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説明員(
遠藤鉄二君)
新聞に報道されましたように、
田町電車区
——東京鉄道管理局の
田町電車区でございますが、その
構内におきまして、七月二日に発生いたしました
事件についての
お尋ねでございますが、
経過の
概要をまず御
説明申し上げたいと思います。
国鉄の
電車区というような
現場の
日勤職員の
勤務時間は、午前八時半から午後五時までと限っておるのでありますが、当
田町電車区におきましては、相当以前からで五時を待たず、四時から
入浴するということを
現場限りでやっておったようでございます。そのいきさつ、
経過等は、だいぶ前からのことでございまして、私どもよく存じませんけれども、話を聞きますと、だいぶ前に、
仕事のやり方が変わりました際に、
沼津方面から転勤してきた人が相当多数あったので、五時までじゃなく、四時から
入浴して早く切り上げるように
現場限りで扱っておったようでございます。しかし、昨年の三河島
事件以来、いろいろ職場の規律を強めようということを
管理者側で考えまして、これはもちろん従来とも考えておったと思いまするけれども、一そうそれを強化しようということで、
規則どおりの
勤務時間にしなさいということを
管理局が指導したようでございます。
したがいまして、この
電車区長が、六月の二十四日から、従来四時から
入浴しておりましたのを四時半にしようということを申し出て、
組合側と折衝いたしておりましたが、
平行線をたどって
実施の段階に至らなかった。
区長は、二十八日を期して
実施に踏み切りまして、七月一日に十六時から
入浴しようとした
区員を
区長が制止しました。制止しましたところ、
区員が
区長に
暴行を働きまして、腕に
傷害を
——全治一週間と聞いておりますが、
傷害を与えたのでございます。
で、七月二日
——翌日の七月二日でございますが、
東京鉄道管理局長は、前日の
傷害事件にかんがみまして、
暴力行為の発生のおそれがあるということで、
公安職員を同区内に
警備のために
派遣をいたしたのでございます。二日は、特に
浴場の
表口及び裏口に、「
区長の許可なく
勤務時間内の
入浴を禁ずる」旨の掲示を行なうとともに、十六時を期しまして
区長以下
助役が、
現場において、
入浴のため押しかけて来る
職員に対し、説得と入場の拒否を行なったのであります。十六時五分ごろ、
浴場の
表口におきまして、
相当数上半身裸体の約七十名
程度の
区員が、時間前
入浴の阻止に当たっていた
区長、
助役外当局者数人をもみくちゃにして、とびら、
鎖錠をこわす等の
行動がありまして、うち十数名は
浴場内に入ったのであります。これらの
暴行とか
住居侵入の
現場証拠収集のために、写真の撮影に日野という
公安員が当たっておったのでありますけれども、十六時七分ごろ、
浴場入口前の集団からそのうち約十人ぐらいの
区員が飛びかかって参りまして、うち、
目下被疑者となっております
小泉君という
職員が
カメラの
つりひもを引きちぎりまして、同
公安員の
胸部を殴打しました。さらに、
カメラに手をかげて、
公安だ、
カメラを取れと言いながら
公安員の左足のひざに
暴行を加えた。また、同時に、
被疑者の上野という
区員がありますが、これは
カメラの
つりひもを強引に引っぱり、
手こぶしで同
公安員の
胸部を殴打した。また、佐久間という、これも
被疑者になっております
区員は、同
公安員の
カメラを奪取せんとして右手で
カメラをたたいたということでございますが、このころ、待機しておりました
公安職員が、これは制服の
公安職員が待機しておったのでありますが、
現場に到着いたしまして、私服の
公安職員と協力して
被疑者三名を逮捕連行したのでありますが、二十名ぐらいの
組合員がこれを奪還しようとして押し寄せまして、その中で浅野という
組合員は、
佐藤公安員の背中を突きとばし負傷させたので、これも逮捕されたのであります。
当時、
浴場周辺に集合しておりました
組合員が約百五十名だそうでありますが、これが
入浴のために各詰所からすでに過半数が
上半身裸体で集まっておったのであります。それから、その
被疑者のうちの
小泉君でありますが、これが逮捕されました際に、
上半身は裸でございまして、白色のショート・パンツだけしかつけていなかったのであります。しかも、素足であったそうでございます。したがいまして、逮捕いたしました
公安職員が、裸ではからだに悪いし、みっともないから、着物をつけなさい、君の名前はだれで、衣類はどこにあるのだ、こういうことを数回にわたって聞き、説得したそうでありますが、
小泉君は、全くこれを聞き入れず、よけいなことをするな、服なんか要らない、何も要りやしないというような返答であったそうでございまして、
小泉君がそういう
状態で抵抗する一方、当時
現場に百五十人ぐらいの
組合員が来ておりまするし、かつ、その百五十人中の十数名が
同僚の連行を阻止しようとして押しかけておりましたし、
付近に
建物はあるのでございまするけれども、その
付近の
建物に連行いたしますと、奪還される、あるいは危害が発生するおそれがあるというような観点から、やむを得ず上述の
混乱を避けまして、かなり距離は離れております。約五百メートルは離れておるかと思いますが、
品川の第三
ホーム——東海道線の
湘南電車等の
上りホームでございます。そこは
上りホームで、
品川に下車する人がおりてしまうだけでありまして、
お客はいない
ホームでございます。また、ちょうどこの時間が四時−四時十分過ぎだと思いますが、午後四時にその
ホームには一個列車とまりまして、
東京駅に向かって出発しました。その次は四時半まで
電車がないのでございまして、
お客のいない
ホームでございますが、その
ホーム上の
反対といいまするか、
横浜寄りに
品川の
公安派出所がございます。そこまで
ホームの上を連行いたしました。で、
ホーム上には
お客はおりませんが、第二
ホーム——電車ホームであります、このほうは
お客はおりますので、
お客に対して見得る
状態になるわけでございまするけれども、
公安職員といたしましては、なるべく目につかないように三人でもって取り囲むようにいたしまして、
上半身裸体ということがなるべく見えないようにという配慮も行ないまして、
ホーム上を歩行いたしまして、ちょうど
事件のあったところは
品川駅の
東京寄りでございます、ただいまの
公安派出所というのは
横浜寄りでございます。そこに連行いたしまして、手持ちの衣服を取り寄せて着せたというような次第でございます。
一応
経過だけ御
説明申し上げたわけでございます。