○国務大臣(中垣國男君) ただいま議題となりました
昭和三十八
年度法務省所管予算の
内容につきまして、大要を御
説明申し上げます。
昭和三十八
年度の
歳出予算予定経費要求額は四百二十二億二千六百二十四万円であります。このほかに官庁営繕費として建設省
所管予算中に法務本省第二新館新営工事費五百万円が計上されております。前
年度当初
予算額三百六十九億六千九百八万七千円に比して、
法務省所管分は五十二億五千七百十五万三千円の増額となっております。なお、補正後
予算額三百七十七億七千七百五十六万五千円に比較して四十四億四千八百六十七万五千円の増額となっております。
増額分の内訳を大別して御
説明いたしますと、第一に、人件費
関係の三十五億八千五百二十六万四千円であります。これは、
予定されております公務員給与ベースの改定に伴う増額分及び昇給等原資としての職員俸給等の増額分がおもなものでありますが、そのほかに検事、副検事、検察事務官、登記
関係職員、入国審査官等三百五十五名の増員、(別に北鮮帰還業務
関係職員四十五名の減員があります)に伴う所要人件費が含まれております。
第二、営繕施設費の六億四千六百三万五千円であります。これには、従来建設省
所管に計上されておりました官庁営繕費(法務局、検察庁等)が、
法務省所管として計上されたことによる増額分が含まれております。
第三は、その他
一般事務費としての十億二千五百八十五万四千円であります。これは、事務量の
増加に対応して増額されたもののほか、積算
単価の是正及び事務能率器具その他の備品の
整備等事務の質的改善に伴う増額分があります。特に、このうち増額されたおもなる事項
経費について申し上げますと、一、暴力犯罪対策等法秩序の確立の一環としまして、暴力・公安検察の強化をはかるための検察体制の拡充強化
経費、不法出入国者取り締まり体制の確立のための入国
管理局
関係の情報収集等
経費、及び破壊
活動調査機能の充実のための団体調査
経費の増額分として五千七百二万九千円があります。二、戦後激増しております麻薬禍に対する対策の一環としまして、
東京ほか二地検に検事三名、事務官六名を増員するほか、麻薬犯罪取り締まり体制の
整備強化に要する
経費、矯正施設に収容された麻薬中毒者の処遇の適正をはかるための治療器具費、施設並びに麻薬犯罪対策研究に要する
経費の増額分として四千三百四十五万七千円があります。三、非行宵少年対策としまして、青少年検察、少年院の教化
活動、少年鑑別、保護観察、少年非行予防対策の研究等の充実強化をはかる
経費の増額分として一億三千三百二十五万二千円があります。四、道路交通法違反、業務上過失致死傷事件等の交通事件が逐年激増しておりますので、地方検察庁に副検事十五名、事務官四十五名を増員して、その機能の強化をはかるほか、交通検察取り締まり
経費の充実をはかるための増額分として八千八百十一万三千円があります。五、矯正
関係収容者の処遇改善
経費としまして、収容者に支給する作業等賞与金、菜代、衛生薬品の
単価の増額等に伴う
増加分として一億四千九百四十万一千円があります。六、現在刑務所被収容者に対して行なわれております刑務作業を充実するため、紙細工等の低格作業を出所後の更生に役立つ有用作業に切りかえることに要する機械器具の
整備及び原材料購入に要する
経費の増額分として九千四百九十三万三千円があります。七、本年四月に
実施を
予定されております地方
選挙の公正を期するため、適正な検察を行なう必要がありますので、これに要する
経費として、五千七百七十二万五千円を新たに計上しました。
次に、増員三百五十五名の
内容としましては、一、麻薬犯罪取り締まり体制の強化として検事三名、検察事務官六名、計九名。二、交通事件の
増加に対処して事務処理機能を充実強化するため副検事十五名、検察事務官四十五名、計六十名。三、非行青少年対策を強化するため三十名。1、少年院教化
活動の充実、教官二十名、2、少年鑑別所鑑別業務の充実、鑑別技官十名。四、登記台帳事件の
増加に対処して、その事務処理を円滑適正化するため、法務事務官二百名。五、羽田入国
管理事務所における出入国者の
増加に対処して、その出入国審査業務を適正、迅速化するため入国審査官十二名、入国警備官七名、計十九名。六、その他の入国
管理事務所出張所新設に対処して入国審査官四名、入国警備官二名、計六名。七、正規出入国審査業務の
増加に対処して、その事務処理を適正迅速化するため入国審査官二十五名。八、国連犯罪防止アジア地域研修所庁舎
管理要員として労務職員五名。九、熊本地方公安庁調査局舎
管理員として労務職員(守衛)一名となっております。
次に、おもなる事項の
経費について概略を御
説明申し上げます。第一に、
外国人登録法に基づき、在日
外国人の登録及び指紋採取の事務を処理するために要する
経費として一億一千百三十二万四千円。第二、法務局、地方法務局において登記、台帳供託、戸籍等の事務を処理するために要する
経費として六億二千六百十六万九千円、第三に、検察庁において処理する
一般刑事事件その他各種犯罪事件の直接検察
活動に要する
経費として六億四百三十七万七千円、第四に、拘置所、刑務所、少年刑務所、少年院、少年鑑別所及び婦人補導院の
昭和三十八
年度一日平均収容
予定人員の合計七万九千七百四十人の衣食、医療及び就労等に要する
経費として五十五億五千百八十二万五千円、第五に、犯罪者予防更生法、更生緊急保護法及び執行猶予者保護観察法に基づき、刑余者及び執行猶予者を補導監督し、これを更生せしめるための補導援護に要する
経費として五億九千百万七千円、第六に、出入国
管理令に基づき、不法入国者等の調査及び審査事務を処理し、また退去を強制される者の護送、収容、送還に必要な衣食、医療等に要する
経費として八千百四十一万三千円、第七に、公安調査庁において処理する破壊
活動防止のための調査
活動等に要する
経費として七億六百五十四万円、第八に、検察庁、法務局等の庁舎及び刑務所、少年院等収容施設の新営、
整備に要する
経費として二十一億七千八百十二万五千円、がそれぞれ計上されております。
以上が
法務省所管歳出予算予定経費要求の大要でありますが、このほか静岡刑務所の移転に伴う施設取得にかかる総額七億四千二百万円の国庫債務負担行為を要求しております。
最後に、当省主管歳入
予算について一言御
説明申し上げます。
昭和三十八
年度法務省主管歳入
予算額は百二十億二千四百七十六万三千円でありまして、前
年度予算額七十九億二千二百五十九万九千円に比し、四十一億二百十六万四千円の増額となっております。これは、過去の実績等を
基礎として算出したものでありまして、増額となったおもなものは、罰金及び没収金と刑務作業収入であります。
以上が
昭和三十八
年度の
予算の
概要でございます。