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国務大臣(
重政誠之君) 少し連絡不十分で、非常におしかりをいただきまして、まことに恐縮であります。
災害の統計につきましては、ただいまお配りいたしましたのは、各
災害県の知事からの報告であります。それが、ごらんのとおり三百九十億、約四百億になっている。それで、農林省の
災害額の確認というものはまだしておりません。現在、統計調査部を督励いたしまして、その
災害の状況を調査、集計せしめているわけであります。
これも、御了解を得たいと思いますことは、普通の場合ならば、五月一日の調査によって大体わかるわけであります。ところが御
承知のとおりの、こういう長雨でありますから、五月一日に調査をやったのでありますが、これでは的確な資料を得ることができない。そこで、五月十五日に、再度調査をいたしたわけであります。これまた、どうも真相を把握することができない。そこで、六月一日現在で、再度の調査をいたしたわけであります。この報告の集計は、おそらく今月の十九日か二十日ごろにはできると思うのであります。これが農林省としての
災害の
被害調査の
結論ということになると思うのであります。でありますから、
被害の状況の統計を出せと言われても、これよりほかは現在のところないというので、多少、そこに行き違いがあったのではないかと思うのであります。
それはそれといたしまして、そういうわけで、この
災害の調査の結果は、今月の二十日前ということに御
承知を願いたいと思うのでありますが、いろいろ私聞いてみましても、この三百九十億という府県知事の報告より、ずっと上回るのではないかと、私は思っております。これはあくまでも私の想像でありますが、二十日前にはわかりますが、五百億をこえるのではないかとさえ私は
考えている。したがって、今回のこの
災害というのは、おそらく私は有史以来初めての
大災害であると
考える。したがって、これに対する対策も、これは迅速かつ的確に行なわれなければならない、こう
考えて、まあ、
職員諸君を督励して、昼夜兼行で、いろいろ骨折ってもらっているわけであります。
まず第一に、本日も相談をいたしたのでありますが、こういう事態であるから、この
災害の
救済だけではいけない。
あとの始末もあるのでございます。たとえば野菜が非常に、三十億もこれで損害がある。損害があるが、損害の
救済だけではいけないのであって、野菜の出回りが、それだけ供給不足になる。であるから、それに対する手も打たなければならないという、一例をあげれば、そういうことでありますが、そういうことでありますので、省内に、ひとつこの
災害救済の対策本部を設けて、統一的に、しかも迅速にそれぞれ手を打つ必要がある、こういうことをきょう省議を開いてきめたわけであります。そうしていろいろ
要求もせられて、やらなければならぬこともあります。まず第一に、どこでも言われることは、
天災融資法の適用ということを言われるのでありますが、これはやはり
災害の調査ができて、確定をいたしませんと、
天災融資法を発動するかどうかということの正式の決定ができません。できませんが、私の
考えでは、
天災融資法の適用と発動ということは必須であると確信をしているのでございます。それによって御了解を願いたい。あるいは自創資金の資金ワクをふやしたらどうか。これも
天災融資法が適用になりますと、自然にそのワクも若干
拡大はするということになりましよう。
そういういろいろの問題はありますが、何をさておいても、そういうように本ぎまりになる前に、たちまち今のところが問題でありますので、そこで農林中金と協議をいたしまして、農協の系統でつなぎ
融資をとにかくする必要があるということを
考えて、それはすでにそれぞれ手を打っております。それから、あるいは肥料代の支払いができぬとか、いろいろそういう問題がある、あるいは償還期限がきておるものの資金の償還ができぬ、こういうこともあるであろうと思うわけでありますから、そういうものにつきましては、やはり償還延その他の条件緩和の
措置を講じなければならぬ。これも今、そういう話をいたしており、また
制度金融につきましても、それを
検討もいたしておる。さらには盆が近いのでありますから、盆の決済資金ということが問題になる。それで、それがためには、できるだけ盆に間に合わすように
農業共済の
共済金の仮払いをやらせよう、こういうので、その段取りもいたしておるわけであります。さらには、本日も相談をいたしたのでありますが、米の予約
制度、予約をした者に対して前貸金、前渡金の二千円をやっておることは御
承知のとおりでありますが、この予約が、米価が決定しない前でも、この予約ができるものはできるような仕組を
考えて、そういうものには二千円の前貸金をひとつ出したらどうか、こういうようなことも
考えて
検討をいたしておるような次第であります。
その他、
金融的の
措置につきましては、いろいろの御
要望もあることでありますから、それらについては十分誠意をもって
検討いたしましてできるだけ御
要望に沿うような
措置を講じたい、こう
考えておるわけであります。
さらに問題になっております、等外麦の問題でありますが、御
承知のように等外上の麦は買い入れることになっております。ところがこういう
災害でありますから相当等外下が多量に出ることであろうと思うのであります。これも買い上げろという御
要望があるのでありますが、これは
法律上、どうも買い上げるわけに参りません。これはもうはっきりしておかぬといけませんから私ははっきりひとつ申し上げるわけでありますが、食管法によっては、食糧を買い上げるのでありまして、食糧にならないものを買い上げることは、これは
法律違反になるわけでありまして、これはできない。そうすると、等外下はいかに
措置するかという問題になる。そこで、これは食糧事務所を督励しまして、等外下に属するもので飼料に向くものは、これを飼料に向くように仕分けをできるだけ指導してやれ、そうして飼料に向くものは農協系統とも十分連絡をとって飼料に回していく、そうして飼料にも回らないもの、食糧にはむろんならぬ、そういうものは、これは
農業共済のほうで、これは収穫がなかったものとして
共済金の算定をする、こういうふうな
措置を講じよう、こういうふうに
考えておるわけであります。
さらに現在こういう状態でありますから、えさに困るというような状態も起こると思うのであります。そういう場合におきましては、
政府の手持ちのふすまを、相当量
政府が持っておりますから、こういう
政府手持ちのふすまをできるだけ迅速に量も多く、これは払い下げをして参ろう。
それから食べる麦に困るというような御
意見もあるわけでありますが、これは食べる麦そのものがないのではありません。これは精麦を相当量いたしまして、それぞれ流通をいたしておるのでありますから、これはひとつ、その方面で入手をしていただきたい。麦がとれなかったから、去年の麦を各
農家に払い下げるなどということは、これはちょっと問題になると思うのであります。だから、出回っておる麦をひとつできるだけ購入をしていただく。それがない場合におきましては、その系統に従いまして、さらに精麦の量をふやす、こういう方針で参りたい、こういうふうに
考えておる次第でございます。
その他、いろいろ技術的な指導等も、それぞれやっておるわけであります。これは、今回の
災害に関連いたしまして、幸いに地方農政局の設置をお認めを願いまして、御
承知のようにすでにこれを現実に設置をいたしました関係上、今回の
災害におきましては、少なくとも十日くらいは早くこの
災害をキャッチすることができる。そうしてまた、今の技術指導とか
救済の
手段というようなものも、従来ならば、一々文書によって、これを各府県に通達するというようなことになるのでありまするが、今回は、文書が届きます前に、地方農政局に通達を口頭をもっていたしまして、農政局は、それぞれ
被害各府県に
職員を派遣いたしておりますから、それらの
職員から県の関係方面に、それぞれ指導をいたしておるようなわけでありまして、本年は例年になく迅速に、そういうような手はずが地方に届いておるのであります。これはもう全く、皆さん方の御協力をいただきまして、地方農政局を設置したたまものであろうと喜んでおるようなわけであります。
その他、いろいろの御
要望もあることを
承知いたしておりますが、これらにつきましては、それぞれ迅速に方針をきめまして、
救済の
手段を講じたい、こういうふうに
考えておる次第であります。