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1963-11-29 第44回国会 参議院 石炭対策特別委員会、社会労働、商工委員会連合審査会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年十一月二十九日(金曜 日)    午前十一時十九分開会   —————————————  委員氏名   石炭対策特別委員    委員長     岸田 幸雄君    理事      亀井  光君    理事      徳永 正利君    理事      大矢  正君    理事      鈴木 一弘君    理事      大竹平八郎君            川上 為治君            剱木 亨弘君            郡  祐一君            高野 一夫君            鍋島 直紹君            野田 俊作君            二木 謙吾君            堀  末治君            前田 久吉君            山下 春江君            吉武 恵市君            阿具根 登君            阿部 竹松君            大河原一次君            小宮市太郎君            小柳  勇君            柳岡 秋夫君            石田 次男君            田畑 金光君   社会労働委員    委員長     鈴木  強君    理事      高野 一夫君    理事      徳永 正利君    理事      阿具根 登君    理事      藤田藤太郎君            加藤 武徳君            鹿島 俊雄君            亀井  光君            紅露 みつ君            佐藤 芳男君            丸茂 重貞君            山下 春江君            山本  杉君            横山 フク君            加瀬  寛君            杉山善太郎君            柳岡 秋夫君            小平 芳平君            林   塩君            村尾 重雄君   商工委員    委員長     前田 久吉君    理事      赤間 文三君    理事      近藤 信一君    理事      田畑 金光君            上原 正吉君            大谷藤之助君            川上 為治君            岸田 幸雄君            剱木 亨弘君            小林 英三君            豊田 雅孝君            八木 一郎君            吉武 恵市君            阿部 竹松君            椿  繁夫君            中田 吉雄君            中村 順造君            松澤 兼人君            鈴木 一弘君            奥 むめお君   —————————————  出席者は左の通り。   石炭対策特別委員    委員長     岸田 幸雄君    理事            亀井  光君            徳永 正利君            大矢  正君            鈴木 一弘君            大竹平八郎君    委員            川上 為治君            剱木 亨弘君            野田 俊作君            堀  末治君            吉武 恵市君            阿部 竹松君            大河原一次君            小宮市太郎君            小柳  勇君            柳岡 秋夫君            石田 次男君   社会労働委員    委員長     鈴木  強君    理事            高野 一夫君            阿具根 登君            藤田藤太郎君    委員            山本  杉君            横山 フク君            杉山善太郎君            小平 芳平君            林   塩君   商工委員    委員長     前田 久吉君    理事            赤間 文三君            近藤 信一君            田畑 金光君    委員            上原 正吉君            大谷藤之助君            豊田 雅孝君            椿  繁夫君            中田 吉雄君            中村 順造君            松澤 兼人君            奥 むめお君   国務大臣    大 蔵 大 臣 田中 角榮君    厚 生 大 臣 小林 武治君    通商産業大臣  福田  一君    労 働 大 臣 大橋 武夫君   事務局側    常任委員会専門    員       増田 甲吉君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    総理府総務副長    官    (臨時池災害    対策本部長)  古屋  亨君    警察庁刑事局長 日原 正雄君    防衛庁防衛局第    一課長     久保 卓也君    厚生省医務局長 尾崎 嘉篤君    通商産業省石炭    局長    (臨時池災害    対策本部長) 新井 真一君    通商産業省鉱山    保安局長    田原 正邦君    福岡鉱山保安監    督局長     森本伊佐夫君    労働省労働基準    局長      村上 茂利君    労働省職業安定    局長      有馬 元治君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○当面の石炭対策樹立に関する調査  (三池炭鉱災害に関する件)   —————————————   〔石炭対策特別委員長岸田幸雄委員長席に着く〕
  2. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) ただいまから石炭対策特別委員会社会労働委員会商工委員会連合審査会を開会いたします。慣例によりまして、私が連合審査会委員長の職をつとめさせていただきます。  それでは、ただいまより三池炭鉱災害に関する件を議題といたします。  まず、田原鉱山保安局長から、本件災害発生原因対策等について御説明を願います。
  3. 田原正邦

    説明員田原正邦君) それでは、ただいまから三池炭鉱災害状況について御説明申し上げます。  三池炭鉱は、御存じのように、三井鉱山株式会社炭鉱でございまして、わが国で一番出炭量の多い炭鉱でございます。福岡県の大牟田市にございまして、出炭量は月産が三十六万七千トン、在籍労務者が九千八百四十二人おります。  今度起こりました爆発は、発生時が十一月九日の十五時十二分ごろに発生いたしております。爆発の起こりました場所は、三池炭鉱に所属いたしまする三川坑でございまして、その三川坑三池出炭の約半分の約十七万トンを出炭しております。労働者数が三千九百七十四人おります。その三川坑の第一ベルト斜坑爆発が起こったのでございますが、その爆発の起こった地点は五日抜から七日抜の問ではないかといわれております。  罹災者の数は、十一月二十八日現在で、死亡者が四百五十七名でございます。そのうち、爆発の直撃によってなくなられた方が二十名、一酸化炭素中毒によってなくなられた方が四百三十名、一酸化炭素中毒によって入院後なくなられた方が七名でございます。現在入院しておられる方がまだ二百八十七名ございます。なお、死亡されました方々のうち、職員が二十五名、労働者が四百三十二名でございます。  この爆発をいたしました第一ベルト斜坑と申しますのは、坑道が約二千メートルございまして、ベルト石炭を運搬する坑道でございまして、同時に材料も運搬しておりまして、なお、このほかに第二斜坑がこの第一バルト斜坑と並行して入っておりまして、この第一斜坑と第二斜坑が主要の入気坑道になっております。爆発の起こりましたのは坑口から千二百メートル余と思われまして、非常に罹災者がたくさん出たのでございますが、この爆発の起こりましたときが、ちょうど一番方と二番方の交代時期で、一番方と二番方の両方の方が入っておられたということと、それから、先ほど申し上げましたように、入気坑道爆発が起こったために、爆発によって起こったあとガス坑内に充満して、坑内で働いておられた労働者一酸化炭素中毒でなくなられたというのが今度の災害がたくさんの犠牲者を出した原因であると思われます。  罹災者救出につきましては、直ちに救護隊を編成いたしまして、そうして罹災者救出に当たったのでございますが、十二日の四時三十分ごろには完全に全部収容いたしました。ただいま第一斜坑の一部がまだ崩落いたしておりますので、その取り明けに当たっております。  災害原因につきましては、第一ベルト斜坑五日抜上部付近から逸走した炭車が坑道中の炭じんを浮遊させて、その炭じんに何らかの着火源が引火したものと思われます。  災害後とった処置につきましては、災害発生いたしますと同時に、福岡鉱山保安監督局から森本局長以下監督官現地に派遣し、また、本省より川本石炭課長以下二名を現地に派遣いたしました。そうして罹災者救出及び原因究明に当たらせております。さらに十一月十二日の閣議におきまして臨時池災害対策本部を設置し、さらに技術調査団の派遣を決定したほか、罹災者救済のためのいろいろな処置を講ずることとされました。いま申し上げました閣議決定に基づきまして現地災害対策本部を設けまして、そうして罹災者対策中心に活動してまいりましたが、二十六日の閣議で、これを東京に移し、現地には臨時池災害対策連絡協議会を設置いたすことにいたしました。そうして罹災者に対する援護を引き続き継続いたすことにいたしております。また、技術調査団は十三日から調査を開始いたしまして、十八日に一応現地調査を終わり、集めました資料に基づいて検討中でございまして、第一ベルト斜坑、第二ベルト斜坑の取り明けが完了しましたならば、もう一度現地に行って最終的な結論を出すことになっております。  なお、本災害発生にかんがみまして、十一月十一日通産大臣から文書をもって石炭鉱業会社に対して警告を発し、さらに十一月十二日には各社の社長に対しまして大臣から直接警告いたしました。十一月二十七日に中央鉱山保安協議会を開催いたしまして、今後の保安対策を立てるために現地視察団を派遣することを決定いたしました。  以上いままでの経過報告を終わります。
  4. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) それでは、これより順次御質疑を願うのでありますが、内閣総理大臣に対しましては、いま出席方を要求しております。現在、福田通産大臣大橋労働大臣小林厚生大臣出席されておりますので、この三大臣に対する質問をさしあたりやっていただけば好都合かと思います……。速記とめて。   〔速記中止
  5. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) それじゃ速記を始めて。  それでは、これより順次御質疑を願うわけでございますが……。
  6. 大矢正

    大矢正君 質問に入る前に、この際、委員長に申し上げておきたいと思うのでありますが、私どもは、この連合審査に対して、池田総理大臣をはじめ、四大臣を要求しておるわけでありますが、残念ながら、いまだに池田総理出席するかどうかの確答を得られないのであります。三池のこの重要な災害というものは、先ほど報告がありましたとおり、四百五十七名の生命を奪い、かつ、二百八十七名という膨大な数の負傷者を出しているほどの重大な災害でありますから、この際、鉱山保安監督行政の最終的な責任者であるところの総理大臣が、公式な国会の場において、私ども質問にみずからの所信を明らかにする必要性があると、こう思っているのであります。しかし、いまだにまだ総理出席できないことを残念に思いますけれども、私どものほうとしては、必ず池田総理出席をするものという前提で、総理に対する質問はこれを留保して、ただいま出席の各大臣にそれぞれ質問に入ってもらうことにしたい、こう思っておりますから、委員長のほうでは、あくまで総理出席していただけるよう善処をしていただきたいと思います。
  7. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) ただいまの大矢君の御発言に対しましては、委員長といたしましても、できるだけ御希望に沿えるように善処いたします。  それでは質疑に入ります。
  8. 阿部竹松

    阿部竹松君 劈頭お尋ねすることは、三池対策本部長でたいへん御苦労なさった古屋副長官、たいへん御苦労さまでございました。ただいまの質問に入る前に、保安局長からその後の経過を御説明ありました。しかし、その中で、山田さんが団長となっておる御承知調査団、この結論がまだ出ていないという報告を終わったわけですが、いまより半月前に石炭対策特別委員会がございました。そのときに、きょうお見えになっている福田通産大臣と阿具根委員と、調査団の編成その他についていろいろと意見がかわされたのですが、公平な第三者により早急に結論を出す、こういうようなことであります。私も短い時間でございましたが、現地へ参りまして、そのときに、二週間以内に結論を出す、こういうことでございましたが、まだ結論は出ておらん。あなた方対策委員会東京へお引き揚げになられた。これは新聞で私記事を見ただけですから、明確にわかりませんけれども、お引き揚げになった、こういうことを新聞で拝見した。調査団結論も出ておらないうちにお引き揚げになったということなんですが、その間の経緯と、その後の現地状況について、簡単でけっこうですから、お知らせ願いたいと思います。
  9. 古屋亨

    説明員古屋亨君) ただいま御指摘の今回の災害原因究明石炭調査団につきまして、御承知のように、十二日の閣議決定石炭災害原因調査のために技術調査団を派遣するということが決定されました。山田先生団長とする調査員方々とは、私、現地においてお目にかかりました。この技術調査団の的確な結論につきましては、私、対策本部長といたしましては、並行的にこれを進めておりましたので、ただ、私、技術調査団結論が出ないうちに対策本部東京へ移りました経緯について御説明をさしていただきます。  私どもは、対策本部ができましたが、直ちに現地へ参りまして、十五日には参議院の諸先生方調査団がおいでになりまして、その後の中間事情を御報告いたした次第でございます。  その後の状況について申し上げますと、当初、各種の政府並びに民間その他の寄付金を早期に交付するように政府関係は直接指導し、会社関係につきましてはそういうふうに推進するという方向に私ども努力をいたしました。それから、会社指導いたしまして、職業対策に遺憾なからしめるようにということは、十分会社のほうにも徹底させ、また、現地に常時職業安定局のほうから係員が来ておりまして、私ども連絡をしながら推進をしておりました。  もう一つ、医療関係につきましては、非常にまだ現在、昨日も死者が入院患者から出ましたような状況で、私どもも非常にこの問題については努力をし、また、一面におきまして生命を尊重するという見地からいたしまして、関係各省を全力をもって督励いたしまして、一応その企画が終了いたした次第でございます。その企画と申しますのは、何しろ専門的事項が多うございます。行政面といたしまして、災害対策本部の中に健康管理の小委員会をつくりまして、その下に指導部会対策部会とをつくりました。指導部会は、もっぱら大部分大学の諸先生その他の方でございますが、十九名の九大の教授中心とする指導部会というものでございます。これは患者治療に対する一切の指導、それから健康管理方式、リハビリテーションの問題を取り扱っております。  それから、対策部会におきましては、御承知のような事情でございますので、患者をよその病院に移さなければならないということを中心に、患者を収容しております院長方々中心にいたしまして対策部会をつくりまして、それを大牟田市役所に置きまして、そこに対策部会の事務所を置きました。申しおくれましたが、指導部会は、大学教授中心でございますから、福岡に置きました。一応私どもといたしましては、応急対策につきまして、関係各省、特に文部省、厚生省労働省関係課長現地に招集いたしまして、十分その協議のもとに、私が間に入りましてそういうような企画を策定いたしまして、したがいまして、応急対策職業関係、あるいは金銭の給付関係労災保険給付、あるいは会社退職金の支給というような問題は、一応企画段階から実施に移っております。その間、身上法律相談所というものを、福岡の法務局を中心に、大牟田と荒尾の両市に設置いたしました。いろいろの金をめぐる問題は、その身上法律相談所で事件の解決を積極的に法律相談に応ずるということで進めてまいりました。医療関係につきましては、いま申し上げましたような方針でございますので、一応現地におきまして、とりあえず緊急対策につきましては、そういうような面においては、一応私ども打つべき手は非常に乏しかったのでございますが、努力をいたした次第でございまして、これからは中央のほうへこれを移しまして、関係各省協議の上、督励する部門が多うございます。実施面におきましては、今後現場で、また、福岡熊本両県を中心に、いろいろの問題、その企画実施する上においてはいろいろの努力が必要だと思いますので、二十六日の閣議決定で、本部東京へ移すということになりまして、私ども二十六日の夜福岡におりまして、次官会議の申し合わせでありまする福岡地方連絡協議会を設置する、福岡通産局長中心に、関係各省を網羅いたしまして現地にできましたので、そこで十分経過並びに今後の問題点を私から御報告いたしまして、それで、その夜おそく東京引き揚げたような次第でございます。したがいまして、先ほど申し上げましたが、私どもは、対策本部東京へ移りまして、現地からは毎日報告をいただいております。十分それに基づきまして、私ども対策本部といたしましては東京へ移りまして、毎日の電報その他で十分報告を受けまして、措置については努力をしてまいりたいと思っております。  なお、先ほどお話原因調査についての技術調査団報告は、山田先生の非公式の私に対するお話では、一応十七日で研究調査といいますか、そういう段階に入られて、近くまたある時期に現場に皆そろって行くということをお話されておりましたことをお伝えいたしまして、私の経過並びに本部の移りました事情について御報告を申し上げる次第でございます。
  10. 阿部竹松

    阿部竹松君 現地でたいへん御苦労なさった対策本部長さんをはじめ、これから私がお尋ねする項目によって、それぞれいろいろ努力された方の名前が出てくるので、たいへん恐縮ですが、しかし、その原因を明らかにせんがために、やはり当の衝に当たった方のお名前を出さなければならんので、たいへん恐縮なんですが、いま報告の中にもございましたが、現地に行ってみると、いまおっしゃった三池病院——鉱山病院、それから熊本市立病院、ここの病院等もお伺いしてみましたが、あの院長先生はこういう罹災者を扱ったことはございません。したがって、これから、この道のたんのうの権威ある先生方お話を承わって治療しますというふうにわたしらにおっしゃった。一方、会社のほうは、爆発と同時にたくさんの負傷者が出たものですから、あらゆる病院が、当然お医者さんですから、自分のところも犠牲者の手当てをしなければならぬだろうということで準備しておったけれども、全部全然御承知おきない。三池病院に何百名と集めた。一例をあげてみますと、熊本病院に行ってみますと、五百グラムの血を患者からとって、そして新しく五百グラム輸血をやって、血を全部入れかえる。そうすると、一酸化炭素が肺を通して血液に入ったのを、全部血を入れかえるわけですね。こういうことがきわめて有効適切な治療法だということで盛んにやっておられた。一方、三池の二百数十名入っておられるところの本病院院長に聞きましたところが、そういうことは知りませんとおっしゃる。そこに会社営業政策か、あるいは自分病院ですから、みみっちく考えれば、経営上経費が安くつくからということでそういうことになったのかもわかりませんけれども、あなたの話と現地とではだいぶ違う。私のお尋ねすることが誤りだったら、それは訂正していただいてもよろしいですが、あなたのおっしゃるとおりになっておらぬ。  その次に、これは福田通産大臣にお尋ねすることになるかもわかりませんけれども保安協議会というので委員がありますね、この委員が二、三日前お集まりになって、三池調査に行かれるそうです。私は、これは保安協議会はあなたの諮問機関であるから、将来の鉱山保安法改正等も云々されている現時点ですから、当然調査団として派遣される、あるいは行かれるというふうに考えていたところが、視察班として行かれる。本来であれば、山田団長はじめ、この人たちにかわって、協議会のメンバーの中からすぐって行かれるべきなんです。そういうことになっておる。にもかかわらず、片ほうは視察班となっている。山田先生のほうは、これも御苦労願っておるわけですから、こういうことは言いたくないわけですが、ほとんどがほかに職を持っておって、専門にこれを調査して結論が出るというようなシステムになっておらぬ。依然としてそれでいくということなんです。こういう調査団に頼んで——この前、阿具根委員が盛んにお話をなさっておったから、私はこれ以上触れませんけれども、どうもこのあたりの保安協議会あり方山田調査団あり方が私はすっきりしない。何のために協議会視察班として行かなければならぬか。いままで一年に一ぺんくらいしか開かれていなかった。ずいぶん開かれておりませんがとお尋ねしたところが、これは基本問題委員会でございます、これは専門部会でやっておりますからと、こういう御答弁でございましたが、これも全然ないがしろになっている。どういうことでこういう結果になったのか。
  11. 田原正邦

    説明員田原正邦君) 今度の視察団目的は、中央保安協議会で今後の石炭対策、法令の改正等を審議していただきますので、そのために、ぜひ今度のこのような大きな災害現地を十分視察して、そうして今後の参考にしていただくという目的視察団を派遣することにいたしたわけでございます。これは山田調査団との関係は、片ほうで山田調査団が出ておるものでございますから、これと混同してはいけないので視察団という名前にしたわけでございます。
  12. 阿部竹松

    阿部竹松君 私のお尋ねすることと、どうも御答弁が違うようですが、通産大臣、さいぜんここで私お尋ねして御答弁した古屋さんが本部長でしょう。坑内災害ですから、あなたのほうから副本部長をお出しになっておるのですが、保安問題ですから、いま答弁された保安局長が副本部長になるのが当然でしょう。にもかかわらず、石炭局長が副本部長になって行っている。保安対策確立のために派遣している副本部長が何で石炭局長か、生産第一主義で石炭を出さなければならぬのなら、これは石炭局長が行かなければならぬ。しかし、保安問題が大問題で、保安解決が先でしょう。どうもそういう点からして、本件を軽々しく取り扱っているような気がする。したがって、もうとにかく死骸が全部上がって、われわれですら明確にわかっているのに、九州の保安監督局は、四百五十名しかなくなっておらぬのに、四百五十一名だということを国会議員全部に印刷してこれを報告していなさる。冗談じゃないですよ、あなた、ニワトリ一匹やなんかと違うわけだ。しかし、そういうように軽く見ているところに今回の問題のやはりあり方がわかるわけです。そういうことですから、したがって、一事が万事でこういう爆発が起きたのです。上清炭鉱のときにもそうでしたが、爆発と同時に、なぜ扇風機をストップしなかったか。まだ調査団結論を出しておらぬとおっしゃるから、私の話は中間的なお尋ねになるかもしれませんが、調査団がどういう結論を出されるかわかりませんけれども調査団結論を出されれば、調査団長と三井の社長の栗木さんに来てもらって明確にしなければならぬと思うのですが、爆発した場合に扇風機をとめないという理由を福岡監督局はどう見ておるのか、上清炭鉱でもそうなっておる。あそこは一酸化炭素が全然なかった。坑内火災が起きたにもかかわらず、扇風機をがたがた回しておったものですから、中に入っていた人は、全部ばい煙を吸って肺をやられてなくなった。爆発と同時に扇風機をぴたりととめれば、そこにおった人はやられるかもしれませんが、しかし、上清の六十八名なんてやられっこない。今度の三池災害でも、爆風でやられたのは二十名しかおらぬ。あと四百三十名というのは全部ガス中毒一酸化炭素を吸ってなくなられた。きのうもなくなった、おとといもなくなった、きょうもなくなったという人は全部一酸化炭素。爆風でやられて打撲傷、裂傷を負っている人は一人もおらぬ。そうすると、私は、今度の三池等の場合におきましても保安の責任者に聞かなければならぬ。ぴしゃりとあのとき扇風機をとめれば、四百五十名の死者と三百名近い患者は絶対出なかったと私は思う。ひとつ例証をあげてここで論議をしてみたい、将来のために。これはどうですか、大臣
  13. 福田一

    ○国務大臣福田一君) 御答弁を申し上げる前に、今回の事件で四百数十名の犠牲者を出し、多数の負傷者を出した事態について、石炭行政を担当しておる通産大臣として、まことに遺憾にたえないところでございまして、この機会におわびの意を表明させていただきたいと存じます。なお、罹災者並びに御家族の方にも、私としては深甚な御同情を申し上げるわけでございまして、これもあわせて前もって申し述べさせていただきたいと存じます。  そこで、いま御質問のことでございますが、これはまず福岡の鉱山保安監督局長から一応御答弁をさせていただきます。
  14. 森本伊佐夫

    説明員森本伊佐夫君) 御説明申し上げます。  御質問の使用扇風機をなぜとめなかったかという点でございますが、監督官現地に参りまして、まず第一にその点を三川坑責任者事情究明したのでございますが、そのときの事情を聴取いたしました結果を御説明申し上げます。  三川坑は入気坑が広うございまして、一分間の通気量が八千立方メーターございまして、通気速度が毎分二百メーターぐらいの速度を持っておるのでございます。それで、なぜそのときに扇風機をとめなかったかということ、私よく追及いたしたのでございますが、会社側の説明によりますと、爆発したと思われる個所から宮浦の坑道がございます。そこまでガスが流れる時間がきわめて短時間で、それと爆発のショックで、主要人気と主要排気の風門がございますが、その風門がかなり破壊されておるという報告を受けております。大半の有毒ガスは排気のほうにショートしておるというふうに判断したというのが第一点でございます。  それから、第二点は、坑内からの探険隊の報告によると、斜坑底の坑底と、それから宮浦坑口入気口の分岐点がございます。そこの間に黒い煙が停滞しておるようだという報告を受けておるようでございます。そういうような点から判断いたしますと、むしろいま使用扇風機をとめるのは、かえって危険ではないか、しかも、もしそこで使用扇風機をとめますと、宮浦関係から入ってまいります入気と、それから四ツ山から入ってまいります入気量が、それによって非常に減ってまいりますものですから、もし奥部に有毒ガスが流れる場合に、若干でも宮浦関係の入気と四ツ山関係の人気で薄めれば被害が少ないんではないか、そういうような判断をいたしまして、その結果使用扇風機はむしろとめないほうがいいんじゃないかという判断をしたという報告を受けたのでございます。私どもその間の事情をいろいろ詳細に究明いたしましたが、あのときの情勢判断といたしましては、やむを得なかったのではないかという判断を私は下しておるわけでございます。
  15. 阿部竹松

    阿部竹松君 いまの報告を聞いてやむを得なかったと、こういうので、あなたたち独自に調査はしないんですか。黒い煙が出れば、当然坑内火災ということが感ぜられるわけでしょう。局長も長い間監督官等をおやりになって、よくおわかりだと思うのですがね。そういう黒い煙が出れば、なお扇風機をとめなきやならぬ。坑内火災ですから、風を入れなきゃ火はそう強くならない。風を入れるとどんどん燃焼する、そんなことはとにかく保安法のホの字も知らなくても常識論です。  それから、もう一つ、さいぜん局長お話を聞くと、三時十分に災害が起きて、その瞬間どーんと外まで爆発した、その爆風が出ているのですから、これはもう一分半か二分でわかると思うのです。救護隊に集合をかけたのは五時です。それからいよいよということで坑内に入ったのは八時二十分です。あなた御承知でしょう。そういうことがあるわけです。  それから、もう一つ、爆風が強くて風門云々とおっしゃいましたけれども、どーんと爆発して、その瞬間やられた以外は、あとはもうやられなくてもいいのです、そういうことでしょう。したがって、いまのお話などは、あとで取りつけた理由でしょうけれども、そういうのは理由にならない。したがって、そういう点は党でどんな方に話しても、これは理解いきませんよ。爆発したら、扇風機をとめると風は回らぬのですから、だれも一酸化炭素を吸わない。爆風を中心としてやられた二十名、あと局からいただいた資料によりますと、これは百二、三十名、合わせて百五、六十名はやむを得なかったと思うけれども、あとの三百名近い人員は全然犠牲者にならなくてもよかったのを、処置の誤りによって三百名並びに二百七十名の患者を出したと断言しても差しつかえない。あなたは会社の話だけ聞いて、自分みずから入ってみないのですか。会社は理由をつけるでしょう、その会社の理由を聞いて、そうですがと国会に来て報告なさるくらいなら、監督局というものは要らぬと私は思うのですが、それは局長の御答弁は、扇風機をとめる理由などには全然ならないです。あなた方監督官の中でも、こういう点に疑問を持っている人は一人もおりませんか。
  16. 森本伊佐夫

    説明員森本伊佐夫君) 先ほどの私の御説明は、まことに不備な点がございまして、ただいまの話で、扇風機のために黒い煙が上がったという御質問でありますが、そのとおりでございます。その点も、当時の会社責任者が、そのとき扇風機のほうに電話で連絡をいたしております。そのとき煙の状態はどうかという質問をいたしております。そのときの使用扇風機の運転手の報告では、一時的にかなり強い煙が上がったけれども、急にそれが薄らいできておるという報告を受けたわけです。そういう点から、まず坑内に火災状態は起きてないのではないかという判断をしたようでございます。  それと、先ほどの点をもう一点補足さしていただきますと、そのときに、もし扇風機を停止するように指示いたしましても、扇風機が完全に停止いたしますまでには若干の時間がかかります。それから、停止いたしましても、ある程度の自然通気力がございますので、完全にあとガスを奥のほうに向かわせないようにすることは非常にむずかしいのではないかと、そういう会社説明もございまして、その点につきましては、現地調査官も実際に坑内に入りまして調査をいたしましたし、私も二回坑内に入りましてその辺の状況を確認いたしました。そういう状況でございます。  それから、救護隊の問題であります。三川隊の救護隊の招集をかけましたのが十五時五十分ごろ、それから実際に現地に隊員が集まってまいりましたのが十六時五十分ごろ、それから入坑いたしましたのが十五時二十八分、このときに三川隊の隊員二十五名が救護に向かっています。その他宮浦隊、それから四ッ山隊、これは宮浦坑に所属いたしております救護隊、それから四ッ山坑に所属いたしております救護隊でございますが、これも時間は若干ずれておりますが、招集いたしまして、逐次入坑はいたしておるようでございます。
  17. 阿部竹松

    阿部竹松君 隊員がそろったのが十六時五十九分で、どうして十五時に入坑できるわけですか。別にあなたの私は言質をとるわけじゃありませんけれども、十六時五十分に集まったら、少なくとも日本流でいうと五時十分前ですから、三時に入れっこありませんよ。  それから、もう一つお尋ねしたいのは、確かに局長のおっしゃるとおり、それは何キロという長い坑道ですから、四キロ半か五キロあるんですから、扇風機をとめても、三カ所から入ってくるんですから……しかし、瞬間に全部なくなっておりませんよ。八時、九時までもみんな生きておる。そして苦しんで苦しんでなくなっておる。それは四キロか五キロの間、確かにあなたのおっしゃるとおり、扇風機をぴしゃりととめたからといって、その瞬間に風はとまりませんけれども、少なくとも、その瞬間から排気が惰性が弱くなって、そして入気も惰性が弱くなるんですから、そうすると、爆発地点までは十分も二十分もかからぬ。その以後五時間も六時間も生きておった人があるんです。一回にどんと爆発して、その瞬間に全部がなくなったというのであるなら私の理論は成り立ちません。しかし、少なくとも爆発後五時間も六時間も生きておった人があるんですから、それをまた目撃しておった入院患者があるのですから、そうするとあなたの理論は成り立たない。四千三百、二千八百——宮浦のほうは二千八百ですか、そういう立方メートルの風が入って、一個所で吸っておるわけですから、人気より排気の量が一割ぐらい多いでしょう。そうすると、惰性が弱くなってストップするというのには、そんなに三十分も四十分もかかりませんよ。確かにあなたのおっしゃったとおり、一分間に百八十ないし二百メートルのスピードのあれですから、一分間に百八十メートルないし二百メートルの早さで風がとまるということになります。十分間あれすれば二キロとまるということになるのですから、あなたの話はてんでつじつまが合わぬじゃないですか。
  18. 森本伊佐夫

    説明員森本伊佐夫君) ただいまの私の御説明で、数字があるいは間違っているかもしれません。もう一度申し上げさせていただきますが、三川隊の招集をかけましたのが十五時五十分ごろ、それから坑口に集合いたしました、集まりましたのが十六時五十分ごろ、そのときの集合人員は二十六名でございますが、それから入坑を開始いたしましたのが十七時二十八分、こういうことでございます。(「さっき十五時と言ったよ」と呼ぶ者あり)たいへん失礼いたしました。十七時二十八分に入坑をいたしております。失礼いたしました。  それから、救出がおくれました点につきまして、その状態を御説明申し上げますが、当時の三池炭鉱救護隊は、隊員が百三十名おります。二十班編成でございました。それで救護活動をいたしたのでございますが、救護活動が非常におくれました原因の一つといたしましては、三川坑救護隊員の中に、かなり罹災された方がおりましたので、宮浦坑あるいは四ッ山坑の隊員が三川坑坑内は非常に地理が不案内でございましたので、いわゆる採炭作業場周辺においでになるのに、相当罹災者救出するための案内をする隊員が少なかったということであります。三川坑坑内に詳しい案内のできる隊員が非常に少なかったために、宮浦坑四ッ山坑の救護隊員の活動が、それによって相当程度制約されたのも事実のようでございます。それから、この隊員は、いままでこういう大きな重大災害は経験いたしておりません。要するに、実践は今回が初めての隊員が非常に多いので、隊長といたしましては、実際に救護活動を開始する前に、隊員に相当の事前の注意をいたしておったと隊長は報告しております。そういう関係救出が非常におくれた。たいへんにこれは遺憾でございますが、そういうことでございます。
  19. 阿部竹松

    阿部竹松君 どうも局長お話は、私の理解力が足りないためかもしれませんが、よく理解できない。救護隊が、案内人がおらなかったので入れなかったとおっしゃるけれども、そういうところにも問題がある。しからば、坑外におって、坑外で働いている人までどんどん救助作業に入れたじゃないですか。これは規約違反でしょう。あなたのほうでそうお認めになるでしょう。救護隊で、爆発したときに一番に行かなければならぬ人が、案内人がおらぬというためにおくれた。ところが、坑外におって、坑内の坑の字も知らぬ人を何百名も入れたでしょう。そういうことは私ども理解できませんし、もう一つお尋ねしたいことは、たとえば坑内で不幸にして爆発が起きたということになると、爆風にやられてしまうとこれはやむを得ませんし、その瞬間、一酸化炭素を多量に吸えばやむを得ませんが、相当生きておったのですから、あるいは坑内に働く人はタオルを一本ずつ持っている、だれ一人持っておらぬ人はない。それを水に浸してマスクにしただけで、三十分も四十分もとにかく助かるわけです。それから、一酸化炭素坑道全部にまじっているということはないのです。一番下のほうとか、すみのほうは必ず清浄な空気があるはずです。どんと爆発したときにはぐっと流れるでしょうけれども、そういうことを全然やっておらぬ。保安教育一つもやっておらぬでしょう。  それから、災害が起きませんでした、これは夢にも見なかったというようなことを例を取り上げて言うのですが、なるほど大災害はなかった。しかし、保安局長報告にもございましたが、日本有数の炭鉱、確かに日本有数で、総体の一割です。しかし、あなたのほうで出した災害に対する警告その他の点については、炭鉱は日本の十分の一だけれども、あなたのほうから注意を受けたのは四分の一か三分の一くらい注意を受けているが、こんなに注意を受けている炭鉱はないでしょう、比率からいって。全然話が合わぬですね。あなたがおわかりにならなければ、山田さんが調査した結果、報告なさるでしょうから、これは御苦労でも山田さんに来ていただいてお尋ねする以外にはない。大体扇風機をとめないということからして、福岡保安監督局は一体何をやっているかといいたい。三年前、上清炭鉱で、六十八名のうち、半分も三分の一も犠牲者を出さなくてもよろしかった。なぜ扇風機とめなかったかといったら、扇風機とめる人がおりませんでしたとか、指令する人がおりませんでした、こういう答弁、実にでたらめきわまる。悪ければ悪いでしかたがないが、将来のためにやはり明らかにしなければならない。あなた方は単に会社の話を聞いて、会社報告がこうでしたというが、保安監督官の立場でどう思ったんですか、扇風機をとめぬでよろしい、やむを得なかったですではすみませんよ、将来のために。
  20. 森本伊佐夫

    説明員森本伊佐夫君) 坑外から救援隊を入れたということでございますが、災害炭じん爆発でございます。一カ所にガスが長く停滞することはございませんで、いわゆるガス・マスクを着用しなくとも侵入できた個所もできたわけでございます。救護隊の活動は、まだ有毒ガスが残存しているおそれのあるところに、要するに一酸化炭素が残っているおそれのあるところに救護隊の活動をさせたわけでございまして、完全に坑外からの新鮮な空気で洗われた個所は素面で入れる状態になっていますので、その個所は救護隊以外の者を入坑させまして、それで救護活動に当たらせたわけでございます。  それから、確かに一酸化炭素に対する教育の点については、遺憾の点があったように私どもも存じております。
  21. 阿部竹松

    阿部竹松君 重ねて局長にお尋ねいたしますが、石炭規則の中に二百六十七条ですか、二百八十二条ですかね、石則の中に、たとえば坑内災害が起きたら、そこに働く人に教えなければならない、こういうのが二百六十七条ですか、二百八十何条かにありますね。しかし、それはやっておらぬでしょう、片一方では爆発でてんやわんややっておるのに、片一方ではその隣で働いておる人に教えておらぬ、朝まで知らぬで働いた、そういうのがあるでしょう。そういう違反をあの大災害の中でも、なおかつ、やっておるんです。それはわかりませんか。
  22. 森本伊佐夫

    説明員森本伊佐夫君) 災害発生いたしました以後、宮浦坑で引き続き採炭作業が行なわれていたということでございますが、その点については事実のようでございます。この点につきましては、監督官現地に参りまして、救護活動の状況を詳細に聴取いたしまして、この救護活動を第一にやるようにと、どういう方法でやっているかという点を詳細に聴取いたしまして、一応会社報告を受けたのでございますが、その点、宮浦坑で引き続き採炭作業が行なわれていたということにつきまして、監督官がその事実を再確認しなかったという点につきましては反省をいたしております。
  23. 阿部竹松

    阿部竹松君 私はあなたに反省していただかなくてもよろしい、事実をお尋ねしているだけですから。将来保安法改正などと言っているんですが、四、五日前の新聞を見ると、今度保安を労働省でやるというお話が記事に載っておりましたが、労働省でおやりになろうが通産省でおやりになろうが、これは大体、法以前の問題ですから、何ぼ保安規則を日本国憲法以上のりっぼなものをつくってもだめなんです、でたらめきわまる。ですから、そういう点を一切明らかにしていただかなければならぬわけです。  そこで、ひとつお尋ねすることは、退避訓練は全然会社ではやっておらぬですね。退避訓練は全然やっておらなかった。宮浦坑から逃げたのは、おのおのの独自の判断で逃げておる。退避訓練をやっておれば、かりに私の言った扇風機をよしんばとめなくても、三百名くらいの人は宮浦へ逃げることができた、そのくらいの時間的余裕がある。退避訓練やっておらぬものですからこれが全然だめなんです。——わかりますか、石炭局長と何か話しておりますから、十分打ち合わせてください。退避訓練をやっておったかどうか。
  24. 森本伊佐夫

    説明員森本伊佐夫君) 退避訓練につきましては、出水に関する退避訓練は昨年一回やっておりました。本年坑内火災に関する退避訓練でございますが、それは現実の退避訓練ではございませんで、いわゆる係長以上の面上作戦でございますが、これは退避訓練には入っておりません。したがいまして、昨年坑内出水に対する退避訓練を実施いたしただけでございまして、その後この種災害に関する退避訓練は行なっておりません。
  25. 阿部竹松

    阿部竹松君 そこの図面を見ても、これはよくわかるのです。ちょっと失礼ですが、保安局長、ここからこうあれでしょう、これからこう風が入って、こっちへこう出ているわけでしょう、片方が四千三百、こっちから四千メートル風が入って、こう回ってくるわけです。ストップさせれば、半分の人は助かるということはわからないんですか。あなたは経験者でしょう。これを全部コンプレッサーでどんどん坑内に入った一酸化炭素の風をとめないで充満させたから、みんな吸って死んだのです。爆発したところはやむを得ないとしても、風がとまっておれば、一酸化炭素が入った空気が回らぬから、そこで私は三百名助かったと言う。私は、会社の言うこととあなたの見解と同じなら同じでしかたがない。しかし、あなたは同じですかどうですかということを聞いているんです。
  26. 森本伊佐夫

    説明員森本伊佐夫君) ただいまの図面による御質問でございますが、あの御指摘の前斜坑道は、断面積が相当広い断面積でございまして、あの空気を短時間に密閉することは困難ではなかったかと私も考えております。
  27. 阿部竹松

    阿部竹松君 立ち会い討論会のようになるが、風を通しておれば、あなたのおっしゃるとおり、百八十ないし二百メートルの風速で通るからなかなか困難だ、扇風機をとめると無風状態ですから、それはやれるのです。しかも、なおかつ爆発してから五時間も六時間も坑内で生きているのですから、私の論法は、三十分間で全部死んでしまったのならこんなこと言いません。しかし、五時間も六時間も生きておって、最後に風が回ってきてのんでなくなったのですから、その間にまだまだ処置がとれるわけです。救護隊というのは、なくなった人を運び出すことに従事しているけれども、それよりも、まず風のぐあいを見て、風門をつくったり、たれ幕を下げて風をとめる仕事もあるのです。救護隊は、なにも人間ばかり対象にして救護隊があるのじゃない、あなたのほうで発行した保安規則に書いてある、それをやっておらぬ。
  28. 森本伊佐夫

    説明員森本伊佐夫君) その点につきましては、私どもも現在まだ調査を続行いたしております。御質問の点につきましては、早急に調査をいたしまして御報告を申し上げたいと思います。
  29. 阿部竹松

    阿部竹松君 現在の坑内状況はどんなふうになっておりますか。爆発後の坑内状況はどうなっておりますか。
  30. 森本伊佐夫

    説明員森本伊佐夫君) 災害炭じん爆発でございまして、炭じん爆発による爆風によりまして被害の生じた区域はわりあいに狭い区域でございまして、図面でごらんいただきますように、第一斜坑の卸底の周辺までかなり被害がございます。それから先の三百五十メートル、前斜坑道から奥のほうは、爆発によりまして四散した炭じん、じんあい、そういうものが坑内にかなり散乱した程度でございまして、坑道のワクの状態、あるいは成木の固めぐあい、そういうような点は災害からは直接の影響はほとんどなかったようでございます。
  31. 阿部竹松

    阿部竹松君 その三川坑の隣に宮浦坑というのがあって、炭じん爆発三川坑でやったからびっくりしまして、宮浦で坑道掃除をやった。二、三百メートル掃除をしたら炭じんが大きなかますに七十かます出たというのですね。保安局長の下僚の方と思うのですが、一カ月に一ぺん検査がある。そうすると、そのときだけ一生懸命掃除するらしい。所長が一カ月に一ぺん入坑すると、そのときだけ掃除するらしい。この間、最後の掃除は、たまたま一カ月ほど前に列国の石炭界の代表が集まって、東京で国際石炭会議をやられて、そのうちの何名かの人が三川坑に入られた。そのとき一生懸命掃除をやられた。二千メートルの坑道に、二、三年前まではとにかく一つの原動機ごとに一人ずつのちゃんと番人と掃除夫を置いておる。いまは二千メートルに二人か三人しか置かぬわけです。そういう事実をあなたは御承知だと思うのですが、そういうことをやっておるわけです。だから、これはもうとてもここであなたと論争をやっても問題にならぬ。私は、この前、福田通産大臣に、これは二十四条適用だという話をしましたが、あなた二十四条の条文を読んでこれはどう言おうと、あなたの説に必ずしも賛成しないが、今度の災害については、あなたは今度相当権限があると思うのです。このくらい多数の人に迷惑をかけ、なくなった犠牲者はもちろんのことですが、国にも多大の迷惑をかげた。これはこの前は二十四条を適用して、あれは一年以内に限定して操業をストップさせる、こういうことが二十四条の条文の中身になっておるのですが、国の宝ですし、日本一の炭鉱ですから、永久にとめるということは不可能です。そういうばかげたことはやる必要は毫もないのですが、しかし、保安の完全実施されるまで、これは簡単にのこのこ入って採炭などということは思いもよらぬことだと思うのですが、大臣の御見解はいかがでしょうか。
  32. 福田一

    ○国務大臣福田一君) お答えをいたします。その点については、私が去る十四日に現地に参りまして、その後の事情等を聴取した上で、いわゆる保安についてわれわれとして責任を持てるという措置がとられ、また、われわれがそれを認定するまでは出炭を認めないということをはっきり言明いたしておるのであります。その後、保安を十分に確保するような努力会社のほうでもやっておると聞いておりますが、正式な報告がまだございません。したがって、私は、そういう報告があって、われわれが認定するまではそうい出炭を認めるということはさせないつもりであります。
  33. 阿部竹松

    阿部竹松君 その大臣が命ずるという資料といいますか、そういう現地調査福岡保安監督局でなされると思うのです。監督局長どうですか、現在の状況から見て。
  34. 森本伊佐夫

    説明員森本伊佐夫君) 現在の三池炭鉱の保安状況の問題でございますが、災害以後、三川坑はもちろんでございますが、宮浦坑、四ッ山坑も休業状態にございます。それで、ただいま大臣から御報告がございましたように、会社側で生産再開の前提条件といたしまして坑内の整備をいたしております。これにつきましては、近いうちに会社のほうから保安に関する整備計画書という形で私のほうに提出されることになっております。その計画書によりまして、私どもが十分その計画書の内容を検討をいたします。監督局側といたしまして、不備な点があれば再度修正をしてもらう、そういう形で、一応私のほうで納得できる整備計画をつくり上げてもらいまして、それによりまして監督官によりまして坑内の一斉総合検査をする予定にいたしておりまして、現在私のほうといたしましては、会社のほうから整備計画が出てまいりますれば、しかも、その整備計画の内容が十分という判断がつきますれば、それに基づいて坑内の一斉検査をする準備態勢は現在できております。したがいまして災害後、司法捜査官の入坑は、これはやってございますが、宮浦、四ッ山関係に対する監督官の入坑は、現在のところ、まだいたしておりません。
  35. 阿部竹松

    阿部竹松君 その場合、あなたのほうで納得する会社の整備計画資料、実際の坑内の整備、それが認められれば再開というのですが、そうすると、保安法の四条の二項とか六条の二項に抵触すると私は考えるわけですが、こういう点はいかように判断されておるのですか。
  36. 森本伊佐夫

    説明員森本伊佐夫君) その点につきましては、詳細に検討を加えまして御報告申し上げたいと思います。
  37. 阿部竹松

    阿部竹松君 検討検討ということで、一切調査中のようですから、これ以上質問を続けてもどうにもなりませんが、会社側は民間企業、私企業ですから、国で栗木社長以下の責任を罰するとかどうとかということは、これはなかなかできかねることかと思うわけですが、しかし、いままであなたのほうで出された中で、行政処分というのがたくさんありますね。ですから、いままで行政処分をやられた内容というのを、一つ二つでけっこうですから、どういうものか。  それから、もう一つは、四百五十名もなくなられまして、もうすでに病院で六名も七名もなくなられておる。まだ相当数の犠牲者が残念ながら出るだろうと思う。あるいは半身不随になって、表現が悪いわけですが、永久廃人という人も出るだろう。そういうときに、これは監督局長にお尋ねするのでなくて、大臣にお尋ねするわけですが、一体責任をだれがとらなければならないか。ただ気の毒であったということだけで終わりになるのか。永久になくなった人はもちろんですが、これはたいへんなことで、家族が今後長く生活のために苦労して生きていかなければならないと思うのです。そこで、あとに生き残った方、これは二百七十名の人が全部りっぱな一労働者として働いていければ問題ないのですけれども、これはいま申し上げましたとおり、永久に廃人に近いような生活を続けて何十年生きていかなければならぬ人があるわけです。これを全部政府がみてくれといっても、私企業ですから、容易なことではないと思います。こういう点について何らかのやはり措置を講じてあげなければならぬ、そういう点についてお考えはないのですか。たとえば、けい肺患者は気の毒である、われわれに言わせれば、一生みてあげてくれませんかというわけですが、なかなか一生みてあげるようなシステムになっていない。そういう点について、これは労働省関係ですが、こういう点のとにかく何らかの措置のお考えはないわけですか。
  38. 大橋武夫

    ○国務大臣大橋武夫君) 労働省といたしましては、ただいま入院中の患者諸君の今後の経過につきまして、注意深く見守っておる次第でございまするが、不幸にいたしまして、けい肺患者と同様な扱いを必要とするような後遺症が残るということになりましたならば、やはり政府といたしましては、けい肺患者等に準じた措置を当然考えなければならぬと、かように存じておる次第であります。
  39. 阿部竹松

    阿部竹松君 最後にお尋ねいたしますが、対策本部長は、三池の問題が一切終わるまで災害対策本部が組織され、かつ、そこで一切の衝に当たられるわけですか、それとも、一応のめどがつけば、厚生なり、あるいは労働なり、あるいは通産というふうに、分担をおのおの管轄省においてやられるのか。
  40. 古屋亨

    説明員古屋亨君) ただいまの問題でございますが、今後、私、東京へ参りまして、関係各省でそれぞれ措置ができるというような情勢になりますれば、本部というものは一応閉じることになると思いますが、連絡調整その他の仕事はまだ当分は残っているというふうに私考えておりますので、対策本部長としての私見と申しますか、意見になりまして恐縮でございますが、私どものいま申し上げましたような考え方を十分了解していただきまして、この時期の問題につきましては、今後の推移にまって考えたい、かように考えております。
  41. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  42. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 速記を始めて。  それでは午後一時二十分まで休憩をいたします。    午後零時五十一分休憩    ————————    午後一時二十九分開会
  43. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 休憩前に引き続きまして連合審査会を開会いたします。  御質疑のある方は、順次御発言を願います。阿具根君。
  44. 阿具根登

    ○阿具根登君 時間が非常に限られておりまして、質問事項が非常に多いので、簡潔にお答え願いたいと思います。さらに大蔵大臣の時間が非常に少ないようですから、大蔵大臣にまず御質問申し上げます。  今次三池災害において、事業団を通じて十億の金を出していただいたのですが、これは退職金や保険金の問題でありまして、その後の特別融資あるいは大牟田、荒尾に対し、あるいはその他の生産に対して、どういうお考えがあるのか、まずこれをお伺いします。
  45. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) お答えいたします。三川坑事件につきましては、政府もその重大性にかんがみまして緊急対策を行なったわけであります。融資につきましては合理化事業団から八億と二億、合計十億円を緊急融資をいたしましたし、現在通産省側から提示をされております追加原資の問題につきましても、ここ一日、二日のうちに合意に達し得るというふうに考えております。  なお、事故にあわれた方々に対する保険金の支払いに対しましては、各保険会社に直ちに支払うように強く要請をいたしました結果、事務的処理はあとにしまして、一括払いをいたしましたわけでありまして、数字が必要であれば申し上げます。九三・四%もうすでに支払い済みであります。  なお、開発銀行の保安に対する資金の問題その他に対しても、十分対処できるような措置をとっております。
  46. 阿具根登

    ○阿具根登君 今後の融資について、数字が考えられておるものと思っておりましたが、一応、腹案等もあるように聞いております。それを明らかにしてもらいたい。  それから融資を炭鉱にされる場合に、保安と生産再開についての融資の考え方をどう考えておられるのか。いわゆる生産再開、設備の確保というようなことで融資をされるから、その金が保安のほうに流れるのは非常に少なくて、生産本位にその金が流れておる。だから、保安のほうがなおざりになるのじゃないだろうか、保安に対する融資というものは特別別個に考えるべきじゃないか、こういう考えを私は強く持っておりますが、それに対して大蔵大臣は、どういうお考えをお持ちになっておられるか。
  47. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 御承知のとおり、いままでの保安は、一つのワクの中で対処されておったわけでありますが、今度の事件の経緯にもかんがみまして、またお説もありますので、開発銀行等の融資に関しましても、保安というものに対しては、別個の項目を立てて融資をするほうがより効率的だと考えますので、そのような方向で検討いたしております。
  48. 阿具根登

    ○阿具根登君 今度は原因について一、二質問いたしまして、それから自後の対策について、所管の大臣に御質問申し上げたいと思うのですが、いろいろ調査中でもありますが、どういう原因があったかということが判明したにしろ、炭じんが積もっておったという現実は、これはどうすることもできないと、私はこう思うのです。その場合、会社その他の意見では、相当散水もしておった。掃除もしておった。相当な湿気があったはずだと、こういうことをいわれておるのです。  そうしますと、三川坑はあの第一斜坑から坑外に運び出された石炭は、選炭場において湿度がどのくらいあったかということを常に調査されておるはずです。どのくらいの湿度があったか、この点をまずお伺いします。
  49. 田原正邦

    説明員田原正邦君) お答えいたします。選炭揚の入り口の石炭の湿分は十一月の八日の分析の結果によりますと、六・八%でありました。
  50. 阿具根登

    ○阿具根登君 最後の数字だけ言われましたが、十一月の四日は四・八%です。十一月の八日は五・八%、そうしますと、湿度はどのくらいで爆発をするか、その点をお知らせ願いたい。
  51. 田原正邦

    説明員田原正邦君) お答えいたします。三〇%くらいまで爆発をいたします。
  52. 阿具根登

    ○阿具根登君 先にどんどん進んでおりましたが、大蔵大臣、腹案があったら、ここで教えてもらいたいと思います。それをお聞きしたら、もう大蔵大臣は退席していただいてけっこうです、約束ですから。今後の融資に対する腹案が、もうできておるということを私聞いておるのです。どのくらいの融資を考えておられるのか、それをお聞きしたい。
  53. 田中角榮

    ○国務大臣(田中角榮君) 先ほども質問がございましたように、保安設備の問題につきましては、別ワクにしてこれを出すことに踏み切ろうということが第一点であります。第二点は、近代化資金の問題につきましては、現在七十億円以上、七十五億円ばかりの要求がありますが、こういう問題に対しては、先ほど申し上げましたように、これを二、三日のうちに詰めたいということで、これを削るような考え方を持っておりませんということをはっきり申し上げたわけであります。  地元の中小企業等の問題に対しましては、指令を出しまして、いままでの元利の猶予とか、それから新しい年末申し込みに対しては、十分資金を確保して、これに対しては三公庫で十分な手配をすることというような処置を現在の段階では考えておりますので、皆さん方が過去においても、また現在でも言われております石炭鉱業に対する大きな問題として残っておるものに対しては、全部片づけたいという考え方を持っております。いま一つ残っておりますのは、大手筋企業に対しましても、無利子でもって貸せというような問題が一点だけ残っておりますが、この問題は、融資の問題で片づくと思いますので、それよりも申し込み融資を削減することによって、金繰りが困ったり実際の計画にそごを来たすというようなことがあってはならないので、そういう問題を前面に押し出しながら解決方法を考えておりますので、融資に対しては、遺憾なきを期して参れるという考え方でおります。
  54. 阿具根登

    ○阿具根登君 先ほど局長答弁は感違いなすっておるのか、私がしろうとだと思って御答弁になったのか、三〇%まで爆発するとおっしゃる。三〇%といえば、石炭を握って手の平から水がたらたら流れるくらいが三〇%ですよ。そういうものが爆発するようになっておらぬのです。そういう御答弁では、あなたがどれだけ研究されておるのか、感違いだったろうと思うのです。三〇%の温度といったら、ただいま申し上げましたように、石炭を手で握ったら水が落ちるくらいで三〇%の温度です。もしも三〇%まで爆発するというなら、ただいま言いましたように、六・七%とかあるいは五・八%だったら、当然それは爆発するということになるわけなんです。
  55. 田原正邦

    説明員田原正邦君) お答えいたします。炭じん中の水分と、その爆発性について申し上げます。  水分は四から六%までは爆発が減退いたします。それから七・五%では爆発は困難でございます。一〇%では浮遊しません。三〇%では爆発も伝播もしません。以上でございます。
  56. 阿具根登

    ○阿具根登君 私が要求して、私が資料を持ってるんですから、そのはんぱをおっしゃらなくていいんです。そういう答弁になりますと、いまのやつは英国でいわれておる数字を言われたんです。もう一つ日本の波止博士がやったやつがあるはずなんです。そういうような御答弁になりますと、爆発しにくい数字だけあなたはおっしゃって、爆発しそうな数字は隠しておっしゃるようにしか私とりませんよ、そんな御答弁なさいますと。私が申し上げましょうか。  波止博士の行なった日本の国の石炭に対する実験では、水分がゼロの場合は大爆発、五%の場合は強爆発です。一〇%で初めて爆発力が減退すると、こういうことになっておるわけです。  そうすると、日本の実験から見てみれば、現在三川坑で上がっておる石炭は、これが炭じんになった場合は、爆発する要素が十分にあるということは、坑内で水をかけておらない、かけてあっても、それが非常に少ない。さらに、これはベルトに乗って上がった石炭の湿度です。ところが、この第一斜坑の途中でベルトからふるい落とされる、あるいは舞い上がった炭じんが、柱やその他にくっついておるとするならば、あの第一斜坑は、先ほど森本局長がおっしゃったように、大体毎分二百メートルの風が吹くのです。一秒間に三・何ぼの風が吹いているわけです。そうすると、残っておる炭じんというものが、非常に湿度が減っておる、上がった石炭よりも、うんとかわいている、こういうことになると思うんですよ。それをお認めになりますか。
  57. 田原正邦

    説明員田原正邦君) お答えいたします。仰せのとおりであります。
  58. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうしますと、最初申し上げましたように、爆発が起こったということは、いかに抗弁しても、炭じんが残っておったんだということになると思うんです。その残っておった炭じんは、爆発に非常にいいように乾燥しておったと、こういうことになるわけですね。そうすると、直接の原因が何であれ、いわゆる保安法でいう散水が足らなかったと、こういうことになると思うんです。  さらに、福岡の監督局が、この三年間調査されたのを私、全部見てみました。特にことしの四月にあの爆発のあった第一斜坑調査されておる、延べ九日間。そしてベルト際の材料、あるいは石、あるいは落炭、こういうものを片づけて清掃しなさい、ケーブルの周辺の炭じんがたまっておるのを清掃しなさい、こういうのがあれば火災の原因になりますぞ、こういう非常にいい注意をしておるわけです。  そうすると、その当時も、そういう情勢にあった、四月に。だから監督官庁の指摘を受けておる。それから七カ月間は、これは監督されておらない。見ておられない。そういたしますと、その七カ月間に相当の粉じんがたまっておった。その粉じんが乾燥して、炭車の逸走が原因で舞い上がって火がついたかもしれませんが、要は、原因はそういうところにあるのだ、こういうことになると思うんですが、これはお認めになりますか。
  59. 田原正邦

    説明員田原正邦君) お答えいたします。仰せのとおりでございます。
  60. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうしますと、一つ私に解せないことがあるんです。それで一応原因はこういうものだということがわかりましたが、ここは政務次官がおられませんから、大臣からお答えができたらお答え願います。  きのうの朝の政務次官会議で、三池炭鉱爆発事故について、労務者が保安規則を厳守しているかどうかの点について関係官庁が協力して検討することを申し合わせた、こうなっております。これと労務者が保安規則を守った守らないと、どういう関係がありますか。こういう大爆発が起こって、大正三年以来、こんなことがない大きな爆発が起こった、それに、みな血眼になって心配しておるのに、政務次官会議では、労務者が保安規則を破ったような意味合いの会議をなされておる。そして関係官庁が協力して検討する、こうなっておるんです。  では、どういうところが労務者が保安規則を守っておらなかったか、非常に私はこれは問題があると思うんです。何か保安規則を守らなかったためにこういう大爆発が起こったというなら、その真相は十分究明されなければならない。しかし、ただいま申し上げましたような事態であったならば、一体どういう保安規則を労務者が守らなかったか、皆さんはおいでにならぬから知らぬとおっしゃればそれまでだが、きのうの朝の次官会議で、こういうことを発表した、諸官庁が協力して調査する。そうすると、何か裏にある、何かこの裏にあるのだというようなことが裏づけされるようなことになるんですが、一体、どういうことなのか、それを教えてもらいたい。
  61. 福田一

    ○国務大臣福田一君) ただいまのお話は、私まだ報告を受けておりませんので、ここでお答えすることは困難でありますが、その意味は、もし、そういうようなお話があったとすれば、いまのお話から判断いたしますと、そういうようなこともあってはいけないから調査をする、こういう意味で言われたのじゃないか。もっとも、私まだ聞いておりませんから、具体的にお答えはできませんが、しかし、十分調査はいたしたいと思います。そういう誤解を与えることはいけないことだ、誤解を与えないように正しい姿を出してお答えすることは非常に必要だと思いますから、十分政務次官等から聞いた上で、適当な時期にお答えをしたいと思います。
  62. 阿具根登

    ○阿具根登君 ついでに出た事項を申し上げてみましょうか。そのあとに、草野官房副長官が、同事故の原因調査及び対策検討にあたって、会社の保安設備と関係官庁の監督状況が重点的に取り上げられているが、過去の炭鉱事故から見て、労務者の不注意ということも軽視できない、労務者が保安規則を十分守っているかどうかをあわせて徹底的に検討する必要がある、こう述べておられる。  そうすると、私がここで質問しておることは、こればかりじゃだめだ、国会の中で、監督官庁の監督の状態、それから会社の保安責任者としての責任の所在、どうあったかということを私たちがここで調査をしておる、質問をしておる。しかし、それだけではだめだ。労務者の不注意もあるぞ、こういうことを言われておる。そうすると、あの現場で、あの事故で、どういうことが考えられるだろうか。普通の甲種炭鉱か何かの小さい切り羽で労務者がたばこをのんだんじゃなかろうか、こういうことを言われることもあります。また、たくさんの例の中に、そういうことも一、二入っております。しかし、今度の事故の現場というのが、あまりにもはっきりしているところで、どうして労務者の不注意を検討しなければならぬということを責任ある方々が言われるか。何か裏に考えがあるはずだと、私はこう思うんです。これは言われておるはずなんです。まあ、おいでにならなかった大臣の皆さんに、こんなことをいっても、これは知らないとおっしゃるかと思いますが、あなた方を次官として補佐しておられて、実際、こういう問題で慎重な審議をされている方々が、こういう不謹慎な決定をされていいかどうか、私は非常にこの点について疑問を持ちますが、おいでではないので、このくらいにいたします。  その次に、鉱山保安法についてお尋ねいたしますが、今度爆発した三池鉱は、乙種炭鉱でございます。私が読み上げるよりも、ひとつ監督官庁のほうからお知らせ願いたいのですが、今ままで乙種炭鉱爆発したのは、この二、三年にどのくらいあったか、何人の人が死んで、甲種炭鉱の特免区域で何回爆発をやられて、何人死んでいるか、どのくらい重傷者がいるかという問題、私が尋ねました資料の中に入っているはずですから、ひとつお知らせ願います。
  63. 田原正邦

    説明員田原正邦君) お答えいたします。三十四年から三十八年まで乙種炭鉱爆発いたしました件数は、三十四年が十回でございます。そうしてそれによって罹災いたしました数は死亡者が三名、重傷者が二十一名、怪傷者が二名。三十五年は八件でございまして、死亡された方が三十七名、重傷者が二十六名、軽傷者が十五名。三十六年が十四件でございまして、死亡者が三十四名、重傷者が三十四名、軽傷者が六名。三十七年が九件でございまして、死亡者が二十六名、重傷者が三十一名、軽傷者が一名。三十八年が十一件で、死亡者が十名、重傷者が十八名、軽傷者が四名、以上が三十四年からの乙種炭鉱爆発の件数と、それによって罹災された方の人員でございます。  それから特免区域の爆発が三十四年から現在まで六炭鉱で、罹災者が百七名、以上でございます。
  64. 阿具根登

    ○阿具根登君 通産大臣、お聞きのように乙種炭鉱で今日までに五十余名の人が、この三、四年の間に死んでいる。そうして百余名からの人が重傷です。甲種炭鉱の特免区域では今お聞きのように、死者四十九名、重傷者四十七名、ということは、保安法で乙種炭鉱だの特免区域ということをきめることは間違っているのじゃないですか。乙種炭鉱なんかときめているから、乙種炭鉱では、こういう爆発は起こらないということをきめてしまうから、これだけ莫大な死傷者が出ている。ということは、乙種炭鉱なんていうから、こんなことになる。特免区域というから、特免区域というのは、甲種炭鉱の中でも、ほとんどガスがないから、これは火を使ってもいいということです。そういう所で爆発を起こして死んでいる。  そうすると保安法の抜本的な改正がなければならない。やはり炭鉱はみな甲種炭鉱爆発の危険があるという観点に立たなければ、こういう災害は乙種炭鉱、特免区域でも出てくる、ということは、乙種炭鉱、特免区域になったというところで、炭じんに対して、保安に対して非常に注意力が欠けてくる、その結果、こういう重大災害が次々と起こってくる、こういうことになれば、乙種炭鉱とか特免区域というものは、もうやめてしまって、全部甲種炭鉱にすべきだと思いますが、大臣いかがでございますか。
  65. 福田一

    ○国務大臣福田一君) お答えをいたします。ただいまの甲種、乙種の問題は、甲種は非常に危険である、乙種はいささかそれほど危険でないということから、かえって注意力が散漫になっているのじゃないかということで、こういう点研究してみたらどうかという御質問だと思いますが、そのお考えには、十分私は研究してみる必要があるというので賛成をいたしたいと思いますが、ただ、やはり炭鉱をそういうふうに甲種、乙種にした気持は、できるだけやはり奨励して、そうして保安設備その他保安注意が行き届いているところは認めてやる、なかなかよくやったということを認めてやるという気持で、むしろこういうことで勧奨してやるという気持が加わって、甲種、乙種という考え方が出てきたのじゃないか、その理由はそういうところにあるのじゃないかと考えますが、しかしお説の、また具体的な数字を見て、そういうことが出てきている以上、十分検討してみる必要があると考えております。
  66. 阿具根登

    ○阿具根登君 私の資料要求の中には入っておりませんが、もしも手元でわかれば、甲種炭鉱でこの種重大災害で、何名爆発して死んだか、これがわかりますか。へたをすれば、甲種炭鉱のほうが少なくて、乙種炭鉱のほうが多いかもしれませんが、これだけの死者が出ているということは……。  そうすると、いま通産大臣の言われた親心というのは、そのために災害をふやしたということになる、そうすると乙種炭鉱、特免区域はのかさなければならないという結果になりますが、いま、お手元に資料がありましたら、甲種炭鉱でどのくらい死んだかお知らせ願います。
  67. 田原正邦

    説明員田原正邦君) いま、手元に資料がございません。
  68. 阿具根登

    ○阿具根登君 要求しておりませんから、ないならしかたがありませんが、そこで、鉱山保安につきまして、これはいつも、こういう災害があるたびに論争される問題でございます。きょうは幸い労働大臣通産大臣もおいでですから、労働者災害については、労働省のこれは所管であって、炭鉱の保安についてのみ、どうして通産省が所管しなければならないのか、労働省でやったら、どういうところが悪いのか、さらには炭鉱の保安管理者というのは、鉱業権者が任命するわけなんです。鉱業権者が自分の下役に任命するわけなんですね。たとえば、一つの炭鉱で保安管理者というのは、坑長よりもうんと下なんです。いつまた、自分の職制が坑長の指揮下に入るかわからないんです。そういう立場にある人が、保安について強い意見が述べられるかどうか、強い意見を述べて生産に支障があるとなれば、鉱業権者はいつでも、これはかえていいんです。いつでもかえていいんです。そうすると生産第一になるということは当然のことです。生産に協力しなくて、これは保安があぶないですよと言ったら、その人はかえることができるんです。鉱業権者が任命することができるんです。こういう保安行政のあり方でいいかどうか、もっと、保安というものは、昔は車の両輪といっておられましたね。しかし、今は御承知のように、総理大臣はじめ通産大臣も労働大臣も、これは人命が主ですよ。保安第一、生産第二、こうおっしゃっておるわけなんです。  そうするならば、一つの炭鉱において保安の管理者というものは、保安に関する限りは、そこの最高責任者以上の権限を持っていいはずですね。ところが、任命する人は自分会社の社長なんです。それで保安の管理ができるかと、私はできないと思うんですが、こういう点、どうお考えでしょうか。
  69. 福田一

    ○国務大臣福田一君) この前の委員会においても、その問題について御質問がございまして、私から申し上げたのでございますが、石炭の場合におきましては、私はこの保安と生産というものは唇歯輔車の関係といいますか、不可分の関係にあるもんだと、こう考えるものであります。そこで、いわゆる人命尊重が第一であるという意味は、人命尊重をおろそかにしていかんという意味をいうておるのでありまして、その人命尊重という意味、すなわち保安ということには格段の注意を払うべきである、こういうことを申し上げておるわけであります。  大きな原則はいま申し上げたとおりでありまして、私は具体的に、たとえば石炭を生産する場合には、石炭を生産するから人命の問題が起きるんで、これはまあ少し理屈が過ぎるかもしれませんけれども、何も人命尊重のために石炭を生産しているわけじゃない、やはり石炭生産ということがあるから、ここにその特殊性にかんがみて、人命の尊重ということを特に重視しなくちゃならん、したがって、生産と人命の尊重というものは、全く不可分の関係にあるものであって、生産第一主義でものをやってはいけない、やはり人命というものを尊重する、いわゆるそういう災害の起きないようにしながら生産をしていく、こういう建前でやっていかなければならない、こういうことは考えておるわけであります。  第二の問題でございますが、会社のいわゆる保安責任者というものと、そこの所長との関係、地位の関係について御質問がございました。これは私は確かに、いまあなたがお考えになって疑問に思っておられることは一理があると私は考えております。これはひとつ研究してみたい。今度の実は事件を契機にして考えてみたい、こう思っておるわけであります。
  70. 阿具根登

    ○阿具根登君 どうも大臣の話を聞いておれば、生産があるから人命がそこなわれるんだと、そうすると生産第一ということになるわけなんです。人命があるから生産ができるのが正しいんじゃないですか。人がおるから生産ができる、生産をするために人がおる、こういう解釈ですか。私はそうじゃないと思う。人命優先、人命尊重ということは、人がおって初めて生産ができるんだと、まず人の生命を守らにゃならぬというのが建前だと思うんです。  そうすれば、所管官庁が変わっても、当然これはやるべきことであって、それならば、坑内だけは生産と保安は一緒でなければならぬとおっしゃるならば、たとえば採石業は一体どうなる。採石業は、保安と生産は一緒じゃなくてもいいのですか。採石業はどうして通産省が所管しない。なぜ炭鉱だけ通産省が所管しなければならないか。いずれの場合でも、生産に危険が伴うことは当然です。だから、これは労災法ができて、労働省が所管になっている。炭鉱においてのみ、なぜそうなければならないか。どうも大臣答弁で納得しないので、これは数回やっておりますから、これ以上申し上げませんけれども……。  それから二番目の問題は、ただ考えるというだけでなくて、こういう事態だから、こういうことも考えられる、こういうことも考えられるというくらいの考え方を示してもらわぬと、いつの場合でも、考えてみましょう、考えてみましょう。事故が起これば、考えてみる、考えてみるといって、結果は大したことはないですね。こういう場合も考えられるじゃないか、たとえば、鉱業権者が任命する、勝手に自分が任命するからだめだ、任命は通産大臣がやりましょう。あるいは保安管理者を鉱業権者が任命するという場合に、会社の経営者だけしか任命しないから、副管理者をきめようじゃないか、これに労働組合の代表を任命しようじゃないか、いろいろな考え方があるはずなんです。何も考えなくて、考えましょうとおっしゃるのか、こういうこともあります、こういうこともありますというようなお考えがあるのか。そうしなければ、ほんとうに考えておられるのかどうか私はわからない。委員会が終われば、もうお忘れになるのじゃなかろうかと思う。そうしてまた、何カ月か何年か先に、こういう事故が起きたときに、また考えましょう、いずれの大臣もそうおっしゃる。だから、ひとつ福田通産大臣ですから、私の言ったような、何か今の保安法じゃだめだ、だから、これはこういう考え方もある、こういうことも考えられるというような、少し前進した御答弁を伺いたいと一思うのですが、いかがでしょうか。
  71. 福田一

    ○国務大臣福田一君) お答えをいたします。決して一時のがれで考えましょうと言っているわけではありません。私はこの問題、非常にこれを契機として、この種の問題の改善をはかるべきであるという固い信念を持っておるわけなんで、そういう意味で考えようと言っておるわけです。ただし、いかにするかということは、十分皆さん方の御意見も聞き、関係者の意見も聞き、その他方法を慎重にきめなければならぬ。しかし、慎重にやるからといって、三カ月も四カ月も放っておくという気持で申し上げておるわけじゃない。これは何とか考えなければいかぬ。そういう具体的な気持、具体的に解決する気持で考えようと言っておるわけでありますから、御了承願いたいと思います。
  72. 阿具根登

    ○阿具根登君 次に、三大臣おいでですから、三大臣に関連した医療対策についてお伺いいたします。  確かに今度の災害にあたって各大学の協力もいただいておりますし、厚生省からも技官を出張させてもらったんです。ところが、災害対策特別委員会ができておる、それと同時に私たちが考えるのは、二百八十名からの患者が出て、しかも非常に悲惨な状態にあるとするならば、医療対策特別委員会というものをなぜつくらなかったのか、こういう考えがするわけなんです。災害対策特別委員会の中にあるといいながら、災害対策は、その当時の原因調査あるいはその後の処置をやっておられるけれども、医療対策に至っては非常にばらばらであった。確かに偉い先生方がたくさんお見えになりました。しかし、御承知のように、九大は九大、久留米医大は久留米医大、熊本医大は熊本医大、こういう姿がおおい隠せないのです、私ら見ておって。とするならば、なぜ一本の体系で、医療対策特別委員会か何かをつくって権威ある人がその焦点になって、この結果は、世界中にこれは公表しなければならないものなんです。四百五十七名の人が死んで二百八十名の人がこういう災害にあっている。世界中の専門の学者の方々は、どういう結論が出るだろうか、一酸化炭素中毒は、一体どこまで治療ができるのか、こういう問題については、相当な関心を持って日本を見ておられると思うのです。  そうするならば、日本の権威あるお医者さん方に委嘱して、徹底的なこの研究をしてもらわなければいかん、私はこう思うのです。ところが、行って参りますと、厚生省の責任じゃない、こういうことなんです。厚生省は医者や病院は、私の責任であるけれども、この種災害の病人については、これは労働省の衛生課だ、労働衛生の責任だ、こうおっしゃるわけです。労働衛生の皆さんに聞けば、病院やお医者さんは厚生省だから、なかなかうまくいかないですね。通産省にも、この対策というのが出ておる、一体どこが主管なのか、どこが責任持つべきなのか、ああいう病人を前に置いて、そうしてそれぞれ医者の方々は、医者の立場で自分が勉強したいという気持、医者の立場として一生懸命になっておられるのはわかります。ところが、それに対して指揮系統、命令系統、こういうものは何もないという現状なんです。また、市中のお医者さんはお医者さんで病院長としてのプライドで、自分自分なりの考え方でやっておられる。こういうばらばらのやり方で、この治療ができるかどうか。どこに隘路があるのかその点ひとつ、三大臣からお答え願います。
  73. 小林武治

    ○国務大臣小林武治君) ただいまお話のように多少遺憾の点があったと思います。しかし、二十六日からは、この問題のために特別に医療保健委員会というものを作りまして、厚生省の九州地方医務局長が会長になりまして、そのもとに指導部会対策部会という部会を作りまして、組織的にひとつ仕事を進める、こういうことにいたしておりますので御了承願います。  しかし、最初におきましても、対策委員会の中には、医療小委員会というものを作りまして、一応そこが指導をする、そうして所管の問題はいずれにしましても、私どものほうの医務局長責任者としてこの問題を処理する、こういうことにいたしております。
  74. 大橋武夫

    ○国務大臣大橋武夫君) 患者に対する医療処置につきましては、厚生大臣の言われたとおりでよろしいと思います。
  75. 阿具根登

    ○阿具根登君 そういたしますと、これはお医者さんのことは、あまり言うわけにはいかぬのですが、私らが現場で考えた限りにおいては、各大学の方が、それぞれ自分の学校で研究をされておる、そうするとその統轄、統制は一体どうなるのか、各大学で、それぞれの発表をされるのか、その大学を統合した何ものかがあって、そこでその研究結果が発表されるのかどうか、そこがはっきり私にはわからない。医務局長がそれだけの実力を持って、それだけの権限を持って、各大学の先生方を掌握できるような組織ができるのかどうか、その点お尋ねします。
  76. 小林武治

    ○国務大臣小林武治君) いまのお話、職務権限の問題は別にしまして、要するに対策協議会の中へまとまったこういう機関を作りまして、そうして私どものほうの九州地方医務局長が会長になって連絡、調整をはかる、こういうことで十分な調整と申しますか、統制と申しますかやれる。ことに指導部会の中には、各大学の先生たちも皆お入り願って、そこでもって指導をする。現地のほうは対策部会というもので、治療の具体的なことを扱う、こういうことになりまして、できるだけばらばらでないように——ただいま直ちに、職務権限どうこうということはむずかしい問題でございますから、そういうことでなくて、私のほうが、そういう統轄、調整の仕事をひとつ責任を持ってやりたい、こういうふうに思っております。
  77. 阿具根登

    ○阿具根登君 次に移ります。  労働大臣にお尋ねいたしますが、患者に対する対策では、先ほど阿部委員質問で、経過を見た上で、けい肺法の適用をしなければならない場合にはけい肺法の適用をしたい、こういうことを言っておられますが、現在のところ、おそらく医者の方々も、どうだという結論は出ておらないと思うのですが、私たちの聞いた範囲内では、この一酸化炭素中毒方々は、きょうは非常にいいからだの工合であったが、あすは極端に悪くなる。また一週間後に極端に悪くなる。こういう状態が非常に出ておるわけです。  そうすると、そういう方々が一番不安に感じておられるのじゃなかろうかということになってくるわけなんですね。これが中毒患者はなおるんだと、これは必ずなおるということになっておれば私はいいと思うんですが、今それを言われる学者の方は一人もおらない、私はこう思っております。なおまた、聞くところによりますと、一酸化炭素だけの中毒ではないようだという話も聞いております。しかし、これは解剖しなければ言えないことであって、こういう話も聞いておる。いずれにしてもこれはなおりがたい、非常になおりにくい中毒症状じゃなかろうか、こういうふうに考えるわけなんです。  そうすると、まあ一番早いのは、職業病対策で、けいはい法を適用するのが一番早いと思うのですが、そういう点をいま少し、はっきり御説明願いたい。  それから家族の問題につきまして、炭鉱の離職者に準じるというようなことが再三発表されておるんです。しかし、この罹災者の未亡人の内訳を調べてみますと、三十台から四十台の方が三百名をこしております。そうすると、その方々が、ちょうど小さい子供を連れておるところなんです。そういう人たちが広域紹介その他で大牟田を離れる、荒尾を離れるということは、きわめて困難な状態にあると思う。そうすれば、でき得る限りその土地で就職のあっせんをしなければならない。しかし、就職のあっせんをするといっても、女の手で生活をささえるだけの就職を労働省はあっせんする自信があるかどうか。私はまことに、これは労働省が雇うか通産省か政府が雇ってくれるかいざ知らず、おそらく中小企業、零細企業にお世話下さると思うんです。そうすると、子供を連れて生活ができるということは、きわめて私は少ないんじゃないか、こう思うわけなのです。そうしますと、特にこういう多くの未亡人の方が子供を連れて、ちまたにほうり出されるということになるならば、できる限りその付近で仕事を見つけなければならない。そうなれば、あるいは縫製工場とか竹製工場、こういうものを市からつくってもらいたいということを御承知のとおり非常に強く要望されております。そういうのにまず手がけなければならぬのじゃなかろうか。そうして、女子でも十分生活のできるような仕事を与えてやるべきだ。特に大牟田の市長の話を聞きますと、縫製工場を田川市で作ったところが、たくさんの女の方を使用することができて非常に経過もいいようだ、こういう話も出ているようです。こういう点についてどういうお考えを持っておられるか。  さらに厚生省は、それだけの子供を連れた未亡人がおるとすれば、これは当然託児所のことも考えてやらねばならないと思います。また市町村の陳情を聞いてみますと、たとえば大牟田の問題を見てみますと、二十万都市に三十八年度で五千五百六十家族の生活保護世帯があるのです。一万九千四百五十人の生活保護の家庭がある。また五千八百六十二名の失業者が登録されております。こういう実態の中で、たくさんの未亡人が出てきたということになれば、厚生省としては、そういう対策をどうお考えになっておるか、労働省厚生省対策をお尋ねいたします。
  78. 大橋武夫

    ○国務大臣大橋武夫君) まず一酸化炭素中毒によって、目下治療中の負傷者各位に対する今後の処置でございますが、労働省といたしましては、ただいま業務上の災害としてこれを医療処置をお願いいたしておるわけであります。その医療処置につきましては、現在の一般的な災害補償の制度で不十分であるという場合におきましては、けい肺法等の例もございますので、十分同じような措置を講じて、できるだけ長く手を尽くしたい、こういう考えでございますが、しかし最終のところは、目下まだ将来の見通しがついておりませんので、ここで申し上げるわけには参りませんが、しかし考え方といたしましては、いやしくもけい肺法と同じように長期にわたる障害が残るという場合においては、けい肺法に盛られておると同様の精神でもって、これらの患者に対しても当たるべきだろう、こういう考えでございます。  それから未亡人の問題でございますが、この問題は、なかなか困難な問題だと思っております。先般、私も現地に参りましたときに、いろいろ事情を聞いて見たのでございますが、実は未亡人の方々も、あまりに突発的な悲劇に対して、まだ将来の計画をみずからお立てになる段階になっておらないようでございます。一応労働省といたしましては、所轄の職業安定所に係員を置きまして、将来の就職についての相談、指導に当たらせるような陣容を整えておりますが、現実には、まだ御本人の気持がそこまでに立ち直っておられませんために、まだそういう話が起こっておりません。しかし今後、だんだん落ち着かれるに従いまして、今後の生活手段の問題が重要になると思います。  これにつきましては、ただいま阿具根先生が仰せられましたごとく、なかなか家族その他の関係上、自由に流動することが困難な方々が多いと思いますので、それらにつきましては、炭鉱側なり、あるいは地方当局なりと十分相談いたしまして、将来できるだけ道の立つような方法を最後までお世話したい、かように思っております。  そういうはっきりした措置のできるまでの間は、先ほどお述べになりましたごとく、ほぼ炭鉱離職者に準じた措置が法的に可能になっておりますので、そういう方法でもって、めどのつくものはお世話して、最終的にできるだけそれぞれの御希望に即したようなお世話をするように計らいたいと、このように考えておりますが、まだそれは先のことになると存じます。
  79. 近藤信一

    近藤信一君 関連。災害の善後措置に関連して通産大臣に一、二点質問いたします。  大牟田市、荒尾市等の中小企業者は、今回の災害の間接的被害者であると私は思うのです。聞くところによりますると、数年来の炭鉱不況によりまして、三井鉱山の会社の下請会社に対する支払いが非常に悪いと、こういうふうに私聞いております。特に災害の前でも、このように悪いのでございますが、今度の災害によって、ますますこの状況というものは強くなるのじゃないか。特に災害前でも支払い状況が、六、七カ月たたなければ支払えなかったのだ、こういうふうにも聞いておるわけですが、今度の大災害にあって、中小企業はこの下請に対する支払いで非常に今後困るのじゃないか。特に今日では、まだ運転がされていない。そういう点からいきましても、非常に下請の中小企業は困るのじゃないか。  そこでこの善後措置ということに対しまして、いわゆる間接的な被害者である中小企業に対する問題を通産省としては、どのように考えておられるのかどうか、この点をまずお尋ねいたします。
  80. 小林武治

    ○国務大臣小林武治君) 阿具根委員の御質問でございますが、大牟田その他に生活保護者がふえるだろうということも予想されますので、これらは十分の手当をむろんいたすつもりでおります。なお母子の問題につきましては、必要があれば母子ホーム等も作ってもいい、また託児所も作る、こういうようなこともいたしたいと、それからあるいは母子年金の問題あるいは母子の世帯更生資金、いろいろの手だてがございますので、十分ひとつ、これらを活用して参りたい。ただし、さしむきは労災補償との問題がありますので、これらの問題との調整を考えつつ、できるだけのお手伝いをいたしたい、このように考えております。
  81. 福田一

    ○国務大臣福田一君) ただいまの中小企業者に対する問題でございますが、これは何といっても、三井の事業所の生産再開ということが一つの問題になると思います。しかし、中小企業にこうだから、それでは生産再開されたいと、そういうわけにいかないので、それは保安を十分に考えた上で、しかもまた必要な資金があれば、これはめんどうを見てやる、こういう形で生産の問題は処理していかなければならないと思います。  その場合において、それまでの間に、今までの中小企業がただでさえスクラップ・アンド・ビルドによって非常に困っておるのに、年末を控えて非常に困るのじゃないかという御質問かと思います。これについては、特に現地の商工中金あるいは中小企業金融公庫、国民金融公庫等に対して、しかるべき——しかるべきというと、なかなかむずかしい言葉になりますが、それによって相当な影響ありというような場合においては、何らかの融資措置について便宜をはかるように指示をいたしたい、かように考えております。
  82. 近藤信一

    近藤信一君 もう一点。中小企業の年末金融は、今年は非常に潤沢のように新聞に毛出ているわけであります。ところが中小企業といっても、常に政府は中小企業の上層部のほうに対する対策が常でありまして、特に零細企業に対する対策ということが、今日まで私はおろそかになっておると思うのであります。特にこの災害地であり、また産炭地の中小商工業者は、ここ数年来非常に苦境に立っておるという現状もあるわけであります。特に今度は、災害地の中小商工業者に対する零細企業側に私は十分な対策を立てる必要があるんじゃないか、こういうように思うわけですが、この点の配慮は、どう考えておられますか。
  83. 福田一

    ○国務大臣福田一君) 中小企業のうちでも、特に小さいものに対する配慮を十分せねばいかん、特に金融の面についてお話があったと思うのでありますが、これはいわゆる銀行というものの持っておる性格からいって、どうしても小さいものにあまり行き届かないという傾きがあったことは事実でありますが、少なくとも政府関係金融機関においては、そのようなことはこれはさせないように、格段われわれとしては指令を出す考えでおりますけれども、市中銀行については、これは大蔵省ともよく連絡をいたしまして、小企業に対しても十分、そういうような配慮をしてもらうように努力をいたしたいと思います。
  84. 阿具根登

    ○阿具根登君 最後に、御要望申し上げておきたいと思います。現在のところ生産再開は、通産省の指示によって、やられておりませんが、生産再開等に対しましては、慎重なる点検をしていただきたいと思うし、こういう大災害のあとでございますから、非常な不安をみんな持っておると思うのです。できる限り常駐の監督官現地に置いてもらって、そして不安のないような措置もとっていただきたい、かように思いますし、特に労働大臣にお願いいたしたいと思いますのは、現在は保険金なり退職金なりが幾ばくか未亡人の手元にあると思いますが、それを食いつぶして、いよいよ生活保護等の措置を受けなければならないようなところまで追い込まずに、その前に生活のできるだけの処置を急いでとっていただきますように御要望申し上げまして、私の質問を終わります。
  85. 福田一

    ○国務大臣福田一君) 生産再開、また再開後の一定の期間、これについて非常に不安を持っておるから、格段に注意をして、そして常駐の監督官を置いて、そういうような不安がなくなるような配慮をしていけ、こういう御趣旨かと存ずるのでありますけれども、御趣旨ごもっともと思いますので、十分配慮をいたしたいと考えます。
  86. 鈴木強

    鈴木強君 関連。一つだけですけれどもね。今度の三池の問題に関連する点もあると思うのですけれども出炭との関係で非常に石炭の値上がりということが市場で言われているわけですね。こういうものが、どの程度なのか、あなた方のほうで明らかになっておったら、最近の石炭の値上がりというのはどの程度であるか、その点がわかっておったら聞きたいし、それからそういう点について、通産省として何か値上がりに対する手を打つかどうかですね、その点をひとつ伺いたい。  それから田原鉱山保安局長は、先ほど阿具根委員の甲種炭鉱における災害の件数等について、三十四年以降のことについては資料はないと言って、あなた引き下がったんですけれどもね、まことに無責任な回答ですよ。ないならないで、いつごろ出すんだ、そういう点を明らかにしてもらわないと困るから、これは委員長のほうで、いま、できないようですから、後ほど阿具根委員質問の資料をわれわれ委員に配っていただくように、これはひとつ厳重にお願いをしておきます。
  87. 福田一

    ○国務大臣福田一君) この爆発によりまして、ある程度、こればかりではありませんが、石炭の生産がいわゆる需要に追いつけない面があるように見受けられますが、これに対する手当は、十分、量自体に対する手当ということも考えなければいけない。それからまた、今仰せになったように価格の問題についても非常に高騰するというようなことであっては、これは困るのでありまして、今のところは、私の見るところでは、それほど大きく高騰はしておらないように考えております。まあ三千円について百円とか二百円くらいの高騰は、ところによってあるやに見られますが、もちろんこれは大きい高騰ではありません。  しかし、石炭自体が、非常に安い値にあったことは御承知のとおりでありますので、まあそれくらいのところまでならば、あまり値を押えないほうがあるいはいいのじゃないかという感じもいたしておりますが、十分値段の問題もよく注意をいたしまして、しかるべく措置をとりたいと思っております。
  88. 田原正邦

    説明員田原正邦君) 今仰せの甲種炭鉱爆発の点につきましては、すぐに資料を作りまして、あす皆さんのほうに配布いたしたいと思います。
  89. 田畑金光

    田畑金光君 席をはずしたりしておりましたので若干重複する点もあるかもしれませんが、限られた時間でもありますので簡潔にお尋ねしたいと思います。  まず最初にお尋ねしたいのは、九州大学の山田教授を長とする政府任命の原因探究の調査団がすでに発足して二十日を経過いたしておりますが、現在、どういう程度の作業になっておるのか。と申しますのは、先般の石炭特別委員会におきましても、この種事故については、災害原因探究のうちに、いつの間にかはっきりしないままに終わる危険が非常に強いので、この際、責任の所在の明確化とともに、その前提として災害原因の追及をすみやかになさねばならない。これに対しまして、通産大臣も、二週間をめどにして、あるいはそれ以内にできるだけ結論が出るように、結論を出すように激励しておる、こういう御答弁でございましたが、今どのような作業の経過になっておるのか、まずそれをお尋ねします。
  90. 福田一

    ○国務大臣福田一君) 詳しいことは鉱山保安局長から申し述べさせますが、実は私、当初二週間ぐらいでできるものと思って委員会において、そういうふうにお答えしておったのでありますが、まだ実際に爆発して落盤したようなところの落土の取り除きも、十二月一ぱいまでかかるというようなこともあったり、その他の専門的な問題を研究しなければならないというようなことで、いましばらく時間を要するように聞いておるわけでございます。したがって、私の見通しの間違っておったことは、この際おわびをいたさなければなりませんが、事実上、こういう原因というものは、専門的にやはり詳しく間違いのないようにしなければならないので、その調査の結果を待っておるわけであります。ただし、私はその調査の結果が出たから、うやむやにこういう問題を処理しよう、そのために引き延ばす、こういう意図は毛頭ないことをここで申し上げさせていただきます。
  91. 田原正邦

    説明員田原正邦君) お答えいたします。調査団は十三日に現地に集合いたしまして、十九日まで現地調査をいたしました。ところが、一部に崩落個所がございますので、それが、取り分けが終わるまで一時各委員方々が各教室なり実験室に持って帰って、いろいろのサンプルを実験いたした上で、十二月十日以降に再調査を行なう、できるだけ早く結論を出す、こういうことになっております。
  92. 田畑金光

    田畑金光君 取り分け作業が終わって、調査団現地に再度乗り込むのが十二月十日前後だというお話しでございますが、そうしますと原因調査については、どんなに早くても十二月一ぱいかかるやにわれわれは見ておりますがどうでしょうか。ことにその間、先ほどの質問に対する御答弁もあったようでありまするが、その間三池、この三山の保安の問題について現在はどうなっておるのか、あるいはどうなされようとするのか。森本鉱山保安監督局長の御答弁を先ほどお聞きいたしましたが、近く会社のほうから整備計画書が提出される、これを当局が十分検討して結論を出される、こういうお話しでございました。その整備計画書というのは、しからば三川坑については、今調査団が鋭意調査段階であるし、また捜査当局も入っておるとするならば、三川坑の整備計画書の提出というものは、先ほどの森本局長答弁の中に入っておるのかどうか、これを除く宮浦と四ッ山についての整備計画書は近く提出されるということになっておるのか、その辺がはっきりしませんので、ひとつ今後のこの調査団結論がおおよそ出るであろうという見通し、時期はいつなのだろうか、その問題と、今言ったあとの問題について、明確な御答弁を願いたいと思います。
  93. 森本伊佐夫

    説明員森本伊佐夫君) 先ほど御説明申し上げました三池三山の整備計画でございますが、先ほどお答え申し上げましたのは、三川坑を除きます宮浦坑と四ッ山坑についての整備計画でございます。三川坑につきましては、先ほど保安局長説明いたしましたとおり、取り分けにかなりまだ日数を必要といたしますので、その後三川坑の整備計画が出て参りまして、それについて私のほうから詳細な検討を加えて、会社側に必要な指示をする、そういう段取りになると思うのでありますが、時期といたしましては、本年中にはまず無理ではないか、おそらく来年以降になるのではないか、かように考えております。
  94. 田原正邦

    説明員田原正邦君) お答えいたします。調査団調査結果につきましては、取り分けは十二月の十日以降にはできると思いますが、先生方がお持ちになっております実験がいつまでかかるか、ここではっきり十二月一っぱいでできるということは申し上げられませんが、そのくらいにはできるのではないだろうかということだけしか申し上げられません。
  95. 田畑金光

    田畑金光君 そうしますと、通産大臣答弁の中にありましたが、保安の確保が大丈夫だという保証ができる状態にならなければ、生産の再開その他については、政府としてもイエスという返事はやらない、こういうお話でございましたが、その趣旨とするところは、災害を起こした三川坑と、それからもう一つ、そうでない宮浦坑と四ッ山坑については、当然別々の措置を政府としてはとろうという考えだと私は理解いたしましたが、そういう理解でよろしいのかどうか。  さらに整備計画について、保安当局が検討した結果、また戻してさらに注意を与え、補正を要求する、こういうことになろうと思いますが、お話しの整備計画書が、これで大丈夫だという認定がつく場合には、たとえば四ッ山とか宮浦については生産の再開も認めるという趣旨であるのかどうか、このことについて、まずお尋ねしたいと思う。
  96. 福田一

    ○国務大臣福田一君) お答えをいたします。三川坑とほかの二つの坑については、別途の扱いに相なると存じております。もちろんその場合においても、保安ということは十分確保されるという見通しがついた上でのことでありますけれども、いわゆる三川坑と、今申されたほかの二つの宮浦、四ッ山の坑とは、別々に考えて処置をいたしてまいりたい、かように考えております。
  97. 田畑金光

    田畑金光君 もう一度、念のためにお尋ねしたいと思うのですが、鉱山保安局長答弁をお聞きいたしましても、災害を起こした三川坑原因追求その他については、おそらく年内ではむずかしかろうという見通しのようになってきたわけです。当然三川坑については、その災害原因の探求、そうしておおよそどういうところに災害を起こした原因があったかということが把握できましょう。そこに至って、初めて今後の保安の確保の具体的な措置も出てきょうと見るわけです。そういたしますと、当然それは慎重にも慎重を期さねばならぬわけでありまするから、年内ということでなくて、来年にわたってもこの問題については徹底的に原因の探求、そうして今後の保安確保の万全を期した後に整備計画云々が出てくるんだ、その他の二山については、その問題とは切り離して整備計画を検討し、その検討の結果、大丈夫だという保証がつくならば、具体的な生産の問題も出てくるんだ、こういう理解でよろしいわけですか。
  98. 福田一

    ○国務大臣福田一君) お説のとおりに考えております。
  99. 田畑金光

    田畑金光君 臨時災害対策本部というのが現地に置かれて、そうしてまた、現地における作業が一段落をしたということだと思いますが、今度は東京にこれを持ってこられた。現在この本部で取り扱っておられる仕事の内容は、どういうことをやっておられるわけですか。
  100. 新井真一

    説明員(新井真一君) 本部長、いまちょっといらっしゃいませんので、私、副本部長石炭局長でございますが、お答えいたします。二十六日にこちらへ参りまして、中央でやらなければならぬ問題、さらに現状の変動というものを刻々つかむということで、そこで手を打たなければならぬ問題は至急打ってまいりたいと、こう思います。  したがいまして、福岡地方連絡協議会を置き、さらに一番問題のございます医療の問題は、現地で、先ほど本部長が申しましたようなものをつくっております。
  101. 田畑金光

    田畑金光君 中央鉱山保安協議会あるいはまた地方には地方の保安協議会があるわけですね。さらにまた山元にある保安委員会、こういうそれぞれの機関は、この災害が起きてから、どのような活動をしておるのか、これは大事な問題だと思いますが中央鉱山保安協議会は、この災害とともに、どのような角度で問題の取り組み方をしておるのか。山元においても当然保安委員会というものがありまするし、われわれといたしましては従来の三池の山元における保安委員会がりっぱに機能を果たしてきたとはみえない点が感じ受けられますので、この災害勃発と同時に、以後山元の保安委員会は、どういう活動をやってきておるのか。
  102. 田原正邦

    説明員田原正邦君) お答えいたします。中央保安協議会はこの二十七日に開きまして、そうして災害状況について御報告申し上げ、それに関する質疑応答がございました。さらに今後の保安対策について、いかにするかということをわれわれとしても協議会におはかりしなければならない。そのために、一応保安協議会から視察団現地に派遣するということをいたしております。地方の協議会については、またこれを受けておのおの各地方で開催されることと思っております。  なお山元の保安委員会につきましては、こういう災害がありますので、こういう問題を再び起こさないように十分保安委員会を活用して、その趣旨に沿って保安委員会目的を運用するように役所からも指導いたしたいと思っております。
  103. 田畑金光

    田畑金光君 山元の保安委員会は動いているのかどうかということをお尋ねしたわけです。
  104. 田原正邦

    説明員田原正邦君) お答えいたします。山元の保安委員会については、おおむねその趣旨に沿った活動をしていると思っております。
  105. 田畑金光

    田畑金光君 森本局長どうですか。いいですか。
  106. 森本伊佐夫

    説明員森本伊佐夫君) お答えいたします。山元の保安委員会は、現在まで開催はいたしておりません。当局といたしましては、この保安委員会は今後相当重要な運営上の問題もあろうと思いますので早急に開催すべきであるという指導はいたしておりますが、現在のところ、まだ開催の運びにはなってございません。
  107. 田畑金光

    田畑金光君 大臣にお尋ねしたいの  ですが、これはまだ最終的な原因の探求からくる結論が出ていないとすれば答えにくいとは思いますけれども、今まで大臣現地を視察され、あるいはいろいろな資料を見られて検討された範囲で判断された場合に、三池のようなところで、こんな大事故が起きたと  いうのは、これは異常なことだ、まさかこういうようなことが起きぬだろうと考えられていた山で起きたそこで一般論としては、これは何か炭鉱合理化を急ぎすぎた結果が、そのしわ寄せとして保安の面にきて、それが事故の原因になったんじゃなかろうか。これは一般論として、こういう見方というのは当然出てくるわけですし、また、前の委員会で、私はそういう角度から大臣にもお尋ねしたわけです。大臣現地に行かれたし、よく見られてこられたし、また関係機関等からの資料等で十分検討も継続されてこられたと思いますが、この疑問に対して、大臣がいま、どういう所見を持っておられるのか承りたいと思うのです。
  108. 福田一

    ○国務大臣福田一君) 炭鉱のいわゆる合理化といいますか、スクラップ・アンド・ビルドの計画、これによってそれを、その計画を変えなければならないというふうには感じておりませんが、この具体的な原因の点は別といたしましても、やはり保安の問題について、もう少し力を各山とも入れさせる必要がある、という感触はいたしております。現実の原因をまだ把握いたしておりませんので、今ここで具体的に申し上げるわけにはいきませんが、保安要員等はいささか少なくなっていて、それが機械化によって少なくなっておるというようなことで済まされるのかどうか、これは私は、いささか疑問がある、こういうような感触で、この問題を考えているわけでございます。ただ、最終的なお答えは、この際は差し控えさせていただきたいと思っております。
  109. 田畑金光

    田畑金光君 私はその後、いろいろ資料を読んでみましたが、確かに三池の場合は、その争議前と争議後ですか、あるいは合理化前と合理化後といったほうがいいかもしれませんが、災害の比率についても、カーブが若干上昇していることも事実だと、こう思うのです。ただ、大手筋の炭鉱の合理化の進捗状況三池のそれと比べたときに、出炭のカーブの動きであるとか、あるいは合理化の進捗を裏づける人員構成比、坑内の人員の比較、坑内の直接、間接夫の人員比較等々いろいろな角度から見た場合に、三池で起きたことは、三池でこういう状態のもとで、こういう大きな事故が起きたということは、その他の大手の山においても、これは油断にならない、こういうことは当然出てくる結論であろうと考えるわけです。その他の大手の山で、幸い今日事故なくして、設備の第一を誇る三池でこんなことが起きたということは、むしろ大事なことは、合理化そのものの原因のしわ寄せも私は否定はできないと思うが、より以上に山自体の保安に対する注意と申しますか、保安確保についての熱意というものが、やはり相当問題として私は指摘できると、こう思うのです。保安当局がしばしば山に行かれて、巡回、監視監督をなされたその結論が、山元に対して注意、警告がなされているわけです。その警告が完全に守られたのかどうか、守られておるならば、こういう問題を未然に防げたんじゃなかろうか、ベルト坑道炭じん堆積等についても、福岡の鉱山保安当局は注意をされていたと思うのです。それが守られていなかったというところに、私はこのような事故が起きたんじゃなかろうか、こういうように見ておるわけでありますが、特にこれは森本局長にお尋ねしたいことは、あなたのほうで会社に発せられた注意が、巡回監督の結果なされた警告が、ほんとうに実施されていたのかどうか、この実行の保障ということについて、あなた方はどのようになさっておられたのか、そういう面に当局としても遺憾な点はなかったかどうか、これはお尋ねしておきたいと思うのです。
  110. 森本伊佐夫

    説明員森本伊佐夫君) 今次の災害発生いたしました三川坑斜坑に対しまする福岡鉱山保安監督局の監督指導経過を御報告申し上げます。  ことしの四月の二十六日から二十九日まで三川斜坑の人車の性能検査をいたしました。そのときに二十八日付をもちまして、鉱務監督官の監督表による指示をいたしております。さらにその監督表の指示に基づきまして、特に重要な内容につきましては、五月に通達書の形であらためて監督局長名で事態の改善方を指示いたしております。その改善の内容は、原動機座付近の炭じんの清掃、それからベルト・コンベア付近の諸材料あるいは岩石あるいは落炭、そういうようなものを清掃するようにという内容でございます。そういうような通達書に対しまして、六月に会社側から、それに対する改善の実施状況並びに改善の計画書が私のほうに出て参ったのであります。当局といたしまして、内容を十分検討いたしましたところ、会社側が申し出た改善計画あるいは改善の実施状況が完全に守られれば十分であろうという判断をいたしたのでございます。  そういうような状況でございますが、その後三川坑につきましては、六月と十月に巡回監督を実施いたしておりますが、三川斜坑関係の巡回は六月及び十月には実施いたしておりません。と申しますのは、御承知のとおり、三川坑坑内の総延長は約八十キロほどでございまして、特に最近三川坑災害状況は作業場周辺、採炭切り羽の周辺におきまする落盤災害が非常にふえる傾向にございましたので、六月及び十月に巡回させました内容は、そういった作業場周辺の落盤対策炭じん処理対策、そういったような内容について巡回監督を実施するように指示をいたしました関係上、その後三川斜坑に対する巡回監督はいたしておりませんでした。
  111. 田畑金光

    田畑金光君 今の私の質問に対して、それに答えられたわけですかな。私のお尋ねした要旨は、合理化に伴う保安に対するしわ寄せももちろん否定できないと思うが、より以上に合理化と同時に、大事な保安の面において会社側の注意や努力が足りなかったのじゃないか。これが今回の大きな事故に発展したのじゃなかろうか、また福岡の鉱山保安監督局としても、今お話のように、何回か巡回監督して、その中で炭じんの清掃ということをしばしば警告を発しておるわけです。したがって、監督機関も、自分の発した警告について、十分守られているか守られていないかを、かねて監視監督をもっと厳正になされたならば、その面において、このような事故の未然防止ということがもっとできたのじゃなかろうか。私は、そういう意味におきまして、会社当局の保安に対する今日までの努力というものが、やってきた措置というものに大きな欠陥がある、率直に認めなければならぬ。同時に、私は監督機関としても、そういうことを十分に監視監督できなかったところに、監督機関も、反省すべき問題があると思うのだが、その点はどうでしょうかと私は聞いた。
  112. 森本伊佐夫

    説明員森本伊佐夫君) お答えいたします。まず、監督局側から指示いたしました三川斜坑炭じん清掃が、当局で指示いたしましたとおり実行されておったかどうか、その点をまず御報告申し上げたいと思います。三川斜坑炭じん清掃の責任の体制でございますが、斜坑の電気施設は、電気関係の係が実施しております。それからベルト・コンベア関係、それに関する機械付属品、これは機械係のほうで分担いたしております。それからそれ以外の、いわゆる斜道、坑道の側壁、天井、こういうものは保線係のほうで分担しておる。こういうそれぞれの係で分担しておるような体制であったわけですが、これがやはり最大原因の一つを形づくったのではないかという点が考えられるわけでございます。  と申しますのは、結局、それぞれの担当範囲の境界が不明確であった。そのために、そういったような個所は十分な炭じんの清掃が行なわれていなかったのではないかという疑いが非常に強いのでございます。で、さらに電気係が所管いたしております清掃区域は、当局で四月に指示をいたしました後は、一週間に一回程度は清掃をやっていた模様でございますが、その後二週間に一回程度に回数が下がっておった模様でございまして、ケーブル関係炭じんの清掃は、ほとんど行なわれていなかったと認めざるを得ない状況でございます。それから機械係のほうで所管いたしております炭じん清掃の状況でございますが、これは当局で指示いたしました四月以降は、二名を専任に割りつけまして、二週間に一回程度ベルト全体を清掃するというようなことをやっていた模様でございますが、ことしの八月ごろから、そういったような、八月ごろからほかの仕事を兼務させる傾向が強くなった、そのために、そちらのほうの仕事に追われて、炭じんの清掃が行き届かなかった傾向が非常に強くなりまして、災害発生前ごろには、ほとんど炭じんの清掃は行なわれていなかったのではないかという疑問が非常に強くなっておるわけでございます。  それから保線係のほうで所管いたしておりますいわゆる斜道、坑道の側壁、天井、そういったところの炭じんの掃除は、過去の例からみると、あまり多量の炭じんが堆積していなかったというような点もございまして、積極的な清掃は行なっていなかった、そういう状況でございます。  それで、こういうような状況でございましたために、結果的にやはり十分に爆発し得るだけの炭じんが三川斜坑内に堆積した、それが今次の災害の大きな原因を形成したということは、当然考えられることでございますが、現在まだ私のほう、十分調査中でございまして、大体間違いないと思いますが、そういう線で考えておるわけでございます。  さらに四月に当局から指示をいたしました後も、私どものほうで、はたしてこちらが指示したとおり、あるいは会社側のほうから提出してまいりました改善の実施状況、あるいは改善計画が、そのとおり実施されておるかどうか、確認できれば、こういう事故はあるいは防ぎ得たのではないか、この辺は私自身、非常に残念に存じておる次第でございます。
  113. 田畑金光

    田畑金光君 これはこの間の委員会でも、大臣の御答弁やら鉱山保安局長答弁等で明かにはなりましたが、この鉱務監督官の検査に臨む態度についてでございますが、大臣も、さらに鉱山保安局長も、抜き打ち検査が建前だというお話しであったわけです。しかし鉱山保安法を見ますと、三十五条の鉱務監督官の権限を見ますと、抜き打ち検査が原則であるか、あるいは巡回監督が原則であるか等々については、何も規定していないわけです。それはやはりその監督官の数だとか、あるいは調査対象の山の条件であるとか、いろいろな諸条件の顧慮の中から、抜き打ちでいくか巡回でいくかというようなことが、本筋じゃなかろうかという感じも、私実は現地に参りまして、特に現地の今おいでになる森本鉱山保安監督局長から、今日までどういう調査をなされたのかと、こうお聞きしたところが、抜き打ち検査で行ってみても、結局悪いところは、注意しても直してくれるかというと、なかなかそれは思うように直してくれない。むしろあらかじめいついつに行くぞということにすると、監督官が来るというので、あらゆる困難を、中小炭鉱においては特にそうでしょうが、乗り越えて、まあまあ保安にパスできるような条件を整える、どっちがいいだろうかというようなことで、いろいろ協議検討の結果が、巡回監督が今の情勢のもとではより適切であろう、こういうことで、巡回監督をやっていたんだ、こういう森本局長からの説明専門家から、そういう話を聞くと、なるほどそうかなという感じも受けるわけです。  そこで今度のこういう大きな事故を契機に通産大臣も鉱山保安局長も、監督官の検査はこれから抜き打ち検査だと、こういう方針で臨むということをきめられたそうで、それはそれでけっこうだと思うのです。問題は、そうなさるならば、それに伴う監督官の数の問題とか、給与、旅費その他の諸条件を考えてやるとか、いろいろな問題が整わないと、私はやはり、とうり一ぺんのきめ方に終わってしまうんじゃなかろうか、こういう疑問を現地調査した結果持っておるわけですが、この点については、大臣は今どういう心境であり、今後どのような指導をなされようとするのか、明らかにしていただきたいと思うのです。
  114. 福田一

    ○国務大臣福田一君) その問題について、この前の委員会で私お答えいたしましたのは、言葉づかいがといいますか、いささかちょっと違っておったように思うのでありまして、もし誤解を招くようであれば取り消さしていただきたいと思いますが、抜き打ち検査という意味を申し上げたのは、いわゆる会社とのなれ合いのような形になることは、これは厳重に防がなければいけないのだ、そういう意味で、いわゆる会社と常に連絡をとるような形においてやると、いわゆるなあなあというような検査になってしまうので、そういうことがないようにしなければならないという意味で私は申し上げたわけでありますが、実際の監督のやり方としては、森本鉱山保安監督局長が言うておりますように、定時でやったほうが効果が上がる場合があり得ると思うのであります。しかし、定時でやろうが、たとえばそういうことを抜き打ちでやろうが、いわゆる徹底した監督をしなければ、ほんとうに意味がないので、定時でやっても定時でなくやっても、そのときに会社側と、いささかでもなれ合いのような感触をもってやっては私はいけないと思うのであります。  そこで、なぜこういうことが起こるかというので、いろいろ考えてみたところでありますが、結局は、私のほうで旅費その他の面等についても、十分な配慮をやらなければならない面があるんじゃないか。いささかそういう経費の面もそれから人数の面等において、この際とりあえずとして合理化をし、また改善をしていくべきではないかというようなことも考えまして、ただいまその点については、事務当局にそれを実は命じておるわけです。たとえば具体的に申し上げますと、お茶一ぱい会社の人と飲んでも、たとえ監督は厳重にやったんだけれども、お茶を飲んだために、あれはなあなあでやったんだというような誤解を受けさせることは、これはまた監督官にとって、まことに気の毒だと思うのであります。また会社も、それは本意でないと思うのであります。そういうことはないようにしていくことが私は絶対に必要だと思います。はたしてそれにふさわしいような予算的措置をとっておるかどうかということについては十分研究をし、必要とあれば増額を要求するつもりで、いま検討さしておるところであります。
  115. 田畑金光

    田畑金光君 私は時間がございませんので、これ以上その他の問題に触れることができませんが、ただ私は気持として、また希望として申し上げたいことは、やはり検査については、抜き打ちを原則とするが、巡回監督のよさも、やはり長い経験の結果、あることはこれは認めざるを得ぬと思うのです。まあ両々相まって、ひとつ、監督行政の完全を期していただきたい。さらにまた、今、大臣お話しのとおり、保安監督官の処遇の改善等については、先般、保安監督部を、福岡、札幌については局に昇格させ、あるいは派遣班を保安監督署に昇格させる。その他の面においても、改善の努力はなされておるが、こういう面において、まだまだ、これは不十分、不徹底の面もあると私は見るわけです。  ことに、私が遺憾に思ったことは、この間、大臣現地を視察されて、新聞記者との、談話ですか、発表ですか、その中に、災害原因について、なれ合い検査の結果だと、こういうような記事が出ておるわけですね。大臣の言わんすることは、いまお話しのように、しかし、いま釈明されても、よく、私にもわかりませんけれども、なれ合い検査ということの意味は、こうだというお話しですが、それが新聞記事に載りますと、なお一そう、これは誤解を受けると、こう思うのです。監督官が、全部なれ合い検査をやっておるのだというお話しでは、士気に影響をする面も大きいのじゃなかろうかと、私は新聞現地で読んで、そんな感じを受けるわけです。これは、そういう趣旨でなかったとするならば、けっこうでありまするが、要するに、私は、今度の事故を見て、現地を見て、聞いて歩いて感じさせられたことは、やはり今回の大きな事故については、保安の第一の責任は、当然、会社側が負わなければならぬ。同時にまた、しばしば適当な警告を発しながら、その実行について、十分、監督行政の面において徹底できなかった点においては、保安当局としても、みずから反省してもらわなくちゃならぬ。そのことを、私は強く訴えておきたいと思うのです。  そしてこれらの問題が処理されるならば、三つの山をつぶすならば、とにかく、あのベルトの山を、今後、再建し、あるいはあの山を、今後、わが国の石炭産業における重要な地位を確保していくにふさわしい山として、これを育てていくためには、しかるべき諸般の施策を、今後とも、積極的に進めていただきたい。  遺族の補償の問題等についても、われわれが関知する問題じゃございませんが、会社が、特別に、この遺族の補償についてはめんどうをみるということで、組合側と会社側との間に、話は継続しているように聞いております。こういう問題等についても、やはり異常な災害による異常な措置を、この際、会社がとるのも、これは当然のことと考えますから、そういう運用の面等については、政府も、積極的な、ひとつ、手を打っていただきたい、このことを強く希望して最後に申し上げておきたいと思います。
  116. 福田一

    ○国務大臣福田一君) ただいまの御要望については、十分御趣旨に沿うように処置をいたしてまいりたいと思います。
  117. 石田次男

    石田次男君 今の時点におきまして、調査団からまだ原因の発表をする段階でない、調査中であるということでありますが、炭車の暴走を中心として炭じん爆発であることはほぼ間違いないと思います。そうすると炭じんが問題になるわけですね。これについて、炭じんを清掃するとか、あるいはその付近の諸設備の保安に当たるとか、そういう保安要員というものが、当然大きい影響を持っておるはずであります。でこの三川坑について、保安要員は人数の最大時、何人これに当たっておったか、また最近は何人で、どの程度のことをやっておったか、重複するかもしれませんが、その点をお尋ねいたします。
  118. 森本伊佐夫

    説明員森本伊佐夫君) 三池炭鉱の保安要員の推移をお答え申し上げますが……。
  119. 石田次男

    石田次男君 三川坑だけでけっこうです。
  120. 森本伊佐夫

    説明員森本伊佐夫君) 三川坑の保安要員でございますが、ただいま正確な数字は実はございませんけれども災害発生いたしました直前の保安要員の状況でございますが、この保安要員の定義が、若干むずかしい点がございますけれども、いわゆる注油関係、それからベルトの運転の状況の監視状態、そういうものを含めまして、これを保安要員と定義いたしますと、上一番方で二十二名の在籍、それから二番方、三番方で六名ずつ程度と私考えております。これは在籍数でございますので、実際にどの程度出稼しておったかは、申しわけございませんが、今手もとにございませんのでさっそく調査はいたします。その中の純粋な保安要員でございますが、これは三川坑の場合は、一応炭じんの掃除、これが保安要員としては一番大事な仕事でございます。炭じん清掃に関する要員は、災害発生いたします直前、事実上ほとんど清掃という名前はございましても、現実問題としては、ほかの作業と兼務をしておりました関係上、事実上清掃は行なわれていなかったというふうに私どもは判断いたしておるわけでございます。
  121. 石田次男

    石田次男君 その点が問題なんです。この前石炭委員会質問したときに、何かこの保安要員がどのくらい入っておったか、どの程度の作業をしておったか、全然通産省のほうでわかっていないのです。それで、あとでデータを出していただきたい、とう申し上げて承知しましたということでありましたが、今日に至るまで出ていないのです。で、大事なデータを要求した場合、こうして二週間も三週間も放置して、承知しましたという返事だけで、それであとは知らぬふりをしておる、こういう状態でいいんですかね。速記を見直して下さいよ。
  122. 田原正邦

    説明員田原正邦君) お答えいたします。もしも保安要員というものを間接夫ということで考えますと、坑内で働かない、直接夫、間接夫と、こういうふうに分けまして、間接夫ということの中に、保安要員が入っている。そういうふうに考えますと、三十四年には千六百人おりました。三十八年は八百八十一人、三川坑全体でなっております。それから第一斜坑、今度の問題の第一斜坑関係の間接夫、これも間接夫ばかりでございますが、これが三十四年は在籍で七十五人おりましたのが、三十八年には二十四人になっております。
  123. 石田次男

    石田次男君 今申し上げたのは、この前の石炭対策委員会で資料の要求をしているわけですよ。承知しました、出しましょうと言っているんです。それは田原さんですよ、承知しましたと言っているのは。今日まで、なぜ出さぬかということです。委員会というのは、国民全体の前で正々堂々とやっている委員会ですよ。返事ばかりして、要求した資料を出さぬ。そういう委員会を軽視するような政府のいき方、そういうのがあちこちに出ているんです。だから、三池のほうを調べてみましても、通産関係でやっているということは、ほんとの形式ばかりなんですよ。国会のほうでも形式、現地調査も形式。一体、何やっているかというんです。これをひとつ、大臣からお答え願います。
  124. 福田一

    ○国務大臣福田一君) ただいま資料の点については、係りの者がそういうお約束をいたしておるのに出していないとすれば遺憾でございます。今後十分注意をいたさせたいと存じます。そのほかの現地の問題について、全部そうであるという、それは私は、そういうようには考えておりません。一生懸命やらしておるつもりでございます。
  125. 石田次男

    石田次男君 現地の保安監督については、そうじゃないという大臣のお返事でしたが、ぼつぼつ内容に入ると、そうではなくなってくるんです。  この三川坑炭じんの清掃関係については一方八人でやっておったですね。これが専門にそれをやっておったんではなくて、今返事があったとおりに、ほかの仕事を受け持っておる。しかもどの程度の責任を持ってやれというはっきりした指示も受けずに慢然と、ただおまえの分担はこれだ、仕事はこれだ、さあやってこいよと、こういう調子でもって、炭じん清掃係という、名前だけでやっているわけですよ。じゃあ具体的に、一日どれくらいの掃除をしたとか、これくらいの仕事をせいよとか、そういう具体的な指示は一つも受けてない。ですから、それは名前は確かに、そういった清掃係かもしれませんけれども、仕事の内容については、どこまでやっているか、だれも把握してないんです。どの程度の仕事をしておるのか、だれもそれについて責任を持っていないんですよ。だから、こんな事故が起こる。その点については監督署のほうでは、どういうふうに監督していたんですか。
  126. 森本伊佐夫

    説明員森本伊佐夫君) お答えいたします。三川坑斜坑炭じん清掃の問題につきましては、本年の四月に監督官現地に参りまして調査の結果、監督表によって指示をいたしました。さらにその内容の中で、特に重要なものを監督局長名で通達書の交付という形で指示をいたしまして、その改善の実施状況、それから改善の計画につきまして、会社側から申し出がございました。私のほうで、一応この内容を検討いたしました結果、会社側から申し出のございました内容どおり確実に実施されれば、炭じんの清掃はできるという判断をいたしたわけでございますが、その後私のほうから、はたして会社がそういう改善の内容につきまして、計画どおり実施しているかどうかという点を確認できなかったことにつきましては、十分反省いたしたいと思っておるわけであります。今後は、そういうことのないように十分気をつけてやりたいと考えております。
  127. 石田次男

    石田次男君 いまお答えを大臣はお聞きと思いますが、これも形式的じゃないですか。明らかに、こういう大事故ができるまで長い間、今森本局長から説明のあったとおりなのです。それでも、いままで通産省でやっておったことは形式的でなかったと断言できますか。
  128. 福田一

    ○国務大臣福田一君) 私が申し上げたのは、すべてが形式的であったということではないということでありまして、いまのような面において、今後十分注意すべき面もあることと存じております。
  129. 石田次男

    石田次男君 今度参議院から視察に参りまして各方面の方にお会いしてお話を聞いたわけでありますが、職員組合のほうの話しによりますと、三川坑の条件は、他の鉱山に比べて圧倒的にいい、とうてい事故が考えられる条件ではない、あらゆる角度からみて、現在においてもといっておりました。現在においても、ここは日本一条件がいいんだ、そうすると全国のあらゆる炭鉱は、これより悪いということですね。そうなれば。いつ大災害発生するかもしれない可能性を各炭鉱が持っている、こう考えざるを得ないのですけれども、その点は、当局ではどう考えましょうか。
  130. 田原正邦

    説明員田原正邦君) お答えいたします。三池炭鉱は確かに設備の上では、非常に優秀な設備の炭鉱でございますが、保安の管理、その他の面につきましては、必ずしもいい条件であったとは思われません。それで私のほうでは、特に七月、八月から重大災害が続発いたしておりましたので、十月に保安局長名で三井鉱山の社長あてに異例な警告を発しておったのでございます。そして福岡鉱山保安監督局あて厳重なる監督を指示いたしておったのでございます。そして福岡鉱山保安監督局はそれを受けて、十一月に一斉検査をやる予定になっておったようでございます。
  131. 石田次男

    石田次男君 今までの坑内の検査は、先ほどもお話があったと思いますが、所長が入坑するとき、月一回だけ会社側は大きな掃除をやって、あとは投げやりです。実情がそうなっておったということを、監督署のほうであらかじめ知っておりましたのですか。その点はいかがですか。これはどこへ聞いても同じですよ。
  132. 森本伊佐夫

    説明員森本伊佐夫君) お答えいたします。その点につきましては、私まだ報告を受けておりませんので、至急報告を受けて内容検討をいたしたいと思います。
  133. 石田次男

    石田次男君 報告を受けてないというのはおかしいですね。森本さんは現地へ行っていたんでしょう。福岡でも会ったじゃないですか。あなたから詳しく私自身で説明を伺いました。そのときにも、これをにおわせた話をあなたがしていらした。報告を受けているかいないかという問題じゃなくて、あなた方の真相究明のこれは熱意の問題じゃないですか。当然担当で検査しておった。それはあなた方の専門の係ですよ。これが、今国会でまだ報告を受けていないからお返事できませんと、そう言える段階なんですか、今日。もう少し責任持った返答してもらいたいですね。
  134. 森本伊佐夫

    説明員森本伊佐夫君) 署長が坑内に入るときだけしか坑内の整備をしない、大掃除をしないというその事実を知っているかという御質問のように受けたのでございますが、はっきりそういう報告を受けた記憶がございませんので、再度調査をお許しいただきたいと思います。
  135. 石田次男

    石田次男君 それは爆発するまでは、そういう報告は受けてなくてもやむを得ないですよ。しかし、爆発したのはいつですか。九日でしょう。今日は月末ですよ。しかも現地調査団が行き、あなた方も調べているじゃないですか。それでなおかつ、どの程度のことをやっておったか、あらましのことを調べがつかないようでは、何をやってたんです、現地で。
  136. 森本伊佐夫

    説明員森本伊佐夫君) 災害発生いたしました後は、私自身も坑内に入坑いたしまして、災害現場を詳細に調査をいたしまして、もちろん関係監督官も、三川坑災害に関しまして入坑捜査をいたしまして、現在もなお、それを続けておるわけでございますが、三川坑はもちろんでございますが、それ以外の宮浦坑、それから四ッ山坑は現在休業の状態でございまして、坑内の整備をいたしておるわけでございますが、この坑内の整備が一応完全にでき上がった場合に、監督官坑内に入坑いたしまして、その整備状況が完全であるかどうかという点を調査いたす予定にいたしております。
  137. 石田次男

    石田次男君 この点は森本さんだけ追及してもかわいそうですから、森本さん追及するのはやめますけれども大臣お聞きのとおりです。これでも形式的じゃないですか。事故発生後の調査さえ形式的じゃないですか。  次に岩粉のことです。岩粉散布はしていましたか。組合の言い分によると、明らかに岩粉散布はしておらない。これは大牟田の市役所ではっきり言っておりました。調査団の前ではっきり言い切っていました。次に切り羽には岩粉だながなくなったというのです。前にあったものがなくなったというのです。これは鉱山保安規則の上から、規則に照らしてみれば、どういうふうになりますか。これは適法かどうか。あるいは法そのものには触れなくても、監督する側からみて好ましいか、好ましくないか。その点、はっきりしていただきたいと思います。
  138. 森本伊佐夫

    説明員森本伊佐夫君) お答え申し上げます。三川坑災害発生当時は乙種の指定炭鉱でございまして、乙種炭鉱に格づけされております関係上、三川坑に関しましては条文上岩粉散布あるいは岩粉だなの設置については、条文上は必要がないという形になっておりました。しかしこういったような災害発生いたしました以上は、当然今後は、そういう甲種に準ずるような岩粉散布あるいは岩粉だなの設置、そういう条文の強化をする必要は当然あり得ると現在は考えておる次第でございます。
  139. 石田次男

    石田次男君 保安に関しては、保安規則もあるわけですよ。法律や規則というものは、これは問題の下限をきめているものでしてね。上限ではないということはだれでも常識ですよ。ですから、規則というもののこの性格上、おおまかな全国に共通する線がきまっているのであって、一つの鉱山自体の実情に合わしたその基準、これは会社でも持っていなければならぬものだし、監督署のほうでも持っていなければならぬものです。この点は、この前もお伺いしましたけれども、これについて、この前のお答えは具体的なものはないとおっしゃっておりましたが、しかし会社のほうでは、あると言っている。会社のほうではある。検査のほうとしては基準はない。いままでは、こういう状態でやってきたのじゃないですか。
  140. 森本伊佐夫

    説明員森本伊佐夫君) 基準の問題でございますが、炭じん関係石炭炭鉱を甲種と乙種に区分いたします基準は、通産省の告示できめられておりまして、一作業時間炭じん発生量が三キログラム以上、または出炭トン当たり五十グラム以上の炭じん発生する坑内は甲種に指定されるということで、そういう坑内については、かなり詳細な条文上の規制がございますので、ただいまも申し上げました基準に達しない坑内につきましては、多量の炭じんを堆積させてはいけない。掃除をしなければいけないという二条文しかないのでございます。  もう一つの基準の問題でございますが、ただいま申し上げましたのは炭じん発生量の基準でございまして、問題は発生量の基準よりも災害と直接関係がございますのは、むしろ堆積量の基準であると私は考えるものでございます。この炭じんの堆積量の基準につきましては、ずいぶん以前から検討はされてまいったんでございますが、的確な堆積基準は現在のところ、まだはっきりできておりませんし、外国の例もずいぶん検討を加えたのでございますが、外国にも適当な基準はまだないということでございます。しかし、この堆積基準を何とか早くきめませんと、今後こういったような災害を防いでいくためには、何とかこういう基準をきめて、それによって監督、指導を強化していくという以外に方法はないのじゃないかというような感じもいたしておりますし、通産大臣からも、この基準は早急に検討して作るようにという非常に強い御指示もございますので、あまりむずかしく考え過ぎないで、絶えず考え得る基準、将来そういった基準をだんだんいいものに作り上げて、あまり最初から完全な基準を作るというところに問題があると考えられますので、とりあえず普遍的な基準を作り、それによって監督を強化いたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  141. 石田次男

    石田次男君 通産大臣は別な会議出席なさるそうですから、二、三、大事な点だけをお伺いしておきます。  次に、二つ一緒にお伺いいたしますが、保安監督官が今まで検査に行く場合通告して行っておった。それに対して大臣が抜き打ち検査でいくべきだと。この問題は田原さんから出ましたけれども、問題は、その三井の海運クラブあたりでいい加減な接待を受けて帰ってくるあの風習ですね、これは三井だけでない、筑豊の山に行けば常識化している。中に入れやしない。今のは保安監督のほうですが、労働基準監督のほうもそうなんです。特にひどいのは田川ですよ、糒炭鉱あたりで、どの程度過重労働をやっておるか、おそらく御存じないでしょう。御存じないと思いましたから、私のほうから労働省には、こういう内容があるから調べておいてくれといって、前もって教えておいたはずですけれども、まず十二時間あの中に入っているのが普通ですよ。ひどいときには十五時間入っています。そうして、あのカードのほうには、ちゃんと十時間と記入になっている。監督官会社へ行ってカードをめくって、それで帰って来るだけです。これで一体監督になるかと言うのです。お前、でたらめなことを言うなと言うなら私は証人を連れて来ます。会社を解雇になるのを承知で証人に立ちたい人がおります、相当数おりますから、だから、通産省のほうといい、労働省のほうといい、どっちでも形式的なんです、やっていることが。そういうことで災害が防げますか、一体。だから、さっきから形式的々々々と言うのはそれなんです。大臣は、ある点については形式的な面があるかもしれぬが、全体はそうじゃないと言いますけれども、全体的にそうなんです。大臣が知らないだけだ。
  142. 福田一

    ○国務大臣福田一君) そういう事実があるとすれば、はなはだ遺憾に考えておるのでありますが、しかし、まあ今そういう事実は、たとえ一部にあったといたしましても、それが全部の人であるかどうか、また監督自体の内容についても、やはりいろいろ監督の面がたくさんあると思うのでありまして、そういうような、はなはだ遺憾な面については、今後十分直さなければいけない。で、それが私がやはりそういううわさ、うわさと言ったらあなたからお叱りを受けるかもしれないが、お話があるから、なれ合いのなあなあの監督をしてはいけないと言っているわけです。私自身も、そういうことが一部あるのじゃないかということを心配しておるから、そういう発言をしておる。今後は十分、そういうことがないようにさせなければいけないと、かように考えております。
  143. 大橋武夫

    ○国務大臣大橋武夫君) 基準監督の実情につきましては、どういうふうにやっておるか、基準局長から実情をお答え申し上げます。
  144. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) 炭鉱に対しまする労働基準監督官の監督は、御承知のように、労働時間とか賃金とか就業年齢の制限とかいったような、保安以外の各種の問題がございまするが、監督を実施する場合には、監督官執務規程におきまして、労働省としましては、所属長が啓蒙指導目的で必要があると認めた場合を除き、監督官はその監督を事前に使用者に通告してはならないということにいたしております。これは御承知のとおり、たとえば深夜業とか、あるいは就業年齢制限といったような問題を事前に通告したのでは全く監督の意味がございませんので、たとえば健康診断とか、あるいほそういう特殊な抜き打ちでなくても十分事情、実態把握ができるというものを除きましては、一般に抜き打ち監督をしなければ効果があがらぬというものが多うございまして、ただいま申し上げましたような事項を監督官執務規範の中に定めまして、そのように執務を行なわしておるところでございます。  なお補炭鉱等におきまして長時間労働、十二時間といったような長時間労働が行なわれておるではないか、こういうような御指摘もございましたが、労働時間問題につきましては、炭鉱における一番重要な問題であるというのにかんがみまして、坑内労働監督の場合の最重点にしておるわけでございますけれども、糒炭鉱の例につきましては、実は今回十九日に、基準局長名で石炭関係局に指令を出しまして、翌日二十日から二十二日まで一斉に監督をさせたのでございますが、これは文字どおり一般に漏れるのを防ぎまして、電話で十九日に連絡をして二十日にやらしたと、こういうようなことでございますので、糒炭鉱の場合につきましては、実は特に注意をいたして監督をさせておりますが、今のところ十二時間といったような長時間労働についての報告はございませんので、ただいまの御指摘にもございましたので、さらに二十日から二十二日にわたりまして監督しました結果に基づきまして監督指導をいたしたいと、このように考える次第でございます。
  145. 石田次男

    石田次男君 今、大牟田の話をしている最中で、補炭鉱のほうへ話を広げたくないのですけれども、二十日に調べて、十二時間以上の労働をしてないというのは、つまり十時間以上入ってないというのは、確言できますか。この前、大葉山炭鉱の場合、最初は何だ、かんだと言いながら、結局は私の言ったとおりなっちゃったじゃないか。しら切るなら私証拠出しますよ、いいですか。
  146. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) ただいまの点につきましては、過日、石炭対策特別委員会におきましても、私から御答弁申し上げたのでございますが、坑内労働につきましては八時間プラス二時間という、いわゆる十時間が法定の最大限になっておるわけであります。そういう点から、たとえ協定を結んでも、それ以上の時間延長はできない、こういう建前から監督をいたしておるわけでございます。ただ、この前申し上げましたように、相当人数の入出坑におきましては、炭車の配車計画等の関係がありまして若干の時間的出入りがあるように承っておりますけれども、常態として、そういった長時間労働、これは絶対許さるべきものではございません。そういった点から監督を厳にいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  147. 石田次男

    石田次男君 事実があったかなかったか、はっきりして下さい、もう一回。
  148. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) 過去の監督の結果を見ましても、違反の事実はございます。ゼロということはございません。若干の違反があり遺憾であるということが、この前の石炭特別委員会で申し上げたところでございます。ただ、特定の事業場につきまして御指摘がありましたので、関連して申し上げるわけでございますけれども、若干の違反がございますので、その点につきましては、再度申し上げまして恐縮でございますけれども、監督を厳にいたします。
  149. 石田次男

    石田次男君 だんだん追及していくと答弁が変わるんですよ。これについてはこの前あなた方に資料を要求しまして、これだけのものをもらっているんです。そのために内容をはっきり言って、それで調べたらどうかと申し上げたんですよね。委員会の席だから、あまりまずいことは言いたくない、そういうつもりの答弁だったら、それは国民を愚弄するものです。むしろこういう席で、はっきり言ったらどうですか。大牟田の問題が中心ですから、この次にしますけれども、明らかに最低十二時間ですよ。最高十五時間ですよ。それがうそだと言うんだったら、私鉱員の口述書を持ってきます。いつ、だれが、何時から入って何時に出てきたか、五人や十人の口述書はすぐ集まりますよ。あまりものごとを隠したような答弁はなさらぬほうがいいと思います。この次に、はっきりしましよう。  もとへ戻ります。災害のあった当時には、宮浦坑の送風機は使っておらなかったのですね。これは会社のほうの説明は一応聞きましたですがね。いつでも始動できるような態勢になっていなかったところに一つ問題がありゃせぬかと思うのです。御存じのとおり三川坑のほうから風を入れておる。爆発が起こったんです。あれは爆発が起こったのに風を入れるものですから、一酸化炭素がずっと中に回っているんですよね。もしあの際に機敏な処置をとって、中で幕を掛けるか、何かつるかして一応の遮断をして、宮浦のほうのポンプを動かしたら、あれだけの死人は出ない。それについては、宮浦坑のほうの送風機が止まっておった。これは監督署のほうで、重々御承知だったと思うのです。そして、これは署のほうで、それを認めていらしたのかどうか、その点をはっきりお願いしたいと思うのです。
  150. 森本伊佐夫

    説明員森本伊佐夫君) 宮浦の扇風機はあの当時は運転していなかったように記憶いたしております。あれを運転いたしました場合に、一酸化炭素によります被害がより少なくて済んだかどうかという点でございますが、この点は現在関係者の供述をとりまして、いろいろ監督官のほうで現在調査をいたしておりますので、この席でははっきり、そのほうがよかったかどうかにつきましてもお答えできる段階でございませんので、お許しいただきたいと思います。
  151. 石田次男

    石田次男君 きょうは勘弁してくれということですから、打ち切ります。  次に、現在福岡の県警が聞き込み捜査をやっておるのですね。何の関係で聞き込み捜査していらっしゃるか、それは私わかりませんが、目的は何であるか、警察のほうにおわかりでしたら、また、発表できるものでしたら言っていただきたいと思うのです。これについて警察官が炭住のほうを捜査に回ったのですよ。そうしたら、炭住で有線放送があります。で、警察から聞き込み捜査に来ておるから答えるなという放送なんです。もしも聞かれたことがあったら、全部組合へ行って聞いてくれ、そういうふうに答えろという放送をしておったのです。これについては警察のほうではどうお考えになりますか。
  152. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 日原刑事局長、見えていますか。
  153. 日原正雄

    説明員(日原正雄君) 今回の事件につきましては、徹底的に原因を追及するということで、現在各方面の捜査を続けております。なお、機械その他、専門的な事項もございますので、鑑定人なども依頼いたしまして捜査をいたしておりますが、まだ結論を得ておりません。ただいまの聞き込みについての点につきましては、私まだ具体的な報告を受けておりません。御了承を願いたいと思います。
  154. 石田次男

    石田次男君 まだ報告も受けておらんから返事をしたくないということですけれども、じゃ、その報告をお求めになったらいかがですか。求める意思があるかないか、それを伺っておきましよう。
  155. 日原正雄

    説明員(日原正雄君) 報告をとりましてまとめたいと思います。
  156. 石田次男

    石田次男君 じゃ、これも次回回しになりましたな。  次は、自衛隊にお伺いします。十日の日に、久留米の自衛隊が救援作業のために現場に行っております。これは当然県のほうから要請があったからいらしたに違いないのです。だいぶおそく来たのですがね。ずいぶん働いていらっしゃいました。ところが、当日の午後五時に一斉に引き上げてしまっております。まだ救援作業が残っていたのです。残されたあとは、もうくたびれきった組合員の人たちが、くたびれたからだにむち打ってやっていたのですね。それが五時に引き上げたというのを私は確認しています。だから、この点については、この前お聞きしたら、まだそれについては、全然状況をキャッチしておらんから返事できぬ、こういうお話しでございました。この前質問は出しておったのです。だから、今日では、その辺の事情ははっきりわかっているはずですから、きょうこそ明確にお答え願いたいと思います。
  157. 久保卓也

    説明員(久保卓也君) 現地からの報告では、十日の午後七時二十分会社及び県のほうと協議をして引き揚げたというふうに私ども報告を受けております。
  158. 石田次男

    石田次男君 午後七時といえば十九時ですが、十九時じゃありません。十七時なんです。引き揚げたのは午後五時です。これは現地に行ってごらんなさい、はっきりわかります。あなたの報告は十九時ですか。間違いありませんか。
  159. 久保卓也

    説明員(久保卓也君) 自衛隊は独自の見解だけでは引き揚げておりません。いずれの災害におきましても、自分かってには引き揚げておりません。地元と十分協議をして引き揚げております。そこで、時間は私ども報告を受けておりますが、あるいは間違っておるかどうかわかりませんが、午後七時二十分ということになっております。
  160. 石田次男

    石田次男君 引き揚げるというのを、どこに基準を置いて言っていらっしゃるのかわかりませんが、作業を打ち切って現場から離れたのは午後の五時、これは鉱夫の諸君からよく聞いてみればわかります。その点について、どこを基準にして十七時二十分とおっしゃっているのか、私はわかりません。若干食い違いがありますね。  問題点は、まだ作業が残っておったのに、当然なすべきことが残っておったのに、隊をまとめて帰ってしまったという点に問題があると思うのです。あれで帰ってしまったら、あと残って救援に当たるべき人は、くたびれた組合員の人だけしかいない。それはどこにいったって、だれが考えたってわかる。それをどこでどういうふうに相談をまとめて、それで県知事の話かなにか知りませんが、県知県はあのときいませんでした。副知事しかいないはずです。どこでどう話をまとめたか知らぬけれども、上で話がまとまったからといって、みすみす現場で仕事が残っているのを承知の上で、それで引き揚げさしたという点が、救援に対する当局の誠意の問題だと思います。その点についてはどうお考えになりますか。
  161. 久保卓也

    説明員(久保卓也君) 災害派遣は常に要請権者、すなわちこの場合でありますれば県知事でありますが、県知事の要請に基づいて出動し、要請に基づいて撤収することになっております。今までの事例におきまして、地元側で、すなわち要請権者のほうで、まだ災害派遣をやってほしいというにもかかわらず、自衛隊の見解だけで撤収したということは、私はまだ聞いておりません。したがいまして、あるいは御要望があったのかもしれませんが、要請権者、この場合は私はまだ具体的にだれであったか存じませんが、知事名で撤収したものと考えております。
  162. 石田次男

    石田次男君 事情はあなたの言ったとおりです。だが、それでいいのかと聞いている。救援に行った者が何で救援しないのかと聞いている。私どもは、県知事が要請をして、県知事が帰ってくださいと言ったら帰る、それが機械的じゃないかと言っている。役所のやることはみんなそうなんですよ。事情は、会社自分たちのメンツにかかわるものだから早くお引き取りくださいと言ったのですよ。それを県知事と防衛庁のほうがそのままうのみにして、作業の有無ということは全然考えずに、さようしからばといって引き揚げたのですよ。そんな救援というものがあるかと聞いておる。法律問題じゃないよ。
  163. 久保卓也

    説明員(久保卓也君) 今の問題は、やはり建前の問題でありまして、場合によってある部分の方は災害派遣を続けてほしい、あるものはやめてほしいという方がありました場合に、これを自主的に防衛庁側、すなわち自衛隊で判断するわけに参りません。やはり法的には、要請権者のほうとの話し合いで進めるという建前になっておるものですから、もし御要望のようであれば、今の建前を変えるほかしかたがないのじゃないかと私は考えます。
  164. 石田次男

    石田次男君 じゃ、聞きますが、まだ作業が残っておったということは、現場の指揮官がはっきりされておるはずです。そっちのほうの意見は全然聞かなかったのですか。
  165. 久保卓也

    説明員(久保卓也君) 私は、現場に行っておりませんし、そこまでの具体的な報告は受けておりませんので、存じません。
  166. 石田次男

    石田次男君 あなたが現場に行ったか行かぬかの問題じゃない。あなたは国会答弁に来たのでしょう。答弁に来る以上は、責任をもって答えられるだけの資料を持って、防衛庁の代表として責任ある答弁をすべき立場じゃないですか。おれは行かなかったから知らぬ、そんな返事がどこにある。もう一回……。
  167. 久保卓也

    説明員(久保卓也君) その点につきましては、だれがだれと相談をし、どのような空気であったかということは、別にお調べしてお知らせしたいと思います。
  168. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 石田君、簡単にあとやってください。
  169. 石田次男

    石田次男君 承知しました。まあそういう誠意のない防衛庁を相手にしてけんかしてもしようがないから、やめます。  次に、救援の中で入院患者の方についてでありますが、大牟田病院と荒尾の病院で見解の違いがあるのですね。荒尾の市民病院は、重症患者に対しては交換輸血をやっていい成果をあげたのです。大牟田のほうの御説明では、これは時間がたちますと、体内から一酸化炭素が半分以上抜けるのです。そういうことをやってもしようがないからやらぬ、こういう説明であったのです。が、結果から見ますと、荒尾のほうが成績がいい。こういうふうに大牟田と荒尾の両方で明らかに治療法について、しかも大事な重症患者についての治療法についての見解とやり方が食い違っておるのですね。当然、同じ災害を受けた人たちを収容しているのでありますから、厚生省のほうとしては、病院に対する専門的見地からの指導というものがあってしかるべきじゃないかと、それが当然じゃないかと、私はそう思うのですけれども、その点、厚生省の御見解はどうですか。また、具体的に何かはっきりした指導を与えたかどうか。
  170. 小林武治

    ○国務大臣小林武治君) ただいまのことは非常に技術的でございますので、医務局長からお答えいたします。
  171. 尾崎嘉篤

    説明員(尾崎嘉篤君) 今回の、一酸化炭素中毒だと思われます。それだけか、もう少しほかのものがあるかわかりませんが、その事件の治療法に関しまして、日本の学者の方々にもそれほどの経験がないものでございまして、したがいまして、各病院のお医者さんが、まず一般的常識といたしましてやります人工呼吸、酸素吸入、また心臓に対しての強心剤の注射、それから輸液、輸血というふうな措置、さらに一酸化炭素中毒によりまして、刺激によりまして喉頭の浮腫などが起こりますが、そうした場合には気管切開をやるというような一般的な措置だけを、医学の一般常識に従ってやっておられたと思います。御指摘の輸血交換の考え方は、たしかあれはシャックシュという学者の見解として学界にも発表があったと私は存じておりますが、その方式もこれも学界全体の通念になっているというものでもないように私も考えているのでございますが、それを荒尾の病院がおやりになる。さらに、それはシャックシュという人の説では、血液を出すがよいと言っております。これをあらためて出した分をさらに輸血するというふうな方式をとってやられているのだと思います。その点、一酸化炭素中毒の急性期におやりになるのには、一つのよい方法じゃないかと思いますが、その点、やはり学者の判断にまたなければならないし、またそこまでの全体の定説ともなっていないようです。急場の場合でございますので、われわれのほうもそれを主張するということはできなかったわけであります。  しかし、今からの措置につきましては、できるだけいい医療をやっていくようにというので、先ほどから話が出ておりますように、地区の連絡協議会のもとに医療保健専門部会、その下に指導部会対策部会、その指導部会で学者の方々がいろいろたくさん集まってくださいまして、御経験を集めてもらう。それによってできるだけいい治療をやっていくように、全体の指導をやっていく、こういうふうな方策をとっている次第でございます。
  172. 石田次男

    石田次男君 私のお伺いしている結論は、大牟田と荒尾と両方に分けて治療なさっていらっしゃる。これについて統一的な治療のしかたについて、統一的な方向をとるように厚生省として強力な指導をしておったかどうかということです。ただ、現地病院の判断まかせにしておったのか、あるいは厚生省としてもしかるべき人を派遣して、実際に病状等のこういう場合の専門家を何人か派遣し、指導助言を与えたかどうかということをお尋ねしているのです。
  173. 尾崎嘉篤

    説明員(尾崎嘉篤君) 事件発生の当初の救急措置につきましては、各病院のお医者さん方の判断によってやってもらっております。しかし、こちらからその翌日、事件発生の翌日に、われわれのほうが調べましたようなことは現地のほうに連絡はしております。なお、専門家といたしまして、一酸化炭素関係専門にいたしております公衆衛生院の石川氏を現地へ派遣して、現地対策本部におります阿部局長のアドバイザーとして送っております。
  174. 石田次男

    石田次男君 次は保安教育の問題ですが、保安教育の点は、さっき質問が出ていたと思いますが、非常にやっておらなかったと思いますね。同時に、事故が発生した場合の救援のしかたについての訓練というもの、日常の指導をするようにはなっていないのですか、なっているのですか、どちらですか。
  175. 森本伊佐夫

    説明員森本伊佐夫君) 教育につきましては、そのやり方がそれぞれの職種についてきめられておりますが、有資格者、指定鉱山労働者、あるいは新入鉱山労働者、それぞれやはり鉱業権者といたしまして教育しなければならない基準がございます。それ以外に、いわゆる非常時における退避訓練の問題でございます。これにつきましては、坑内火災、それから坑内出水、これにつきましては退避訓練をやらなければならないということになってございますが、三池炭鉱三川坑の場合には、昨年坑内出水について訓練を実施いたしましたが、本年はそういういわゆる退避総合訓練はいたしておりません。
  176. 石田次男

    石田次男君 いま森本局長から答弁があったとおりだとすれば、やっていなかったということですから、そうすると、これに対する、会社に当然責任があるはずですし、また監督する側の責任もあるはずだと思います。明らかに、いままでの答弁をずっと総合的に聞いておりますと、災害自体がまだまだ最小限度に食いとめられる可能性があったにもかかわらず、あまりにも日常の保安対策、そういったものの弛緩が目立っていると思う。これについては、今後善処するというのがいつでもきまり文句ですけれども、一体それじゃ具体的に、今後は全炭鉱に対してどういうふうに法律と規則と、それから法律規則で出てこない個々のケースについての監督、どういうふうに対策を進めていく、それについての検討はいま当局のほうで始めていらっしゃるのかどうか。始めていらっしゃるのならば、いつごろまでにその作業を終えられる予定かどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  177. 田原正邦

    説明員田原正邦君) お答えいたします。  まず、法令の改正の問題でございますが、これにつきましては、かねてから地方保安協議会で検討はいたしてきておりましたけれども、今度の災害がありましたので、早急にこれは結論を出さなければいけないと思っております。内容につきましては、特に問題になっておりますのは、山における保安管理機構の問題、それから技術基準の問題、こういう点は特に問題になって、今後十分検討する、あるいは改正しなくちゃいけない問題じゃないかと思っております。  それから、次に、監督体制の問題でございますが、先ほどからも出ておりましたが、今後は一般巡回監督と同時に、特にいままで足りなかった点と申しますか、いままで監督官が巡回に行って、法規違反があるかどうか、摘発するかどうかということが一般巡回監督の考え方でございましたが、さらに総合的な見地から、その山の生産計画、それからその山の災害状況との関連、こういった総合的な見地から今後は監督しなくちゃいけないじゃないか、そういう監督のしかたをやらなくちゃいけないのじゃないかということを考えております。したがいまして、監督を強化するためには、さらに予算措置あるいは監督官の増ということも検討しなければいけないと思っております。なお、最終的なことは中央保安協議会におはかりして決定いたしたいと思っております。
  178. 石田次男

    石田次男君 今度の災害について、いろいろ会社のほうの手抜かりが、災害対策のしかたのまずさもたくさんあったわけでありますが、代表的なものとしては、爆発が起こってから宮浦坑、四ッ山坑のほうでまだ作業を続行させておったのです。そのほかいろいろ手違いもありました。せっかくの救援態勢も、市のほうでベッドを七十も用意しておった。それについて会社のほうではそれをえんきょくに断わって、全然使っていないですね。当日は重傷も軽傷もひっくるめて、ごちゃごちゃに病室に押し込みまして、文字どおり病室は足の踏み場もなかった。しかも、県のほうからは、すぐ県と市と会社のほうと連絡をとり合う態勢に入ったはずでありますが、形だけであって、実際はそんな状態で何にも連係がとれておらなかった。これについて、会社側に対してこういう状態だからというふうに、何か協力なり指導をいたしましたでしょうか。これは厚生関係です。
  179. 尾崎嘉篤

    説明員(尾崎嘉篤君) 患者の収容につきまして、一つの病院にごちゃごちゃに入って、その収容区分がうまくいっていないのじゃないかというお話でございましたが、こういうように緊急災害の場合におきまして、患者数をはっきり把握し、その症状ごとに応じて、全体にあります医療機関に最も有効に患者を配分するということが望ましいことでございますが、なかなか実際上において、今度の川崎におきます列車衝突事件におきましても、三池の場合においても、うまくいっていないことを認めざるを得ないと思います。それで、いまは患者の症状別によりまして区分をして、最も治療がよくできるような方法において収容をやるよう指導しておるのでございます。  なお、このような集団発生に対しましての医療体制をどうするか、救護体制をどうするかという問題は、いま国鉄だとか鉱山とかいうように事業の責任のあることがはっきりわかっておる場合と、そうでない場合と、いろいろむずかしい問題がございますが、現在私たちのほうもこの点について準備が十分でなかったということを認めまして、研究もし、一昨日も専門の学者に集まっていただいて、小委員会を開いて研究を進めておるというところでございます。御了承願いたいと思います。
  180. 石田次男

    石田次男君 最後に、援護関係をまとめて申し上げますが、前例によれば、こういう災害を受けて一家の支柱を失った人たちは、たいてい二年以内に炭住から追っ払わられるのです。何かの機会をとらえて、必ず出ていくように会社から強力な話がありまして、出ていかざるを得なくなる。これは今までの前例のきまったとおりであります。今度それについて、確かに働く人がいなくなった場合に、五年も十年もそこにいるということは矛盾でありますが、住宅対策をそのためにははっきりしていかなければならぬと思うのです。それで、県なり市なり指示をして、今後これらの災害を受けた方が在宅を出なければならぬ場合の住宅対策というものを、あくまで政府のほうで責任を持ってくださるかどうか、これが一つ。  それから、入院中の患者で、これから後遺症の残る人が相当に出るはずであります。これについては、その後遺症の残った当人並びに子弟の教育等、これらについて一生会社に責任を持たせる気はないか。この点はいかがでしょう。
  181. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) 石田先生から御指摘がありましたように、今度の犠牲者の中で社宅に入居しておりまする世帯は二百九十六世帯で、家族の員数が千二百二十三人でございます。原則といたしましては、会社の規則によりまして二年以内に社宅を出なければならない規則になっておりまするが、現在われわれのほうで会社側に要請をいたしまして、今回の方々につきましては、二年をこえましても無理に社宅を出すというようなことのないように現在要請をしておりますが、会社側もこれを了承しております。  なお、その後の住宅対策につきましては、建設省等とも連絡をとりまして、万全を期して参りたいと思っております。
  182. 石田次男

    石田次男君 最後に一問。現在三池では賃金カットが行なわれております。年末手当もカットされまして、最高六%まで切られております。年末手当も一万円しか出ない。これは来年の三月までという約束だそうでありますが、栗木社長の言によれば、場合によればこれは延長もあり得るとはっきり言っております。それでは労働者諸君があまりにもかわいそうだと思う。山の再建についても、これから会社の再建についても逆に大きいマイナスになるのじゃないかと私は考える。で、さしあたり十億円の融資というものがありましたけれども、この賃金カットと年末手当のカット、これは今までの協定どおりに三月で一切終わりになるような指導と融資、これを政府のほうでなさるお気持ちがあるかどうかをお伺いしたいと思います。
  183. 新井真一

    説明員(新井真一君) 会社再建のいろいろな資金問題でございますが、まだ生産再開後の問題も、先ほど来お話がありますように、保安体制の関連もございます。いろいろなことも資金事情を考慮しつつ善処したいと思っております。さしづめ閣議決定で十億を出しましたけれども、それで終わりでございませんで、いまおっしゃいましたベースの問題、たな上げの問題、これは会社自体が、労使の間にきまってきます問題で、その点を注視しつつ善処したいと思っております。かように考えております。
  184. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 他に御質疑はございませんか。——質疑もなければ、本連合審査会はこれにて終了することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  185. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 御異議ないと認めます。よって、連合審査会は終了することと決定いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十七分散会