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国務大臣(田中
角榮君)
地方自治体の健全化、健全な育成発展をはかることは、
政府もつとに
考えておるところでございますが、御
承知のとおり、
地方は
自治体でありますので、自発的な
立場において健全な成長をはかることを原則といたしておるわけでございます。国の委任事務につきましては、これをまかない得るよう
交付税等の措置をとっておりまして、これが
地方に過重であるという
考え方はとっておりません。ただ、原則的な
考え方を申し上げますと、戦後非常に確立をせられたと言われておる新しい制度についての
地方自治体というものと財源確保という問題を
考えますと、問題がたくさんございます。古い行政区画によって戦後の
地方自治体がそのまま認められておりますので、
東京や大阪と比べて、鹿児島や青森や鳥取のように、一体自己財源だけでもって
地方と
中央との格差をなくしながら飛躍的な発展ができるのかということを
考えれば、当然問題がございます。でありますから、長い議論として、国が取っておる税の相当部分、特にたばこ消費税のような問題を
地方に委譲してはどうかというような議論が長く行なわれてきたのでございますが、じゃこの理論のとおり国が取っておる税金、酒の税でも、またたばこの税でも、
地方で売られるものはそのまま
地方でもって取るというふうにやって、あなたが
考えるように、われわれが
考えるような、地力の格差をなくしながら均衡ある発展ができるかというと、事実はじいてみると、全く逆な結果が出るのであります。
そこで、これらの財源確保をする場合にはどうするかという具体問題として、富裕県と貧弱県との間の財源調整を行なわなければならないと、こういうふうに
考えておるわけでございますが、財源調整を行なうということになると、これはもう口で言うだけであって、反対が非常に強くてどうにも実行が期せられないということで、現行の制度、いわゆる主税の三〇%近いものを
地方に還元する、その上になお特別
交付税制度でもって、公共事業その他
府県が行なわなければならない事業の負担金に対しては、起債、特別
交付税の制度で調整をしていこう、そこで均衡ある発展をはかるということに理論的にも実際的にも調和を取っているわけでございます。現在のものが万全のものであるとも
考えておりませんが、二八・九%を二九%にし三〇%にすれば格差がなくなり、また
地方財源というものが豊かになるのだというふうに端的な結論も出ないのでございまして、
地方制度調査会等で十分検討いただいておりますし、
地方の
自治体をこのまま存続をし、
地方自治の発展を期していくために、
地方財政の確立を将来ともはかるということを
考えて、税制調査会等にも税制のあり方がいかにあるべきか、
中央と
地方の配分率はどうあるべきかということについての真剣な討議をお願いしているのが現在でございます。