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国務大臣(福田一君)
一般論といたしまして、また経済のあれから言いまして、親企業に注文が——何というか、仕事がないのに、下請へ仕事をできるだけ出せということを言うわけにはいきません。しかしながら、われわれとしては、親企業といわゆる下請企業との
関係は、これはやはり密接な相関
関係があるわけですから、たとえば、今後少しよくなったときに、親企業はどんどん注文しても、そのときには中小企業はつぶれてなくなったというようなことになってしまっては、親企業は成り立たない。そういうことはもちろんわかっておりますので、できるだけそういう
意味で、もし仕事があるような場合でも、先行き注文があれば、なるべくこうならしてでも仕事を出してやる、そういうような工夫をしてひとつ
考えてやってもらいたいというような
意味の行政指導はもちろんやるつもりでおります。ただ、あなたの仰せになった、また
吉田さんのおっしゃっておられるのは、一体、鉄鋼産業というものは、今のところ不景気で、下請が困っておられる、これに対して
政府としては今直ちに何らかの具体策があるか、こういう
お話だと思うのです。私は、こういうような経済の問題は、これはもう大蔵大臣あるいは総理からお答えするのがほんとうかと思いますけれ
ども、いわゆる輸出を振興するとか、あるいは国内の予算面における公共投資をふやすとか、あるいは財政投融資によって無気を刺激するとか等々、一方においては個人の消費面にたよるとか、いろいろなものがあるでしょう。そういうこともあるでしょうが、私がそう申し上げておるのは、本年度においても相当程度の公共資金等も出しております。御
承知のように、鉄鋼産業におきまして二割ぐらいは——これは建築
関係の仕事、あるいは道路とか、そういう面に使う鉄骨等が二割ぐらいを占めておりますが、そういう面においては、少なくとも、予算が通過すれば、ある程度の見通しが立ってきますから、これが
一つの刺激になってくるのじゃないかということも
考えております。それから、今大体の空気を見ておりましても、いろいろの面でやはり秋口には景気がよくなるのではないかということを
考えて、それならば今のうちに準備をして材料を作っておこう、こういう空気もあるし、またそういう
考え方で会社を経営しても、たくさんやらなければあまり弊害は起きないと思うので、そういうやり方でもやれると思う。そういうことを通じて、できるだけ下請のほうに仕事をならして出してやるような工夫をしてもらいたいと思っているのです。やれとは言えないのです。それはわれわれが私企業に干渉することになりますから、やれとは言えない。そういう
意味で、もちろんわれわれは
努力しますということを申し上げておるわけでありまして、われわれとしては、できる範囲内において極力中小企業者、特にまた下請の人たちの苦労もひとつ救ってあげたい。特に、今一番困っていられるのは、やはり金融
関係であろうと思う。この間も私、九州に行っていろいろ聞いてみますと、金融で弱ってしまうのだというような
お話もありますが、そういう点も含めて、今回の措置等は、北九州その他いわゆる鉄鋼
関係のものについては考慮して配分もした、こういうことも申し上げておるのでありまして、何もしないというわけではありませんが、しかし、それでは、
政府が大きな注文を出してみるとか、あるいはまた何かする、そういうことはなかなかむずかしかろうと思います。しかし、私が申し上げておるのは、鉄鋼等については相当滞貨もありますので、こういうものは、インドその他におきましても、ぜひひとつ延べ払いで売ってもらいたいという意見もあります。こういうこともひとつこの際
考えてみてもいいんじゃないかというようなことも
考えておる。そうすれば、それがまた回ってきますから、その分だけ金が回るということになれば、見込み生産もできるということが言えるわけであります。こういうことも実は考慮をいたしておるわけでありまして、けさの経済閣僚会議におきましても、そういう
発言を私はいたしました。あなたの非常に御心配になっておることを、実は私も非常に心配をいたしておりまして、そういうことを特に
発言をして閣僚の了承を得ておるということでありまして、何らやらないという
意味ではないのでありますから、御了承を願いたいと思うのであります。