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国務大臣(
田中角榮君)
福田通産大臣から今るる申し述べられましたが、この
特定産業の振興に関する法律案は、
政府部内でも検討し、
経済閣僚会議の議も経たのでありますから、
提出をいたす予定でありまして、大蔵
大臣としても賛成であります。しかし、まだ法律案の詳細の部面については、
政府部内で
意見を調整をいたしておる
段階でございます。その調整過程において、
通産省が——これは最終案でありませんから、これから調整ができるわけでございますけれども、調整過程において出された
通産省原案の中に、共通基準を決定いたします場合、業種を選定する場合に、金融機関の代表が参加をすることになっております。これは、金融機関の代表が参加をしないでこういうものがきめられるわけはないのです。また、これは金融機関の代表が入らないで何でもきめるということになれば、もう先ほど御
発言がございましたように、官僚統制ということの色彩が非常に強くなりますから、業界の代表、金融機関の代表の
意見を聞くことは、これは至当であります。また、当然やるべきことであろうと
考えるわけでございます。
特定産業の振興というものは、
一体何をやるのかというと、大蔵
大臣の所管事項に相当
関係があるわけであります。
企業の合併その他に対して、税金は
一体どうしてくれるのか。課税の繰り延べをやるのか、税の軽減をやるのか、特例を
認めるのか、こういう問題もありますし、また金融上財政資金を出すのか、民間資金も
政府資金とあわせて、適切な投資を決定するのか。全体今まで貸したものに対して、繰り延べその他の特例措置をしてくれるのか。関税の
関係を
一体どうやるのかというような、大蔵
大臣の所管事項が非常に多いわけでございます。でありますから、私も非常にこの問題は、前向きでありますが、慎重に
考えなければならないということは当然だと思います。で、金融機関は、当初の原案で
意見を聞くということよりも、共通基準の決定等に対して相当強い、また責任の重い
立場に置かれるわけでございます。この金融機関の代表というものが、
政府関係機関の代表も入り、日銀も入り、地方銀行、市中銀行の代表も入り、相当数が多いということであれば別でございますが、端的に
考える場合、全銀協の会長でもこれをさすのか、こういうことになりますと、全銀協とは何ぞやということになりますと、これは全く任意団体でございまして、法律に基づく医師会とか弁護士会というようないわゆる全協会員を拘束するような権限を持っておりません。いわゆる人格のない任意団体でございますので、この代表者が出て、
一体そういう責任のあるものをきめ得るのかどうか。きめても、
一体拘束力があるのかどうか。こういうことを静かに
考えれば、当然どうも荷が重過ぎる、もう少し金融機関全体の責任において参加できるような、
意見が吐けるような体制になりませんかということを
政府側に申し入れることは、けだし当然のことであります。これに対して、大蔵
大臣も了解をいたしております。でありますから、金融機関は現在の
段階において、このような重い任につくことは、どうもその性質上むずかしい、こういったことが報道せられておるわけでございますが、これがためにこの法案が
提出ができないということではありません。これから調整を
考えつつ、この法律案が
提出できるような方向に向かってまとめていきたいという
考えを持っております。