○
説明員(
和田正明君) 提出をいたしました資料について御説明をいたします。その前に一言お
断わりを申し上げます。
国際捕鯨条約に基づきます
国際捕鯨会議が、明二十六日から
ロンドンで開かれますので、長官は
日本政府代表としてそれに出席のため、
ロンドンに出向きましたので、不在中、私、
長官代理を命ぜられまして、不なれでございますが、よろしくお願いをいたします。
お配りをいたしてございます資料はいろいろございますが、最初に横とじの
沿岸漁業等振興法案関係資料というのをお開き願います。
これは主として各種の
統計資料を集録してございますが、御説明に入ります前に、ちょっと全般的にお
断わりを申し上げておきますと、
水産関係の
統計資料につきましては、たとえば、同じ
カツオなら
カツオをとります場合にも、いろいろな
漁獲方法がございますとかいうようなことで、非常に複雑でございますのと、それから今回の法案を提出いたします以前からの各種の統計が、必ずしも法案の趣旨と合ったような
データになっておりませんので、いろいろな原表をもとにして、
推計等を加えますために、御提出をしてございます
資料そのものにも、数字がいろいろ違っている部分があります。今後逐次統計を整備して、そういう不体裁はなくすように努力はいたしますが、そのつどそういう食い違いについては、お
断わりをしながら、御説明を申し上げますので、御了解をいただきたいと思います。
一
ページのところから
水産物の
需給実績を掲げてございます。昭和三十年から逐次三十六年までの
生産量、それから
外国貿易関係、それから
国内供給可能量と分けて載せてございますが、
生産量は昭和三十年に四百五十七万トン強であり、昭和三十六年には逐次増加をいたしまして、六百二十八万トン強ということになっております。そのうち
外国貿易として輸出をいたしましたのは、昭和三十年の二十八万六千トンから若干
出入りはございますが、三十六年には約五十二万トン程度になります。逆に輸入につきましては、そこにございますように、四千トン程度から現在十三万トン程度の輸入になっております。
生産量から輸出を引き、さらに輸入を加えたものがその次にございます
国内供給可能量でございます。それの内訳をいたしますと、非食用と粗食糧とに分けまして非食用というのは、魚を釣ります場合のえさでございますとか、あるいは家畜のえさになりましたものとか、そういうもの。粗食糧のほうが、そこにございますように三十六年四百七十五万トンで、頭を取りましたりはらわたを出したりします関係で、可
食歩どまりを五四%というふうに推定をいたしまして、大体純食糧として二百五十六万トン強が供給をされておるということでございます。
同じようなことを
海藻類について見ますと、次
ページにございますような数字になります。この
生産量は
乾燥重量で示してございまして、大体
海藻類の
乾燥歩どまりは下の注にございますように二割程度でございますので、そういう換算を用いまして、三十六年の
生産量が八万五千トン、輸出を千六百トン程度いたしまして、輸入が一万二千トン、それを魚の場合と同様に非食用と粗食糧に分けますと、純食糧としては六万トン強の供給をしておることになっておるわけでございます。
その次は、その
生産量を沿岸、沖合、
遠洋漁業というふうに
漁業別に見ました場合の
漁獲量でございます。昭和二十八年から三十六年に至るまでの数字を並べてございますが、これは昭和三十一年までは
沿岸漁業、
沖合漁業あるいは
遠洋漁業というような区分をいたしました
統計資料がございませんので、既存の
統計資料をもとにいたしまして、この注のところに書いてございますように、
沿岸漁業と思われる
漁業種類あるいは
沖合漁業等が中心である
漁業種類等をその数字から推計をいたしまして、三十六年までの数字をずっと並べて推計をしたものでございます。
生産量は二十八年から三十六年までこの表で
ごらんいただきますように四百五十九万九千トンから六百七十二万トンというふうに、
年ごとに非常な増加を示しておるわけでございますが、
沿岸漁業特に漁村を中心といたします
一般沿岸漁業の
生産量は、二十八年以来
年ごとに若干の
出入りはございますけれども、ほぼ
横ばいという現状になっております。
浅海養殖は、
ノリ養殖ないしはハマチの
養殖等、最近だんだん進んで参りまして、昭和二十八年の十四万トンに対しまして、三十六年の三十二万トンということで二倍
半程度の増加を示しておるわけでございます。それから
沖合漁業は
沿岸漁業よりはその生産と申しますか、
漁獲量の増加がございまして、二十八年の百五十六万トンが二百三十四万トンというふうに増加をしております。それから
遠洋漁業は、一番増加の傾向が顕著でございまして、二十八年の五十五万トンが大体三
倍程度の百七十五万二千トンというふうに非常に著しい増加を示しておるわけでございます。この表でおわかりをいただけますように、
一般沿岸の
漁船漁業がきわめて停滞的であるということが、今後
沿岸漁業の振興を必要といたします一つの点であるというふうに考えておる次第でございます。
それから次四
ページの表は、三十二年以降統計の資料の分類を変えまして、十トン未満の
漁船漁業を営みますものを
沿岸漁業、それから沿岸以外と申しますのは、いわゆる中小の
漁業者によって営まれる
漁業、それ以外に、非常に大きな以西の底びきでございますとか、
母船式の
漁業でございますとか、遠洋の底びきでございますとか、いわゆる遠洋の
漁業に属しますもの等統計的に三十二年から
データを変えましたわけでございますが、前の
ページのは二十八、九、三十、三十一のそういう資料がございませんので、それとの統計的な連絡をとります意味でも、三十一年以前の資料を前提として同じような推計を試みたわけでございますが、これは資料のとり方を変えまして以後の、三十二年以後の数字でございますので、前
ページの数字とはやや数字が違っておるわけでございます。総
漁獲量は変わりませんが、その数字の上にカッコして書いてございますのが、総
漁獲量に対する比率でございまして、十トン未満の
沿岸漁業の
漁獲高が三十二年に二百二十六万トンで、全
漁獲量に対して四一・八%であったわけでありますが、前の表でも申し上げましたように、特に遠洋、
沖合等の
漁獲高の増加が顕著でございまして、沿岸の
漁獲高が
横ばいということとの関連で、全体の
漁獲高の中に占めます
沿岸漁業の
漁獲高は三十二年の四一・八%から逐次減少をいたしまして、昭和三十六年には三五%ということになっております。
遠洋漁業のほうは七・四から二六・二というふうに全体の中に占めます
ウエイトが増加をいたしておるわけでございます。
それから五
ページは、先ほど全体を非食用と食用に向けましたものということで分けましたけれども、これは
漁獲物の実際の
利用状況を推計をいたした表でございます。なま、または
冷凍魚に向けましたものと、それから加工に向けましたものとの表でございます。これで
ごらんをいただきますとおわかりのように、三十年以後魚においてなま、または冷凍の形で食用に供しました数量は、若干ふえておりますけれども、ほぼ
横ばい程度でございますが、非食用は二十三万トンが八十七万トンというふうに急増をいたしております。これは主として
ニワトリのえさに使われます
魚粉関係等の需要の増加でございます。それから食用といたしましては、
カン詰の二十七万トンが五十五万トンというふうに
倍程度になっております。練り製品、かまぼととか、さつまあげとかいうものが六十八万トンから百十八万トンになっているということで、加工をした形で食用に供せられるものが、たとえばフィッシュ・ソーセージというような新しい
食品類もできまして、
加工用として消費される傾向が顕著に増加しております。
六
ページから以後は、
外国貿易関係の内容を
種類別に分類をして掲げてございます。上段が数量で下段が金額でございます。
六
ページの資料は、三十一年の二十九万トンから逐次増加をいたしまして、三十六年が約四十二万トン、金額にして五百八十六億が八百二十三億というような形で上がっております。その内訳をカン・
びん詰、
生鮮冷凍品、塩干
燻製品、寒天、肝油、鯨油、真珠というふうに分類をしておるわけでございますが、一番金額的に多いのは主としてカン・
びん詰それから
冷凍もの、次に真珠というこの三つが金額的にも数量的にも大宗を占めておるという実情でございます。
それから七
ページに、逆に日本が外国から輸入をいたしておりますものにつきまして、
種類別に表を掲げてございます。これは輸出に比べますと金額はきわめて少ないのでございますが、それでも逐年増加をいたしまして、三十一年の一万七千トンから三十六年の五万六千トン、金額で二十六億から八十一億というふうに増加をいたしております。量的にも金額の面でも多くは
生鮮冷凍品とそれからミール、魚粉、先ほど申し上げましたえさの、主として
ニワトリのえさになりますフィッシュ・ミールの
輸入量が増加をいたしております。
〔
委員長退席、
理事堀本宜実君着席〕
それから八
ページからちょっとと視野を変えまして、都市、農村に対しまする
水産物の
消費量の比較をいたしてみたわけでございますが、原魚に換算をいたしまして、平均では三十キロ、三十六年に三十五キロということで、
水産物の
消費量は
全国平均ではやや増加をいたしております。それをさらに都市と農村とに分けてみますと、都市が三十五キロから四十キロ、農村は二十一キロから二十六キロということで、いずれも伸びてはおりますが、農村における
水産物の
消費量は、都市のそれを下回っております。ただ最近、三十四、五年ごろからは都市におきましても農村におきましても、
水産物の
消費量は頭打ちないしは
横ばいの傾向に変わってきておるということは、この表でおわかりいただけるだろうと思います。
それから九
ページからは、
水産物の需給の全体の
見通しでございますが、これは
所得培増計画の
参考資料として作成をいたしましたもので、その水産の基礎は、その注のところに詳細に書いてございますが、魚と藻類につきまして、三十一年と三十三年の平均を実績でとりまして、それからあとを過去の推計でそのまま推算をいたしたものでございます。輸出につきましては四十九万トンが百万トンに、それから国内の養鶏の非常な増大ということを予想いたしまして、
飼料等に三十四万トンから九十四万トンというふうに
見積もりをいたしました結果、国内の総需要としては
魚介類で四十五年に七百九十九万四千トン、藻類で五十六万トン、合計で八百五十五万トンというふうになっておりますが、これを過去の
傾向値をそのまま伸ばして一応の試算を試みたという程度の域を出ない数字でございます。
この総需要を一応の試算にせよ推算をいたします場合に、生産のほうはどうであるかということの
見通しを一応推算をしてみましたのが十
ページにございます表でございます。これは過去の推定から考えまして、総計で年率を二・七%、沿岸は二・二、遠洋・
沖合いは三・一というふうに推定をおきまして計算をいたしますと、総量で四十五年には七百四十万トンの生産になるであろうということになるわけでございますが、前の
ページで御説明をいたしましたような推定の需要が八百五十五万トンに対しまして、生産の
見通しは七百四十万トンということで、その間に著しいずれがございます。しかし、実際の実績は昭和三十七年におきましてすでに七百万トンという
生産量に到達をいたしましたので、過去の実績を前提といたしますこの年率は現実とは違いまして、少し内輪に
見積もりをいたしましたきらいがあるように思われます。ただ
漁業の場合には、海況とか漁況とかいうものを事前に予測をして、ことしは
サンマなら
サンマがどのくらいとれるであろうというような生産の
見通しを立てます技術がございませんのと、需要が顕著な
漁業種類がございましても、たとえば
マグロが非常に需要が旺盛であるといいましても、その
マグロを主としてとって、ほかの魚をとらないでおくというようなことが漁況、
海況等の予測の
困難等、資源の
困難等からなかなかうまく参りませんので、需給と生産とを計画的に結びつけますことは、現段階の技術ではきわめて困難でございますが、一応ものを考えます場合の
見通しという程度のことで推算をいたしましたのが、九
ページ及び十
ページの数字でございます。
それから十一
ページからあとは、同じ
所得倍増計画の資料につけてございます昭和四十五年
目標年次におきます所得と
就業人口と
生産性に関する試算を、
漁業につきましては沿岸とそれから
遠洋沖合いとに分類し、それを他の産業とも比較をしてみました表でございます。四十五年の
目標年次におきます
漁業の
就業人口は、現在の
就業人口が三十一年——三十三年の平均で七十四万七千人でございますが、それは二・三%程度の年率で減少するという推計のもとに、
目標年次には五十五万になります。その内訳は
沿岸漁業が三十九万五千で
沖合い遠洋が十五万五千でございます。その
就業人口を、前段申し上げました
漁獲量の
推計等をもとにいたしまして、価格は
基準年次と同じ価格で推移するという前提で推計をいたしますと、
就業者一人当たりの
所得生産性は、
漁業全体で三十四万四千円、沿岸が二十七万円強であり、
沖合い遠洋が五十三万強であって、基準の三十一年ないし三十三年に対しまして
伸び率が年率五・五%、沿岸は当然問題がございますので、
養殖等を進めたり、あるいは
漁船漁業等についていろいろな施策を講じまして
遠洋沖合いよりはその
伸び率を高く
見積もりまして、沿岸が五・八、それから
沖合い遠洋が五・〇という
伸び率でございます。これを他産業と比較をいたしますために、下段のほうに農業、第一次産業以下全産業の平均までの表を掲げてございますので、御参考までに
ごらんをいただきたいと思います。
それから十二
ページは、ただいま申しましたような
基準年次における七十四万の
就業人口を
階層別に見ましたものと、それから
漁業では五
年ごとに
センサスを実施をいたしておりますが、昭和二十八年が第一回、三十三年が第二回、本年第三回目の
センサスを実施をいたしておりますが、これは明年になりませんと集計がとれませんので、一応二十八年と三十三年の
センサスを基礎にして、これを
階層別に推計をいたしたものでございます。それで三十三年におきまして総
就業人口は九十五万五千ということになりまして、二十八年に比較をいたしますと二十万人程度の減少ということになっております。そこで、三十一年、ないし三十三年という
基準年次の
平均推計を七十四万七千人というふうに推計をいたしました。それを無動力それから
動力漁船の三トンまで、三トンから五トンまで、五トンから十トンまで、十トンから三十トンまで、三十トンから百トンまで、百トン以上の場合、定置と地びき、
浅海養殖とに区分をいたして、そこに掲げてあるわけでございますが、一番
減少傾向の顕著なのは無
動力漁船の
利用漁家でございまして、比率で二二、七%から一三%程度に下がりまして、
人口減少が十三万六千人弱ということになっております。全体として
減少傾向のあります中で百トン以上だけがやや増加をいたしまして二万七千六百九十三人というのが、この五年間におきまする増加の数字でございます。
この数字をもとにいたしまして、その後の
就業人口の
異動状況を推定いたしましたのが、その次の
ページにございます表でございます。この十二
ページのほうの表は
センサスの表でございますので、
最盛期におきます臨時雇的なものの人数を含んでおりますが、十三
ページで推計をいたしますときには、年間にならしました数字で推計をいたしましたので、十二
ページの表の数字とは若干数字の変動がございますが、
年間特定の時期ということではなくて、年間について考えまして、年度当初と、そこがAという欄にしてございます。それから最後の右側のところに年度末の数字ということで推計をいたしましたわけでございますが、昭和二十九年の年度初めの
就業人口が七十九万人で、逐次年度当初の人口が減少して七十一万人程度になるというふうに推計をいたしておりますが、この推計につきましては、いろいろな試算を試みました結果、ほぼいろいろな条件、
数字等から考えて、農業の
就業人口の
交代補充と同様の数字を使ってそう間違いはないだろうということで、農業におきます
退出率を前提にして計算をいたし、さらにそれに新規の卒業生につきましては、文部省の学校基本調査報告をもとにいたしまして新規補充をCの欄で計算いたしました。それで差引をいたしましたものが年度末の
就業人口ということになりまして、三十六年度末には六十九万四千という数字であろうというふうに推定をいたしました。この数字が推定としてはたして現実に合っておるかどうかということは、先ほど触れました本年の
センサス等の結果を見ないと、必ずしも申し上げるわけには参らないのでございますが、一方、総理府が調査をいたしております職業別の
就業人口調査の
数字等を勘案をいたしますと、ほぼこのような傾向で減少をしており、大体三十五年の総理府の統計数字との間にはそう大きな食い違いがないようでございます。大体
漁業の
就業人口に関しますこの推定は、ほぼ現実に近いものではないかというふうに考えておる次第でございます。十四
ページにはただいま申しましたような三十三年の
センサスにおきます九十五万、これは
最盛期におきます数字でございますので、今申しました十三
ページの年度初め及び年度末という数字とは若干相違がございますが、それを無動力かどうかとか、
漁業種類ごとに区分をいたしまして、府県別にその
センサスにおきます統計数字を一覧表にしたものでございます。特別御説明申し上げる内容もないかと思いますので、次の
ページに進ましていただきます。
十五
ページ以下には、漁家と農家の所得の比較を昭和三十五年の
統計資料に基づいて出してございます。上の段のカコミにございます漁家Aと申しますのは十トン未満の漁船を使って操業をしておりますいわゆる
沿岸漁業者と、そのほかに小型の定置網
漁業、ノリとカキの養殖漁家を含めました平均として漁家Aの数字が掲げてございます。漁家Bと申しますのは、その漁家Aの中からノリとカキの養殖業者の数字を除きまして平均をしたものでございます。それと、一方別にございます農家の所得に関します統計調査部の統計をもとにいたしますと、ノリ、カキを含みます場合の漁家所得が年間昭和三十五年におきまして四十四万八千円、ノリ、カキを除きました漁家所得が四十一万円、農家の場合は四十四万三千円である。そのうち
漁業で、あるいは農業で得られましたものと、
漁業、農業以外の所得とを分類いたしてみますと、それぞれ二十四万五千円と二十万三千円、漁家Bで二十万九千円と二十万一千円、それから農家で二十一万九千円と二十二万四千円ということになっております。それを家計費で見ますと、三十六万三千円、三十四万六千円三十六万八千円ということになっておるのでございますが、
漁業者の場合には一般的に農家と比べまして、家族人員と申しますか、世帯人員がやや高目に
統計資料では出ておりまして、
漁業者の場合には六・一人に対しまして農家は五・七人ということになって、やや多い世帯人員をかかえておるわけでございます。
で、そのうちの漁家Bと農家との所得の比較をさらに詳細にいたしましたものが、農家と漁家の所得比較(2)ということで、右側に少しずらしました下のほうにカコミで書いてあります表でございます。三十二年からずっと三十六年までのものが入れてございますが、漁家B、つまりノリとカキの養殖業者を除きます場合の漁家所得は、農家所得に比べますと、同じような増加傾向はたどってはおりますけれども、一年ズレと申しますか、やや農家のほうが所得が高い。そのうち
漁業所得と農業所得とを比較をいたしてみますと、
漁業の場合のほうが農家の場合よりは本来の本業と申しますか、兼業的な収入よりは
漁業なら
漁業での収入のほうがやや高目に出てきております。可処分所得はやはり所得全体が農家のほうが漁家よりも高いことを反映いたしまして、三十二年以来常に農家のほうが可処分所得は多いわけでございますが、従処者一人当たりの所得ということで換算をいたしますと、そこにございますように、農業の場合より
漁業の場合のほうが従事者一人頭の所得はやや高いものに出て参りますが、このことは世帯人員が農家に比べて漁家のほうがやや上回ってはおりますけれども、女でありますとか、子供でありますとかいうようなものが、農家の場合に比べて、
漁業は荒仕事でありますために、
漁業に従事する家族人員というのは農家の場合よりは少ないというようなことが原因をなしておるかと思います。それを時間当たりに考えましたのが、その一番最後の表でございまして、この場合にも従事者一人当たりの所得と同様に当然のことでございますけれども、前の一人当たりを時間当たりに直しますと、九十七円二十銭、六十二円二十銭ということで、
漁業所得のほうがやや上回っておるという数字になっておるわけでございます。
それから十六
ページのところは、家計費の比較を漁家と農家と都市勤労者とについて、三十二年から三十六年までしてみたのでございます。漁家の家計費が三十九万七千円で、農家が四十一万六千、都市勤労者が四十一万九千円、漁家一人当たりと、農家一人当たり、都市勤労者一人当たりを比較をしてみますと、漁家の場合は農家よりやや下回った家計費になっておるということでございます。
それから十七
ページは多獲性大衆漁といわれておりますおそうざいものの価格の変動を、産地市場とそれから六大都市の市場との卸売価格で比較をしてみたものでございます。一番左にございますのは、漁獲総数につきましての卸売価格の比較でございまして、昭和三十年にキロ当たり生産地で三十五円、六大都市で六十四円ということで、その間の比率は一八三%、昭和三十六年には生産地が四十七円で六大都市が百四円、比率が二二一%ということで、大体産地から消費地へ参りますと、運賃とかその他でほぼ二倍の価格になっておるわけでございます。それを
サンマとスルメイカとアジ、サバ、イワシ類という五品目について、同じような数字を表に書いてございますが、
サンマにつきましては昭和三十年の十三円から年次に割合激しい変動をいたしておりまして、昭和三十六年が産地で二十二円、一方消費地におきます卸売価格は、やはり産地の価格を反映しながら
出入りがございまして、三十六年には六十一円ということで、特に三十六年は二七七というような高い比率になっておりますが、三十六年の
サンマの漁況はちょっと異様でございまして、非常な不漁というふうにいわれておったのでございますが、むしろ漁期をはずれたころになりまして非常に小さな小型の
サンマが、食用になるというよりは
カツオ、
マグロのえさになりますものとか、
〔
理事堀本宜実君退席、
委員長着席〕
ミールの材料になりますような小さな
サンマが、漁期の終わりになりまして非常にとれました関係で、食糧用のものが漁期の初めに欠乏をして割合高値を呼んだ結果であろうかというふうに考えております。それからスルメイカでございますが、これが三十年の十六円から三十六年の三十二円ということで、これも年次に非常に
出入りがございまして、必ずしも一定の傾向はないわけでございますが、大体一六五ということで、
サンマ及び全体の
漁獲物におきまする比率と比べますと、産地と消費地との価格差が割合少ない、そうざいも一のという特殊な性格も反映をいたしましてか、割り合い少ない比率になっております。同じようにアジにつきましても大体一五〇ということで、産地と消費地との価格差がございませんし、サバはさらにその価格差が低くて一三九という比率になっております。それからお値段のほうも三十年と三十六年との間にはそれほどの差がない、ほとんど値上がりをしないで
横ばいでございます。イワシ類も同様に値上がりがない魚種でございまして、三十一円から三十二円ということで、三十円をちょっと上回りましたけれども、産地でも前後をいたしておるのでございますが、
漁獲量はそこにございますように、最近資源的にも欠乏いたしまして、やや従前のそうざいものとしての
漁獲量を失いまして、割合最近はとれないそうざいもののうちの一つになっておるわけでございます。
それから続きましてその2のほうを説明いたします。これは
衆議院での御審議の際に
委員会からの御要望のございました項目についてとりまとめて提出をいたしたものであります。一
ページは非常に小さな数字が並んでおりまして恐縮でございますが、
漁業種類別に、それからそれのトン数
階層別に海水
動力漁船の数字の表示をいたしたものでございます。
動力漁船の隻数の総数は、一番上にございますように、十七万八千隻、昭和三十六年における資料でございますが、十七万八千隻、そのうちの大部分十六万二千隻が、ゼロないし九・九トンということで十トン未満に集中いたしておりまして、以下十トンから五十トンまでが約一万一千隻、五十トンから百トンまでが約三千隻、百トンから五百トンまでが九百隻という、五百トン以上が二百二十二という数字になっております。それを内水面、採海藻、定置以下その
漁業種類ごとに分類をいたしたわけでございますが、一番多いのは、上から四つ目のところに一本釣というのがございますが、サバの一本釣でございますとか、あるいは沿岸の
漁業者がそれぞれ小さな船で沿岸でつります
沿岸漁業の中心をなす
漁業でございますが、これが約五万隻でございまして、そのうち十トン未満が四万八千六百六十五で、ほとんど全部が十トン未満に属するものでございます。その次に多いのが上に戻りまして、海藻などを取ります採介藻、それが二万三千七百三十六、これは海藻ばかりではなく貝などを取ります
漁業を含んでおります、それが二万三千七百三十六、これも同様に十トン未満が二万三千六百八十七ということで、ほとんど全部が十トン未満のところで占められております。それから最後の終わりから二つ目のところに雑
漁業というので、上のいろいろな種類に分類できませんでしたもろもろの
漁業を寄せた数字が載せてございますが、それが約二万五百隻ということで、大部分が十トン未満のものでございます。以下まん中辺にございます機船底曳網の一万九千、それからはえなわの一万七千、刺し網の一万五千というようなところが、数字としては割合多い
漁業でございます。この十七万隻というのが漁船全体の中でどのような位置を占めているかということを見ますために下にございます表を添付いたしたわけでございますが、漁船の総数は四十万隻ございまして、そのうち
動力漁船は十八万、それから無動力が二十一万で、今申しましたのは、そのうちの淡水で使います漁船を除きました海面で使います漁船のうちの
動力漁船十七万八千についての
漁業種類別の内訳を表にしたわけでございます。
それから二
ページは、
沿岸漁業と
沿岸漁業以外の
漁業につきまして、先ほど
漁獲量を最初の資料でちょっと御説明申し上げましたが、それを金額に直しまして、三十二年から三十六年までの年次別の数字を示したものが二
ページの表でございます。この表で
ごらんいただきますと、
沿岸漁業の生産金額というのも逐次増加をいたしておりますが、これは統計の連続性がやや欠けておりまして、三十四年から三十五年の間にサンプルの数が著しくふえておりますので、その間に若干修正を要する点もあるかと思いますが、いずれにいたしましても、ここでちょっと飛躍的に生産金額が増加をいたしておりますけれども、逐年増加傾向をたどっているわけでございます。
それから
沿岸漁業以外のいわゆる
中小漁業につきましても、ほぼ同様の傾向で、遠洋につきましては倍近くの伸びを示しておるという、これは先ほど
漁獲量が三
倍程度に伸びておるということとの関連もあろうかと思いますが、
沿岸漁業につきましては
漁獲高が割合
横ばいであるにかかわらず、単価の上昇等によって生産金額がだんだんふえてきておるということがいえるかと思います。
それら三
ページはその
沿岸漁業につきまして、その内訳で、漁船を使った場合、定置網あるいはノリ、カキの養殖というふうに区分をいたしまして、左側のほうに
漁獲量、右側のほうにそれの金額換算を表にして載せてございます。で、総計では冒頭にも申しましたように二百十六万トンが二百二十四万七千トンということで
横ばいないしはやや微増の程度でございます。その中身として、
漁船漁業が百六十六万五千トンが百六十九万三千トン。定置は十七万七千トンが十五万トン、小型定置が七万九千トンが八万三千トン、ノリが十万トンから十四万トン、カキが十四万トンから十七万トンということで、養殖関係の増加は目立ちますけれども、
漁船漁業では
横ばいであり、特に大型定置ではむしろ減少というふうに申し上げてもよろしいかと思います。それを同じ年度につきまして金額換算をいたしましたものが右側の表でございます。で、総計の数字は前の
ページの数字と同様でございますが、これは単価の値上り傾向等も含めまして、金額で考えますと、いずれの種類を見ましても相当増加をいたしておりますが、小型定置だけはやや停滞ぎみという数字になっておるわけでございます。
それから次の表は
漁業のおもな
種類別に経営体数の移動を見ました表でございます。昭和三十年におきます
漁業の経営体数は総計で二十四万八千八百二十八でございましたが、少しずつ減少をいたしまして、昭和三十六年には二十三万一千三百七十八経営体になっております。それを採貝・採藻以下、
漁業種類別に分類をいたしましたものがその下段に掲げてございますが、一番経営体数の多い
漁業種類は、ちょうどまん中辺にございますその他の釣はえなわ、サケ・マスのはえなわ、三十年、三十二年は統計の都合でくくってございますが、三十四年以後は分けてございますが、大体五万経営体ぐらいございます。それからノリの養殖が上から二番目でございますが、それが三十六年で四万二千トン、それからその上の採貝・採藻が三万五千弱ということで、この辺が一番多い
漁業種類であり、経営体がそこに集中をしておるという形になっております。
その次の
ページは、今申しましたような経営体数を今度は
漁業種類ではなくて
階層別に区分をいたしましたものにつきまして、一番左に、二十八年におきます実数を載せ、それから一番右に三十六年の実数を載せまして、その間の年次別移動は指数をもって表示をいたしました。二十八年の二十五万一千七百四十七を一〇〇といたしますと三十六年の実数が先ほど申しました二十三万一千三百七十八で、指数で九一・九ということになっております。この表で顕著にわかりますことは、
沿岸漁業の無
動力漁船の経営体数が二十八年の一〇〇から三十六年の五四というふうに約半分に減りましたこと、それから大型定置の一〇〇が四八・七というふうに減りましたこと、それから地引網が一〇〇から五一というふうに半分に減っております。無動力にしろ地引網にしろ、大型定置にしろ、いずれも
漁業としては技術的にはおくれた、停滞ぎみのものでございますので、そういうものが減りましたのは当然のことだと思いますが、全体の動きとしてはそのような減りましたものが
浅海養殖の一〇〇から一五六というふうに五割増しになり、三トン未満あるいは三トンから五トンという階層で相当程度増加をするというような形で、経営の
合理化が進められつつあると考えておるわけでございます。
それから
沿岸漁業以外につきましては、やはり小型のものが減りまして、一〇〇トンないし二〇〇トン、あるいは二〇〇トン以上というような大型化の傾向が顕著に出ておるということがいえると思われます。今の
ページでは指数をもってお示ししましたけれども、それを三十二年から特に
沿岸漁業につきまして実数で表示をいたしましたのが、その次にございます数字でございます。全体で二十三万のうち、いわゆる
沿岸漁業に属しますものが、二十二万ということで、大多数のものが
沿岸漁業でございます。
経営体系とございますが、経営体数の間違いでございます。
それから次の
ページは先ほどの資料で
サンマ、スルメイカ、アジ、サバ、マイワシ等いわゆる多獲性のおそうざいものにつきましての価格の推移を表示をいたしたわけでございますが、それにつけ加えまして次の
ページ、八
ページにございますように、タラ、カレイ、
カツオ、ブリ、
マグロといったようなものを同じような計算で表示をいたしてございます。これは前の
ページの
サンマ、アジ、サバ等に比べますれば、家庭での消費はある程度高級魚に属するようなものを八
ページのところに載せたわけでございます。したがいまして単価もタラ、カレイを除きますればやや前の
ページのものよりは高目でございますが、この表だけでは価格関係について特別顕著な傾向がどうこうというふうに推定をいたすことはできませんで、大体先ほどちょっと消費地との間の価格差が、前と同様に四割前後であるということが示されておるわけでございます。それで、ただ特徴的なことは、アジ、サバ等に比べますと、たとえばブリとか
マグロのような高級魚になりますと、産地価格と消費地価格との間の比率が一一〇とか一〇九とかいうことで、あまり倍率が高くなっていないわけでございまして、これは二つ理由があるかと思いますが、一つにはそうざいものにつきましては、全体としてキロ当たりの単価が低いこと、それに伴って取り扱い業者の手数料が単位当たりに考えますと、割合低い金額になる。よほど大量に扱わないと取り扱い業者の収入の絶対額が多くならない。ところが、ブリとか
マグロというような高級魚の大物になりますと、産地から卸の市場へ参りますまでの間は、切身等はいたしませんで魚の大きな魚体そのままで取り扱われます関係で、一匹あたりの取り扱いの手数料が割合絶対金額で高くなります。そういう関係で、単価当たりに換算いたしますと、手数料の比率はそうざいものよりもこういう高級魚で、しかも、一個体当たりの目方の多いもののほうが手数料の比率は下がるということだろうと思います。
それから九
ページは大資本
漁業者の許可保有状況という表になっておりますが、何をもって大資本
漁業というふうに区分するかは、いろいろ問題がございますが、一応この表では、資本金が二十億円以上の会社につきまして、その会社が持っております
漁業の許可権数及び許可隻数を、全体の許可隻数に対する比率として
漁業種数別に見たものでございます。
カツオ・
マグロ漁業の総隻数千四百三十七隻に対しまして、二十億以上の大資本の
漁業が百十九隻、七・五%、以西底びきが三七%、遠洋底びきが三三%、
母船式サケ・マスが八一%、
母船式カニが七六、捕鯨が八五、大型捕鯨業八一、まき網〇・八、定置
漁業一・一、真珠養殖業一七、一応二十億以上の会社について全体の体係の中でながめますと、
母船式漁業というような非常に装備の上で大資本を要しますものは、大部分が二十億円以上の大資本会社によって行なわれておりますが、まき網とか定置とか真珠とか、さらに
カツオ・
マグロまでを考えますと、こういう沿岸ないしは沖合的なものは、あまり大資本会社では、行なわれていないということが言えるかと思います。ただし、この数字は資料の関係で、定置
漁業権
漁業につきましては三十六年の、その他許可隻数につきましては、三十八年の数字でございますので、御了承を得たいと思います。
それから十
ページは
沿岸漁業のトン数
階層別、業種別、一経営体あたり
漁業所得の推移を、三十二年から三十六年まで表にしたものでございますが、一経営体当たりの
漁業所得の一番高いのは、その表にございますように、下から二番目のカキ養殖業の六十六万五千四百四十七円、それからノリが四十万七千九百八十八円、三トンないし十トン未満の漁船を使っておりますのが四十八万五千九百五円というのが目立って聞く、当然のことながら無
動力漁船の漁家の所得が一番低いという数字になっております。
それからこの
漁業者の専、兼業別を、昭和二十九年及び三十三年の
センサス等を基礎にして見ますと、専業が一四・三が一四・六ということで、専業の実数が全体が減りました関係で減っておりますが、パーセントでは、たいした変化がございません。第二種兼業の
漁業が四二・七から三二・四と、この五カ年間に一〇%程度減りまして、それが大部分第一種兼業の形に変化をしているということになっております。
さらにそれを年令別、男女別に分類をしてみましたのが、十二
ページの表でございます。これは特別御説明することもないかと思いますので、省略をいたします。
それから十三
ページから以下には、前段もう一つの資料で申し上げました輸出入の金額を、単にびん・
カン詰とか冷凍品ということでなしに、さらに小分けにいたしまして、サケ・マス、
マグロ、
カツオ、
サンマというふうに詳細な表として載せたものでございます。これを
ごらんいただきますと、全体としては先ほど申し上げましたようにびん・
カン詰が多いわけでございますが、その中でもサケ・マスそれから冷凍品では
マグロ、それから下から二番目にございます真珠といったようなものが品目別には輸出の中心をなしております。
そのことを今度は国別の表にいたしましたのが十四
ページの表でございまして、やはりアメリカは何といっても非常に多い。その次にイギリスというようなことになっております。
それから十五
ページはその国別をさらに品目別に分類をいたしまして、一覧表にしたものでございますが、これは三十六年の単年度だけをここに載せてございます。相手国としては先ほど申しましたようにアメリカとイギリスが多い。それからその中ではびん・
カン詰めのサケ・マス、冷凍品の
マグロ、真珠が多いというふうに申し上げましたが、サケ・マスはその表にございますように主としてイギリスヘの輸出が一番多い。冷凍の
マグロはやはりアメリカが多い。真珠も大体アメリカを中心に輸出をされておるということになっております。
それから次の
ページからあとは全く観点を変えまして、今日までに
沿岸漁業者のために沿岸に漁場を造成をいたしました実績を県別に一覧表にしたものでございます。これは御説明に入ります前に、まことに恐縮でございますが、ミスプリントがございますので御訂正をいただきたいと思いますが、鹿児島の欄の左から二つ目の二十五万七千五百十六というのは消していただきまして、それを下の欄の三十万何がしというところに二十五万七千五百十六と入れていただきます。
これは三十三年から三十七年までの事業量を全部集計をしたものでございまして、築いそ、耕うん整地客土、並型魚礁、大型魚礁、ノリ漁場造成事業、ノリ人工採苗施設、ホタテ採苗施設で、それぞれ単位は違いますが最初の築いそは立方メーター、耕うん整地客土事業が平方メートル、並型魚礁、大型魚礁は個数、ノリ漁場は平方メートル、ノリ人工採苗施設は個所数というふうに書いてございます。築いそと申しますのは岩盤を爆破をいたしましたり、適当な大きさの石を海面に投げ込みまして、海藻がつきやすくしたり、あるいはそこに魚が寄りやすくしたりするような事業でございます。それから耕耘、整地、客土と申しますのは、非常に海底が老朽化いたしました場合に、そこを掘り起こしてそこへたまりましたものを排除をいたしましたり、新しい泥をほうり込んだりして漁場の更新をはかるものでございます。それから並型魚礁と申しますのは、四角なコンクリート・ブロックを幾つも海面にほうり込みますが、並型と大型との違いは一個あたりのコンクリート・ブロックの大小よりも、むしろ一カ所に集中してほうり込みますブロックの数の大小の差だというふうに御理解をいただければよろしいかと思いますが、大体大型は二千五百個以上を一カ所にほうり込みますものを大型魚礁ということにしております。なお、これは昭和三十八年度から公共事業費ということで、取り扱うことになっております。それからノリの漁場造成事業と申しますのは、防波さくをこしらえたりいたしまして、新たにノリの養殖を可能にいたしましたもの、それからノリの人口採苗施設というのは、自然の採苗に待ちませんで、陸上に施設をこしらえまして、そこで採苗をしたところでノリの網をつけて、それを直ちに海へ入れるというようなことで、採苗を自然条件に待たないで、人為的に処理するというような施設でございます。
それからその次は、特殊な地帯だけで行なわれておりますが、ホタテ貝の稚貝をとりまして、それをほうぼうへ配る施設でございます。
以上のような事業量になっておりますものを事業費として見ました場合が十七
ページの表でございまして、国、都道府県、地元との負担の金額を年度別にその表に掲げましたが、国と都道府県と地元との分担割合を、年度ごとに若干変化がございますが、そこに掲げてございます。先ほど申しました大型魚礁は当初三分の一から出発をいたし、逐次二分の一になり、十分の六になり、公共事業になりました。そのほかのものも大体三分の一の補助率を漸次増加をいたしまして、現在は二分の一の補助で処理をいたしておる次第でございます。
それから十八
ページは今後養殖漁場の面積がどの程度増加し得るかということにつきまして、県からの報告数字をそのまま載せたものでございます。一番左の上が海面におけるもの、それから下の欄が内水面でございます。これは単に県からの報告をそのままとりましたものでございますが、これらを参考にしながら
構造改善計画を推進をし、助成をしていきたいというふうに考えております。
それからその次の
ページはむしろ逆に最近埋め立て、干拓等によりまして漁場が減りましたもの、及びそれに対します補償、そのほかに水がよごれた等のために被害を受けたということの件数と被害金額を載せてございます。
これはいずれも県からの報告をそのまま載せましたものでございますので、特に下の欄はこのとおりの補償になるかどうかということについては、必ずしも明確ではございません。
それから二十
ページには前段から申し述べましたような
沿岸漁業者及び十トン以上のいわゆる企業的企業を営んでおりますものが農林
漁業金融公庫以下各種の金融をどのように
階層別に借り入れをしておるかということを、三十七年三月三十一日現在で一覧表にしたものでございます。たとえば財政資金のうち、農林
漁業金融公庫の資金は
動力漁船では三トンないし十トンの層、それから養殖
漁業ではカキの養殖業者が、
沿岸漁業いわゆる漁家につきましては相当多数借り入れをいたしております。それから農協から借りておりましたり銀行から借りておりましたり、そういう数字、こまかくてまことに恐縮でございますが、特別御説明は省略をいたします。
それから二十一
ページからあとは
漁業者の賃金形態がどのようになっているかということについて調査をしたものでございます。これも二十八年と三十三年の
センサス以外に資料がございませんので、ごく最近のことについてはここに表が提出できませんでしたけれども、新賃金の支払い形態としては、雇用者がいないものと雇用者がいるものとに分けてみますと、そこにございますように、固定給というのは一割程度しかございません。やはり
漁獲量に応じて歩合制度によって賃金を支払われるのが、やや減りつつはございますけれども、相当多数を占めておるという現状でございます。今水産庁としては、この歩合制度というのが、
漁業の実態としてある程度はやむを得ない点もございますが、なるべく固定部分をふやすような方向で労務者の安定をはかりたいという指導をいたしておる次第でございます。
それからその次の表は、
階層別の一人一日当たりの賃金を三十一年から年次別に一覧見表にしたものでございますが、三十一年ないし三十三年の平均をAといたしました場合、最近の値は、下から二行目にございますように、上回っておるというふうに言ってもよろしいかと思いますが、ただ、大型定置とか三トン未満とかいうようなところでは、特殊な現象を示しております。
それから二十三
ページは、漁民及び
漁業労働者に対しまして現在各種適用されております社会保障制度を、その制度と関係法令別に一覧表にしたものでございます。雇用関係のない者につきましては、国民健康保険法と国民厚生年金法が、雇用関係のあります場合には、それを五トン未満と五トンから二十トンと、二十トン以上とに分けまして、それぞれそこにございますような制度が適用されております。一番右のところに推定されます適用人員が載せてありますが、最近逐次これらの社会保障制度が
漁業者にも適用されますように、関係各省とも打ち合わせをしてその適用拡大に努力をいたしておる次第でございます。
それからあと薄っぺらい二枚とじで「
漁業共済事業の試験実施経過」というのがお配りをしてございます。これは御存じのように、昭和三十二年から
漁業共済というものを試験実施をいたしまして、三十六年に若干その仕組みを変えまして今日まで実施いたしておるわけでございますが、引き受け件数は三十二年におきまして漁獲共済が五十一件、漁具共済が二十一件でございますが、三十三年には約十倍の五百件、それから三十四年には八百三十七件になり、昭和三十六年には六百四十六件ということで、年次別には増加をいたしておりますが、それに対する支払い金額は損害率のところで見ていただきますと割合おわかりになると思いますが、三十二年が四〇六、三十三年が二〇五、まん中の漁獲共済のところの線の上でございますが、それから三十四年は二五三、三十五年が一八六、三十六年が二二九というふうに、ほぼ掛金収入に対しまして倍またはそれ以上の被害が生じておるという形になっております。これを設計当時推計をいたしましたものに比べますと、加入件数は著しく少ないのでございますが、事故発生率はほぼ当時の設計と合っておりますが、共済掛金の収入が
見積もりのほぼ半額以下ということで、収入が予定より著しく少なくなっております。そこで現在研究会を設けまして、いろいろな保険関係の学識経験者にお集まりをいただいて、問題点の検討を現在いたしておりますが、過去について少なくとも言えますことは、定置網とかまき網とかいうような、最近低滞性ないしは非常に
漁業の不安定な
漁業が逆選択的に加入をしておりまして、安定性のあるものあるいは上昇の傾向にあるものの加入がほとんどないという逆選択傾向になっておるところに、このような損害率を出した、収入に対して倍以上の支払いを生じた原因があるということで、主として今後そういう逆選択を生じないような、あるいは共済限度ワクの計算に何か間違いがあったのではないかというようなことを、現在専門家の剛で検討をしていただいており干す。いずれにいたしましてもこういう制度の必要性はございますので、今後この試験経過を十分検討いたしまして、よりよきものにしたいというふうに考えております。
それからもう一枚、一枚刷りで簡単な図面がお配りしてございます。これは最近の海潮異変につきまして、昭和三十八年の二月と三月に水産庁の調査船なり各水産研究所の調査船を使いまして調べました調査でございます。一番右のところに黒潮の流軸ということで三十七年三月というので点線の弧線がございます。すぐその下に三十八年三月とございますが、例年なら暖流が上のほうの三十七年三月のところまで流れて、それから東北へこう流れていくのでございますが、ことしは二月、三月ごろに、それより下の三十八年三月というところまでしか黒潮の力がいっておりませんで、北から下りてきます親潮の力が非常に強いためにそこにございますように、それぞれマイナス十四、マイナス三とか、マイナス四というような、一般的に、一部高いところもございますが、海水温が低下をいたしておるわけでございます。その後最近の調査では、気温の上昇とともに、ほぼいずれの海面も表面の水温は上昇をいたしまして、平年に戻りつつありますが、一部では深いところの水温がまだ上がっておりませんために、全体としては魚の生育が一カ月前後おくれておりまして、産卵の時期、あるいは魚体の大きくなる時期とかいうようなものが全体としてズレの傾向を示しております。で今後さらに詳細な調査をいたしますために科学技術庁、気象庁、海上保安庁等と打ち合わせをいたしまして、約九千万円程度の予算でさらに総合的な調査をいたすべく、現在大蔵省と折衝をしたり、あるいは各省と調査方式等の打ち合わせをいたしておりますが、現在までのところ表面水温は上昇をしたと申し上げましたが、鳥取、島根、山陰のこの付近は特にアジ・サバを中心にして非常に漁期のおくれがございまして、今なお漁獲が例年に比べて著しく低い。ただこの地帯のアジ・サバの漁獲は最近やや低下傾向にありますので、そういう資源的な問題にこの水温の問題が重なり、かみ合わされたのではないかというふうに推測はしておりますが、科学的には明白でございません。
それからまたもう一冊厚いもので、施策の概要というのをお配りをしてございます。これは沿岸振興法の各条文ごとに、三十八年度と三十七年度との予算を表示しつつ大体国がその条文に合わせて施策を進めるとすれば、現在までこのような規模でこのような仕事をしておりますということを、ずっと条文、ことに表にしたものでございますので、御説明を省略をいたします。
以上たいへん長い時間にわたりまして御説明いたしましたが、一応御説明を終わります。