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矢山有作君 これは私が穏やかでない
言葉を使ったのじゃないので、すでに使った人があるのです。私もこの
法律を読んでみて、なるほどこれはこれがこのまま施行になって、しかも先日来
質疑を繰り返しておる中で、何もこれは具体的なものは出てこぬじゃないか。それから先ほ
ども質問の中に出たのですが、じゃこの
法律が施行されて一体予算で画期的なものが出るのかといったら、これもまた出そうもない。
農業基本法のときだって、あれだけ大騒ぎをして
農業基本法を通したけれ
ども、格別画期的な農林予算が
増額したという話も聞かないので、そういうあれやこれや
考え合わしてみると、これは今
大臣がおっしゃったような具体策がほんとうに真剣に取り組まれて出てくるなら、それは
沿岸漁民の切り捨てにはならぬかもしれませんが、しかしながらこれが
農業基本法の審議のときと同じように、幾らおっしゃってもただ口先でここで
説明にとどまるくらいなことでおっしゃるのでしたら、これは好むと好まざるとにかかわらず
沿岸漁民の切り捨てにならざるを得ない、こういうことなんです。ですからその辺は私は
大臣の今の御
答弁を信頼します。それは信頼しますから、あなたもひとつ
水産庁の皆さんに、わしはこう言っておるのだから、このわしの言ったことがらをになってはたいへんなことになるから、
沿岸漁民の切り捨てにならぬように具体的な転換策についても
考えろ、と言ってぜひ強力な御指示を願いたいのです。その経過を私
どもは今後やはり見守っていて、その中で議論していく、そのときに初めて
沿岸漁民の切り捨てであったかどうかということがはっきりするわけです。だから今私が言いましたように、切り捨てにならぬようにくれぐれも御注意を願いたいと思うのです。
それから次の
質問に移りますが、先ほど話の中に出ました養殖業の問題にいたしましても、これはやはり海域をどこが適当なのかどうかということで選ばなければならぬという問題が出てくるわけです。ところが、この問題については午前中
北條委員がちょっと触れられたのですが、いわゆる最近の状態から非常に水質汚濁の問題あるいは埋立ての問題等が表面に出てきまして、だんだん
沿岸漁場が狭められていくという傾向が見えておるわけですね。たとえば、埋立てによる漁場喪失の状況を見ますと、これは私がいただいた資料で見たのですが、三十二年には四千四百三十六ヘクタール、これが埋立てによってつぶれているわけですね。ところが、それが三十六年には倍以上になっているのです。九千三百九十ヘクタール、今後の見込みだろうと思うのですが、未完了地区の面積としてあげられておるものを合わせると四万四千三百十五ヘクタールですか、それくらい漁場が喪失していっていくわけですね。それから水質汚濁の統計も出ておりますが、これによる被害も件数が年々ふえていっているわけです。三十五年の数字しか資料の中にはありませんが六百七十九件、こういう数字が出ているわけですね。ところが、こういう傾向は私はいわゆる
政府のとっておられる高度経済成長のもとで、日本経済がどんどん伸びていくに従って、これはもうますます激しくなってくると思うのですね。そうすると、こういう傾向に対して一体どうして
沿岸漁場を確保していくかというむずかしい問題が起こってくるわけですよ。これは片づけるというのは、とてもじゃないが、そう簡単にこれはできる問題じゃありません。たとえば水質の問題で、午前中に屎尿の話が出たんです。ところが水質
関係の問題を
一つ取り上げてみても、
漁業関係では水産資源保護法ですか、それがあるわけですね。それからまた、ほかの産業に
関係する
制度としては公共用水域の水質の保全に関する
法律ですか、それから
工場廃水等の規制に関する
法律、こういうようなのがある。さらに
農業にわたる部面では、農薬取締法がこの問改正になって非常に強化された。こういうように、水質保全をはかるためのいろいろな
法律制度というものが出て来ておるわけですね。ところが、はたしてこれが効果的に
運用されて水質保全をやるのに役立っておるのかどうかということになると、これは私は問題があると思うのです。午前中に尿屎放棄の話が出ましたが、それすらなかなか今きめられておる規制が守れない状態である。そうなってくると、これはもう口で言うほど簡単な問題ではないのです。しかも所管が、これはもうあっちこっちの省に
関係してくるでしょう。厚生省にも
関係してくるし、おそらく建設省にも
関係してくるだろうし。それでその管轄がそれぞれ分かれているわけですね。そこで一体どうしてこの水質保全の問題を解決していくのか。これはとてもじゃないが、容易な問題じゃありません。これはむしろ私は厚生
大臣なり通産
大臣なりあるいは建設
大臣なり、そういう方に来ていただいて、農林
大臣と一緒に
お話をしていただくのが一番いいと思う。ですが、きょうはそのほかの
大臣の方には来ていただいておりませんので、農林省としてこの問題一体どう
考えて今後
処理していくのか、これをひとつ伺いたいのです。特に経済成長の問題と
沿岸漁民の保護のための
沿岸漁場確保という問題とは、非常な微妙な
関係になっている。その点のひとつ御見解を伺いたいのです。