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1963-12-17 第45回国会 衆議院 運輸委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年十二月十七日(火曜日)    午前十時五十分開議  出席委員    委員長 川野 芳滿君    理事 有田 喜一君 理事 關谷 勝利君    理事 塚原 俊郎君 理事 西村 直己君    理事 山田 彌一君 理事 井手 以誠君    理事 久保 三郎君 理事 肥田 次郎君       木村 俊夫君    佐々木義武君       壽原 正一君    高橋清一郎君       細田 吉藏君    勝澤 芳雄君       田中織之進君    野間千代三君       矢尾喜三郎君    佐々木良作君  出席政府委員         運輸政務次官  田邉 國男君         運輸事務官         (大臣官房長) 今井 栄文君  委員外出席者         運輸事務官         (海運局長)  若狭 得治君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  向井 重郷君         運輸事務官         (航空局長)  栃内 一彦君         日本国有鉄道副         総裁      磯崎  叡君         専  門  員 小西 真一君     ――――――――――――― 十二月十七日  委員田中織之進君及び松原喜之次辞任につき、  その補欠として井伊誠一君及び野間千代三君が  議長指名委員に選任された。 同日  委員井伊誠一君及び野間千代三君辞任につき、  その補欠として田中織之進君及び松原喜之次君  が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 十二月十四日  バナナ輸送専用船建造政府計画造船に繰  入れ促進に関する請願久保田豊紹介)(第  二六〇号) 同月十六日  国鉄越美線全通に関する請願田口誠治君外一  名紹介)(第三二八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月十四日  新東京国際空港建設促進に関する陳情書  (第一一七号)  国鉄輸送安全確保に関する陳情書  (第一一八号)  東北本線複線化等に関する陳情書  (第一一九号)  日豊本線宮崎駅始発の東京急行列車増発に関  する陳情書(第二  〇五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国鉄運転事故防止に関する件  海運に関する件(海運企業集約に関する問題  等)  航空に関する件(新東京国際空港に関する問  題)  請願   一 バナナ輸送専用船建造政府計画造    船に繰入れ促進に関する請願佐藤觀次郎    君紹介)(第四一号)   二 同(湯山勇紹介)(第六四号)   三 国鉄越美線全通に関する請願渡辺栄一    君外四名紹介)(第五五号)   四 国鉄越美線全通促進のため日本鉄道建設    公団即時創設に関する請願渡辺栄一君    外四名紹介)(第五六号)   五 バナナ輸送専用船建造政府計画造    船に繰入れ促進に関する請願久保田豊君    紹介)(第二六〇号)   六 国鉄越美線全通に関する請願田口誠治    君外一名紹介)(第三二八号)      ――――◇―――――
  2. 川野芳滿

    川野委員長 これより会議を開きます。  日本国有鉄道の経営に関する件について調査を進めます。  この際、委員長より国鉄運転事故防止に関しまして、決議案を朗読いたします。    国鉄運転事故防止に関する件   過般国鉄鶴見事故が発生し多数の  遭難者を出したことは誠に遺憾の極  みであるが、その後も、責任事故が  続発している実情は真に憂慮にたえ  ない。   今日の国鉄独立採算制のもと激  増する輸送需要に対処して最大の企  業性要求されているが、政府並び  に国鉄当局鉄道本来の使命がまず  第一に安全輸送にあることをここに  改めて銘記すべきであって、かかる  見地より国鉄財政のあり方の再検  討、保安対策の強化、職員の精神昂揚  等について一層努力すべきである。   なお、当面、今回のこれらの事故  の原因を徹底的に究明し、物心両面  にわたる事故対策を樹立すべきであ  る。   右決議する。  ただいま朗読いたしました決議案を本委員会決議といたすに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 川野芳滿

    川野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  この決議の取り扱いにつきましては、委員長に御一任を願いたいと存じます。  この際、田邉政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。田邊政務次官
  4. 田邉國男

    田邊政府委員 ただいま当委員会におきまして御決議をいただきました趣旨に基づきまして、国鉄の本来の使命十分認識をいたしまして、この御決議の御趣旨に沿いまして事故対策の万全を期するよう、最善努力を払う決意でございます。      ————◇—————
  5. 川野芳滿

    川野委員長 次に、本日の請願日程全部を議題といたします。  これらの各請願につきましては、委員各位においてすでに文書表等で御承知と存じますので、これより直ちに採決いたしたいと存じます。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 川野芳滿

    川野委員長 御異議なしと認め、これより採決いたします。  本日の請願日程中、全部の各請願はいずれも採択の上内閣に送付するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 川野芳滿

    川野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、ただいま議決いたしました各請願委員会報告書作成等については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 川野芳滿

    川野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————
  9. 川野芳滿

    川野委員長 航空に関する件について調査を進めます。  質疑通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
  10. 久保三郎

    久保委員 第二国際空港計画についてですが、いままでの経過について御報告をお願いしたいと思います。  なお、先般航空審議会というか、その答申が出たそうでありますが、これに対して政府はどのような措置をとられておるか、概要を御説明いただきたい、かように思います。
  11. 栃内一彦

    栃内説明員 ただいま御質問の新東京国際空港の問題につきましては、去る八月二十日に運輸大臣から航空審議会のほうに諮問をいたしまして、諮問内容は新東京国際空港候補地及びその規模ということでございます。これにつきまして審議会では小委員会をつくりまして、これに専門委員を加えまして、数度にわたって御審議がございました。そして去る十二月十一日、委員長から綾部運輸大臣あて答申が出されたわけであります。  答申内容につきましては、諮問に応じまして規模及び場所につきまして詳しく答申をいただいております。  なお、これに関連いたしまして、附帯決議といたしまして、本事業を急速にかつ円滑に推進するためには公団方式によってこれをやるべきである、こういう建議をいただいております。  以上のような経過で、現在、政府に対して候補地及びその規模についての答申が出されました段階でございまして、今後この答申を参考にいたしまして、政府において具体的な場所を御決定になる、かように考えております。
  12. 久保三郎

    久保委員 その答申に基づいて政府で具体的な方針を策定するというが、その時期はおよそいつのころまでに考えておられるか。
  13. 栃内一彦

    栃内説明員 私ども事務当局といたしましては、なるべく早くきめていただきたい、かように考えておりますが、いつ御決定になるかという点につきましては、私どもとしては現在のところまだ予測がついておりません。
  14. 久保三郎

    久保委員 それで、その答申に盛られた内容でありますが、候補地としてどういうようなところを答申してきたか、その点はどうですか。
  15. 栃内一彦

    栃内説明員 場所といたしましては、三カ所の場所につきましていろいろの角度から、この点は良好である、この点は不適当であるというような検討が加えられて、それがまとめられて答申として上がっておりますが、具体的な場所といたしましては、候補地として三つについて御検討をいただいたわけでございます。一は千葉県の浦安沖、第二は茨城県霞ケ浦周辺——霞ケ浦周辺につきましては陸上の場所である稲敷台地、それから霞ケ浦湖面埋め立て二つ候補地をあげております。それから第三といたしまして千葉県の富里付近、この候補地三つ、さらに細分すれば四つにつきまして御検討になったわけであります。
  16. 久保三郎

    久保委員 そこで、四つ場所について大体検討した結果としてどういう答申かということなんですが、聞くところによれば、一番条件として整っているのは富里、その次には霞ケ浦のいわゆる稲敷台地、さらに次の段階にはいわゆる湖面埋め立てというようなことで、浦安は羽田の管制区域に近いというようなことでこれははずれたと聞いておりますが、そのとおりでありますか。
  17. 栃内一彦

    栃内説明員 結論といたしまして述べられておりますところは、千葉富里付近候補地として最も適当である。また防衛庁との調整が可能であれば霞ケ浦周辺も適当な候補地であると言える、浦安沖は主として航空管制上の見地から候補地として適当でない、こういうような結論になっております。
  18. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、その答申からまいりますれば、第一の一番最良の適地というか、それは富里、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  19. 栃内一彦

    栃内説明員 防衛庁との調整が可能であればという条件霞ケ浦周辺についてはついておりますので、その点から申しますと、富里のほうが霞ケ浦周辺よりも比較的よろしい、かように私は答申趣旨を理解しております。
  20. 久保三郎

    久保委員 それで、答申を受けた運輸大臣としては、先ほどお話では、航空局長事務当局としてはまだ見通しはついておらぬというか、いずれに決定するか、そういうことの作業が今後とらるべきだと思うのですが、その作業をとる前に、それならば何らかの調査なり調整というか、そういうものを必要とするから、見通しがきかないのだ、そういう意味にとってよろしいか。
  21. 栃内一彦

    栃内説明員 最終的にはいろいろな関係官庁との調整ということも必要でございます。また関係官庁と申しますか、中には大蔵省はもちろん入っておるわけでございまして、まだそれらの相互の意見調整というには時間がかかるのではないか、かように考えております。
  22. 久保三郎

    久保委員 来年度の予算要求には、いかなる方針要求をしておるか、この問題では。
  23. 栃内一彦

    栃内説明員 具体的な場所が現在のところきまっておりません。きわめて具体的な予算要求は困難であろう。ただ大蔵省と事務的にはいろいろないま折衝をやっております。そういう段階でございまして、場所を特定した非常に具体的な予算折衝というものは、現在としては困難である、こういう段階でございます。
  24. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、現段階では、予算要求としては、来年度は調査費ということで要求をする、こういうふうになると考えてよろしいですか。
  25. 栃内一彦

    栃内説明員 まだ予算最終決定まで時間もありますので、今後の見通しによりまして私ども事務当局としては若干の調査費以上の要求をいたし、またこれをぜひ認めていただきたい、かように強く思っておるわけでございます。したがいまして明年度調査費だけにするというふうに弱い立場を必ずしもとっておらない、こういう状況でございます。
  26. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、答申に盛られた四つの地区、言うならば三つでありますが、浦安適格条件からはずれたと見ていいかと思いますが、あとのものについては技術的な調査は完了している、こういうことでございますか。
  27. 栃内一彦

    栃内説明員 技術的調査は完了しておるというところまではいっておりません。完了という意味でございますが、一応候補地として考え得るという意味調査、これは一応やっておりますが、最終的な非常に具体的な調査という点はまだ必ずしも全部やっておるわけでない、すなわち場所がまだきまっておりませんので、具体的なレイアウトというようなところまでは行っておりませんが、大体その付近はいずれの候補地につきましてもどういうような事情であるかというような意味調査はやっておるわけであります。
  28. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、来年度予算要求の中に調査費以上に上回ったものをという要求なんだが、その中に、言うならば、いまのレイアウトまで持っていくところの調査費を含めての話なんですが、それとも多少の工事というか、用地買収というか、そういうものを考えておられるのか。
  29. 栃内一彦

    栃内説明員 具体的の意味調査費はもちろん、さらに地元との折衝等が円滑にいけば、補償なり用地買収なりというものの一部でもできればこの際要求して認めていただきたい、かように考えております。
  30. 久保三郎

    久保委員 そこで先ほど答申の中には公団でやれ、こういうような意見条件つきで来ているそうでありますが、来年度要求には公団組織を先行させる考え予算獲得考えておるのかどうか。
  31. 栃内一彦

    栃内説明員 この仕事をやります場合に、いろいろな組織によってやることが考えられるわけでございますが、私どもといたしましてはこれだけの大事業をやるのにはやはり公団方式によってやっていくことが一番能率的にかつ短期間にできるのではないか、かように考えておりますので、明年度公団の設立をぜひ実現していただきたい、かように考えております。
  32. 久保三郎

    久保委員 そこで問題は、いままで新聞等で拝見しますと、千葉県の富里にいたしましても霞ケ浦周辺にいたしましても、地元土地所有者中心にしてかなり根強い反対がすでにあがっていると思うのです。こういう問題の解決についてはいかような考えを持っておられるのか。
  33. 栃内一彦

    栃内説明員 いまだ候補地がきまっておりませんが、この反対運動あるいは賛成運動というものは過去一年間いろいろな形であらわれまして、たとえばある場所につきましては、初め異常に反対が強かったが途中で賛成に切りかわったというようなところもございます。またいま御指摘の二つ場所につきましても、賛成派反対派、おのおのあるようでございます。また時間の経過とともにいろいろな動きがあるというふうに感じております。したがっておそらくどこの場所にきまりましても、賛成派反対派、おのおのがあると思いますが、私どもとしましては、できるだけ反対派の方に御説得申し上げて、この国家的な事業に御協力願うように、最善努力をしていきたい、かように考えております。
  34. 久保三郎

    久保委員 そこで関係地元というか地方自治体ですね、まだ正式には政府として具体的な話を持っていっておらないということですか。
  35. 栃内一彦

    栃内説明員 先ほどから申し上げておりますように、政府のレベルとしてまだどこの場所ということも御決定になっておらないという段階でございますので、地元に対してここにきめたからどうかよろしくお願いしますという段階にはまだ立ち至っていないわけでございます。
  36. 久保三郎

    久保委員 そこで先ほどの話に戻りますが、政府として具体的な方針決定するのは、いわゆる予算要求ともからむと思うのでありますが、早急にやらねばならぬというならば、年内に方針はきめなければならぬということですね。そうですね。ところがいままでのお話だと、それほど取り急いでもおらないというふうにもとれると思うのですが、これはいかがですか。
  37. 栃内一彦

    栃内説明員 取り急いでおらないというわけではございませんので、関係各省との調整には、必ずしも答申が出たからというて、ばたばたといくという問題ではないということを申し上げたわけでございまして、私どもとしてはできるだけ早く関係各省調整がつきまして、政府として某地候補地にきめるというふうに取り運ばれることが非常に重要であるというふうに考えておりますので、答申が出てすぐばたばたといかないという点は事実でございますが、決してゆっくりやってもいいというふうに考えておるわけではございません。
  38. 久保三郎

    久保委員 第二空港はいつまでにつくる計画ですか。
  39. 栃内一彦

    栃内説明員 私どもとしましては、昭和四十五年にはこれを完成させていきたい、かように考えております。
  40. 久保三郎

    久保委員 工事を始めればどの程度でできます。
  41. 栃内一彦

    栃内説明員 これは具体的なレイアウトがまだはっきりきまっておるわけでございせんが、いわんや候補地もきまっておるわけでございませんので、明年度から、これに用地買収なり補償というものに取りかかっていくということになれば、十分私は完成する、こういうふうに考えております。
  42. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、これは海のものとも山のものともつかぬというようなことにも考えるわけですが、具体的に空港をどこにつくるかきまらぬということになると思うのですが、そういう手順は政府内で関係各省との打ち合わせもありましょうが、関係各省打ち合わせには、候補地決定する場合に、そんなに手間がかかるのですか。予算関係もありましょうけれども、どうなんです。
  43. 栃内一彦

    栃内説明員 もちろん予算関係もございますし、これに関連して、たとえば道路の問題につきましては建設省、あるいは農地の問題なりその他の問題について農林省、いろいろ関係各省がございます。また金の問題については、当然のことながら大蔵省というような点がございますので、十二月十一日に答申をいただきまして、それから関係各省としましては、まだ調整はついておりませんが、これはできるだけ早く調整をいたしまして、候補地を早く決定していただきたい、かように考えております。
  44. 久保三郎

    久保委員 その中で最近の新聞を見ますと、建設省のほうは別な構想を持っておられるようにも伝えられておるのですが、この辺はどうなんですか。
  45. 栃内一彦

    栃内説明員 建設省では別の候補地を持っておられるということは、直接私は聞いてないわけでございまして、新聞でちょっと拝見した点はございますが、これは別に正式に建設省のほうからは伺っておりません。
  46. 久保三郎

    久保委員 この連絡会議というか、この点はどうなっておるのですか。最近答申を受けたあと建設省あるいは企画庁さらには大蔵省も入るのですが、もちろん運輸省は中心でしょうが、この連絡会議は、いままで四者会議というのをやったと思うのですが、これはどうなんですか。
  47. 栃内一彦

    栃内説明員 連絡会議はその後、この諮問が出されましてから、各省から専門委員という形で入っていただきまして、事実上の連絡はその形においてやっておるわけでございます。
  48. 久保三郎

    久保委員 いずれにいたしましても、これは大きな仕事であるし、さらには土地の取得についてはかなりの問題があると思うので、慎重を期してやらねばならぬと同時に、公団組織でおやりになるというが、いうならば、この公団組織でやるということその他についても、あらためてお聞きしなければなりませんが、ともすれば公団でやることは、なるほど役所仕事よりは機動性がありますから、これは必要であるということかもしれませんが、単純に公団でやれるかどうかという問題が一つあると思う。また公団も持っていきようによっては、技術的なことが度外視されて、どうも公団が何のためにできたかわからぬというようなこともあるし、最近やや下火になりましたが、公団組織そのものの中身に疑問を抱く面があります。でありますから、これは慎重に取り運んでいただきたい。かように私は考えているわけであります。  さらにもう一つくどいようでありますが、候補地決定にあたっては、各般の事情というか、情勢を判断した上でやるべきだと私は思う。これをなさないで、取り急いでまいりますと、必ず問題は中途で挫折するということもなきにしもあらず、こう思うので、十分その点を御配慮いただきたい、かように思います。  いずれにしても、本問題はまだ海のものとも山のものともつかぬようでありますから、後刻あらためてお尋ねします。  最後に資料として、今までの経過について、答申を含めて、その一件書類を委員会に御配付いただきたい。かように考えております。  以上で終わります。
  49. 栃内一彦

    栃内説明員 ただいま御要求答申に関する資料は、さっそくお届けいたしたいと思います。      ————◇—————
  50. 川野芳滿

    川野委員長 次に、海運に関する件について調査を進めます。  質疑通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
  51. 久保三郎

    久保委員 海運局長から、まずこの二十日までで、いわゆる集約合併というか、これの届け出が締め切りだと聞いておりますが、これまでの経過について概要を説明してほしい、こう思います。
  52. 若狭得治

    若狭説明員 前の通常国会海運企業再建整備法が成立いたしまして、本年七月一日に公布されました。その後、関係政令及び省令制定等の事務的な手続を終えまして、関係各省において目下整備計画作成を急いでおるわけでございます。問題はその中に、法律にございました中核会社となるためには、船舶運行事業者合併しなければならないという規定がございます。現在のところ、中核会社がすでに合併を発表いたしておりますのは三社、六社が合併会社で、三社が中核会社になるということが明確になっておりますけれども、残りのものについては、大体現在のところ、さらに三社程度中核会社ができるであろうというように想定されておりますけれども、まだ最終的な決定を見ていないという状況でございます。  そこでわれわれといたしましては、七月一日に法律施行になりましたけれども、大体整備計画作成に六カ月の猶予、作成期間を与えまして、十二月の二十日までに計画を立てていただく。そして法律施行後一年以内にこの整備計画実施をしていただくということを目標としておりますために、十二月二十日までに出てまいりましたものを、二カ月間の審査期間をおきまして、二月末までに整備計画審査整備計画審議会において大体終了していただこう、そしてその後二カ月の間に集約実施をしていただいて、来年の六月末日をもちまして、この整備計画の確認をいたしたいというように考えておるわけであります。現在のところ先ほど申しました中核体になる会社合併問題がなお多少残っております。ただ系列関係なりあるいは専属関係会社につきましては、いずれも作業各社とも終わっておるようでございます。十二月二十日までには具体的な計画が出てくるものと期待いたしておるわけでございます。
  53. 久保三郎

    久保委員 いまのお話だというと、六つのグループくらいに大体二十日までにはなるということですか。
  54. 若狭得治

    若狭説明員 大体そのように考えておるわけでございます。
  55. 久保三郎

    久保委員 万が一、二十日に間に合わぬ場合もあると思うのですが、それはどう考えていますか。大体きょうあたりの情勢では、明日くらいにまとまるのですか。
  56. 若狭得治

    若狭説明員 大体まとまるというふうに考えておりますし、十二月二十日というのは法律に基づく省令規定ではございますけれども、われわれといたしましては、この期限を定めております関係もございまして、これに間に合わないというものができましても、やむを得ないというように考えておるわけでございます。
  57. 久保三郎

    久保委員 間に合わないものができてもやむを得ないというのは、しかたがないと同意義ですか。それは集約の対象にはならぬ、こういうことになるのですか。
  58. 若狭得治

    若狭説明員 そのとおりでございます。
  59. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、いまの見通しでは二十日に間に合う、こういうことですね。もう一ぺん。
  60. 若狭得治

    若狭説明員 関係各社とも非常に努力いたしまして、今明日中に集約基本方針をきめまして、合併の契約もいたすというふうにわれわれは承知いたしております。したがいまして、十二月二十日までには間違いなく、日本の五十数社の海運会社がすべて集約に参加いたしまして、計画を提出するということになると考えております。
  61. 久保三郎

    久保委員 集約の姿はあとでまたお尋ねすることにしまして、きょうは政務次官だけでありますから、あらためてまた通産大臣なり、大蔵大臣なりがおいでの席で予算審議のときにでもお尋ねしたいのでありますけれども、さしあたり政務次官あるいは海運局長にお尋ねするのでありますが、先般OECD加盟問題にからんで、実は外国用船について規制をはずすというかっこうになったわけです。この問題については、ことしの二月でありましたか、三月でありましたか、海運整備二法案が出たときに、私が本会議の席であらためて政府にお尋ねしたわけであります。そのときの御答弁は、政府の見解としては、よその国も、八条国移行とか、そんなことをいってもある程度の規制をしているから、現在におけるような規制は引き続きやっていきたい、こういう明確な答弁をしておるわけです。ところがOECD加盟の問題は去年の春に方針はきめられておるわけですね。そこでいわゆる海運基盤整備というか、海運の大きな政策転換はことしの春の通常国会に提案されて現在の形に進行しておるわけです。当然その当時から、OECD加盟に対する問題と海運政策との関連についてはもうすでに御案内だったわけですね。ところが、急遽、最後にまいりまして、OECD加盟の条件として、いわゆる外国用船規制ははずす、こういうことになったわけですね。しかも運輸省の傾向を見ておりますと、最初五年間と言っておりましたが、この五年間というのは、整備期間中であるから、現在のような規制を続けていきたいという主張でありました。これはまことに理の通る話であります。片方では、いわゆる体質改善なり基盤強化をしようということで、多額の国庫負担もやり、あるいは強制に近いところの集約合併もやろうというそのさなかでありますから、この基盤なり体質をくずすような方向であるところの用船規制をはずすがごときは、実際には断じて考えられないですね。でありますから、せめて五年間の整備期間中は、これはそのままにしておこうということで主張されたようであります。ところが、日ならずして、新聞の報道するところを経過をたどってみますと、これは三年にちびってまいりました。そこで聞きますが、これはなぜ三年にしたのか。五年という主張から三年に変えたその理由はどういうことであったのか。これはどうですか。
  62. 若狭得治

    若狭説明員 いま御質問にございましたとおり、われわれといたしましては、五年間の外国用舶の留保を主張いたしたわけであります。御承知のように、OECDの加盟各国の中には、たとえばアメリカのごとく、海運の自由の原則自体を留保して加盟いたしておる国もございますし、あるいはフランスのように、石油の輸送については自国船のシェアを法律によって確定いたしておるという国もあるわけでございまして、OECDに加盟することが直ちに海運の全面自由化を目ざすものというふうな予想はいたしておらなかったわけでございます。ただ、OECD加盟の際のいろいろな条件といいますか、環境と申しますか、そういうものがわれわれの考えておるような甘いものではなかったわけでございまして、特に北欧諸国の非常な共同市場に対する進出の意欲というものがございまして、そういうものの主張に経済自由の原則に立っておるOECDの主要メンバーがやはり動かされるというような事態になったために、われわれの主張というものはなかなか認められないという状況になったわけでございます。ただ、三年というような過渡的な提案があったやに聞いておりますけれども、それはわれわれ運輸当局の考えではございませんで、外交上の問題であるというふうに聞いておるわけでございます。
  63. 久保三郎

    久保委員 大体において、海運局長を責めるのではありませんが、自由化の影響について整備法をつくるときに考えられたのかどうかですよ。それを考慮の上において整備法をつくったのかどうか、いかがですか。
  64. 若狭得治

    若狭説明員 もともと海運というものは自由な国際競争ということを前提にいたしておるものでございまして、整備法の趣旨も国際競争力の強化ということを主眼にして制定されておるわけでございます。したがいまして、現在の弱体な海運企業を五年間の時限をもってこれを許可するということがこの整備法の目的でありまして、その目的とするところは当然、自由なる国際競争に太刀打ちできるということを主眼といたしておるわけでございます。ただ、現在の時点において、全面自由化ということは日本海運の実情から見て適当でないことは、久保委員の御指摘のとおりでございます。したがいまして、われわれといたしましては、OECDの加盟に際しましては、すでに他の先に加盟いたしております国がいたしておるような留保をつけたいということを考えておったわけでございますけれども、それが不幸にしてなかなか進まないということで、早急に、つまり五年間に達成しようとした海運の強化というものを、できるだけ早くその成果を上げたいということを考えたわけでございます。具体的には最も国際競争の激しい、あるいは当面日本海運として最も重視すべき石炭、鉄鉱石及び石油の専用船の用船契約につきまして、これを制限するという留保をつけるということになったわけでございます。したがいまして、こういう船舶につきましては、その過渡期間におきまして開発銀行の融資比率を引き上げるとか、あるいは据え置き期間を延長するというようないろいろな方策をとりまして、国際競争力の強化に役立てていこうということを現在考えておるわけでございます。
  65. 久保三郎

    久保委員 このタンカーは二年、石炭、鉱石は一年、これは何が基準ですか。外交上のいわゆる妥協の産物ととっていいですか。どちらですか。
  66. 若狭得治

    若狭説明員 われわれといたしましては、先ほど申し上げましたように五カ年の整備期間というものを、こういうものについてできるだけ短くしていこう、できるだけ早く日本海運の国際競争力をつけようということを考えたわけでございます。しかしながら、この日限あるいは目標というものをどこに置いたらいいかというような問題になりますと、これはその裏づけとなる対策によって違ってまいるわけでございます。したがいまして、外交上のいろいろな折衝の結果、鉄鉱石、石炭については一カ年、それから石油については二年というような条件になったわけでございます。  ただこれに見合う海運対策としてどういうものが適当であるかというような問題になりますと、いろいろな議論もあるかと思いますけれども、われわれとしては、その期間においてできるだけ日本船のシェアというものを画定するような方向でものを考えていこう、そのためにはあらゆる方策を講じて、そういうような環境をつくり上げていこうということを考えておるわけでございまして、現在そういう方向で努力いたしておるわけでございます。
  67. 久保三郎

    久保委員 OECD加盟のこういう形を見ますと、若干かもしれませんが、海運政策というものの基調が多少変わってきた、こう見ていいわけですか。
  68. 若狭得治

    若狭説明員 基調が変わったという御趣旨はどういうことでございましょうか。もう一度……。
  69. 久保三郎

    久保委員 体質改善なり基盤強化というのがまず第一の当面の方針だと思いますね。反面、一つの側面としてそれに害を与えるものは規制していくというのが当然です。ところがOECD加盟にあたっては、理屈抜きにこの規制をはずしたという面は、一つの側面がとれるわけですね。そうしますと、これからはもうオープンである、オール自由です、こういう方針でいくのかどうか。あるいは制限とか保護とか、そういうものは考えていかなくてもいいというふうにとってよろしいのか。
  70. 若狭得治

    若狭説明員 もともと海運というものは、先ほど申し上げましたように国際的には自由な産業でございますので、そういう方向で原則的には進んでいきたいというのがわれわれの考え方でございます。ただ日本海運企業が非常に弱体でございますので、五カ年という制限を設けてこの再建整備をしていきたいということと、それから同時に、国際環境というものは必ずしも海運自由の原則だけで動いておらないというのも現実でございます。たとえば後進国の自国船優先主義というものもございます。あるいはアメリカの自国船主義というような傾向も出ておりますので、やはりそれに対抗する必要な措置というものは、日本海運としても考えていかなければならぬ。ただ海運自由という原則だけですべてを律していこうという考えを持っておるわけでは決してありません。  ただOECDの問題に関連して申し上げますれば、海運というものは原則的に自由な国際競争に直面いたしておるものでございますので、できるだけそういう自由な態勢に移行でき得る力を早くつけるということに問題の主眼があるというふうにわれわれは考えておるわけでございます。
  71. 久保三郎

    久保委員 いままでの御説明では、少なくとも海運の自由というのは、大体OECD加盟の条件一つとってみても、お話にはなるほどありましたが、言うならば古典的な海洋の自由ということで日本海運はいこう、こういうことにならざるを得ないと思うのですが、シップアメリカンなりあるいは国旗主義、こういうものは世界の大勢——と言っては語弊があるが、そういうことになっておる。その中でひとりわが海運だけが古典的な海洋の自由を振りかざしていくというふうにとれるわけですが、そういうことですか。私はやむを得ずそういうふうになってきたと思うのですが……。
  72. 若狭得治

    若狭説明員 古典的な海洋の自由というものを主張するわけではございませんけれども、原則的に現在の国際海運というものは自由の原則のもとに動いておるわけでございますので、そういう国際競争力をまず付与するということが第一前提でございます。ただ現在の情勢というものは、先ほど申しましたのは、いろいろなそれに反する状況というものが非常に強く出てまいっておりまして、またそれを押えようとする力もございますけれども、われわれはそれに対処いたしまして、日本の国際環境というもののあるいは海運の環境というものの中でその自由の原則を制限する場合も当然なければ、日本海運というものは健全に発展し得ないのじゃないかというような考え方で、その情勢に対処していこうというふうに考えておるわけであります。
  73. 久保三郎

    久保委員 この問題の問答をあとに残しますが、先ほど海運局長からお話のあった、五年を三年にしたというのはわれわれは関知しなかったということでありますが、日本の経済外交というのはそういう形が実際は多いですね。国内政策とは無関係に——無関係といっては語弊があるが、無関心というか、そういう形で今日まで進められておる。出先の大使館なら大使館に、参事官なりあるいは書記官なりがあなたのほうの出先として行っておるのじゃないですか。今日はそういうパイプはないのですか。これはどうなんです。
  74. 若狭得治

    若狭説明員 OECDの加盟の問題につきましては、運輸省からは担当官を派遣いたしまして、具体的な説得に当たらせたわけでございます。
  75. 久保三郎

    久保委員 本国に請訓が来たときに、それは運輸省はあまりあずからぬのですか、そういう大事なときに。
  76. 若狭得治

    若狭説明員 折衝経過はすべてわれわれのほうに連絡を受けております。ただ最終的な決断というものは、事務当局の手においてなされるわけではございません。政府全体としての決定でございますので、したがいましてその決定には当然運輸省としても従うということでございます。
  77. 久保三郎

    久保委員 それでは運輸大臣がおいでのときにこの問題はお尋ねしなければならぬと思いますが、そこでその対策として開銀融資の比率を上げるというようなことをおっしゃいまして、来年度も要求をしておるそうでありますが、七割から八割にしてこの用船規制に対抗できる形が二年なり一年の間にできるのですか。できる見通しを計算してあるのですか。いかがです。
  78. 若狭得治

    若狭説明員 OECD対策として考えられますことは、融資率の引き上げあるいは開発銀行に対する据え置き期間の延長というような問題のほかに、たとえば外国船と日本船とは現在鋼材価格が異なっておりますが、これを同一にしてもらいたい、あるいは建造の発注のしかたというものを、長期的な観点に立っていきますように、開発銀行の船舶建造の融資のしかたを、長期の計画ができますような融資を行なえるようにしてもらおうというような、いろいろな面があるわけでございます。それからまた、日本船をできるだけ利用してもらうように関係の業界にも働きかけるというようないろいろな総合的な問題を一つ一つ解決していく以外に、単に開発銀行の融資を一割引き上げるということだけでこの問題は解決するというようには私ども考えないわけでございます。
  79. 久保三郎

    久保委員 そこで、最も大事なのは荷主との積み荷の協調でありますが、これが一番、用船規制がなくとも、でき得るなら、これである程度防げるわけですね。ところがそれが一番どうもあいまいもことしているのですが、具体的にどうされますか。
  80. 若狭得治

    若狭説明員 具体的には、まず第一に日本船の運航のコストというものを外国船と同じようなレベルまで引き下げるということが、これが第一の前提でございます。そうして同じようなコストになれば、当然外国船よりも日本船を使うというような状態になってまいるというふうにわれわれ信じておりますので、そういうことが前提条件で、開発銀行の融資率の問題であるとか、あるいは鋼材価格の問題であるとか、あるいは据え置き期間の延長の問題であるとかいうものを取り上げているわけでございます。今後の方向としては、やはり一つの国民運動といいますか、そういうようなものを通じて業界に働きかけていこうということで、現在経済団体にも、日本船を優先的に使うということを主眼とした計画作成ということについて協力をお願いしておるというような段階でございます。
  81. 久保三郎

    久保委員 コストを下げることが最も大事です、それは。だけども融資率を上げたり何かで早急にそういうコストが引き下がる見通しはないでしょう。そうなれば、いま後段におっしゃったように、呼びかけているというが、呼びかけている程度ではたして今日の現状からいって、そういうものがうまくいくと思いますか。いかがです。
  82. 若狭得治

    若狭説明員 今日のところは、いずれにいたしましても用船制限がまだ残っておりますので、その成果というものを明確に判定することはできませんけれども、われわれといたしましては、現在の船舶建造というものはすべて長期の計画によってこれを行なっておりますので、そういう面から見まして、その用船期間中に長期の契約のものを多数に建造しておくということが第一の条件でございますので、そういう方向に向かって努力いたしておるわけでございます。
  83. 久保三郎

    久保委員 まあいずれにしても、この問題もあとに残しましょう。  そこで、予算要求もされているそうでありますが、ニューヨーク航路の一本化ということでおやりになるそうでありますが、ニューヨーク航路だけが問題じゃなくて、むしろ総合的な全世界にわたるところの日本のいわゆる定期船のシェア、あるいはその配船状況、これを検討して、総合的ないわゆる配船調整というか、航路調整というか、そういうものを策定すべきだと思うのだが、これについてはどうお考えになりますか。
  84. 若狭得治

    若狭説明員 海運の合理化につきましては、いま御指摘のとおりでございますけれども、一応先ほどお話をいたしましたグループ化の問題が解決いたしましたならば、その線に沿いまして各航路についての配船の合理化というものは当然起こってくるわけでございますので、われわれはその状況を見ていきたいというふうに考えておるわけであります。ただニューヨーク航路につきましては、現在アメリカのシッビング・アクトとの関係から混乱を重ねておりますので、これは別個の問題として解決していきたい、単にグループ化によって解決を行なうという程度では、とうていニューヨーク航路の安定は期待し得ないというふうに考えておるわけでございます。むしろシッビング・アクトとの関係からああいう特別な処置をとるというふうに考えておるわけでございます。他の航路につきましては、グループ化を前提として航路の合理化を進めていきたいと考えておるわけでございます。
  85. 久保三郎

    久保委員 なるほどオープンのいわゆるアメリカ航路については一番問題が多いと思うのでありますが、しかし、六つのグループならグループができて再建整備をはかろうというからには、単にニューヨーク航路だけを対象に考えて、あとはひとつグループ間の出ようを待っていようということでは、かなり問題があると私は思うのであります。でありますから、これはもちろん政府が介入してやるべきか、あるいは六つのグループが協調してやるべきか、多少問題もあろうかと思うのですが、それにしても片手落ちなかっこうで、ニューヨーク航路だけの一元化で、それであとのそれに対して航路調整費を出す、補助を出すというようなことは、少なくとも日本海運の構図を考えての話じゃないのであって、われわれ自身もにわかにこれは賛成しかねると思うのであります、実際は。しかし賛成反対かはいずれあとできめますが、少なくともそういうことからいっても全体のいわゆる相互調整をはかるという方針でなければ意味がないと私は思うのです。それからもう一つは、定期航路の個々の航路についても採算をしさいに検討すべきだと思うのですね。そういう検討はされておりますか。
  86. 若狭得治

    若狭説明員 航路の採算はもちろんわれわれのところで常に検討いたしております。ただ、ニューヨーク航路につきましては、他の航路と非常に状況が異なっておりまして、この安定というものは、アメリカの干渉といいますか、アメリカのいろいろな経済方針というものから見まして、とうてい期待し得ないということが明らかに考えられるというところに他の航路との違いがございますので、そういうものに対応する方針をとったほうがベターであるというように考えておるわけであります。先ほど海運の自由の原則について、一般的にはその方針によりますけれども、個々の具体的なケースについて適宜対処していきたいということを申し上げましたけれども、ニューヨーク航路はその一つの例でございまして、どうしても自由の原則をもって律し得ないというような状況が出てまいっておるものにつきましては、やはりこの自由の原則をはずしまして、適宜の対抗措置を講じていく以外にないというようにわれわれ考えておるわけであります。
  87. 久保三郎

    久保委員 大体日本海運というのは、この春からいわゆる法律による合併集約、それから、たとえばいまのお話のニューヨーク航路の一本化、これには株式会社をつくってということでありますが、こういうことにコースがなってまいりますと、これはいわゆる国家管理のもとにコースとしては持っていくのだというふうに見られるわけでありますが、そういうふうに了解してよろしいか。
  88. 若狭得治

    若狭説明員 ニューヨーク航路の一本化の問題は決して国家管理ということを考えておるわけではございませんで、現在ニューヨーク航路に配船している各社が自主的に一つの会社をつくりまして、そこに配船をゆだねて、一本会社として合理化に徹底しようということを考えておるわけでございます。国はそれに対して側面的にその合理化を促進するということだけを考えておるわけでございます。内容については、具体的な運用方針については現在の海運会社にまかせるという考えでございまして、航路自体の補助をわれわれ考えておるわけでもございませんし、この航路の具体的な内容についてわれわれが指導するということを強く考えておるわけではございません。合理化を促進するということにすべての主眼を置いているわけでございます。
  89. 久保三郎

    久保委員 なぜそういうことを言うかというと、いままでの経緯をよく知りませんが、ニューヨーク航路についての予算要求の前にこの一本化について提案をしたのは政府自体でございましょう。そしてこれに対して業界は反対はなかったと思うのでありますが、賛成をしたというのですが、そのいきさつはどうなっていますか。
  90. 若狭得治

    若狭説明員 一本化の案が出てまいりましたのは昨年あたりからでございますけれども、これはむしろ業界内部からそういう案が出てきたわけでございます。それはアメリカのシッピング・アクトの改正によりまして二重運賃制というものは認められましたけれども、その運用のみによってはとうてい航路同盟の安定は期し得ない。運賃がある程度安定すれば直ちに盟外船が出てくるというような状況であるということで、関係各社が、ニューヨーク航路の安定の方法といたしましては、これを徹底的に合理化することによって日本船の負担を軽減するということ以外には、この航路を維持していく方法はないというように判断いたしたわけでございまして、業界のほうからこの一本化の案が出てまいったわけでございます。ただそれは各関係会社全部の一致した意見ではございませんで、多少異論もあったわけでございまして、最近に至りましてようやく各社ともこれを了承いたしまして、一本化の方針に踏み切っておるという状況でございます。
  91. 久保三郎

    久保委員 まあこの問題も具体的に提案されてからまたお話を申し上げたいと思いますが、そこでもう一つこの機会に伺っておきたいのは、三国問輸送の価値はどうだ、値打ちはどうだ、存在価値があるのかどうか。三国問輸送に対する助成、これは年々三国間輸送の量は減ってきている。減ってきている原因は何かというと、これは言うまでもありません。三国問輸送は採算に合わない、採算に合わないということは採算に合うところがある、合うところは極東周辺である、こういうことになると思うのですね。世界の海運も極東周辺に目を向けてきている。そうなりますと三国間輸送の助成までして航権拡張というか、いわゆる国際収支改善というか知りませんが、そういうものに焦点を合わ起ていくことは今日の時点ではもう意味をなさないのではないかというふうにもとれるわけですが、これはいかがですか。
  92. 若狭得治

    若狭説明員 御指摘のように三国間助成は逐次減少するというふうな情勢もございますけれども、これはむしろ採算の問題は当然根本にはございますけれども、全体的に見て日本の船腹が足りないということのために、極東周辺特に長期の荷物輸送に専用するというような情勢が出てまいっておりますために、三国間輸送に従事する船舶が減少しておるということに根本の原因があるわけでございます。われわれといたしましては、国際収支の改善をはかりますためにも、船腹の拡充ということに今後大いに努力してまいりたいと思っております。また同時に三国間輸送をさらに強化していきたいというように考えておるわけでございます。ただ日本の現在の物資輸送のアロケーション、たとえば五〇%程度の比率というものだけを目標にしているということでは、とうてい日本海運の国際収支の改善ということは期待できないわけでございますので、今後の方向といたしましては、やはり三国間輸送に進出できる程度の船腹を急速に拡大するということが必要ではないかと考えておるわけでございます。
  93. 久保三郎

    久保委員 いまのお話からまいりますれば、三国間輸送が衰微していくのは、全体としての日本の船腹過少が原因だ、こういう話ですが、そうだとするならば、船腹が少ないところに助成を出しても意味をなさないわけです。これはやはり船腹拡充ということでしぼらなければならぬ。どうも三国間輸送の助成というのは意味が薄い、こういうふうに考えるのです。重ねてお尋ねしますが、どうですか。
  94. 若狭得治

    若狭説明員 三国間輸送が減ってきておるというような理由につきましては、船腹の不足ということが根本原因であるということを申し上げたわけでございますが、その対策としては、船腹拡充というのが先決問題としてあるわけでございます。しかし現に三国間に就航しております船舶につきましては、外貨収支の面から見ましても、わが国の経済に非常に貢献いたしておるわけでございますので、これを補償するということもやはり必要でございますし、現に採算の悪いものがある以上、これを多少補うということによってその航路を維持させるということも必要ではないか。また今後の方針としては、できるだけこういう方向にまでも日本船を進出させるということが必要であるというふうに考えられますので、過渡的には現在減少の傾向を示しておりますけれども、今後船腹拡充によってこういう方向をさらに進めていきたいというように考えておるわけでございます。
  95. 久保三郎

    久保委員 いずれにしても、日本海運が構造的に対応する一つの施策としてこの三国間輸送助成というものは取り上げたと思うのでありますが、その構造変化に対応する施策として再検討の時期ではないか、御説明がございましたが、私はそう思う。全体的な構造変化に対応する対策としてこの問題も含めて新たに見直したらどうか、こういうふうに考えておるわけです。単にいままであったものであるからこれを失うこともどうかと思うというだけでは、実際は抜本的な政策の転換ではないと私は思うのです。だからここで新たな——いわゆる集約合併も大きな一つの転換であります。これがはたして構造対策になるかどうかは別にして、これを基調にしてニューヨーク航路あるいは全体の定期航路についても何か手を加えようということでありますならば、これはやはり全体の中で再検討の要があると私は思う。これは御検討の余地がございますか。
  96. 若狭得治

    若狭説明員 三国間助成の支給の方法その他については、さらに検討を加える必要があろうかとわれわれも考えております。ただ今後の方針としては、国際収支の改善ということをわれわれの命題として与えられております限りにおきましては、船腹拡充を強化するとともに、三国間への進出ということを助成するということはどうしても必要ではないかと考えておるわけであります。
  97. 久保三郎

    久保委員 実際いうと助成が万能ではないですね。いわゆる助成を得るために、たいへん語弊がありますが、ニューヨークの問題もできた、そういうことでははたして海運の自立体制ができるのかどうかということであります。助成がなくなれば、これは直ちにもとに戻るということであっては困るのでありますが、そういう意味を含めて今後考え直してもらわねばならぬというような点が幾つかあると思うのです。これはあとでまたお話を聞きたいと思います。  そこで最後にお尋ねしたいのですが、この集約合併に伴う船会社の陸員の処置についてでありますが、これは今日どういうふうになっておりますか。
  98. 若狭得治

    若狭説明員 合併に伴う陸員の処置でございますが、各社とも、昨年国会でもたびたび言明されたと思いますけれども、この集約統合に伴う雇用の不安というものをできるだけ避けるという方針で、徹底的に現在従業員と十分な連絡をとりながら合併の問題を進めておるわけでございまして、この面から雇用が非常に不安定になるというような心配は、われわれはないというふうに考えております。
  99. 久保三郎

    久保委員 これは船主協会並びに各当該会社もそういう方針で今日まで進んで、不安動揺はない、こういうふうに了解してよろしいですか。
  100. 若狭得治

    若狭説明員 そのとおりでございます。
  101. 川野芳滿

    川野委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後零時二分散会      ————◇—————