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藤田藤太郎君 ちょっとそれは詳しいことは、私はいずれはまたあらためてやりますけれども、労働省がお
出しになっておる三十七年四月から三十七年七月までの
雇用指数について、製造業では一・九、繊維では一・二、紙パルプでは一・五、みなマイナスです。化学はマイナス一・二、鉄鋼はマイナス二、非鉄金属はマイナス二・一、電気機械マイナス一・七という工合になっておりますね。こういう
数字が労働省の統計でここに出ておるわけですけれども、こういう工合にして、
雇用と今おっしゃったこととは、主要産業はこういうことになっておるわけでありまして、これは何としても、労働時間短縮、完全
雇用ということで
生活を引き上げていくという道を積極的におとりにならないと、何としても福祉国家とか、近代国家とか、
生産と消費の
バランスで
日本の
経済がノーマルに
発展するということは、私は期待ができないと、こう思うのです。
次に、賃金の問題に入ります。賃金の問題は、
昭和九年から今日まで、三十六年あたりまでは、だいぶん上がりました。この
政府の統計、労働省の統計を見ても一四九になっております。それから問題は、最近の賃金の問題でございます。最近の賃金の問題を見ますと、たとえば外国の例をとってみますと、賃金が戦後一〇〇にして今まで何ぼ上がっておるのかというのをこう見てみますと、
アメリカが一八〇、カナダ一七二、イギリスが一七五、ドイツが一四九、
日本が一二五というような傾向を示しております。それから名目賃金もそのような指数で、実質賃金のその国の対比をしてみますと、
日本からみんな高うございます。それから今度は、それじゃその賃金の源泉になっておる付加価値
生産性というものを見てみますと、
日本の付加価値
生産性というのは、
そんなに外国と比べて低くないわけです。一九五九年がこれがとられておりますけれども、イギリスが一人当たり二千五百七十一ドル、
日本が六〇年で二千百ドルと付加価値
生産性はこういう
数字を示しておるわけであります。ところが、今度は労働分配の率の問題に入ってきますと、これは一九六〇年の国連統計でございますけれども、たとえばフランス、イギリス、
アメリカ、オランダとずっとありますが、その辺のところがフランスが五七、それからイギリス、
アメリカが五六、五五です。それから
日本はずっと下がって、一九六一年には三三なんです。付加価値
生産性に対する労働分配率は、国連統計によりましても、大体半分とはいきませんけれども、五割五分か六割ぐらいというところになるわけでございます。よく厚生福利費とか法定社会保険に金をたくさん
日本の
資本家は使っておるから、そこで賃金は安いのだというお話がございますけれども、たとえば一、二の例をとってみますと、厚生福利費は、賃金一〇〇%にしてどれだけ一人当たり外国が支払っておるかといいますと、たとえばフランスが厚生福利費に三〇・八%法定社会保険費に二六・三%ドイツが二一・一%、一一・九%、イタリアが厚生福利費四二・四%法定社会保険費が三六・二%、それから
日本が福利厚生に対して一一・八%、それから法定社会保険に対して六・八、こういう工合に、こうずっとどの面を見てみましても、私は
日本の
労働者の賃金がこれで高いとかどうとかいうことは言えない。先日も、補正予算のときに
池田総理に私は質問したのでありますけれども、
昭和三十年を
基準にして先ほどの
数字が
日本は出ておる。しかし、
通産省の指令といいましょうか、指示によって、労働省も統計を一番ピークの高い三十五年を中心にして
生産性の問題や賃金の問題の比率を云々、これは時限のとりようによってどのようにでもなるわけでありますが、それじゃ三十年から
日本が
発展してきた今日の
状態において、それだけ半分ぐらいしか上がっていない。
生産性の上昇と賃金の上昇率と同じにして、物価は横ばいにするという、ヨーロッパ
各国が今日までとって参りましたこの
状態とは、非常に差異があると私は思うのです。それから、イギリスや
アメリカは一九五三年以来、またはドイツ、フランスは五六年以来、
成長率よりも賃金が全部高こうございます。今日も商いわけであります。なるほど
経済成長率は、昨年の
成長率は、イギリスにしてもドイツにしても
アメリカにしても抵うございますけれども、これよりみな
生産水準、賃金を高くしている。そして、多少の物価の値上がりや、その他
国民生活を引き上げるために努力をしているというのと
日本の賃金というのは大きな差異があるのではないか、私はそう思うのです。これについて、ひとつ
企画庁長官や
総理の御
意見もあったら承りたい。また、労働大臣からも御
意見を承りたい。