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政府委員(
庄野五
一郎君) 北太平洋におきまする漁業問題でございます。北太平洋の漁業につきましては、御承知のように日本とアメリカとカナダの三国条約によりましてこの取りきめがなされているわけでございます。それで大体ベーリング海それからアラスカ海、アラスカは、こういったところが漁場でございますが、日・米・加の三国条約の規制される水域というものは、西経百七十五度以東ということに相なっております。そこにおきまする条約の
根幹をなすものは、いわゆる自発的抑止の原則ということによりまして、西経百七十五度以東におきますサケ、マスというものは、自発的抑止の原則を満たしておるということで、ただいま日本としては自発的に漁獲を抑止している、こういうことに相なっております。
それから条約の対象になっておりまするオヒョウにつきまししては、昨年の十一月の日・米・加の漁業
委員会におきまして、この条約の規制区域におきまする東ベーリング海の、西経百七十五度以東の東ベーリング海におけるオヒョウにつきましては、いわゆる自発的抑止の三条件を満たしてないということで、
委員会から各国、日本とアメリカとカナダにそういう自発的抑止の原則を
充足してないから、これは削除すべきだ、こういうアブステンションが出されたわけでございまして、これを日本、アメリカ、カナダが受諾いたしまして、条約の附属書から東ベーリング海におけるオヒョウの自発的抑止の原則が削除される、そういうことになりまして、初めて日本はオヒョウが取れる、こういうことに相なるわけでございます。そこで、昨年十一月シアトルでそういう
委員会において勧告がなされたわけでございまして、日本といたしましては、今年二月二十四日と思いますが、これを閣議決定して受諾を通告いたしました。
それから、アメリカは非常に漁期が真近になりまして、三月二十三日に大統領がこれに署名をして受諾をしたという通告に接しております。カナダは、御承知のように今年不信任案が通りまして解散して、ただいま管理内閣として選挙中でございまして、一方、カナダの太平洋岸におきまする
漁民は、このアブステンションの原則を削除するということに非常に反対している。そういった事情もこれあり、われわれといたしまして再三カナダに早く受諾の通知、受諾をされるように、こういう要請をいたしておりますが、いまだに落ちない、こういう状態でございます。これで条約上はやはり三国全部が勧告を受諾したときに、初めて日本はオヒョウの漁獲ができる、こういうことに相成るわけでございまして、ただいまのところはまだカナダがこの受諾をしていない、こういう状態でございますので、アブステンションの原則はまだ削除されていない、こういう状態で日本といたしましては条約を忠実に守るという立場から、オヒョウの漁期は三月二十五日から始まるわけでございますが、従来どおりとらないように、こういう注意の措置をいたした次第でございます。で、このオヒョウのアブステンションの削除するという勧告が昨年の十一月シアトルで決定いたしまして、すぐ三国政府に
委員会から通告いたしたわけでございますが、なおアブステンションの原則をはずすにつきましては、オヒョウの資源保持というものを
考えなくちゃならぬということで、ことしの漁期に間に合うという想定のもとに、本年の二月東京におきまして日本とカナダとアメリカの
委員が集まってオヒョウの、東ベーリング海におきまするオヒョウがアブステンションからはずれた場合におきまする共同保存措置につきまして審議をいたしまして、共同保存措置につきましても、各国政府に二月の終わりにしたわけでございます。それでわれわれといたしましては、当然三月二十五日の漁期前には、各国政府がこれを受諾して、本年から日本も漁獲には参加できる、こういう想定であったわけでございまするが、不幸にしてカナダの国内事情等もあり、いまだに落ちないということは、まことに遺憾に存じておるわけでございまして、この点については、外交チャンネルを通じましてカナダ政府にも再三要請している次第でございます。
なお、今後の見通しとして、四月の七日か八日に総選挙だそうでございますが、その後に相なるのじゃなかろうか、こういうふうにわれわれは
考えておる次第でございます。