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1963-06-20 第43回国会 参議院 文教委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年六月二十日(木曜日)    午後三時十二分開会     —————————————    委員の異動  六月二十日   辞任      補欠選任    宮澤 喜一君  野本 品吉君     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     北畠 教真君    理事            斎藤  昇君            二木 謙吾君            吉江 勝保君            豊瀬 禎一君    委員            久保 勘一君            佐藤 芳男君            笹森 順造君            中上川アキ君            中山 福藏君            小林  武君            千葉千代世君            成瀬 幡治君            米田  勲君            高山 恒雄君   国務大臣    文 部 大 臣 荒木萬壽夫君   政府委員    文部大臣官房長 蒲生 芳郎君    文部省初等中等    教育局長    福田  繁君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君     —————————————   本日の会議に付した案件義務教育学校教科用図書無償  措置に関する法律案内閣提出、衆  議院送付)     —————————————
  2. 北畠教真

    委員長北畠教真君) ただいまより文教委員会開会いたします。  委員の変更について御報告いたします。本日、宮澤喜一君が辞任され、その補欠として野本品吉君が選任されました。     —————————————
  3. 北畠教真

    委員長北畠教真君) 本日の委員長理事打合会について御報告いたします。委員会運営について協議した結果、本日は、義務教育学校教科用図書無償措置に関する法律案質疑を行ないます。なお、議員提出法案審議について要求がありましたが、理事会意見が一致しませんので、この取り扱いについては、本日の委員会散会後の理事会において協議することにいたします。また、二十五日は、まず、参考人からの意見聴取を行なうことにし、参考人からの意見聴取の時間は一人当たり十五分程度、全部の参考人から意見聴取を終わった後、参考人に対する質疑を行なう。なお、参考人に対する質疑は二時終了を目途とする。さらにその後、政府に対する質疑を行なうことに決定いたしました。以上、御報告いたします。     —————————————
  4. 米田勲

    米田勲君 その今の委員長の言っておる、この委員会でこれから教科用図書無償措置に関する法律案質疑を行なうということは理事会決定をしたものかどうか、その点はっきりして下さい。理事会決定をしてそういう扱い方になるのか、そういう意味なのか。
  5. 北畠教真

    委員長北畠教真君) 理事会決定して発表したわけです。
  6. 米田勲

    米田勲君 これは委員長理事打合会でそういう本日の委員会運営を取りきめても、われわれは異議がある。したがって、そのとおり進めるにしても、われわれは意見をひとつ言わしてもらいたい、この委員会運営について。なお、同僚委員豊瀬君が、先ほど、一分間くらいで資料要求のことを先にやらしてくれ、こう言っていますから、そのことは一言で尽きるのだと思いますから先にやって、それから私に意見を言わせて下さい。
  7. 北畠教真

    委員長北畠教真君) 速記をとめて。   〔午後三時十五分速記中止〕   〔午後三時四十分速記開始
  8. 北畠教真

    委員長北畠教真君) 速記を起こして。  暫時休憩いたします。    午後三時四十一分休憩      ——————————    午後四時二十九分開会
  9. 北畠教真

    委員長北畠教真君) 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。  それでは、義務教育学校教科用図書無償措置に関する法律案議題といたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
  10. 米田勲

    米田勲君 議事進行に対する動議でございます。私はこの際、ただいま委員長から諮られております法律案質疑を行なうことについては賛成ができません。それは委員長与党委員諸君を含めて、私は、よく冷静に私たち立場意見を聞いていただいて、明確な見解を明らかにしてもらわなくちゃならぬと思っておるのです。それは国会においては政府から提出をせられました法律案、あるいは議員から参議院として法案を出すような場合もありますが、各議員手元でそれぞれ所定の賛成議員を得て提案される法律案もあります。特に最近の国会運営状況を見ますと、政府提案法律案については与党諸君は非常に熱心に審議を促進することを主張し、また委員会運営もそのほうに非常に重点がかかっているのが一般的な傾向であります。しかし、たびたび本院でもこのことが問題になり、国会の正常な審議のあり方は、たとえ議員提出した法律案であろうとも、政府提出法律案と同様に尊重してこれを取り扱うという建前をとるべきだという論が国会の内外に非常に強いのであります。特にわれわれの記憶としては、今までの傾向から顧みて、議員提出法律案については特段に尊重しようということさえお互いにいわれてきておるのであります。そこで、この文教委員会の今までの運営の仕方をずっとながめてみますと、私はこの問題について必ずしも納得のできないところがあるのです。試みにこの委員会付託をせられた議案について申し上げますならば、われわれ日本社会党から三十八年の二月十一日にへき地教育振興法の一部を改正する法律案提出し、本委員会付託になっております。次いで、三十八年二月二十二日には、高等学校の建物の建築等に要する経費についての国の補助に関する臨時措置法案付託になっております。次いで、三月五日には、農業、水産、工業又は商船に係る産業教育に従事する国立及び公立高等学校の教員及び実習助手に対する産業教育手当の支給に関する法律の一部を改正する法律案付託になっております。さらに、同日、教育職員免許法の一部を改正する法律案付託になっております。同時にまた、公立の盲学校聾学校及び養護学校幼稚部及び高等部整備に関する特別措置法案が同日、三月五日に本委員会付託になっております。次いで、その翌日、三月六日には、国立養護教諭養成所設置等に関する臨時措置法案付託になっております。さらに同日、三月六日には、日本育英会法の一部を改正する法律案付託になっております。さらに、三月十三日には、高等学校定時制教育及び通信教育振興法の一部を改正する法律案付託になっております。こえて三月二十七日には、学校図書館法の一部を改正する法律案付託され、その翌日、三月二十八日には、学校教育法の一部を改正する法律案付託になり、同日、三月二十八日には、公立の小学校及び中学校特殊学級における教育振興に関する法律案付託になっております。こえて五月十三日には、女子教育職員の出産に際しての補助教育職員の確保に関する法律の一部を改正する法律案付託になっております。これらはすべて社会党議員手元から本委員会提出をし、付託になった法律案であります。それに対しまして、政府提出法律案は、国立大学総長の任免、給与等の特例に関する法律案衆議院先議として提出をされ、との委員会には予備付託に二月二十七日にはなっておりますが、この案件は、まだ本委員会付託になっただけであって実際の審議は行なわれていないままになっておるのであります。それからもう一件、ただいま議題委員長がしようとしておる義務教育学校教科用図書無償措置に関する法律案予備付託になったのが三月十三日ですが、本委員会で本格的に本審査に取りかかったのは六月十一日というずっとおくれた時期であります。なお、社会党提出法律案のうち三件は、本委員会予備付託にはなっておりますが、衆議院のほうから提出をされている関係で、本委員会にはまだ趣旨説明も行なわれていないという状態であります。そして最後に、公立義務教育学校学級編制及び教職員定数の標準に関する法律及び市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案政府提案にかかる法律案でありますが、これは衆議院先議として提出をされております関係上、本委員会には六月十四日に予備付託になったにすぎません。したがって、この法律案はいまだ審査に具体的に取りかかっておらないのであります。こういうふうに、ずっとこの委員会付託された議案を見ましたときに、本格的に政府提出した法律案審査を開始したのは、六月十一日のとの教科書無償措置に関する法律案ただ一件であります。その他の十一件にわたる社会党提出法律案は、そのうち相当部分を、この委員会でも審査をしているのであります。こうなりますと、私は前段に申し上げましたように、この委員会運営は、議員提出法律案を必ずしも尊重している扱い方をしていない、こういうふうにわれわれは考えるのです。与党諸君は、私のこの主張に対して、いやそうではない。社会党議員提出をした法律案は、われわれもやはり質問をし、具体的に審査をしたではないか。それは尊重している証拠である、こういわれるかもわかりません。しかし皆さんが、今、委員長のいった法律案を、本日さらに引き続き取り扱いたいという気持は、この会期が四十五日も会期延長したにもかかわらず、残すところわずかになっているのであります。そのわずかな日数でこの法律案審査を十分に行なって、おそらくこの法律案決着をつけたいというのが与党諸君気持ではないかと思うのです。あなた方がそういうことを考えるのに対して、われわれもまた、これらの法律案十一件を出している立場からいえば、会期の少なくなった今日、この法律案決着をつけたいという考えを持つのは理の当然ではないか。そのことが皆さんに理解されないはずはないと思うのです。ところが、私は理事諸君はよくおわかりだと思いますが、他の与党議員諸君はわからないとしても、委員長理事諸君は十分におわかりのように、社会党のこの提出した法律案は、地方選挙に入る前、すなわち三月の下旬においては、何回となくわが党の豊瀬理事を通じて、わが党の提出した法律案については与党皆さんがどのように扱ってくれるのか、結論をつけてもらいたいということは、たびたび申し上げて、吉江理事のごときは、相当具体的な約束さえわが党の理事にしているのであります。しかるに、地方選挙が終わって、今日、国会審査が再開せられて相当期間を経過しているのに、先ほどの理事会で、豊瀬理事からわが党の立場をるる説明したにもかかわらず、この案件が先議されないという、与党諸君賛成が得られないまま、委員長のいうような法律案を先に質問を開始して先議しようという、そういう主張になって現われているのです。私は、これでは議員提出法律案をこの委員会では尊重していない、極論するなら、わが党の出した法律案誠意をもってこたえる態度をとっておらない、こういえるのではないかと思います。しかし、与党理事諸君は、委員長も含めて、そんなことはない、われわれはこの委員会の終わったあとに十分に話し合いをして具体的なめどをつけたい、こういうふうに言っておるのだからそういうことはないのだと、こういうふうに主張をされるかもしれない。しかし、私は私たち主張が、豊瀬理事を通じて最近この一、二週間の間に初めて持ち出されたのであれば、これは無理もないと思うのです。しかし、もう相当期間にわたって同じことを繰り返してあなた方に要請をしておるのであります。われわれはわれわれの提出した法律案のすべてが、現在の日本教育には、少なくとも法の改正をして日本教育条件整備が必要だと思っているから提出をしておるのであります。しかし、皆さんの、与党の人の立場はいろいろ与党内の意見もあるでありましょうから、この提出した法案賛成できないという態度なのかもしれない。しかし、それならそれでわれわれの提出した法律案否決するか——討論採決をして否決をするなら否決をするというのも、また結論を出すという具体的な行動になるのだと思うのです。質疑討論もやらず、採決もしないで、たなざらしにしておいて、しかもいつまでたってもこれらの法案取り扱いについては具体的なわれわれに約束もしないままこれ以上遷延されたのでは、かりに吉江理事約束しておるがごとく、この十一の法律案のうちの幾つかをわれわれもぜひ通したいということで、それが自民党の中で協議がまとまったと仮定しても、わが参議院だけの審議では事は済まないのであります。これをこちらの本会議を通じて衆議院にさらに審査を願わなければ、これで参議院を通過したとしても、それは何の価値もないような廃案のうき目を見ることは当然なんです。だから、私は賛成する法律案、反対する法律案を含んで早急に結論を出したいという社会党の言い分は無理からぬことではないか、これを、無理なことを言ってわれわれに難題をふっかけるというなら、私はその真意をお聞きしたい。われわれがこの法律案審議してもらいたいというのは、手続上、今まで委員会にとった手続上からいっても何の不思議はないはずです。それなのに教科書法案のみに固執して、それの質疑を続行しようということは何としても納得できない、いろいろ申し上げたいことがありますが、私はまずこれらの考え方に立って次のような質問を、与党理事あるいは委員長にはっきりお聞きをしたい。第一には、あなた方はわれわれの提出をした議員提案法律案尊重するという基本的な考え方に立っておるのかどうかということであります。もし立っておるのだというお答えをなさる場合には、具体的にどういう形で今まで尊重をしてきたか、その理由や根拠を明白にしてもらいたい、尊重をしていないというのであればそれはそれでよろしい。第二の質問は、われわれが先議案件にこれらの法律案をしてほしいという主張は無理であるかどうか、このことについてお答えを願いたい。無理であるとすればどういう理由であるか、無理だという理由をはっきり聞かせていただきたい。第三は、われわれの提出した法律案について、与党の内部では具体的にどこまで検討をしていただいたのか、お答えを願いたい。それからさらに第四は、会期が非常に少なくなっているから、早急にこのわれわれの提出した法案結論を出してもらいたいという、結論的なわれわれの主張に対してどういうお考えを持っておられるか。以上のような諸点にわたって、どなたからでもよろしいから、与党を代表してお答えをいただいて、そのお答えによってさらに私は御質問を申し上げたいと思います。一応私のお聞きしたいこと、社会党立場、それを申し上げた次第であります。
  11. 吉江勝保

    吉江勝保君 ただいま米田委員の御発言がありました。私ども社会党議員諸公提案法律案につきましては、先ほどお話がありましたように、提案理由説明を聞き、さらに質疑を重ねてきておりまして、こういう点につきましては、私ども誠意のあるところも十分御了承いただいていることと思うのであります。法律案議題に取り上げることにつきましては、常に理事会におきまして打ち合わせをいたしておりまして、最後結着といいますか、その法律案を可決するか、あるいは否決するかというような問題につきましては、相当私ども党内にもやはり関係いたしますところが多いものでありますから、そういった方面と連絡あるいは協議をとげながら処理をいたしたい。そういう努力を今日まで続けているのであります。大体のところ、私どもの意向といたしましても、申し上げられますことは、予算を伴いますような法律案につきましては、与党のほうにおきましても提案を控えておりますので、こういった法案につきましては無理ではないかということを申し上げているのであります。また、その他におきましても、従来、議決等参議院で行なわれました法案もあります。そういう従来の経緯等も調べておりまして、できるだけ議員提案法案につきましても協力をいたして尊重をいたしたい。こういうつもりでやっている次第でございます。
  12. 米田勲

    米田勲君 簡単ではございましたが、与党皆さんのお考えになっていることは一応わかりました。しかし、ここでひとつ皆さんにお考えをいただきたいのは、会期の残る日数から判断をして、教科書法案というのは本院で上がればもうそれで法律として成立するのです。われわれの出している法案は本院だけでは事が済まないわけであります。会期の残された日数から判断してどちらを先議すべきだと考えますか。これははっきりしたお答えがなかったとしても、議員提案法律案を軽視するという与党立場でないと判断いたしますから、そういう立場考えてみて、この教科書法案とわれわれの出した十一の法律案と、どちらを先議するのが残された短い会期日数からいって妥当であるか。これは党利党略を離れて公平な立場から判断して、どちらが妥当であるかということをひとつお答えいただきたい。
  13. 吉江勝保

    吉江勝保君 政府提案法律案につきましては、ある意味におきまして衆議院議決を通っておりますので、参議院におきましては、この衆議院の院議というものも相当尊重する必要があろうかと思います。これをあとにするということも申しかねるかと思うのであります。だからといって、参議院議員提出法案の成立をいたしますることについての十分な配慮を怠ってはならない、こういうように考えまして、そういう話し合いにつきましては、理事会におきまして十分いろいろと相談をしてきめて参りたい、こういうように考えております。
  14. 米田勲

    米田勲君 しつこいようですが、私は今、吉江さんの答えられたようなことは、豊瀬君から報告を受けて何度となく同じことを聞いているのですよ。仏の顔も三度で、同じことを何べんも聞かされると、しまいにどこまでが誠意があるのかわからなくなってくるのですよ。きょうの理事会でも、また同じことを聞かされているわけです。ですから、ほんとうにあなた方が誠意があるなら、はっきりしためどをつけてもらいたい。なま殺しのままでたなざらしにして置いて、そして政府提出法律案だけを審議をしておれば、それで事が済むのだ、それでは野党のわれわれとしては納得ができないのですよ。あなた方の法案にも、われわれは誠意をもって審議をします。しかし、それよりも先に、われわれのこの二月以降提出してある法律案決着をつけろというわれわれの主張が正しいのじゃないですか。われわれの主張が正しいとすれば先議すべきではないですか。その点をはっきりしてもらいたい。それと、なお重ねて申し上げますが、はっきりしないのですよ、吉江さんの言っていることは。いつごろまでどうなるのかさえわからない。はっきりしない。あなた方を疑って言うわけじゃないのですよ。お答えがはっきりしないのです。きょうの委員長理事打合会で後刻やられるでしょうが、議がととのわないからあすやろう。また議がととのわない。そういうことでは、ずるずるべったりで会期がなくなってしまう。だから、あなた方は、われわれの法案結論を出さないのであれば、政府法律案についても審査をそれまで中止するとでもいうなら私はわかりますよ。それほど重大な決意をもって結論を出そうというなら、あなた方の誠意は一点疑いを入れない。しかし、政府法律案はどんどん審査を進めていくのだ、そのうちにあなた方のやつは、そろそろ考え結論を出すように努力しましょうでは、もうこの段階では私たち納得できない。だから、はっきりしためど約束してもらいたい。こういうふうにいたしますという約束をしてもらわないと、あとになってから、吉江さんの言ったことは、あれはうそではなかったのかということになっては、お互いの信義上非常にまずいことになりますから、はっきりした責任のあるめどを見せてもらって、なるほど誠意がありますということがうなづければ、あなた方の主張にも、われわれの我を張るばかりでなしに、同調して、委員会運営に協力してもけっこうですよ。しかし、われわれのほうの問題については、はっきりしためどを見せない、そのままわれわれの言うことを聞けとあなた方が何度言われても、それは無理ですよ。どうですか。
  15. 吉江勝保

    吉江勝保君 私これ以上申し上げることを遠慮いたしますが、十分にそういう点は考慮しながら、理事会におきまして相談をいたしておりますので、御納得のいくような明快な回答がまだ出せていないということは、まことに遺憾でありまするが、やはり党内におきましても、それぞれ諮るべき機関もございますし、相当、法案内容等につきましても、今申しましたように、党には党のやはり意見もございまして、そういう点は十分に検討して尊重いたしたい、こういうつもりでおりますので、引き続いて理事会等で、十分そういう点について協議をして参りたい、こういうように申しておる次第でございます。
  16. 米田勲

    米田勲君 私たち立場がやはり理解していただけないのですが、私は十一の法律案の全部を今めどをつけなさい、それをはっきりしなさいというような無理な話はしないつもりであります。しかし、どれもこれもめどがつかないのだ、党内の話がむずかしいのだでは、あな方の言うことを納得するのには材料が足らない。この法律案賛成できない、この法律案賛成できそうだが、もう若干党内人たちと、それぞれしかるべき手続を踏む必要がある、この法律案はもう党議で大体山を越して賛成できるというように、類別してでも見せてもらえるなら、それなら今までの努力の過程を、誠意を私は認めますよ。どれもこれも並列に、全部結論を出せと、そういうことは言うつもりもないし、それはちょっと今の段階では無理だと思う。しかし十一の法律案全部があいまいなんだというのでは、もう二月以降のことですから、一時に三月末の委員長理事打合会では、吉江さんも相当具体的なことを豊瀬君にも約束していることでもありますし、その問題だけでも、少なくもある程度めどはつけられるはずだと私は思うのです。どれもこれも党内ではめどがつかない、めどを申し上げるわけにはいかないと言われるのでしょうか、その点は。
  17. 斎藤昇

    斎藤昇君 私からちょっと一言。もう吉江さんの話されていることで尽きると思いますが、若干補足しておきます。今おっしゃったような事柄について、この委員会終了後、理事懇談会でよく協議をして参りたい、こういうわけでございますから御了承をいただきたいと存じます。なお、私たち約束をするといいましても、正式に約束ということになれば、これは党議まで通らなければなりません。しかし、その段階に至るまでのわれわれの考えとしては、こういう程度だという点をひとつ誠意をもって、きょうのあと理事懇談会で話し合っていきたい。この席上で、どの法律案はどう考える、こう考えるという筋合いではなかろうかと思いますから、この点はひとつ了承をしていただきたい。
  18. 米田勲

    米田勲君 私は同僚議員の了解を得ないでこういうことを言うのは、ちょっと先ばしり過ぎると思いますが、これからこの委員会が終わったあと委員長理事打会合をやる、その際には、誠意をもって結論を出すような話し合いをいたします、簡単に言うと、斎藤さんの意見吉江さんの意見もそれに尽きると思う。それでは、委員長の言ったような議事進行にするなら、この委員会運営を、これからそういう方向でやるなら、二十四日までには十一の法案について明確なめどをつけて、この案件扱い方をわが党に提示するという約束をいたしますか、どうか、二十四日です。
  19. 斎藤昇

    斎藤昇君 これは、理事やあるいは一委員の個人の意見として提示をするというようなことでは意味がないだろうと考えます。したがって、どういう方向努力をするということは言えますけれども、これについてはこうということについては、これはやはり党議を経なければなりませんから、二十四日という日は私はお約束しかねるのであります。
  20. 米田勲

    米田勲君 斎藤さんのお話であると、それはいつごろ結論が出せるという見通しなんですか。私は二十四日までにつけてもらいたいと譲歩して話をしているのですが、あなたの話は、それには応じるという答弁ではないようです。それでは、いつになれば結論が明確に出て、十一の法案取り扱いをわれわれに提示してもらえるのか。あなた方の見通しはどうですか。
  21. 斎藤昇

    斎藤昇君 党としての態度をはっきりするというためには、党の機関の決定を経なければ相なりません。したがいまして、党の責任を持った機関の話し合いということは、私が今どういう見通しで話ができるだろうということは、今言うことはできない、この点は御了承いただけると思います。
  22. 米田勲

    米田勲君 結局、お聞きしますととろ、あいまいであります。将来の問題については何も明確にならない。それでは、私はさらに皆さんに別な考え方を提示します。このわれわれの出した法律案十一に対して明確に決着をつける、自民党の考え方を明確にできる時期が明らかにされないという見通しであるなら、今、本審査になっている政府提出法律案質疑打ち切りはもちろん、案件は扱わない。こういうことに同意できますか。
  23. 斎藤昇

    斎藤昇君 そういうことは委員長理事の打ち合わせなり、あるいは党と党の話し合いになるわけですから、私から今そういう確約は一理事としてやる筋合いではないと思います。
  24. 米田勲

    米田勲君 結局、私は何度しゃべっても何にもならないということですな。あなた方からは何にも約束がいただけない。これはいったい私は委員長理事諸君にもう一度再考を願いたい。話が一方的ではありませんか。私は全部可決してくれとは言ってない、態度を明確にしてくれ、扱い方についても、その日にちが明確にならないのであれば、いつごろになったら明確になるのですかと聞いても、それもわからない。そういうあいまいなことで社会党提出した法律案尊重して審議をするということになりますか。たなざらしにするということです。たなざらしにされるような見通しに立つ場合に、どうしてわれわれがあとからかかってきた案件を、政府提出法律案といえども、扱うととに協力ができますか、何とかわれわれにめどを与えなさいよ、何らかのめどを、何らかの約束をしなさい。一つもわれわれに言質を与えないで、自分のほうの意見だけは通そうというのではむちゃですよ、それは。どうですか、両理事
  25. 斎藤昇

    斎藤昇君 米田さんもそういう扱いについては十分御承知のことだと思いますから、委員会の席上で一理事が責任をもって、この法案をどう扱う、いつまでにどうするというようなことを私は言える立場でないと、こう思います。そういうことは理事会その他で十分協議をして、そうしてやっていくことでありますから、そういう普通の方法によって私はやっていきたい。その点は御了承下さい。
  26. 米田勲

    米田勲君 斎藤さん、あなたはそういうことを言われるが、私と立場を入れかえた場合に、私の主張は無理ですか、あなたが私の立場で、私があなたの立場だったら、あなたそういう立場を、私の立場に立ってものを考えていますか。あなたほどの人であれば、私の立場であったらそんなことを言われて納得するはずがないでしょう。私の言っていることは、手続上からいっても案件は先にかかっているのです。そうしてまた、本日先議しろ、本日全部結論を出せとも言ってない。十一の法案をぐるり全部そのままきょう結論を出しなさいとも言ってない。二十四旧までと譲った。それもだめだから、じゃいつまでめどがつくか、それも譲った、一切のことを。あなた方はわれわれが譲歩して協力をする態勢がとれるかどうかを判断しようとしておるのに、これでは全然あなた方の誠意を理解することはできないです。斎藤さんどうですか、あなたが私の立場に立ってそういうことを言われた場合に、納得をいたしますと言って引き下がれると思いますか。どうです。
  27. 斎藤昇

    斎藤昇君 米田さんも私の立場に立ってそういうことが言えるかどうかをお考えいただきたい。多年いろいろな議事のことになれておられる米田さんのことでありますから、その点はおわかりいただけると思います。米田さんのほうもちゃんと理事を出しておられるわけでありますし、理事が話をするにつきましても、いろいろ党とお互いに話し合って話を進めておるわけでありますから、それについて誠意をもってやるかどうかということは、お互い理事の信頼問題だ、かように考えます。その点は御了承願います。
  28. 米田勲

    米田勲君 お互いに党の立場があると言われるならそれは五分と五分である。そうすれば、先議案件はわれわれの提出した法律案だという公平な立場を、ここに委員会運営として立てるべきではないですか。どちらも党の立場であるのではないか、それが当然ではないですか。両方とも五分五分でしょう、立場は。そうなれば、われわれが先議案件主張していることは、あなた方当然聞かなくちゃならぬ。上げる上げないの結論を求めるのでなく、先議しようじゃないかということをのまなければうまくないでしょう。何かしかし斎藤さんでも吉江さんでも、あとからの豊瀬理事との話し合いで、今は委員会の席上だからはっきりできないから、君の言うように期日をきめて明確に結論を出しましょうという約束をするのだという含みでもあるのですか。ここの席上ではできないが、後の委員長理事打合会では、それを明確にしますということでもあるならば、お聞かせ願いたい。
  29. 斎藤昇

    斎藤昇君 そういうことは今この席で申し上げるのは私は適当でない、かように考えます。
  30. 米田勲

    米田勲君 斎藤さん、適当でないというようなことを言われておったら、われわれがこの委員長の提示した委員会運営に、それではわかりました、それに応じましょうということが言えないですよ、われわれは、そんな話では。それは何も議事を妨害するという意味ではないのですよ。先ほどからわれわれがどれだけ譲歩しても、あなた方が何にも応じないのだったら無制限な譲歩になりますよ、これ以上は。どこかでわれわれが、それじゃ委員長がせっかく言うのだから、そのように委員会運営をしましょうという言葉を出すのには、何かきっかけがなくちゃだめでしょう。何にも出さないでおいて、先ほどからあいつは一人でしゃべっておった、しかし、何にもなかったのだ、そうしてうやむやのうちに教科書法案審議に入った、これでは話にならぬですわ。子供の使いみたいなものですよ。私は何と言っても、そういうことの段階では、委員長の言う運営には協力できない、社会党議員は協力できない。何かあなた方がもっと誠意のあるところを示すか、ある程度めどを示すか、何かをしてもらわなければ……。
  31. 吉江勝保

    吉江勝保君 大体、斎藤理事から今話しましたのは、私ども考えておりますることを十分述べておるのでありまして、そのお言葉の中に、社会党理事の今まで苦労されて言うておられることも十分に自分らも承知しておりまして、こういう問題については、そのときどきの情勢とともに話もしておるのでありまして、しかし、そういう話をみなこの委員会のこの席で、速記のついているところで申せと申されましてもそれは無理だろうと思いますので、こういう話は十分に理事の間で話をしながら、そうして舞台を回していく、こういうようにやってきておりますので、これから大事な時期でありますので、きょうも本委員会が済んだら相談をしよう、こう言っておりますので、それをこの委員会ではっきりさせろとおっしゃったのでは、あと理事会あるいは懇談会をやる必要もないようなことになってしまうのでありまして、それならお互いに、やはり理事におまかせを願いたいと思います。
  32. 米田勲

    米田勲君 吉江さんの言うように、この委員会で何もかもはっきりさせろということは初めに私が主張しておったことで、その後ずっと幾つかの譲歩をしているのですよ、譲歩を。どの譲歩をしてもあなた方は何にも言われない、結局結論は。だから私は困るというのです、それでは。そこまでされたのでは、われわれとしても生きておりますからね。だから、何か一つのめどをつけてもらいたいのですよ。先ほどからあなた方は一つもわれわれと約束していない。ただ約束しているのは委員長理事打合会話し合いをしますということだけ。それは前から約束しているでしょう。そういう約束は、同じような約束を何回となくしている。しかし、この何カ月かの間、何も進展がなかったじゃないですか。だから私は、今度もそういう程度約束では委員会運営に協力ができないという私たち立場も無理からぬところではないですか。無理なことを言っていないですよ。吉江さんは無理だと言われるが、譲歩に次ぐに譲歩です。あとから同僚議員に、帰ってから、何だ、あんなところまで下がってと害われるかもしれません。しかし、このままの形では、委員会賛成だ、やりましょうというわけにはいかないのですよ。だから、斎藤さんも言うように、この委員会で、そういうはっきりしたことは約束できないというのであれば、私が主張しているうちの幾つかの問題については、そのうちのどれかを明確に、後ほどの理事会豊瀬君と約束するということの一番大事なことは、めどです。法案扱い方についてのめどがどう立つかということです。その大体の日取りを豊瀬君と約束をすると、ここではまだ言えない、せめて、これくらいのことは言えませんか。それくらいは言えるのじゃないですか。どういう約束をするかは、まだ、ここで明らかにするわけでないのだから、それは言えないというのであれば、これは絶対に、もう、これ以上譲歩しません。これくらい、吉江さん言えるでしょう。
  33. 吉江勝保

    吉江勝保君 重ね重ね米田委員から御希望といいますか、熱烈な御発言がありますので、そういう点は十分にお聞きをいたしておきまして、散会後の理事委員長の打合会におきまして、十分ひとつお互いに話をしてみたい、こういうつもりでおります。いずれ、その話が、一回の懇談会で、あるいは両者の納得のいくような話までいかなくても、お互いに善意を持ってといいますか、好意を持って協力しながら進んでいきたい、こういうつもりで今まで参っておりますので、今後においても変わらないことを申しておきます。
  34. 米田勲

    米田勲君 それでは、私は、私一人で議事進行意見ばかり連続申し述べてもどうかと思いますので、私は議事進行の動議を引っ込めるわけじゃありませんが、一応、発言をやめます。他の議員から、また変わった意見があるかもしれませんから、もし、皆さんがその意見賛成されるなら私も協力いたしましょう。ただし、私は次の文教委員会にも、また、きょうと同じことを主張します。それだけは御了解を願いたい。この点だけはいかがですか。
  35. 吉江勝保

    吉江勝保君 そういう点になりますと、私どものほうからも、実は言いたいことが相当あるのでありますが、今なるべく控えておりますが、いずれ、そういう点も含めて理事委員長の打合会でお話しをいたしたいと思います。
  36. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 僕は最初に、委員長に心がまえとして伺っておきたいと思いますが、議員提案と、それから、なるほど、政党政治ですから、与党の方の政府提案というものが議員立法と同じようにウエートがかかって、そして与党の方がそれをなお尊重される気持はわかりますが、本院としては、これに軽重があるのかないのか、同じなのか、どういうお考えなのか、それを伺いたい。
  37. 北畠教真

    委員長北畠教真君) お答えいたしますが、政府提出法案、また政党提出法案の軽重はないと思っております。その審議の方法については、先ほど来いろいろ論議されておりますが、理事会なんかでよく相談をいたしまして、どれを先にするかということをきめてやるのが理事会運営と、こういうふうに思っておりますので、この点は、先ほど申しましたように軽重はあるべきものじゃないと、こう私は確信いたしております。
  38. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私は与党の方たちが、いろいろとこの法律案について努力してお見えになることは十分わかります。そこで、これはここまでくると僕らもちょっと引っ込みがつかぬですよ、実際問題として。そこで、とにかく党の文教部会等で、これだけの努力をしてきた、この法律案についてはこうやったのだという、まず、先に努力されたことについての、ひとつ経過をお聞きするわけにはいかぬでしょうか。まあ、努力されたのだと、いろいろなふうに話し合ってきたのだと、こういうことじゃなくて、実はこういうような問題については、この法律については、党の文教部会あるいは参議院の文教委員だけでもいいですから、こういうようなことについてやってきたのだというような、そういう熱意のあったところを、経過的にひとつ御説明は願えないでしょうか。何にもやらなんだということじゃないと思うのです。
  39. 吉江勝保

    吉江勝保君 委員長のほうからお答えになるほうが筋かも存じませんが、この経過につきまして話いたしますことは、理事の打合会等の制限時間以外でゆっくり話をさしてもろうて、お聞き取りをいただいたらどうかと思います。そういう点につきましては、明らかに私どもが申し上げて御了解をいただくような機会がまたあるかもしれませんが、なるべくならば、この時間におきましては、御了承をいただいて、この審議にお入りいただきたいと思います。
  40. 久保勘一

    ○久保勘一君 議事進行について。私、ふなれでありますので、あるいは見解が間違っておっては将来いけないと思いますので、この機会に委員長にお尋ねをいたしたいと思います。私は委員会運営は、ごく常識的に、それぞれの会派から選任されております理事を中心として、それぞれ事前に円満に協議を遂げ、話し合いをして、そうして結論の出た上で行なわれていると、かように理解をいたしまして今日まで出席いたしております。ときには、私どもも十時に出て来まして、三時間たっても、四時間たっても、どういうふうになるのやらわからなくて、いろいろと不満を感ずる場合もありまするけれども、しかし、それは私どもの会から出ております理事を信頼いたしまして、それらの方々の御努力を期待しながら待機いたしている実情であります。ただいま米田委員から、いろいろと法案取り扱いについて御意見がございました。承って、私も個人的にはなるほどと共鳴を感じ、また同感を覚える点もございます。しかし、ただ委員会の運び方として、あくまで自分たちの会派から出している理事を信頼し、その人に委託をして運営をいたしているということが、私の理解のとおりであるとすれば、こういう席で、自分のほうから出ている理事を前にして、あえてその理事会運営にまで立ち入った——立ち入ったと申しますと言葉が過ぎるかもしれませんが、不信感を抱くような発言については、私は御意見でありまするから、それをとやかく申し上げるわけではありませんけれども、多少、円満を欠くのじゃないか、かように感じますので、ひとつ、理事委員長にお尋ねいたします点は、理事会というものは、一体どういう性格であるのか、また今日まで、この委員会理事会が、米田委員のおっしゃるように、いかにも与党が押しつけがましく自分たち法案だけを先議して、社会党法案を軽んじて、あえて社会党理事の発言までも無視して強行してきたような傾向があるのかどうか、その二点について、率直にひとつお示しいただきたい。将来のこともありますので、お尋ねをいたすわけであります。
  41. 北畠教真

    委員長北畠教真君) 私に対する質問でありますので発言をいたします。理事会を設けまして、委員会運営をはかられる規則になっておりますが、われわれといたしましては、やはり理事の責任において、各委員意見を体しながら、他の党派の理事諸君と十分懇談を遂げて、できるならば円満に議事を進めていくということが建前じゃないか、こう思っております。なお、私、経験が非常に浅いのでございますが、四年間の議員生活中に、いろいろ理事会にも出席いたしましたが、特に文教だけに席を置いておったわけでございますが、豊瀬委員とも四年来、理事をやりながら親しく今日に至っております。決してわれわれ押えつけて云々というようなことをやった覚えはございませんので、その点参考に申し上げておきます。
  42. 米田勲

    米田勲君 ただいまの発言のうち、ちょっと私は私の立場から申し上げておかなければならぬと思いますのは、私は先ほど述べたような発言はたびたびはやっておらないのです。おそらくこの文教委員会に所属して相当長いけれども、まずこれだけ言ったのは初めてです。それがひとつと、きょうの委員会運営は、委員長理事打合会豊瀬理事主張したけれども、ついにいれられなかった、議がととのわなかったままここに諮られているわけです。だから、私は委員としてこの運営ではまずいではないかということを主張することは、わが党の理事を信頼していないということとは全然性質が違うわけです。私は豊瀬君の理事としての活動については全面的に信頼をして今日まできておるし、ただいまも信頼しておるわけです。ただ、豊瀬委員を代表者として委員長理事打合会でたびたび主張してきたが、その主張がわれわれの考えているように運んでこなかったことは事実であります。そうしてまた、きょうの委員長理事打合会にも特に豊瀬理事を通じてやったが、われわれの主張はいれられなかったのです。いれられなかったから、委員長は議がととのわないまま皆さんにこの委員会運営についてお諮りになっておるわけです。したがって、私はそれについて意見を述べたのでありまして、別に豊瀬理事を差しおいて発言しておるとは思っていないのです。豊瀬理事を信頼しておるということには変わりません。しかし、ただ、これはたびたび先ほどから吉江さんや斎藤さんの言われておるのは、豊瀬理事に言われたことと同じことを言われておる、相も変わらず同じことです。会期も少いからもっとはっきりしてくれというのが私の真意なんです。その点は誤解をなさらないようによろしくお願いいたします。
  43. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私は実は久保さんの御発言もありましたし、今、米田君も言いましたが、この委員会理事会が一致しなくて開かれた、委員長職権によって開かれた委員会とは思っていない、だからそういう考えのもとに臨んでおります。だから、そういう態度だということをひとつ御了承願いたいし、文教委員会というものは、いまだかつて委員長職権で行われた例はないのだ、こういうふうに私は了承しておる、いつも理事会は円満におやりになっておる。ただ、私ここでこういう議論をするということは、米田委員も指摘しておるように、何べんか誠意をもってやるやるといっていつも引き延ばしになっておやりになっておる。われわれは法案に対しては慎重審議でやるべきであるが、引き延ばしはやるべきではないといっておる、それを、質問の準備ができてないから、あとに残してくれということ、そういうことが許されるならそういうことをやっていくが、そういうことはいけない、それでは議員の職責を果たしていないというふうに考えて、慎重審議はやるが、引き延ばしはあくまでもいかぬ、こういう態度でいるのです。これがわれわれの態度であるからよく御了承を願いたい、誤解があっては非常に迷惑でございますから、この点だけ申し伝えておきますが、そこで、重ねて私はお尋ねしたいと思うことは、米田君は二十四日ということを主張しておりますが、二十四日が困難とするなら、それじゃいつごろをめどにして答を出そうとしておるのか、そういう日にちもほんとうに指摘できないのかどうか、どうなんですか、それは。私は経過を御説明願いたいといったら、そういうことではなく、理事会でおやりなさいというなら、それも了承しますが、だからいつごろにめどをつけるか。
  44. 斎藤昇

    斎藤昇君 今、成瀬委員のおっしゃるようなことについて、あと理事懇談会お話をいたしましょう、こういうことになっておるのですから、一方的に、私個人の意見としてこの委員会の席でそういうことを言うべきじゃないと思います。あと理事の打合会でそういう点に触れてやりたいと思います。
  45. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 非常に私は大事な点で、理事会尊重して、理事会で事を運んで円満にいろいろなことをきめていくのだ、こういう態度については感謝しておる。委員長職権ではない、そういう点で敬意を表します。それなら理事会のときには、そういうような日時のめどのことについても意見を出すのだ、ここらのところを出すのだ、そういうつもりなのだと了承していいですか、斎藤さんの言葉を。
  46. 斎藤昇

    斎藤昇君 そういうことに触れてお話をしようというのは、そういう事柄が一つの要件であろうと思います。そういうことに触れてお話を申し上げます。
  47. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 触れてということと、めどをつけて話をするということと意味が違うのですよ。もう少し押え込んだ話をしてもらいたい、ゆるふんな話じゃなくて。
  48. 吉江勝保

    吉江勝保君 実はそういう点を米田委員が非常に、要求というのですか、先ほど発言された。私がそれに対して先ほどお答えをしまして、一応、米田委員も御了承いただきましたので、私は成瀬委員の御発言も米田委員の御発言と内容は同じである、こういうふうに聞いておりますので、私が先ほど答弁したので御了承をいただきたいと思います。
  49. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私がだから聞いていると、どうもめどの日時が提示されないのじゃないかということを心配しているわけです。いやそのときにやるのだ、こうおっしゃるならそれでいいから、そのことまで委員会で話せないけれども理事会でやるのだという。委員会でおやりになっても差し支えないから、ぜひひとつ言っていただきたいと思います。
  50. 吉江勝保

    吉江勝保君 ここではっきり理事から発言でも、何と言いますか、させておこうというとおかしいですけれども、お気持のようで、それはよくわかっているので、それも私もわかりますから、先ほど米田委員の熱心な発言で、後刻の散会後の委員長理事打合会協議をいたしたい、こういうように言っておりますのは、そこまではっきりやりますと言えとおっしゃらなくても、そういう私の答弁の中にも御感得いただけるのじゃないだろうか、こういうように申し上げたのであります。
  51. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私はこれから委員長の心がまえとして伺っておきたいと思いますが、先ほど一番最初に、軽重はないのだ、両方とも同じじゃないか、こういうお話でございました。そうすれば、おのずから先議案件理事会意見が一致すれば別ですけれども、そうでないような場合には、先議に付託されたいわゆる先議案件から大体順序に片づけていかれる、こういうふうに委員長も取り計らうというふうに了承してよろしゅうございますか。
  52. 北畠教真

    委員長北畠教真君) お答えいたします。この件につきましても、理事間の打ち合せで意見が一致するということでないとうまくいかぬと思うのですが、委員長がこうするとか、ああするとかいうような職権をもってやるというような気持を持っておりません。理事間の十分なる慎重協議と申しますか、その上に立って委員長は動いていくということが円満な委員会運営の方法じゃないかと思っております。
  53. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 かなり時間を取りまして、現在の間の理事会の打ち合わせの問題、あるいは議員提案法案取り扱いについて論議をしたのですが、委員長理事皆さん、並びに与党委員の各位も、ただいまの論議で十分御承知のとおり、すでに三月から三カ月間の審議日数を経過いたしまして、私どもの相互の話し合いの中では、いずれの法案が基本的には反対であるか、あるいは賛成できるか、趣旨としては了承できるか、この話し合いについては、大よその目鼻がついておるはずでございます。問題は、いつそれを皆さん方が、理事の個人的な意向としてではなくて、党の態度として、理事会の中で、あるいは懇談会の中で出していただくかということが当面の課題であり、そのことをたびたびは皆さん方に要求して参ったところです。したがって、今後の理事の打ち合わせというものが、皆さん方の善意の披瀝ということでなくして、党の文教部会なり、あるいは党の国対が了承した線の上での話し合いでない限りは、常に従来の善意の交換という範囲から前進を見ないと思うのです。もし、かりにですね、ただいま審議されておる教科書法案が一応審議が終わりまして、党の態度決定できないから、党の内部のいろいろな問題があるから、皆さんのように三ヵ月間の時間をかしてくれ、こういうおっしゃり方は、私どもがした際に、あなた方としては、おそらく会期末を控えた今日として了承なされないだろうと思う。問題は米田委員が指摘しましたように、法案の中身について、文部省まで呼んで打ち合わせをしましてから数カ月たっておるということですね。この間、理事の個人の御意向をここに披瀝できないということはわかります。当然、私どもは従来の相互の話し合いの中から、皆さん方の自民党としての態度決定していただくに十分の時日をかしておるということを御銘記願いたいと思う。そのことをきちんととらえていただいて、きょうの委員会終了後の委員長理事懇談会の中で、米田委員が具体的に要望をいたした内容について、個人的な私見の披瀝という、あるいは誠意の抽象的な交換ということではなくして、具体的に、皆さんとしても皆さんの持っておられる政府提案法案の始末もお急ぎであろうし、したがって、当然、三カ月の長きにわたって審議を続けてきた議員提案法案に対しても、賛否のいずれかの態度決定されるべき段階に来ていると思う。私は今日までの委員長理事懇談会の経緯を信頼いたしまして、そのことがきょうさらに、先日お約束申し上げました二十四日の委員長理事懇談会の中では、当然具体的に披瀝されるべきものという観点に立って、皆さん方の今日までの善意に信頼して、きょうはこの問題、議員提案の先議をするということを一応撤回をいたしまして、教科書法案質疑に移ることを了承いたします。
  54. 北畠教真

    委員長北畠教真君) それでは再度お諮りいたします。  義務教育学校教科用図書無償措置に関する法律案議題とすることに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 北畠教真

    委員長北畠教真君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。  これより本案について質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  56. 小林武

    ○小林武君 文部大臣に、先日来、明治憲法下における教育についての御意見を伺ったわけでありますが、このことは、今の憲法によって教育は国民の権利として、教育を受ける子供の権利として、また子供の親の権利として規定されている。今の民主教育を理解するためには、どうしても明治憲法下の教育についてどのような理解をわれわれが持っているか、どのようなその教育に対する批判を持っているか、そういう指摘がない限りにおいては、民主的な教育というもののほんとうの理解ができないのではないか、こういう角度からの質問をやったわけであります。そういう点につきましては、若干の点について事実については文部大臣も認められた個所もあるわけであります。たとえば、明治憲法の中における教育というものは、兵役とか納税とかと並んで、いわゆる義務として教育が課せられた。それは子供に対する教育の義務であり、子供を持つ親に対する義務である。いわゆる忠良な臣民を育て上げるという義務である。であるから国民の教育に対する要求に即応する教育ないし教育行政というようなものはその中にはなかったというようなことについては、大体形の上では認められてきたように思うわけであります。また、その教育行政が中央集権的なものであったということについても認められた。あるいはいわゆる忠良なる臣民を養成するという教育の根幹にあるものは教育勅語であったということ、あるいは修身教育であったというようなことも認められたわけであります。しかし、これを先ほど言った、どのように批判するかということについては頑強に文部大臣は答弁を拒否してきたように私は考えるわけです。今の教育の問題を論ずるのに、あるいは教科書の問題を論ずるのに、こういうことについて答弁を拒否されるということは、はなはだ遺憾でございますけれども、いつまでもこのことにこだわっておられないので、実はこの間の質問は続行することができなくて終わったわけでありますけれども、私はひとつここで文部大臣に、このことは認めるかどうかということをお尋ねしたいわけであります。それは憲法の前文の中にこういうことが書かれてあるわけであります。「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、」と書いてある。このことは、私が問いたい点は、今ここで憲法論をやるという意味では毛頭ないわけであります、そんなに間口を広げるつもりはございません。ただ、過去の教育の一体一番欠陥とするところ、問題とするところは、私が先ほど申し上げたような、国民の義務としての教育が中央集権的な教育行政のもとできわめて軍国主義的な政策の遂行の手だてとして行なわれた。そういうことがこの憲法の前文の中にある「政府の行為によって」云々ということときわめて関連が深いのであります。教育だけをこの項が問題にして書いているのではありませんけれども教育が重要なやっぱりこの中で要素をなしているということは、私の憲法前文の今の個所の意味だと思うわけであります。そのことをいっているのだと思うわけでありますが、文部大臣は、憲法に書かれておりますところの、政府の行為によって戦争が始められてそのために多くの人々が無為に死んでいったというようなそういう問題点が、日本の明治憲法下の教育の中にあったということをお認めになるかどうか、この点をお尋ねしたいわけです。
  57. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) あんまり自信を持ってお答えできない課題でもございますが、私の理解によれば、帝国憲法のもとにおきましては、宣戦講和の大権は天皇にある。主権在天皇のもと、当然ともいえましょうが、そういう主権在天皇のもとにおいて政府があった。まあそういう一連のことを念頭に置きながら、今御指摘の前文の文句も出てきておるかと思います。今の前文の御指摘の点のみならず、新しい憲法、初めっから終わりまで全部のことが考えに入れられながら、戦後の教育というものは行なわねばならないし、行なわれつつあると、こう思います。
  58. 小林武

    ○小林武君 私の質問にあなたはお答えになっておらないのですね。私は非常にそういう点困るのです。あるいはわが党の議員人たちはそういうことは考えないかもしれませんけれどもね、これはまあその以外の方たちは、何か私の質問がよけいなことを聞いているようなことを、まさか考えていらっしゃるとも思いませんけれども、そういう誤解を生むおそれがないともいわれないというようなことをほのかに聞いているわけであります。しかし、私は何度も申し上げますけれども教科書の問題の検定の問題をひとつ取り上げましても、それから今度の教科書無償措置法案の問題を討論するにいたしましてもですね、全般的に。この問題は、やはりあなたが日ごろおっしゃる教育基本法や憲法にのっとった教育をやろうとするからには、一体その教科書がよって立つところの憲法や教育基本法をどのように理解しておるかと、こういうことをはっきりしないというと議論ができないわけです。ところが、あなたの大体御答弁というものは、いつでもですね、私はどうも故意にやはり質問の中心をそらしているかのように考えるわけであります。そういうことをやりますというと、能率をきわめて悪くして、大体もう能率的にやれば相当の分量を毎日進むことができるものを、いつまでも同じようなところで行きつ戻りつをしなければならないというようなことになるわけでありますから、どうぞひとつ審議に協力するという意味で、少なくともこの討論の中から、引き延ばしをことさらやっているというような印象をなくする意味においても、あなたがひとつ率直にやっぱり答弁をいただきたいわけです。今あなたに聞いているのはそういうことじゃないのです。あなたの今の答弁のようなことを聞いているのじゃないということ、おわかりでしょう。憲法に書かれておる政府の行為の中に、それによって戦争に導かれるということを再びわれわれはやっぱりやってはいけないのだ、そういうことの中には教育も一役買っているというととは、少なくとも教育基本法を制定される過程を調べ、憲法を貫いている精神を見た場合に、すぐわかることでありませんか。そのことについて、あなたはいつでも言葉をにごして、いいかげんなことを言うから因るといっているんです。私の質問は、憲法の前文に書かれてある、いわゆる政府の行為によって戦争の惨禍を再び日本に持ち込まないために、過去の教育の反省に立って、少なくとも教育がいかなければならぬ。そのことが今度の教育基本法にもちゃんとうたわれておる、そう考えておるから、あなたにどう思いますかと聞いている。それについてのひとつ御答弁を願いたいのです。よけいなことはひとつおっしゃらなくともよろしいのです。
  59. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) 問題は、過去の教育の反省に立って、今の御指摘の前文をどうお答えするかということが、私はすぐ見当がつきませんから、さっき直観的に思いましたことを申し上げたわけであります。戦前の教育は、この前もお答えしましたように、天皇に主権があるという大前提において成り立っておる憲法だと思います。憲法の条章すべてが、諸政百般に関連を持つことは当然といたしまして、その根本の主権のあり場所が、今度新しい憲法においては国民にありとされた、その国民にありとされる大前提によって貫かれておる新しい憲法の各条章ことごとくが、私は新憲法下の教育の基本線でなければならぬ、こう思うということを、この前以来申し上げておりますし、今のお尋ねに対しましても、さよう考えるということをお答えすることが適切じゃないか、こう思ってお答えをしておるわけであります。
  60. 小林武

    ○小林武君 今の憲法の教育というものは、こういう立場で——いわゆる主権が国民にあるという立場で行なわれているということは、これは私もあなたも同じ考え方でしょうな。この点については、私はあなたにお尋ねしておるわけじゃない。そういう主権が国民にあるというような憲法が、どうして一体できたのか。千載不磨の法典といわれた憲法が、どうして一体改められたかという理由が、また教育についてみれば、そういう憲法のもとで行なわれた教育が、少なくともこの憲法の中に書かれておる政府の行為によって戦争の惨禍を招くというような、そういう問題を——そういう教育の一体問題点を除去するような立場に立って、今の教育が行なわれておると私は思う。あなたはその点について、どう考えるかと聞いているんですから、それを述べて下さればいいんです。今はどうであるということはともかくとして。
  61. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) これは、まあどうお答えしていいかはっきりわかりませんが、政府の行為によって戦争の惨禍が起こるということはあり得ないと思います。
  62. 小林武

    ○小林武君 それではあなたにお尋ねいたしますが、憲法前文の「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し」と書いてあるのは、これはどういうことになりますか。
  63. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) これは読んで字のごとくだと思います。
  64. 小林武

    ○小林武君 読んで字のごとくであるならば、政府の行為によって戦争の惨禍が起こらないということを、あなたは断定するのはおかしいじゃありませんか、再びという言葉も使っております。前にあったから再びと使ったでしょうが、前にあった、これからは起こしてはならない、こう言っておる。そのことに対して、あなたはそんなことが起こるはずがございませんという答弁は、読んで字のごとしではありませんでしょう。
  65. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) それは新憲法がさように定めているからであります。旧帝国憲法のもとにおいては、日清戦争以来何べんも戦争がありまして、戦争の惨禍を受けた。新憲法下においては、政府の行為によって戦争の惨禍が起こるということはあり得ない、それは憲法の精神だと思います。
  66. 小林武

    ○小林武君 それではその議論の中の一つだけをお伺いいたしますというと、過去においては、政府の行為によって戦争の惨禍が起こったという事実をあなたは認めるわけですか。
  67. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) 私が認める認めないじゃなしに、日清戦争以来、日本が一大敗戦を喫しました戦争に至るまで数回戦争というものはあった、それによって戦争の惨禍というものは起こっておる現実であります。私が思う思わぬと、かかわりないと思います。
  68. 小林武

    ○小林武君 そういう惨禍が起こったということは、いやいやながら肯定なさったようです。こういうことを再び起こしてはならないと憲法は書いてある。これは前文に書いてあることは、これは認めますか。
  69. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) いやしくも憲法に定められておる以上は、私が認める、認めないということではない、憲法それ自身が厳然として宣言していること、そのことは全国民が順奉すべきことだと思います。
  70. 小林武

    ○小林武君 一体、一国の文部大臣が、これを守るとか守らないとかいうようなことを憲法に言えるものですか、憲法については守らなければならない、認めなければならないということが、あなたには義務づけられておるのじゃないですか。第九十九条ですかね、「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」と書いてある。あなたは文部大臣として、憲法に書かれてあることを認めるということを拒否されますか。そういう意味で、あなたは今のような発言をなさっているのですか。
  71. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) その御質問意味がよくわかりませんが、憲法  の趣旨にのっとって制定された教育基本法、学校教育法教育関係法律はもちろんのこと、ことごとくの法律に委任を受けた命令に至りますまでが、憲法の下に存在する日本人としては、だれでも従わねばならぬということは言わずして明らかなことなんで、そのことを私が守るとか守らないとかいう以前の当然のことだと思いますから、先刻のようにお答えしたわけであります。
  72. 小林武

    ○小林武君 それでは当然のことであるから、先ほど私の言った政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こらないようにすることを決意する、このことは、少なくとも教育との関連において、あなたは文部大臣として、教育の中に少なくともそういうことを再び起こさないような、こういう規定が、憲法十二六条の中にあるということを認める、こういうことでしょう。すなおに言えば当然認めるということでしょう。たいへんあなたの言い回わしは妙な言い回わしをするけれども
  73. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) その点は、私はお尋ねになるまでもないことだと思います。
  74. 小林武

    ○小林武君 それならば、もっとすなおに答えていただきたいと思います。だから、時間がかかってしようがないわけです。
  75. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 ちょっと関連して、大臣、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起とることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、」こうなっている。そこで、今小林君の質問に対する大臣の御答弁を聞いておりますと、政府の行為じゃなくて、天皇の大権によって再び戦争の惨禍が起こることのないようなことを決意し、ここに主権が国民にあることを宣言する——こう書いたほうがものわかりがいいような御答弁の仕方なんです。戦争が起きたということは、天皇に宣戦布告等の、何と申しますか、権威があった、権力があった、そういう行為があったものだ。したがって、そのことのないように、政府の行為ということじゃなくて、天皇にそういうことがあったのだから戦争が起きたのだ、だから、主権住民をここに宣言するのだ、こういう解釈のように受け取れるわけですが、そういう解釈ですか。それとも小林君が言っておるように、政府の行為にもいろいろなことがあると思います、戦争に。行政上いろいろなことを持っている、そういうことまで含めての話なのか、その辺は、どういうふうに解釈しておられるのか、伺っておきたいと思います。
  76. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) 政府というのは、主権者たる国民の主権の作用としての行為を分担した機関すべてだろうと思います。そういう政府の機関の行為によって、戦争が起こるなんていうことは一切許さない、しないのだ、という宣言だと思います。
  77. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 大臣の言われることもわかるのですよ。私が言うのは、なぜそれでは戦争が起きたかということなんです。なぜそれじゃ戦争が起きたのだ、過去の戦争というものはなぜ起きたと、こうお考えなのか。それは天皇が主権者だったから戦争が起きたとお考えになるのか、政府のもろもろの行為によって戦争が起きたと、こうお考えになるのか、その出てきたゆえんの由来についてのことと関連して……。
  78. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) 由来は、天皇に宣戦布告の権限がなかりせば起こらなかったであろうと言えないことはないと思います。
  79. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そうすると、そこから一つの、これは反省の上に立って書かれた前文でございますから、そこで戦争犯罪人と言うとあれですが、戦争の起きた長大の原因というのは、主権、いわゆる権利ですね、天皇に主権があったために戦争が起きたのだ、こう解釈しておみえになるわけですか、大臣、主たる原因は。
  80. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) 御質問の焦点が私にはよくわかりませんけれども、戦争というものは、一体どうして起きたかということは、これは歴史家に聞かなければ、はっきりしたことは言えない分野でもあろうかと思います。戦争という現実が起こる、その直前の具体的行為とならば、宣戦布告することによって戦争が始まるということだと思います。それがそうならざるを得なかった歴史的な分析において、いかなるものであったかということは、私は今即座に申し上げかねる。
  81. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 くどいようで悪いですが、大臣、これはお持ちですね、それでそこのところを見ておっていただきたいのですが、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、」と、こうなっておるわけです。したがって、主権在民の宣言をしたということは、逆に言えば、天皇に主権があったために戦争になったのだ、だから、そのこともやめて主権在民の宣言をしたということは、天皇から主権を国民に移したのだ、こういうふうに解釈していいかということを聞いておるわけです。
  82. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) それは、そう解釈できると思います。その気持を含めて、先刻来お答えをしておるつもりでございます。
  83. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そうすると、大臣のお考えで言えば、天皇なかりせば、いわゆる天皇に主権なかりせば、日本の戦争は起こらなかったと、逆な言葉で言えば、そういうことになる。
  84. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) そのお尋ねでございますと、一体日清戦争は、どうして起こったのだろう、日露戦争は、どうしてだろう、いわゆる大東亜戦争は、どうしてだろうということを一々分析して、歴史的に考え合わせて、そこにいろいろな反省が出てくるという課題としてでなければ、お答えにならぬと思いますが、先ほど来申し上げているように、戦争がなぜ起こったかという意味でおっしゃれば、宣戦布告を契機として起こった、一番端的に申し上げれば、そう申し上げざるを得なかった、こういう気持お答えしておるわけでございます。
  85. 佐藤芳男

    ○佐藤芳男君 関連して……。大権なかりせば、戦争は起こらなかったかもしれません。この御発言に対して、私はちょっと大臣の真意を伺っておきたいのであります。おそらく大臣がかように答弁されました真意を私がそんたくいたしますならば、大権機構というものがあったから、それは形式論からして、宣戦布告に相なったのだという、こういう形式論で一応の答弁をなすったのかもしれませんし、または大権が天皇にあったから、いわゆる袞龍のそでに隠れて非望をいたす者も生じたのだと、こういうような意味も解釈できるのでありますが、ちょっとそういうような解釈でなしに、ただ軽く聞いておりますと、天皇が明らかに戦犯のような印象を国民に与えては事重大だと思いますので、私はそんたくを交えまして、一応伺かっておくところでございます。
  86. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) むろん、今佐藤さんのおっしゃったことも含め、またかりに袞龍のそでに隠れて政府機関が天皇大権を発動せざるを程なくせしめたということがあるとしましても、さらにそうぜざるを得なかった事情というものは何だということが、仔細に私は検討されて初めて、どうして戦争が起こったかということが断定できる、こういう課題だと思いまして、最終段階の宣戦布告ということが戦争になったきっかけだと形式的に申し上げているのであります。
  87. 佐藤芳男

    ○佐藤芳男君 わかりました。了承
  88. 小林武

    ○小林武君 文部大臣のような意見も、また意見の一つ、天皇制というものに対するきわめて厳しい批判が文部大臣からなされたことは、これはまあ意見としてお聞かせいただいて、たいへんこれは率直だったと思います。ただ、このことについては、やはり速記録を十分お読みになって、将来それらの点について、ひとつあなたの言動に対する責任だけははっきりしておいてもらいたいと思う。あとで、さかさまのことを言って、前のことを全然忘れたような御発言のないように、ひとつお願いをいたしまして、私はここで、もうあなたといろいろの点について、この項に関しては質問をしませんが、何と言っても、あなたが幾らいろいろのことをおっしゃっても、あなたの天皇の問題も、それもよろしいでしょう。さらにしかし、政府そのものの責任というようなものも、やっぱり天皇を含めて問題があったということだけは、はっきり御確認をなさる必要があると思う。そのことが、憲法の中に書かれている。憲法二十六条のいわゆる民主教育というものは、過去の明治憲法下の教育を否定し、教育が国民のものであるという立場で、とにかく出発したものであるということだけは、これは認める認めないは別として、もしあなたがそのことについて認めないということになると、私は憲法に忠実なということを売りものにしているあなたの発言はうそだということになるわけでありますが、あなたのお考えが、そういう今まで骨を左右にして、いろいろなことをおっしゃっておりますけれども、そういう反省の上に立って、新しい教育を見ているというふうにひとつ考えていきたいと思います。  そこでお尋ねいたしますが、私は憲法によって、それでは国民というものは、一体どういう教育が保障されているのか、内容的には、一体どういう教育が保障されているのか、このことをあなたにお尋ねいたしたいわけであります。このことは、あなたは各地で、いろいろな議論をなさっておりますから、何の質問をしているか私はわからぬというようなことはおっしゃらないだろうと思うのです。おっしゃれないだろうと私は思うのです。簡単でけっこうですから、いわゆる日本国憲法によって、どういう教育が保障されているか、内容的に、一体どういう教育が国民に保障されているか、この点をお尋ねいたしたいわけであります。
  89. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) 教育の目的は、教育基本法に明記してあることが一番包括的なお答えになろうかと思います。
  90. 小林武

    ○小林武君 それでは、ひとつ念のために申し上げますけれども教育基本法は「われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。」こう第一段のところでは書いているわけです。その内容にもわたる問題としては、第二節に「個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育を普及徹底しなければならない。ここに、日本国憲法の精神に則り、教育の目的を明示して、新しい日本教育の基本を確立するため、この法律を制定する。」と、こう宣言しているわけでありますけれども、このことは、あなたが、憲法、教育基本法の中の前文ばかりでなく、さらには第一条から次の各条にわたって書かれてあるこの教育基本法が示しておるということになると、何といっても平和主義であり民主主義を内容とした教育でなければならないということは、この中に書かれておると思うわけであります。  でありますから、教育は第一に平和を求める人間の育成ということが非常に大きな内容として取り上げられておる。私は、そういう点で文部大臣並びに政府委員について、両方から御意見を伺いたいわけであります。  学習指導要領とか教科書の検定とか、そういうものについて一体、戦後さまざまな改訂なり改良なりの跡の中から——あなた方は改良、改善といっておるのですが、そういう跡の中から、どのように具体的に重視してきたかということについて、概括的でけっこうですから、お伺いしたいわけです。
  91. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) 概括的には、今御指摘のとおりの心がまえで今日まで、文部省は教育の改善をしてきたつもりでございます。新しい教育課程につきましては、まず第一に地理や歴史をもっとじっくり教えよう、道徳教育をもっと学校教育を通じて教えていこう、さらには技術革新の世界的な動向の中にありまして、子供のころからも、もっと理科の教育をみっちりやっていこう、主としてそういう点を主眼に置いて新教育課程が編成され、また、それに応ずる学習指導要領というものが制定されて、今日の段階に来ておる、かように思っております。さらに具体的なことは、必要とあらば政府委員からお答え申し上げます。
  92. 福田繁

    政府委員(福田繁君) ただいま小林委員から御指摘のありましたように、教育の目的自体は、教育基本法の第一条に示してありますように、「人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、」云々という言葉がありますように、教育基本法のこの趣旨に基づいた教育を行なうというのが、学校教育法その他から出て参ります教育の目的でございます。したがいまして、ただいま大臣からお話がございましたように、学校教育法を受け入れまして学習指導要領等におきまして基準をきめております内容は、もちろん国民一般として基礎的な学力あるいは知識というものを、必要なものを教えていくという立場と同時に、日本人としてこの国際社会におきましても、十分尊敬に値いする日本人を育成する、こういうような立場において学習指導要領その他のものができているわけでございます。したがいまして、抽象的ではございますが、もちろん基本法あるいは学校教育法の規定に準拠いたしまして、そういう内容が基準として示されておるのでございます。
  93. 小林武

    ○小林武君 学習指導要領の改訂につきましては、昭和二十二年に制定されましてから、二十六年、三十年、三十三年と改訂があったと思うんですがね、その内容的な変わり方の中で、平和を求める人間の育成ということが、だんだん強調されていったというような具体的な事例をひとつ、その指導要領の中から示していただきたいわけです。これは政府委員からでけっこうです。ちょっと答弁の前に、もう一度注文をつけておきますが、今は平和を求める人間の育成ということについて、ほかのことは、あとでけっこうです、その点について、当初二十二年ですか、私もそのところは、はっきりしないんですが、二十二年当初のもの、そのものから、一体扱いとして、どのように具体的に平和を求めるということについて、いわゆる改訂、あなたたちのあれがどのように憲法や教育基本法に沿うように改められてきたかということを示してもらいたい、具体的にひとつ、例をあげてやってもらいたい。
  94. 福田繁

    政府委員(福田繁君) ただいま古い学習指導要領を持っておりませんので、これは後ほど調べましてお答えをいたしたいと思います。
  95. 小林武

    ○小林武君 古い学習指導要領をお持ちにならぬということも、これはまあよくわかりますけれども、そういうときに、お持ちになったら都合がよいということも私自身わかりますが、一体どうですか、文部省がそのことについて、少なくとも過去の世論の中で、さまざま議論されたのですから、あなたも十分そういう議論はお聞きになっているわけですから、そう正確を私は要求しません。一言一句違わないようにとは要求しませんから、一体、どのようにというようなことについては、一応お示しいただきたいと思うわけです。
  96. 福田繁

    政府委員(福田繁君) ただいま手元にございますもので申し上げますと、たとえば小学校の学習指導要領の内容でございますが、「日本人としての自覚を持って国を愛し、国際社会の一環としての国家の発展に尽す。」というような、そういう項目もございます。これについては、やはり過去のいろいろな経験から見まして、今後の日本の国民としてのあり方としては、国際社会の一環としての日本国家の存在というものを十分考えて、そういう国際社会の一員としての日本国の発展に資したい、こういうような趣旨で、そういう意欲を育てることを内容としたものだと考えております。また、広く世界の人々に対して、正しい理解を持ち、仲よくしていこう、こういうことは、先ほど申し上げましたような、国際社会における相互の理解というものを深めながら、平和的に共存共栄をはかっていきたい、こういう目的で学習指導要領というものができておると考えております。事例をあげますと、さようなことだと考えております。
  97. 小林武

    ○小林武君 今政府委員説明なさったことは、現在の学習指導要領のことでありますね。
  98. 福田繁

    政府委員(福田繁君) さようでございます。
  99. 小林武

    ○小林武君 私が質問をしているのは、現在あなたのおっしゃることは——私は現在のことだけを聞いているのではない。昭和二十二年から現在に至るまで、憲法や教育基本法の内容に従ったそういう平和を求めるところの、平和を希求する人間の育成ということで、どのように一体だんだん、あなたたちはよくしてきたか。文部大臣の言葉をかりて言えば、憲法や教育基本法から一歩もはずれることなく、日本教育を行なっておりますと、私はそういう信念で文部大臣を務めておりますと、こうおっしゃっておる。が、しかし、私はそれを全面的に信頼しているかどうかは別といたしまして、そうおっしゃっている。そのことが、少なくとも文部省に長く勤めていらっしゃるあなたはよく御承知だと思うので、そういう発展の仕方について、具体的に示していただきたいと思うのです。  私は、こういうふうに考えているのです。初めの学習指導要領というものは、新憲法の精神を徹底的に青少年に教える、そういう要望を持った学習指導要領だと思うのです。そのことは、具体的に例をあげれば、幾多の問題はあると思うのです、戦争の放棄の問題におきましても、あるいは基本的人権の問題におきましてもいろいろあると思います。私はまあ平和という問題を一つ取り上げて、それが一体あの初期のころから、どう変わっていったか、どう一体、あなたたちの言葉を借りて言えば、発展していったかということを明らかにしてもらいたいから言っているんです。その点の経過が明らかにならないというと、今はこうですということでは、私の質問に答える答弁にはならないわけです。もし、はっきりおわかりにならないというなら——今言われないというなら、そうおっしゃって下さい。
  100. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 正確な資料を持っておりませんので申し上げかねますけれども、しかし、ただいま御指摘のありましたような点は、教育基本法が制定され、それに従って学習指導要領が作られ、そして学校教育が行なわれまして以来、御指摘のように学習指導要領の改正はございましたけれども、先ほど申し上げましたような基本的な考え方というものは、当時から変わっていないと考えております。  したがいまして、その限りにおいては、教育基本法のいわゆる平和的な国民を育成するという、そういう点においては、考え方あるいは実際の指導方法というものは変わっていないと申し上げて差しつかえないと思います。
  101. 小林武

    ○小林武君 そのことについては、もっと具体的におそらくいろいろな方から、いろいろな角度から、また御質問があると思いますので、これはひとつ、そのときに譲るといたしまして、それでは次にお尋ねいたしますが、基本的な人権を尊重するという精神、これはやはり今の教育の内容の一つだと私は考えるわけです。つまり、まあ生徒、児童というようなものが、はなたれ小僧だというような考え方に立つのではなくて、一人々々を貴重なものとして全人格的生成をはかるものだと私は考えるのです。それが憲法の精神だと思っております。したがって、この基本的人権の尊重の精神というやつは、基本的人権を保障する民主的な諸制度、それから十分な知識、それを擁護、発展させるだけの資性と能力を養うということが、まず大事なことだと思うわけですけれども、そういう点では、どうですか。その今のあなたの御答弁からいって、指導要領の中におきましても、あるいは教科書を検定する立場にいたしましても、検定という一つの仕事の手続の上からも、十分尊重されているとお考えになるか。これも文部大臣と、それから政府委員についてお尋ねをしたいわけです。
  102. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) 今御指摘の点につきましても、もとより当然のことだと心得ます。
  103. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 人権の尊重ということは、現在の憲法のもとにおきまして当然でございます。したがって、学研指導要領におきましても、人間尊重の精神を貫き云々というような言葉がございますように、現在の日本国憲法のもとにおける人権の尊重ということは、当然に指導要領の中でも考慮されているわけでございます。したがって、それを受けて教科書の検定というものが行なわれるわけでございますから、大臣からお答えになりましたとおりに、検定においても十分尊重されておる、このように考えております。
  104. 小林武

    ○小林武君 もう一つ、その点でお尋ねしておきたいのですけれども、基本的人権というものは、容易に権力によって侵されるものである。憲法もそのような歴史的な経験に徴して、国民に対して「不断の努力によって、これを保持しなければならない。」ということを憲法の十二条に書いているわけでありますけれども、いわゆるこの十二条の精神というようなものの要請についても、十二条に書かれておりますところの基本的な人権を権力によって侵されてはならないと、不断の努力をするのだということも、もちろん教科書指導要領等に明らかに内容としてもたれておるというふうに考えてよろしいですか。これは政府委員にお尋ねいたします。
  105. 福田繁

    政府委員(福田繁君) そのとおりだと考えております。ただ、十二条の前段を御引用になりましたが、もちろん憲法の建前といたしましては、そういう国民の権利というものを濫用してはいけないということも書いております。また「公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。」こういうようなことも書いてございます。したがって、憲法の趣旨にしたがったそういう精神のもとに、これが行なわれるということは当然のことだと考えております。
  106. 小林武

    ○小林武君 福田政府委員に、念のために十二条の問題をもう一度お尋ねいたしますが、あなたはこの十二条の問題について、私は後段を読まないわけではない。この後段に示しておりますところの「濫用してはならない」ということは、憲法が国民に保障する自由や権利というものを制限するために書かれてあるとお考えになりますか。
  107. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 十二条は、そういう御指摘になりましたような精神を掲げていると思いますが、具体的には、たとえばこの二十二条でございますか、具体的な居住、移転、あるいは職業選択の自由というようなものにつきましては「公共の福祉に反しない限り」という具体的な条文が規定されております。したがって、それぞれ個々の条文に従って、これは憲法を順守していくべきものだ。こういうように考えております。
  108. 小林武

    ○小林武君 あなたの十二条並びに二十二条について、今御意見がございましたけれども、あなたは憲法に保障された国民の権利というものについて、むしろこれを制限するようなところに重点を置かれたような、こういう御発言があるということを私は非常に遺憾に思うわけでありまして、その点については、また具体的にいずれお話をすることがあると思いますので、次に進みましょう。  その民主主義の維持発展というようなこと、しかもわが国の文化を高めていくというようなことになると、何と言っても真実を教えるということが、真実を伝えるということが、教育の仕事の中で、これが現実のいろいろな複雑な社会また自然の事象の中から、真実を読み取っていくところの姿勢なり、あるいは能力なりを、教育を通じて子供のものにするためには欠くことのできないものだと思うのです。でありますから、私どもは、何といっても、教育の中におきまして、真実を伝えるということが重大なことだと考えるわけであります。このことは、憲法にも教育基本法にも、その重大性を強調しているわけであります。しかも、この真実というものも、往々にして権力によってくつがえされやすいものであるということは、皆さんも御存じのとおりであります。これはひとり日本の問題ではなくて、洋の東西、古今を問わず、そういう事例はたくさんあるわけであります。でありますから、教育の中で真実を守るということは、非常に重大な使命であると思うわけであります。このことをやはり徹底的に学校の中で子供に教育して、そうして自主的精神に満ちた、りっぱな日本の国民を養成しなければならぬということを、基本法の前文や一条の中にも、やはりそのことを明らかにしているわけでありますが、検定の問題で、いまだかつて、どうですか、真実をゆがめるというようなことが、検定の問題の中から起こったことはございませんか。そういう抗議を検定の問題の中で、あるいは教科書会社でもけっこうでありますし、それからその筆者でもいいのですが、そういう人との間に、一体文部省は検定という仕事の、操作の中から問題を持ち込まれたことはないですか。
  109. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 私は、その真理をゆがめるというような抗議は、あるいは異議を受けたことはございませんが、検定の過程におきまして、学校教育の場において使う教育的なものとして、素材として適当であるかどうかというようなものについての論議と申しますか、論争は受けたことはございます。
  110. 小林武

    ○小林武君 このことは、真実がゆがめられたということに結びつきませんか。
  111. 福田繁

    政府委員(福田繁君) どの場合をおさしになっているかわかりませんが、私が聞いておりますのは、そういう真実とか真理とかいう問題ではないと思います。
  112. 小林武

    ○小林武君 たとえば高等学校の歴史の教科書の中で、高等学校の歴史の教科書の検定のときに、教科書を書いたある学者の方の検定に対するさまざまな不満の中に、古代社会の妻問い婚、そのことについて書いて、女性の位置は後世よりもずっと高かったと書いたところが、これは、まげることのできない真実でありましたけれども、真実を教えることは好ましくないと、そういう批評が加えられてきたという、そういう事実があるように聞いているのですが、この場合、歴史的事実を教えるということ並びに女性の地位の問題を民主的な社会の中で古くからあったことを正しく教えて、現在の問題解決のために教育の中で教えようとすることに対して、これは文部省の検定は、真実をゆがめて、真実を否定するような態度に出ているように私は思うのですけれども、そういう事実はなかったのですか。もしあったとしたら、どういうことになりますか。
  113. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 今御指摘になりましたような事柄については、私は具体的に知りません。したがって、仮定のことに対しては、ここで御返事を差し上げることを差し控えたいと思います。
  114. 小林武

    ○小林武君 仮定ということは、どういうことでしょうか。これは仮定というのは、そういう事実があったのではないかという、そういう想像のもとに私が言ったとでもお考えになって、仮定のことについてはお答えできませんと、だれやらのようにおっしゃるわけですか。それとも、そういう事実が全然ないのに、私がそういうことを言うから、事実のないことについて、こういうことが起こっているのではないかというような立場で話をされることについてはお答えができませんというのか。この点明らかにして下さい。あなたのその文部省の中で、そういう事実が全然なかったのかどうか。私はあったということを明らかにして、自分が、こうであったということを聞いた上に立って言っているのです。ただ、その人の名前をあげるとか何とかということは、数限りなくたくさんあるわけですから、一々あげる必要はないと思います。今そういう事実のことを特に例にとって、あなたに言っているのですから、だから、どうぞ言って下さい。
  115. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 先ほど御指摘のありました妻問い云々ということのお尋ねでございます。これについては、私はただいまそういうことがあったかどうかということは知らないということを申し上げたわけであります。それに対しまして、あったとしたらどうかというお尋ねでございましたので、これは事実を調べませんとお答えができないわけで、そういう意味に申し上げたわけであります。調べてお答えいたしたいと思います。
  116. 小林武

    ○小林武君 私は、今あなたが文部省のことをすみからすみまで何でも知っていなければならぬというようにも考えないのです。それからわからないということも、これはやむを得ない場合もあると思うのです。しかし少なくとも教科書の問題を、検定制度の問題を取り扱うあなたは、責任の立場にある方だと思っておるのです。今までそういう場合、検定の問題はたくさんの事例があるわけですが、その種の事例の問題は、あるものは堂々と雑誌に書き、新聞に書いておられるわけですがね。あなた、今何かにひょっこり文部省においでになった方で、そういうことについて実はよく聞いておりませんということならば、私もはあそうですかというくらいのことを言ってもいいのだけれども、あなたの立場におって、しかも文部省では相当に古い、検定の問題というものは、今まで相当たくさんの問題を持っておるわけですから、ほんとうに今知らないのか、知らないのであったら、責任者がおるわけですからね、あなたひとつ調べて、仮定のことだなんて言わずにお答えを願いたいと思います。今ここでは、絶対そのことについては、何とも答弁のしようがないというほど、あなたは御存じないわけですか。
  117. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 御指摘のありましたことについては、私は存じません。これはよく調べまして御返事いたしたいと思います。
  118. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 ちょっと関連して。教科書の検定をやる際の検定委員といいますか、そういう連中が審議した議事録を当委員会に出すように要求した際に、その当時の初中局長の内藤君は、いわゆる速記録はございません。しかし議事録はございますので提出いたします、こう言っておるのですから、その当時の記録を一緒に出して下さい。
  119. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 議事録は公表しないことになっております。
  120. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 いや、公表しないことにしておりますと言ったけれども国会委員会要求として提出を求めたところ、内藤君は、速記録はございませんけれども出しますと、文部大臣がおるところでちゃんと言っている。議事録に残っていますよ。あなた方の建前は、従来はそれでよろしい。だから委員会の中で出すのですから、秘密の資料であろうと何であろうと当然出すべきですよ。出せないというなら、(「法律できまっておることか。公表しない、出せないということは自分の独断でないのか。」と呼ぶ者あり)これは委員会の席上において内藤君が答えたことですよ、大臣もおるところで。そして国会審議に必要なものは、国家の機関の中でいわゆる公表しないという建前をとっておっても、必要な部分については、それは出すというのは、参議院の法制局も当然そこまで及びます、こういう見解を当時示しておるのです。あなたが今さら困ったような顔をして公表しないようになっていますと、もっともらしい顔をしたって、それではつまらんですよ。求めるものは、当時の記録については、これから次々に要求していきますから、速記録はないと言いましたから、それは了承しました。記録について必要なものは自後出して下さい。
  121. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 御要求のありました点は、十分研究いたしたいと思います。
  122. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 大臣にお尋ねしますが、いわゆる現在法的に行政機関が国会提出を拒否することのできる資料というのは、何ですか。法的に提出を拒否することの、国政調査上提出要求した際に拒否することのできるものは何ですか。
  123. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) 明確にお答えできませんが、たとえば法律によって提出を免ぜられているというふうなものがあるとすれば、そういうもの以外は提出しないとは申し上げ得ないだろうと思います。
  124. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 大臣の今のお答え了承いたします。したがって、それを委員会審議の際に、秘密会とする必要があるか、あるいは速記をつけないでやるかとか、あるいはその他の委員会の秘密を守るべき措置については、これは当然問題の性質を考え、内容を考えて当委員会が判断すべき問題になってくると思いますが、文部省が、今まで建前として出さないことにしていますという行政慣行で、当委員会審査上求めたものを、そういう拒否はできないという大臣の見解については了承しますので、自後求めていくものについては提出をしてもらいたいと思います。
  125. 小林武

    ○小林武君 もう一つその点でお尋ねをしておきたいわけですけれども、不合格になった、ある日本史の教科書について、こういうことが書かれている。幾つかその不合格の理由が書かれているわけですけれども、その中の一つに——一つだけ今申し上げますというと、過去の史実により、反省を求めようとする熱意のあまり、学習活動を通じて、祖先の努力を認識し、日本人としての自覚を高め、民族に対する愛情を育てるという日本史の教育目標から遠ざかっている感が深い、こういう理由があげられたそうであります。この点について、書いた側のほうは、こういう不満を持っている。過去の史実によって反省を求めようとする熱意のあまり云々ということがあげられておりますが、そもそも過去の史実により反省を求めようとすることは、憲法前文の政府の行為によって、再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることの決意並びに平和を維持し専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努める精神から当然要請されるところであり、教科用図書においても、憲法の精神を発揮することに熱意を注ぐのは、他のあらゆる要請に優先して要請せられるところであると考えます。日本人としての自覚を高め、民族に対する豊かな愛情を育てるということも、この憲法の精神に基づく反省を前提とするときにのみ、初めて日本国憲法下の教育目標にふさわしい内容を持つことになるのでありまして、過去の史実により反省を求めようとすることなく、過去の史実を盲目的、無批判的に美化することが、日本人としての自覚を高め、民族に対する豊かな愛情を育てるゆえんであると考えるならば、そのような考え方は、日本国憲法及び教育基本法の精神に反するものといわなければなりませんと述べているわけであります。  この点については、どうなんです。あなたたちは検定の責任者なんです。よい教科書を作るか作らないかということをあなたたちの手のうちに持っているといってもいいくらい。まあ検定の問題を論ずる場合には、いろいろな角度からやらなければなりませんが、私は今、真実ということの一点から、また憲法、教育基本法に従って教育をやる。こういう角度から、今のような筆者の不満というようなものは正しいかどうか。正しくないかどうか。あなたたち政府委員意見を聞きたいわけです。なお文部大臣の御意見も、ひとつお伺いしたいと思うのであります。
  126. 福田繁

    政府委員(福田繁君) ただいまお述べになりましたような点について、私、十分理解がいきかねるわけでございまするけれども、推測いたしますると、まあ真実であれば何でもよろしいんだ。しかも子供の発達段階考えないで、それを用いてもいいんだというような、もしそういうお考えで著者があるならば、これは私も、必ずしも賛成はできない点でございます。やはり教育の場において教材、素材として使う以上は、やはり教育的な配慮というものが当然なされなければならないと思うわけでございまして、子供の能力あるいは理解、そういうものを考えまして、教育的にこれを扱うということが、当然に教科書としては必要であろうと思います。そういう観点から教育的にいかに取り扱うかということは、その教科書を検定する際に、十分私どもは注意をしておるつもりでございまして、おそらく調査官におきましても、そういう点を十分配慮してやっておるものと考えております。
  127. 小林武

    ○小林武君 私は長々と史実について読み上げたわけです。だから、あなたが理解がつきかねるというのは、どういうことですか。推測でものを言うというのは、どういうことですか。あるいは、この中から、あなたは、教育的配慮を検定に携わる者がやったというのは、どういうことを指しているのか。もう少しはっきり述べてもらいたい。
  128. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 百パーセント理解がいきかねるわけでございますので、そういう推測というような言葉を用いましたのでございますが、おっしゃる意味のことはよくわかりますけれども、要するに教科書として、それを使うという、素材を使うという場合におきましては、当然に教育的配慮がなされているかどうかという点が、やはり重要な点であろうと思います。そういった意味で、かりに著者が、学問研究上においていろいろお取り扱いになる方法と、教科書の素材として取り扱われる、そういう扱い方とは、おのずからやはり考え方があってもいいのじゃないか、こういうように考えますので、そういった意味から申し上げたわけでございます。
  129. 小林武

    ○小林武君 百パーセントよくわからないというのは、これはどういうことですか。私が今読み上げたことをあなた聞いていたのでしょう。もう一回読みますか。なお、そのおっしゃる意味はよくわかるがと、こういうことを言う。私の言った意味というのを、どういうふうにおとりになっているのです。私はそういう、いいかげんな答えをされるというと、こまかい言葉じりをとらえてものを言わなければならぬことになる。そういう論争は、あまりここでは必要のないことなんです。いたずらに質疑の間に時間をよけいとるというのは、いつでもあなたたちの、そういう妙な答弁からばかり出るのです。一体、この問題の中の史実に基づいて反省を、歴史教育の場合するということが、間違いかどうか。「政府の行為によって」ということと結びつけて、歴史的事実の中から国民に対して、憲法や教育基本法に沿うたような人間をつくろうという、そういう考え方が、なぜあなたたちは……、それとも、よくわかるけれども教育的な配慮で、それはきっとだめにしたのでしょうというような、そういうあいまいな言葉で、なぜ一体濁すのですか。そのことについて、あなたどう考えているのですか。歴史的事実によって反省を今する、するのだ、その中から日本国民の育成をやろうという、そういう考え方を、あなた否定するのですか、肯定するのですか。それだけのことなんですよ。あなたは、そういう事実を教育的だと考えるのか、非教育的だと考えるのか、事実をあげて言えと言えば、事実をあげてもいいのです、たくさんあるから。ただ、時間を浪費するから、しぼってあなたに聞いているのですけれども、真実は何でも教えていいか——何でも、ということがありますか、一体。歴史的事実というものを作って、それを盛る、作るといえば、歴史的事実が、事実として証明されるということ。そのことが一つ教材として出るまでの間には、たいへんな学問的な苦労を経てでき上がるということですよ。何でもかんでも、なんというような、そういうことがあなた、教科書を検討する方として、そういうような、一体粗雑なものの言い方でいいのですか。
  130. 米田勲

    米田勲君 関連質問。福田局長に、今、小林委員の聞いたことについて、関連してお聞きをいたしますが、明確に答えて下さい。  私は、日本教育の場で考えられる教科書に扱われることは、大原則は、真実を伝えなければならぬということなんです。これを踏みはずしてはならない、日本の過去の教育、そうして教科書は、あまりにも真実をひん曲げて修飾をして、でっち上げたことを教え過ぎておる。こういう反省がなくてはならない。したがって、私は教育教科書を論ずる場合には、真実を曲げてはならないということが大原則ですよ。ただあなたの言う教育的見地という、そういうことは配慮しなければならない。それは心身の発達に即応してという立場だけです。教育的見地から立って、真実がひん曲げられていいとか、真実が修飾されていいということはあり得ないと私は思う。だから、あなたの言う教育的見地とは、あくまでも真実とは無関係で、子供の心身の発達の程度に即応してということの場にだけ生かされる、そういう部面にだけ生かされる。歴史の教育日本の歴史の教育に真実をゆがめたり、修飾したりして扱われることは断じて許されないと私は思うのですが、小林委員質問にあわせて答弁を願いたい。
  131. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 米田委員の御質問は、全く私ども同じ考えでございます。同感でございます。先ほど小林委員のおっしゃいましたことに関連して、さらに申し上げますと、そういう真実なり事実というものを、真実というものを究明することは、これはもうだれも否定のできない事柄であります。まず、真実というものを究明してかかる必要があると思います。私が先ほど申し上げましたのは、うそを教えろということではなくして、それを今、米田委員がおっしゃいましたように、言葉が足りませんでしたけれども教育的にこれを扱う場合には、素材として、いろいろ教育的な配慮というものが、心身の発達の程度、あるいは子供の能力、理解とに応じて考えるべきではないかということを一般的に申し上げたわけでございます。
  132. 小林武

    ○小林武君 米田委員考え方には全く賛成だと、こういわれている。私の質問に対しては、そうでないような御答弁、どこに違いがありますか、一体検定に対するあなたたちのほうから出たあれは、心身の発達のことをいってないのです。問題は、歴史的事実に基づいて反省するというようなことに問題点をあなたたちが持っているかということ、それを指摘しているのです。歴史的事実によって現在のわれわれが反省するというようなことを、なぜ一体検定官は拒否しようとするのか。憲法にはそういう反省を持たなければならないということを憲法の前文に書いているではないか、こう筆者はいっているのです。あなたはそれについて答えなければならない。適当に答えて、ごまかそうというようなことはお考えにならないと私は固く信じておりますけれども、私の質問について答えなければいかぬです。どうなんですか。歴史的事実によって、現在のいろいろな問題を反省してみる。たとえば過去の婚姻の問題の中から、女の地位というようなものを歴史的事実の中から、さまざま学んで、そして男性と女性は、どうでなければならぬかというような反省を日本の若い人たち教育によって養われるということは、当然のことでありましょう。そういうことを、なぜ、一体ことさら取り上げて、大きな項目の一つとして、この教科書を不合格にするというようなことをなさるのは、どういうわけか。憲法にももとるではありませんか、こういっているのです。そのことについて、あなたは心身の発達がどうだとか、それは小学校教科書も中学校教科書もいろいろある。私の言っているのは、さっきも言っているように、高等学校教科書について言っている。心身の発達からちゃんと考えて編さんしてある。どういうことをあなたはおっしゃろうとするのか、だから質問したとおりあなた答えればいいんですよ。あまりあとで、工合悪くなったら困るからなんて妙なことを考えないで、それはやはり検定上そういうことがあったら、やはり間違いです、こうすなおにやればいいのです。そう言ったからといって、どうということもないのですから。答弁を求めます。
  133. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 私は、一般的にこの歴史上の事実について反省するということがいけないというように申し上げておるわけじゃございません。先ほど米田委員に対して申し上げましたことと同じことを、言葉は違うかもしれませんけれども、同じことを申し上げたつもりでございます。
  134. 小林武

    ○小林武君 いけないとは言っていないとあなたは言う。そうすると、文部省の方針は、あなたと同じ方針なんだね、検定に対する態度は。そうでしょう。歴史的事実の上に立って現在の状態を反省するということについて、学ぶということについては、検定の方針で否定するというような気持はないのでしょう。ないのに、なぜそういうことを麗々しく掲げて、一体それを不合格にする三つか四つの条件の中の一つにしたかと言うのです。そういうことが行なわれているということは、不正が行なわれているということですか。それ以外の事情によって落としたのですか。何らかのあれが入ってやったんですか。それじゃ。
  135. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 私は、その具体的な内容を知らないということを申し上げたのでございますが、おそらく検定に不合格になったとすれば、そういうことだけではないと思います。いろいろ理由があって不合格になったものと考えております。
  136. 小林武

    ○小林武君 いろいろな理由というのは、三つほどあがっておる。三つほどあがっておる中の一つを今言った、あなた、あとの二つも聞きたければ、ここでやってもいいんだけれども、私は時間の経済上、同じようなことだから、なるたけ一つにしたいと思って言っておる。ではあなたは、そうすると、この一つの理由は、少なくとも教科書を不合格にする条件ではないとお認めになりますか。
  137. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 私は先ほど申し上げましたように、次の具体的なことがあったかどうかということを、よく具体的なものについて調査してから御返事いたしたいと思います。それのみで、それが不合格になったと考えておりませんけれども、御質問のような点については、十分検討してみたいと思います。
  138. 小林武

    ○小林武君 今の答弁は了承しました。具体的な事実を調べてやるということは、それは当然のことです。今あなたが、よく知らないのにそれをやるということは危険だと思いますから、私はそれを認めますけれども、少なくとも今審議の過程にあるんですから、これはのんべんだらりんとやられては困るんです。この次のあれまでには、ひとつそういう事実があったかどうか、そのやったことについて誤りかどうかということを、はっきりやっぱり答弁できるようにして下さい。よろしいですね。
  139. 北畠教真

    委員長北畠教真君) 速記をとめて下さい。   〔速記中止
  140. 北畠教真

    委員長北畠教真君) 速記を始めて下さい。
  141. 小林武

    ○小林武君 それでは、次は長くなりますから、それはまた、この次にやることにいたしまして、私の質問を終わります。
  142. 北畠教真

    委員長北畠教真君) 本案に対する本日の質疑は、この程度にとどめます。  本日は、これで散会いたします。    午後七時四分散会