○
政府委員(
徳安實藏君) ごもっともな
お尋ねでございまして、
内容の詳細につきましては
事務当局から御
説明申し上げたいと存じますが、かように多くの金が前年度から繰り越しにならざるを得ない状態になりましたことは、三十六年度までは日本のほうの援助が、あるいはお医者さんをやりますとか、教員をやりますとか、物を買って与えますとかというような援助でございまして、現金で向こうの
予算に入れて向こうで施行させるような金はほとんどなかったのでございます。
昭和三十七年度において初めて七億幾らという金が向こうの
予算に計上されまして、そこで向こうの手で施行されることになりました。全くこれは新しいやり方でございますために、日本の
政府から申しますれば、やはり日本の
政府が国内の各府県に補助を与えるような形において、会計検査もでき、また指導もでき、その責任を
政府が持てるような趣旨で、向こうに金を渡したいという
考えで、その手続等につきまして長い間折衝しておったわけでございます。昨年の六月の四日に、日本のほうで
予算に基づきまして、アメリカと琉球
政府と日本
政府の三者了解のもとの覚書を交換することになりまして、その覚書を提
示したのでございますが、なかなかアメリカ側の了解を得ることが困難でございまして、向こうの言われるとおりにすれば、何も難はないのでございますけれ
ども、少なくとも日本で金を出します以上は、
最後まで責任の持てる処置をとりたいということで、行ったり来たり、覚書の
条文決定に手間どりまして、昨年の十一月に私が参りまして、向こうの高等弁務官にも話をして、これでは困るから早くひとつ態度をきめてほしいという催促をいたしましたが、結局、ようやく向こうのほうで覚書が、まあこれでよかろうといって了解に達しましたのが十二月の七日でございます。さような状態で、その間に不用意に金を与えまして、覚書のない先に金を送りまして、将来
政府が責任を持てないようなことがあっては大へんだということで、多少
政府のほうでも、そういう覚書が完成いたしますまでは金を出すことを渋ったわけでございます。で、覚書ができましてからは、今度はそれでは
事務的に業務上の手続に入ったのでありますが、これにもまた、やはりアメリカ側の
考え方と日本の
考え方には多少の食い違いもあり、
考え方もございまして、まあアメリカ
政府によりますというと、もう補助してくれたんだから、くれたらこっちのほうである程度自由にしていいんではないか、その先までもあまりめんどうなことを言うのはどうかというような意見のようでございました。しかし日本では、その与えます金を何に使うかということのちゃんと了解でやるわけでございますから、その金が適切に使われたかどうか、またそれが不正はなかったかどうか、できたものは完全であるかどうかというようなことまでも、できることなら日本のほうで監査もし、会計検査もしたいというようなことで、それに必要なる文書、手続等もなるべくその線に沿って処理をしたいということで、これがずいぶんもめまして、ようやく二月ごろになりましてからできたという形で、自来、書類が整いまして、ただいま三十七年度のをどんどん向こうのほうにその書類によって送っているような状態でございます。この覚書は、私
どもずいぶんアメリカ側にも交渉したのでございますが、第一年度で、どっちも間違いがあってはいかぬから、特にここでうんと念を入れておけば、一年ごとに更新になることにはなっておりますけれ
ども、しかしよほどの事情の生じない限り前年度のものを踏襲していこうという話がすでについておりますので、
昭和三十八年度からは心配はないのですから、念には念を入れて、両方ともいざこざがないようにしようという
考え方であるから、がまんしてくれというアメリカ側の話でございました。そういうようなことで、三十七年度の金をやるのがおくれたわけでございます。で、三十七年度明許手続をとりまして、三十八年度にもとりましたことは、御承知のように、日本のほうは四月の一日が会計年度の始まりでございます。向こうはアメリカと同様に七月の一日になっておりまして、三カ月間ずれるわけでございまして、したがって、向こうで完全に一年間に消化しようといたしましても、四月から六月の末に至るまでの期間というものは、日本の会計年度と違った年度に使うことに相なるわけでございますので、そうした
関係もございましたし、過去のいきさつもそういうような
関係でございましたので、中途において明許手続をするよりか、とにかく三カ月というものは全然会計年度が違うわけでございますから、早く消化されることには努力いたしますが、初めからひとつ御了解を得たほうがよかろうということで明許手続をしておるわけでございまして、おそらく三十八年度にはそう繰り越しになるものはないように仕事が進むのではなかろうか、かように
考えております。たいへんこれは見にくい
予算の決裁になりまして申しわけないと思いますが、まあ大事の上にも大事を踏んだということが、こういう結果になっているわけでございまして、、どうぞ御了承いただきたいと思います。