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亀田得治君 たとえば昨日の臨時司法制度調査会で
検察官の方々との懇談会を持つ機会があったわけですが、そういう場合にもたまたま私もこの問題に触れたわけですが、といいますのは、
検察官に若い人がなかなかならない、こういうことがまあよしあしは別として、
現実に起きているわけですね。やはり若い人は公安
事件というようなものには関心が深いわけです。そういう問題についてどんな処置を検察当局がするだろうか、こういうことがきわめて敏感に響くわけなんです。司法修習生の時代にいろいろ検察庁で説明をしたり、あるいは誤解を解いたりといったようなことも、ある
程度役立つかもしれませんが、やはり何といっても注目されている問題について、検察庁というものが、形式的な正義じゃなしに、ほんとうに人の心に触れた正義というものをしっかりつかんでいるんだというふうな感じを与えるか与えないか、こういうことが非常に大きく響くのではないか。これは単に
吹田事件だけじゃありません。ほかのことでもいろいろあるわけです。たまたま
吹田事件が今こういう段階にあるものですから、その例を引いただけですが、そういう面からも慎重にこれはやってほしいと思うのです。下手をすればよけい志望者が少なくなるし——志望者を多くするためにことさらに曲げてやってくれということじゃない。ほんとうに正義感に合致するような措置をとるということが、そういう
検察官の数の問題等にも非常に響いているのだということをまあ申し上げるわけです。
そこで、まあ大臣は、検察当局が
判決をよく検討して、そうして措置をきめるだろうというふうに言われましたけれ
ども、この
判決の検討をすれば、これは必ずどうも
裁判長は検察の言い分を過度に採用しておらないというふうな感じを検察当局はおそらく持つだろうと私は思う。そうすれば、それだけでいけば控訴だということに当然これは論理的に発展するわけです。私はその点をよく慎重に検討してほしいと言っているわけです。
一般の人がこの問題について指摘しておりますのは、ともかく十一年間もこういう
事件でたくさんの人をくぎづけにしているという事実について指摘しているわけで、いやそれは何か法に触れることをやったのだから仕方がないのだというふうな簡単な論理では済まされぬ感情というものを
一般の人が持っているわけなんです。それは事犯にもよるわけですよ。これが強盗したとか、いや窃盗だとかというようなことであれば、これはまた別です。根本は、当時は朝鮮戦争勃発二年目で、やはり戦争はほんとうにいやだ、単純にそういう気持の人がこれは大
部分です。ことに女の方も六名ほどおられます。当時はみんな二十才前後。ほとんど単純なそういう気持なんです。初めてそういうものに行ったという人もおるわけです。それはただ戦争反対というデモがあるからということで、集まって行っているわけです。
ところが、そういう人が付和随行ということで起訴される。これは罰金だけですね。罰金幾らになりますか。二千五百円くらいでしょう、最高が。そういう人が十一年間
裁判にかかり、結婚でもみんな苦労した。しかし、ほとんどいろいろな道をたどって結婚しておる。ところが、しょっちゅう
裁判にひっかかっているものですから、一人一人のことを聞きますと、流産があったり、それから夫が会社を休んで公判の日には子供の守をしたり、初めは子供を連れて行った人も相当おるようです。しかし、あとの子供に対する影響が非常にやはり悪い。それで、夫はその日は休む、休みの日を振りかえて。いろいろなことをわずか罰金二千五百円
程度の付和随行者がやってきているわけですね。それが三十人おるわけですよ。女性は六人ですが。
そういう点を、これはもう
立場が右だとか左だとかでなしに、ほんとうに人道的な
立場で、一体これをどう処理するのが正しいのかということで、大阪で現在はもうあらゆる階層の人が心配している。これを
判決に書いてある理屈がどうも気にくわぬからということで控訴する、また上告、また、
裁判の進展いかんによってはそれだけで終わらないで、また差し戻しといったようなことに理屈だけをたどってやっておればなる可能性もある。全くそれはばかげたことでして、そういう角度からのひとつ御検討を検察当局に十分やってもらいたいと思っておるわけでして、大臣にぜひそういう人道的な
立場からの検討をひとつ最高検の当局に御指示を願いたいというのがきょうの私の
質問の結論なんです。検察当局の御検討を待つというのじゃなしに、その点どう裁断が下されるかということで非常に注目しておるわけでして、それを大臣に
要請をしたいわけです。どうでしょうか。