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1963-03-28 第43回国会 参議院 農林水産委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年三月二十八日(木曜日)    午前十時三十八分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     櫻井 志郎君    理事            青田源太郎君            仲原 善一君            渡辺 勘吉君            北條 雋八君            森 八三一君    委員            井川 伊平君            植垣弥一郎君            岡村文四郎君            梶原 茂嘉君            木島 義夫君            中野 文門君            温水 三郎君            野知 浩之君            藤野 繁雄君            堀本 宜実君            山崎  斉君            大森 創造君            矢山 有作君            安田 敏雄君            牛田  寛君            天田 勝正君   政府委員    農林政務次官  大谷 贇雄君    農林大臣官房長 林田悠紀夫君    水産庁長官   庄野一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    水産庁漁港部長 瀬尾 五一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○漁港法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○漁港法第十七条第三項の規定基づ  き、漁港整備計画変更について承  認を求めるの件(内閣提出衆議院  送付)     —————————————
  2. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) ただいまから委員会を開きます。  漁港法の一部を改正する法律案及び漁港法第十七条第三項の規定基づき、漁港整備計画変更について承認を求めるの件を一括議題といたします。質疑のある方は、順次御発言願います。
  3. 大森創造

    大森創造君 この、いわば第三次の漁港修築計画というものを立てられたわけですが、一千億というのは、事業費総体が一千億ですね。
  4. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 第三次の漁業計画は三十八年度からおおむね八年間計画でございまして、その間に三百八十港を整備いたしまする三百八十港の事業費総体が一千億、こういうことに相なっております。
  5. 大森創造

    大森創造君 そうしますというと、内容を見まするというと、その三百八十港の一千億の事業費のほかに、局部改良改修というものがあって、百五十億と二百五十億を予定しておるということですが、これも八年間ですな。
  6. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 整備計画基づきまする改修計画が向こう八年間に一千億、事業費といたしまして。それから予算措置で行ないまする改修計画、これはおおむね八年間ということで、対象は約五百港でございますが、そのうち、事の軽重、緩急度合いを見ながら、八年間に四百五十港程度改修計画達成する、そういうことで、その事業費が二百五十億。それから局部改良はその下の段階におきまして、防災とか補修とか、そういった局部的な改良工事でございますが、そういったものが、やはりおおむね八年間で百五十億、総体漁港関係整備をいたしまする分が千四百億、これが大体八年間事業費でございます。
  7. 大森創造

    大森創造君 そうすると千四百億がほぼ八年間予算規模であるということなんだけれども、このうちで国庫補助と称するもの、国庫から出る金、これはどのくらいありますか。
  8. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 改修計画で、一千億の事業費におきまする国費負担分がおおむね六百七十億、こういうことに相なっております。それから改修計画でございますが、二百五十億の事業費に見合いまする国庫負担分は、二百五十億の事業費におきまする国庫負担分が百五十六億程度に相なります。それから局部改良の百五十億に見合います分が約六十億程度に相なる、こういうことにいたしております。
  9. 大森創造

    大森創造君 そうすると、大体今のやつを通算すると八百八十六億とこういうことになる。それで、私がお伺いしたいのは、これは所期のとおりできましょうか。私は今度の法案については異議がないし、港を整備拡充するということは、漁業情勢の変転に伴って急速にやらなければならぬ。第一次、第二次と、今度、そして、第三次ということになると、非常だ漁業情勢が違ってくるし、今後も違ってくるということは予想されますから、八百八十六億では足りないだろうと思うのだが、しかし、最小限度八百八十六億という金は消化する。国で出せば地元のほうでも出すのですから当然。予算を確保する事業実施の見通しはございますか。
  10. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 向こうおおむね八年間事業費千四百億、これに相応しますものが、約八百億程度になるわけでございます。これにつきましては、われわれといたしまして、できるだけの努力をして、毎年の予算において、これを確保していく、こういうことに相なるわけでございます。それで変更前の現行の第二次整備計画は、総事業費が五百五十億でございまして、三十七年度までの達成率が、国費の部分で、大体七一%達成いたしております。これは毎年努力いたして参った次第でございますけれども、そういった成績になっていることは遺憾に存ずるのでございますが、そういう例にかんがみましても、今後八年間、毎年の予算計上におきまして最大の努力をいたして、千四百億の事業達成せられるようわれわれとしては努力したいとこういうふうに考えているわけであります。
  11. 大森創造

    大森創造君 三十年から三十七年の計画予算規模が五百五十億で、国費の消化が七一%ということですが、それに伴う事業進捗率というのは同じく七一%ですか。
  12. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) そのとおりでございます。
  13. 大森創造

    大森創造君 そうしますと、五百五十億全部消化するというと、一〇〇%ということになる、そういう意味ですか。
  14. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) お説のとおりでございます。
  15. 大森創造

    大森創造君 そうすると、過去の実績が。これは三十年から三十七年度の八年間で七一%しか国庫補助を消化しないし、事業もそれに伴う七一%しかやらないということにかんがみて、今後の計画あぶないでしょうな。大蔵省とどういうことになりますか。
  16. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) この八年間事業規模をきめまするについては、昨年の予算期からことしにかけまして大蔵とずいぶん慎重に審査をいたしまして、これにつきましてはわれわれとして達成見込みがあるというところで修築計画千億、改修計画二百五十億、局部改良百五十億、こういうことにしたわけでございます。その第二次整備計画におきまする修築計画の大体の年間伸び率が約一四%程度になっておるわけでございます。今回の第三次の整備計画基づきまする修築計画及び改修計画等をきめまして、これを年間に伸ばしていくということになりますと、一七%程度伸び率になるわけです。それでこれは第二次整備計画におきましても局部改良を入れると一六%程度伸びておるわけでございます。われわれといたしまして一七%程度ということでわれわれはもう少し伸ばしたい。こういうことで予算事業規模を確定いたします場合に大蔵と折衝したわけでございますが、やはり達成見込みの十分なところということで、一七%程度伸び率でこれをこなしていく。こういうことに相なるわけでございまして、われわれといたしましては予算全体の規模伸び率等から考えまして、当然これは消化可能、こういうふうに考えております。
  17. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 今の問題に関連して伺いますが、マクロ的に見て現状漁港という実態からいたしまして、あるべき姿というものが当然想定される。そういう望ましい将来の姿というものに対するこの第三次の漁港整備計画というものは、そういう望ましい将来のあるべき漁港の姿というものに対して八カ年を目途とする計画は、どこら辺までを目途として総体予算の中で三十八年度をスタートされるのですか。そう点を総括的にまず関連してお伺いいたします。
  18. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 第三次の整備計画計画いたしまして、その計画方針全国指定漁港がただいまのところは二千七百五十一港ございます。そのうち第二次整備計画では六百四港を予定して整備計画を立てて参ったわけでございますが、先ほど申しますようにその達成率は七一%、そういうことになっております。そういう三十七年におきまする第二次整備計画達成状況を基礎にいたしまして、今後八年間水産業がどういうふうに発展するか、こういったことを勘案いたしまして計画を立てたわけでございます。それでこの漁港わが国水産業根幹をなすものでございまして、そういうわが国水産業根幹をなす度合いというものをよく考えたわけでございますが、そういう根幹度合い、あるいは現状におきまする漁港施設不足度合いがどういうふうになっているか、そういうものをもう少し緩和しなくちゃならぬ、不足度合いがどういうふうになっているか、あるいは今後八年間に一千億、修築事業ならば一千億投資いたした場合に、その経済効果がどういうふうになるか、その点最も経済効果の多い漁港をとる。それから大体修築計画にのっけるものにつきましては、わが国水産業根幹的なものということで非常に大規模なものだということで、一港当たりの事業費が少なくとも八千万円以上になるもの、こういった点、それからやはり地方財政負担等考えて、マクロ的に漁港整備計画を立てたわけでございます。それで漁港修築度合いということにつきましては、御承知のように水産業が沿岸から沖合い沖合いから遠洋国際漁業、こういうふうに数年間非常に大きく伸びているわけでございますが、そういった点を反映いたしまして、漁船勢力も非常に大型化してきている。漁船トン数が非常に大きくなるし、また従来の改造される漁船も大きなものが建造される。百トン以上が非常に大きく伸びてきている。そういった漁船勢力の将来の動向、そういったものを考えながら、そうして遠洋なり沖合いなりからの水揚高の集中する漁港、そういったものを考えて第三次計画を立てたわけでございます。そういう意味におきまして非常に重点的にやるということで、第二次整備計画が六百四港を予定しておったわけでございますが、第三次計画におきましてはもっと重点的に、そうして緊要な漁港から整備していくということで三百八十港、こういうことにしぼって参ったわけでございまして、そういう点から緊要度の多少落ちてくるといったようなものにつきましては、改修計画でこれを整備していく、こういうふうな考え方で、整備計画による修築計画、それから改修計画というものを立てたわけでございます。
  19. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 私の質問に対して、まだ的確な御答弁が得られないのですが、私の伺うのは、マクロ的に見て将来あるべき漁港の姿というものを想定した場合、今度の第三次の漁港整備計画なるものが一体この年次を終了した場合には、そのあるべき姿に対する充足は、どの程度目途として第三次計画を立てられておるのかということを伺っておるわけですから、その質問にお答えを願いたいわけです。
  20. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 必要とする漁港整備というものにつきまして、現在二千七百五十一港につきまして、第二次整備計画最終年次において、大体三〇%程度整備されたとわれわれは推計いたしております。それでこれを一千四百億の事業費を向こう八年間に投下して、四十五年当時におきます必要とする漁港施設というものを想定した場合に、約五〇%程度達成される、こういうふうに考えております。
  21. 大森創造

    大森創造君 その三〇%、五〇%を、達成されるということは、どういうことなんですか。指定港湾が二千七百五十一あって、そのうちの三〇%と五〇%に相当する港が完全に完成をするという意味なんですか。
  22. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) これは漁港施設にも、基本施設として外郭施設とか、泊地施設とか、係留施設とか、そういった基本施設もあり、それから機能施設として陸上施設があるわけでございますが、そういったものが機能的な点から考えて大体五〇%程度漁港としての機能達成の上において充足される、こういうふうに申し上げたわけでございまして、岸壁とか、そういうものは予定されたものは、やはり八年間整備するわけでございますが、なおやはり漁港整備傾向というものは、四十五年において相当上がってくるだろうと思いまして、そういうものはさらにこれを継ぎ足して伸ばしていくとか、あるいは水路につきましても、漁船のその喫水が深くなれば浚渫するというような点はなお残るかと思います。機能的な点から見て大体五〇%程度達成される、こういうふうに考えたわけでございます。
  23. 大森創造

    大森創造君 そうすると、その御答弁の限りにおいてわかりましたが、そういう基幹的な施設は大体できる。しかし機能的な問題、機能的な施設などにつきまして、だんだん国の手を伸ばさなければならぬということになると思う。公共的な施設であるが、しかしまだまだ補助の手が及ばない面もあると思うのでありますが、施設の問題について、さらにそのワクをふやしていくという方向を必然的にとるということになりますが、さしあたりその機能施設なるものを、港がだんだん充足されてくるというと、ここはこうやりたい、しかし地元だけにまかしておいたのではできないだろうということで、総ワクが八百八十六億ということでございますが、それより以上に予算も大きく、ワクを大きく取っていく努力を、年々する必要があると思うのです、これでいいということはないのですから。さしあたり今お話しの施設のうちで、こういうものはここへ基幹的な施設については補助をしているけれども、機能的な施設についても、こういうものはやるべきであるという、そういう目算でもありますか。
  24. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 私の説明が多少不備で誤解を招いたかと思いますが、ただいま五〇%程度達成される、こう言ったのは、港湾としてその効用を発揮する度合いが五〇%、それを機能的とこう申したわけでございまして、港湾施設の中におきます基本施設機能施設がどうだと、こういう意味ではなしに、港湾としての機能が発揮されるのが大体必要とする四十五年におきまする港湾施設のうちの五〇%程度港湾効用が発揮されるように、基本施設並びに機能施設を千四百億をもって整備をしていく、こういう説明に相なると思います。それでただいまのところは、御指摘のように基本施設については、法律補助率を明確にして、大体根幹となる港湾工事でございますので、これを先行的にやる。それができましてから機能施設というものを、陸上施設が中心になるわけでございますが、港湾効用発揮の上に基本施設をやって、さらに港湾効用発揮の上に必要な機能施設という陸上施設整備するわけでございます。その補助率は政令によるわけでございますが、これは両々相待って初めて港湾効用が発揮されるわけでございまして、これは八年間基本施設に相応する機能施設整備していく、こういうことに相なります。それで先ほど申しましたように、大体あるべき姿の五〇%というのは、港湾効用発揮という面において五〇%程度充足度達成される、こういうふうに申し上げます。
  25. 大森創造

    大森創造君 それでわかりましたが、そうすると第四次計画、第五次計画というようなものも当然考えられるわけでありましょうから、そうするとその年々漁業情勢が違ってくるということを考えてみた場合には、漁港法というものを全面的にこの際再検討をするということも考えていいだろうと思いますが、いかがでしょうか。
  26. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 先ほど申しましたように、日本の水産業は非常に躍進的な水揚高を示しております。三十六年度においては六百七十万トン、三十七年度は七百万トンをこす程度、まだ十分な統計が出ておりませんが、七百万トンをこす。それから四十五年度におきましては需給の面から見て八百五十万トン程度の需要を想定されるわけでございますが、それに相当をする水揚げをなさなくちゃならないと、こういうことに相なろうかと存じます。それから先ほど申しますように、漁船の船型の推移というものも非常に大型化し、また総トン数もふえてきている。こういう面の一応の動向をマクロ的に考えて、八年計画を立てたわけでございますが、そういう計画につきまして、なお水産事情変更というようなことにつきまして、こういう場合については改修計画予算弾力的運用によって、そういう点を漸次補助していく、いういった考え整備計画による修築事業に並んで、三十八年度から改修事業というものを新しく予算化したわけでございますが、これについては大体われわれとしても過去の推移を見ながら将来の八年間の推定をいたしたわけでございまして、今いった修築事業改修事業あるいはそれに補修的な局部事業というものを合わせ行ないながら、大体水産業推移に即応し得るというふうに考えておるわけでございます。なお、御指摘のように漁港法の問題でございますが、これにつきましては衆議院においてもいろいろ御指摘もあったわけでございまして、全面的にこの点についてはいろいろ制度的な問題もあり、運用的な面からも見て検討を要するとわれわれは考えておるわけであります。
  27. 大森創造

    大森創造君 次に移りますが、今度の法律によると、重点的に八つの港を指定して、特別第三種港ですか、そういうものを指定してこれに重点を置くということのようです。補助率を一割上げる、補助率を一割上げるというと、地元負担がそれだけ軽減されることになるのだが、私の考えでは地元の漁協とか市町村を通じて漁民負担が軽減されることが望ましいと思う。漁民は貧乏ですから。そこでその一割アップということでございますが、その前にお聞きしたいのは、第一種、第二種、第三種、第四種ということになるというと、地元負担状況もまちまちでございましょうから、私は申し上げませんが、ひとつモデルとして、サンプルとして、八戸等二つ三つどういう負担の工合になっているのか、これをお示しいただきたい。地元負担はどういうことで、県、市町村組合員がどういう負担率になっているか、それを御説明いただきたい。
  28. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 特定三種というのは全国入港ございます。これは第二次現行整備計画におきましても入港でございまして、入港をそのまま、第三次の今回御承認を受けておりまする整備計画として、入港特定三種漁港として整備していく、こういうことに相なるわけでございます。それで入港のうち福岡博多漁港が例外でございますが、これは国の負担分福岡市の負担事業を遂行いたしております。その他の七港につきましては、国の負担と県の負担とそれから県と同額の市町村負担、こういうことで、大体県と市町村が半々ということで事業が実施されております。特定三種漁港は、それは国際的な漁港でもあり、また遠洋漁業水揚基地になり、あるいは水揚港にもなり、あるいはその利用度全国的なものでございまして、一県だけでこれを負担するということについては、いろいろ従来問題があったわけでございまして、そういう利用の面から、やはり非常に広い範囲に公共的に利用されている、そういう面から地元負担を軽減していくということで一割アップをしたわけでございます。なおその他の漁港等につきましては、据え置いたわけでございますが、今後補助率問題等は十分検討して参りたい、こういうふうに考えます。
  29. 大森創造

    大森創造君 この特定三種港というのは八つ、これを特定ということで指定したのはいつなんですか。
  30. 瀬尾五一

    説明員瀬尾五一君) 昭和三十五年でございます。
  31. 大森創造

    大森創造君 そうすると、お伺いしますが、三十五年から今までは今度の新しい法律で一割アップということにしたのだが、それまでは名前だけだったのですか。何も一般の第三種港と変わりなく、名前だけ特定ということにしていたわけですか。
  32. 瀬尾五一

    説明員瀬尾五一君) 特定の第三種港の制度が昭和三十五年にできたわけでございますが、その第三種漁港との差異は、補助率は同じでございまして、変わりはないわけでございます。区別をされているところは、特定三種漁港修築事業を実施します場合に、国が、農林大臣漁港修築計画を立てまして、それに基づいて施工者施行許可を得て事業を実施する、こういうことになっております。それから第三種漁港修築事業は、修築計画施工者が立てて、そうして施工許可を得て、この事業を実施する。したがいましてこの一割アップする前の第三種漁港特定三種漁港との差異と申しますのは、修築計画施行者が立てる場合、それから特定三種農林大臣が立てる、これだけの差異があったわけでございます。
  33. 大森創造

    大森創造君 そうすると、一割アップということなんだが、一割に相当する予算額は何ぼなんです。
  34. 瀬尾五一

    説明員瀬尾五一君) 約一千億の漁港整備計画の中におきまして、特定三種漁港の占める事業費は約百三十七億円に相なります。したがいまして一割違いますと十三億七千万円差が生ずる、こういうことに相なるわけでございます。
  35. 大森創造

    大森創造君 それで、まあ特定三種港というものが今までは五割補助だったのだから、あとの五割は県と地元が二割五分ずつということになるが、今度一割アップということになると、これは地元負担が一割減ると、これはまあ各公共団体自主性にまかせなければならぬと思うのだけれども、それは一割国庫補助を上げたんだから、その地元負担を軽くするようにしたらどうですか。これは非常に公共的な性格が強い、一つの県でなくして全国的な規模であるし、遠洋漁業、大規模漁業をやっているところなんだから、公共性度合いは強いのだから、地元負担をそのまま一割下げる、県でなくて地元のほうを下げる、こういう行政的な指導などはできないものですか。
  36. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 国の負担あるいは補助の残の地元負担の問題でございます。これは先ほども申しましたように、地元地方公共団体、県と市町村等が分担する、こういうことに相なっております。これはやはりその地方財政状況により、またその県におきまする漁港が非常に多いとか少ないとか、そういった漁港の集中の度合い等によりまして、県の負担も非常に変わってくるかと思います。この点はわれわれといたしましてもできるだけ従来からやっておりますが、県において負担するように、こういうふうな指導はいたしております。今後ともそういう指導をやりたいと思います。
  37. 大森創造

    大森創造君 私は全般的な資料の持ち合わせがないからわかりませんが、県によっては公選知事だからあまり金を出したくないと、それで地元のほうの負担をかぶせるという傾向があると思うのです。だから私は入港については博多を除いては二割五分、二割五分ということで従来きっちりいっているのですね、これは。
  38. 瀬尾五一

    説明員瀬尾五一君) はいそうです。
  39. 大森創造

    大森創造君 それであれば、今度一割アップしたことによっての恩恵を地元に与えるように行政的指導をしてほしい。行政的指導をすることは何も差しつかえないでしょう。これはいかがでしょうか。
  40. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 行政的にそういう指導は差しつかえないと思います。ただこれを義務的に採択要件とかそういうふうにする場合に問題が出てこようかと思いますが、できるだけそういう国の規模として、県のほうが財政力市町村に比べて大きいわけでございますから、財政力負担の能力に応じまして、市町村等も軽減するよう指導しなければならないと考えております。
  41. 大森創造

    大森創造君 一番大きい港を八つつかまえて、そしてひとつ重点的にやろうということなんで、これも私は時世に合った施策だろうとは思いますけれども、その意味からいっても、どだい漁港というものが公共性あるものですし、一番大きい港、ビッグ・エイトはこれは大体国の責任でやるべきだと思うのです、ほんとうは。少なくとも六割なんていうことをいわないで、従来からの漁業者のほうで要望していたように、七割五分ぐらいの線を補助してもらいたいのだけれども、そういう予算要求をされたのですか、大蔵省に。
  42. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 漁港整備あるいは国の補助率、あるいは負担率の問題につきましては、かねてから国の補助率負担率アップは、われわれも大蔵省と折衝して参っております。非常に補助率アップというのは、一般の公共事業とも関連いたしておりまして、非常にむずかしい問題でございますが、特定三種につきましては、先ほど申しましたような理由で一割アップというのが三十八年度から認められるということに相なったわけでございますが、当初農林省といたしましては、特定三種につきましては七割五分といった要求も、大蔵と折衝したことはございますが、これは六割ということに相なったわけでございます。今後の問題といたしまして、やはり地方の沿岸の中核的な漁港と相なる第一種あるいは第二種漁港、こういったものにつきましても、非常にこれは、大体漁港の監督が市町村、こういったようなことに相なるわけでございまして、施行者も大体市町村が主体になる、こういう点も考えまして、財政負担能力が非常に弱い市町村が多いわけでございますので、一種、二種等につきましても、今後の問題としては補助率アップを十分検討して参る、こういうふうに考えております。
  43. 大森創造

    大森創造君 今の長官の説明でわかりましたけれども、そうしますと、今度は六割ということで落ちついたということであるが、これは非常に公共的いはやがては全額というような方向を目指さなければならないと思う。同時に八つだけ上げたんではいかないので、今のお話しのように、一種、二種を上げてもらはなければならない。これは来年あたりやってくれないですか。上のほうばかりやらず、下のほうも一と二を上げてもらいたい。これは相当努力してもらわなければ、わが茨城県などは一と二のほうばかり多い、一種二種は地元の零細漁民が多いのだから、漁獲高が伸びて遠洋漁業が盛んになって、漁船は大型化したといっても、それは大きいところは、そうでしょうけれども、一種、二種というのは、必然的に、もうどうにも条件上いたしかたなくて一種二種になって、そうして零細漁民が漁業を営んでおるということですから、これは補助率というものを一種、二種のほうをやってやらなければならない、あるいは起債もめんどうを見てやらなければ片手落ちになると思う。ビッグ・エイトをやることはいいけれども、片一方のかさ上げについてはそれ以上努力してもらわなければ、事実上この八つのところは伸びていくでしょう、選択的拡大で、いいところはうんと伸びるでしょうが、零細な漁民は、半農半漁でやっているところは伸びられないでしょう。これは切り捨てでなくても、とにかく伸びたいところは、伸びたくても伸びられない条件があるのだから、どうも八つだけ五割を六割にするということの範囲を今度は反動的に農業基本法のごとく、一種と二種なりというものは日の当たらない場所に置かれておって、この今の政治の姿勢というものは、どうもそういうところが弱いような気がする。で、私は一種とか二種とかいうところへしょっちゅう行っておりますというと、その御主人は朝から晩まで海に出て仕事をしている、塩焼けして、そうして目もかすんでくるし、顔も黒くなってそうして世間のことも何も知らないで、あすこは税務署の仕事は、何でもおかみさんがやっている。ここは政治力なんかない、一種二種はほんとうに届かないのですから、一種、二種というものについてひとつ格別のめんどうをみていただいて考えていただきたいと思う。今後の方向として政治としてこれはやらなければだめです、漏れてしまう。それについていかがですか。政治はそういうところに力をうんと入れるものです。
  44. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 漁港の国の補助率あるいは負担率は、基本施設漁港法の二十条に制定されているわけでございます。それでかねてから、これは第一次整備計画のときにも、第二次整備計画のときからも、負担率問題等についても問題があり、いろいろ折衝して、なかなか一般のほうは、あるいは公共事業との関連におきまして実現しなかったわけでございます。幸いにして三十八年度から特定三種に相なるということに、こういうことが認められたわけでございます。われわれといたしましては、今後御指摘のような第一種、第二種といったようなものが地元の水産の発展、そうして漁村における経済力の発展の中核になりますように、漁港整備ということについての促進をはかる意味において、御指摘のような点は努力して参りたい、かように思います。
  45. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 ただいまの問題に関連してお伺いいたしますが、沿岸漁業の構造改善事業として漁場の改良造成が五割補助で、融資が三分五厘でスタートすることに農林漁業金融公庫法の一部改正が昨日この委員会を通過して取り上げになっておるわけですが、そういう点から見ましても、今、大森委員指摘したように、第一種、第二種、この区別すらわれわれから見ればかなり錯綜して、もっとこの種類別類型を整理する必要があると思うんですが、その点はしばらくおいて、第一種、第二種のような零細な沿岸漁業の漁港修築というものに対して、これを百分の四十で従来のとおり据え置いておく。しかも沿岸漁業の構造改善に対しては、繰り返しますけれども、漁場の改良造成に対して五割補助が現に前提として出されておる。となれば、この構造改善事業とタイアップして、特定の第三種を百分の五十を百分の六十に予算基準を引き上げると同時に、これは今後善処をするのではなくして、三十八年度からやはり第一種、第二種についても百分の四十を少なくとも百分の五十構造改善事業補助率と同等にこれを並行的に取り上げる措置が必要だと思うんですが、なぜ、それが今後の措置に待たなければならないか、この点をお答え願いたい。
  46. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 沿岸の構造改善対策事業は、三十七年から実施いたしております。それにつきましては、今御指摘のような漁場改良、これはつきいそとか波型とかございますし、また三十八年度から公共事業化いたしました大型漁礁といったものも実施することになっております。それからあわせて養殖施設とか、そういう漁業の近代化の施設等も整備し、それに要しまする事業費補助並びに単独融資事業というものをここで国から助成する、援助する、こういうことになっておりまして、今御指摘のように単独融資につきましては、低利の三分五厘の融資の道が三十八年度から開かれる、こういうことに相なっております。  そこで、漁港整備の関係でございますが、これは御指摘のように第一種、第二種といったものは、第一種におきましては四割を国が補助するということで、漁場改良等と一割の差があるわけでございまして、御指摘のように一割の差というものについてなぜ上げないかと、こういうことに相なっております。で、われわれといたしまして、この漁港整備ということにつきまして、構造改善の中核をなすものでございますので、できるだけこれは上げて参りたい、こういうふうに思って昨年の予算査定中におきましても、そういった折衝は一応やったわけでございますけれども、何分、従来からのいきさつもございまして、特定三種をまず優先的にやろうと、こういうようなことで特定三種のほうから補助率アップを実施したわけでございます。われわれといたしましては、今後第一極、第二種といったような沿岸振興の中核をなす漁港についても努力して参りたい、こういうふうに考えます。
  47. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 今度の第三次計画というものをお進めになる基本的な態度とでも申しますか、そういう点をこの際ここの質疑に関連してお伺いをいたしたいのでありますが、実態は沿岸の零細漁業が極度の貧困に打ちひしがれておる、その従事者はまた人間以下の生活環境に置かれておるという実態は、長官御承知のとおりであります。したがって、従来立てられましたこの整備計画が、さらにそういう格差が拡大しつつある実態に即応して、第三次計画は、前向きに政策的にこれらの問題を克服するという方向で基本方針が立てられて第三次計画がスタートをされたのであるか。あるいは従来の計画のさらに上積みとして出てきているのか。それらの選択の基準というものが従来の延長として考えられるのか。私はどうしても沿岸漁業のこれらの零細な漁業従事者の立場を考えると、ここでかなり角度を変えて抜本的な施策の中で、漁港整備というものも国の大きな補助のもとにスタートを切るべきものだと期待しておったのでありますが、そういう点についての基本的なお考えを総括的な問題としてお聞かせを願いたいと思います。
  48. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 第三次の漁港整備計画を立てますにつきましては、将来におきまする先ほど申しましたように水産業の発展というものの動向をマクロ的によく考え勘案してそうして立てたわけでございます。特に一種、二種といったような、地元あるいは県内一般あるいは多少の府県にわたるといったような漁港整備については、今御指摘のように沿岸構造改善対策を立てているわけでございますから、そういう構造改善計画等とよく見合いまして、そういう構造改善をやります上におきまする中核的な漁港というものを、十分検討打ち合わせてそういったところから重点的に整備していく。そうしてこの漁港を中核にいたしまして、沿岸漁業の構造改善を進めて沿岸の振興をはかっていきたい。こういう考えで第三次の整備計画を樹立した次第でございます。
  49. 大森創造

    大森創造君 それでは別な問題についてお尋ねいたしますが、地方起債の問題で、自治省が昭和三十三年度以降に漁港関係事業の起債を一般単独事業として取り扱うこととした。それまではこの港湾と同じような扱いをしていたのでございますが、これはどうしてこういうことに自治省がやったのでございますか。これについて非常に地方公共団体は不便を感じておりますから、これについては水産庁のほうにお考えがございますか。
  50. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 昭和三十三年までは漁港につきましても一般補助起債、こういうことに相なっておったわけでございます。その当時、地方の地方交付税でございますか、地方交付税の改訂がございまして、そういう面におきまする地方交付税の増額があったわけでございまして、そういう機会にわれわれとしては非常に不賛意でございましたが、一般の補助の起債から一般単独の事業起債に移ったわけでございます。その後やはり御指摘のように、いろいろ地元の起債の面におきまして一般補助事業というように起債の事業にしたほうが非常に要望があるわけでございまして、われわれといたしましても、地元の財政負担力等から見て、やはり一般補助債にしたほうがいいと思いまして、ここ二、三年来自治省と交渉いたしているわけでございますが、まだその実現は見ておりません。われわれといたしましては、現段階においては、単独債につきましてその要望のできるだけの充足をはかるという意味におきまして、地方と連絡をとって自治省に単独債の中において起算が可能になるように密接なる連絡をとってやっておるわけでございます。今後の問題といたしまして、やはり一般港湾と同じように一般補助債にしたい、こういうふうな考え方で折衝したいと思っております。
  51. 大森創造

    大森創造君 この問題は、午後からどなたかお取り上げ願いたいと思いまするし、それから今後の問題になると思いますが、この漁港関係について私は非常に地元負担というものを軽減しなければいかぬという考えを持っておりますので、これはあの漁港関係の起債についていえば、昭和三十三年度から明らかに後退したことになると思うのです。この手続の問題もあるし、それから計画性もないということなので、これは自治省はどういう御事情か知らぬけれども、この漁港修築関係の地方負担の軽減という意味からいうても、これは起債の点はしっかり確保してやらなければいかぬと思うのです。これはひとつ国会のほうでも、そのことを自治省のほうへ要求いたしますが、同時に水産庁のほうでも、ひとつ漁業者の立場に立って、地方公共団体負担額の大部分が起債であるということでございますから、これをひとつ御努力願いたいと思います。  その次に、具体的な漁港機能施設整備国庫補助の問題でございますが、全般的に立ちおくれているので、すでに補助の対象になっている輸送施設とか、公共施設用地とか、漁港施設以外の機能施設について国庫補助を実施するように、補助対象をひとつ拡大してもらいたいということでございますが、何かお考えになっていることがございますか。公共的な施設であるということについては、ここまでは補助するが、これから先は認めないということは、もっぱら予算上の都合だろうと思いますが、何か具体的にせめてこれとこれとは補助の対象にしたいというお考えでもございますか。
  52. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) ただいまのところは、機能施設につきましては、輸送施設または漁港施設の用地、これは公共施設用地に限っておるわけでございますが、それにつきまして国が補助しておるわけでございます。われわれといたしまして、この機能施設というものが整備されまして、初めて基本施設工事したその効用が発揮されるわけでございます。この範囲の拡大というものについては、この漁港法を今後十分検討する方針でございますので、その場合に機能施設のどの部分からさらに補助対象にしていくかという点について十分検討したい、こういうふうに考えております。
  53. 大森創造

    大森創造君 それからその漁港を維持していくためには、浚渫ということが必要になって参ります。現在全国的に浚渫ということは、これはどういうことになっておるのですか。業者がやっておるのですか。
  54. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 基本施設といたしまして、漁船が大型化してくる場合、あるいは河口等の漁港で土砂が流入いたしてくる、こういった場合におきます土砂の排除ということで、基本施設の中でそういう浚渫等は行なっておるわけでございまして、これは内地におきましては、工事主体が施行者市町村あるいは県、こういうことになっております。その県あるいは市町村において事業を実施する場合に下請に出す、こういった業者に下請に出す、こういったように承知いたしております。なお、北海道につきましては三種、四種は国の直轄事業でございますので、因みずからが実施いたしております。
  55. 大森創造

    大森創造君 これは県によっては違うと思いますけれども、浚渫ということは、常時、港の維持のために必要なことだろうと思いますので、今のお話しのような市町村や県が事業主体であるから、そして業者に下請をさせるという形よりも、私は県によっては浚渫船を県独自で持つというような形が必要だと思うのです。それについてはいかにお考えですか。
  56. 瀬尾五一

    説明員瀬尾五一君) この漁港の泊地とかあるいは航路等の浚渫は、そこの漁港の管理者であります都道府県が管理者でありますと都道府県、市町村が管理者でありますと、市町村がその浚渫を行ないまして、それに対しまして必要な補助金を、出るものは国のほうで補助金を出して工事を実施しておるわけでございますが、今先生の言われました浚渫船の事柄につきましては、従来昭和二十三、四年ごろまでは作業船整備補助というものがございまして、作業船のそういう浚渫船というようなものを作るために補助が出ておった時代がございますが、その後各公共団体等におきまして、公共団体がそういう作業船を持っておりますと、やはり船員、乗組員等の人件費等もかかりますし、年間で浚渫するその県内の適正土量と申しますか、そういうような関係もございまして、あるところでは浚渫船を持ったけれども持てあますというようなところも二、三ございまして、そういう浚渫船につきましては、これは水産庁の漁港関係だけではございませんが、運輸省の港湾の関係も同様でございますが、作業船というものに対しましては、補助を出して整備をするということは、その後やめておるわけでございます。しかしながら各県におきまして適正な浚渫土量も年間あるというようなところで、そういう浚渫船を保持してやっていけるというところでは、単独でそういう浚渫船を作りまして、そして経済的に浚渫工事が安くあがるということになりますと、それでまあペイされると申しますか、成り立っていくので、そういう方向で浚渫船を作っておるところもあります。茨城県はたしか一昨年だったと思いますが、小型の浚渫船をそういう意味で作りまして、これは漁港工事ばかりではございませんが、他の浚渫工事にも合わせて使うということで進んでおるところもございます。
  57. 大森創造

    大森創造君 お話はわかりましたが、市町村はもちろん私は管理者であって市町村が浚渫船を備えるということについては、不経済な面も出てくると思いますが、昭和二十三年まで補助しておったことですから、全国的に見て県の段階で持てるようにして、そしてそれに対しては補助なりあるいは起債のワクを取ってやるというふうなことは、これはきめのこまかい行政じゃないかと思うのです、そのほうが。お伺いしますが、浚渫船というものを持っている県は、幾らくらいあるのですか。
  58. 瀬尾五一

    説明員瀬尾五一君) 大体漁港を持っておる県は、滋賀県も入れまして全国で三十九都道府県ございます。そのうち浚渫船を持っておりますのは、私今ここで正確な数字はございませんけれども、大体におきまして漁港の多い水産県におきましては、大体浚渫船を持っております。北海道も持っておりますし、それから青森、岩手、宮城、茨城も先ほど申しましたように持っております。それから静岡その他大体のところは隻数は多かれ少なかれ、多く漁港を持っているところは持っております。
  59. 大森創造

    大森創造君 その昭和二十三年以降の浚渫船が必要な県は整えているけれども、それに対して国のほうで、水産庁のほうではどういう面で見ていますか。
  60. 瀬尾五一

    説明員瀬尾五一君) 浚渫船の整備につきましては補助は出しておりませんが、ちょうど何といいますか、昭和二十四、五年ごろ京での工事の能力、まあ民間の業界の能力等も入れまして、その当時は非常に戦争中でいろんな建設機械の修理等もできない、こういうような状況もございまして、非常に民間も含めまして、工事能力が劣っておったわけでございます。しかしながら最近におきましては、建設業者のほうにおきましても浚渫船等を整備いたしまして、たいていの浚渫は一応間に合うという状況に相なっております。しかしながら、やはり小規模事業であって、請負工事にはなかなか合わないというようなところもございまして、そういうようなところで、県がぜひ持ちたいというような希望の強いもの等につきましては、私どものほうでも、自治省等ともいろいろ打ち合わせをいたしまして、そういう浚渫船が起債等によってできますように努力しております。しかしながら昭和二十三、四年に比べまして、最近の各府県の浚渫船の建造に対する要求というものはさほど、先ほど申し上げましたような状況で、他の民間建設業者におきましても浚渫船を持つようになりました関係上、以前ほどは強くない、こういう状況でございます。しかしながら、そういう要求の強いところにおきましては、起債等の確保に努力いたしまして、何とかそういうものができるようにいたしている次第でございます。
  61. 大森創造

    大森創造君 もう一つお伺いしますが、航路標識設置ですね。このほうの所管は、水産庁じゃなくて海上保安庁ということになっている。これで便宜を受けるのは、一般の船舶もさることながら零細な漁民漁船が多いと思うんです。そこで航路標識設置ということが、私は大事なことだろうと思います。人命尊重の立場からいっても大半なことだと思うんです。これが海上保安庁の所管でございますから、予算不足だということで、必ずしも漁業者の要望のようにできないということでありますが、これについては何かお考えがございますか。
  62. 瀬尾五一

    説明員瀬尾五一君) 御指摘のように漁港整備いたしましても、それを漁船が安全有効に利用しますためには航行補助施設、航路標識等が必要なわけでございますが、このことにつきましては、先ほどお話しのありましたように、所管は海上保安庁灯台部で所管いたしておりまして、私どもといたしましては、漁港がある程度整備されまして、どうしても灯台等をつけなければならない段階に至ります場合には、また漁港の方向等に暗礁等がございまして、そういう暗礁標識等をつけなければいけないというような場所におきましては、海上保安庁とも十分な連絡をとりまして、漁港の航路標識等につきましては、そういう設置ができるように連絡を、そのつど、たとえば、予算の、要求時期とか、あるいは予算が決定する時期とか、また特別な問題につきましては、特別に相談をする等のことをやりまして、十分打ち合わせをしている次第でございます。
  63. 大森創造

    大森創造君 問題は、海上保安庁の灯台部というところでやっているのだけれども、その海上保安庁の必要による灯台を作るという、代表的な灯台を作るということには手抜かりないと思うのだが、まだ大事なところで航路標識の設置の要望は非常に強いと思うのです。これは作ってやったほうがいいのであって、こういう航路標識なんというものは、これはただ予算不足ということではまずいと思う。だからあまり金もかからないことだから、これはひとつ、今のお話しのように、今後も海上保安庁のほうに連絡をして、そうして格別予算を出してもらうようにお願いいたしておきます。私はしろうとなんでありますが、水産庁長官は新任であるのに、どうしてどうしてなかなか御勉強でございまするし、向こうの部長さんも大まじめで御答弁されましたが笑声、私に限っては質問を以上で終わります。
  64. 天田勝正

    ○天田勝正君 このこまかい整備計画等につきましては、だいぶ御質問がありまして、いずれもけっこうな話だと思います。ところが、さて漁港修築し、あるいは改良し、それによって作業環境は整ったといたしましても、漁獲が上がるとか、また漁業が安定する、そういうわけには参らないと思います。そこで私順序は少し逆でありますけれども、ごく最近起きている問題について、まず質問いたしたいと思います。これは一昨日の新聞に一斉に出ましたから、水産庁長官のほうでは十分御承知になっていることだと思いますが、北洋におきまするオヒョウ漁につきまして、特に三角地帯というのですか、生息地帯、あすこにおいて日本の漁船は、すでに水産庁の許可を受けて出漁している、出漁といっていいかどうか、とにかく出動をしているが、今の日米加の漁業条約において、私どもは了解点に出達している、こういうふうに承知しておったわけでありますが、これは米加両国の漁業者は反対している。ただしアメリカのほうは、州政府においてはなかなかこれが承認したというところへはいっておりませんけれども、しかしケネディ大統領の裁断によって、日本の出漁も認める方向にいっている。しかるところ、カナダ国においてはなかなかさようにいっていない。そこでまあ、結果においてはすでに許可をしながら、出動しておっても農林省としては、その漁を取りやめるようにという、たしか無電か何か打ったはずでありますが、質問時間はそう長くありませんので、まずこれらの事情をひとつ詳細にお述べ願いたい。で、これが条約関係でありますから、一体条約はいつ批准されるのか、それまでは、こういう一方的な処置をやられても、どうにもやむを得ないことなのか。ときに、また、カナダ大使館と話されるか、あるいは在外公館を通じまして向こうの政府と話をされることについて、暫定的にでも漁ができるようにはならないものか、こういう諸点についてひとつお話し願いたいと思います。
  65. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 北太平洋におきまする漁業問題でございます。北太平洋の漁業につきましては、御承知のように日本とアメリカとカナダの三国条約によりましてこの取りきめがなされているわけでございます。それで大体ベーリング海それからアラスカ海、アラスカは、こういったところが漁場でございますが、日・米・加の三国条約の規制される水域というものは、西経百七十五度以東ということに相なっております。そこにおきまする条約の根幹をなすものは、いわゆる自発的抑止の原則ということによりまして、西経百七十五度以東におきますサケ、マスというものは、自発的抑止の原則を満たしておるということで、ただいま日本としては自発的に漁獲を抑止している、こういうことに相なっております。  それから条約の対象になっておりまするオヒョウにつきまししては、昨年の十一月の日・米・加の漁業委員会におきまして、この条約の規制区域におきまする東ベーリング海の、西経百七十五度以東の東ベーリング海におけるオヒョウにつきましては、いわゆる自発的抑止の三条件を満たしてないということで、委員会から各国、日本とアメリカとカナダにそういう自発的抑止の原則を充足してないから、これは削除すべきだ、こういうアブステンションが出されたわけでございまして、これを日本、アメリカ、カナダが受諾いたしまして、条約の附属書から東ベーリング海におけるオヒョウの自発的抑止の原則が削除される、そういうことになりまして、初めて日本はオヒョウが取れる、こういうことに相なるわけでございます。そこで、昨年十一月シアトルでそういう委員会において勧告がなされたわけでございまして、日本といたしましては、今年二月二十四日と思いますが、これを閣議決定して受諾を通告いたしました。  それから、アメリカは非常に漁期が真近になりまして、三月二十三日に大統領がこれに署名をして受諾をしたという通告に接しております。カナダは、御承知のように今年不信任案が通りまして解散して、ただいま管理内閣として選挙中でございまして、一方、カナダの太平洋岸におきまする漁民は、このアブステンションの原則を削除するということに非常に反対している。そういった事情もこれあり、われわれといたしまして再三カナダに早く受諾の通知、受諾をされるように、こういう要請をいたしておりますが、いまだに落ちない、こういう状態でございます。これで条約上はやはり三国全部が勧告を受諾したときに、初めて日本はオヒョウの漁獲ができる、こういうことに相成るわけでございまして、ただいまのところはまだカナダがこの受諾をしていない、こういう状態でございますので、アブステンションの原則はまだ削除されていない、こういう状態で日本といたしましては条約を忠実に守るという立場から、オヒョウの漁期は三月二十五日から始まるわけでございますが、従来どおりとらないように、こういう注意の措置をいたした次第でございます。で、このオヒョウのアブステンションの削除するという勧告が昨年の十一月シアトルで決定いたしまして、すぐ三国政府に委員会から通告いたしたわけでございますが、なおアブステンションの原則をはずすにつきましては、オヒョウの資源保持というものを考えなくちゃならぬということで、ことしの漁期に間に合うという想定のもとに、本年の二月東京におきまして日本とカナダとアメリカの委員が集まってオヒョウの、東ベーリング海におきまするオヒョウがアブステンションからはずれた場合におきまする共同保存措置につきまして審議をいたしまして、共同保存措置につきましても、各国政府に二月の終わりにしたわけでございます。それでわれわれといたしましては、当然三月二十五日の漁期前には、各国政府がこれを受諾して、本年から日本も漁獲には参加できる、こういう想定であったわけでございまするが、不幸にしてカナダの国内事情等もあり、いまだに落ちないということは、まことに遺憾に存じておるわけでございまして、この点については、外交チャンネルを通じましてカナダ政府にも再三要請している次第でございます。  なお、今後の見通しとして、四月の七日か八日に総選挙だそうでございますが、その後に相なるのじゃなかろうか、こういうふうにわれわれは考えておる次第でございます。
  66. 天田勝正

    ○天田勝正君 これをまず、私は次に申し上げる資料を提出しないから審議をしないと言うのじゃありませんけれども、この漁業条約は、もともと公海上の場所でありますから、われわれのほうから言うならば、かねがねどうも一方的な条約である、こういうことを申し上げておったわけでありますが、それはそれとしても、一たんきめられて、これが漁業慣行ができますると、カナダなりあるいはアラスカなりの漁民からすれば、習慣が権利を生じたような格好で、どうしても抑止条件というのが今後取り払われるということになれば、これは反対するのは無理ない。そこで私は、このことを目をもって明らかにするために、ひとつ三角地帯等が明らかになる図面をひとつ提示していただきたいと思うのです、各委員各位に。それで、申し上げますが、その昨年の漁業条約の交渉とは別に、この出漁期にあたりまして、先月東京で中間会議だかが開かれまして、制限つきでやっぱりわが国の出漁を認める、こういうことになったのではございませんか。
  67. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) ことしの二月、東京で中間会議を開きました。目的は昨年の十一月に東ベーリング海におきまするオヒョウをアブステンションから落とすという勧告に付随いたしまして、それがはずれて日本がオヒョウの漁獲に参加するという場合の三国間の共同オヒョウの保存措置をどうするか、こういう相談をいたしたわけでございます。で、二月の中間会議の当時は、まだ事務的な問題もあり、そのアブステンションの削除の勧告は、各国受諾に至っておりませんでしたが、二月の終わりに日本がまず第一に受諾いたした次第でございまして、アメリカもできるだけ早くということを中間会議に、カナダについてもできるだけ早くということを中間会議においても、各国から参っておられまする委員の中の政府代表の方には、強く要請したわけでございまして、その点は政府選出の委員も、帰国してそういう努力をすると確約されておったわけでございますが、今申しましたようなカナダの国内事情等もあってこれが落ちない、こういう段取りになっております。
  68. 天田勝正

    ○天田勝正君 まあ、問題のなさそうなところから確認していきますけれども、さっき私も述べましたし、あなたも述べられたアメリカの関係については、アラスカ漁民が反対しても、また州政府が反対をされておっても、ケネディ大統領の決定によってこれは批准される、このことはもう心配要らない、こういうふうに確認してよろしゅうございますか。
  69. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) アメリカにつきましては、十一月のアブステンション削除の勧告を受諾いたしたわけでございますから、日本とアメリカが今受諾いたしておりますが、これはもう一つの条約国のカナダが受諾して初めてアブステンション削除が発効するわけでございますが、カナダが受諾してないということで、アブステンション削除がまだ発効していない、こういうことでございます。
  70. 天田勝正

    ○天田勝正君 そこで問題は、三角地帯におけるオヒョウの捕獲でありますけれども、これは五千トンというのが制限漁獲量になっておって、したがって生体そのままの量だったら七千五百トン、あれは五千トンというのは頭を切ってしまったあとの計算をするから、七千五百トンでこれは頭打ちになるんだ、こういうことでしょう。そうであって、その五千トンを取るために、これはオリンピック方式で入るわけでありますから、しかるところ、今のところは、カナダ一国が受諾しておらなくて実際は発効いたさない、こういうところから、事実はカナダの船団も入るし、アメリカの船団も入って五千トン取って、あとで日本漁もまあまあ認めるということになったところで、現実にはことしは取れない、こういうことになるんでしょう。
  71. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 二月の中間会議におきまする共同保存措置につきましては、東ベーリング海におきまするオヒョウ捕獲の共同規制措置をきめたわけでございます。これはあくまでアブステンションの削除が発効するという前提において、中間会議におきまする共同保存措置が帰納してくるわけでございます。それで三角地帯、こう申しますのは、従来からアメリカ、カナダがオヒョウを漁獲しているオヒョウの主要な漁場でございますが、そこにおきまして一九六三年におきまする漁獲長は、頭をとりまして五千、頭つきならば大体七千五百、こういうことに相なります。それでこれは御指摘のように、三月二十五日の漁期開始から五千トンの達成されるまでオリンピック方式で三国が寄り合って取る、こういう共同方式になっているわけでございますが、発効しなければ、従来どおりアブステンションの義務は条約上あるわけでございますので、そこに行って取れない、こういうことになるわけです。それで中間においてアブステンションがはずれた場合に、五千トンのワクがなければ、あるいは残り少ないということになれば、非常に不公正なオリンピック方式、こういうことになるわけでございまして、この点については、われわれはまことに遺憾に存ずるわけでございますが、時期によりましては、今年のオヒョウは全面的に無理じゃないか、こういうふうに考えております。
  72. 天田勝正

    ○天田勝正君 それは農林当局におかれては、もうすでに出漁許可をする際に、この三角地帯に入り得るという見込みをもって許可をされたのではございませんか。許可をしておいて、あとで工合が悪いということから、無電かなんかで、その地帯においては漁をするな、こういうあとを追いかけた措置をとられたのではございませんか。初めからそこへは出漁しては相ならぬという条件をつけて許可されましたか、どうですか。
  73. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 許可は大体三月上旬にいたしたわけでございます。それで東ベーリング海に出漁するのは大体三月の十日前後、漁場に到着して操業開始が三月末、こういう予定で考えておったわけであります。その当時は、アメリカもカナダもまだアブステンションの削除の勧告を受諾していない状態でございます。見通しをわれわれ検討したわけでございますが、あるいは落ちない場合もあろうか、こういう点についても、カナダの事情等を、いろいろ大使館を通じ折衝し、あるいはカナダ側が中間会議に出て参られた政府代表のコミッショナーともいろいろその点、検討をしたわけでございますが、場合によっては、落ちない可能性もある、こういうことでアブステンションが落ちない場合の措置と、アブステンションが落ちた場合の両面の措置を考えて出漁を許可したわけでございます。それで、先般打ちました電報は、アブステンションが、まだ漁期に入ってもカナダが受諾していないので落ちないから、やはり従来、昨年どおりの漁獲方針でやるように、こういうことを念のために打ったわけでございまして、業界には出漁のときから、アブステンションが落ちる場合の措置、落ちない場合の措置、両面のことを考えてよく密接な連絡をとって出漁さした次第でございます。
  74. 天田勝正

    ○天田勝正君 それは農林当局としては、今、カナダが総選挙中、こういうことでそこに政治的空白というか、政治道義上、選挙中だから決断が下せない、こういうことが表面の理由だと思います。これは必ず抑止条件が撤廃されるという、また、その時期はいつと見込んでおりますか、あなたのほうで。これは本年の漁に間に合う時期が、時期でないのか。
  75. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 今までの日・米・加の漁業条約は、今年の六月の十一日までに一応の条約期限が来るわけでございますが、これまでの勧告というものについては、従来スムースに受諾されておったわけでございます。われわれといたしましても、カナダあるいはアメリカの国内事情等もございますが、当然政府の代表の入った委員会で決定した勧告というものは受諾されるもの、こういうふうに考え、また、そういった考え方でアメリカなりカナダに強く急速なるアブステンション削除の勧告の受諾を要請したわけでございまして、それがカナダでは、今申しましたような、これは推測でございますが、そういったような国内事情等もあって受諾がおくれておる、こういうことでございます。総選挙中に落ちるか、あるいは総選挙後に相なりますかということについては、まだ十分われわれとしては見通しがつかないわけでございますが、少なくとも、総選挙後になるのじゃないか、こういうふうに考えております。
  76. 天田勝正

    ○天田勝正君 そうすると、過去における米、加で取っておりました五千トンまでの漁獲はどのくらいの期間でそれを取り尽くしましたか。
  77. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) この東ベーリング海におきまするクォーターを定めましたいわゆる三角地帯というのは、一九六三年、本年からの措置でございます。従来は、アメリカとカナダは、米、加のオヒョウ委員会というところでオヒョウの共同捕獲措置を講じてきておったわけでございまして、そのオヒョウ委員会においては、そういうクォーター・システムはございませんでした。昨年の、米、加の三角地帯を中心にいたしまする漁獲量は大体三千四、五百トンだったと思います。大体出漁船が七十五隻程度、こういうふうに考えております。
  78. 天田勝正

    ○天田勝正君 そういたしますれば、まあ幾らか、楽観ができるのであって、そうだとすれば、かりにカナダ総選挙が終わった後に抑止条件が撤廃されましても、なお日本の漁船はそこで漁獲できる、こういう見通しが立ちますね。いかがですか。
  79. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) それはカナダがいわゆる勧告を受諾する時期にもよると思います。三月中に受諾する場合、四月に入って受諾する場合、四月の中旬以降に受諾する場合、いろいろ時期によって差異があろうかと存じます。ことしの米、加の川漁漁船はまだつまびらかではございませんが、大体やはり八十隻程度、こういうふうに聞いております。大体一日の漁獲量が一隻当たり五トン程度、こういうふうに聞いておるわけでございますので、その勧告の受諾の時期によっては、五千トンまで達しなければ、取り得るという可能性もございますが、そういう場合に、また、すぐそういうふうに切りかえるということについての、随時クォーターについては日報を取り、そうして五千トンになる直前に警戒警報を出して、五千トンのところでストップする、こういった非常に技術的に問題があるわけでございます。時期によっては非常にむずかしくなるのではないかと思います。
  80. 天田勝正

    ○天田勝正君 条約ですから、一国でも批准しなければ、それは発効しない。これはわかります。そこで、発効しない限りは、従来の条約でやるのだから、日本に出漁の権利はない。自然そうなりますけれども、批准した瞬間から、それは、一九六三年度における漁獲を決定した条件で漁獲ができる。こういうふうになるのです。ですから、今のところ、その五千トンというそのクオーターのあれは架空の計算をしておくというだけで、そこで二千トン。批准した後に残っているから、それは二千トンが日本でそっくり取れるというわけにはいかないけれども、オリンピック方式だから、そのうち三分の一なり、半分よりは条件は悪いけれども、そういうことに私はなるのだろうと思う。そこで、大体、平年度とすれば、五千トンというのは、結局米、加両国でも、日本がそのうち半分は取るだろう、船団や技術の関係からそう見ていいのだろうと思う。どうですか、水産庁でもそう見ておりますか。
  81. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 五千トンの中でどの程度これが、もしかりに三国のアブステンション削除の勧告が受諾されて、三月二十五日に一斉に、日、米、加が出漁した、こういう想定でございますが、大体カナダ、アメリカの漁船が八十ぱいで、それから日本がクォーターの地域の三角地帯に入りますはえなわ漁船が大体ことしの例で八十ぱい程度こういうことに相なっておりますので、同じ漁獲努力でございますが、ただ、日本の漁船の技術というものが非常に進んでいるわけでございまして、半々以上にいくのじゃないかと、こういうふうにわれわれは推定しておったわけでございますが、先ほどのようにアブステンションの勧告が落ちないということになりますと、あるいはアンフェアーな競争になるということを、われわれとしてはこういった問題があるから、この日、米、加の三国条約のアブステンションの原則というものをもっと合理的なものに直すべきじゃないかという主張をかねがねしておったわけでございますが、今後も一そうそういう面における条約の改訂の問題として対処していきたい、こういうふうに考えております。
  82. 天田勝正

    ○天田勝正君 ことしは私が言うまでもなく、まことに条約の年というか、水産関係ではそういうことになっておりまして、これは北洋漁業ことにオヒョウの問題につきましては、まだ批准はされないけれども、一歩前進であることは、これは間違いない。ですから、日本の漁民としましては、当然昨年十一月に了解点に達したことであり戻すから、今年はオリンピック方式で漁獲はできると、こういうふうに期待しておったと思うのですよ、期待しておった。しかし、あなたのほうは許可を与えるに、手続に何らそごはなかった、こういうことでございましょうけれども、しかし彼らとしては意外の感を受けたらしいのです。妥結点に達したのが昨年の十一月だから、まさかそれでことしの漁に差しつかえするようなことはなかろう、こう考えておったところが、一面からすれば晴天のへきれきのような具合で漁ができない、こういうことになってきた。そういうことでありますと、結局不安になると思います。でありますから、私はこの点については、水産庁が所管しているからなんということでなしに、農林省全体として外務省とも緊密な連絡をとって、総選挙中だからたんというようなことでこれを停止することなしに、私ども批准してくれるように猛運動をひとつ展開してもらいたいと希望しておきます、よろしいですね。  それで、漁港整備計画ですが、これはここに提出されました資料ですが、災害復旧事業、災害関連事業、こういう項目がございますが、この災害復旧の関係は、過去に特別立法もやったことがございますし、そこで、この中で国費の支出はどういう、割合では、これはいいと思うのです、普通の割合と補助の割合が違うから、割合では言えぬと思いますが、額ではおわかりになりますか。
  83. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 三十八年度の予算におきましては、漁港の関係の予算は、漁港施設費、これは改修専業費、それから漁港修築事業費、それから川部改良事業費、そういったものを含めました漁港施設費と、それから漁港区域内におきまする海岸事業事業費というものと、それから伊勢湾高潮対策事業の関係の港湾事業費と、それから災害関連の事業費と、それから災害復旧事業費と、そういうふうに大体分かれております。災害関連事業費は、三十八年度は三億三千八百八十三万六千円、それから災害復旧費は、これは三十五年災、三十六年災、三十七年災、こういうことになりまして、大体三十五年災は三十八年度において完了という目標で組んでございますが、約十八億に相なっております。それで漁港施設費は、三十八年度でさっき申しましたのを含めまして、全部で六十八億三千四百万円、こういうことに相なるわけでございますので、災害関連と災害復旧費というものを含めますと約二十三億に相なると思いますが、二十三億と六十八億の比率でございますが、大体災害関係が四割程度、こういうことに相なります。
  84. 天田勝正

    ○天田勝正君 その途中で発電しようと思ったのだが、水産庁長官はこの関係答弁されたと思うのです。私が聞いているのはこちらの資料の関係です。それでこれの二ページを見て下さい。そこでここに「国費」と、他のものは国費と書いてないからでありますが、上欄の国費の二百六十六億円、それから局部改良事業の二十四億三千四百万円、これ合わせると二百九十億七千七百十九万円、これは国の支出でしょう、そのままずばり。以下の私が言ったのは、災害復旧事業、災害関連事業、災害助成事業、こういうのがあるが、これをパーセントで、何割ということを言うのは、過去に特別立法をした経緯もあって困難でありましょう。だから額ではどういう支出になっておりますかと、こう聞いたのです。
  85. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) これは修築事業のところだけ国費と書いてございますが、全部国費部分だけを記載してございます。
  86. 天田勝正

    ○天田勝正君 それならば、この災害復旧事業、災害関連事業、災害助成事業、この三つの総事業最はどうなっておりますか。それぞれでなくても、もしく合計でわかればそれでもよろしうございます。
  87. 瀬尾五一

    説明員瀬尾五一君) 局部改良事業、災害復旧事業、災害関連事業、災害助成事業ということでそこに掲げてございますのは、先ほどお話しにありましたように国費だけでございます。それで、これに対する卒業費がどうなっているかということでございますが、局部改良事業は離島をのけまして、大部分が三分の一の補助でございまして、大体局部改良事業が約六十億という事業費に相なります。それから災害復旧事業費につきましては、先ほどお話がございましたように、激甚災等いろいろございまして、はっきりいたしませんが、この二割近くの増になると思います。それから災害関連事業は、補助率が五割でございまして、激甚の場合には三分の二という部分が少しありますので、これは約十億足らずということになります。それから災害助成事業は、これは三十六年度の第二室戸台風の関係でございまして、これはおおむね補助率が三分の二ということに相なっておりますので、事業費は六億余りということに相なります。
  88. 天田勝正

    ○天田勝正君 トータル幾らになりますか。
  89. 瀬尾五一

    説明員瀬尾五一君) 今申し上げました事柄につきまして、ここに資料を持っておりませんので、合計をした数字がはっきりないわけでございますが、今申し上げました数字を集計いたしますと、大体におきまして九十八億程度ということになります。  今ちょっと御訂正申し上げます。この災害復旧事業が十八億と申し上げましたのは、これは百八十五億の誤りでございまして、それで総計が約二百九十億ということに相なります。
  90. 天田勝正

    ○天田勝正君 こちらのほうの一ページのところで質問いたします。これで国の負担率補助率が明瞭に出ております。適用条項等も出ておりますが、そこで今回の新しい計画はもちろん、国の直轄事業を中心として、特に入港、これに多くの金をつぎ込むのだろうと思うのですが、したがってこの整備計画に三百八十か何か、その漁港にならなければ、この補助率がここに書いてあるけれども、それはいかように申請しようとも受け付けないのだ、こういうことですか。この補助率というのはどの漁港においても適用するのが原則であるけれども、それは原則であって、ここに新しい計画ができて、港の数はこれこれの数であるというふうにきまってしまって、その漁港も当然にきまる、こういうことになれば、今度の整備計画に入らない限りは、補助率がきまっておってもそれはやらない、こういうことになるのでしょうね。
  91. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 整備計画で御承認を求めておりますのは、三十八年度から向こう八年間に三百八十港の港名と、それから主要港地というものを記載いたしまして御承認を求めておるわけでございます。それで、整備計画によりまする漁港計画は港名であげまして三百八十港でございますから、整備計画基づきまする修築事業は三百八十港以外はできない、こういうことに相なるわけでございます。それで、先ほどから申しておりますように、弾力的な運用をやるということで改修事業というものを三十八年度から新しく設ける、こういうことであります。
  92. 天田勝正

    ○天田勝正君 そうしますと、結局今度の整備計画以外に支出するということは、災害等の場合に、別の法律基づいて支出する以外には、三百八十港以外には国費がいかない、こういうことですね。
  93. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) この整備計画は、漁港整備していくという計画でございまして、前向きのものでございます。で、今御質問になりましたような災害復旧の関係は、全然別個でございまして、これは現在におきまする漁港施設が災害によりまして破損した場合にこれを復旧していく、こういうことでございまして、公共事業としての公共負担法によりまして災害復旧を進めるわけでございます。それで全然別個、こういうことに相なります。
  94. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) ここでしばらく休憩し、午後二時再開いたします。    午後零時三十二分休憩      —————・—————    午後二時十一分開会
  95. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) ただいまから委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、漁港法の一部を改正する法律案及び漁港法第十七条第三項の規定基づき、漁港整備計画変更について承認を求めるの件を一括議題といたします。質疑のある方は、御発言願います。
  96. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 ただいま審議になっておりますこの二法案の具体的の実施計画として第三次計画をお立てになって、それを三十八年度から八年間にわたって実施する。しかもその対象になる漁港は三百八十港であると、こういうように承っているわけでございますけれども、まあ政府でよく立てる計画というものは、漁港に限らず、すべてわれわれの経験によりますというと、路道整備一画にしても、あるいはその他の計画にいたしましても、途中で著しい変更を来たす場合があるわけですよね。その変更を来たしたために、結局計画年度内においてそのことが完成しないで、また新しい計画の中で立て直して、期限を先へつけて延ばしていく。こういうようなことでは、なかなかわれわれといたしましては一体計画変更をするのは、よいけれども、規定の年数から実施年数が延長になるというと、そうするとそのときの経済情勢から従ってきわめてよろしくないんではないか。当初立てた基本計画というものを推し進めておいて、そしてそれにあとで増改築分を特別な措置をもって補完していくと、こういうことのほうが計画としてはいいんではないかと、こういうふうに思うわけですよ。したがってそういう面から考えますというと、この八年計画はこの計画年度内において達成するという気組みでやっていくのかどうか、その点をまずお聞きしたい。
  97. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 第三次の整備計画は、御質問のように三十八年から八年間目途としてやる整備計画基づくコースでございます。で、対象漁港は三百八十港に重点的にしぼっております。で、その間におきまする事業費は千億というものを大蔵とも話をつめてそのときに決定をしたわけでございまます。それでこれについては第二次整備計画におきましては、伸び率が大体一四%程度年間に伸びておるわけでございますが、これでいって大体七一%程度達成される、ほんとうはわれわれとしては一〇〇%達成目途としたわけでございますが、その間におきまして漁業事惰の推移あるいは変更等によりまして、工事をしなくてもいいような面もありまして、そういうものをわれわれ当初計画として取り上げて、それに対する達成率は七一%、こうなっておりますので、その後の情勢の変化で未着工あるいは工事を要しないというようなものを引きますと、多少は達成卒が上がってくる、こう存じます。今回の第三次整備計画は三直八十港を一千億の事業費国費を六百七十億ということでいたしますと、大体年率が、改修計画を入れまして一七%程度の、年間、毎年伸ばしていけけばよろしい、複利計算をしますと大体千億でおさまる、過去の経験から申しますと。やはり特段の毎年の予算編成には努力をいたさなくちゃならぬかと存じますが、われわれといたしましては、そういった一七%程度伸び率でございますし、国の予算の伸びというものも非常に大きくなっていく段階でございますので、これはわれわれはぜひ達成するということで考えております。
  98. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 そうしますと計画は一〇〇%で、最初から七〇%達成すれば実施をしていける、こういう目算でやっているわけです。毎年の進捗率は一七%だ、こういうようなことでございますが、これは審議会ではそういう点について了承しているのですか。
  99. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 千億というのは、これが全部予算化されますれば一〇〇%達成されるわけでございます。それで今七一%と申し上げたのは、第二次の現行計画でございます。第三次計画は重点的にコースをしぼって実施して、伸び率も今までの経験からして一七%程度ということになっております。われわれとしては、これは一〇〇%完成したい、こういう気持で来年度予算には努力するつもりでございます。
  100. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 審議会のほうは了承しているのですか。
  101. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) これにつきましては、漁港法によりまして農林大臣計画を決定するにあたりましては、漁港審議会に諮問いたしまして、その諮問につきまして、諮問の結果は原案どおりという答申があったわけでございます。
  102. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 その審議会で、今審議非常に御熱心なようでございますが、その審議会で水産庁の立てた諮問計画案について、何かこうしたらよいとか、あるいはすべきであるとかいうような意見がおありだったでしょうか。
  103. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 審議会におきましては、重要な点は一港々々計画を設計予定図とももに審査をしていただいたわけでございます。計画コースがただいま先生からも御指摘があったように、八年間にこれを全部完了をするように特段の努力をするように、こういう御意見が強かったのであります。
  104. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 ほかにはなかったのですか。
  105. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 特にほかにはございませんでした。
  106. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 実は同じ政府で立てる、これは陸の問題ですけれども、道路整備十カ年計画というようなものがかなり計画には違いないけれども、計画年次的に分けて、しかもそれに対する指定道路の名前をあげて、しかもそれには財政的にはこのくらいかかるのだということを年次的にあげて計画を立てておられる。で今度はその計画が三十七年度まで実績については一応表としていただいております。そういうものはおありになるかしりませんけれども、こちらのほうには配賦されていないのですね。ですから、同じ政府で立てるものならば、そういうように片一方の道路とか、あるいは治山、治水という問題については、そういう計画を一応数字的に上げてきておるが、これには全然上げてきていないわけですね。ですから計画があっても、われわれの立場から見れば、毎年々々政府の予算の許す範囲内において財政的措置を受けて、それで実施していくのだというようになっておるわけですね。だからそういうような消極的なことで、はたしてその漁業の構造改善をしなければならぬとか、あるいはまた動力船が大型化になっていくさなかにおいて、全体において、近代化の中において計画を財政の裏づけまでも含めて明示したところの計画を立てないということは少しくおかしいのではないか、了解に苦しむということで実はお聞きしているわけです。そういう計画はおありですか。
  107. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 漁港整備計画につきましては、御承知のように漁港法によりまして農林大臣漁港審議会に諮問して決定いたしまして、それを閣議に提出して閣議決定をして国会の承認を求めるということに相なっております。それでその国会に御承認を求めます計画につきましては、先ほど説明申し上げましたように県名と港名、それから各漁港ごとの基本的な工事、そういったものを一覧表にして御承認を求めるということに相なっております。これの承認事項としては、何年間にこれをやるか、あるいはどれだけの予算をこれに確保するかという点の御承認は求めないことになっております。われわれといたしましては、そういう点もございますので、財政当局ともよく予算を組みます場合に折衝いたしまして、八年間三百八十港、そうして整備計画基づ修築工事については先般申し上げましたように、事業費で千億というものを定めたわけでございます。これは先ほどから申しますように、われわれとしては各年ごとにこれを予算に計上して千億の達成を期する、こういうことに相なっております。これにつきまして、われわれとしても年次的には、これを一応事務的に持っております。また、これは大蔵と十分打ち合わせたものではございませんが、大体一七%程度伸びるということになりますれば、平均いたしまして百二十五億程度予算を、国費分で百二十五億程度組めばよいことに相なるかと思いますが、やはり計画を概定いたして、定めました当初におきましてはよく調査し、準備しながら進めていくということで三十八年度は整備計画六十五億、こういうことになっております。これは年次的には大体三十九年−四十年、逐次これを伸ばして四十二、三年ごろには百四十四、五億というものをピークにして、そうしてこれを完了していきたい、こういうような年次計画は持っておるわけであります。大体われわれとしては、そういう計画大蔵と各年の予算折衝をいたします場合に確保して参りたいというように考えております。
  108. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 そうしますと、この漁港整備計画変更について承認を求めるの件の関係資料、その資料の三ページですか、ここに三ページの中段の項、変更整備計画に採択するものとして、これは大体八千万円以上で八年計画というので出ております。これを一つ例に取ってみますと、その計が完成、工事中、未着工と分けて合計が二百六十四になっているわけですが、ここの一つの欄を取り上げてみて、これの八千万円以上だということになりますと、これのみの本年度の予算措置は今度は六〇%にしてどのくらいに、六〇%になるのですか補助率特定予算、これの欄だけでもって大体本年度の予算ではどのくらいになるのですか、八年計画としてはどのくらい、本年度はどのくらいあるのです。
  109. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 御指摘の二百六十四港というものは、第二次整備計画へ入っておりました分で、なお工事が完了いたしましたけれども、その後の情勢によってこれをさらに拡充する要がある、それから継続して工事がまだ工事中のものといったものについては、これをさらに第三次整備計画に取り入れて百七十二港というものは工事を実行する、それから第二次整備計画で未着工でまだ工事に着手に至らなかったものを、第三次計画では八港取り上げて今後整備していく、こういう予算でございます。これを制定いたしまして大体第二次整備計画から第三次整備計画に引き続いて移りまして工事をいたすものが二百六十四、それから新しく今まで整備計画が全然なかったもので新規に第三次の整備計画に入れて修築工事として事業を進めますものが百十六港、こういうことに相なっております。それで三百八十港に相なるわけでございまして、その三百八十港につきまして三十八年度は四十六億八千九、百万円、こういう国費をもって新らたに三十八年度からさらに第三次整備計画によって工事を進める、こういうことに相なるわけでございます。
  110. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 私の受ける感じでは、整備計画とそれから予算措置というものが何かばらばらのような感じがあって、勝手に、勝手にというとおかしいのですが、水産庁で計画を立てる。しかし、それはもう必ず必要なものだ。水産業上、国民食糧生活上必要だといいながら、今度は財政のほうは非常に全然権限がなくて、国の財政の許す範囲内において行なうのだということになると、計画というものが度外視されて、何か予算措置のほうが後退しているのではないか、こういう感じを受けざるを得ないわけです。ですから、その点がもう少し一体となった計画実施というような面でこれが推進されなければいけない、こういうように考えられる点があるわけですが、そこで今までも御質問を勉強がてら申し上げているわけでございますけれども、どうですか、そういうことについて。
  111. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 漁港法の第十七条の四項には、先生が御指摘のように、整備計画を国会において御承認いただいて固まりました場合には、「内閣は、毎年度、国の財政の許す範囲内において、第一項の漁港整備計画を実施するために、必要な経費を予算に計上しなければならない。」、こういうふうになっております。で、「国の財政の許す範囲内」、これは必ず例文的につく文章でございまして、御指摘のような点もあろうかと存じますけれども、われわれといたしましては、先ほど申しましたような年次計画等を十分吟味し、計画的にこの漁港整備が遂行され、そして八年の終わりには完成されるように最大の努力をしていきたいと、こういうように考えております。
  112. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 この点はこれくらいにいたしまして、あと整備計画の「計画方針」の中で、「指定漁港のうち漁港施設不足度の高いもの、経済効果の多いもので緊急整備の必要あるもの」というわけで、三百八十港があがっているわけですね。そういうことになるわけですね。これを二つに分けると、大体数字的にはどんなふうな比率になるでしょうか。
  113. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 不足度とか、あるいは経済効果の高いもの、そういったものは、選定の一つの要素でございまして、これでどれを選定し、この基準でどれを選定する、こういうことには相なっておりません。それで一つの、たとえばAの漁港を例にとってみますれば、そういった今後の水産の情勢に応じまして、必要とする係留施設なり、あるいは外郭施設の防波堤なり、そういったものの不足度というものを考え、さらにそれにつきまして、それを投下した場合に、そこに漁船が集まり、そして水揚げがどういうふうになる、あるいはそれから、県外あるいは外国に輸出される、そういった経済的効果はどうであるかと、そういったファクターからはじいたものを算定いたす。そういった総合的な観点から総合点数の一番高いものをとっていく、こういうふうに選定したわけでございます。
  114. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 結局それは、経済効果をねらって漁港整備されるということが私は第一だろうと思うのですよ。しかも、その経済効果の面におきましても、これはやはりそこの漁民を中心としての経済効果考えるわけです。いわば、地域経済圏の確立といいますか、そういうものもあるでしょうし、またさらに、その漁港を強化することによって、そこのところに事業が興って、そして利潤を中心とするような考え方もあるでしょうし、そういういろいろな問題が考えられるわけですね。それらは、いずれにいたしましても、経済効果を上げることを目途としてそのようなことが行なわれるわけでございますけれども、問題は、今度の整備計画を見ますというと、みんな、外郭施設係留施設、水域施設というような工合に、すべてこれは基本施設に集中しているわけです。そこで、確かに基本施設を強化拡充するということは、これは第一要件には違いないけれども、私どもしろうとの考えでも、漁港というものは、水産業における生産と、それから消費地における流通、消費、こういうものを接合する場所のように考えられるのですね。特に最近動力船化してきて、その動力船も大型化してきますというと、水揚げが勢い集中されてくるということになると、その面における消費の拡大強化をはからなければならないということになりますと、その漁港施設拡充というものは、単にその基本施設にのみ集中すべきではない。これはむしろこの漁港利用して消費を拡大したり、そのためにいろいろ管理をしたりするような関連施設としての機能施設というものが絶対に必要になってくる。ところが八年たっても今のところの状況では、予算の許す範囲内においてこのような計画を立ててますというと、結局いつまでたっても機能施設というものは置き去りになっていくのではないか、こういう心配が出てくるわけです。これについて、機能施設に対する考え方はどのようにお持ちでございますか、基本施設だけでは漁港は強化されない。やはり機能施設を国の財政措置によって行なっていくということが大切ではないかというふうに考えられるわけですね、この点についてお伺いいたします。
  115. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 漁港がその効用を発揮いたしますにつきましては、御指摘のように基本施設整備され、合わせて機能施設整備される、両々相待ってその漁港漁港としての効用の発揮が行なわれる、こういうふうにわれわれは当然考えておるわけでございます。それで、われわれといたしましても基本施設というものに重点がある、こういう御指摘のようでございますが、その点は十分、一港ごとに調査いたしまして計画を立てて、基本施設とそれに必要な機能施設というものをここに掲げた次第でございまして、ここに掲げました基本施設機能施設が並行して工事が進みますれば、その漁港効用は発揮される、こういうふうに考えておるのであります。なお御指摘のように、機能施設についての補助の範囲といったようなものは、今後、午前中お答え申し上げましたように、十分検討して広げていく必要があるものは広げていきたい、こういうふうに考えております。
  116. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 実は、私も建設にいましたときに、昨年は農林関係として東北のほうを視察してきたのであります。その漁港へ行ってみますと、確かに基本施設が国の資本投下で強化されつつあります。しかし、そこへ集まる動力船は、大体大型を中心にして、これは水産資本の持っている船がみんな係留されてくるわけです、寄港してくるわけです。しかもそこの港においては、各地みんなそうでございますけれども、それをみんな日本水産とかいうような、たとえば一つの固有名詞ですが、そういう会社がそこの漁港の付近に土地を買って建物を建てて、そして工場その他を建てまして、そしてすべてそこで加工をやっているわけです。これでは国が基本施設だけは投下してやって、残りの機能施設は全部その土地の人たちが、あるいは漁民の構成している漁連だとか地方公共団体が傍観しておって、そしてほとんど水産資本が入って、その水産物の加工、貯蔵、そういうものを全部やっておるわけです。これでは何かしら水産資本のための基本施設を強化していくのだ、国の費用で、ということにならざるを得ないのです。こういう状態がずっと推移していくならば、漁民生活というものは単に、漁民はそういう資本のもとにおけるところの労働者になってしまう、こういうことが出てくるわけです。ですからそういう点について私は考えることは、何かそこにやはり機能施設というものを国でもっと拡先強化して、そして特に第一種、第二種というような漁港を中心にしては、これはきわめて小型動力船を使用している地域ですよ。したがって、そういう地域につきましては、やっぱし中心となるところの漁港を指定して、そしてそこでもっと国が基本施設のみでなく、あわせて機能施設をも地方公共団体とともに資本投下して、その中で加工とか、あるいは貯蔵のできるという方向を考えていくべきではないか。それが私は漁民にとっての構造改善事業だろうと思うんです。今のところでは、どうもそういう感じを受けないんですが、局長もひとつそういう、私は二回見ておるんですから、見た所は宮古であり、女川であります。そういうところをみんな見てごらんなさい。これは水産資本が全部加工場を作っておられるわけです。土地の人なんか加工場なんか作れないわけですよ。
  117. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) ただいま機能施設補助の対象といたしておりますものは、輸送施設または漁港施設用地にかかるもの、それから漁港用の通信施設にかかるもの、こういったものを機能施設補助の対象にいたしております。なお、漁港機能施設につきましては、御指摘のような水産の加工なり、あるいは冷蔵なりの施設等もございます。そういう点につきましては、地元の漁業協同組合といったものが中心になってやります場合には、公庫施設等をもちまして共同施設、あるいは主務大臣施設で公庫融資の対象にいたしてこれを促進いたしておりますし、また三十七年から事業化いたしております沿岸構造改善事業の中におきましても、流通施設としてそういう点についての補助地元に行なう、こういうようにいたしまして考えております。それで、構造改善対策の対象の事業、あるいは漁港法考え機能施設の範囲ということが問題になろうかと存じますが、港湾漁港法補助いたします分は、さっき申しました通信施設や公共施設性の高いものを補助対象にいたしております。今後の問題としては、公共性の強いものから漁港法機能施設の中で補助の対象にするかどうかという点を、沿岸構造の改善対策事業ともからみ合わせまして、あるいは公庫融資ともからみ合わせまして検討しなきゃならぬ、こういうように考えております。
  118. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 機能施設補助あるいは農林漁業金融公庫の融資をしておるというのですが、これを地方公共団体であるとか、あるいは漁業協同組合等に対して、過去どのくらい出しておるんですか、機能施設に対して。融資をしておる累計でいいですよ。
  119. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) ただいまそういう観点から集計いたしたものは持っておりませんが、なお機能施設として従来は三十六年度から専業化しておりますが、産地の冷蔵庫の補助といったものも二カ所ないし三カ所毎年やっております。それからノリ等の関係で、必要な漁港についてはノリの保存倉庫をやる、こういったようなこともあわせてやっております。ちょっとこの点、累計いたしておりませんので、すぐ申し上げかねますけれども、調べてまた御答弁できればいたしたいと思います。
  120. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 同じ補助でも、そういう漁民を中心とした地方公共団体に出す補助なり融資、あるいはまた水産資本が加工処理あるいは貯蔵をするときに出す補助、これは同じ国の補助でも、金額はどうあっても性格が違うんですよ。受けるほうの側からいけば性格が。だから補助を出したといっても、事業をするような人に大きな補助を出して、片っ方のほうは全然補助を少なくしておって、そうして補助を出したという通り一ぺんだけのことでは、私は漁民の生活向上ということは望めないだろうと思いますね。だから、構造改善という究極の目的というものは、これは農業でも、林業でも、水産業でも同じように問題は、そこの住民の所得が向上していくということ、そしてその中で経済圏が確立していくということ、これが一番最大眼目でなければならぬ。これを全然無視したところの構造改善というものはあり得ないだろうと思うんです。そういう意味で、この機能施設をもっと強化拡充すべきであると、こういうふうに思います。その点について。
  121. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) ただいま申し上げました補助なり融資、これは漁業者または漁業者の団体を対象にするわけでございます。なお、構造改善対策事業等については、それを事業主体とします町村等がやります場合は、町村に補助するということに相なっておりまして、いわゆる水産資本をもってやっておる会社といったようなものには補助といったものはないように存じております。
  122. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 この表を見ますと、第一種漁港は二千百八十三、これに対して今度八年計画に乗るものはそのうち八十四、比率にして〇・〇四、それから第二種が四百三のうち百五十七、総数に対する比率が〇・四、それから第三種が八十六港のうち七十一、約九〇%近い。それから特定第三極が入港のうち全部入港、一〇〇%、第四種は七十一港のうち六十港、九〇%強ですね。これを見ますというと、もう第一種というのは非常に整備計画の中では置き忘れられているような感じを受けます。しかも、第二種も〇・四%、これも低いわけですよ。こういう低いのを見て、反面基本対策の答申というものは、第一種、第二種については沿岸漁業の構造改善と密接な関係を持たして、そうしてこれを推進していくんだということでそれはどうだといいますと、小型動力船を主体とする地域には中核的な漁港を中心とする経済圏の建設をしなければいかぬ、こういうように出ておるんですね。で、その具体的な施策としては、基本施策と機能施策というものを合わせて優先的にしていかなければいかぬと、こういうように答申の趣が出ておるようです。そういう答申をくんでいきますと、この八年計画の中では、これは新しくほかには採用しないわけですから、この計画を推進していくということになりますと、二千百幾つかありましても、八年間で八十四港しか対象にならぬ、第一種は。ですから、こういう第一種のような小さい漁港は少しも構造改善の対象にも何にもならぬという結論が出てくるわけですね。数字的から見ても八年間で八十四港ですから、二千幾つかあるうちで。これらは徹底的に手を加えたならば、どれもこれもみなしていかなければならぬような港ばかりですよ。それは無動力船のうちはよかったのですよ。しかし、最近は動力船になった以上は、どれもこれもしていかなければならぬということになると、しかも経済地域圏を確立すべきであるという、こういう重大使命をになっていくとするならば、構造改善の一環としてこれは優先的に取り上げていかなければならない。もしそうでなかったら、これらの漁港を、付近に点在してあるものがあったら一つにまとめて、そうしてこれを抜本的に改革をしていく、同時にこれに関係するところの漁民の協同組織もそれに見合って拡充強化して再組織していく、こういうような方策はとられなければならぬ。数字的に見ると、これでは全然非常に恩恵が低い、こういうことを言わざるを得ないわけですけれども、これについて考え方をひとつお聞きしたいと思います。
  123. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 第三次の整備計画につきまして、御指摘のような沿岸振興に役立つような漁港、こういったものは大体第一種あるいは第二種、こういったところでございます。で、これにつきましては、基本問題調査会でも答申がありましたように、沿岸漁業振興の中核となるような漁港を重点的にやることがよろしい。こういうことに相なっておるわけでございまして、そういう点、沿岸構造改善対策事業計画と見合わせまして、十分この点審議いたしまして、中核となるような漁港を重点に取り上げてその整備を期する、こういうことに相なっております。大体中核となります漁港につきましては、これは相当大規模になるわけでございますので、そういった面で漁港整備計画はおおむね事業費八千万円程度以上の大規模のものから重点的にやると、こういうことになりまして、第一種、第二種の中核的なものが取り上げられたわけでありますが、その中における比率が非常に少ないのじゃないかという御指摘でございますが、そういう点もあろうかと存じまして、第三次の漁港整備計画を樹立いたしますにつきまして、特にそういった八千万円に足らないけれども、やはり地方の漁港として重要なものは、三十八年度から新しく予算措置できめております。改修計画並びに局部改良計画、そういった面で取り上げて整備をやっていきたい、こういうふうになっております。で、最終計画整備計画基づ修築事業と同じ補助率を使いますので、その点については心配はないかと思います。やはり漁港規模によりまして重点的にやらなければならないという点もございますので、八千万円以上でやはり地方的に必要なものは、改修計画で取り上げて整備していく、こういうことでございます。
  124. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 中核になる地域を選ぶ場合に、その付近の漁港の関係者のやはり協力態勢というものは得られるわけですか。単にいろいろの陳情とか、請願とか、あるいは政治的な行為によって、そういうところはひとつ八千万円の対象になっていくということでは、中核的な真の意味をなさないわけです。中核にして、それを中心に経済圏を確立していくということになれば、その対象にならない、まあ二千百幾つのうちで八十四港ですから、だいぶ残っておるわけですな。そうしますと、それは中核になる地域に付近の群小の小さい漁港がやっぱり賛意を与えて、そうしてそれに協力態勢が出ていかなければならぬと思うわけですよ。ただそれだけ一つ単独に引き出して、これが中心だからこれだけ強化するんだということでは、これは真の計画にはならぬと思うのですね。そういう点の地方における協議は公共団体を中心にして整っているわけですか。
  125. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 沿岸振興の中核的な漁港として整備計画に取り上げていきます場合におきまして、やはり沿岸漁業の構造改善事業というものと、これが密接に計画が一致していかなくちゃならない、こうわれわれは考えて、その点につきましては、よく県とも連絡をいたしております。なお県におきましては、そういった沿岸漁業の構造改善の促進対策をいたします場合、県知事が地域協議会というものを設けまして、その構成員には市町村長またはその職員、あるいは漁業共同組合あるいは漁業協同組合連合会等の職員、それから漁村の青年婦人組織の代表者、海区の漁業調整委員会委員、それから農村漁業金融公庫、中金の金融機関の支所等の役職員、その他学識ある経験者、そういったメンバーをもちまして地域協議会というものを作って、そこで十分沿岸構造改善対策事業計画を樹立いたす段階において意見を聞き、また諮問していく、その段階で中核的な漁港というものが十分論議されて取り上げられてくる、こういうことになりますので、御指摘のような心配はないかと存ぐております。
  126. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 たとえば中核的な漁港を強化拡充するために、そのような各界からの意見を反映した協議会ができておっても、問題は一つの答申が出ても、それに行政区域を異にするところの地方公共団体が財政的な負担までするところまでも協議が整っているかどうかという問題が出てくる。これをしなかったならば何もならないですよ。国が四〇%なり五〇%の補助を出しても、その際地方負担が六〇%なり、五〇%かかるわけです。その際県も、同町に市町村負担するということになれば、どちらか漁港はそのうちの一つしか強化されないわけでございますから、その隣接の市町村におきましても、やはりたとえ自分の行政区画を異にいたしましても、それに対して財政的な投資をしていく、こういう点までも協議が整っているかどうかということです。そういう点はどうですか。
  127. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 中核的漁港の選定に当たりましては、ただいま申し上げましたような地域協議会で、十分知事が意見を聞いて定めていくわけでございます。なお、そういう場合におきましては、中核漁港としては自然的条件あるいは経済的、そういった面からも十分中核漁港としての機能を果たし得るものでなければならないわけでございまして、そういう面もよく吟味されて、県を通じて、こういう中核漁港について意見を聞いているわけでございます。ただいまのところでは、そういう点について地元負担ということは県、町においてもできる、こういうようなことで中核漁港を選定したわけでございます。
  128. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 それは財政的負担ができるということは、指定になった地域における地方公共団体は、これはもう明らかに了承します。しかし、指定にならない隣接の地域がそこまで、自分の行政区域でない漁港までも財政負担することができるかという問題。でないと、これはやはり、地域経済圏を作るという名目はあっても、一つの指定された漁港だけはそれでよいけれども、そのほかの人たちはこの対象外になっているわけでしょう、港は。対象外になっているわけですよ。で、やがてこれは廃港の運命をたどらなければならないんです。地方財政だけでは港の強化はできませんから。ですから、やがて廃港になってくる。しかも動力船化すれば、さらによい港へみんな寄港するわけですから、係留するわけですから。それで水揚げの水産物もそこへ集中がされるわけですから、勢いそこは廃港になってくる。しかし、それはそれなりに、漁民なり漁業労働者が、たとえ行政区画が別であっても、そっちへ協力することによって、自分たちの生活というものは他の地域にあっても、賃金がふえてそして生活は向上していくんだという、こういう見通しがなければ、協力度合いはないでしょう。またそれをしていかなければ、これは経済圏の確立という問題には通じないわけなんですよ。そういう点を私が、協議が整っておるのかどうかということを聞いているわけです。
  129. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 中核的漁港というのは、もちろんその周辺の沿岸構造の振興改善をやります事業地域の漁民の中核になる漁港でございまして、御指摘のように、その周辺漁港の中核になるわけでございますから、経済的にももちろん均霑するわけでございます。そういう点におきまして、県においても中核漁港は県営で大体やる、こういうような方針になっております。今後の問題として、ただいまのようなことは、県において十分そういう点は責任をもってやれば何事も起こらないと、こういうふうにヒアリングの際は、県から答申が出ております。
  130. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 それは形式的なあり方としてはその説明で了承いたしますが、しかし、第二種港ならこれは県が全部、補助以外の経費については負担してもいいですよ、国の補助以外については。ところが第一種漁港については、これはなかなか市町村単位ですから、やはり県が全部持つということはこれは考えられないです。これはもっと進んでおる陸のいろいろの補助金政策にいたしましても、国が補助をつけたものでそれを県がつけない場合がある。そして地元へ行きますと、地元公共団体も財政がとても思うようにならぬから、結局そこの住民負担ということになってくる。で、住民負担が、組織のあるところは組織負担になってくるし、そうでないと個人々々の負担になってくるんですよね。特に今日までの漁業の実態というものは、むしろ産業のうちでは農業よりもおくれておる、こういうような状態もあるわけですよ。ですから、結局そういう漁村の公共団体の財政というものは、そう余裕があるわけじゃないです。むしろ苦しい、非常に苦しい。ですから、そういう地域において県が全面的に負担するというような答弁でしたが、はたしてそういうようになるんですか。県が絶対しないでしょう。
  131. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) ただいまの御説明におきまして、説明が不十分で、県が全部負担する、こういうふうには申し上げていないわけでございます。工事をやる場合に、工事施工者が中核的漁港は県営で行なうようにと、こういうふうにわれわれは指導し、また県も、そういった沿岸振興の中核的な重要漁港は、一種においても県営でやる方針である、こういうことにわれわれは、計画を進めたわけでございます。そういう段階におきまして、県が中心になりまして、県の負担部分と、それから地元負担部分というものが定まる。そして地元負担部分については、県が中心になっていく。その経済的な連繋の度合に応じて地元に分担をさせていく。そういう場合に地域協議会等の意見も十分聞いて、その負担の不公平がないようにする、こういうふうな意味でございまして、今後の問題としてそういう紛争が起こらないように十分われわれとしても注意して参りたい、こう思っております。
  132. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 その地元負担の問題ですがね。地元は、公共団体負担しないで、地元の住民に負担させる場合があるのですよ。それが多いのです。で、かりにこれを漁民負担させたりすると、そこの組織を通じて、組織から金を、負担金を取りますから、勢いそれは漁民にかかってくる。そうすると、水揚げしたものに対するところの値段の高騰を来たすということになるわけですよね、はね返ってきますから。ですから、やはりその国の補助に対して地元負担というものは、あくまでも地方公共団体負担させるということが原則だ、これはもう貫いていくという方針を私は堅持してほしいと思うわけです。と同時に、そういうような地元負担が、公共団体負担するということが不可能ならば、これはもう国が国民生活の安定上、消費面からも、水産業の振興という面からいっても、これは国が責任を持ってやらなきゃならんということになると、国の大幅投資ということが出てくる。そうすると、従来はこの補助率の引き上げなんてものは、大幅にしていかなきゃならん。そのくらいの考え方を持たないと、これからの漁港の振興というものは、私は不可能になるのじゃないかと思うのです。そういう点について、まあ将来の展望ですけれども、長官からひとつ考え方をお聞きしたいと思う。
  133. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 漁港整備地方公共団体負担でございますが、県と地元市町村が分担する、こういうことに相なっております。で、ごく一部の負担力のある組合等が、また市町村負担分を一部を負担しているというような実情でございます。原則としては地方公共団体負担するようにということで指導いたしておりますし、今後もそういう方針で指導して参りたい、こう思っております。
  134. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 関連。今の地元負担ですが、これについては起債を出せるわけですが、その場合に、これが港湾漁港とで起債の発行条件が違う。そのために漁港の場合はきわめて適切を欠いて、その地元負担がまたスムーズに行なわれないという問題が現実にあるわけですね。漁港の場合は一般の単独事業として起債を認めますので、その発行の時期なり、あるいはその取り扱いに至る事務手続等がきわめて、繁雑であるために、タイムリーにこの地元負担というものが出てこない。一方、御承知のように、港湾の場合は、これは一般の補助事業としてワクを特別に設定して、起債額を増大して、地元負担を行なっておる。そういう、同じ海岸の港湾についての地元負担の場合と漁港の場合の地元負担では、起債に当たっての条件の相違からして、漁港の場合はきわめて不利をこうむっておる。こういう点は、直接所管ではないわけですけれども、この地元負担についての起債の不利益性というものを、少なくとも港湾のごとくに、これを一般補助事業として特別ワクを設定して、そのワクを起債額を拡大して、タイムリーに地元負担がこれに当たっていけるような措置を、農林省としてもこれを問題として提起をして、そういう方向に推し進めていくという努力を、各省間で折衝された経過がございますか。あったとすれば、その経過、及び、要請になるわけでありますが、その見通し等をお聞かせを願いたい。
  135. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) この点につきましては、午前中お答え申し上げましたように、港湾整備事業につきましては、地元地方公共団体負担部分についての起債は、御指摘のように、一般単独事業債というワクの中でこれが認められております。この点につきましては、先ほども申し上げましたように、われわれとしても、港湾の中でも重要港湾が一般補助事業債と相なっておりますので、これと同じ経過に、また同じ取り扱いにしてもらいたいということを、自治省とも一昨年ごろから交渉いたしております。で、さしあたっての問題として、なかなか一般補助事業債のワクを広めていくということが、自治省も、大蔵省との関係もあって非常にむずかしい問題のようでございます。それでさしあたっては、一般単独事業債で各県なりあるいは町村から要望のあるものは、そのつど本省に上げまして、本省から地方自治省と連絡をとりまして、それの地方自治省によく連絡をとりまして、一般単独事業債の希望のあるところについてもこの起債が下されるように最大の努力をいたしておりますが、今後、やはりこの整備事業八カ年計画として完遂していく建前から、一般補助債としての取り扱いをせられるようにということについては、今後とも最大の努力をして参りたい、こういうふうに考えております。
  136. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 そのさっきの第一種にするについては、中核体となる漁港を取り上げていくということに、これは答申も答弁もそのとおりでございますが、これを数字的に見ますとね、これは二千百八十三港に対して、八十四港では、二十五港に対する一つですね。平均して二十五港ですからね。あるいはそれを十港ぐらいの程度になると、片っ方は、そうでないところにいきますと三十港に一つぐらいほどしかないわけなんだな。そうすると、漁村の今の日本のこういう地形、そういうものからいって、中核体を作るというのに、平均二十五に一つだということですね。そういうことで、はたして経済圏の確立というような問題ができるのでしょうか、具体的に。私はそれを非常に心配するわけですがね。
  137. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 沿岸振興の中核となる漁港整備と申しますが、それは、その付近に沿岸の漁業のための漁港があるという前提において、その中核になる。こういうわけでございまして、その付近の漁港を全部統一してそこに一カ所にすると、こういう意味のものではないわけでございます。それで、この中核的漁港は、相当これは規模の大きいものにしていくということで、先ほど御説明しましたように、相当しぼってござざいますが、その周辺の漁港整備については、改修事業あるいは漁港改良事業整備を進める、そういうことと相待って、この中核になります漁港の経済的機能なりを上げる。そういった面で、自然的条件もございましょうが、そういう面で最重点的に整備計画でこれを整備すると、こういうことでございます。御了承願いたいと思います。
  138. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 私は統一とか統合とかということでなくて申し上げているわけです。ですから、その他の中核体以外のところは局部改良事業でやっていく、こういうことでございますか。それは単なる予算措置でございますね。ですから、その回りからいろいろの、おれのところにも、おれのところにもというような、まあいろいろ陳情があり、いろいろなことがあって、これは予算措置でやるのだと、こういうようなことじゃなくて、その他もやるとするならば、局部改良事業はやはり当然この漁港法の中で広げて、そうして計画的にその第二次指定なり、そういうものですればいいわけです。中核体を作るなら、第二次中核体、第三次中核体を作っていくのだというようなことで扱えばいい。単に予算措置だけで従前扱ってきたようでございますけれども、そうではなくて、やはり根本的にこういう計画の中へ入れて、そうしてまあすべきではないか。ただその第一種漁港について計画に載せるものが二十五港に一つでは、何かしらその第一種漁港について少し冷遇しているのではないかというその印象を受けるわけですよ。
  139. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 第三次の整備計画に上がっておりまする沿岸漁業の中核漁港となります一種あるいは二種という漁港数は、大規模のものということでしぼられておりますが、沿岸構造改善の計画も、これはただいま昨年から事業を実施しておるわけでございますが、それは沿岸構造改善対策事業指定計画として、農林大臣承認して行なうと、こういうことによりまして、その中においてもやはり先ほど申し上げましたように、地域協議会等で漁港整備というものが取り上げられてくるわけでございます。この中核漁港整備と相待って周辺漁港改修事業あるいは局部改修事業整備するということは、中核漁港機能を高めることにもなりましょうし、また両々相待って沿岸漁業の振興にも相なるわけでございます。ただこれが予算措置であるからあてにならない、こう申されますが、われわれといたしましては、構造改善対策事業として農林大臣承認してこれを計画的に実施するという段階におきまして、また改修計画というものについても、大体五百港程度を予定いたしておるわけでございますが、そういう点につきましても、これは計画的にやはり実施して参りたいということで、御指摘のような心配はないように十分注意してやりたいと思っております。
  140. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 そうしますと、第一種、第二種の漁港については、沿岸の構造改善事業を推進する中で計画的に今後実施していくと、こういうことに了解していいですか。
  141. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 計画を両方よく突き合わして、そういう面で固まったところは計画的に進める、こういうことであります。
  142. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 そういう局部改良といいますかね、そういうようなまあ八千万円以下と申しますかね、あるいは二千万円程度のものもあるわけですが、そういうものをやはり計画的に、全国的にまあある程度年次計画を立てて推進していくことのほうが、しかも、それは漁港法のまあ裏づけというか、そういうものを前提としてやっていくことのほうがより適切であり計画的であると、こういうように思うわけですよ。その点は。
  143. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 整備計画修築事業は、大体八千万円以上という考えでございます。それから、三十八年度から新しく改修事業というものを設けて漁港整備を推進するわけでございますが、これは大体八千万円未満で二千万円以上程度考えております。それにつきましては、やはり相当調査も要しますし、計画的に実施をわれわれは考えておるわけでございますが、局部改良事業というのは、大体二千万円未満の防災的なあるいは補修的な問題でございまして、これは非常に計画が立ちにくい場合もあろうかと存じます。でそういう点につきましては、百五十億の中で随時実施するということのほうが、弾力運営いたします場合において、実情に合おうかと存ずるわけであります。改修計画整備計画と合わせてわれわれとしては計画的に実施して参る、こういうふうに考えております。
  144. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 次に御質問申し上げたいのは、答申案を見ましても第三種漁港を当面整備強化するということで出ております。したがってその一環として、今度の特第三種漁港入港について百分の五十を百分の六十に前向きの形にして一つの法案は出ておるわけでございますが、そこでお聞きしたいのは、これは大型動力船が非常にふえてきたという問題、それから同時にそれに伴って生産力が上昇する過程の中で、稼働範囲が非常に広くなってきたということ、でそういうようなことで水揚げが集中化されてきますために、確かに従来の漁港では、これは特に今度の法案の改正の目的の対象となっている特第三の八港は、これは国内でも重要なことはわかっておるわけでありますが、そういう意味でそれを強化しなければならないということはわかりますが、その陰にはそういう地域におきまして、ほとんどまあ水産資本が著しく進出をしているわけですね。進出をしております。そうするとそこに働くところの漁業労働者といいますか、そういう人たちの生活の環境を改善するという、こういう問題が考えられてくるわけです。そういうことをするためには、具体的の問題としては、それらに対する厚生施設をどういうようにやっていくか、ただ従前のようにいろいろそこで貯蔵、加工あるいはその他の作業をしていく、そしてそこのところの港が強化されて船がたくさん集まってくる、生産力が非常に飛躍的に増大するか知りませんけれども、結局その労働者の収入が低くって、そしてまた従前の漁村みたいな形で生活をしておったのでは、いつまでも近代化の方向にはならぬわけですね。経営者だけが非常にりっぱな、よい着物を着ておって、労働者のほうはきわめて貧弱な姿をしておるということでは、これは近代化に欠けるところがあるわけです。そういうような八港を今度特第三種のこういうところに強化策を重点的にやるわけでございますから、同時に、それについての漁業労働者に対する厚生施設の強化策を今後どのように考えていますかということでございます。
  145. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 漁港法基づきまする機能施設としては、漁船の厚生施設等が置かれておるわけでございますが、まだこれについての補助を出すという段階まで至っておりません。今後の問題としてこれは検討しなくちゃならぬと思います。現状におきましては、こういう大規模特定三種のような漁港におきましては、非常に遠洋の関係の船が入ってきますし、漁船の労務者も非常にそこに集中するわけでございます。そういったところにつきましては、そういう方は船員法の対象になる方が多いわけでございます。そういった点で、船員法の適用される船員につきましては、船員保険法の厚生施設というものもできておりますし、また今後の問題としましては、年金事業等もまた進みます、そういう面からも施設も促進していきたい、こういうふうに考えております。
  146. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 漁船に乗っている人は、それは船員法の適用を受けるでしょうが、ただその水揚げされたものを、消費の拡大ははかるという面において、貯蔵とか加工とかいろいろな仕事をするわけであります。これはおそらく船員法の適用を受けるわけにはいかないでしょう、これは船に乗っているのでなく、陸におるのですから。そういうようなところにおけるやはり生活環境をよくしていくことが必要です。特に食糧である以上は、これはその人たちが、幾らオートメーション化され、近代化され、諸種の機械で製品ができるようになりましても、問題は、その人たちの健康管理ということが、これが重要な問題になってくる。ですから、そういうような漁港をでっかくして生産が集中化されると同時に、そこにおける漁業労働者の厚生施設という問題は、これは将来の問題としていち早く取り上げなければ、漁港整備と並行していかなければならぬ。おそらく日本の水産業は、その収獲高から見ても世界一だ、あっちこっちに相当水産加工品は出回っているわけです。そういう中で、日本の漁業労働者というものは、外国から見ると、これは非常に優遇されていると思っておりますが、ところが、われわれの回ったところにおきましては、そう優遇されたところはない。厚生施設におきましても、公共団体で持っている厚生施設は一つもない。ですから、船に乗っている人たちでなくして、陸勤務の人のそういう問題を今のうちから取り上げていかなければならぬと思います。そこの漁港は栄えて、収入が上がっても風紀が悪くなったのでは、これは近代化でない。金がよけい取れるというだけの話です。ですから、そういう面について、特に食糧ですから、私は健康管理の面からも、厚生施設などの生活環境の改善ということを考うべきだ。それを機能施設として今後拡充強化の対象としなければならぬ、こういうふうに思うわけでございますが、いかがですか。
  147. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 漁船乗組員の漁業者等につきましては、先ほど来申しますように、厚生省あるいは運輸省所管でそういった船員の厚生施設あるいは宿泊所、そういうものは逐次整備されております。この点につきましては、特に厚生省、運輸省と連絡をとってよくしてやらなければならぬと思っております。なお陸上の勤務者の問題につきましては、これは非常にむずかしい問題でございます。これは水産庁の所管をこえる場合もあろうかと存じますが、公衆衛生の面から御指摘のようでございますが、そういう点につきましては、今後の漁港整備動向と合わせましで、厚生省ともよく連絡をとって厚生施設の拡充ということにわれわれも努力したい、こういう考えでおります。
  148. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 厚生省とか、農林省とかという問題は、これは政府や上のお役人さんの考え方なのです。末端の市町村にいけば、みなこれは一緒になってしまう。そういう縦で割り行政の問題でなく、やはり漁港を強化して、それから水揚げを多くして国民食糧を豊富に供給しようというなら、当然水産庁が中心になってちょっと厚生省来てもらいたい、そういう各省の共同の討議資料にして、今から、これを取り上げていかなければ、末端じゃ迷惑するわけですよ。しかも、その間にそこにいろいろの資本というものは、ほんとうに利潤を追求しているわけですから、もうけなければならない、慈善事業じゃないのだから。ですから、かりにそこの従事者が生活環境が悪くて、これは不良品でも出したらたいへんなことになるでしょう。そのころになってから、厚生省が厚生施設なんということでは、これは火事が終わってから消防隊が飛んで行くようなものだ。そういうことじゃなくて、やはり漁港整備をするというからには、基本施設のみに集中しないで、そういう機能施設、さらにそれに加わる延長的な問題も考えていかなければならない。特に今日水産業は生産力を拡充強化するというだけでなくて、豊富にして低廉な海産物を国民に供給する。私のところは海がないわけでございますが、山国の人たちは、これは昔からの風習でもって、肉食よりも魚のほうが好きなんです。魚食を唯一の蛋白資源にしているわけですよ。またそれが山村の経済としては一番安上がりな方法なのです。ですから、そういうような国民食糧を豊富に、山国のほうまで品質のいいものを低廉に出すというためには、私は漁業労働者の地位というものは決して軽く見てはいけない。これは大いに積極的に取り組んでいかなければならぬということを申し上げたい。ですから、機能施設の対象としてこういう問題を今のうちに取り上げて真剣に取り組んでいくことが必要だ。ただ漁港の形だけ整えて、大きな船がそこへ着けばいいのだという漁港整備のあり方は、今後の情勢から見て片手落ちではないかというふうに判断できるわけです。
  149. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 漁港施設といたしまして、機能施設の公共的な地位の取得については、今補助いたしておりますが、そういう上に建てる施設の問題になっておると存じます。この問題につきましては、先ほどからるる申し上げておりますが、われわれとしても機能施設補助対象を広げるという方向で今後十分検討して、そういう点を解決して参りたいと考えております。
  150. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 これは、行政というものは、どこの省であろうが、これは指導的な立場に立って行政をする場合と、それから国庫のお金を出して現実的に財政的の援助をするという二つの方法があるわけですよ。ですから二つの方法が相マッチして初めて完全な行政になるわけですよ。ですから最初のころ指導的な方向においても力を入れていかなければならないと思います。決して今、国が大幅な金を出すというわけじゃない。しかし、そういう声をあげていかないと、漁村の労働者というものは農業従事者よりも悪いわけです。しかもいろいろ季節的に縛られることも多いわけです。年間就労勤務は少ないわけです、今までは。今度加工がたくさん出てきますと、年間就労できるようになるかもしれませんが、健康管理ということが大事になってくる、生活環境の改善ということが大切になってくる。そういう意味で今申し上げたのでございますが、今後そういう方向について厚生省とも一緒にやって協議するということで、一応了承いたします。  それからちょっと聞きたいのは、今後の漁港整備計画に対する財政投資のあり方と、それから融資の面において具体的どういうやり方をするのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  151. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 漁港整備事業あるいは改修事業を進める段階におきまして、これに所要の経費の確保をすることは、重要なことは当然でございます。それで国の負担あるいは補助につきましては、毎年度の予算でこれをできるだけ確保していく、こういうことに相なるわけでございますが、それに伴いまする負担あるいは補助金の確保でございますが、これは県あるいは市町村がこれを負担する、こういうことに相なろうかと思いますが、それにつきましては、県あるいは市町村が単独の経費で、預託があれば負担する、あるいは先ほど申しましたように今は一般単独債でございますので、起債の申請がありますれば、その起債を自治省につないで確保に努めたい、こういうことで参りたい、こういうふうに考えております。
  152. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 今度の財政投資は、これはやはり農業と同じように構造改善という問題と密接な関係を持って考えていくということは、基本的に了承するのです。それから、融資の場合ですが、特に沿岸漁民については、これは今後、臨海工業のための埋め立てであるとか、その他のいろいろ汚水等の関係によって、ますます沖合いへ、あるいは遠洋のほうに進出しなければならぬというようになってくるわけですね、必然的に。そういうような場合には、沿岸漁民というものは、もう資本がないわけでございますから、勢いそこに私は渡辺さんと同じように協業という言葉はあまり好きじゃないのですが、協業でもいい、共同化の方向にいかなければならんということになるわけです。したがって、沿岸漁民の共同化に資するようなやはり政策を中心にして、そうしてそれに対しての沖合い遠洋への進出する道を、金を融資するということで開いてやる、こういうように基本的な方向は了解しておいてよろしゅうございますか。
  153. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 構造改善対策事業で三十七年度から事業を進めております。そういう構造改善対策事業の一環といたしまして、漁場が荒廃する、あるいは汚水のためにこれを沖合いのほうに漁場を求める、あるいは養殖等に転換する、こういった面が相当、構造改善対策事業事業の一環として計画的に上がっております。そういう面の確保については、国の補助金あるいは単独の融資、これは先般、御審議願いました構造改善の資金というもので、低利長期のものが公庫のほうから融資される、こういうことに相なるわけでございまして、御指摘のとおりでございます。
  154. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 このことは抽象的にはわかるのですけれども、現実に今度公庫法を改正して三十八年度に融資する場合には、協業促進は、わずかに二億なんですね。構造改善事業の沿岸漁業の協業促進が六分五厘です。ですからこの点はかなり窮屈過ぎるほど窮屈だと思うのです。特にこれらの協業促進には、農業の協業促進以上に不利な条件に置かれておる場合でありますから、これは。三十八年度にこれをさらに条件を実態に即して改善することは、この場合においては無理なことでありましょうけれども、大臣も答弁されておるように、それらは総体として金利三分五厘資金に整理をするように今後配慮をするという御答弁もありましたので、特に主管されておる水産庁の長官としては、この点は今後の課題として、より効率的にこれが協業化の促進に役立つような措置を御配慮願いたいと思いますが、この点はいかがですか。
  155. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 沿岸漁業の構造改善に対策は再三申しますように、昨年から地域を指定し、その調査が済んだ所から事業にかかっているわけでございます。そういう中におきます、そういった生産性を高める事業といったものにつきましては、構造改善対策事業資金の中で、補助並びに融資ということで見ていくわけでございます。今御指摘になりました沿岸漁業協業化の促進資金というのは、構造改善対策がまだこれから計画を立て、実施していく地区のものがワクが二億、こういうことでございまして、沿岸漁業構造改善に対策地区の中におきましては、補助並びに低利融資ということに相なるわけでございます。なお、沿岸構造改善地区以外の協業化につきましても、御指摘の点は、十分考えて参りたいと思います。
  156. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 あの最後に、お聞きしたいのですけれども、この審議会の構成の中から水産庁の長官がおやめになったことは、きわめて適切なことであろうと思います。これは賢明な方法ですが、その委員をあと一人補充するわけですか。
  157. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) おほめにあずかった次第でございますが、審議会の委員は、漁港法で九名ということになっておりまして、その一名は水産庁長官の職にある者、こういうことになっております。それを削除いたしますので、一人欠員になるわけでございます。で、漁港の今後の重要性等を考えて、水産業全般、あるいは漁港についての学識経験の深い人を補充して参りたい、こういうように考えております。
  158. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 衆議院の附帯決議を見ますと、「漁港行政の重要性にかんがみ、漁港審議会の構成及び運営について拡充強化を図ること。」と、こうありますが、私は衆議院の審議内容を会議録では見ておりませんから、詳細はわかりませんが、やはり普通の審議会には国会の中からも、ある数が入っておる審議会が多いようです。そういうところまで、将来拡充していくという用意的な考え方がありますか。
  159. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 漁港審議会の委員の資格でございますが、漁港法の第九条に「漁港整備について、充分な知識と経験を有する者、漁港修築に関する技術について、充分な知識と経験を有する者、漁港の運営について、充分な知識と経験を有する者、漁業に関し、充分な知識と経験を有する者」と、こういうふうに相なっておるわけでありまして、委員は九名ということに相なります。先ほど申しましたように、水産庁長官のあきましたあとは、やはり漁港並びに水産業全般についての経験者を補充していきたい、こういうように考えておるわけでございます。なお九名で非常にこれまで熱心に運営されておりますが、衆議院においては九名で、もう少し人員を拡充する必要があるのではないか。拡充する場合においても、国会議員等でこういった漁港なり水産業に知識と経験のある方がおられますから、そういう方を委員として入れたらどうか、こういう御意見があったわけでございます。われわれといたしましては、現状九名につきましては、国会議員を入れる余地もないかと思いますし、また現段階におきまする運営においてもその必要はないかと思います。いろいろ見解なり観点の相違もございましょうが、拡充する場合においてそういう点も含めて検討して参りたいということでございます。
  160. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 審議会は、将来長官としては拡充しなければならぬということですね、意見としては。
  161. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 衆議院の段階におきまする審議過程において、そういう御指摘があって、附帯決議に相なったわけでございますので、付帯決議の趣旨を尊重いたしまして、そういう点の検討をこれからやりたい、こういうふうに申し上げた次第であります。
  162. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 そこで、これはいろいろ論議の中からおわかりになりますように、漁港審議会の委員というものは、これを見ますというと漁業に携っている人たちが多いようです。しかし、これからは総合開発の一環として経済地域圏の確立をしていくのだ、こういう大眼目があると、これはそこにおける漁港整備拡充から始まって、それから漁港にまつわるところの加工とかという問題が非常に急速に進展してきます。そうすると、さっき私の言うように、そこに従事する労働者の生活改善の問題も出てくる。したがって、やはり総合開発的な意味と、それから漁民の生活の安定というような問題からも、そういう方面からもやはり審議会の委員に入れて総合的の運営をいしていくことのほうが将来としてはよろしと、こういうふうに思うわけであります。したがって、私ども参議院のほうではこういう付帯決議はいたしませんが、意見として、私は衆議院の付帯決議と同じような意見を申し上げて、きょうは質問を打ち切ります。
  163. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 他に御発言もなければ、これにて両案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  164. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 御異議ないものと認めます。よって、さよう決定いたしました。  本日は、これをもって散会いたします。    午後三時四十八分散会