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野坂参三君 私は、いろいろ
政府にお聞きしたいことがありますけれども、時間の制限もありますので、ただ一つの問題についてだけ、
総理、外務、防衛、あるいは私の発言に関連のある諸公にお聞きしたいと思うのです。それは今
世界的にも、また
日本国内でも、いろいろ深刻な問題を起こしており、また
日本国民にとっても、大きな不安の種になっておる問題です。それは
アメリカの
世界的規模における軍事的な戦略、あるいは戦術の新しい傾向が出てきておる。よく世間では、新しい
アメリカの戦略体制ともいっております。これが
日本にどういう影響を与えるか、この問題についてだけお聞きしたいと思います。
よく世間では、今は
世界及び
日本でも、曲がり角に来ているのじゃないか、こういうこともいわれております。この意味については、いろいろなとり方もありましょう。一つの現われとしては、今申しましたような
アメリカの新しい戦略体制として現われてきておる問題です。これはケネディが発言されたように、中国封じ込め政策、こういうふうな発言の中にも象徴的に現われております。これは決して中国一国、これの封じ込め政策ではなくて、ソビエトその他の
世界の社会主義国に対する封じ込め政策、別の言葉でいえば侵略的な攻撃政策、こう言ってさしつかえないと思います。今、
日本の新聞の中で、またいわゆる軍事評論家の中でも、
アメリカとしては何とかして、軍事、政治、経済、諸般の面において、社会主義
世界体制からの劣勢を補うために相当あせってきておる。また、ヨーロッパにおいては、今日まで
アメリカの持っておったいわゆる権威というものがだんだん失墜してきている。これを挽回するためにあせってきているのが、今の
アメリカの姿ではないかと思うんです。
そこで、私のお聞きしたいことは、いわゆる新しい戦略構想ともいわれています
アメリカの新しい傾向として、これは、敵、すなわち社会主義国を殲滅する。そのためには同盟国、すなわち
世界に張りめぐらされている
アメリカの軍事基地の存在する国々も犠牲にして、
アメリカだけが生き残る。これはとうていあり得ないことです。一種の空想にすぎませんけれども、こういうふうな基本的な構想を持っている。具体的な現われとしましては、ヨーロッパでは、核兵器の、核兵力の拡散、あるいはヨーロッパにおける各地に、主要な国に核兵器を分散させておいて、引き金だけは
アメリカが握っている、引き金だけは
アメリカが持つ。これが一つ。もう一つは、いわゆるポラリスといわれている原子兵器によって武装されている潜水艦、及びミニットマンともいわれております地下から発射する大陸間弾道弾、これをこの戦略の一つの物質的な基礎として、これに基づいて新しい戦略体制が整えられている、こう言われております。ここで問題になるのは、いわゆる同盟国というものを犠牲にしてこういうことが考えられている。ここから、御存じのように、カナダのジーフェンベーカー首相がこう言っております。結局は
アメリカを守るためにカナダが犠牲にされるだけだ、こういうことを言っております。また、ドゴールの最近における言動にも同じような点が見られます。つまり、今日まで
アメリカの主要な同盟国であったそこの最高の責任者さえ、こういうことを言い始めてきている。これは私は非常に重大な問題だと思います。この点について、
総理のほうでは、こうした
アメリカの新しい戦略体制の危険について、どういうふうに考えておられるかということが一つ。第二に、これが主要な問題ですけれども、この戦略体制の中に入れられている
日本とどういう
関係を持つであろうかということについてのまず
見解をお聞きしたいと思うんです。