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1963-06-11 第43回国会 参議院 農林水産委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年六月十一日(火曜日)   午前十時二十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     櫻井 志郎君    理事            仲原 善一君            堀本 宜実君            森 八三一君    委員            植垣弥一郎君            岡村文四郎君            木島 義夫君            中野 文門君            野知 浩之君            藤野 繁雄君            山崎  斉君            大河原一次君            亀田 得治君            北村  暢君            安田 敏雄君            天田 勝正君   国務大臣    農 林 大 臣 重政 誠之君   政府委員    農林政務次官  大谷 贇雄君    農林大臣官房長 桧垣徳太郎君    農林省農林経済    局長      松岡  亮君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    農林省農林経済    局農業保険課長 岡安  誠君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○農業災害補償法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) ただいまから、委員会を開会いたします。  農業災害補償法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き、質疑を行なうことにいたします。質疑のおありの方は、御発言を願います。
  3. 北村暢

    北村暢君 私は、まず、前回大臣に対する質問の残りを、きょう、やらしていただく前に、資料要求の問題について、大臣に、ひとつ十分今後の委員会運営の点について、御要望を申し上げたいと思います。というのは、渡辺理事が、きょうは、災害委員会から派遣されておられませんので、渡辺理事が再三にわたって、資料提出については、法案審議に当たって、時間節約という点からいっても、要求しなければ資料を出さないという、そういうことではいかんじゃないか。積極的に法案審議するという建前に立つならば、関係資料というものは、積極的に提出をして、そして審議を尽くすという、その心がまえというものが農林当局にあってしかるべきでないか。このことが、何回か繰り返されておるのであります。ところが、今度の農業災害補償法の一部改正案参議院へ回付になってからの審議にあたって、資料要求等あったわけでありますけれども、それ以前に、衆議院段階で、こういう三つの資料衆議院には提出されておる。ところが、参議院には要求していないからということでもって提出されておらないわけで、したがって、私は、そういう農林当局態度というのは、要求しなければ出さないという、こういう態度、これは、ひとつ、今後、一切改めて、資料は、衆議院に出したものは、もちろん参議院へ出す。参議院先議のもので参議院提出したものは衆議院へ出す。こういう立場をとっていただきたい。これはごく簡単なんでありますけれども、何かしら、この資料というものを、なるべく出さないで、質疑を簡略にして終わらしてしまおうと、こういう気配が見受けられるのであります。審議の過程において、もちろん必要な資料というものが出てくる場合もあるのでありますけれども、初めからこういう態度というものは、厳に戒めていただきたい。これは私が初めて言うのじゃなくて、渡辺理事が再三にわたって、ほかの各局に関連する法案についても、言っていることなんでありまして、経済局関係だけではないのでありますから、これはひとつ、官房長もおられるようですから、この点は大臣官房長のいるところで、きつく言っておく必要がある、こういうことで申し上げますので、今後、こういうことのないように、十分注意をしていただきたい。そういう点について、できるのかできないのか、まず大臣からお伺いしておきたいと思います。
  4. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) それはまことに相済みません。もうこれはおっしゃるとおりでありますから、できるだけ、ひとつ御趣旨に沿ってやるようにいたします。
  5. 北村暢

    北村暢君 それで、私は資料要求については、のちほどいたしたいと思いますから、大臣から御答弁もせられましたように、ひとつこれは大臣に一々こんなことを答弁させるということはおかしいのであって、官房長のほうで、十分局長にこの趣旨を徹底していただきたい。各局でばらばらにそのときそのときに言わなければならないというのは、まことにおかしな話なんです。農林省全体として、各局長に、十分これは伝えていただきたい。  それから次に、質問に入りますが、この前も保険補償かという問題について、いろいろ論議をしたのでありますけれども見解の差異ということだけでは私、これは済まされない問題だと思います。個人的な損害について、国が補償をするということは、他の災害あるいは事故の損害補償というような問題とも関連して、農林関係災害についてだけ、個人災害補償するということはできないのだ、こういう意見のようでありましたが、しかしこれは農業災害補償制度のいろいろな論議の中において、まあ、学者連中においてもいろいろ意見のあるところであります。学者も大災害については、個人損失といえども国家が補償したほうがいいのだと、そうしてまた保険分野補償分野というものは、やはりはっきり分けたほうがいいのだ、こういう意見があるのであります。これは私がむちゃくちゃにそういうことを言っているのではないのでありまして、相当有力な学者がそういう意見を述べている文献というものが相当ある。しかも、農業災害補償制度というのは、これは非常にむずかしい制度でありますから、しかも各国にもあまり例のないむずかしい制度で、各学者検討をされている、そういう観点からして、この補償制度というものについては、私ども農業基本法建前からも、あるいは農業災害補償法の目的からいっても、補償というものは考えられてしかるべきだとこう思うのでありますけれども、この点については前回意見を聞いたわけですが、こういう本質的な問題も含めて今後検討をするということが考えられないのかどうなのか、現在の制度を手直しする程度で将来もずっといくのかどうか。私は現在の制度をどういじくってみても、農民不満というものは簡単に解消しない、こういうふうに思うのであります。この点については、各学者の中にも、現在の農業災害補償制度のワクの中でいろいろいじくってみても、農民要望を満たすようなことは不可能ではないか、こういうことで、基本法農業構造改善にマッチしたところの抜本的な改正というものが考えられなければならない、また考える必要がある段階にきているのではないか、こういうふうに主張する学者がおる。しかも、有力な学者がおるのであります。したがって、私は大臣にお伺いしたいのは、将来もずっと今の手直し程度のものでいくのかどうか。森委員も盛んにこの点についてただしているのでありますけれども局長答弁では、家畜共済並びに果樹を入れるかどうかという問題、あるいは蚕繭等について今後抜本的に考えたいとこう言われるのでありますが、農作物共済、これについては、今の改正で大体農民不満というものは相当部分解決するのではないか、こういう見通しのようでございます。したがって、私は家畜共済についても果樹共済についても、今後の新しい問題は確かにあるだろうと思う。しかし、農作物共済そのものについても、私は今後抜本的な制度改革というものについて検討すべきじゃないか、こういうふうに思うのでありますが、大臣の所見はどうでしょう。
  6. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 根本的に今の農業災害共済制度というものを改革をして、現在のようなやり方を全部改めて農家損害、農産物の損害は全部国庫で補償するとか、あるいは公共団体補償するとかというようなことについて検討をしたらどうかという御提案のようでありますが、私は現在の時点におきましては、やはり現在のこの制度が基本的にはいいんじゃないか、こういうふうに考えて先般も御答弁申し上げたわけでありますが、今の私は情勢ではやはり現時点におきましては、この共済組合のこの機構で運営していくのがいいんじゃないか、こういうふうに私は思っているわけであります。もちろん、御指摘のとおりに農業本質改善に伴いまして成長部門といわれている畜産の問題、あるいは果樹の問題、さらには蚕繭そういうものを共済対象にすべきではないかという点につきましては、これは全く御同感であります。これは十分に検討いたしまして、できるだけ早い機会にこの共済対象にいたしたい、こういうふうに考えております。
  7. 北村暢

    北村暢君 保険か、補償かという問題にこだわるというと、そういう御意見も出てくるだろうと思います。保険か、補償かという問題は、これは非常に根本的な問題でありますから、農民補償という要求があるということは、先般申し上げたとおりでありますから、しかしこれを別問題として私は制度協議会答申案の中で、今度の改正案の中で出てこない問題としては、やはり機構の三段階制を二段階制という答申、これに対して三段階制を依然としてとっているという問題、それから農家単位制をとる、これが一筆石建制を従来どおりとっている。これは保険か、補償かという問題、このごく根本的な問題をまずたな上げしたとしても、この機構の問題と、農家単位制一筆石建制という問題、これはやはり農作物共済においての、また制度自体の非常に根本的な問題だと思います。この根本的な問題が今度の改正案では、解決されておらないわけです。で、いろいろ四つか五つにわたる改正点が行なわれまして、相当部分農民不満というものは解消できるのだ、こうおっしゃるけれども、なおかつ私は根本的な問題が残っておる、こういうふうに思います。したがって、私はこの制度自体根本的な問題について制度協議会のような、どちらかといえば農林省内部検討機関として設けられたものでなくして、本格的にやはり設置法による内閣制度審議をするという正式の審議会というものを設けて、学識経験者等を網羅してもう一ぺんやはり抜本的な検討をする必要があるんじゃないか、今後果樹関係共済を入れるにしても何にしても、私は、その根本がきまらないというと、簡単に入れていいのかどうかということ自体が大問題だと思う。で、今のこのがたがたした制度の中にまた果樹を取り入れ、そして拡大をしていく方向をとって、それこそ身動きのできない結果になっては、これはたいへんだと思うのです。したがって、農単問題にしても機構の問題にしても、やはり将来において深刻に検討をすべき段階にきておるのじゃないか、このように思うのであります。したがって、これは戦後の農政の三大柱の一つなんでありますから、これが私は決して確固たる根をおろした磐石の体制であるとは、この農業災害補償制度についてはいえないのじゃないかと思うのであります。したがって、この農政の非常に大きな部分を占めるこの三大柱の一つといわれる災害補償制度について、今後一体どうするかということについて、正式の審議機関をもって検討すべきである、抜本的な改正について検討すべきである、このように考えるのでありますけれども、そういうお考えはないかどうか。御見解をお伺いいたしたいと思います。
  8. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 今の一筆ごと共済でいくか、農家単位共済でいくかということは、ただいまお述べになりましたとおり、これは重要な問題でございます。で、私は一長一短あると実は思っておるのでありますが、政府原案では、たしか農家単位というので原案提案したと思うのであります。衆議院において御修正になりまして、一筆単位ということに修正案が成立いたしましたので、まあ一長一短はありますが、衆議院の院議を尊重する意味におきまして、今回提案をいたしましたものは、その修正どおりのものを提案をいたしておるようなわけであります。その他、果樹の問題、あるいは畜産の問題、蚕繭その点、農業体質改善構造改善というような問題に見合って、新しい農政の展開をせられるにマッチした共済事業というものが行なわれなければならぬということは、先ほども申しましたとおり、北村さんのお考えのとおりであると思うのであります。で、それらの問題並びにただいまお述べになりましたような共済制度そのものについて、さらに重要な問題について検討をする必要があると、だから学識経験の豊かな方々でもう一ぺん相談したらどうか、こういう御意見であります。私は、ある段階に至りますというと、そういうことになるのではないかというふうに思っておるのであります。ただ、今回のこの改正案を御協賛を得ましてこれが成立しますれば、この問題につきましては一応これで実施をして、その実績に徴するということも私は必要であると思うのでありまして、そういうような実績をもちまして、さらにそういうような審議会を開いて審議をするというようなことも私は出てくるのではないかとこう考えております。  今の果樹その他につきましての共済対象にする問題につきましては、これまた重要なことでございますから、そういうものにつきましては、ただいまお話しになりましたような方向でひとつ考えてみたい、こういうふうに思います。
  9. 北村暢

    北村暢君 今の制度改正の問題については、まあ状況によってはそういうことも、審議会等も設けることもあり得るかもしれないと、まあこういう御意見のようですから、ぜひひとつ近い将来において、抜本的改正ということでこの審議会を設けて、やはり根本的に検討をする必要がある。私は特に、あまり政治的に、この共済制度というものはなかなか、この農民の意思というものを離れて、政治的にこの妥協の産物としていつも抜本的に改正できない。こういうところに相当問題があると思いまするので、特にこの点は要望をしておきたいと思います。  次にお尋ねいたしたいのは、まあ抜本的改正とももちろん関係あるのでありますけれども、今のこの農家単位方式衆議院修正案どおり現状維持と、こういうことになったというのでありますけれども衆議院修正案提案の中にも、はっきり提案者説明しておるのを見ましても、災害時の農家所得補てん観点からすれば、理論的には農家単位方式のほうが望ましいと考えるのでありますが、現実の農民感情をも考慮に入れて、現段階におきましては、現行どおり一筆単位方式をとることとしたのであります。と、こう言っておるのであります。したがって、この提案者は、理論的にはやはり農家単位方式が望ましいのだという、政府原案というものは、一応認めておるのであります。ただ、この政府提案されたものが、実は提案に至るまでの紆余曲折をもちまして答申案のような制度協議会答申のようなそのものにならなかった。で、改正そのものが中途半端に終わったものだから、この農家単位方式のところだけ非常に進んだ形にしてもマッチしなくなっちまった、私はそう思っておるのであります。したがって、現状においては、農家単位よりも一筆建のほうがいいんだ、こういう結果になったのだろうと思います。したがって、これは一長一短あるということは大臣のおっしゃるとおり。おっしゃるとおりなんですが、まあ保険制度にしても、災害補償にしても、私はこういうことが普通にあることではこれは意味がないのだと思います。やはり相当災害を受けたときにほんとう保険なり補償なりという、農家自体がその効果なり本質というものを理解されるような形にならなけりゃならないのじゃないかと思うのです。ところが、現在の一筆建のほうからいえば、まさしくこの共済金を受ける度数は頻繁にくるでしょう。一筆建でありますから、小さな、三割以上の、一筆において三割以上の災害であれば、これは額は少ないがくるわけであります。したがって、くる頻度について、まあこの制度農民が忘れないということについてはいいかもしれないけれども、決してもらった者は、この制度の、正しい評価がなされておらないと思うのであります。でありますから、結果的には何も自分掛金をかけて、そうしてこの制度による共済金をもらったという感じよりは、何か災害のために補助金でももらった、見舞金でももらった、こういった感じのほうが農民のほうは強いのであります。決して自分たちの自主的な意欲によって共済金をもらったんだと、こういう感じにはなっておらないというところに、やはりこの制度自体農民感じが、制度に対する信頼感といいますか、何といいますか、正しい評価がなされておらないというふうに思うのです。したがって、農家単位方式でいけば、ほんとう災害にあった際における再生産を確保するだけのまとまったものが入ってくるという点については、私はやはり一長一短といいますけれども、それの効果というものは相当ある。したがって、この点については、相当程度農家単位方式というものを支持する人が学者の中にも非常に多いのであります。これは答申案の中にもそのとおり出ておる、こういう結果になっておると思うのです。したがって現状においては、一筆石建てのほうがいいというけれども、これは不徹底な改正だからそうなんであって、したがって、農家単位方式にするというと全筆調査をやらなければならない。したがって、賦課金なり国事務負担が多くなるだろう。今でも多い多いというのに、これ以上多くなったのでは制度自体がもたない。まあ今そういう面があるのだけれども、しかし、私はそういう面だけではこの問題は簡単に解決できない。この制度農民信頼感というものを得るためにも、私はやはりこの農家単位方式というものについては十分検討する価値がある。で、農家単位方式による事務費なり損害調査の費用というものがかさむのであったならば、それをかさまないような方法というものが考えられるならば、私は実施可能ではないか。問題は、局長説明によりましても、経費がかさむ、一筆石建て評価方式よりも全筆調査をやらなければならないので、これは不可能に近いくらいだと、こういうことのようでありますが、必ずしもその評価方式としては、私は何か方法があるんじゃないか。金をかけないでもっと農家の満足するような農家単位方式というものが考えられてしかるべきだ、こう思うのです。それから、事務費なり賦課金なりという農家負担の大きくなる問題については、これは機構上の問題とも関連して、なるべくわれわれは簡素化して、その事務経費を軽減しろ、こう言っているのであります。それが軽減されない形にあるところに問題があると思うのであります。したがって、現状においてはというこのことが、私はやはりこれは抜本改正の問題と非常に密接な関係がある、こう考えております。したがって農家単位方式については、一体大臣は将来とも一筆石建てのほうがいいのかどうなのか、この問題について大臣の御意見をひとつ承りたい。
  10. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) その問題は、経費の問題もさることでありますが、理論的といっては言い過ぎでありますが、実情に即してこういうものを考えなければならぬと私は思うのであります。北村さんの御意見も私はもっともであると思うのでありますが、ただ問題は、私の考えでは、構造改善事業がどんどん進んで、そして基盤整備が行なわれ、区画整理が非常に進行いたしまして、農家耕地というものが一所に集団的にそこに集まってくるというような場合におきましては、これはおっしゃるとおり農単方針でいくべきだと思うのです。ところが、現在のごとくまだ区画整理等もどんどんやってはおりますが、なおかつこの耕地そのものが非常に分散をしているというこの状態におきましては、やはり農家感情とすれば、農単でやられれば、先ほど御指摘のとおりに共済金をもらうその頻度が非常に少なくなるというところに、私は不満があるであろうと思うのであります。要するに問題は実際にその状況がどうなっているか。交換分合が行なわれて一所に集団的に農地がどんどんできてきているという状態であれば、お話しのとおりにやることも、これは実情に合ったことになるであろう、私はこう思うのでありますが、現在はいわば中途半端といいますか、そういう状態現状であろうと思うのであります。したがって、やはりある農家不満を持つ農家相当に出てくる、ある農家はそれはそういうことでなしに農単でやったほうがいい、相当被害があった場合に共済金をもらう、少々の被害ならば自分のほうでまかないつける、こういう農家も私は出てくると思うのであります。要はその点に問題がある。したがって、私は一長一短ということを申し上げたわけであります。でありますから、将来はこの基盤整備が進み、区画整理が進んで参りますれば、おっしゃるとおりのことを考えなければならぬ、こういうふうに考えます。
  11. 北村暢

    北村暢君 この問題も、私はまあ一長一短といえば一長一短でありますけれども、これもやはり制度上の根本の問題ですから、今後の審議会等において十分検討されるべき問題だと思います。  それから次にお伺いいたしたいのは、市町村へ移管せられるものが最近非常に多くなってきているわけです。これの実情について若干お伺いいたしたいのでありますが、今のところで六百何組合かが市町村に移っている、こういう状況のようですが、これが最近急速に進んでいる。また農林省としては、一体この市町村公営方向へいくのに対してどういう方針で臨んでおられるか。私は今度の改正共済組合責任負担分がふえる。そこでふえるのでありますけれども、これはこまかい今後の運営上の問題として、後ほどこの組合のあり方の問題なり、内容なり、実情についてお伺いをいたしたいと思いますけれども方針としてどういう方針をとられるか。私は現在の共済組合の一組合三名か四名、しかも専任の組合長というものはごく四分の一程度か何かしかおらない。役員というものはほとんど兼務、農協の役員との兼務が非常に多いようでありますけれども、こういうような形で三名か四名の末端の組合責任が過重してくるということについてどうも問題があるのじゃないか。だからこの問題も農民の自主的な機関としてやっていくのには、組合であることが望ましい、しかしながら、これも評価の問題なんでありまして、能力のない者が幾ら自主的といっても一、これはどうも責任が果たせないわけですね。したがって、この市町村公営というものが最近非常にふえてきているのはどういうことによるのか。この間の事情をひとつお伺いいたしたいと思いますし、また、私どもがもうこの機会に目標を定めて、そうして市町村公営へ積極的にもう推進したほうがいいのではないか。このように思うのでありますが、ひとつ大臣見解を承りたい。
  12. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) その点につきましては、しばしば私申し上げておるのでありますが、農林省といたしましては、市町村公営方向に奨励して進むのだという考えは、現在持っておりません。あくまでも市町村なり、組合なりの話し合いの上で、円満に市町村でやるほうがいいということを、その農民諸君考えられてそうせられた際に、けっこうである、こういうのでありまして、制度といたしましてはやはり現在のこの共済組合というものが自主的にやったほうがよろしい、こういうふうに考えておるわけであります。市町村営という、公共団体営ということになりますと、この掛金が税金の形で取り立てられることになると思うのであります。そこに非常な私は問題があると思う。そこで農家のほうは共済についての関心が私はだんだんに少なくなっていくのではないか。そうして先ほど来お述べになっておりますような、災害補償だ、こういう方向に私は進んでいくべきではないかと思うのであります。で、こういう個人災害に基づくそれを公共団体補てんをするとか、国が補てんをするということは、私はどうも筋が違うと思う。そういう考え方は私はあまり賛成はできないです。やはりそういうものは個人一つの組織を作り、自主的に作ったものによって補てんをする。公共事業その他の公のものについては、これは市町村なり、県なり、国なりが復旧その他についてできるだけ万全の措置を講じていく、こういうやはり建前がいいのではないか、こういうふうに私は考えておるのであります。で、現在のところでは、やはり町村及び組合両者の話し合い、農民諸君の理解の上に立って、町村でやるものはやってよろしい、こういうことで原則は、やはり自主的にこの共済制度は運用せられるべきものである、こういうふうに考えております。
  13. 北村暢

    北村暢君 まあ原則は、最初からその市町村営でやるということにもちろんなっていないので、三十二年の改正のときに初めて市町村営というものが市町村に委譲することができるということになったのでありますけれども、今日四千何がしかの組合のうち、まあことし中に大体千をこすのではないかということがいわれておるのです。現在すでに六百幾つ委譲されておる。しかもこの半年か一年の間に、急速にこれが進んできておる。で、ことし中にまたこの半年くらいの間に千くらいいくのではないか。これは一つには内々か表向きか知りませんけれども農林省の指導によって移っていっておるというふうに聞いているわけなのです。したがって、この四千かの組合のうち四分の一の千くらいのものが市町村に移っているということになれば、しかも、十何年間の過去長い期間においてやってきたものが、ここ二、三年の間に四分の一のものが市町村営に移っていったということを聞いておる。これは趨勢として私は否定できないのではないか。したがって、市町村営ということは、共済組合としてはやりきれないで、市町村営という方向にいってしまったのじゃないかと思うのであります。もちろん、これは大臣のおっしゃるように、農民と話し合いの中で、理解の中でやっていくということは、当然ですが、どちらかといえば全国市町村の会議においても、この共済制度を引き受けることについては、市町村側からすれば反対なんです。反対にもかかわらず、そういうふうに進んでいるということについては、そういうふうにいくべき必然性がやっぱり実体的にあるのではないか、このように思う。したがって、今のようなまあ成り行きにまかせていくようになるだけだ、公営化の方向にいけば補償につながるから、それじゃいけないのだということならば、公営にいかないような指導をとるべきで、自主的に共済組合が成り立つようにいかなければならない。ところが、現実は市町村営方向へどんどん移っている、こういう実態なんです。これは一体指導理念としてそれをなるべくいかないようにするのか、いくものはやむを得ないというのか、共済組合として組合方向が望ましいのだから、なるべく市町村へはやらないとするのか、これらのところは、実情大臣説明とでは、私は食い違っているのではないか、このように思うのですがね。その点はどのように御説明をされますか。
  14. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 実情によりましていろいろあるだろうと思うのですが、それによりまして市町村のほうに委譲をしていかれる、これは得心づくでいくのでありますから、これをとめる考えはございません。だがしかし、相なるべくは私はこういうものは、自主的な一つの組織で合理的に運用をしていくのがよろしい、こういうふうに考えております。したがって、できるだけのことは、政府としてもこの組合に対して御承知のとおりに財政措置もしておるわけでありますが、たくさんの中でありますから、いろいろの事情があり、またその地方的事情もいろいろあるだろうと思う。今日のごとく市町村に得心づくで委譲をしようという場合には、これはとめる考えはございません。
  15. 北村暢

    北村暢君 どうもそこのところがはっきりしないのですが、市町村公営方向へいくことは望ましくないと、こういうふうにお考えですか。それだとするならば、話し合いでいくものは仕方がない、そんな投げやり的なことではなしに、なるべくこの制度を理解して、組合へとどまってもらうという努力を積極的にやるべきだと思うし、そこら辺のところはどうなんですか。成り行きにまかして、指導方針はどっちともはっきりしないということなんですか。組合方向で、さっきおっしゃったところによるというと、どうも共済組合というものが自主的にやっていく、農民の自主的な機関とする、そのほうが望ましいのだ、そういう方向で今後とも強力に指導していく、こういうことになるわけですか、どうですか。もう一度はっきり御答弁願いたい。
  16. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 私の考えは、ただいま申し上げたとおりでありまして、少なくとも市町村に委譲をせられることを奨励をする考えは、私は持っておらないのです。
  17. 北村暢

    北村暢君 この点は、今後の連合会または組合のこまかい質疑の中から、どっちがいいかということについて出てくるだろうと思いますから、きょうはまあこの程度にしておきます。  それで、次にお伺いしたいのは、今度の改正の中で共済責任の拡充ということがいわれておりますし、また画一的強制方式の緩和をする、こういうことがいわれておるわけでございます。それで一体、今までこの制度に対する農民不満という点から、解散の議決を行なった組合、これが相当あると思うのでありますが、これに対して、一体どのような形に今まではなっておったか、また事業の休止している組合、こういうものも起こってきているのです。一昨年あたり解散運動というものが、非常に全国的に行なわれてきたわけでありますが、一体この状況をどのように把握されておるか。それから今度の改正では、三反未満の者については、任意加入を認める、こういうことのようでございますが、この点については、画一的な強制方式は緩和したと、こうおっしゃりますけれども、三反未満の者について任意加入で、どちらかといえば、これを切り捨てたという形だと思うのです。しかしながら、ほんとう意味における農民の自主的な解散決議、議決をしたというものについて、三反歩以上のものについても、そういう解散決議をしたものについて、農林省は、従来もこれを認可制度になっているようでありますから、認可はしないという方針のようであります。したがって、解散議決が行なわれても、農民の意思によって解散はできないのだというのが実情のようなんで、この画一的強制方式の緩和ということは、三反歩以上のものについても、組合が議決して解散するといった場合に、これを、農民の意思というものを認めるのか、認めないのか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
  18. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 私から少し経過も加えまして申し上げますが、解散の認可につきましては、従前は、その影響するところがきわめて大きいということから、できるだけ説得する等の方法によって、解散を回避するということで指導して参りまして、認可はできるだけしない。実際に認可いたしましたのは、今まで二件だけでございますが、そういう指導をして参ったのは事実でございます。ところが一昨年の十一月に、それではだんだん実情に合わなくなってきたので、最近の実情に合わすということで、次官通達によりまして、ある程度基準を示しまして、十分に農家が納得の上で、しかも今後における災害の発生の見込みが少なくて、農家の経済に今後も心配はないというような状態においては、その点を考慮してやってほしいという通達を出したわけでありますが、今回さらに、今御指摘のありました画一的な強制加入緩和、あるいは一部の事業廃止というようなことをいたすことにいたしておりますので、それらに即応いたしまして従来の通達をさらに再検討いたしたい、こういう考えでおります。
  19. 北村暢

    北村暢君 あと時間がないようでございますから、この問題だけで一応質疑を打ち切りたいと思いますが、今の、画一的の強制方式というのは、一定規模以下のものについては、事業の廃止をするということを認めよう、こういう方針のようでございますから、従来とは若干変わってきているのじゃないかと私は思いますが、しかし根本的な考え方は、やはり強制加入である、特に、農作物、米については、強制加入である、こういう形をとっておるのであります。その強制加入というのは、なぜ強制加入にするかというと、任意加入にしたら制度自体がつぶれてしまうからだろう、この心配があるから、任意加入にはしたくてもできないので、あります。そうしてまた、法律の建前からいくと、これは何条であったですか、解散の手続の法律の条項としては、議決があった場合、解散できるということになっておるわけです。しかしそれは、認可権によって、認可はしない、農民の意思に反して認可しないという方針をとってきている。これは、制度自体が、認可することによってくずれる、こういう見通しのために、その考え方をとってきているのだと思うのです。したがって、私は、そういう強制をしなければ、農民の自主的な意思だけでは持ちこたえられない制度に実はなっておる、こういうことだろうと思うのです。一体この点からしても、この制度自体が、農民の信頼を得てない、農民ほんとうに盛り立てる意思であれば、任意加入でも十分やっていけるはずなんです。それが、強制加入でなければ、制度自体がくずれるから、これはやっておる、こういうことだろうと思うのです。したがって、画一的な強制方式を緩和したというけれども、それは三反未満のものを、まあ納税の対象にならないようなものは切り捨てていこう、これ以外の何ものでもないのじゃないかと、私はそういうふうな感じにしか受け取れないのであります。したがって、いかにも、農民の意思が反映されて、画一的な強制方式はとらないのだ、こういうふうに言っているけれども本質的なものについては、強制方式をいささかも緩和していないのじゃないか、このように思うのですが、この考え方については、非常に変わっているのか、どうなのか。この点についてお伺いしたい。
  20. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 確かに強制加入の根本は維持しておるということは、御指摘のとおりでございます。それはまた、制度自体に対する農家不満が、従来相当あったということから、結果的には強制加入で維持されていたという面もなきにしもあらず、こういう感じはいたしておるのであります。しかしながら、強制加入を維持するということは、現状における日本農業の小規模な経営ということからいたしまして、保険需要がなかなか現われないということからしまして、逆選択になることになる。したがって、また保険制度として成立しない心配がある。これはどの学者指摘されるわけでございます。そういうこともございます。それからこれが災害に対する重要な制度としまして、農家の経営の安定に役立つためには、やはりまあ、ちょっと制度の内容は違いまするけれども、一般の社会保険が強制加入方式をとっておるということなども考えあわせまして、やはり現状においては強制方式の基本はゆるめられない。しかしながら、制度自体はできるだけ組合とは別に料率をきめるという方法農家不満を緩和する、そうして小規模な人はそれで満足なれば入っていただく、こういう方式に切りかえたい、こういう趣旨でございます。
  21. 北村暢

    北村暢君 これで終わりますが、その解散運動があり、あるいはこの制度自体に対する不満から解散決議が行なわれておりますけれども、これは私は農民の立場からすれば、解散してどうなってもいいという考え方ではないと思う。この解散決議をし、そうして政府に反省を求めているのは、この制度自体農民に喜ばれる制度にしたいという気持だと思うのです。解散のしっぱなしで、この制度自体はどうなってもこうなってもいいんだ、なくていいんだ、こういうことではないと思うのです。解散するという意思も、もっといい方向にひとつ制度自体を改めていきたい、ころいう気持だと思うのですね。これはやはり私は農林当局としては十分反省をする必要がある。これだけこの全国的に解散運動が起こったということは、やはり制度自体に対する農民不満であるけれども、しかし、それは制度自体を否定するものではない。何とかもっと農民の満足するような制度改革をしていきたい、こういう善意のものであるということだけは、これはやはり十分理解していただきたい。もっと農民の意思の反映されるものでなければならない。これは、後ほどこの評価方式その他についても言い得ることだろうと思うのですけれども、触れたいと思いますけれども、そういう意欲であるというものをひとつ十分はき違えないようにしていただきたい、こう思うのであります。  時間が参りましたから、私はきょうはこれで終わらしていただきますが、そういう点について、この運動自体についても、これはもう私が言うまでもなく、大臣もひとつ十分理解されまして、先ほどの抜本的な改正につながる問題でありますから、十分ひとつ御検討をいただきたいわけであります。
  22. 天田勝正

    ○天田勝正君 私、おりません間に、委員長理事におかれて質問時間をさいていだだきまして感謝いたします。私、議運の理事会に出ておりましたものですから、ここにおらないので今までの質問を聞いておりませんから、もし重複した点は、委員長におかれて注意を願えればけっこうだと存じます。なかなか出られない大臣に対する質疑でありますから、必ずしもこの法律だけにとらわれずに質問いたします。  まず第一に、今回の改正の眼目は、農民の最も不満でありました無事戻し制をどう実現するかということについて、単位組合に保留分を多くするという形をとったんだろうと思います。そこで、私がお聞きしたいのは、すでにこの制度が始まって一年たった昭和二十三年におきまして、この無事戻し制を作らなければならないのではないかという議論がありまして、私もいささかタッチしたことがあるのであります。その当時考えたことは、三年を一区切りにするか、あるいは五年を一区切りにして、そうして無事故のところへは、全額に近い払い戻しをしよう、こういう議論がございました。経過は、まあ詳しく申しませんが、そこで、今度は単位組合の保留分を多くすることによって、自由裁量で、これが、無事戻しという名前がいいかどうか知りませんが、何かの形で戻せる、こういうことのようであります。そこでしからば、やはり私は一つ方法としては、三年なり五年なりを一定の区切りをつけて、その間に全く無事故であれば、今の自由裁量による無事戻しでなくして、数字を示した無事戻しができるならば、さらに農民の満足を私は得られると思う、この法律は法律としまして。だから法律をはみ出して聞くんですが、将来そういうことも御検討になるつもりがありますかどうですか、まずこれを伺います。
  23. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 多少こまかい点にもわたりますので、私は申し上げますが、現在三年間無事故の場合に、一年の掛金の半分に相当するまで無事戻しをするようにいたしております。ただこの場合に、今までは責任の範囲が狭かったために、組合に無事戻し積立金が少なくて、そこまで行なえなかったといううらみがあったわけでございますが、今回の改正によりまして、その積立金を、責任を拡充いたしますので、積立金をふやすことが十分できるようになるのが一つと、さらに、無事戻しの範囲を、三年間無事故の場合に、従来一年の掛金の半分までというのを一年分まで、しかも機会を一回でなくて、回数もふやしたい、こういうようなことで検討をいたしております。
  24. 天田勝正

    ○天田勝正君 まあ、今までのことは、制度があったって、実際は金は与えられないようにできているんだからできない相談だというのがそういうところなんで、私の今質問したのは、言葉が足らないから、局長もあるいは私の真意がのみ込めなかったかと思います。私が言っているのは、結局三年区切りにせよ、五年区切りにせよ、無事戻しをほとんど一〇〇%にしたいという気持が私にはある。しかし、さようなことでは、相互扶助が成り立たないじゃないかということは、別の機会大臣からその趣旨のことは聞いているはずです。私もそれには一面うなずくところがあるのでありますけれども、しかし何年間なり積み立てればやはり別の、国家収入のほうはそれによる利子等があるのでありますから、全部、全額戻したところで、利子を含める戻しになっていない、こまかい話になるのでありますが。そういう腹が私にある。ですから何か保留分があるから、それでかなり余裕があって、政府が指示しただけのものは無事戻しできるというのでなくて、それができないこともあり得るから、それを政府が保証するというようにしたらどうか。それから二分の一なんということでなくて、全額に近い八〇%なり、そういうものができるのではないか。だから今の法律を直ちにここをもって直せというのではなくて、将来そういうふうな検討をする用意があるか、こう聞いているわけです。いかがですか。
  25. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) これはやり方によれば、それができないとも私は思いません。思いませんが、ただ問題は、掛金の額がそうなると大きくなるということになると思うのであります。ちょうど火災保険をやる場合におきましても、掛け捨ての火災保険料と、あとで返してもらう生命保険流の火災保険の料率というものはおのずから違っておるわけでありますから、そこらの辺は十分検討いたして考えなければならん。つまり共済掛金の額と、今の無事戻しの額及びその頻度というようなものは、常にかね合いがありますから、それらの点をかね合いでひとつ検討をいたすべき問題である、こういうふうに考えます。
  26. 天田勝正

    ○天田勝正君 次に、今たまたま大臣のほうから保険の話が出ましたが、実は健康保険が始まってずいぶん長いのですが、その過程におきまして、大きな企業は組合を結成して、その組合員という形で従業員の健康を保障する、こういう形をとっている。小さい企業は集まって政府管掌保険、こういうような形でやっておりますが、そこで、さっきから北村委員からも指摘されたように、解散したからといって、解散してそのまましっ放しで何も補償がなくてよろしいという意味の解散ではないので、今回の改正でも、僅少な場合は、知事の承認を受けて共済事業に吸収することができる、こういうようなことになっております。そういうような場合に万全を期するためにもう一つ制度として、これは組合主義でありますが、そのほかに政府管掌という健康保険と同様な制度を作られたらいかがか。これも今度の法律改正の範囲を出るでありましょうが、そういうお考えはいかがでしょうか。
  27. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) その問題は、実は私十分検討を今いたしておりませんから、直ちにここで意見を申し上げかねるのでありますが、健康保険の場合には、私自身の考えでは、大きい企業が健康保険組合を作って、その他のものが国家管掌というようなことになっておるのは、どうもうまくないのじゃないかと私は思っておるのです。ということは、大企業は組合を作って、そうしてそれで従業員職員の慰安、保養をするような施設までみんなその掛金でやっておるわけです。それで、国家管掌のほうはなかなかそういうわけにいかないというので、いわば、いいところはつまんで別にして、保険的に骨の折れるところだけが国にしょわされる。しかもそれが両方の待遇、被保険者の待遇が異なるというような二本立ての制度はうまくないのじゃないかというふうに、私は国民健康保険については考えておる。でありますから、はたして農業の方面についてそれがどういうことになりますか、これは十分検討いたしてみないと何とも申し上げられんと思うのであります。
  28. 天田勝正

    ○天田勝正君 これは大臣、たまたま政府管掌という言葉を用いたから、大いに健康保険の場合を頭に描かれるだろうと思うのです。確かに大きな会社の寮などを利用するよりも、近ごろはそういう重役さんが行く所よりも、健保の組合でやっている施設のほうがよほどりっぱだったりすることがあります。そういうのありますけれども農民の場合は、いずれにせよ資格はそういうものではなくして、片方は僅少なるがゆえに捨てられてしまう。自分の議決だから、それは自由じゃないかといってみたところで、片方は捨てて顧みられないという立場になるので、今の例とは著しくその内容が違うのです。でありますから、時間が制限されていますから、ちょっと言葉は足りませんが、私が言わんとするところは、今度地方農政局もできる、そこでそういうところでめんどうを見れば、確かに工場の小企業団地みたいなまとまった状態には農村はありませんけれども、それにしても地方農政局ができたから、そこでめんどうを見るということも可能ではなかろうか、そういうところが地方農政局を作った、つまりきめのこまかい農政をやろうというところに通じるだろう、これが一つ私の頭にある。もう一つは、直接政府が、政府管掌といっても、手をかけなくても、あの健保もそうした政府管掌という形をとったのも、やはり地方庁を通じましてそれでやられた、ですからそういう道もあるじゃないか。そこらのところがきめのこまかい農政というんであろう。ですからこれは不可能事ではない。そうすれば自分たちでやるのはとてもいやだけれども政府がそこまであたたかい手を伸べてくれるならば、組合としては解散するけれども、その補償については、やはり今度幾らかでもよくなったところでありますから、そういう程度のものならば、ひとつもし政府が、一般組合みたいに事務も何もみんなそっちでやるというんじゃなくて、政府のほうでそういう厄介な部分もやってくれる、あるいは地方庁でもやってくれる、こうなれば続けてもいいじゃないかという要求が自然にあると思う。今すぐその点については研究してないからお答えがむつかしいというお話ですから、この答弁は求めません。ですから、ひとついつの機会でも御検討を願いたい、希望しておきます。  引き続いて質問しますが、今の、適宜といっても、無責任ではありませんけれども、よせる制度がある。今度はひとつ、この機会に、自分たちが最もこれに危険ありということで組合が議決したものは、保険に付し得る制度を作れないものか。これを例を引いて言いますと、農家経営というものがはなはだしく変わって参りまして、かつて米麦にたよっておりましたものが、今度は、もう実は自分の経営の主体は蔬菜である、ビニール・ハウスである、こういうふうに変わってきてしまいまして、それが先般もここでも指摘しましたように、今回の雹害の埼玉における被害の半分は蔬菜であった。そういうくらいに農家の個々の経営というものがもう変わってしまった。ところが法律上蔬菜のほうは一向農災の対象にならない。それでは安心していられないということで、内容的にもうまるっきり変わってきたんですね。そこで今度は米なんかも少ないものは知事なんかの認可があれば、よしてもいいんだと、こういうのでありますから、逆にうちらのほうはまあ米はよすなり、あるいはよさないでそのままにしておくけれども、うちらのほうとしては蔬菜のうち何が中心か、ネギならネギ、ニンジンならニンジンでもよろしい。それが大切で、これが農家収入のなかなか重要な部分を占めておるから、これを組合の議決によって知事の認可を受けて、そうして保険に付する、こういうことをお認め願うならば、これは私は十歩の前進になると思うのでありますが、この考えはいかがですか。
  29. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) それは現在のところでは、そういうことは法律上可能になっております。任意共済といわれておる部面でありまして、これはそういうことを組合で議決してやるとすれば、それはやってもよろしいということになっております。
  30. 天田勝正

    ○天田勝正君 なっておる。しかし今まではそれは、実際は政府のほうでは奨励しておりますか。おらないでしょう。実はむしろやらないようにということじゃないでしょうか、危険が多いから。
  31. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 特に奨励はいたしておりません。過去においてたとえば福岡県において菜種についてやった実例があり、和歌山において、ミカンについてやった実例がございます。また肉豚については現在も相当な県で行なわれておりまするが、農作物において任意共済としてやられたものにつきましては、どうも始めた早々に大災害が起こったりいたしまして、うまくいかなかったというような例がございます。それから危険分散はやはり県単位で行ないました場合十分でないというようなことで、結果はあまり思わしくございませんでしたので、特に奨励はいたしておりません。
  32. 天田勝正

    ○天田勝正君 そうしますと、今度のような災害があるし、長雨の災害のごとき場合には、単位組合によって幾ら議決してやったからといって、その危険負担はとても不可能だと思うのです。そうするとこれは相当広範囲に、火災保険でいえば一町なんかでやるととてもつぶれてしまうというようなことがある。しかし県単位でやれば大丈夫だ、県共済で火災をやっているのもあるが、県単位でやればたいてい大丈夫だ、こういう実例があるのですが、そうすれば政府の今後の指導は、そこのめどを示してやればこれは可能じゃないか。これもさっきの地方農政局のことですが、かなりこれは広範で、ことに関東は広いのですが、一番小さいのは東海ですが何かその辺だと思いますが、そこの辺でやれば、今後どんどん農林省奨励してやらせられると思いますが、いかがですか。
  33. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 肉豚などの場合には、ちょっと違いますが、作物につきましては、従来県の単位で任意共済が行なわれた例がございますが、その場合はどうも思わしくなかったのでございます。これは作物の種類にもよるかと思います。そういうことでより広い地域で危険分散をやればあるいは成り立つかもしれません。あるいは現に農協などでも、積立金方式のこれは必ずしも保険とは言い切れません、備荒貯蓄といいますか、一種の価格補償的な価格共済、そういうような制度を持っているところもあるようでございますが、今より広い地域でやれば、それだけ危険分散ができるわけで、これは検討を要するかと思いますが、今までの実例では県単位ではどうも思わしくなかったと、作物についてはいえるかと思います。
  34. 天田勝正

    ○天田勝正君 今の問題は今度保険方式農林省としては思い切って変えたと思っておられると思うのです。今までの危険分散といってみたところで、自分の気持のないところでやるのですからね。それはもっとも連合会になればたいへん違いますけれども、それにしましても、自分の気持のないところで危険を引き受けるといってみたところで容易じゃない。今度はその部面が非常に変わってきましたから、今までの実例は工合悪かったけれども、今度はこういう制度をやれば大丈夫だという線がきっと出てくるだろうと思う。今までのは局長おっしゃるように県単位。今度は幸い地方農政局ができた。これは大いに研究してみる必要があるのじゃありませんか。そうすれば、むしろおよび腰で法律上できるということでなくて、そういう範囲で広く分散できるのであるからひとつやれ、大臣としても自信を持ってやらせる。そうすればその部分だけ個々のわれわれからすれば、できるだけ生鮮食料を除けば補償してあげたいというのが、おそらく全員だろうと思うのですけれども、それができなくても保険方式によってそれが可能だということになれば、私は農政の前進だと思うのですがね、どうでしょうか。
  35. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) お話しの問題、非常にいい一つの示唆を与えていただいたと思うのでありますが、畜産あるいは蚕繭果樹、そういうようないわゆる成長部門についての、保険対象にそれをしようということについては、十分検討を今いたしつつあるわけでございますが、同町にただいまお話しにありましたような野菜のある種の重要なるものについて、これを共済対象にどの範囲で一体できるかというようなことも、あわせてこれは検討いたすことにいたします。現に価格については、先ほどちょっと局長から申しましたとおりに、玉ネギについては価格が下落した場合にこれを補償する、それと最近キャベツにつきましてその価格が異常な低落をした場合には、ある程度補償をしょう、こういう制度を創設することにいたして着手をいたしておりますが、これは価格のほうの問題であります。今の天田さんのお話は災害の問題であります。十分に検討いたします。
  36. 天田勝正

    ○天田勝正君 まあこれも要望しておきますが、せっかく地方農政局ができたのでありますから、さっきも言うとおり、それができておって災害面で一向に役に立たないと言っちゃ、言い過ぎでありますけれども、あまり変わりばえがしないというのではおもしろくないので、今後出る法律それぞれについて私は新しい角度からひとつ検討してみてもらいたい。今の狭い範囲じゃ引き受けられないものが、広い範囲になれば、確かに他の保険方式においても可能なんですから、御検討の御答弁がございましたのでその点は満足であります。  時間がありませんから、次に今度実はこの法律が出るまでに農災、農協両団体について御努力なさった人も実際私知っておりますから、したがって、私から言いにくい点もあるのでありますけれども、やはりこの法律を見ても少しく苦心をして寄せて二で割ったようなところがあるために、端切れのあるところがあるのはこれはやむを得ない。そこで私は結局その調整したところというのは、今までやった実績というところで、ひとつ両団体がまんして下さい、こういう端的に言えばそうだ。しかし法律の上では、まあ両方ができるというような形になっておる。ことに任意共済部分ですね。そうしますと、やっぱり今後農林省の指導方針といたしましては、なるべく農災法による任意共済のほうは、現状で圧縮をしていくという形をとっていくのか、あるいは農災のほうの任意共済のほうをだんだんふやして、農協のほうをむしろ現状でがまんしてもらうという形をとるのか、ここの農林省方針というものは、きわめて将来重大だと思うのです。今のところは、まあまあ話し合いが不満足ながらついたんだから、ここ当分はこうですという答えは当然出るでしょうが、将来の方針として、そこらいかがですか。またこれは宙ぶらりんになっておったのでは、どちらからも文句が出てきますよ。
  37. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) これは両団体におかれまして話し合いができまして、それぞれその分野がきまったわけでございますから、私どもといたしましては、どっちをどうということは一つ考えておりません。それで今度の改正案には、農協の連合会のほうが再保険を取り扱うことができる、こういうことにいたして、一応これが話し合いができたのでありますから、その規定を改正案に入れておるわけでありますから、われわれでどっちを奨励し、どっちをどうするという考えは全然考えておりません。
  38. 天田勝正

    ○天田勝正君 まあ、今苦しいところを承知で私質問しているので、そうなると意地が悪いと、みずから認めるような格好になりまするが、そこが木に竹を継いだようなわけなんで、普通で言えば、民間団体でやっている保険について、それだけでは被保険者の立場が守られないから、政府が最終の再保険を引き受けて補償してあげましょうという話ならば、だれでもすぐ理解ができる。ところが、逆に何か半分は政府責任を負っている農災法による組合のほうが、逆にまあ民間団体のほうへ再保険して、ようやく最終的な補償を取りつけようと、どうもこの筋はこれは何といったって歯切れが悪いですよ。私は立法技術上、どうそこのところを法制局と調整されたかわかりませんけれども、これはちょっと日本の法律でかつてないやり方だと思うのですね。そういうことだから、やはり将来私はいずれかに整理をする、なるべくならばこの種のものは、保険方式のものは農協でやり、しかしそれを越えるようなものは、やはり政府責任を持つという形になっていくんではないかと私は思っている、こういう方向はいかがなんですか。どうも歯切れが悪いんだ、そこが。
  39. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 先ほど申し上げましたとおりに、私どもは将来どうしようという考えは全然持っておりません。今歯切れが悪いと言われますけれども、これは保険会社に例をとって申しますれば、保険会社が保険を取って、さらにまた大きな保険会社に再保険するということは通常行なわれておることであります。でありますから、片方の団体のほうで共済を扱って、さらにそれをある部分を他の団体の中央団体の再共済に付するということは、私は筋道がそう天田さん言われるほどおかしいとも思わないのです。
  40. 天田勝正

    ○天田勝正君 苦しいのはわかっているのだから、議論するのはよしましょう。それは保険会社同士では、そういうことのあるのは私もよく知っているのでね。だけれども大臣、やっぱり将来のことについてはやはり方針なしじゃ困るので、農林省におかれて、これまた早い機会にいずれにするかと、今法律も通りもしないときに農林省方針を打ち出すというと、また両団体のほうから火の手が上がってきますから、それがまずいので、ああいう言葉を用いているんだろうと思うのだけれども、いかに何だって、それは小さい銀行なんかが取付でつぶれるという場合に、自然に親系統を通じて日本銀行、その日本銀行とは政府というような格好で、だんだん国の機関補償していくというのはどこにでもあることなんです。これはあべこべに、一番どうも危険に属するような超異常危険部分相当するものでしょう。再保険というのは、そういうところを民間のほうに頼むのだ。民間同士ならそれもわかる。大きいところに頼むのです。これはとても万人を納得させるわけにはいかないのですから、それは法律でも通ったら、早い機会にどう将来は指導していくのだ、その指導方針を示されるように、要望しておきます。  それで、時間がもうありませんから、最後に、ほかの委員指摘されたと思いますが、いかがですかね。この今回の長雨と雹害のは、この間十七日ということもありましたけれども、もう数字がまとまってよろしいと思いますが、いつお出しになりますか。それだけ聞いてきょうはやめておきます。
  41. 重政誠之

    国務大臣重政誠之君) 雹害のほうは、数字がようやくまとまりました。たしか雹害、突風の総被害が十九億余りになる 思います。それから凍霜害のほうが三億あまりの被害額、これら合計いたしまして約二十二億くらいになろうかと思います。正確な数字は私もただいま記憶いたしておりませんが、大体そういうことではないかと思います。
  42. 天田勝正

    ○天田勝正君 今、隣の森さんとの私語ですからあれですが、過日三十二億というお答えだったというちょっと耳打ちがあったのですが、それは数字が間違ったんじゃないですか、どうですか。
  43. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 先般当委員会で降雹、突風等による被害の概要を報告申し上げましたときに申し上げました約三十二億という数字は、各県の県の被害状況の概況的な把握をしたものの報告を受けたものの集計でございます。なお三十二億の中には、若干の施設被害も含まれておりまして、ただいま大臣からは、農林省が統計調査部を通じまして把握いたしました降雹及び突風による農作物の被害が十九億ということでございます。なお凍霜害の関係が三億四千万円ということでございまして、その間調査の機関が違うということと、対象に若干のズレがございます点で数字が変わっておるわけでございます。
  44. 北村暢

    北村暢君 資料要求をいたします。  一つは、衆議院の農林水産委員会提出しました資料は、そのままひとつ参議院の農林水産委員会資料として提出をしていただきたい。それから、だいぶたくさんあるのであれでありますが、天災融資の実行状況、年次別天災融資法制定後の昭和三十年度施行後以降の状況がわかるような資料。それから利子補給金の交付の実績、これは国と県が利子補給している災害融資の実績がわかる資料。それから自創資金の貸出実績災害割当の自創資金であります。これも三十年以降のもの。それから、次に共済組合の職員数別組合数。それは二人、三人、四人、五人、六人、七人、八人以上、そういう組合が幾つあるかということであります。それがわかる資料ですね。それから共済組合職員と当該市町村吏員との給与比較、これは森委員要求したのかもしれませんが、同一年令と同一職種間の比較がわかるような資料。それから組合役職員の給与状況がわかる資料。これは職員一人当たりの給与月額ですが、最高、最低と平均。これは連合会、基金についてもひとつ同様の資料を出してもらいたい。それから共済組合、それから連合会の事務費、人件費と、それに対する国庫補助の比較。それから全国組合十分の一を任意抽出したものの、ここに衆議院資料あるわけなのですが、それの組合名と、現行と改正農家負担の比較増減。それから傾向値を知るための組合別農区別基準反収の分布。それから農災組合市町村別病虫害防除の実態。都道府県別自主的果樹共済、農機具共済、輸送共済等の実態がわかるような資料。これは実施の組織、事業内容というものがわかるような資料果樹共済については何か衆議院資料の中にあるようでありますが、重復しておれば省略して下さい。それから基準反当収量と実収高との比較、これは都道府県別に反当収量の変化がわかるようた資料をひとつ出してもらいたい。これも従来の資料の中にあるようでありますけれども、ダブっておったら省略していいです。それから米の年次別被害状況、それから賦課金の一戸あたり最高、最低、平均、それから事務費の国庫賦課金別負担額それがわかる資料。以上であります。以上資料要求いたしたいと思います。
  45. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) ただいま御要求資料につきましては、衆議院提出をいたしましたものは後刻さっそく提出いたします。そのほかのものにつきましては非常に膨大な資料でございまするので、若干の日にちを要するかと思いますが、中には若干資料不足のため、調整して提出するものもあるかと思いますが、御了承いただきたいと思います。
  46. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) ここでしばらく休憩し、午後一時再開いたします。    午後零時八分休憩    ————・————    午後一時二十六分開会
  47. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) ただいまから委員会を再開いたします。  農業災害補償法の一部を改正する法律案を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行なうことにいたします。  質疑のある方は、御発言願います。
  48. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 今御審議になっております農業災害補償法という法律は、まじめな百姓にとって、実に大事な法律でございます。そこで、ここにありますけれども、こういうわけでなければならないというのは、これはうそ八百ですよ。ところが問題は、局長に去年の十二月にあの法律を作る、やるかやらぬかと聞いたら、どうしたらいいんだろう、困ったというので、僕はどういうわけでわれわれが法律の改正を叫んでおるか知っておるか、おれはお前よりも知っておる、こう言われた。ところができたものを見ると、何も知っておらぬ。ところが問題は、大事な国費をごまかして使っていいかどうか返事して下さい。大臣がいないから次官に聞いておいてもらいたい。そこで私はこれに非常に深い関心を持っております。ですから、どんなことがあっても、ごまかされてもいかぬし、ごまかしてもいかぬのです。持っておりますから読み上げますが、それはごまかしてもいいか悪いか聞いてからにします。それが境目です。私は自由党にあらず、社会党にあらず、大事な国費をごまかして使うのはまかりならぬと思っております。知らぬ間にやることは別ですよ。そこで国税というものは楽に払っておるものもございます。また、泣きの涙でやむを得ず払っておる人もございます。それをまんまとごまかして取って、そしてほんとうにけしからぬという人がたくさんございます。  私の見るところでは、ほとんどがごまかしでございますが、そのうちでも、全然変わったところに使われたのは長野県の千四百四十万円ですよ、たくさんありますが、それを聞いてみると空吹く風で、何ぼあっても足らぬということですが、悪いかよいかを聞きたい。私は知りませんけれども、足らぬと言っておりますが、経済局保険課というものは、どうもおかしい。前に多久島がやられておるが、多久島ばかりじゃないじゃないか。それから十年です。変えてくれと言われてから十年。それを何もかまわないでやっておるということは、何かなければ、国家公務員として大事な仕事を受け持って、できないことなんです。それを大臣に聞きたいと思ったがおりません。次官がおられるから聞きますので、もしそういう農林水産委員会委員の方でも、政府の金をごまかして取っていいという人は一人もいないと思う。もしあったら、国会議員ではありません。だから、どういうわけでそういうことにしなければならぬかという理由を聞きたい。二十八年から十年、会計検査院から派遣されておる。その返事を聞きたい。ごまかしていいか悪いかを御返事を願います。
  49. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 国の負担にかかわる保険金等につきまして、末端の組合におきまして、いまだにその不当な経理が行なわれておるという事実があるということは、まことに遺憾でございますが、これは御指摘を待つまでもなく、そういうことは絶対にあらすべからざるものであると私は思います。で、起きた場合におきましても必ず是正させておりますが、今後は十分さらに監督を強化いたしまして、そういうことのないように期して参りたいと思うのであります。  これが、こういう事態が起きておりますのは、一つは、大きな原因の一つであると思いますが、現行の制度に対する農家不満と申しますか、不信が相当あるということも大きな原因であります。で、それらに対しまして、その不満を解消し、不信の念をぬぐい去ってもらうということが必要でございますが、そのために、できるだけの改正をいたしたいというのが今回の趣旨なのでございます。  先般来改正におきまして、いろいろと政府としては措置して参ったわけでございますが、いまだに実現いたしませんのは、はなはだ申しわけないわけでございますが、今回の改正相当問題の解決に役立つとは考えておりますけれども、今後とも厳重に注意して参りたいと思います。
  50. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 そう言うと思っておりました。ところが、そんなんじゃない。農家不満もよくわかります。これは最近の報告ですが、三十二年から三十六年の五カ年間に三百三十八組合検査を行なって、そのうちで百六十七組合で七億一千二百八十万八千二百二十五円ごまかしている。それは私に言わせると、一組合最小限度二十万以上ごまかしていることになる。そうすると大体五割、そうすると四億というものを黙ってごまかしている。それをあなたの言うのは、あたりまえの話なんで、いやけっこうだなんて言わない。ちゃんと十分に国家が五十億に近い金を出して、そうして人件費をやっておるのだから、できないことはないですよ。ところが、次官御存じかどうかわかりませんが、坂村局長時代に聞きかねて、三十五年度の一般予算の農林省予算のうちで九十万という目を打って予算をとって、そうして委員会を作ってやった。それでそういう答申が出ている。そうして坂村君はその答申に近い方針を作った。ところが衆議院でべらっとやられたから、どうしようもない。私はよほど腹をきめてかからないと、大臣は一年か二年でかわるからいいですが、われわれは国家公務員として働いてもらっておる人が、そんなことでは因る。今の答弁のようなことでは承知できません。それは当然なことなんで、どんどん毎年ふえております。それでおかしいのは、一番多いのが大阪、高知で、十七組合の検査を行なって、そうして金をごまかして、そのごまかしの使い道は、任意共済の建物にその金から支払っておる。百姓が悪いのではありませんよ。みんな共済組合の幹部の仕事なんです。これをきれいにしてからでなければだめなんです。  私は、現在の法律がなければ、こんなことは言わない。あるから百姓に迷惑がかかる。中途半端ではだめなんです。だからどこまでも反対するのです。そんな衆議院のように、どうも白を黒といい、黒を白というところとはちょっと違う。参議院は白を白、黒を黒といっているはずです。大臣に言わせると、参議院くらいうるさいところはないときらわれています。そこがいいのです。衆議院みたいなことでは、こんなものは要らない。ですから、僕は松岡局長を信頼しておった。長いこと金融課長やっておられたし、ところが経済局長になったら、ばかっと変わっておる、その精神が。それじゃだめです。あなたの信念を生かしてやって下さい。十年前から進んできたものは、変えないという話はどこにありますか。なるほど百姓のうちには、私が申し上げますように、実に大事な法律だということを知ってか知らぬかわからんが、最近ここ四、五年は大豊作なんです。それをそんなに保険金取ることはないはずですよ。この間も委員長に会ったら、ほめてもらいました。ごまかしはやはり北海道というところにはございません。あの一番災害の多いところですら、そういうものはございません。  だから、そこを何かかにか、今のような局長の申しわけは全然通らない。できなければ言いませんよ。できますよ。そして満足いくようにしなければ、職を賭してもやる、局長やめるという腹でなければだめです。いつでもしかばねを僕は拾いますよ。どうも大臣は、知っているのか知らぬのか、それで国務大臣の価値があるのかないのか聞こうと思う。だから、今のその返答じゃだめです。あとのことを言ってもだめですから、これでおきますが、それではだめですから、もし参議院の農林水産委員会の方々で、国家の金をごまかしてもいいのだという人があれば、われわれはそれでけっこうですが、ないから問題であります。
  51. 大谷贇雄

    政府委員(大谷贇雄君) ただいま承りまして、私は初めて承って、実は非常にびっくりいたしております。そんなことで国民の血税である国費を、そういうようなきわめて乱脈なことがありといたしますならば、それははなはだけしからぬ話です。厳重にそれは取り締まらなければならぬことだと存じます。今後におきましても、それはそういうことが、かつてあったものといたしますれば、厳重にそれは、そういうことのないようにいたさなければならぬ、かように存じております。
  52. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 お話もわかりますけれども、これはルートを変えなければだめです。今のようなことをなんぼやってもだめです。ルートを変えて、そうして公道の道を開いて、全部国費でやる、そうして一番の元祖は、どうして一体事業やって赤が出るのかということだけれども、付属金をやたらに持っておる。農林省の監督が足らぬということがよくわかるのです。足りないということは、伊勢湾台風のとき五つの県が、こういう四、五億払えないでおる。愛知、三重、岐阜、群馬、山梨ですが、そうして僕押えたのだけれども、あまり押えておると、法律作らなければ、災害者に迷惑かけるものだから、そこできめましたけれども、できてから十年もたつような団体で、四、五億払えないということをさしておくことがおかしい。そうして連合会には、出資もなければ利益も考えないという、非常に不公平なことなんです。りっぱな組織を作って、大事な法律ですから、これは普通の法律ではございません。私はそれができなければ、今災害があってもしようがない、あの法律があるのですから。あの法律だけではいけないと言っているだけの話で、そこをお考えにならなければだめなんです。あなたの言うことはよくわかります。あなたがそういうことを答弁するが、そうじゃない。変えなければできない、どうもこうも方法がないというなら別です。そうじゃありません。何ぼでも変えられます。常道を歩くようにしてあれば、そんなものじゃありませんから、気をつけることはございません。  農林省政務次官に申し上げておきますが、今は農林省の経済局の管轄ではございません。農政局にいきました。ところが同じ農政局に二人おって、検査課と協同組合課とは全然違う。こんなことではだめですよ。だから、そういうまま子扱いをするのではなくて、団体でも個人でもりっぱに扱わなければだめです。それは今だけではなくて、前からそうです。そうでなしに、僕らのほうは新設でもございますし、十分指導をいただいて、ほんとうに義務を果たしております。全く微に入り細にわたって、あれもだめだ、これもだめだ、それでもいい。片っ方は野放しにしておいて知らぬふりをしておる。野放しでもいいような組織にしてやってもらいたい。
  53. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  54. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 速記をつけて。
  55. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) いろいろ至らぬ点につきましておしかりを受けたわけでございますが、十分注意しなければならぬ問題がたくさんあることは、私どももよく承知いたしております。今、機構についての問題でございますが、これは従来経済局で農協部と保険課が一緒であったわけでありますが、今度分かれたということになっておりますけれども、従来も現在も、その間は常に連絡をとっておりまし、役所の組織は組織として動いておるわけでございますから、それは時には意見の違いもございますけれども、結局は統一されて、必ずしも完全とは申し上げ得られませんけれども、それぞれの措置は十分連携し、協調してとっておるのでございます。しかし至らぬ点につきましては、これは今後ともなお注意いたします。
  56. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 至らぬじゃないですよ。ごまかしていいか悪いか。ちゃんとできるのだ。それをやらないで、それを僕もできぬことを言いません。改めなければならぬ。大臣は一年か二年でかわるから御迷惑です。事務屋はしっかりしなくてはだめでしょう。執行のとき事務屋は考えればいい。ぜひともやれとはいいますまい。そこまでよけいなことは聞いてない。ようございます、悪うございますといえばそれでいい。何もきまったことじゃないか。それをほかの人が頼むから、これはいわんでくれというが、そうじゃない。いやで見ておれぬ。これはだめだと思ったが、あまりいうなというから黙って聞いておったが、耐えられないですよ。承知しません。だれとでも闘います。総理大臣とでも、国の金をごまかしていいかどうかが境目ですから、私は人以上に考えているつもりです。だから承知しません。  よく聞いて下さい。岡村が小学校四年生で、卒業もしないでここまできたのは、ごまかしもいやだ、ごまかされるのもいやで、ここまできているのです。それを知らぬふりしてごまかしていくのはいやだから、そんなものは承知しません。だから一人になっても差しつかえありません。今後反対します、この法律には。
  57. 大谷贇雄

    政府委員(大谷贇雄君) 岡村委員の御意向を大臣にも十分伝えまして、そういうごまかしなどは絶対にいかぬことでありますから、大臣にもよく伝えまして善処をいたしたいと思います。
  58. 森八三一

    ○森八三一君 金曜日に続いてお尋ねをいたしたいと思いますが、今まで私は総括的なことをお尋ねをし、各論的な問題にただいま入ったのでありますが、今岡村委員質問に対しまして、そういうような非違の行為があっては断じてならぬことだと、今後はそういう事態の起きぬように善処いたしますという政務次官の御答弁でありました。これは私当然なことであり、しっかりやってもらわなければならぬと思うのです。  ところが、事態は毎年々々決算委員会等におきましては、そういうことをお聞きしておる。ところが、一向それが改まらぬで、私の要求いたしました資料について具体的に見ましても、年々わずかな数の検査を会計検査院が行なっておるにもかかわらず、大体二五%前後の指摘組合というものが毎年々々出ておるのですね。この事態をほんとうに、これは政務次官しっかり見てもらわなければならぬと思うのです。ただ私どもは抽象的に、ここでいいかげんの発言をしておるのではなしに、この制度というものは、ほんとうに戦後の立法としては画期的な意義のある法律なんだ、これはどこまでも守り通して、国民食糧の中核である主食というものについては心配がないというような状態というものを完成していかなければ、いかに経済の高度成長といっておりましても、ここへ一ぺん火がついたら、たいへんなことになる。そこでこの制度を守り通して参りますためには、この制度の恩恵を受けている農民諸君が、ほんとう制度のいいところを承知して、心からこの制度をたよってくる、感謝するという方向にもっていかねばならぬはずなんです。ところが、年々そういう非違の行為が繰り返されておるということは、この制度根本的な欠陥があるのだ、今回はそのことを取り上げて解消することにいたしましたと、こうおっしゃいまするけれども、遺憾ながら私は、この程度の微温的な改正をもってしては、決してこの非違行為は跡を断たぬと断言しても過言ではないと思う。しかしここまでいいますると、少しいい過ぎかもしれませんから、そうは申し上げたくはございませんけれども、過去の経過を考えますると、今回の改正程度をもっていたしましては、必ず私はこういう事件というものは跡を断つわけにはいかないと思うのですね。まだほんとう農民諸君の期待にこたえておらぬと思うのです。一歩前進一歩前進と申しましても真髄には触れておらぬ。そこに私は問題があると思うのですよ。局長どうです、今回の改正で、こういう非違な行為というものが、ほんとうに減少するというあなた確信ありますか。
  59. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) この前から申し上げておりまするように、今回の改正によりまして、農家不満相当程度緩和できると確信いたしておりまするが、なお制度が非常に複雑で難解でありますために、運営上の至らぬ点もあると思います。それらの点については、今後さらに指導もし、厳重な監督もしなければならぬと思いますが、従来起きたような非違については、一そうきびしい態度で是正するにとどまらず、責任を明らかにする。これは今までも必要によって、そういう措置をとっておりました。さらに一そうそういう点について厳格な態度をとる必要があると考えます。
  60. 森八三一

    ○森八三一君 監督を厳重にしてやる。そのために、また大切な国費を使ったり、人手を使ったりするのでしょう。私は善政でないと思うのですよ。そういうことをしなくても非違な行為が起こされないという制度を作るところに、政治があると思うのです。  それを考えますと、私は相当農民不満を解消して、そういうことが起きないであろうと期待をされておりますけれども、今まで発生しておる非違行為の実態というものを観察してみますると、今回の改正をもってしては、とうていその真髄には触れておらぬというふうに私は申し上げざるを得ない。これは私の心配が杞慮に終わりますれば非常に幸いでございまして、私は身の不敏をおわび申し上げまするけれども、おそらく私は一カ年たちまして、この法律の運営の結果を見ますると、おそらくこういう問題は、あとを断たないという結果が出てくることをここで申し上げるにやぶさかでないと思う。そういうことになっちゃたいへんだということで、今度は検査の厳正を期するということになりますれば、それはいたずらに国費を使うということであって、政治としては非常におろかなことをやるのだという結果になると思うのです。このことを私十分ひとつ考えていただきたいということをここで申し上げておきます。一年たてば結果が出ますから、そのときに、もう一ぺん論議をしてもいいと思います。私はそのときには、おわびを申し上げるということになるかもしれませんけれども、はっきりそのことは記憶をしておいていただきたい。  そこで、引き続きの質疑に入りますが、金曜日の最後にお願いしておきました質問に対するお答えの資料をちょうだいいたしました。これによりますると、この重要な仕事を取り扱っておりまする職員の諸君に対する待避が、農林関係の同種と申し上げますると当たらないかもしれませんけれども、国が関与をしておると思われまするような団体等についての比較が、共済組合の場合が一番低いところに押さえられておるように思います。農林漁業金融公庫の場合には三十才で月額が四万円、それから年金組合関係が二十七才の平均で三万八百円、蚕繭事業団が四十五才で五万三百円、農業共済基金のほうが四十才で三万九千二百円、地方公務員が三十九才で四万三百六十九円、そうして共済関係が三十七才で二万九千円というのですね。これは一体どういうことなんですか。この大切な仕事を担当せしめておる諸君に対する待遇が、こういうように非常に隔たりがある。これで今までこの仕事をやらしておるというところに私は問題があると思うのです。これはどうお考えになっておるのか。なぜこれが是正されないのか、是正しなくてもよろしいのですか。その辺のお気持をまず承りたいのです。
  61. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 確かに御指摘のように、従来この団体の職員の待遇は、ややほかの機関に比べまして、低目に失しておったきらいがあると思うのであります。それは一つには、国庫の負担によらない部分、連合会自体の収入もございまするので、国だけの措置によって待遇を与えていないということがあるわけでございますけれども、それにしましても、従来やや低きに失したということから、この数年その改善に努力いたしておるわけであります。特にこの一、二年におきまして、かなり改善しておるのでございます。ここに三十六年の実績がございますが、昨年におきましても、特別の措置をとりまして、本年は注にもございますように、従来期末手当を見ていなかったのでございますが、国庫補助の中で期末手当を含めて出すようにいたしまして、相当にこの一、二年の間に改善をいたしておりまするので、三十八年度におきましては、この三十六年度の場合よりも、若干改善されておると考えておるわけでございます。しかし、それでもまだ十分ではないと考えられまするので、今後ともその改善には大いに努力して参りたいと、かように考えております。
  62. 森八三一

    ○森八三一君 こういう結果が出ておりまするのは、現員班給に対して、その所要経費の何分の一かを補助するという建前から結果されておるのか、国のほうで、あらかじめ一人当たりの平均額というものを押えて、それに対して何割かの補助を出すということで機械的に補助金が出ていっておるのか、その辺はどうなっているのですか。
  63. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 現在やっておりますのは、一職員当たりの平均単価を定めまして、補助単価を……。それで員数に応じまして計上しておるわけでございます。その単価につきましては、大体最近におきましては、公務員のベース・アップと同じ程度にべース・アップを常にやっておるわけでありますが、それでは従来の開きが是正されませんので、たとえば、昨年は連合会における特別の増額をやり、今年は新しく期末手当を計上するというようなやり方をいたしまして、できるだけ是正に努めておるのでございます。
  64. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますと、国のほうで農済組合については、初めから低いベースで計算をして割り出しをした補助金を交付しておると、こういうことなんですね。
  65. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 従来のやり方は、補助率幾らというやり方ではなくて、補助単価を定めて、一人当たり幾らという補助をしておったわけでありますが、ずっと前におきましては、国庫の補助の割合が非常に少なかったわけでございます。それはまあ共済組合の任意的性格が強かった、掛金に対する国庫の負担率も低かったというような関係もあったかと思いますが、従来低くて、むしろ組合自体がベースを決定……、現在でも決定いたしておりますが、組合は、自分の収入もありますので、それを加えまして、それぞれの連合会ごとに給与ベースをきめて参っておる、そういう関係で補助の単価と実際の給与ベースとは違っております。現在でも相当な開きがあるわけでございます。そういう状況でございます。
  66. 森八三一

    ○森八三一君 どうも私、のみ込みが悪いのですが、具体的に申しますと、ある県の連合会が平均給与を十万円ときめて、それに対して国から半分なら半分補助するというのであれば、五万円が交付されるという建前なのか、十万円ときめようが幾らときめようが、それは御勝手なことなんで、国のほうからは一人当たり三万円なら三万円を交付するということでいっておるのか、どっちなんですか。
  67. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 一人当たり三万円なら三万円ときめて補助をしておる。何割補助というやり方ではございません。
  68. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますると、国のほうで幾らときめて補助をなさるときには、おおむね、同種事業を行なっておりまするような機関の職員の給与は幾らであるかということをお調べなすって、それとおおむね均衡のとれる額で臨まなければおかしいということになるのではないかと思いますね。もしそうでないとすると、組合は別個に組合費としてよけいなものを徴収していかなければ並び待遇はできないということになろうと思いますね。これはどうしても賦課金をよけいとることができないといたしますれば、能率の非常に低い人を採用せざるを得ないということになると思うんですね。が、常識として、今まで連合会の職員に対する人件費については、全額国庫負担などということをしばしば言われたんですがね。そういう建前じゃないんですか。あくまで一人幾らということで押しつけてやっておる。不足分は自分でまかなうことを考えなさいという建前ですか。
  69. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 給与ベースは、連合会自体相当な収入がございますので、連合会自体できめさせる、こういうことにいたしておるわけであります。国の補助については、定額で一人当たり幾らという補助にしておるわけであります。で、その補助をやる場合には、実際に連合会の給与ベースがどうなっており、ほかの団体なり機関なりの給与ベースがどうなっているかという事情は参酌しましてきめておるのでございますが、やり方としましては、定額で補助をしておる、こういうことでござます。  なお、協議会の答申におかれまして、機関事務費の全額国庫負担という考え方が出されたわけでありますが、これは機関事務費ということの観念が、必ずしも明確でないところもございますが、できるだけそういうような方向で措置したい、改正とともに、そういう方向で措置したいということで、すでにそういう方向で努力はしておるのでございます。
  70. 森八三一

    ○森八三一君 やはり私は、こういうところに一つの問題点があると思うのです。この非常に重要な仕事を担当させておる職員に対しまして、その経済的な待遇が非常に劣悪であると、自然事務能率の非常に高い人を採用するということはむずかしいことだというところにも、この制度運営上の問題点があろうかと思うのです。それをカバーしようと思えば、組合員から徴収する負担金を増さなければならぬ。その負担金は非常に目ざわりになって問題になっておる、焦点の問題であるということなんですから、この辺を解明して参りますることが非常に大切だと思うんです。今まで努力をしてきたとおっしゃいまするけれども、まだまだ相当の私は開きがあると思うんです。これは将来の問題として十分考えていく。こういうことが、おそらく私は、協議会におきましても、事業の性格があくまで自主的な相互扶助の精神に立つものよりは、国家的な色彩を非常に強く持っておるということで事業団という構想が出たものであって、事業団ということに包括されますれば、当然これは公団なり、あるいは蚕繭事業団なりというようなものと並びをとった待遇が当然行なわれるというところにも、私は、逆論ではありまするけれども意味があったと思うんです。そいつをはずしてしまって、従来の機構をそのままにしておる。そうしてその待遇は、今おっしゃったようなことで改善はするとおっしゃっても、遅々として進行しておらぬということで、この仕事に従事する職員だって相当不満があるだろうと思うのです。ただ単に農民不満だけではなくて、こういう点を解決することが非常に重要な要諦であろうと思うのです。本年度は予算もできてしまったことですから、今後の問題ではありますけれども、十分ひとつ、御留意をいただきたいと思っております。  それから、お尋ねいたしました事務なり事業の内容がどうなのかということに対する御回答を書類でいただきました。これを拝見いたしますると、今回の制度改正によって、単位農済組合責任部分相当留保するということによって、無時戻し等が十分できるようにするということでございますが、数字で見ますると、なるほどそういうことは表われておりますけれども、連合会の事業分量といいますか、事務分量というものを減少せずして、むしろ増加をするというような形に数字的には出ておるのですね。これは事業の正確を期さなければならぬことは申すまでもございませんけれども、こういう御時勢に、制度改正によって連合会の事務分量というものが増大をしていくということは、排除することを考えなければいかぬのじゃないかという感じを私は持つのですが、これはこの事業の性格上、こうならざるを得ないということなのか、また考えが及ばぬという結果、こういうふうになるということなのか、その辺はどうなんですか。
  71. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 御指摘のように、連合会の事務が今回の改正によりまして幾分増加することになるかと思うのでありますが、それは今回の改正が、従来のような大まかな制度をできるだけ緻密にするという趣旨で、その地方の実態に合わせるために、従来県単位できめておった基準掛金率等を組合ごとにきめるというように個別化して参っておりまするので、その関係で事務の量が幾らかふえる、こういうことがあるのでございます。これは改正の重点が末端にできるだけ責任をおろすことと、一方におきまして、できるだけ個別化しようという趣旨がございますので、そういうことから生ずる結果でございます。
  72. 森八三一

    ○森八三一君 この点も非常に私は遺憾でございますが、何かこういう点をもう少し工夫をして、責任の帰属と事務分量とが並行して移管されていくようなことを考えませんと、責任は末端のところにとどまっておるが、仕事の分量は上のほうへかえって逆にふえていくというようなことは、常識的にはどうも理解しにくいのですね。責任と事務分量とが並行して移動していくというのであれば、すなおに受け取れまするけれども責任だけは下部のほうへ押しつけられておいて、事務の分量は逆に上のほうが大きくなってくるなんという話は、普通の経済行為としては割り切れぬことなんです。まあこの事業の性格上、そういうことであるとすれば、ここにやはり工夫をして、そういう結果になりませんことを考えなければいかぬと思うのです。  その次にお伺いいたしたいことは、今度の制度改正によって、何といいますか、その任意加入の範囲を拡大をしたと、これがすなわち画一的強制方式を緩和したということが、何か非常な前進であり、そのことが農民要望にこたえておるゆえんであるというようなことを、今まで他の委員諸君の質問に対しましてもしばしばお答えになっておりますが、そうほんとうにお考えになっておりますか。農民諸君が、この制度に対していろいろ不満を持っておる、その不満を解消する一つの対策が画一的な強制方式を緩和することにあるのだというようにお考えですか。同時にまた私は、この制度がそういうことでほんとうに目的とするところを達成し得るものとお考えかどうか。この制度は、天然災害なり、あるいは、今までは病虫害なり、そういうものによるところの、農民諸君の勤勉、努力だけでは解決し得ない不測の損害を穴埋めをして、再生産に遺憾なからしめるというところに、目的があるはずなんですね。拡大をして、任意加入の範囲を大きくしていくということで、そういう目的が達成せられるのか、こういう点が一つ。それから、農民不満が、任意加入を多くすることによって解消されるとお考えになるのか、その二点についてお伺いいたします。
  73. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) これはなかなかむずかしい問題であると思いますが、私ども考えとしては、現状においては問題にならないかと思いますが、将来においては、できるだけ任意加入によって、農家が進んが加入されるような制度になり、また、加入制度を緩和していくのが、将来あるべき方向ではないか、こういうふうに考えているのでございます。  しかしながら現状においては、とにかく保険の理論家がすべて指摘しておりますように、保険需要が非常に低い、しかも制度に若干のまだ無理がないんでもないということから、強制加入を保持しなければ、制度としての維持がなかなかむずかしい、これは社会保険なんかも同じだと思うのでございますが、そういうことから、強制の建前はあくまでも維持しなければならぬと考えておりますが、しかし、非常に規模の小さい農家などについてまで強制を続けていかなければならんということでもないので、そういう人は、自分の選択で入ることを望むという体制に持っていってよろしいのではないか、こういう考え方から、今回、任意加入の範囲を広げよう、こういうことにいたしたのであります。
  74. 森八三一

    ○森八三一君 これは本質的な問題ですがね。将来任意加入に向かうが当然であり、それが理想であるような御答弁があったのですが、ここに対象としている米とか麦とかという農作物につきましては、現在の人知なり科学の力をもってしては回避し得ない天然災害から、生産を守ろうということにあるわけですね。ですから、耕作反別の多い少ないということは、問題ではないはずなんです。天然災害というものは、不可避的に襲ってくるわけです。加入しない人のところは、天災がないというなら、問題は解決ですけれども、そうはいきませんわね、天然災害は、普遍的に、地域的に来るのですから。そういう場合に、未加入だから、その人が災害をこうむって、再生産ができなくなってしまうということは、自業自得だということでほうりっぱなしにしていいのですか。私は少なくとも、主食に関する限りでは、そういうような不測の災害の発生を、国と申しますか、国民全体の力によって守っていくということが、米が主食である限りは、当然のことであろうと思うのです。  そういう方向が好ましいとか、そういう方向が当然だという考え方は、私の考えとは真正面からぶつかってしまうのですがね。農林省は将来、そういうことで措置されようというのですか、任意加入が当然であると。ただ当分、理解がないから、その理解のできるまでは、強制というワクをはめていくのであって、将来は任意加入にするのが建前だという態度なんですか。私は、いろんな経済事情によって、払込金だとか負担金だとかいうものが問題になって、認識がいかにあっても、加入し得ない場合というものがあろうと思うのです。そういう場合に災害がないとはいえませんから、だから、やはり一応、強制加入ということが原則であって、その強制加入に喜んで参加し得るような姿というものを作るところに、この制度意味がある、そう思うのです。全部の生産農家が、この法律の恩恵を喜んで受けるような立場に立ってくれる、そのことを曲げてしまって、いやな人は抜けたらいいのだとか、耕作反別の少ない人は勝手にしなさいという態度は、私はこの制度本質をゆがめていくものだという感じを持つわけなんですが、どうなんですか。これは基本的な問題ですよ。そういう考えで、この法律を改正されるということになれば、これは相当に私は問題点があろうと思うのです。基本的にはどうなんですか。
  75. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 理想としましては、農家が強制を受けなくても入るような状態になることが、やはり理想ではないかと思います。そういう状態になれば、強制も任意もない、農家としては、どちらの方式をとろうと、喜んで入ってくるわけでございます。まだ現在の制度は、そこまで緻密に至れり尽せりの制度だとは私ども考えていないのであります。  ところで、小規模の人を任意加入にするということは、そういう人たちに災害が起きたらどうでもいいという考え方ではなくて、最近御承知のごとく第二種兼業農家というような農家が、非常にふえておりまするが、そういう農家は、農業収入に依存する度合いが非常に低くなってきておる。災害を受けた場合の、何といいますか、経営上の打撃というものも非常に小さいわけでございますが、この制度が、災害があった場合に、損害補てんして経営を安定するという趣旨からいえば、第二種兼業農家で、きわめて一部を農業収入に依存しておるというような人々に加入を強制するまでのことはないのじゃないか。その人たちが、望んで入りたいならば、入ってもらうという制度でいいのじゃないか、こういうふうに考えておるのであります。
  76. 森八三一

    ○森八三一君 私の表現がまずかったかもしれませんが、局長もおっしゃったように、強制とか任意とかという問題が問題ですけれども、私は、強制とか任意とかということを論議するのではなくて、全耕作者といいますか、全生産者が当然なものとしてこの制度の恩恵に浴し得る立場に立つような制度を作るということが、大切ではあるまいか。任意加入の範囲を拡大することが、農民不満にこたえるゆえんではなくて、そういう人々も喜んでこの制度の恩恵を受ける立場に立つようなことも考えなければいかぬのじゃないか、こう思うのです。  それを忘れてしまって、そういう第二種兼業農家のような人たちは、抜けたければ抜けなさいというようなことにいたしますれば、これはこの制度本質をゆがめていくことになりはせぬか、それを心配するのです。この思想は、あくまで普通の保険制度に切りかえようという思想ですね。私は、災害補償法という本来の制度は、そういうものではないのじゃないか、こういう感じを持つのです。これは、将来に向かっての基本的な態度だと思いますので、もう少し私は明確にしていただきたいのです。将来完全な任意の姿に切りかえるということなのか、もう少し強制的な姿に持っていくというような方向でお進みになるのか。もし後段の方法をとるとすれば、それは全耕作者が喜んでこの制度に自然に参加していくという姿をとらなければならない。どっちをとるかによって、今後の事態の内容が非常に変わってくるんですよ。どうなんですか、その点は。
  77. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 理想としては、やはり喜んで農家に入ってもらう、それは任意で差しつかえないんだと思いますが、それは理想の問題でありまして、現実に制度をどう持っていくかということになりますと、やはり今回の改正もそうでございますが、できるだけ制度改正して農家が喜んで入る建前を作って、漸進的に強制加入を緩和していくということが望ましいのではないか、こういうふうに考えております。
  78. 森八三一

    ○森八三一君 この点は総括論のときにいたすことでございますので、この程度にきょうはしておきますが、これは基本的な問題ですから、言葉のあやではなくて、ほんとう制度本質を十分見きわめて取り組んでいただきませんと、非常に私はあやまちを将来に残すと思うんです。何とはなしに任意加入という、通俗いうその制度が当然だという考え方と、通俗いう強制が当然だという考え方、強制が当然であるとすれば、みんなが強制されなくても参加してくるという姿を作るという方向に努力するということと非常に違ってきますね。政治、行政としては、その辺はひとつはっきりと整理をしていただきたいと思う。私はどこまでも全員が参加し、この制度の恩恵に浴し得る状況に持っていくということを願って諸般の対策を取り進めてやる、いやな人は抜けたらいいという感じで、これに取り組むべきでは断じてないということを考える。全部のものについて申すのではございません。主食である米については、これを堅持してもらわなければたいへんだと思うんです。もし耕作面積が相続の関係や、さまざまな問題によって細分化せられていって、そうしてまた、今お考えになっているような現状では三反歩までといっておりますけれども、これはまた、今と同じ感覚でいけば、あるいはその面積を拡大していくという時期がくるかもわからぬ、そういう方向でいけば、そういう結果、米の生産に非常に問題が起きるということになったら、これは根底から日本経済に大きな問題を私は巻き起こすと心配するんです。今までのように有史以来の豊作、有史以来の豊作でずっと続いていけばけっこうですけれども、こんなことは、いつまでも夢を見ているわけにいかぬと思う。現に本年の作付にいたしましても、麦はもう壊滅でしょう。この上米がもし悪くなったら、どうなりましょうか、たいへんな問題なんですよ。その結果、ことしの災害だけでなしに来年の再生産に、それが尾を引いていくということになって、来年まで不作が連続する、こういう結果になったら、一体どうなるか、これはひとり農民の利害休戚の問題ではございません。国家的な問題であり、消費者にもつながる大きな問題である。この点はひとつ真剣に考えてやってもらいたい。方向としての基本的態度というものを明確にしてもらいたいと思う。  その次にお等ねしたいことは、今度の制度改正によって、町村別に掛金といいますかを定める、こういうことになりますね。その基準は一体具体的に、事務的にどういう方法でおやりになりますか。AならAの町村の掛金というものを導き出しますためには、過去の災害頻度とか程度とか、そういうものが前提になろうと思うんです。その農家の選ぶ段階はいろいろできましょう、できましょうけれども、基本的には何かが一つ目安になって、そこから基準的なものが出てくるということだと思うんですね。それはどういう方法でおやりになるんですか。
  79. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) それは組合ごとに、水稲につきましては原則的に過去二十年、麦、陸稲につきましても同様に原則的に過去二十年の被害統計を基礎にしまして、組合ごとに被害率を算定いたします。その上で、組合ごとに安全割増し等をきめまして、そうして組合の基準共済掛金率を決定いたします。一方共済金額のほうは、数段階ございますが、これは組合ごとにきめるというわけではございませんが、組合ごとに一本で選択することもできますが、組合の地域別に二以上の共済金額を選択することができるようにいたしたい、こういうことでございます。
  80. 森八三一

    ○森八三一君 第一段階が、過去二十年間の掛金算定の基礎になっておった被害率というのですか、その平均被害率が基礎になる、こういうことをお聞きいたしましたが、そこで問題になるのは、過去のそういう被害率といいますか、というものが、ほんとう農民諸君が納得をしておったものであるといたしますれば、これは私は問題はないと思う。ところが、過去のそれは、おそらく掛金も何も出していない農家相当あるのですから、そんなことは全然農民諸君には無関心なことなんですね。それは役所のほうで見ていらっしゃる場合には、そんなばかげたことはありませんとおっしゃるでしょう。形式的にはそうかもしれませんが、実態はそうではない。そうすると、今度は、いやしくも非違な行為があってはならぬということで、現状に呼応していくと、過去の統計上出てきておる被害率、そういうものが問題になってくるのです。そういうことが起きる可能性が非常に多いと思いますが、いかがなものでございましょうか。そんなことはないとおっしゃって押しつけるのか、その点……。
  81. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 今後の問題といたしましては、組合ごとにきめて参りますと、組合で行なわれる損害評価というものが、直接組合の料率にはね返って参るわけでございます。従来しばしば問題にされました損害評価ということが、従来よりよい形になる、こういうように考えておりましたが、過去の被害統計自体については、御指摘の、ような問題があるかと思います。実際にこれはしばしば問題になってきたとおりでございます。これはないということは私たちも強弁はいたしかねます。しかしながら、これは統計の専門家も言うのでございますが、長い期間における統計を基礎にすれば、そこはだんだん誤差が小さくなるのではないか。いろいろ被害統計ができる過程において問題があったにしても、長い期間においてとっておって被害率を算定すると、その誤差というものは、あまり大きくならない。それから過去にいろいろ問題がございましたけれども、一応これは、組合においても評価に自主的な組織を持ち、連合会においても組織を持ち、それぞれみんなが納得づくできめたものでございますから、そこは組合員同士の気持としては納得してもらわざるを得ないのではないか、こういうようにも考えておるのでございます。もちろん損害評価自体は、これは私から申し上げるのはどうかと思いますが、非常にむずかしいことでございますが、損害が起きたときに、迅速に的確に損害を把握するということは、農作物については非常にむずかしいことで、その適正化ということは、もう今後も絶えず努力いたさなければなりませんが、過去において、いろいろな問題があったということは、まあ県一円でとっていた時代に比べれば、今回過去の被害について組合ごとにきめることについては、そう難点はないと、こういうように考えておるのでございます。
  82. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  83. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 速記を起こして。
  84. 森八三一

    ○森八三一君 今の問題ですが、過去二十年間の被害率の統計というものを基礎に考えるということでは私は問題は残ると思うのです。ですから組合別に切り離して、ばらばらに今後の掛金率をきめていこう、そのもとになる被害率を算定しようということは、全然過去にこだわらずに、現状に立って将来を見通して、その地域について農民諸君の総意によって勝手にきめさせるということのほうが、より正しいものが出てくるという感じを持ちますが、そういう方法はとり得ますのか、得ませんのか、どうなんですか。
  85. 岡安誠

    説明員(岡安誠君) 問題はやはり将来災害が、どのように起こるかということを推測いたしまして、起こり得る態様に即した掛金率というものをきめるのが理想でございます。その場合には、やはり過去のデータをとりまして、それに基づいて将来を予測をするということ以外に、現在なかなか適当な方法はないのじゃないか。被保険者である組合なり農民が勝手に掛金をきめるということは、いわゆる掛金制度共済組合制度の運用としてはどうかと思います。
  86. 森八三一

    ○森八三一君 私の申し上げておるのは、組合員がそれぞればらばらに、これはどうだということを言うのではなくて、その組合の地域内は、最大公約数を求めてきめなければならないことは当然だと思うのです。しかし過去の数字をここへ持ち出してくると、過去においては、そういうことは申しませんよ。申しませんけれども被害率とかそういうものは、組合員と組合との間は全然無関係できめられておった。だからこの点、掛金も何かしらぬ三年に一ぺんぐらい災害があったことにして給付をちょうだいできる。そうすると逆算して、今までの保険金に相当するものを差っ引いて、そしてその残りをしかるべく配分するとか、目的外に使用するとかということが、会計検査院の指摘においても相当数現われておるのです。そういう事実を無視してやるというのでは問題が残りますよ。だから、そういうことを一切がっさいやめて、その地域内における組合の総意によって、百姓が一番よく知っていますから、過去の実態というものは。それから判断をして新しくきめていくということにすれば、これは問題はないと思う。そうしなければおかしいじゃないですか。過去の数字が正しいのだということをあなた主張されるなら、それはいいでしょう。しかし過去の数字というものにはあやまちがあったんだということは、これは衆目の認めているところです。それは局長も肯定されたところだ。そういう誤れる数字を根拠として考えるということでは問題の解決にならないと思う。そこはどうなんですか。
  87. 岡安誠

    説明員(岡安誠君) おっしゃるとおり、今までの共済金の支払い等につきましては、問題の出た組合なり地域があったわけでございます。それらを基礎にしまして被害率が出るわけでございまして、おっしゃるとおり誤って共済金等を支払うことにつきましては多少問題があります。それらが明らかな点につきましては、当然これは是正をいたしまして、是正された数字を基礎として被害率等が算定されるというふうにすべきだというふうに考えております。  先ほど局長も御答弁申し上げましたとおり、いろいろ問題はありますが、総体としましては、やはり過去の金額、被害率を基礎にいたしまして組合共済掛金率を決定をするというのが現在ではベターではなかろうかというふうに考えておるのでございます。  さらに組合組合員とのつながりでございますが、今回の改正におきましては、組合一本の掛金率を強制するわけではございませんで、組合の中で地域を分けまして、別の掛金率といいますか、その合計がやはり基準に合わなければいけないわけでございますが、地域を分けまして、それぞれ地域に即しました掛金率を算定をするということも法律に認めております。なるべくやはり組合員が納得するような、また実態に合ったような掛金率を設定して運営をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  88. 森八三一

    ○森八三一君 その地域を分けて掛金率を作るということは、説明書なり要旨の説明にも出ておりますから、私もそれは承知いたしております。結論としては、トータルは合わなければならないということになる。その合わなければならないというトータルの山発が誤っておる。誤ったものを根拠してやれば、これは紛糾は絶えませんよ。そこに農民不満があるわけだから、それを解明せずしてほおかむりしていきますと、また今まで繰り返したようなことを、今後についても繰り返して、しょちゅう農林行政中におけるこの部分が、世間から指弾を浴びていかなければならんということになると思うのです。そのことを解決いたしますと、これは今回の改正によって、ある程度非違行為というものは排除し得るようにも思われますが、それをやはり今までのことにこだわって強制をしていくということになりますと、これはやはり農民組合との間は遊離したものになって、勝手にしろということになる危険が多分にある。どうしてそれができないのですか。  今までのことは忘れて、ほんとう農家が一番よく知っている実態に合わせての掛金率を算定をして、そうしてその地域内で二つ三つやっていいのです。結果がなにも過去の数字と合わなくても、この制度は守れるじゃないですか。どうしてそれができませんか。
  89. 岡安誠

    説明員(岡安誠君) 掛金率の設定方法を申しますと、一つは先ほど来申し上げましたとおり、過去の金額、被害率に応じまして設定をするという方法一つあるわけでございます。それ以外に客観的な被害程度と申しますか、それを基礎にいたしまして掛金率をきめるというような方法もないわけではございません。ただ、農作物等につきまして、客観的な納得し得るような被害率と申しますか、掛金率設定の基礎になるような資料があるかといいますと、ちょっとこれは問題ではなかろうか。特に今回のように市村町別にその状態に即した掛金率な設定しようとする場合には、非常に客観的なデータというものは得がたいというふうに考えているのであります。  私は、先ほど局長もお答え申し上げましたとおり、今回の設定方法というものは完全ではございません。一面におきましては、あってはならないことでございますが、やはり自己調節作用というような作用も持つわけでございます。できるだけ実態に即したような、また、従来のようなおかしな被害の査定、おかしな共済金の支払いというようなものをなくすことによりまして、より正しいと申しますか、より実態に合った掛金の設定というものができるというふうに考えております。
  90. 森八三一

    ○森八三一君 その実態に合うということは、私も抽象的によくわかります。その実態に合わせるのには、その関係組合員の納得する姿が、実態に合うのじゃないですか。過去の統計から、無理押しにかくあるべきであるということを強制するのじゃなくて、その地域の農民諸君が、その時点において考えることが、過去の実態ももちろんこれは参考にしながらやることなんですから、過去を無視して考えるのじゃなしに、農民諸君の頭の中には、過去もずっと実験されている体験者ですから、それから割り出てくるもので考えていくという結果をそのまま採用することが実態に合うことであり、農民諸君の期待にこたえるゆえんじゃないですか。それがどうして、できんのですか。それをやったら、何かこの保険制度がこわれますか。こわれないでしょう。
  91. 岡安誠

    説明員(岡安誠君) おっしゃることは、よく私もわかるつもりでございますが、農家考えに即して掛金率をつくるということ、これはおっしゃるとおり、そのほうがいいわけでございますが、やはり農家といたしましても、地域によっていろいろ考え方も違いますし、また、農家考え被害率というものが、はたして客観的に見て妥当性があるかというと、必ずしも妥当性があるものばかりではないということもあります。  やはりそこには中心といいますか、基準になるような被害率という考え方が、どうしても現われてこざるを得ない。それを基準にいたしまして、あとは農家考え方に従って細分化をする。そういたしませんと、やはり不公平ということもございましょうし、また長期の保険設計ということを考えました場合にも、やはり客観性といいますか、それを欠くことはできない。おっしゃることはわかるつもりでございますが、なかなか共済保険制度として考える場合に問題があるのじゃなかろうか、かように考えております。
  92. 森八三一

    ○森八三一君 どうも私の言うことがわかったけれども何もできぬというのですから、今度こっちがわからぬようになるのです。今度はわかっていただいたから、わかっていただいたようにやったらどうかというふうに言いたくなってしまうし、どうもその辺しろうとですからよくわかりませんが、これはやはり問題が私は残ると思います。そういうことから、またこの制度に対する不満が起き、批判が起き非常な問題を巻き起こす、その辺はもう少しすなおに考えていただいたらどうかと思う。   しかし、そこで今度の制度改正によって農民の諸君から見ると、単年度の負担金がふえたり減ったりするという現象がきっと起きると思いますが、そういうことにはなりませんが、いかがなものでございましょう。
  93. 岡安誠

    説明員(岡安誠君) 今回の制度改正によりまして、一つには掛金率の設定方法が変わります。従来の方法とは違いまして、従来は県別に標準率ができまして、それを十八階級以内の保険階級に分けましてきまったものが、農家組合員の掛金率になるわけでございます。今回は組合ごとに計算をいたすことになっております。その辺が、より実態に合ったということにはなりますが、変わるわけであります。  もう一つは、農家負担方法といいますか、逆には国庫負担の方法が変わります。従来は県別に標準率を分けまして通常、異常、超異常、それぞれにつきまして県下一円はきまった国庫負担率が適用されるということであったのであります。今回は、組合ごとにきまる基準共済掛金率を超過累進の方法によります別表に当てはめまして、それぞれ国庫負担率がきまるということになるわけでございます。いわば掛金率の設定方法と国庫負担の方法の両者が変わることによりまして、地域によりましては、農家負担が下がるところ、または上がるところが出て参ります。  そこで、今回の改正案におきましては、その附則におきまして、農家負担が上がるところにおきましては、当分の間ではございますが、補助金を出しまして、農家負担の増加がないように措置をいたすというふうに考えております。
  94. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますと、今回の改正によって、組合ごとに実態に即する掛金率というものを作るのだと、それは今まで、もしアンバランスや不公平があったとすれば、今回は、それが是正されるということになると思います。組合ごとに県下一円であったやつが、多少無理があった、それを今度は、組合ごとの実態でやるから、今まで強制されておったものが実態に即して考えられるのですから、今までの不公平なりアンバランスというものは、実態に即してきれいに整理されるのだということだと私は思うのです。そういうことが要求されなければ変える必要はないので、変えることは実態に即するようにする。今までは一律で強制しておったから、その間に負担の不公平があったり、アンバランスがあったりいろいろあった、それでは不満を持つから、今度は実態に合わせる、そういう考え方が掛金率によって給付金の段階は別です選択の自由を認めていくというのだが、是正されるのに、今までよりも負担がふえたところには、附則によってカバーしてやるということになると、是正されない姿というものも、このまま、またここで再現しようということになるのですが、それはどういうことなのですか。  今までのことは押しつけておって、その町村間なり組合間に非常に不公平があったのだ、そいつを今度は組合員の総意によって、一地域でも二つなり三つなり勝手に変わったものを作って実態に合うようにするのだと、実態に合わしてアンバランスを是正するようにする。今までの不公平なものよりも、出ておった部分だけは穴埋めしてやるということになると、是正したのを、また附則によってアンバランスにするということになると思いますがね。そういうことになると、今度の掛金率について過去の実績から積み上げてくることについて、また問題が起きる。過去は一〇〇負担しておった、それを計算上は三〇負担にすると、七〇はもらえるのだということになると、もらうほうの低いほうへ無理に追い込んでいこう、それは過去二十年間の数字によってきめるから、そういうことは許さぬのだということになると、実態を無視した強制というものがそこで頭をあげてくる、こうなるのです。附則で、いかにも親切なような措置をしていらっしゃいますけれども、これは制度から見れば、不公平をここでまた助長していくという結果になりはしませんか、どうなんですか。
  95. 岡安誠

    説明員(岡安誠君) おっしゃるとおり、今回の改正によりまして、掛金率につきましては、より実態に合った掛金率になります。また国庫負担の方法につきましては、より公平を期し得るような方法になるということでございます。  ただ、その結果農家負担が下がるところ上がるところが出るわけでございますが、やはり制度改正によりまして農家負担がふえるということは、やはり新しい制度に移行するという場合におきましては、円滑な移行を期するためには、農家負担をこの際、制度改正によっては増加させぬということのほうが、新制度発足並びに今後の円滑な運用ということのために適当であろうというふうに考えまして、そういうふうにいたしたのでございます。
  96. 森八三一

    ○森八三一君 私はわかりますよ。その今まで一万円負担をしておった人が、今度の制度改正によって同じ段階を選択したにいたしましても、一万二千円になるということになれば、それは気の毒だから、その二千円分はめんどうを見てやろうというお気持はよくわかる。わかるけれども、その一万二千円になることは正しいのであって、もしそれを一万円に減らすといえば、隣の一万円であったところは、これは文句を言わなければならぬことになる。その不公平を同じ国家の新制度で国が考えて正しい一つの標準ができたのですから、ちょっと頭が上がっただけで別にもらえるということであれば、おれのほうもくれという要求が出るのは当然だと思うのですが、それはおかしいじゃないですか。気持はわかるのです。わかるのですけれども、そういう措置をすることが政治として正しいですか。制度改正について十分な理解を与えることができない、しかも掛金率が過去の統計から出てきた、説明のつくはずのものですよ。説明のつかぬものを押しつけるのではないでしょう。説明のつくものを出して、そしてきまったものに対して、過去に比べるとこうだ、その地域はおそらく被害の多かった地域です。当然給付金等も相当もらっておると思う。そういうところでなければ上がるはずはないと思うのです。だとするならば、そういうものが補完されるということはおかしいじゃないですか。不公平を延長していくということになるのではないですか。努力を払うことを期して、ただ当面をつくろうということでは、これは制度としてはおかしいと思いますがね。正しい制度を作るときに、どこかで血が出るやつは止血剤をやるというのは正しくならぬのじゃないですかね。そういう基本的な考え方は、どうなんですか。一体お上手を言って、この制度が非常にむずかしい制度だ、非常に問題があるから、文句を言いそうなところがあれば、あめ玉をやって当座を糊塗すればいいというような態度で、この大切な法律案に臨んではいかぬ、安易な考え方で臨んではいかぬと思うのです。もしそういう安易な態度で臨めば、逆なやつから文句が出た場合にどうするか。当然出ますよ。頭を上げる、頭を上げるというか、超過するということが当然であるというところに対しては、過去のあれと比べてふえるからやるというなら、不公平がそのまま温存されるのだから、その不満を解消するために、どうしますか。そんなやさしいものじゃありませんよ。その点、問題が起きたときにどうなさいますか。そういうアンバランスを是正したと言いながら、是正せぬという結果だ。逆の方面から、けしからぬという火の手が上がったときに、役所はどう説明なさいますか。
  97. 岡安誠

    説明員(岡安誠君) 今御指摘の中でございますが、今回の改正は、その農家の側の原因による改正ではございません。今度の改正に基づく農家負担の増加でございますが、これは農家の側の原因によるものではなくて、計算の仕方その他が変わったことによりまして、農家の負担がふえるという場面が出るのでございます。今おっしゃいました、たとえば被害が多いところが、農家負担が上がるのは当然ではないかという御指摘でございますが、今回の制度改正といいますか、改正によりますと、被害の少ないところにおきまして、農家負担がかえって上がるという事態も起こり得るわけでございます。これはやはり掛金率の算定方法が違ったばかりではなくて、国庫負担の負担方式が全体といたしましては、大体従来の割合を踏襲いたしておりますが、側々には算定方式が変わるわけでございます。  したがって、全体といたしましては、公平な、より実態に合うようなことにいたしておりましても、具体的には非常にまあ不合理、といってはおかしいわけでございますが、心ならずも農家の負担が上がってしまうという場面が出るわけでございます。それらに対しまして、やはり新しい制度の発足を円滑にさせるというためには、やはりその上がった部分につきましては、何らかの措置をいたすということのほうが、行政といたしましては、やはり妥当ではなかろうかというふうに私ども考えておるのでございまして、私どもは決してこのことによって、不公平をさらに助長したりするという意図もございませんし、そのような結果にもならないのではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  98. 森八三一

    ○森八三一君 そうすると、今回の制度改正によって、農家の側から発生した問題ではなく、計算のやり方とか掛金率が変わるとか、そういうことによって、そういう結果が起きるのだから、その部分を補完してやるのだ、こういうことといたしますれば、当分なんというととはおかしいじゃないですか。当分でなく、それは永久にやらなきゃならないじゃありませんか。当分というのは、どういうことですか。また将来制度が変わったときには別ですよ。この改正法が続いている限りは、当分でなくてその間はみなやるということでなければおかしいじゃないですか。理屈が合いませんね。農家の側から起きたものではなくて、計算上の問題となれば、制度改正によって、そういう結果が起きる。それは気の毒だから補完をしてやるのだ、不公平にはなりません、出すことのほうが、むしろより公平であるという感覚にお立ちになるなれば、この制度が将来改正される時点までは、その制度は継続さるべきであって、当分という字を付ける必要はないのです。これはその部分政府が補完をいたしますと言い切っておけばいいのです。当分ということは、どういうことですか。農民側から起きた問題でなく、政府のほうの制度改正でできたもの、その負担を農家が負担するのじゃいかぬ。この改正法が存続する期間中は、そのめんどうを見る。こうでなければ、平仄が合わぬではないですか。どうなんですか。
  99. 岡安誠

    説明員(岡安誠君) 新しく設定されます掛金率なり、新しくきまります農家負担というものは、これはその料率が一応三カ年間ごとに変わります。変化をいたすわけでございます。で、私どもが先ほど申し上げましたとおり、今度の制度というものが非常に実態に即したものである、ベターなものであると考えておりまして、ただ、そこへの移行につきまして、農家の負担をふやさないという考え方に立っておるのでございまして、将来やはり三年以上たちますと、料率等が変わって参ります。そういたしました場合に、あらためて検討するという事態が起きようというふうに考えております。
  100. 森八三一

    ○森八三一君 どうもわからぬですがね。今回の制度改正に伴って掛金率等にも地域別に変化が起きる。今までの制度によって計算されるものと、今度の制度によって計算されるものとを比較をして増加する部分だけは補完をしよう。三年たって、また掛金率が変わったというときに、三年前の現行法によって一ぺん試算をしてみて、三年先にまた変わったときの計算が出てきて、それと比べて、また上がったものは補完をしてやるということは、ずっと制度としては主張が一貫してきますね。そうでないというと、今度補完をするということが、やはりアンバランスをそのまま踏襲していくというような結果になるような気がしますがね。だから現行制度によって一応試算をする、それと新制度によって計算をする、その計算したものの上で、上に出るふえる負担だけを補完してやる。三年先に行って、また料率変更が行なわれる。そのときには、現行法で一ぺん試算をして、変更されたそのままで計算をして、また現行法との間に差が起きれば、その差だけを補完をしてやるということにしなければおかしいじゃないですか。今、次の改定のときまでちゃんとやっていくということでは、やる趣旨というものが、私にはわからなくなってくる、どういうことですか。
  101. 岡安誠

    説明員(岡安誠君) 今実はおっしゃったような方法によって、今後いろいろ算定の方法をきめることは一つ方法かと思います。これはやはり新しい制度によりまして掛金率を算定する、それから三年後には、料率の改定があるわけです。やはり料率の改定の結果等を見まして、やはり農家負担が現実に上がる場合にどうするかというように、現実に掛金率の算定の結果等を見まして考慮する。要は、やはり新しい制度が旧来の制度に続きまして、円滑に運営されるようにということを願って補完するわけであります。十分検討はいたします。
  102. 森八三一

    ○森八三一君 どうも課長、逃げちゃいけませんよ。私の申し上げているのは、これは農家のふところに直接関係することなんですからね。あとでとやかく議論のないようにしなければならぬという趣旨で申し上げておるのです。ですから、新制度に移管をするときに、現行法との間に負担の増があれば、その増は補完をするということが附則できめられた、これはわかりました。そのことの可否は別にしましてわかりました。だとすれば、その精神というものは、現行法の続く限り堅持されなければおかしいじゃないですか。三年先に料率改定ということは、今の改定と同じことですよ。ただ時間が三年先になっただけで、今も改定するのですからね。三年先に改定するときに、また現行法で試算したものとの間に差が起きれば、それを補完してやるということは、附則の精神は、この制度が存続する期間中一貫して堅持されるということになるのじゃないですか。今は補完を受けているが、三年先に料率改定で負担がふえぬということになれば、そこで打ち切りになるでしょう。それは当然です。現在は負担が増加しない所でも、三年先に行って料率改定をすれば、現行法でいって負担がふえてくる、そうなると、それは補完をやるというようにしなければ、現行法を実施するという建前に立つて——この改正法を実施するという建前に立っての不公平は残るのじゃないですか。  ただ、この法律改正が、まだ完全に農家諸君には理解されない不満がある。その不満を押えるために、筋は通らぬけれども、ここでちょっとあめ玉をくれてやるということなら話は違います。どっちなんですか。
  103. 岡安誠

    説明員(岡安誠君) 要は、先ほど繰り返して私が申し上げておりますとおり、新しい制度が発足するにあたりまして、現実に農家の負担が増加をするということでは、新しい制度の発足なり、その後の運営というものが円滑にいかないのではないかということから措置されたことであります。  したがって、私どもはその負担金の交付の方法につきまして、今生生おっしゃったとおり、現行制度方法と、それから新しい制度方法を、それぞれ計算いたしまして、その差額を見るということも一つ方法であると思います。しかし、やはり先ほど申し上げましたとおり、新しい制度への移行なりその円滑な実施を期待するという観点から考えますと、現に農家の上がった負担の部分については措置をするという考え方もあり得るわけであります。私どもはそういうような方法を、この規定を設けました趣旨から、そのようにしてやって参りたいということを申し上げておるわけであります。三年後の料率の改定の結果につきましては、これはその間におきまして、災害の発生等に影響するわけでありまして、それらをやはり見るべきであろうという御意見もあろうかと思いますけれども、それらにつきましては、やはり問題があると思いますが、そうすれば新しく三年後に、料率改定をいたしました時期におきまして、今申し上げました規定を挿入する趣旨にかんがみて措置をするということも、私ども考えておるわけでございます。
  104. 森八三一

    ○森八三一君 くどいようですが、法律の前には、国民は平等でなければならぬでしょう、不公平であってはならぬでしょう。今ここで法律改正をしようとするのですよ。それを改正するについては、負担を増す部分は見てやる、その負担の増の部分はめんどうを見てやるということでないと、その法律の前に農民は不平等になるのじゃないか、そういう計算ができないということになれば話は別でありますが、現行法によって試算したものと、改正法によって計算したものとの間に差ができた、その増は補完してやろうというならば、この法律が存続する限り、これに対応する分は、平等でなければならぬ、三年先は別だということでは不平等になりゃせぬかと私は思いますが、だから、当分の間ではなくて、この改正法が存続する期間中において負担が増す部分政府が補完をいたしますと、こういうふうにおっしゃるとわかりがいいのですが、そうでない。今この時点において、この増す部分だけはめんどう見てやるということでは、いかにもこの法律に対して自信がない、さまざまな議論が起きてはたいへんだ、だから今ここで、ちょっと押えておこうということでは問題の解決にならぬし、政府の臨む態度ではないと思いますが、それはどうですか。
  105. 岡安誠

    説明員(岡安誠君) 私はどうも、当分の間という規定によって、当分の間運用されたものの結果として、法律の前に平等でなければならぬということにつきましては、私は必ずしも不平等な扱いになるとは考えないのでありまして、やはり今回の規定の趣旨が先ほど申し上げましたように、新しい制度の発足ということを考えておるわけでありまして、現に農家の負担が増加する部分について措置をするという考え方で措置をいたしたい。これで規定の趣旨としては大体まあ達成されるのではないかと考えております。
  106. 森八三一

    ○森八三一君 そうすると、もう一歩おりて、現に負担が増加する部分は、当分の間という、当分とは、それはいつまでですか、ことし一年だけやりますということなのか、来年もやりますということなのか、再来年もやりますということなのか、あるいはこの改正法が存続される限りそれを継続しますということなのか、それはその間に事態がいろいろ変化がありますから、計算が違ってくることはありますよ、あっても、それは現行法による試算とその時点々々で計算されるものとの間に違ってくれば、それは違っていいが、現行法による試算の差額は、当分の間は補償すると、その補償の期間は幾ばくであるか。
  107. 岡安誠

    説明員(岡安誠君) それは一年とか二年とか五年とか、そういうふうにあらかじめの年限を切って申し上げるわけにはいかないと思います。やはりこの新制度に移行並びにその運営が円滑になされる間、その間が当分の間でありまして、その間におきましては補助金を交付するというふうに考えまして、あらかじめ期限を切りまして、そのときまでは補助金を交付する、それ以後は補助金を交付しないということではないのであります。
  108. 森八三一

    ○森八三一君 そんなことが農民に知られたら、今ここで制度改正におきまして、負担のふえる部分についてめんどうを見てやろう、しかしこれはいつ何どき打ち切られるかもしれない、きわめて不安定だ。来年打ち切られるかもしれない。それではこの制度に対する円滑なる協力はしませんよということが、かえって逆に出てくるのじゃないか。制度改正に対して農民諸君に協力してもらうというためには、負担の増加する部分だけはめんどうを見てやろうということが好ましいと思う。それはしましょうと、それはすぐ打ち切られるかもしれないという不安が説明されれば……、これは法律に書いてあるが、一年で、なくなるかもしれなよというと、それでは新制度いやだということで、農民不満というものは、また爆発する。  だから新制度と現行制度との差額というものは、この新制度の続く間は負担するということで安心させるならば納得しますわね。それはどうなんですか。そういうからくりみたいな、新制度に移行するときに負担がふえるから、それはめんどうを見てやるよ、何かお上手言って、あとでさっと取り上げてしまうという卑怯なやり方は私はいけないと思う。しかも当分の間、あなた方の負担はふえませんよと、上手を言ってすぐに負担がふえてしまう。そういうインチキめいたことはやるべきでないと思います。
  109. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) これは保護課長から御説明を申し上げたかと思うのでございますが、今度の制度改正が、負担をそれから支払いを受けるほうとの合理化に、非常に努力することにしているから、そのために負担関係が変わってきて、まあ一部で農家の負担がふえていく、こういうことになるわけでありますが、従来も料率を変えます際に、そういうことが出たこともあるわけであります。それで合理化することによって、実は一部がふえるということによって、それが制度改正に対する円滑な実施上、農家にとって不満の種になることもあるかと考えて、円滑に実施するために、これは一年というようなことは、当分の間ということでは私ども考えていないのでございますが、円滑に実施するまでの間交付したいということにいたしたわけでありますが、今後は、料率がまた変わって参ります。現に、来年から改正法を実行いたします際には、三十七年産の被害率をさらに算入いたしますので、むしろ現在予想しているよりは料率は下がるのじゃないかと考えておりますが、今後料率改定があるときに、だんだん下がる傾向がございます。そういうことも参酌して今後考えることにして、当分の間続けたい、こういう考えでございます。
  110. 森八三一

    ○森八三一君 今、局長のお留守のときに、課長に申し上げたのですが、今度の制度改正というものは、今局長のお話のとおりに、合理化しようというところにあるのは、これは私どもわかります。合理化されて計算されたもの、それがたまたま不合理であった。現行法との間に差を生じた。その差でも絶対額でふえる部分だけをめんどうを見てやるということは、不合理の延長ではないか。合理化して計算したもので、ぐっと押すなら話はわかるが、不合理のもとに計算をせられたものとの間の差額、ふえた部分だけをめんどう見るということは、その部分に関する限り、不合理化の延長であるということになりやしませんかと、そういうことから生ずる合理的せられた側の農民不満をいったいどうされるか。そのほうがむしろ僕はおそろしい。合理化しておいて、そうして不合理の状態というものを、ある部分についてのみめんどうを見るということならば、合理化せられた部分からの、多くの部分からの不満というものは爆発する、そのアン・バランスをいったいどう説明なさるか。
  111. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 制度改正によって出て参ります差額というものは、これは全部が制度改正に伴なうわけではございませんから、被害率が変わったり、その他の原因によって料率が変わる、これはいつもあるわけでございますから、そればかりではないのでございますが、制度改正によって出てきた差額というものを補助するということは、従来の不合理をそのまま続けるということになるのだという御指摘でございますが、これはある意味では、そうかとも考えるのでございます。しかし、従来のものが不合理であったからといって、直ちに農家の負担が合理化された水準まで上がるということは、やはり影響が大きいわけでございますから、これは当分の間補助金を交付して、それは不合理といわれれば不合理かもしれませんが、しかし、円滑に実施するようにいたしたいと、こういう趣旨でございます。
  112. 森八三一

    ○森八三一君 どうもわかりませんが、災害程度と、それに見合う掛金率というものが出て来て、そこで万人の納得のできるような負担区分というものがきまってくる。そうしてその農家農家によって、給付金をよけいほしいという人は、選ぶ段階の、掛金が多い段階を選ぶ。少なくていいという人は低いところを選ぶ。これは農家に選択の自由がある。それはわかる。しかし、その前提となるものは被害実績なり、そういうものから公平に計算せられて、かくあるべきであるという数字が出てくるのですよ。それがたまたま現行法と比べてみて負担の額で違ってくる。その場合にふえる部分だけは政府のほうで補助というか、補完といいますか、めんどうをみるということは、掛金と負担金と給付金との差の間に、給付金との関係に、不公平が理論的に残るのじゃありませんか。
  113. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 確かにそれは、従来の三つの関係を残すわけでありますから、従来のものが不合理だとして改正するのに、それを残すという意味ではと不公平だも言えないこともないと思います。ただ、これは当分の間、補助金によって行なう、掛金に対して国庫負担でやるのではなくして、補助金によって行なうということによって、そこは恒久の制度ではない、こういうように私ども考えておるのであります。
  114. 森八三一

    ○森八三一君 交付金だろうが補助金だろうが金にしるしはない、受ける農家の側から見れば、これは同じだと思うのですよ。ただ制度上、掛金の一部負担か、別個の補助金かということで、出す方の側なり国としては建前上の区分はありましても、受ける農家の側は、これは同じ日本の通貨をもらうのですから、何にも区別はない。合理化せられた、災害程度によって合理化された負担率というものはきまってきた。ところが、たまたま過去の多いところはもらえたということになれば、過去よりふえぬところでも、おれのほうにくれという要求の起きることは無理からぬことじゃございませんか、国のあれとして、だまっておるやつにはやらぬが、わがまま言う人はやるということになるので……。
  115. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) これは従来より負担がふえない。それは大部分は減る人々でございますから、まあそれはもっと欲を言えば、もっと減らしてもらいたいということはあるかもしれませんが、ふえる人と比べれば、そう不満が出ないのではないかと思うのでございます。かりに税制の改正の場合の例を考えてみますと、税体系を合理化して、その中で税金が軽くなる人がある。しかし、一部は逆に重くなる人があるという場合に、その重くなる人については、当分の間別途の措置をとる、こういうやり方は、私どもはあるのじゃないか、こういうように考えておるのでございます。
  116. 森八三一

    ○森八三一君 税の場合に私も今そういうような、変な例があるかどうか記憶には出てきませんが、所得税法を改正して、そうして減るほうの人はよろしい、ふえるほうの人には今までの分で打ち切って、ふえる部分だけは当分の間免除しますなんて、そんな法律は私不敏にして承知をいたしておりません。ただ、輸出貿易なんかで何か特別のことがあったかもしれませんけれども、税法なんというものは、特に国民に不平等なしに適用さるべきであって、そんな区別はせられないと思います。それとこれとは違いますから、そんな引例をとやかく申すものではございません。ございませんが、被害程度に応じて掛金の負担というものはきまるのでしょう、掛金はきまるのでしょう。事務費の負担のほうは別ですよ。掛金のほうは、被害の額の想定に従って率がきまってくるということですね。これが違うというならばたいへんなことなんで、これは普通の保険でも、火災保険の場合に地域によって条件が違えば違いますよ。けれども、同じ状態のところであれば百万円の火災保険に対して、かける掛金は二千円なら二千円、三千円なら三千円とか同じですわね。今度の制度も、そういうことだろうと思う。その場合に、過去と比べてふえる部分だけは減らしてやるということになれば、これは不公平になるのじゃないですか。そうなりませんか。
  117. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) それは先ほど申し上げましたように、ある意味においては不公平が出ると思うのでございます。しかし、その一方の人々は負担が減る人々でありますから、その人たちには交付金は出さないということで、減る人々はこれは納得してもらえるであろうと私どもは確信をしておるわけでございます。ふえる人は、これは急にふえたらやはり負担の増加でございますから、いろいろと問題も出てくるし、そういう人々には当分の間交付金という形で負担を実質的に増加させない、こういう形にいたしたい、こう考えております。
  118. 森八三一

    ○森八三一君 まあお考えがわからぬわけではございませんけれども、やはりそういう考え方というものは、近代行政のあり方では私はないと思うのです。徳川時代のやつだと思う、そんなやつは。平等であるべき原則を、ふえない人は不平等になっても、ふえないからしんぼうしなさい、ふえる人だけは特別のめんどうを見てやるということは確かに不公平になると思う。  ただ、この新制度に移行する場合に、ふえる人から文句があっちゃいかぬから、そいつを納得させるためにふやしはいたしませんよということが言いたいあまり加わったものであって、これは政府の当局が最初から、そんなばかなことを考えたものではないでしょう。この附則のできたいきさつを一ぺん説明して下さいよ。もし局長が初めから、こう考えたのだとすれば、どうも優秀な局長考えとしては非常に僕は遺憾の意を表せざるを得ないのですけれども、どうしてこんな附則が、ここでふわふわっと出てきちゃったのか。
  119. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) これは政府原案でございますから、政府考え提出したものでございますが、経緯からいいますれば、その前の政府原案にはなかったものでございます。
  120. 森八三一

    ○森八三一君 そこで、三十八国会提出案にはなかったと、今度の国会提案にはできた。その間に、この新制度に移行することについて、農民諸君の間に非常な不満があったと、新制度をなめらかに推進していくためには、その部分を解消しなければいかぬということが、ほんとうに直接農民の声なのか。新制度に移行するために指導する諸君のほうで、そうでもしてもらわぬというと、またたいへんな問題が起きてしまうということで、何とか当面をつくろうために、ぜひともということでなったのか。この辺は後段のほうと思いますが、これは局長も、後段のほうでありますということになると、一体そういうことを主張したのはだれだということが、その次の質問に出てくると困ってしまうから、これは役所が考えたとおっしゃるかもしれませんが、それはそれとして、これはほんとうに因った問題と私は思うんです。  しかもそれを当分の間ということで、いつまでかわからぬというような不安定なことであっては、私は農民諸君に、うそを言うことになると思いますがね。あなた方、ふえる分は政府がめんどうを見ますよと、こう言い切っておいて、知らぬうちに、それは取られてしまう。それはその間事態の変化がありますから、知らず知らず吸収されていくということではございましょう。ございましょうけれども、私はこれは非常に何か、だまし取るようなふうになると思いますね。だから、この新制度が続く間は、現行法によって試算せられるものと、新制度によって計算せられるものとの間に差が生じ、負担がふえた部分はめんどうを見ますと。三年先に改定になった場合には、その時点で、現在は補助を受けておった人もなくなる人もあるだろうし、現存補助を受けてなくても、また補助をもらわなければならぬという人もありましょう。そういう一貫したことをおやりになれば……。この附則自体について私は疑問を持ちます、持ちまするけれども、一貫はすると思う。そういうふうにお考えになりませんか。この附則の一貫性だけはひとつ保っていく。附則の可否の問題は別問題にして、その附則それ自体についての一貫性は、この法律が存続する間は堅持いたしますと、そういう計算ができるのかできぬのか。私には専門家でございませんからわかりませんけれども、抽象論としては、かくあるべきであると私は考える。
  121. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 負担方法において一貫してといいますか、新制度改正制度とを、ずっと同じように維持するというようなことは、これは実施の面でいろいろ繁雑な困難さがありまするので、ここで明確に申し上げることはできませんが、極力、とにかく農家の負担増分については、今後負担部分が少なくなるように、これは今後とも続けていく、こういうことは申し上げてよろしいと思います。
  122. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますと、計算上困難なことを私は要求しようとは思いません。計算上可能である限りにおいて、現行法と新法との実施の段階において、負担が増加する部分について、将来に向かって補助を交付して、その負担の軽減をはかるように努力をいたしますということで了解していいですか。
  123. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) できるだけ負担の増加を軽減する方向で努力するということを私ども考えておるつもりでございます。
  124. 森八三一

    ○森八三一君 それからその次に、今度は水稲に関して、病虫害の事故を対象にしないと——原則としてですね、ということになっておる。それに関連して、三反歩未満の生産者は共済対象にならなくてもよろしいという、強制の緩和が行なわれるということと結びつけて考えますと、これで一体いいのかどうかということですね。必ずしも共済事業と病虫害の防除というものは不可分的のものと考えてはいかぬと私は思う。これは別個のものであると思うのです。しかし実態的には、その間に関連性があると思うのですね。だから、今までがそうであればこそ、負担金やいろいろな中で、病虫害の防除に関する費用も、一括徴収して共同防除、一斉防除等をやってきたわけですね。今度はそいつは原則としてなくなる。そして掛金なり負担金を、その相当部分を免除すると、そのかわり政府のほうから、それに相当する政府の負担部分だけを交付金の形で差し上げよう、それを原資として、しかるべき方法によって防除をやってくれということになりますわね。その場合に、今までやはり掛金か負担金をとってやっておりますから、ある程度病虫害の防除については一斉に強制力を持っておったと思いますね、事業としては。今度はその強制力がなくなることが一つ。それからもう一つは、三反歩未満の人は、これは全然無関係になってしまうのですね。その場合に、三反歩未満の非組合員の部分についても、関係地域の農済組合に国庫の負担すべからざりし部分の交付金をやるということになるのか。その前提はどうなりますか。
  125. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 最初のほうの、三反歩未満をはずす、あるいは病虫害を事故からはずすことについての御疑問でございますが、これは病虫害を事故からはずすのは、主務大臣が指定する組合でございます。その指定の基準といたしましては、共同防除態勢が整っておる、つまり防除基準が、植物防疫法に定める防除基準ができておりまして、市町村に防除協議会が設けられて、それで防除地帯がはっきりきまっておるという要件を満たした場合に指定するということにいたしておるのでございます。ところで今までは共済関係があったから契約上の強制があったのではないか、こういう御趣旨かと思うのであります。免責事由とか、そういうことから、十分な管理を怠れば共済金は払わないぞという契約になりますから、そういうことで強制があったのではないかという点でございますが、その点につきましては、確かに契約上の半強制と申しますか、そういうものがあったことは事実でございますが、それならば、そういう第二種兼業農家のような人たちの防除を促進していたかというと、これは非常に疑問だと、こう思うのであります。むしろ共同防除態勢を強化しまして、それに対して道徳的な協力をさせるというほうが望ましい方向ではないか、こういうふうに考えるの、であります。  それから第二点の、どういうふうに金をやるかという点でございますが、これは大体、今まで農家が負担していた部分が軽減されるわけでございますが、それとほぼ同等の額を国が補助金を交付する、大体一組合平均三十万円ぐらいになるかと思いますが、これを組合に交付しまして、そこから防除主体、町村の場合あり、農協の場合あり、それぞれの防除主体に共同防除を促進するような経費に充てるために支出する、こういうようにいたす所存でございます。
  126. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますとね、組合員に対して軽減した部分相当する国庫負担部分補助金の形で交付しよう、そういたしますると、非組合員たるものの部分というものは、当然計算上は入ってこないということになると思いますね。その場合、今度は画一強制の緩和ということで、三反歩未満を非組合員にしてしまうという結果は、その地域において非組合員の耕作する部分についての防除については、国は何らの手助けをしないという結果になると思いますが、そうでしょうか。
  127. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) それは非組合員の防除活動に対して何ら援助しないというようにお考え願わないほうがよろしいと思います。というのは、共同防除をやる防除主体に交付しまして、非組合員が防除活動に参加しないようでは困りますので、そういう人々も参加し得るように、共同防除活動を促進するように交付したいということでございますから、非組合員であるとなかろうと、共同防除は危険のあるところについてはやってもらうということでなければ、交付する目的が達成できないと考えるのでございます。
  128. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますとね、かりに、ある町村で百ヘクタールある。そのうちの十ヘクタールというものは三反歩未満の集積だ。九十町歩だけが共済対象になっている。その九十町歩に対して免除した負担金相当額の国庫負担部分を交付してやる、そうしてその百の面積の防除をやりなさい、こういうことになると思いますわね、今のお話だと。そういうことが町村の実態として一体可能とお考えですか。
  129. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 今度の補助金は特定の組合員、あるいは非組合員を相手にして交付するわけではなくて、全体としてその地域における病虫害の発生を防除、予防する、あるいは駆除するということのために使われるように交付するわけでございますから、もちろん御指摘のように非組合員が多い場合は、実際問題として交付される額が少ないかとも思うのでありますけれども、しかし、円滑にさせるための一種の油のような意味で交付するという性格からいいまして、金額の多寡は出るかと思いますが、使途を特に限定いたしませんので、ある程度の差は出ますが、必ずしもおかしなことになるとは考えていないのであります。
  130. 森八三一

    ○森八三一君 その辺に計算上は非常にこまかいことにはなると思いますが、やはりその地域における病虫害防除に対する国の関与度合いが不公平になるという結果になりはしませんか。非組合員の部分に対する掛金相当額についての国庫負担分というものはいきませんからね。だから、そういう制度を作るということでございますれば、その農済組合の地域内における水稲耕作面積というものが土台になって交付されるなれば話はわかりますよ。わかるけれども、負担金を免除してよろしい、その免除した相当額についての国庫負担分をやるということは、病虫害防除ということとはちょっと関係が変になりはせぬか。それに対する国の負担関与度合いというものが違ってくるという不公平というものが生まれるのではないか。だから、病虫害防除に関する交付金、補助金というものは、掛金相当額についての免除部分と、そんなことは言わずに、防除態勢のできておるところについては、掛金を免除してもよろしい、その地域に対してはかくかくの補助金を差し上げます、一斉防除をしなさい、防除態勢ができておる、そこできちっと筋が通ってきますわね。そうでしょう。ところが、交付される金というものは、掛金を免除した相当額に対する国庫負担部分というと、非組合員の多いところは、これは国の関与する度合いが薄らぎますわね、計算上。そういうことであって、病虫害防除というものはよろしいのかどうか、その点どうなんですか。
  131. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 実際問題として、非組合員が多い組合について指定が行なわれるということは、あまり考えられないと思うのであります。それにしましても、今度の措置は、病虫害は事故が発生したときよりも、発生してそれに対して損失の救済をやるよりも、発生を防止し、発生しても被害程度を軽くするほうが先だという趣旨から、一方で事故からはずすと同時に、できるだけ防除のほうに力を入れてもらうという趣旨補助金を交付する、そういう観念を持っておるわけでありますから、どうしてもそこに単にその村における面積でやれとか、そういうことではなくて、やはり事故をはずして、一面においてその農家はできるだけ防除のほうに力を入れてもらうという趣旨が加わっておりますので、こういう考えにならざるを得ないわけであります。  それから第三点に、病虫害の防除ということに対しては、国はもちろんいろいろな形で指導もし援助もしておるのでございますが、これはさらにひとつプラス・アルファにやりたい、こういう趣旨でございますので、農家自身が自主的に病虫害防除活動をされるのはもちろんでありますが、国としての授助としては、さらにプラス・アルファを加えたい、こういうことで多少そこに御指摘のような差が出ることもあるかと思うのでありますが、まあ、われわれの考えておるところでは、実行上さしたる支障は少しもないのじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございます。しかし、御指摘の点、私もちょっとごもっともな点があるようにも思いますので、さらに検討さしていただきたいと思います。
  132. 森八三一

    ○森八三一君 三日間にわたる質問で「ごもっとも」が初めて出ましたが、今までにもそういうお答えがいただける部分相当あったであろうと思いまするけれども、どうも原案者ですから、あなた方、なかなかそこまで口がほぐれて参らないかと思いますが、しかし、この部分はぜひとも私は、伝染病のようなものですから、組合員であろうが、非組合員であろうが、一斉に防除をしませんと、たまたま組合員でないと、お前の耕作面積は国の補助金の交付対象の面積からはずされておるというようなことで、その部分がもし不幸にして一斉防除の対象から除外されたということになりますと、そういう地点に病虫害が発生するのです。その病虫害がずっと他へ蔓延していって、せっかく経費を使い労力を使ってやった防除が効を失ってしまうというような不幸な危険がないとは言えないと思うのでございますから、病虫害防除については、全耕作面積にわたっていかなる狭い面積といえども徹底するということでなければならぬと思うのですよ。そのためには、この制度でやるということが私は必ずしも妥当ではないと思うのです。病虫害防除については別個の制度を設けるべきだと思う。まあ、たまたま今までは事故対象になっておったものですから、今度これをはずすについて、単純にはずしっぱなしではいかぬので、特に大蔵省からとるのには、何か引っかかりをつけぬというと、うまく金は流れてこないという実態もあるわけですから、そこで免除をする、その免除をした部分相当する国庫負担額を差し上げるということに整理された、その整理された金を分けるときには、全面積が対象になるように考えていかなければならぬと思うのです。この点は同感ということでございますので、ひとつ十分御研究をいただきまして、病虫害によって被害が発生することのないように十分ひとつ御注意いただきたいと思います。  それからその次にお伺いいたしたいことは、補てん内容の充実というのですがね。これがやっぱり提案理由の説明には入っております。そこで一つお伺いいたしたいことは、災害に対する査定の問題ですね。今度のこの長雨にあって、麦はほとんど全国的に壊滅という状態、そこで連日のように産地の農民諸君は代表者を送って、政府にも国会にも陳情をしておるという状況なんです。ところが伺いますると、この共済事業における損害の査定につきましては、重量を基礎として査定をしておるということでございますが、そういうことであるのかないのかが一つと、そういうことで一体災害というものを認定していいかどうかという理論的根拠をお伺いしたい。   〔委員長退席、理事仲原善一君着席〕 具体的に申し上げますると、この面積からは五百キログラムなら五百キログラムの収穫があるという予定を立てますね。ところが三割以上の被害ですから、そこで四百キロ減収したということに引っかかりますね。その残る百キロというものの収穫があったわけですね。その収穫は何によって制定するかというと、その生産物を処理し、調整をして、重量として百キロあったかなかったかということで判断がなされておるということだそうでありますが、そうであるのかどうか。そういう指導方針であるのかどうか。もし、そういう指導方針であるとすれば、それが災害を認定する尺度として正しいとお考えになっておる根拠を聞かしていただきたい。
  133. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 原則としては、そういう方法で収量をはかっておるのでございますが、ただ、共済の運営の場合におきましては、今回の災害などでも実際に多く出ておるわけでありますが、目方はあるけれどもえさにもならない。ふるいにかけたが、ふるいにはかかる、落ちてしまわないという形で残るような場合があるわけでございます。こういうものはえり分けて減収として扱う、こういうようにいたしております。
  134. 森八三一

    ○森八三一君 今度は特別にこういう大臣の表現をもってすれば、有史以来の長雨というような思わざる被害ですから、そういう特別の措置が行なわれるかもわかりません。しかし、通例の年でございますと、かりに米の場合に収穫をして、それはえさになるというものがあったにいたしましても、画然とはしないが一応目方はあったのだということで、重量は予定重量から差し引いてしまうということで計算しておる。そうして残ったものは、かりに重量があっても貨幣価値に見積もった場合には、これは非常に違いますね。そういうことはどう判断されるのですか。私の聞いておるところでは、ただ単純平面重量計算でいっておるというところに問題があるやに伺いますがね、それはどうなんですか。
  135. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 御指摘のとおり、重量で評価しておるのでございます。したがって米の等級の差による、ある年は等級は三等が多かった、二等が多かった、そういうことの差による実質的な経済的減収といいますか、そういうものまでは見ておりません。
  136. 森八三一

    ○森八三一君 そういう点はこの制度の性格なり考え方からいえば、非常にそぐわないように私は思いますがね。むずかしいことであるとは思います。思うが、むずかしいからといって、それを不問に対して、ただ形式的な重量だけでやっておるということではいかぬのではないか。将来それを改めるということをお考えになりますか。とてもそんなことは事務的に繁雑でできないから改まらぬというのか、その辺はどうなんですか。
  137. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) これは実際問題として非常にむずかしいことだと思うのであります。損害評価の際に、実際にとれた、残った米がどれだけの価値を持っておるかということを精密にはかって、それの価値の減少の部分までを減収として見ることは、実際問題としてなかなか困難であろうと思いますが、しかし特別に今年のような災害の場合においては、いろいろと農家の立場を考えまして、実際上解決し得るだけの措置はとりたいと思います。しかし、御指摘の点につきましては、これはなお検討すべき問題ではないかと思いますので、でき得る範囲で、どこまでいけるかということを検討さしていただきたいと思います。
  138. 森八三一

    ○森八三一君 そこで、この問題は非常に私はむずかしいと思うのです。だからこれを機械的に割り切ろうとすれば、米の場合について合格米が何俵出たかというところで打ち切ってしまえば、これは機械的に見当はつこうと思うのですね。それ以上、しいなが残ってくる。くず米がある、何がある、これまで洗いざらい見ようと思うから問題があるのじゃないか。それくらいのところは、この法律改正でも、負担部分が増加するところは、当分の間めんどうを見てやろうなんという愛情のある政府なんだから、不合格部分だけは全部切っちゃって、合格数量だけで被害を認定するようにすれば、大体これは公平にいくのじゃないかと思うのですがね、どうでしょう、その辺のところで一ぺん切ってみたら。
  139. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 今むしろ森先生の設例がちょっとなにかと思うのですが、飯米は検査なり損害評価に載らないでいる場合があります。損害評価は、筆ごとにたんぼでやるというのが建前でございますから、今の問題ちょっとあれかと思いますが、これは一つには要するに共済金額をどこまで選択するかという問題のほうがむしろ大きい問題で、今までのように七割というより九割までするという方向のほうが、むしろ実質的な問題としては大きい問題ではないかと考えておりますが、しかしこれはよく研究さしていただきたいと思います。
  140. 森八三一

    ○森八三一君 その次お伺いいたしたいのは、今度の制度改正によって将来に向かって国庫負担はどういうように増減のカーブをたどっていくであろうかという見通しの問題ですね。昭和三十七年度までは一応実績資料をちょうだいしております。昭和三十八年度は予算があるのですからよくわかりました、これは実績じゃありませんけれども。将来の方向としては国庫負担というものはどういうように変遷のカーブを描いていくであろうかということの見通しです。
  141. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) これは掛金に対する国庫負担と準備金に対する国庫負担と両面あるわけでございます。掛金に対する国庫負担は、将来増加するものと予想しております。と申しますのは、今も出ました、補てん割合を辞めましたので九〇%まで補てんするということになりまするので、平均の選択金額も上がってくると思います。その結果として、国庫負担も増額される。こういうように予想しておるのでございます。それから事務費につきましてもこの一、二年急カーブに増額されてきておるわけでありますが、今後も増加の傾向はやはり続く。大体農家負担は最近においては横ばいでございますが、農家負担に比べまして国庫負担では一方的にふえておる、こういう傾向が今後も続くのではないか、こういう見通しを持っております。
  142. 森八三一

    ○森八三一君 先刻課長にもちょっとお伺いいたしましたが、共済掛金率については、組合ごとの過去の被害率を基準として、そうして今度新しくきめていくというふうになるわけです。その過去の被害率というもの、これが適正であれば、問題はこれはちっともないと思うのです。過去の被害率というものがいろいろ人為的に作られておる関係が存在しておると私は思います。それは組合員と組合との関係が没交渉であるというような姿のもとに運営されておった事実があるのですが、その場合に一体どういうようにこれを措置されようとするのか。あくまで過去二十年間の被害率の実績を基礎として強制するという立場をおとりになるのか。その辺の考え方は課長にはお伺いいたしました。それから病害虫の部分を免除するというのですけれども、それはどういう尺度で計算をされるのか。これも過去二十年なら二十年の病虫害の被害率が、その地域でどうであったというその統計から導き出すその部分相当する掛金額を抽出してそれを免除するというふうにやるのか、あるいは最近における病虫害の発生の状態というのは非常に変化をしておりますから、もっと短い期間で考えていくのか、その辺のことをちょっとお伺いしたい。
  143. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) あとのほうから申し上げますと、最近の態様によって病虫害の発生度合いをきめて参りたい。これは病虫害が最近急速に発生の深さが減ってきておりますが、最近の事情を十分加味しなければ実態に即さないものでないか、こういうように存じております。  それから掛金の負担をよけいにするというか、災害評価を誇大にしてきたというような面が一部には多少あったわけでありますが、これは組合の中では組合員同士の間の公平、不公平の問題がありますし、連合会では組合組合との間に相当今まで問題になってきたわけでございます。それの調整ということが、損害評価上種々苦心をいたしているところで、従来はそれを何らか自主的な調整で納得してもらってきた、こういうことでございまして、過去の長い期間の統計を基礎にしますならば、統計上も誤差も比較的少なくなりますし、従来のそういった過程から見まして、比較的納得しやすいのではないか、こういうように考えておるわけでございます。
  144. 森八三一

    ○森八三一君 掛金率の算定については、長い期間ですれば、時点々々ではいろいろ問題があったにしても、それが平均化されていくからたいした問題はないのではないか。こういうことから結論は二十年間の統計を基礎にして病虫害の場合には最近のものをとる。こういうことになりますと、その結果は一体どうなりましょうか。過去二十年間は病虫害が相当発生するという事態もあったから、そういうものを含めての掛金率というものが出ていたわけです。最近は減ってきている。減ってきておるところの最近の部分だけを取り上げて免除の部分をきめていくということになると、実際とはちょっと遊離するように思いますが、その辺の無理はないのでしょうか。
  145. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 確かに御指摘のように、その二つの間に論理的な矛盾があるような感じがいたしますけれども、最近においての損害評価のきびしさといいますか、お互いの間のバランスの問題というものは、相当厳密になってきておる。こういうように考えますと、病虫害のようなものについては最近の事情だけでいったほうが、最近の事情は非常に変わっておるわけですから、ベターである、こう考えるわけでありますが、一方、掛金率の基礎になる被害率につきましては、これは長い期間とったほうがよろしいということではありますけれども、一面最近土地改良が進んだということによって被害の発生が減ってきております。こういうような現実の変化があるわけでございます。そういうものはできるだけ加味したいということで、せっかく今やり方を検討しておるところでございます。
  146. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますと掛金率の算定については、機械的ではなくて、最近における地方の実情、その地域の実情というものを相当考慮に取り入れて、その組合の自主判断によって自主的に実情を重視しながら、過去二十年なら二十年の統計というものをにらみ合わせて適当なところで押しつけようということであって、必ずしも過去二十年の統計から出てくるのを押しつけようということではないというように理解していいわけですか。
  147. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) これは自主的な判断だけというわけにはいかないと思います。明確にこれは土地改良の効果として水害が減ったとか、そういうようなはっきりした形がつかめるということを前提にしまして、それがやはり妥当であるかどうか認定した上でなければならぬ、そういうように考えておるのであります。
  148. 森八三一

    ○森八三一君 耕地整理とか、土地改良とかということは、これは人間の目で機械的に物理的に見ることができますからけっこうでありますが、台風の被害などは、十年くらい前は大体南九州を中心として毎年発生をした。最近はむしろ地区が移動してしまっておるということですがね。そういう実態というものは、やはりその尺度の中に入ってくるというように考えていいのですか。
  149. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) こういう病虫害などのように、ある程度技術の進歩によって発生態様が変わってくるというような性格のものと違って、天変地異のような、台風とか、そういうものが最近移動した。そういうことについてはちょっと長期間の統計によって、やはり危険率をはかるということによらざるを得ないのじゃないかと、私ども考えております。
  150. 森八三一

    ○森八三一君 長期間の統計、最近の態様が非常に変わったということに即応して法律を改正しよう、こういうことなんですから、過去二十年の統計と最近五年の統計とでは、発生態様というものは相当私は変化しておると思うのです。それを考えるか考えぬかということですよ。前段の説明では、そういうものも考慮に入れようというように聞きましたが、そういうように承ってよろしいか、こういうことなんです。
  151. 松岡亮

    政府委員(松岡亮君) 全体として、最近において発生態様が変わったので、制度改正を要するという説明を申し上げておるわけでありますが、これはたとえば低被害地といわれる裏日本の一部の地方というようなところでは、台風被害というものは例が少なくて病虫害というようなものが多かったというようなことで、このごろ病虫害の技術が進歩したために、三割以上の被害が非常に少なくなっておる、無事故に近いような状態になってきたというような形でなってきておるわけでありますが、一面、土地改良等による被害の減少というものは、これは地域的に明確に今はかり得るものは、できるだけ加味するようにいたしたい、こういう趣旨でございます。
  152. 森八三一

    ○森八三一君 最近の被害発生の状況から見て、今度の新制度によって単位農済組合責任を持たせようとする通常災害部分と、異常災害部分と、それから国庫が全部めんどうを見る超異常と、これが割合にするとどういうような割合になるでしょう。全体の生産のうち、面積でいいです、通常被害部分が何十%ぐらい、異常災害地域が何十%くらい、超異常がどれくらいになるか、その比率はおおむねどれくらいになりましょう。
  153. 岡安誠

    説明員(岡安誠君) 新しい制度で申し上げますと、今度は通常責任部分と異常責任部分と二つに分かれるわけでございまして、通常の責任部分につきましては、これは組合と連合会が責任を負いますし、通常責任部分を越える部分につきましては、これはすべて政府が再保険しまして、責任を負うわけでございます。したがって、責任の線としましては、全共済金額に対しまして通常の線は、おおむね四%前後ではないか、これは平均でございますが、こういうふうに考えております。
  154. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますと、最近の、米だけについて申し上げたいと思いますが、米について、有史以来の大豊作が連年続いておるのですが、それであってもなおかつ三割以下の部分というものはわずかに四%前後で、九六%が異常災害部分に入ってくる、こういうことなんですか。
  155. 岡安誠

    説明員(岡安誠君) そういうことになります。
  156. 森八三一

    ○森八三一君 そういうことを常識的に一体……。実績がそう出ているとおっしゃれば、これは納計数字が正直でございますから何とも申し上げませんけれども、われわれの常識論としては、これだけの生産が伸びているときに、通常部分が四%で、異常のものが九六%ということは、どうも常識論としては出てこないのですが、その辺はどうなのでしょう。
  157. 岡安誠

    説明員(岡安誠君) 御質問がもし面積で、全体の面積のうち四%未満の部分が通常で、あとは全部異常になるという御質問とすれば、それは逆でございまして、私の申し上げておりますのは、被害率から参りまして、共済金額がございますが、共済金額に対しまして、毎年一定の共済金が支払われる、それが大体私どもの計算によりますと、水稲で参りますと、過去二十カ年間の平均は、これは現行でございますが、平均しますと大体五・五%ぐらいになります。それくらいだけ全国平均で被害を受けているわけです。それではそれをならしまして異常と通常に分けますと、四%前後というふうな部分だけがといいますか、四%未満の被害の発生が大体通常とみなされるというふうに考えまして、四%をこえるような被害、これが異常とみなされている。それにつきましては、政府責任を持っているということを申し上げたわけでございます。面積の資料ではないわけでございます。
  158. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますと、全生産のうちの五・五%ぐらいのものがこの制度対象になる被害である。そうして通常部分がそのうちの四%ぐらいで、一・五%の部分が異常の部分と、こういうふうに理解していいのですか。
  159. 岡安誠

    説明員(岡安誠君) そういうことではなかろうかというふうに考えております。
  160. 森八三一

    ○森八三一君 農災の作物関係のことは、これで一応終わりましたが、四時過ぎましたから、きょうはこの辺で、どうですか。
  161. 仲原善一

    理事(仲原善一君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  162. 仲原善一

    理事(仲原善一君) 速記を起こして。  本日はこれにて散会いたします。   午後四時六分散会