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磯崎説明員 お許しを得まして、私から
鶴見事故の概況とその後の
事故のあらましについてごく簡単に申し上げます。
鶴見事故につきましては、お手元にごく簡単な資料を準備いたしましたので、すでに新聞その他で御
承知のことと思いますが、いままでわかりましたことにつきまして、簡潔に御
報告させていただきたいと思います。
初めから三枚目に折り込みの
図面がございますので、それをごらんになっていただきたいと思いますが、
別図1という
図面であります。この
図面は、左側が
東京方、
右側が
横浜方、一番上の二本の
線路は
京浜東北線、すなわち大宮から桜木町に参ります
普通電車の
線路でございまして、それが
図面の左のほうでもって
東海道線を
立体でオーバーしております。したがいまして、その次にございます1、2、3、4、5と書いてございます
線路が
東海道線の汽車あるいは
湘南電車、あるいは
横須賀線の
下り線でございます。その次がやはり
東海道線の
上り線路でございます。それから一番下の二本の
線路は、
新鶴見から出ました
貨物列車が、
鶴見の
近所におきまして
東海道線に接近してまいりまして、ちょうどこの
地点で、
京浜東北線が
東海道線をオーバーいたします
近所でもって
東海道の
旅客の
上下線に接近してまいりまして、これから先が複々線になって運転されておる。
旅客線が
まん中で、
貨物線が下、こういうふうな
場所でございます。
事故の起こりましたのは、ただいま
総裁から申し上げました十一月九日の夜九時五十分ごろでございまして、当時
新鶴見の駅を出ました
下りの
貨物列車の2365と申します
列車が四十五両の
貨車を引っぱって、この
図面の下から二番目の
線路を左から右に走ってまいりました。そうしてこの
列車は、
先頭が
——図面の一番
右側の
滝坂踏切と書いてございます。この
滝坂踏切のもう少し
横浜寄りに
機関車が参りましたときに、後部から
非常ブレーキがかかりましたので、すぐ停止したのであります。その当時の
状況は、その
図面にございますとおり、ちょうど
図面の
まん中ごろに
貨車が
三つ横になっておりますが、一番
最後の
貨車がワフ28088、これが四十五両の一番
最後の車でございます。その前のポム92という車、それからその前の
ワラ501、この三両は一番
最後部の三両でございます。この三両が
脱線いたしまして、この
ワラ501と申しますのは、そこにございます
電柱にぶつかりました。
脱線したと思われる
地点は、この
図面にございますとおり、
脱線地点とありまして、十六・三メートル、この付近から
脱線いたしたというふうに思われますが、この
地点で
脱線いたしまして、枕木上を約五十メートルほど走りました上で、そこの
電柱にぶつかってこの
列車から離れたわけであります。その
ワラ501と申します
貨物列車、そこへたまたま
上りの
旅客線を疾走しておりました
横須賀線の
上り電車、二〇〇〇Sと申します
電車、これがこの
図面の右から左のほうに走ってまいりました。そうして
先頭部がこの
ワラ501という
貨車にぶつかったわけであります。そういたしまして、第一両目はこの
図面の
下り線の2113S、これは後ほど申し上げますが、この
下り線の
電車の五両目の上にのしかかりまして、二両目と三両目は逆に
貨物線のほうに
脱線いたしまして、四両目から以下は、その場に停止したわけであります。2000Sの
運転士はなくなっておりますので、詳細なことはわかりませんが、この
ワラ501が
脱線いたしましたとき、間もなく、
貨物列車の車掌が
発炎筒をたいたことははっきりしておりますが、その
発炎筒を2000Sが認めたか認めないかは、
運転士がなくなっておりますので、まだよくわかりませんが、いずれにいたしましても、
非常手配をとりましたが問に合わず、
ワラ501のほうにぶつかったというように推定されます。
ちょうどその
時刻の少し前に
東京から出ました2113Sと申します
下りの
横須賀線の
電車が、この
京浜東北線の
立体交差の少し手前から、先ほどの
貨物線を走ってまいりました
貨物列車の
うしろをずっと追ってくるようなかっこうになっております。この2113
S電車は、途中で急遽
非常制動をかけました。そのかけました理由は、この2113
S電車の
運転士が前方に火花を認めたということと、それから間もなくちょうど
ワラ501がこの
電柱にぶつかりまして、架線が大きくゆれましたために停電いたしました。その二つでもって、ちょうどこの
図面にございます
場所に2113
S電車がとまっておった。そのとまりました
時刻が
ワラ501が
脱線いたしましてから約一分か一分三十秒くらいじゃないかというように推定されております。そのとまっておりましたところへ、さっき申し上げましたとおり
上り電車が参りまして、一両目が五両目の上に乗っかった。そうして五両目、六両目に乗っておられたお客さんの大
部分が
死傷を受けられた、こういうことでございます。
原因につきましては、先ほど
総裁から申し上げましたとおり、なお目下
技師長を
中心といたしまして、
技術調査委員会を
設置いたしまして、
現地におきまして
試験を行ない、またこれと同じような曲線の
場所で
実地試験を行ないましたが、何ゆえにこの
ワラ501という
貨車が
脱線したかということにつきましては、まだ
原因が不明でございます。しかしながら結果的に、この
図面にございますとおり、いわゆる
せり上がりと申しまして、
貨物列車の
車輪が
線路の上に上がってしまった。この
図面にございますとおり、約十六メートル半、
線路の上を
車輪のタイヤが走った上で
脱線いたしまして、かような結果になったということだけははっきりしております。この
脱線の
原因そのものについてはまだ目下検討中であります。
事故の概要は、さっき申し上げたとおりでございますが、本日現在の
死傷者は、なくなった方は、乗客百六十名、
職員はさっき申しました2000Sの
電車の
電車運転士が殉職いたしております。現在
入院中のお客様は五十二名でございます。
横浜、
鶴見の病院にそれぞれ
入院治療を続けておられます。なくなられました
方々に対しましては、とりあえず香典十万円、並びに
葬祭料二十万円をお渡しいたしました。また
負傷者に対しましても、
負傷の
程度に応じましてお見舞いの金をお渡ししております。十一月二十二日には
鶴見の総持寺で合同の
慰霊法要を行なわせていただきました。
なお、御
遺族並びに
負傷者に対します慰謝の問題につきましては、現在各御
遺族につきましていろいろ
調査をさせていただいております。と申しますことは、御家族の構成なり、収入の
状況なり、非常に皆様違っておられますので、具体的にいろいろ
調査いたしませんと、後々いろいろな問題の起こる
可能性もございますので
調査を進めておりますが、おかげさまをもちまして現在まで、もちろんなくなった方のお命を金でというわけではございませんが、一応約二割
程度の
方々につきましては御
遺族の方とお話し合いがつきまして、すでに一部解決の運びになっているということだけは、せめてもの慰めというふうに考えております。以下、こまかいことは省略いたしますが、とりあえず
事故の内容並びに、その後の処置につきまして御
報告申し上げた次第でございます。
なお
鶴見事故発生以後、ただいま
総裁が申し上げましたとおり、一昨日の
総武線の
事故に至るまで、実に五件の
列車衝突あるいは
列車接触と申しまして、私
どものほうで申しますと最も悪性な
事故が実は続発いたしております。初めの
事故のときは、ちょうど昨年の当
委員会におきまして、
三河島
事故のあとに
車内警報の急速な
設置につきましていろいろ御支援を賜わりまして、現在
高崎線、鹿児島本線、
北陸線等につきまして
車内警報装置を急遽
工事中でございまして、たまたまその
車内警報装置の
工事中のところで起こりました
事故でありましたために、
車内警報装置がつけばこういうことは絶対ないということも、実は参議院の
委員会で申し上げたところでございますが、不幸にして一昨日の
総武線の
事故は、
車内警報がついておって、
車内警報の
ブザーがなっておるにかかわらず、絶対的に侵入のできない
赤信号を暴進したということでございまして、何とも私
どもといたしましては申し上げようのないことで、先ほ
ども総裁が申しましたとおり、私
どもの考え方を根本的に変えなければいけないのではないかというふうな気もいたしておる次第でございます。この
運転士はまだ二十五歳ではございますが、教習所の
卒業成績等も非常によろしゅうございまして、
現地を約四カ月問、百回以上も
乗務の
見習い運転をしておるわけでございます。一人前の
運転士になりましてからはまだ十数回目でございますが、すでに
指導運転士とともに四カ月間の
乗務見習いを
現地でしておるわけでございまして、こういうような
事故を起こすことは、とても考えられない
職員ではございましたが、何と申しましても
ブザーが鳴っておるのをとめました上で
赤信号を侵したというわけで、私
どもといたしましても全くこういった種類の
事故につきましては今後どういうふうにするかということにつきまして、もう一ぺん根本的に考え直さなければならないというふうな
段階に立ち至っておるような次第でございます。
対策につきましては、また御
質問等によりましてお答えいたしますが、とりあえず先ほど
総裁が申しましたとおり、
本社の
運転局長以下を三名ずつ一班に分けまして、とにかく一ぺん
現地の模様も見、しかもこの
事故のあったところだけでなしに、全国的におもな局、おもな
現場に参りまして、実際に
設備の
進捗状況あるいは実際の
指導の
やり方等につきまして、もう一ぺん私
どもの直接のスタッフが
現地に行って見て、その
報告によりましてもう一ぺん考え直そうというふうな、いままでにない
対策をとらなければいけないというふうな
段階にまで到達いたしておりまして、たいへん私
どもといたしましても、ここの席で御答弁申し上げにくいような
気持ちでおりますけれ
ども、とりあえずいままでの
報告を申し上げました次第でございます。
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