○
国務大臣(福田一君) 綿製品の交渉につきましては、
日米の間における種種の解釈の問題が、実は今大きくクローズ・アップされた問題になっているわけであります。そこで
アメリカがどういうことを、では、申し込んできたかといいますと、四十品目について規制の水準を示してきたわけであります。ところが、その四十品目のうちで三品目、すなわちズボン、ブラウスというような、男と女にこれは分かれますが、三品目についてはすでに昨年のうちに話がついておるわけであります。ところが、残りの三十七品目のうちで
一つの品目は今までは雑品と言われておったものでありまして、チャックみたいなもの、こういうような種類の雑品類についても規制をしてきております。したがって、われわれとしては三十六品目というものについて、
アメリカから今度は規制の水準を明らかにしてきたものと解しているのですが、ところがその三十六品目のうちで四品目くらいは、今度できました国際協定によっていわゆる市場撹乱の事実が認め得るとわれわれも
考えておりますので、それについては話し合いをしてもいい。しかし、今のところ、残りの品目の三十二品目については、市場撹乱の事実があるかいなかについて、まず条文の適用が適正であるかどうかということを
考えてみなければならぬ。その条文の適用の
内容といいますのは、市場撹乱の事実がありと判定すべき条文というのはどういうところかといいますと、急に輸入国に対して輸入がふえた、数量が増加したという場合、もう
一つは、非常に安値の品物が入ってきた、こういうことであります。もう
一つは、その輸入国に対して入ってくる品物がその田の産業に大きな
影響を与える、こういうことであります。この三つがいわゆる市場撹乱の
条件になっております。で、私たちが見るところでは、その解釈の適用のやり方においてどうしてもまだ納得がいかないというので、実は、その数字を明らかにしてもらいたいということを向こうに申し入れて、そうしてその
内容を聞くと同時に、われわれとしては
日本のとっている今までの数字の
立場から見ると、どうも市場撹乱の事実があるという、その事実がはっきりしない、だからそれをもっと明らかにしてもらいたい、条文の解釈上もどうもまだはっきりしないということを言っておる段階でありまして、最近
新聞紙上によりますと、向こうから返事があったように聞いておりますが、まだ私その翻訳を正式に受けておりません。したがって、ここでは明らかにすることはできませんが、私たちとしてはまず、一応筋を正していくということで、この問題の交渉に当たっておるわけであります。
しかし、今、
二宮さんが
お話しになりましたが、こういうようなことが出てくるということは、
日米の
経済関係とか、
日米の
関係は打てば響くような
関係なんだから、そんなことを言ってくるはずがないじゃないかと、こういうような御質問であったようであります。これは、私はひとつ、みんながといいますか、
国民があるいは誤解するおそれがあると思うので、申し上げておきたいと思うのでありますが、
貿易というのは、二国間のやはり商売でございます。商売というものはそれぞれの国の
立場がありまして、それぞれの国にはそれぞれの要望があるわけでございます。
日本もまた
日本としての要望を強く
アメリカに言っているわけでありまして、これはこの会議の席上でもしばしば
総理からも言われておりますが、
アメリカあたりはほんとうは自動車の自由化をもっと早くしてくれということをずいぶん言っておるわけであります。われわれは、そんなことできるものかといって突っぱねているという実情であります。
アメリカに言わせれば
アメリカの言い分がある、
日本に言わせれば
日本の言い分がある、その言い分をうまく調和させていくということによって、初めてほんとうの
意味での友好
関係が成立するのだと思います。何か向こうがこちらを、いわゆる
経済的に気にくわないことを少しでも言ったら、それで友好
関係は終わりだ、そういうことでもないのでありまして、友達の
関係も同じでありまして、お互いがざっくばらんなことを言えるようになって、初めて親友と言えると思うのでありまして、遠慮をしている間は親友と言えないのであります。