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1963-02-07 第43回国会 参議院 農林水産委員会 第4号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十八年二月七日(木曜日) 午前十時三十四分開会
—————————————
二月七日
辞任
補欠選任
山口
重彦
君
亀田
得治
君
—————————————
出席者
は左の通り。
委員長
櫻井
志郎
君
理事
青田源太郎
君
渡辺
勘吉
君 北條 雋八君 森 八三一君
委員
植垣弥一郎
君 梶原 茂嘉君 木島 義夫君 中野
文門
君 温水 三郎君 藤野 繁雄君 堀本 宜実君
大河原一次
君
亀田
得治
君 北村 暢君 矢山 有作君
安田
敏雄
君 牛田 寛君 天田 勝正君
政府委員
農林政務次官
大谷
贇雄君
農林大臣官房長
林田悠紀夫君
農林省農地局長
任田
新治
君
運輸省港湾局長
比田
正君
事務局側
常任委員会専門
員
安楽城敏雄
君
説明員
農林省農地局管
理部長
桧垣徳太郎
君
運輸省港湾局参
事官
岡田 良一君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
理事
の
辞任
及び
補欠互選
の件 ○
開拓者資金融通法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
) ○
農林水産政策
に関する調査(
農林水
産物資
の
港湾荷役作業料金
に関する 件)
—————————————
櫻井志郎
1
○
委員長
(
櫻井志郎
君) ただいまから
委員会
を開きます。 まず、お諮りいたします。
安田敏雄
君から、
理事
を
辞任
したい旨の申し出がございました。これを許可することに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
櫻井志郎
2
○
委員長
(
櫻井志郎
君) 御
異議
ないと認めます。 つきましては、この際、
委員長
は、その
補欠
として、
理事
に
渡辺勘吉
君を指名いたしたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
櫻井志郎
3
○
委員長
(
櫻井志郎
君) 御
異議
ないと認め、さよう決定いたしました。
—————————————
櫻井志郎
4
○
委員長
(
櫻井志郎
君) 次に、
委員
の変更について御報告申し上げます。 本日、
山口重彦
君が
委員
を
辞任
され、
亀田得治
君が
委員
に選任されました。
櫻井志郎
5
○
委員長
(
櫻井志郎
君) これより
開拓者資金融通法
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
とし、
提案理由
の
説明
並びに
補足説明
及び
提出資料
の
説明
を聴取することにいたします。
大谷農林政務次官
。
大谷贇雄
6
○
政府委員
(
大谷贇雄君
) ただいま
提案
になりました
開拓者資金融通法
の一部を
改正
する
法律案
の
提案
の
理由
を御
説明
申し上げます。 戦後
緊急開拓
に始まった
開拓事業
はすでに十七年を経過し、現在
全国
で約十五万戸の
開拓農家
が
農業
に従事しております。
政府
はこれら
開拓農家
の
営農
を早期に安定させるため、従来から
建設工事
、
営農施設
の整備を促進する等各般の
施策
を講じて参り、特に
開拓者
に対する
助成措置
の最も重要な一環である
融資
の面におきましては、
各種農業用施設
、
住宅
、
共同利用施設等開拓者
の
営農
の基盤となる諸
施設
の取得または設置に要する
資金
につき
開拓者資金融通特別会計
から
長期低利
の
融資
を行なってきたのであります。 さらに
昭和
三十二年に
開拓営農振興臨時措置法
が制定されましてからは、
開拓者資金
の
融通
の面におきまして、
既入植者
の
営農
の
振興
に重点を置き、同法の要
振興農家
に対しては、年利五分五厘、
償還期間
十五年、
据置期間
六年以内のいわゆる
振興対策資金
を
融通
し、その
営農振興
上
相当
の効果をもたらすことができたと考えられます。 しかしこの反面、
自立
の
精神
と
相当
の
経営的能力
を有しながら、
立地条件
の劣悪、
資本装備
の
不足等開拓者自身
の責に帰しがたい
事由
により、いまなお
営農
の確立していない
開拓農家
も少なからず見られるのが
現状
でありまして、
政府
は、
開拓営農振興審議会
の
答申
に基づき、これらの
開拓農家
が自発的に
営農
の
振興
をはかろうとする場合に、少なくとも近傍における在来の
中庸専業農家
の水準にまで到達させることを目途とし、新たな観点に立って
昭和
三十八年度から新しい
営農振興計画
を
樹立
して参りたいと考えております。 このような見地から
既入植者
に
貸し付け
る
資金
の
償還条件
の
緩和
をはかる等の必要があると考え、本
法案
を提出した次第であります。 次に、
法案
の
改正点
について御
説明
いたします。 第一は、
開拓者資金融通特別会計
から
既入植者
に
融通
いたしておりました
資金
の
利率
を五厘引き下げて五分といたすことであります。 第二は、従来
既入植者
のうち
開拓営農振興臨時措置法
の要
振興農家
以外の者は、いわゆる
振興対策資金
を借りることができず、また
開拓者資金
を利用できる場合であっても、
償還期間
五年、
据置期間
四年以内という短期の
資金
しか利用できないという不利な立場に置かれていたわけでありますが、この際、広く
既入植者
全体の中から
償還期間
及び
据置期間
の
長期
の
資金
の
貸付対象者
を選定し得る道を開いたことであります。 これは
開拓営農振興臨時措置法
に基づく
振興対策
を実施して以来、
既入植者
の間に
相当
の格差が生じており、また、同
法施行
時におきまして
不振開拓者
がすべて要
振興農家
となる機会を有したわけでもなく、現在では
長期資金
を
貸し付け
るべき
対象者
を要
振興農家
に限定することが妥当とはいいがたい事情になっていることによるものであります。 以上が
開拓者資金融通法
の一部を
改正
する
法律案
の
提案
の
理由
であります。何とぞ慎重に御
審議
の上、すみやかに御可決下さいますようお願い申し上げます。
櫻井志郎
7
○
委員長
(
櫻井志郎
君)
農林省任田農地局長
。
任田新治
8
○
政府委員
(
任田新治
君)
開拓者資金融通法
の一部を
改正
する
法律案
について、若干補足して御
説明
を申しあげます。 戦後
開拓地
に
入植
して現在
農業経営
を営んでいる
農家
は、十四万七千戸でございまして、これら
農家
の
開墾面積
は、約三十五万四千
町歩
に達しております。なお
増反者
の
開墾面積
を加えますと、
開拓地
における
耕地面積
は約五十一万一千
町歩
になっております。これは
全国
の
耕地面積
の約八%に
相当
するもので、
開拓地
における
営農
も年々進展をみせており、特に果樹、
畜産物
を中心とする
生産
の増加となって現われております。ちなみに、
昭和
三十六年度の粗
生産額
はおおむね五百十九億円で、四、五年前に比較して
年間
一二%をこえる
伸び率
を示しております。 このような
開拓者
の
営農
に必要な農舎、畜舎その他の
施設
、農具、大
家畜等
の基本的な
装備
のための
資金
は、主として
開拓者資金融通法
に基づき、
開拓者資金融通特別会計
から
融通
して参ったのであります。この
法律
が
昭和
二十二年に制定されました当時は、
開拓者
の
入植
時の
創業資金
を
融通
することを目的としたものでありましたが、その後、
既入植者
に対する
追加資金
も
政府
から
融通
するようにとの要請が強まり、
昭和
二十七年
法律改正
により、
既入植者
に
耕作
の
業務
に必要な
資材
または
施設
を取得し、または設置するのに必要な
追加資金
を
貸し付け
る場合の
償還条件
に関する
規定
が設けられたのであります。これが今回
改正
をお願いしております第二条第二項の
規定
が設けられた経緯でありまして、以来この
規定
による
融資条件
で
家畜資金
、
営農改善資金
、
振興対策資金
及び
営農促進資金
を
貸し付け
て参ったのであります。 この間
融資条件
も何回か
改正
をみたのでありまして、たとえば、
据置期間
を含む
償還期間
は、
昭和
二十七年当時五年以内でありましたのが、
昭和
三十一年には一般的に八年以内、
昭和
二十八、二十九両年度の
連年被災者
で政令で定めるものについては十二年以内に、
昭和
三十三年には
開拓営農振興臨時措置法
の要
振興農家
について十二年以内に、
昭和
三十五年には一般的に九年以内、要
振興農家
については二十一年以内に、それぞれ延長されたのであります。 さらに、
昭和
三十五年には
開拓者資金融通法
による
政府
の
貸付金
の
償還条件
の
緩和等
に関する
特別措置法
により、要
振興農家
その他の
営農
の基礎が不安定な
開拓者
に対する
既貸付契約
にかかる
貸付金
の
償還条件
を
緩和
する
措置
を講じたのであります。 その後、
昭和
三十六年十一月
開拓営農振興審議会
から今後の
開拓
のあり方及び
既入植者
の
営農振興
に関する
答申
が行なわれたのでありますが、その中でも指摘しておりますとおり、
開拓者
の中には、
自立
の
精神
と
相当
の
経営的能力
を有しながら、みずからの責にのみは帰しがたい
事由
により
営農
の不振に悩むものが少なくない
現状
でありまして、
既入植者
の
営農
を
振興
するための新たな
施策
が要請されているのであります。 このような実情にかんがみ、
政府
は、
昭和
三十八年度から新
営農振興計画
の
樹立
に着手することといたしたのでありますが、今後
既入植者
に
貸し付け
る
資金
につきましても、
利率
を引き下げ、
償還期間
及び
据置期間
を延長する必要があると考えまして、この
法律案
を提出した次第であります。 以下その
内容
を簡単に御
説明
いたします。 第一の
改正点
は、
既入植者
に
耕作
の
業務
に必要な
資材
もしくは
施設
を取得し、または設置するのに必要な
資金
を
貸し付け
る場合の
利率
は、第二条第二項により五分五厘と定められておりますが、これを五厘引き下げて五分とするよう同項を
改正
いたすことであります。 第二の
改正点
は、
耕作
の
業務
に必要な
資材
もしくは
施設
を取得し、または設置するのに必要な
資金
を
既入植者
に
貸し付け
る場合の
据置期間
を含む
償還期間
は第二条第二項により九年以内と、
据置期間
は第二条第五項により四年以内と定められており、
開拓営農振興臨時措置法
の要
振興農家
につきましては、
附則
第三項の
規定
により
据置期間
を含む
償還期間
を二十一年以内と、
据置期間
を六年以内と、それぞれ読みかえて適用されることとなっておりますのを、
既入植者
に
貸し付け
る場合の
据置期間
を含む
償還期間
及び
据置期間
を、一律に要
振興農家
に
貸し付け
る場合の
現行
の
条件
と同様にするよう第二条第二項及び第五項を
改正
し、それに伴い不要となります
附則
第二項及び第三項を削除することであります。 この
改正部分
の
必要性
をさらにこまかく御
説明
申し上げますと、
開拓営農振興臨時措置法
の要
振興農家
となりますためには、第一に、同法に
規定
する
開拓営農振興組合
の
組合員
でなければならなかったのでありますが、
開拓営農振興組合
になるには、同法第二条第一項各号で定められている要
振興農家
たる
要件
に該当する
開拓者
の数が、
農林省令
で定める
基準
に達している旨の
都道府県知事
の認定を受けた
農業協同組合
でなければならなかったので、
振興
を要する
開拓者
がありながら、その数が
農林省令
で定める
基準
に達しない場合には
開拓営農振興組合
になれず、したがって、そのような
開拓者
は要
振興農家
になれなかったのであります。第二に、
開拓者個人
につきましても、同法は
農業
総
収入
または
負債
の
年間
要
償還額
のいづれか一に該当することを要
振興農家
たる
要件
といたしておりましたが、この
基準
が
農業
総
収入
につきましては
入植
後五年以上、
負債
の
年間
要
償還額
につきましては
入植
後二年以上の
実績
を有する場合につき定められておりましたため、
入植
後日の浅い者は、その実態から見るならば
振興対策
の
対象
となるべき状態にありながら、要
振興農家
になり得なかったのであります。 以上申し述べましたように
償還期間
及び
据置期間
の
長期
の
資金
の
貸付対象者
を要
振興農家
に限定いたすことを改め、
昭和
三十八年度から新
営農振興計画
の
樹立
に着手するにあたりまして、
開拓営農振興臨時措置法
の要
振興農家
であるといなとにかかわらず、
償還期間
及び
据置期間
の
長期
の
資金
を
貸し付け
る
対象者
を、
既入植者
全体の中から選び得ることといたそうとするのがこの
改正案
であります。 以上簡単ではございますが、これをもちまして
開拓者資金融通法
の一部を
改正
する
法律案提案理由
の
補足説明
を終わります。 なお、本月差し上げてございます
資料
の中につきまして
補足説明
をさしていただきたいと思います。
横書き
ので「
開拓者資金融通法
の一部を
改正
する
法律案参考資料
」というのがございますが、その中にまず第一ページといたしまして「
開拓者資金融通法
による
現行貸付金一覧表
」でございます。この
一覧表
を若干簡略化したのがもう一枚入ってございまして、同じ表題になっておりますが「
現行貸付金一覧表
」となっておりますが、この二枚をまず
説明
の
対象
にいたしたいと存じます。 これは先ほど
説明
申し上げましたいろいろの
貸付条件
がこの
法制定
以来起こっておるわけでありますが、それを分類した表でございます。この表の中で、
摘要
のところでいろいろ
貸付
の
対象
になる、たとえば
施設
を取得する、あるいは設置するというものにつきましての
説明
がございますが、あまりに簡略に過ぎたのでございますので、
貸付対象物件
というものを別途に一枚刷りでそこにこまかく入れてございますのが、
別表
の一枚でございます。 まず
資金
の種別でございますが、先ほども申しましたとおりでございますが、簡単に申し上げますと、まず第一点としまして
基本営農資金
がございます。これは
入植
当初に三カ
年間
にわたりまして逐次
融資
をいたしておるものでございまして、三分六厘五毛の
低利
でもって、二十一年の
償還期限
でもってやっておるわけでございまして、その据え置き中は、
利子
は無
利子
ということでやっておるわけであります。この
対象
の
物件
といたしましては、
家畜
、農機具、その他
農用施設
、それから種苗、
飼料
、
入植
の当初でございますので、
肥料
の心配もいたそうということで、
肥料
、
飼料
、農薬もこの
対象物件
にいたしておるわけでございます。 それから次は
振興対策資金
でございますが、これも先ほど
説明
申し上げましたように、経営不振になりましていわゆる
振興臨時措置法
に該当するところの
農家
を
対象
といたしまして、引き続き
基本営農資金
を補足するような
考え方
からこの
融資
をしておるわけでありまして、二十一年以内、それから
据置期間
は六年以内ということでございますが、
基本資金
よりも、これは第二回目というような
考え方
に立ちまして、
利子
は
据置期間
はあるということになっておるわけであります。 それから次は
営農促進資金
でございますが、
振興法
ができ上がった当時は、その
振興法
が
昭和
三十四年の三月に公示されましたわけですが、その三月から五年以前の
既入植者
、すなわち
昭和
二十九年というところ以前のものを
振興対策
の
対象
にしておったのでありまして、それからその後の、二十九年から三十二年までの間という
方々
は要
振興入植者
というものの
対象
に当時はならなかったが、それをどうしても、年がたつにつれて
不振開拓者
となる場合に救う道がなければならないということで、
営農促進資金
という
制度
を作りまして、二十九年から三十二年までの間の
貸付
を、その間に
入植
した
方々
を
対象
にいたしまして、
昭和
三十六年、七年に
融資
をいたしておるわけでございます。 それから第四番目は
共同施設資金
でありまして、これは
組合
に対しまして、
開拓農協
に対しまして
融資
をするということで、
農畜産加工事業
に対し、また必要な
関係
の建物、
施設
というものに対して
融資
をするということでやっておるわけでございます。 それから、
別表
の方はこの程度で終わっておりますが、この第一ページの方に参りますと、(二)といたしまして、「
機械開墾地区開拓者
」ということで、第一種
資金
、第二種
資金
と、二通りのものがございます。この基本的な
考え方
といたしましては、この第一の、「
一般地区開拓者
」と同様でありますが、そちらの
摘要
の欄にございますように、
機械開墾
をやっておる
地区
がございます。東北の方の
上北地区
、
北岩手
の
地区
がございますが、このような
地区
に対して二十万円を
限度
とした
融資
をするものにつきましては、このような
条件
で貸す、また
根釧地区
につきましては二十二万円までを
限度
とするものにつきましては、こういう
条件
で貸すということになっておりますが、第二種の
資金
になりますと、それ以上の分についての
条件
を書いてございまして、幾分
条件
が悪いと申しますか、そういうことにしておるわけでございます。しかし基本的には、
考え方
としては、
一般地区
と同じような
考え方
で進んでおるわけであります。 それから次は、第二ページでございます。第二ページは、「
昭和
三十六年度末迄の
開拓者資金融通法
による
貸付累計額
」でございます。第一表にございましたそれぞれの
貸付
の
実績
でございまして、
営農資金
、これは
基本営農資金
としまして百五十三億、
住宅資金
としまして五億九千万という工合に並んでおりますが、
営農改善資金
と書いてございますのは、
昭和
三十一年度から三十三年度までに
貸し付け
をしておるものでございまして、いわゆる
連年被災者
に対する分でございます。それから
振興対策資金
は、法に基づいた分でございます。また、
家畜資金
の方は、
入植
後三年以上の
開拓者
に対しまして乳牛、役畜のための
貸し付け
をやるということで三十三年度までやっておるわけでございます。それから
営農促進資金
と申しますのは、これも第一ページにございましたが、今回これの必要もなくなる、一括される性質のものでございます。それから
機械開墾地区資金
は、前表の第二種のになるわけでございます。総額にいたしまして約二百八十四億六千三百万円ということになっておるわけでございます。 それから第三の表といたしまして、「
昭和
三十六年度末
開拓者資金特別会計
による
貸付残高
」というのがございます。これは御承知のとおり、
条件緩和
の
法律
が出た当時の
資料
に基づいてここに掲載いたしたわけでございますが、
整理
をいたしまして、いわゆる
利率別
に三分六厘五毛のもの、五分のもの、五分五厘のものということで
利率別
に
整理
をいたしたわけでありますが、
利率別
によりまして百二十九億、八億二千四百万、九十一億というように出ておるわけであります。なお、最後に出ておりますのは、
履行延期等
の
債権
、
法定和解調停
によって新たに
負債
がきまったものにつきまして一億三千三百万がございます。合計いたしまして二百二十九億円でございまして、この第二表と第三表の比較におきまして五十五億円が返済されたということになるわけでございます。 次は、第三ページでございます。
昭和
三十八年度
開拓者資金融通法
による
貸付予定額
、これは三十七年度と三十八年度の
計画
でございます。三十七年度は成立した予算でございます。 次は、第四ページの5でございますが、
条件緩和措置実施状況
ということで並べてございます。
債権額
がそれぞれ
利率別
に並べてございますが、これにつきまして三十五年度制定されました
条件緩和法
の法第一条一号、これの
措置
につきましての金額、同じく一条三号、法第二条、法第五条ということでそれぞれの仕訳を書いてございます。その注にございますように、この法何号というふうに中身を簡単に書いてございますが、
据置
の
期間
、
償還期間
というものをそれぞれ書いてございます。 それから次は第五ページでございますが、
貸付金財源借入
及び三十六年度末
残高状況
ということでございます。当初は、
昭和
二十二年、三年は、
国庫債券発行
によりましてまかなっておったわけでございます。ところが、その後
昭和
二十四年から二十九年度までは、
一般会計
の繰り入れによって実施しておりました。また、三十年度からは
資金運用部
の
資金
の借入金によりましてやったということでございます。
あと
一昨年の十一月に
開拓営農振興審議会
の
答申
を得ておりまして、それに基づきまして極力その
答申
を尊重いたしまして、今後の第二次
振興対策
を立てておるわけでありますが、その
答申
の印刷物を配付してございます。
あと
はそこにもございますように、
改正
の要点につきましてそれぞれ傍線を引いてございますが、そのような
内容
になっておるわけでございます。 簡単でございますが一応御
説明
いたします。
櫻井志郎
9
○
委員長
(
櫻井志郎
君) 以上をもって
説明
は終わりました。
—————————————
櫻井志郎
10
○
委員長
(
櫻井志郎
君) 次に、
農林水産物資
の
港湾荷役作業料金
に関する件を
議題
といたします。 質疑のある方は、御発言願います。
森八三一
11
○森八三一君 ただいまの
港湾荷役料金
の問題でありますが、ただいま
運輸省
の
港湾局
から当
委員会
に提出せられました
資料
によりますというと、今年の一月六日に
運輸大臣あて
に
料金
の
引き上げ改訂
に関して
関係業者
のほうから
手続
が取り進められておるようであります。そこで、その模様についてまず
最初
にお伺いをいたしたいと思いますが、この
手続
は、
港湾運送事業法
第九条に基づきまして行なわれておるものと理解をいたします。その九条によりますると、この業を行ないまする者は、
現行法
の制定されましたのは
昭和
三十四年の三月
改訂
に端を発しております。その
改正
の際における
附則
の
規定
するところによりますと、三年以内に従来の
登録制度
でありましたものを
免許制度
に切りかえるということに相なっておる。そこで、
最初
にお伺いいたしたいことは、
事業法
によりまして、その
手続
がどういうように進んでおるのかということを確かめたいのであります。
比田正
12
○
政府委員
(
比田正
君) まず
最初
の御
質問
に対してお答えいたします。ただいま御指摘がございましたように、
港湾運送事業法
は、
昭和
三十四年に
改訂
いたされました。その際ただいま申されましたとおりに、
旧法
を
改正
するにあたりまして、三カ年の
経過措置
がございまして、従来の
登録制
でございましたのが
免許制
に相なったわけでございます。したがいまして、
運輸省
といたしましては、
法律
が
改正
されまして以来、すみやかに業界に対しましてその
手続
をとるようにと督促をいたして参ったのでございますけれども、従来のこの
法律
によりますと、従来のものでもその
期間
内には
登録制
でやっていけるもんでございますので、実際に
登録
から
免許
に切りかえの
申請
をいたしましたのは、その
期限
のすれすれにほとんど大
部分
の
業者
が
申請書
を出しましたわけでございます。そこでただいまの
数字等
を申し上げますと、
資料
を配付いたしておりますので、ごらん願うとわかるのでございますが、
資料
の三というところがございます。
資料
の三で
港湾運送事業者
の現況についてとありまして、1、2と分かれてございますが、ただいまお話のありました
昭和
三十四年の十月一日、これは
旧法
と新法の脆い目でございまして、このときから三
年間
ということになっておりますが、その
昭和
三十四年十月一日現在で
登録
してあります
業者
の数を掲げてみますと、そこにありますように、いろいろの業種に分かれておりますけれども、三千五百五というものがございます。ここでただいまいろいろ問題になっておりますのは、
船内荷役
の
関係
がおもでございますが、全体としては三千五百五と、この中で
免許申請
を行ないましたものは2のところに書いてありますように、二千七百九十八という
状況
でございます。なおその次のページに、イとしまして書いてございますが、右のうち三十四年十月一日から三カ
年間
に
免許
に切りかえました者は、三十七年十二月一日現在をもちまして申し上げますと、そこにございますように百三十五でございます。注にもございますように、先ほど私が申し述べましたように、この
申請
が大体三十七年八、九月ごろに集中的に行なわれておるという
現状
でございます。なおそこに口と書いてございますが、右のうち三十四年十月一日から三カ
年間
にわたりまして
免許申請
いたしましたにもかかわらず不
免許
になった者はございません。またそういうような
状況
でありましたので、ハと書いてありますように、三十四年十月一日から三カ年の間に未決定の者は現在では二千六百六十三というような
状況
でございます。なお
昭和
三十四年十月一日以降の三
年間
で新しく
免許
いたしました者の数は、そこに掲示いたしましたように八十四社というのが現在でございます。そこまで以上、
現状
と過去三年のことにつきまして一応御
説明
申し上げました。
森八三一
13
○森八三一君 ただいま
局長
から
資料
に基づきまして私の
質問
にお答えいただきましたが、
昭和
三十四年の三月に
法律
を
改正
いたしました趣旨は、いまさら私が申し上げるまでもないのです。このことは、非常に国全体の産業経済に密接な関連を持つ、きわめて重要な影響を持つ重要な仕事であるからであったと思います。そこで従来は届出で
業者
がそれぞれその実施をしようとする料率がきめられるようになっておりましたものを認可制にする。その認可制にする際に、さらに業を行なわんとするものは
免許制
に切りかえる。そして三カ
年間
という原則的な
期間
を置いたわけですね。少なくとも
政府
も国会も、三カ
年間
には、猶予
期間
中には適法な
手続
が完了をされるものという見通しに立っていたと思うのです。万が一の場合があってはいけませんので、後段のほうで
申請
をしておるものについては、その
申請
期間
中可否の決せられますまでの間は、従前の業を行なうことを認めるという、これは補完的な行為として後段の付則
規定
が設けられたものと思うのです。原則はどこまでも三カ年以内に切りかえるということでなければならぬはずなんです。それが今お話しのように、ほとんど不問に付されてきているという実態なんです。これは一体
運輸省
でどうお考えですか。
比田正
14
○
政府委員
(
比田正
君) ただいま御指摘のように、まことにこの法の
精神
といたしましては、私ども当時参画はいたしておりませんでしたけれども、当時きめられました
精神
といたしましてはおっしゃるとおりだと存じます。ただ運輸当局といたしましては、その間数回にわたりまして、文書によって督促もいたしておりますし、あらゆる
関係
会議の席上においてはしばしば
申請
を早くするように行政指導等もいたしたのでございます。にもかかわらずそれを受けます業界のほうは、この
法律
の最後のすれすれまで出さなくても業を行なえるということになっておりますので、それを最大限に利用いたしまして、先ほど申し述べましたように、
昭和
三十七年の八、九月ごろに、いよいよ
期限
が迫ったぞというので集中的に参ったという結果に相なっております。そこで済みましたことにつきましては、これは運輸当局としてはまことにこれは行政指導が足りなかったという点は痛感いたしておりますけれども、かくなりました以上は、一刻も早くこれを切りかえの事務
手続
を促進いたしたいというふうに考えまして、目下懸命に努力いたしておる次第でございます。
森八三一
15
○森八三一君 もちろん
法律
の
規定
するところでは、
申請
の
手続
をその三カ
年間
の
期間
の満了までに行なっておきさえすれば、その可否の決せられる間は、従前のとおり業を行ない得るということに
規定
いたしておりますので、法的には問題はないようでありまするけれども、この
改正
法の
精神
から考えますれば、そういうことは適当でないということが少なくともいえると思うのですね。そういうような適当でない存在が、この公共
料金
的な性格を持つ
料金
の
改訂
を
申請
をしておるということについては、
規定
とか
法律
の命ずる四角四面な解釈ではなくて、常識的な、通念的な解釈としては、私は非常に遺憾だと思うのです。
運輸省
の
法律
実施に対する指導が不十分であったということはお認めになりましたから、その点はけっこうですけれども、そういうような法の盲点といえば一つの盲点ですわね。そいつに鶏口をして、便乗をして、なすべきことをなさずにほうっておいて、そして
料金
改訂
ということを考えながら、そのぎりぎりの線で集中的に
手続
を行なっていた。そうして
業務
が行なわれるという
条件
だけ完備しておいて、この重要な公共
料金
の
改正
という挙に出るということは、少なくとも私はこの持つ
料金
の
関係
から、意義から考えまして、きわめて遺憾だと思うのであります。遺憾なそういうような状態のもとに、必ずしも
改訂
の
申請
があったからその
申請
をそのままうのみにして取り上げる必要はないのじゃないか。もう少しこのことを一つの契機として、こういう態度の反省を求めてもいいのではないかと思うのですけれども、そういうようなことの取り運びができるものかできないものか、法規的な解釈はどうなりまするか。
比田正
16
○
政府委員
(
比田正
君) まことに過去におきましてはおっしゃるとおりでございますので、これは私は先ほどおわび申し上げましたので、今後の問題について、あるいは当面の問題について御
質問
の点にお答えいたしたいと思います。
登録
の
旧法
によります
登録
業者
で、今回
料金
の変更を希望しておりますのは三百九店社でございます。これは従来の
法律
によりまして、公示いたしますと、
異議
の申し立てがなければそのままに効を発するということになっております。しかしながら、これは利用者のほうの意見がございますので、利用者の最も大きなものとしますと、船主側、あるいは荷主側の問題でありますが、これとただいまいろいろ折衝をしておるわけであります。その折衝の経過につきましては、まだ決定的なものは出ておりませんけれども、少なくとも利用者側はこの要求どおりのものは認めないという態度に出ております。そこでいろいろそういう問題が煮詰まりまして、最後にあるところで交渉が妥結いたしましたときに、
運輸省
といたしましては、それが至当であるならば、そのまま
旧法
の
精神
に従いまして公示
料金
を認めていくことはできますけれども、万一これが非常に
運輸省
から見まして不当なものであるという際には、これを拒否することはできるようになっております。 また新しい
法律
で、今回すでに切りかえまして
免許
業者
となりましたものの中で値上げを、これは変更の認可
申請
をいたしておりますそのものは五十店社でございます。したがいまして、同じ事柄に対しまして三百九のものは
旧法
によって公示の方法で、
あと
の五十店社のほうは認可
申請
をいたしておる、こういう
状況
でございますが、これらが同じ港の中で同じ荷物を扱うものでございますから、私どもといたしましてはこれは変わった
料金
にいたすことはできます。したがいまして
免許
のほうの五十店社につきましては、新法の
手続
によりましてこれは
免許
をいたさなくちゃいかぬ。そこで、ただいま御心配がありましたように、業界が要求いたしておるように無制限に、あるいは野放図に、何ら制限することなくこれを最終的に決定するという段階には、ただいまではいかないようになっているのでございます。
森八三一
17
○森八三一君 どうもその辺が私まだ明確に理解ができないのですが、
法律
は
昭和
三十四年の三月に
改正
せられて、
免許
を受けなければならない、
免許
を受けた
業者
は、その料率の
改訂
については運輸大臣の認可を受けなければならない、こういうようなことになっているのですね。ところが、その補完的な行為として、その
免許
の
手続
を完了することにつきましては、いろいろな事務的な取り運びをする必要もありましょうからということで、三カ
年間
という猶予
期間
を置いている。その三カ
年間
の猶予
期間
を置かれておる間に、一応
附則
によって
手続
をしているものは料率について
旧法
が適用されるということはどういうことでしょうか。それは従前の業を行なうことができる。運送事業を行なうことはできますよ。できますが、認可を受ける行為までやらなくともよろしい。それは届出で
旧法
の第九条の一号、二号、三号、ずっと五号までありますが、その
規定
が適用されるという解釈はすべきでしょうか。やはり業は行なえるけれども、新法による認可を受けるべきものであるという理解をするほうが、
法律
の
改正
趣旨からいえば正しいのではないかと思うのでありますが、今お話によると、
免許
を受けた五十店舗は新法によっての認可を受ける行為が当然必要だ、そうでない
申請
中のものは
旧法
で届出をして公聴会か何かやればそれでことは足りるのだ。その間に双方の料率にそごを来たしてはいかぬから、そいつはどっかで調整をしなければならぬというような、そんないいかげんなものじゃないはずだと私は思うのです。やはり
申請
中のものといえども、それは新法によっての認可を受けるという行為は当然私はあるべきだと思うのですが、それはどうですか。
比田正
18
○
政府委員
(
比田正
君) 新法の第九条によりますと、「港湾運送
業者
は、
運輸省
令で定めるところにより、運賃及び
料金
を定め、運輸大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。」ということでございまして、
旧法
でやっているものに対してそれを新法でやらなくてはいけないというようには解釈されておりません。なお八条には、「港湾運送事業の
免許
を受けた者は、運輸大臣の指定する
期間
内に、当該港湾運送事業を開始しなければならない。」こういうことになっております。実は私ごく最近にかわって参りまして、従前からの経緯に多少まだ熟知していない点がございますので、それを専門にやっておりました
港湾局
参
事官
からお答えさせていただきます。
岡田良一
19
○
説明員
(岡田良一君) ただいまの点でございますが、新法の第九条に今
局長
が申し上げましたように、
港湾運送事業者
は、
料金
を定め、運輸大臣の認可を受けなければならないとあります。「
港湾運送事業者
は、」とありますが、その前の八条に「港湾運送事業の
免許
を受けた者、(以下「
港湾運送事業者
」という。)」とありまして、港湾運送事業の
免許
を受けなければ九条でいう
港湾運送事業者
に該当しない。したがいまして
免許
を受けた者でなければ運賃及び
料金
について運輸大臣の認可を受けなければならないという
規定
が適用にならない、そういうふうに
法律
解釈されるわけであります。
森八三一
20
○森八三一君 そこで私が
最初
に申し上げたように、法の盲点について、この
期間
の満了するときのぎりぎり一ぱいまで、国会が
改正
をした趣旨を実行しないで、ほうりっぱなしにしておいて、そのぎりぎり一ばいのときに
手続
だけやって、そうして今あなたのお話のような
旧法
の適用によって事を運ぼうとする、そういう態度は私は適当でない、少なくとも
法律改正
した国の意思に反する行為だと見ていいと思うのです。
規定
上はそれは違法ではないかもしれませんが、
精神
的には確かに違法行為を犯しておるというように理解すべきだと私は思うのです。そうはお考えになりませんか。
法律
の
規定
上は確かに適法かもしれません。しかし、少なくとも国が
法律
を
改正
した趣旨を乱しているということは言えると思うのです。そういうように
運輸省
としては御理解になりませんか。
岡田良一
21
○
説明員
(岡田良一君) ただいまの点は、確かに
法律
上のその盲点を突いておる
業者
の態度だと思います。ただし、その
料金
の
申請
並びに
料金
関係
につきましては、これを認可
申請
をしたのと同じように扱いたい。といいますことは、認可
申請
をいたしました場合には、
運輸省
として、ここでこれだけの
申請
があったけれども、これだけしか認めないということを当然認可
申請
に対して回答をするはずであります。それと同じ金額を
旧法
の変更命令の形によりまして
運輸省
の意思をそこではっきり出していきたい。つまり認可
申請
をすれば当然
政府
がそれに対する回答をなさなければならない。同じ形において従来の届出料率でありましても、変更命令という
規定
を活用いたしまして同じような結果を来たすようなことにしたいというふうに考えております。
森八三一
22
○森八三一君 そうしますと、
旧法
によりますと新しい
改訂
料率を実施しようとする三十日前に運輸大臣に届け出ますとともに、一般の大衆に対してそのことを告示するというか掲示するといいますか、公告をいたしまして、その公告に対して利用
関係
人から
異議
がなければ、それはそのままとして発効するということなんですね。
異議
があった場合にいろいろ問題が起きる。そこで運輸大臣はその
異議
があったような場合におきましては、そういうような実態を勘案しながら適当な変更命令といいますか、
措置
といいますかをやることができるということであって、
異議
がなければそれはそのまま発効してしまうのですね。ということは、
改正
法の趣旨をそこで曲げていくという実態が出てくるように私は思うのですよ。そういう結果になりませんか。
岡田良一
23
○
説明員
(岡田良一君)
旧法
のただいまの点ですが、
異議
がなくても運輸大臣がみずからこれが適当でないというふうに考えた場合には、やはり変更命令が出せるような
規定
になっております。
森八三一
24
○森八三一君 そうしますと、今回の
措置
につきましては、
免許
を受けた五十店舗の
申請
に対しては新法によって認可の行為をなさる。それから非常に遺憾ではありまするが、三百九店舗の現に
申請
中のものにつきましては、
旧法
を適用して
措置
をする。その場合に
旧法
に関連いたしまして認可という行為は起きないけれども、変更を命ずるということによって、その両者の間の調整をはかろうという態度に出ると、こういうことですか。
岡田良一
25
○
説明員
(岡田良一君) ただいまのとおりでございます。
森八三一
26
○森八三一君 そこでお伺いいたしますが、そういうような
措置
をされますることは、
運輸省
としては新法の
規定
を考えながらお運びになることと私は理解をいたします。その新法の運輸大臣の認可をしようとするときの
規定
が第九条の第二項にあるわけですね。今お話の変更命令を出そうとする場合は、この九条第二項の
精神
に基づいて変更命令をなさろうということと理解してよろしゅうございますか。
岡田良一
27
○
説明員
(岡田良一君) 新法の第九条二項の
基準
によってやるわけでございますが、たまたま
旧法
の場合にも変更命令を出せる場合には、新法と同じ
規定
になっております。それから新法の九条二項の文句と、それから
旧法
のほうの変更命令を出せる
基準
が同じになっておりますので、その間に支障はないと思います。
森八三一
28
○森八三一君 私の言うのは、
旧法
の
規定
と新法の
規定
と表現する字句は一緒であっても、
運輸省
のとられる態度としては、
旧法
による行為だから
旧法
の
精神
によってやろうとするのか、新法は新法で
規定
しておりますので、新法の
規定
する
精神
を受けておやりになろうとするのかという態度を聞いているのです。どっちなんですか。
免許
をした
業者
に対しては新法を適用する、そうでないものは
旧法
で律する、こういう
考え方
ですか。結果は一緒になるという、これはわかりましたよ、
最初
の話で。結果は一緒になるが、一体どっちの
精神
で事を運ぼうとするのかということなんです。
岡田良一
29
○
説明員
(岡田良一君) それは当然新法の適用を受けるべきものでありますから、新法の
精神
でやっていきたいと考えております。
森八三一
30
○森八三一君 そこで具体的に入りますがね、
昭和
三十六年の九月に、この料率は一応
旧法
によって
改訂
が行なわれておるのですね。そのときに運輸大臣は、今後企業の合理化をやって、非常に広範に影響を及ぼす性格に立っておりますこの種の料率については、極力低減をはかるように考えなさいということを勧告されておるわけですね。その勧告に対して、今日まで非常に遺憾な行為に堕しておる
業者
諸君は、どういうような勧告に基づいての具体的な取り運びをしたかということについて、
運輸省
はどういうように調査をし、あるいは受け取っておられるか、その辺をお伺いしたい。勧告のしっ放しで、何もやっておらんでもそれを不問に付されておるのか、勧告をした限りにおいては、何らかの反響があったかと思うのです。もっと具体的に申しますれば、勧告をしたということは、できる可能性の期待があったからだと思うのです。初めから期待ができないものを、いいかげんに勧告するというばかげたことはあり得ないことなんです。運輸当局としては、その余地ありとの前提に立って勧告されたものと理解する。だとすれば、
業者
はその勧告に基づいて行動を起こすべきであるし、もし起こさなければ、
運輸省
は自己の判断に基づく指導を積極的に行なうべきであろうと思うのであります。その経過がどうなっているかということなんです。
岡田良一
31
○
説明員
(岡田良一君) その点は、まず業界におきましては、はしけを鋼船の大型のはしけにして、それによって能率を上げる、それから荷役作業そのものにおいては機械をできるだけ買いまして、これによって人力を機械にかえることによって能率を上げる、そういうふうな点を中心にして努力しておりますし、また労務者に対する対策といたしましても、従来のような形であれば、だんだん港湾のほうにくる労務者がなくなってしまうので、これに
住宅
を建てるとか、それからその他の福利厚生
施設
を整備するということによりまして、できるだけ給与そのものを上げなくても、他の面の待遇改善をやっていく、そういうふうなことをいろいろ努力をしております。それで、実は港湾のこの
船内荷役
におきましては、非常に労務賃の比率が高いことは御承知のとおりだと思いますが、今回値上げ
申請
をしております率は、労務賃の上がったものをそのままこちらに
申請
しているということでなくて、労務費の上がっているものよりも少ないものを
申請
している。ということは、その
部分
につきましては合理化に基づいて吸収していくというふうに、具体的な
措置
は初めに申し上げたような
措置
でありますが、結果としてもそういうふうな点で合理化されているというふうに考えております。もちろん今回の率がこれで適正であるというふうに考えておるわけではございません。
森八三一
32
○森八三一君 私のお伺いいたしましたのは、運輸大臣が
昭和
三十六年の九月に勧告をしておる。その勧告をしたときには具体的な
内容
というものが運輸当局にあったと思うのですね。それが
業者
のほうで忠実に実行されたかどうか。今のお話では、
業者
のほうではしけの大型化をやったとかいろいろやりました、こういうことですが、そのことは
運輸省
で勧告当時にお考えになっておったことをおおむね実施したというようにお考えになっておるのか、まだ勧告当時に構想されておった合理化の一部しか行なわれておらぬというように見ていらっしゃるのか、その辺はどうなんですか。
岡田良一
33
○
説明員
(岡田良一君) もちろん港湾作業の合理化といいますのは、非常に広範なことでございまして、 なかなか一年や二年では
運輸省
として考えておるようなことが全部実行できるとは考えられないわけですが、少なくともそのはしけの、たとえば大型化につきましては、昨年の四月から、前回の
料金
改訂
をいたしましたのは一昨年の九月でございますが、昨年の四月から、鉄の大型はしけを作るとか、荷役機械につきましても、中小企業金融公庫とか
関係
のところから
資金
のあっせんをいたしまして、それによって荷役機械を整備するというふうなことをやっておりますので、一年余りでございますから、最終目標まで到達しておるとは思いませんけれども、ある程度の効果はあったものと考えております。
森八三一
34
○森八三一君 そうしますとね、もちろんこれは、合理化ということは、一朝にして理想の域に到達し得ないことも了解できます。
運輸省
でお考えになっておる合理化の線の十分に可能な範囲までもいっておらぬということも御
説明
で受け取れるのですね。運輸当局の勧告当時にお考えになった合理化について、やり得ることもまだ十分には達成されておらぬと考えておることの中には、非常に
長期
の時日を要することもあると思うので、それは不問に付することもやむを得ないと思うのですが、そういう姿のもとで今回の料率
改訂
が
申請
せられておる少なくとも五十店舗については、認可の行為をしなければならぬということがあるわけですね。それに対して運輸当局としてはどういうように取り運びをされようとするのか。少なくとも施政方針演説等におきまして、今後公共
料金
の
改訂
は当分行なわなくてもよろしいと考えますという御
説明
があったわけですね。それは必ずしも電気
料金
だとか、ガス
料金
だとか、鉄道
料金
だけを意味しておるものではなくて、一般的に公共
料金
的なものについては、今後当分の間
改訂
をする必要がないと考えます、こういう御
説明
を承っておるのですが、今までずっと質疑いたしておりますると、何とはなしに
改訂
やむを得ないのではないかというようなにおいのするお答えのようにうかがえると思うのです。
申請
どおりやるかやらんかは別問題、その辺の感覚はどうなんですか。
比田正
35
○
政府委員
(
比田正
君) この今回問題になりました荷役
料金
というものは、ちょっと
補足説明
いたさせていただきますと、御承知のとおり港湾の荷役にはいろいろな
料金
がございます。船内からはしけに積む
料金
、はしけで持っていく
料金
、はしけから揚げる
料金
と、そういうような区分がございまして、そのうちの
船内荷役
の分だけにつきましてこういう要望がただいまあるわけであります。また港の数につきましては、いろいろ
港湾運送事業法
等によりまして制限を受けます港の数は数多いのでございますが、その中で一類港と申します港十港の分につきまして、今回
船内荷役
賃金だけの値上げというものを要望しているわけであります。そこで、もしただいま業界が申しておりますとおりに、これが上がったといたしますと、これを卸売物価に対しましてどのぐらいの値上がりになるかということを計算してみたのでございますが、平均いたしまして〇・〇三%というような数が出ております。したがいましてこの量は非常に微細であると私どもは思っております。もちろん、たとえこれが認可いたしますといたしましても、このとおりには認可いたせないのでございますから、ただいま申しました平均の卸売物価に対しまして〇・〇三%よりさらに下回るということになると思います。また一面、先ほども御
説明
申し上げましたけれども、
船内荷役
というものは、船のハッチの中の狭いところに大ぜい人間が入りまして、手狭なところで、非常に動きにくいところでやりますもので、特に大型の機械とは何かというものを使うことはなかなか困難であるという事情でありますと同時に、労賃が占めます比率は荷役
料金
のうち六七%に及んでおります。したがいまして、私どもといたしましては、もとより値上げを好むものではございませんけれども、他の産業におきまして労賃が上がりまして、それに見合ったような労賃が上がって参りますと、ここでは六七%もその含む比率がございますので、どうしても何らかの手直しをいたしませんと、つり合いがとれていかないというふうにも考えられるわけでございます。御指摘がありましたように、公共
料金
等に対しましての値上げムードというのは抑制するということは、私ども身に体して感じておりますが、ただいまのような
状況
でございますので、目下、先ほども申しましたように利用者側との話し合いが済みまして、どの辺に落ちつくかは、まだきまっておりませんけれども、その範囲内であったならばこの問題を取り上げて検討したい、検討の結果いかようになりますかについては、まだその出方がわかりませんので、ただいまここでは結論を申し上げる段階に至っておりません。
森八三一
36
○森八三一君 率は、私も計算をしておりませんからわかりませんけれども、
現行
料率から考えますと、算術計算では一二%くらいの引き上げになる、このことはまさに国際的にもなかなかむずかしい問題がおおいかぶさってきておるとき、為替制限の
関係
もあり、貿易自由化の
関係
、いろいろな
関係
があるというときに、この
船内荷役
の
関係
で
現行
料率よりも一二%も引き上がるということは、これは国際収支を安定せしめながら発展せしめていくという非常に強い至上命令に取り組んでいかなければならぬときに、たいへんな問題になると思うのです。そこで
関係
事
業者
、利用者といいますかとの間に議が整わなければということも一つありますが、それは
期間
の制約もあるでしょう、その
期間
の間に議が完全に整わぬときにはどうなりますか、そのときは。
比田正
37
○
政府委員
(
比田正
君) その場合は
異議
申し立てということになりまして、利用者側に上げるのは困るという
異議
申し立てをします。
異議
申し立てが出ますと、
運輸省
としてはそこで初めて発動ぜざるを得ないということになりまして、運輸
審議
会という
制度
がございます。ここで最終的に決定いたしますが、その場におきましては公聴会等も催しまして、広く各般の情勢を勘案いたしまして運輸
審議
会では
答申
があるということになりますが、そこで初めて
異議
申し立てがありまして初めてわれわれ運輸当局が介入する段階である、こういう段階でございます。
森八三一
38
○森八三一君 業界の労働賃金が一般的な趨勢にかんがみて
相当
上昇しておるという事実も、これは認めてやらなければならぬと思う。そこであまりに押えつけてしまって港湾荷役のほうができなくなってしまうというのでは、元も子もなくなってしまいますから、これは十分考えてやらなければならぬということは私も理解いたしますが、といって、何とはなしに三カ
年間
の猶予
期間
が置かれておるのに、その盲点を突いて最後まで持っていって、そうして正規の
手続
でなくて
旧法
によって事を処理しようとするという態度に出ているそのことについては、これは私は
法律
的にはいかようでありましょうとも、常識的、糟神的には許しがたい行為と私は思うのです。そういうことをやっておる連中に臨む態度としては、きわめて峻厳であってしかるべきと思うのですね。そこで、お話のように議がととのわなければ
異議
の申し立てがある、そのことによって、運輸
審議
会にかけて事を運ぼうという
運輸省
の態度のようにうかがえますけれども、一面には
免許
業者
に対して認可をするという行為があるのですから、当然これは、運輸大臣としてはその権限においてこの
免許
業者
に対する認可料率というものはお考えにならなければならぬと思うのですね。これは別に運輸
審議
会の問題ではなくして運輸大臣の権限に帰属する問題ではないかと思うのです。その場合に、そういうような諸般のいきさつを考えますると、及ぼす影響というものはきわて甚大でございますので、この
改訂
についてはきわめて慎重でなければならぬと思うのですね。抽象的な表現ですけれども、その辺でおおむねどんな構想でいらっしゃるかのお漏らしがいただけますれば、この辺で質疑を打ち切りたいと思いますが、どうですか。
比田正
39
○
政府委員
(
比田正
君) たびたび申し上げましたように、利用者側とただいまいろいろ荷役
業者
のほうと団体を持ちまして交渉をいたしております。その結果をいろいろ聞いておりますと、どうもなかなかこの率には到達しないのじゃないかというふうに今推察しておりますけれども、従来のやり方が、先ほど御指摘がありましたように新法がきまった以上は、新法の
精神
であくまでやる、これはまことにごもっともな御意見でございますけれども、従来やって参りました
登録
業者
に対するやり方というしきたりが長い間続いております。そこで、新法がきまったその端境期に急激に今までと違ったような感覚で物事を処理するということは、かえって波を荒立てるようになり、また円満に進むところがこじれるようなことも懸念いたされますので、もちろんわれわれといたしましては、きわめて慎重にこの問題につきましては対処いたしたいと思います。いうなれば、できるだけ上げたくないという方針でございますが、先ほど来申し上げましたような諸般の事情、特に労賃の高騰というものが多額のパーセンテージを占めておりますと、何ほかは上げなくてはいけないということになりますと、前回とまた同じことになりますが、先ほど御
説明
申し上げました合理化ということ、能率を上げるということにつきまして、機械を使うとかその他の面でまだ若干行なわれていない面もございますので、そういう点も今後荷役
業者
の責任におきましてもっと能率が上がるようにいたしまして、できるだけその労賃の占めるパーセンテージを下げまして進めていかしたいと思いますが、もうしばらく時をいただきますれば、ただいま先生から腹のうちはどうかと申されましたが、その腹のうちということを申し上げる機会はやがて参ると思いますが、本日のところは、まだ何分交渉の段階でありますし、先ほど来お話ししたような
状況
でございますので、中間の御報告を申し上げたということで御了承をいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
森八三一
40
○森八三一君 私は、別に行政の
内容
まで介入してとやかく申し上げる気持はございませんけれども、
現行法
の九条二項には「能率的な経営の下における適正な原価を償い、」という表現があるのですね。そこで運輸大臣といたしましては、この法の命ずるところに従って適正なる原価というものの計算を当然これは行なわなければならぬと思うのです。そこでこのことは行政の問題ですから、かれこれ介入しようとする気持はございませんが、今、
局長
の御
説明
を承りますると、非常に慎重に扱おうということでありますのでけっこうでありますが、原価計算ができて、最後の断を下そうとする際には、こういう計算でこういうふうな結果が出てくると思う、この辺で
運輸省
としては
措置
をいたしたいという気持は事前にお示しいただきまして、もし、私どもの計算でその原価の結論に誤りがあるということでありますれば、そういう点も善意な立場において指摘を申し上げて、反省をしていただくということもあってしかるべきではないかと思いますが、そういうような操作はいかがでしょうか、その辺のところは慎重であるということと、及ぶ影響が非常に大きいから上げたくないという気持と大体相共通する私の気持があるわけですから、別にいがみ合うわけではありませんから、事前に原価計算の結果こうなります、こういうふうにひとつやるという誠意ある態度には、私ども十分協力申し上げたい、こう考えるが、しかし、人間のやることですから、どこかに見落としがあってはいけませんから、その場合にわれわれの気づきがあればまた申し上げて、それを御採用なさるか、なさらないかは、これは行政の範囲ですからとやかく申し上げるものではございませんが、しかし、それくらいの慎重さはあってしかるべきじゃないか、どうですか。
比田正
41
○
政府委員
(
比田正
君) ただいまおっしゃいましたとおりでございます。われわれが慎重に事を運ぶと申しました意味は、単にこれが運輸行政の行政的事務であるということで事務的に単にわれわれだけの見解でもって最後までこれを決定いたそうということは毛頭考えておりません。もちろん
農林水
産
関係
にも御
関係
がございますし、商工
関係
の物資にも
関係
があるわけでございますから、役所が役所の事務といたしましてこれを取り扱うにいたしましても、やはり
関係
方面の御意向というものは十分にそんたくいたしました上で、最終の決意をすることがわれわれのとるべき道だと思っておりますから、公開の席上でなくても、いろいろな形におきまして御意見をお伺いするということはやぶさかでございませんし、むしろ御意見をいただいたほうが、われわれがほんとうの結末を得るというふうに考えております。
森八三一
42
○森八三一君 大体御同意を願ったようですから、今ここで私もこの点についてはまだ十分の勉強もいたしておりませんし、ことに適正なる原価ということになりますと、専門家の意見等も徴しまして、私は私なりに勉強さしていただき、あやまちなき意見を、具体的な数字になりますから、申し上げなければいけませんので、
運輸省
のほうで案がきまりますれば、それを公開か非公開か、とにかく適当な方法によって示すということについては、御了解をいただきましたので、これは
あと
でまた当
委員会
の
理事
会で御相談をいたしまして、どういうような方法をお示し願って、役所の行為にあやまちなきを期するというようなアドバイスをし得るかどうか、考えさしてもらいたいと思いますので、そのことだけはひとつ申し上げたことについて、十分誠意を持って取り組んでいただきたいという希望を申し上げまして、私の
質問
は、きょうはこの程度にいたします。
堀本宜実
43
○堀本宜実君 私もこの問題について若干の
質問
を申し上げたいと思いますが、結論についてはただいま森
委員
からお話がございましたのと変わりはございませんが、先ほどからの質疑で二、三わかりがたいところがございましたので、重ねて御
説明
を願いたいと思います。 まず第一に、この
港湾運送事業法
というものが制定されて三十四年十月一日から三カ
年間
の猶予
期間
と申しますか、そういう経過
期間
が
相当
長い間、三
年間
あって、そしてただいまの御報告によりますと、届け出をしたものがきわめて少ない、そのことについては先ほど御答弁がございました。そこで、これは三カ年の
期限
というと三十七年九月だと思うのでありますが、そこで、
登録
から
免許
に変わり、
免許
をした者は、今度その
料金
の認可を得なければならないということになっておる。それにもかかわりませず、その間に認可を得る努力というか、その行為がなかったということは、ただいま
港湾荷役料金
を上げようとする段階できわめて不明朗だと私は思う。そういうことはここで新法に切りかえる行為をすることが
業者
にたいへん不利益なことがあるんじゃないか、そういう不利益なことがあるというふうに考えられるが、不利益だとすればどういうことが不利益になるから、この
免許
をそれだけおくらしてきたのか、そういうことをまず第一点お尋ねをしたいと思う。それからかりに
免許
をしておらない、集中的にと書いてあります。この報告書の中でも「
申請
は三十七年八月、九月に集中的に行なわれている」と書いてあるが、もうすでに三十七年の八月、九月は済んで、三十八年二月何日になってこの報告をされているのだが、二千幾らですか、三千幾らですか、その全部のものではないだろうが、そういう者が
申請
をする意思があったのか、一体現在どういうことなのかということが不明でございますので、それを御
説明
願いたい。それから三
年間
に不
免許
になった者は該当がないというふうでございますから、店舗をはって運送業を継続されておられる
業者
のほうは、おそらくその
期限
内に
免許申請
をされたのであろうとは思いますけれども、この
説明
書ではきわめて不明確であるというので、これをお願いしたい。 時間がございませんので一括して御
質問
を申し上げますが、そこで、かりに五十店舗のものがその
申請
をしたというのだが、五十店舗以外のもの、十港ある第一類港以外のものは、まだ値上げ
申請
というか、そういうものはしておらないのだろうと思いますが、しかし、それは
船内荷役
だが、船内からはしけ、あるいははしけから陸揚げ等のものにもこれが将来及ぶであろうと私は想像するのです。しかし、それはたいへん長い
期間
においては、明言ができないと思いますが、この一点をくずすことにおいて、他の荷役
業者
にもそういう希望があるのかどうか、そういうふうに累を及ぼさないのか、多分これをきっかけとして、はしけもあるいは陸揚げも、ともに右へならえの姿勢で
申請
をしてくるのかどうか。それからこの
免許
を受けておらない者は、
旧法
とか新法とかいろいろ先ほどやり取りがございますが、私は、すでに三
年間
もの猶予
期間
があるのに、それを
申請
もしておらないものを
旧法
で取り扱えるというような解釈をすることは、きわめて行政上間違っておりはしないかというふうに、重ねて森さんとの討議の中で考えます。もう一度それを明確にしてもらいたい。まずここらでひとつ御答弁を願いたいと思います。
比田正
44
○
政府委員
(
比田正
君) まず
最初
に私から答弁いたしまして、足りませんでしたら参
事官
から補足いたさせます。ちょっと順序が逆になりますが、終わりのほうに申されました、この問題が他の荷役料率に波及しないかという御心配でございますが、この点につきましては、先ほどお話ししましたように、
船内荷役
というのは非常に手狭なところで行なうのでありまして、六五%、約七〇%が人件費だということになっております。それに監督の人件費も入れますと八〇%というふうに非常に人手がかかるものでございまして、その他のものは、それよりはるかに人件費の率が少のうございます。したがいまして、ただいまから考えますと、今の
現状
では、他のものについては必要ないというふうに考えております。 それからもう一つの問題で、第一の問題でございますが、これは
業者
から見ますと、新法によって処理されることは非常に不利益だから延ばしていたのだろうと、こういう御懸念でございますが、この点は二、三私ども推察するところがございます。一つは、ほんとうに
法律
の
精神
を、新法に移ります次の経過
期間
というもの、その経過
期間
というものはできるだけがんばっておれば得であろうというような推察をいたしたのではないかと、私は推察いたしておりますが、実際には、これはどうせ新法ができたからには、先ほどお話がありましたように、現在の
登録
業者
の場合でも新法の
精神
に基づいてすべてが処置されなければいかぬということになりますから、要するに、そういう新法ができた以上
精神
的には同じような取扱いになる、またすべきだということを、相手側のほうはそういうふうには考えずに、ゆっくりしているほうが何か得だろうということがあったり、あるいはいろいろ中小の
業者
がございますので、
手続
その他
基準
等に対して、いろいろ調書を作るのにもめんどうくさいとか、手間どったとかいうことがあったようにも私は推察いたしております。いずれにいたしましても、この点は、人間のといいますか、だれでもがそういうものはぎりぎり一ぱいまでもっていけばいいのだというような、さぼるような心があると思うのですが、これを、先ほど御指摘ありましたように、叱吃激励しなかったのは、私どもの手落ちでございます。 それから、いろいろこの荷役業界というのは、非常に古いしきたりが、場所場所によりましてもいろいろなしきたりがございます。そういう点から、新しい
制度
に切りかえるのがいつも比較的緩慢に進んできた。これは非常に困ることでございますけれども、御想像ができると思いますが、いろいろな事情がいろいろな場所で仕事をしているものでございますので、そういった点で判断が少しゆっくりしたほうが得たというふうに見たのではないかと、これが私の推察でございます。 それから、ここに報告書に書きましたように、三十四年の十月から三カ年、不
免許
になったものは一件もないではないか、お前たちのこの新法はだれでも
申請
を受け付けたというような意味だと思いますが、これは不
免許
になります前に、もともとこの港運
業者
というのは非常に零細な、小さいものが多うございますので、できるだけ統合していきたいというのがわれわれの考えでございます。ただ、大企業が合併するような非常に合理的になかなかいかない面がございまして、零細
業者
を合わせることはかえって大きいものを合わせるよりむずかしいものでございますので、急速にいかない。しかし、この際に何とか統合できるものは統合したいというので、こういう書類を出したいとか、相談してきたものに対して、行政的に指導いたしまして、お前はこれを一緒に出しなさいというような指導をいたしましたので、願書は出したがだめだったという結果が現われなかったということでございます。 それから、
あと
一二、三ございましたが、参審官からお答えいたさせます。
岡田良一
45
○
説明員
(岡田良一君) ただいまの新法が出ておるのに、
料金
に関しては
旧法
でやるのはおかしいじゃないかという御
質問
でございますが、その点は、この新法の
附則
の
規定
に「この
法律
の施行の際現に港湾運送事業の
登録
を受けている者」は「この
法律
の施行の日から三
年間
は、港湾運送事業の
免許
を受けないでも、当該事業を従前の例により」「従前の例により」という条項でずっと「営むことができる」し、また、
料金
を変更する場合その他については、この条文でやるというふうに考えられます。先ほど申し上げましたように、新法のほうでは、海湾運送事
業者
が
料金
の認可を得る場合、
港湾運送事業者
という定義には、
免許
を受けた者が
港湾運送事業者
であるというふうに、新法のほうはそういうふうになっております。
旧法
のほうは、港湾運送下業のまだ
免許
を受けない、すでに
登録
はしておるけれどもまだ
免許
を受けてない者が従来の形で引き続き営むことができる。この
規定
と両方見まして、
法律
的にこう解釈できると、こういうことでございます。
堀本宜実
46
○堀本宜実君 参
事官
のお答えですか、そういうふうに
法律
が解釈できるという、まことにしまったようなしまらぬような
法律
ですが、三十七年の八月、九月に集中的に行なわれているというので、これはよほど前に書いた文章のような印象があるのですよね。これは今三十八年ですから、八月、九月のころに行なわれているというのでなしに、今はもう三十七年九月で打ち切ったという、猶予
期間
というものは済んだと、それなのにこういう文章を書いて報告するということはおかしいじゃないかと、こう私は思う。もしそれに該当して、それまでに
免許申請
をしてこなかった者もおるだろうと思う、
登録
業者
であって。そういうものは一体それじゃどうするのかという問題が、またあなたの答弁によると生まれてくるわけです。それはどうですか。
岡田良一
47
○
説明員
(岡田良一君) この
資料
のしまいから二枚目のところに、「
港湾運送事業者
の現況について」というところで、十月一日現在の
登録
業者
数と、そのうち
免許申請
を行なった者の数の差が大体七、八百ございます。この七、八百の
業者
については、もう
免許
の
申請
をすべき時間に
免許
の
申請
をしないわけですから、これは当然廃業したということになると思います。 それから先ほど
局長
からも申しましたように、
運輸省
としては、とにかく三
年間
に全部やってしまうのだから早く出せということをあらゆる機会に催促をし、行政指導をしたのでありますか、結局
業者
のほうとしましては、
局長
申しましたように、早く出して自分のところがまずアウトになると工合が悪いのか何か、そういうふうな点もいろいろありますし、またこの
法律
の趣旨ができるだけ
業者
の企業合同で大きくするというふうな点もありましたので、なかなか従来やっているものが、そのまま出してすぐ通るというふうな形でありませんので、やはりおくれたのではないかというふうに想像いたしております。
堀本宜実
48
○堀本宜実君 それではまだこの点についても私は了解のしがたいものがございますが、行政上の取り扱いが緩慢であったということはお認めになったようでございますので、私はもうそのことについては申し上げませんか、この荷役
業者
から一類の
船内荷役
料金
の値上げの
申請
が十二月十五日に出されたやに聞いておるのでありますが、それが運輸当局の指示によって、御指導というか、によって一月の十六日に出してくれと、一カ月延期をして指導をしたという
理由
は、一体どういうことなのか。
比田正
49
○
政府委員
(
比田正
君) お話しのとおりに、一月の十六日には出ましたのですが、その一カ月前にそういう希望を申し述べて参りました。そこでいろいろ私どもそういう話がふる場合には、たとえこれは
運輸省
が介入する段階でございませんでも、事前にどんな気持でもってそういうことをやるのかという下調べをいたさなければなりません。いろいろ下調べいたしますと、
理由
とするところその他の調書等がまだ論拠か不備な点がございましたので、こういうものはまだそんなことを言っても困るというような、これは行政指導といいますか、話し合いをいたしまして、それではもう少し検討いたしまして、十分な
資料
を整えましてから一カ月後にもう一ぺん出します。そのときには私どもはこういうことを言っても行政指導を出さぬでしょうなという話し合いがあったそうでございます。私はそのときおりませんで……。そういうことで一カ月延びたわけでございます。本年に入りまして一月十六日に正式に届出があった、こういう経過でございます。
堀本宜実
50
○堀本宜実君 これはまあお答えをいただかぬでもよろしゅうございますが、私は、十二月の十五日に出したものを一カ月延期して、一月の十六日にお出しなさいという指導をしている。それで一カ月の間に書類が不備であったというなら、出して後に
異議
の申し立てがあって、
審議
会を開いて運輸大臣の意見を表明するという機会があるのであって、それを内面的に
運輸省
は、こうもしなさい、ああもしなさいという、上げるのを指導をしているのじゃないかというふうに私は推測をする。まことに不都合な推測であるとは思いますが、しかしそういうふうに受け取れる。一カ月の間にそのものが氷解するわけではないのに、なぜ一カ月間、そういう日切りをして、そして
申請
をしたかという行為は、いかにも、行
政府
としては穏健でないと私は思う。常識的に考えておかしいじゃないか。
岡田良一
51
○
説明員
(岡田良一君) その経過につきまして、実は、一昨年の九月に値上げをいたしましたときに、最終的に、これは運輸
審議
会の決定によってなされたわけでございますが、
業者
としては、これでは満足はしておらなかったわけであります。そこで、昨年の四月ごろから、上げたい上げたいという話が盛んになったようですが、
運輸省
としては、昨年の九月に上げたものを、また四月や五月に上げるということは、とんでもない話だということで、ずっと抑えて参りましたが、
業者
のほうとしては、どうしても上げたい上げたいということで、
運輸省
がどうしても認めないと言っても、これは、勝手にわれわれの届出だから、やればいいんじゃないかということで、いよいよ十二月十五日に漏出をすると申しますので、それはしかし、とにかくできるだけ
業者
を指導して上げないということ、また、値上げは、できるだけ延期するということが、閣議決定によってもなされておりますので、われわれとして、とにかく延ばせ延ばせということで、昨年の四月から、何回となく折衝いたしまして、延ばし延ばししてきて、最後に十二月十五日にどうしても出すというので、それをまた延ばせということで、最後にまた延ばしましたので、これは、これ以上、絶対に、
運輸省
が幾らおっしゃっても延ばしませんよという話し合いの結果、こういうふうなことになりましたので、
運輸省
としては、もう、昨年から延ばせ延ばせという、本やりでずっと押して参ったわけでございますが、ただいまのような誤解を生じましたことは、まことに申しわけないと思います。
堀本宜実
52
○堀本宜実君 それは誤解します。去年の回答が不服なものを、一カ月延ばして、完全にいこうはずもないじゃないですか。できものの上にこうやくを張ったような、下からふき上げるものを、どうにもしようがなかったはずだと思うのです。もし誠意があるならば、もっと根本的な立場で対処すべきではなかったか。こういうことが誤解を招く、ともすると、行政の人たちが、こういうような、何か世間のみえというか、うちのほうではとめているのだというゼスチュアを示そうとする一つの行為であって、私は、ほんとうに、その点遺憾に思う。そこで、お尋ねしたいのは、かりに、昨年、一昨年と合わせて一二%上がっておると思います。七%と五%か、五%と七%か、ともあれ、私どもの計算では一二%程度上がっておる。今度も一二%というと、三
年間
連続に棒上げに上がってくるわけであります。そういう事例は、私はあまりないと思うのですよ。これは、
政府
が出しまするいろいろなアップの状態を考えてみましても、そういう事例は比較的少ないと、こういうふうに思うのであります。上げないことが一番よいのでありますが、そこで、去年認可をする場合に、合理化をしていかなければならぬ、すべての労働、運賃というものを、そのままこの
料金
の中に出てはめてアップをするということはよくないということの御決議があったわけであります。それが、その後、私がお尋ねしたいのは、合理化の問題、一体、どれだけ合理化されたのか、一年や二年で、なかなか、これの合理化ができぬとおっしゃいましたけれども、それは考えられます。われわれもこの荷役
業者
のその店舖あるいはその資力等から考えて、直ちに機械化して労賃を少なくしていくという合理化がなかなかできがたいたろうとは存じますけれども、しかしそういうことを要求して、先年認可をした。今年その経過がどうなっているかということを伺わなければ、これに対するわれわれの批判も少し間違いを起こす危険があるのであります。したがいまして、原価計算というものそれ自体を、
運輸省
では検討されていると、だから中間的な気持というかムードというものを、森さんから御
質問
になりましたが、これはお答えができません、どうかもうしばらくお待ちを願いたいということでございましたが、しかし、原価計算というものを、
運輸省
ではお持ちになっておられるはずだと私は思う。合理化を進めた限りには、合理化の進度と、そうしてその現在におけるいろいろなファクターを入れた原価計算というものがなされておらなければならぬはずだと思う。今はそれはありませんと言う。この一カ月延ばしなさいというようなところから見ると、何かあなたたちも、それに対する準備をされたに違いない。それならば直ちに、原価計算ではかようになりますとか、あるいは合理化の進度はこれだけですとかいう書類が御提出を願えると思うのですが、どうでしょう。
岡田良一
53
○
説明員
(岡田良一君) 一昨年の値上げをしましたときに、計算をしました労務費、その後労務費が上がったということが値上げの
理由
になっておりますが、その上がりました労務賃をそのまま適用いたしますと、今回の値上げ率よりも大きな値上げ率が計算上は出てくるわけであります。それが現在一二%ほどになっております。その差が計算的にみれば合理化、つまり一人の扱うトン数をふやすとか、機械化の度合いをふやすとか、そういうふうなものを入れた結果、一昨年と同じように計算いたしますと、もっと値上げ率がふえるわけでございますが、それを能率の増化によって、この程度に落としているということが、一応計算上出てくるわけでございます。
堀本宜実
54
○堀本宜実君 今の、参
事官
のお話しによると、これは今回はちょっとおかしいのですよ。一二%上げてくれという率を考えると、前の計算からいくと、もっと大きくなるはずだけれども、それを一二%でとめているということは合理化が進んだのだと思いますと、これは少しそういう言い方はおかしいと思う。もっと上がるはずだということを是認した結果のように聞こえる節も起こって参りますよ。それならば、その原価計算をそうお思いになるならば、その合理化された度合い、進度、それが幾らになる、それから原価計算はどういうふうにしているかということを、それじゃ御発表を願いたい。そうでないと、一二%よりもっと上がるんです、上がるんだけれども一二%にとどめたことは、おそらく合理化が進んだから、それだけ低いのでしょう、こういう言い方はわれわれのところでは受け取りがたい御答弁だと思うのです。
比田正
55
○
政府委員
(
比田正
君) ただいまおっしゃるとおりでございます。逆に申し上げて、はなはだ……。
堀本宜実
56
○堀本宜実君 そうでしょう。まともに言わなければ……。
比田正
57
○
政府委員
(
比田正
君) これはわれわれこの話が始まりましてから、だいぶ日がたっておりますから、事務的にいろいろ、わがほうはわがほうなりに試算をしてみたり、向こうはこう言っているがどうかなという検討はいたしております。その結果がたまたま出たときに、そういうことがありましたということでございまして、今申し上げましたように、結果から逆に申し上げることは、はなはだ遺憾と思います。先生のおっしゃるとおりでございます。
堀本宜実
58
○堀本宜実君 決定したようなものの言い方、印象を与えることはおかしい。
比田正
59
○
政府委員
(
比田正
君) そうでございます。いろいろ検討いたしておりますときに、そういう数字も出たという経過を逆に申し上げたので、そういうふうになったと思いますが、そうではございません。
堀本宜実
60
○堀本宜実君 私は時間が参りましたので、結論を申し上げたいと思いますか、結論については、先ほども申し上げましたように、森
委員
からお話しになりましたとおりであります。しかし産業界の
現状
から考えてみますと、三
年間
も棒上げに上げてくるということは、なかなか容認できない、こういうふうに考えられますし、また一昨年以来の金融引き締め等によって景気の調整過程にございますので、そのときにこの
料金
を上げると、しかも三年続けて上げるということは、慎重な態度でひとつ
運輸省
は対処すべきではなかろうか、こう思うのであります。そこで、これは単なる水かけ論ではいけません、最後にはやはり数字の問題になって参りますので、卸売り物価の影響率が〇・〇〇三だというお話がございましたが、それから
料金
が一二%ということになりますと、一方から言えばそうであっても、一方から言えばしかしそれを容認できるほどの数字ではない、こういうふうに私は了解いたしますので、合理化の進度並びに原価計算についての
資料
を御提出を願いたい、こういうふうに要求をいたしたいと思うのでございます。
櫻井志郎
61
○
委員長
(
櫻井志郎
君) 午前からの
委員会
はこれをもって休憩といたします。 午後は一時半から再開をいたします。 午後零時十九分休憩 ————・———— 午後二時六分開会
櫻井志郎
62
○
委員長
(
櫻井志郎
君)
委員会
を再開いたします。 これより、
開拓者資金融通法
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
とし、審査を行なうことにいたします。質疑のおありの方は、御発言を願います。
森八三一
63
○森八三一君 午前中に
提案理由
の
説明
と
補足説明
を承っただけでありますので、まだ十分
整理
がついておりませんが、二、三お尋ねいたしたいと思います。 御
説明
によりますると、戦後
開拓事業
が始まって十七年を経過しており、そうして現在
開拓者
の数が約十五万、十四万七千ということでありますが、こういうような結論に達するまでが
入植
者の総数が幾らで、脱落した人が幾らで十四万七千という現数に達したのか、その経過をまず
最初
に承りたいと思います。
任田新治
64
○
政府委員
(
任田新治
君)
昭和
二十年度から
入植
が始まっておるわけでございまして、逐次入りましたが、
昭和
二十年では、終戦直後でございまして、二万四千五百戸入っております。それから二十一年で四万戸ということで、二十一年が
相当
大きい数字でございます。
年間
においての最高の
入植
数は四万四千百戸でございまして、これが二十一年度でございます。それから逐次減って参りまして、
昭和
二十五年に入りますと八千六百、さらに二十八年ごろになりますと五千九百戸それから三十年に入りますと三千百戸ということで次第に減って参りまして、現在では、
昭和
三十七年では六百戸というような
状況
になってきておるわけでございます。これの総体の数といたしましては、全体といたしましては、今申し上げましたのは内地でございますが、北海道のほうではさらに
昭和
二十年では三千九百、二十一年では八千六百ということから、内地同様に逐次減って参りまして、
昭和
三十七年では二百戸ということになって参りました。これを内地、北海道合計いたしますと、全体で三十七年度までに二十万九千三百戸の
入植
でございます。しかし、一方において、御承知のとおり離農がございまして、その当初
昭和
二十年に
入植
しました内地の二万四千戸のうち、すでにその年に八千三百戸も離脱するというようなこともございましたのでございますが、その後
入植
の離農者としての数も逐次減って参りまして、全体といたしましては、内地は三十七年度末までに四万四千百戸離農いたしました。また北海道におきましては一万五千九百戸の離農になっておるわけでございます。しかし離農は、大体におきまして
昭和
三十四年ころに一応終息しておるような姿になって参っておるわけでございます。
森八三一
65
○森八三一君 ただいま
昭和
二十年にこの仕事が開始されましてから、現在の十四万七千戸という実数に達する間の数字的ないきさつは一応御
説明
を承りましたが、せっかく
入植
した人が離農をせざるを得ないというような、脱落をしていったと、はなはだ遺憾なことでありますが、その脱落をして参りましたことにつきましては、そこには
相当
の
理由
があったことであろうと思います。それから、いまなお国内、北海道を通じまして、
開拓
適地というものは、
相当
残っておる。また資源も少ない日本といたしましては、国内資源の開発を急速に進めていかなければならぬ、もちろんそれは今までのような米麦の
生産
を中心とするものであってはならぬことは申すまでもございませんけれども、資源の開発のために高度の開発を進めていかなければならぬ要請のあるときに、お話しのありましたように、
開拓
の
入植
者が年とともに減少をして参りまして、三十七年には、北海道では二百戸、内地では六百戸だとかいうような、国も
相当
の努力をしてこの仕事を進めておるにもかかわらず、
入植
者の数が非常に少ないという現実、これを一体どう見たらいいかということですね。せっかく
入植
せしめた人が、五万戸近くも脱落してしまった、それはどこに原因があったのかということ、それから国内にはまだまだ
開拓
適地というものは
相当
残っておるし、これを開発をして資源を増産しなければならぬというきわめて急を要する問題が差し控えておるのに、
相当
農林省力を入れてやっていらっしゃいましても、
入植
者の数が極端に年とともに減少をしてきておるということは、一体奈辺にその
理由
が存在するのかということを究めて参りませんと、この
開拓
の仕事を将来に向かって安定をして、推進をして参りますわけには参りかねると思う。農林省はその辺の
事由
ですね、どう見ていらっしゃるのか。
任田新治
66
○
政府委員
(
任田新治
君) 御承知のとおり、終戦直後におきましては、満州あるいは朝鮮、あるいは台湾という工合に、従来の植民地からの引き揚げが
相当
ございまして、また一方、御承知のとおり、復員される
方々
が
相当
の数に上っておるわけでございます。それらの
方々
が、本来必ずしも
農業
に携っておったわけではございませんけれども、国内に帰られまして、その居を見つけるということにおきまして、
開拓地
を求めて参られたのでございますが、一方国におきましても、御承知のとおり終戦直後の食糧不足ということにおきまして、食糧増産の政策をとる
関係
上、この御希望の
方々
に対して、
入植
地を提供するというような形になって参ったのでございます。もちろん、国内におきましても、都市内の爆撃その他によりまして、疎開された方が
入植
されるという場合もありまして、その立場々々におきまして、いろいろのケースがございましたが、必ずしも本来の
農業
に携わっておられた
方々
ではございません。そのような
関係
上当初とにかく食べる物を見つけて
入植
をするという姿ではあったけれども、やや落ちついて参りますと、このようなことでは、本来の仕事から離れた
開拓
というものは、とうてい体力においても耐えられないというような
方々
もございまして、その後
昭和
二十年度におきましても、すでにちょっと入ってちょっと出るというような姿もあったのでございますが、そういうようなことで
相当
の離脱者があったというふうに思うわけでございます。しかしながら、一方においてどの程度国が当時
開拓
政策に打ち込むかという問題はもちろんございましたわけでありまして、当時の公共事業におきましては、全体の公共事業の四割あたりも占めたものが
農業
に占められておりまして、しかも、その中の過半は
開拓
政策に打ち込まれておった時代もあったわけでございます。このように新しい土地におきまして
建設工事
も進めながらやっておったわけでありますが、なかなかその実態と、
入植
者のそれに即応した態勢というものがうまくいかないわけでありまして、政策の
施策
も当時は必ずしも良好とは言えなかったと思います。一方
入植
者におきましても、十分適格者ばかりが集まって
入植
したとは思われないわけでございます。その結果今日のようになって参りまして、逐次落ちつく方は落ちつき、しかも、当初われわれの望んでおりますようなりっぱな経営形態に達した者もおられますし、また一方においては、とうていがまんができないということで、離農された
方々
もおるわけであります。一方において国は当時の
状況
からいたしまして、未墾地を、
相当
の当時の
法律
に基づきまして、未墾地の買収をいたしまして、それを確保して、そうして、その
入植
地の
計画
を立てて、また工事にも着手して参ったわけでありますが、しかしながら、その中にはまた必ずしも十分な
建設工事
ができないというようなものもございまして、当時適地として網を張ったものにつきまして、必ずしもそれがりっぱに
営農
計画
を立てるにふさわしい土地ではなかったという場合もあるわけでありまして、こういうものについては逐次処分もして参っておるわけでありますが、一方におきまして、最近になりますと、御承知のとおり
農業
というものと、他産業との較差が非常に大きいわけでありますので、これを何とかしようということは、われわれ農林の側といたしましてももちろん考えてやっておるわけであります。経営の規模の拡大ということは、これは
開拓農家
本来のほうからいきますと、
相当
の面積を確保しておりますけれども、既
農家
におきましては、必ずしもそうではない。したがって既
農家
の経営の拡大ということになりますと、新しい何らかの形をとらなければならないというふうに思っておるわけでありまして、先年から新しく
開拓
パイロットという形態でもって仕事を始めることにいたしまして、もっぱら増反というものに主力を置きまして、その増反によりまして既
農家
の経営規模の拡大をはかっていこうということに考えておりまして、かつて、未開墾地として買収した土地につきましても、このほうに開放するものは開放する。また新しくいわゆる里山と申しますか、既
農家
に近い近傍の
開拓
適地につきましては、この地元の
農家
同士、あるいは地主との話し合いにおきまして、相対売買の形でもって、新しい
開拓
を始めていくというふうな形態になっていっておるわけであります。 それから先ほどのお話しのように、なぜ新規
入植
が減るかというお話でございますが、これはやはり
農業
それ自体の格差が既
農家
においてもございますように、なかなか
開拓
という問題は、これは現況におきましては、もちろん
相当
な労力もかかりますし、必ずしも有利な仕事じゃないということは、もちろん他産業に比べて言えるわけでありますので、その点で逐次規模も減って参っているわけであります。しかし一方、国といたしましても、このほうの趨勢を考えまして、積極的と申しますか、
入植
戸数は、必ずしも新規の
入植
については固執しない、現実に今まで手をつけておりますところの
開拓地
に対して、
建設工事
が完了する、ないしは完了間近であるというものを
対象
といたしまして、現実に明年度
入植
できる、あるいは明後年
入植
できるというものを目標にして、
入植
を考えているわけでありまして、その点で逐次減少をして参っておるわけでございます。大体以上申し上げたような趨勢になっているわけでございます。
森八三一
67
○森八三一君 今のおあげになりました
理由
は、戦後の早々のときに
入植
者の選定を誤ったといいますか、それが一つの大きな
理由
だ、それから
政府
の
施策
についても、必ずしも万全とは言い得なかったということが一つ、それから
農業
生産
それ自体が、経済的に必ずしも成り立つという姿のものではなかったということが一つ、大体三つをおあげになったと思うのです。そこで選定を誤ったということであれば、将来は選定を誤らぬように、十分心してやっていけば、この点は解釈されると思います。それから
政府
の
施策
についても、多少欠けるものがあったと言えば、これは欠けるもののないように進めていくべきであろうと思うし、そういう趣旨で、今度の
法律改正
が企図せられているということもあろうと思うが、それよりも私は一番大きな問題は、やはり
開拓
ですから、
入植
をしてすぐそこで生活ができるという姿はきわめてまれであって、数年経過しなければ、生活を維持するに足る十分な所得を確保するということができないというのが、この実態ではないかと思うのです。そうすると、今まで
政府
のやってこられましたのは、建設に対する
資金
だとか、そのときの
営農
に関する
資金
だとか、それも十分ではありませんけれども、ある程度
低利
の
資金
を供給をした、しかし、その供給を受けて
営農
をやっておりましても、その収穫では食っていけぬ、こういうところに問題があったと思うのです。そこで今度の
改正
を見ましても、いろいろ
生産
手段としての
資金
というものは考慮されておるけれども、生活
資金
としては、一向に考えられておりませんですね。そういうものを考えてやることでなければ、この事業というものを、全きものにしていくということは、将来に向かっても非常に困難ではあるまいかという感じを持つのですが、その辺はどうお考えになっておるか。もし私の申し上げたようなことを、
政府
でもお考えになっているとすれば、それに対する対策というものが出てこなければ、今後もまた脱落していく人が出てくるのでは、せっかく貴重な国費を費やしながら、それがむだになるということになり、
入植
者にも非常に気の毒な思いをさせるということになってしまうのです。その辺はどんなふうにお考えですか。
任田新治
68
○
政府委員
(
任田新治
君) 先ほど申し上げましたような
入植
に対して、半面に離農の
状況
がございましたわけですが、このようなことではいかぬという
考え方
から、
昭和
三十二年に、御存じのとおり、
営農振興
の臨時
措置
法というものが制定されまして、それによって救済をしようということで、三十二年から五カ
年間
やって参りまして、知事が認定をいたしまして、いろいろの諸
条件
の不ぞろいの不振
農家
、あるいはまた、組織しますところの
組合
、
開拓農協
というものに対して、それぞれの
条件
によって認定をいたしまして、その認定に基づきました
対象
の
組合
の中の、また
対象
におっておりますところの
開拓者
は、この臨時
措置
法によりまして
相当
救われて参っておることは事実でありまして、一方、
建設工事
におきましても、ある程度の進度を伸ばしまして、その指定されました不振
地区
の
建設工事
に重点を置いてやって参ったわけであります。しかし、その後の
状況
から見まして、もっとこれを積極的に
整理
と申しますか、積極的な対策を立てねばならないということで、けさほど配付をいたしました
開拓営農振興審議会
の
答申
が、一昨年の秋出て参ったのでありまして、この
審議
会の構成は、これも御存じと思いますが、その道の有識者ばかりにお願いいたしまして、また、どっちかと申しますと、
開拓
に非常に同情をむしろ持っておられるような、理解のある有識者の
方々
でもってでき上がっているわけでありますが、この
審議
会の
答申
に基づきまして、これを何とか解決していかなければならぬというふうに考えているわけでありまして、その
答申
の
内容
に基づきまして、実は
昭和
三十七年度におきまして、事前に
開拓農家
の実態の調査をやったわけであります。しかしながら、一
年間
にこの全部の
開拓地
の
内容
が一戸々々全部わかるというものではございませんが、大体において、この
開拓
審議
会の
答申
に基づきまして、
あと
もう一歩プッシュすればりっぱな
開拓者
になるという
方々
、それから、もうすでに卒業生と申しますか、りっぱな
開拓
をやっておって、既存
農家
と何ら遜色ない
方々
という方もおられますが、このような方に対しては、これは卒業生といたしまして、今後そのような手当はいたさないにしましても、とにかく現在、
あと
ちょっと一押しという
方々
に対しては、われわれは第二類の
方々
と申しております。この
方々
に対して一戸々々の
営農
計画
を立てまして、そうして今後の立ち上がりを考えているわけであります。それから第三類というふうに勝手に名前をつけておりますけれども、その家族の構成なり、また
農家
としての労力の面におきまして、とうていそのほうには耐え得ない、一方他のほうのいわゆる兼業の仕事もやってござるというような
方々
で、必ずしも
開拓農家
として今後やることができない、またやる気もないというような、いろいろな方がおられますが、これらの
方々
に対しては、どうもわれわれとしては、あくまでその
方々
をどの程度に持っていくかということについては疑問がありますので、
開拓
審議
会の
答申
にもよりまして、何とか他の方法を考えなければならぬということを考えておりまして、今この今度の
改正
の方法によりまして、われわれといたしましては、先ほど申しました第二類の
方々
に対しまして、積極的にプッシュして参りたい。そして解決をいたしたい。この場合に既往の
負債
であるとかいろいろな
条件
がありますが、この場合、とにかくその
開拓地
の近傍の既
農家
の通有の
農家
の程度まで水準を上げていくというふうに考えまして、各県の各地方地方につきまして標準の経営の規模を想定いたしまして、で、これの作業は一応終わった姿でございますが、これにのっとりまして、
昭和
三十八年度におきまして
全国
さしあたり六百市町村の
開拓農家
の
入植
しておられます市町村を指定いたしまして、それに基づきまして、各
農家
一戸々々につきまして
相当
入り込みまして
内容
を検討し、一類、二類三類の分類分けをいたしまして、その二類の
方々
につきまして、従来の
負債
あるいは資産というものも全部包含した
考え方
でもって、
あと
どの程度の
資金
が
融資
されれば、積極的に新しい
自立
の
農家
ができるようになるかということを検討いたしまして、
開拓
営農
指導員並びに現地の市町村の農協の
方々
でもって協議会も作りまして検討いたして、その方向でもって
融資
の道を開き、完全に
自立
ができるような方向に進めたい、かように考えておるわけでございます。
森八三一
69
○森八三一君 ただいまお話しの、その第一類というか、その分類の方法が適当かどうか知りませんが、第一類というのは、既存の
農家
と同じように完全に
自立
をしてやっていける人ということですから、これは成功した部類としてよろしいのですね。第二類の、もう一歩援助してやれば第一類の仲間入りできる、そういう立場の人々を今取り上げて問題にしておる。その人たちの
営農
の実態を調査したときに、今お話しありましたが、
負債
等を引っくるめて今後どうしていけばよろしいかということを考えて一類に編入できるような姿にするために、今回この
法律改正
のようななまぬるい態度でやっていけるかどうか。私は調査の実態というものに参画したこともございませんし、その結論について詳細なことを承知いたしておりませんから、的はずれなことを申すかわかりませんけれども、ともすると過去における
負債
だとかそういうものは別問題にして、ただ数字はそれは押えることは押えるでしょう。けれどもその償還までを考えた、積極的な償還資源が上がってくるほどの所得を期待できる
営農
というところまでもプッシュするというわけにはならんのではないか。ただ新しく酪農なら酪農を取り入れてくれば所得がこれだけ上がる、上がるから、その
部分
に関する
資金
の返済は十分できるのではないかという程度の
計画
をお立てになっておると思うのです。けれども、その蓄積されておる
負債
の元利を償還していくまでその
営農
によって所得を上げるということは、計算上出ておらんのではないかと思う。もしそうすれば、第一類に編入さしてやるなんというわけにはいかないわけですわね。その辺はどうなるのですか。実際机上の理論ではいかんので、ほんとうに
あと
プッシュしてやればいいという人が一類に入っていくためには、そういうような状態における過去の
営農
なり生活の実態を洗いざらい究めて、その
負債
なり蓄積されておるものを、全部償還さしてゆくという見通しが立たなければならぬと思うんですね。立つほどに今農産物価格がいいわけじゃないわけですね、その辺はどうなりますか。ほんとうに二類どころを一類どころへ持っていけるという確信がはっきりできるんですか。ただ借金の上塗りをしておるだけでは何にもならぬですからね。その辺の見通しをもう一ぺん聞かしてもらいたい。
任田新治
70
○
政府委員
(
任田新治
君) 御指摘の点につきましては、先ほども申し上げましたように、とにかく
負債
もひっくるめて今後
自立
できるような姿にどうしたらなるかということを最大の目標に考えまして、今後の
計画
を一戸々々について立てまして、いこう。この場合先ほども申し上げましたが、
関係
の市町村の農協の
方々
、あるいは本来われわれの
関係
で現地で活躍してもらっております
開拓
営農
指導員の
方々
、それから御本人というような
方々
でもって納得のゆくものになるかどうかを検討いたしまして、それに対して
融資
をしていこうというふうに思っておるわけであります。したがって御指摘の点につきましては、今後どのような標準でもって
貸付
限度
がきまってゆくかということについてはまだはっきりはいたしておりません。しかしながらとにかく卒業まぎわと申しますか、そのような
方々
に対しては
資金
は特に大きく要るとは思っておりませんけれども、
あと
ちょっとでこれだけ伸びるというところが、まず第一次に取り上げられて参るんじゃないかとも思いますが、今後この点については三十八年度は第一年度でございまして、十分取り組んで進んでゆきたいと思っておるわけであります。それから償還の問題、
既入植者
の債務の問題でございますが、けさほど差し上げました
資料
によりましても
相当
膨大なものが残っており、またこれは
長期資金
でもございますので、その点は当然のことではありますけれども、一方におきまして最近は非常に安定もして参りまして、逐次償還の率も上がってきておるようなふうになってきております。まだ初年度、第二次
振興
としては、三十八年度は初年度になるわけでありまして、完全にその点に向かって進めておるわけで、今見通しとすぐ言われましても、むずかしい点がございますが、しかし
考え方
といたしましては、とにかく従来の
負債
も合わせ考えての今後の、立ち直り方策を考えてゆく、そういう覚悟でやろうと思っておるわけでございます。
森八三一
71
○森八三一君 くどいようですが、きょうのあなたの
補足説明
でも、今度の
改正
の要点は、
既入植者
に
耕作
の
業務
に必要な
資材
もしくは
施設
を取得し、または設置するのに必要な
資金
を
貸し付け
る場合の金利を低下する、これが一点ですね。それから第二は、その
業務
に必要な
資材
もしくは
施設
を取得し、または設置するのに必要な
資金
を
既入植者
に
貸し付け
る場合の
据置期間
を含む
償還期間
を変更しよう、こういうことですね。ですから、この限りにおいては、
期間
が延長になりましたことによって単年度における支出がある程度減らされるということはわかります。金利がふえぬことによって、負担がある程度減少するということはわかります、しかし既往に累積しておる
負債
にこの
資金
が役立つというわけにはこれは参らぬのではないかと思うんですね。それでは第二類の人を一類のほうへ持ってゆくためには十分ではない。むしろただ当面を糊塗するだけで、ほんとうに卒業生にしてしまうということにはなりかねるんじゃないかと、私は現地の全部ではありませんが、視察をいたしました場合にしばしば聞かされるんです。それは決して
開拓
の仕事が間違っておったわけじゃなしに、これで十分
自立
農家
になり得ると思ってやってきたけれども、いろいろな経済事情の変化その他によりまして、
負債
が累積してしまっておる。その累積している
負債
を何とか
整理
せぬことには、その年度々々の
収入
では、生活をする、さらにその
生産
のためにつぎ込んだ
資金
の償還に精一ばいでもって、積もっておる傷までなおしていくのには足りない。ただ形の上では、前のやつを返していきますからね。新しいやつがまた借金として肩がわりして残っていくというふうに、循環はしますよ。循環はするけれども、根本的な治療対策はとられておらぬということに聞いておるのです。そのことにまで一歩メスを入れてやらぬと、結局現在残っておる十四万七千戸が、意に反して、また脱落をしてしまうということになるのじゃないかという心配を持つのです。そういうような
施策
が、この
資金
対策の面であってしかるべきではないか。それをなぜお考えにならぬか、こういうことなんです。考えておっても、国家財政の都合でやれぬということなのか。その辺はどうなんですか。
任田新治
72
○
政府委員
(
任田新治
君) 不振の原因は、まあいろいろ過去においてあったわけでありますが、いわゆる借入金の問題だけでもございませんので、その
入植
地自体の、基本的な、灌漑排水
施設
であるとか、あるいは
開拓
道路であるとかというようなものの不備というものも
相当
大きく指摘されるわけでありまして、この点が、何といっても
相当
大きなネックであったんではなかろうかというふうに思うわけでございます。われわれといたしまして、過去におきましてのいろいろのことがあったわけでありますけれども、今後はその
負債
の面については、われわれとしては、先ほど申し上げたようなことではありますが、一方、それだけのことではなくて、
入植
地自体の
建設工事
あるいは飲用水の工事であるとか、いろいろ付帯的な
施設
を早急にやりまして、そうして幾らかでもその道での解決ということもはかっていきたいと思うわけであります。それから、今御指摘のように、今後、それではたしてどうだろうか、単にその上向きの
資金
を
融通
するだけでいいのかというお話でございますが、先ほども申し上げまたように、現在のところ、とにかく何かその面でカバーができるのじゃないかというふうに、一応昨年の、
昭和
三十七年の事前検査ではそういうふうに考えておるわけでありまして、とにかくその方向に進んでいくのと合わせて、従来の本来やるべき
施設
を急激に進めて完備していくように心がけたいと、かように考えておる次第でございます。
森八三一
73
○森八三一君 それはね、その土地
条件
が整備されておらぬとか、生活環境が不完備であるというようなことを直すために、新らしく、この
説明
にもあるように、
耕作
の
業務
に必要な積極的なその
資材
だとか
施設
を取得するその
資金
は出してやる。これはそうしてやらなければ、またその
営農
が成り立たぬことですからね。成り立つようにしてやる、これはけっこうですよ。しかし、それは
営農
が成り立つだけであって、今まで数
年間
にそういうような
条件
のもとにすでに蓄積されてしまっておるですね、
負債
を償還していくまでに所得を増高せしめるということは、
開拓地
の実際の
営農
状況
から考えて不可能ではあるまいかと、その問題を切り離して別個に処置をしてやらぬと、今度新しくつぎ込んだ
資金
がまた固定をするという形になるとこう私は見るのですよ。だから、半面の解決はこれでできるけれども、半面の解決がなされないのじゃないか。そういうことをなぜ農林省はお考えにならぬか。そこまで突っ込んでいかなきゃ、ほんとうに親切な
開拓
農民諸君に対する道ではないのではないか、こういうことを申し上げているのですよ。それはやらぬでもいいと、大丈夫だと、こうおっしゃいますか。
任田新治
74
○
政府委員
(
任田新治
君) 決してやらぬでいいという意味ではございませんが、三十七年度の調査の結果では、今のところそこに目標を置いておるわけでございます。いろいろの形で援助の方策をやっておりまして、たとえば各
農家
共通に大型、中型、小型のトラクターを導入するような道も考えたり、いろいろなこともやっておるわけでありますが、それと合わせて何とか解決をはかりたい。しかし、先ほども申し上げましたように、第二類の、このような
措置
によって第二類の
方々
で第一類のほうへ持っていけるという
方々
を
対象
にするわけでございまして、第三類の
方々
はどうしても既往の
負債
があって、しかもそれがネックになって今後積極的に
営農
をやろうとしても、あるいはまたやれないというような
方々
であっても、とにかくこれでは何ともならないという方法に対しては、別途の方策をとらざるを得ないのじゃないかというふうに考えておるわけであります。それからすでに第一類として、いわゆる卒業生としてやっておる
方々
もございますが、同時にまた今申し上げましよたうに、他のほうへ離農せざるを得ないという
方々
もあるわけであります。で、われわれといたしましては、第二類の、いわゆる在校生の
方々
に対しましての
考え方
をこの場合に取り上げたいというふうに考えておりまして、全部をこの方向に救い上げるということにつきましては、なかなかむずかしい問題がございます。すでに同じ
開拓地
の中におきましてもいろいろの
条件
がございまして、
営農
にすでに精進して第一類になった
方々
もあるわけでありまして、働けばうんと働くほど、
あと
で割が悪いという姿でもおかしいわけでありまして、その辺のバランスと申しますか、そういうものもわれわれとしては考えなければならぬというふうに思っておるわけでございます。
森八三一
75
○森八三一君 どうもまあ平行線ですから、この問題はこの辺で打ち切っておきたいと思いますが、どうも形式的にものを見ていらっしゃるのではないかという感じが私は強く浮かんでくるのです。というのは、第二類におる人がですね、具体的に北海道に例をとりましても、第二類の部類の方で平均おそらく三十万とか四十万の
負債
をしょっておると思うのですよ、第二類の方であってですね。で、その人がですね、今度の
資金
を借り受けて、あるいは
融資条件
を
緩和
してもらって、それで
営農
が多少前進をする、改善をされるとしてもですね、すでに累積しておる
負債
の年次
償還額
をまかなうほどに伸ばしていくということは、
農業
の実態上ですね、
生産
性はもちろん上がっていますけれども、上がる
部分
というものは
農家
生活のほうに吸収されちまうのでですね。そいつを全部
負債
の償還のほうへ持っていっては、
農家
生活自体が破壊されちまうということになるのですから、とても回わらぬじゃないか。そうすると、相変わらず
負債
というものは元金が残っていっちまうと、それが今度の
施策
によって可能であるというほどに、
農業
生産
というものは経済的に有利な
条件
を導き出すわけにいかぬのじゃないか。だから過去における蓄積している
負債
の問題を並行して考えてやらなけりゃ、一類へは編入し得ないということを私は強く考えるのですがね。それは私専門家じゃありませんから、農地局のほうでよくお調べになって大丈夫だとおっしゃるならば、私はもうかれこれ申し上げませんけれども、現地に行って聞いてみると、これから現在の
営農
をどういうように改善をして、どういうような規模に拡大していけば、将来に向かっては非常に明るい前途は開けます。けれども、今までたまっているやつは何とも始末がしかねる。それを何とかしてもらわなければというような話がどこへいっても出るわれです。これに対して今度の対策では手が打たれておらない。それでは結局問題の根本的解決にはならぬのじゃないかという感じを持ちますので、くどくこのことを聞いておるのです。
負債
整理
の問題を二類該当者についてもとるべきではないか、こういうことなんです、端的にいえば。それがなぜ考えられないか。考えなくても大丈夫だというなら、大丈夫だとおっしゃっていただけば、それで私安心しますがね、どうでしょう。
任田新治
76
○
政府委員
(
任田新治
君) 先ほど申し上げましたように、三十七年度におきましてはその前年の秋の
答申
に基づきまして調査をいたしまして、大体既
農家
の標準とはどんなものであるか。そこまで持っていける見通しはどうであるかというものの基本的なことをつかみまして一つのワクを考えたと申しますか、そういうふうになっておるわけであります。ただいま森先生の御指摘のように、もっと入り込んだら、積極的に考えた場合に、はたしてそれで収拾がつくか、あるいは何年あるいは十何年先にはりっぱな
自立
経営の
農家
となるのかということでございますが、さらにその点につきましては、三十八年度は初年度でございまして、その点十分につき進めながら事業を進めていきたい、かように考える次第でございます。
天田勝正
77
○天田勝正君 ちょっと一言聞きますが、今日まで
融資
の
実績
はずいぶんあるのですが、各種の
資金
の
申請
をされてからどのくらいの
期間
で貸していますか。それは全部、総合でもよろしいし、
資金
別ならばなおよろしい。
任田新治
78
○
政府委員
(
任田新治
君) いろいろ
資金
の種別がございますが、なべて考えまして大体二カ月というふうに考えております。
天田勝正
79
○天田勝正君 それは考えておるとおっしゃるのは、役所の仕事としては案外早いと私思っているのだけれども、どうも私の聞いたところではそうでもなさそうだが、
実績
として今お答えになったとおりですか。
任田新治
80
○
政府委員
(
任田新治
君) 平均いたしまして二カ月の
実績
と考えております。
天田勝正
81
○天田勝正君 くどいようですが、そのことは個人もしくは末端の単協においてまとめてそこが出された
期間
から見たのですか。あるいはあなた方が扱うのだから中央の機関にまで集まってきてから、あなたのほうで連絡をとったということですか。どっちですか。
任田新治
82
○
政府委員
(
任田新治
君) 取り扱いといたしましては、大
部分
のものは県を経由いたしておりますが、県庁が受け付けてからというふうに……。
天田勝正
83
○天田勝正君 よろしゅうございます。
牛田寛
84
○牛田寛君
開拓者
の問題は先ほどもお話がございましたが、いろいろの問題をはらんでいるように私ども見ております。あらためてここでお伺いしておきたいことは、
開拓者
を何のために
入植
させたか、この点をこの際はっきりお伺いしておかなければならないように思うのです。ひとつこの点をお尋ねいたします。
任田新治
85
○
政府委員
(
任田新治
君) いろいろの変遷がございますが、先ほども申し上げましたように、まず当初は国外におられた引揚者、あるいは復員者という
方々
の住む場所を提供する、また内地の疎開された
方々
の場所を提供するということが当初は第一点。それから第二点といたしましては、御存じのとおりの食糧事情でございましたので、食糧増産に寄与していただきたいということが第二点でございます。したがって、ある面においては
農業
の精進ということになりますし、また、ある面におきましては国全体の不幸の
方々
に対する一つの道を開くという、そういうのが目的であったと思うわけでございます。われわれといたしましては、その
方々
が十分国の
開拓
政策としてやっていく場合、それで十分落ちつけることを望んでいるわけでございますが、
現状
においては、先ほどもいろいろの
資料
で申し上げましたように、必ずしもうまくはいっておりませんが、われわれとしましては、当初の目的がそういうものでございまして、今後とにかく
開拓農家
の安定をはかるということにわれわれの当面の義務があるように思っておるわけでございます。
牛田寛
86
○牛田寛君 先ほどお話がございましたが、
開拓者
の実情につきまして、第一類、第二類、第三類というような分類の仕方をなさっているようでございますが、この分類の仕方についての問題もいろいろあると思いますが、先ほどのお話しの
内容
では、非常に主観的な分け方のように理解するわけです。もう少し客観的な分け方、たとえばこのクラスはこれだけの手を打てば
自立
できる、このクラスにはこれだけの対策を立てれば生活の道が開けるのだという、そういう一つの対策の
基準
になるような分け方をお持ちにならなければ、対策の上に混乱が起こるのではないかと思う。まあ、私の聞き方が悪かったかもしれませんが、もう一度、もう少し客観的な分類の仕方について具体的に伺いたい。もし御
説明
の上でむずかしければ
資料
でもっていただきたい、このように思うわけです。
任田新治
87
○
政府委員
(
任田新治
君) 現在の段階では、三十七年度におきましてプリテストを実施したわけでございますが、各県それぞれ、その地域々々、これはある程度こまかいものではございますが、県によりましてはその形態というものが、
営農
形態というものが十幾つに分かれておる、あるいは二十幾つというものもございまして、
全国
で何百という
営農
形態ができ上がっておるわけでございますが、これは既存の
農家
の中流
農家
というものを
対象
にしましてこういう経営形態が成り立つのではないかということを考えていろいろな形態を考えた結果、何百種類の形態ができている。このような形態と、現実に今
入植
しておられますところの一戸一戸の
農家
と対照しまして、この個々の
農家
がどのケースにこの地域ではあてはまるのであるかということを個々に検討いたしまして、そうしてその上で先ほども申しましたように地元と市町村、農協それから御本人というようなことで十分案を練りまして、本人も納得し、こういう程度でこれだけの金が貸してもらえる。またこれだけの農地の開墾に対する補助がある、あるいはこれだけの道路が完備するというようなことを十分見きわめてもらいまして、その上でこの程度のことならば、おれはあらためてやる覚悟があるということになった場合に、初めてそこで二類としてわれわれは取り上げて、そうして精進願うというふうに考えていきたいというふうに思っております。
牛田寛
88
○牛田寛君 私が今お伺いしましたのは、第一類、第二類、第三類と一応お分けになった。そのお分けになっている
基準
になる、客観的にどういうような
基準
でお分けになったのか、先ほどは在学中とか卒業生とかいうふうな非常に概念的な御
説明
でございましたけれども、もう少し対策として具体的に打ち立てられるような
基準
になる、そういう分け方をなさっているのかどうか。あるいはそこまではっきりした
基準
のもとにお分けになっているわけではないのか、その点をお伺いしたい。 〔
委員長
退席、
理事
青田源太郎
君着席〕
桧垣徳太郎
89
○
説明員
(
桧垣徳太郎
君)
局長
にかわりまして御
説明
を申し上げます。一般的な第一類、第二類、第三類の
考え方
は
局長
が申し上げたとおりでございますが、現在私どもが第二次の
振興対策
を考えようという場合におおむねの分類の
基準
といたしましては、第一類の
農家
に属すべきものは先ほど
局長
の
説明
にもございましたとおり、将来の目標所得というものを、近傍における
中庸専業農家
の生活を維持し得る水準というふうに考えまして、現にその目標所得以上の
年間
所得を得ておる
農家
は、これは第一類
農家
というふうに考えます。なおまた第一類
農家
に属するものといたしましては、現在の目標所得に達していないけれども、すでに標準
営農
の設計案に比べますと、いわゆる近傍類地
農家
以上の
資本装備
額を持っておりまして、資本
生産
性の発現がおくれているだけである。ですから目標年次までには当該資本総額によって目標所得を達し得るであろうというようなのが第一類
農家
であるというふうに考えられます。それから逆に第三類に属するものはどういうものを考えておるかといいますと、目標所得額以下の半分以下の所得を得ている
農家
でありまして、目標所得の半分以上の所得を兼業によって得ておるものである。つまり兼業所得が現在のままでいっても、結局目標年次に至って第二種兼業
農家
となるであろうというような層の
農家
は、これは第三類
農家
として考えたい。それから
あと
は客観的に
基準
とするわけには参りませんが、われわれの考えといたしましては、この
振興対策
の
対象
にいたします
開拓農家
というのは、午前中の御
説明
にもございましたとおり、
昭和
三十二年度以前の
入植
者でありまして、
相当
の年月を経ておるわけでありますから、その程度経てもなお十万円以下の所得層、
農家
所得十万円以下というのは、これはなかなか追加投資によっては近傍の
中庸専業農家
の所得に達することはできないであろうという意味で、十万円以下の
農家
については、これは一応第三類
農家
ではないだろうか、ここにまあ問題はあると思いますが、そういうふうに考えております。また十万円から十五万円程度の層には、われわれプリテストの結果から見ました判断としては、半数ぐらいのものが第三類
農家
となるのではないだろうかというふうに考えておるのであります。今申し上げましたような一類及び三類と考えるものの中間に存します層の者をわれわれとしましては第二類
農家
と考えたい。なお、第一類の
農家
については、かなり客観的
基準
が得られるわけでありますが、第二類と第三類の線の引き方につきましては、
開拓農家
自身の
計画
いたします個別
営農振興計画
というものを、
営農
指導員あるいは市町村の吏員その他の
関係
者によって指導しつつ立てましたものが、その
計画
の達成が確実であるというふうに認められますものについては、現在の所得の高にかかわらず、第二類
農家
として認めていきたいというふうに考えているわけでございます。
牛田寛
90
○牛田寛君 非常に詳細な御
説明
でございましたが、ちょっとまだ私どもにはピンとこないわけです。今のお話しでは、大体所得水準でお分けになったように私は理解いたしますが、この点については、私どものほうから具体的にむしろ
基準
となるべきものを一つ立てまして、
資料
をまた提出していただきたいと思います。 まだ十分調査もしておりませんので、ただいまはこの程度にとどめたいと思いますが、
開拓者
の問題につきましては、先ほどお答えがありましたように、終戦直後の生活の基盤を失った人たちの救済、生活の道を開いていくということがやはり根本問題であるように理解いたします。そういたしますと、環境あるいは経済的な
条件
あるいは個人的な問題、たとえば病気であるとか、あるいは家族の中心者が倒れたとか、そういうふうないろいろな問題によりまして、むしろ
開拓農家
としての力を失う、あるいは
自立
経
営農
家としての力が十分でないというような実情に陥った
方々
が多数あるのではないか、事実私もそういう
方々
に会っております。そういたしますと、やはりこの
開拓農家
の対策の問題は、あくまでも現在のそういう
方々
の経営能力なり、あるいは所得水準なりの、程度の差はもちろんありましょうけれども、いかなる程度であれ、それらの人たちを根本的に救済していく方策をとっていただかなければならないと私どもは考えているわけでございまして、この点についてもう少し明確な一つの政策の方針を打ち出していただきたい、そのように考えたわけであります。ただいままで伺っておりますと、ただ第二類のいわゆる
低利
融資
の
資金
を供給すれば、十分一般の
自立
経
営農
家と同一の水準で生活できる人たちのための対策であるように思う。現在全く行き詰まっている人たちは、それではどう救済するかということについては対策がないように私どもはただいまのお話の上ではそういうように受け取れたのであります。それでは
開拓者
の問題を根本的に解決することは不可能ではないか、このように考えますので、その点について一つだけお答えいただきたい。本日はこれだけで、また後ほど伺います。
任田新治
91
○
政府委員
(
任田新治
君) 先ほども申し上げましたように、現在の段階では、
農家
一戸々々につきまして、いわゆる二類の
対象
の
方々
であるかあるいは三類の
方々
としての
対象
であるかということについては、個々の
農家
につきましてはまだ不十分でございます。しかしながら、今後個々の
農家
の調査が進んで参りますと、おのずからはっきりはして参るわけでありますが、これらの三類の
方々
に対しまして、これは原因ももちろん、いろいろのケースがございますけれども、とにかくそのままでいいというものではございません。したがって今までにまだ完了してないところの飲料水の
施設
であるとか、それから道路であるとか、そういうものにつきましては、とにかくたとい
開拓
という看板がおろされても、ごめんどうを見てあげなければならないというふうに考えておるわけであります。また一方、適用になるかどうかはわかりませんが、その生活程度によりまして生活保護法の適用者があるかもしれません。これらの
方々
に対しては、積極的に市町村に対してそれ
相当
の処置をしてもらうようにお願いする。また県、それから市町村を通じまして職業訓練をやる、あるいは職業の紹介をするというところまでいかなけりゃならないというふうに考えておるわけでございます。このようなことで、はたして十分であるかどうかという問題もございますが一方離農をするということになりますと、現在のところでは、とにかくわれわれといたしましても離農に対して何とか差し上げなきゃならないというふうに考えまして、国におきましては二十万円それに県から十万円を足していただきまして三十万円を差し上げるというふうに考えておるわけであります。それからこれらの離農される
方々
については、残留といいますか、そこにおられる方は、当然今日の事態でございますから、いわゆる二類の
対象者
の
方々
に対しては、これは離脱された
方々
の跡地の配分の問題が出て参るわけであります。この跡地を残られる
方々
に、第二類の
方々
に引き取っていただきまして、そうして経営の拡大に資するというふうにしたい。この場合、もちろん二類の
方々
と、この三類の
方々
の間にはそれぞれ
組合
を通じ、あるいは相対でそれぞれの話し合いができていくわけでありまして、そこに清算されていくということになるだろうと思いますが、このように指導をいたしておるわけでございます。
堀本宜実
92
○堀本宜実君 一言だけ伺いたいと思いますがね。この表の、「三十六年度末迄の
開拓者資金融通法
による
貸付累計額
」というところの一番下の表に、
履行延期等
の
債権
というのがある。これは履行を延期するということで、払えない、約束を果たすことができなかったという不振
農家
の債務、一般焦げつきというやつがあげてあるわけですか。
任田新治
93
○
政府委員
(
任田新治
君) これはただいまおっしゃいました、御指摘の焦げつき、普通焦げつきというふうに考えられるものでありまして、法廷で和解調停をいたしまして、あらためてこれだけのものを何年で返すということのきまったものの数字でございます。 〔
理事
青田源太郎
君退席、
委員長
着席〕
堀本宜実
94
○堀本宜実君 きまったものの数字……。それじゃもう一つ伺いたいと思いますがね。この
開拓
法案
というものが出たたびにそう思うことなんですがね。これ今度第二次でしょう、
計画
がね。
振興
計画
第三次。ところがね、これがたとえば道路がないとか、あるいはいろいろな客観情勢で
振興
することができないというところへは、道路をつけたり、あるいは建設事業で何かと援助をしてやって、そして
生産
性が高まるように人為的になり得る可能性がある。あなたの御
説明
の、
提案理由
の
説明
の中にこういうことが書いてある。「
立地条件
の劣悪」というのがある。
立地条件
の劣悪なんというものは何というんでしょうかね、これをやかましい言葉でいうと、自然的、経済的
条件
というようなことで表現をするのですが、ともあれ、どうしても
立地条件
なんというやつを、寒冷のところへあったかい風を特に吹かしてやろうというわけにもいかず、経済性のないところに経済性を持っていってやろうというわけにもいかないでしょうよ。そうしたら
立地条件
の劣悪なところは私は救いようがないと思うのだ。これはどんなに……。あなた方の気持はわかるのだ。そんならといって、国がモラトリアムをしいて過去の金は取り立ててあげませんなんという
法律
を作ることができないのだから、貸している金を
政府
は国法として不可能だからできないんだが、
立地条件
が悪いところになぜすすめて入れたのか、しかしかりにそれをあやまって、入ると言い、入れたんであっても、もう
立地条件
の悪いところへ二度と、第二次
振興
計画
等を立てて再び過重な負担をさしたりすることはかわいそうだ、気の毒だと私は思う。それよりもむしろ、そういうことは
整理
の段階に今来ていると思うのですよ。古い帰農者というものが、終戦当時入った人たちで辛うじて残っているのだけれども、気力がなくて出て行こうにも出て行けない人たちがあると思う。そういう人たちを救ってやるための
資金
、いわゆる転業がなければ、今もお話がございましたが、職業訓練等がございましょうが、そういうようなものでなしに、もっと親切にこれを出て行かれるようなふうな取り扱いをしてやることのほうが、政治としては本筋なものじゃなかろうか。どうしてもそこへ押しつけるような、ひいきのひっころがしのように、またその上に金を貸してやろうという難儀を継続せしめるようなことのないように私はしてやらなければ、そういうことはちょっと
政府
としてはできにくいことなんだが、地方におる者としては、それよりもお金はもうどういう理屈か知らぬけれども、規則はどうか知らぬが、もうかまいません。あなたは言えないだろうが、かまわないように、払わぬで済むようにひとつしてやって、そうしてその生活ができるようにすることのほうが政治であって、私は親切なんじゃなかろうかとしみじみ思うのですがね。これは理屈の上で
法律
がああだとか、こうだとか、小理屈を言うのではなしに、ほんとうに親切だということが政治のよいところだと思う。私は継ぎ足しの
資金
を貸してやろうというような、二次的なことをしたりするより、もう少し手取り、足取り、今度
入植
者で不振な
農家
は集めて、そうしてその方向へいく
資金
にお使いになるような
計画
を立てられるのがよいのじゃなかろうかと私は思うのだが、一体どう考えられますか。
任田新治
95
○
政府委員
(
任田新治
君) 御指摘の点は、まことにそのとおりでございまして、第二類に対する
措置
としてはこのように考えて一応やりたいというふうに思っておりますが、第三類については、この
振興
計画
がはたして立つかどうかという意味をあらかじめ予想されている第三類ということは普通あり得ない。個々の
農家
について今後どのように労働力がふえるという問題もございます。今まで一時的に病気をしておったが今では健康になったとか、子供が大きくなったというようなケースもございますので、その点から全体をおしなべて、個々の
農家
についての検討を進めていくわけであります。その結果第三類という立場になった場合に、真剣に考えてあげなきゃならない問題だと思うわけでございます。この点はとにかくそういうことで、
振興
計画
の
樹立
という点を通してみて、そしてどうにもならないという結論が出た場合に、それはやはりただいまの先生の御指摘のとおり、あらためてとにかく
関係
機関と相談をいたしまして、何とか再起の方法を考えなきゃならないというふうに思うわけでございます。いろいろそういう
農家
の実態からいきまして原因という問題についても
相当
究明する必要もありますし、先ほど申し上げましたように、同じ
開拓地
の中であっても、非常に隆々としておる
開拓者
もあるというような実情もありまして、一概にまたこの
立地条件
のみが……、同じ
条件
であっても、そこに生まれますところの
開拓者
の発展というものはいろいろの区々になる場合もありますし、非常にその点はむずかしい問題がございます。しかし、とにかく今後個々の
農家
の
振興
計画
を立てて参って、そこにどうにもそのワクに入らない場合には、あらためてこれは
関係
機関と相談の上、何らかの処置をしなければならぬものだというふうに考えております。
堀本宜実
96
○堀本宜実君 最後に私は要望しておきたいと思いますが、
立地条件
が悪いなんというのは、いかにこうやくばりで継ぎ足しをやってもだめなんですね。
立地条件
が悪いということを認めておいでになる、そういうところへ第二次
計画
を立てようなんということ自体が、それは一類に入っているか、二類に入っているか、
営農
類型がどうなっておろうとも、私は、自然的
条件
、経済的
条件
というものが悪いものはもう救いがたいというふうに思うのです。これはもういろいろ農村指導をやってみてそういうふうに思います。そうして、これ金を貸したらこういう現象が起こってくる。もう払う支払い
期限
が来た、支払えない、そうしてどうしても取り立てなければいけない。次の今度は貸す金の
計画
に取り立てた金も入っている。新しい原資だけで貸すのじゃない。つぎ込み、つぎ込み貸すのじゃない。今度貸すところの原資にこれが加えられて、そうして
融通
している。そうすると今度は借りているものは払えないから、牛を売っても払わなければならぬのじゃなかろうかという結果が生まれてくる。金を貸したことによって苦痛を順次繰り返し繰り返し、そのときによってやっておる。ところが中央におられる人はそんなことはないのだ、こう言うのだが、待ってやれない、約束したときの
期限
に払わなければならないというのは、金を貸した、借りたの
条件
の一番強いものです。それを貸した、借りたというのではない、都合によればやるかもしれぬという
条件
がついてあれば別だが、そうでなければ必ず返さなければならぬということだ。そうすれば必ず返さなければならぬ末端の指導者というものは、何か貸して返す金策をさせなければいかぬということが繰り返されてくる。これは十分そういうところをお知りにならぬと思うから、そういうことを言うのですから、実際は金を貸す第二次
計画
、私は賛成ですが、ほんとうのあたたかい指導というものが、むしろこのごろのような産業形態、昔は過剰人口をどこへやろうか、姥捨山はなし、したがってしょうがないから
開拓地
という指名をして、そこへ入れてやろうかという一種の窮余の策であったのです、今は人が要る時代なんですから、むしろそれを、焦げつきの借金をなくすような政策を講じて出してやることのほうが親切な政治ではなかろうか、こういうことを申し上げておる。どうか一つ御研究をいただきたいと思います。
梶原茂嘉
97
○梶原茂嘉君 ちょっと
資料
でお願いしたいのですけれども、
開拓営農振興審議会
の
答申
の線に関連して、今後の
開拓
政策を検討するために、昨年実態調査が行なわれた。
局長
もしばしば実態調査ですか、そのことを引用されておるのですが、ひとつ昨年
政府
の方で施行されたこの実態調査の模様を
資料
でお出しを願いたいと思うのですけれども。
任田新治
98
○
政府委員
(
任田新治
君) その
資料
につきましては、後日お届けいたしたいと思います。
櫻井志郎
99
○
委員長
(
櫻井志郎
君) 本日は、この程度にいたしておきます。 これをもって散会いたします。 午後三時二十八分散会 ————・————