○柳岡秋夫君 私は、
日本社会党を代表いたしまして、
ただいま
議題となりました
職業安定法及び
緊急失対法の一部を
改正する
法律案につきまして、
質問を行なうものでございます。
質問に入る前に、本
法案は、御
承知のように、
衆議院におきましても、また本院におきましても、全く論議をされておらないのでございます。したがいまして、この
法律案可否が論ぜられないままに
強行採決をするという異常な事態の中で、これからたくさんの
国民を束縛することになると思うのでありますから、この点を十分に考慮をされまして、関係各大臣には、誠意ある具体的な答弁をまずもってお願いをする次第でございます。
質問の第一点は、この職安法及び
緊急失対法の一部を
改正する
法律案が
国会に提案をされてから、
衆議院におきましては、
社会労働委員会において実質的な
審議をされないまま、一方的に
暴力的に可決をされたのであります。このような政府、
自民党の
民主主義のじゅうりんが、第四十二回
国会において、
国会史上空前の混乱を引き起こす原因となったのであります。また、本院にこの
法案が送付されましてからも、昨日の
鈴木社会労働委員長の
報告のとおり、
自民党委員
諸君の
委員会開催要求に応じて
委員会を開催したのでありますが、
自民党の委員
諸君は
ただの一人も
出席せず、急遽
中間報告ということで非常手段をとったのであります。このことは、
国会のルールを一切無視し、
民主主義を踏みにじる末期的症状であると言わざるを得ません。(
拍手)もとより、この失対法の問題は、きわめて貧乏な、気の毒な生活環境にある
人たちの問題であります。しかも、この
人たちは、この
法案に対し深い不安を込めて
国会の
審議を見守っているのであります。
国会は、今や、
法律の
審議をする場ではなくなり、政府、
与党が、意のままに、全く独裁制を確立したと言っても過言ではありません。この混乱の最大の
責任は、
自民党総裁である総理が負うべきであると考えます。総理は、即時
国会を解散して、
国民に陳謝の意を表すべきであると考えるのでございますが、総理の御
意見をお伺いいたします。
質問の第二点は、この
法律案は、その
緊急失対法
改正条文第十条で、
失業者就労
事業に就労できる者の資格を規定しており、その第三項では、
失業者が就職することが著しく困難な地域について例外
措置を認めています。このことは、新しい
失業者を失対
事業から締め出し、いわゆるこの
法案が失対
事業の打ち切りになるとして
反対をされてきた中心点の一つであります。
そこで、労働大臣に次のことをお尋ねいたします。
一、「
失業者が就職することが著しく困難な地域」とは、どのような基準に基いて決定されるのか、具体的に答弁を願いたい。
二、このような地域の指定を受けた地域以外でも、特に中高年
失業者にとっては再就職の機会は非常に制限をされておりますが、このような
失業者が、再就職の当てもないのに、就職促進の
措置を義務的に受けなければならないというのは、きわめて不合理であります。そこで、そのような
人たちに対しては、一週間程度の
職業講習会などを施して、就職促進の
措置を受け終わったという行政上の
運営をするつもりがあるかどうかをお尋ねをしたい。先般大橋労相は、労働組合の代表と交渉された際に、そのように回答をされていると聞いておりますけれども、そのことについてもお尋ねをしたいのであります。
三、高齢者就労
事業の就労資格についてお尋ねをいたします。政府は六十五才以上の
人たちをこの
事業に就労させる考え方のようでありますが、どうでございましょう。またこの
法案で体力についても規制する考え方のようであるが、その点を具体的に答弁をされたい。
四、さらにこれらの
事業に働く高齢者の労働時間その他の労働条件について、十分配慮すべきであると思うのでございますが、いかがでしょうか。さらに、貧困な家庭では、子供が主たる家計の担当者となっている場合でも、扶養能力の不足から、高齢者で就労を希望する
人たちが多いと思うのでありますが、この点については何らかの
措置をする考えがあるかどうかお伺いをしたいのであります。
質問の第三点は、この
法律案は従来直営主義をとって行なわれてきました失対
事業を、民間の請負化への道を開こうとしていることでございます。請負方式を、
失業者就労
事業、高齢者就労
事業にどの程度やる考えなのか。もしこの方式を認めるならば、自治体などの
事業主体は、わずらわしさを避けるために、好んで請負方式を取り入れ、近い将来、失対
事業は、すべて請負化され、継続的な仕事の保障は不可能になると思われるのでございますが、この点に対する強力な規制の必要をどう考えておられるかお伺いしたい。さらに、特に高齢者就労
事業に働く年寄りの
人たちを民間に委託するということでございますが、労働能力のなくなりつつあるこの
人たちは、民間ペースのあまりにもきつい労働条件の中で、結局はこの
事業をあきらめ、生活保護などの一そう苦しい生活へ追い込まれていくことを心配せざるを得ないのでございます。これらの点について、特に慎重な配慮が必要と思うのでございますが、いかがでございましょう。
第四点は、賃金の問題でございます。
一、
緊急失対法は、その目的として
失業者の生活の安定をうたっております。失対
事業の賃金は、当然、家族を含めた
失業者の生活を保障するものでなければならないわけですが、生活保障の原則に立った賃金にしていく考えがあるかどうか。
二、高齢者
事業の賃金について、社会保障制度による給付の水準を考慮して決定するとしておりますが、生活保護を基準としなければならないとすると、今後引き下げられるか、当分の間賃金は据え置かれ、実質的に切り下げられることになるが、どうでございましょう。
三、賃金
審議会の
意見を聞いて賃金をきめることとしておりますが、この構成は学識経験者に限られ、労使対等の原則を侵すものとなっております。この構成の中に失対
就労者の労働組合の代表を入れる
意思があるかどうか、お伺いをしたい。
四、夏季、年末手当について、これまで国が
措置してきた分を、さらに増加していくのかどうか。また、
地方公共団体で単独に
措置してきた手当は、地域によってかなり高低がありますが、現状を尊重するのかどうか、お伺いをしたい。
質問の第五点は、失対法
改正条文第十一条にある
運営管理規程の問題であります。
一、
運営管理規程の
内容は、従来の就業規則準則に当たるものを含むものなのか、そのほかどのような点についての規定を行なうのか。
二、この規定に労働条件に関する
内容が含まれると考えますが、これは該当労働組合が
事業主体との間で
締結をする労働協約とどのような関係になるのか、労働協約が優先すると考えるが、この点をお伺いをしたい。
質問の第六点は、失対
就労者の労働組合の団体交渉権の問題でございます。失対
就労者との団体交渉を実質的に尊重をして
事業を実施していく考えがあるかどうかをお伺いをしたい。
質問の第七点として、政府の失対制度改革案をめぐって、各関係大臣に、最後に一括してお尋ねをいたします。
その第一は、この
法案によって、失対関係の予算は、これから先もふやしていくのかどうか、失対のワクはどうなるのか、大蔵大臣にお尋ねをしたい。
第二は、荒木文部大臣は、最近、日教組は革命戦士を養成する組織である、こういうことを言っておりますが、こういう
国民や
労働者を敵にするような考え方で文教政策を行なっているその中では、今多くの失対
就労者の児童
たちは義務教育課程の修了すら困難で、新聞配達あるいはその他アルバイトで教育費を捻出する家庭が少なくないのであります。また、そればかりか、一家の生活をかよわい一身にささえまして、夜間疲れた体にむちをうって中学校に通っているいわゆる夜間中学生が全国的に存在をしているのでありますが、これらの点について大臣はどのように考えておられますか。また、これら子供
たちの義務教育費の全額国庫負担は、切実な要求となっておりますが、この点、文部大臣にお尋ねをする次第でございます。
第三は、建設大臣にもこの際お伺いをしておきたいと思います。それは、公共土木
事業における
失業者の吸収の問題であります。労働省は、この
法案は失対打ち切りではない、失対
事業の予算は削減しない、こう申しておるのでありますが、事実は、すでに建設省関係の予算でやっておりました臨時就労対策
事業を廃止をし、そこに働いておりました一万四千余の失対
労働者の仕事を奪っているのであります。また、特別失業対策
事業の
失業者の吸収率を、ことしは七〇%から六〇%に切り下げてきているのであります。私は、公共
事業における
失業者の吸収が、こうした形で今後も切り下げられてくるおそれが多分にあると思うのでありますが、この点、明確な御答弁をお願いをしたいと思います。
さらにまた、これら失対
就労者の、低
所得階層の住宅政策について、いかなる方針をお持ちでございますか、あわせてお伺いをいたします。
第四は、厚生大臣にお伺いをいたします。
その第一点は、老人、婦人を対象とした軽作業をしようとする者の賃金に関連してであります。社会保障の給付に準ずるということでございますが、この場合、生活保護しか考えられませんが、一体この生活保護基準によると老人一人で幾らになるのか、お伺いをいたします。
第二点は、現在の失対
労働者は、老人、婦人が多いのでございますが、福祉年金で老人一人この社会に生活ができるかどうか、月に幾らになるのか。この二点は、今後の失対
労働者の中に多数いる老人、婦人にとってきわめて重要な問題であります。この人々の持っている大きな不安を除くためにも、
責任ある答弁をお願いをいたします。
最後に、阿具根議員が
質問で明らかにしましたように、
高度経済成長政策は破綻しつつある。一九六一年の国際収支の赤字の増大以来、金融引き締めなど、景気後退によって調整策をとらざるを得ず、ことしの春になって、ようやく景気は再び上昇に向かう機運にあるといわれているわけでございますが、貿易・為替の自由化は推進され、国内の弱体産業、中小企業は犠牲にされております。また、物価の上昇などは著しく、潜在
失業者、失対
労働者の生活は苦しくなっております。この
改正案の基調では、景気上昇を前提としているのでございますが、経済の見通しはどうなっているのか、経済企画庁長官にお尋ねをする次第であります。
また、本
法案の
政府提案説明によりますと、今後の貿易自由化といわゆる新産業体制のもとにおいて、失業問題の深刻化は全くあり得ないとしているようであります。しかし、最近の経済情勢の動向、特に基幹産業の動向は、きわめて楽観を許さない
状態にあり、石炭や金属鉱山はもちろん、鉄鋼、化学、金属などでも、また公企体関係の中におきましても、深刻な失業問題が見られるところであります。この点、産業合理化に伴う離職者発生の見通しについて、通産大臣の見解をお伺いいたしまして、私の
質問を終わる次第であります。(
拍手)
〔国務大臣池田勇人君
登壇、
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