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1963-12-18 第45回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年十二月十八日(水曜日)    午前十一時一分開議  出席委員    委員長 中村 寅太君    理事 有田 喜一君 理事 上林山榮吉君    理事 神田  博君 理事 始関 伊平君    理事 多賀谷真稔君 理事 滝井 義高君    理事 中村 重光君       木村 守江君    周東 英雄君       田中 六助君    中村 幸八君       野見山清造君    藤尾 正行君       三原 朝雄君    井手 以誠君       細谷 治嘉君    松井 政吉君       伊藤卯四郎君  出席政府委員         通商産業政務次         官       田中 榮一君         通商産業事務官         (石炭局長)  新井 真一君         通商産業鉱務監         督官         (鉱山保安局         長)      田原 正邦君  委員外出席者         通商産業事務官         (中小企業庁計         画部長)    井上  亮君         自治事務官         (財政局財政課         長)      岡田 純夫君     ————————————— 十二月十八日  委員荒木萬壽夫君、八木昇岡田春夫君及び細  谷治嘉君辞任につき、その補欠として原田憲君、  落合寛茂君、加賀田進君及び細迫兼光君が議長  の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  閉会審査に関する件  石炭対策に関する件(三池炭鉱災害等に関する  問題)  炭鉱災害防止に関する件  請願   一 産炭地域自治体行財政確立等に関する    請願岡田春夫紹介)(第三二九号)   二 同外七件(山中日露史紹介)(第四〇    三号)      ————◇—————
  2. 中村寅太

    中村委員長 これより会議を開きます。  まず、閉会審査に関する件についておはかりいたします。  石炭対策に関する件については、閉会中も審査をいたす必要がありますので、議長閉会審査の申し入れをいたすことに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中村寅太

    中村委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。      ————◇—————
  4. 中村寅太

    中村委員長 次に、石炭対策に関する件について調査を進めます。  三池炭鉱災害等炭鉱災害について質疑の通告がありますので、これを許します。多賀谷真稔君。
  5. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 まず糒炭鉱災害についてお尋ねいたしたいと思いますが、鉱山保安局長は、福岡に参られまして、福岡新聞記者に対して、三池の場合と糒の場合とは異なるのである、すなわち、糒の場合には再三勧告をしておる、こういうような記事を見受けたわけですが、それはどういう意味であるのか御説明願いたい。   〔委員長退席上林委員長代理着   席〕
  6. 田原正邦

    田原政府委員 そういう発言をしたことはございません。
  7. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 私もその新聞記事を見て、事実関係がどうなっているのかはっきりしなかったわけですけれども、しかし新聞記事によると、そういうこと、あらかじめ糒の場合はおそれがあるからというので勧告をしておった、それを鉱業権者のほうで怠ったというような記事に受け取られておるのですが、そういう事実がないとすると、過去、この三池災害後において、糒炭鉱に対して保安監督をどういうようにしたのか、これをお聞かせ願いたい。
  8. 田原正邦

    田原政府委員 十一月の十九日に、本局に五つの監督署長を集めまして、そうして各山の最高責任者警告を発するように指示いたし、それから抜き打ち検査の具体的な方法を指示いたしております。それから糒炭鉱に対しましては、十一月の二十一日所長監督署に招致いたしまして、そうして警告をいたしております。そうして糒炭鉱に対しまして、十一月の二十五日に抜き打ち検査をやっております。二人の監督官を派遣いたしまして、抜き打ち検査実施いたしました。このときに、監督表によって六項目を注意いたしたわけでございます。さらに十一月の二十八日から十二月の一日まで監督官二名を派遣いたしまして、そして監督表を出して注意事項について指示いたしたわけであります。さらに十二月の四日に監督署鉱業所長保安管理者を呼びまして、抜き打ち検査の結果について具体的な指示を行ない、保安規程改善計画提出を求めたわけでございます。以上でございます。
  9. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 そういたしますと、六項目注意をし、さらに改善計画提出方を求めた中に、その個所は入っておったわけですか。
  10. 田原正邦

    田原政府委員 今度発生いたしました採炭個所は新しい切り羽でございまして、十一月二十八日から十二月一日までの監督検査のときにはまだできておらなかった切り羽であったわけでございます。その後この切り羽は十二月十一日から初めて運転をし始めた切り羽であったものでございますから、その監督のときにはなかったわけでございます。
  11. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 そういたしますと、監督のときにはなかった新しい切り羽、こういうわけですね。
  12. 田原正邦

    田原政府委員 さようでございます。
  13. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 そうすると、新しい切り羽の場合に、いわば新しい情勢、それから予想される危険性、さらに、炭鉱監督をいたしましても刻々事情が変わっていくわけですから、そういう事情の変わっていった場合の処置等については、何も十分な注意事項はなかったわけですか。
  14. 田原正邦

    田原政府委員 この場合にはしておりません。
  15. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 この糒炭鉱上尊鉱業株式会社に所属する炭鉱ですが、この上尊鉱業株式会社は豊州炭鉱水没事故で六十七名、いまだに遺体収容ができないという状態になっておったことは、御承知のとおりであります。さらに同一系統上清炭鉱においても、七十一名の大災害を出しておる。その後この上尊鉱業においては、保安は全体として非常に改善をしておると考えられますか。
  16. 田原正邦

    田原政府委員 当時と比べると相当改善されておった——必ずしも安全であったとは思いません。特に通気管理の面においては、遺憾ながら遺憾の点があったと思っております。
  17. 多賀谷真稔

  18. 田原正邦

    田原政府委員 一ヵ所にたまっておったガスでございます。その爆発する前に高落ちをいたしまして、そして坑道が狭くなって、そのために一ヵ所にガスが停滞した模様でございます。
  19. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 大体、通気が悪いということになれば、ガス発生のおそれがありますね。ですからこの炭鉱全体として、保安に対する認識が私は経営者に欠けておるのじゃないかと思うのですね。先般は六十七名水没事故でなくなって、遺体収容ができない。同一系統において七十一名、これは原因はいろいろ問題になっておりますけれども、要するに煙に巻かれて死んでおった、こういう状態。ましてや、今度また事故が起こった。ですから私は、こういったいわば重大災害を重ねた経営者に対して、一体物理的にのみその炭鉱保安を見られるのか、全体として、心がまえを含めて保安の監査に当たられるのか、これは私は非常に大きな問題ではないかと思うのです。
  20. 田原正邦

    田原政府委員 仰せのとおり、いままではむしろ、法規違反があるかないかという物理的な面だけを指摘して監督するやり方がおもであったわけでございますが、最近災害、変災がふえてまいっておりますので、総合検査と申しまして、単に法規違反有無の問題ばかりでなくて、監督官が五人ないし十人行って、その山の生産計画あるいは労務配置計画、あるいはその山の災害傾向等も調べて、坑内の一斉検査をするという総合検査というやり方を今年度から始めておるわけでございます。
  21. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 現在は、この炭鉱は操業していますか。
  22. 田原正邦

    田原政府委員 現在まだ停止させております。
  23. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 ガス爆発というのは、災害が済んだあとはわりあいに簡単ですね。炭じんほどは大きな原状の変更がなくて、ガス爆発をして人がなくなるということで、坑内における異常な変化というのは比較的少ない、こういう場合が多いでしょう。
  24. 田原正邦

    田原政府委員 必ずしもそうとは限りません。この場合は、一部分ガスが停滞しておったために、一部分の破壊で済んだわけでございますが、もしもガスが広い範囲に充満しておる場合には、やはり大きなガス爆発があり得るわけでございます。
  25. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 そうすると、この炭鉱の操業は、やはり三池と同じように、将来の保安の維持ができるかどうか、総合的な判断に立っておやりになるつもりですか。
  26. 田原正邦

    田原政府委員 もちろん、仰せのとおりのつもりでおります。
  27. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 私は、かように相次いで事故を起こす鉱業権者については、十分考えなければならぬと思うのですよ。保安に対する認識が欠けておるので、相次いで事故が起こる。ですから、そういうものについては、生産再開する場合には、他の炭鉱以上にきびしい条件と、今後そういう災害がほとんど起こらないであろうという、そういう装備あるいは施設の万全を期さなければ、再開許可はできないと思うのです。これについてどういうようにお考えですか。
  28. 田原正邦

    田原政府委員 仰せのとおりにしなくてはいけないと思っております。
  29. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 鉱業法でも、鉱業権停止命令通産大臣の権限としてあるわけです。鉱業権許可の場合、あるいは施業案認可の場合、いままで能力主義ということが言われました。あるいは鉱害の復旧を全然しないという鉱業権者についての施業案認可とか、あるいは鉱業権を取得される施業案認可等の場合にも、そういう話が鉱業法改正の全体の話として出ておるわけですが、私は鉱山保安の面もそういう面があるのじゃないかと思うのです。違反を次から次へと起こしている鉱業権者の非常な保安怠慢の面について、何も事件が起こったから、その事件についてのみ処理するということでなく、最初から、保安条項の的確な実施ということは、これはその鉱業権者の人的な面にもあるのではないか。それが全部とまでは言いませんが、若干加味できるのではないか、こういうように考えるわけです。ですから二十四条の適用についても、そういった面を十分加味して行なうべきであるし、生産再開の場合にも行なうべきではないか、かように思います。感情的に言うならば、むしろ鉱業権停止をする、そういう何度でも違反事故を起こして、そうして遺体が上がらないというような不始末を起こした鉱業権者は、施業案認可をしない、あるいは鉱業権停止をする、なかなか再開させない、こういう制度をひとつ考えてしかるべき時期にいまきているのではないかと思うのです。これは保安法の場合だけでなく、盗掘の場合でも同じだと思うのです。これは実にけしからぬと思いますが、そういう点について御意見を承りたい。
  30. 田原正邦

    田原政府委員 鉱業権者保安も含めた健全なる鉱業権者であるかどうかということは、鉱業法の問題で、鉱山局鉱業法改正で検討いたしている段階でございます。保安法にもそういう考え方を入れるべきではないかという先生の御意見につきましては、十分検討させていただきたいと思います。
  31. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 この問題は、さらに調査をされて、次会にその原因等について報告を本委員会に願いたい、かように思います。  次に中小企業庁にお尋ねしたいのですが、先般の国会政府提案として、中小企業信用保険法の特例が出されたわけですが、その実施状況をお聞かせ願いたい。
  32. 井上亮

    井上説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘にありましたように、産炭地域におきまして売り掛け代金が非常に残っている、これに対して、政府としましては、御承知のように前の国会に、産炭地域における中小企業者についての中小企業信用保険に関する特別措置等に関する法律を上程しまして可決されましたが、この法律に基づきまして、その後本件に関する事務処理態勢の整備につとめてまいったわけでございます。特に通産局長の該当の鉱山指定等事務手続もすでに八月ぐらいには終わりまして、以降この法律に基づきまして、関係中小企業者売り掛け代金処理につきまして、この法律に基づく事務の進めができるような態勢に現在なっているわけでございます。  いままでの状況をかいつまんで申し上げますと、売り掛け代金残高は、この法律国会を通りましたころ調査いたしたわけでございますが、三十五億円程度この関係残高があるのではないか、なおその中に、売り掛け代金残高といいましても、これは当然、回収ができるというものも入っているわけでございますので、そのうち回収困難な売り掛け金と想定されますものが、私どもの想定では、三十五億のうち二十二億くらいあるのではないかというふうに想定いたしているわけでございます。これに対しまして、私どもとしましては、御承知関係中小企業金融機関商工中金中小公庫国民公庫に対しましては、この法律趣旨に基づきまして十分にめんどうを見るようにというような指示をいたしております。なお中小企業信用保険公庫がございますので、その保険公庫に対しましては、特にこの産炭地域売り掛け代金につきまして、この法律趣旨にもありますように、従来のてん補率七割を八割にこの法律で上げていただいておりますので、比較的保証保険がつけやすい状態に今度なったわけでございますので、特にこの保険公庫からも融資基金産炭地域に特別に回しまして、この需要に応ずるように善処いたしました。  そういたしました結果、国民公庫といたしましては今日まで百七十件程度、約八千万円この関係融資いたしております。それから中小公庫は四十八件で約八千万円程度、やはり同じくこの関係融資いたしております。なお、保険公庫関係保証協会保証承諾をいたしました件数は千四百件余りでございまして、金額といたしましては四億二千万円程度のものを一応保証承諾いたしておるわけでございます。念のために申し上げておきますが、この保証承諾いたしましたのは、主として市中銀行がこの売り掛け代金に対して融資しますに際しての保証であります。
  33. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 それはいつ現在ですか。
  34. 井上亮

    井上説明員 ただいま申し上げました金額数字は、十月時点でございます。
  35. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 どうも私が理解をしておるのとは違うようですがね。選挙が終わりました十一月の終わりに、私は中小企業関係者とお会いしました。そのときは市中銀行も来ておりました。売り掛け代金の非常に多い福岡県において、信用保証協会に金がないのです。そこで保証能力がないものですから、まず県が出捐金として五百万円、さらに自治体で百万円、六百万円の出捐金を追加いたしまして、その二十五倍の一億五千万円のワクを設けて貸そう、こういう話ができつつあります、そうして十二月にその書類を早く出すようにという話し合いをいたしておりました。ですから、あなたが十月現在において信用協会のほうで承諾をしたのが四億二千万円というのとは、ずいぶんかけ離れておるはずですがね。
  36. 井上亮

    井上説明員 私がお答えいたしましたのは、昨年の十二月以来今日といいますか、十月までの実績を申し上げたわけでございます。  なお、ただいまお話が出ました九州地区につきましては、昨年の十二月以来十月までの間に、九州関係としては保証承諾は八百十八件、一億九千四百万円でございます。
  37. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 そうすると、いま部長お話しになったのは新法に基づくものじゃないですね。これはむしろいままでの行政措置に基づくものでしょう。新法に基づくものじゃないじゃないですか。
  38. 井上亮

    井上説明員 この売り掛け代金につきましての特別措置は、多賀谷先生承知のように、昨年の秋以来議論になっておりまして、特に十二月からは、もちろん法律が通れば一番いい、しかしそれがなくても実質上、運用としてこれに近い措置を講ずべきだというような御意見もあり、したがいまして十二月以来、特別措置政府としてはやったわけでございます。それの総合計でございます。
  39. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 わかりました。結局部長お話しになった数字というのは、この数字をもってしてもどうにもならぬ、こういうことで法律の要請があった、その法律通過をした後の貸し出しというものはむしろ入っていない、こう理解をしてもいいと思うのです。ですから結局新法による運用というのは、まだ十分実施されていないというのが実情じゃありませんか。
  40. 井上亮

    井上説明員 先ほど私が申しました実績は、先ほど申しましたように、新法通過後のものも合わせております。したがいまして、その後全然ないということではございません。ただしかしお説のように、この売り掛け代金に関します法律は通りました。したがいましてこの法律に基づきまして、保険公庫てん補率が七割から八割に上がるというようなことで、従来つきにくかった売り掛け金に対します金融機関貸し出しを円滑ならしめる効果はありますけれども、しかしながら御指摘のように、県の保証協会への出損が少ないとかいろいろな関係で、先ほど申しましたように、全国で私ども回収困難と思われますものが二十数億あるわけでございますから、それに対しましては、まだ私どもとして今後十分努力していかなければいかぬという自覚はいたしております。
  41. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 いままで数字お話しになった金額は、かなり中小企業でも担保能力等がある有力な商社あるいは企業ですね。ところが、それではだめだというので法律をつくった。法律をつくったときに中小企業庁のほうでは、盆までには何とか融資をするように努力しましょう。ところが盆が来ても、まだ省令、政令が十分できない。そのうちにだんだん日はたってくる。そうしてやっと十一月二十日前後に、金融機関を集めて話があった程度ですよ。そこで年末までには何とかしようというのが、いまの動きですよ。ですから現実には、あなたの数字によればあまり動いていないということですね。動いていない第一は、やはり県の信用協会基盤が脆弱であるということ、それからもう一つは、やはり八〇%のあとの二〇%の損失をどこで見るかという問題が依然として残っておるということ、これが問題。それからさらにもう一つは、ほとんど市中銀行が対象になっておる。その市中銀行に金がないということですね。法律はつくってやったけれども、公的な機関でありませんから、金は一つも動かさない。一体これらの点についてどういうように対処されるつもりですか。これは議員立法でなくて、政府提案ですからね。重ねて念のために申し上げておきます。
  42. 井上亮

    井上説明員 売り掛け代金の問題につきましては、既往のものもございますし、それから現在もそういった実態もございますし、それから御承知のように、最近問題になってきておりますのは、三池三川鉱爆発に際しまして、荒尾市とか、あるいは大牟田市等からも、政府に対しましてさらに、最近の事態に伴う売り掛け代金始末につきまして要望等もございますので、私どもとしましては、新しい法律運用につきまして、できるだけ関係市中銀行に対しましては、私どもみずからこの政府政策に御協力いただけるような努力も今後いたしていきたいと思いますし、それからなお市中銀行資金を動員してやるとか、単にこの法律趣旨によりまして保証保険制度を活用していくというだけでなしに、中小企業金融公庫とか、あるいは商工中金とか、あるいは国民金融公庫等政府関係金融機関資金を動員して、できるだけ趣旨に沿うように努力してまいりたいと思います。
  43. 上林山榮吉

    上林委員長代理 多賀谷君に申し上げますが、参議院の石炭委員会が始まるので、石炭局長だけでもちょっと貸してくれないかという話があるから、あなたが質問があればそちらのほうを先にしていただけますか。
  44. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 では、石炭局長に一問だけ質問をしておきたいと思います。  それはむしろ政府質問をするわけですけれども、いま炭鉱労働者が非常に激減をして、合理化のテンポが非常に速くなっている。そして五千五百万トン、正確にいいますと五千四百五十万トンの出炭も危ぶまれている。むしろ五千二百万トン程度ではないか、こういわれている。そこで、需要確保で一番問題になりまし電力用炭の問題について、将来いままでの話のように、あるいは有沢調査団が出しました答申どおり電力用炭供給ができないのじゃないか、こういうような点から、このたび政府推進をされておる電発による火力発電所建設というものについて、いろいろ問題が出ているやに聞いている。石炭鉱業は何といっても、需要確保が前提です。ですから、いまから増産をしようとする炭鉱において、もしこれらの需要確保見通しがつかないというならば、総くずれという形になる。昭和四十二年までに行なうスクラップ計画が、もうほとんど大半事実問題として行なわれてきている。人員も御存じのように、十二万人台になってきた。こういう情勢ですから、三池問題がなくても、本年度総くずれの形になっておりますから、出炭は確かに減っていると思う。しかし本年度五千五百万トンくらいを供給ができるならば、これはむしろ逆に、それだけの能力があるとするならば、この状態で六千万トンの需要確保をしなければならぬという状態になるのですよ。ですから、五千二百万トン程度しかできないということは、将来能率を上げれば、問題の四十二年度にはやはり五千五百万トンというベースが出てくるのですね。あるいは四十五年においては三千万トンという電力用炭供給能力が出てくる。この基礎をつくるわけですから、それについて政府は一体どういう考えで臨まれんとしておるのか。これはきわめて大きい問題ですから、次官に質問するのもなんですけれども大臣がおらなければ大臣代理としてお答え願いたい。一言でいいです。
  45. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 石炭生産数量につきましては、いま多賀谷委員のおっしゃいますように、将来の生産数量についても、いろいろ危惧の点があるという意見もあるようでございます。しかしながら政府といたしましては、すでに生産数量計画生産をきめておりますので、その計画生産数量に対して期待をかけて、現在もそのとおりにいろいろ進めておるわけでございます。したがいまして、ただいまお話し石炭引き取りに関する将来の問題としましては、電源開発会社によるところの火力発電所建設等につきましては、ただいま通産省といたしましても、ぜひともこれを実現いたしたいというような考えで、財務当局ともいろいろ折衝を重ねているわけでございます。
  46. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 それは積極的に推進していただかなければ、それができないということになると、さらにくずれますよ。もう、くずれ出したら敗戦と同じですよ。もう歯どめがきかないのです。労働者のほうからあいそをつかしてどんどん逃げていくという状態ですから。需要確保ということが、石炭基盤ですからね。ですから、その需要確保ができないというなら、やはりだめじゃないかというので、これは五千万トンにしてみたところで、今度は供給が四千万トンになりますよ。四千万トンにしたら、三千万トンになるのですよ。かなり労働力に依存する面が多いですから、労働力の面から総くずれになる。だからこの点は、政府が一応立てた政策というものは、その面においてばんとして、需要確保をやっていかなければならぬ。それから、いままでの合理化計画というものについては考えざるを得ない面がある、こういうように私は思いますけれども需要の面だけははっきりと長期見通しの上に立ってやらないと、それを五千万トンに切り下げれば四千万トンしか供給ができない、四千万トンにすれば三千万トンになる、こういうことは目に見えて明らかですから、ひとつその点は推進を要望しておきます。  そこで井上中小企業庁計画部長にお尋ねいたしますが、あなたがことばできれいに言われましても、現実に借りられない。いま新しい法律に基づいて福岡県、佐賀県、長崎県あるいは北海道等において、一体幾ら銀行窓口に行っているのですか。新法に基づく申請がどのくらい行っておるのですか。
  47. 井上亮

    井上説明員 この売り掛け金に関連いたしまして、九州各地におきまして銀行窓口へ幾ら行っておるかというお尋ねでございますが、そういうこまかい資料を私持っておるわけですが、本日はちょっと資料を持ち合わしておりませんので、早急に多賀谷先生のとこにお打ち合わせいたしたいと思います。本日は資料を持っていませんが、現実にはっきりわかっております。私どもは十月時点で一応調査いたしましたが、その後も政府関係金融機関それから保証保険公庫につきましては、毎月申し込みがどの程度あるかというような実績を収録さしておりまして、政府に対して報告をさしておりますので、そういう資料がございますから、後刻お届けいたしたいというふうに考えます。
  48. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 これが新法によっていよいよ動き出したのは、十二月の初めですよ。あなた方がいま御報告になったのは、新しい法律のできる前の状態ですよ。ですから新法ができて金融機関と話し合って申請をいよいよ出す、それから市町村も証明書をつけるということになったのは、十二月ですよ。ですから、十二月から窓口に殺到しておるはずですよ。既往の数字というものは、あまり意味がないのです。新法実施状況についてはほとんど関係がないといってもいい。ですから一体どのくらい出ておるのか、どこに隘路があるのか、しかも年末を控えておるわけですから、これが十分把握されていなければ対策が立たないわけですよ。私はこれは、二十日の委員会に報告してもらいたいと思います。何も私個人の問題ではありませんから、新しい国会ができまして新しい委員会が発足いたしましたら、劈頭報告してもらいたい。  そこで自治省にお尋ねいたしますが、問題は、よその県の実情がわかりませんからたとえば福岡だけを申しますと、先ほど申しましたように、出捐金を県が出しておる。この出捐金はいま五百万円とかあるいは百万円とか出して六百万円つくって、そうして大体二十五倍貸そうというので一億五千万円、ところが一億五千万円なんというのは、申請の五分の一から十分の一ぐらいですよ。ですからまだまだこれは増さなければならぬ。この出捐金を出した場合に、一体あなたのほうでは特別交付税の算定の基礎に入れてもらえますか。
  49. 岡田純夫

    岡田説明員 出捐金等につきましては、自治団体本来の行政事務といたしまして適切な支出だとは思いますけれども、直ちに交付税の算定の基礎に組み入れるというふうに考えておりません。交付税は標準的な経費について算定いたしております。
  50. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 特別交付税は……。
  51. 岡田純夫

    岡田説明員 特別交付税につきましては、産炭地問題といたしまして、いろいろの経費をいわば一種の算定上積み上げてやっておりますけれども、最終的にある程度のものをまとめまして対策費として交付しておりますので、対策費の中で有効に利用してもらいたいという気持ちを持っております。
  52. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 それは県にも、特別交付税の特殊な産炭地の扱いがされていますか。
  53. 岡田純夫

    岡田説明員 巨額なものではございませんけれども、その他の調整費分といたしまして、県にも交付いたしております。
  54. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 いまの、出捐金の大体二十五倍の貸し出しをやる、こういっておりますけれども、私は産炭地の実情から見れば、二十五分の一の出捐金では足らないと思うのです。むしろこれは、かなりの額を計上してやらないと実際は運営できない、こういうように考えるわけです。   〔上林委員長代理退席、委員長着席〕 そこで私は特別交付税の算定の基準の一要素にしてもらいたい、こういうことを考えるわけですが、これについてお聞かせを願いたい。
  55. 岡田純夫

    岡田説明員 実情はいま申し上げたとおりでございますけれども、産炭県全部で八県ございますので、八県全体の模様等を検討いたしまして、検討させていただきたいと思います。
  56. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 実は現実問題としては、出捐金の額いかんによってワクがきまると思うのです。ですから信用保証協会としては、一億五千万円以上はとても私のほうでは保証できませんと言っておるのです。その出捐金を上げれば当然保証額が上がっていくわけですから、これは態度をはっきりきめていただかないとなかなか動けない。態度をはっきりときめていただけばかなり動いていくのではないか、私はこういうように考えるわけですが、これについて早急にひとつ結論を出してもらいたい。
  57. 岡田純夫

    岡田説明員 特別交付税でございますので、一々内容についてまでひもつきにはいたしておりませんが、産炭地問題だけ取り上げましても、福岡県でまいりますと四億程度、普通の算定の上にかさ上げいたしております。したがいまして、その中で有効に利用してもらえば相当いけるのじゃあるまいか。ただし、いまおっしゃいましたように、他の県の動向等もあろうと思いますので、研究はさせていただきたいと思います。
  58. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 その金額の中に、中小企業のいわゆる売り掛け代金がたまるとか、あるいは非常に困るとかいう要素は入ってないですよ。いままで出た要素の中には、鉱害問題であるとか、あるいはまた例の生活保護の問題であるとか、いろいろな要素は入っておりますが、中小企業という要素は自治省の特別交付税の算出の一つのファクターとしては入っていない。今後はこれが大きな問題になっておりますから、私はぜひファクターの中に入れてもらいたいと思います。いままでのは入っていませんでしょう。
  59. 岡田純夫

    岡田説明員 御指摘のとおり入っておりませんけれども、これはあくまでも特別交付税でありますので、その使途につきましては全然ひもつきにいたしておりません。できるだけこれを有効に利用してもらいたい、こう思っております。なお繰り返してお答えしておきますけれども、その問題につきまして十分私どもといたしましても研究いたしてみたいと思います。
  60. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 次官、お聞き及びのように、法律はできましたけれども、この売り掛け代金の問題は、ほとんど法律がまだ動いていないという状態です。それから地方自治体も財政が窮迫しておる、こういうことでなかなかその出捐金も十分出せないという状態になっている。そこで問題は、出捐金を出していただいて、その補てんを特別交付税でやってもらうということがはっきりすれば、これは出しやすいわけです。もちろん特別交付税はひもつきではありませんけれども、その算定の基礎にいままで入っていない。離職者の問題とか鉱害の問題とか、いろいろあります。ありますけれども、それらは一つずつファクターの中に入っておりますから、そうしますと金額が上がるわけです。これは従来芽を出していない、新しい問題である。本来あなたのほうが九〇%くらい保証をみていただけばこういう問題は起こらなかったのに、あなたのほうで七〇を八〇にした程度ですから、自治体にしわ寄せがきておる。こういうことになっておりますから、ひとつ自治省に十分折衝してもらいたい、このことの答弁をお願いいたしたいと思います。
  61. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 産炭地におきまする中小企業売り掛け代金の問題は、昨年来非常に大きな問題として取り扱っておりまして、いま井上画部長からも答弁がございましたが、本件につきましては、われわれ与党の方面からも相当強い同じような要望がございます。これはいろいろ資金のワクが少ないとか、あるいはまた、保証協会保証程度が非常に少ないからもっと簡単にやれとか、あるいはまたいまのてん補率の問題、それから特別交付税の問題等、いろいろの意見をわれわれ聞いておりますので、この点につきまして政府間におきましても十分ひとつ折衝を重ねまして、できるだけ産炭地の中小企業売り掛け代金の問題等は何とかすみやかに解決するように、ひとつ最善の努力をいたしたいと考えております。
  62. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 自治省に話していただけますか。
  63. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 政府間で十分折衝をいたします。
  64. 田原正邦

    田原政府委員 先ほど糖炭鉱再開問題について多賀谷先生からの御質問がございまして、現在操業を停止しているというふうに答弁申し上げましたが、あの坑内には、本層部内と竹谷層部内と二つの大きな部内がございまして、災害のあった部内を停止させておるわけでございます。本災害関係のない竹谷層部内につきましては、会社側の整備計画を提出させまして、監督官が十分保安を確認いたしましたので、本日一番方から作業に入っております。
  65. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 質問があっちこっちにいきますけれども糒炭鉱全体の保安改善について、部分的に分けて、一方は操業させるという段階ではないのじゃないかと思うのです。先ほど申しましたように、この前は六十七名殺しておる。それはまだ遺体も上がっていないのですよ。ですから私は、災害個所のほうは、あぶないけれども原因がまだわからぬからストップさしておる、しかし竹谷層のほうはもうよろしいというような状態ではないのじゃないかと思うのです。これらの炭鉱はいままで相当注意をされておるでしょう。そうして災害の起こったのは、糒炭鉱だけでもおそらく今度だけじゃないでしょう。こういうことを考えると、山全体の保安について抜本的にやらなければ、こういった炭鉱はだめですよ。ですから私は、原因がはっきりしないからその個所については停止さしておるけれども、同じ坑口から出る他の層の部分は操業さしておるという手ぬるいことじゃだめじゃないかと思うのですが、これについて……。
  66. 田原正邦

    田原政府委員 経営者保安に対する認識、あるいはその他保安機構の問題につきましては、今後十分監督局で指導さしていきたいと思っております。
  67. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 私はこういった前科のある経営者は、鉱業権くらい停止をさして、徹底的に調査をしなければだめだと思うのですよ。それはもう単なる部分的な保安改善、しかも物理的な調査だけではだめだ。第一、それによって一体設備はどのくらい変わりましたか、あるいは装備はどのくらい変わりましたか、保安要員がどのくらいふえましたか。ふえていないでしょう。ただ現状の点を少し手直しした程度ですよ。保安体制ができていないですよ、こういった炭鉱は。しかもこの前六十七名も殺して、遺体も上がらぬという状態でしょう。その遺体も上がらなかったときの豊州炭鉱状態は、御存じのように、すでに前からガスが噴出してあぶないということが言われておったのですよ。それで、これは何かたいへんな状態になるということが言われておった。一般市民でもその状態はわかっておったわけでしょう。それがそのまま放置されて、入坑して、六十七名死んでおる。同一系統ではそれから数ヵ月たたずして、七十一名死んだ。しかもそれは、ほとんどが煙に巻かれて死んでおるのですよ。坑道の設備さえよければ、ああいうものは死ななくてもよかったわけですよ。煙に巻かれて死んだ。きわめて原始的な話じゃないですか。こういった一つの坑口において、あの層だけが悪かったからその層については停止さす、他の層はよろしいという、こういう取り壊いがありますか、これだけ問題が大きくなっておるのに。徹底してその調査をし、体制を築くべきだと思うのですね。いままでのようなやり方をされておったのでは、幾らたっても、何回本会議で決議しても同じですよ。あぶないなら、その炭鉱は買い上げ炭鉱として申請をさすのですね、制度があるわけですから。保安があぶない炭鉱は、政府が金を出して停止をさすという何があるわけです。ですから私は、そういう点は抜本的にその対策を練らなければだめだと思うのです。それで採算がとれなけれは買い上げるんですよ。いま労働者は、そういった職場に何とかしがみついても炭鉱に残ろうなんて言っていませんよ。退職金さえ払ってやれば、出ていくのですよ。ですから、保安のあぶない炭鉱をかかえていく必要はないと思うのです。私は、そぅいうなまぬるいことでどうなるかと思うのですがね。
  68. 田原正邦

    田原政府委員 十分検討したいと思っております。二十四条を発動するかどうかについて十分検討さしていただきます。
  69. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 あなたのほうは、二十四条はすぐやらなければ、鉱業権停止はすぐやらなければ、行政官庁で一回ここは再開をしてよろしいと言って、あとから鉱業権停止することは常識的に考えてもちょっとできないでしょう。国会でやかましく言われたから停止するというようなぶざまなことは、行政処置としてできないでしょう。私はどうも災害に対して、依然として同じような考え方を現地では持っておるんじゃないかと思う。保安が悪い、体制ができない、そうして体制をつくるためには金が要る、金が要ってどうしても採算がとれない、こういう山は買い上げる上ようになっておるのですよ。それだけの保安要員が要る、施設をやるには金がない、その金を入れるにはどうしても採算が合わない、赤字が出るばかりだということになれば、保安不良炭鉱として買い上げる制度があるのであるから、買い上げればいい。そういうような制度ができておるのです。われわれの側としては、制度をつくってやっておるのです。その制度ができておるのに、その制度を活用されないで、一部分だけ見て、物理的に現在の状態はよろしい、こういうことで許可される。これは刻々違うでしょう。先ほどお話しになったように、新しい切り羽ができた。いままで抜き打ち検査を二度もやって、いろいろ呼びつけてやっておるけれども、新しい切り羽にもう災害が起こっておる。こういう状態でしょう。要するに保安の体制ができていないのです。ですから、この炭鉱は、物理的にいってここにいまガスがどのくらいたまっておる、これをのけなさい、あるいは気をよくしなさいという局部的な療法でほだめだと思う。抜本的にやらなければ、体制のし直しをしなければ、設備の改善をやらなければ、それができないというならばやめさす以外にない。政府が買い上げてやるのですよ。金があるのですから、政府が買い上げてやるのですよ。それだけやらないと、災害が起こったということは一炭鉱の問題じゃないですよ。三池災害から糒の災害が起こって、炭鉱労働者がどのくらいやめましたか。全く来手がいないのです。筑豊炭田に行くことになっておった労働者が、三池災害があってみなやめた。炭鉱の就職はお断りだと言っておる。ですからこのショックは、一糒の問題じゃないですよ。炭鉱全体に影響がある。ですから、私は三川の災害あるいは宮浦、四山の問題だけじゃないと思うのですよ。やはり中小炭鉱においても、それと同じようにやってやらなければいかぬ。四山、宮浦の場合はいかぬけれども、糒の場合はいいという理論は成り立たないでしょう。また、糒の場合のほうが完全に保安設備が行なわれておるという状態にないでしょう。ですから私は、こういったものを軽々に扱ったところに問題がある思う。一体どうされますか。
  70. 田原正邦

    田原政府委員 すぐに一斉検査をいたしまして、先ほど申し上げました総合検査をいたしまして、この経営者保安に対する認識あるいは管理機構、その他人員配置等につきましても、十分検査をすぐにいたしたいと思います。
  71. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 実は、この前豊州炭鉱災害の場合、それから上清炭鉱の場合にも、たぶん私多賀谷先生と御一緒に現場を拝見しまして、上田社長を呼びつけていろいろ注意を与えておると思いますが、やはり今回の糒炭鉱災害が起こりました際に、上田と聞きまして同じような感じがいたしました。ははあ、また爆発したかという感じを私も起こしたわけです。いま局長から答弁いたしましたように、一部について、支障なしと罪めたところについて会社側から申請があって、それについて作業開始を許したということでございますが、これはこれとしてお認め願いまして、直ちに、いま局長が答弁いたしましたように、さらに多数の者を現地に派しまして、いま多賀谷先生のおっしゃったような災事が二度と起こらぬような万全の措置を講ずるように、現地におきまして十分検査もいたしまするし、注意をできるだけいたしまして、今後災害の防止のために努力いたしたい考えでおりますので、この点だけひとつ御了解願いたいと思います。
  72. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 政府の腰がまえを変えてやらなければとてもだめですね。いままでのようなイージ−ゴーイソグなことをして、そうしてその現状を何とか改善をするということだけ、次のときに行ってみればまたもとのもくあみ、そのうちに災害が起こる、それを繰り返しているわけですから、私はこの点は十分ひとつ政府においては考え方を変えてやっていただきたい、こういうように思います。これは単に若干の石炭が出ないとか出るとかいう問題じゃないですよ。全労働者が引き揚げるですよ、こんな事態が連続して起これば。日本の炭鉱は人がいなくて崩壊しますよ。これだけ大きな問題をかかえておるわけですから、十分注意してやっていただきたい。 そこで次官、保安施設の改善について、いまのように炭鉱にやれやれと言いましても、資力がないのです。退職金は払えない、貸金すら払えないような炭鉱に、保安施設をやれと言ったってできないですよ。だからいま中小だけでなくて、大手といえども、直接生産にタッチする面についてはやるかもしれないが、保安施設は、それはやります、やりますと言うけれども、金がない。これについて一体どういうように対処されるつもりであるか、お聞かせ願いたい。
  73. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 やはりわりあいに事業者というものは、保安施設に対しましては関心を持っておりません。そこで、できるだけ保安施設を整備するために、政府側としましては融資の面について助けたいと考えまして、ただいま昭和三十九年度の予算におきまして、保安融資と称しまして、大手筋には大体四割程度、大手以外の中小炭鉱等につきましては六割程度融資措置をとりまして、そのあとの分につきましては、それぞれまた業者としても融資をはかりまして、そうして急速にひとつ保安施設を整備してもらいたい、こういう考えでおるわけでございます。そこで、こういう保安施設でございますから、できれば三十八年度中にやりたいというのがわれわれの考え方でございます。ところが実はこれを三十八年度にやるといたしますと、予算の手続その他において、三十八年度中にこれをとるということが困難でございます。また、法令の改正とかめんどうな手続がございますので、できれば三十九年度予算においてこれをとりまして、早急にひとつこれを流したい、こういう考えでおるわけでございます。そのほか、鉱山保安局自体としての自己救命器の施設だとか、また保安局員の旅費であるとか、あるいはそうした手当であるとか、そういうものはごくわずかでございますが、とりあえず三十九年度の追加予算と申しますか、三十九年度の予算に追っかけてこれをいま要求いたしております。三十九年度一般予算のほかに、ごくわずかでございますが、そうした予算をさらに追っかけて三十九年度の予算の中に織り込むように、いま大蔵省と折衝を重ねておるわけでございます。きわめて貧弱ではありますけれども、できるだけ予算を獲得いたしまして、今後の災害防止のための万全の措置をとっていきたい、かような決意でおるわけでございます。
  74. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 どうも先ほどの鉱山保安局長糒炭鉱の扱いといい、また政務次官のお話といい、間が抜けておるですよ。三十九年度の予算に組むなんという、そんな状態じゃないですよ、いまの保安状態は。それは三十八年度において予備費から出すか、あるいは次に補正をする機会にやるか、当然そういう状態でしょう。もうすでにあやまちを犯しておるわけですよ。それは自己救命器を、規則の改正によって、備えつけなければならぬと書いてある。ただし行政官庁の認可を得た場合には、それを猶予することができる、それをゆうちょうに三十九年末まで延ばしておるとはわれわれ知らなかった。それはわれわれのほうも不勉強であったけれども、知らなかった。そいして現実に例の三池の三川だけでも四百三十名殺しておるでしょう。自己救命器ができておったら、あんなに死んでいないですよ。要するに、遅延したことによってなくたっておるのですよ。これは行政官庁としても当然責任をとらなければならぬ問題ですよ。これほ国会が知らぬことですからね。昭和三十六年に、規則を改正するという決議をした。決議によって、施設については中小に補助金を出したでしょう。そして自己救命器を備えつけることにいたしました、こういうことだった。それをゆちうちょうにやっておったのですよ。そして三十九年の末までにやるということにしておった。それが三池災害が起こつて、今度は外国からあわてて急に輸入しようということになって、国内でつくれば千五百円のものを四千五百円、三倍の値段で輸入することにしたのですよ。そういう現実のように、行政官庁の怠慢によって、それだけの損害を国民並びに関係者にかけておるわけでしよう。ですからこの場合も、当然こういう時期ですから、補正を組むか予備費でやるか。事は災害ですよ。昭和三十九年度といいましても、いよいよ法律、予算が通過をして、関係法律ができて、金を借りるのはいつと思いますか。施設ができるのはいつと思いますか。そういうものができて、業務方法書とかいろいろの問題をすったもんだし検討してそれができても、第一市中銀行がなかなか貸さぬでしょう。いまの中小において六割、あとの四割を市中、大手において四割、あとの六割を市中といっても、どこに六割の融資をしてくれるところがありますか。それができるような炭鉱ほもうやっていますよ。問題はできぬ山炭鉱でしょう。貸金も払えぬ炭鉱でしょう。期末手当も一万円しか出せぬ炭鉱でしょう。だからそういう炭鉱はなかなかできないのですよ。一体六割をだれが貸してくれますか。生産設備だって貸してくれないのです。そういう状態の中でそんなゆうちょうなことをして、その間に災害がまた起こったらどうしますか。責任問題じゃありませんか。
  75. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 まさにそのとおりでございます。昭和三十八年度の補正予算に組むのが至当であったと思いますが、いまとなりましては……。
  76. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 予備費で出しなさいよ。
  77. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 予備費となりますと、ただいま国会開会中でございますので、国会開会中の予備費というのはなかなかあれでございますので、いろいろ勘案いたしました結果、三十九年度の予算に追っかけて保安施設に関する予算を要求いたしまして、もし予算がとれましたらひとつ早急に手配をする、こういう心がまえでおるわけでございます。補正予算をこれからやりましても、結局三月末ということになりますので、できれば三十九年度予算成立を待って早急に措置をとるということが一番万全の措置である、かように考えておるわけでございます。
  78. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 その取り組み方が、私は第一気に食わぬというのですよ。これだけ大きな災害を起こしておいて、申しわけないと言っておいて、そして三十九年度からやりますとは、あなた、何事ですか。いままでも補正を組んだ例ほ幾らもあるでしょう。この石炭関係だってあるのですよ。炭鉱離職者は、御存じのように、一月一日から実施したという問題は幾らでもありますよ。たしかこの前の炭鉱災害のときの中小企業の補助金にしても、予備費を流用したと思うのですね。あれは四・四半期から行なったのじゃないですか。たしかそういう記憶があるのですがね。これは間違いであったら指摘してもらいたいと思いますが、予備費を使って、そして本予算に直す、あるいは次年度から本予算でいくという場合だってあるのです。ところが災害ですよ、災害のときは開会中でも、大蔵大臣はこれは予備費からやりますと現実に答弁しているのです。 これは災害に類するものでしょう。とんでもない何かの建設費じゃないのですよ。人命に関する問題です。ですから、当然予備費から出すべきですよ。あるいは、第三次補正を組むべきです。方法はいいですが、少なくとも三十八年度から出発するというかまえをしないと、来年の十一月か十二月でないと施設なんか現実にできませんよ。その間に、施設があったなら災害を防ぎ得たであろうという問題が起こったら、だれが責任をとりますか。これは次官で答弁できなければ、大蔵大臣かだれか呼んでください。
  79. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 いまの御意見のほどは十分ひとつ承りまして、われわれとしましても十分検討はしてみたいと思っておりますが、現在の事務的段階におきましては、予備費を支出するということが非常に困難な事情にあると私ほ考えております。それは国会開会中でありますから、やはりそういう点はなかなか大蔵省当局との折衝が困難ではないかと思っております。
  80. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 国会開会中ですと予備費は出ませんか。それはおかしいでしょう。予備費ほ何のために出しておるのですか。補正の話ができないということはわかるけれども、予備費を流用するとい話がどうしてできませんか。しかも災害ですよ。災害の財源のために何で予備費をとってこれませんか。おかしいですよ。予備費は当然できますよ。予備費はそのために計上しておるのでしょう。いままで何度も、災害でありますから予備費で流用していきますということを、いろいろな問題について答弁しているでしょう。
  81. 田中榮一

    田中(榮)政策委員 私、その前例はまだよく存じませんから、前例はひとつ調べまして、大臣ともいろいろとよく相談をしてみたいと思っております。
  82. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 ひとつ大蔵大臣通産大臣を呼んでもらいたい。これはきょうじゅうで、大臣の都合がついたときでいいです。 これはきわめて重大ですよ。災害が起こったらだれが責任をとるか、これはたいへんなことですよ。同じ金を出すのに、効果のないような金の出し方ほおかしいと思うのですよ。それもばく大な金額じゃないのです。四・四半期にできる範囲というのはきまっているのですから。どうも保安局なんて、予算をとったことがないものだから遠慮をしてやられておると思いますけれども、そんなことでは私はいかぬと思うのです。災害ですから、当然品物を注文もしなけれはならぬでしょうし、市中銀行とも話をしなければならぬでしょう。ですから私は、これは責任省である通産大臣か大蔵大臣に来てもらいたい。
  83. 中村寅太

    中村委員長 いま通産大臣を呼んでおります。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  84. 中村寅太

    中村委員長 それでは速記を始めて。  多賀谷君に申し上げます。ただいま通商産業大臣の出席を求めましたが、都合がつきませんので、大臣の答弁は次会にされることで御了承願います。     —————————————
  85. 中村寅太

    中村委員長 次に、本日の請願日程二件を一括して議題とし、審査を進めます。  今国会、本委員会に付託になりました請願は、本日の日程となっております二件であります。  以上の両請願は、文書表等により委員各位も一応内容は御承知のことと存じます。また、先ほどの理事会におきまして内容等を十分検討いたしましたので、紹介議員説明等を省略いたします。  これより両請願を一括して採決いたします。  本日の請願日程第一、産炭地域自治体行財政確立等に関する請願及び日程第二、同外七件の両請願の要旨は同じでございます。両請願の本書の前文及び第二項、第三項、第四項、第五項及び第六項につきましては、いずれもこれを採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  86. 中村寅太

    中村委員長 御異議なしと認めます。よって、両請願はいずれも前文、第二項、第三項、第四項、第五項及び第六項を採択の上、内閣に送付すべきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました両請願に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 中村寅太

    中村委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  暫時休憩いたします。    午後零時四十分休憩     —————————————    年後五時一分開議
  88. 中村寅太

    中村委員長 休憩前に引き続いて会議を開きます。  炭鉱災害防止に関する件について始関伊平君外九名より自民、社会、民社三派共同提案により決議をいたしたい旨の申し出があります。  この際、発言を許します。始関伊平君。
  89. 始関伊平

    始関委員 ただいま提出されました炭鉱災害防止に関する決議案の趣旨を御説明申し上げます。  決議案の案文はお手元に配付されているとおりであります。  御承知のとおり、去る三十八国会において、炭鉱災害の防止に関する決議を行ない、災害の発生を未然に防止するための措置を緊急に講ずるよう強く政府に要請してまいったのであります。しかるに、最近三池炭鉱の大災害をはじめ、炭鉱災害が頻発し、多数のとうとい人命が失われ、今日再び炭鉱災害防止に関する決議を行なわざるを得ない状況に立ち至ったことは、まことに遺憾に存ずる次第であります。  政府並びに石炭鉱業関係者は、人命尊重の精神を徹底的に認識し、相互信頼の上に立って炭鉱災害防止対策を早急に樹立し、今後再びかくのごとき災害の起こらざるよう、万全の措置を講ずることが肝要であると存ずる次第であります。  次に、決議案の内容について申し上げます。  第一点は、現在の鉱業法鉱山保安法、石炭鉱山保安規則等一連の保安法令に根本的な再検討を加え、不備、欠陥を早急に改正することであります。 現在政府においても中央保安協議会及びその基本問題部会等や検討を進めておりますが、今回の災害原因を正確、迅速に調査し、これを含めて一日も早く結論を出し、所要の措置を講ずべきであります。  第二点は、保安法令の厳正なる運用をはかるとともに、今回の災害の実情にかんがみ、巡回監督の回数を増加し、問題を指摘した際は直ちに是正せしめること等、行政全般の拡充強化措置を講ずることであります。  第三点は、保安法令の改正運用とともに、保安要員等の充実、保安委員会の適切な運用等をはかり、特に保安教育の徹底を期することであります。  第四点は、保安施設の問題であります。保安施設は直接人命につながり、これが整備のいかんは、今次災害に見るごとく、きわめて重大な社会的影響を与えるものであり、石炭鉱業の基本施設でありますが、反面、直接収益に反映しない点もあり、この際すみやかに保安施設等を整備させるためには、石炭鉱業の実情からして、政府の特段の資金援助が必要であります。  最後に、罹災者並びに遺家族の援護については、万般にわたり十分になさるべきことは当然でありますが、特に一人々々の実情を調査し、将来の生活が保障されるよう具体的に対策を立てるべきであります。  以上をもって趣旨の説明を終わります。何とぞ全会一致をもって御賛同賜わらんことをお願い申し上げます。  (拍手)     —————————————   炭鉱災害防止に関する決議(案)  最近、三池炭鉱の大災害を始め炭鉱災害が頻発し、多数の尊い人命が失なわれている。   よつて政府は、人命尊重の精神を徹底せしめ、炭鉱災害の再発を防止するため石炭鉱業の安定化を図り、次の諸点につき特段の措置を速かに講ずべきである。  一、鉱山保安法令の改正  二、鉱山保安監督行政の拡充強化  三、鉱山保安機構の充実と保安教育の徹底  四、保安施設並びに機材器具の整備  五、罹災者並びに遺家族の援護   右決者する。     —————————————
  90. 中村寅太

    中村委員長 ただいまの決議案について討論の通告がありますので、これを許します。細谷治嘉君。
  91. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私は、自由民主党、日本社会党、民主社会党の三党を代表いたしまして、ただいま提案されました炭鉱災害防止に関する決議案に、賛成の討論をいたしたいと存じます。  去る十一月九日午後三時十二分、三井三池炭鉱の三川鉱が大爆発を起こし、史上第二といわれる大災害を惹起いたしました。これによる死者ほ四百五十八名に達し、現在入院中の患者は二百八十一名にも及んでいるのでございます。ところが、さらに一カ月後の十二月十三日午後十一時二十分ごろ、田川市の上尊鉱業糒炭鉱爆発を起こし、死者十名、重傷一名を出したことも、すでに御承知のとおりであります。  私は、まずこの爆発によって殉職されました多数のみたまに対しまして、心から哀悼の誠をささげますとともに、入院加療中の皆さまが一日も早く健康を回復され、元気に産業戦線で活動できますように、心からお祈り申し上げる次第でございます。また御遺族の皆さまには、衷心よりお悔やみ申し上げたいと存じます。  三井三川鉱の爆発が炭じんによることは確実であります。この種炭じん爆憩が近代炭鉱払起こることは、全く肴発とされておるところでございます。一方、上尊鉱業糒炭鉱ガス爆発もまた、断じて容認し得ないていのものであります。すなわち、昭和三十五年九月二十日、豊州炭鉱水没事故によって六十七名の犠牲を生じ、今日なおその遺体収容することができないのであります。さらに昭和三十六年三月九日、上清炭鉱坑内火災を起こし、七十一名の方々が死亡いたしたのでございます。この三つは、いずれも同一資本系統に属することが注目されなければなりません。  このように最近続発する炭鉱災害の共通点は、第一であるべき保安を軽んじ、生産のみを追求した結果と申さなければなりません。思うに、石炭産業合理化のテンポの異常の速さが必然的に能率、増産第一主義を生み、保安と人命軽視を結果したと申すべきであります。  まず第一に、人員の削減は坑外夫を坑内夫に、坑内では間接夫から直接夫へ、直接夫では仕繰りから採炭夫へと一連の移動が起こり、保安関係が手薄となったわけでございます。第二に、労働の強化が起こり、疲労の増加によって、注意力喚起にたよるべき保安の体制がくずれたと考えられるのであります。第三に、貸金の低下による生活の苦しさから、あえて請負給による無理な仕事に従事するようになったこと、第四に、経費の削減から保安あるいは救護施設の手抜き、あるいは放置等が因となり果となったものと考えられるのであります。  災害は忘れたころに来るということばがありますが、私は今回の炭鉱災害を追及いたしました結果、起こるべくして起こった災害、いつの日か予期された災害といっても過言でないと思うのであります。人命はあくまでもとうとばれなければなりません。保安確保し、保安第一主義のもと、エネルギー革命のあらしの中に呼吟する石炭産業を生かし発展きせることが、現下最も喫緊の課題と信ずるものであります。そのためには、今回の二つの炭鉱災害原因を徹底的に究明し、二度とこの種災害が起こらないよう、万全の対策を講じなければなりません。  まず第一に、鉱山保安法令の改正があげられると存じます。たとえば現在、甲、指定乙、乙と、保安状況、施設に応じて分けられていますが、三池炭鉱の場合、乙炭坑としては考えられないような炭じん爆発を起こしたのであります。また、昭和三十三年以来今日まで六カ年間の統計を見ましても、指定乙及び乙炭坑の爆発が圧倒的に多いのであります。このことは法令の改正とともに、その運用にも厳格さを要求しているものと申さなければなりません。  第二に、鉱山保安監督行政の拡充強化の必要性が痛感されるのであります。三川鉱の場合、福岡鉱山保安局は四月二十八日以来数回にわたって、爆発地点を含めて、火災の危険性を具体的に指摘いたしておったのでありますが、たまたま八月以降落盤事故の頻発等のため、安全性を確認することができず、ついに今回の爆発を惹起いたしたのであります。もし指摘事項の確認を行なっておったならば、今回の大災害は未然に防ぎ得たのではないかとも考えられ、まことに遺憾に存ずる次第であります。かくして私は、保安監督行政の故充強化により、違反事項の発見と確認を厳正にし、適時予告なしに抜き打ち検査をすることが、炭鉱保安確立上緊急必要なりと確信するものであります。  第三に、鉱山保安機構の充実と保安教育の必要性を痛感いたすのでございます。アメリカの例をまつまでもなく、保安管理者の権限は強大でなければならず、現地所長指摘下にあっては、生産に従属せざるを得ないのであります。今回の災害においても、このことが指摘され、したがって保安委員会の運営の不適正、保安要員の削減、保安教育、待避訓練の不徹底さが強く指摘されるのであります。かりに待避訓練一つでも十分であったなら、これほどまでのガス中毒による死者は生じなかったのではないかとすら考えられるのであります。特に針の穴のような小さい原因から大災害が起こることに思いをいたし、保安委員会の運営の適正と活用が強く望まれる次第であります。  第四に、保安施設、機材器具の整備があげられます。今回の爆発に際し、保安器具、たとえはCCマスク等が完備されておれば、被害ははるかに軽減されたものと想像されるのであります。したがって、万一の場合に備え、保安施設、機材器具等の充実を促進することが肝要であります。中小炭鉱に対しては、これらに対し四0%の補助が行なわれておりますが、大手炭鉱に対しても、資金難の現況から、無利子融資等特別な措置が強く要請されるのであります。  第五に、罹災者及び遺家族の援護の必要性が痛感されるのであります。不幸にして死亡された方の遺家族に対しては、労災補償等の不備な点を改正するなど可能な限りの援護措置を講ずるとともに、就職対策等に万全を期して指導援助することが絶対必要と存ずるものであります。また、一酸化炭素中毒により後遺症を残す者も多数生ずるものと予想されますので、医療についても専門的、一元的に行ない得るよう配慮するとともに、じん肺法適用によってもなお救い得ないような深刻さを蔵していることに思いをいたし、完全な対策と指導が絶対必要と考えられるのであります。 以上、今回の二つの炭鉱災害にかんがみ、二度と再びこの種災害が起こらないよう、炭鉱災害防止の施策を徹底的に講じ、もって全国炭鉱のすみずみまで保安第一、人命尊重の精神が確立することを切に願って、私の賛成討論を終わります。(拍手)
  92. 中村寅太

    中村委員長 他に御発言がなければ、この際おはかりいたします。  ただいま始関伊平君より提案されました炭鉱災害防止に関する件を、本委員会の決議とするに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 中村寅太

    中村委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、本件の政府への参考送付等の手続につきましても、委員長に御一任願います。  ただいまの決議について、政府の所見を求めます。田中通商産業政務次官。
  94. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 本委員会におきまして、炭鉱災害防止に関する決議がなされたのでありまするが、政府といたしましては、右の決議の趣旨を尊重いたしまして、これが実現に努力いたしたいと考えております。
  95. 中村寅太

    中村委員長 本日はこれにて散会いたします。   午後五時十四分散会