより回答が出ないと思うのです。ですから、これは大臣のほうに、こういうものは性格から見て財源としてあるのだ、しかも、これは初め組んだ額の何%落とすという、このパーセントはどれぐらいに見ておるのですか。あるいは月々の累算によって十九億というのが出るのですか。もし月々の累算であれば、これは何月から何月分に該当するのですか。
  22. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 今回の所要額から実際の予算計上額をはじき出します過程におきましては、各省に対して照会をいたしております。予算の実行上も、一応定員によって計上されました予算で、各省がこれを新たに人員の増加なりあるいは欠員の補充なりをしてやってまいります過程におきまして、昭和三十八年度予算におきましても、たとえば大体閣議決定のございました時期をとりまして、各省庁としても大体の見通しがつくわけでございます。その場合におきましては、あるいは先生のおっしゃるように月割りというような形もあるかもしれませんが、大ざっぱな感じから申しますならば、大体欠員見通しがこれくらいになるというのが大勢であろうかと思います。このような欠員見通しを各省庁からとりまして、各省庁としてそれぞれ積算された不用額を私どもとしては計上いたしたわけでございます。
  23. 山内広

    山内委員 これは大橋大臣にちょっと御注意申し上げておきますけれども、毎年この不用額というのは、一〇%ぐらいになりますか、見ているわけですよ。そうすると、当初年度予算の劈頭に組んでおいて、そしてこれはもう初めから隠し財源として見積もれるものなんです。だから、新たに給与改定して増額になって、予算をふくらすときには、予算体系をくずすから困難だという御答弁があるけれども、こういう財源を求めてよそに使うときには、全期間にわたってちゃんと初めから予想の立つものを組んでおるのですよ。こういうことは私はおかしいと思う。出すものについては抑制しておる。入ってくると見積もれるものは、初めからもうわかっていながら、予算を組んで不用額にして毎年落として、そこに財源を求めておる。そしていかにもこの公務員のベースアップの要求が、金がない、金がないという印象を与えて、不用額までへずったような印象を与えるけれども、もうこういうものは初めからわかって、不用額で計上できる額なんです。これについての御返事をいただきたい。
  24. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 私の答弁が少し不足しておりましたので、補足さしていただきたいと思いますが、先生御承知のように、現在の人件費予算の積算は、定員定額主義という考え方で組んでおるわけでございます。このようなたてまえをとります場合におきましては、確かにただいま御指摘のありましたような不用額は毎年若干ながら生じてまいることは事実でございます。したがいまして、予算のたてまえとして、むしろ実員実額主義で組むべきだという議論もかなり強いわけでございます。ただ、各省庁のほうのお立場からいたしましても、実員実額主義で組みまして、あとで充足率によってこれを変えてまいるということは、非常に技術的にもやっかいな問題が生ずるわけでございますので、現在のところやむを得ないかっこうとして組んでおる。ただ、あるべき姿としては、次第に実員実額主義の方向に進むべきであり、また防衛庁等につきましては、現に予算計上にあたりまして、ある程度充足率等も勘案された金額人件費を計上しておるわけでございます。
  25. 山内広

    山内委員 これは大臣がその気にならないと、いまの法理論だけではきまらない問題ですから、あとでまた大臣に、こういうことも委員会で指摘があったということでひとつ御研究いただきたい。  いまの大蔵省答弁の中で、防衛庁だけは別に予算を計上せざるを得なくなった、こういうような意味ですか。それはどういうことですか。
  26. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 ちょっと私の答弁を誤解されたようでございますが、防衛庁等につきましては、御承知のように、たとえば陸上自衛隊の充足率というのは必ずしも高いものではございません。したがって、先ほど申し上げた摩擦的な欠員というよりは、かなり高いわけでございます。したがって、当初予算におきましては、必ずしも定員ではなくて、ある程度の実際の充足率を勘案した金額を計上しておる、こういう言い方をいたしたわけでございます。
  27. 山内広

    山内委員 そうすると、こういうことですか。防衛庁に対しては欠員が、初めから大幅に何万人というなかなか採用不可能な線があるので、それだけ予算を落としておる。ところが、今度充足されたために、それだけをプラスして出した、こういう御回答ですか。
  28. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 そういう意味ではございませんので、先ほど一般的に定員定額主義で組みます場合に、その例外としてそういう充足率を持った予算の計上のいたしかたをしておるということでございます。
  29. 山内広

    山内委員 そうしますと、防衛庁の職員は約六十億の予算ですね。しかし、今度の補正でもって所要額は五十七億でしょう。そうすると、防衛庁だけでは不用額でなくて別に計上せざるを得ないということ、私の聞くのと同じじゃないですか。
  30. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 結果的に見まして、そういう問題もございました。ただ、私どもが最初答弁申し上げました点は、たてまえとして定員定額主義によらなかったケースがあるという意味で申し上げたわけでございます。
  31. 山内広

    山内委員 定員定額によらないのは防衛庁だけですか。
  32. 平井廸郎

    平井(廸)政府委員 現在までのところでは、目立ってそういう事態が起こっておりましたのは防衛庁でございますので、防衛庁だけでございました。ただ、今後の問題といたしましては、そういう事態がかなり広範に起こりますならば、そういうことも考えていかなければならぬであろうというふうに考えております。
  33. 山内広

    山内委員 ではその不用額についての問題はそれくらいにしまして、あと人事院が私どもに示されました資料の中の生計費の問題で、少しお尋ねしておきたい。  これはこの前も同じケースで出たのですが、東京都の人事委員会が東京都知事並びに都議会に出した独身男子の標準生計費と、それから人事院がお出しになったもの、これも同じ東京都の調査であります。しかし、片方は四月で、東京都のほうは五月と、たしかそういうことで一カ月のずれがあることは私も承知しておりますけれども、わずか十八歳の独身男子、今度一万二千五百円ですが、その中で千三百円の差を生じておる。一割以上である。これはどうしても算出の方法に合点がいかないのですが、なぜこういう差ができたのか、その点の理由をお聞きしたい。
  34. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 まず、私からお答えさせていただきますが、これは御指摘のように従来から東京都もやっておりますし、人事院もやっておりますが、ふしぎなことに一致したためしがないという意味で、たびたびいま御指摘のようなことが出ておるわけでございます。私どもは、御承知のように、総理府統計局の家計調査、それから厚生省の栄養調査というものを基礎にいたしまして、従来一貫した一定の方式で適正な額を算定しておるわけでありまして、これに万々間違いがあるとか遺漏があるとは思っておりません。しかしながら、違いがあるということは事実でありますから、できるだけの調べはしております。また、われわれの算定が間違っておるために公務員諸君にたいへんな御迷惑をかけ、不利益を与えたということになりますと、これはたいへんな責任でございますから、そういう意味も含めまして検討してまいっておりますけれども、ただいま御指摘の人事院は四月、向こうは五月というようなことが、一つの明瞭な出発点の違いでございますが、その他の点につきましても、やはり東京都は東京都でまた別の給与体系を持っておりますから、あるいはそういう関係からきた格差ではないかというふうに感じております。要するに、そういう意味で、これを他山の石として常に人事院調査の適正ということについて反省は加えておりますけれども、今日までの検討の結果においては、わが方の調査が誤りであるというような結論は得ておりません。
  35. 山内広

    山内委員 これはどちらもマーケット・バスケット法によって、非常に詳細な消費物価体系をとっておりますから、人事院でおとりになったのと、都の人事委員会との、どういう点で差が出たかということは、おそらく御調査になって、おわかりになっておることだと思う。ただ、私ここにふしぎに思うことは、雑費の場合、前回もそうでしたが、これは二度目ですが、雑費に非常な差があるということ、雑費の定義といいますか、内容といいますか、そういう点にあると思うのですが、雑費の内容をもう一度明らかにしてもらいたい。
  36. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいま東京都と人事院の標準生計費が違うではないかという御指摘でございます。ただいま総括的に総裁からお答え申したとおりでございますが、御承知のように、標準生計費の算定は、人事院におきましては、食料費はマーケット・バスケットという方法でやっております。それからそのほかの住居・光熱費、被服費、雑費等につきましては、総理府統計局の生計費調査をもとにいたしまして、いわゆる換算乗数方式というもので人事院はやっております。この換算乗数方式というものにつきましては、かねて御議論があるところではございますが、人事院人事院考えによってやっているというわけでございまして、したがいまして、その計算方式の結果、われわれのほうは雑費につきましては三千六百四十円、東京都は四千二百九十円という数字になっております。しかしながら、これは算定方法につきまして、人事院人事院やり方を一応考えているということでございます。  そこで、どうしてこういうふうに東京都と人事院と違うのかというお話でございますが、これを各都道府県の人事委員会がおつくりになる標準生計費について見ましても、これは人事院と合っているということはございません。どうもいろいろ原因等につきまして申し上げにくい面も多々ありますが、人事院は八月にこの計算をいたすのであります。各都道府県におきましてはおおむね十一月から十二月ごろに勧告なさいますので、人事院の標準生計費を見た上で御計算になるという事情もございます。それからまた、都道府県によりましては、国家公務員給与の基準によられることが通常でありますけれども、特に不交付団体等におきましては、国家公務員よりも上回った給与水準のところがあるのでございます。そういうところにおきましては、たとえば高等学校の卒業生、われわれのほうで言えば、いわゆる初級職試験に合格いたしました者の初任給でございますが、そういうものが、不交付団体のあるものにつきましては国家公務員の水準より上回っているものがございます。そういうところにおきましては、やはりそういうところと話のつじつまを合わせるというような御見解もあるのではなかろうか、これは想像でありますけれども、そういうことでいろいろ御計算になっている結果、いろいろ違いが出てくるのではなかろうか、このように考えている次第であります。
  37. 山内広

    山内委員 私は、この生計費がまちまちであるというところから、二つの問題を実は考えさせられておるのであります。  一つは、各都道府県の人事委員会がこういうやり方でやっていくと、国家公務員地方公務員との給料の格差の問題が一つ大きな問題になりやせぬか、この点が一点。  もう一つは、東京の場合、かりにどちらもりっぱな正しい資料に基づき、計算の基礎でやって、一割こえるだけの格差が出るということは、こういう資料をあなた方から寄せられた場合に、これの信憑性という問題、一体こんなに差があっていいのか、信頼していいのか、あるいは正しいという前提に立てば、四月と五月の一カ月の間に一割ももう消費物価が上がってしまった、こういう問題も出てくるわけです。そういうことで、これはもっと歩み寄った——歩み寄ったというか、どちらも自主性を持っておやりになっておるわけですから、どちらがいい、悪いということでなく、もっと近づいた計算が出てくるのがほんとうではないか、同じ東京都なんですから、しかも十八歳の独身男子というと、そう生活が複雑なわけでもなし、単純な一人者の生活費がこんなに差が生ずるというのは、どうもちょっと私合点がいかないのですが、今度こういうものの計算をどうおやりになるのか、このままで推し進めていくのか、その点をちょっとお聞きしたい。
  38. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 人事院の標準生計費につきましては、これはまあいろいろ御批判もございます。したがいまして、それに対してわれわれも絶えず反省をいたしておるのでありまするけれども、現在の方式といたしましては、大かた人事院方式が間違っていない、現在はそのように考えております。しかしながら、部分的に改善する必要があるというように考えられまするときには、今後前向きの姿勢でこれは考えていかなければならぬことは当然であろうというふうに思います。まあしかし、先ほど御指摘のように、東京都と人事院国家公務員とこれほど違うのはおかしいじゃないか、われわれもそのように思います。これはやはり現在の状況におきまして、各都道府県はそれぞれ自治体でございまして、それぞれ自分のところの自主性に基づいておやりになるという一つの面があるわけでございます。人事院が全国的にこれを各都道府県を国家公務員と同様に統制するということは、事実上できないのであります。そういうことの結果、先ほども申し上げましたように、ある都道府県におきましては、国家公務員より高い給与水準を現におきめになっておるところがあるのであります。このことは、標準生計費とも関係があるかもしれませんけれども、それより先行してそういう問題がある。これはまあ全国的に見ました場合には、必ずしも適当な方法とも思えない節があるのでございますけれども、現実の状況はそういうことでございます。しかし、われわれのほうといたしましては、八等級二号俸というものが、いわゆる高等学校を卒業いたしました初級職試験合格者の初任給でありまして、おおむねの府県は、大体国家公務員に準じてやっておられるのでありまして、その十八歳の標準生計費を東京で計算いたしまして——東京というのは、これは全国平均よりは若干高目に出る数字なんでありまして、そういう東京で計算いたしまして、これをささえの柱にしておる、こういう状況でございます。今後におきましても、研究はもちろんしてまいるつもりでございますけれども、おおむね大体の方針、大体のところといたしましては、現在人事院がやっておるところがよろしいのではないか、このように考えております。
  39. 山内広

    山内委員 その問題は、まあ議論をしますと時間がかかりますし、また日をあらためてよくひとつ検討機会を持ちたいと思います。いまちょっとお話の出ました一万二千四百円というのは、八等級の二号俸である。ところが、これは行政職員俸給表の第一表には、その前に一万二千四百に満たない一号俸の人があるわけですね。それから行(二)のほうの表を見まするというと、これまたちょうど五号俸と六号俸の間が一万二千四百円になるわけです。そうしますと、この五階級の人というものは、この標準生計費に満たない人がたくさんあるわけです。この考え方は、どういう考え方でこの決定をされたのですか。
  40. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 行(一)の場合について申しまするならば、これはいわゆる試験によりまして公務員に採用されるということがたてまえでございます。しかし、実際問題といたしましては、試験に合格しない場合でもとらなければならぬというような場合もたまにはあり得るのであります。したがいまして、原則として、国家公務員に採用いたします場合には、いわゆる人事院の採用試験に合格いたしました者を採用するということになります。これは一番下のところを申しますると、新制高等学校卒業ということになるのであります。年齢にいたしますると十八歳、いわゆる成人ということになるのでございます。そこで、成人でありまする独身男子十八歳程度、これは高校卒というところを目標にいたしまして、その採用いたします場合の等級号俸は八等級二号俸でございますので、八等級二号俸に対してそういうことを突っかい棒にいたそう、こういう趣旨であります。行(一)の八等級一号というのは、試験採用によらないで入ってまいりました場合の初任級、これはやはり試験採用とそうでない方法公務員となりましたときに、そこに格差があるということは当然でございますので、またそれは原則から申しますると、多少例外的なことでもございまするので、これは一号下にしてありますが、それがこの行(一)の八等級一号俸、いわゆる標準生計費に満たない数字になるわけであります。  また、行(二)の俸給表について申しますと、五等級の一号から五等級の三号というところが中学卒の人が入ってくる。これはおおむね十五歳程度の年齢でございますが、そういう人に対応いたしまする俸給金額、したがいまして、これはいわゆる行政(一)の八等級二号俸の金額とのバランスでその辺はきめてございます。しかし、八等級二号俸という金額は、いわゆる高等学校卒の人の初任給でありまするが、われわれ別途高等学校卒の初任給を民間給与調査で調べましたものよりも、標準生計費で突っかい棒をいたしますために、おおむね千円程度この数字は高くなっております。その効果はやはり八等級初号にももちろん及んでおりまするし、当然行(二)の俸給表も行(一)の俸給表と関連を持って作成してございますので、その効果は行(二)の俸給表の五等級にも及んでおる、こういうことに考えております。
  41. 山内広

    山内委員 こういう俸給表をつくった趣旨はわかるのですが、十八歳の男子の生計費で一万二千四百円というもが出ましたね。それがかりに年が一つ若いから、二つ若いからといって、これより安いのでは、食ってもいけないし、やってもいけないでしょう。だから、こういうことでランクを四つも五つも行(二)の場合につくるということは、私はおかしいと思うのです。ただ試験を受ける資格のない人だから、その人が資格を持つまで一万二千四百円に置いて、三年なら三年つとめたそのときに、これ以上の昇給の資格を与えるというなら私はわかる。資格がないからといって無理して、これだけ生きるために必要だというものの以下のものまでつくって、それに当てはめるといったら、これはどうして暮らしていけますか。生きていけますか。やはりこういうものは、最初の一号俸というものを一万二千四百円なら一万二千四百円に置いて、そうして資格ができたら昇給させていくというのならわかるのです。公務員ですから、それだけ勉強してやるとか、あるいは小学校を出てその受験の資格がなかったら、何年か据え置いて、それから上げていく、やはり最初の振り出しというものは、人間として生きられるだけのものから振り出しにしていくという考え方でなかったら——十八歳、十七歳、十六歳、十五歳で生計費にどれだけの差が出てきますか。理論的な根拠はないでしょう。かえって若い人ほどたくさんものは食うし、食料費なんかもっとかかると私は思う。これは大臣どうですか。こういう考え方はもう少し基本的に改められたらどうですか。
  42. 大橋武夫

    大橋国務大臣 十分に今後とも人事院に御研究を願いたいと思います。
  43. 山内広

    山内委員 人事院総裁、これに対するお考え方はどうですか。
  44. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 いまさら申し上げるまでもございませんけれども、私どもの根本のたてまえは、官民給与の比較ということを基本に置いております関係上、民間給与の出方によっては、公務員の場合においてもやむを得ざる数字が出てくることもあり得るわけであります。しかし、その一つの境として、ただいま申し上げましたように、高校卒の十八歳というところで、いわばてこ入れの意味で生計費を取り入れて、ただいま給与局長が申し上げましたように、その結果、民間の平均初任給よりも実は千円こっちのほうが高くなったということで、それがまたおのずからその周辺に波及してプラスを及ぼしているというようなところで満足せざるを得ないと、われわれのいわゆる合理的、理論的と申しますか、そういう立場から申しますと、申し上げざるを得ない。十五歳程度になりますと、これはまた親がかりの人がいるとかおらぬとか、いろいろな他の要素が入ってまいりまして、なかなかむずかしいことにもなると思います。
  45. 山内広

    山内委員 それもあまり議論をしておりますと時間がなくなりますから……。  総理府統計局担当者がおられたらちょっとお聞きしておきたいのですが、いろいろ最近の消費物価の値上がりが問題になっているわけですが、人事院勧告資料によりますと、これは四月の調査ですが、昨年に比べて一四・一%、千五百四十円の増高を要旨の中にうたっておるわけです。ところが、四月のこの時期をはずして、消費者物価の最近の値上がり、これを総理府統計局はどういうふうにおつかみになっておるのか、その点ひとつ発表していただきたい。
  46. 小田原登志郎

    ○小田原説明員 統計局で発表いたしております消費者物価指数は、一番新しいもので十一月まで計算をいたしております。それによりますと、昭和三十五年を一〇〇といたしました十一月の指数が一二二・七、こういう数字でございます。いま申しましたのは東京の指数でございます。そういたしますと、たとえば昨年の十二月と比べてみますと、六・九ほどの上昇率ということになっております。
  47. 山内広

    山内委員 私の求めているのは、人事院勧告は四月でなされているわけです。ですから、その以前のことはこの資料の中にもあるからよろしいが、最近非常に消費物価が高騰しているということは、新聞が報道し、われわれも始終聞かされている。四月以降この十一月まで幾ら上がっているか、こういうことをお聞きしておるのです。
  48. 小田原登志郎

    ○小田原説明員 ただいまお話がありましたことでございますが、四月の東京都の総合指数は一二〇・五、十一月がただいま申し上げましたように一二二・七となっております。この間にどれくらいの上昇か、ちょっといま計算をさせていただきます。
  49. 山内広

    山内委員 おかしいじゃないですか。一二二・五と一二二・七じゃ〇・二上がっておるだけです。どういうわけです。ちょっとそれは数字が違いませんか。それじゃほとんど上がっていないことになりますよ。もっと上がっているでしょう。
  50. 小田原登志郎

    ○小田原説明員 ただいまのは、四月と十一月を比較いたします場合に、両方の比を見るわけであります。そういう計算を簡単にいたしますと、東京都ではやはり四月から十一月まで一・八の上昇になっております。
  51. 山内広

    山内委員 その一・八というのは、パーセントですか、一割八分ですか。
  52. 小田原登志郎

    ○小田原説明員 一・八%です。
  53. 山内広

    山内委員 私は、こういう数字を、実はこれはある新聞から押えたのですが、三十七年の四月を一〇〇として、この人事院勧告をなされた四月の場合は七・九%上がっておる。ところが、この十一月になると、九・八で、もう昨年の四月から見ると一割の上昇をしておる。これが正しいか正しくないか。これから議論をしていく上に、あなた方の数字と合っておればいいし、合わなければまたそれを検討して——給料の問題ですから、慎重を期してお尋ねしておる。この点、私の申し上げたことに誤りがありますか。大体その辺で合致しておれば、それで話していきたいと思います。
  54. 小田原登志郎

    ○小田原説明員 ただいま申し上げましたのは、四月の指数がこれこれで、十一月の指数がこれこれで、この間の伸びがこの程度になるということを申し上げたのであります。
  55. 山内広

    山内委員 どうも私もたよりないけれども総理府統計局の返答もあまりたよりないので、あとはひとつ、時間も過ぎておりますから、結論のほうのお話を少し申し上げて——ども、この俸給に対する考え方、特に国家公務員は国民の奉仕者としていろいろ義務を負わせている関係が強いのですから、待遇の問題には十分に気をつけながら、体面を維持し、また喜んで業務に専念できるような体系をつくってやる責任はお互いにあると思うのです。そういうことで、政府考え方と私どもの見解との相違を若干申し上げ、大臣の見解をお聞きしておきたいと思うのです。  池田総理は、非常に最近賃金が上がっておる、そういうことで、低賃金国ではもうなくなったという考え方国会答弁でもされております。そういう点を非常に強調されておるわけです。ところが、今度私どもの立場にすると、そうではなく、非常に物価のほうが上がって、生活に困っておるという逆な見方をしておる。この食い違いが一体どこから出てきておるのか。この点は、基本的な考え方ですから、非常に大事だと思うのです。そこで私、大臣にお聞きしておきたいと思うのですが、私どもは確かに日本の経済は伸びたことは否定しておらないわけです。けれども、これは大企業がどんどん伸びていったのであって、首相の言われる国民の総所得と個人の所得との考え方の差に問題が生じておると思う。それで最近、こういう経済の成長をはかるために、非常に行き過ぎた設備投融資を行なったという見解を私どもは持っております。経済の伸びと個人生活とのアンバランスがいま非常に生じておる、こういうことで非常に問題になっておるわけです。  それで、大臣にまず一点先にお聞きしておきたいことは、これは公務員給与ばかりではなく、一般の給与の動向についてお尋ねしておるわけですが、一体私どもの個人所得と国の経済の伸びとのアンバランスの問題をどういうふうにお考えになっているのか、その点をちょっとお聞きしておきたい。
  56. 大橋武夫

    大橋国務大臣 個人所得のふえますためには、経済成長が前提にならなければならぬということは申すまでもないのであります。ただ、経済の成長にいろいろ波がございますし、また、その経済の成長が個人の所得に影響するまでの事情にもいろいろそのときどきの違いがありますから、ときとして、経済成長と個人所得の均衡が必ずしもとれないというような場合もなきにしもあらずと考えます。これらの場合におきまして、個人生活に対する圧迫をできるだけ政府として除去していく、そうして常に経済成長の伸びが個人生活の伸びにマッチしていきますように留意すべきはもちろんであろうと存じますが、しかし、そのときどきのアンバランスにもかかわらず、結局においてやはりこの両者は相伴うものだ、かように考えております。
  57. 山内広

    山内委員 これはこの議場であまり立ち入った議論をすることでないと思いますから、私どもも、これから通常国会を持たれ、この問題も取り上げられると思いますが、ぜひ申し上げておきたいと思うのは、ああいう敗戦で、私ども戦前からと比べますと実質賃金は非常に落ちたわけです。私ちょっといま資料を持っておりませんけれども、昭和二十年の十二月あたりのピークのときは、戦前に比べて一〇%くらいまで落ちたかと思うのです。それが約二十年近くたってだんだん回復していって、戦前の五〇%くらいに回復しておる。そういうことで、まだまだ先進国と比較して池田さんの言うような個人消費がふえたなんというのは全くうそでありまして、むしろ、個人の消費というのは最近減っておるのです。そういう点を明らかにしながら、この俸給の問題全般をひとつながめながら、その中に占める公務員俸給というものもどうあるべきかということで、この次の通常国会では十分の機会を持ってひとつ議論をしてみたいと思います。そういうことで、大臣のほうもあんまり総理の言うことばかりを信じないで、あなた自体の御研究、特に人事院総裁はやってもらいたいと思う。  いろいろ今度資料を私要求したいと思います。たとえば分配率の問題なんかを見ましても、生産された、それが企業と労働者と分配がどうなっておるのか、イギリス、アメリカはおそらく六割、七割という高額が労働者賃金に入っておる。日本はいま三〇%くらいでしょう。三二%かそこら。そうすると、生産性は向上したというけれども、すでにこの配分率一つ考えても、経営者のほうだけに多くする。そうして、資本の蓄積ということで、片寄った国民所得が出てきておる。それを全部総平均して、日本人の生活は非常によくなったという、これらの数字について、この次に明らかにしたいと思いますので、総裁のほうも十分準備をしておいていただきたいと思います。  以上、希望を申し上げまして、時間がありませんので、これで私の質問を終わります。
  58. 綱島正興

    綱島委員長 石橋君。
  59. 石橋政嗣

    ○石橋委員 最後に一点だけ、駐留軍労務者の給与のベースアップ、これの実施期日についてお尋ねをしておきたいと思います。  担当大臣にはあとお答え願うことにして、直接軍と交渉をしておられる防衛施設庁長官にまずお尋ねをしたいのでありますが、いまさら言うまでもなく、駐留軍の労務者の給与は、従来から公務員給与に準じた扱いを受けておったわけでありますが、本年からは完全に公務員給与体系がそのまま駐留軍の労務者にも及ぼされておる、こういうような関係にあるわけですけれども、問題はこのベースアップの実施期日です。国家公務員の立場からいいましても、せっかく人事院が五月実施勧告しているにもかかわらず、これを十月実施というようなことで、公務員諸君に犠牲をしいておるわけでありますが、こういうことでは消費者物価の値上がりにも対応できない、五月から実施しても対応できないのではないかと私は見ておるわけでありますが、これを十月にずらすことによって、もう完全に物価の上昇に追いつけないようなベースアップになっておる、このように思うわけです。この点、非常に不満に感ずるゆえに、いまも山内委員からいろいろお尋ねがあったわけでありますが、駐留軍労務者となると、さらにこの実施期日がずらされてしまう、まことに不都合だと思うわけであります。昨年も、担当大臣は対軍折衝の中でぜひせめて公務員並みの実施期日を確保したいという要求をしておりながら、これができませんでした。ことしもまたそういうことになると、たいへんな影響を及ぼしてまいるわけでございますが、現在までの対軍折衝の経過と今後の腹づもりを、ひとつ長官からまず聞いておきたいと思うわけです。
  60. 小野裕

    ○小野政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、駐留軍労務者のベースアップの適用時期という問題は、かねてから懸案であったことは御説のとおりでございます。年々これが改定について努力をしてきたわけでございますが、まだ思うような結果が得られませんで、まことに残念に思っております。本年の対軍交渉につきましても、最重点の一つとして鋭意折衝中でございますが、まだ見通しを申し上げる段階にきておりません。ただ、何と申しましても、私どもと軍当局者の調印ができた日以降ということになっているわけでありますから、まことに遺憾なことでありまして、何といっても早く決定することが一つの問題でございまして、こちらのただいま御審議をいただいております公務員関係給与改定につきましてめどがつきましたときには、すぐそれに続いて片づけるようにということについては、米軍側と見解は一致いたしております。ただいま御要望のありました、せめて公務員並みに扱うということについて米軍に強く申し入れをし、折衝を続けておる。その見通しにつきましては、いま申し上げるわけにはまいらない、こういうことでございます。御了承願います。
  61. 石橋政嗣

    ○石橋委員 公務員の諸君の場合には、十月一日から実施ということになると、自然的に、その間退職した人たちも、これは適用を受けるわけです。しかし実際には、公務員の諸君が年度の途中で退職するというような場合はわずかなんです。これに比べると、駐留軍労務者は非常に不安定な職場に働いておって、しょっちゅうさみだれ的に整理が行なわれておる。  まず最初にお尋ねしておきたいのですけれども、この十月から現在までにどの程度の整理が出ているのかということです。
  62. 小野裕

    ○小野政府委員 お答えします。  正確な数字は持っておりませんで、恐縮でございますが、大体月百名前後と踏んでおります。十月、十一月、十二月で二百数十名、概数でございますが、そのように考えております。
  63. 石橋政嗣

    ○石橋委員 労務部長も見えておられるようですが、そんなものですか。
  64. 藤本幹

    ○藤本説明員 ただいま長官からお答えのございました整理数は、そのとおりでございます。ただ、定年解雇による退職予定者があります。これは約三百名ございます。
  65. 石橋政嗣

    ○石橋委員 両方合わせて大体五百人くらいになるのではないかと思うのですが、その程度の人数の者に対して、遡及してやれないというようなことは、あまりにも情けないと思うわけですけれども大臣お見えですから、大臣に決意のほどを私はお尋ねしておきたいと思います。お話は聞いておると思いますが、駐留軍労務者のベースアップ適用の期日です。公務員は十月一日ということにきまれば、十月一日にさかのぼって、かりに退職をしておる人たちでも、その恩典にあずかるわけですが、駐留軍の労務者はこの恩典にあずからないということに、昨年の場合なっておるわけです。ことしの場合もまたそういうようなことになると、非常に問題は大きいわけです。人数にしましても、いま合わせてもせいぜい五百人ということでありますから、ここはひとつ異常な決意を持って、何とか公務員並みの実施期日を確保するように、一段と施設庁長官を督励していただくのはもちろんでございますが、どうしても米軍が聞かないような場合には、大臣みずからこの衝に当たって、公務員並みの待遇をかちとってもらうように、ひとつ決意を新たにしていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  66. 福田篤泰

    ○福田(篤)国務大臣 御指摘の問題については、私は当然筋の通ったわがほうの要望だと考えております。したがって、いま施設庁長官を督励しまして、ぜひわがほうの要求をのむように、米側と折衝さしておるわけであります。近く回答がくるはずであります。回答次第によりましては、私みずから米側を説得に当たる考えでございます。
  67. 綱島正興

    綱島委員長 受田委員
  68. 受田新吉

    ○受田委員 一問だけお尋ねをしておきます。  きのうお尋ね申し上げた問題点について、政府資料をお願いしたのです。ここへ出されている三つの給与関係法案について、上に厚く下に薄いような現象を取り上げてお尋ねして、これに対する具体的な算定基礎を御要求申し上げた。いまここに資料が出ておりますが、もう少し早く拝見すると、大体見当がついたのでございますが、この特別職一般職と防衛庁職員その中で、事務次官を十六万円とする案が出ております。そしてこれは次官に対する限られた号俸が規定されておるのであります。さらに、国務大臣三十万円、総理大臣四十万円というのが、特別職の法案に出ております。これは給与の低い、一万五百円の行政職(二)の最下位の給与、及び行政職(一)の最下位の給与などに比較すると、著しく上部が上昇している。国民感情の上からも、勤務意欲を若い人に持たせる上からも、問題がある。もっと下を優遇して上を押える手はなかったか、こういうお尋ねをしたわけです。このたび思い切って特別職の上を下げ、一般職の次官と、大学の特定の総長を十七万円と十八万円、こういう御措置をおとりになっているし、これに伴うて最高裁の長官及び最高裁の判事を——これは法務委員会にかかっていて、比較検討するのに便利が悪いけれども、ここで一括審査をするほうが妥当でありますが、そういうふうに、特定のごく一部の管理職の皆さんを優遇して、初任給もこのたび措置されているが、それはほんのスズメの涙であるということを考えたときに、国全体の給与体系をもっと適切妥当にする基本的な御研究が願えなかったものか。総理大臣が十四万円も引き上げられてくる。これは明らかに五割増し以上の引き上げであります。これによって波及する他の高級公務員、及び一般民間の大企業の重役等へのはね返りというようなことも、当然予想されることであって、上厚下薄の思想が至るところに波及するおそれがあります。民間給与が先か、公務員給与が先かという議論にもなってくるわけです。人事院としては、これだけ特別の管理職の皆さんに高い給与が支給されるような法案が出されたことには、一応の懸念があろうと私は思うのです。人事院勧告されたものに、政府が独自の見解として、次官十六万とか、あるいは大学の総長十八万、十七万とかをつけ加えておられるのでありますが、政治的配慮で、人事院勧告にないものをこれに結びつけておられる。こういう点につきまして、政府として、上厚下薄の思想を啓培するおそれのあるような改定をされたとわれわれが判断することに対する御説明を、もう一度この資料に基づいて伺いたいのであります。
  69. 大橋武夫

    大橋国務大臣 この事務次官の十六万円というのは、これは特に政府がつけ加えたわけではございません。一般職につきましては、勧告どおりということでございます。
  70. 受田新吉

    ○受田委員 その点はそうです。人事院にちょっと伺いますが、大学の総長は、前の文部省から出された法案になぞらえるような案がここに出ているわけです。それと、事務次官をそれにくっつけておられるわけですが、これは大学の総長の任免特例法を参考にされたのか、あるいは独自の見解でお出しになったのか、御答弁を願います。
  71. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 ただいまのお話しの七大学の学長については、まさに前に文部省方面の法案があって御審議になられました。その節、人事院は何をぐずぐずしておるかというような御批判があったわけであります。そういうことと今回のわれわれの勧告とは、実は直接の関係はないのであります。私ども考え方の出発は、むしろ、この事務次官というような官職を考えまして、これが国務大臣を補佐する行政部門としては最高の官職であるというような点から見まして、その職務と責任を評価してみますというと、今日の従来の給与は少しどうも低過ぎるのじゃないか。また、民間の上級管理者の給与の実情等を考えましても、これは低いというわけで、一等給の中の八号俸、九号俸ととまっておりますところを延ばしまして、別の官職指定の形で特号俸というものを設けて、十六万円という数を出したわけです。今日十六万円という数を特号俸として出したことから、給与体系も変わってまいりまして、扶養手当などは今度はそれには給与しないというようなことはございますが、要するに、そういう観点から事務次官等の給与を特定したわけで、そこで今度は従来の東京、京都などの七大学の学長を見ますると、これは実際の運用におきまして事務次官などよりも高く評価されておるというようなことから推していきまして、十八万、十七万という数字が出たわけです。昨年の数字とはちょっと違っておりますけれども、われわれはそっちのほうから推していった結果、これが合理的な数字であり、したがって、昨年のまる写しではないわけであります。
  72. 受田新吉

    ○受田委員 事務次官を十六万円という数字に持っていかれた、その十六万円という算定基礎は何ですか。
  73. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 これはただいまこういうのをお配りしてありますのですが、これを参考にして算定をしたというわけでございます。
  74. 受田新吉

    ○受田委員 これは私理解ができない点があるわけです。事務次官の十六万、大学の十八万、そして今度は特別職の四十万、三十万、二十二万、これは外国の例なども徴してということでありましたけれども、かっちり五割増の総理給与、十六万の次官の給与、こういうものが一般低級の給与者に与える悪感情というものがどのように大きいものかということも、当然考えていかねばならぬので、一挙に五割増しというような賃金というものは、国民感情の上においても問題があるわけです。この資料では、四十万という数字が日本の国情に応じて出てこないんじゃありませんか。三公社、開銀総裁などの給与と比較されての議論は成り立たぬわけです。こういうものが間違っておる。そういう点から、少なくとも民間の給与の重役クラスに与える影響を考えたら、また新しい上厚下薄の思想が生まれてくる、それを防止することは非常にむずかしい現段階であることを御理解をしておられたのかどうかということを、私非常に懸念をいたします。一番低い給与をもらっている一万円前後の皆さんの立場を考えたときに、もう少しこの問題は真剣に取り組んで、十分に討議をしなければならぬと思っておるのですけれども、いま一応資料を出していただいたばかりでありますから、研究を続けさしていただきましょう。  それに関連して、最後の問題ですが、住宅手当の実情を伺ったところが、いま資料が出ております。これを見ると上級者に対する住居安定度と、中下級者に対する安定度を見ますると、上級者が非常に率がいい、中下級者は率が悪いということになり、充足率もそうです。このことを考えると、給与の高い人は住居も安定しており、低い人は生活が困難な上に、住まいさえも安定していないという実情が起こっておるわけです。これははっきり数字に出てきました。驚くべき差があります。ところが、私いま提案したいことは、こういう上級者には下級者よりも住居が安定しているような政策をおとりになりながら、下級者に対する住宅手当制度がまだ創設されておらない。むしろ、いま生活の根拠は住まいなのでございますが、人事院としては、住宅手当制度を創設して、この中下級者の住まいによる大きな不安を解消する熱意を持っておられるかどうか。それから政府は、たとえ人事院が住宅手当制度を勧告していなくても、政治的見解から、政策的な措置から、住宅手当というものを創設して、法案をお出しになるという雅量を示してもらいたかったが、何らそれに触れておらぬ。住宅問題は、いま公務員の一番重大な生活問題であります。これに対する両当局の御見解を明らかにしていただきたいと思います。
  75. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 まず人事院から先に申し上げますが、いま御指摘の問題点は、私どももまことに重大な問題として、今回の勧告にあたりましては、特に苦心苦慮いたしたところでございます。しかしながら、その住宅手当というような形で新しい制度を創設いたしますについては、それは民間の実情も一応調べてはみましたけれども、なかなか根本的にむずかしい問題であります。そしてまた、かりに手当を創設いたしましたとしても、七・五という苦しいワク内の操作としては、その辺からまたむずかしい問題があるわけでございます。われわれとしては、きわめて遺憾でありますけれども、まだそれに対する結論を得ないままで今日に及んでおります。なおその点については十分検討を進めてまいりたいと思いますが、一方においては、やはり直接宿舎の完備ということも私は重要なことだと思います。この点につきましても、あわせてこの勧告の際に、関係当局の大臣、要するに政府側に対して、その辺の施設の充実ということも強く要望してあるのでございますが、それらの点も勘案しつつ、何とかこれは適当な打開策を講じていきたいと努力をしております。
  76. 大橋武夫

    大橋国務大臣 住宅手当をつけるかどうかという問題でございますが、政府といたしましては、国家公務員法の現在のたてまえから考えまして、人事院におきましてこれについての勧告が将来行なわれるような場合におきましては、十分考慮すべき事柄だと思っております。しかし、いずれにいたしましても、さしあたりの措置といたしましては、国家公務員の住宅の建設を進めていくということが大切なことだと思っております。
  77. 受田新吉

    ○受田委員 大臣、あなたの御見解で問題が一つある。人事院勧告しないからやらないのだというような筋合いのものでなくて、いま私が指摘したのは、政策的に公務員の住宅政策を表面に押し出す意味で、公営住宅が完備する過程において、住宅手当を支給して、薄給の職員を救済するという政策的親心がないかということ、政府自身が、人事院勧告がなくても、政策的見地からこういう案をお出しになってもいいのじゃないかと私は思うのです。そのことをお答えになっておりません。  それから公営住宅の、公社の住宅計画は、具体的にはどのような構想を持っておられるか、その点も伺いたいと思います。  それで質問を終わります。
  78. 大橋武夫

    大橋国務大臣 住宅手当につきましては、政府部内でもいろいろ論議をされることもあるのでございますが、政府といたしましては、この問題は、やはり一連の給与の内容をなす一つのものと考えまして、特に政策的に人事院勧告を待たずに処理しようという考えは、ただいまのところ持っておりません。  なお、住宅の建築につきましては、できるだけふやしたいという考えで進んでおります。
  79. 綱島正興

    綱島委員長 これにて質疑は終了いたしました。     —————————————
  80. 綱島正興

    綱島委員長 これより三法律案を一括して討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。田口誠治君。
  81. 田口誠治

    田口(誠)委員 私は、いま審議いたしました一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案外二件に対して、反対の態度を表明いたしたいと思います。本会議で申し上げまするので、ごく簡単に申し上げてみたいと思います。  まず、私は、反対理由を申し上げる前に、人事院の職務、性格、なお勧告をされた場合に、国会、内閣がこれをいかに尊重すべきであるかという点について、最初に触れてみたいと思います。  人事院公務員給与に対する取り組み方というものは、国家公務員法の二十八条に示されておりますように、五%以上の格差の生じたような場合に、特に勧告をするという内容の精神になっておりまするので、そういうような考え方の上に立って今日まで勧告が出されてきております。ところが、私は、勧告の内容そのものにつきましても大きな疑念を持ち、不満を抱いておるような次第でございます。それはなぜかと申しますれば、従来からの勧告を見ますると、今回の勧告を含めてきわめて作為的で、政治的な含みを持った勧告がされているということでございます。しかも、その政治的な含みによって勧告された勧告すらも政府は認めないという態度につきましては、非常に不満を抱いておるような次第でございます。したがって、私ども国会議員として、国会勧告をされた以上、この問題に対しては真剣な取り組み方をして、結論を出してやらなければならないと思うのでございます。現在出されておるところの六・七%という数字が、一つの理論づけによって出されておりまするから、まず六・七%というものが妥当であるというように考えてみましても、五月実施というものが十月実施に延ばされることにおいて、実質的には四%のベースアップよりしてもらえぬのだということに相なるわけでございます。したがって、公務員法の二十八条にいうところの五%という基準を立てておりますことは、少なくとも人事院勧告したものが、一年を通じて官民の格差が五%以下では絶対にあってはならない、こういう精神が含まれておるということでございます。それを十月実施にしておることによって、それを下回る四%になっておるということは、国会としては認めるわけにはいきません。したがって、私どもは、まずこの五月実施を十月実施に延ばしたということに対して非常に不満の意を表し、この点について大きな反対の気持ちを持っておるわけでございます。昨日の質問にも申しましたように、万が一昭和三十八年度予算でどうしても補正予算化をすることができないような場合には、昭和三十九年度予算の中に組み込んででも人事院勧告を守って五月から実施をし、遡及精算をしてやるべきである、こういうように申し上げたのでございまするが、全くそのとおりでございます。将来民間の企業は、物価の上昇率が横ばいになりましても、上昇になりましても、現在の低賃金の実態からいきますると、賃金引き上げはございます。そのときには五%以上の格差は必ずありまするので、人事院勧告もあろうと思うのでございます。そこで私は、特に国会の審議としてまじめに取り組んでいかなければならないと思いますことは、物価の横ばいのときの賃上げの場合、それから非常に物価が上昇して生活に困っておるという、この実態の中において出された人事院勧告をなお値切るという、こういう国会の態度であってはならないと思います。したがって、そういう意味におきまして、私は、まず第一に反対の態度を表明いたしたいと思うわけでございます。  それから人事院の出されたところのパーセンテージそのものも、きわめて作為的で、欺瞞的なものがございます。私はこれは妥当なものとは考えておりません。と申しますのは、少なくとも国家公務員の場合は、民間企業の五十人以上という中小企業を含めた事業場を対象に格差を比較対照されるということが、私は間違っておると思います。その証拠には、昨日も申しましたように、公務員の賃金が非常に低いということと労働条件が悪いということから、せっかく国家公務員の上級なり中級、初級試験に合格した者が、半数以下しか役所に入らない、民間に引き抜かれておるという、この実態を考えてみましたときに、私がただいま申しましたところの裏づけを証明できると思うわけでございます。将来の日本の公務員が全国民のほんとうにまじめな奉仕者として、能率を十分に発揮し得るような環境をつくってやるためには、今日出されておるようなああいう勧告の基礎の出し方についても研究してもらわなければなりませんし、少なくとも勧告をされたものを完全に実施されることが当然のことであろうと思うのでございます。  したがいまして、私は、この政府案に対しましては、非常に不満の意を表しまして、日本社会党を代表しての反対のことばといたしたいと思う次第でございます。
  82. 綱島正興

    綱島委員長 次に受田委員
  83. 受田新吉

    ○受田委員 私は、民社党を代表して、いま提案されておる三つの給与法案に反対の意思表示をいたします。  その第一点は、われわれは人事院という機関の存在を十分確認しておりますし、そこで、一応事務関係で綿密な調査がされ、民間給与との関係により十分の検討が加えられて、勧告がされておる。その勧告された部分の実施期について五カ月もずれておるということは、これは人事院勧告を尊重したとは言えないという重大な問題点であります。この解決が過去四回において全然されないままで、このたびもまたうやむやのうちにこれを通そうとされることは、非常に重大な欠陥があること、また、政府与党の方も、国会へも勧告されておるのでありますから、政府が法案をお出しにならないとするならば、国会でこれを修正して人事院勧告を尊重するという国会側の責任があったのでありますが、与党の皆さんも御努力足らずして政府に追随しておられる。これまたはなはだ国会側の責任として、与党の皆さんに十分考え直してもらわなければならぬ問題だと思います。  同時に、今度実施される給与体系に上厚下薄の思想が濃化したということです。特に特別職において従来の体系を大幅にくずす施策がとられておる。先ほど提出された資料を拝見しましても、理由がまことに薄弱です。諸外国との比較などとこれに書いてありまするけれども、イギリスやフランス、西ドイツと比べたときに、今度引き上げられるのを見たならば、ほとんどこれらの国に変わらないほどの総理給与実施されるわけです。一般公務員給与比率を考えてみたときに、イギリス・フランス・西ドイツなどと比較したならば非常に大きな開きがあるのに、総理給与だけはこれらの西欧の国々とほとんど違わぬ給与を出すような、こういうばからしいことはあり得ないことです。また、政府関係機関、民間給与との比較もされるということでございますが、三公社、開銀総裁などの給与、民間企業役員(規模三千人以上)の給与を比べてみますと、三千人以上の規模の民間企業の役員が三十一万である。これを考えたときに、今度勧告された内容を見ても、五十人以上という人数の少ない企業を対象にして、低額の給与者の給与がきまっておる。総理や国務大臣は、その三千人以上の規模の一番えらい人の給与と比べてみても、大幅に上回る新しい給与を設定している。これは明らかに比較対象を無視した独断的な考え方で、政治的な給与というものがここにきまったと思います。これは、その政治的な給与というものが本質を逸脱するような形で行なわれているということに問題がある。比較論からいっても、非常にここで大きなアンバランスを生じた。こういうことを考えて、特に人数の多い低額所得のサラリーマンに対する処遇改善というところに心を向けておられない。これは民間給与との比較において、民間に人材がどんどん流れて、政府公務員には人材が少なくて、やがて国政を担当する行政府をあずかる方々は程度の悪い人がだんだがふえてくるという危険があるわけです。この点におきましても、公務員給与改善に思い切った上厚下薄の思想を是正するところの基本線が要ると思います。  こういう問題点を二つ取り上げまして、今回の給与法は三法ともわれわれの立場からする基本線を逸脱しているという点において、反対せざるを得ないということを申し上げて、討論を終わります。
  84. 綱島正興

    綱島委員長 これにて討論は終了いたしました。  これより採決に入ります。  まず、一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決を行ないます。  これに賛成の諸君の御起立をお願いいたします。   〔賛成者起立〕
  85. 綱島正興

    綱島委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案について採決をいたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  86. 綱島正興

    綱島委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決をいたします。  これに賛成のお方の御起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  87. 綱島正興

    綱島委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  ただいま議決いたしました三法案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任をお願いいたしたいと存じますが、これに御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 綱島正興

    綱島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。  次会は公報をもってお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。   午後一時十五分散会      ————◇—————