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政府委員(
竹内壽平君) これはなかなかむずかしい問題でございまして、
最高裁判例の
趣旨を推論して参りますと、結論としましてはやはりこの理倫がかぶってくるんじゃないだろうかというふうに思うわけでございます。ただ、何と申しましても、
関税法や国税犯則取締法の通告処分というような制度でございますが、これは任意に出すという建前になっております。この任意をこれまた理屈を言うなれば、
第三者の物を任意に出すわけですから、その本人が、これを犯則事件として出さざるを得ないから、損害は自分が弁償するかどうか、とにかく策三者と本人との間で解決するとして、物そのものは国に出さなければならないということで、そういう了解まで取りつけて通告処分に応ずる。法律的に言うなれば、任意に出したということでありますから、そこまで
考えていいかどうか、そこまで
考えるのは勝手過ぎるのであって、本人は、
第三者が承知するかどうかは別として、自分は異存がないというだけで出すのであるか、その辺のところがなかなかむずかしい問題であろうかと思いますが、いずれにしましても、任意提出という形をとっておりますので、何でもかんでも通告処分が違法であるというふうにきめつけるわけにはいかないと思います。しかしながら、
善意の
第三者の物が通告処分によって
没収されてしまうと同じ結果を生ずるということになりますと、やはりこの
判例の精神はかぶってくると思いますので、この処分につきましても、将来の姿としましては
手続を定めていくのが相当だと思います。しかし、今回はそこまでとうてい手が及びませんので、
刑事事件だけに限定してやったわけでございます。したがって、通告処分の制度はこれでは死んでしまうかということになりますが、これは必ずしも死なないので、異論のありますものにつきましては、もちろんこれは通告処分は
行政処分として処置をする前置処置でございますから、もしそういう疑いがあって問題が起こりそうだということになれば、告発をして刑等処分としてそれを取り扱っていくということになると思います。その辺はひとつ
運用のよろしきを得て
第三者の権利の棄損にわたることのないように処置していくということで、実はこの問題につきましても、私
どものほうから
最高裁の
判例が出ますと同時に
関係方面にも通知いたしまして、
関係方面でもそのようなことの起こらないようにあの
判決以後は処置しておるわけでございます。