○木島義夫君 関連
質問になりますが、私、結論的に申し上げますと、今度、国で五千
町歩以上というような
面積の
一つの線を引いて法案をやろうとしておるようでございます。
森林組合合併促進法案で政令のほうでやるということになっているのでありますが、私この五千
町歩ということは、なるほどいわゆる奥山の
森林地帯では五千
町歩でもいいが、
町村において五千
町歩以上のところはたくさんあるでしょう、あるでしょうが、そうでないところがむしろ
全国で多い。私はかりに、ちょっと調べてみましたところが、
全国で
民有林の
面積、これを
町村数で割ってみますと、一
カ町村の
森林の
面積というものがだいぶ下ってくると思うのです。で当局では、
全国の
平均が五千百八十六ヘクタールだから五千
町歩以上指定しても差しつかえないというような
考えを持っているようでございますが、北海道のようなああいう広いところは除外例でありますから、北海道を除いてやってみますと、ちょうど一
カ町村の
平均が四千六百六十
町歩というものが出てくる。そうすると
全国の
平均が四千六百六十
町歩であるにかかわらず五千
町歩以上ということになると、羊頭を掲げて狗肉を売っているような感じで、政府は
助成する
助成するといったって、われわれの千葉県のような関東の大部分のところは、
山林はそうないのですよ。
助成を得ようとしても、サルが木の上に乗っかって月を取ろうとしているのとちっとも変わらないので、いつになったら手が届くかわかりません。大体私から言いますれば、
林野庁の現在の行き方というのは、
地域格差というようなものについては、
森林について逆であります。大
森林地帯には重点を置いてやっているけれ
ども、そうでないところは、いつもいつも見殺しにしている。たとえば林道の問題にしても、たんぼやなんかがまじっているところの山では、今まで、数年前までは、全然、林道というものを、そういう
地域において認めない、認めたとしても、これは多目的林道として、ようやく認めるようになったけれ
ども、これに対する
助成というものは、わずか三割かそこらでほうっちゃっておる。しかし林道の効果というような上から
考えてみたならば、そういうようなところが数倍も価値があると私は思うのであります。現に、ドイツなどは、
林野庁の方は、そういうことを世界中調べておられるでしょうが、私
どももちょっと、数年前、
森林を調べる目的でヨーロッパ九カ国を歩いてきましたけれ
ども、ドイツの
森林地帯、いわゆるブラック・フォレストというから、どんなにたくさんあるのかと思って行ってみますと、畠あり山あり、山あり畠ありで、りっぱな林道を作っておる。こういう状態で、いわゆる多目的林道がよい林道でありますから、これを区別するのはおかしいです。深い山に対しては五〇%から七〇%を
助成しています。ところが、われわれのほうの
地域には三〇%しかやらないと、全く
地域較差というものが逆になっておるのですね。しかも、そういうところこそ、今後
森林の育成が百パーセントにできる場所をそういうふうに虐待しておるのです。これははなはだいかん。われわれ千葉県のごときは、たしか、全
面積の三〇%と思います、
全国のパーセンテージの約半分ぐらいでありますが、いつもいつも、そういう虐待を受けておるわけなんであります。いわんや、北海道を除いた
町村の
平均が四千六百六十ヘクタールとするならば、五千ヘクタールということを
全国の
平均よりも上にするということは、これを手っ取り早い話で言うならば、大部分の、半数以上の
町村が、この恩恵に浴し得ないということを具体的に示すものであります。こんな標準をとるということは、
林野庁当局は頭がどうかしておると思うのですよ、私
どもの常識から言えば。古くは、三千
町歩ということを目標として統合をやっておったようであります。それからまた、一農家として、これはどこの地方でも適用されておるかどうか知りませんけれ
ども、
一つの大きな
森林経営者が三百
町歩持っておれば、
森林だけで一生食っていけるのだと、こういうようなことも言うわけです。これは、約三十年間木を植えていけば、順々に、十
町歩ずつやっていけば、十分よろしいと、また三十年がくると、こういうようなことがいわれておるのであります。しかしもとと今は、
森林の
経営形態に対する
考え方は違っておると思うのです。たとえば、昔は、一
町歩に対して松や杉を三百本植える、一坪一本だということだった。近ごろは、その倍とか、もしくは、さらに三倍とかいうような育成法をとっておるようであります。そして
木材の需要も、枕木とか、もしくは小角もの、そういうものの需要が多いので、大ものは外国から輸入したほうがいいというようなことになっておるのですから、だから、
もっともっと、三百
町歩をもって
経営の本体としたところで、そうやっておいて、山に残しておく人間が減ってきて、二分の一とか三分の一ですから、そうすると、今日の
考え方から参りますと、一農家としても、百五十
町歩とか、もしくは百
町歩でも、りっぱに
経営してやっていける時代がきたと、こう
考えておるわけです。そう
考えたときには、三千
町歩という標準を、その半分にしてもいいじゃないかというような議論も、ここにできてくるわけであります。そこで
林野庁においても小さな規格で非常に後進性が強いと、こういうことを言われているのですが、この
森林の
事業が後進性だということは、失礼な話ですが、
林野庁が怠慢であったからこういう後進性になっていると、私はそう思います。なぜならば、原始産業としては農業、
林業、漁業と一応
考えられるのですが、この三つの業のうちで一番おくれているのは、これは
林業であることは明らかなことであります。したがって、この機会にもっと周密に、
森林のことについて、政策を立てていく必要があると思うのです。しかるに、ここに初めて
森林に対する政策を打ち出したのはいいけれ
ども、何だか話によると、大蔵省の
関係もある云々ということを言っておりますけれ
ども、五千
町歩というようなのはあまりに大き過ぎる。一
カ町村も、今の一方
町村というもの、数年前の三
カ町村もしくは四
カ町村の集まりであります。ですから、数年前に比べれば、
町村の数は三分の一以下になっているのです。ですから、この
町村を
単位として、
森林組合のほうも方針を立てる必要があるのじゃないか、そう
考えたときには、どうしてもわれわれは、五千
町歩というものが、あまりにも大き過ぎる。現在、われわれ農協にも
関係を持っております。今農協も新しい
町村を標準にして
合併せいということになっておりますが、これは経済団体であるから、
町村の
合併のようにそう簡単にスムーズにいかぬというようなことで、これもまた政府で騒いでいるけれ
ども、そうはかばかしく進んでいないのです。また
森林組合においても同様であります。そこでわれわれ現地にいる者は、
町村単位に
森林組合をまとめることに今大わらわ、こういうときにあたって、一
カ町村をあげてやるということは、まず第一義的な目的であります。ですから、この一
カ町村を準位にしてまとめれば、何とか
助成にあずかるというようなわれわれは希望を持たんければ、ほんとうに仕事を進めていくことができないのです。ですから、五千
町歩も必ずしも悪いとは言いません。言いませんが、そういう過渡期の場合でありますから、
助成の範囲を、少なくとも三千
町歩とか二千五百
町歩とかいうようなところへ、「おおむね」という文字があるけれ
ども、おおむね五千
町歩というのを、まさか三千
町歩もしくは二千
町歩では適用できないと思うのですよ。だから、少し勉強すればできる、いわゆる
町村単位でそれができるということでなければいかぬと思うのです。なぜならば、
組合長の問題とか、役員の問題とかいうようなことも、実際上は大きな問題であるのですよ。それを甲の
町村から出さなければならぬ、乙がどうだとか、これは県では
合併町村によって、そういう問題がたくさんあるでしょう。
町村というワク内においてさえ起こっているわけです。
町村のワク外においてこれをやるということは、なかなか抵抗が多いのですよ。ですから、私は、これを、少なくとも三千
町歩もしくは二千五百
町歩というようなところへ、一応標準を持っていく意思はないか。もし、どこまでも五千
町歩というならば、それもいいでしょうが、しかしそれは猶予期間を置いて、そうして漸進的に事を運んでいく必要がある。それが最も実際的じゃないか、こういうふうに私は
考えるのですが、これについての御
意見を先に伺っておきます。